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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】車載装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0488 20220101AFI20241204BHJP
   G06F 3/048 20130101ALI20241204BHJP
   G06F 3/0484 20220101ALI20241204BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
G06F3/0488
G06F3/048
G06F3/0484
B60R16/02 630L
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021076865
(22)【出願日】2021-04-28
(65)【公開番号】P2022170608
(43)【公開日】2022-11-10
【審査請求日】2024-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高城 正史
(72)【発明者】
【氏名】藤川 雅志
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-2224(JP,A)
【文献】特表2013-546093(JP,A)
【文献】特開2020-42602(JP,A)
【文献】国際公開第2014/171171(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0488
G06F 3/048
G06F 3/04847
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが視認可能な画面に対応して設けられている領域を有し、前記領域において前記ユーザのタッチ操作を受付可能なインタフェース部を備える情報処理装置であって、
前記ユーザによるタッチ操作における、所定のシステムの設定値を調整するための調整部を移動させる所定の方向の変化量と、前記所定のシステムの設定値を調整するための調整量とが対応付けられた調整情報を記憶する記憶部と、
前記ユーザのタッチ操作が所定の時間内に前記領域を通過したか否かを判定し、前記タッチ操作が前記所定の時間内に前記領域を通過したと判定した場合、前記タッチ操作における前記所定の方向の変化量を算出し、前記調整情報に基づいて、算出した変化量に対応する調整量を決定し、決定した調整量に応じて設定値を設定するように前記所定のシステムに指示する制御部と、
を備える情報処理装置
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記領域の外で検出された前記ユーザのタッチ操作が前記領域内にあると判定した場合、前記タッチ操作の位置に応じた設定値を設定するように前記所定のシステムに指示する、
情報処理装置
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記所定のシステムの設定値は、前記情報処理装置が搭載される車両に設けられている空調装置の温度の設定値、前記情報処理装置が搭載される車両に設けられている空調装置の風量の設定値、前記情報処理装置に内蔵の音響装置の音量の設定値、または、前記情報処理装置が搭載される車両に設けられている音響装置の音量の設定値である、
情報処理装置
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記領域は、前記画面の縁から所定の間隔離れた位置に設けられている、
情報処理装置
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記ユーザのタッチ操作が検出された地点と、前記タッチ操作が検出されなくなった地点とから、前記所定の方向の変化量を算出する、
情報処理装置
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記タッチ操作が前記所定の時間内に前記領域の外側の境界線から前記領域の内側の境界線を通過したか否かを判定する、
情報処理装置
【請求項7】
ユーザが視認可能な画面に対応して設けられている領域を有し、前記領域において前記ユーザのタッチ操作を受付可能なインタフェース部と、前記ユーザによるタッチ操作における、所定のシステムの設定値を調整するための調整部を移動させる所定の方向の変化量と、前記所定のシステムの設定値を調整するための調整量とが対応付けられた調整情報を記憶する記憶部と、を備える情報処理装置のコンピュータに、
前記ユーザのタッチ操作が所定の時間内に前記領域を通過したか否かを判定することと、
前記タッチ操作が前記所定の時間内に前記領域を通過したと判定した場合、前記タッチ操作における前記所定の方向の変化量を算出することと、
前記調整情報に基づいて、算出した変化量に対応する調整量を決定し、決定した調整量に応じて設定値を設定するように前記所定のシステムに指示することと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、画面に対するタッチ操作に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載装置では、ユーザが指をタッチパネルに触れたまま、当該指を動かす操作(以下「タッチ操作」と記す)により、空調装置の温度、空調装置の風量、音響装置の音量等の調整が受け付けられている。しかしながら、画面を見ないと温度等の設定値を調整するためのアイコンの配置がわからないため、画面を見ることなく、タッチ操作することは難しい。また、画面を凝視することなく、意図したタッチ操作が行われたことを把握することは難しい。
【0003】
この点、タッチパネル式のディスプレイ部に表示されたボリュームスイッチによりボリュームの増減(調整)を容易に行うことを可能とする車両用電子装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5933824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、一度、音量調整ボタンを狙って押下しなければならない。運転中の操作としては、極力画面を見ずにタッチ操作することが望ましいため、ユーザからの受付方法に改善の余地がある。
【0006】
また、画面を見ないタッチ操作において、絶対値による調整だけを採用すると、細かい操作を要するために、タッチ操作する上で指先に集中してしまい、結果的に運転の注意力が散漫になりかねない。
【0007】
本発明は、以上の点を考慮してなされたもので、画面に対するタッチ操作を容易にし得る車載装置等を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明においては、ユーザが視認可能な画面に対応して設けられている領域を有し、前記領域において前記ユーザのタッチ操作を受付可能なインタフェース部を備える車載装置であって、前記ユーザによるタッチ操作における、所定のシステムの設定値を調整するための調整部を移動させる所定の方向の変化量と、前記所定のシステムの設定値を調整するための調整量とが対応付けられた調整情報を記憶する記憶部と、前記ユーザのタッチ操作が所定の時間内に前記領域を通過したか否かを判定し、前記タッチ操作が前記所定の時間内に前記領域を通過したと判定した場合、前記タッチ操作における前記所定の方向の変化量を算出し、前記調整情報に基づいて、算出した変化量に対応する調整量を決定し、決定した調整量に応じて設定値を設定するように前記所定のシステムに指示する制御部と、を設けるようにした。
【0009】
上記構成では、ユーザが画面を見ることができずに、調整部をタッチ操作できない場合でも、ユーザは、領域を通過するようにタッチ操作することで、所定のシステムの設定が意図する設定に近づくように所定のシステムの設定値を調整することができる。例えば、ユーザは、運転中でも画面を凝視せずに、所定のシステムの設定値を調整することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、利便性の高い車載装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】車載装置に係る構成の一例を示す図である。
図2】入出力部に係る構成の一例を示す図である。
図3】調整情報の一例を示す図である。
図4】振動制御処理の一例を示す図である。
図5】振動制御処理の一例を示す図である。
図6】温度調整処理の一例を示す図である。
図7】操作画面の一例を示す図である。
図8】操作画面の一例を示す図である。
図9】操作画面の一例を示す図である。
図10】操作画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(I)実施形態
以下、本発明の一実施形態を詳述する。ただし、本発明は、実施形態に限定されるものではない。
【0013】
本実施形態の車載装置では、タッチ操作が有効である領域においては、その領域内におけるタッチ操作であることを示す第1の振動と、その領域内にタッチ操作(指)が位置していることを示す第1の振動とは異なる第2の振動と、を併用する。
【0014】
また、本車載装置は、タッチ操作が有効である領域を直接タッチして、所定のシステムの設定値を調整するための調整部をタッチ操作した場合、絶対値で所定のシステムの設定値を調整する。また、本車載装置は、所定の時間内に、当該領域を経由してタッチ操作された場合、相対値で所定のシステムの設定値を調整する。
【0015】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は、単数でも複数でも構わない。
【0016】
なお、以下の説明では、図面において同一要素については、同じ番号を付し、説明を適宜省略する。また、同種の要素を区別しないで説明する場合には、枝番を含む参照符号のうちの共通部分(枝番を除く部分)を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、枝番を含む参照符号を使用することがある。例えば、領域を特に区別しないで説明する場合には、「領域710」と記載し、個々の領域を区別して説明する場合には、「領域710-1」のように記載することがある。
【0017】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」等の表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数または順序を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は、文脈毎に用いられ、1つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
【0018】
図1において、100は、全体として実施形態による車載装置を示す。
【0019】
車載装置100は、車両のダッシュボード等に設けられる装置である。車載装置100は、車両の空調装置の温度を調整(以下「温度調整」と記す)するためのタッチ操作と、車両の空調装置の風量を調整(以下「風量調整」と記す)するためのタッチ操作と、車載装置100または車両の音響装置の音量を調整(以下「音量調整」と記す)するためのタッチ操作とのうち少なくとも1つを受け付ける。以下では、温度調整するタッチ操作を受け付ける場合を例に挙げて説明し、適宜、風量調整および温度調整について説明する。また、音響装置については、車載装置100に内蔵されている場合を例に挙げて説明する。
【0020】
図1に示すように、車載装置100は、制御部110と、記憶部120と、操作部130と、入出力部140と、音処理部150とを含んで構成される。
【0021】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信インタフェース、周辺回路等を備え、車載装置100の各部を制御する。
【0022】
例えば、制御部110は、タッチ操作に応じた空調装置の温度の設定値を設定するための信号を空調装置に出力し、空調装置の温度を制御する。また、例えば、制御部110は、タッチ操作に応じた空調装置の風量の設定値を設定するための信号を空調装置に出力し、空調装置の風量を制御する。また、例えば、制御部110は、タッチ操作に応じた音響装置の音量の設定値を設定するための信号を音処理部150に出力し、音響装置の音量を制御する。
【0023】
記憶部120は、不揮発性メモリを備え、各種データを記憶する。例えば、記憶部120は、調整情報121を記憶する。調整情報121については、図3を用いて後述する。
【0024】
操作部130は、1つ以上の操作スイッチ131を備える。操作部130は、操作スイッチ131に対する操作を検出し、操作に対応する信号を制御部110に出力する。制御部110は、操作部130から入力された信号に基づいて、操作に対応する処理を実行する。
【0025】
入出力部140は、各種の情報を入力したり、各種の情報を出力したりする入出力装置である。制御部110は、入出力部140に表示する画像の画像データをフレームメモリに展開し、フレームメモリに展開した画像データに基づいて、入出力部140に画像を表示する。また、例えば、入出力部140は、振動を出力可能な振動装置を備え、制御部110による指示に応じて振動装置により振動を出力する。入出力部140については、図2を用いて後述する。
【0026】
音処理部150は、例えば、音響装置を備える。より具体的には、音処理部150は、D/Aコンバータ、ボリューム回路、アンプ回路、スピーカ等を備える。音処理部150は、制御部110による指示に応じて、制御部110から入力された音信号をD/Aコンバータによりデジタル/アナログ変換し、ボリューム回路により音量レベルを調整し、アンプ回路により増幅し、スピーカから音、音声等として出力する。
【0027】
なお、車載装置100の機能は、温度調整する機能、風量調整する機能、音量調整する機能に限らない。例えば、車載装置100は、GPSユニット、相対方位検出ユニット、ビーコン受信ユニット、FM多重受信ユニット、無線通信部、メディア制御部等を備えていてもよい。この場合、車載装置100は、車両の現在位置を検出する機能、地図上に車両の現在位置を表示する機能、目的地までの経路を探索する機能、地図上に目的地までの経路を表示して目的地までの経路を案内する機能等を備える。
【0028】
車載装置100の機能は、例えば、CPUがROMに格納されたプログラムをRAMに読み出して実行すること(ソフトウェア)により実現されてもよいし、専用の回路等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが組み合わされて実現されてもよい。なお、車載装置100の1つの機能は、複数の機能に分けられていてもよいし、複数の機能は、1つの機能にまとめられていてもよい。また、車載装置100の機能の一部は、別の機能として設けられてもよいし、他の機能に含められていてもよい。また、車載装置100の機能の一部は、車載装置100と通信可能な他のコンピュータにより実現されてもよい。
【0029】
また、上述した車載装置100の機能(制御)に関するプログラムは、CD-ROM101等の記録媒体、インターネット等のデータ信号を通じて提供される。車載装置100は、CD-ROM101を介してプログラムの提供を受けてもよい。また、車載装置100は、通信回線102との接続機能を備えていてもよい。この場合、コンピュータ103は、上記プログラムを提供するサーバーコンピュータであり、ストレージ装置104等の記録媒体にプログラムを格納している。通信回線102は、インターネット、パソコン通信等の通信回線、専用通信回線等である。コンピュータ103は、ストレージ装置104からプログラムを読み出し、通信回線102を介してプログラムを車載装置100に送信する。すなわち、コンピュータ103は、プログラムをデータ信号として搬送波を介して、通信回線102を介して送信する。このように、記録媒体、データ信号(搬送波)等の種々の形態のコンピュータ読み込み可能なコンピュータプログラム製品としてプログラムを供給できる。
【0030】
図2は、入出力部140に係る構成の一例を示す図である。入出力部140は、エスカッション部210と、可動部220と、固定部230とを備える。
【0031】
エスカッション部210は、入出力部140の筐体である。エスカッション部210には、タッチパネル211と表示パネル212とが含まれる。
【0032】
タッチパネル211は、感圧式または静電式の入力検出素子等により構成される。タッチパネル211は、タッチパネル211がタッチ操作された場合、タッチ操作された位置を示す信号を制御部110に出力する。タッチ操作には、手指の先等の指示体によりタッチパネル211の所定の位置が接触されて行われる操作が含まれる。表示パネル212は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)である。
【0033】
制御部110は、タッチ操作された位置を示す信号がタッチパネル211から入力された場合、入力された信号に基づいて、表示パネル212の表示領域の任意の位置を座標によって表すための所定の座標系における、タッチ操作された位置の座標(以下「座標」と記す)を検出する。例えば、制御部110は、表示パネル212に表示された画面のXY座標と対応したタッチ操作された位置の座標を特定する。
【0034】
可動部220は、固定部230側で発生させた振動をエスカッション部210に伝える部材である。
【0035】
固定部230は、例えば、振動装置であり、振動を発生させる。より具体的には、固定部230は、シールド231と、基板232と、振動部材233と、ケース234とを備える。シールド231は、電極カバーであり、基板232のノイズ対策のための部材である。基板232は、マイコン等が搭載されている制御基板である。振動部材233は、基板232からの指令に基づいて、振動する部材である。ケース234は、シールド231、基板232、および振動部材233を背面から格納するカバーである。
【0036】
図3は、調整情報121の一例(調整テーブル310および調整テーブル320)を示す図である。調整情報121には、調整テーブル310と調整テーブル320との一方または両方が含まれている。
【0037】
調整テーブル310は、調整情報121を示す複数の項目の値を含むレコードを記憶する。より具体的には、調整テーブル310は、角度311と、温度312との情報が対応付けられたレコードを記憶する。
【0038】
角度311は、タッチ操作の始点331と当該タッチ操作の終点332とを結ぶベクトル333と左右方向(X軸)とのなす角(角度Y)が属する角度範囲を示す。温度312は、角度範囲に対応して設けられている空調装置の温度の調整量(増加量または減少量)を示す。例えば、角度Yが「+10°」である場合、当該角度Yは、角度311の「1°≦Y<30°」に属するので、第1番目のレコードが選択され、空調装置の温度を温度312の「1℃分」上げるように調整される。角度Yがマイナスの場合の詳細な説明は割愛するが、例えば角度Yが「-10°」である場合、温度を「1℃分」下げるように調整される。
【0039】
調整テーブル320は、調整情報121を示す複数の項目の値を含むレコードを記憶する。より具体的には、調整テーブル310は、差321と、温度322との情報が対応付けられたレコードを記憶する。
【0040】
差321は、タッチ操作の始点331と当該タッチ操作の終点332との上下方向の差(差Z)が属する差範囲を示す。温度322は、差範囲に対して設けられている空調装置の温度の調整量(増加量または減少量)を示す。例えば、差Zが「+2」である場合、当該差Zは、差321の「1≦Z<3」に属するので、第1番目のレコードが選択され、空調装置の温度を温度322の「1℃分」上げるように調整される。差Zがマイナスの場合の詳細な説明は割愛するが、例えば差Zが「-1」である場合、温度を「1℃分」下げるように調整される。
【0041】
図4および図5は、タッチ操作に対する振動部材233の振動によるフィードバックに係る処理(振動制御処理)の一例を示す図である。振動制御処理については、図7および図8に示す表示パネル212に表示される画面を適宜に参照して説明する。
【0042】
表示パネル212は、例えば、電源が入れられることに基づいて、図7等に示す操作画面700を表示する。操作画面700には、タッチ操作におけるスライドを受付可能な領域710(以下「領域S」と記す)と、タッチ操作における押圧を受付可能な領域720(以下「領域P」と記す)とが設けられている。領域Sでは、タッチ操作のスライドが有効であり、例えば、ユーザは、領域Sに設けられているつまみ701を上下に操作(以下「つまみ操作」と記す)して温度を調整する。なお、領域Sでは、領域S外の領域からのタッチ操作を受け付けることができる。領域Pでは、タッチ操作の押圧が有効であり、例えば、ユーザは、従来のボタンと同様に、領域Pを押圧して所望の機能を利用する。
【0043】
ここで、タッチパネル211をタッチ操作して温度調整する際、何も手掛かりがない場合、ユーザは、操作画面700を凝視しないと、どのようなタッチ操作をしているかを把握することが難しい問題がある。
【0044】
この点、操作画面700の領域Sにおいては、入出力部140は、領域S内でのタッチ操作を示す振動Aと、領域S内にタッチ操作が位置していることを示す振動Bとを出力する。振動Aと振動Bとは、振動の周波数と、振動の振幅と、振動の方向との少なくとも1つが異なる。例えば、粗くて強い振動Aと、細かくて弱い振動Bとを用意することで、下記の使い分け(A1)~(A5)が実施可能である。
【0045】
(A1)図7に示すように、領域S内でつまみ操作しているときには、移動量に応じて振動Aを出力する。例えば、領域Sが複数の目盛りにより区分されている場合、入出力部140は、目盛り3つ分、タッチ操作されたとき、目盛りを移動するごとに振動Aを1回(合計3回)、出力する。
【0046】
(A2)領域S内でタッチ操作を検知した後、指を離さずにその場に留まっている場合、入出力部140は、振動Bを間欠的(例えば、500msごと)に出力し続ける。
【0047】
(A3)図8に示すように、入出力部140は、領域S外の地点811から領域S内の地点812に指が位置したことを検知したとき、振動Bを1回出力する。以降は、(A2)または(A4)が実施される。
【0048】
(A4)領域S内の地点821から指を離さずに領域S外の地点822に指が出てしまった場合は、指が離れるまで操作画面700上のY軸方向(上下方向)の移動を監視し続け、リニアにつまみ701を移動する動作と同等に振動Aを出力する。
【0049】
(A5)領域Pでは、タッチ操作が行われるごとに、入出力部140は、振動Aを1回出力する。例えば、入出力部140は、感圧をみながら、領域Pを押し込んだときと、領域Pから指を離すときに、夫々1回、振動Aを出力してもよい。
【0050】
上記の使い分けを実行するための処理(振動制御処理)の一例について図4および図5を用いて説明する。
【0051】
図4は、タッチパネル211のタッチセンサに係る振動制御処理の一例を示す図である。ステップS401は、所定の周期(例えば、500msごと)において、イベントが検出された場合に実行される。
【0052】
ステップS401では、制御部110は、発生したイベント、つまりタッチパネル211に対するタッチ操作に応じて処理を振り分ける。制御部110は、発生したイベントがタッチ操作におけるタッチである場合、すなわち、タッチパネル211にユーザの指が触れていない状態からタッチパネル211にユーザの指が触れた状態になった場合、または、タッチパネル211にユーザの指が触れたまま動いていない状態である場合、ステップS402に処理を移す。また、制御部110は、発生したイベントがタッチ操作におけるスライドである場合、ステップS407に処理を移する。また、制御部110は、発生したイベントがタッチ操作のリリースである場合、すなわち、タッチパネル211に触れていたユーザの指が離れた状態になった場合、ステップS420に処理を移す。
【0053】
ステップS402では、制御部110は、タッチパネル211におけるタッチ操作(ユーザの指)が位置する表示パネル212上の座標を取得し、取得した座標(以下「取得座標」と記す)に応じて処理を振り分ける。制御部110は、取得座標が領域Pおよび領域Sでない領域(以下「領域外」と記す)の座標である場合、処理を終了し、取得座標が領域Pの座標である場合、ステップS403に処理を移し、取得座標が領域Sの座標である場合、ステップS405に処理を移す。
【0054】
ステップS403では、制御部110は、タッチパネル211におけるタッチ操作が領域Pに位置していることを示すフラグ(以下「領域Pフラグ」と記す)をONにする。
【0055】
ステップS404では、制御部110は、取得座標を記憶部120に記憶し、処理を終了する。
【0056】
ステップS405では、制御部110は、振動Bを1回出力するように、固定部230に指示する。固定部230は、制御部110による指示に応じて振動Bを出力する。ステップS405において、振動Bが出力されることで、ユーザは、操作画面700を見ることなく、領域Sのタッチ操作であることを把握することができる。
【0057】
ステップS406では、制御部110は、取得座標を記憶部120に記憶し、処理を終了する。
【0058】
ステップS407では、制御部110は、記憶部120に記憶している座標(以下「記憶座標」と記す)が領域Pの座標および領域Sの座標でない場合、ステップS408に処理を移し、記憶座標が領域Pの座標である場合、ステップS412に処理を移し、記憶座標が領域Sの座標である場合、ステップS416に処理を移す。
【0059】
ステップS408では、制御部110は、取得座標が領域Sの座標でない場合、つまり、タッチ操作が領域外のまま、または、タッチ操作が領域外から領域Pに移動したと判定した場合、ステップS409に処理を移す。また、制御部110は、取得座標が領域Sの座標である場合、つまり、タッチ操作が領域外から領域Sに移動したと判定した場合、ステップS410に処理を移す。
【0060】
ステップS409では、制御部110は、記憶座標を破棄し、処理を終了する。
【0061】
ステップS410では、制御部110は、振動Bを1回出力するように、固定部230に指示する。固定部230は、制御部110による指示に応じて振動Bを出力する。ステップS410において、振動Bが出力されることで、ユーザは、操作画面700を見ることなく、タッチ操作が領域Sに移動したことを把握することができる。
【0062】
ステップS411では、制御部110は、取得座標を記憶部120に記憶し、処理を終了する。
【0063】
ステップS412では、制御部110は、取得座標が領域Pの座標である場合、つまり、タッチ操作が領域P内であると判定した場合、処理を終了する。制御部110は、取得座標が領域外である場合、つまり、タッチ操作が領域Pから領域外に移動したと判定した場合、領域PフラグをOFFにし、ステップS413に処理を移す。制御部110は、取得座標が領域Sである場合、つまり、タッチ操作が領域Pから領域Sに移動したと判定した場合、領域PフラグをOFFにし、ステップS414に処理を移す。
【0064】
ステップS413では、制御部110は、記憶座標を破棄し、処理を終了する。
【0065】
ステップS414では、制御部110は、振動Bを1回出力するように、固定部230に指示する。固定部230は、制御部110による指示に応じて振動Bを出力する。ステップS414において、振動Bが出力されることで、ユーザは、操作画面700を見ることなく、タッチ操作が領域Sに移動したことを把握することができる。
【0066】
このように、ステップS410およびステップS414において、制御部110は、ユーザのタッチ操作が領域Sの外から領域Sに移動したとき、振動B(第2の振動)を出力するように固定部230(振動部の一例)に指示する。上記構成によれば、例えば、ユーザは、操作画面700を凝視することなく、領域S付近をタッチ操作した場合であっても、タッチ操作を移動させたときにタッチ操作が領域Sに入ったことを把握することができる。
【0067】
ステップS415では、制御部110は、取得座標を記憶部120に記憶し、処理を終了する。
【0068】
ステップS416では、制御部110は、記憶座標と取得座標とのY軸方向の移動量(以下「Y移動量」と記す)が閾値(例えば、目盛り1つ分の高さ)以下である場合、処理を終了し、Y移動量が閾値より大きい場合、ステップS417に処理を移す。
【0069】
ステップS417では、制御部110は、振動Aを1回出力するように、固定部230に指示する。固定部230は、制御部110による指示に応じて振動Aを出力する。
【0070】
このように、タッチパネル211(インタフェース部の一例)は、ユーザが視認可能な操作画面700に対応して設けられている複数に区分されている領域Sを有し、領域Sにおいてユーザのタッチ操作を受付可能である。また、固定部230(振動部の一例)は、制御部110による指示に応じて、ユーザの触覚を介して伝達される振動Aおよび振動Bを出力する。この際、音処理部150(振動部の一例)は、固定部230と同様に、ユーザの聴覚を介して伝達される音Aおよび音Bを出力してもよい。なお、音Aと音Bとは、音圧(振幅)、音程(周波数)、および音色(波形)のうちの少なくとも1つが異なる。
【0071】
より具体的には、ステップS410およびステップS417において、制御部110は、複数の目盛り(区分)の目盛り間をユーザのタッチ操作が移動するごとに、振動A(第1の振動)を出力するように固定部230に指示し、複数の目盛りの何れかの目盛りにおいてユーザのタッチ操作が検出されている間、所定の時間ごとに振動Aとは異なる振動B(第2の振動)を出力するように固定部230に指示する。上記構成では、タッチ操作が目盛り間を移動するごとに振動Aが出力されるので、例えば、ユーザは、意図するタッチ操作が領域S内で行われていることを、視線移動を伴うことなく把握することができる。また、上記構成では、タッチ操作が一の目盛りで検出されている間は所定の時間ごとに振動Bが出力されるので、例えば、ユーザは、タッチ操作が領域S内に現在位置していることを、視線移動を伴うことなく把握することができる。
【0072】
ステップS418では、制御部110は、空調装置の温度を1目盛り分(例えば、1℃)調整する操作(当該機能操作)が行われたとして、空調装置に温度を1目盛り分調整するように指示する。空調装置は、制御部110による指示に応じて空調装置の温度の設定値を設定する。
【0073】
このように、複数の目盛りの各々には、空調装置(所定のシステムの一例)に設定するための設定値が対応付けられている。制御部110は、複数の目盛りの目盛り間をユーザのタッチ操作が移動するごとに、移動先の目盛りに対応する設定値を設定するように空調装置に指示する。上記構成によれば、例えば、ユーザは、操作画面700を見ることなく、領域S内でタッチ操作を移動させて、空調装置に対して設定値を設定することができる。
【0074】
ステップS419では、制御部110は、取得座標を記憶部120に記憶し、処理を終了する。
【0075】
ここで、図8に示すように、領域S(本例では、領域710-1)は、操作画面700における水平方向に等間隔に設けられる複数の仮想線(仮想線831~仮想線842)により区分されていてもよい。なお、領域Sがタッチ操作のスライドを左右方向に受け付ける領域である場合は、複数の仮想線は、垂直方向に等間隔に設けられる。
【0076】
例えば、ステップS416~ステップS419において、タッチ操作が領域Sの外に移動した際に記憶座標を破棄しないことで、制御部110は、領域Sから領域Sの外にユーザのタッチ操作が移動したときでも、上記仮想線をユーザのタッチ操作が越えるごとに、振動Aを出力するように固定部230に指示することができる。上記構成によれば、例えば、ユーザが操作画面700を見ていないことによりタッチ操作が領域Sの外に出たとしても、ユーザは、タッチ操作が領域Sの外であることを意識することなく、意図するタッチ操作を継続することができる。
【0077】
また、制御部110は、領域Sの外で検出されたユーザのタッチ操作が領域S内にあると判定した場合、ステップS411およびステップS415において座標を記憶することで、タッチ操作の位置に応じた設定値を設定するように空調装置に指示する。上記構成によれば、例えば、ユーザは、操作画面700を視認することができずに領域Sの外からタッチ操作を開始したときに、領域S内であることを示す振動B等により領域Sを把握した場合、上下方向にタッチ操作を移動させることで、そのタッチ操作の位置に応じて設定値を設定することができる。
【0078】
ステップS420では、制御部110は、記憶座標が領域Pの座標である場合、ステップS421に処理を移し、記憶座標が領域Pの座標でない場合、ステップS424に処理を移す。
【0079】
ステップS421では、制御部110は、取得座標が示す領域が、記憶座標が示す領域Pと同じ領域(同一Key)である場合、ステップS422に処理を移し、同一Keyでない場合、ステップS424に処理を移す。
【0080】
ステップS422では、制御部110は、領域PフラグをOFFにし、振動Aを1回出力するように、固定部230に指示する。固定部230は、制御部110による指示に応じて振動Aを出力する。なお、ステップS422において出力される振動は、振動Aに限らない。例えば、振動Aとも振動Bとも異なる振動Cが出力されてもよい。
【0081】
ステップS423では、制御部110は、領域Pに対応する機能を利用する操作(当該機能操作)が行われたとして、当該機能を提供するデバイスに当該機能を提供するように指示する。当該デバイスは、制御部110による指示に応じて当該機能を提供する。
【0082】
ステップS424では、制御部110は、記憶座標を破棄し、処理を終了する。
【0083】
図5は、タッチパネル211の感圧センサに係る振動制御処理の一例を示す図である。ステップS501は、感圧センサからの信号を制御部110が受信したことを契機に実行される。
【0084】
ステップS501では、制御部110は、感圧センサからの信号に基づいて、押圧があると判定した場合、ステップS502に処理を移し、押圧がないと判定した場合、処理を終了する。
【0085】
ステップS502では、制御部110は、感圧センサからの信号に基づいて、押圧の値が閾値以上であると判定した場合、ステップS503に処理を移し、押圧の力が閾値未満であると判定した場合、処理を終了する。
【0086】
ステップS503では、制御部110は、領域PフラグがONである場合、ステップS504に処理を移し、領域PフラグがONでない場合、処理を終了する。
【0087】
ステップS504では、制御部110は、振動Aを1回出力するように、固定部230に指示し、処理を終了する。固定部230は、制御部110による指示に応じて振動Aを出力する。なお、ステップS504において出力される振動は、振動Aに限らない。例えば、振動Aとも振動Bとも異なる振動Cが出力されてもよい。
【0088】
以上のように、図4および図5では、振動を出力する振動部として、入出力部140を振動可能な固定部230である場合を例に挙げて説明した。上記構成によれば、タッチ操作を受け付ける入出力部140が振動するので、例えば、ユーザは、振動を指で直接感じることができ、聴覚を介して伝達される振動である音と比べて、より確実にタッチ操作を認識することができる。
【0089】
しかしながら、振動部は、固定部230に限らない。例えば、固定部230に代えて、音処理部150を採用してもよい。上記構成によれば、音処理部150より音が出力されるので、例えば、入出力部140を振動させる必要がなく、入出力部140の振動による車載装置100への影響を低減することができる。
【0090】
ここで、タッチパネル211をタッチ操作して温度調整する際、何も手掛かりがない場合、ユーザは、操作画面700を凝視しないと、アイコンの配置が分からないため、温度を調整するためのタッチ操作が難しい問題がある。
【0091】
この点、図9に示すように、操作画面700の領域Sにおいて、入出力部140は、つまみ操作に加えて、領域Sを横切るタッチ操作900(以下「通過操作」と記す)を検出する。制御部110は、つまみ操作が検出された場合、絶対値で温度調整し、通過操作が検出された場合、相対値で温度調整する。
【0092】
例えば、ステップS416およびステップS418で説明したように、領域Sを直接タッチしてつまみ操作した場合、制御部110は、絶対値で温度調整することができる。この場合、ユーザは、HIまたはLOの上下限まで、つまみ操作が可能である。また、例えば、制御部110は、操作画面700の外枠から操作画面700内への通過操作が検出された場合、通過操作のY軸方向の傾きを算出し、算出した結果に基づいて、入出力部140を振動させると共に、温度調整する。ここで、つまみ701が設けられている領域Sは、操作画面700の縁より所定の距離(例えば、1~2mm)内側に配置されている。上記構成によれば、領域Sが操作画面700の縁に沿って設けられる場合であっても、タッチ操作が領域Sの外で開始されたか否かを検出できるので、当該タッチ操作が当該領域Sを通過したか否かを判定できるようになる。
【0093】
より具体的には、所定の時間内に、操作画面700の外枠からタッチ操作して領域Sを横切った場合、または、操作画面700内からタッチ操作して領域Sを横切って操作画面700外に達した場合、制御部110は、相対値としてY軸方向の変化量に応じた温度調整(例えば、1~3℃)をする。例えば、制御部110は、下記の手法(B1)または(B2)により温度調整する。
【0094】
(B1)制御部110は、ユーザの指によるタッチを検出した地点(例えば、始点901)から、タッチが離れた地点(例えば、終点902)を仮想線で結び、仮想線のY軸方向の傾き(角度Y)を算出し、算出した結果と、予め記憶している調整テーブル310とに基づいて、温度調整する。
【0095】
(B2)制御部110は、上記(B1)において、仮想線のY軸方向の傾きではなく、Y軸方向の移動量(始点901と終点902とのY座標の差Z)を算出し、算出した結果と、予め記憶している調整テーブル310とに基づいて、温度調整する。
【0096】
なお、上記(B1)および(B2)では、領域Sの内外の座標情報を用いてY軸方向の変化量を算出したが、本実施形態は、これに限られない。例えば、図10に示すように、ユーザの指がタッチ操作で領域Sを横切った場合、領域Bの長辺で検知された座標2点(通過開始点1001および通過終了点1002)を用いて、仮想線のY軸方向の傾き、Y軸方向の移動量を算出してもよい。
【0097】
次に、通過操作に基づいて温度調整する処理(温度調整処理)の一例について図6を用いて説明する。図6では、上記(B1)手法を採用する場合を例に挙げて説明する。
【0098】
図6は、タッチパネル211のタッチセンサに係る温度調整処理の一例を示す図である。ステップS601は、所定の周期において、イベントが検出された場合に実行される。
【0099】
ステップS601では、制御部110は、発生したイベントがタッチ操作におけるタッチである場合、ステップS602に処理を移し、発生したイベントがタッチ操作におけるスライドである場合、ステップS603に処理を移し、発生したイベントがタッチ操作のリリースである場合、ステップS605に処理を移す。
【0100】
ステップS602では、制御部110は、取得座標を記憶部120に記憶し、車載装置100が備える図示しない内部のタイマーのカウントを開始し、処理を終了する。
【0101】
ステップS603では、制御部110は、記憶座標と、取得座標と、カウント中のタイマーとから、所定の時間内に、タッチ操作が領域Sを通過したと判定した場合、ステップS604に処理を移し、タッチ操作が領域Sを通過していないと判定した場合、処理を終了する。
【0102】
ここで、図9に示すように、領域Sが操作画面700の縁に沿って設けられている場合、操作画面700の外に向かってタッチ操作されたときにタッチ操作が途中で検出できなくなることがある。つまり、操作画面700内に向かってタッチ操作されたときの終点が、操作画面700の外に向かってタッチ操作されたときの終点より正確に検出できることがあるので、例えば、制御部110は、タッチ操作が所定の時間内に領域Sの外側の辺910(境界線の一例)から領域Sの内側の辺920(境界線の一例)を通過したか否かを判定するようにしてもよい。上記構成によれば、よりユーザの意向を反映した調整量を決定することができる。
【0103】
ステップS604では、制御部110は、タッチ操作が領域Sを通過したことを示すフラグ(以下「通過フラグ」と記す)をONにし、処理を終了する。
【0104】
ステップS605では、制御部110は、通過フラグがONである場合、ステップS606に処理を移し、通過フラグがONでない場合、処理を終了する。
【0105】
ステップS606では、制御部110は、角度Yを計算する。例えば、制御部110は、タッチ操作が検出された地点(始点)と、タッチ操作が検出されなくなった地点(終点)とから、上下方向(スライド方向)の角度Y(変化量)を算出する。上記構成では、タッチ操作の大量の座標(例えば、軌跡)を用いて計算する必要がなく、タッチ操作の始点および終点の2点を取得することで、角度Yを算出することができる。
【0106】
ステップS607では、制御部110は、計算した角度Yと、調整テーブル310とに基づいて、調整する温度の調整量を決定し、決定した調整量に応じて、ステップS608~ステップS614の何れかの処理を行う。
【0107】
ステップS608では、制御部110は、温度を1℃上げるように空調装置に指示する。ステップS609では、温度を2℃上げるように空調装置に指示する。制御部110は、ステップS610では、温度を3℃上げるように空調装置に指示する。制御部110は、ステップS611では、制御部110は、空調装置に対して指示しない。ステップS612では、制御部110は、温度を1℃下げるように空調装置に指示する。ステップS613では、制御部110は、温度を2℃下げるように空調装置に指示する。ステップS614では、制御部110は、温度を3℃下げるように空調装置に指示する。空調装置は、制御部110による指示に応じて温度の設定値を変更する。
【0108】
ステップS615では、制御部110は、記憶座標を破棄し、タイマーをリセットする。
【0109】
ステップS616では、制御部110は、通過フラグをOFFにし、処理を終了する。
【0110】
このように、制御部110は、領域Sに対応して操作画面700に設けられている、空調装置の設定値を調整するためのつまみ701(調整部の一例)を、スライド方向(所定の方向)に移動させるユーザのタッチ操作に基づいて、つまみ701の位置に応じた設定値を設定するように空調装置に指示する。また、記憶部120は、ユーザによるタッチ操作におけるスライド方向の変化量と、空調装置の設定値を調整するための調整量とが対応付けられた調整情報121を記憶している。そして、制御部110は、ユーザのタッチ操作が所定の時間内に領域Sを通過したか否かを判定し、タッチ操作が所定の時間内に領域Sを通過したと判定した場合、タッチ操作におけるスライド方向の変化量を算出する。また、制御部110は、調整情報121に基づいて、算出した変化量に対応する調整量を決定し、決定した調整量に応じて設定値を設定するように空調装置に指示する。上記構成によれば、ユーザが操作画面700を見ることができずに、つまみ701をスライドできない場合でも、ユーザは、領域Sを通過するようにタッチ操作することで、空調装置の温度の設定が意図する設定に近づくように空調装置の温度の設定値を調整することができる。
【0111】
付言するならば、調整可能な設定値は、車載装置100が搭載される車両に設けられている空調装置の温度の設定値、当該空調装置の風量の設定値、車載装置100に内蔵の音響装置の音量の設定値、および、当該車両に設けられている音響装置の音量の設定値のうちの少なくとも1つである。上記構成によれば、ユーザは、操作画面700を凝視することなく、温度調整、風量調整、または、音量調整することができる。
【0112】
なお、本実施形態は、上記構成に限らない。例えば、操作画面700外から領域Sに入った時点から指を離すまで操作可能とし、調整した温度は、振動Aを用いてユーザに知らせるようにしてもよい。この場合、Y軸方向の変化量が小さく、1℃調整したときは、振動Aを1回出力し、Y軸方向の変化量が大きく、3℃調整したときは、1℃調整するごとに振動Aを1回(合計3回)出力するようにしてもよい。上記構成によれば、ユーザは、操作画面700を見なくても領域Bにおけるスライドを振動Aにてユーザの指で検知できるため、温度を調整するタッチ操作が可能となる。
【0113】
本実施形態によれば、タッチパネル211におけるタッチ操作のユーザビリティを向上できる。
【0114】
(II)付記
上述の実施形態には、例えば、以下のような内容が含まれる。
【0115】
上述の実施形態においては、本発明を車載装置に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々のシステム、装置、方法、プログラムに広く適用することができる。
【0116】
また、上述の実施形態において、プログラムの一部またはすべては、プログラムソースから、車載装置を実現するコンピュータのような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、ネットワークで接続されたプログラム配布サーバまたはコンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。また、上述の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0117】
また、上述の実施形態において、各テーブルの構成は一例であり、1つのテーブルは、2以上のテーブルに分割されてもよいし、2以上のテーブルの全部または一部が1つのテーブルであってもよい。
【0118】
また、上述の実施形態において、図示および説明した画面は、一例であり、受け付ける情報が同じであるならば、どのようなデザインであってもよい。
【0119】
また、上述の実施形態において、図示および説明した画面は、一例であり、提示する情報が同じであるならば、どのようなデザインであってもよい。
【0120】
また、上記の説明において、各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0121】
また上述した構成については、本発明の要旨を超えない範囲において、適宜に、変更したり、組み替えたり、組み合わせたり、省略したりしてもよい。
【0122】
「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」という形式におけるリストに含まれる項目は、(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)または(A、B、およびC)を意味することができると理解されたい。同様に、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」の形式においてリストされた項目は、(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)または(A、B、およびC)を意味することができる。
【符号の説明】
【0123】
100……車載装置、110……制御部。
図1
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図10