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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】蓄電池制御装置、及び蓄電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20241204BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241204BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20241204BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
H02J7/02 J
H02J7/00 302C
H01M10/44 P
H01M10/48 P
H01M10/48 301
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022111647
(22)【出願日】2022-07-12
(65)【公開番号】P2024010355
(43)【公開日】2024-01-24
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】荘田 隆博
【審査官】山口 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-122150(JP,A)
【文献】特開2018-191500(JP,A)
【文献】特開2012-253975(JP,A)
【文献】国際公開第2011/074330(WO,A1)
【文献】特開2021-191095(JP,A)
【文献】特開2011-147211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H02J 7/00
H01M 10/44
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に並列に接続される複数の蓄電池ストリングを備え、前記蓄電池ストリングは、直列に接続される複数の蓄電池と、前記蓄電池ストリングの入出力電力を変換する電力変換器とを備える蓄電システムを制御する蓄電池制御装置であって、
前記蓄電システムの全体を統括的に制御するシステムコントローラと、
前記蓄電池ストリング毎に設けられ、前記蓄電池ストリングの状態の情報を取得して前記システムコントローラに送信し、前記システムコントローラから受信する前記蓄電池ストリングの充電又は放電の電力又は電流の指示値である第1指示値に従って前記電力変換器を制御する複数のストリングコントローラと
を備え、
前記システムコントローラは、
前記蓄電システムの充電又は放電の電力又は電流の指示値である第2指示値の更新が上位のシステムから指示された場合、前記第2指示値と前記ストリングコントローラから受信した前記蓄電池ストリングの状態の情報とに基づいて、複数の前記蓄電池ストリングに割り当てる前記第1指示値の目標値算出て前記第1指示値を現在値から前記目標値に変更し
前記第1指示値を前記現在値から前記目標値に変更する際に、前記第1指示値を、前記目標値と前記現在値との差分より少量の変化量だけ、前記目標値に向けて変化させる処理を、前記第1指示値が前記目標値に達するまで繰り返し実行する蓄電池制御装置。
【請求項2】
前記システムコントローラは、前記目標値を、前記蓄電池ストリングの充電又は放電の電力又は電流の制限値未満に設定する請求項1に記載の蓄電池制御装置。
【請求項3】
前記システムコントローラは、前記現在値が、前記制限値以上であるか否かを判定し、前記制限値以上と判定した場合に、前記指示値を前記制限値未満に変更する請求項2に記載の蓄電池制御装置。
【請求項4】
前記システムコントローラは、
前記蓄電池ストリングの状態に応じて所定の優先順位を設定し、
前記所定の優先順位が高い前記蓄電池ストリングほど、前記目標値を大きく設定する請求項1又は2に記載の蓄電池制御装置。
【請求項5】
前記システムコントローラは、前記所定の優先順位を、前記蓄電池ストリングの積算充放電容量が少ないほど高く、又は、前記蓄電池ストリングのSOHが高いほど高くなるように設定する請求項4に記載の蓄電池制御装置。
【請求項6】
前記システムコントローラは、前記所定の優先順位を、前記第1指示値を前記現在値から前記目標値に変更する度にランダムに設定する請求項4に記載の蓄電池制御装置。
【請求項7】
相互に並列に接続される複数の蓄電池ストリングと、
前記蓄電池ストリングを制御する蓄電池制御装置と
を備える蓄電システムであって、
前記蓄電池ストリングは、
直列に接続される複数の蓄電池と、
前記蓄電池ストリングの入出力電力を変換する電力変換器と
を備え、
前記蓄電池制御装置は、
前記蓄電システムの全体を統括的に制御するシステムコントローラと、
前記蓄電池ストリング毎に設けられ、前記蓄電池ストリングの状態の情報を取得して前記システムコントローラに送信し、前記システムコントローラから受信する前記蓄電池ストリングの充電又は放電の電力又は電流の指示値である第1指示値に従って前記電力変換器を制御する複数のストリングコントローラと
を備え、
前記システムコントローラは、
前記蓄電システムの充電又は放電の電力又は電流の指示値である第2指示値の更新が上位のシステムから指示された場合、前記第2指示値と前記ストリングコントローラから受信した前記蓄電池ストリングの状態の情報とに基づいて、複数の前記蓄電池ストリングに割り当てる前記第1指示値の目標値算出て前記第1指示値を現在値から前記目標値に変更し
前記第1指示値を前記現在値から前記目標値に変更する際に、前記第1指示値を、前記目標値と前記現在値との差分より少量の変化量だけ、前記目標値に向けて変化させる処理を、前記第1指示値が前記目標値に達するまで繰り返し実行する蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池制御装置、及び蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
DCバスに並列に接続される複数の蓄電池ストリングと、蓄電池ストリング毎に設けられる複数の電力変換器とを備える蓄電システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の蓄電システムでは、DCバスの電圧値が事前に定められた目標電圧値に保たれるように各蓄電池ストリングの出力値が制御される。また、特許文献1に記載の蓄電システムでは、蓄電池の過放電や過充電を防止するために、各蓄電池ストリングに出力させる出力値の範囲を制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-79164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の蓄電システムでは、各蓄電池ストリングの出力値が変更される時、急激な放電電力の変化が発生する可能性がある。例えば、ある蓄電池ストリングの出力値が低下された後に、他の蓄電池ストリングの出力値が上昇される場合、瞬間的に電流が低下する。他方である蓄電池ストリングの出力値が上昇された後に、他の蓄電池ストリングの出力値が低下される場合、瞬間的に電流が過剰になる。それに伴い、蓄電システムとしての目標出力電力を維持できなくなる可能性がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、複数の蓄電池ストリングが並列に接続される蓄電システムにおいて、各蓄電池ストリングの充電又は放電の電力又は電流の指示値が変更される時の電流変化を抑え、蓄電システムとしての目標充放電電力を維持する蓄電池制御装置、及び蓄電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の蓄電池制御装置は、相互に並列に接続される複数の蓄電池ストリングを備え、前記蓄電池ストリングは、直列に接続される複数の蓄電池と、前記蓄電池ストリングの入出力電力を変換する電力変換器とを備える蓄電システムを制御する蓄電池制御装置であって、前記蓄電システムの全体を統括的に制御するシステムコントローラと、前記蓄電池ストリング毎に設けられ、前記蓄電池ストリングの状態の情報を取得して前記システムコントローラに送信し、前記システムコントローラから受信する前記蓄電池ストリングの充電又は放電の電力又は電流の指示値である第1指示値に従って前記電力変換器を制御する複数のストリングコントローラとを備え、前記システムコントローラは、前記蓄電システムの充電又は放電の電力又は電流の指示値である第2指示値の更新が上位のシステムから指示された場合、前記第2指示値と前記ストリングコントローラから受信した前記蓄電池ストリングの状態の情報とに基づいて、複数の前記蓄電池ストリングに割り当てる前記第1指示値の目標値算出て前記第1指示値を現在値から前記目標値に変更し、前記第1指示値を前記現在値から前記目標値に変更する際に、前記第1指示値を、前記目標値と前記現在値との差分より少量の変化量だけ、前記目標値に向けて変化させる処理を、前記第1指示値が前記目標値に達するまで繰り返し実行する。
【0007】
本発明の蓄電システムは、相互に並列に接続される複数の蓄電池ストリングと、前記蓄電池ストリングを制御する蓄電池制御装置とを備える蓄電システムであって、前記蓄電池ストリングは、直列に接続される複数の蓄電池と、前記蓄電池ストリングの入出力電力を変換する電力変換器とを備え、前記蓄電池制御装置は、前記蓄電システムの全体を統括的に制御するシステムコントローラと、前記蓄電池ストリング毎に設けられ、前記蓄電池ストリングの状態の情報を取得して前記システムコントローラに送信し、前記システムコントローラから受信する前記蓄電池ストリングの充電又は放電の電力又は電流の指示値である第1指示値に従って前記電力変換器を制御する複数のストリングコントローラとを備え、前記システムコントローラは、前記蓄電システムの充電又は放電の電力又は電流の指示値である第2指示値の更新が上位のシステムから指示された場合、前記第2指示値と前記ストリングコントローラから受信した前記蓄電池ストリングの状態の情報とに基づいて、複数の前記蓄電池ストリングに割り当てる前記第1指示値の目標値算出て前記第1指示値を現在値から前記目標値に変更し、前記第1指示値を前記現在値から前記目標値に変更する際に、前記第1指示値を、前記目標値と前記現在値との差分より少量の変化量だけ、前記目標値に向けて変化させる処理を、前記第1指示値が前記目標値に達するまで繰り返し実行する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の蓄電池ストリングが並列に接続される蓄電システムにおいて、各蓄電池ストリングの充電又は放電の電力又は電流の指示値が変更される時の電流変化を抑え、蓄電システムとしての目標充放電電力を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る蓄電池制御装置を備える蓄電システムの概略を示す回路図である。
図2図2は、蓄電池ストリングに割り当てる充電電力の指示値を変更する際における充電電力の指示値と経過時間との関係を示すグラフである。
図3図3は、複数の蓄電池ストリングの充電電力の指示値を変更する際における各蓄電池ストリングの充電電力の指示値と経過時間との関係、及び蓄電システム全体の入力電力と経過時間との関係を示すグラフである。
図4図4は、蓄電池ストリングの充電電力の指示値を変更する処理を説明するためのフローチャートである。
図5図5は、蓄電池ストリングに割り当てる放電電力の指示値を変更する際における放電電力の指示値と経過時間との関係を示すグラフである。
図6図6は、複数の蓄電池ストリングの放電電力の指示値を変更する際における各蓄電池ストリングの放電電力の指示値と経過時間との関係、及び蓄電システム全体の出力電力と経過時間との関係を示すグラフである。
図7図7は、蓄電池ストリングの放電電力の指示値を変更する処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において実施形態を適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用される。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る蓄電池制御装置100を備える蓄電システム1の概略を示す回路図である。この図に示すように、蓄電システム1は、m組(mは2以上の整数)の蓄電池ストリングSTR1~STRmと、ストリングバス3と、蓄電池制御装置100とを備える。m組の蓄電池ストリングSTR1~STRmは、ストリングバス3を介して、相互に並列に接続されると共に外部系統(図示省略)に接続されている。蓄電システム1は、定置用又は車載用の電源である。
【0013】
蓄電池ストリングSTR1~STRmは、直列に接続されるn個(nは2以上の整数)の蓄電池モジュールM1~Mnを備える。特に限定するわけではないが、本実施形態の蓄電池ストリングSTR1~STRmは、中古の蓄電池を再生したものであり、各蓄電池モジュールM1~Mnの劣化度に差がある。蓄電池モジュールM1~Mnは、例えば、リチウムイオンバッテリ、リチウムイオンキャパシタ等の二次電池のセルが複数接続されたものである。
【0014】
蓄電池モジュールM1~Mnは、ストリングバス3及び後述の電力変換器PC1~PCmを通じて外部系統から電力を供給されて充電される。また、蓄電池モジュールM1~Mnは、電力変換器PC1~PCm及びストリングバス3を通じて外部系統に電力を供給する。
【0015】
外部系統は、負荷や発電機等を含む。蓄電システム1が定置用の場合には、家庭内の家電、商用電源系統、液晶表示器、通信モジュール等が負荷となり、太陽光発電システム等が発電機となる。他方で、蓄電システム1が車載用の場合には、駆動用モータ、エアコン、各種車載電装品等が負荷となる。なお、駆動用モータは負荷になり発電機にもなる。
【0016】
なお、蓄電池ストリングSTR1~STRmは、直列に接続されるn個の蓄電池モジュールM1~Mnに代えて、直列に接続されるn個の蓄電池セル又は蓄電池パックを備えてもよい。また、蓄電システム1は、各蓄電池セル又は各蓄電池パックをバイパスさせるバイパス回路を備えてもよい。
【0017】
各蓄電池ストリングSTR1~STRmは、1個の電力変換器PC1~PCmと、1個のストリング遮断スイッチ11と、n個のバイパススイッチユニットB1~Bnとを備える。また、各蓄電池ストリングSTR1~STRmは、n個の電圧センサ12と、1個の電流センサ13と、1個の電圧センサ14と、1個のヒューズ15と、n個の温度センサ(図示省略)と、多数のセル電圧センサ(図示省略)とを備える。
【0018】
電力変換器PC1~PCmは、DC/DCコンバータ又はDC/ACコンバータであり、ストリングバス3に接続されている。また、電力変換器PC1~PCmには、始端の蓄電池モジュールM1の正極と終端の蓄電池モジュールMnの負極とが接続されている。
【0019】
電力変換器PC1~PCmは、蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電時に、ストリングバス3から入力された電圧を、後述の充電電力又は充電電流の指示値に応じて変換して複数の蓄電池モジュールM1~Mnに出力する。ここで、蓄電池ストリングSTR1~STRm側の電圧は、蓄電池モジュールM1~Mnのバイパス状態(バイパスされている蓄電池モジュールM1~Mnの数)や蓄電池モジュールM1~Mnの充電状態に応じて変化する。そのため、電力変換器PC1~PCmは、蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電時に、ストリングバス3から入力された電圧を、蓄電池ストリングSTR1~STRm側の電圧に変換して複数の蓄電池モジュールM1~Mnに出力する。
【0020】
電力変換器PC1~PCmは、蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電時に、複数の蓄電池モジュールM1~Mnから入力された電圧を、後述の放電電力又は放電電流の指示値に応じて変換してストリングバス3に出力する。ここで、放電時の電力変換器PC1~PCmの入力電圧は、蓄電池モジュールM1~Mnのバイパス状態や蓄電池モジュールM1~Mnの充電状態に応じて変化する。それにより、放電時に蓄電池ストリングSTR1~STRm間で電力変換器PC1~PCmの入力電圧にバラツキが生じる。そのため、電力変換器PC1~PCmは、蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電時に、入力電圧を他の蓄電池ストリングSTR1~STRmと整合する電圧に変換してストリングバス3に出力する。
【0021】
なお、ストリングバス3を流れる電流が直流の場合には、電力変換器PC1~PCmは、DC/DCコンバータであり、ストリングバス3を流れる電流が交流の場合には、電力変換器PC1~PCmは、DC/ACコンバータである。また、ストリングバス3を流れる電流が交流の場合には、電力変換器PC1~PCmは、瞬時値の変化に対して追従するための同期手段を備える。
【0022】
ストリング遮断スイッチ11は、各電力変換器PC1~PCmとストリングバス3との間に設けられている。このストリング遮断スイッチ11は、蓄電池ストリングSTR1~STRmをストリングバス3に対して接続又は遮断する。また、ヒューズ15は、ストリング遮断スイッチ11とストリングバス3との間に設けられた電力ヒューズである。
【0023】
電圧センサ12は、各蓄電池モジュールM1~Mnの正負極端子間に接続されており、各蓄電池モジュールM1~Mnの端子間電圧を検出して検出信号を後述のストリングコントローラC1~Cmに送信する。また、電流センサ13は、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの電力線PLに設けられており、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの充放電電流を検出して検出信号をストリングコントローラC1~Cmに送信する。また、電圧センサ14は、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの電力線PLに設けられており、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの総電圧を検出して検出信号をストリングコントローラC1~Cmに送信する。また、温度センサは、各蓄電池モジュールM1~Mnに設けられており、各蓄電池モジュールM1~Mnの温度を検出して検出信号をストリングコントローラC1~Cmに送信する。さらに、セル電圧センサは、各蓄電池モジュールM1~Mnの蓄電池セル毎に設けられており、各蓄電池セルの電圧を検出して検出信号をストリングコントローラC1~Cmに送信する。
【0024】
バイパススイッチユニットB1~Bnは、蓄電池モジュールM1~Mn毎に設けられている。各バイパススイッチユニットB1~Bnは、バイパス線BLと、スイッチS1,S2とを備える。バイパス線BLは、各蓄電池モジュールM1~Mnをバイパスする電力線である。スイッチS1は、バイパス線BLに設けられている。このスイッチS1は、例えば機械式スイッチや半導体スイッチやリレーである。スイッチS2は、各蓄電池モジュールM1~Mnの正極とバイパス線BLの一端との間に設けられている。このスイッチS2は、例えば半導体スイッチやリレーである。
【0025】
始端の蓄電池モジュールM1及び終端の蓄電池モジュールMnは、電力変換器PC1~PCm及びストリングバス3を介して外部系統に接続されている。全てのバイパススイッチユニットB1~BnにおいてスイッチS1がOFFになりスイッチS2がONになった場合に、全ての蓄電池モジュールM1~Mnが外部系統に直列で接続される。他方で、何れかのバイパススイッチユニットB1~BnにおいてスイッチS2がOFFになり、スイッチS1がONになった場合に、当該バイパススイッチユニットB1~Bnに対応する蓄電池モジュールM1~Mnがバイパスされる。
【0026】
蓄電池制御装置100は、m個のストリングコントローラC1~Cmと、m個のリレードライバD1~Dmと、1個のシステムコントローラ101とを備える。ストリングコントローラC1~CmとリレードライバD1~Dmとは、蓄電池ストリングSTR1~STRm毎に設けられている。
【0027】
ストリングコントローラC1~Cmは、対応する蓄電池ストリングSTR1~STRmのリレードライバD1~Dmと電力変換器PC1~PCmとに制御信号を送信する。リレードライバD1~Dmは、対応するストリングコントローラC1~Cmから送信された制御信号に従って、対応するバイパススイッチユニットB1~BnのスイッチS1,S2及びストリング遮断スイッチ11を制御する。また、電力変換器PC1~PCmは、対応するストリングコントローラC1~Cmから送信された制御信号に従って、対応する蓄電池ストリングSTR1~STRmの充放電電圧を変換する。
【0028】
ストリングコントローラC1~Cmは、対応する蓄電池ストリングSTR1~STRmの状態の検出、対応する蓄電池ストリングSTR1~STRmの状態の推定、システムコントローラ101への機器の制御要求の通知等を実行する。蓄電池ストリングSTR1~STRmの状態の検出としては、電流センサ13の検出信号に基づく蓄電池ストリングSTR1~STRmの充放電電流の検出、電圧センサ14の検出信号に基づく蓄電池ストリングSTR1~STRmの総電圧の検出、電圧センサ12の検出信号に基づく蓄電池モジュールM1~Mnの電圧の検出、温度センサの検出信号に基づく蓄電池モジュールM1~Mnの温度の検出、セル電圧センサの検出信号に基づく蓄電池セルの電圧の検出等が挙げられる。また、蓄電池ストリングSTR1~STRmの状態の推定としては、蓄電池モジュールM1~MnのSOC(State of Charge)やSOH(State of Health)の推定、蓄電池ストリングSTR1~STRmのSOCやSOHの推定等が挙げられる。さらに、システムコントローラ101への機器の制御要求の通知としては、バイパススイッチユニットB1~BnのスイッチS1,S2やストリング遮断スイッチ11の切換制御の要求、電力変換器PC1~PCmの制御の要求等が挙げられる。
【0029】
SOHの推定方法としては、充放電試験による方法、電流積算法による方法、開回路電圧の測定による方法、端子電圧の測定による方法、モデルに基づく方法(以上はSOCの経時変化を用いる方法)、交流インピーダンス測定による方法、モデルに基づき、適応デジタルフィルタで求める方法、I-V特性(電流電圧特性)からの線型回帰(I-V特性の直線の傾き)による方法、ステップ応答による方法(以上、内部抵抗の経時的増加を用いて推定する方法)等が挙げられる。
【0030】
SOCの推定方法としては、電流積算法、OCV(Open Circuit Voltage)から求める方法(電圧法)、電流積算法と電圧法とを組み合わせた方法等の種々の公知の方法等が挙げられる。また、OCVは、端子電圧の経時変化あるいは、内部抵抗の経時的増加を用いて推定する種々の公知の方法を用いて推定することができる。
【0031】
ここで、ストリングコントローラC1~Cmは、対応する蓄電池ストリングSTR1~STRmの充放電電力を算出し、算出結果をシステムコントローラ101に送信する。各蓄電池ストリングSTR1~STRmの充放電電力は、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの電流センサ13により検出される各蓄電池ストリングSTR1~STRmの充放電電流と、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの電圧センサ14により検出される蓄電池ストリングSTR1~STRmの総電圧との積を用いて算出される。
【0032】
システムコントローラ101は、蓄電システム1の全体を統括的に制御するコントローラであり、m個のストリングコントローラC1~Cmと1:mの通信を実行する。このシステムコントローラ101は、蓄電池ストリングSTR1~STRmの状態の監視、ストリングコントローラC1~Cmからの機器の制御要求に対する可否の判断、ストリングコントローラC1~Cmへの機器の制御要求の許可の通知を実行する。また、システムコントローラ101は、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの充放電電力(充電電力及び放電電力)又は充放電電流(充電電流及び放電電流)の指示値の設定、当該充放電電力又は充放電電流の指示値のストリングコントローラC1~Cmへの送信を実行する。
【0033】
システムコントローラ101は、ストリングコントローラC1~Cmから送信される蓄電池ストリングSTR1~STRmの状態の検出結果や推定結果に基づいて、蓄電池ストリングSTR1~STRmの状態を監視する。そして、システムコントローラ101は、上位のシステム(図示省略)から受信する蓄電システム1全体の入出力電力又は入出力電流の指示と、蓄電池ストリングSTR1~STRmの状態とに応じて、各蓄電池ストリングSTR1~STRmに割り当てる充放電電力又は充放電電流の指示値を算出する。
【0034】
ここで、システムコントローラ101は、監視している蓄電池ストリングSTR1~STRmの状態に応じて、充放電電力又は充放電電流の指示値を割り当てる蓄電池ストリングSTR1~STRmの優先順位を決定する。そして、システムコントローラ101は、決定した優先順位に応じて、充放電電力又は充放電電流の指示値を各蓄電池ストリングSTR1~STRmに割り当てる。例えば、システムコントローラ101は、優先順位が相対的に高い蓄電池ストリングSTR1~STRmには、充放電電力又は充放電電流の指示Tを割り当てるのに対して、優先順位が相対的に低い蓄電池ストリングSTR1~STRmには、充放電電力又は充放電電流の指示値を割り当てない場合がある。また、システムコントローラ101は、優先順位が相対的に高い蓄電池ストリングSTR1~STRmには、より大きな充放電電力又は充放電電流の指示値を割り当てるのに対して、優先順位が相対的に低い蓄電池ストリングSTR1~STRmには、より小さな充放電電力又は充放電電流の指示値を割り当てる場合がある。
【0035】
優先順位の決定方法としては、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの積算充放電容量に応じて決定する方法、各蓄電池ストリングSTR1~STRmのSOHに応じて決定する方法、充放電電力又は充放電電流の変更の度にランダムに決定する方法等が挙げられる。各蓄電池ストリングSTR1~STRmの積算充放電容量に応じて決定する方法では、積算充放電容量が少ない蓄電池ストリングSTR1~STRmほど優先順位が高くなる。また、各蓄電池ストリングSTR1~STRmのSOHに応じて決定する方法では、各蓄電池ストリングSTR1~STRmのSOHが高い蓄電池ストリングSTR1~STRmほど優先順位が高くなる。
【0036】
ストリングコントローラC1~Cmは、蓄電池モジュールM1~MnのSOCやOCVに基づいて充放電電力又は充放電電流の制限値を算出してシステムコントローラ101へ送信する。そして、システムコントローラ101は、当該ストリングコントローラC1~Cmに対応する蓄電池ストリングSTR1~STRmの充放電電力又は充放電電流の指示値を、当該ストリングコントローラC1~Cmから送信された充放電電力又は充放電電流の制限値を下回るように算出する。
【0037】
ここで、蓄電池ストリングSTR1~STRmのSOC(以下、ストリングSOCという)の上限閾値までの残充電容量が少なくなるほど充電電力又は充電電流の制限値が低くなる。そのため、蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力又は充電電流の制限値を監視することにより、ストリングSOCの上限閾値までの残充電容量を監視することができる。従って、蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力又は充電電流を、充電電力又は充電電流の制限値を下回るように算出することにより、ストリングSOCの上限閾値までの残充電容量の存在する蓄電池ストリングSTR1~STRmに対して、充電電力又は充電電流の指示値を割り当てることができる。なお、ストリングSOCの上限閾値は、例えば90%以上100%未満である。
【0038】
同様に、ストリングSOCの下限閾値までの残放電容量が少なくなるほど放電電力又は放電電流の制限値が低くなる。そのため、蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力又は放電電流の制限値を監視することにより、ストリングSOCの下限閾値までの残放電容量を監視することができる。従って、蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力又は放電電流の指示値を、放電電力又は放電電流の制限値を下回るように算出することにより、ストリングSOCの下限閾値までの残放電容量の存在する蓄電池ストリングSTR1~STRmに対して、放電電力又は放電電流の指示値を割り当てることができる。なお、ストリングSOCの下限閾値は、例えば0%より高く10%以下である。
【0039】
システムコントローラ101は、ストリングコントローラC1~Cmからの機器の制御要求に対する可否を、監視している他の蓄電池ストリングSTR1~STRmの状態に応じて判断する。そして、システムコントローラ101は、ストリングコントローラC1~Cmからの機器の制御要求を許可する場合には、制御要求の許可の通知を当該ストリングコントローラC1~Cmに送信する。バイパススイッチユニットB1~Bnやストリング遮断スイッチ11についての制御要求の許可の通知を受信したストリングコントローラC1~Cmは、対応するバイパススイッチユニットB1~Bnやストリング遮断スイッチ11の切換制御を、リレードライバD1~Dmを通じて実行する。また、電力変換器PC1~PCmについての制御要求の許可の通知を受信したストリングコントローラC1~Cmは、対応する電力変換器PC1~PCmの制御を実行する。
【0040】
なお、システムコントローラ101は、あるストリングコントローラC1~Cmから機器の制御要求が送信されない状況において、必要に応じて、当該ストリングコントローラC1~Cmに機器の制御指示を送信する場合がある。また、ストリングコントローラC1~Cmは、蓄電池ストリングSTR1~STRm内の異常を検知した場合には、システムコントローラ101からの制御許可の通知や制御指示の有無にかかわらず、ストリング遮断スイッチ11を遮断する制御信号をリレードライバD1~Dmに送信する。
【0041】
ここで、システムコントローラ101は、蓄電池ストリングSTR1~STRmに割り当てる充放電電力又は充放電電流の指示値を変更する処理において、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの充放電電力又は充放電電流の指示値を現在値から目標値まで漸次的且つ連続的に変化させる。以下、各蓄電池ストリングSTR1~STRmに割り当てる充放電電力又は充放電電流の指示値を変更する処理について説明する。
【0042】
図2は、蓄電池ストリングSTR1~STRmに割り当てる充電電力の指示値(以下、充電電力指示値という)を変更する際における充電電力指示値と経過時間との関係を示すグラフである。このグラフには、ある蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値が減少して、他の蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値が増加する例が示されている。この例では、ある蓄電池ストリングSTR1~STRmに割り当てられていた充電電力指示値が、他の蓄電池ストリングSTR1~STRmに振り替えられる。
【0043】
図2に実線で示すように、ある蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値は、所定時間をかけて現在値から目標値まで漸次的且つ連続的に減少する。同様に、図2に破線で示すように、他の蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値は、所定時間をかけて現在値から目標値まで漸次的且つ連続的に増加する。
【0044】
図3は、複数の蓄電池ストリングSTR1~STR4の充電電力指示値を変更する際における各蓄電池ストリングSTR1~STR4の充電電力指示値と経過時間との関係、及び蓄電システム1(図1参照)全体の入力電力と経過時間との関係を示すグラフである。このグラフには、蓄電システム1全体の入力電力が増加し、蓄電池ストリングSTR1~STR3の充電電力指示値が増加し、蓄電池ストリングSTR4の充電電力指示値が減少する例が示されている。この例では、蓄電池ストリングSTR4に割り当てられていた充電電力指示値が、蓄電池ストリングSTR1~STR3に振り替えられる。
【0045】
図3に実線、一点鎖線、二点鎖線で示すように、蓄電池ストリングSTR1~STR3の充電電力指示値は、所定時間をかけて現在値から目標値まで漸次的且つ連続的に増加する。同様に、図3に破線で示すように、蓄電池ストリングSTR4の充電電力指示値は、所定時間をかけて現在値から目標値まで漸次的且つ連続的に減少する。これにより、蓄電システム1全体の入力電力は、所定時間をかけて現在値から目標値まで漸次的且つ連続的に増加する。なお、蓄電システム1全体の入力電力を減少させる場合には、蓄電池ストリングSTR1~STRmの全て又は一部の充電電力指示値を所定時間をかけて漸次的且つ連続的に減少させ、蓄電システム1全体の入力電力を漸次的且つ連続的に減少させればよい。この場合、充電電力指示値を増加させる蓄電池ストリングSTR1~STRmと充電電力指示値を減少させる蓄電池ストリングSTR1~STRmとが併存してもよい。
【0046】
以下、蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値を変更する処理の詳細について説明する。なお、蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値を変更するのに代えて、蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電流の指示値を変更してもよい。その場合、以下に説明する処理と同様の処理を実行すればよい。
【0047】
図4は、蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値を変更する処理を説明するためのフローチャートである。まず、ステップS1において、システムコントローラ101(図1参照)は、各ストリングコントローラC1~Cm(図1参照)から各蓄電池ストリングSTR1~STRm(図1参照)の状態の最新情報(検出結果及び推定結果)を取得する。当該情報には、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力の制限値(以下、充電電力制限値という)の情報が含まれる。
【0048】
次に、ステップS2において、システムコントローラ101は、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの現在の充電電力指示値が、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの現在の充電電力制限値よりも低いか否かを判定する。ステップS2において肯定判定がされた場合には、ステップS7に移行し、ステップS2において否定判定がされた場合には、ステップS3に移行する。
【0049】
ステップS3において、システムコントローラ101は、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの目標充電電力指示値を決定する。具体的には、システムコントローラ101は、ステップS2において否定判定がされた蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値を低下させ、他の蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値を増加させる。即ち、充電電力指示値が充電電力制限値以上であった蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値を、充電電力指示値が充電電力制限値未満の蓄電池ストリングSTR1~STRmに振り替える。
【0050】
次に、システムコントローラ101は、充電電力指示値が目標充電電力指示値に達するまでステップS4~S6のループ処理を繰り返し実行する。ここで、ステップS4~S6において、システムコントローラ101は、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値を、所定量ΔP1ずつ漸次的且つ連続的に現在値から目標値まで変化させる。
【0051】
まず、ステップS4において、システムコントローラ101は、蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値を所定量ΔP1だけ変化させる。この所定量ΔP1は、充電電力の急激な変化を防止するという目的に適合するように少量に設定される。この所定量ΔP1は、充電電力指示値の現在値と目標値との差が小さい場合には、充電電力指示値の現在値と目標値との差と等しくなる場合もある。他方で、この所定量ΔP1は、充電電力指示値の現在値と目標値との差が相対的に大きい場合には、充電電力指示値の現在値と目標値との差よりも少量になる場合もある。この所定量ΔP1が、充電電力指示値の現在値と目標値との差よりも少量になる場合には、充電電力指示値の更新が複数回繰り返し実行される。
【0052】
次に、ステップS5において、システムコントローラ101は、充電電力指示値をストリングコントローラC1~Cmに送信してから所定時間T1の間、待機する。この所定時間T1は、ストリングコントローラC1~Cmによる蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力の制御に必要な時間と、充電電力の変化率とを考慮して設定されている。ここで、充電電力の変化率は、充電電力の急激な変化を防止するという目的に適合するように低く設定される。
【0053】
次に、ステップS6において、システムコントローラ101は、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの現在の充電電力指示値が、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの目標充電電力指示値に達したか否かを判定する。ステップS6において否定判定がされた場合には、ステップS4に移行し、ステップS6において肯定判定がされた場合には、ステップS2に移行する。
【0054】
充電電力指示値が充電電力制限値以上である蓄電池ストリングSTR1~STRmが存在する場合には、当該蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値が充電電力制限値を下回るまで、ステップS4~S6のループ処理が繰り返し実行される。ここで、ステップS4~S6において、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値は、上記所定量ΔP1ずつ漸次的且つ連続的に現在値から目標値まで変化する。
【0055】
次に、ステップS7において、システムコントローラ101は、蓄電システム1全体の入力電力の指示値(以下、入力電力指示値という)を上位のシステムから取得する。次に、ステップS8において、システムコントローラ101は、ステップS7において取得した入力電力指示値が、前回取得した入力電力指示値から更新されたか否かを判定する。ステップS8において肯定判定がされた場合にはステップS9に移行し、ステップS8において否定判定がされた場合には処理を終了する。
【0056】
ステップS9において、システムコントローラ101は、充電電力指示値を割り当てる蓄電池ストリングSTR1~STRmの優先順位を、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの状態に応じて決定する。次に、ステップS10において、システムコントローラ101は、ステップS9において決定した優先順位に応じて、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力の目標値(以下、目標充電電力指示値という)を算出し決定する。即ち、システムコントローラ101は、優先順位がより高い蓄電池ストリングSTR1~STRmにより多くの目標充電電力指示値を割り当てる。
【0057】
次に、システムコントローラ101は、充電電力指示値が目標充電電力指示値に達するまでステップS11~S13のループ処理を繰り返し実行する。ここで、ステップS11~S13において、システムコントローラ101は、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値を、所定量ΔP2ずつ漸次的且つ連続的に現在値から目標値まで変化させる。
【0058】
まず、ステップS11において、システムコントローラ101は、上記所定量ΔP2を算出し、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値を更新する。この所定量ΔP2は、ステップS10において決定された各蓄電池ストリングSTR1~STRmの目標充電電力指示値と現在の充電電力指示値との差分を等分した値である。ここで、当該差分を等分する際の分割数は、算出される所定量ΔP2が、充電電力の急激な変化を防止するという目的に適合するように設定される。
【0059】
次に、ステップS12において、システムコントローラ101は、充電電力指示値をストリングコントローラC1~Cmに送信してから所定時間T2の間、待機する。この所定時間T2は、ストリングコントローラC1~Cmによる蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力の制御に必要な時間と、充電電力の変化率とを考慮して設定されている。ここで、充電電力の変化率は、充電電力の急激な変化を防止するという目的に適合するように低く設定される。
【0060】
次に、ステップS13において、システムコントローラ101は、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの現在の充電電力指示値が、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの目標充電電力指示値に達したか否かを判定する。ステップS13において否定判定がされた場合には、ステップS11に移行し、ステップS13において肯定判定がされた場合には、処理を終了する。
【0061】
図5は、蓄電池ストリングSTR1~STRmに割り当てる放電電力の指示値(以下、放電電力指示値という)を変更する際における放電電力指示値と経過時間との関係を示すグラフである。このグラフには、ある蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値が減少して、他の蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示が増加する例が示されている。この例では、ある蓄電池ストリングSTR1~STRmに割り当てられていた放電電力が、他の蓄電池ストリングSTR1~STRmに振り替えられる。
【0062】
図5に実線で示すように、ある蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値は、所定時間をかけて現在値から目標値まで漸次的且つ連続的に減少する。同様に、図5に破線で示すように、他の蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値は、所定時間をかけて現在値から目標値まで漸次的且つ連続的に増加する。
【0063】
図6は、複数の蓄電池ストリングSTR1~STR4の放電電力指示値を変更する際における各蓄電池ストリングSTR1~STR4の放電電力指示値と経過時間との関係、及び蓄電システム1全体の出力電力と経過時間との関係を示すグラフである。このグラフには、蓄電システム1全体の出力電力が増加し、蓄電池ストリングSTR1~STR3の放電電力指示値が増加し、蓄電池ストリングSTR4の放電電力指示値が減少する例が示されている。この例では、蓄電池ストリングSTR4に割り当てられていた放電電力が、蓄電池ストリングSTR1~STR3に振り替えられる。
【0064】
図6に実線、一点鎖線、二点鎖線で示すように、蓄電池ストリングSTR1~STR3の放電電力指示値は、所定時間をかけて現在値から目標値まで漸次的且つ連続的に増加する。同様に、図6に破線で示すように、蓄電池ストリングSTR4の放電電力指示値は、所定時間をかけて現在値から目標値まで漸次的且つ連続的に減少する。これにより、蓄電システム1全体の出力電力は、所定時間をかけて現在値から目標値まで漸次的且つ連続的に増加する。
【0065】
以下、蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値を変更する処理の詳細について説明する。なお、蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値を変更するのに代えて、蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電流の指示値を変更してもよい。その場合、以下に説明する処理と同様の処理を実行すればよい。
【0066】
図7は、蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値を変更する処理を説明するためのフローチャートである。まず、ステップS101において、システムコントローラ101は、ストリングコントローラC1~Cmから各蓄電池ストリングSTR1~STRmの状態の最新情報(検出結果及び推定結果)を取得する。当該情報には、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力の制限値(以下、放電電力制限値という)の情報が含まれる。
【0067】
次に、ステップS102において、システムコントローラ101は、現在の各蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値が、現在の各蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力制限値よりも低いか否かを判定する。ステップS102において肯定判定がされた場合には、ステップS107に移行し、ステップS102において否定判定がされた場合には、ステップS103に移行する。
【0068】
ステップS103において、システムコントローラ101は、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの目標放電電力指示値を決定する。具体的には、システムコントローラ101は、ステップS102において否定判定がされた蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値を低下させ、他の蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値を増加させる。即ち、放電電力指示値が放電電力制限値を超えていた蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値を、放電電力指示値が放電電力制限値未満の蓄電池ストリングSTR1~STRmに振り替える。
【0069】
次に、システムコントローラ101は、放電電力指示値が目標放電電力指示値に達するまでステップS104~S106のループ処理を繰り返し実行する。ここで、ステップS104~S106において、システムコントローラ101は、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値を、所定量ΔP1ずつ漸次的且つ連続的に現在値から目標値まで変化させる。
【0070】
まず、ステップS104において、システムコントローラ101は、蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値を所定量ΔP3だけ変化させる。この所定量ΔP3は、放電電力の急激な変化を防止するという目的に適合するように少量に設定される。この所定量ΔP3は、放電電力指示値の現在値と目標値との差が小さい場合には、放電電力指示値の現在値と目標値との差と等しくなる場合もある。他方で、この所定量ΔP3は、放電電力指示値の現在値と目標値との差が相対的に大きい場合には、放電電力指示値の現在値と目標値との差よりも少量になる場合もある。この所定量ΔP3が、放電電力指示値の現在値と目標値との差よりも少量になる場合には、放電電力指示値の更新が複数回繰り返し実行される。
【0071】
次に、ステップS105において、システムコントローラ101は、放電電力指示値をストリングコントローラC1~Cmに送信してから所定時間T3の間、待機する。この所定時間T3は、ストリングコントローラC1~Cmによる蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力の制御に必要な時間と、放電電力の変化率とを考慮して設定されている。ここで、放電電力の変化率は、放電電力の急激な変化を防止するという目的に適合するように低く設定される。
【0072】
次に、ステップS106において、システムコントローラ101は、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの現在の放電電力指示値が、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの目標放電電力指示値に達したか否かを判定する。ステップS106において否定判定がされた場合には、ステップS104に移行し、ステップS106において肯定判定がされた場合には、ステップS102に移行する。
【0073】
放電電力指示値が放電電力制限値以上である蓄電池ストリングSTR1~STRmが存在する場合には、当該蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値が放電電力制限値を下回るまで、ステップS104~S106のループ処理が繰り返し実行される。ここで、ステップS104~S106において、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値は、上記所定量ΔP3ずつ漸次的且つ連続的に現在値から目標値まで変化する。
【0074】
次に、ステップS107において、システムコントローラ101は、蓄電システム1全体の出力電力の指示値(以下、出力電力指示値という)を上位のシステムから取得する。次に、ステップS108において、システムコントローラ101は、ステップS107において取得した出力電力指示値が、前回取得した出力電力指示値から更新されたか否かを判定する。ステップS108において肯定判定がされた場合にはステップS109に移行し、ステップS108において否定判定がされた場合には処理を終了する。
【0075】
ステップS109において、システムコントローラ101は、放電電力指示値を割り当てる蓄電池ストリングSTR1~STRmの優先順位を、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの状態に応じて決定する。次に、ステップS110において、システムコントローラ101は、ステップS109において決定した優先順位に応じて、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力の目標値(以下、目標放電電力指示値という)を算出し決定する。即ち、システムコントローラ101は、優先順位がより高い蓄電池ストリングSTR1~STRmにより多くの目標放電電力指示値を割り当てる。
【0076】
次に、システムコントローラ101は、放電電力指示値が目標放電電力指示値に達するまでステップS111~S113のループ処理を繰り返し実行する。ここで、ステップS111~S113において、システムコントローラ101は、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値を、所定量ΔP4ずつ漸次的且つ連続的に現在値から目標値まで変化させる。
【0077】
まず、ステップS111において、システムコントローラ101は、上記所定量ΔP4を算出し、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値を更新する。この所定量ΔP4は、ステップS110において決定された各蓄電池ストリングSTR1~STRmの目標放電電力指示値と現在の放電電力指示値との差分を等分した値である。ここで、当該差分を等分する際の分割数は、算出される所定量ΔP4が、放電電力の急激な変化を防止するという目的に適合するように設定される。
【0078】
次に、ステップS112において、システムコントローラ101は、放電電力指示値をストリングコントローラC1~Cmに送信してから所定時間T4の間、待機する。この所定時間T4は、ストリングコントローラC1~Cmによる蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力の制御に必要な時間と、放電電力の変化率とを考慮して設定されている。ここで、放電電力の変化率は、放電電力の急激な変化を防止するという目的に適合するように低く設定される。
【0079】
次に、ステップS113において、システムコントローラ101は、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの現在の放電電力指示値が、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの目標放電電力指示値に達したか否かを判定する。ステップS113において否定判定がされた場合には、ステップS111に移行し、ステップS113において肯定判定がされた場合には、処理を終了する。
【0080】
以上説明したように、本実施形態の蓄電池制御装置100は、上位のシステムから蓄電システム1全体の入力電力指示値の更新が指示された場合等に、蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値を現在値から目標充電電力指示値に変更する。この際、蓄電池制御装置100は、蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値を、所定量ΔP1,ΔP2だけ目標充電電力指示値に向けて変化させる処理を、充電電力指示値が目標充電電力指示値に達するまで繰り返し実行する。ここで、所定量ΔP1,ΔP2は、目標充電電流指示値と現在値との差分より少量である。これにより、蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値を現在値から目標充電電力指示値に変更する際に、蓄電池ストリングSTR1~STRmにおける急激な充電電力の変化を抑制でき、蓄電システム1としての目標充電電力を維持できる。なお、「充電電力」を「充電電流」に置換してもよい。この場合にも、同様に、蓄電池ストリングSTR1~STRmにおける急激な充電電流の変化を抑制でき、蓄電システム1としての目標充電電流を維持できる。
【0081】
また、本実施形態の蓄電池制御装置100は、上位のシステムから蓄電システム1の出力電力指示値の更新が指示された場合等に、蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値を現在値から目標放電電力指示値に変更する。この際、蓄電池制御装置100は、蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値を、所定量ΔP3,ΔP4だけ目標放電電力指示値に向けて変化させる処理を、放電電力指示値が目標放電電力指示値に達するまで繰り返し実行する。ここで、所定量ΔP3,ΔP4は、目標放電電流指示値と現在値との差分より少量である。これにより、蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値を現在値から目標放電電力指示値に変更する際に、蓄電池ストリングSTR1~STRmにおける急激な放電電力の変化を抑制でき、蓄電システム1としての目標放電電力を維持できる。なお、「放電電力」を「放電電流」に置換してもよい。この場合にも、同様に、蓄電池ストリングSTR1~STRmにおける急激な放電電流の変化を抑制でき、蓄電システム1としての目標放電電流を維持できる。
【0082】
また、本実施形態の蓄電池制御装置100は、蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値を現在値から目標充電電力指示値に変更する際、目標充電電力指示値を、蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力制限値未満に設定する。これにより、蓄電池ストリングSTR1~STRm毎に充電電力制限値が異なる場合でも、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力が充電電力制限値を超えることを防止できる。特に、本実施形態の蓄電池制御装置100は、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値の現在値が、充電電力制限値以上であるか否かを判定する。そして、蓄電池制御装置100は、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値の現在値を、充電電力制限値以上と判定した場合には、当該蓄電池ストリングSTR1~STRmの目標充電電力指示値を充電電力制限値未満に設定する。即ち、蓄電池ストリングSTR1~STRmの状態が変化して充電電力制限値が変化した際に、当該蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値を充電電力制限値未満に変更する。これにより、蓄電池ストリングSTR1~STRmを常に充電電力制限値の範囲内で運転させることができる。なお、「充電電力」を「充電電流」に置換してもよい。この場合にも、同様に、蓄電池ストリングSTR1~STRmを常に充電電流制限値の範囲内で運転させることができる。
【0083】
また、本実施形態の蓄電池制御装置100は、蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値を現在値から目標放電電力指示値に変更する際、目標放電電力指示値を、蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力制限値未満に設定する。これにより、蓄電池ストリングSTR1~STRm毎に放電電力制限値が異なる場合でも、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力が放電電力制限値を超えることを防止できる。特に、本実施形態の蓄電池制御装置100は、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値の現在値が、放電電力制限値以上であるか否かを判定する。そして、蓄電池制御装置100は、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値の現在値を、放電電力制限値以上と判定した場合には、当該蓄電池ストリングSTR1~STRmの目標放電電力指示値を放電電力制限値未満に設定する。即ち、蓄電池ストリングSTR1~STRmの状態が変化して放電電力制限値が変化した際に、当該蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力指示値を放電電力制限値未満に変更する。これにより、蓄電池ストリングSTR1~STRmを常に放電電力制限値の範囲内で運転させることができる。なお、「放電電力」を「放電電流」に置換してもよい。この場合にも、同様に、蓄電池ストリングSTR1~STRmを常に放電電流制限値の範囲内で運転させることができる。
【0084】
また、本実施形態の蓄電池制御装置100は、蓄電池ストリングSTR1~STRmの状態に応じて所定の優先順位を設定し、この所定の優先順位が高い蓄電池ストリングSTR1~STRmほど、目標充電電力指示値を高く設定する。所定の優先順位は、例えば、蓄電池ストリングSTR1~STRmの積算充放電容量が少ないほど高く、あるいは、蓄電池ストリングSTR1~STRmのSOHが高いほど高くなる。また、所定の優先順位は、例えば、充電電力指示値の変更が実行される度に、ランダムに設定される。これにより、ある蓄電池ストリングSTR1~STRmに充電が集中して当該蓄電池ストリングSTR1~STRmの劣化が相対的に早く進行することを防止できる。なお、「充電電力」を「充電電流」に置換してもよい。この場合にも、同様に、ある蓄電池ストリングSTR1~STRmに充電が集中して当該蓄電池ストリングSTR1~STRmの劣化が相対的に早く進行することを防止できる。
【0085】
また、本実施形態の蓄電池制御装置100は、蓄電池ストリングSTR1~STRmの状態に応じて所定の優先順位を設定し、この所定の優先順位が高い蓄電池ストリングSTR1~STRmほど、目標放電電力指示値を高く設定する。所定の優先順位は、例えば、蓄電池ストリングSTR1~STRmの積算充放電容量が少ないほど高く、あるいは、蓄電池ストリングSTR1~STRmのSOHが高いほど高くなる。また、所定の優先順位は、例えば、放電電力指示値の変更が実行される度に、ランダムに設定される。これにより、ある蓄電池ストリングSTR1~STRmに放電が集中して当該蓄電池ストリングSTR1~STRmの劣化が相対的に早く進行することを防止できる。なお、「放電電力」を「放電電流」に置換してもよい。この場合にも、同様に、ある蓄電池ストリングSTR1~STRmに放電が集中して当該蓄電池ストリングSTR1~STRmの劣化が相対的に早く進行することを防止できる。
【0086】
さらに、本実施形態の蓄電池制御装置100は、複数の蓄電池ストリングSTR1~STRmについて目標充電電力指示値や目標放電電力指示値を設定し、複数の蓄電池ストリングSTR1~STRmについて同時並行で、充電電力指示値や放電電力指示値を現在値から目標値に変更する。その際、蓄電池制御装置100は、蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力指示値や放電電力指示値を、目標値と現在値との差分より少量の変化量だけ目標値に向けて変化させる処理を、充電電力指示値や放電電力指示値が目標値に達するまで繰り返し実行する。これにより、蓄電システム1としての入出力電力を現在値から目標値まで漸次的且つ連続的に変化させることができる。なお、全ての蓄電池ストリングSTR1~STRmの入出力電力の総和が蓄電システム1の目標値に向けて変化すればよく、充電状態の蓄電池ストリングSTR1~STRmと放電状態の蓄電池ストリングSTR1~STRmとが混在してもよい。
【0087】
以上、上述の実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、適宜公知や周知の技術を組み合わせてもよい。
【0088】
例えば、上述の実施形態では、蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力又は充電電流の制限値を監視することにより、ストリングSOCの上限閾値までの残充電容量を監視する。そして、蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力又は充電電流を、充電電力又は充電電流の制限値を下回るように設定することにより、ストリングSOCの上限閾値までの残充電容量の存在する蓄電池ストリングSTR1~STRmに対して、充電電力又は充電電流を割り当てる。しかしながら、蓄電池制御装置100により、ストリングSOCの上限閾値までの残充電容量の有無を判定し、ストリングSOCの上限閾値までの残充電容量の存在する蓄電池ストリングSTR1~STRmに対して、充電電力又は充電電流を割り当てるようにしてもよい。
【0089】
同様に、上述の実施形態では、蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力又は放電電流の制限値を監視することにより、ストリングSOCの下限閾値までの残放電容量を監視する。そして、蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力又は放電電流を、放電電力又は放電電流の制限値を下回るように設定することにより、ストリングSOCの下限閾値までの残放電容量の存在する蓄電池ストリングSTR1~STRmに対して、放電電力又は放電電流を割り当てる。しかしながら、蓄電池制御装置100により、ストリングSOCの下限閾値までの残放電容量の有無を判定し、ストリングSOCの下限閾値までの残放電容量の存在する蓄電池ストリングSTR1~STRmに対して、放電電力又は放電電流を割り当てるようにしてもよい。
【0090】
また、上述の実施形態では、システムコントローラ101が、ストリングコントローラC1~Cmに対して、充放電電力又は充放電電流の指示値を送信する。しかしながら、システムコントローラ101とストリングコントローラC1~Cmとを一体とし、これらが一体化されたコントローラが、各蓄電池ストリングSTR1~STRmの充放電電力又は充放電電流の指示値を設定するようにしてもよい。この場合、図4のステップS4及びステップS10において、所定時間T1又は所定時間T2の待機に加えて、当該コントローラによる蓄電池ストリングSTR1~STRmの充電電力制御が実行される。また、図7のステップS104及びステップS110において、所定時間T3又は所定時間T4の待機に加えて、当該コントローラによる蓄電池ストリングSTR1~STRmの放電電力制御が実行される。
【符号の説明】
【0091】
1 :蓄電システム
100 :蓄電池制御装置
M1~Mn :蓄電池モジュール(蓄電池)
PC1~PCm :電力変換器
STR1~STRm:蓄電池ストリング
ΔP1 :所定量(少量の変化量)
ΔP2 :所定量(少量の変化量)
ΔP3 :所定量(少量の変化量)
ΔP4 :所定量(少量の変化量)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7