(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】アキュムレータ用ガス供給装置及び成形機
(51)【国際特許分類】
F15B 1/08 20060101AFI20241204BHJP
F15B 1/033 20060101ALI20241204BHJP
B22D 17/20 20060101ALI20241204BHJP
B22D 17/32 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
F15B1/08
F15B1/033
B22D17/20 Z
B22D17/32 B
(21)【出願番号】P 2021085118
(22)【出願日】2021-05-20
【審査請求日】2023-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135828
【氏名又は名称】飯島 康弘
(72)【発明者】
【氏名】辻 眞
(72)【発明者】
【氏名】豊島 俊昭
(72)【発明者】
【氏名】中野 敏彰
(72)【発明者】
【氏名】宇佐見 兵衛
(72)【発明者】
【氏名】野田 三郎
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-116001(JP,A)
【文献】国際公開第2016/208604(WO,A1)
【文献】特開平09-296778(JP,A)
【文献】特開2002-301560(JP,A)
【文献】特開平07-223016(JP,A)
【文献】特公平07-042585(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 1/08
F15B 1/033
B22D 17/20
B22D 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタンクに接続される、又は大気開放される第1ポートと、
アキュムレータに接続される第2ポートと、
前記第1ポート及び前記第2ポートに通じる
第1シリンダ室を有している
シリンダ部材と、
前記
シリンダ部材内
を前記第1シリンダ室側へ移動
することによって前記
第1シリンダ室内のガスを圧縮する
ピストンと、
前記
ピストンに連結されてい
る電動機と、
を有して
おり、
前記ピストンは、空洞を有しており、当該空洞は、前記ピストンが前記第1シリンダ室側へ移動したときに前記シリンダ部材内に位置する第1部分を含み、
前記ピストンが前記第1シリンダ室とは反対側に移動したとき、前記ピストンを駆動するための部材が、前記第1部分内を前記第1シリンダ室側へ相対移動する
アキュムレータ用ガス供給装置。
【請求項2】
前記シリンダ部材は、前記第1ポート及び前記第2ポートに通じるシリンダ室として前記第1シリンダ室のみを有している
請求項
1に記載のアキュムレータ用ガス供給装置。
【請求項3】
前記シリンダ部材は、前記ピストンに対して前記第1シリンダ室とは反対側に、
前記第1ポート及び前記第2ポートに通じる第2シリンダ室を更に有している
請求項
1に記載のアキュムレータ用ガス供給装置。
【請求項4】
前記第1ポートから前記第1シリンダ室への流れを許容するとともに、その反対方向への流れを禁止する上流逆止弁と、
前記第1シリンダ室から前記第2ポートへの流れを許容するとともに、その反対方向への流れを禁止する下流逆止弁と、
を更に有している請求項
2に記載のアキュムレータ用ガス供給装置。
【請求項5】
ガスタンクに接続される、又は大気開放される第1ポートと、
アキュムレータに接続される第2ポートと、
前記第1ポート及び前記第2ポートに通じる、第1シリンダ室及び第2シリンダ室を有しているシリンダ部材と、
前記第1シリンダ室と前記第2シリンダ室とを軸方向に区画しており、前記シリンダ部材内を前記軸方向へ移動することによって前記第1シリンダ室及び前記第2シリンダ室いずれかのガスを圧縮するピストンと、
前記ピストンに連結されている電動機と、
前記第1ポートから前記第1シリンダ室への流れを許容するとともに、その反対方向への流れを禁止する第1上流逆止弁と、
前記第1シリンダ室から前記第2ポートへの流れを許容するとともに、その反対方向への流れを禁止する第1下流逆止弁と、
前記第1ポートから前記第2シリンダ室への流れを許容するとともに、その反対方向への流れを禁止する第2上流逆止弁と、
前記第2シリンダ室から前記第2ポートへの流れを許容するとともに、その反対方向への流れを禁止する第2下流逆止弁と、
を有してい
るアキュムレータ用ガス供給装置。
【請求項6】
ガスタンクに接続される、又は大気開放される第1ポートと、
アキュムレータに接続される第2ポートと、
前記第1ポート及び前記第2ポートに通じる、少なくとも1つの空間を有している収容部材と、
前記収容部材内の移動によって前記少なくとも1つの空間内のガスを圧縮する可動部材と、
前記可動部材に連結されている電動機と、
前記少なくとも1つの空間の全てを避けて前記第1ポートと前記第2ポートとを接続している戻し流路と、
前記戻し流路を開閉する制御弁と、
を有してい
るアキュムレータ用ガス供給装置。
【請求項7】
電動機の駆動力を作動液を介さずにガスに付与することによってアキュムレータに前記ガスを供給するアキュムレータ用ガス供給装置であって、
前記ガスに含まれる所定の成分の濃度を検出する濃度センサ
を有している
アキュムレータ用ガス供給装置。
【請求項8】
該アキュムレータ用ガス供給装置を可搬にするキャスターを更に有している
請求項1~
7のいずれか1項に記載にアキュムレータ用ガス供給装置。
【請求項9】
前記第2ポートにおける前記ガスの圧力を検出する圧力センサと、
前記電動機を制御する制御装置と、
を更に有しており、
前記制御装置は、前記圧力センサの検出値が目標圧力よりも低いときに前記電動機によって前記ガスを圧縮して前記アキュムレータに供給し、前記圧力センサの検出値が前記目標圧力よりも高いときに前記アキュムレータから前記戻し流路を介して前記第1ポートへ前記ガスを放出するように前記電動機及び前記制御弁を制御する
請求項
6に記載のアキュムレータ用ガス供給装置。
【請求項10】
ガスタンクに接続される、又は大気開放される第1ポートと、
アキュムレータに接続される第2ポートと、
前記第1ポート及び前記第2ポートに通じる、少なくとも1つの空間を有している収容部材と、
前記収容部材内の移動によって前記少なくとも1つの空間内のガスを圧縮する可動部材と、
前記可動部材に連結されている電動機と、
前記第1ポートにおける前記ガスの圧力を検出する第1圧力センサと、
前記第2ポートにおける前記ガスの圧力を検出する第2圧力センサと、
前記電動機を制御する制御装置と、
を有しており、
前記制御装置は、前記電動機が停止している状態で、前記第1ポートから前記第2ポートへ前記ガスが流れ、前記第1圧力センサの検出値が低下するとともに前記第2圧力センサの検出値が上昇し、これらの検出値が同等となったときに、前記電動機による前記ガスの圧縮を開始するように前記電動機を制御する
アキュムレータ用ガス供給装置。
【請求項11】
前記濃度センサが検出する前記所定の成分の濃度が所定の閾値以下であるとき、又は前記濃度センサが検出する前記所定の成分の濃度が所定の閾値以上であるとき、
前記アキュムレータへの前記ガスの供給を停止する処理、及び所定の警告を報知する処理の少なくとも一方を実行する制御装置を更に有している
請求項
7に記載のアキュムレータ用ガス供給装置。
【請求項12】
請求項1~
11のいずれか1項に記載のアキュムレータ用ガス供給装置と、
前記アキュムレータと、
前記アキュムレータから作動液が供給されて駆動される駆動部と、
を有している成形機。
【請求項13】
前記駆動部は、型内に向かって成形材料を押し出すプランジャと連結される液圧シリンダである
請求項
12に記載の成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アキュムレータにガスを供給するアキュムレータ用ガス供給装置(以下、単に「供給装置」ということがある。)に関する。また、本開示は、上記のアキュムレータ及び供給装置を有する成形機に関する。ガスは、例えば、窒素ガス(以下、単に「窒素」ということがある。)である。成形機は、例えば、ダイカストマシン、射出成形機又は押出成形機である。
【背景技術】
【0002】
アキュムレータから供給される作動液(例えば油)によって液圧シリンダ等の駆動要素を駆動する成形機が知られている。アキュムレータは、例えば、圧縮されたガスの圧力を利用して作動液を送出する。ガスとしては、通常、不活性ガスのうち安価なものである窒素が用いられる。ガスは、例えば、ガスタンク(ガスボンベ)からアキュムレータに充填される。ガスの充填に伴い、アキュムレータの蓄圧(圧力を上昇させる動作)も行われる。なお、このようなガスの充填については、後に
図4(a)を参照して詳述する。
【0003】
アキュムレータへのガスの充填が完了すると、作動液の供給によって更にガスの圧縮(アキュムレータの昇圧)が行われることがある(例えば下記特許文献1及び2)。これについても、後に
図4(a)を参照して詳述する。また、特許文献3は、アキュムレータに作動液を供給するブースタを開示している。
【0004】
作動液の供給によって昇圧されたアキュムレータは、逆に、作動液をアキュムレータから排出することによってアキュムレータの圧力を下げることができる。すなわち、特許文献1~3は、アキュムレータの圧力の調整に係る技術を開示していると捉えることができる。アキュムレータの圧力は、成形機の温度変化等に起因して変動する。このような変動を低減するように、作動液の供給又は排出が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平02-142665号公報
【文献】特開平03-184664号公報
【文献】特開2009-131868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これまでのガスの充填方法及び/又はアキュムレータの圧力の調整方法は、種々の不都合を生じる。その不都合の少なくとも1つが解消されることが望まれる。すなわち、好適にアキュムレータにガスを充填できる、及び/又はアキュムレータの圧力を調整できる装置が提供されることが望まれる。なお、従来のガスの充填方法及び/又はアキュムレータの圧力の調整方法における具体的な課題については、後に
図4(a)を参照して詳述する。ただし、本開示に係る技術は、後述する具体的な課題を解決できることを必須の要件とするものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るアキュムレータ用ガス供給装置は、電動機の駆動力を作動液を介さずにガスに付与することによってアキュムレータに前記ガスを供給する。
【0008】
本開示の一態様に係る成形機は、上記アキュムレータ用ガス供給装置と、前記アキュムレータと、前記アキュムレータから作動液が供給されて駆動される駆動部と、を有している。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成によれば、ガスの充填及び/又はアキュムレータの圧力の調整を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る供給装置の構成を示す模式図。
【
図2】
図1の供給装置の動作を説明するためのグラフ。
【
図3】
図1の供給装置の制御装置が実行する処理の手順を例示するフローチャート。
【
図4】
図4(a)は比較例に係るガスの供給態様を示す模式図、
図4(b)は変形例に係るガスの供給態様を説明する模式図。
【
図5】第2実施形態に係る供給装置の構成を示す模式図。
【
図6】
図5の供給装置の動作を説明するためのグラフ。
【
図7】
図5の供給装置の制御装置が実行する処理の手順を例示するフローチャート。
【
図8】第3実施形態に係る供給装置の構成を示す模式図。
【
図9】実施形態に係るダイカストマシンの構成を示す側面図。
【
図10】
図9のダイカストマシンの射出装置の構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る複数の実施形態及び変形例について説明する。なお、第1実施形態以外の実施形態又は変形例の説明においては、基本的に、先に説明された実施形態又は変形例との相違点についてのみ述べる。特に言及が無い事項は、先に説明された実施形態又は変形例と同様とされたり、先に説明された実施形態又は変形例から類推されたりしてよい。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る供給装置1の構成を示す模式図である。なお、
図1の上下方向と、実際の上下方向とは、一致していてもよいし、一致していなくてもよい。また、この一致及び不一致は、
図1に示された構成要素同士で共通していてもよいし、共通していなくてもよい。
【0013】
供給装置1は、例えば、成形機101に含まれている。成形機101は、供給装置1の他、例えば、アキュムレータ103と、制御装置105とを有している。供給装置1は、制御装置105からの制御信号に従って、アキュムレータ103にガスを供給する。なお、
図1では、供給装置1と制御装置105とを別個の装置として捉えている。ただし、制御装置105の一部又は全部は、供給装置1の一部として捉えられてもよい。
【0014】
アキュムレータ103は、ガスの圧力によって、成形機101が有する1以上の駆動部(ここでは不図示)へ作動液を供給する。
図1では、アキュムレータ103から駆動部への作動液の流れを制御するバルブユニット107が矩形によって模式的に示されている。
【0015】
なお、アキュムレータ103の作動液が駆動部へ到達せず、及び/又は作動液の流れがほとんど無く、ひいては、アキュムレータ103は液圧(作動液の圧力)を駆動部へ付与するだけの場合がある。本開示の説明では、便宜上、このような場合についても、アキュムレータ103から駆動部へ作動液を供給すると表現することがある。他の部位における作動液の流れ、及びガスの流れについても同様とする。
【0016】
アキュムレータ103に供給されるガスは、適宜な種類のものとされてよく、例えば、不活性ガス又は空気とされてよい。不活性ガスとしては、窒素を挙げることができる。実施形態の説明では、基本的にガスが窒素である態様を例に取る。
【0017】
また、アキュムレータ103が放出する作動液の種類も適宜なものとされてよく、例えば、油とされてよい。なお、作動液として、水等の他の液体を利用することも可能である。
【0018】
以下では、まず、成形機101の概要について説明する。その後、アキュムレータ103、供給装置1及び制御装置105の順に説明する。
【0019】
(成形機)
成形機101は、例えば、ダイカストマシン、射出成形機又は押出成形機である。成形機101の構成は、供給装置1の構成及び動作(制御)を除いて、種々の構成とされてよく、例えば、公知の構成と同様とされても構わない。
【0020】
ダイカストマシンは、例えば、開閉される2以上の型の間に構成された所定の形状のキャビティ内に溶融状態の金属(溶湯)を充填する(射出する)。これにより、凝固した金属からなり、上記所定の形状を有する成形品(ダイカスト品)が作製される。
【0021】
射出成形機は、例えば、開閉される2以上の型の間に構成された所定の形状のキャビティ内に溶融状態の樹脂を充填する(射出する)。これにより、凝固した樹脂からなり、上記所定の形状を有する成形品が作製される。
【0022】
押出成形機は、例えば、型に形成された貫通孔に向かって溶融状態の金属又は樹脂を押し出す。これにより、凝固した金属又は樹脂からなり、貫通孔の横断面(貫通方向に直交する断面)の形状と同じ断面形状で延びている成形品が作製される。
【0023】
(アキュムレータ)
アキュムレータ103は、成形機101が有する液圧要素へ作動液を供給することによって、当該液圧要素を駆動する。液圧要素としては、例えば、液圧シリンダ及び液圧モータが挙げられる。本実施形態の説明では、基本的に液圧シリンダを例に取る。
【0024】
液圧シリンダは、例えば、シリンダ部材と、シリンダ部材の内部に収容されているピストンとを有している。そして、シリンダ部材の内部に作動液が供給されることによって、ピストンとシリンダ部材とが軸方向に相対移動する。これにより、ピストンに連結されている部材と、シリンダ部材に連結されている部材とが相対移動する。なお、この相対移動によって絶対座標系において移動する部材は、ピストン及びシリンダ部材のいずれであってもよい。
【0025】
成形機101は、種々の駆動部を有している。そして、アキュムレータ103から作動液が供給される液圧要素は、種々の駆動部のいずれを構成していてもよい。
【0026】
例えば、上記の3種のいずれの成形機も、成形材料(例えば金属又は樹脂)を型に向かって押すプランジャ(スクリューを含むものとする。)を駆動する駆動部を有している。この駆動部は、プランジャに直列に連結され、アキュムレータ103から作動液が供給される液圧シリンダによって構成されてよい。
【0027】
また、例えば、ダイカストマシン及び射出成形機は、型を開閉する型締装置、及び成形材料が凝固した後に型から成形品を押し出す押出装置を有している。この型締装置の駆動部又は押出装置の駆動部として、アキュムレータ103から作動液が供給される液圧シリンダが用いられてもよい。
【0028】
なお、アキュムレータ103は、上記の複数種類の駆動部のうち、1種の駆動部のみに作動液を供給してもよいし、2種以上の駆動部に作動液を供給してもよい。アキュムレータ103から作動液が供給されない駆動部は、他の駆動源(例えばポンプ又は他のアキュムレータ)から作動液が供給される液圧式のものであってもよいし、電動式のものであってもよい。
【0029】
アキュムレータ103は、圧縮されたガスの圧力によって作動液を送出可能な種々の構成のものとされてよく、例えば、公知の構成と同様とされて構わない。アキュムレータ103は、例えば、ピストン式(図示の例)、ブラダ式、ダイヤフラム式又はその他の気体式のアキュムレータとされてよい。実施形態の説明では、基本的にピストン式を例に取る。
【0030】
ピストン式のアキュムレータ103は、シリンダ部材109と、シリンダ部材109内を軸方向に摺動可能なピストン111とを有している。シリンダ部材109の内部は、ピストン111によって、ガス室109aと、液室109bとに区画されている。ガス室109aにはガスが収容される。液室109bには作動液が収容される。ガス室109aに収容されているガスは、大気圧よりも高い圧力に圧縮される。この圧縮されたガスの圧力によって、ピストン111が液室109b側へ移動し、液室109bの作動液が成形機101の駆動部に供給される。
【0031】
なお、
ブラダ式のアキュムレータにおいては、ピストンに代えて、
ブラダがガス室と液室とを区画する。同様に、ダイヤフラム式のアキュムレータにおいては、ピストンに代えて、ダイヤフラムがガス室と液室とを区画する。その他のアキュムレータとしては、例えば、ガスと作動液とが直接に接触する構成(後述する
図4(a)のガスアキュムレータ115Aを参照)が挙げられる。
【0032】
シリンダ部材109とピストン111との間には、ガス室109aと液室109bとの間の密閉性を向上させるために、Oリング等のパッキン113が設けられてよい。なお、例えば、ピストン111がシリンダ部材109に対して摺動するというとき、両者の間にパッキン113が介在することによって両者は直接に当接していなくてもよい。他の部材についても同様である。
【0033】
ピストン式のアキュムレータ103は、鉛直方向に対して任意の向きで利用することができる。ただし、一般には、
図1に示されているように、ガス室109aが液室109bの上方に位置する。
【0034】
アキュムレータ103が利用されるとき(成形機101が稼働しているとき)のガス室109aの圧力は適宜な大きさとされてよい。例えば、ピストン111を液室109b側の駆動限に位置させたとき(ガスを排出せずに最も低い圧力を得たとき)、ガス室109aの圧力は、少なくとも大気圧よりも高い。より具体的な例を挙げると、上記最も低い圧力は、例えば、10MPa以上又は15MPa以上とされてよい。
【0035】
(供給装置)
供給装置1は、アキュムレータ103のガス室109aにガスを供給する。供給装置1は、ガスが充填されていない(別の観点では大気圧と同等の圧力を有している)ガス室109aにガスを充填することに利用可能である。また、供給装置1は、ガスが充填されたガス室109aに対する更なるガスの供給(及び/又はガスの排出)によるアキュムレータ103の圧力の調整(微調整)にも利用可能である。本実施形態の説明では、基本的に、圧力の調整に利用される態様を例に取る。
【0036】
供給装置1は、ガスを収容するガスタンク3(以下、単に「タンク3」ということがある。)と、タンク3からのガスを圧縮する圧縮部5とを有している。また、供給装置1は、タンク3、圧縮部5及びアキュムレータ103を接続するとともに、これらの間のガスの流れを制御するガス回路7とを有している。ここでは、タンク3を供給装置1の一部として捉えている。後述するように、タンク3は、別のタンクと交換可能に圧縮部5(より厳密にはガス回路7)と接続されてよい。従って、タンク3は、供給装置とは別個の要素として捉えられても構わない。
【0037】
タンク3のガスがガス室109aに供給されることによってアキュムレータ103の圧力が上昇する。また、ガス室109aのガスがタンク3に排出されることによって、アキュムレータ103の圧力は低下する。このようにして、アキュムレータ103の圧力が調整される。
【0038】
圧縮部5は、タンク3から供給されたガスの圧力がガス室109aの圧力よりも高くなるようにガスを圧縮する。これにより、圧縮部5からガス室109aへガスが流れ、アキュムレータ103の圧力が上昇する。
【0039】
本実施形態とは異なり、タンク3とガス室109aとを直接に接続する態様においては、タンク3の圧力がガス室109aの圧力よりも高くないと、タンク3からガス室109aへガスを供給できない。一方、本実施形態では、タンク3の圧力がガス室109aの圧力よりも低くても、圧縮部5によって、タンク3のガスをガス室109aに供給できる。すなわち、圧縮部5が設けられることによって、タンク3の圧力をアキュムレータ103の圧力よりも低くできる。これにより、例えば、ガス室109aとタンク3とを直接に接続するだけで、ガス室109aのガスをタンク3へ排出して、アキュムレータ103の圧力を低下させることができる。ガス回路7は、そのような動作が可能に構成されている。
【0040】
(タンク)
タンク3は、ガスを封入可能である限り、適宜な構成とされてよい。換言すれば、タンク3の形状、寸法(容量等)及び材料は任意である。例えば、タンク3は、ガスが充填されていないアキュムレータ103にガスを供給するために高い圧力でガスを収容しているタンク(ボンベ)と同様の構成であってもよいし、そのような構成とは異なる構成であってもよい。また、例えば、タンク3の概略形状は、円筒状であってもよいし、球体状であってもよい。また、例えば、タンク3において、高さ及び幅のいずれが大きくてもよい。
【0041】
タンク3は、ガス回路7と接続されるポート(符号省略)を有している。このポート及びその周辺の構成は、ガス回路7に対する着脱が想定された構成とされていてもよいし、着脱が想定されていない構成とされてもよい。前者としては、例えば、ガスが充填されていないアキュムレータ103にガスを供給するために高い圧力でガスを収容しているタンクにおける着脱部を挙げることができる。当該着脱部としては、例えば、ストップバルブの口金に内ねじ又は外ねじが形成されたもの、及び1タッチで着脱可能な特殊な構造を有しているものを挙げることができる。着脱が想定されていない構成としては、例えば、ガス回路7の流路とタンク3とが接合されている態様を挙げることができる。
【0042】
タンク3は、任意の向きで利用されてよい。別の観点では、ガス回路7と接続されるポートのタンク3における位置は任意であるし、タンク3の形状と鉛直方向との関係も任意である。例えば、図示の例では、ガス回路7と接続されるポートは、タンク3の上端に位置している。ただし、当該ポートは、タンク3の下方側部分に位置していてもよい。
【0043】
供給装置1の使用時において、タンク3の圧力は適宜に設定されてよい。既述のように、使用時におけるタンク3の圧力は、ガス室109aの圧力よりも低くされてよい。ここでいうガス室109aの圧力は、ある程度の量のガスが既に充填されたガス室109aの圧力であり、例えば、10MPa以上又は15MPa以上である。従って、例えば、タンク3の圧力は、アキュムレータ103の圧力よりも低いことを条件として、10MPa以下、5MPa以下又は1MPa以下とされてよい。また、使用時におけるタンク3の圧力は、例えば、大気圧(約0.1MPa)よりも高くされてよい。
【0044】
(圧縮部)
圧縮部5は、電動式のものである。すなわち、圧縮部5は、電動機9を有している。そして、電動機9の駆動力をタンク3からのガスに付与することによって、ガスをアキュムレータ103に供給する。なお、ポンプからアキュムレータへ作動液を供給してアキュムレータの圧力を上昇させる構成(液圧式の構成)においても、ポンプを駆動する電動機の駆動力がガスに付与されているといえる。ただし、ポンプを駆動する電動機の駆動力は、作動液を介してガスに付与される。一方、後述する説明から理解されるように、電動機9の駆動力は、作動液を介さずにガスに付与される。
【0045】
圧縮部5は、ガスの圧縮を直接的に担う機構として、圧縮シリンダ11を有している。圧縮シリンダ11は、シリンダ部材13と、シリンダ部材13内を軸方向へ摺動可能なピストン15とを有している。タンク3のガスは、シリンダ部材13内に供給される。そして、シリンダ部材13内に供給されたガスは、ピストン15のシリンダ部材13に対する軸方向への移動によって圧縮される。電動機9の駆動力は、シリンダ部材13及びピストン15のいずれに付与されてもよい。本実施形態では、電動機9の駆動力がピストン15に付与される態様を例に取る。
【0046】
電動機9は、例えば、回転式のものである。圧縮部5は、電動機9の駆動力を圧縮シリンダ11(ピストン15)へ伝達する機構として、例えば、電動機9の回転を伝達する伝達機構17と、伝達機構17からの回転運動を直線運動(並進運動)に変換する変換機構19とを有している。また、圧縮部5は、電動機9、伝達機構17及び変換機構19の支持に寄与する支持部材21を有している。
【0047】
(電動機)
電動機9は、特に図示しないが、電機子又は界磁の一方を構成するステータと、電機子又は界磁の他方を構成するロータとを有している。ロータはステータに対して軸回りに回転する。電動機9の具体的な構成は、適宜なものとされてよい。例えば、電動機9は、直流モータでも交流モータでもよいし、誘導モータでも同期モータでもよいし、ブレーキを有していても有していなくてもよい。電動機9は、オープンループにおいて設けられた定速電動機として機能するものであってもよいし、クローズドループにおいて設けられたサーボモータとして機能するものであってもよい。
【0048】
電動機9の配置位置及び向き等は適宜に設定されてよい。電動機9の回転を変換機構19に伝達する伝達機構17が設けられてよいことから明らかなように、電動機9の配置位置及び向き等は任意である。図示の例では、電動機9は、出力軸が圧縮シリンダ11とは反対側を向くように変換機構19に並列に配置されている。これにより、例えば、圧縮部5の短小化が図られる。また、図示の例では、電動機9の本体部(ステータ)は、支持部材21に対して固定されている。
【0049】
(伝達機構)
伝達機構17は、例えば、プーリ・ベルト機構によって構成されている。具体的には、伝達機構17は、電動機9の出力軸に固定されている第1プーリ23と、変換機構19のねじ軸29(後述)に固定されている第2プーリ25と、これらのプーリに掛け渡されているベルト27とを有している。従って、電動機9が回転されると、その回転は、第1プーリ23、ベルト27及び第2プーリ25を順に経由して変換機構19に入力される。伝達機構17は、変速を行ってもよいし、変速を行わなくてもよい。図示の例では、第2プーリ25の径が第1プーリ23の径よりも大きく、伝達機構17は、増速を行う。
【0050】
なお、伝達機構17は、他の巻掛け伝動機構(例えばスプロケット・チェーン機構)とされてもよいし、巻掛け伝動機構以外の機構(例えば歯車機構)とされてもよい。伝達機構は、傘歯車を含む歯車機構のように、回転の向きを変化させるものであってもよい。また、伝達機構17が設けられず、直接的に電動機9の回転が変換機構19に入力されてもよい。例えば、電動機9の出力軸がねじ軸29に同軸に連結されてもよい。
【0051】
(変換機構)
変換機構19は、図示の例では、ねじ機構(例えばボールねじ機構又はすべりねじ機構)によって構成されている。ねじ機構は、ねじ軸29と、ねじ軸29に螺合しているナット31とを有している。ねじ軸29及びナット31の一方の部材(図示の例ではねじ軸29)は、例えば、支持部材21に対する軸方向(図の上下方向)の移動が規制されるとともに、軸回りの回転が許容されている。ねじ軸29及びナット31の他方の部材(図示の例ではナット31)は、例えば、支持部材21に対する軸方向の移動が許容されるとともに、軸回りの回転が規制されている。従って、上記一方の部材が回転されることによって、上記他方の部材が軸方向に移動する。
【0052】
ナット31及びねじ軸29は、適宜に支持されてよい。図示の例では、ねじ軸29は、支持部材21に設けられた軸受(符号省略)によって、軸方向に移動不可能に、かつ軸回りに回転可能に支持されている。軸受は、例えば、ボールベアリングである。ナット31は、ピストン15に固定されており、ピストン15の軸回りの回転が規制されていることによって(後述)、ナット31の軸回りの回転が規制されている。
【0053】
ナット31のストローク(別の観点では前進限又は後退限)は、変換機構19単体では、例えば、ねじ軸29におけるねじ溝が切られている範囲の長さによって規定される。このストローク(駆動限)は、ピストン15のシリンダ部材13に対する前進限又は後退限を規定していてもよいし、規定していなくてもよい。別の観点では、変換機構19は、フルストロークで利用されてもよいし、利用されなくてもよい。
【0054】
特に図示しないが、ナット31が回転してねじ軸29が軸方向に駆動されても構わない。ねじ機構に代えて、他の変換機構(例えばラックアンドピニオン機構又はリンク機構)が設けられてもよい。
【0055】
(圧縮シリンダ)
シリンダ部材13の内部には、タンク3からのガスが供給されるシリンダ室13aが構成されている。シリンダ室13aの軸方向の一方は、ピストン15によって塞がれている。従って、ピストン15がシリンダ室13aの側へ移動してシリンダ室13aの容積が縮小されることによって、シリンダ室13a内のガスが圧縮される。また、ピストン15がシリンダ室13aとは反対側へ移動してシリンダ室13aの容積が拡大されることによって、シリンダ室13aにガスが補給される。
【0056】
シリンダ部材13は、例えば、軸方向の一方側(
図1の上方)に開口13fを有する筒状である。換言すれば、シリンダ部材13は、軸回りにシリンダ室13aを囲む周面部13cと、周面部13cの軸方向の一端(
図1の下方側の端部)を塞ぐ端面部13dとを有している。周面部13c、端面部13d及びピストン15によって囲まれた空間がシリンダ室13aとなっている。開口13fは、ピストン15をシリンダ部材13の外部へ延び出させることに寄与する。ピストン15が外部へ延び出ることによって、電動機9の駆動力をピストン15へ伝達することが可能になっている。
【0057】
シリンダ部材13及びピストン15の具体的な形状、寸法及び材料等は任意である。例えば、圧縮シリンダ11の横断面(軸方向に直交する断面)において、シリンダ部材13の内面及びピストン15の形状は任意である。一例において、これらの形状は円形である。また、例えば、シリンダ部材13は、軸方向の長さと、直径とのいずれが大きくてもよく、例えば、前者が後者よりも長い。
【0058】
図示の例では、ピストン15は、概ね一定の径で軸方向に延びている。また、ピストン15の長さは、ピストン15が端面部13d側(
図1の下方)の駆動限へ移動した場合においてもピストン15が開口13fから延び出る長さとされている。開口13fは、そのようなピストン15をシリンダ部材13の外部へ延び出させることが可能に、周面部13cの内面の形状及び径と同等の形状及び径を有している。
【0059】
また、図示の例では、ピストン15は、シリンダ室13aとは反対側に開口する空洞(符号省略)を有しており、当該空洞に変換機構19の一部が収容されている。すなわち、変換機構19とピストン15とは同心状に設けられている。これにより、圧縮部5の短小化が図られている。具体的には、例えば、ピストン15が最も変換機構19側に位置している状態において、ねじ軸29の長さの6割以上又は8割以上が空洞に収容されてよい。また、ナット31は、ピストン15の後端に位置するとともにナット31の概ね全体(例えば軸方向の長さの8割以上)がピストン15内部に位置するようにピストン15に対して同心状に配置されている。念のために記載すると、上記の空洞は、密閉されている必要は無く、例えば、大気開放されていてよい。
【0060】
ピストン15のシリンダ部材13に対する軸方向の(物理的な)駆動限は適宜に設定されてよい。例えば、ピストン15の端面部13d側の駆動限は、ピストン15が端面部13d又はその付近に設けられた不図示のストッパに当接することによって規定されてよい。ピストン15のシリンダ室13aとは反対側の駆動限は、ピストン15がシリンダ部材13又は支持部材21に設けられた不図示のストッパに当接することによって規定されてもよいし、変換機構19の駆動限によって規定されてもよい。
【0061】
ピストン15は、シリンダ部材13に対する軸回りの回転が規制されてよい。例えば、特に図示しないが、ピストン15のうち後述するパッキン33よりも変換機構19側の部分に軸方向に延びるキー溝が形成され、シリンダ部材13の開口13f又はその付近に、上記のキー溝に嵌合するキーが形成されてよい。
【0062】
上記において触れたように、シリンダ部材13とピストン15との間にはOリング等のパッキン33が介在してよい。パッキン33によって、シリンダ室13aの密閉性が向上する。パッキン33の構成は、種々の構成と同様とされてよく、例えば、公知の構成と同様とされても構わない。
【0063】
なお、図示の例とは異なり、ピストン15の軸方向の長さが短くされ、シリンダ部材13の内部は、シリンダ室13aと、ピストン15に対してその反対側に位置するシリンダ室とに区画されても構わない。そして、ピストン15よりも径が小さいロッドが開口13fから外部へ延び出て、当該ロッドに電動機9の駆動力が伝達されても構わない。この場合において、開口13fは、図示と同様の径であってもよいし、ロッドと同等の径であってもよい。本実施形態では、上記のロッド側のシリンダ室は利用されなくてよい。別の観点では、ロッド側のシリンダ室は大気開放されていてよい。また、図示の例とは異なり、ピストン15及び変換機構19は、同心状ではなく、同軸上に直列に並ぶように設けられても構わない。
【0064】
(支持部材)
支持部材21の形状、寸法及び材料等は任意である。図示の例では、支持部材21は、シリンダ部材13に対して軸方向に直列に連結される側方部21aと、側方部21aのシリンダ部材13とは反対側に位置する端部21bとを有している。念のために記載すると、支持部材21の変換機構19等を収容している空間は、密閉されている必要は無く、例えば、大気開放されていてよい。
【0065】
側方部21aは、例えば、変換機構19を軸回りに囲む筒状(横断面の形状は円形とは限らない)の部材、又は変換機構19の軸回りに配列されて変換機構19の軸方向に延びる複数のロッドによって構成されてよい。側方部21aは、例えば、シリンダ部材13と端部21bとの固定に寄与する。また、側方部21aは、ピストン15及び/又は変換機構19の保護に寄与してよい。
【0066】
端部21bは、例えば、変換機構19の軸方向に面する板状の部材によって構成されている。そして、端部21bは、電動機9、伝達機構17及び変換機構19を直接的に支持している。具体的には、電動機9の本体部分(ステータ)は、端部21bのシリンダ部材13側の面に固定されている。ねじ軸29は、軸受を介して端部21bに支持されている。端部21bは、変換機構19を介してピストン15の支持に寄与してよい。
【0067】
(ガス回路の流路)
ガス回路7は、複数の流路を有している。複数の流路は、例えば、以下の流路を含んでいる。タンク3からシリンダ室13aへガスを供給するための上流流路35。シリンダ室13aからアキュムレータ103のガス室109aへガスを供給するための下流流路37。ガス室109aからタンク3へガスを排出するための戻し流路39。
【0068】
上流流路35及び戻し流路39は、タンク3側の一部が共通化されている。この共通化された部分の一端は、タンク3に接続される第1ポート41を構成している。なお、図示の例とは異なり、上流流路35及び戻し流路39を共通化せずに、それぞれ別個にタンク3に接続することも可能である。
【0069】
下流流路37及び戻し流路39は、アキュムレータ103側の一部が共通化されている。この共通化された部分の一端は、アキュムレータ103に接続される第2ポート43を構成している。なお、図示の例とは異なり、下流流路37及び戻し流路39を共通化せずに、それぞれ別個にアキュムレータ103に接続することも可能である。
【0070】
各流路の具体的な形状及び寸法、並びに各流路を構成する部材の構成等は任意である。例えば、各流路の一部又は全部は、パイプ、ブロック又はホースによって構成されてよい。別の観点では、流路を構成する部材は、剛体とみなせるもの(パイプ又はブロック)であってもよいし、可撓性を有するもの(ホース)であってもよい。
【0071】
タンク3の既述の説明から理解されるように、第1ポート41は、タンク3に対する着脱が想定されていてもよいし、想定されていなくてもよい。同様に、第2ポート43は、アキュムレータ103に対する着脱が想定されていてもよいし、想定されていなくてもよい。着脱が想定されている場合の構成及び着脱が想定されていない場合の構成については、タンク3のポートについての既述の説明が援用されてよく、又は当該説明から類推されてよい。
【0072】
なお、タンク3とガス回路7との着脱が想定されていない構成においては、両者の境界は必ずしも明瞭ではなく、ひいては、第1ポート41は一義的に定まらない。この場合、例えば、圧縮部5とタンク3との間の任意の位置が第1ポート41として捉えられてよい。同様に、アキュムレータ103とガス回路7との着脱が想定されていない構成においては、圧縮部5とアキュムレータ103との間の任意の位置が第2ポート43として捉えられてよい。
図1では、アキュムレータ103の付近のストップバルブ45(後述)を供給装置1の外部の要素として捉え、ストップバルブ45とガス回路7との接続位置に第2ポート43の符号を付している。ただし、ストップバルブ45をガス回路7の一部として捉え、ストップバルブ45よりもアキュムレータ103側の位置を第2ポート43として捉えてもよい。
【0073】
上記の説明から理解されるように、第1ポート41及び第2ポート43の構成は任意である。例えば、これらのポートは、単なる流路の一端としての開口であってよい。また、例えば、これらのポートは、ストップバルブの口金であってもよい。
【0074】
(ガス回路の弁)
ガス回路7は、上記の複数の流路に位置している複数の弁を有している。具体的には、以下のとおりである。
【0075】
(圧縮部によるガスの圧縮に寄与する弁)
ガス回路7は、上流流路35に位置している上流逆止弁47と、下流流路37に位置している下流逆止弁49とを有している。より詳細には、上流逆止弁47は、上流流路35のうち戻し流路39と共通化されていない部分に位置している。また、下流逆止弁49は、下流流路37のうち戻し流路39と共通化されていない部分に位置している。上流逆止弁47は、第1ポート41(タンク3)からシリンダ室13aへの流れを許容するとともに、その反対方向への流れを禁止する。下流逆止弁49は、シリンダ室13aから第2ポート43(アキュムレータ103)への流れを許容するとともに、その反対方向への流れを禁止する。
【0076】
従って、ピストン15がシリンダ室13a側へ移動してシリンダ室13aのガスが圧縮されるとき、シリンダ室13aからタンク3へのガスの逆流が上流逆止弁47によって禁止される一方で、シリンダ室13aからアキュムレータ103へのガスの供給が下流逆止弁49によって許容される。また、ピストン15がシリンダ室13aとは反対側へ移動してシリンダ室13aの圧力が低下するとき、アキュムレータ103からシリンダ室13aへのガスの逆流が下流逆止弁49によって禁止される一方で、タンク3からシリンダ室13aへのガスの補給が上流逆止弁47によって許容される。
【0077】
これらの逆止弁の具体的な構成は種々のものとされてよく、例えば、公知の構成と同様とされてよい。例えば、逆止弁は、ばねによって流路を開く方向に弁体を付勢し、流れが禁止されるガスの圧力によって閉じられるものであってもよいし、逆に、ばねによって流路を閉じる方向に弁体を付勢し、流れが許容されるガスの圧力によって開かれるものであってもよい。また、逆止弁は、開動作及び/又は閉動作のためのパイロット圧力の導入がなされない構成であってもよいし(図示の例)、パイロット圧力の導入がなされる構成であってもよい。
【0078】
なお、ここでは、逆止弁を例に取ったが、他の形式の弁が用いられてもよい。例えば、弁体をソレノイドによって駆動する切換弁が用いられてもよい。そして、タンク3からシリンダ室13aへのガスの流れ(又はシリンダ室13aからアキュムレータ103への流れ)を許容すべき時期においては切換弁を開き、その逆方向の流れを禁止すべき時期には切換弁を閉じるように、制御装置105による制御がなされてもよい。
【0079】
(ガスの供給及び排出の制御に係る弁)
ガス回路7は、下流流路37に位置している供給制御弁51と、戻し流路39に位置している戻し制御弁53とを有している。より詳細には、供給制御弁51は、下流流路37のうち、戻し流路39と共通化されていない部分に位置しているとともに、下流逆止弁49よりもアキュムレータ103側に位置している。また、戻し制御弁53は、戻し流路39のうち、下流流路37と共通化されていない部分に位置している。これらの制御弁は、制御装置105からの制御信号に従って流路を開閉する。
【0080】
供給制御弁51を開き、かつ戻し制御弁53を閉じた状態で、圧縮部5を駆動することによって、圧縮部5からアキュムレータ103へガスを供給することができる。戻し流路39において、アキュムレータ103からタンク3への逆流は、戻し制御弁53によって禁止される。また、戻し制御弁53を開くことによって、アキュムレータ103から戻し流路39を介してタンク3へガスを排出することができる。このとき、供給制御弁51の状態は任意であるが、例えば、閉じられていてよい。また、圧縮部5は、停止していてよい。また、例えば、供給制御弁51及び戻し制御弁53の双方を閉じることによって、アキュムレータ103へのガスの流入及びアキュムレータ103からのガスの流出の双方を禁止できる。これにより、例えば、供給装置1がアキュムレータ103の圧力に及ぼす作用を停止できる。
【0081】
これらの制御弁の構成は、流路を開閉できる限り、適宜な構成とされてよい。例えば、これらの制御弁は、ソレノイドによって直接的に(パイロット圧によらずに)、弁体が駆動されるものとされてよい。この場合、制御の応答性が向上し、アキュムレータ103の圧力を高精度に調整できる。もちろん、制御弁は、ソレノイドに代えて、又は加えて、パイロット圧を利用するものであっても構わない。図示の例では、制御弁は、ばねによって弁体が閉位置に付勢され、ソレノイドによって(パイロット圧によらずに)弁体を開位置へ付勢する2ポート2位置の切換弁によって構成されている。この他、制御弁は、逆止弁によって構成されたり、流量調整弁によって構成されたりしてもよい。
【0082】
戻し制御弁53の前及び/又は後には流路の断面積を小さくするオリフィス(符号省略)が設けられていてもよい。このようなオリフィスを設けることによって、例えば、アキュムレータ103からタンク3へガスを排出するときのアキュムレータ103の圧力の低下を緩やかなものにし、ひいては、アキュムレータ103の圧力の調整の精度を向上させることができる。
【0083】
(その他の弁)
ガス回路7は、適宜な位置に適宜な数でストップバルブ(45、55及び57)を有してよい。ストップバルブは、手動で開閉されるバルブである。本実施形態では、成形機101の稼働中において、ストップバルブは基本的に開かれている。ストップバルブは、例えば、成形機101のメンテナンス、成形機101の組み立て、又は成形機101の解体が行われるときに、ガスの流れを禁止することに寄与する。
【0084】
図1では、以下のストップバルブが例示されている。上流流路35(より詳細には戻し流路39と共通化されていない部分)において、上流逆止弁47よりもタンク3側に位置しているストップバルブ55。下流流路37(より詳細には戻し流路39と共通化されていない部分)において、下流逆止弁49と供給制御弁51との間に位置しているストップバルブ57。アキュムレータ103の第2ポート43と接続されるポートを構成しているストップバルブ45。なお、第2ポート43の既述の説明から理解されるように、ストップバルブ45は、アキュムレータ103に設けられていると捉えられてもよいし、ガス回路7に設けられていると捉えられてもよい。
【0085】
ガス回路7は、適宜な位置に適宜な数で安全弁(59及び61)を有してよい。安全弁は、ガスの圧力が所定の設定圧に到達すると開かれてガスを排出する。
図1では、タンク3に接続されている安全弁59と、アキュムレータ103に接続されている安全弁61とが例示されている。これらの安全弁の具体的な構成は種々のものとされてよく、例えば、公知の構成と同様とされてよい。また、これらの安全弁が開かれる設定圧は適宜に設定されてよい。タンク3が供給装置1の外部の構成要素として捉えられる場合において、安全弁59は、タンク3に設けられていると捉えられてもよいし、ガス回路7の構成要素として捉えられもよい。同様に、安全弁61は、アキュムレータ103に設けられていると捉えられてもよいし、ガス回路7の構成要素として捉えられもよい。
【0086】
(制御装置及びセンサ)
制御装置105は、例えば、特に図示しないが、コンピュータを含んで構成されてよい。コンピュータは、例えば、特に図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び外部記憶装置を含んで構成されてよい。CPUがROM及び/又は外部記憶装置に記憶されているプログラムを実行することによって、種々の演算(制御を含む)を行う種々の機能部が構築される。また、制御装置105は、一定の動作を実行する論理回路を含んでいてもよいし、電源回路を含んでいてもよいし、ドライバを含んで概念されてもよい。制御装置105は、ハードウェア的に1カ所に纏められていてもよいし、複数個所に分散されていてもよい。
【0087】
制御装置105の制御によって、例えば、成形機101によって成形品を作製するための一連の動作(成形サイクル)が繰り返し行われる。また、制御装置105は、供給装置1の制御を行う。具体的には、制御装置105は、電動機9を制御するとともに、ガス回路7が有している種々の弁(図示の例では供給制御弁51及び戻し制御弁53)の制御を行う。
【0088】
供給装置1(別の観点では成形機101)は、種々のセンサを有してよい。種々のセンサの検出値は、制御装置105に入力されて、制御装置105による供給装置1(成形機101)の制御に利用されてよい。例えば、供給装置1は、タンク3の圧力を検出するタンク圧センサ63と、アキュムレータ103の圧力を検出するACC圧センサ65とを有してよい。なお、上記では、これらの圧力センサを供給装置1の構成要素として捉えた。ただし、これらの圧力センサは、供給装置1の外部の構成要素と捉えられてもよい。
【0089】
タンク圧センサ63は、図示の例のように、典型的には、タンク3に設けられて、タンク3の内部のガスの圧力を検出する。ただし、タンク圧センサ63は、成形機101の稼働中において、タンク3の圧力と同等の圧力を検出できればよい。従って、例えば、タンク圧センサ63は、タンク3の外部の流路の圧力を検出してもよい。具体的には、図示の例では、例えば、タンク圧センサ63は、上流流路35のうちの上流逆止弁47と第1ポート41との間の適宜な位置に設けられていてもよい。また、このことから、例えば、本開示の説明では、第1ポート41の圧力と、タンク3の圧力とについて、両者を区別せずに言及することがある。
【0090】
ACC圧センサ65についても上記と同様のことがいえる。例えば、ACC圧センサ65は、図示の例のように、典型的には、アキュムレータ103に設けられて、ガス室109aの圧力を検出する。ただし、ACC圧センサ65は、成形機101の稼働中において、ガス室109aの圧力と同等の圧力を検出できればよい。従って、例えば、ACC圧センサ65は、供給装置1の流路の圧力を検出してもよい。具体的には、図示の例では、例えば、ACC圧センサ65は、下流流路37のうちの供給制御弁51と第2ポート43との間の適宜な位置に設けられていてもよい。また、このことから、例えば、本開示の説明では、第2ポート43の圧力と、アキュムレータ103の圧力とについて、両者を区別せずに言及することがある。
【0091】
ACC圧センサ65は、例えば、後述するように、供給装置1によるアキュムレータ103の圧力を調整する動作において、制御装置105又はオペレータによって利用される。また、ACC圧センサ65及び/又はタンク圧センサ63は、その検出値が制御装置105及び/又はオペレータによって監視されることによって、何らかの異常の検出に利用されてよい。
【0092】
供給装置1は、ピストン15のシリンダ部材13に対する位置を検出するためのセンサを有していてもよい。
図1では、このようなセンサとして、第1リミットスイッチ67と、第2リミットスイッチ69とが例示されている。これらのリミットスイッチは、ピストン15の一部(図示の例ではピストン15の上方側のフランジ部分)が当接することによって、ONされて信号を出力する(又はOFFされて信号の出力を停止する)。第1リミットスイッチ67は、ピストン15がシリンダ室13aとは反対側の駆動限又はその少し手前に位置したときにONされる。第2リミットスイッチ69は、ピストン15がシリンダ室13a側の駆動限又はその少し手前に位置したときにONされる。従って、例えば、制御装置105は、これらのリミットスイッチからの信号に基づいて、ピストン15の移動方向(電動機9の回転方向)を転換する必要があるか否かを判定できる。
【0093】
なお、ピストン15のシリンダ部材13に対する位置を検出するためのセンサは、他の形式のものとされてもよい。例えば、ピストン15が駆動限に位置したことを検出する非接触式センサが用いられたり、ピストン15の任意の位置を検出できるリニアエンコーダ又はレーザー測長器が用いられたりしてもよい。また、理論上は、電動機9の回転量の検出によってピストン15の位置を検出することもできる。
【0094】
(アキュムレータの圧力を調整する動作)
図2は、アキュムレータ103の圧力を調整する動作を説明するためのグラフである。
【0095】
この図において、横軸tは時間を示している。縦軸Pは圧力を示している。図中の種々の線は、アキュムレータ103の圧力の経時変化を示している。ただし、アキュムレータ103から成形機101の駆動部への作動液の供給等によるアキュムレータ103の圧力変動(1サイクル内の圧力変動)は無視している。
【0096】
まず、時点t0~t1までの期間について説明する。この期間において、線L1は、アキュムレータ103の圧力が調整された場合のアキュムレータ103の圧力の経時変化を示している。線L2は、アキュムレータ103の圧力が調整されない場合のアキュムレータ103の圧力の経時変化を示している。
【0097】
図示の例では、時点t0において、アキュムレータ103の圧力は、目標圧力Pt0である。その後、例えば、成形機101の稼働が開始されることによって、及び/又は成形機101の周囲の気温が上昇することによって、アキュムレータ103に収容されているガス及び/又は作動液の温度が上昇していく。ひいては、線L2で示すように、アキュムレータ103の圧力が上昇していく。そこで、戻し制御弁53を開いてアキュムレータ103からタンク3へガスを逃がすことによって、線L1に示すように、アキュムレータ103の圧力を目標圧力Pt0にすることができる。
【0098】
特に図示しないが、上記とは逆に、アキュムレータ103の圧力を上昇させる調整も適宜な時期に行われる。例えば、成形機101の稼働開始時において、アキュムレータ103の圧力が目標圧力Pt0よりも低い場合に、圧縮部5の駆動によってタンク3からガス室109aへガスを供給して、アキュムレータ103の圧力を目標圧力Pt0に調整してよい。及び/又は、成形機101の周囲の気温が低下することによって、アキュムレータ103の圧力が目標圧力Pt0よりも低くなった場合に、圧縮部5によってタンク3からガス室109aへガスを供給して、アキュムレータ103の圧力を目標圧力Pt0に調整してよい。
【0099】
次に、時点t1以降の動作について説明する。
【0100】
ここでは、時点t1において、アキュムレータ103の目標圧力が、目標圧力Pt0よりも高い目標圧力PtH、又は目標圧力Pt0よりも低い目標圧力PtLに変更された場合を想定している。例えば、後述する説明から理解されるように、成形機101においては、アキュムレータ103の圧力が型内の成形材料に付与する圧力を決定することがある。そして、この圧力は、成形品の品質に影響を及ぼす。従って、例えば、アキュムレータ103の目標圧力は、型の交換に応じて、又は成形品の品質に応じて、オペレータ及び/又は制御装置105によって変更される。
【0101】
目標圧力が目標圧力Pt0から目標圧力PtHへ変更された場合においては、圧縮部5を駆動してタンク3からガス室109aへガスを供給して、アキュムレータ103の圧力を目標圧力PtHに調整する。目標圧力が目標圧力Pt0から目標圧力PtLへ変更された場合においては、戻し制御弁53を開いてガス室109aからタンク3へガスを逃がしてアキュムレータ103の圧力を目標圧力PtLに調整する。
【0102】
上記におけるアキュムレータ103へのガスの供給、及び/又はアキュムレータ103からのガスの排出は、例えば、制御装置105がACC圧センサ65の検出値に基づいて供給装置1(より詳細には電動機9、供給制御弁51及び戻し制御弁53)を制御することによって実現されてよい。ただし、例えば、オペレータが、表示装置に表示されるACC圧センサ65の検出値を見ながら、入力装置に対する操作によって供給装置1を制御して、ガスの供給及び/又は排出が行われても構わない。
【0103】
制御装置105がACC圧センサ65の検出値に基づいて供給装置1を制御する場合において、この制御は、例えば、成形機101が稼働されている全期間に亘って行われてもよいし、特定のタイミングに開始されて目標圧力が得られたときに終了してもよい。特定のタイミングとしては、例えば、以下のものを挙げることができる。オペレータが入力装置に対する操作によってアキュムレータ103の圧力の調整を制御装置105に指示したタイミング。成形機101の稼働が開始されたタイミング。目標圧力が設定又は変更されたタイミング。
【0104】
(圧力調整に係るフローチャートの例)
図3は、
図2を参照して説明した動作を実現するために制御装置105が実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0105】
この処理は、例えば、成形機101の稼働が開始されたとき開始され、又は上述した特定のタイミングにおいて開始される。この処理の開始時おいては、例えば、電動機9は停止されており、供給制御弁51及び戻し制御弁53は閉じられている。ピストン15は、例えば、シリンダ室13aの容積が最大になる位置(駆動限)に位置している。ただし、ピストン15は、当該駆動限よりもシリンダ室13a側の位置に位置していてもよい。
【0106】
ステップST1では、制御装置105は、ACC圧センサ65の検出圧力Paが、閾値PLよりも低いか否か判定する。閾値PLは、目標圧力(Pt0、PtL又はPtH)から、許容可能な誤差を引いた圧力である。そして、制御装置105は、肯定判定のときはステップST2に進み、否定判定のときはステップST2をスキップしてステップST3に進む。
【0107】
ステップST2では、制御装置105は、供給装置1からアキュムレータ103へガスを供給するように供給装置1を制御する。具体的には、制御装置105は、供給制御弁51を開くとともに、電動機9を駆動してピストン15をシリンダ室13a側へ移動させる。アキュムレータ103にガスが供給されることにより、アキュムレータ103の圧力は上昇し、目標圧力に近づく。
【0108】
ステップST2を実行した場合、制御装置105は、ステップST3及びST4をスキップしてステップST5に進む。
【0109】
ステップST3では、制御装置105は、ACC圧センサ65の検出圧力Paが、閾値PHよりも高いか否か判定する。閾値PHは、目標圧力(Pt0、PtL又はPtH)に、許容可能な誤差を足した圧力である。そして、制御装置105は、肯定判定のときはステップST4に進み、否定判定のときはステップST4をスキップする。
【0110】
ステップST4では、制御装置105は、アキュムレータ103から供給装置1へガスを排出するように供給装置1を制御する。具体的には、制御装置105は、戻し制御弁53を開く。アキュムレータ103からガスが排出されることにより、アキュムレータ103の圧力は低下し、目標圧力に近づく。
【0111】
ステップST5では、制御装置105は、
図3に示す処理を終了する条件が満たされたか否か判定する。終了条件は、例えば、成形機101の稼働を停止する指示がなされたこと、又は目標圧力が得られたこととされてよい。目標圧力が得られたことは、制御装置105の具体的な処理においては、検出圧力Paと目標圧力との差が所定値以下になったことであっても構わない。そして、制御装置105は、肯定判定のときは処理を収容し、否定判定のときはステップST1に戻る。
【0112】
ステップST2において、制御装置105の具体的な制御は適宜なものとされてよい。例えば、制御装置105は、予め定められた移動量でピストン15をシリンダ室13a側へ移動させるように電動機9を制御してよい。また、例えば、制御装置105は、検出圧力Paと目標圧力との偏差に応じた移動量で、ピストン15をシリンダ室13a側へ移動させるように電動機9を駆動してもよい。また、例えば、制御装置105は、ACC圧センサ65の検出圧力Paを監視して、検出圧力Paが所定圧力(例えば目標圧力、又は目標圧力と閾値PLとの間の圧力)になるまで、電動機9の駆動を継続してもよい。
【0113】
上記の制御において、予め定められたピストン15の移動量は、例えば、ピストン15がシリンダ室13aとは反対側の駆動限からシリンダ室13a側の駆動限へ移動する距離以下であってもよいし、上記の距離の2倍以上であってもよい。すなわち、ステップST2において、ピストン15は、シリンダ室13a側へ1回移動するだけであってもよいし、シリンダ室13a側へ2回以上移動してもよい(別の観点では1往復を超えて移動してよい。)。偏差に応じた移動量、又は所定圧力が得られるまでの移動量は、片道の距離以下となったり、片道の距離の2倍を超える距離となったりしてよい。ただし、偏差に応じた移動量は、上限値が設けられてもよく、このとき、上限値は、片道の距離とされてよい。
【0114】
ステップST4において、制御装置105の具体的な制御は適宜なものとされてよい。例えば、制御装置105は、予め定められた時間長さで戻し制御弁53を開いてよい。また、例えば、制御装置105は、検出圧力Paと目標圧力との偏差に応じた時間長さで戻し制御弁53を開いてよい。また、例えば、制御装置105は、ACC圧センサ65の検出圧力Paを監視して、検出圧力Paが所定圧力(例えば目標圧力、又は目標圧力と閾値PHとの間の圧力)になるまで、戻し制御弁53を開く動作を継続してもよい。
【0115】
上記の手順は適宜に変形されてよい。例えば、ステップST1及びST2と、ステップST3及びST4との順番は、逆であってもよい。また、既に述べたように、タンク圧センサ63及び/又はACC圧センサ65の検出圧力を監視して異常を検知するステップが挿入されてよい。
【0116】
以上のとおり、本実施形態では、供給装置1は、電動機9の駆動力を作動液を介さずにガスに付与することによってアキュムレータ103にガスを供給する。
【0117】
従って、例えば、作動液を供給してアキュムレータ103の圧力を調整する構成に比較して、例えば、圧力の設定範囲を広くしたり、アキュムレータ103(その付属のガスアキュムレータ)を小型化したり、圧力の調整の精度の向上を向上させたり、無駄になるガスを低減したりできる。以下、当該効果について、比較例及び変形例を示して説明する。
【0118】
図4(a)は、比較例に係るガスの供給態様を示す模式図である。
【0119】
比較例においては、アキュムレータ103のガス室109aに通じるガスアキュムレータ115Aが設けられる。これらのアキュムレータ(103及び115A)にガスを充填するときは、アキュムレータの圧力よりも高い圧力でガスを収容しているタンク3Aが接続される。そして、アキュムレータとタンク3Aとの間の圧力差によって、タンク3Aからアキュムレータへガスが供給される。
【0120】
ガスの供給の進行に伴って、タンク3Aの圧力は低下していき、アキュムレータ(103及び115A)の圧力は上昇していく。両者の圧力が同等になると、タンク3Aからアキュムレータへのガスの供給は終了する。そして、アキュムレータの圧力が所望の圧力に到達するまで、アキュムレータに接続されるタンク3Aが新たなタンク3Aに交換されて、同様の作業が繰り返される。
【0121】
アキュムレータの圧力が所望の圧力に到達すると、アキュムレータとタンク3Aとの間のバルブが閉じられることなどによって、タンク3からアキュムレータ103へのガスの供給が停止される。すなわち、ガスの充填が完了する。
【0122】
その後、ポンプ117からガスアキュムレータ115Aへ作動液が供給される。これにより、ガスアキュムレータ115Aにおいてガスが存在できる容積が縮小され、アキュムレータ内のガスが圧縮される。ひいては、アキュムレータ103の圧力が上昇する。そして、アキュムレータ103の圧力は、目標圧力(例えばPt0)に到達する。
【0123】
目標圧力がPt0よりも高いPtHに変更されたときは、ポンプ117からガスアキュムレータ115Aへ作動液が供給される。これにより、ガスが更に圧縮されてアキュムレータ103の圧力が目標圧力PtHに達する。逆に、目標圧力がPt0よりも低いPtLに変更されたときは、制御弁121が開かれて、ガスアキュムレータ115Aからタンク119へ作動液が排出される。これにより、ガスの圧縮が緩和されてアキュムレータ103の圧力が目標圧力PtLに達する。
【0124】
図4(b)は、実施形態の変形例に係るガスの供給態様を示す模式図である。
【0125】
変形例は、比較例において、ガスアキュムレータ115Aに相当する補助タンク115Bと、タンク3Aとの間に供給装置1が介在している構成を有している。タンク3Aは、
図1のタンク3に代えて配置され、第1ポート41に接続されている。
図1では、タンク3Aは、供給装置1の外部の要素として示されている。
【0126】
変形例では、アキュムレータ103にガスを充填するとき、比較例とは異なり、タンク3Aの圧力がアキュムレータ103の圧力と同等の大きさまで低下した後も、供給装置1によってタンク3Aのガスを圧縮してアキュムレータ103へ供給することができる。
【0127】
また、変形例は、実施形態と同様に、ガスの供給及び排出を選択的に行うことによって、アキュムレータ103の圧力の調整を行うことができる。このとき、タンク3Aは、その圧力がある程度低下していれば、実施形態のタンク3として利用されても構わない。もちろん、タンク3Aに代えて、実施形態のタンク3が接続されてもよい。
【0128】
比較例においては、タンク3Aの圧力がアキュムレータ103の圧力と同等の大きさまで低下すると、タンク3Aが新たなタンク3Aに交換される。従って、先に使用されていたタンク3Aにおいては、交換時におけるアキュムレータ103の圧力と同等の圧力でガスが残存する。すなわち、ガスの無駄が生じる。特に、後に接続されたタンク3Aほど、取り外されたときの圧力が高く、ひいては、無駄になる窒素が多い。
【0129】
一方、変形例では、上記のように、タンク3Aの圧力がアキュムレータ103の圧力と同等の大きさまで低下した後も、タンク3Aのガスをアキュムレータ103へ供給できる。例えば、タンク3Aの圧力が大気圧と同等の大きさとなるまで、タンク3Aのガスをアキュムレータ103へ供給できる。その結果、ガスの無駄が無くなる。なお、出願人の試算では、例えば、比較例において20本のタンク3Aが必要な場合において、変形例においては4本のタンク3Aで済む。
【0130】
比較例では、アキュムレータ103における圧力の調整量は、ガスアキュムレータ115Aへの作動液の供給量に相関している。別の観点では、圧力を調整できる範囲は、ガスアキュムレータ115Aの容積によって制限される。その結果、圧力を調整できる範囲が狭くなる、及び/又はガスアキュムレータ115Aが大型化する。
【0131】
一方、実施形態及び変形例では、アキュムレータ103にガスを供給することによってアキュムレータ103の圧力を調整する。従って、圧力の調整範囲は、ガスアキュムレータ115Aの容積によって制限されず、圧縮部5の性能によって規定される。従って、圧力を調整できる範囲を広くすることが容易である。別の観点では、変形例に係る補助タンク115Bを小型化したり、又は、実施形態のように補助タンク115Bを無くしたりできる。
【0132】
また、比較例では、ガスアキュムレータ115Aの液面を検出するセンサ等も必要になる。その結果、比較例は、アキュムレータ(103及び115A)に係る構成が大型化し、及び/又は当該構成に係るコストが増大する。一方、実施形態及び変形例では、そのような不都合は生じない。
【0133】
本実施形態では、供給装置1を成形機101の一部として説明した。しかし、後述する第2実施形態の説明からも理解されるように、供給装置は、ガスの充填が必要とされる成形機に着脱される装置として構成されてよい。別の観点では、供給装置は、複数の成形機に順に利用されてよい。さらに別の観点では、供給装置は、成形機の所有者に所有されずに、成形機の所有者に貸し出される装置であってよい。このような場合、上記のように補助タンク115Bの小型化又は廃止、並びに液面センサの廃止によって、アキュムレータに係る構成の小型化及び/又はコスト削減が図られると、成形機の小型化及び/又はコスト削減が図られることになる。
【0134】
比較例では、アキュムレータ(103及び115A)における圧力の調整量の精度は、ガスアキュムレータ115Aへの作動液の供給量又は排出量の精度によって決定される。一方、一般に、作動液の供給量又は排出量の精度は比較的低い。その結果、圧力の調整量の精度が低くなる。
【0135】
一方、実施形態及び変形例においては、電動機9によって圧力を調整する。一般に、電動機9の制御の精度は高い。従って、圧力の調整量の精度を高くすることが容易である。例えば、実施形態では、ピストン15の位置決めを高精度に行ったり、及び/又は検出圧力を監視しながら低速でピストン15を移動させたりすることによって、任意の圧力を得ることが用である。
【0136】
比較例においては、ポンプ117及び制御弁121を含む液圧装置は、例えば、成形機の種々の駆動部へも作動液を供給する。この場合、成形機が稼働しているときにガスアキュムレータ115Aへの作動液の供給又はガスアキュムレータ115Aからの作動液の排出によってアキュムレータ103の圧力を調整しようとすると、成形に直接的に関わる動作のための作動液の圧力変動がアキュムレータ103の圧力の調整に影響を及ぼし得る。また、その逆の影響も生じ得る。
【0137】
一方、実施形態及び変形例においては、アキュムレータ103へのガスの供給又はアキュムレータ103からのガスの排出によってアキュムレータ103の圧力を調整するから、上記のような不都合が解消される。
【0138】
供給装置1は、第1ポート41と、第2ポート43と、収容部材(シリンダ部材13)と、可動部材(ピストン15)と、を有してよい。第1ポート41は、タンク3に接続されてよい。第2ポート43は、アキュムレータ103に接続されてよい。シリンダ部材13は、第1ポート41及び第2ポート43に通じる、少なくとも1つの空間(シリンダ室13a)を有してよい。ピストン15は、シリンダ部材13内の移動によってシリンダ室13a内のガスを圧縮してよい。電動機9は、ピストン15に連結されてよい。
【0139】
電動機9によってガスを圧縮する構成としては、実施形態の構成の他、例えば、電動機9によってシリンダ部材13を駆動する構成、第1ポート41及び第2ポート42に通じる蛇腹状容器を伸縮させる構成を挙げることができる(いずれも本開示に係る技術に含まれてよい。)。このような他の構成に比較して、実施形態は、例えば、電動機9によって駆動される部材を小型化しやすい。また、第1ポート41及び第2ポート43の位置が不動であり、ガスの流路の設計が容易である。
【0140】
上記の収容部材は、上記の少なくとも1つの空間としての第1シリンダ室(シリンダ室13a)を有しているシリンダ部材13であってよい。上記の可動部材は、シリンダ部材13内を軸方向へ移動することによってシリンダ室13aの容積を変化させるピストン15であってよい。
【0141】
この場合、例えば、収容部材としてのケースと、ケース内で回転する可動部材としてのファンとを有する圧縮部(当該構成も本開示に係る技術に含まれてよい。)に比較して、可動部材(ピストン15)の移動量と、ガスの供給量(圧縮量)との関係が明確である。従って、例えば、圧力の調整の精度を向上させやすい。また、例えば、ガスが充填されていない(例えば大気圧と同等の圧力を有する)アキュムレータ103にガスを充填するときに、タンク3Aの圧力が大気圧と同等になるピストン15の移動量、及び/又はアキュムレータ103を所望の圧力にするためのピストン15の移動量を計算することが容易である。その結果、例えば、タンク3Aの交換時期及び/又はアキュムレータ103の充填完了時間を予め計算してオペレータに知らせることができる。
【0142】
シリンダ部材13は、第1ポート41及び第2ポート43に通じるシリンダ室として第1シリンダ室(シリンダ室13a)のみを有してよい。
【0143】
この場合、後述する第2実施形態に比較して、ガスが封入される空間(シリンダ室)を密閉するための構成(パッキン33等)を少なくすることができる。別の観点では、ガスの漏れが少ない。その結果、例えば、ガスの補充量を少なくすることができる。また、第2実施形態に比較して、圧縮部を小さくすることが容易である。
【0144】
供給装置1は、上流逆止弁47及び下流逆止弁49を有してよい。上流逆止弁47は、第1ポート41からシリンダ室13aへの流れを許容するとともに、その反対方向への流れを禁止してよい。下流逆止弁49は、シリンダ室13aから第2ポート43への流れを許容するとともに、その反対方向への流れを禁止してよい。
【0145】
この場合、例えば、流れに応じて自ら開閉する逆止弁の作用を利用して、ピストン15によるシリンダ室13a内のガスの圧縮の効率化を図ることができる。その結果、例えば、ソレノイド式のバルブによってガスの逆流を低減する態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)に比較して、制御が容易化される。
【0146】
供給装置1は、戻し流路39と、戻し制御弁53とを有してよい。戻し流路39は、上記少なくとも1つの空間(シリンダ室13a)の全てを避けて第1ポート41と第2ポート43とを接続してよい。戻し制御弁53は、戻し流路39を開閉してよい。
【0147】
さらに、供給装置1は、ACC圧センサ65と、制御装置105とを有してよい。ACC圧センサ65は、第2ポート43(別の観点ではアキュムレータ103)におけるガスの圧力を検出してよい。制御装置105は、ACC圧センサ65が目標圧力(例えばPt0、PtH又はPtL。より厳密には
図3の例ではP
L)よりも低いときに電動機9によってガスを圧縮してアキュムレータ103に供給するように電動機9及び戻し制御弁53を制御してよい(ステップST1及び2)。また、制御装置105は、ACC圧センサ65が目標圧力(例えばPt0、PtH又はPtL。より厳密には
図3の例ではP
H)よりも高いときにアキュムレータ103から戻し流路39を介して第1ポート41へガスを放出するように電動機9及び戻し制御弁53を制御してよい(ステップST3及び4)。
【0148】
これらの場合、例えば、供給装置1は、アキュムレータ103へのガスの供給だけでなく、アキュムレータ103からのガスの排出にも利用可能である。すなわち、供給装置1は、アキュムレータ103の圧力の上昇及び低下の双方を実現できる。また、例えば、アキュムレータ103からシリンダ室13aを経由してタンク3へガスを戻す態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれる)においては、上流逆止弁47及び下流逆止弁49をパイロット圧によって開かれる構成としなければならないが、そのような必要性がなくなる。なお、戻し流路39は、変形例のタンク3Aの圧力がアキュムレータ103の圧力よりも高い状態において、タンク3Aからアキュムレータ103へのガスの供給に利用されても構わない。
【0149】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態に係る供給装置201(成形機101A)の構成を示す模式図であり、
図1に対応している。
【0150】
供給装置201は、供給装置1と同様に、ガスが充填されていない(例えば大気圧と同等の圧力を有している)ガス室109aにガスを充填することに利用されてもよいし、ガスが充填されたガス室109aの圧力の調整に利用されてもよい。ここでは、第1実施形態とは逆に、ガスの充填に利用される態様を例に取る。
【0151】
供給装置201は、2つの点で第1実施形態と相違する。1つは、第2実施形態の圧縮部205では、圧縮シリンダ211は、2つのシリンダ室(213a及び213b)を有しており、ピストン15の往路及び復路の移動のいずれにおいてもガスの圧縮が行われる点である。もう1つは、上記のように、本実施形態では、供給装置201は、ガスの充填に利用される(圧力の調整に利用されない)ことが想定されており、これに起因する相違点である。具体的には、以下のとおりである。
【0152】
(圧縮部)
第2実施形態の圧縮部205は、圧縮シリンダの構成が第1実施形態の圧縮部5と相違する。第2実施形態の圧縮シリンダ211において、ピストン215は、例えば、ピストン本体215aと、ピストン本体215aから軸方向へ延びる第1ロッド215b及び第2ロッド215cとを有している。
【0153】
ピストン本体215aは、軸方向に直交する断面において、シリンダ部材213の内面の形状及び寸法と同等の形状及び寸法を有している。すなわち、ピストン本体215aは、シリンダ部材213内を摺動可能にシリンダ部材213内に収容されている。ピストン本体215aは、シリンダ部材213の内部を軸方向の一方側(
図5の下方)の第1シリンダ室213aと、その反対側の第2シリンダ室213bとに区画している。
【0154】
従って、ピストン本体215aは、第1シリンダ室213a側へ移動することによって、第1シリンダ室213a内のガスを圧縮してアキュムレータ103へ供給しつつ、タンク3Aからのガスを第2シリンダ室213bに受け入れることができる。逆に、ピストン本体215aは、第2シリンダ室213b側へ移動することによって、第2シリンダ室213b内のガスを圧縮してアキュムレータ103へ供給しつつ、タンク3Aからのガスを第1シリンダ室213aに受け入れることができる。
【0155】
第2ロッド215cは、ピストン本体215aから変換機構19側へ延びている。第2ロッド215cは、ピストン本体215aよりも径が小さい。これにより、第1実施形態とは異なり、シリンダ部材213の変換機構19側に第2シリンダ室213bが構成されている。シリンダ部材213は、変換機構19側に位置する端面部213eを有している。端面部213eは、開口213fを有している。第2ロッド215cは、開口213fからシリンダ部材213の外部へ延び出て、ピストン215と変換機構19との連結に寄与している。
【0156】
図示の例では、第2ロッド215cは、第1実施形態のピストン15と同様に、変換機構19の大部分を収容する構成とされている。ひいては、第2ロッド215cの径及び開口213fの径が第1実施形態のピストン15の径及び開口13fの径と同様に描かれている。ピストン本体215aは、第1実施形態のピストン15の一部を拡径したような構成となっている。シリンダ部材213も、第1実施形態のシリンダ部材13を拡径したような構成となっている。
【0157】
ただし、第2ロッド215c及びピストン本体215aの絶対的な径又は変換機構19に対する相対的な径等は任意である。第1実施形態の説明でも述べたように、ピストンと変換機構とは同心状に設けられなくてもよいし、変換機構はピストンと同心状に設けることが困難な構成(例えばリンク機構)であってもよい。
【0158】
第1実施形態から理解されるように、第1ロッド215bは設けられなくてもよい。第1ロッド215bは、例えば、第1シリンダ室213aの横断面(軸方向に直交する断面)の面積と第2シリンダ室213bの横断面の面積とを同等にすることに寄与している。両者の面積が同等になることによって、例えば、ピストン15が駆動されていない状態において、タンク3Aからのガスの圧力は、ピストン15を軸方向の一方側へ駆動する力としては作用しない。ひいては、電動機9がピストン15を軸方向の他方側へ駆動するときに電動機9に要求される駆動力が大きくなる蓋然性が低減される。また、例えば、往路におけるピストン15の移動距離に対するガスの圧縮量と、復路におけるピストン15の移動距離に対するガスの圧縮量とが同じになり、圧縮部205の制御が容易化される。
【0159】
具体的には、第1ロッド215bは、ピストン本体215aから変換機構19とは反対側(
図5の下方)へ延びている。第1ロッド215bは、ピストン本体215aよりも径が小さい。より詳細には、例えば、第1ロッド215bの径は、第2ロッド215cの径と同等である。シリンダ部材213は、変換機構19とは反対側に位置する端面部213dを有している。端面部213dは、開口213hを有している。第1ロッド215bは、開口213hからシリンダ部材213の外部へ延び出ている。このような構成により、第2シリンダ室213bの横断面の面積と同等の横断面の面積を有する第1シリンダ室213aが構成される。
【0160】
第1実施形態と同様に、ピストン本体215aとシリンダ部材213の内面との間にはパッキン33が設けられてよい。第2実施形態では、さらに、第1ロッド215bと開口213hの内面との間、及び第2ロッド215cと開口213fとの間にパッキン33が設けられてよい。
【0161】
(2つのシリンダ室に応じた回路)
ガス回路207は、圧縮部205が2つのシリンダ室を有していることに対応して、第1実施形態のガス回路7の構成要素のいくつかを2つずつ有している。具体的には、第1シリンダ室213aに関して、第1実施形態の上流流路35、下流流路37、上流逆止弁47及び下流逆止弁49に対応する、第1上流流路35A、第1下流流路37A、第1上流逆止弁47A及び第1下流逆止弁49Aが設けられている。同様に、第2シリンダ室213bに関して、第1実施形態の上記の流路及び逆止弁に対応する、第2上流流路35B、第2下流流路37B、第2上流逆止弁47B及び第2下流逆止弁49Bが設けられている。
【0162】
第1実施形態における上流流路35、下流流路37、上流逆止弁47及び下流逆止弁49並びにシリンダ室13aの構成及び作用の説明は、第1上流流路35A、第1下流流路37A、第1上流逆止弁47A及び第1下流逆止弁49A並びに第1シリンダ室213aの構成及び作用に適宜に援用されてよい。同様に、第1実施形態における上記流路、弁及びシリンダ室13aの構成及び作用の説明は、第2上流流路35B、第2下流流路37B、第2上流逆止弁47B及び第2下流逆止弁49B並びに第2シリンダ室213bの構成及び作用に適宜に援用されてよい。
【0163】
図示の例では、第1上流流路35A及び第2上流流路35Bは、例えば、第1ポート41側において一部が共通化されている。第1下流流路37A及び第2下流流路37Bは、第2ポート43側において一部が共通化されている。
【0164】
(ガスの充填を想定した供給装置の運用方法)
供給装置201は、ガスの充填に利用されるものであることから、
図5では、第1実施形態とは異なり(
図4(b)の変形例と同様に)、タンク3に代えて、比較的高い圧力でガスを収容しているタンク3Aが示されている。また、このタンク3Aは、供給装置201の外部の要素として示されている。
【0165】
図4(b)の変形例の説明で述べたように、ガスの充填に利用される供給装置は、必要に応じて成形機に接続される装置とされてよく、換言すれば、成形機の外部の装置として捉えられてよい。ただし、
図5では、便宜上、供給装置201は、成形機101Aの一部として示されている。以下の説明では、供給装置201は、成形機101Aの一部として言及されたり、成形機101Aの外部の装置として言及されたりすることがある。
【0166】
供給装置201が必要に応じて成形機101Aに接続される装置である態様において、供給装置201は、可搬式とされてよい。すなわち、供給装置201は、移動が容易な構成とされてよい。例えば、供給装置201は、当該供給装置201の支持を担うキャスター75(点線で示す)を有してよい。なお、圧力の調整に利用される供給装置(例えば第1実施形態)も、キャスターを有することなどによって可搬式とされていても構わない。
【0167】
(ガスの充填を想定した回路構成)
第2実施形態のガス回路207は、第1実施形態のガスの圧力の調整のための構成を有していない。すなわち、ガス回路207では、第1実施形態の戻し流路39、戻し制御弁53及び供給制御弁51が設けられていない。
【0168】
第2実施形態では、既述のように、タンク3Aは、交換されることが想定されている。これに伴い、
図5では、タンク3Aとガス回路207との接続態様に関して、
図1とは異なる態様が例示されている。具体的には、ガス回路207は、ストップバルブ55の口金又はその付近に第1ポート41を有している。そして、第1ポート41とタンク3Aのポート(符号省略)とは、接続部材123Bによって互いに接続されている。
【0169】
また、供給装置201は、必要に応じて成形機に接続される態様が想定されている。これに伴い、
図5では、アキュムレータ103とガス回路との接続態様に関して、
図1とは異なる態様が例示されている。具体的には、ガス回路207は、ストップバルブ57の口金又はその付近に第2ポート43を有している。そして、第2ポート43とアキュムレータ103のストップバルブ45とは、接続部材123Aによって互いに接続されている。
【0170】
接続部材123A及び123Bは、例えば、特に符号を付さないが、一部又は全部がパイプ及び/又はホースによって構成された流路と、その両端に位置する被着脱部を有している。被着脱部の構成は、例えば、タンク3の説明で述べた着脱部の構成に対応する構成を有している。
【0171】
上記の他、タンク3Bが交換されること、供給装置201が必要に応じて成形機に接続される態様であることに対応して、第1実施形態で示した各種のセンサ及び弁は、第1実施形態とは異なる位置に設けられてもよい。
【0172】
例えば、
図5の例では、タンク圧センサ63は、タンク3Bではなく、上流流路(35B等)に位置している。これにより、タンク3Bが交換されても、同一のタンク圧センサ63の検出値を用いることができる。なお、タンク圧センサ63のより具体的な位置は任意であり、例えば、第1上流流路35A及び第2上流流路35B(図示の例)のいずれであってもよいし、両者の共通化部分であってもよい。
【0173】
また、
図5の例では、ACC圧センサ65は、アキュムレータ103ではなく、下流流路(37B等)に位置している。これにより、種々の成形機に接続されても、同一のACC圧センサの検出値を用いることができる。ACC圧センサ65のより具体的な位置は任意であり、例えば、第1下流流路37A及び第2下流流路37B(図示の例)のいずれであってもよいし、両者の共通化部分であってもよい。
【0174】
また、安全弁61は、アキュムレータ103ではなく、下流流路(37B等)に位置している。これにより、種々の成形機に接続されても、アキュムレータ103における過度の圧力を逃がすことができる。安全弁61のより具体的な位置は任意であり、例えば、第1下流流路37A及び第2下流流路37B(図示の例)のいずれであってもよいし、両者の共通化部分であってもよい。
【0175】
(濃度センサ)
供給装置201は、ガスの成分の濃度を検出する濃度センサ71を有してよい。これにより、例えば、想定されているガスの種類(成分)とは異なる種類のガスをアキュムレータ103に充填する蓋然性が低減される。なお、濃度センサ71に係る構成は、第1実施形態の供給装置1に設けられても構わない。
【0176】
濃度センサ71は、アキュムレータ103に充填されていることが想定されているガスの成分を検出するものであってよい。逆に、濃度センサ71は、アキュムレータ103に充填されていることが想定されていない(例えば充填されることが望ましくない)ガスの成分を検出するものであってもよい。また、前者のセンサと後者のセンサとの双方が設けられてもよい。また、濃度センサ71は、2種以上の成分を検出可能であってもよい。この場合に、当該2種以上の成分は、アキュムレータ103に充填されることが想定されているガスの成分、及び/又はアキュムレータ103に充填されることが想定されていないガスの成分を含んでよい。
【0177】
具体的には、例えば、アキュムレータ103に充填されるガスとして、窒素又は空気が想定されている場合、濃度センサ71として、窒素の濃度を検出するものが利用されてよい。この場合、検出された窒素の濃度が所定の閾値よりも低い場合に、想定されているガスとは異なるガスが供給されていると判断することができる。
【0178】
また、例えば、アキュムレータ103に充填されるガスとして、窒素又は空気が想定されている場合、濃度センサ71として、酸素の濃度を検出するものが利用されてよい。この場合、検出された酸素の濃度が所定の閾値よりも高い場合に、想定されているガスとは異なるガスが供給されていると判断することができる。
【0179】
なお、以下の説明では、濃度センサ71が窒素の濃度及び酸素の濃度の双方を検出する(窒素の濃度を検出するセンサと、酸素の濃度を検出するセンサとの組み合わせであってよい)ことを想定した説明をすることがある。
【0180】
濃度を検出するセンサの具体的な構成は、種々のものとされてよく、公知の構成と同様とされて構わない。濃度は、例えば、体積比、単位体積中の質量、又は単位体積中の物質量(モル濃度)であってよい。
【0181】
濃度センサ71の位置は、例えば、第1ポート41から第2ポート43までの任意の位置とされてよい。図示の例では、濃度センサ71は、圧縮部205と第2ポート43との間に位置している。また、濃度センサ71と流路との間には、両者を接続及び遮断する制御弁73が設けられてよい。
【0182】
(ガスの充填に係る動作)
図6は、アキュムレータ103にガスを充填する動作を説明するためのグラフであり、
図2と同様の図である。
【0183】
線L11は、タンク3Aの圧力の経時変化を示している。線L12は、アキュムレータ103の圧力の経時変化を示している。ここでは、説明を簡便にするために、1つのタンク3Aのみで、アキュムレータ103の圧力を大気圧(
図6のatm)から目標圧力Pt0まで昇圧できる場合を想定している。
【0184】
まず、ガスの充填の初期においては、圧縮部205を駆動せず、単にタンク3Aとアキュムレータ103のガス室109aとを接続し、両者の圧力差によって、アキュムレータ103にガスを供給する。従って、時点t10~時点t11に示されているように、タンク3Aの圧力は徐々に低下し、逆に、アキュムレータ103の圧力は上昇する。そして、時点t11において、両圧力は同等になる。なお、以下では、このような充填を自然充填ということがある。
【0185】
その後、圧縮部205を駆動して、タンク3Aのガスをアキュムレータ103に供給する。これにより、アキュムレータ103の圧力は上昇していき、目標圧力Pt0に到達する。また、タンク3Aの圧力は低下していき、アキュムレータ103の圧力が目標圧力Pt0に到達した時点で適宜な大きさとなる。なお、以下では、このような充填を圧縮充填ということがある。
【0186】
(ガスの充填に係るフローチャートの例)
図7は、
図6を参照して説明した動作を実現するために制御装置105が実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0187】
この処理は、例えば、オペレータによって供給装置201の入力装置に対して所定の操作が行われたときに開始される。この処理が開始されるとき、供給装置201が成形機101Aに接続されているとともに、新たなタンク3Aが供給装置201に接続されている。また、電動機9は停止されている。
【0188】
ステップST11では、制御装置105は、
図6における時点t10~時点t11の期間を参照して説明した自然充填を開始する。自然充填は、例えば、ストップバルブ55又は57の付近に設けられた不図示のバルブが開かれるように当該バルブを制御装置105が制御することによって開始されてよい。あるいは、図示の例とは異なり、ストップバルブ55及び57等がオペレータによって手動で開かれることによって開始されても構わない。
【0189】
ステップST12では、制御装置105は、濃度センサ71が検出した窒素の濃度(図中でN2と示す)が所定の閾値CNよりも高いか否か判定する。制御装置105は、肯定判定のときはステップST13に進み、否定判定のときはステップST19に進む。これにより、後述する説明から理解されるように、想定されているガスの種類(窒素)と異なる種類のガスがアキュムレータ103に充填される蓋然性が低減される。
【0190】
ステップST13では、制御装置105は、濃度センサ71が検出した酸素の濃度(図中でO2と示す)が所定の閾値COよりも低いか否か判定する。制御装置105は、肯定判定のときはステップST14に進み、否定判定のときはステップST19に進む。これにより、後述する説明から理解されるように、想定されているガスの種類(窒素)と異なる種類のガスがアキュムレータ103に充填される蓋然性が低減される。
【0191】
ステップST14では、制御装置105は、タンク3Aが所定の圧力(例えば大気圧)まで低下するまでの時間、及び/又はアキュムレータ103の圧力が所望の圧力になるまでの時間を算出する。そして、制御装置105は、その算出した時間を表示装置に表示する。この算出は、タンク圧センサ63の検出圧力、ACC圧センサ65の検出圧力、目標圧力Pt0、圧縮部205の能力等に基づいて行われてよい。より詳細には、タンク圧センサ63の検出圧力の低下値、及びACC圧センサ65の検出圧力の上昇値が利用されてもよい。
【0192】
ステップST15では、制御装置105は、タンク圧センサ63の検出圧力Pkが、ACC圧センサ65の検出圧力Paと同等になったか否か(具体的な処理としては両者の差が所定の範囲内に収まったか否かであってもよい。)を判定する。そして、制御装置105は、肯定判定のときはステップST16に進み、否定判定のときは待機して(ステップST15を繰り返して)自然充填を継続する。
【0193】
ステップST16では、制御装置105は、圧縮部205を駆動して圧縮充填を開始する。より詳細には、制御装置105は、ピストン215が軸方向においてフルストロークで往復するように、第1リミットスイッチ67及び第2リミットスイッチ69の信号等に基づいて電動機9を制御する。
【0194】
ステップST17では、制御装置105は、タンク圧センサ63の検出圧力Pkが、大気圧(atm)に到達したか否か(具体的な処理としては両者の差が所定の範囲内に収まったか否かであってもよい。)を判定する。そして、制御装置105は、否定判定のときはステップST18に進み、肯定判定のときはステップST21に進む。これにより、例えば、後述する説明から理解されるように、タンク3Aの交換時期の到来がオペレータに報知される。
【0195】
ステップST18では、制御装置105は、ACC圧センサ65の検出圧力Paが、目標圧力Ptに到達したか否か(具体的な処理としては両者の差が所定の範囲内に収まったか否かであっても構わない。)を判定する。そして、制御装置105は、否定判定のときはステップST17に戻る。これにより、圧縮充填が継続される。
【0196】
一方、ステップST18において肯定判定がなされたときは、制御装置105は、圧縮充填を終了するための処理(不図示)を行い、ひいては、
図7に示すガスを充填するための処理を終了する。例えば、制御装置105は、電動機9を停止する。これにより、アキュムレータ103へのガスの供給は停止される。なお、アキュムレータ103から圧縮部205へのガスの逆流は、下流逆止弁(49A及び49B)によって禁止される。
【0197】
ステップST12又はST13において、ガスの種類が想定されたものではないと判定された場合は、例えば、ステップST19及びST20を経由して、
図7に示す処理を終了する。
【0198】
ステップST19では、制御装置105は、ガスの充填を終了するための処理を実行する。例えば、制御装置105は、ストップバルブ55又は57の付近に設けられた不図示のバルブを閉じてよい。これにより、想定されていないガスがアキュムレータ103に充填される蓋然性が低減される。
【0199】
ステップST20では、制御装置105は、第1ポート41に供給されたガス(ここではタンク3Aに収容されているガス)の種類が想定されたものでないこと(警告)をオペレータに報知するための処理を実行する。例えば、制御装置105は、所定の画像(文字を含む)を表示装置に表示したり、所定のランプを点灯若しくは点滅させたり、及び/又は所定の音響(音声を含む)を出力したりしてよい。
【0200】
ステップST17においてタンク圧センサ63の検出圧力Pkが大気圧(atm)に到達したと判定された場合は、制御装置105は、ステップST21を経由して、
図7に示す処理を終了する。
【0201】
ステップST21では、制御装置105は、タンク3Aを新たなものに交換する必要があることをオペレータに報知するための処理を実行する。例えば、制御装置105は、所定の画像(文字を含む)を表示装置に表示したり、所定のランプを点灯若しくは点滅させたり、及び/又は所定の音響(音声を含む)を出力したりしてよい。
【0202】
なお、タンク3Aの交換を繰り返し、アキュムレータ103の圧力が上昇すると、自然充填の開始時に、タンク3Aの圧力Pkがアキュムレータ103の圧力Paよりも低く、実質的に自然充填が行われないこともあり得る。
【0203】
目標圧力Ptは、新しいタンク3Aの圧力よりも高くされてよい。この場合、自然充填においてアキュムレータ103の圧力Paが目標圧力Ptに到達することはない。ただし、自然充填においてアキュムレータ103の圧力Paが目標圧力Ptに到達することがあり得る態様で供給装置201が運用されても構わない。この場合は、ステップST18と同様のステップを自然充填においても実行し、目標圧力Ptが得られたときにストップバルブ55又は57の付近に設けられた不図示のバルブを閉じてよい。
【0204】
上記のフローチャートは適宜に変形されてよい。例えば、ステップST12及びST13の一方又は双方は省略されてもよいし、両者の順序は逆であってもよい。ステップST14は省略されてよい。ステップST19及びST20の順番は逆であってもよい。ステップST19を省略し、ステップST20の警告によってオペレータにストップバルブ55等を閉めさせてもよい。なお、ステップST19及びST20は、いずれも、ステップST12及び/又はST13の否定判定に応じた異常時処理として捉えられてよい。ステップST17及びST18の順番は逆であってもよい。ステップST21では、タンク3Aの交換時期の到来をオペレータに報知するのではなく、タンク3Aを交換する動作を供給装置201が実行してもよい。ステップST21は、ステップST17の肯定判定に応じた信号を出力する処理として捉えられてよい。
【0205】
なお、
図6及び
図7を参照して説明した動作及びフローチャートは、第1実施形態の供給装置1をガスの充填に利用する場合において、供給装置1に適用されてよい。
【0206】
以上のとおり、本実施形態においても、供給装置201は、電動機9の駆動力を作動液を介さずにガスに付与することによってアキュムレータ103にガスを供給する。従って、第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0207】
供給装置201は、第1実施形態と同様に、収容部材(シリンダ部材213)及び可動部材(ピストン215)を有してよい。シリンダ部材213は、第1ポート41及び第2ポート43に通じる、少なくとも1つの空間(第1シリンダ室213a及び第2シリンダ室213b)を有してよい。シリンダ部材213は、上記の少なくとも1つの空間として、第1シリンダ室213aに加えて、ピストン215に対して第1シリンダ室213aとは反対側に、前記少なくとも1つの空間としての第2シリンダ室213bを更に有してよい。
【0208】
この場合、例えば、ピストン215の往路の移動だけでなく、ピストン215の復路の移動によってもガスを圧縮することができる。その結果、ガスの充填速度が向上する。例えば、第1実施形態と第2実施形態とで、シリンダ室の横断面の面積が同等で、ピストンの移動速度が同等であると仮定した場合、第1実施形態に比較して、ガスの充填の速度が2倍になる。なお、第1実施形態の第2実施形態に比較した有利な効果については既に述べた。
【0209】
供給装置201は、ガスに含まれる所定の成分の濃度を検出する濃度センサ71を更に有してよい。
【0210】
さらに、供給装置201は、制御装置105を有してよい。制御装置105は、濃度センサ71が検出する所定の成分(例えば窒素)の濃度が所定の閾値以下であるとき(ステップST12の否定判定)、又は濃度センサが検出する所定の成分(例えば酸素)の濃度が所定の閾値以上であるとき(ステップST13の否定判定)、第1ポート41から第2ポート43へのガスの供給を停止する処理(ステップST19)、及び所定の警告を報知する処理(ステップST20)の少なくとも一方を実行してよい。
【0211】
これらの場合、例えば、誤って異なる種類のガスがアキュムレータ103に充填される蓋然性が低減される。例えば、窒素を収容したタンクと、酸素を収容したタンクとが取り違えられて、酸素がアキュムレータ103に充填されてしまう蓋然性が低減される。ひいては、アキュムレータ103に対するガスの充填に関する安全性が向上する。
【0212】
供給装置201は、該供給装置201を可搬にするキャスター75を更に有してよい。
【0213】
この場合、供給装置201を複数の成形機101Aに対して順に利用することが容易化される。
【0214】
供給装置201は、第1圧力センサ(タンク圧センサ63)と、第2圧力センサ(ACC圧センサ65)と、制御装置105とを有してよい。タンク圧センサ63は、第1ポート41におけるガスの圧力を検出してよい。ACC圧センサ65は、第2ポート43におけるガスの圧力を検出してよい。制御装置105は、電動機9が停止している状態で、第1ポート41から第2ポート43へガスが流れ、タンク圧センサ63の検出値が低下するとともにACC圧センサ65の検出値が上昇し、これらの検出値が同等となったときに(ステップST15の肯定判定)、電動機9によるガスの圧縮を開始する(ステップST16)ように電動機9を制御してよい。
【0215】
この場合、充填の全期間に亘って圧縮部205を駆動するのではなく、一部の期間においては圧力差を利用した自然充填が行われる。その結果、圧縮部205の消費エネルギーが低減される。なお、実施形態とは異なり、充填の全期間に亘って圧縮部205が駆動されても構わない。
【0216】
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態に係る供給装置301(成形機101B)の構成を示す模式図であり、
図1に対応している。
【0217】
供給装置301は、端的に言えば、第1実施形態と第2実施形態との組み合わせである。すなわち、第1実施形態の圧力を調整するための構成に対して、第2実施形態の圧縮部205を適用した構成である。
【0218】
具体的には、供給装置301のガス回路307は、圧力を調整する動作が想定されていることから、第1実施形態のガス回路7と同様に、戻し流路39、供給制御弁51及び戻し制御弁53を有している。また、ガスタンクとしては、第1実施形態のタンク3が示されている。アキュムレータ103と供給装置301との接続態様、及びタンク3と供給装置301との接続態様も第1実施形態と同様である。一方で、圧縮部205は、第2実施形態のものであり、その周囲の流路も第2実施形態と同様である。
【0219】
<成形機の具体例>
(成形機の全体構成)
図9は、成形機101の具体例であるダイカストマシンを示す側面図である。なお、ここでは成形機101の符号を用いているが、図示のダイカストマシンは、成形機101A又は101Bの具体例として捉えられてもよい。この図の上下方向は鉛直方向である。
【0220】
成形機101は、未硬化状態の金属材料を型Md0の内部(キャビティCa)へ射出し、金属材料を型Md0内で凝固させることにより、ダイカスト品(成形品)を製造するものである。未硬化状態は、例えば、液状又は固液共存状態である。金属は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金である。なお、以下では、未硬化の金属材料として、基本的に溶湯(液状の金属材料)を例に取る。型Md0は、例えば、固定型Md1及び移動型Md2を含んでいる。
【0221】
成形機101は、例えば、成形のための機械的動作を行うマシン本体125と、マシン本体125の動作を制御する制御装置105とを有している。マシン本体125は、例えば、型Md0の開閉及び型締めを行う型締装置127と、型Md0内に溶湯を射出する射出装置129と、ダイカスト品を固定型Md1又は移動型Md2(
図9では移動型Md2)から押し出す押出装置131とを有している。
【0222】
成形サイクルにおいて、型締装置127は、移動型Md2を固定型Md1へ向かって移動させ、型閉じを行う。さらに、型締装置127は、タイバー(符号省略)の伸長量に応じた型締力を型Md0に付与して型締めを行う。型締めされた型Md0内には成形品と同一形状のキャビティCaが構成される。射出装置129は、そのキャビティCaへ溶湯を射出・充填する。キャビティCaに充填された溶湯は、型Md0に熱を奪われて冷却され、凝固する。これにより、成形品が形成される。その後、型締装置127は、移動型Md2を固定型Md1から離れる方向へ移動させて型開きを行う。この際、又はその後、押出装置131は、移動型Md2から成形品を押し出す。
【0223】
制御装置105は、例えば、インターフェース装置141の一部及び不図示の制御盤を含んで構成されてよい。インターフェース装置141は、オペレータの入力操作を受け付ける入力装置145と、画像を表示する表示装置143と、を有している。表示装置143は、例えば、液晶表示ディスプレイ乃至は有機ELディスプレイを含んだタッチパネルによって構成されている。入力装置145は、例えば、機械式のスイッチ及び前記のタッチパネルによって構成されている。
【0224】
なお、これまでに供給装置の入力装置及び表示装置について言及したが、これらは、入力装置145及び表示装置143とされてよい。第2実施形態のように成形機と供給装置とが別個の装置の場合においては、図示のような入力装置145及び表示装置143が供給装置に設けられてよい。
【0225】
(射出装置の全体構成)
図10は、射出装置129の構成を示す模式図である。
【0226】
射出装置129は、例えば、型Md0内に通じる射出スリーブ133と、射出スリーブ133内を摺動可能なプランジャ135と、プランジャ135を駆動する射出シリンダ137とを有している。なお、射出装置129の説明においては、型Md0側を前方、その反対側を後方ということがある。
【0227】
射出スリーブ133は、例えば、固定型Md1に連結された筒状部材であり、上面には溶湯を射出スリーブ133内に受け入れるための供給口(符号省略)が開口している。プランジャ135は、例えば、射出スリーブ133内を前後方向に摺動可能なプランジャチップ135aと、先端がプランジャチップに固定されたプランジャロッド135bとを有している。
【0228】
型締装置127による型Md0の型締めが完了すると、不図示の給湯装置によって1ショット分の溶湯が供給口から射出スリーブ133内へ注がれる。そして、プランジャ135が図示の位置から射出スリーブ133内を前方へ摺動することにより、射出スリーブ133内の溶湯が型Md0内に押し出される(射出される)。
【0229】
(射出シリンダ)
射出シリンダ137は、プランジャ135の後方にプランジャ135と同軸的に配置されている。図示の例の射出シリンダ137は、いわゆる増圧式のものとされている。具体的には、射出シリンダ137は、シリンダ部材147と、シリンダ部材147の内部を摺動可能な射出ピストン149及び増圧ピストン150と、射出ピストン149から前方(プランジャ135側)へ延びるピストンロッド153と、を有している。
【0230】
シリンダ部材147は、主として射出ピストン149が摺動する小径シリンダ(符号省略)と、その後方に位置しており、増圧ピストン150が摺動する大径シリンダ(符号省略)とを有している。後者は、前者よりも径が大きくされている。また、小径シリンダの内部は、射出ピストン149によって、ピストンロッド153側のロッド側室147rと、その反対側のヘッド側室147hに区画されている。増圧ピストン150は、小径シリンダを摺動する小径ピストン(符号省略)と、大径シリンダを摺動する大径シリンダ(符号省略)とを有している。大径シリンダは、大径ピストンによって、前側室147aと、後側室147bとに区画されている。
【0231】
アキュムレータ103の作動液は、例えば、ヘッド側室147h及び後側室147bに供給される。
【0232】
具体的には、弁157が開かれてアキュムレータ103の作動液がヘッド側室147hに供給される。これにより、射出ピストン149が前進し、ひいては、射出(例えば低速射出及び高速射出)が行われる。このとき、ロッド側室147rの作動液は、例えば、流量制御弁161(別の観点ではメータアウト回路)を介してタンク163に排出される。
【0233】
また、溶湯がキャビティCaに概ね充填されると、弁159が開かれることによってアキュムレータ103の作動液が後側室147bに供給される。増圧ピストン150は、ヘッド側室147hから圧力を受ける面積と、後側室147bから圧力を受ける面積との比で、アキュムレータ103からの圧力を増圧してヘッド側室147hへ伝える。このときヘッド側室147hからの作動液の排出は弁157によって禁止される。
【0234】
なお、ここで示す射出装置129は、一例に過ぎない。例えば、射出シリンダは、増圧ピストン150を有さない単胴式のものであってもよい。また、プランジャ135の前進及び後退の一部は、電動機によって行われてもよい。すなわち、射出装置は、いわゆるハイブリッド式のものであってもよい。
図1の説明で述べたように、アキュムレータ103の作動液の供給先は、射出装置以外であってもよい。
【0235】
本発明は、以上の実施形態及び変形例に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0236】
例えば、供給装置が適用される機械は、成形機に限定されない。例えば、工作機械又はロボット等の他の産業機械であってもよい。
【0237】
実施形態では、ガスタンクから供給装置へガスが供給された。換言すれば、第1ポート41はタンク3(3A)に接続された。ただし、ガスが空気である場合においては、第1ポートは、タンクに接続されずに、大気開放されていてもよい。
【0238】
供給装置の圧縮部において可動部材(例えばピストン)を駆動する電動機は、回転式のものでなくてもよく、リニアモータであってもよい。
【符号の説明】
【0239】
1…供給装置、3…ガスタンク、5…圧縮部、9…電動機、11…圧縮シリンダ、13…シリンダ部材、101…成形機、103…アキュムレータ。