(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】インプリント用樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 83/04 20060101AFI20241204BHJP
C08K 3/20 20060101ALI20241204BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
C08L83/04
C08K3/20
H01L21/30 502D
(21)【出願番号】P 2021533959
(86)(22)【出願日】2020-07-13
(86)【国際出願番号】 JP2020027278
(87)【国際公開番号】W WO2021015044
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】P 2019136038
(32)【優先日】2019-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000214250
【氏名又は名称】ナガセケムテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 祐基
(72)【発明者】
【氏名】植月 洋平
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-163786(JP,A)
【文献】国際公開第2008/105309(WO,A1)
【文献】特開2008-208234(JP,A)
【文献】特開2009-206197(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109251338(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)
(R
1SiO
3/2)
a(R
2
2SiO
2/2)
b
(R
3
3SiO
1/2)
c(SiO
4/2)
d (1)
(一般式(1)中、R
1、R
2、R
3は、それぞれ独立して水素原子、水酸基、アルコキシ基、炭素数1~12の炭化水素基、または、1以上の架橋性官能基を有する炭素数1~12の置換基であって、R
1、R
2、R
3のそれぞれが複数存在する場合、それらは異なっていても良く、R
1、R
2、R
3のうち少なくとも1つは、1以上の架橋性官能基を有する炭素数1~12の置換基であり、
a、b、c及びdは、0.001≦a≦1.00、0≦b≦0.999、0≦c≦0.30、0≦d≦0.30、及びa+b+c+d=1.0を満たす数である。)
で表されるポリシロキサン樹脂と(B)無機酸化物微粒子とを含み、
ポリシロキサン樹脂(A)とアルコキシシラン化合物及び任意成分である硬化性樹脂の合計重量と、無機酸化物微粒子(B)の重量との重量比が0.2~2.5であり、
組成物の固形分率が10~85重量%であるインプリント用樹脂組成物。
【請求項2】
炭素数1~12の置換基が有する架橋性官能基が(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロキシ基、ビニル基またはエポキシ基である請求項1に記載のインプリント用樹脂組成物。
【請求項3】
ポリシロキサン樹脂(A)の重量平均分子量が1000~5000である請求項1または2に記載のインプリント用樹脂組成物。
【請求項4】
無機酸化物微粒子(B)の分散後の平均粒子径が10~70nmである請求項1~3のいずれかに記載のインプリント用樹脂組成物。
【請求項5】
ポリシロキサン樹脂(A)とアルコキシシラン化合物及び任意成分である硬化性樹脂の合計重量と、無機酸化物微粒子(B)の重量との重量比が0.25~1である請求項1~4のいずれかに記載のインプリント用樹脂組成物。
【請求項6】
無機酸化物微粒子(B)が酸化ジルコニウムまたは酸化チタンである
請求項1~5のいずれかに記載のインプリント用樹脂組成物。
【請求項7】
基材と、
請求項1~6のいずれかに記載のインプリント用樹脂組成物の硬化物からなる凸部または凹部を有するインプリント基板。
【請求項8】
請求項1~6のいずれかに記載のインプリント用樹脂組成物を基材に塗布する工程、および、
ナノインプリント法でパターニングする工程
を含むインプリント基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリント用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロレンズ、回折光学素子等の光学素子の小型化や製造プロセスの簡略化から、露光や現像といった複数の工程を必要とする電子線リソグラフィーの代わりに、鋳型を基板に押し付け、鋳型の形状を転写することでサブミクロン以下の微細加工を行うインプリント法が用いられてきている。このようなインプリント法には、インプリントプロセスで加工可能で、高透明・高屈折率を示す樹脂材料が求められている。屈折率を上げるためには芳香環を有する化合物や高屈折無機材料の含有量を増やす必要があるが、UVインプリントプロセスに適用可能な粘度を有し、良好な光学特性を有する硬化物を提供する組成物の開発には至っていなかった。
【0003】
特許文献1には、ポリシロキサンとシリカ微粒子を含むインプリント用組成物が開示されている。しかしながら、実施例においては、シリカの配合量が少ない組成物しか検討されておらず、加えてボトムコートを使用することを前提としている。
【0004】
特許文献2には、ポリシロキサンと微粒子を含む組成物と、インプリント用途が開示されている。しかしながら、環状ポリシロキサンを使用しており、インプリント性に関する具体的評価も行われていない。
【0005】
特許文献3には、微粒子を含むインプリント組成物が開示されている。しかしながら、アクリル樹脂とシリカを使用しており、実施例においてシリカの配合量も少ない組成物しか検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2005-527110号公報
【文献】特開2016-160285号公報
【文献】国際公開第2008/105309号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、インプリント性とともに、高屈折率、低ヘイズ等の光学特性にも優れたインプリント用樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、インプリント性について検討したところ、ポリシロキサン樹脂と無機酸化物微粒子を含む樹脂組成物において、無機酸化物微粒子の含有量を増大させて、ポリシロキサン樹脂(A)と任意成分であるアルコキシシラン化合物及び硬化性樹脂の合計重量と、無機酸化物微粒子(B)の重量との重量比を0.2~2.5にすると、インプリント性と光学特性を両立できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、
(A)下記一般式(1)
(R1SiO3/2)a(R2
2SiO2/2)b(R3
3SiO1/2)c(SiO4/2)d (1)
(一般式(1)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立して水素原子、水酸基、アルコキシ基、炭素数1~12の炭化水素基、または、1以上の架橋性官能基を有する炭素数1~12の置換基であって、R1、R2、R3のそれぞれが複数存在する場合、それらは異なっていても良く、R1、R2、R3のうち少なくとも1つは、1以上の架橋性官能基を有する炭素数1~12の置換基であり、
a、b、c及びdは、0.001≦a≦1.00、0≦b≦0.999、0≦c≦0.30、0≦d≦0.30、及びa+b+c+d=1.0を満たす数である。)
で表されるポリシロキサン樹脂と(B)無機酸化物微粒子とを含み、
ポリシロキサン樹脂(A)と任意成分であるアルコキシシラン化合物及び硬化性樹脂の合計重量と、無機酸化物微粒子(B)の重量との重量比が0.2~2.5であるインプリント用樹脂組成物に関する。
【0010】
炭素数1~12の置換基が有する架橋性官能基は、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロキシ基、ビニル基またはエポキシ基であることが好ましい。
【0011】
ポリシロキサン樹脂(A)の重量平均分子量が1000~5000であることが好ましい。
【0012】
無機酸化物微粒子(B)の分散後の平均粒子径が10~70nmであることが好ましい。
【0013】
ポリシロキサン樹脂(A)と任意成分であるアルコキシシラン化合物及び硬化性樹脂の合計重量と、無機酸化物微粒子(B)の重量との重量比が0.25~1であることが好ましい。
【0014】
無機酸化物微粒子(B)が酸化ジルコニウムまたは酸化チタンであることが好ましい。
【0015】
また、本発明は、基材と、前記インプリント用樹脂組成物の硬化物からなる凸部または凹部を有するインプリント基板に関する。
【0016】
さらに、本発明は、前記インプリント用樹脂組成物を基材に塗布する工程、および、ナノインプリント法でパターニングする工程を含むインプリント基板の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明のインプリント用樹脂組成物は、ポリシロキサン樹脂(A)と任意成分であるアルコキシシラン化合物及び硬化性樹脂の合計重量と、無機酸化物微粒子(B)の重量との重量比が0.2~2.5であるため、インプリント性と光学特性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<<インプリント基板用樹脂組成物>>
本発明のインプリント用樹脂組成物は、
(A)下記一般式(1)
(R1SiO3/2)a(R2
2SiO2/2)b(R3
3SiO1/2)c(SiO4/2)d (1)
(一般式(1)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立して水素原子、水酸基、アルコキシ基、炭素数1~12の炭化水素基、または、1以上の架橋性官能基を有する炭素数1~12の置換基であって、R1、R2、R3のそれぞれが複数存在する場合、それらは異なっていても良く、R1、R2、R3のうち少なくとも1つは、1以上の架橋性官能基を有する炭素数1~12の置換基であり、
a、b、c及びdは、0.001≦a≦1.00、0≦b≦0.999、0≦c≦0.30、0≦d≦0.30、及びa+b+c+d=1.0を満たす数である。)
で表されるポリシロキサン樹脂と(B)無機酸化物微粒子とを含み、
ポリシロキサン樹脂(A)と任意成分であるアルコキシシラン化合物及び硬化性樹脂の合計重量と、無機酸化物微粒子(B)の重量との重量比が0.2~2.5であることを特徴とする。
【0019】
<(A)ポリシロキサン樹脂>
ポリシロキサン樹脂(A)は、下記一般式(1)
(R1SiO3/2)a(R2
2SiO2/2)b(R3
3SiO1/2)c(SiO4/2)d (1)
(一般式(1)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立して水素原子、水酸基、アルコキシ基、炭素数1~12の炭化水素基、または、1以上の架橋性官能基を有する炭素数1~12の置換基であって、R1、R2、R3のそれぞれが複数存在する場合、それらは異なっていても良く、R1、R2、R3のうち少なくとも1つは、1以上の架橋性官能基を有する炭素数1~12の置換基であり、
a、b、c及びdは、0.001≦a≦1.00、0≦b≦0.999、0≦c≦0.30、0≦d≦0.30、及びa+b+c+d=1.0を満たす数である。)
で表される。
【0020】
R1、R2、R3は、それぞれ独立して水素原子、水酸基、アルコキシ基、炭素数1~12の炭化水素基、または、1以上の架橋性官能基を有する炭素数1~12の置換基である。炭化水素基とは、炭素と水素からなる基であって、たとえば脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基などが挙げられ、1以上の架橋性官能基を有する炭素数1~12の置換基とは、炭素数1~12の炭化水素基の1以上の水素が架橋性官能基で置換されたものをいう。ここで、炭化水素基の炭素数は、1~6が好ましい。R1、R2、R3のそれぞれが複数存在する場合、それらは異なっていても良い。また、R1、R2、R3のうち少なくとも1つは、1以上の架橋性官能基を有する炭素数1~12の置換基であることが必要である。架橋性官能基としては、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロキシ基、ビニル基、エポキシ基等が挙げられる。
【0021】
aは0.1~1が好ましく、bは0~0.7が好ましく、cは0~0.2が好ましく、dは0~0.1が好ましい。上記範囲内であると、無機微粒子分散液との相溶性が良く、硬化性の良い組成物が得られる。
【0022】
ポリシロキサン樹脂の製造方法は、特に限定されないが、例えばアルコキシシランの加水分解及び縮合反応によって得られる。
【0023】
(アルコキシシラン)
アルコキシシランとしては、下記式(a)により表される化合物であってよい。
SiR4 (a)
式(a)中、4つのRは、それぞれ水素、水酸基、アルコキシ基、脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基であり、4つのRのうち少なくとも1以上のRがアルコキシ基である。そして、アルコキシ基、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基は、それぞれ置換基を有してよい。
【0024】
4つのRのうち、1つのRがアルコキシ基である場合はモノアルコキシシラン、2つのRがアルコキシ基である場合はジアルコキシシラン、3つのRがアルコキシ基である場合はトリアルコキシシラン、4つのRがアルコキシ基である場合はテトラアルコキシシランというところ、ポリシロキサン樹脂の製造に使用するアルコキシシランは、モノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランのいずれであってもよい。
【0025】
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基及びエトキシ基等のC1-4アルコキシ基が挙げられる。脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s-ブチル基、及びt-ブチル基等のC1-20アルキル基が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、及びキシリル基等のアリール基;並びにベンジル基等のアラルキル基が挙げられる。
【0026】
脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が有する置換基としては、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロキシ基、ビニル基、エポキシ基等の架橋性官能基、1級アミノ基、チオール基、及びスチリル基等が挙げられる。
【0027】
アルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メトキシトリメチルシラン等の脂肪族炭化水素基を有するアルコキシシラン;フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン等の芳香族炭化水素基を有するアルコキシシラン;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、2-アミノフェニルトリメトキシシラン、3-アミノフェニルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3-アミノプロピルジメチルエトキシシラン等のアミノ基を有するアルコキシシラン;3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリル基を有するアルコキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン等のビニル基を有するアルコキシシラン;β-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシ基を有するアルコキシシランが挙げられる。
【0028】
加水分解及び縮合反応においては、架橋性官能基を有するアルコキシシランと必要に応じて架橋性官能基を有さないアルコキシシランとを組み合わせて用いることができる。また、ジメチルシランジオール、ジイソプロピルシランジオール、ジイソブチルシランジオール、ジ-n-プロピルシランジオール、ジ-n-ブチルシランジオール、ジ-t-ブチルシランジオール、フェニルメチルシランジオール、ジシクロヘキシルシランジオール、エチルシラントリオール、及びジフェニルシランジオール等の加水分解性シランを組み合わせて用いても良い。
【0029】
(加水分解及び縮合反応)
加水分解及び縮合反応は、好ましくは、30~120℃、1~24時間、より好ましくは、40~90℃、2~12時間、さらに好ましくは、45~80℃、3~8時間の温度及び時間条件にて行うことができる。
【0030】
加水分解及び縮合反応によりアルコキシシラン中のアルコキシ基がシロキサン結合を形成し、ポリシロキサン樹脂が得られるが、ポリシロキサン樹脂中には未反応のアルコキシ基やアルコキシ基が加水分解した水酸基が一部残存していてもよい。
【0031】
加水分解及び縮合反応は、触媒を使用してもよく、その触媒としては、例えば、塩基性触媒、及び酸性触媒を挙げることができる。塩基性触媒としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、カリウム-t-ブトキシド、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウム等を挙げることができる。これらのなかでも、触媒活性が高いことからテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、カリウム-t-ブトキシド、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましく用いられる。酸性触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、リン酸、ホウ酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルフォン酸、及びp-トルエンスルホン酸等を挙げることができる。
【0032】
加水分解・縮合反応には必要に応じて溶媒を使用することができる。このような溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、3-メトキシブチル-1-アセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類を挙げることができ、ケトン類、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、または芳香族炭化水素類が好ましい。これらの溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0033】
溶媒の配合量としては、アルコキシシラン100質量部に対し、50~500質量部が好ましく、100~400質量部がより好ましい。
【0034】
ポリシロキサン樹脂(A)の重量平均分子量は特に限定されないが、1000~5000が好ましく、1300~3700がより好ましい。上記範囲内であると、硬化性に優れ、光学特性やインプリント性に優れる傾向がある。
【0035】
<(B)無機酸化物微粒子>
無機酸化物微粒子(B)は特に限定されないが、例えば、1種の金属元素から構成される金属酸化物や、2種以上の金属元素から構成される複合金属酸化物が挙げられる。1種の金属元素から構成される金属酸化物としては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化鉄(Fe2O3、FeO、Fe3O4)、酸化銅(CuO、Cu2O)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化モリブデン(MoO3)、酸化インジウム(In2O3、In2O)、酸化スズ(SnO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化タングステン(WO3、W2O5)、酸化鉛(PbO、PbO2)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化セリウム(CeO2、Ce2O3)、酸化アンチモン(Sb2O5)、酸化ゲルマニウム(GeO2、GeO)等が挙げられる。これらの無機酸化物微粒子は、単独で用いても、2種以上を併用しても良い。無機微粒子は、入手の容易さ、屈折率等の光学特性の調整が容易であることから、酸化ジルコニウム、酸化チタンが好ましい。
【0036】
2種以上の金属元素から構成される複合酸化物としては、例えば、チタン酸バリウム等のチタン酸塩、チタン/ケイ素複合酸化物、イットリウム安定化ジルコニア等が挙げられる。このような複合酸化物は、多成分の元素からなる化合物や固溶体だけではなく、核となる金属酸化物微粒子の周囲を他の金属元素で構成される金属酸化物で被覆したコアシェル構造を有するもの、1個の金属酸化物微粒子の中に他の複数の金属酸化物微粒子が分散しているような多成分分散型の構造を有するものを包含する。
【0037】
無機酸化物微粒子の一次粒子径は特に限定されないが、1~50nmが好ましく、5~30nmがより好ましい。1nm未満であると、無機酸化物微粒子の比表面積が大きく、凝集エネルギーが高いため、分散安定性を保つことが困難となることがある。一方、50nmを超えると、薄膜や成形体中の無機酸化物微粒子による光の散乱が激しくなり、透明性を高く維持できないことがある。なお、一次粒子径は、SEM、TEM等の電子顕微鏡や、比表面積からの換算で測定することができる。
【0038】
無機酸化物微粒子としては、予め、各種の溶媒中に分散させたものを使用しても良い。溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール、ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン等のエステル類、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。溶媒と金属酸化物微粒子との配合割合は、特に限定されないが、30:70~90:10が好ましい。
【0039】
無機酸化物微粒子を分散させるために、分散剤を配合することができる。分散剤は溶媒中に分散できれば特に限定されないが、例えば、ポリアクリル酸系分散剤、ポリカルボン酸系分散剤、リン酸系分散剤、シリコーン系分散剤が挙げられる。
【0040】
ポリアクリル酸系分散剤としては、例えばポリアクリル酸ナトリウムが挙げられ、市販品としてアロンシリーズ(東亞合成株式会社製)、シャロールシリーズ(第一工業製薬株式会社製)が挙げられる。
【0041】
ポリカルボン酸系分散剤としては、例えばカチオンで中和されていない酸性タイプのものやポリカルボン酸アンモニウム塩が挙げられ、市販品としてAH-103P(第一工業製薬株式会社製)、SNディスパーサント5020、SNディスパーサント5468(サンノプコ株式会社製)、ポイズ532A、ポイズ2100(花王株式会社製)、マリアリムAKM-0531、マリアリムAKM-1511-60、マリアリムHKM-50A、マリアリムHKM-150A(日油株式会社製)が挙げられる。
【0042】
リン酸系分散剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルが挙げられる。市販品としてフォスファノールRA-600、ML-220(東邦化学工業株式会社製)、ディスパロンPW-36(楠本化成株式会社製)が挙げられる。
【0043】
シリコーン系分散剤としては、例えば、変性シリコーンオイル等が挙げられる。市販品として、ES-5612(デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社製)が挙げられる。
【0044】
分散剤の配合量は、無機酸化物微粒子100重量部に対して0.25~30重量部が好ましく、0.25~8重量部がより好ましく、0.5~7重量部がさらに好ましく、1~5重量部が最も好ましい。配合量が0.25重量部未満では、無機酸化物微粒子が十分に分散されないことがあり、30重量部を超えると薄膜、成形体等に加工した際に耐光性や耐熱性を低下させてしまうことや無機酸化物微粒子の特性が十分に得られないことがある。
【0045】
分散液をポリシロキサン樹脂と混合したときに無機酸化物微粒子とポリシロキサン樹脂との親和性を高めるために、アルコキシシラン化合物を配合することができる。分散液を酸性条件又はアルカリ性条件にすると、無機酸化物微粒子の表面に存在する水酸基とアルコキシシラン化合物が反応し、無機酸化物微粒子の表面処理を行うことができる。
【0046】
アルコキシシラン化合物としては、
下記式(I)
SiR4 (I)
(式中、Rは、水素、水酸基、炭素数1~4のアルコキシ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基である。但し、4つのRのうち少なくとも1個は炭素数1~4のアルコキシ基又は水酸基である)
で表される化合物が好ましい。
【0047】
アルコキシシラン化合物の具体例としては、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のジアルコキシシランが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、トリアルコキシシランが好ましく、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランがより好ましい。
【0048】
アルコキシシラン化合物の配合量は、無機酸化物微粒子100重量部に対して4~50重量部が好ましく、6~38重量部がより好ましく、8~20重量部がさらに好ましい。配合量が4重量部未満では、無機酸化物微粒子を均一に分散することが難しいことがあり、50重量部を超えると無機酸化物を高充填できず目的の特性が得られないことがある。
【0049】
分散液中に分散剤及びアルコキシシラン化合物を含む場合、分散剤とアルコキシシラン化合物の重量比は、20:80~5:95が好ましく、18:82~7:93がより好ましく、18:82~9:91がさらに好ましい。分散剤20に対しアルコキシシラン化合物の重量比が80を下回ると分散剤が過剰となり、薄膜、成形体等に加工した際に特性低下の原因となることがあり、分散剤5に対しアルコキシシラン化合物の重量比が95を超えると均一な分散液を作製するのが難しいことがある。
【0050】
インプリント用樹脂組成物中での無機酸化物微粒子の平均粒子径は10~70nmが好ましく、10~50nmがより好ましい。10nm未満とするには、一次粒子径の小さい粒子を用いる必要があるため、分散が困難となることがある。一方、70nmを超えると、薄膜、成形体等の硬化物にした際に、白濁することがある。平均粒子径は動的光散乱法、レーザー回折法等の装置測定することができる。
【0051】
ポリシロキサン樹脂(A)と任意成分であるアルコキシシラン化合物及び硬化性樹脂の合計重量と、無機酸化物微粒子(B)の重量との重量比は0.2~2.5であるが、0.25~1.0が好ましい。また、ポリシロキサン樹脂(A)と任意成分であるアルコキシシラン化合物の合計重量と、無機酸化物微粒子(B)の重量との重量比は0.2~2.5が好ましく、0.25~1.0がより好ましい。上記範囲内であると、インプリント性に優れ、光学素子に求められる光学特性を十分に満足する。
【0052】
また、無機酸化物微粒子(B)は、インプリント用樹脂組成物の固形分中、25~80重量%が好ましく、30~80重量%がより好ましく、35~75重量%がさらに好ましい。上記範囲内であると、インプリント性に優れ、光学特性に求められる光学特性を十分に満足する。
【0053】
<任意成分>
本発明のインプリント用樹脂組成物には、前述した成分に加えて、任意に他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、エポキシ樹脂やアクリレート、メラミン等のポリシロキサン樹脂以外の硬化性樹脂、アクリル樹脂やポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂、重合開始剤、レベリング剤、界面活性剤、光増感剤、消泡剤、中和剤、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、溶媒等が挙げられる。
【0054】
硬化性樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、フェノールノボラック型、ベンゼン環を多数有した多官能型であるテトラキス(ヒドロキシフェニル)エタン型又はトリス(ヒドロキシフェニル)メタン型、ビフェニル型、トリフェノールメタン型、ナフタレン型、オルソノボラック型、ジシクロペンタジエン型、アミノフェノール型、フルオレン型、脂環式等のエポキシ樹脂、シリコーンエポキシ樹脂等のエポキシ樹脂;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン等のアクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルまたは1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物や、9,9-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)フルオレン等のフルオレンを有するエポキシ化合物、メラミン等が挙げられる。
【0055】
硬化性樹脂の配合量としては、無機微粒子100重量部に対して、0~100重量部が好ましく、0.1~50重量部がより好ましい。また、硬化性樹脂の配合量としては、ポリシロキサン樹脂(A)100重量部に対して、0~50000重量部が好ましく、0~10000重量部がより好ましく、0~1000重量部がさらに好ましく、1~100重量部が特に好ましく、5~50重量部が最も好ましい。
【0056】
ポリシロキサン樹脂(A)の配合量としては、無機微粒子100重量部に対して、0.01~500重量部が好ましく、0.1~300重量部がより好ましく、0.2~200重量部がさらに好ましい。
【0057】
重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤等を使用できる。これらの重合開始剤は単独で使用してもよく、2種以上の重合開始剤、例えば、2種以上の光ラジカル重合開始剤又は2種以上の熱ラジカル重合開始剤を併用してもよく、あるいは、光ラジカル重合開始剤と熱ラジカル重合開始剤を併用してもよい。
【0058】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル)-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。
【0059】
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)バラレート、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、アセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,3,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m-トルイルパーオキサイド等を挙げることが出来る。
【0060】
重合開始剤の配合量としては、架橋性官能基を有する成分100重量部に対して、0.1~25重量部が好ましく、1~20重量部がより好ましい。
【0061】
<レベリング剤>
レベリング剤としては特に限定されず、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエステル変性ポリジメチルシロキサン等のシロキサン系化合物;パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール等のフッ素系化合物;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、プロピレンオキシド重合体、エチレンオキシド重合体などのポリエーテル系化合物;ヤシ油脂肪酸アミン塩、ガムロジン等のカルボン酸;ヒマシ油硫酸エステル類、リン酸エステル、アルキルエーテル硫酸塩、ソルビタン脂肪酸エステル、スルホン酸エステル、コハク酸エステル等のエステル系化合物;アルキルアリールスルホン酸アミン塩、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等のスルホン酸塩化合物;ラウリルリン酸ナトリウム等のリン酸塩化合物;ヤシ油脂肪酸エタノールアマイド等のアミド化合物;アクリル系化合物等が挙げられる。
【0062】
レベリング剤を使用する場合の配合量としては、インプリント用樹脂組成物の固形分中に0.001~5重量%が好ましく、0.01~1重量%がより好ましく、0.05~0.5重量%がさらに好ましい。
【0063】
<溶媒>
溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)等のエチレングリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3-メトキシブチル-1-アセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン等のケトン類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、マロン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、エチレングリコールエーテル類、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ケトン類及びエステル類が好ましく、3-エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及びメチルアミルケトンがより好ましい。これらの溶媒は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0064】
組成物の固形分率は、特に限定されないが、10~85重量%が好ましく、20~80重量%がより好ましく、30~75重量%がさらに好ましい。上記範囲内であると、分散安定性、インプリント性に優れ、十分な膜厚が得られる。
【0065】
本発明のインプリント用樹脂組成物の粘度は特に限定されないが、0.1~100mPa・sが好ましく、3.0~50mPa・sがより好ましい。上記範囲内であると、塗布性に優れる。
【0066】
インプリント用樹脂組成物の硬化物の屈折率は特に限定されないが、1.62~2.0が好ましく、1.65~1.9がより好ましい。上記範囲内であると、光学素子として十分な光学特性を維持できる。
【0067】
インプリント用樹脂組成物の硬化物のアッベ数は特に限定されないが、15~40が好ましく、20~40がより好ましい。上記範囲内であると、光学素子として十分な光学特性を維持できる。
【0068】
インプリント用樹脂組成物の硬化物の全光線透過率は特に限定されないが、85%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。上記範囲内であると、光学素子として十分な光学特性を維持できる。
【0069】
インプリント用樹脂組成物の硬化物のヘイズ値は低いほど光学特性が良好となり好ましいが、例えば、1%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。
【0070】
<混合工程>
ポリシロキサン樹脂(A)、無機酸化物微粒子(B)、必要により配合する分散剤、アルコキシシラン化合物及び溶媒等の任意成分の混合順は特に限定されず、溶媒に対しポリシロキサン樹脂、無機酸化物微粒子、分散剤、アルコキシシラン化合物等の任意成分を任意の順番で添加してもよく、無機微粒子を溶媒中に分散させた分散液に、ポリシロキサン樹脂(A)及び必要により配合する硬化性樹脂、重合開始剤、レベリング剤等の任意成分を添加してもよい。
【0071】
<湿式粉砕工程>
無機微粒子として溶媒中に分散させたものを使用する場合、湿式粉砕工程により分散したものを用いてもよい。湿式粉砕工程では、無機酸化物微粒子(B)、必要により配合する分散剤、アルコキシシラン化合物及び溶媒の混合物を湿式粉砕により粉砕することができる。溶媒中で湿式粉砕することにより、無機酸化物微粒子の粉砕と、該粉砕物の分散を同時に行う。湿式粉砕工程で用いる湿式粉砕機としては、ボールミル、ビーズミルが挙げられるが、これらのミルとは異なる機構を有する装置を用いてもよい。湿式粉砕機としてビーズミルを用いる場合、ビーズ径は30~100μmが好ましく、回転速度は6~12m/秒が好ましい。
【0072】
<<インプリント基板の製造方法>>
本発明のインプリント基板の製造方法は、前記インプリント用樹脂組成物を基材に塗布する工程、および、ナノインプリント法でパターニングする工程を含むことを特徴とする。また、パターニングにより得られた塗膜を硬化する工程を設けてもよい。
【0073】
本発明のインプリント基板の製造方法は、基材および/または原版基材の少なくとも一方に、光透過性の材料を選択する。基材の材質は特に限定されず、用途によって選択可能であり、例えば、石英、ガラス、セラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Ni、Cu、Cr、Feなどの金属基板、紙、SOG(スピン・オン・ガラス)、TFTアレイ基板、PDPの電極板、ITO等の導電性基材、絶縁性基材、シリコーン、窒化シリコーン、ポリシリコーン、酸化シリコーン、アモルファスシリコーンなどの半導体作製基板、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、シクロオレフィン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、PMMA、ABS樹脂等のポリマー基板等特に制約されない。また、基材の形状も特に限定されるものではなく、板状でもよいし、ロール状でもよい。また、先述のように、基材としては、原版との組み合わせ等に応じて、光透過性、または、非光透過性のものを選択することができる。
【0074】
前記インプリント用樹脂組成物を基材に塗布する方法は特に限定されず、例えば、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ノズルコート法、グラビアコート法、リバースロールコート法、ダイコート法、エアドクターコート法、ブレードコート法、ロッドコート法、カーテンコート法、ナイフコート法、トランスファロールコート法、スクイズコート法、含浸コート法、キスコート法、カレンダコート法、押出コート法等が挙げられる。
【0075】
塗膜の厚みは特に限定されないが、0.005~100μmが好ましく、0.05~40μmがより好ましく、0.1~20μmがさらに好ましい。上記範囲内であると、インプリント性に優れた膜となり、十分な光学特性が維持される。
【0076】
ナノインプリント法でのパターニングとは、パターンが形成された原版(転写インプリントスタンプ)を、硬化性樹脂を塗布した基板に押圧した状態で、インプリント用樹脂組成物を光または熱により硬化させて、微細構造パターンを転写する。硬化後に、原版を取り除くことによって、インプリント基板を作製する。
【0077】
原版の材質は特に限定されず、例えば、光透過型の原版としては、シリコーン、ガラス、石英、PMMA、ポリカーボネート樹脂などの光透明性樹脂、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサンなどの柔軟膜、光硬化膜、金属膜等が挙げられる。また、非光透過型の原版としては、特に限定されないが、所定の強度を有するものであればよい。具体的には、セラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Ni、Cu、Cr、Feなどの金属基板、SiC、シリコーン、窒化シリコーン、ポリシリコーン、酸化シリコーン、アモルファスシリコーンなどの基板などが例示され、特に制約されない。また、モールドの形状も特に制約されるものではなく、板状モールド、ロール状モールドのどちらでもよい。また、柔軟性を有する樹脂製の型を用いれば、ロール・ツー・ロール方式によるフィルムインプリントが容易に行える。
【0078】
押圧する圧力は特に限定されないが、0.001~10МPaが好ましく、0.01~5МPaがより好ましい。押圧時間は特に限定されないが、0.1~30分が好ましく、0.5~10分がより好ましい。
【0079】
原版のパターンとしては、特に限定されないが、例えば、配線状パターン、ラインアンドスペースパターン、モスアイ状パターン、円柱状、円錐状、円錐台状、多角柱状(例えば四角柱状)、多角錐状(例えば四角錐状)、多角錐台状(例えば四角錐台状)の突起又は窪みからなるパターン等が挙げられる。
【0080】
本発明の硬化物の製造方法で用いられる原版は、インプリント用樹脂組成物と原版表面との剥離性を向上させるために離型処理を行ったものを用いてもよい。離型処理方法は特に限定されないが、例えば、シリコーン系、フッ素系、ノニオン系等の界面活性剤、シランカップリング剤、フッ素含有ダイヤモンドライクカーボン等による処理が挙げられる。
【0081】
塗布工程の後、インプリント用樹脂組成物に応じて、溶媒乾燥工程を設けてもよい。特に、高沸点の溶媒を使用した場合、平滑な塗膜を得るためや、ナノインプリント法によるパターン作製後の収縮を低減させるために、乾燥工程を設けてもよい。
【0082】
樹脂組成物の硬化方法は特に限定されず、光硬化でも、熱硬化であっても適用できる。熱硬化方法において、加熱温度は特に限定されないが、60~300℃が好ましく、100~250℃がより好ましい。加熱温度が60℃未満であると、硬化不良となることがあり、300℃を超えると、基材の材質によっては基材の形状が損なわれることがある。また、加熱時間は、特に限定されないが、5~120秒間が好ましく、10~60秒間がより好ましい。加熱時間が5秒間未満であると、硬化不良となることがあり、120秒間を超えると、基材の材質によっては基材の形状が損なわれることがあり、また、工程に要する時間が長くなるため生産性の観点からも好ましくない。
【0083】
光硬化方法において、特に限定されないが、本発明のインプリント用樹脂組成物の製造方法中、前記パターン形成層に光を照射する工程における光照射の照射量は、硬化に必要な照射量よりも十分大きければよい。硬化に必要な照射量は、インプリント用樹脂組成物の不飽和結合の消費量や硬化膜のタッキネスを調べて適宜決定されるが、例えば、5mJ/cm2~2000mJ/cm2の範囲にすることが望ましい。光照射の際の基板温度は、通常、室温で行われるが、反応性を高めるために加熱をしながら光照射してもよい。
【0084】
本発明のインプリント用樹脂組成物を硬化させるために用いられる光は特に限定されず、例えば、高エネルギー電離放射線、近紫外、遠紫外、可視、赤外等の領域の波長の光または放射線が挙げられる。高エネルギー電離放射線源としては、例えば、コッククロフト型加速器、ハンデグラーフ型加速器、リニヤーアクセレーター、ベータトロン、サイクロトロン等の加速器によって加速された電子線が工業的に最も便利且つ経済的に使用されるが、その他に放射性同位元素や原子炉等から放射されるγ線、X線、α線、中性子線、陽子線等の放射線も使用できる。紫外線源としては、例えば、紫外線螢光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯、太陽灯等が挙げられる。放射線には、例えばマイクロ波、EUVが含まれる。また、LED、半導体レーザー光、あるいは248nmのKrFエキシマレーザー光や193nmArFエキシマレーザーなどの半導体の微細加工で用いられているレーザー光も本発明に好適に用いることができる。これらの光は、モノクロ光を用いてもよいし、複数の波長の異なる光(ミックス光)でもよい。
【0085】
ナノインプリント法によるパターニングを行い、原版を取り除いた後に、必要に応じて硬化工程を設けてもよい。
【0086】
本発明のインプリント基板は、基材と、前記インプリント用光硬化性組成物の硬化物からなる凸部または凹部を有することを特徴とする。
【0087】
本発明のインプリント基板は、光学コーティング塗膜、光学部材や成形体の形で、光学デバイス、半導体デバイス、表示デバイス等に好適に用いることができる。具体例としては、例えば、有機EL、タッチパネル、タッチセンサ、液晶ディスプレイ、CMOS、太陽電池、トランジスタ、発光ダイオード、メモリ、IC、LSI、CPU、RFID、CCD、プリント配線板、半導体用実装基板、光導波路、光学フィルター、反射防止膜、レンズ、プリズム、ミラー、レーザー、共振器、PDP、電子ペーパー、MEMS等が挙げられる。
【実施例】
【0088】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。以下、「部」又は「%」は特記ない限り、それぞれ「重量部」又は「重量%」を意味する。
【0089】
以下に、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
(1)無機酸化物微粒子
酸化ジルコニウム(第一稀元素化学工業株式会社製、UEP-50、平均一次粒子径20nm)
酸化チタン(日本アエロジル株式会社製、P-90、平均一次粒子径13nm)
(2)分散剤
高分子型分散剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、BYK118)
(3)アルコキシシラン
3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM-503)
フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM-103)
(4)溶媒
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(株式会社ダイセル製、PGMEA)
メチルイソブチルケトン(東京化成工業株式会社製、MIBK)
(5)硬化性樹脂
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(新中村化学工業株式会社製)
フルオレン骨格含有エポキシ樹脂(オグソールEA-0200)(大阪ガスケミカル株式会社製)
(6)重合開始剤
光ラジカル重合開始剤(IGM Resins株式会社製、Omnirad 127)
光ラジカル重合開始剤(IGM Resins株式会社製、Omnirad TPO H)
(7)レベリング剤
シリコーン系レベリング剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、BYK-331)
【0090】
合成例1
3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランをモル比90:10となるように混合し、MIBKにて50重量%に希釈、水をアルコキシシラン合計量の3当量加えた。20重量%の水酸化ナトリウム水溶液をアルコキシシラン合計量の0.05当量滴下し、60℃にて3時間加熱した。反応後の溶液に水を加え取り除く分液工程を3度行い、硫酸ナトリウムを加え脱水させた。その後エバポレーターにて濃縮し、ポリシロキサンAを得た。得られたポリシロキサンAの分子量をGPCにて測定したところ、重量平均分子量は3300であった。
【0091】
合成例2
3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランとフェニルトリメトキシシランをモル比70:30となるように混合し、MIBKにて50重量%に希釈、水をアルコキシシラン合計量の3当量加えた。20重量%の水酸化ナトリウム水溶液をアルコキシシラン合計量の0.05当量滴下し、60℃にて3時間加熱した。反応後の溶液に水を加え取り除く分液工程を3度行い、硫酸ナトリウムを加え脱水させた。その後エバポレーターにて濃縮し、ポリシロキサンBを得た。得られたポリシロキサンBの分子量をGPCにて測定したところ、重量平均分子量は2700であった。
【0092】
合成例3
3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとジフェニルシランジオールをモル比40:60となるように混合し、Ba(OH)2をアルコキシシラン及びシランジオール全モル数の0.05当量加え、80℃にて3時間加熱した。反応溶液にトルエンを加え、80℃で加熱しながら50hPaで減圧濃縮を行った。反応溶液の固形分が50wt%となるようにトルエンで希釈した後、水を加えて取り除く分液工程を3回繰り返し、硫酸ナトリウムで脱水した。その後エバポレーターにて濃縮し、ポリシロキサンCを得た。得られたポリシロキサンCの分子量をGPCにて測定したところ、重量平均分子量は2300であった。
【0093】
実施例1~14及び比較例1~3
表1に示す配合量と同じ比率で、無機酸化物微粒子、分散剤、アルコキシシラン化合物、溶媒を混合した。次いで、得られた混合物を、メディア型分散機(ビーズミル)を用いて分散させ、無機酸化物微粒子分散液を得た。ビーズミルの処理条件は、混合物の仕込み総重量350g、ビーズ径50μm、回転速度10m/秒、分散時間180分とした。
【0094】
得られた無機酸化物微粒子分散液に、表1に示す配合量でポリシロキサン樹脂、硬化性樹脂、重合開始剤、レベリング剤を配合し、室温で攪拌することにより、インプリント用樹脂組成物を作製した。
【0095】
<微粒子の分散粒子径>
無機酸化物微粒子分散液を、PGMEAで粒子濃度が1重量%となるように希釈し、Malvern社製ゼータサイザーナノZSにて測定した。
【0096】
<粘度>
得られたインプリント用樹脂組成物について、粘度計(東機産業株式会社製、B型粘度計)を用いて、25℃での粘度を測定した。
【0097】
<屈折率とアッベ数>
得られたインプリント用樹脂組成物を、スピンコート法を用いて、シリコン基板上に塗布し、80℃2分で溶媒を乾燥させ、1000mJ/cm2にて露光して硬化させ、500μmの塗膜を作製した。得られた塗膜の屈折率、アッベ数を、分光エリプソメーター(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン株式会社製、M-2000C)で測定した。
【0098】
<全光線透過率とヘイズ値>
得られたインプリント用樹脂組成物を、スピンコート法を用いて、0.7mmの白板ガラス基板上に塗布し、80℃2分で溶媒を乾燥させ、1000mJ/cm2にて露光して硬化させ、3μmの塗膜を作成した。得られた塗膜の全光線透過率とヘイズ値を、JIS K7150に従い、ヘイズコンピュータ(スガ試験機社製、HGM-2B)で測定した。
【0099】
<インプリント性>
得られたインプリント用樹脂組成物を、スピンコート法を用いて、0.7mmの白板ガラス基板上に塗布し、80℃2分で溶媒を乾燥させ、3μmの塗膜を得た。次に、幅500nm、深さ500nmのL/Sパターンが形成されたポリジメチルシロキサン製の原版を、室温下、圧力10barで押圧し、Obducat社製 Eitre3を用いて1000mJ/cm2で硬化した後、パターンを取り除いて硬化物を得た。
転写されたパターンをSEMにて観察し、下記の基準により4段階でインプリント性を評価した。結果を表1に示す。
○:パターンがきれいに転写されており、インプリント性良好である。
△:パターンが転写されているが、欠け、及び/又は、変形が認められる。
×:離型時にパターンの全部又は大部分が基材から剥がれた。
××:深さ方向にモールドが入らずパターンが転写されなかった。
【0100】
【0101】
表1に示すように、実施例1~14のインプリント用樹脂組成物では、光学特性とともにインプリント性にも優れていた。ポリシロキサン樹脂を少量しか含まず、無機酸化物微粒子を多量に含む比較例1のインプリント用樹脂組成物や、ポリシロキサン樹脂を多量に含み、無機酸化物微粒子を少量しか含まない比較例2のインプリント用樹脂組成物では、インプリント性に劣っていた。また、ポリシロキサン樹脂を含まない比較例3のインプリント用樹脂組成物でも、インプリント性に劣っていた。