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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】飲料供給装置
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/07 20060101AFI20241204BHJP
   C02F 1/32 20230101ALI20241204BHJP
【FI】
B67D1/07
C02F1/32
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021082908
(22)【出願日】2021-05-17
(65)【公開番号】P2022176460
(43)【公開日】2022-11-30
【審査請求日】2024-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】松田 純司
(72)【発明者】
【氏名】田中 英明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】新野 和久
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-064771(JP,A)
【文献】特開2016-151977(JP,A)
【文献】特開昭60-063050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/07
C02F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出口を備え炭酸水が循環する循環流路と、
前記循環流路内に設けられる炭酸水殺菌装置と、
を備え、
前記炭酸水殺菌装置は、
軸方向に相対する両端の一方側に設けられる炭酸水の流入口と、他方側に設けられる前記炭酸水の流出口とを備える長尺の主管部と、
前記主管部の側壁に連結され、前記主管部の内側と連通する連通管部と、
前記主管部の内側に臨むよう前記連通管部に収容され、前記主管部を流通する前記炭酸水に紫外線を照射する光源部と、
前記光源部を支持する枠体と、
紫外線透過能を有し、前記光源部と前記主管部とを隔てるキャップ部と、を備え
前記光源部は、紫外光を照射可能な半導体発光素子と、前記半導体発光素子を実装する基板と、前記基板を装着し前記半導体発光素子から前記基板を介して伝わる熱を放熱するヒートシンクとを有し、
前記キャップ部は、紫外性透過能を有する素材で構成され、前記半導体発光素子に対向する先端壁と、前記先端壁の周縁に連なり垂直に延出するとともに前記連通管部の内壁と前記ヒートシンクの間に位置する側周壁とを有し、
前記先端壁は、前記連通管部と連結する前記側壁に沿って配置されるか、又は前記側壁より前記主管部の内側に配置され、
前記先端壁の形状は、前記側壁と平行な平面壁もしくは前記主管部の内側に突出する曲面壁であり、
前記主管部内に流通する炭酸水は、軸方向に相対する前記流入口から前記流出口に渡り略直線的に流れて、前記流出口から前記主管部外に流出し、
前記吐出口は、前記流出口より下流側に設けられてい
ことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項2】
前記枠体は、前記半導体発光素子が前記先端壁の内面に向けて光を出射するように前記ヒートシンクを固定する一端部と、前記連通管部と結合する他端部とを備え、
前記光源部は、前記連通管部の内部に収容され、前記枠体を介して前記連通管部と熱的に接触して着脱可能に装着されている
ことを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項3】
前記主管部は、
前記連通管部との連通領域を含む第1管部と、
前記第1管部の前記流入口側の端部に連なる第2管部と、
を備え、
前記第2管部は、流入口側から前記第1管部に近づくに従い拡径する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の飲料供給装置。
【請求項4】
前記第2管部の垂直断面視において、前記光源部側に配置される一方側の側壁領域は、前記主管部の軸方向に沿って延在すると共に、前記一方側の側壁領域に対向する他方側の側壁領域は、流入口側から前記第1管部に近づくに従い、前記一方側の側壁領域との距離が広がるよう傾斜する
ことを特徴とする請求項3に記載の飲料供給装置。
【請求項5】
前記主管部、前記連通管部および前記枠体の素材は、金属であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに1項に記載の飲料供給装置。
【請求項6】
前記キャップ部は、石英、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)の何れかにより構成される
ことを特徴とする請求項5に記載の飲料供給装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の炭酸水殺菌装置の複数が連結される炭酸水殺菌ユニットを備え、
隣設される2つの炭酸水殺菌装置において、一方側の炭酸水殺菌装置の流入口と、他方側の炭酸水殺菌装置の流出口とが連結される
ことを特徴とする飲料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸水を含んだ飲料を供給する飲料供給装置が提供されている(例えば、下記特許文献1)。このような飲料供給装置には、炭酸水や他の原料(以下、「炭酸水等」と言う場合がある。)を流通させる流路が設けられており、前記流路のメンテナンスが行われている。特に、循環流路によって炭酸水等を循環させる飲料供給装置の場合、人体に有害な微生物(例えば、大腸菌やレジオネラ菌)はもとより、流路内のぬめりの原因とされる微生物(例えば、従属栄養細菌)が増殖する可能性が高まる。そのため、循環流路を備えた飲料提供装置に関して、メンテナンスの必要性がより高まる。
【0003】
ところで、流水(流体)流通用の内部空間を有する流路管と、前記内部空間に紫外線を照射する光源を備える流水殺菌モジュールが、特許文献2に開示されている。このような流水殺菌モジュールを飲料供給装置に組み込めば、流路に流通する流体(炭酸水等)自体を殺菌することができるため、メンテナンスの負担を軽減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6727808号公報
【文献】特開2019-18198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この流水殺菌モジュールの流水は、流路管の側方に設けられる第一流入出部から流路管の内部に流入し、流路管の上方に設けられる第二流入出部から流路管の外部に流出する。すなわち、流水殺菌モジュール内の流水は、流路管内で略直角に曲がる。そのため、流水に渦や乱流が生じて、流体にかかる圧力が低下する(圧力損失が起こる)。ここで、炭酸ガスの溶解度は、水にかかる圧力が低い程低下することから、流水が炭酸水の場合、圧力損失によって炭酸水から炭酸ガスが抜ける可能性が高まる。
【0006】
更に、特許文献2に開示の流水殺菌モジュールにおける光源は、流路管の下方に設けられると共に、第二流入出部側に向けて突出する。また、光源の側方は、第一流入出部と対向する。そのため、第一流入出部から流路管に導入された炭酸水と光源とが衝突し、それにより生じた気泡(炭酸ガス)が、光源と第二流入出部との間に介在し得る。この場合、炭酸水に照射される光源からの紫外光が気泡に遮られる結果、炭酸水への殺菌効率が低下する。
【0007】
前記課題に鑑み、本発明は、循環流路に炭酸水を流通させても、炭酸水から炭酸ガスが抜ける事態を抑制し、且つ、炭酸水に対しての殺菌能を損なわない飲料供給装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を解決するため、本発明に係る飲料供給装置は、
吐出口を備え炭酸水が循環する循環流路と、
前記循環流路内に設けられる炭酸水殺菌装置と、
を備え、
前記炭酸水殺菌装置は、
軸方向に相対する両端の一方側に設けられる炭酸水の流入口と、他方側に設けられる前記炭酸水の流出口とを備える長尺の主管部と、
前記主管部の側壁に連結され、前記主管部の内側と連通する連通管部と、
前記主管部の内側に臨むよう前記連通管部に収容され、前記主管部を流通する前記炭酸水に紫外線を照射する光源部と、
前記光源部を支持する枠体と、
紫外線透過能を有し、前記光源部と前記主管部とを隔てるキャップ部と、を備え
前記光源部は、紫外光を照射可能な半導体発光素子と、前記半導体発光素子を実装する基板と、前記基板を装着し前記半導体発光素子から前記基板を介して伝わる熱を放熱するヒートシンクとを有し、
前記キャップ部は、紫外性透過能を有する素材で構成され、前記半導体発光素子に対向する先端壁と、前記先端壁の周縁に連なり垂直に延出するとともに前記連通管部の内壁と前記ヒートシンクの間に位置する側周壁とを有し、
前記先端壁は、前記連通管部と連結する前記側壁に沿って配置されるか、又は前記側壁より前記主管部の内側に配置され、
前記先端壁の形状は、前記側壁と平行な平面壁もしくは前記主管部の内側に突出する曲面壁であり、
前記主管部内に流通する炭酸水は、軸方向に相対する前記流入口から前記流出口に渡り略直線的に流れて、前記流出口から前記主管部外に流出し、
前記吐出口は、前記流出口より下流側に設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明のこの態様によれば、主管部の軸方向に相対する両端の一方側に炭酸水の流入口が設けられると共に、他方側に前記炭酸水の流出口が設けられるため、主管部の両端に渡る炭酸水の進行方向を大きく変化させずに主管部内に炭酸水を流通させることができる。これにより、主管部内を流通する炭酸水の圧力損失や気泡の生成を大きく低減できる。その結果、炭酸水から炭酸ガスが抜ける事態を抑制し、且つ、炭酸水に対しての殺菌能が損なわれない。
また、連通管部内の光源部と主管部とを隔てるキャップ部の先端壁(光源部に対向する壁部)は、連通管部と連結する主管部の側壁に沿って配置されるか又は側壁より主管部の内側に配置される。そのため、光源部と主管部との境界部(前記の先端壁)に、主管部内を流通する炭酸水や気泡が流れ込む凹状空間が形成されない。これにより、光源部と主管部との境界部に滞留層や気泡が生成されにくい。
【0012】
更に、本発明に係る飲料供給装置において、
前記主管部は、
前記連通管部との連通領域を含む第1管部と、
前記第1管部の前記流入口側の端部に連なる第2管部と、
を備え、
前記第2管部は、流入口側から前記第1管部に近づくに従い拡径する
ことが好ましい。
【0013】
本発明のこの態様において、第2管部は、流入口側から第1管部に近づくに従い拡径する。このように第2管部を拡径させることで、第2管部を通過する炭酸水の流速を第1管部に近づくに従い遅くすることができる。ここで、第1管部は、光源部を収容する連通管部に連結する。そのため、本発明のこの態様によれば、光源部近傍を流れる炭酸水の流速を遅くすることができ、炭酸水への紫外光照射量を増やすことができる。その結果、炭酸水の殺菌効率を高めることができる。
【0014】
更に、本発明に係る飲料供給装置は、
前記第2管部の垂直断面視において、前記光源部側に配置される一方側の側壁領域は、前記主管部の軸方向に沿って延在すると共に、前記一方側の側壁領域に対向する他方側の側壁領域は、流入口側から前記第1管部に近づくに従い、前記一方側の側壁領域との距離が広がるよう傾斜する
ことが好ましい。
【0015】
本発明のこの態様によれば、第2管部を通過し第1管部に至る炭酸水の流速を、一方側の側壁領域(光源部側に配置される側壁領域)に近い程速く、他方側の側壁領域(一方側の側壁領域に対向する側壁領域)に近い程遅くすることができる。このとき、光源部から照射される紫外光の強度は、一方側の側壁領域に近づく程強く、他方側の側壁領域に近づく程弱い。従って、本発明のこの態様によれば、主管部内を流通する炭酸水に対して、流速の早い領域に高強度の紫外光を照射できる一方、流速の遅い領域に低強度の紫外光を照射できる。これにより、光源部からの距離によらず十分な紫外光を炭酸水に照射することができる。その結果、炭酸水の殺菌効率を高めることができる。
【0016】
また、本発明に係る飲料供給装置は、
前記炭酸水殺菌装置が複数連結される炭酸水殺菌ユニットを備え、
隣設される2つの炭酸水殺菌装置において、一方側の炭酸水殺菌装置の流入口と、他方側の炭酸水殺菌装置の流出口とが連結される
ことを特徴とする。
【0017】
本発明のこの態様によれば、隣設される2つの炭酸水殺菌装置において、一方側の炭酸水殺菌装置の流入口と、他方側の炭酸水殺菌装置の流出口とが連結されるよう、複数の炭酸水殺菌装置を連ねることができるため、十分な紫外光を炭酸水に照射することができる。その結果、炭酸水の殺菌効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、循環流路に炭酸水を流通させても、炭酸水から炭酸ガスが抜ける事態を抑制し、且つ、炭酸水に対しての殺菌能を損なわない飲料供給装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る飲料供給装置の構成概略図。
図2】第1実施形態に係る炭酸水殺菌装置の平面図(図2(a))、側面図(図2(b))、垂直断面図(図2(c))。
図3】第1実施形態に係る炭酸水殺菌装置の主管部に連通する連通管部と、連通管部に収容される光源部を示す垂直断面図。
図4】第2実施形態に係る炭酸水殺菌装置の垂直断面図。
図5】第3実施形態に係る炭酸水殺菌装置の垂直断面図。
図6】炭酸水殺菌ユニットの垂直断面図。
図7】他の炭酸水殺菌ユニットの垂直断面図。
図8】更に他の炭酸水殺菌ユニットの垂直断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
<飲料供給装置>
初めに、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る飲料供給装置を詳細に説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る飲料供給装置1の構成概略図である。図1に示される飲料供給装置1は、ドリンクサーバや自動販売機として利用可能であると共に、炭酸水が循環する循環流路2、循環流路2内に設けられる炭酸水殺菌装置3を備える。
【0021】
また、飲料供給装置1は、カーボネーションタンク4を備える。カーボネーションタンク4には、原水(例えば、水道の上水から供給される水)を流通させる原水流通管5の一端5aが臨む。原水流通管5を通じてカーボネーションタンク4に供給された原水に炭酸ガスを加えることで、炭酸水が生成される。なお、図1に示されるように、カーボネーションタンク4は、保冷層4h内に収容されることが好ましい。
【0022】
更に、循環流路2の一端2aは、カーボネーションタンク4に臨む。循環流路2に設けられるポンプ装置6が駆動することで、カーボネーションタンク4から循環流路2に炭酸水が供給される。循環流路2に供給された炭酸水は、炭酸水殺菌装置3を通過する。その際、炭酸水に紫外光が照射され、炭酸水が殺菌される。続いて、炭酸水殺菌装置3を通過した炭酸水は、循環流路2を通じてポンプ装置6の上流側に戻る。
【0023】
一方、循環流路2に流れる炭酸水の吐出口2eは、炭酸水殺菌装置3の流出口(後述する主管部の流出口)より下流側に設けられる。吐出口2eが開いている場合、炭酸水殺菌装置3側から流通する炭酸水が、吐出口2eを通じて循環流路2外に吐出される。なお、飲料供給装置1は、他の原料(例えば、シロップや果汁液等)の貯留タンクや流路を備えていてもよい。
【0024】
<炭酸水殺菌装置>
次に、図2及び図3を参照して、本発明の第1実施形態における炭酸水殺菌装置3を説明する。ここで、図2(a)は、炭酸水殺菌装置3の平面図、図2(b)は、側面図、図2(c)は、垂直断面図(図2(b)のA-A断面図)である。また、図3は、炭酸水殺菌装置3の主管部10に連通する連通管部20と、連通管部20に収容される光源部30を示す垂直断面図である。
【0025】
図2(例えば、図2(c))に示されるように、本実施形態の炭酸水殺菌装置3は、炭酸水が流通する主管部10、主管部10の側壁10S(図2(c)における側壁10S1)と連結して主管部10の内側と連通する連通管部20、連通管部20に収容される光源部30、光源部30と主管部10とを隔てるキャップ部40を備える。
【0026】
本実施形態における主管部10は、長尺の円筒体である。ただし、主管部10の形態は、これに限られるものではなく、例えば、長尺の角筒体等であってもよい。また、本実施形態における主管部10は、ステンレス製であるが、これに限られない。主管部10の素材として、ステンレス以外の金属であってもよいし、テトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂であってもよい。なお、後述のように、本実施形態における主管部10は、金属製の連通管部20、枠体50を介して光源部30と熱的に接触する。そのため、主管部10を金属製とすることで、光源部30からの伝熱を主管部10外に効率的に放熱することができ、光源部30を効果的に冷却できる。
【0027】
この主管部10の軸方向(長軸方向)に相対する両端の一方側に流入口11が設けられる。また、前記両端の他方側に流出口12が設けられる。殺菌対象の炭酸水は、流入口11から主管部10内に流入し、主管部10内を流通した後、流出口12から主管部10外に流出する。光源部30は、主管部10の内側(すなわち、主管部10内を流通する炭酸水)に臨むよう、図2(c)の上方側から連通管部20に収容されており、光源部30からの紫外光が炭酸水に照射される。これにより、炭酸水は殺菌される。
【0028】
図2に示されるように、主管部10内に流通する炭酸水は、軸方向に相対する流入口11から流出口12に渡り略直線的に流れる。すなわち、主管部10内に流通する炭酸水は、進行方向を大きく変化させずに流れる。そのため、主管部10内における炭酸水の圧力損失を抑制でき、主管部10を流れる過程で炭酸水から炭酸ガスが抜ける事態を有効に防ぐことができる。
【0029】
次に、本実施形態における連通管部20は、主管部10の側壁10S1に設けられた貫通孔13の周縁から、主管部10の径方向外側に延出する筒体である。また、主管部10の内部と連通管部20の内部とは、貫通孔13を介して連通する。
【0030】
連通管部20は、ステンレス、アルミニウム等の金属製であってもよいし、PTFE等の樹脂製であってもよい。ただし、後述のように、連通管部20は、光源部30と熱的に接触する部材であるため、光源部30からの伝熱を主管部10に効率的に放熱可能な金属製であることが好ましい。
【0031】
光源部は、連通管部20の内部に収容される。また、光源部30は、キャップ部40によって被覆される。これにより、主管部10と光源部30とが隔てられる結果、主管部10内を流通する炭酸水が連通管部20内に侵入し、光源部30と接触する事態を避けることができる。以下、連通管部20、光源部30、キャップ部40の詳細に関し、図3を参照して説明する。
【0032】
図3に示されるように、光源部30は、紫外光を照射可能な発光素子31、発光素子31を実装する基板32、基板32を装着し、発光素子31から基板32を介して伝わる熱を放熱するヒートシンク33を備える。発光素子31は、基板32における主管部10との対向面に実装され、主管部10内を流通する炭酸水に臨む。また、発光素子31は、基板32を介して給電ケーブル34と電気的に接続される。
【0033】
発光素子31の種類は、特に限定されるものではないが、例えば、LED(Light emitting diode)、レーザーダイオードなどの半導体発光素子が挙げられる。また、図2に示される光源部30において、基板32に実装される発光素子31の数は1つであるが、2つ以上であってもよい。
【0034】
本実施形態における光源部30は、略筒状の枠体50に支持される。光源部30を支持する枠体50は、着脱可能に連通管部20に装着される。より詳しくは、枠体50の中央に形成された中空域に光源部30が差し込まれると、ヒートシンク33のフランジ面35が、枠体50の上面52に重畳する。その後、フランジ面35は、枠体50の上面52に螺子留めされる。なお、図3に示されるように、螺子留めされたフランジ面35は、金属製の蓋体36により被覆されてもよい。
【0035】
また、枠体50の下端に雄螺子溝53が形成されると共に、連通管部20の外面上端に雄螺子溝53と螺合する雌螺子溝21が形成されている。枠体50の下端と連通管部20の上端との接触後、枠体50が回転されることで、雄螺子溝53と雌螺子溝21とが噛み合う。その結果、枠体50が連通管部20に螺着される。これにより、光源部30は、連通管部20の内部に収まる。
【0036】
このように、光源部30は、枠体50を介して、連通管部20内に着脱可能に設けられるため、既設の光源部30を別の新たな光源部30に交換する作業を容易に行うことができる。また、本実施形態における光源部30の交換作業は、直管状の主管部10から外方に向けて延在する連通管部20に対して、光源部30を取り付けた枠体50を装着する作業である。そのため、枠体50を連通管部20に装着する際、作業者の手と干渉する部位がないことから、光源部30の交換をストレスなく行うことができると共に、交換作業を迅速に行うことができる。
【0037】
更に、図3に示されるように、枠体50の上端に三角溝54が形成される。この三角溝54内に、光源部30と枠体50の接合部位をシールするOリング55が嵌め込まれる。同様に、連通管部20の内面上端に三角溝22が形成される。この三角溝22内に、連通管部20とキャップ部40との接合部位及び連通管部20と枠体50との接合部位をシールするOリング23が嵌め込まれる。
【0038】
枠体50の素材は、特に限定されないが、光源部30のヒートシンク33から伝熱された熱を連通管部20に効率的に放熱させるため、金属製であることが好ましい。このように、枠体50と共に、主管部10、連通管部20を金属製とすることで、ヒートシンク33からの熱を主管部10内に流通する炭酸水に効率的に伝えることができる。その結果、光源部30を効果的に冷却できる。
【0039】
次に、キャップ部40は、石英、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)等の紫外線透過能を有する素材で構成されると共に、光源部30を被覆するよう連通管部20内側の中空域に嵌め込まれる部材である。本実施形態におけるキャップ部40は、一端開口の円筒体である。また、キャップ部40は、光源部30の発光素子31に対向する先端壁41、先端壁41の周縁に連なり略垂直に延出する側周壁42を備える。更に、本実施形態における先端壁41は、主管部10の側壁10S1と略平行な平面壁である。ただし、先端壁41の形態は、これに限られない。先端壁41の他の形態として、半球や半楕円球のような主管部10の内側に突出する曲面壁であってもよい。
【0040】
ここで、キャップ部40の先端壁41は、側壁10S1より主管部10の内側に配置される。例えば、図2(c)に示される態様の場合、キャップ部40の先端壁41は、側壁10S1から距離Lだけ主管部10の内側に配置される。キャップ部40の先端壁41と側壁10S1とをこのような位置関係とすることで、光源部30と主管部10との境界部(先端壁41)に、主管部内10を流通する炭酸水や気泡が流れ込む凹状空間が形成されない。
【0041】
これにより、光源部30と主管部10との境界部に滞留層や気泡が生成されにくい構造とすることができる。その結果、主管部10内で炭酸水を円滑に流通させることができ、炭酸水から炭酸ガスが抜ける事態を防ぐことができる。更に、光源部30から炭酸水に照射される紫外光が気泡によって遮られない結果、炭酸水の殺菌効率が低減される事態を有効に防ぐことができる。
【0042】
ただし、先端壁41と側壁10S1との位置関係は、前記に限られない。例えば、先端壁41は、側壁10S1に沿って配置されてもよい(前記した先端壁41と側壁10S1との距離Lが、L=0の場合)。すなわち、先端壁41と側壁10S1とが略同一の高さ位置に配置されてもよい。先端壁41と側壁10S1とをこのような位置関係としても、光源部30と主管部10との境界部(先端壁41)に凹状空間が形成されない。その結果、境界部(先端壁41)近傍に滞留層が生成される又は気泡が留まるなどの事態を抑制することができる。
【0043】
[第2実施形態]
次に、図4を参照して、本発明に係る飲料供給装置(炭酸水殺菌装置)の第2実施形態を説明する。ここで、図4は、第2実施形態に係る炭酸水殺菌装置7の垂直断面図である。なお、前述の第1実施形態から変更のない部分に関して説明を省略する。
【0044】
第2実施形態において、前述の第1実施形態と異なる部分は、主管部60の形態である。第1実施形態における主管部10は、流入口11から流出口12に渡りほぼ同径で傾斜部分のない直管状の筒体である。これに対して、第2実施形態における主管部60は、図4に示されるように、主管部60の軸方向の中央に位置する直管状の第1管部61と、第1管部61より流入口11側に配置され、第1管部61に近づくに従い拡径する円錐台状の第2管部62と、第1管部61より流出口12側に配置され、第1管部61から遠ざかるに従い縮径する第3管部63を備える。
【0045】
ここで、第1管部61は、連通管部20と連結する。第1管部61と連通管部20とが連結することで、双方の内部は連通する。また、第2管部62は、第1管部61の一端部61a(流入口11側の端部)に連なる。更に、第3管部63は、第1管部61の他端部61b(流出口12側の端部)に連なる。
【0046】
この第2実施形態によれば、第2管部62の径が第1管部61に近づくに従い拡径するため、流入口11から主管部60に流入した炭酸水の流速を第1管部61に近づくに従い遅くすることができる。これにより、第1管部の内部に臨む光源部30近傍の炭酸水の流速を遅くすることができるため、より多くの紫外光を炭酸水に照射することができる。その結果、炭酸水の殺菌効率を高めることができる。
【0047】
また、図4に示されるように、第2管部62は、流入口11側の一端部62aから第1管部61側の他端部62bに掛けてスロープ状に緩やかに拡径する。そのため、進行方向を大きく変化させることなく第2管部62内に炭酸水を流通させることができる。その結果、第2管部62を流れる炭酸水の圧力損失が抑制され、炭酸水から炭酸ガスが抜ける事態を防ぐことができる。
【0048】
これに対して、第3管部63は、第1管部61から流出口12に近づくに従い縮径する円錐台状の筒体である。図4に示されるように、第3管部63は、第1管部61側の一端部63aから流出口12側の他端部63bに掛けてスロープ状に緩やかに縮径する。そのため、進行方向を大きく変化させることなく第3管部63内に炭酸水を流通させることができる。その結果、第3管部63に流れる炭酸水の圧力損失が抑制され、炭酸水から炭酸ガスが抜ける事態を防ぐことができる。
【0049】
[第3実施形態]
次に、図5を参照して、本発明に係る飲料供給装置(炭酸水殺菌装置)の第3実施形態を説明する。ここで、図5は、第3実施形態に係る炭酸水殺菌装置8の垂直断面図である。なお、前述の前記実施形態から変更のない部分に関して説明を省略する。
【0050】
第3実施形態において、前述の第2実施形態と異なる部分は、主管部70の第2管部72と第3管部73の形態である。まず、前述の通り、第2実施形態における第2管部62及び第3管部63は、円錐台状の筒体である。これに対して、第3実施形態の第2管部72及び第3管部73は、円錐台をその上面から底面に掛けて縦に切断した半割部分に相当する半円錐台状の筒体である。
【0051】
より詳しくは、第2管部72において、半円錐台の上面に相当する第2管部72の一端部72aが流入口11側に配置されると共に、半円錐台の底面に相当する第2管部72の他端部72bが第1管部71の一端部71a(流入口11側の端部)に連なる。
【0052】
これにより、第2管部72の垂直断面視(図5参照)において、光源部30側(図5の上方側)に配置される一方側の側壁領域72cは、傾斜せず、主管部70の軸方向に沿って延在する。これに対して、第2管部72の垂直断面視(図5参照)において、一方側の側壁領域72cに対向する他方側の側壁領域72dは、第1管部71に近づくに従い、一方側の側壁領域72cとの距離が広がるよう傾斜する。
【0053】
第2管部72がこのような構造を有するため、第2管部72を通過し第1管部71に至る炭酸水の流速を、一方側の側壁領域72cに近づく程速く、他方側の側壁領域72dに近づく程遅くすることができる。このとき、光源部30から照射される紫外光の強度は、一方側の側壁領域72cに近づく程強く、他方側の側壁領域72dに近づく程弱い。従って、第3実施形態によれば、主管部70内を流通する炭酸水に対して、流速の早い領域に高強度の紫外光を照射できる一方、流速の遅い領域に低強度の紫外光を照射できる。これにより、光源部からの距離によらず十分な紫外光を炭酸水に照射することができる。その結果、炭酸水の殺菌効率を高めることができる。
【0054】
また、第2管部72における他方側の側壁領域72dは、流入口11側の一端部72aから第1管部71側の他端部72bに掛けてスロープ状に緩やかに傾斜する。そのため、進行方向を大きく変化させることなく第2管部72内に炭酸水を流通させることができる。その結果、第2管部72を流れる炭酸水の圧力損失が抑制され、炭酸水から炭酸ガスが抜ける事態を防ぐことができる。
【0055】
更に、第3管部73において、半円錐台の上面に相当する第3管部73の一端部73aは、流出口12側に配置されると共に、半円錐台の底面に相当する第3管部73の他端部73bは、第1管部71の他端部71b(流出口12側の端部)に連なる。
【0056】
これにより、第3管部73の垂直断面視(図5参照)において、光源部30側(図5の上方側)に配置される一方側の側壁領域73cは、傾斜せず、主管部70の軸方向に沿って延在する。これに対して、第3管部73の垂直断面視(図5参照)において、一方側の側壁領域73cに対向する他方側の側壁領域73dは、第1管部71から遠ざかるに従い、一方側の側壁領域73cとの距離が狭まるよう傾斜する。
【0057】
このように、第3管部73における他方側の側壁領域73dは、第1管部71側の他端部73bから流出口12側の一端部73aに掛けてスロープ状に緩やかに傾斜する。そのため、進行方向を大きく変化させることなく炭酸水を第3管部73内に流通させることができる。その結果、第3管部73を流れる炭酸水の圧力損失が抑制され、炭酸水から炭酸ガスが抜ける事態を防ぐことができる。
【0058】
<炭酸水殺菌ユニット>
次に、図6から図8を参照して、本発明の飲料供給装置に備わる炭酸水殺菌ユニットを説明する。炭酸水殺菌ユニットは、直列に連結された複数の炭酸水殺菌装置を備える。ここで、図6は、前記第1実施形態に係る複数の炭酸水殺菌装置3により構成される炭酸水殺菌ユニット500の垂直断面図である。また、図7は、前記第2実施形態に係る複数の炭酸水殺菌装置7により構成される炭酸水殺菌ユニット600の垂直断面図である。更に、図8は、前記第3実施形態に係る複数の炭酸水殺菌装置8により構成される炭酸水殺菌ユニット700の垂直断面図である。
【0059】
図6に示されるように、炭酸水殺菌ユニット500は、隣設される2つの炭酸水殺菌装置3における一方側の炭酸水殺菌装置3の流入口11と、他方側の炭酸水殺菌装置3の流出口12とが連結される。このように、複数の炭酸水殺菌装置3を直列に連結することで、主管部10を流通する炭酸水への紫外光照射量を増やすことができる。その結果、炭酸水への殺菌効率を高めることができる。
【0060】
また、炭酸水殺菌ユニット600(700)に関しても同様に、隣設される2つの炭酸水殺菌装置7(8)における一方側の炭酸水殺菌装置7(8)の流入口11と、他方側の炭酸水殺菌装置7(8)の流出口12とが連結される(図7及び図8参照)。炭酸水殺菌ユニット500と同様に、主管部60(70)を流通する炭酸水への紫外光照射量を増やすことができる結果、炭酸水への殺菌効率を高めることができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明した。ただし、前述の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定する趣旨で記載されたものではない。本発明には、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るものを含み得る。また、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1…飲料供給装置
2…循環流路
3,7,8…炭酸水殺菌装置
10,60,70…主管部
11…流入口
12…流出口
61,71…第1管部
62,72…第2管部
63,73…第3管部
20…連通管部
30…光源部
40…キャップ部
41…先端壁
50…枠体
4…カーボネーションタンク
5…原水流通管
6…ポンプ装置
500,600,700… 炭酸水殺菌ユニット

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8