(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システム、および微粒子フィルターを有するエアロゾル発生システム用のカートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20241204BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20241204BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20241204BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/10
A24F40/46
(21)【出願番号】P 2021572569
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(86)【国際出願番号】 EP2020065381
(87)【国際公開番号】W WO2020259973
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-05-30
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100122563
【氏名又は名称】越柴 絵里
(72)【発明者】
【氏名】ジノヴィク イハル
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/081384(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/207320(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0020737(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベイパー発生システムであって、
空気吸込み口と、空気出口と、それらの間に延びる気流通路とを備えるハウジングと、
エアロゾル発生基体を保持する貯蔵部と、
加熱組立品であって、
発熱体と、
毛細管材料であって、前記毛細管材料の一方の側面が前記発熱体と流体連通し、前記毛細管材料の反対側の側面が前記貯蔵部と流体連通している毛細管材料であって、これにより、毛細管作用によって前記エアロゾル発生基体を前記発熱体へと搬送する、毛細管材料を備える加熱組立品と、を備え、
前記発熱体が、その中の前記エアロゾル発生基体を加熱してベイパーを生成するように構成され、
前記加熱組立品が、少なくとも一つのメッシュを含み、前記少なくとも一つのメッシュが、ゼロの開口サイズを有し、それにより、前記メッシュのワイヤまたはフィラメントが、前記メッシュに対して垂直な線に沿って二次元平面の上へと投影される時、前記ワイヤまたはフィラメント
の二次元投影の間に目に見える開放空間がなく、これにより、前記エアロゾル発生基体中の粒子の前記気流通路への透過が抑止される、ベイパー発生システム。
【請求項2】
前記少なくとも一つのメッシュが、前記発熱体、前記毛細管材料、またはフィルターのうちの一つ以上であるか、またはこれらのうちの一つ以上をその一部として備える、請求項1に記載のベイパー発生システム。
【請求項3】
前記発熱体が抵抗発熱体を備える、請求項1~2のいずれか一項に記載のベイパー発生システム。
【請求項4】
前記少なくとも一つのメッシュが第一のメッシュを備え、前記発熱体が前記第一のメッシュであるか、または前記第一のメッシュを備える、請求項3に記載のベイパー発生システム。
【請求項5】
前記第一のメッシュが、前記粒子のサイズより小さい開口サイズを有する、請求項4に記載のベイパー発生システム。
【請求項6】
前記加熱組立品が、フィルターをさらに備える、請求項1~5のいずれかに記載のベイパー発生システム。
【請求項7】
前記フィルターが、前記貯蔵部と前記毛細管材料との間に配置される、請求項6に記載のベイパー発生システム。
【請求項8】
前記少なくとも一つのメッシュが第二のメッシュを備え、前記フィルターが前記第二のメッシュである、または前記第二のメッシュを備える、請求項6~7のいずれか一項に記載のベイパー発生システム。
【請求項9】
前記フィルターが、空孔を備えるセラミック要素を備える、請求項6~7のいずれか一項に記載のベイパー発生システム。
【請求項10】
前記空孔が、開放され相互接続された空孔のネットワークを備える、請求項9に記載のベイパー発生システム。
【請求項11】
前記セラミック要素が、Al
2O
3またはAlNを含む、請求項9~10のいずれか一項に記載のベイパー発生システム。
【請求項12】
前記加熱組立品の少なくとも一つの構成要素が、約40%~60%の空隙率を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のベイパー発生システム。
【請求項13】
前記加熱組立品の少なくとも一つの構成要素が、約1μm~約2μmの平均径を有する開口部を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のベイパー発生システム。
【請求項14】
前記エアロゾル発生基体がニコチンを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のベイパー発生システム。
【請求項15】
カートリッジおよび
前記カートリッジに連結可能なマウスピースをさらに備え、前記カートリッジが、前記貯蔵部および前記加熱組立品のうちの少なくとも一つを備える、請求項1~14のいずれか一項に記載のベイパー発生システム。
【請求項16】
前記ベイパーが、前記気流通路内のエアロゾルの中へと少なくとも部分的に凝縮される、請求項1~15のいずれか一項に記載のベイパー発生システム。
【請求項17】
ベイパーを生成するための方法であって、
貯蔵部によってエアロゾル発生基体を保持することと、
加熱組立品であって、
発熱体と、
毛細管材料であって、前記毛細管材料の一方の側面が前記発熱体と流体連通し、前記毛細管材料の反対側の側面が前記貯蔵部と流体連通している、毛細管材料と、を備える加熱組立品を提供することと、
前記毛細管材料によって、前記エアロゾル発生基体を、前記発熱体へと、毛細管作用によって搬送することと、
前記発熱体によって、その中の前記エアロゾル発生基体を加熱してベイパーを生成することと、
前記加熱組立品によって、前記エアロゾル発生基体中の粒子
の気流通路への透過を抑止することであって、前記加熱組立品が少なくとも一つのメッシュを備え、前記少なくとも一つのメッシュがゼロの開口サイズを有し、それにより、前記メッシュのワイヤまたはフィラメントが、前記メッシュに対して垂直な線に沿って二次元平面の上へと投影される時、前記ワイヤまたはフィラメント
の二次元投影の間に目に見える開放空間がない、、抑止することと、を含む、方法。
【請求項18】
前記少なくとも一つのメッシュが、前記発熱体、前記毛細管材料、またはフィルターのうちの一つ以上であるか、またはこれらのうちの一つ以上をその一部として備える、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システム、および流動性エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを発生するように構成されたエアロゾル発生システム用のカートリッジに関する。特に、本発明は、ユーザーの吸入のためにエアロゾルを発生するように構成された手持ち式エアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ある特定のエアロゾル発生システムで使用するための流動性エアロゾル形成基体は、異なる構成要素の混合物を含有することができる。例えば、電子たばこで使用するための液体エアロゾル形成基体は、ニコチンと一つ以上のエアロゾル形成体との混合物と、随意に、ユーザーのエアロゾルの知覚の調整のための風味剤または酸性物質と、を含むことができる。
【0003】
液体エアロゾル形成基体はまた、マイクロ粒子(例えば、1~5マイクロメートルの直径の範囲を有する)またはナノ粒子(例えば、10ナノメートル~数百ナノメートル(10ナノメートル~500ナノメートルなど、または10ナノメートル~100ナノメートルなど、または100ナノメートル~500ナノメートルなど)の直径の範囲を有する)などの粒子も含有する可能性がある。こうした粒子は、液体の処理および調製から残留する可能性がある。例えば、液体の一つ以上の構成要素は、たばこ葉などの生物的植物からの蒸留または抽出を介して製造される場合があり、結果として得られる液体構成要素は、こうした蒸留または抽出の残留物として、ある程度の量の固体粒子を含有する可能性がある。さらに、その処理中の液体エアロゾル発生基体からの粒子の濾過は、必ずしもエアロゾル発生システム内のすべての粒子を抑止するとは限らない。例えば、粒子は、エアロゾル発生システムの中へと充填された後、例えば、エアロゾル発生システムの保管中に、液体内に形成される場合がある。例示的には、懸濁液中の電気的に中性のナノ粒子は、文献に記載されるスモルコフスキー凝集プロセスを介して、10時間ほどの典型的な時間の後に凝集および凝固する可能性がある。
【0004】
液体エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生する一部の手持ち式エアロゾル発生システムでは、毛細管材料は、エアロゾル化のためにエアロゾル発生要素との流体連通へと基体を搬送することができ、またエアロゾル発生要素によってエアロゾル化された基体を補充することもできる。こうした毛細管材料は、毛細管作用を介して基体をエアロゾル発生要素へと送達する空孔を含むことができる。このように、エアロゾル形成基体内の任意の粒子は、毛細管材料内へと搬送され、かつ潜在的にエアロゾル発生要素と流体連通になる場合がある。こうした粒子は、潜在的に、毛細管材料の空孔へと付着し、かつ空孔内に蓄積する可能性がある。追加的に、または代替的に、こうした粒子は、潜在的にエアロゾル発生要素に付着し、かつこれに蓄積する可能性があり、これは望ましくない製品を生じる可能性がある。例えば、エアロゾル発生要素が発熱体を備える場合、こうした発熱体に潜在的に付着する粒子は、装置が使用される場合、複数回加熱される可能性があり、これは熱分解産物を生成する可能性がある。追加的に、または代替的に、こうした粒子は、エアロゾル発生要素によって発生したエアロゾルの中へと持ち込まれる可能性がある。
【0005】
エアロゾル発生要素への粒子の透過が抑止される、エアロゾル発生システムのための配設を提供することが望ましいことになる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第一の態様では、ベイパー発生システムであって、
空気吸込み口と、空気出口と、それらの間に延びる気流通路とを備えるハウジングと、
エアロゾル発生基体を保持する貯蔵部と、
加熱組立品であって、
発熱体、および
毛細管材料の一方の側面が発熱体と流体連通し、毛細管材料の反対側の側面が貯蔵部と流体連通している毛細管材料であって、これにより、毛細管作用によってエアロゾル発生基体を発熱体へと搬送する、毛細管材料、を備える加熱組立品と、を備え、
発熱体が、その中のエアロゾル発生基体を加熱してベイパーを生成するように構成され、かつ
加熱組立品が、エアロゾル発生基体内の粒子の気流通路への透過を抑止するように構成される、蒸気生成システムが提供される。
【0007】
システムの適切な部分(複数可)内で、ユーザーによる吸入のために、ベイパーをエアロゾルへと凝縮することができる。
【0008】
一部の構成では、発熱体は、随意に抵抗発熱体を備える。随意に、発熱体は第一のメッシュであるか、またはこれを備える。第一のメッシュは、エアロゾル発生要素のそれを通る搬送(例えば、拡散、流れ、または毛細管搬送のうちの一つ以上)を許容することができ、一方で、それを通った粒子の搬送を抑止することができる。第一のメッシュは、粒子のサイズより小さい開口サイズを有することができる。例示的な構成では、第一のメッシュは、ゼロの開口サイズを有する。例えば、開口サイズがゼロである時、緊密に織られたワイヤの周りの開口部は、織られたワイヤの可塑的な延性変形によって決定されるワイヤ直径の約2~3%である。例示的には、16マイクロメートルのワイヤ直径については、ワイヤの周りの開口部は約0.5マイクロメートルであり、0.5マイクロメートルのサイズを上回るほとんどの粒子を、ゼロの開口サイズを有する第一のメッシュを使用して取り除くことができることを意味する。
【0009】
追加的にまたは代替的に、加熱組立品は随意にフィルターをさらに備える。フィルターは、エアロゾル発生基体中のあらゆる粒子が発熱体と接触することを抑止するように、例えば、濾過後でかつ発熱体に到達する前に追加的な粒子が凝集することを部分的にまたは完全に排除するように、発熱体に対して十分に近くに位置することが好ましい。随意に、フィルターは、貯蔵部と毛細管材料との間に配置することができる。フィルターは、それを通るエアロゾル発生要素の搬送(例えば、拡散、流れ、または毛細管搬送のうちの一つ以上)を許容することができ、一方で、それを通る粒子の搬送を抑止することができる。例えば、フィルターは、第二のメッシュとすることができ、または第二のメッシュを備えることができる。例示的な構成では、第二のメッシュは、ゼロの開口サイズを有する。または、例えば、フィルターは、空孔を含むセラミック要素とすることができ、またはこれを備えることができる。空孔は、開放された相互接続された空孔のネットワークを随意に含む。セラミック要素は、随意に、Al2O3またはAlNを含む。
【0010】
「ゼロの開口サイズ」または「ゼロの開口部」によって、メッシュは、メッシュの隣接するワイヤ間またはフィラメント間に開口部を備えるが、メッシュに対して垂直な線に沿って見る時、メッシュを通して目に見える開口部がないことが意味される。そのため、ゼロの開口サイズを有するメッシュについては、メッシュのワイヤまたはフィラメントが、メッシュに対して垂直な線に沿って二次元平面の上へと投影される時、ワイヤまたはフィラメントの二次元投影の間に見える開放空間はない。
【0011】
本明細書に提供される様々な構成では、加熱組立品の少なくとも一つの構成要素は、随意に約40%~60%の空隙率を有する。追加的に、または代替的に、加熱組立品の少なくとも一つの構成要素は、随意に、約1μm~約2μmの平均径を有する開口部を有する。
【0012】
有利なことに、本加熱組立品は、例えば、粒子がエアロゾル発生要素(発熱体など)と流体的に接触するのを抑止することによって、または、例えば、粒子がエアロゾル発生要素を通して搬送されることを抑止することによって、エアロゾル発生基体内の粒子が気流通路に入ることを抑止することができる。このように、本加熱組立品は、例えば、エアロゾル発生基体の処理からの残留物である、または本システム内(例えば、貯蔵部内)で形成される粒子の、気流通路への透過を抑止することができる。さらに、特定の本加熱組立品は、抵抗発熱体を参照しながら記述されるが、当然のことながら、誘導発熱体、または他のタイプなどの、他のタイプの発熱体を適切に使用することができる。
【0013】
上述のように、加熱組立品はまた、空孔を含むセラミック要素などの毛細管材料も含むことができる。有利なことに、毛細管材料(例えば、セラミック要素)は、貯蔵部からエアロゾル形成基体を受容し、そしてベイパーを形成するようにエアロゾル発生要素によって加熱すること、またはベイパーが生成される発熱体に基体を搬送することのいずれかが可能である。毛細管材料(例えば、セラミック要素)は、流動性エアロゾル形成基体を毛細管材料の中へと毛細管作用によって引き込む隙間または開口部を含んでもよい。例えば、毛細管材料(例えば、セラミック要素)の構造は、複数の小さい穴もしくは管を形成し、またはこれを含み、これを通してエアロゾル形成基体を毛細管作用によって搬送することができる。例示的には、空孔は、随意に相互接続された空孔のネットワークを含むことができ、随意に、この空孔は、約1μm~約2μmの平均径を有する。追加的に、または代替的に、随意に空孔は、毛細管材料(例えば、セラミック要素)内に画定される開口部を備える。追加的に、または代替的に、毛細管材料(例えば、セラミック要素)は、随意に約40%~60%の空隙率を有する。
【0014】
毛細管材料は、任意の適切な非セラミック材料(複数可)、セラミック材料(複数可)、またはセラミック材料と非セラミック材料との組み合わせを含んでもよい。毛細管材料で使用することができる適切な材料の例としては、海綿体または発泡体材料、繊維または焼結粉末の形態のグラファイト系材料、発泡性金属またはプラスチック材料、繊維質材料(例えば、紡がれた、または押出成形された繊維(セルロースアセテート、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレン、またはポリプロピレン繊維、またはナイロン繊維など))または繊維もしくは焼結粉末の形態のセラミック系材料が挙げられる。一つの構成では、セラミック材料は、Al2O3またはAlNを随意に含んでもよい。
【0015】
毛細管材料は、互いに異なる物理的特性もしくは化学的特性を有する流動性エアロゾル発生基体で使用されるように、任意の適切な毛細管現象および空隙率を有してもよい。毛細管作用によって毛細管材料の中へと、かつ毛細管材料を通して流動性エアロゾル形成基体を搬送することを可能にする、エアロゾル形成基体の物理的特性としては、粘度、表面張力、密度、熱伝導率、沸点、および蒸気圧を挙げることができるが、これらに限定されない。一部の構成では、毛細管材料は、毛細管材料の中へと、またはこれを通した粒子の搬送を抑止し、それ故に粒子とエアロゾル発生要素との間の流体連通(例えば、直接接触)を抑止するために、十分に小さい空孔サイズを有することができる。このように、毛細管材料は、粒子がエアロゾル発生要素に到達することを遮るフィルターを提供する、またはフィルターとして作用することができる。追加的に、または代替的に、一部の構成では、エアロゾル発生要素(例えば、発熱体)自体は、粒子が気流通路に入るのを抑止するように構成されてもよい。すなわち、エアロゾル発生要素自体は、エアロゾル発生基体が揮発する際でさえも、粒子がエアロゾル発生要素を通して透過することを遮るフィルターを提供するか、またはフィルターとして作用することができる。
【0016】
毛細管材料およびエアロゾル発生要素のうちの一方または両方は、粒子の少なくとも一部より小さい空孔を含むことができ、それ故にそれを通した粒子の搬送を抑止する。例えば、10マイクロメートルを上回る直径を有する、または5マイクロメートルを上回る直径を有する、または1マイクロメートルを上回る直径を有する粒子の搬送を抑止することが好ましい可能性がある。しかしながら、一部の状況では、1マイクロメートル未満の直径を有する、または0.5マイクロメートル未満の直径を有する、または0.1マイクロメートル未満の直径を有する、または50nm未満の直径を有する、特定の粒子の搬送を可能にすることが好ましい可能性がある。例えば、残留タンパク質および脂肪酸は、風味を加えることができるため、液体中に保持することが有用である可能性がある。残留脂肪酸は、1nmの規模の直径を有する可能性があり、またタンパク質は、10nmの規模の直径を有する可能性がある。一部の構成では、加熱組立品(例えば、エアロゾル発生要素またはフィルター)は、脂肪酸およびタンパク質の搬送を許容するように構成することができ、また50nmより大きい、または100nmより大きい粒子の搬送を抑止するように構成することができる。
【0017】
随意に、エアロゾル発生基体を保持する貯蔵部は、エアロゾル形成基体を保持するための担体材料を含有してもよい。担体材料は随意に、発泡体、海綿体、もしくは繊維の収集物であってもよく、またはこれらを含んでもよい。担体材料は随意に、ポリマーまたはコポリマーで形成されてもよい。一実施形態では、担体材料は紡糸ポリマーであるか、またはこれを含む。エアロゾル形成基体は、使用中に毛細管材料の中へと放出されてもよい。例えば、エアロゾル形成基体は、毛細管材料に流体的に連結することができるカプセル内に提供されてもよい。
【0018】
一部の構成では、本ベイパー発生システムは、随意に、カートリッジに連結可能なカートリッジおよびマウスピースをさらに備え、カートリッジは、貯蔵部および加熱組立品のうちの少なくとも一つを備える。
【0019】
例えば、本明細書に提供された様々な構成では、カートリッジは、接続端と接続端から離れた口側端とを有するハウジングを備えてもよく、接続端はエアロゾル発生システムの制御本体に接続するように構成されている。加熱組立品は、完全にカートリッジ内に位置してもよく、または完全に制御本体内に位置してもよく、またはカートリッジ内に部分的に位置し、かつ制御本体内に部分的に位置してもよい。例えば、発熱体(エアロゾル発生要素)は、カートリッジ内に位置してもよく、または制御本体内に位置してもよく、そして毛細管材料は独立してカートリッジ内に位置してもよく、または制御本体内に位置してもよい。随意に、流体連通している毛細管材料の側面はまた、気流通路とも流体連通してもよい。追加的に、または代替的に、流体連通している毛細管材料の側面は、口側端の開口部に直接的に面してもよい。こうした平面状のエアロゾル発生要素の向きは、製造中のカートリッジの単純な組立を可能にする。
【0020】
電力は、ハウジングの接続端を通して、接続された制御本体からエアロゾル発生要素に送達されてもよい。一部の構成では、エアロゾル発生要素は随意に、口側端の開口部よりも接続端に近い。これは、制御本体内の電源とエアロゾル発生要素との間の単純かつ短い電気的接続経路を可能にする。
【0021】
エアロゾル発生要素(例えば、発熱体)の第一の側面および第二の側面は、実質的に平面であってもよい。エアロゾル発生要素は、単純な製造を可能にするために実質的に平坦な発熱体を備えてもよい。幾何学的には、「実質的に平坦な」発熱体という用語は、実質的に二次元の位相幾何学的マニホールドの形態である発熱体を指すために使用される。それ故に、実質的に平坦な発熱体は、実質的に三次元でよりも、表面に沿って二次元で延びる。特に、その表面内での二次元の実質的に平坦な発熱体の寸法は、表面に垂直な三次元での寸法より少なくとも5倍大きい。実質的に平坦な発熱体の例は、二つの実質的に平行な仮想表面間の構造であって、これらの二つの仮想表面間の距離はその表面内の拡張より実質的に小さい。一部の実施形態では、実質的に平坦な発熱体は平面状である。他の実施形態では、実質的に平坦な発熱体は一つ以上の寸法に沿って湾曲していて、例えば、ドーム形状またはブリッジ形状を形成する。
【0022】
発熱体は一つまたは複数の導電性フィラメントを備えてもよい。「フィラメント」という用語は、二つの電気接点間に配設された電気的な経路を指す。フィラメントは恣意的に、いくつかの経路またはフィラメントへとそれぞれ枝分かれおよび分岐していてもよく、またはいくつかの電気的な経路から1つの経路へと合流していてもよい。フィラメントは丸型、正方形型、平坦型、または任意の他の形態の断面を有してもよい。フィラメントは、真っ直ぐな様態で配設されてもよく、または湾曲した様態で配設されてもよい。
【0023】
発熱体は、例えば、互いに平行に配設された、フィラメントまたはワイヤのアレイであってもよく、またはこれを含んでもよい。一部の構成では、フィラメントまたはワイヤはメッシュを形成してもよい。メッシュは織られていてもよく、または不織であってもよい。メッシュは、異なるタイプの織り構造または格子構造を使用して形成されてもよい。例えば、実質的に平坦な発熱体は、ワイヤメッシュへと形成されたワイヤで構築されてもよい。随意に、メッシュは平織の設計を有する。随意に、発熱体は、メッシュ細片から作製されたワイヤグリルを含む。しかし当然のことながら、抵抗発熱体の任意の適切な構成および材料を使用することができる。
【0024】
例えば、発熱体は、適切な電気特性を有する任意の材料を含んでもよく、またはこれから形成されてもよい。適切な材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、およびセラミック材料と金属材料とで作製された複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な合金の例としては、ステンレス鋼、コンスタンタン、ニッケル含有、コバルト含有、クロム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオビウム含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、および鉄含有合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、鉄-アルミニウム系合金、鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。Timetal(登録商標)は、Titanium Metals Corporationの登録商標である。例示的な材料はステンレス鋼および黒鉛であり、AISI 304、316、304L、316Lなどの300シリーズのステンレス鋼であることがより好ましい。追加的に、発熱体は上記の材料の組み合わせを含んでもよい。例えば、発熱体の抵抗の制御を改善するために、材料の組み合わせが使用されてもよい。例えば、固有抵抗が高い材料を、固有抵抗が低い材料と組み合わせてもよい。これは、材料のうちの1つが他の観点、例えば価格、機械加工性、またはその他の物理的および化学的パラメータの観点から、より有益である場合に、有利である場合がある。有利なことに、増加した抵抗を有する実質的に平坦なフィラメント配設は、寄生損失を低減する。有利なことに、抵抗が高いヒーターは、電池エネルギーのより効率的な使用を可能にする。
【0025】
一つの非限定的な構成では、発熱体はワイヤを含むか、またはワイヤで作製されている。ワイヤは金属で作製されていることがより好ましく、ステンレス鋼で作製されていることが最も好ましい。発熱体の導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の電気抵抗は、0.3オーム~4オームであってもよい。随意に、電気抵抗は0.5オーム以上である。随意に、導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の電気抵抗は、0.6オーム~0.8オームであり、例えば、約0.68オームである。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の電気抵抗は、随意に、導電性接点区域の電気抵抗よりも少なくとも1桁大きい可能性があり、また随意に、少なくとも2桁大きい。これは、発熱体を通して電流を流すことによって発生した熱が、導電性フィラメントのメッシュまたはアレイに局在化されることを確実にする。システムが電池によって電力供給される場合、発熱体に対する全体抵抗が低いことは有利である。低抵抗で大電流のシステムは、発熱体に高電力を送達することを可能にする。これは、発熱体が導電性フィラメントを望ましい温度に素早く加熱することを可能にする。
【0026】
ヒーター組立品は、発熱体に電気的に接続された電気接点部分をさらに備えてもよい。電気接点部分は、二つの導電性接点パッドであってもよく、またはこれを含んでもよい。導電性接点パッドは、発熱体の縁の区域に位置付けられてもよい。例示的には、少なくとも二つの導電性接点パッドは、発熱体の先端に位置付けられてもよい。導電性接点パッドは、発熱体の導電性フィラメントに直接固定されてもよい。導電性接点パッドは、スズのパッチを含んでもよい。別の方法として、導電性接点パッドは発熱体と一体型であってもよい。
【0027】
ハウジングを含む構成では、接点部分は、制御本体内の電気接点ピンとの接触を可能にするためにハウジングの接続端を通して露出されてもよい。
【0028】
貯蔵部は貯蔵部ハウジングを備えてもよい。加熱組立品またはその任意の適切な構成要素は、貯蔵部ハウジングに固定されてもよい。貯蔵部ハウジングは、成形された構成要素またはマウントを備えてもよく、成形された構成要素またはマウントは、加熱組立品の外側に成形される。成形された構成要素またはマウントは、加熱組立品のすべてまたは一部分を覆ってもよく、また気流通路とエアロゾル形成基体とのうちの一方または両方から電気接点部分を部分的にまたは完全に分離してもよい。成形された構成要素またはマウントは、貯蔵部ハウジングの少なくとも一つの壁形成部を含んでもよい。成形された構成要素またはマウントは、貯蔵部から毛細管材料への流路を画定してもよい。
【0029】
ハウジングは、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレンテレフタラート(PET)などの成形可能プラスチック材料から形成されてもよい。ハウジングは、貯蔵部の壁の一部またはすべてを形成してもよい。ハウジングおよび貯蔵部は、一体的に形成されてもよい。別の方法として、貯蔵部はハウジングとは別個に形成されてもよく、またハウジングへと組み立てられてもよい。
【0030】
本システムがカートリッジを含む構成では、カートリッジは、エアロゾルがそれを通してユーザーによって引き出されうる取り外し可能なマウスピースを備えてもよい。取り外し可能なマウスピースは、口側端の開口部を覆ってもよい。別の方法として、カートリッジは、ユーザーが口側端の開口部を直接吸うことを可能にするように構成されてもよい。
【0031】
カートリッジは、流動性エアロゾル形成基体を再充填可能であってもよい。別の方法として、カートリッジは、貯蔵部の流動性エアロゾル形成基体が空になった時に廃棄されるように設計されてもよい。
【0032】
本システムが制御本体をさらに含む構成では、制御本体は、制御本体がカートリッジに接続されている時に、エアロゾル発生要素への電気的接続を提供するように構成された少なくとも一つの電気接点要素を備えてもよい。電気接点要素は随意に、細長くてもよい。電気接点要素は随意に、ばね式であってもよい。電気接点要素は随意に、カートリッジ内の電気接点パッドに接触してもよい。随意に、制御本体は、カートリッジの接続端と係合するための接続部分を備えてもよい。随意に、制御本体は、電源を備えてもよい。随意に、制御本体は、電源からエアロゾル発生要素への電源を制御するように構成された制御回路を備えてもよい。
【0033】
制御回路は随意に、マイクロコントローラを備えてもよい。マイクロコントローラはプログラム可能なマイクロコントローラであることが好ましい。制御回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。制御回路はエアロゾル発生要素への電力の供給を調節するように構成されてもよい。電力はシステムの起動後、エアロゾル発生要素に連続的に供給されてもよく、または毎回の吸煙ごとなどのように断続的に供給されてもよい。電力は、電流パルスの形態でエアロゾル発生要素に供給されてもよい。
【0034】
制御本体は、制御システムおよびエアロゾル発生要素のうちの少なくとも一つに電力を供給するように配設された電源を備えてもよい。エアロゾル発生要素は独立した電源を備えてもよい。エアロゾル発生システムは、電力を制御回路に供給するように配設された第一の電源、および電力をエアロゾル発生要素に供給するように構成された第二の電源を備えてもよい。
【0035】
電源はDC電源であってもよく、またはDC電源を含んでもよい。電源は電池であってもよく、または電池を含んでもよい。電池は、リチウム系の電池、例えばリチウムコバルト電池、リン酸鉄リチウム電池、チタン酸リチウム電池、もしくはリチウムポリマー電池であってもよく、またはこれらを含んでもよい。電池はニッケル水素電池またはニッケルカドミウム電池であってもよく、またはこれらを含んでもよい。電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよく、またはこれを含んでもよい。随意に、電源は再充電を必要とする場合があり、また数多くの充放電サイクルのために構成されてもよい。電源は、一回以上のユーザー体験のための十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有してもよく、例えば電源は従来の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる典型的な時間に対応する約6分間、または6分間の倍数の時間の期間の間のエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の一実施例では、電源は、所定の回数の吸煙、または加熱組立品の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0036】
エアロゾル発生システムは、手持ち式エアロゾル発生システムであってもよく、または手持ち式エアロゾル発生システムを含んでもよい。手持ち式エアロゾル発生システムは、ユーザーがマウスピースを吸って口側端の開口部を通してエアロゾルを引き出すことを可能にするように構成されてもよい。エアロゾル発生システムは従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを有してもよい。エアロゾル発生システムは随意に、約30mm~約150mmの全長を有してもよい。エアロゾル発生システムは約5mm~約30mmの外径を有してもよい。
【0037】
随意に、ハウジングは細長くてもよい。ハウジングは、任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例としては、金属、合金、プラスチック、もしくはこれらの材料のうちの一つ以上を含有する複合材料、または食品もしくは医薬品用途に適切な熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリエチレンが挙げられる。材料は軽量であり、脆くないものであってもよい。
【0038】
カートリッジ、制御本体、またはエアロゾル発生システムは、制御回路と通信する吸煙検出器を備えてもよい。吸煙検出器は、ユーザーが気流通路を通して吸い込む時にそれを検出するように構成されてもよい。追加的に、または代替的に、カートリッジ、制御本体、またはエアロゾル発生システムは、制御回路と通信する温度センサーを備えてもよい。カートリッジ、制御本体、またはエアロゾル発生システムは、スイッチまたはボタンなどのユーザー入力を備えてもよい。ユーザー入力は、ユーザーがシステムをオンおよびオフにすることを可能にする場合がある。追加的に、または代替的に、カートリッジ、制御本体、またはエアロゾル発生システムは、随意に、貯蔵部内に保持されている流動性エアロゾル形成基体の判定された量をユーザーに表示するための表示手段を備えてもよい。制御回路は、貯蔵部内に保持されている流動性エアロゾル形成基体の量の判定がなされた後、表示手段を起動するように構成されてもよい。表示手段は随意に、発光ダイオード(LED)などの光、LCDディスプレイなどのディスプレイ、ラウドスピーカーまたはブザーなどの可聴式表示手段、および振動手段のうちの一つ以上を備えてもよい。制御回路は、複数の光のうちの一つ以上の光を点灯させ、ディスプレイ上にある量を表示し、ラウドスピーカーまたはブザーを介して音を発し、また振動手段を振動させるように構成されてもよい。
【0039】
貯蔵部は、液体またはゲルなどの流動性エアロゾル形成基体を保持してもよい。本明細書で使用される場合、エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体である。揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱してベイパーを形成することによって放出されてもよい。ベイパーは凝縮してエアロゾルを形成することができる。流動性エアロゾル形成基体は室温で液体であってもよく、または液体を含んでもよい。流動性エアロゾル形成基体は、液体構成要素と固体構成要素との両方を含んでもよい。流動性エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。ニコチン含有流動性エアロゾル形成基体はニコチン塩マトリクスであってもよく、またはこれを含んでもよい。流動性エアロゾル形成基体は植物系材料を含んでもよい。流動性エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよい。流動性エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。流動性エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。流動性エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。流動性エアロゾル形成基体は均質化した植物系材料を含んでもよい。
【0040】
流動性エアロゾル形成基体は一つ以上のエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に高密度でかつ安定したエアロゾルの形成を容易にし、またシステムの動作温度において熱分解に対して実質的に抵抗性である任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体の実施例としては、グリセリンおよびプロピレングリコールが挙げられる。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。流動性エアロゾル形成基体は水、溶媒、エタノール、植物抽出物、および天然風味または人工風味を含んでもよい。
【0041】
流動性エアロゾル形成基体は、ニコチンおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンまたはプロピレングリコールであってもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンとプロピレングリコールの両方を含んでもよい。流動性エアロゾル形成基体は、約0.5%~約10%(例えば、約2%)のニコチン濃度を有してもよい。
【0042】
本発明の第二の態様では、ベイパーを生成する方法が提供されており、方法は、
貯蔵部によって、粒子を含むエアロゾル発生基体を保持することと、
加熱組立品を提供することであって、
発熱体と、
毛細管材料であって、毛細管材料の一方の側面が発熱体と流体連通し、毛細管材料の反対側の側面が貯蔵部と流体連通している、毛細管材料と、を備える加熱組立品を提供することと、
毛細管材料によって、エアロゾル発生基体を、毛細管作用によって、発熱体へと搬送することと、
発熱体によって、その中のエアロゾル発生基体を加熱してベイパーを生成することと、
加熱組立品によって、粒子の気流通路への透過を抑止することと、を含む。
【0043】
本発明の第一の態様のシステムの特徴は、本発明の第二の態様に適用されてもよい。
【0044】
ここで本発明の構成を、添付図面を参照しながら、例証としてのみではあるが詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1は、本発明によるエアロゾル発生システムの概略図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明による
図1のエアロゾル発生システムの、具体的な例示的な構成の概略図である。
【
図4A-4B】
図4A~
図4Bは、本発明による、本エアロゾル発生システムの様々な構成の特徴のプロットを図示する。
【
図5】
図5は、本発明による例示的な方法における動作の流れを図示する。
【0046】
図1は、本発明によるエアロゾル発生システム(ベイパー発生システム)100の概略図である。システム100は、二つの主構成要素、カートリッジ20、および制御本体10を備える。カートリッジ20の接続端2は、制御本体10の対応する接続端1に取り外し可能に接続される。制御本体10は、電池12(この実施例では再充電可能リチウムイオン電池である)と、制御回路13と、を収容する。エアロゾル発生システム100は携帯型であり、また従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを有することができる。
【0047】
カートリッジ20は、加熱組立品30および貯蔵部24を収容するハウジング21を備える。流動性エアロゾル形成基体は、貯蔵部24内に保持され、また基体の処理および調製からの残留物などの粒子、または基体が貯蔵部24の中へと充填された後で形成される場合があるものなどの粒子を含む可能性がある。加熱組立品30は、貯蔵部24から基体を受容し、そして基体を加熱してベイパーを生成する。より具体的には、加熱組立品30は、毛細管材料31および発熱体32を含む。毛細管材料31の一方の側面は、貯蔵部24と流体連通の状態にあり、これにより毛細管材料31は、毛細管作用によって貯蔵部24からエアロゾル発生基体を受容する。毛細管材料31の反対側の側面は、発熱体32と流体連通の状態にあり、そのためエアロゾル発生基体を発熱体32へと搬送する。随意に、毛細管材料31は平面状である。一部の構成では、ヒーター32は、随意に抵抗発熱体を備える。
【0048】
図示した構成では、気流通路23は、空気吸込み口29から加熱組立品30を通り過ぎ、貯蔵部24を通る通路23を通ってカートリッジハウジング21内の口側端の開口部22へと、カートリッジ20を通って延びる。発熱体32は、その中のエアロゾル発生基体を加熱して、気流通路23の中へと透過されるベイパーを生成するように構成される。加えて、加熱組立品30は、エアロゾル発生基体内の粒子の気流通路23への透過を抑止するように構成される。例えば、毛細管材料31は、貯蔵部24から発熱体32への粒子の透過を抑止するフィルターとして作用することができる。追加的に、または代替的に、発熱体32は、毛細管材料31を介して受容するエアロゾル発生基体を揮発するメッシュとすることができ、またはこれを含むことができ、一方で、こうした基体内のあらゆる粒子の気流通路23への透過を抑止する。追加的に、または代替的に、加熱組立品30は、例えば、毛細管材料31および発熱体32のうちの一方または両方の中への粒子の搬送を抑止する、貯蔵部24と毛細管材料31との間に位置する、適切に位置するフィルター(メッシュなど)を含むことができる。
【0049】
システム100は、エアロゾルを自分の口の中へと引き出すために、ユーザーがカートリッジ20の口側端の開口部22を吸煙する、または吸うことができるように構成される。動作時に、ユーザーが口側端の開口部22を吸煙する時、空気は空気吸込み口29から気流通路23の中へと、かつこれを通して、また
図1の破線矢印で図示するように加熱組立品30を通り過ぎ、そして口側端の開口部22へと引き出される。制御回路13は、システムが起動された時に、(カートリッジ20内の)電気相互接続34に連結された(制御本体10内の)電気相互接続15を介する電池12からカートリッジ20への電力の供給を制御する。これは結果として、加熱組立品30によって生成されるベイパーの量および特性を制御する。制御回路13は気流センサーを含んでもよく、また制御回路13は、ユーザーがカートリッジ20を吸煙する時、気流センサーによって検出される際に、加熱組立品30に電力を供給してもよい。このタイプの制御配設は、吸入器およびeシガレットなどのエアロゾル発生システムで良好に確立される。そのため、ユーザーがカートリッジ20の口側端の開口部22を吸う時に、加熱組立品30が起動され、そして気流通路29を通過する気流中に同伴されるベイパーを生成する。ベイパーは気流通路23内で少なくとも部分的に冷却されてエアロゾルを形成し、次いでこれは口側端の開口部22を通してユーザーの口の中へと引き出される。有益なことに、加熱組立品30は、エアロゾル発生基体内の粒子が、毛細管材料31および発熱体32のうちの一方または両方へ、またはこれを通して搬送されるのを抑止するように構成される。このように、加熱組立品30は、毛細管材料31の空孔内の粒子の付着または蓄積を抑止し、それ故にそうでなければこうした付着または蓄積からもたらされうる毛細管材料を通した流れの低減を抑止するように構成することができる。追加的に、または代替的に、加熱組立品30は、ヒーター32への粒子の付着または蓄積を抑止し、それ故にそうでなければこうした付着または蓄積からもたらされうる熱分解産物の形成を抑止するように構成することができる。追加的に、または代替的に、加熱組立品30は、ヒーター32を通した粒子の透過を抑止し、それ故にこうした粒子がベイパーへ、そして結果としてエアロゾルへと持ち込まれるのを抑止するように構成することができる。
【0050】
毛細管材料、発熱体、および随意のフィルターを含む加熱組立品の例示的な構成は、本明細書のいずれかに、例えば、
図3A~
図4Bを参照しながら記載される。例えば、随意に、毛細管材料は、セラミックまたはガラスを含むことができる。追加的にまたは代替的に、発熱体は随意に金属を含むことができる。
【0051】
当然のことながら、発熱体および毛細管材料は、それぞれ、また独立して、システム100の任意の適切な部分に、かつ互いに対して任意の適切な場所に位置することができる。例えば、
図1に図示するものなどの構成では、発熱体32は、毛細管材料31と直接接触することができ、一方で他の構成(具体的には図示せず)では、発熱体32は、毛細管材料31から間隙を介してもよい。追加的に、または代替的に、発熱体32および毛細管材料31の両方は、カートリッジ20内に位置することができ、一方で他の構成(具体的に図示せず)では、発熱体32は制御本体10内に位置することができ、そして毛細管材料31はカートリッジ20内に位置することができる。なお他の構成(具体的に図示せず)では、発熱体および毛細管材料の両方は、制御本体内に位置することができ、または発熱体はカートリッジ内に位置し、そして毛細管材料は制御本体内に位置することができる。毛細管材料および発熱体が位置するシステムのそれぞれの部分とは独立して、毛細管材料および発熱体は、適切に、互いに直接接触することができ、または互いに間隙を介してもよい。加熱組立品30が、毛細管材料31、発熱体32、および気流通路23のうちの一つ以上への粒子の透過を抑止するフィルターをさらに含む構成では、フィルターを、システム100の任意の適切な部分に位置することができる。例えば、フィルターは、毛細管材料31および発熱体32のうちの一方または両方と接触することができる。
【0052】
図2Aは、
図1のエアロゾル発生システムの具体的な例示的な構成の概略図であり、また
図2B~
図2Fは、
図2Aのエアロゾル発生システムの構成要素の概略図である。
図2A~
図2Fに図示した構成要素は、
図1に図示したシステム100の構成要素として適切に使用することができる。
【0053】
図2A~
図2Fに図示したシステム200は、二つの主構成要素である、カートリッジ220および制御本体210を備える。カートリッジ220の接続端202は、クリップホルダー224を介して、制御本体210の対応する接続端201に取り外し可能に接続される。制御本体210は、電池212(この実施例では、再充電可能リチウムイオン電池である)と、ハウジング211内に配置され、かつコネクタ217を介して電池212へと電気的に連結される、制御回路(具体的に図示されてはいないが、
図1を参照して記述される制御回路13と同様に構成される)と、を収容する。結合要素218および端キャップ219は、ハウジング211内に電池212を安全に封止することができる。制御回路に連結されたスイッチ216は、ユーザーがシステム200をオンおよびオフにできるようにする。エアロゾル発生システム800は携帯型であり、また従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを有することができる。
【0054】
カートリッジ220は、貯蔵部(具体的に図示されてはいないが、
図1を参照して記述される貯蔵部24と同様に構成される)を備えるハウジング221を備える。流動性エアロゾル形成基体は、貯蔵部内に保持され、また基体の処理および調製からの残留物などの粒子、または基体が貯蔵部の中へと充填された後で形成される場合があるものなどの粒子を含む可能性がある。カートリッジ220は、シール接合部240、シールタブ241、および加熱組立品230をさらに含む。加熱組立品230は、シール接合部240を介してハウジング221に結合され、また随意のシールタブ241は、ハウジング221内の貯蔵部からの基体の流れを、ユーザーによって除去される(例えば、引っ張ることによって)まで遮断する。
【0055】
加熱組立品230は、ハウジング221内の貯蔵部から基体を受容し(例えば、シールタブ241の除去後に)、そして基体を加熱してベイパーを生成し、一方で、貯蔵部から気流通路223への粒子の透過を抑止する。より具体的には、加熱組立品230は、その中に配置される発熱体232を有するヒーターブロック233と、発熱体232の隣に配置される毛細管材料231と、流体チャネル228を介して貯蔵部に流体的に連結される吸い出し材料235と、毛細管材料231と吸い出し材料235との間に配置される随意のフィルター234と、組立品キャップ236と、を含む。毛細管材料231の一方の側面は、例えば、随意のフィルター234、吸い出し材料235、および流体チャネル228を介して貯蔵部と流体連通の状態にあり、これにより、毛細管材料231は、毛細管作用によってエアロゾル発生基体を受容する。毛細管材料231の反対側の側面は、発熱体232と流体連通の状態にあり、そのためエアロゾル発生基体を発熱体232へと搬送する。随意に、毛細管材料231は平面状である。一部の構成では、発熱体232は、随意に抵抗発熱体を備える。随意に、発熱体232は、複数のフィラメントで形成されたメッシュヒーター要素を備える。このタイプのヒーター要素構造の詳細は、例えば、国際公開第2015/117702号の中に見いだすことができる。吸い出し材料235は、本明細書に記載の毛細管材料のうちのいずれかと同様に構成することができ、発熱体232への粒子の搬送を抑止するように構成することができるが、必ずしもそのように構成する必要はない。
【0056】
図示した構成では、気流通路223は、空気吸込み口229から、ベイパーが気流内に同伴される加熱組立品230を通り過ぎ、そしてカートリッジハウジング221内の通路(具体的には図示せず)を通って口側端の開口部222へと、カートリッジ220を通って延びる。発熱体232は、その中のエアロゾル発生基体を加熱して、気流通路223の中へと透過されるベイパーを生成するように構成される。加えて、加熱組立品230は、エアロゾル発生基体内の粒子の気流通路223への透過を抑止するように構成される。例えば、毛細管材料231は、貯蔵部から発熱体232への粒子の透過を抑止するフィルターとして作用することができる。追加的に、または代替的に、発熱体232は、毛細管材料231を介して受容するエアロゾル発生基体を揮発するメッシュとすることができ、またはこれを含むことができ、一方で、こうした基体内のあらゆる粒子の気流通路223への透過を抑止する。追加的に、または代替的に、加熱組立品230は、例えば、貯蔵部と毛細管材料231との間の任意の適切な場所に位置する、フィルター234(メッシュなど)を随意に含むことができ、これは、毛細管材料231および発熱体232のうちの一方または両方の中への粒子の搬送を抑止する。システム200は、
図1を参照しながら記述したシステム100と同様の様態で使用することができる。
【0057】
有益なことに、加熱組立品230は、エアロゾル発生基体内の粒子が、毛細管材料231および発熱体232のうちの一方または両方へ、またはこれを通して搬送されるのを抑止するように構成される。このように、加熱組立品230は、毛細管材料231の空孔内の粒子の付着または蓄積を抑止し、それ故にそうでなければこうした付着または蓄積からもたらされうる毛細管材料を通した流れの低減を抑止するように構成することができる。追加的に、または代替的に、加熱組立品230は、ヒーター232への粒子の付着または蓄積を抑止し、それ故にそうでなければこうした付着または蓄積からもたらされうる熱分解産物の形成を抑止するように構成することができる。追加的に、または代替的に、加熱組立品230は、ヒーター232を通した粒子の透過を抑止し、それ故にこうした粒子がベイパーへ、そして結果としてエアロゾルへと持ち込まれるのを抑止するように構成することができる。
【0058】
毛細管材料231、発熱体232、および随意のフィルター234は、独立して、任意の適切な材料または材料の組み合わせ、および任意の適切な構成を含むことができ、これにより、発熱体232は、エアロゾル発生基体を十分に加熱してベイパーを生成し、一方でエアロゾル発生基体からそのベイパーの中への粒子の透過を抑止することができるようにする。例えば、毛細管材料331、発熱体232、および随意のフィルター234のうちの一つ以上は、多孔性セラミックまたは合成材料を随意に含むことができる。毛細管材料231、発熱体232、および随意のフィルター234のうちの一つ以上の使用に適した多孔性セラミックの実施例は、Al2O3またはAlNを含む。毛細管材料231、発熱体232、および随意のフィルター234のうちの一つ以上での使用に適した合成材料の実施例としては、セルロースアセテート、ニトロセルロース(コロジオン)、ポリアミド(ナイロン)、ポリプロピレン、ポリカーボネート(ニュークリポア)、およびポリテトラフルオロエチレン(テフロン)が挙げられる。一部の構成では、毛細管材料231、発熱体232、および随意のフィルター234のうちの一つ以上は、微細な相互接続チャネルの複雑なネットワークを含む。一部の構成では、毛細管材料231、発熱体232、および随意のフィルター234のうちの一つ以上は、ポリカーボネート(ニュークリポア)フィルターなどの、その中を直接通過するほぼ均一な直径のほぼ円筒状の空孔を含む。
【0059】
追加的に、または代替的に、毛細管材料331、発熱体232、および随意のフィルター234のうちの一つ以上は、随意に、40~60%の空隙率を有することができる。追加的に、または代替的に、毛細管材料331、発熱体232、および随意のフィルター234のうちの一つ以上は、随意に、1~2μmの空孔平均径を有することができる。加えて、毛細管材料331、発熱体232、および随意のフィルター234のうちの一つ以上の空孔は、任意の適切な構成を有することができる。例えば、空孔は、相互接続された空孔のネットワークを随意に含むことができ、またはそれぞれの要素内に画定される開口部を含むことができ、またはこうしたネットワークおよびこうした開口部の両方を含むことができる。
【0060】
追加的に、または代替的に、毛細管材料331、発熱体232、および随意のフィルター234のうちの一つ以上は、一つ以上のメッシュ層を含むことができるメッシュを含むことができる。一部の構成では、メッシュは、約10μm~100μmの直径を有するワイヤから形成される。メッシュは、0μm~200μm、例えば、0μm~100μm、または0μm~10μm、または0μm~1μm、または0μm~0.1μm、または0μm~0.05μm、または約0μmの直径を有する開口部を含んでもよい。ゼロの開口部(0μmの開口部)を有するメッシュは、ワイヤ間の通過を含むことができ、これはワイヤの延性変形の規模であり、例えば、2~3%、または約2%である。17μmのワイヤを使用して形成された実施例のメッシュについて、ワイヤの周りの通路は、約0.5μmとすることができる。複数のメッシュを含む構成では、メッシュは互いに平行に配設されてもよく、また随意に互いから離隔することができる。複数のメッシュは互いに異なっていてもよい。例えば、メッシュは、第一の開口サイズを有する第一のメッシュと、比較的により小さい開口サイズを有する第二のメッシュとを含んでもよく、第二のメッシュは、第一のメッシュより発熱体232の近くに位置付けられる。メッシュは、この様態で配設された三つ以上の異なるメッシュを備えてもよい。
【0061】
追加的にまたは代替的に、メッシュは、有利なことに、ステンレス鋼などの耐腐食性材料から形成されてもよい。メッシュは、メッシュの疎水性または撥油性を増大させる材料で被覆されてもよい。例えば、炭化ケイ素、酸化ケイ素、フルオロポリマー、酸化チタン、または酸化アルミニウムのナノコーティングを、液相堆積、気相堆積、または熱プラズマ蒸発によって、メッシュへと、またはフィラメントからメッシュを形成する前に、フィラメントへと施すことができる。
【0062】
追加的にまたは代替的に、複数のフィラメントからメッシュが形成される構成では、フィラメントは、随意に正方形の織りで配設されてもよく、これにより互いに接触するフィラメント間の角度がおよそ90°度である。しかしながら、互いに接触するフィラメント間の他の角度が使用されてもよい。互いに接触するフィラメント間の角度は、30°~90°であることが好ましい。複数のフィラメントは、織布または不織布を含んでもよい。
【0063】
例えば、
図3A~
図3Cは、毛細管材料331、発熱体232、および随意のフィルター234のうちの一つ以上に、随意に含まれてもよく、またはこれらのうちの一つ以上として提供されてもよい、例示的なメッシュの図を図示する。
図3Aに図示したメッシュは、17μmのワイヤ直径および約60μmの開口部を有し、それ故にこうした粒子がエアロゾル発生基体中に存在する場合、これを通した比較的大きい粒子の搬送を可能にしうる比較的大きい隙間を提供し、そのため、加熱組立品は、こうした粒子の発熱体への搬送を抑止するよう構成されることが好ましい。メッシュを
図3B~
図3Cに図示すると、
図3Bは、
図3Aに図示したものと同一の倍率であり、また
図3Cでは、より高い倍率であり、17μmのワイヤ直径、およびゼロの開口部(0μm)を有し、それ故に、それを通る幅広く様々なサイズの粒子(比較的小さい粒子を含み、例えば、ワイヤの周りの通路粒子よりも大きい粒子であって、これは本明細書で別の箇所で述べたように約0.5μmであり、織られたワイヤの塑性変形によって定義される)の搬送を抑止することができる、著しくより小さい開口部を提供し、このように、メッシュがこうした抑止を実施することができるため、加熱組立品の別個の構成要素は、必ずしも発熱体へのこうした粒子の搬送を抑止するように構成する必要はない。一つの非限定的な構成では、メッシュは、発熱体として(例えば、
図1に図示したシステム100の発熱体32として、または
図2A~
図2Fに図示したシステム200の発熱体232として)使用することができ、メッシュは、除去される粒子より小さい開口部を有する高密度メッシュから作製され、またはこれから成り、例えば、ワイヤ間にいかなる開放空間も有しない(すなわち、開口部がゼロの例示的なメッシュ)。ベイパーはワイヤ間で拡散(通過)することができ、一方で固体粒子またはその凝集体は気流通路(それ故にエアロゾル)に入るのを抑止されるため、こうしたメッシュの高密度は、必ずしもエアロゾル発生基体が気化される速度に影響を与えない場合がある。
【0064】
一部の構成では、発熱体232および随意のフィルター234は、メッシュから形成される。フィルター234のメッシュは、約3μm~約50μmの直径を有するステンレス鋼ワイヤで作製される。メッシュの開口部は、約10μm~約100μmの直径を有する。メッシュは炭化ケイ素で被覆されている。発熱体232のメッシュもステンレス鋼から形成され、また約400メッシュUS(1インチ当たり約400フィラメント)のメッシュサイズを有する。フィラメントはおおよそ約3μm~約50μm、例えば、約16μmの直径を有する。メッシュを形成するフィラメントは、フィラメント間の隙間を画定する。この実施例における隙間は、おおよそ10μm~50μm、例えば、約37μmの幅を有するが、より大きいまたはより小さい隙間が使用されてもよい。発熱体メッシュの開口面積、すなわち、メッシュの総面積に対する隙間の面積の比は、有利なことに15%~75%、例えば25~56%である。ヒーター組立品の総電気抵抗は、おおよそ0.5オーム~約1オームである。
【0065】
図4A~
図4Bは、本エアロゾル発生システムの様々な構成の特徴のプロットを図示する。より具体的には、
図4A~
図4Bは、16マイクロメートルの直径および50マイクロメートルの開口部を有するヒーターと比較して、ゼロの開口部を有する16マイクロメートルのAISI 304ワイヤ高密度メッシュヒーターを含むシステムのASM試験を図示する。
図4Aに図示した試験では、吸煙当たりのエアロゾルの質量(第一のプロット)が、6Wの印可電力、55mLの3秒間の吸煙、および吸煙間は27秒で測定された。
図4Bに図示する試験は、吸煙中のメッシュヒーターの電気抵抗を提示する。抵抗は温度に比例し、また抵抗プロファイルの平坦な部分は、十分な液体がメッシュへと供給されている時にヒーターの温度が安定していることを示している。
図4A~
図4Bから、ゼロ開口部を有するメッシュの使用は、性能を有害なほどは変化させないことが理解されうる。
【0066】
図2A~
図2Fを再度参照すると、カートリッジ220は、発熱体232の周りの支持構造の第一の成形によって組み立てられてもよい。それ故に、組み立てられたヒーターブロック233は、例えば、スズまたは発熱体232より低い電気抵抗を有する他の適切な材料を含む一対の接触パッド(具体的には図示せず)に固定されたメッシュヒーターなどの発熱体232を含むことができる。次いで、ヒーターブロック233を、例えば、溶接または接着剤を使用して、随意にそれらの間に配置されたシールタブ241を用いて、シール接合部240に固定することができる。毛細管材料231は、発熱体232に隣接してヒーターブロック233の中へと挿入することができ、随意のフィルター234は、毛細管材料231に隣接してヒーターブロック233の中へと挿入することができ、また吸い出し材料235は、随意のフィルター234(提供される場合)に隣接して、または毛細管材料231(随意のフィルター234が提供されない場合)に隣接して、ヒーターブロック233の中へと挿入することができる。随意のフィルター234(提供される場合)は、システム200内の任意の適切な場所に配置できることに留意されたい。例えば、吸い出し材料235は、毛細管材料231に隣接してヒーターブロック233の中へと挿入することができ、またフィルター234は、吸い出し材料235が毛細管材料231を随意のフィルター234から間隙を介するように、吸い出し材料235に隣接してヒーターブロック233の中へと挿入することができる。次いで、組立品キャップ236は、ヒーターブロック233に固定される。カートリッジ220の構成要素は、任意の適切な順序および配設で組み立てることができることに留意されたい。
【0067】
ここで、システム100の動作の例示的な流れを簡潔に記述する。システムは、最初に、制御本体10(
図1には図示せず)上のスイッチを使用してスイッチをオンにする。システムは、気流通路と流体連通している気流センサーを備えてもよく、吸煙起動式とすることができる。これは、気流センサーからの信号に基づいて、制御回路13が加熱組立品30に電力を供給するように構成されることを意味する。ユーザーがエアロゾルを吸入したい時、ユーザーはシステムの口側端の開口部22を吸煙する。別の方法として、加熱組立品30への電力の供給は、ユーザーによるスイッチの作動に基づいてもよい。電力が加熱組立品30に供給される時、発熱体32は流動性エアロゾル形成基体の気化温度、またはそれを上回る温度まで加熱される。エアロゾル形成基体は、それによって気化され、そして気流通路23へと漏れ出るが、一方でエアロゾル形成基体内の粒子の透過は加熱組立品30によって抑止される。空気吸込み口29を通して引き出された空気と発熱体32からのベイパーとの混合物は、気流通路23を通して口側端の開口部22に向かって引き出される。気流通路23を通して移動する際に、ベイパーは少なくとも部分的に冷却されて、固体粒子を実質的に含まず、かつこうした粒子の分解産物を実質的に含まないエアロゾルを形成し、次いでこれがユーザーの口の中へと引き込まれる。ユーザーの吸煙の終了時に、または設定された期間後に、加熱組立品30への電力は切断され、そして次の吸煙の前にヒーターは再度冷却される。当然のことながら、同様の動作の流れを、
図2A~
図2Fに図示したシステム200を使用して適切に実施することができる。
【0068】
図5は、例示的な方法500における動作の流れを図示する。方法500の動作は、システム100および200の要素を参照しながら記述されているが、当然のことながら、動作は、任意の他の適切に構成されたシステムによって実施することができる。
【0069】
方法500は、貯蔵部によって、粒子を含むエアロゾル発生基体を保持すること(51)を含む。例えば、エアロゾル発生基体は、液体またはゲルとすることができ、または液体もしくはゲルを含むことができ、そして
図1に図示した貯蔵部24と同様に構成される貯蔵部、または
図2A~
図2Fを参照しながら記述したものと同様に構成される貯蔵部内に保持することができる。粒子は、エアロゾル発生基体の調製または処理から残留物である可能性があり、または貯蔵部内に形成される場合がある。
【0070】
図5に図示する方法500はまた、発熱体および毛細管材料を含む加熱組立品を提供すること(52)も含む。発熱体、毛細管材料、および随意にフィルターを含む加熱組立品の例示的な構成は、
図1、
図2A~
図2F、および
図3A~
図3Cを参照しながら上述される。一部の構成では、発熱体および毛細管材料は互いに隣接している。
【0071】
図5に図示される方法500はまた、毛細管材料によって、エアロゾル発生基体を発熱体へと毛細管作用によって搬送すること(53)も含む。例えば、毛細管材料は、例えば、
図1および
図2A~
図2Fを参照しながら記述されるように、一つ以上の流体チャネルを介して、または吸い出し材料を介して、またはその両方を介して、貯蔵部と流体連通することができる。毛細管材料は、例えば、
図1および
図2A~
図2Fを参照しながら記述されるように、エアロゾル発生基体を引き出し、かつ受容し、そして基体を毛細管作用によって発熱体へと搬送することができる、空孔の任意の適切な構成を有することができる。
【0072】
図5に図示する方法500はまた、発熱体によって、エアロゾル発生基体を加熱してベイパーを発生すること(54)も含む。例えば、発熱体は、
図1の発熱体32を参照しながら記述するような様態で、または
図2A~
図2F、3A~
図3C、または4A~
図4Bの発熱体232を参照しながら記述するような様態で、適切にエアロゾル発生基体を加熱してベイパーを生成することができる。それ故に形成されたベイパーを、気流通路においてエアロゾルへと凝縮することができる。
【0073】
図5に図示した方法500はまた、加熱組立品によって、気流通路への粒子の透過を抑止すること(55)も含む。例えば、
図1、
図2A~
図2F、または
図3A~
図3Cを参照しながら記述される発熱体、毛細管材料、または随意のフィルターのうちの一つ以上などの加熱組立品の任意の適切な構成要素は、発熱体への、または発熱体を通るエアロゾル発生基体中の粒子の透過を遮断することができる。
【0074】
本発明の一部の構成を、制御本体および別個であるが接続可能なカートリッジを備えるシステムに関して記述してきたが、一体型のエアロゾル発生システムで要素を適切に提供することができることが明らかであろう。
【0075】
代替的な幾何学的形状が本発明の範囲内で可能であることも明白であろう。特に、カートリッジおよび制御本体ならびにその任意の構成要素は、異なる形状および構成を有してもよい。
【0076】
記述した構造を有するエアロゾル発生システムは、いくつかの利点を有する。こうした粒子の気流通路の中への搬送を抑止することによって、エアロゾル発生基体中の固体粒子またはその熱分解産物がエアロゾルに入り、それ故にユーザーによって吸入される可能性を低減することができる。例えば、発熱体への基体の流れを減少させるように、毛細管材料に付着および蓄積することによって、エアロゾル発生基体中の固体粒子がシステムを損傷する可能性は、著しく低減する。構造は堅牢かつ安価であり、またユーザーの体験を改善し、かつシステムの寿命を向上させることができる。