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特許7598334検体監視環境において無線通信を処理するためのシステム、装置、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】検体監視環境において無線通信を処理するためのシステム、装置、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20241204BHJP
   A61B 5/145 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
A61B5/00 102C
A61B5/145
【請求項の数】 70
(21)【出願番号】P 2021560956
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-17
(86)【国際出願番号】 US2020028812
(87)【国際公開番号】W WO2020214984
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】62/836,059
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500211047
【氏名又は名称】アボット ダイアベティス ケア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT DIABETES CARE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ホア,シュエンドン
(72)【発明者】
【氏名】コール,ジャン-ピエール
(72)【発明者】
【氏名】リー,トニー エス
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0331232(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0182491(US,A1)
【文献】特開2017-142655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体に付ける装置及び読取装置を備える検体監視システム内の通信方法であって、
前記体に付ける装置によって前記読取装置からコマンドを無線受信するステップと、
応答の設定された制限時間の終了前に前記コマンドに応答するデータが送信可能か否かを判断するステップと、
ダミーデータを含む少なくとも1つの第1応答を前記読取装置へ無線送信するステップと、
前記コマンドに応答するデータを含む少なくとも1つの第2応答を前記読取装置へ無線送信するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1応答を前記読取装置へ送信しながら前記受信したコマンドを処理するステップを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記受信したコマンドを処理する前記ステップは、
前記コマンドに応答する前記データを生成するステップと、
前記コマンドに応答する前記データを暗号化するステップと
を含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記読取装置へ送信される前記少なくとも1つの第2応答は、前記コマンドに応答するデータを暗号化された形態で含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記読取装置へ送信される前記少なくとも1つの第1応答は、ダミーデータを暗号化された形態で含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
応答の設定された制限時間の終了前に前記コマンドに応答するデータが送信可能でないと判断した場合、第1応答を前記読取装置へ送信するステップを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項7】
応答の設定された制限時間の終了前に前記コマンドに応答するデータが送信可能であると判断した場合、第2応答を前記読取装置へ送信するステップを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記読取装置へ複数の第1応答を送信するステップであって、各第1応答はダミーデータを含み応答の設定された制限時間の終了前に送信される、ステップを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記ダミーデータは所定のコードである、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記ダミーデータは前記少なくとも1つの第1応答のヘッダー内のフラッグによって示される、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記ダミーデータは擬似ランダムデータである、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記ダミーデータをダミーデータアルゴリズムに従って生成するステップを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記体に付ける装置は第1半導体装置と、前記第1半導体装置に通信インターフェースで通信可能に結合された第2半導体装置とを備える、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記通信インターフェースはシリアル周辺機器インターフェースである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記第1半導体装置から前記第2半導体装置へ前記通信インターフェースを通じて応答データを求める要求を出力するステップと、
前記第2半導体装置によって前記応答データを生成するステップと、
前記少なくとも1つの第2応答を前記読取装置へ送信する前に前記第2半導体装置から前記第1半導体装置へ前記通信インターフェースを通じて前記応答データを出力するステップと
を更に含む請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記第1半導体装置は近距離無線通信(NFC)プロトコルに従ってデータをフォーマットするように構成される、請求項13記載の方法。
【請求項17】
前記第2半導体装置は無線通信プロトコルに従ってデータをフォーマットするように構成される、請求項13記載の方法。
【請求項18】
前記受信したコマンドを処理するステップと、
前記少なくとも1つの第1応答を前記読取装置へ無線送信する前に前記読取装置へ少なくとも1つの第3応答を無線送信するステップと
を更に含む請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの第3応答は、フレーム開始表示、フラッグ、又は通信パラメータのうち少なくとも1つを含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの第2応答を無線送信した後に少なくとも1つの第4応答を無線送信するステップを更に含む請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの第4応答は、エラー検出情報又はフレーム終了表示を含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記体に付ける装置と前記読取装置の間の無線通信は近距離無線通信(NFC)プロトコルに従う、請求項1~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
検体監視システムの体に付ける装置であって、
コマンドを無線受信し1つ以上の応答を無線送信するように構成された通信回路と、
ダミーデータと前記コマンドに応答するデータとを生成するように構成された処理回路と
を備え、
応答の設定された制限時間の終了前に前記コマンドに応答するデータが送信可能か否かを判断するように構成され、
前記ダミーデータを含む少なくとも1つの第1応答と、前記コマンドに応答するデータを含む少なくとも1つの第2応答とを無線送信するように構成される体に付ける装置。
【請求項24】
前記体に付ける装置は、前記通信回路が前記少なくとも1つの第1応答を送信しながら、前記処理回路が前記受信したコマンドを処理するように構成される、請求項23記載の装置。
【請求項25】
前記処理回路は、前記コマンドに応答するデータを暗号化し暗号化された応答するデータを前記通信回路へ出力するように構成される、請求項24記載の装置。
【請求項26】
前記処理回路は、前記ダミーデータを暗号化し暗号化されたダミーデータを前記通信回路へ出力するように構成される、請求項25記載の装置。
【請求項27】
前記処理回路は、前記コマンドに応答するデータが送信可能でないと判断した後、応答の設定制限時間の終了前に前記第1応答を送信させるように構成される、請求項23記載の装置。
【請求項28】
前記処理回路は、前記コマンドに応答するデータが送信可能であると判断した後、応答の設定制限時間の終了前に前記第2応答を送信させるように構成される、請求項23記載の装置。
【請求項29】
複数の第1応答を送信するように構成され、各第1応答はダミーデータを含み応答の設定された制限時間の終了前に送信される、請求項23記載の装置。
【請求項30】
前記ダミーデータは所定のコードであるか、前記少なくとも1つの第1応答のヘッダー内のフラッグによって示されるか、擬似ランダムデータであるか、又はダミーデータアルゴリズムに従って生成される、請求項23記載の装置。
【請求項31】
前記体に付ける装置は、第1半導体装置と、前記第1半導体装置に通信インターフェースで通信可能に結合された第2半導体装置とを備える、請求項23記載の装置。
【請求項32】
前記通信インターフェースはシリアル周辺機器インターフェースである、請求項31記載の装置。
【請求項33】
前記処理回路の第1部分は前記第1半導体装置に位置し、前記処理回路の第2部分は前記第2半導体装置に位置する、請求項31記載の装置。
【請求項34】
前記第1半導体装置は前記第2半導体装置へ前記通信インターフェースを通じて応答データを求める要求を出力するように構成される、請求項33記載の装置。
【請求項35】
前記第2半導体装置は前記応答データを生成し前記応答データを前記第1半導体装置へ前記通信インターフェースを通じて出力するように構成される、請求項34記載の装置。
【請求項36】
前記第1半導体装置は近距離無線通信(NFC)プロトコルに従ってデータをフォーマットするように構成される、請求項31~35のいずれかに記載の装置。
【請求項37】
前記第2半導体装置は無線通信プロトコルに従ってデータをフォーマットするように構成される、請求項36記載の装置。
【請求項38】
前記通信回路は近距離無線通信(NFC)プロトコルに従って無線受信及び送信するように構成される、請求項23~37のいずれかに記載の装置。
【請求項39】
前記処理回路はメモリと通信可能に結合され、前記メモリは前記処理回路によって実行されうる複数の命令を記憶する、請求項23~38のいずれかに記載の装置。
【請求項40】
体に付ける装置及び読取装置を備える検体監視システム内の通信方法であって、
前記読取装置によって前記体に付ける装置へコマンドを無線送信するステップと、
応答の設定された制限時間の終了前に前記コマンドに応答するデータが送信可能か否かを判断するステップと、
ダミーデータを含む少なくとも1つの第1応答を前記体に付ける装置から無線受信するステップと、
前記コマンドに応答するデータを含む少なくとも1つの第2応答を前記体に付ける装置から無線受信するステップと
を含む方法。
【請求項41】
前記読取装置によって前記少なくとも1つの第1応答のそれぞれがダミーデータを含むか否かを判断するステップを更に含む請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記読取装置によって前記少なくとも1つの第2応答のそれぞれが前記コマンドに応答するデータを含むか否かを判断するステップを更に含む請求項40記載の方法。
【請求項43】
前記読取装置によって前記コマンドに応答するデータを処理するステップを更に含む請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記コマンドに応答するデータを処理する前記ステップは、前記コマンドに応答するデータを記憶するか又は前記コマンドに応答するデータを表示するステップを含む請求項43記載の方法。
【請求項45】
受信した少なくとも1つの第1応答と少なくとも1つの第2応答の総数Nが応答の期待される数Eより大きいか否かを前記読取装置によって判断するステップを更に含む請求項40記載の方法。
【請求項46】
前記読取装置によって初めの(N-E)個の応答をダミーデータとして扱うステップと、前記読取装置によって残りのE個の応答を前記コマンドに応答するデータを含んでいるとして扱うステップとを更に含む請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記読取装置によって初めの(N-E)個の応答を読み込み、それらの応答がダミーデータを含むことを確認するステップを更に含む請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記受信した少なくとも1つの第2応答を前記読取装置によって解読するステップを更に含む請求項40~47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
前記受信した少なくとも1つの第1応答を前記読取装置によって解読するステップを更に含む請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記ダミーデータは所定のコードであるか、前記少なくとも1つの第1応答のヘッダー内のフラッグによって示されるか、擬似ランダムデータであるか、又はダミーデータアルゴリズムに従って生成される、請求項40~49のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記読取装置は体に付ける装置と通信する、請求項40~50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
前記読取装置は近距離無線通信(NFC)プロトコルに従って無線受信及び送信する、請求項40~51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
無線通信プロトコルに従って体に付ける装置からデータを無線受信するステップを更に含む請求項52記載の方法。
【請求項54】
体に付ける装置及び読取装置を備える検体監視システム内の通信方法であって、
前記体に付ける装置によって前記読取装置からコマンドを無線受信するステップと、
ダミーデータをそれぞれ含む所定の数P個の第1応答を前記体に付ける装置から前記読取装置へ無線送信するステップと、
前記コマンドに応答するデータを含む少なくとも1つの第2応答を前記体に付ける装置から前記読取装置へ無線送信するステップと、
前記読取装置によって前記体に付ける装置から受信した応答の数をカウントするステップと、
P+1番目の応答を前記コマンドに応答するデータを含んでいるとして扱うステップと
を含む方法。
【請求項55】
前記所定の数の第1応答を前記読取装置へ送信しながら、前記受信したコマンドを処理するステップを更に含む請求項54記載の方法。
【請求項56】
前記受信したコマンドを処理する前記ステップは、
前記コマンドに応答する前記データを生成するステップと、
前記コマンドに応答する前記データを暗号化するステップと
を含む、請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記読取装置へ送信される前記少なくとも1つの第2応答は、前記コマンドに応答するデータを暗号化された形態で含む、請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記読取装置へ送信される前記所定の数の第1応答のそれぞれは、ダミーデータを暗号化された形態で含む、請求項57記載の方法。
【請求項59】
初めのP個の受信した応答がダミーデータを含むことを確認しないことを更に含む請求項54記載の方法。
【請求項60】
前記体に付ける装置によって前記受信したコマンドを読み込み前記受信したコマンドに対応する所定の数P個の第1応答を無線送信するステップを更に含む請求項54記載の方法。
【請求項61】
前記受信したコマンドは複数のコマンドの1つであり、前記読取装置及び前記体に付ける装置は、前記コマンドに基づいて正確な数の所定の応答を特定するようにプログラムされる、請求項60記載の方法。
【請求項62】
前記体に付ける装置と前記読取装置の間の無線通信は近距離無線通信(NFC)プロトコルに従う、請求項54~61のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
検体監視システムであって、
通信回路及び処理回路を含む体に付ける装置と、
通信回路及び処理回路を含む読取装置と
を備え、
前記体に付ける装置は、前記読取装置からコマンドを無線受信し、各第1応答はダミーデータを含み所定の数P個の第1応答を前記読取装置へ無線送信し、前記コマンドに応答するデータを含む少なくとも1つの第2応答を前記読取装置へ無線送信するように構成され、
前記読取装置の前記処理回路は、前記体に付ける装置から受信した応答の数をカウントするように構成され、
前記読取装置の前記処理回路は、P+1番目の応答を前記コマンドに応答するデータを含んでいるとして扱うように構成される、システム。
【請求項64】
前記体に付ける装置は、前記所定の数の第1応答を前記読取装置へ送信しながら、前記受信したコマンドを処理するように構成される、請求項63記載のシステム。
【請求項65】
前記体に付ける装置の前記処理回路は、前記コマンドに応答するデータを生成し、前記コマンドに応答する前記データを暗号化するように構成される、請求項64記載のシステム。
【請求項66】
前記体に付ける装置の前記処理回路は、前記ダミーデータを暗号化し、前記ダミーデータを暗号化された形態で送信するように構成される、請求項65記載のシステム。
【請求項67】
前記読取装置の前記処理回路は、初めのP個の受信した応答がそれぞれダミーデータを含むことを確認することなく前記初めのP個の受信した応答を無視又は廃棄するように構成される、請求項63記載のシステム。
【請求項68】
前記体に付ける装置の前記処理回路は、前記受信したコマンドを読み込み前記受信したコマンドに対応する所定の数P個の第1応答を無線送信するように構成される、請求項63記載のシステム。
【請求項69】
前記受信したコマンドは複数のコマンドの1つであり、前記読取装置及び前記体に付ける装置は、前記コマンドに基づいて正確な数の所定の応答を特定するようにプログラムされる、請求項63記載のシステム。
【請求項70】
前記体に付ける装置の前記通信回路及び前記読取装置の前記通信回路はそれぞれ近距離無線通信(NFC)プロトコルに従って通信するように構成される、請求項63~69のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2019年4月18日に出願された米国仮特許出願第62/836059号の優先権及び利益を主張するものであり、その全体を本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本主題は、通信プロトコルのタイミング必要条件の順守を維持するためのシステム、装置、及び方法に概ね関する。
【背景技術】
【0003】
検体レベル、例えばグルコース、ケトン、乳酸塩、ヘモグロビンA1Cなどの検出及び/又は監視は糖尿病を患う個人の健康に極めて重要でありうる。糖尿病患者は一般に自分のグルコースレベルを監視し臨床的に安全範囲内に維持されていることを確認し、またこの情報を体内のグルコースレベルを下げるのにインスリンが必要か否か及び/又は何時必要かを、又は体内のグルコースレベルを上げるのに追加のグルコースが何時必要かを決定するのに使用してよい。
【0004】
増大する臨床データはグルコース監視の頻度と血糖制御の間の強い相関関係を示す。このような相関関係にも拘らず、糖尿病状態と診断された多くの個人は、都合、試験自由裁量、グルコース試験に伴う痛み、及び費用を含む要因の組み合わせにより自分のグルコースレベルを監視するべき頻度で監視しない。
【0005】
個人がグルコース及び/又は他の検体レベルをより頻繁に監視するのを補助する検体監視システムが開発されてきた。これらのシステムは患者の体内又は体に着けた装置であって、患者のグルコースレベルをセンサー寿命に亘って継続的に又は繰り返し測定するセンサーを有する装置を通常使用する。この装置は測定された情報を他の装置、通常、スマート装置、計算装置、又は他の種類のグルコース情報読取機へ無線で通信できる。無線通信はシステムの便利さ及び使い易さを増加させる。しかし、検体監視システム内に存在しうる処理及び他の遅延を考慮しないタイミング必要条件を有するプロトコルに従って無線通信が実行される時、問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これら及び他の理由のために、無線プロトコル必要条件の順守を維持できる検体監視システム、装置、及び方法が必要となっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
検体監視システム内の適用可能な通信プロトコルに従った通信のためのシステム、装置、及び方法の実施形態が本明細書に記述される。多くの実施形態では、本システムの第1装置はコマンドを本システムの第2装置へ送信でき、その第2装置は前記コマンドに応答するデータを用意するのに処理遅延に直面しうる。これら又は他の場合、第2装置は、第2装置が前記コマンドに応答するデータを送信可能となる時まで、通信プロトコルへの準拠を維持するためにダミーデータを第1装置に送信できる。通信階層内にダミーデータの存在を組み込み及び/又は受容するための多数の異なる実施形態が提示される。
【0008】
本書に記載された主題の他のシステム、装置、方法、特徴、及び利点が、下記の図及び詳細な説明を考察することで当業者に明らかとなろう。全てのそのような追加のシステム、方法、特徴、及び利点が説明に含まれ、本書に記載された主題の範囲内であり、添付の請求項により保護されるよう意図されている。請求項における特徴の明白な記述がない限り、実施形態のこれらの特徴は添付の請求項を限定すると決して解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本書に明記された主題の構造と動作の両方に関する詳細は、添付図を考察することで明白であるかも知れない。図中、類似の符号は類似の部品を指す。図中の部品は必ずしも一定の縮尺でなく、主題の原理を例示することに重点が置かれている。また、全ての図は概念を伝えるよう意図され、相対的大きさ、形状、及び他の詳細な属性が、厳密でも正確でもなく概略的に例示されている場合がある。
図1】生体内検体監視システムの実施形態を描くブロック図であり。
図2】読取装置の実施形態を描くブロック図である。
図3A】体に付ける装置の実施形態を描くブロック図である。
図3B】体に付ける装置の実施形態を描くブロック図である。
図4A】検体監視システム内の通信方法の実施形態を描くフロー図である。
図4B】検体監視システム内の通信方法の実施形態を描くフロー図である。
図4C】検体監視システム内の通信方法の実施形態を描くフロー図である。
図4D】検体監視システム内の通信方法の実施形態を描くフロー図である。
図5A】検体監視システム内の通信の実施形態を描く情報フロー図である。
図5B】検体監視システム内の通信の実施形態を描く情報フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本主題を詳細に説明する前に、本開示は記載された特定の実施形態に限定されず、従って、勿論変わりうることは理解されるべきである。また、本書で使用される用語は特定の実施形態だけを説明する目的のためであり、限定するように意図されていないことは理解されるべきである。本開示の範囲は添付の請求項によってのみ限定される。
【0011】
概ね、本開示の実施形態は、体液内(例えば、皮下で間質液(ISF)又は血液内、真皮層の真皮液内など)の少なくとも1つの検体、例えばグルコースを検出するためのシステム、装置、及び方法と共に使用される。従って、多くの実施形態は、体の少なくとも1つの検体に関する情報を得るためにその少なくとも一部が使用者の体内に位置するか位置しうるように構造上構成された生体内検体センサーを含む。しかし、本書に開示された実施形態は、完全に非侵襲性のシステムを含む純粋に試験管内又は生体外検体監視システムに加え、試験管内能力を有する生体内検体監視システムと共に使用されうる。
【0012】
また、本書に記載された実施形態は、検体データ以外の生体計測、例えば心拍数、血圧、体温、発汗、眼圧などを検知する装置と共に使用されうる。本書に記載された実施形態は、移動及び/又は活動レベルだけを検知する又は他の任意の計測と組み合わせて検知する装置と共に使用されうる。従って、本書に記載された実施形態は、医療用途に限定されず装置間のRF通信を使用する他の非医療システムと共に使用されうる。
【0013】
実施形態を詳細に説明する前に、先ず、例えば生体内検体監視システム内に存在しうる装置の例及びそれらの動作の例を記載することが望ましい。それらの全ては本書に記載された実施形態と共に使用されうる。
【0014】
検体監視システムの実施形態
生体内監視システムは、生体内で使用者の体液と接触しその中の検体レベル検知する センサーを含みうる。センサーは使用者の体に付けられ検体検知を可能にし制御する電子回路及び電源を含むOBDの一部でありうる。体に付ける装置及びそのバリエーションは「センサー装置」、「体に付ける電子装置」、「センサー制御装置」、又は「センサー通信装置」などとも呼ばれうる。本書で使用されるように、これらの用語は生体内検体センサー付き装置に限定されず、生体計測(例えば、光検体センサー、心拍数センサー、温度センサーなど)か非生体計測かに拘らず他の種類の生体外センサーを有する装置を包含する。用語「体に付ける」は体に直接装着される(例えば、皮膚に取り付ける)装置、全体に体内にある装置(例えば、完全に埋め込まれた装置)、又は装着型装置(例えば、メガネ、腕時計、腕輪又はブレスレット、ネックバンド又はネックレス)などの体にごく接近した装置、又はポケット内装置を包含する。
【0015】
生体内監視システムは、体に付けた装置から検知されたレベルに関する情報を読み取る1つ以上の読取装置も含みうる。これらの読取装置は検知された検体情報を処理し及び/又は任意の数の形態で使用者に表示できる。これらの装置及びそのバリエーションは「携帯読取装置」、「読取器」、「携帯電子装置」(又はハンドヘルド)、「携帯データ処理」装置、「情報受信機」、「受信」装置(又は単に受信機)、「中継」装置、又は「遠隔」装置などと呼ばれうる。
【0016】
生体内検体監視システムは、体の外部で生体試料に接触する試験管内システム及び全体が体外にありながら体内から生体試料を抽出することなく体又は体内の物質に関する情報を取得する生体外システムと区別されうる。試験管内システムは、使用者の体液を載せた検体試験片を受け取るためのポートを有する計器を含みうる。体液は分析され使用者の検体レベルを求めうる。上述のように、本書に記載された実施形態は生体内システム、生体外システム、試験管内システム、及びそれらの組み合わせと共に使用されうる。
【0017】
本書に記載された実施形態は、任意の数の1つ以上の異なる検体に関する情報を監視及び/又は処理するのに使用されうる。監視されうる検体は、これらに限定されないが、アセチルコリン、アミラーゼ、ビリルビン、コレステロール、絨毛膜性生殖腺刺激ホルモン、グリコシル化ヘモグロビン(HbA1c)、クレアチンキナーゼ(例えば、CK‐MB)、クレアチン、クレアチニン、DNA、フルクトサミン、グルコース、グルコース誘導体、グルタミン、成長ホルモン、ホルモン、ケトン、ケトン体、乳酸塩、過酸化物、前立腺特異抗原、プロトロンビン、RNA、甲状腺刺激ホルモン、及びトロポニンを含む。薬、例えば抗生物質(例えば、ゲンタミシン、バンコマイシンなど)、ジギトキシン、ジゴキシン、乱用薬物、テオフィリン、及びワルファリンの濃度も監視されてよい。2つ以上の検体を監視する実施形態では、検体は同時又は異なる時間に監視されてよい。
【0018】
生体内検体監視システムの実施形態は、1つ以上の体に付ける装置、1つ以上の読取装置、及び高度に相互接続されて通信可能な1つ以上のコンピュータシステムを含みうる。図1は、生体内検体監視システム100の実施形態を描く例示のブロック図であり、監視システム100は、通信ネットワーク190を通じてそれぞれ通信するように構成可能な体に付ける装置(OBD)102、第1読取装置120‐1、第2読取装置120‐2、ローカル又は遠隔コンピュータシステム170、及び信頼できるコンピュータシステム180(例えば、サーバー)を有する。本書において読取装置120への言及は読取装置120‐1及び120‐2両方を指す。
【0019】
OBD102は一方向又は双方方向でありうる2つ以上の無線通信路、リンク、又はチャネル141及び142を通じて読取装置120と通信しうる。リンク141及び142はOBD102及び読取装置120に存在する通信回路及び1つ以上のアンテナによって構成される。幾つかの実施形態では、装置102及び120が追加の有線通信路、例えばユニバーサル・シリアル・バス(USB)ケーブル(不図示)を通じて通信する能力を実装できる。
【0020】
無線通信リンク141は様々な実施形態を有しうる。幾つかの実施形態では、通信リンク141は近接場電磁誘導を通信に使用する。このようなリンクは、送信装置及び受信装置が遠距離場(又は移行帯)通信と比較して相対的に極めて接近していることを要求するので時には近接近通信と呼ばれる。電磁誘導を使用する通信は送信装置と受信装置の間の通常2波長距離内、より典型的には1波長距離内で発生する。多くの実施形態では、電磁誘導による通信は送信周波数及び電力などに依存して12インチ(30.48cm)以下の範囲内でのみ発生する。例は、NFC装置用に動作パラメータ、変調方式、符号化、転送速度、フレーム形式、及びコマンド定義を規定する複数のプロトコル(又は規格)を指す近距離無線通信(NFC)プロトコルを含む。NFC装置の幾つかの例は13.56メガヘルツ(Mhz)で動作する。これらのプロトコルの例の非網羅リストは次のとおり。ECMA‐340、ECMA‐352、ISO/IEC 14443、ISO/IEC 15693、ISO/IEC 18000‐3、ISO/IEC 18092、及びISO/IEC 21481、これら全ての全体を本書に援用する。例は無線自動識別(RFID)プロトコルも含む。
【0021】
電磁誘導を使用する応答通信は受動的に生成されうる。その場合、第1装置からの送信により運ばれる電力が受信する第2装置によって取り込まれ、第2装置による応答の第1装置への送信に電力供給するのに使用される。電磁誘導を使用する応答通信は能動的に生成されうる。その場合、受信する第2装置は自身の電源からの電力だけか、又は受信された送信から得た電力と組み合わせて使用して応答通信の第1装置への送信に電力供給する。
【0022】
読取装置120からOBD102への、例えば検体データの要求などの送信は、OBD102に、自身の例えばセンサー104によってされた測定から得た検体データの送信により応答させる。読取装置120からOBD102へ送信しOBD102から応答を受信するプロセスは、OBD102の「走査」又は「走査」の実行と呼ばれうる。多くの実施形態では、OBD102は受動装置として構成され、リンク141を通じて受信された読取装置120からの送信からの電力が取り込まれ、OBD102から読取装置120への応答通信の送信に電力供給するのに使用される。これは「受動走査」と呼ばれうる。このような実施形態では、OBD102はOBD102内部の電源(例えば、コイン電池)からの電力を使用することなく送信に電力供給できる。他の実施形態では、OBD102は能動装置として構成されうる。この場合、リンク141を通じて受信された読取装置120からの送信からの電力は取り込まれるか、又は取り込まれず、OBD102から読取装置120への応答通信を送信するのに使用される電力はOBD102内部の電源によって全て又は部分的に生成される。これは「能動走査」と呼ばれうる。
【0023】
無線通信リンク142はリンク141により使用されるプロトコル以外の通信プロトコルを利用し、電磁送信のより長い距離の遠距離場特性に主に依存する。この場合、送信は誘導結合だけで起こらない。リンク142はリンク141と同じ近接近通信距離に亘って及びかなりより遠くへ通信できる。リンク142も様々な実施形態を有しうる。リンク142を構成するために、OBD102及び読取装置120は、標準化された又は専有のプロトコル及び形式で通信するように構成された通信回路及び1つ以上のアンテナを備えうる。例えば、リンク142はBluetooth(例えば、従来のBluetooth(登録商標)又はBluetooth(登録商標)低エネルギー(BLE))周波数及びプロトコルを使用して構成されうる。リンク142はまた、他の周波数帯において他のプロトコル、本出願日又はその後願日現在に存在する通信プロトコルを含み、例えば極超短波(UHF)帯(例えば、450~470メガヘルツ)及び専有のプロトコル、様々な周波数のWi‐Fiプロトコル、他の専有のプロトコルなどを使用して構成されうる。リンク141及び142両方は様々なプロトコル及び周波数を利用できるが、区別の容易さのために、本書ではそれらリンクはNFCリンク141及びBluetooth(登録商標)(BT)リンク142と呼ばれる。幾つかの実施形態では、NFCリンク141は体に付ける装置102を起動し活性化するのに使用され、検体データはBTリンク142を通じてのみ通信される。
【0024】
OBD102は、複数の読取装置120とリンク141及び142の別々のインスタンスを通じて通信するように構成されうる。これが図1にOBD102とNFCリンク141‐1及びBTリンク142‐1を通じて通信可能な第1読取装置120‐1の存在とOBD102とNFCリンク141‐2及びBTリンク142‐2を通じて通信可能な第2読取装置120‐2の存在とによって示されている。追加の読取装置120も存在しうる。
【0025】
読取装置120は複数のOBD102と通信できる。例えば、各読取装置120は使用者の体に装着された第1OBD102と第1OBDの動作寿命に亘って通信でき、その後、そのOBD102は廃棄され第2OBD102と交換され、同じ読取装置120が再び通信できる。幾つかの実施形態では、特定の読取装置120は同じ又は異なる使用者に装着された複数のOBD102と同時に通信できる。
【0026】
読取装置120はまた、他の装置と有線、無線、又は組み合わされた通信が可能である。図1はコンピュータシステム170(例えば、ローカル又は遠隔コンピュータシステム)と通信リンク、路、又はチャネル171を通じて通信し、インターネット又はクラウドなどネットワーク190と通信リンク、路、又はチャネル191を通じて通信する読取装置120‐1を描く(読取装置120‐2もこれらの装置と同様に通信できるが、それらの接続は図示をし易くするために示されていない)。読取装置120‐1は信頼できるコンピュータシステム180とリンク191を使用するネットワーク190を介して通信できる。信頼できるコンピュータシステム180はコンピュータシステム170と通信リンク、路、又はチャネル192を通じて通信できる。例えば、信頼できるコンピュータシステム180は、検体分析ソフトウェアをダウンロード可能なソフトウェアアプリケーション又はアプリの形態で又はインターネットブラウザアクセス可能なウェブページとして読取装置120‐1及び/又はコンピュータシステム170に提供するサーバーであってもよい。
【0027】
通信リンク171、191、及び192は無線、有線、又は両方でありえ、一方向又は双方向でありえ、遠隔通信ネットワーク、例えばWi‐Fiネットワーク、ローカルエリア・ネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、インターネット、又は他のデータネットワークの一部でありうる。幾つかの場合、通信路171及び172は少なくとも部分的に同じ経路(例えば、Wi‐Fiを通じて通信する場合)でありうる。様々な経路を通じた全ての通信は暗号化されうり、OBD102、読取装置120‐1、読取装置120‐2、コンピュータシステム170、及び信頼できるコンピュータシステム180はそれぞれこれらの送信通信及び受信通信を暗号化及び解読するように構成されうる。
【0028】
本書に記載のシステム、装置、及び方法の実施形態と共に使用されるのに適した装置102及び120のバリエーション及び生体内検体監視システムの他の部品が米国特許出願公開第2011/0213225号明細書(225公報)に記載されている。その全体を本書に援用する。
【0029】
図1を再び参照すると、OBD102は検体監視回路及び電源を収容するハウジング103を含みうる。この実施形態では、検体監視回路は粘着性パッチ105を通って延在しハウジング103から突出する検体センサー104と電気的に結合される。粘着性パッチ105は使用者の体の皮膚表面に取り付けるための少なくとも1つの粘着層(不図示)と任意選択でハウジング103に取り付けるための反対側の第2粘着層とを含む。粘着剤に加えて又は代えて体及び/又はハウジング103への他の形態の取り付けを使用してもよい。
【0030】
検体センサー104は使用者の体に少なくとも部分的に挿入されるように適合し、使用者の体液(例えば、ISF、真皮液、又は血液)と流体接触し、使用者の検体関連データを測定するために検体監視回路と共に使用されうる。センサー104及びどんな付随するセンサー電子回路も任意の所望のやり方で体に貼り付けられうる。例えば、挿入器(不図示)が検体センサー104の全部又は一部を使用者の皮膚の外面を通して入れ、使用者の体液と接触させるのに使用されうる。そうする時、挿入器は粘着性パッチ105付きOBD102も皮膚に付けうる。他の実施形態では、挿入器はセンサー104を先ず配置し、次に付随する電子回路(例えば、無線送信回路及び/又はデータ処理回路など)がセンサー104に手又は器械を使って結合されうる。挿入器の例が米国特許出願公開第2008/0009692号、第2011/0319729号、第2015/0018639号、第2015/0025345号、及び第2015/0173661号明細書に記載されている。これら全ての全体を本書に援用する。
【0031】
生のアナログデータを使用者の体から集めた後、OBD102はそのデータにアナログ信号調整を随意に適用し、そのアナログデータを調整された生データのデジタル形式に変換しうる。幾つかの実施形態では、このデジタル生データは別の装置、例えば読取装置120への送信のために符号化されうる。読取装置120はアルゴリズムに従いデジタル生データを使用者の測定された生体計測量を表す最終形式(例えば、使用者に表示するのに適した形式)に処理する。アルゴリズムに従い処理されたデータは次に使用者へのデジタル表示のために書式設定又は図形処理されうる。他の実施形態では、OBD102自身がデジタル生データを使用者の測定された生体計測量(例えば、検体レベル)を表す最終形式にアルゴリズムに従い処理し符号化しそのデータを読取装置120に無線通信しうる。読取装置120は受信したデータを使用者へのデジタル表示のために書式設定又は図形処理しうる。他の実施形態では、OBD102は最終形式のデータを表示できるように図形処理しそのデータをOBD102の表示器上に表示するか又は読取装置120へ送信しうる。幾つかの実施形態では、システム(例えば、糖尿病監視体系に組み込まれた)は最終形式の生体計測データ(図形処理前)を処理なしで使用者への表示のために使用する。幾つかの実施形態では、OBD102及び読取装置120はデジタル生データをアルゴリズムに従った処理及び表示のために別のコンピュータシステムへ送信する。これら様々な形式のデータの送信はリンク141及び142のいずれか又は両方を通じて行われうる。
【0032】
システム100内の各読取装置120は、使用者に情報を出力し使用者から入力を受け付けるために表示器122と、データ、コマンドを入力するか、又は読取装置120の動作を制御するために任意選択の1つ以上の入力部品121、例えばボタン、アクチュエータ、タッチセンサースイッチ、容量性スイッチ、圧力センサースイッチ、ジョグホイールなどとを含みうる。ある実施形態では、表示器122及び入力部品121はタッチスクリーンユーザインターフェースなどの単一部品に統合されてもよい。この場合、表示器は表示器上の物理的接触の存在及び位置を検出できる。ある実施形態では、読取装置120の入力部品121はマイクロフォンを含み、読取装置120は読取装置120の機能及び動作が音声コマンドで制御されるようにマイクロフォンから受け取った音声入力を分析するように構成されたソフトウェアを含んでもよい。ある実施形態では、読取装置120の出力部品は情報を音声信号として出力するためのスピーカー(不図示)を含む。音声駆動信号を生成、処理、及び格納するためのスピーカー、マイクロフォン、及びソフトウェアルーチンなど同様の音声応答部品がOBD102に含まれてもよい。
【0033】
読取装置120はまた、コンピュータシステム170又はOBD102などの外部装置との有線データ通信のための1つ以上のデータ通信ポート123を含みうる。例としてのデータ通信ポートは、全てのタイプのUSBポート、RS‐232ポート、イーサネットポート、Firewireポート、又は適合したデータケーブルに接続するように構成された他の同様なデータ通信ポートを含み、全種類のシリアル又はパラレル連結器を備える。読取装置120はまた、統合された又は取り付け可能な試験管内グルコース計器を備え、試験管内血糖測定を実行するための試験管内グルコース試験片を受け取るための試験管内試験片ポート(不図示)を備えてもよい。
【0034】
読取装置120はOBD102から無線で受信した測定された生体計測データを表示でき、また視覚、可聴、触覚、又はそれらの任意の組み合わせであってよい警報、警告通知、グルコース値などを出力するように構成されうる。更なる詳細及び他の表示実施形態は、例えば米国特許出願公開第2011/0193704号明細書に記載されている。この全体を本書に援用する。
【0035】
読取装置120は、測定されたデータをOBD102からコンピュータシステム170又は信頼できるコンピュータシステム180へ転送するデータ管又は中継器として機能しうる。ある実施形態では、OBD102から受信したデータは、システム170、180又はネットワーク190にアップロードする前に読取装置120の1つ以上のメモリに(永久に又は一時的に)記憶されてもよい。
【0036】
コンピュータシステム170はパーソナルコンピュータ、サーバー端末、ラップトップコンピュータ、タブレット、又は他の適切なデータ処理装置であってよい。コンピュータシステム170はデータ管理及び分析及び検体監視システム100内の部品との通信のためのソフトウェアでありうる(又は備えうる)。コンピュータシステム170はOBD102により測定された生体計測データを表示及び/又は分析するために使用者又は医療従事者によって使用されうる。幾つかの実施形態では、OBD102は生体計測データをコンピュータシステム170に読取装置120などの仲介なしに直接又はインターネット接続を使って(また随意に読取装置120に先ず送信することなく)間接的に通信できる。コンピュータシステム170の動作及び使用法は本書に援用される225公報に更に説明されている。検体監視システム100はまた、225公報に説明されているようにデータ処理モジュール(不図示)と動作するように構成されうる。
【0037】
信頼できるコンピュータシステム180はOBD102の製造者又は販売者によって物理的又は実質的に安全な接続を介して所有され、使用者の生体計測データの安全な保管のためにOBD102の認証を実行するのに及び/又は使用者の測定データを分析するためにデータ分析プログラム(例えば、ウェブブラウザを介してアクセス可能な)を提供するサーバーとして使用されうる。
【0038】
読取装置の実施形態
読取装置120はOBD102とインターフェースするために特注製造された専用の読取装置でありうる。読取装置120はまた、携帯電話などの携帯通信装置であってもよく、これらに限定されないがWi‐Fi又はインターネット可能スマートフォン、タブレット、又は携帯情報端末(PDA)を含む。読取装置120はまた、スマートめがね又はスマートウォッチ又は腕輪などの携帯スマート装着型電子機器として構成されうる。
【0039】
図2は読取装置120(例えば、専用読取器、スマートフォンなど)の実施形態のブロック図である。ここで、読取装置120は入力部品121、表示器122、及びメモリ203を有するプロセッサ又は処理回路206、第1アンテナ251と結合された第1通信回路241、任意選択の第2アンテナ252と結合された第2通信回路242、メモリ210、電源216、及び電力管理回路218を備える。
【0040】
読取装置120は高度に相互接続されて実現され、電源216は図2に示された各部品と結合され、データ、情報、又はコマンドを通信又は受信するこれらの部品(例えば、プロセッサ206、メモリ203、メモリ210、電力管理回路218、入力部品121、表示器122、第1通信回路241、及び第2通信回路242)は他の全てのこれら部品と、例えば1つ以上の通信接続又はバス220を介して通信可能に結合されうる。図2は専用の読取装置内に存在する代表的なハードウェア及び機能の省略された図であり、他のハードウェア及び機能(例えば、符号器・復号器、駆動回路、グルーロジック、全地球測位システム(GPS)回路、水晶発振子、位相ロックループ(PLL)など)も含まれうることを当業者は容易に認識するであろう。
【0041】
第1通信回路241及びアンテナ251は通信リンク141を通じた通信(送信及び/又は受信)用に構成され、第2通信回路242及びアンテナ252は通信リンク142を通じた通信用に構成される。幾つかの実施形態では、アンテナ251及びアンテナ252は単一の共用アンテナ(例えば、NFC及びBT周波数による送信及び受信可能な)でありうる。通信回路241及び242は、それぞれ通信リンク141及び142を通じた通信のための機能を実行する1つ以上のチップ及び/又は部品(例えば、送信機、受信機、送受信機、符号器、復号器、及び/又は他の通信回路)として実現されうる。
【0042】
アンテナ251及び252は用途及び通信プロトコルの必要に応じて構成されうる。アンテナ251及び252は同じ又は異なる構成を有し、例えばプリント回路基板(PCB)配線アンテナ、セラミックアンテナ、又は個別金属アンテナでありうる。アンテナ251及び252は単極アンテナ、ダイポールアンテナ、F型アンテナ、ループアンテナなどとして構成されうる。
【0043】
プロセッサ206は1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、及び/又はマイクロコントローラ(それぞれ個別チップ又は複数の異なるチップに分散されて(かつ一部であって)よい)を含みうる。ここで、プロセッサ206は搭載されたメモリ203を含む。プロセッサ206は通信回路241及び242とインターフェースし、アナログ・デジタル変換、符号化及び復号、デジタル信号処理、及びデータ信号の通信回路241及び242への供給(次に通信回路はそれらの信号を無線送信しうる)に適した形式(例えば、同相及び直交)への変換を可能にする他の機能を実行しうる。プロセッサ206はまた、通信回路241及び242とインターフェースし、無線送信を受信しデジタルデータ又は情報に変換するのに必要な逆機能を実行できる。
【0044】
プロセッサ206はメモリ203又は210に記憶されたソフトウェア命令群を実行できる。これらの命令によりプロセッサ206が通信回路241及び242に送信させ、受信した送信を読み込み処理し、入力部品121から入力を読み込み、データ又は情報を表示器122に表示し、タッチスクリーンの場合、表示器122から入力を読み込み、他の装置から受信したデータ又は情報(例えば、OBD102から受信した検体データ、較正情報、同期情報など)を処理し、OBD102との同期を維持するタスクを実行するなどできる。
【0045】
メモリ210は読取装置120内の様々な機能ユニットのうち1つ以上によって共用されるか又はそれらのうち2つ以上に分散(例えば、異なるチップ内の別々のメモリとして)されうる。メモリ210はまた、それ自体別チップでありうる。メモリ203及び210は持続性であり、揮発性メモリ(例えば、RAMなど)及び/又は不揮発性メモリ(例えば、ROM、フラッシュメモリ、F‐RAMなど)でありうる。
【0046】
電源216は再充電可能又は使い捨て電池であってよい1つ以上の電池を含みうる。電力管理回路218は電池充電を調整し、電源216の使用を監視し、出力を増大させ、DC変換などを行いうる。
【0047】
読取装置120は、共通のハウジングを共用するように薬剤(例えば、インスリンなど)送達装置を含んでも又は統合されてもよい。薬剤送達装置の例は、体内にあり多時間又は多日に亘る注入を許すカニューレを有する薬剤ポンプ(例えば、基礎及びボーラスインスリンを送達するための装着型ポンプ)を含みうる。読取装置120は薬剤ポンプと組み合わされる場合、薬を貯蔵する貯蔵所、移送管に接続可能なポンプ、及び注入カニューレを含みうる。ポンプは貯蔵所から薬を管を通って挿入されたカニューレを介して糖尿病患者の体内に注入できる。読取装置120に含まれ(又は統合され)うる薬剤送達装置の他の例は、毎回皮膚を突き刺しその後取り去られる携帯注入器(例えば、インスリンペン)を含む。読取装置120は携帯注入器と組み合わされる場合、注射針、薬を入れたカートリッジ、送達される薬の量を制御するためのインターフェース、及び注入を起こすアクチュエータを含みうる。この装置は薬を使いきるまで繰り返し使用されうる。薬を使いきるとこの組み合わせ装置は廃棄されるか又はカートリッジが新しいものと交換されうる。この場合、この組み合わせ装置は繰り返し再使用されうる。針は毎注入後、交換されうる。
【0048】
この組み合わせ装置は閉ループシステム(例えば、動作に使用者の介入を必要としない人工膵臓システム)の一部、半閉ループシステム(例えば、投与量の変更の確認など動作に使用者の介入をたまに必要とするインスリン・ループシステム)の一部、又は開ループシステムとして機能しうる。例えば、糖尿病患者の検体レベルはOBD102によって繰り返し自動的に監視され、得られた検体レベルは読取装置120に通信され、糖尿病患者の検体レベルを制御するのに適切な薬投与量が自動的に決定され糖尿病患者の体に送達されうる。ポンプ及び送達されるインスリン量を制御するためのソフトウェア命令群は読取装置120のメモリ203及び/又は210に記憶され処理回路206によって実行されうる。これらの命令はまた、OBD102から直接又は間接的に得られた検体レベル測定値に基づく薬送達量及び持続時間(例えば、ボーラス注入及び/又は基礎注入プロファイル)の計算をさせうる。幾つかの実施形態では、OBD102は薬投与量を決定し読取装置120に伝達しうる。
【0049】
体に付ける装置の実施形態
図3Aは検体センサー104及びセンサー電子回路(検体監視回路を含む)を有するOBD102の実施形態を描くブロック図である。センサー電子回路は1つ以上の半導体チップ、例えば特定用途集積回路(ASIC)、既製の(OTS)チップ、プログラマブルデバイス(例えば、PGA、FPGA)などに実現されうる。OBD102は、アナログ・フロントエンド(AFE)302、電力管理(又は制御)回路304、プロセッサ又は処理回路306、メモリ308、第1通信回路341、及び第2通信回路342を含む高レベル機能ユニットを備える。この実施形態では、AFE302及びプロセッサ306両方が検体監視回路として使用されるが、他の実施形態では、どちらかの回路(又は他の回路)が検体監視機能を実行しうる。
【0050】
OBD102は高度に相互接続されて実現され、電源312は図3Aに示された各部品と結合され、データ、情報、又はコマンドを通信又は受信するこれらの部品(例えば、AFE302、電力管理回路304、プロセッサ306、メモリ308、第1通信回路341、及び第2通信回路342)は他の全てのこれら部品と、例えば1つ以上の通信接続又はバス320を介して通信可能に結合されうる。図3AはOBD102内に存在する代表的なハードウェア及び機能の省略された図であり、他のハードウェア及び機能(例えば、符号器・復号器、駆動回路、グルーロジック、水晶発振子、位相ロックループ(PLL))も含まれうることを当業者は容易に認識するであろう。
【0051】
通信回路341及び342はチップ上又は図示のようにチップ外のアンテナ351及び352にそれぞれ結合されうる。第1通信回路341及びアンテナ351は通信リンク141を通じた通信(送信及び/又は受信)用に構成され、第2通信回路342及びアンテナ352は通信リンク142を通じた通信用に構成される。幾つかの実施形態では、アンテナ351及び352は単一の共用アンテナ(例えば、NFC及びBT周波数による送信及び受信可能な)でありうる。通信回路341及び342は、通信リンク141及び142を通じた通信のための機能を実行する1つ以上の部品(例えば、送信機、受信機、送受信機、受動回路、符号器、復号器、及び/又は他の通信回路)として実現されうる。
【0052】
限定されないが、幾つかの実施形態では、通信回路341は受動で第2装置(例えば、読取装置120)から受信した送信から得た電力だけを使用して応答送信を生成して第2装置に伝搬させる(リンク141がNFCリンクである場合など)。これら及び他の実施形態では、通信回路342は能動でOBD電源312からの電力を使用して送信を生成して第2装置に伝搬させる。能動の通信回路342はOBD102が送信を自発的に(例えば、要求、ポーリング信号、タイミング信号などを第2装置から受信することなく)及び別の装置から促されて生成するのを許す。
【0053】
プロセッサ306は1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、及び/又はマイクロコントローラ(それぞれ個別チップ又は複数の異なるチップに分散されて(かつ一部であって)よい)を含みうる。プロセッサ306は通信回路341及び342とインターフェースし、アナログ・デジタル変換、符号化及び復号、デジタル信号処理、及びデータ信号の通信回路341及び342への供給(次に通信回路はそれらの信号を無線送信しうる)に適した形式(例えば、同相及び直交)への変換を可能にする他の機能を実行しうる。プロセッサ306はまた、通信回路341及び342とインターフェースし、無線送信を受信しデジタルデータ又は情報に変換するのに必要な逆機能を実行できる。
【0054】
プロセッサ306はメモリ308に記憶されたソフトウェア命令群を実行できる。これらの命令によりプロセッサ306が、通信回路341及び342にプロセッサ306が生成した通信を送信させ、受信した送信を読み込み処理し、タイミング回路310のタイミングを調整し、温度センサーから温度情報を集め、検体センサー104からの測定値を記録及び/又は処理し、集めた検体データを実際の又は可能性のある警報状態を求めて監視し、警報指示の送信を生成し通信回路342に送信させ、他の装置(例えば、読取装置120)から受信したデータ又は情報を処理し、読取装置120との同期を維持するタスクを実行するなどできる。
【0055】
メモリ308はOBD102内の様々な部品によって共用されるか又はそれらのうち2つ以上に分散されうる。メモリ308はまた、それ自体別チップでありうる。メモリ308は持続性であり、揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリでありうる。OBD102は任意選択の温度(又は他の環境要因)センサー(不図示)及びコイン電池などでありうる電源312を備えうる。AFE302は生体内検体センサー104とインターフェースし測定データを受信し、デジタル形式に変換し、プロセッサ306へ出力する。プロセッサ306は、幾つかの実施形態では、本書の他の所で説明したどんなやり方でも処理できる。次にこのデータはアンテナ351及び352を介して、例えば読取装置120(不図示)へ送信するために通信回路341及び342に供給されうる。読取装置120では常駐ソフトウェアアプリケーションによる最少の更なる処理がデータを表示するために必要である。アンテナ351及び352は用途及び通信プロトコルの必要に応じて構成されうる。アンテナ351及び352は同じ又は異なる構成を有し、例えばプリント回路基板(PCB)配線アンテナ、セラミックアンテナ、又は個別金属アンテナでありうる。アンテナ351及び352は単極アンテナ、ダイポールアンテナ、F型アンテナ、ループアンテナなどとして構成されうる。
【0056】
図3BはOBD102の別の実施形態を描くブロック図である。ここで、OBD102は2つの半導体チップ301及び361を含む。チップ301はAFE302とNFCリンク141用の通信回路341とを含むASICである。チップ361はプロセッサ306、メモリ308、BTリンク142用の通信回路342、及び電力管理回路304を含むチップである。通信インターフェース320は任意の所望のやり方で構成されうる。1つの実施形態では、チップ361はBluetooth(登録商標)又はBLE無線チップであり、通信インターフェース320はシリアル周辺機器インターフェース(SPI)などのシリアルインターフェースである。他の実施形態では、インターフェース320はパラレルインターフェースである。
【0057】
図3A及び3Bは、複数の通信リンク141及び142を形成できるOBD102の実施形態を描くが、本書に記載の全ての実施形態は1つだけの通信リンクを形成できるOBD102の実施形態を用いて実施されうる。
【0058】
処理遅延を補償する通信の実施形態
OBD102によって受信された通信はOBD102が動作するように1つ以上のコマンドを含みうる。動作は、例えば電源を内部回路に接続するか切断する、ゼロ電力又は低電力状態から相対的により高い電力状態へ遷移する、センサー104を始動する(例えば、バイアス電圧を1つ以上の電極に印加することで)、検体データ測定を実行する、メモリ308に記憶されたデータ(例えば、測定された検体データ、OBD102を特定するデータ(例えば、ソフトウェアバージョン、シリアル番号など))を読み出す、診断を実行する、Bluetooth(登録商標)ペアリングを設定するなどある。これらのコマンドは使用者によって起動されるか又はソフトウェアルーチンの一部として自動的に送信装置によって送信されうる。コマンドは適用可能な規格で規定されるか又はカスタム応答を要求するカスタムコマンドでありうる。
【0059】
受信された通信は応答の読取装置120への返信をしばしば要求する。コマンドがNFCリンク141を通じて送信される場合、送信装置はOBD102にごく接近している。そうでなければ、送信装置はOBD102の域内にある。説明の容易さのために、送信装置は読取装置120として本書では説明される。
【0060】
1つ以上のコマンドを受信した後、OBD102はその内部ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせを利用して読取装置120への送信のための応答を生成する。幾つかの実施形態では、OBD102は応答を生成するのに必要な情報を集めるプロセスの一部として、その使用者の体に付けた又は近接した他の装置と又は遠隔の他の装置とさえ通信できる。OBD102が応答を生成するのに必要な時間量は複数の要因、例えば応答を生成するのに必要な処理量、応答を生成する任に当たるハードウェア及び/又はソフトウェアの速度、応答に必要なデータ量などに依存する。
【0061】
ある通信プロトコルは、有限の時間量を受信する装置が応答するのに割り当てるタイミング制約又は要件を有する。これらのプロトコルは、業界標準プロトコル又はカスタムプロトコルでありうる。例えば、NFCリンク141を通じて送信される通信がISO15693規格に準拠する実施形態では、規格が受信する装置が応答するのに割り当てる最大時間量内で通信が送信されなければならない。例えば、Read Multiple Blockコマンド、Read Single Blockコマンド、カスタムコマンド、及び専有コマンドを含むNFCコマンドの大部分は、設定された制限時間内に応答されなければならない。一例では、ISO15693は、コマンドは受信する装置がコマンドを受信した時から323マイクロ秒(μs)内に応答されるよう規定する。他の規格は他の制限時間を設定する可能性があり、ISO15693規格は改定され異なる制限時間を割り当てる可能性がある。
【0062】
ある場合には、OBD102は、応答を生成し送信するのに設定された制限時間より多くの時間を必要とすることがある。この処理遅延は設定された制限時間違反を起こし規格に不準拠となりうる。これは、読取装置120が市販のスマートフォンである場合、スマートフォンはこの違反を誤り又は故障として扱い通信の完了を妨げることがあるので、特定の問題を提示することがある。
【0063】
本書に開示する実施形態は、ダミーデータを含む1つ以上の応答を送信することでこの処理遅延を補償し準拠を維持できる。ダミーデータは準拠を維持するために送信されるが、コマンドに全体的又は部分的に応答するデータでない。このデータは、読取装置にプログラムされた又はダミーデータを表すと読取装置が理解可能な所定のビット列でありうる。或いは、このデータは、読取装置により復号された時に擬似ランダムデータであると理解されるように、アルゴリズムに従って生成される擬似ランダムデータか又はダミーデータを表すコードであってもよい。別の実施形態では、このデータは所定又はランダムであり、ダミーデータであることが、例えばペイロードヘッダー内に位置するフラッグで示されうる。従って、読取装置120はフラッグの存在を認識後、そのデータを廃棄できる。
【0064】
図4Aは、ここではOBD102として説明される受信する装置による通信の方法400の実施形態を描くフロー図である。402で、OBD102はコマンドを含む送信を読取装置120などの送信装置から受信する。404で、OBD102は受信したコマンドを処理する。これは受信したコマンドを解読、復号、及び/又は検証するのに必要などんなステップも、またコマンドに応答する情報又はデータ(応答データ)を読取装置120に送信するために生成するのに必要などんなステップも含みうる。この実施形態では、ステップ404は読取装置120に応答を送信するのに通信プロトコルにより割り当てられたより多くの時間を必要とすると仮定する。そのため、406では、OBD102はダミーデータを読取装置120に応答送信する。これは応答のための設定された制限時間の終了前に行われ、準拠を維持する。設定された制限時間はリセットされ、応答のための新しい(第2)期間が始まる。第2期間の終了前に、OBD102は、用意できていれば応答データを含む別の応答を送信する。用意できていなければ、OBD102は再びダミーデータを読取装置120に送信でき、再び設定された制限時間をリセットし、OBD102は応答データが送信のために用意できるまで繰り返す。408では、応答データがペイロードのサイズ及びプロトコルの制約などに依って1回以上に分けて読取装置120に送信され、応答の終了はフレーム終了(EOF)列などの表示を読取装置120に送信することで示されうる。
【0065】
図4Bは、ここでは読取装置120として説明される送信する装置による通信の方法420の実施形態を描くフロー図である。422で、読取装置120はコマンドをOBD102に送信する。424で、読取装置120は通信プロトコルにより割り当てられた時間内にOBD102から応答を受信する。426で、読取装置120は受信した応答を読み込み、ダミーデータであるか応答データであるかを判断する。ダミーデータが所定の配列又はコード(例えば、AAAA、FFFFなど)である実施形態では、この判断は受信した応答を既知の所定の配列又はコードと比較しダミーデータと一致するか否かを特定することで成されうる。受信した応答が一致せず、有効データであるための他の基準を満たす場合(例えば、巡回冗長検査を満たす、適切な形式であることなど)、受信した応答は応答データであると判断されうる。ダミーデータが他の手法、例えばダミーデータアルゴリズムに従った生成又はヘッダー内フラッグによってダミーデータと表示で示される実施形態では、読取装置120は、受信した応答がダミーデータか応答データかを検査する適切な手法を適用できる。
【0066】
受信した応答が応答データである場合、読取装置120は428でそれに応じてそのデータを処理する。これは応答データを記憶すること、応答データを使用者へ表示すること、応答データを別の装置へ通信すること、又は当業者に明らかなどんな数の他の動作も含みうる。受信した応答がダミーデータである場合、方法420は戻り、ステップ424で別の応答を待つことができる。そのダミーデータは読取装置120によって廃棄又は無視されうる。ステップ424で応答を受信し426で受信した応答がダミーデータか応答データかを判断するプロセスは、応答データを受信するまで無期限に繰り返し可能であり、通信の順次やりとりの終了のための全体時間に達するか、システム100がタイムアウトするか、又は方法420を終了させる別の事象が発生する。
【0067】
図4Cは、ここでは読取装置120として説明される送信する装置による通信の方法440の別の実施形態を描くフロー図である。442で、読取装置120はコマンドをOBD102に送信する。444で、読取装置120はOBD102からN個の順次応答を受信する。各順次応答は通信プロトコルにより割り当てられた時間内である。例えば、プロトコルが制限時間を1ミリ秒と設定した場合、各順次応答は直前の応答から1ミリ秒以内に受信される。この実施形態では、読取装置120は全ての受信応答がダミーデータか応答データかを個別に判断せず、OBD102からの通信の完全応答組みを構成するために受信されるべき応答の適切な数を認識するようにプログラムされている。例えば、読取装置120は、読取装置120がOBD102へ送ったあるコマンドXYZによりOBD102からE個の個別応答を受信するべきであると認識又は期待するようにプログラムされうる。Eは1以上である。446では、読取装置120は受信応答の数Nが期待される応答の数Eに等しいかを判定する。そうであれば、読取装置120はE個の応答を応答データであるとして扱い(応答が全ての他の検証基準を満たすと仮定して)、448でそれに応じて動作しうる(例えば、そのデータを記憶する、そのデータを表示するなど)。
【0068】
受信された応答の数Nが期待される応答の数Eより大きい場合、450で読取装置120は初めのNマイナスE(N-E)個の応答をダミーデータであるとして扱いうる。これは、初めの(N-E)個の応答を無視する又は廃棄することを含みうる。これはまた、初めの(N-E)個の応答を読み込み、それぞれダミーデータであるかを個々の実施形態のダミーデータ基準、例えば既知のダミーデータコードと比較する、ダミーデータフラッグを参照するなどに従って検証することを任意選択で含みうる。E個の応答が残るので、読取装置120はステップ448に進み、再び他の検証基準が満たされていると仮定して残りのE個の応答を応答データとして扱い、それに応じて動作しうる。
【0069】
図4Dは、ここでは読取装置120及びOBD102としてそれぞれ説明される送信する装置及び受信する装置の間の通信の方法460の別の実施形態のフロー図である。462で、読取装置120はコマンドをOBD102に送信し、464でOBD102はそれを受信して処理を開始する。この実施形態では、OBD102は、応答データをP+1番目(及びそれに続く)応答で送信する前に所定の数P個のダミーデータ応答を読取装置120へ送信するようにプログラムされる。ダミーデータ応答の所定の数はOBDが応答データを生成するのに必要な時間の期待される量に基づいて決定される。この所定の数はシステム開発プロセス間の試験により決定され検証されうる。例えば、応答の設定期間が1ミリ秒(ms)で、OBD102が応答データを生成するのに必要な最大時間は4.2msであると算出された場合、所定の数Pは4に設定され、OBD102はダミーデータをそれぞれ含む4つの応答を送信し5番目の応答で応答データの送信を開始するようにプログラムされうる。同様に、読取装置120は、5番目の応答で応答データを受信する前にダミーデータをそれぞれ含む4つの応答を期待するようにプログラムされうる。
【0070】
図4Dを参照すると、466でOBD102はN個の応答を読取装置120へ送信し、読取装置120はそれらを468で受信する。470で、読取装置120は初めのP個の応答をダミーデータとして、残りのNマイナスP(N-P)個の応答を応答データとして扱いうる。これは初めのP個の応答を無視する又は廃棄することを含みうる。初めのP個の応答を読み込み、ダミーデータであることを検証することも任意選択で含みうる。読取装置120はP+1番目の応答を応答データを含む第1応答として読み込みうる。その応答データが他の検証基準を満たすと仮定して、読取装置120はそれに応じてその応答データを本書に記載のように処理しうる。
【0071】
幾つかの実施形態では、システム100は、異なるコマンドが異なる数(異なるコマンドの異なる処理時間に基づき利用される)の所定の応答を有するように構成されうる。例えば、第1コマンドは3つの所定のダミーデータ応答に対応する場合があり、第2コマンドは4つの所定のダミーデータ応答に対応する場合があるなど。これらの実施形態では、読取装置及び体に付ける装置の両方が所定の応答の適切な数を知り各コマンドに対して使用するように好ましくはプログラムされ、体に付ける装置は受信したコマンドを読み込み、所定の応答の適切な数を決定しそのコマンドに応答して送信するようにプログラムされうる。このような構成は通信帯域幅のより効率的な使用を可能にする。
【0072】
図4A~4Dに関して記述された実施形態は、受信したコマンドを処理するための時間がプロトコル又は規格によって応答に対して割り当てられる時間を超えうるシステムで実施される。これらの実施形態は、これら広範囲な処理遅延がありうるどんなシステムとでも処理遅延の理由に拘らず利用されうる。次の実施形態は、処理遅延が割り当てられた時間を超えうる配置又は状況の非網羅的例として働くように意図されており、多くの他の例が可能であり、本書に記述された主題の範囲内である。
【0073】
リンク141がNFCリンクである図3Bの実施形態を再び参照すると、ある例では、通信回路341によって受信された幾つかのNFC通信は、チップ361との連係なしにASIC301によって直接処理され応答されうる。しかし、幾つかのコマンドはプロセッサ306などのより頑強な実体によって生成される応答を必要とする場合がある。それらの例では、ASIC301は受信された通信の関係部分を応答の生成のためにチップ361に転送しうる。次にチップ361は応答データを生成し、利用可能になれば、その応答データをNFCリンク141を通じてOBD102から1つ以上の応答として送信するためにASIC301へ出力しうる。
【0074】
読取装置120は、ペイロードがダミーデータとしての所定のペイロードに合致するバイト値(例えば、AAAA、FFFF)を含む応答を認識し、これらの応答を無視し(例えば、メモリに記憶しない)、ダミーデータ以外のペイロードデータを含む応答送信を求めてNFCリンク141の監視を続けるようにプログラム又は構成されうる。
【0075】
図5Aは応答の設定された制限時間違反を避けるよう無線通信を扱うための実施形態500を描く情報フロー図である。この実施形態500は図3Bと同様に構成されたOBD102の文脈で記述されるが、実施形態500はそれに限定されない。図5A内の矢印は読取装置120からOBD102のチップ301への無線送信及び読取装置120へ戻る無線送信と、OBD102内のチップ301からチップ361へ及び戻る内部有線通信を描く。有線通信は、例えばSPIとして構成されたインターフェース320を通じて通信されてよい。
【0076】
501で、カスタムコマンドが読取装置120から送信され、OBD102のチップ301で受信される。502で、受信されたカスタムコマンド(例えば、関係する部分又は受信されたコマンドを表す情報)は次にチップ301からチップ361へインターフェース320を通じて転送される。チップ361は、次に507でそのコマンドを読み込み適切な応答データを生成し出力するプロセスを開始する。これはアルゴリズムの実行、メモリからデータの取り出し、及び/又は他の機能の実行を含んでよい。
【0077】
同時に、チップ301は応答送信を、チップ301上の回路(例えば、ASIC回路)を使用することなどで準備する。503で、チップ301はフレーム開始(SOF)表示を含む応答を読取装置120へリンク141を通じて送信する。応答パケットヘッダーのための任意のフラッグ(504で)及び/又は他のパラメータ(505で)(容易に決められうる)も応答送信の設定された制限時間内に読取装置120に返信される。
【0078】
設定された制限時間終了が近づく中、チップ361は、まだカスタムコマンドへの応答を生成していないと仮定すると、506でチップ301はダミーデータを読取装置120に送信する。このプロセスは継続し、引き続く各制限時間終了前にダミーデータを含むペイロードが読取装置120へ送信される。このループは、チップ361が応答データペイロードをチップ301へ出力する508まで繰り返し継続しうる。応答データペイロードの受信がチップ301によって認識され、チップ301は509でこの応答データペイロードを読取装置120へ送信させる(必要で許されるだけ多くの連続した応答パケットを利用して送信を完了する)。510でチップ301はエラー検出ビット(例えば、巡回冗長検査(CRC))を送信し、511でフレーム終了(EOF)表示がそれに続く。
【0079】
図5Bは、応答制限時間違反を避けるように無線通信を扱うための実施形態550を描く情報フロー図である。この実施形態550は図3Bと同様に構成されたOBD102の文脈で記述されるが、実施形態550はそれに限定されない。
【0080】
551でカスタムコマンドは読取装置120から送信され、OBD102のチップ301で受信される。552でチップ301は応答データを定式化するのに必要な情報をチップ361に要求する。例えば、要求される情報はチップ361内の乱数生成器によって生成される読取装置120への返信の前に応答データを暗号化するための乱数でありうる。553でチップ361は要求された情報を処理し554でその要求された情報をチップ301に提供する。555でチップ301は要求した情報をチップ361から受け取り、556で応答データの処理を開始する。他の実施形態では、ダミーデータも送信前に暗号化されうる。
【0081】
同時にチップ301はチップ301上の回路(例えば、ASIC回路)を使用することなどで応答送信を準備する。556でチップ301はフレーム開始(SOF)表示を含む応答を読取装置120へリンク141を通じて送信させる。応答パケットヘッダーのための任意のフラッグ(558で)及び/又は他のパラメータ(560で)(容易に決められうる)も読取装置120に応答送信の設定された制限時間内に返信される。
【0082】
設定された制限時間終了が近づく中、チップ361は、まだカスタムコマンドへの応答を生成していないと仮定すると、562でチップ301はダミーデータを読取装置120に送信する。このプロセスは継続し、引き続く各制限時間終了前にダミーデータを含むペイロードが読取装置120へ送信される。このループは、チップ301が処理(例えば、応答データの生成及びその暗号化)を完了し応答データが送信可能となる563まで繰り返し継続しうる。次にチップ301は564でこの応答データペイロードを読取装置120へ送信させる(必要で許されるだけ多くの連続した応答パケット送信を利用して送信を完了する)。566でチップ301はエラー検出ビット(例えば、巡回冗長検査(CRC))を送信し、568でフレーム終了(EOF)表示がそれに続く。
【0083】
上記の違いに加えて、本書に記載されたいずれの及び全ての実施形態で、ダミーデータを含む応答は、応答のペイロード部内にダミーデータだけを含む応答でありうる。これはペイロード内に含まれ所定のコード(例えば、AAAA、FFFF、ABCDなど)に対応するビット列又はデータフレームのヘッダー部内のフラッグ(ペイロード内のデータはダミーデータ又はダミーデータだけであることを示す)によって示されうる。
【0084】
本主題の様々な態様が、これまで記載した実施形態を再度考察及び/又は補足し、以下の実施形態の相互関係及び交換性に重点を置いて下記に記述される。言い換えると、そうでないと明記されなければ又は論理的にありそうにないのでなければ、実施形態の各特徴は他の各及び全ての特徴と組み合わせ可能であるという事実に重点が置かれる。
【0085】
多くの実施形態で、体に付ける装置及び読取装置を含む検体監視システム内の通信方法が提供される。本方法は、体に付ける装置による読取装置からコマンドを無線受信すること、ダミーデータを含む少なくとも1つの第1応答を読取装置へ無線送信すること、及びそのコマンドに応答するデータを含む少なくとも1つの第2応答を読取装置へ無線送信することを含む。
【0086】
幾つかの実施形態では、本方法は、少なくとも1つの第1応答を読取装置へ送信する間に受信したコマンドを処理することを更に含む。受信したコマンドを処理することは、コマンドに応答するデータを生成すること及びコマンドに応答するデータを暗号化することを含みうる。読取装置へ送信される少なくとも1つの第2応答は、そのコマンドに応答するデータを暗号化された形態で含みうる。読取装置へ送信される少なくとも1つの第1応答は、暗号化されたダミーデータを含みうる。
【0087】
幾つかの実施形態では、本方法は、コマンドに応答するデータが応答の設定制限時間の終了前に送信可能か否かを判断することを含む。本方法は、コマンドに応答するデータが応答の設定制限時間の終了前に送信できないと判断された場合、第1応答を読取装置へ送信することを更に含みうる。本方法は、コマンドに応答するデータが応答の設定制限時間の終了前に送信可能であると判断された場合、第2応答を読取装置へ送信することを更に含みうる。
【0088】
幾つかの実施形態では、本方法は複数の第1応答を読取装置へ送信することを更に含みうる。各第1応答はダミーデータを含み、応答の設定制限時間の終了前に送信される。
【0089】
幾つかの実施形態では、ダミーデータは所定のコードであるか、少なくとも1つの第1応答のヘッダー内のフラッグによって示されるか、又は擬似ランダムデータでありうる。
【0090】
幾つかの実施形態では、本方法はダミーデータアルゴリズムに従ってダミーデータを生成することを更に含みうる。
【0091】
幾つかの実施形態では、体に付ける装置は第1半導体装置と、第1半導体装置と通信インターフェースで通信可能に結合された第2半導体装置とを含みうる。通信インターフェースはシリアル周辺機器インターフェースでありうる。本方法は第1半導体装置から第2半導体装置へ通信インターフェースを通じて応答データを求める要求を出力すること、第2半導体装置によって応答データを生成すること、及び少なくとも1つの第2応答を読取装置へ送信する前に第2半導体装置から第1半導体装置へ通信インターフェースを通じて応答データを出力することを更に含みうる。第1半導体装置は近距離無線通信(NFC)プロトコルに従ってデータをフォーマットするように構成されうる。第2半導体装置はBluetooth(登録商標)通信プロトコルに従ってデータをフォーマットするように構成されうる。
【0092】
幾つかの実施形態では、本方法は、受信したコマンドを処理すること、及び少なくとも1つの第1応答を読取装置へ無線送信する前に少なくとも1つの第3応答を読取装置へ無線送信することを更に含みうる。少なくとも1つの第3応答はフレーム開始表示、フラッグ、又は通信パラメータのうち少なくとも1つを含みうる。本方法は少なくとも1つの第2応答を無線送信した後に少なくとも1つの第4応答を無線送信することを更に含みうる。少なくとも1つの第4応答はエラー検出情報又はフレーム終了表示を含みうる。
【0093】
幾つかの実施形態では、体に付ける装置と読取装置の間の無線通信は近距離無線通信(NFC)プロトコルに従う。
【0094】
多くの実施形態で、検体監視システムの体に付ける装置が提供される。体に付ける装置は、コマンドを無線受信し1つ以上の応答を無線送信するように構成された通信回路、及びダミーデータとコマンドに応答するデータとを生成するように構成された処理回路を含み、体に付ける装置はダミーデータを含む少なくとも1つの第1応答と、コマンドに応答するデータを含む少なくとも1つの第2応答とを無線送信するように構成される。
【0095】
幾つかの実施形態では、体に付ける装置は通信回路が少なくとも1つの第1応答を送信する間に処理回路が受信したコマンドを処理するように構成されうる。処理回路はコマンドに応答するデータを暗号化し暗号化された応答データを通信回路に出力するように構成されうる。処理回路はダミーデータを暗号化し暗号化されたダミーデータを通信回路に出力するように構成されうる。
【0096】
幾つかの実施形態では、体に付ける装置は、応答の設定制限時間の終了前にコマンドに応答するデータが送信可能か否かを判断するように構成されうる。
【0097】
幾つかの実施形態では、処理回路は、コマンドに応答するデータが送信可能でないと判断した後、応答の設定制限時間の終了前に第1応答を送信させるように構成されうる。
【0098】
幾つかの実施形態では、処理回路は、コマンドに応答するデータが送信可能であると判断した後、応答の設定制限時間の終了前に第2応答を送信させるように構成されうる。
【0099】
幾つかの実施形態では、体に付ける装置は複数の第1応答を送信するように構成されうる。各第1応答はダミーデータを含み、応答の設定制限時間の終了前に送信される。
【0100】
幾つかの実施形態では、ダミーデータは所定のコードであるか、少なくとも1つの第1応答のヘッダー内のフラッグによって示されるか、擬似ランダムデータであるか、又はダミーデータアルゴリズムに従って生成されうる。
【0101】
幾つかの実施形態では、体に付ける装置は第1半導体装置と、第1半導体装置に通信インターフェースで通信可能に結合された第2半導体装置とを含みうる。通信インターフェースはシリアル周辺機器インターフェースでありうる。前記処理回路の第1部分は第1半導体装置内に位置し、前記処理回路の第2部分は第2半導体装置内に位置しうる。第1半導体装置は第2半導体装置へ通信インターフェースを通じて応答データを求める要求を出力するように構成されうる。第2半導体装置は応答データを生成しその応答データを第1半導体装置へ通信インターフェースを通じて出力するように構成されうる。第1半導体装置は近距離無線通信(NFC)プロトコルに従ってデータをフォーマットするように構成されうる。第2半導体装置はBluetooth(登録商標)通信プロトコルに従ってデータをフォーマットするように構成されうる。
【0102】
幾つかの実施形態では、通信回路は近距離無線通信(NFC)プロトコルに従って無線受信及び送信するように構成される。
【0103】
幾つかの実施形態では、処理回路はメモリと通信可能に結合され、メモリは処理回路によって実行される複数の命令を記憶する。
【0104】
多くの実施形態では、体に付ける装置及び読取装置を含む検体監視システム内の通信方法が提供される。本方法は、読取装置によって体に付ける装置へコマンドを無線送信すること、ダミーデータを含む少なくとも1つの第1応答を体に付ける装置から無線受信すること、及びそのコマンドに応答するデータを含む少なくとも1つの第2応答を体に付ける装置から無線受信することを含む。
【0105】
幾つかの実施形態では、本方法は、読取装置によって少なくとも1つの第1応答のそれぞれがダミーデータを含むか否かを判断することを更に含みうる。
【0106】
幾つかの実施形態では、本方法は、読取装置によって少なくとも1つの第2応答のそれぞれがコマンドに応答するデータを含むか否かを判断することを更に含みうる。
【0107】
幾つかの実施形態では、本方法は、読取装置によってコマンドに応答するデータを処理することを更に含みうる。コマンドに応答するデータを処理することは、コマンドに応答するデータを記憶すること又はコマンドに応答するデータを表示することを含みうる。
【0108】
幾つかの実施形態では、本方法は、受信した少なくとも1つの第1応答と少なくとも1つの第2応答の総数Nが応答の期待される数Eより大きいか否かを読取装置によって判断することを更に含みうる。本方法は、読取装置によって初めの(N-E)個の応答をダミーデータとして扱うこと、及び読取装置によって残りのE個の応答をコマンドに応答するデータを含んでいるとして扱うことを更に含みうる。本方法は、読取装置によって初めの(N-E)個の応答を読み込み、それらの応答がダミーデータを含むことを確認することを更に含みうる。本方法は、読取装置によって受信した少なくとも1つの第2応答を解読することを更に含みうる。本方法は、読取装置によって受信した少なくとも1つの第1応答を解読することを更に含みうる。ダミーデータは所定のコードであるか、少なくとも1つの第1応答のヘッダー内のフラッグによって示されるか、擬似ランダムデータであるか、又はダミーデータアルゴリズムに従って生成されうる。
【0109】
幾つかの実施形態では、読取装置は体に付ける装置と通信する。
【0110】
幾つかの実施形態では、読取装置は近距離無線通信(NFC)プロトコルに従って無線受信及び送信する。本方法は、Bluetooth(登録商標)プロトコルに従って体に付ける装置からデータを無線受信することを更に含みうる。
【0111】
多くの実施形態で、検体監視システムの読取装置が提供される。読取装置は、コマンドを無線送信し1つ以上の応答を無線受信するように構成された通信回路、及び各受信した応答がダミーデータを含むかコマンドに応答するデータを含むかを判断するように構成された処理回路を含む。
【0112】
幾つかの実施形態では、処理回路はコマンドに応答するデータを処理するように構成される。
【0113】
幾つかの実施形態では、処理回路はコマンドに応答するデータを記憶又は表示するように構成される。
【0114】
幾つかの実施形態では、処理回路はダミーデータを無視又は廃棄するように構成される。
【0115】
幾つかの実施形態では、処理回路は各受信した応答を解読するように構成される。
【0116】
幾つかの実施形態では、ダミーデータは所定のコードであるか、少なくとも1つの第1応答のヘッダー内のフラッグによって示されるか、擬似ランダムデータであるか、又はダミーデータアルゴリズムに従って生成されうる。
【0117】
幾つかの実施形態では、読取装置は体に付ける装置と通信するように構成される。
【0118】
幾つかの実施形態では、通信回路は近距離無線通信(NFC)プロトコルに従って無線送信及び受信するように構成される。通信回路は第1通信回路であり、読取装置はBluetooth(登録商標)プロトコルに従って無線送信及び受信するように構成された第2通信回路を含む。
【0119】
幾つかの実施形態では、処理回路はメモリと通信可能に結合され、メモリは処理回路によって実行されうる複数の命令を記憶する。
【0120】
多くの実施形態で、検体監視システムの読取装置が提供される。読取装置は、コマンドを無線送信し1つ以上の応答を無線受信するように構成された通信回路、及び受信した応答の総数Nが応答の期待される数Eより大きいか否かを判断するように構成された処理回路を含む。
【0121】
幾つかの実施形態では、処理回路は、初めの(N-E)個の応答をダミーデータとして扱い、残りのE個の応答をコマンドに応答するデータを含んでいるとして扱うように構成されうる。処理回路は初めの(N-E)個の応答を読み込み、それらの応答がダミーデータを含むことを確認するように構成されうる。処理回路は、コマンドに応答するデータを処理するように構成されうる。処理回路は、コマンドに応答するデータを記憶又は表示するように構成されうる。処理回路は、初めの(N-E)個の応答がダミーデータを含むことを確認することなく初めの(N-E)個の応答を無視又は廃棄するように構成されうる。処理回路は各受信した応答を解読するように構成されうる。
【0122】
幾つかの実施形態では、ダミーデータは所定のコードであるか、少なくとも1つの第1応答のヘッダー内のフラッグによって示されるか、擬似ランダムデータであるか、又はダミーデータアルゴリズムに従って生成されうる。
【0123】
幾つかの実施形態では、読取装置は体に付ける装置と通信するように構成される。
【0124】
幾つかの実施形態では、通信回路は近距離無線通信(NFC)プロトコルに従って無線送信及び受信するように構成される。通信回路は第1通信回路であり、読取装置はBluetooth(登録商標)プロトコルに従って無線送信及び受信するように構成された第2通信回路を含みうる。
【0125】
多くの実施形態で、体に付ける装置及び読取装置を含む検体監視システム内の通信方法が提供される。本方法は、体に付ける装置によって読取装置からコマンドを無線受信すること、各第1応答はダミーデータを含み所定の数P個の第1応答を体に付ける装置から読取装置へ無線送信すること、及びそのコマンドに応答するデータを含む少なくとも1つの第2応答を体に付ける装置から読取装置へ無線送信することを含む。
【0126】
幾つかの実施形態では、本方法は、所定の数の第1応答を読取装置へ送信しながら、受信したコマンドを処理することを更に含みうる。
【0127】
幾つかの実施形態では、受信したコマンドを処理することは、コマンドに応答するデータを生成すること、及びコマンドに応答するデータを暗号化することを含みうる。読取装置へ送信される少なくとも1つの第2応答はコマンドに応答するデータを暗号化された形態で含みうる。読取装置へ送信される所定の数の第1応答のそれぞれは、ダミーデータを暗号化された形態で含みうる。
【0128】
幾つかの実施形態では、本方法は、読取装置によって体に付ける装置から受信した応答の数をカウントすることを更に含む。本方法は、P+1番目の応答をコマンドに応答するデータを含んでいるとして扱うことを更に含みうる。本方法は、初めのP個の受信した応答がダミーデータを含むことを確認しないことを更に含みうる。
【0129】
幾つかの実施形態では、本方法は、体に付ける装置によって受信したコマンドを読み込み受信したコマンドに対応する所定の数P個の第1応答を無線送信することを更に含みうる。受信したコマンドは複数のコマンドの1つであり、読取装置及び体に付ける装置は、そのコマンドに基づいて正確な数の所定の応答を特定するようにプログラムされる。
【0130】
幾つかの実施形態では、体に付ける装置と読取装置の間の無線通信は近距離無線通信(NFC)プロトコルに従う。
【0131】
多くの実施形態で、検体監視システムが提供される。検体監視システムは通信回路及び処理回路を含む体に付ける装置と、通信回路及び処理回路を含む読取装置とを備える。体に付ける装置は、読取装置からコマンドを無線受信し、各第1応答はダミーデータを含み所定の数P個の第1応答を読取装置へ無線送信し、コマンドに応答するデータを含む少なくとも1つの第2応答を読取装置へ無線送信するように構成される。
【0132】
幾つかの実施形態では、体に付ける装置は、所定の数の第1応答を読取装置へ送信しながら、受信したコマンドを処理するように構成される。体に付ける装置の処理回路はコマンドに応答するデータを生成しコマンドに応答するデータを暗号化するように構成されうる。体に付ける装置の処理回路はダミーデータを暗号化し暗号化されたダミーデータを送信するように構成されうる。
【0133】
幾つかの実施形態では、読取装置の処理回路は体に付ける装置から受信した応答の数をカウントするように構成されうる。読取装置の処理回路はP+1番目の応答をコマンドに応答するデータを含んでいるとして扱うように構成されうる。読取装置の処理回路は、初めのP個の受信した応答がそれぞれダミーデータを含むことを確認することなく初めのP個の受信した応答を無視又は廃棄するように構成されうる。
【0134】
幾つかの実施形態では、体に付ける装置の処理回路は、受信したコマンドを読み込み受信したコマンドに対応する所定の数P個の第1応答を無線送信するように構成される。
【0135】
幾つかの実施形態では、受信したコマンドは複数のコマンドの1つであり、読取装置及び体に付ける装置は、そのコマンドに基づいて正確な数の所定の応答を特定するようにプログラムされる。
【0136】
幾つかの実施形態では、体に付ける装置の通信回路及び読取装置の通信回路はそれぞれ近距離無線通信(NFC)プロトコルに従って通信するように構成される。
【0137】
多くの実施形態で、体に付ける装置及び読取装置を含む検体監視システム内の通信方法が提供される。本方法は、体に付ける装置において読取装置からカスタムコマンドを含み第1通信プロトコルに従ってフォーマットされた送信を受信すること、そのカスタムコマンドを体に付ける装置の第1半導体チップから体に付ける装置の第2半導体チップへ通信すること、ダミーデータを含む第1データペイロードを体に付ける装置から読取装置へ応答の設定制限時間内に第1通信プロトコルに従って送信させること、応答データペイロードを第2半導体チップから第1半導体チップへ通信すること、及びその応答データペイロードを体に付ける装置から読取装置へ送信させることを含み、第1半導体チップは第1通信プロトコルに従う通信に適合した通信回路を含み、第2半導体チップはプロセッサを含む。
【0138】
本書に記載された方法の各及び全ての実施形態について、これらの実施形態のそれぞれを実施できるシステム及び装置は本開示の範囲内に含まれる。例えば、OBDの実施形態が開示され、これらの装置は1つ以上のセンサー、検体監視回路(例えば、アナログ回路)、メモリ(例えば、命令群を記憶するための)、電源、通信回路、送信機、受信機、プロセッサ、及び/又はコントローラ(例えば、命令を実行するための)を有しうる。これらはいずれかの及び全ての方法ステップを実行できるか又はいずれかの及び全ての方法ステップの実行を可能にできる。これらのOBDの実施形態は使用され、本書に記載された方法のいずれか及び全てのうちOBDによって実行されるそれらのステップを実行するのに使用可能でありうる。
【0139】
上記全ての実施形態について、体に付ける装置によって実行される動作は、体に付ける装置のメモリに記憶された1つ以上の命令を実行する体に付ける装置の処理回路によって実行されるか又は実行されるようにさせられうる。同様に、上記全ての実施形態について、読取装置によって実行される動作は、読取装置のメモリに記憶された1つ以上の命令を実行する読取装置の処理回路によって実行されるか又は実行されるようにさせられうる。
【0140】
記載された主題に係る動作を実行するためのコンピュータプログラム命令群は、本書に記載された任意の持続性メモリに記憶され、それに通信可能に結合された処理回路によって実行されうる。コンピュータプログラム命令群は、Java、JavaScript、Smalltalk、C++、C#、Transact‐SQL、XML、PHPなどのオブジェクト指向プログラミング言語と、Cプログラミング言語又は類似のプログラミング言語などの従来の手続き形プログラミング言語とを含む1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで記されうる。プログラム命令群は使用者の計算装置上で全て、又は使用者の計算装置上で部分的に、独立したソフトウェアパッケージとして、又は使用者の計算装置上で部分的にかつ遠隔の計算装置上で部分的に、又は遠隔の計算装置又はサーバー上で全て実行されてよい。後者の場合、遠隔の計算装置は使用者の計算装置に、ローカルエリア・ネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを介して接続されてもよい、又は接続は外部コンピュータにされてもよい(例えば、インターネット・サービスプロバイダーを使ってインターネットを介して)。
【0141】
なお、本明細書で提供されたいずれの実施形態もそれに関して説明した全ての特徴、要素、構成要素、機能、及びステップは、他のいずれの実施形態のそれらと自由に組み合わせ及び置き換えが可能であるように意図されている。ある特徴、要素、構成要素、機能、又はステップが1つの実施形態のみに関して説明された場合、そうでないと明記しない限り、その特徴、要素、構成要素、機能、又はステップは本書に記載された他の全ての実施形態と共に使用できうることは理解されるべきである。従って、この段落は、複数の異なる実施形態の特徴、要素、構成要素、機能、及びステップを組み合わせるか、又は1つの実施形態の特徴、要素、構成要素、機能、及びステップを別の実施形態のそれらと置き換える請求項の導入のための前出及び裏付けとして、そのような組み合わせ又は置き換えが可能であると本説明の特定の例に明記されていなくても、働く。全てのそのような組み合わせ及び置き換えは許容されると当業者が容易に認識するであろうことを考えると、全ての可能な組み合わせ及び置き換えを明記することは過度な負担になることは明らかに認められる。
【0142】
本書に開示した実施形態がメモリ、記憶装置、及び/又はコンピュータ読取可能媒体を含む又はと共に動作する限り、そのメモリ、記憶装置、及び/又はコンピュータ読取可能媒体は持続性である。従って、メモリ、記憶装置、及び/又はコンピュータ読取可能媒体が1つ以上の請求項に含まれる場合、そのメモリ、記憶装置、及び/又はコンピュータ読取可能媒体は単に持続性である。
【0143】
本明細書及び添付の請求項において使用されるように、文脈からそうでないと明らかに指示されない限り、英語の単数形「a」、「an」、及び「the」は複数の指示対象を含む。
【0144】
実施形態は様々な変形および代替の形態が可能であるが、それらの特定の例を図示し本明細書に詳細に説明した。しかし、これらの実施形態は開示された特定の形態に限定されず、それどころか、これらの実施形態は、本開示の要旨に含まれる全ての変形、等価物、及び代替物を含むと理解されるべきである。また、実施形態のいずれの特徴、機能、ステップ、又は要素も請求項に記載又は追加されることがあり、その範囲内にない特徴、機能、ステップ、又は要素によって特許請求の範囲を定義する負の限定も記載されることがある。
【符号の説明】
【0145】
100 検体監視システム
102 体に付ける装置(OBD)
103 ハウジング
104 検体センサー
105 粘着性パッチ
120 読取装置
121 入力部品
122 表示器
123 データ通信ポート
141、142 無線通信リンク
170 コンピュータシステム
171、191、192 通信リンク
180 信頼できるコンピュータシステム
190 通信ネットワーク
203、210 メモリ
206 プロセッサ
216 電源
218 電力管理回路
241 第1通信回路
242 第2通信回路
302 アナログ・フロントエンド
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B