(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
G02B 6/42 20060101AFI20241204BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20241204BHJP
H01S 5/02251 20210101ALI20241204BHJP
【FI】
G02B6/42
H01L31/02 C
H01S5/02251
(21)【出願番号】P 2022036873
(22)【出願日】2022-03-10
【審査請求日】2024-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】大平 和哉
(72)【発明者】
【氏名】古山 英人
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-229209(JP,A)
【文献】国際公開第2021/165721(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/245865(WO,A1)
【文献】特開2000-321466(JP,A)
【文献】特開2017-167261(JP,A)
【文献】特開2009-230032(JP,A)
【文献】特開2000-329973(JP,A)
【文献】特開平07-198995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24-6/27
6/30-6/34
6/36-6/40
6/42-6/43
6/46-6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板
の実装面上に配置された保持部材であって、第1方向において並んで位置する光ファイバ保持部とモジュール配置部とを有する保持部材と、
前記基板の前記実装面上に配置され、前記モジュール配置部に位置する光モジュールと、
前記光ファイバ保持部を
前記第1方向に延び、前記光モジュールと接続された光ファイバと、
前記光ファイバ保持部に配置され、前記光ファイバを
前記実装面及び前記第1方向に
直交する上下方向において挟んで保持する第1板バネ及び第2板バネと、
を備え
、
前記第1板バネ及び前記第2板バネのそれぞれは、第1端部と第2端部とを有し、前記第1端部は前記第2端部よりも前記第1方向において前記光モジュールとの接続部に近い位置に位置し、前記第2端部は前記第1端部よりも前記第1方向において前記光モジュールとの接続部よりも遠い位置に位置し、
前記第1端部及び前記第2端部のいずれか一方は前記保持部材に固定され、他方は前記保持部材に接していない半導体装置。
【請求項2】
前記第1端部が前記保持部材に固定されている請求項
1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1板バネ及び前記第2板バネは、複数本の前記光ファイバを前記
上下方向において挟んで保持する請求項1
または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記光ファイバは、接着剤により前記光モジュールに接続される請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバは、光モジュールに対して、例えば接着剤などにより固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、光モジュールと接続された光ファイバの保持高さを規定することができる半導体装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、半導体装置は、基板と、前記基板の実装面上に配置された保持部材であって、第1方向において並んで位置する光ファイバ保持部とモジュール配置部とを有する保持部材と、前記基板の前記実装面上に配置され、前記モジュール配置部に位置する光モジュールと、前記光ファイバ保持部を前記第1方向に延び、前記光モジュールと接続された光ファイバと、前記光ファイバ保持部に配置され、前記光ファイバを前記実装面及び前記第1方向に直交する上下方向において挟んで保持する第1板バネ及び第2板バネと、を備える。前記第1板バネ及び前記第2板バネのそれぞれは、第1端部と第2端部とを有し、前記第1端部は前記第2端部よりも前記第1方向において前記光モジュールとの接続部に近い位置に位置し、前記第2端部は前記第1端部よりも前記第1方向において前記光モジュールとの接続部よりも遠い位置に位置し、前記第1端部及び前記第2端部のいずれか一方は前記保持部材に固定され、他方は前記保持部材に接していない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図4】実施形態の板バネの他の例を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
また、同一または同様の要素には、同じ符号を付している。
【0008】
図1及び
図2に示すように、実施形態の半導体装置1は、基板20と、保持部材10と、光モジュール40と、光ファイバ51と、第1板バネ61と、第2板バネ62とを備える。
【0009】
基板20の実装面20a上に、保持部材10と光モジュール40が配置されている。基板20は絶縁性の材料からなる。基板20の材料として、例えば、樹脂、セラミックを用いることができる。基板20の実装面20aに平行な面内で互いに交わる例えば直交する2方向を第1方向Y及び第2方向Xとする。第1方向Y及び第2方向Xに交わる例えば直交する方向を、上下方向Zとする。上とは、上下方向Zにおいて基板20に対し実装面20aがある側、あるいは基板20を基準に保持部材10がある方向を指す。下とは、上下方向Zにおいて上と反対の方向を指す。構成要素の上面あるいは下面とは、当該構成要素が有する面のうち上側あるいは下側にあるものを指す。構成要素の側面とは、当該構成要素が有する面のうちZ方向を含む面を指す。
【0010】
保持部材10は、第1方向Yにおいて並んで位置する光ファイバ保持部10Aとモジュール配置部10Bとを有する。複数の光ファイバ保持部10が第2方向Xに並んで配置され、複数のモジュール配置部10Bが第2方向Xに並んで配置されている。また、保持部材10は、第1保持部11と第2保持部12とを有する。例えば、光ファイバ保持部10Aとモジュール配置部10Bは、第1保持部11において上方が開口された空間として形成される。光ファイバ保持部10A及びモジュール配置部10Bの上方が、第1方向Y及び第2方向Xに延びる形状の第2保持部12に覆われる。
【0011】
図3は、第1保持部11の模式平面図である。
図3では、第1板バネ61が省略されている。第1保持部11は、第1厚み部分11bと、第2厚み部分11cとを有し、基板20の実装面20aに固定される。第1厚み部分11bは、上下方向Zにおいて第1の厚みを有する。第1厚み部分11bは、基板20と接し、例えば、第2方向Xに延びる要素11b1と、第1方向Yに延びる要素11b2を有する櫛形の形状である。第2保持部12は、基板20と所定の間隔をあけて第1厚み部分11b上に支持される。光ファイバ保持部10Aとモジュール配置部10Bは、第2方向Xにおいて空間的に接続されて位置している。
【0012】
第2厚み部分11cは、第1方向Yにおいて第1保持部11の開口10C側に位置する部分であり、第2方向Xにおいて第1厚み部分11bの要素11b2に挟まれて位置し、第1方向Y及び第2方向Xに延びる形状を有する。また、第2厚み部分11cは上下方向Zにおいて第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する。第2厚み部分11cは、基板20と接し、第2厚み部分11cの上面は、光ファイバ保持部10Aの底面11aである。
【0013】
光ファイバ保持部10Aは、上下方向Zにおいて第2厚み部分11cと第2保持部12との間に位置する。モジュール配置部10Bは、第1保持部11の上下方向Zを貫通する貫通部として形成されており、第1方向Yにおいて第1厚み部分11bの要素11b1と、第2厚み部分11cとの間に位置し、第2方向Xにおいて第1厚み部分11bの要素11b2に挟まれて位置する。なお、
図3には、複数の光ファイバ保持部10Aが第2方向Xにおいて複数並んで配置され、複数のモジュール配置部10Bが第2方向Xにおいて複数並んで配置された例を示したが、光ファイバ保持部10Aとモジュール配置部10Bはそれぞれ1つであってもよい。また、第1保持部11と第2保持部12は一体に構成されてもよい。
【0014】
光モジュール40は、モジュール配置部10Bに配置され、基板20の実装面20a上に実装される。モジュール配置部10Bは、基板20の実装面20a上における光モジュール40の位置を位置決めする。
【0015】
光モジュール40は、光ファイバ51と光結合された光素子42と、光素子42と電気的に接続された半導体素子41とを有する。光素子42は、光ファイバ51からの光信号を電気信号に変換して半導体素子41に伝送する受光素子である。または、光素子42は、半導体素子41からの電気信号を光信号に変換して光ファイバ51に伝送する発光素子である。半導体素子41は、例えば、IC(Integrated Circuit)チップである。
【0016】
保持部材10における第1方向Yの端部に、光ファイバ保持部10Aに通じる開口10Cが形成されている。第1方向Yにおいて、光ファイバ保持部10Aは、開口10Cと光モジュール40との間に位置する。光ファイバ51は、第1方向Yに延在し、開口10C及び光ファイバ保持部10Aを通って光モジュール40と接続されている。例えば、接着剤により、光ファイバ51は光モジュール40に接続される。光ファイバ51は、光モジュール40と直接接続してもよいし、近傍にレンズ52を設けて光モジュール40と接続してもよい。レンズ52は、例えば、ガラスまたは樹脂からなる。
図1に示すように、例えば、第2方向Xに並列された複数本の光ファイバ51を光モジュール40に接続することができる。
【0017】
基板20の実装面20aに複数の実装パッドが配置されている。光モジュール40は、基板20の実装面20aに向き合う端子配置面40aを有する。端子配置面40aには、少なくとも半導体素子41と電気的に接続された複数の端子が配置されている。
【0018】
第2保持部12の下面が光モジュール40の上面40bを押圧することで、光モジュール40が基板20の実装面20aに押し付けられる。これにより、光モジュール40の端子配置面40aに配置された端子と、基板20の実装面20aに配置された実装パッドとの電気的接続が確保される。端子と実装パッドとは直接接してもよいし、異方導電性部材を介して電気的に接続してもよい。第2保持部12を第1保持部11から取り外すことで、光モジュール40をモジュール配置部10Bから取り外して交換することができる。
【0019】
保持部材10の光ファイバ保持部10Aに、第1板バネ61と第2板バネ62が配置されている。光ファイバ保持部10Aにおいて、第1保持部11の底面11aと第2保持部12の下面12aとが上下方向Zにおいて対向している。第1板バネ61は第1保持部11の底面11aに配置され、第2板バネ62は第2保持部12の下面12aに配置されている。
【0020】
第1板バネ61は、第1端部61aと第2端部61bとを有する。第1端部61aは第2端部61bよりも第1方向Yにおいて光モジュール40との接続部に近い位置に位置し、第2端部61bは第1端部61aよりも第1方向Yにおいて光モジュール40との接続部よりも遠い位置に位置する。第1端部61a及び第2端部61bのいずれか一方は保持部材10に固定されている。例えば、第1端部61aが第1保持部11の底面11aに固定されている。第2端部61bは、保持部材10に固定されず、第1板バネ61の弾性変形に伴い第1保持部11の底面11aに接した状態で第1方向Yに移動可能である。第1板バネ61において第1端部61aと第2端部61bとの間の部分は、上に凸状に湾曲している。
【0021】
第2板バネ62は、第1端部62aと第2端部62bとを有する。第1端部62aは第2端部62bよりも第1方向Yにおいて光モジュール40との接続部に近い位置に位置し、第2端部62bは第1端部62aよりも第1方向Yにおいて光モジュール40との接続部よりも遠い位置に位置する。第1端部62a及び第2端部62bのいずれか一方は保持部材10に固定されている。例えば、第1端部62aが第2保持部12の下面12aに固定されている。第2端部62bは、保持部材10に固定されず、第2板バネ62の弾性変形に伴い第2保持部12の下面12aに接した状態で第1方向Yに移動可能である。第2板バネ62において第1端部62aと第2端部62bとの間の部分は、下に凸状に湾曲している。
【0022】
第1板バネ61と第2板バネ62は、光ファイバ51を上下方向Zにおいて挟んで保持する。例えば、光ファイバ51は、第1板バネ61の湾曲部と第2板バネ62の湾曲部との間に挟まれる。第1板バネ61は光ファイバ51を上下方向Zにおいて上方向に押圧し、第2板バネ62は光ファイバ51を上下方向Zにおいて下方向に押圧する。第1板バネ61と光ファイバ51とが接する第1方向Yにおける位置と、第2板バネ62と光ファイバ51とが接する第1方向Yにおける位置は同じであることが望ましい。これにより、保持部材10の光ファイバ保持部10Aにおいて光ファイバ51の保持高さ(上下方向Zの位置)を規定することができる。光ファイバ51は、光モジュール40との接続部の近傍の光ファイバ保持部10Aにおいて例えば水平に保持され、光モジュール40との接続部に応力がかかりにくくできる。これにより、光ファイバ51が折れたり、光モジュール40から外れたりすることを防ぐことができる。
【0023】
また、第1板バネ61と第2板バネ62の弾性変形により、光ファイバ51が上下方向Zに多少動くことが許容され、光ファイバ51に無理な力がかかりにくい。光ファイバ51において光モジュール40との接続部またはレンズ52が設けられた部分は可撓性が低く、上下動しにくい。そのため、光ファイバ51において、光モジュール40との接続部またはレンズ52が設けられた部分よりも第1方向Yにおいて開口10Cに近い側の位置を第1板バネ61と第2板バネ62で挟んで保持することが好ましい。光ファイバ51における第1板バネ61と第2板バネ62に挟まれる部分は、光モジュール40との接続部またはレンズ52から第1方向Yにおいて数mm離れていることが好ましい。
【0024】
第1板バネ61及び第2板バネ62のそれぞれについて、両端部を保持部材10に固定しないことで、第1板バネ61及び第2板バネ62の弾性変形する可動範囲が広くなり、光ファイバ51が大きく上下方向Zに動いた際にも折れにくくなる。
図4に示すように、第1板バネ61及び第2板バネ62を片持ち支持することで、第1板バネ61及び第2板バネ62の可動範囲がより広がり、さらに光ファイバ51を折れにくくすることができる。
【0025】
図4に示す例においては、第1板バネ61の第1端部61a及び第2板バネ62の第1端部62aが保持部材10に固定される。第1板バネ61の第2端部61b及び第2板バネ62の第2端部62bは、保持部材10に接していない。第1板バネ61の第2端部61bは第1保持部11の底面11aから離れており、第2板バネ62の第2端部62bは第2保持部12の下面12aから離れている。なお、第1板バネ61の一部及び第2板バネ62の一部は、光ファイバ保持部10Aの外側あるいは開口10Cの外側に位置してもよい。
【0026】
図2及び
図4の例とは逆に、第1板バネ61の第2端部61b及び第2板バネ62の第2端部62bを保持部材10に固定し、第1板バネ61の第1端部61a及び第2板バネ62の第1端部62aを保持部材10に接しないようにしてもよい。
【0027】
図2及び
図4に示すように、第1端部61a、62aよりも光モジュール40との接続部から離れた第2端部61b、62bを自由に動けるようにした方が第1板バネ61及び第2板バネ62は上下方向Zの可動範囲が広くなりやすく、光ファイバ51に無理な力がかかりにくい。
【0028】
上下方向Zに対向する1組の第1板バネ61及び第2板バネ62は、少なくとも1本の光ファイバ51を上下方向Zに挟んで保持することができる。また、
図5に示すように、一組の第1板バネ61及び第2板バネ62で、第2方向Xに並列された複数本の光ファイバ51を上下方向Zに挟んで保持することができる。
図5には、一組の第1板バネ61及び第2板バネ62が2本の光ファイバ51を上下方向Zに挟んで保持する例を示すが、一組の第1板バネ61及び第2板バネ62が3本以上の光ファイバ51を一括して保持してもよい。この光ファイバ51は1本の光ファイバを複数本束ねたリボンファイバであってもよい。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
1…半導体装置、10…保持部材、10A…光ファイバ保持部、10B…モジュール配置部、11…第1保持部、11a…底面、11b…第1厚み部分、11c…第2厚み部分、12…第2保持部、20…基板、40…光モジュール、51…光ファイバ、52…レンズ、61…第1板バネ、61a…第1端部、61b…第2端部、62…第2板バネ、62a…第1端部、62b…第2端部