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特許7598357アルカロイドを含有する材料のシートをキャストするための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】アルカロイドを含有する材料のシートをキャストするための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A24B 3/14 20060101AFI20241204BHJP
   A24B 15/16 20200101ALI20241204BHJP
【FI】
A24B3/14
A24B15/16
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022500624
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-20
(86)【国際出願番号】 EP2020067554
(87)【国際公開番号】W WO2021008828
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】19186862.9
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】デル ボレロ ミケーレ
(72)【発明者】
【氏名】イアダンツァ クレメンテ
(72)【発明者】
【氏名】プレスティア イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】サルティニ サンドロ
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-110398(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0084476(US,A1)
【文献】米国特許第03415253(US,A)
【文献】国際公開第2016/050470(WO,A1)
【文献】米国特許第06198537(US,B1)
【文献】米国特許第05997691(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 3/14
A24B 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカロイドを含有する材料のシートをキャストするための方法であって、前記方法が、
-アルカロイドを含有する前記材料のスラリーを形成することであって、前記スラリーが粘度値を有する、前記スラリーを形成することと、
-前記スラリーを第1のタンクに貯蔵することと、
-前記第1のタンクとキャストボックスとの間の流体連通のための第1の流路および第2の流路を提供することであって、前記第1の流路が、第1のポンプを備え、前記第2の流路が、第2のポンプを備える、前記第1の流路および前記第2の流路を提供することと、
-前記スラリーの前記粘度値に基づいて、前記第1の流路に沿ってまたは前記第2の流路に沿って、前記スラリーを前記第1のタンクから前記キャストボックスへと方向付けて、前記第1の流路を通してまたは前記第2の流路を通して、スラリーの流れを画定することと、
-前記スラリーをキャストして、アルカロイドを含有する材料のシートを得ることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記スラリーの前記粘度値に基づいて、前記第1の流路に沿ってまたは前記第2の流路に沿って、前記スラリーを前記第1のタンクから前記キャストボックスへと方向付ける工程が、
-閾値粘度値を設定することと、
-前記スラリーの前記粘度値が前記閾値粘度値を下回る場合に、前記スラリーを前記第1の流路に沿って方向付けることと、
-それ以外の場合は、前記スラリーを前記第2の流路に沿って方向付けることと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スラリーが組成物を有し、
-前記第1のタンク内の前記スラリーの前記粘度値を測定することと、
-前記キャストボックス内の前記スラリーの前記粘度値を測定することと、
-前記第1の流路または第2の流路における前記スラリーの前記粘度値を測定することと、
-前記スラリーの組成物に基づいて前記粘度値を決定することと、のうちの1つ以上を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
-前記スラリーの前記粘度値を2回以上測定または決定することと、
-前記粘度値が以前の測定または決定と比較して変動する場合に、前記スラリーの流れを、前記第1の流路から前記第2の流路に、またはその逆に切り替えることと、を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
-前記スラリーを第2のタンクに貯蔵することと、
-前記第2のタンクと前記キャストボックスとの間の流体連通のための第3の流路を提供することであって、前記第3の流路が、第3のポンプを含む、前記第3の流路を提供することと、
-前記第2のタンクおよび前記キャストボックスが前記第2の流路を介して流体連通するように、前記第2の流路を前記第2のタンクに接続することと、
-前記スラリーの前記粘度値に基づいて、前記第3の流路に沿ってまたは前記第2の流路に沿って、前記スラリーを前記第2のタンクから前記キャストボックスへと方向付けることと、を含む、先行請求項のうちの一項以上に記載の方法。
【請求項6】
-前記スラリーの前記粘度値を2回以上測定または決定することと、
-前記粘度値が以前の測定または決定と比較して変動する場合に、スラリーの流れを、前記第1の流路および第3の流路から前記第2の流路に、またはその逆に切り替えることと、を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記キャストボックスに入る前記スラリーの流れが、流量を画定し、
-前記キャストボックスに入る前記スラリーの前記流量を、前記切り替えの前後で実質的に一定に維持すること、を含む、請求項4または6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のポンプが第1のポンプ速度を画定し、前記第2のポンプが第2のポンプ速度を画定し、前記方法が、
-前記第1のポンプ速度または前記第2のポンプ速度を測定することと、
-前記第1の流路における、または前記第2の流路における前記スラリーの流量を測定することと、
-前記第1の流路における、または前記第2の流路における前記スラリーの前記測定された流量が、前記それぞれの測定された第1のポンプ速度または第2のポンプ速度の所定の範囲外である場合に、前記スラリーの流れを、前記第1の流路から前記第2の流路に、またはその逆に切り替えることと、を含む、先行請求項のうちの一項以上に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のポンプが第1のポンプ速度を画定し、前記第2のポンプが第2のポンプ速度を画定し、前記方法が、
-前記キャストボックスを出るか、または前記キャストボックスに入るか、または前記第1の流路における、もしくは前記第2の流路における前記スラリーの流量を測定することと、
-前記測定されたスラリー流量に基づいて、前記第1のポンプ速度または第2のポンプ速度を変更することと、を含む、先行請求項のうちの一項以上に記載の方法。
【請求項10】
アルカロイドを含有する材料のシートを製造するためのキャスト装置であって、前記装置が、
-アルカロイドを含有する材料のスラリーを貯蔵するための第1のタンクと、
-アルカロイドを含有する材料のシートをキャストするためのキャスト装置を含む、キャストボックスと、
-前記スラリーの粘度値を測定するか、または決定するための粘度評価器と、
-前記第1のタンクと前記キャストボックスを流体接続して、スラリーの流れを前記キャストボックスに方向付ける、第1の流路と、
-前記第1のタンクと前記キャストボックスを流体接続して、スラリーの流れを前記キャストボックスに方向付ける、第2の流路と、
-第1のポンプおよび第2のポンプであって、前記第1のポンプが、前記第1の流路内に配設されており、第2のポンプが、前記第2の流路内に配設されている、第1のポンプおよび第2のポンプと、
-前記第1の流路または前記第2の流路のいずれかを選択的に開いて、前記第1の流路または前記第2の流路のいずれかを介する前記第1のタンクから前記キャストボックスへの前記スラリーの流れを可能にする、第1の弁と、
-前記第1の弁を動作させて、前記スラリーの前記粘度値に基づいて、前記第1の流路または前記第2の流路のいずれかを選択する、制御要素と、を備える、キャスト装置。
【請求項11】
前記第1のポンプまたは前記第2のポンプが、容積式ポンプである、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の流路または前記第2の流路が、配管を含み、前記配管が、約2.5センチメートル~約10.5センチメートルで構成された直径を有する、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記粘度評価器が、粘度計を含む、請求項10~12のうちの一項以上に記載の装置。
【請求項14】
-第2のタンクと、
-前記第2のタンクを前記キャストボックスに流体接続して、スラリーの流れを前記キャストボックスに方向付ける、第3の流路と、
-前記第3の流路内に位置する第3のポンプと、
-前記第2の流路が前記第2のタンクと前記キャストボックスを流体接続して、スラリーの流れを前記キャストボックスに方向付けることと、
-前記第3の流路または第2の流路のいずれかを選択的に開いて、前記第3の流路または前記第2の流路のいずれかを介する前記第2のタンクから前記キャストボックスへの前記スラリーの流れを可能にする、第2の弁と、
-前記制御要素が前記第2の弁を動作させて、前記スラリーの前記粘度値に基づいて、前記第3の流路または前記第2の流路を選択することと、を含む、請求項10~13のうちの一項以上に記載の装置。
【請求項15】
前記第1のポンプ、第2のポンプ、または第3のポンプが、第1のポンプ速度、第2のポンプ速度、または第3のポンプ速度を画定し、前記装置が、前記第1のポンプ、または前記第2のポンプ、または前記第3のポンプの速度を変化させるための速度バリエータを備える、請求項10~14のうちの一項以上に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカロイドを含有する材料のキャストシートを製造するためのキャスト装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、アルカロイドを含有する材料は均質化したたばこ材料であり、例えば、紙巻たばこ、または「加熱非燃焼式」タイプのたばこ含有製品などのエアロゾル発生物品で使用されることが好ましい。
【0003】
今日では、たばこ製品の製造において、たばこ葉以外に、均質化したたばこ材料も使用されている。
【0004】
「加熱非燃焼式」エアロゾル発生物品において、エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成するがたばこ材料の燃焼を防止するために、比較的低い温度に加熱される。さらに、均質化したたばこ材料中に存在するたばこは典型的に唯一のたばこであるか、またはこうした「加熱非燃焼式」エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の大半を含む。これは、こうした「加熱非燃焼式」エアロゾル発生物品によって発生されるエアロゾル組成が実質的に、均質化したたばこ材料のみに基づくことを意味する。したがって、例えばエアロゾルの味わいには、均質化したたばこ材料の組成および機械的特性の良好な制御を有することが重要である。
【0005】
均質化したたばこ材料は、たばこ粉末を含む異なる成分を混合して、たばこスラリーを形成することによって生成される。次に、このスラリーは、適切な送達システムを通して、移動コンベア鋼帯上にキャストされるために「キャストボックス」に入り、その後乾燥機内で乾燥されるキャストシステムへと送られる前に、タンクに貯蔵される。
【0006】
一定量のスラリーが、連続的かつ均質なキャストを確実にするために、キャストボックス内に好ましくは必要とされる。あるいは、または追加的に、キャストボックス内の実質的に一定の圧力が、連続的かつ均質なキャストを確実にするために好ましい。キャストシートの均質性および品質はまた、スラリーの量およびキャストボックス内の圧力に依存し得ることが見出された。キャストボックス内に送達されるスラリーの量を制御するために、スラリータンクをキャストボックスに接続する送達システムは、概してポンプおよび制御ループを含む。こうした制御ループでは、スラリータンクからポンプで送り出されるスラリー流量は、キャストボックスから出て来るスラリーの測定された流量に従って調整される。
【0007】
しかしながら、この規制は、スラリーが1つのバッチから別のバッチへの、またはバッチ内の可変密度を有する場合、不正確であり得る。スラリーの密度は、例えば、ゲル化など、スラリー中の化学反応のために変化し得る。実際に、密度の変動が大きい場合、ポンプは必要な流量をキャストボックスに送達することができない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
スラリー特性の変化に適応し得るアルカロイドを含有する材料のキャストシートの製造のためのキャスト装置および方法に対するニーズがある。さらに、キャストボックスへのスラリー流量を適切に制御するキャスト装置および方法を有することが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、アルカロイドを含有する材料のシートをキャストするためのキャスト装置に関し、方法は、アルカロイドを含有する材料のスラリーを形成することであって、スラリーが粘度値を有する、形成することと、スラリーを第1のタンクに貯蔵することと、第1のタンクとキャストボックスとの間の流体連通のための第1の流路および第2の流路を提供することと、を含む。第1の流路は、第1のポンプを備え、第2の流路は、第2のポンプを備える。方法は、スラリーの粘度値に基づいて、第1の流路に沿ってまたは第2の流路に沿って、スラリーを第1のタンクからキャストボックスへと方向付けて、第1の流路または第2の流路を通して、スラリーの流れを画定する工程を含む。方法は、スラリーをキャストして、アルカロイドを含有する材料のシートを得る工程を含む。
【0010】
本発明はまた、アルカロイドを含有する材料のシートを製造するためのキャスト装置に関連し、装置は、アルカロイドを含有する材料のスラリーを貯蔵するための第1のタンクと、アルカロイドを含有する材料のシートをキャストするためのキャスト装置を含む、キャストボックスと、スラリーの粘度値を測定するか、または決定するための粘度評価器と、第1のタンクとキャストボックスを流体接続して、スラリーの流れをキャストボックスに方向付ける、第1の流路と、第1のタンクとキャストボックスを流体接続して、スラリーの流れをキャストボックスに方向付ける、第2の流路と、第1のポンプおよび第2のポンプであって、その第1のポンプが、第1の流路内に配設されており、第2のポンプが、第2の流路内に配設されている、第1のポンプおよび第2のポンプと、を備える。キャスト装置は、第1の流路または第2の流路のいずれかを選択的に開いて、第1の流路または第2の流路のいずれかを介する第1のタンクからキャストボックスへのスラリーの流れを可能にする、第1の弁を備える。キャスト装置は、第1の弁を動作させて、スラリーの粘度値に基づいて、第1の流路または第2の流路のいずれかを選択する、制御要素を備える。
【0011】
広範囲の粘度を有するスラリーを本発明に使用してもよい。スラリーの粘度は、1つの調製物から他の調製物まで変化し得るか、または同じ調製物内で経時的に変化し得る。粘度の値に応じて、タンクからキャストボックスへのスラリーに対する異なる流路が選択される。流路は、スラリーの密度値に適したポンプ、例えば、要求されたスラリーの流量をキャストボックスに送達することができるポンプを使用することができるように選択される。このように、適合された流量は、キャストボックスに対して確実にされ得、スラリーは、異なる粘度を有する。
【0012】
本明細書で使用される「シート」という用語は、その厚さより実質的に大きい幅および長さを有する薄層状の要素を意味する。シートの幅は、約10ミリメートルより大きいことが好ましく、約20ミリメートルまたは約30ミリメートルより大きいことがより好ましい。シートの幅は、約60ミリメートル~約300ミリメートルから成ることがなおより好ましい。シートの厚さは、約50マイクロメートル~約300マイクロメートルから成ることが好ましく、シートの厚さは、約100マイクロメートル~約250マイクロメートルから成ることがより好ましく、約130マイクロメートル~220マイクロメートルから成ることがさらにより好ましい。
【0013】
本明細書で使用される場合、「スラリー」という用語は、異なる液体様、粘性またはペースト状の材料のエマルションを含み得る、液体様、粘性またはペースト状の材料を示す。スラリーは、一定の量の固体粒子を含有してもよく、スラリーが依然として液体様、粘性またはペースト状の挙動を呈することを条件とする。
【0014】
以下では、「上流」または「下流」という用語を用いて、スラリーの流れの方向を参照する。
【0015】
本明細書で使用される「移動可能な支持体」という用語は、少なくとも1つの長軸方向に移動することができる表面を含む任意の手段を意味する。移動可能な支持体は、1つの方向で途切れることのない搬送能力を提供するように、閉ループを形成してもよい。しかしながら、移動可能な支持体は往復運動のやり方でも同様に移動してもよい。移動可能な支持体はコンベヤーベルトを含んでもよい。移動可能な支持体は本質的に平坦であってもよく、また構造化された表面または構造化されていない表面を示してもよい。移動可能な支持体は、完全に液体不透過性であってもよい。これは、スラリーが支持体を不注意で通過することを防止する。他の実施形態では、移動可能な支持体は、その表面に開口部を備えてもよい。開口部は、空気透過性であるが、それでも液体透過性ではないようなサイズであることが好ましい。こうした開口部は、スラリーによって作製された形成シートの外表面を通してだけでなく、水蒸気が移動可能な支持体を通しても脱出することを可能にすることによって、移動可能な支持体に適用されるスラリーからの水分の除去を改善し得る。乾燥すると、スラリーは、外側乾燥層を形成する傾向がある。外側乾燥層は、外側乾燥層の下のスラリーから脱出する水分に対するバリアを形成し得る。したがって、移動可能な支持体における開口部の提供は、形成シートの全厚さにわたってスラリーのより一貫した乾燥をもたらし得る。移動可能な支持体は、シート様の移動可能でかつ曲げることができる帯を含んでもよい。帯は、鋼、銅、鉄合金、および銅合金が挙げられるがこれらに限定されない金属材料、またはゴム材料で作製されてもよい。帯は、加熱されてスラリーの乾燥プロセスを加速することができるように、耐熱性材料で作製されてもよい。
【0016】
「アルカロイドを含有する材料」は、1つ以上のアルカロイドを含有する材料である。アルカロイドはニコチンを含んでもよい。ニコチンは、例えばたばこの中に見いだされる場合がある。
【0017】
アルカロイドは、塩基性の窒素原子を主に含有する天然の化合物の群である。この群はまた、中性特性を有する一部の関連する化合物、および弱酸性特性を有する一部の関連する化合物さえも含む。類似の構造の一部の合成化合物もアルカロイドと呼ばれる。炭素、水素、窒素に加えて、アルカロイドはまた、酸素、硫黄、より稀には塩素、臭素、リンなどのその他の元素も含有する場合がある。
【0018】
アルカロイドは細菌、真菌、および植物を含む多種多様な生物体によって生成されている。アルカロイドは酸塩基抽出によって、これらの生物体の粗抽出物から精製することができる。カフェイン、ニコチン、テオブロミン、アトロピン、ツボクラリンはアルカロイドの例である。
【0019】
本明細書で使用される「均質化したたばこ材料」という用語は、アルカロイドニコチンを含有する、粒子状たばこを凝集することによって形成された材料を意味する。それ故に、アルカロイドを含有する材料は、均質化したたばこ材料とすることができる。
【0020】
均質化したたばこ材料の最も一般的に使用される形態は、再構成たばこシートおよびキャストリーフである。均質化したたばこ材料シートを形成するプロセスは一般的に、たばこ粉末と結合剤を混合してスラリーを形成する工程を含む。次に、たばこシートを作り出すためにスラリーが使用される。例えば、移動する金属ベルトの上に粘性スラリーをキャストすることによって、いわゆるキャストリーフを製造する。別の方法として、粘度が低くかつ含水量が高いスラリーを使用して、製紙と似たプロセスで再構成たばこを作り出すことができる。
【0021】
たばこのシート材料は、再構成シート材料と呼ばれることができ、たばこ組成物を形成するために、粒子状のたばこ(例えば、再構成たばこ)またはたばこ微粒子のブレンド、湿潤剤、水性溶剤を使用して形成されることができる。
【0022】
均質化したたばこシートは概して、たばこに加えて、結合剤およびエアロゾル形成体(グアーおよびグリセリンなど)を含む。
【0023】
「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成する場合がある揮発性化合物を放出する能力を有する基体を指す。概して、エアロゾルは、使用者によって吸入されることに適している。典型的に、エアロゾル形成基体は、加熱に伴い揮発性化合物を放出する。エアロゾル形成基体は、揮発性アルカロイド風味化合物を含有する材料を含んでもよく、これは加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される。エアロゾル形成基体は均質化した材料を含んでもよい。
【0024】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生するように構成された装置を指す。エアロゾル発生装置は、ヒーターなどのエアロゾル化器を含むことが好ましい。
【0025】
アルカロイドを含有する材料のシートは、エアロゾル発生装置のためのエアロゾル形成基体として使用され得る。
【0026】
このスラリーは、数多くの異なる構成要素または成分を含んでもよい。これらの構成要素は、アルカロイドを含有する材料のキャストシートの特性に影響を及ぼす場合がある。第1の成分は、例えば粉末形態のアルカロイドを含有する材料である。この材料は、例えば、たばこ粉末ブレンドであってもよい。たばこ粉末ブレンドは、スラリー中に存在するたばこの大部分を含有することが好ましい。このように、たばこ粉末ブレンドは、均質化したたばこ材料中のたばこの大半の供給源である。このように、たばこ粉末ブレンドは、最終製品、例えば、均質化したたばこ材料を加熱することによって生成されるエアロゾルに対する風味を画定する。
【0027】
均質化したシートの引張特性を強化するために、結合剤が添加されることが好ましい。エアロゾル形成体を添加して、エアロゾルの形成を促進することが好ましい。さらに、アルカロイドを含有する材料のウェブをキャストするためにある特定の粘度および水分に達するために、スラリーに水が添加されてもよい。
【0028】
スラリーに添加される結合剤の量は、スラリーの乾燥重量で約1パーセント~約5パーセントから成ってもよい。結合剤の量は、約2パーセント~約4パーセントから成ることがより好ましい。スラリーで使用される結合剤は、本明細書に記載のガムまたはペクチンのうちのいずれかであってもよい。結合剤は、たばこ粉末が均質化したたばこウェブを通して実質的に分散されたままになるのを確実にし得る。任意の結合剤を採用してもよいが、好ましい結合剤は、天然ペクチン(果実ペクチン、柑橘類ペクチン、またはたばこペクチンなど)、グアーガム(ヒドロキシエチルグアー、ヒドロキシプロピルグアーなど)、ローカストビーンガム(ヒドロキシエチルローカストビーンガム、ヒドロキシプロピルローカストビーンガムなど)、アルギネート、デンプン(変性デンプンまたは誘導体化デンプンなど)、セルロース(メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、タマリンドガム、デキストラン、プラロン、コンニャク粉、キサンタンガム、およびこれに類するものである。本発明で使用するために特に好ましい結合剤はグアーである。
【0029】
アルカロイド材料ウェブの引張強さを増大するために、強化剤として作用する、セルロース繊維を含有するセルロースパルプがスラリーに添加されることが好ましい。スラリーの中へのセルロース繊維の導入は典型的に、たばこ材料ウェブの引張強さを増大し、強化剤として作用する。したがって、セルロース繊維を添加することは、均質化したたばこ材料ウェブの弾力性を増大させる場合がある。均質化したたばこ材料のスラリーの中に含むためのセルロース繊維は当業界で周知であり、これには針葉樹繊維、広葉樹繊維、ジュート繊維、亜麻繊維、たばこ繊維、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。セルロース繊維は、パルプ化に加えて、精製、機械的パルプ化、化学的パルプ化、漂白、硫酸塩パルプ化、およびこれらの組み合わせなどの適切な加工に供されてもよい。セルロース繊維は、たばこ茎材料、葉柄、または他のたばこ植物材料を含んでもよい。木材繊維などのセルロース繊維は低いリグニン含有量を含むことが好ましい。別の方法として、植物繊維などの繊維を上記の繊維とともに、またはその代替として使用してもよく、これには麻および竹が含まれる。セルロース繊維の平均長さは有利なことに、約0.2ミリメートル~約4ミリメートルである。セルロース繊維の重量当たりの平均長さは、約1ミリメートル~約3ミリメートルであることが好ましい。さらに、セルロース繊維の量は、スラリー(または均質化したたばこシート)の総重量の乾燥重量基準で約1パーセント~約7パーセントから成ることが好ましい。
【0030】
繊維の平均長さは、Techpap SASによって商品化されたMORFI COMPACTによって測定される通りのそれらの実際の長さ(それらがカールしているか、またはよれているかにかかわらず)を指す。平均長さは、N本の繊維(N>5である)の測定値に対して、MORFI COMPACTによって測定された繊維の長さの数学的平均である。MORFI COMPACTは、繊維の構造に従って繊維の長さを測定する繊維分析器であり、それ故に繊維の実際の発生された長さを測定する。測定された物体は、その長さが200マイクロメートル~10000マイクロメートルから成り、かつその幅が5マイクロメートル~75マイクロメートルから成る場合に、繊維と見なされる。繊維の長さは、脱イオン水が繊維に添加され、かつMorfiソフトウェアが使用されている時に測定される。
【0031】
基材シート中の繊維は、織られていてもよく、または織られていなくてもよい。織られていない場合、繊維は主として一方向に配向されていてもよい。また、繊維は、例えば無作為に配向されていてもよい。織られている場合、様々なパターンを使用することが可能である。
【0032】
アルカロイドを含有する材料のシートのためのスラリーの中に含むための適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、一価アルコール(メントールなど)、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
好ましいエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0034】
スラリーは、乾燥重量基準で約5パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量を有してもよい。スラリーは、乾燥重量基準で約5重量パーセント~約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。エアロゾル形成体は、スラリーの乾燥重量の約10パーセント~約25パーセントから成ることがより好ましい。エアロゾル形成体は、スラリーの乾燥重量の約15パーセント~約25パーセントから成ることがより好ましい。
【0035】
結合剤およびセルロース繊維は、約1:7~約5:1から成る重量比で含まれることが好ましい。結合剤およびセルロース繊維は、約1:1~約3:1から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0036】
結合剤およびエアロゾル形成体は、約1:30~約1:1から成る重量比で含まれることが好ましい。結合剤およびエアロゾル形成体は、約1:20~約1:4から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0037】
アルカロイドを含有する材料は、たばこであることが好ましい。結合剤およびたばこ粒子は、約1:100~約1:10から成る重量比で含まれることが好ましい。結合剤およびたばこ粒子は、約1:50~約1:15から成る重量比で含まれることがより好ましく、約1:30~1:20から成ることがなおより好ましい。
【0038】
エアロゾル形成体およびたばこ粒子は、約1:20~約1:1から成る重量比で含まれることが好ましい。エアロゾル形成体およびたばこ粒子は、約1:6~約1:2から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0039】
エアロゾル形成体およびセルロース繊維は、約1:1~約30:1から成る重量比で含まれることが好ましい。エアロゾル形成体およびセルロース繊維は、約5:1~約15:1から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0040】
セルロース繊維およびたばこ粒子は、約1:100~約1:10から成る重量比で含まれることが好ましい。セルロース繊維およびたばこ粒子は、好ましくは約1:50~約1:20から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0041】
スラリーは所与の位置に形成され、その後貯蔵される。スラリーは、例えば、同じ場所、例えば、同じタンク、または2つの異なる場所、例えば、2つの異なるタンクに貯蔵および形成され得る。使用されるタンクは、好ましくは現場で公知である。さらに、スラリーは、単一のタンク内に、または複数のタンク内に形成または貯蔵され得る。以下では、スラリーが貯蔵され、場合によっては形成されるタンクを第1のタンクと呼ぶ。2つ以上のタンクを使用する場合、それらは、第2のタンク、第3のタンクなどと呼ばれることになる。
【0042】
貯蔵されるタンクから、アルカロイドを含有する材料のキャストシートを形成するために、スラリーをキャストボックスに移送する。キャストシートは、アルカロイドを含有する材料の連続的なシートまたはウェブが得られるように、キャスト方向に沿って移動する移動可能な支持体上に形成されてもよい。
【0043】
キャストは、任意の公知のキャスト装置を使用して行われ、例えば、スラリーは、キャストブレードを使用してキャストされてもよい。スラリーは、移動可能な支持体上に押出成形されてもよい。スラリーは、移動可能な支持体上に噴霧されてもよい。スラリーは、移動可能な支持体上に塗りつぶされてもよい。キャスト装置は、キャストボックスに接続されることが好ましい。
【0044】
キャストボックスはボックス形状であることが好ましい。キャストボックスは壁を含むことが好ましい。次に壁は側壁を備えることがより好ましい。側壁は、第1の側壁、第2の側壁、第3の側壁、および第4の側壁と呼ばれる、対向する壁の第1の対および第2の対を含んでもよい。側壁は有利なことに、実質的に垂直であるか、または垂直平面に対して傾斜している。側壁は、湾曲していてもよい。第1の側壁および第2の側壁、ならびに第3の側壁および第4の側壁は、一方がもう一方に面している。キャストボックスの壁はまた、開口を有する底部壁を含むことが好ましい。底部壁全体が開口を画定することが好ましい。キャストボックスは、加圧チャンバを形成するようにリッドを含み得る。加圧チャンバの内部圧力は、調節されてもよい。一部の実施形態では、キャストボックスは上部で開いている。
【0045】
第1のタンクからキャストボックスへのスラリーの移送は、例えば、適切な配管を介して、流路を介して実施され、その結果、第1のタンクとキャストボックスは、流体接続されて、スラリーが第1のタンクからキャストボックスに移送されることを可能にする。スラリーは、スラリーが移動可能な支持体上にキャストされる製造時間の少なくとも大部分の間、第1のタンクからキャストボックスに連続的に供給されることが好ましい。
【0046】
キャストボックス内のスラリーの量は、実質的に、一定に保持されるのが好ましい。例えば、キャストボックス内のスラリーの量は、事前定義された量と等しい。キャストボックス内の事前定義された量のスラリーは、一定に維持されることが好ましい。例えば、キャストボックス内の所定のスラリーレベルが設定される。キャストボックス内の実質的に一定のスラリーレベルを得るために、スラリーが移動可能な支持体上にキャストされる間、スラリーが連続的にキャストボックスに供給される。
【0047】
タンクからキャストボックスへの流路は、第1の流路および第2の流路を含む。第1の流路および第2の流路の各々は、タンクをキャストボックスに接続する。第1の流路と第2の流路は、完全に分離されてもよい。例えば、第1の流路および第2の流路の各々は、タンク内に別個の出口、キャストボックス内に別個の入口、入口と出口との間に別個のダクトを含んでもよい。あるいは、第1の流路および第2の流路は、共通セクションを有してもよい。例えば、タンク内に単一の出口(例えば、単一の開口)、出口から延在する所定の長さの単一の共通ダクトが存在してもよく、その後、これは2つの異なる経路で分岐し、2つの異なる入口をキャストボックスに導く。逆に、2つの異なる出口が、そこから2つの異なるダクトが延在する第1のタンク内に存在することができ、その後、キャストボックスで単一の入口で終わる単一のダクトに合流する。さらに、単一の出口および単一の入口が存在してもよく、第1の共通ダクトが出口から逸脱し、次に2点で分岐して、入口で終わる単一の第2の共通ダクトに再び合流する。したがって、第1の流路および第2の流路は、第1のタンクからキャストボックスへの2つの流路を示し、それらは、少なくとも、他のものと別個の一部分についてであるが、それらも共通の部分またはセクションを有してもよい。次いで、第1の流路は、第1のタンクからキャストボックスへ第1の経路に沿ってスラリーを方向付けられ、第2の流路は、第1のタンクからキャストボックスへ、第1の経路と少なくとも部分的に異なる第2の経路に沿ってスラリーを方向付けられる。
【0048】
第1の流路は、第1のポンプを含み、第2の流路は、第2のポンプを含む。第1のポンプおよび第2のポンプは、共通していない第1の流路および第2の流路のそれらの部分に位置しており、すなわち、第1のポンプは、スラリーが第1の流路を介してキャストボックスに方向付けられる場合にのみ、スラリーをキャストボックスにポンプ注入し、第2のポンプは、スラリーが第2の流路を介してキャストボックスに流れる場合にのみ、スラリーをポンプ注入する。一方のみまたは両方のポンプが、ポンプ注入しているスラリー内に浸漬されてもよく、またはスラリーの外側に置かれてもよい。本発明によれば、第1のポンプは、第2のポンプとは異なるポンプである。少なくとも第1のポンプの特性は、第2のポンプの特性とは異なることが好ましい。例えば、第1のポンプは、第2のポンプタイプとは異なるポンプタイプに属することができる。第2のポンプは、第1のポンプよりも高い最大吸収電力を有してもよい。
【0049】
より多いスラリー貯蔵用のタンクが存在する場合、さらなる流路が存在してもよく、異なるポンプを使用して、様々なタンクからキャストボックスにスラリーを導く。代替的にまたは追加的に、単一のタンクが存在する場合、3つ以上の異なる流路が提供されてもよく、それらの各々が異なるポンプを有する。
【0050】
さらに、複数のタンクが存在する場合、1つのタンクをキャストボックスに接続する流路と、別のタンクをキャストボックスに接続する別の流路とが、共通するポンプを有し得る。第1のポンプを含む第1の流路および第2のポンプを含む第2の流路を有する、第1のタンクが存在する限り、第1のポンプおよび第2のポンプは、他のタンクをキャストボックスに接続する他の流路と共有されてもよい。例えば、第2のタンクは、第3の流路および第4の流路を含み、両方の流路が第2のタンクをキャストボックスに接続する。第3の流路は、第1の流路と第1のポンプを共有してもよく、すなわち、第1の流路と第3の流路は、共通のセクションを有し、第4の流路は、第2の流路と第2のポンプを共有してもよく、すなわち、第2の流路と第4の流路は、共通のセクションを有する。
【0051】
スラリーは、所与の時間間隔でキャストボックスに到達するために、第1の流路または第2の流路のいずれかを通って流れるが、同時に両方を通らない。あるいは、2つの流路間に共通部分がある場合、スラリーは、すべての場合で、これらの共通部分を通って流れる。したがって、スラリーは、第1の流路または第2の流路のいずれかに、例えば、第1の流路または第2の流路のいずれかを開閉する複数の弁の作動によって方向付けられる。
【0052】
スラリーが第1の流路を通って流れる場合、第1のポンプによってスラリーは移動する。スラリーが第2の流路を通って流れる場合、第2のポンプによってスラリーは移動する。
【0053】
第1の流路または第2の流路の選択は、スラリーの粘度値に基づいて実施される。流体の粘度は、所定の速度での変形に対するその抵抗の尺度である。動的粘度および運動粘度と呼ばれる、粘度の2つの関連する尺度がある。動的粘度は、内部抵抗の尺度である。動的粘度は、単位距離を流体内で離れて維持するときに、単位速度で別の平面に対して1つの水平面を移動させるために必要な単位面積当たりの接線力である。
【0054】
国際単位システム(SIシステム)では、動的粘度単位は、N(ニュートン)s/m2、Pa(パスカル)sまたはkg/(m s)である。動的粘度はまた、g/(cm*s)、ダインs/cm2、またはポアズ(P)として、メートル法CGS(センチメートルグラム秒)システムで表されてもよい。実用上、ポイズは通常大きすぎるため、単位は、しばしばより小さなユニットセンチポイズ(cP)で100で割られ、ここで、1P=100cP(centiPoise)である。
【0055】
運動粘度は、力が関係しない量である、動的粘度と密度との比である。運動粘度は、流体の動的粘度を、以下の流体質量密度で割ることによって得ることができる。
【0056】
ν=μ/ρ
式中、
ν=運動粘度(m2/s)
μ=動的粘度(N s/m2
ρ=密度(kg/m3
SIシステムでは、運動粘度の理論単位は、m2/s-、または一般的に使用されるストーク(St)であり、ここで、1 St(ストークス)=10-42/s=1cm2/sである。
【0057】
考慮されるスラリーの粘度は、動的粘度または運動粘度のいずれかであり得る。考慮される粘度は、動的粘度であることが好ましい。
【0058】
例えば、スラリーは、約15000センチポイズ~約45000センチポイズの範囲の動的粘度を有し得る。スラリーの粘度値は、スラリーの組成に依存し、例えば、高い水分含量がスラリー中にある場合、スラリーの粘度が低い。高いたばこ含有量がスラリー中にある場合、スラリーの粘度が高い。さらに、スラリーの粘度は、その温度および圧力に依存する。さらに、それは、スラリーの均質性に依存する。
【0059】
スラリーの粘度は、粘度評価器を使用して評価されることが好ましい。粘度評価器は、粘度計を含んでもよい。粘度計は、スラリーの粘度を測定する。好ましい粘度計は、回転粘度計または振動粘度計である。スラリーの粘度値の範囲として示される上記の値は、EndressおよびHauser AGによって製造された粘度計プロリンプロマスI 100コリオリ流量計を用いて測定された。
【0060】
スラリーの粘度値に基づいて、スラリーは、第1の流路に沿って、または第2の流路に沿ってどちらかに方向付けられる。実際に、好ましくは、第1の流路および第2の流路、より好ましくは第1のポンプおよび第2のポンプは、スラリーの所与の粘度範囲に適している。所与の粘度値について、第1の流路および第2の流路のうちの1つは、所与の粘度値に対してより良く適合されることが好ましい。例えば、第1のポンプおよび第2のポンプは、異なる粘度範囲に対して最適化される。例えば、第1のポンプは、「低粘度」流体で機能するように適合されてもよく、第2のポンプは、「高粘度」流体で機能するように適合されてもよい。例えば、第1のポンプは、粘度の第1の範囲に好適であってもよく、第2のポンプは、粘度の第2の範囲に好適であってもよい。第1の範囲は、第2の範囲とは異なることが好ましい。第1の範囲は、約15000センチポイズ~約25000センチポイズで構成される粘度を含むことが好ましい。第2の範囲は、約20000センチポイズ~約45000センチポイズで構成される粘度を含むことが好ましい。さらに、第1の流路の他の特性は、第2の流路のものとは異なる場合がある。例えば、異なる直径を有する、または異なる材料で形成され得る、異なるダクトまたは配管が使用され得る。異なる弁もまた使用することができる。
【0061】
スラリーの粘度の特定の値について、第1の流路および第2の流路の両方は、スラリーの送達において最適な結果を得ることができる。この場合、流路は、第1の流路と第2の流路との間でランダムに選択されるか、または実装された論理は、例えば、他の要因に基づいて選択を行う。
【0062】
したがって、第1のタンクに調製され、貯蔵される所与のスラリーバッチが第1の粘度値を有する場合、第1の流路が選択され得る。スラリーの次のバッチが、例えば、第1の粘度よりも高い第1の粘度値と異なる第2の粘度値を有する場合、スラリーは、第2の流路に沿って方向付けられてもよい。
【0063】
切り替えは、手動で、例えば、第1の流路もしくは第2の流路を開閉する弁を手動で操作するか、または適切なアクチュエータもしくは制御要素を介して自動的に行われてもよい。
【0064】
さらに、スラリーの粘度は、一回のみ測定されてもよく、したがって、流路の選択は、キャストプロセス全体に対して行われる。他の実施形態では、スラリーの粘度は複数回または連続的に測定されてもよく、その結果、1つの流路から他の流路への切り替えは、キャスト中にも実施され得る。
【0065】
スラリーの密度値に応じて、第1の流路と第2の流路との間の最も適切な流路を選択することにより、スラリーの粘度とは関係なく、キャストボックス内のスラリーの実質的に一定の流量を得ることが可能になり得る。その粘度に適したポンプが選択されるという事実により、必要な流量を達成することができる。したがって、キャストが改善される。本発明によれば、機械の停止を避けることができる。また、キャストシートの厚さの変化は、2つの異なるポンプがないシステムと比較して減少され得る。キャストボックスの中の圧力は簡単に制御することができる。これらすべてのパラメータの制御は、キャストシートの均質性を改善し得る。
【0066】
さらに、スラリーの粘度値に対する適切なポンプが有利に選択されるため、第1のポンプおよび第2のポンプへの損傷が最小化される。より広範な粘度範囲をカバーすることができるポンプと比較して、特定の粘度範囲に対してより経済的なポンプを使用することができるため、コストを削減することができる。さらに、第1の流路および第2の流路に含まれるダクトもまた異なってもよい。異なる適合されたダクトは、ダクトの材料のコストおよび損耗を低減し得る。例えば、特定の製造工程のみが、より高い温度またはより高い温度の保存をスラリー上で必要とし、それに応じて比較的高価で特殊化された配管およびポンプを必要とする場合がある。これらの配管およびポンプは、第1の流路にのみ存在し得る。次いで、第2のポンプおよびダクトシステムを、よりシンプルな製造工程に使用することができる。
【0067】
スラリーの粘度値に基づいて、第1の流路に沿ってまたは第2の流路に沿って、スラリーを第1のタンクからキャストボックスへと方向付ける工程は、閾値粘度値を設定することと、スラリーの粘度値が閾値粘度値を下回る場合に、スラリーを第1の流路に沿って方向付けることと、それ以外の場合は、スラリーを第2の経路に沿って方向付けることと、を含むことが好ましい。好ましくは、第1の流路は、「低粘度スラリー」について好ましく、第2の流路は、「高粘度スラリー」について好ましい。したがって、スラリーが第1の流路または第2の流路のどちらを通って方向付けられるかどうかを決定する、粘度の閾値が選択される。粘度の閾値の例は、約23000センチポイズであってもよい。
【0068】
スラリーの粘度は、測定または決定されることが好ましい。スラリーは組成物を有し、方法は、タンク内のスラリーの粘度値を測定すること、キャストボックス内のスラリーの粘度値を測定すること、第1または第2の流路におけるスラリーの粘度値を測定すること、スラリーの組成物に基づいて粘度値を決定することのうちの1つ以上を含むことがより好ましい。スラリーの粘度値は、異なる方法および場所で評価されてもよい。例えば、粘度値は、粘度計によって測定されてもよい。粘度計は、粘度が第1のタンク内で測定されるように、第1のタンク内に配置され得ることが好ましい。代替的にまたは追加的に、スラリーの粘度は、例えば、第1の流路または第2の流路のダクトまたは配管部分において、第1の流路または第2の流路で測定されてもよい。さらに、粘度値は、例えば、第1の流路または第2の流路の入口で、キャストボックス内で測定されてもよい。粘度値はまた、例えば、スラリーの組成物を知って計算され得る、他の測定値によって導出され得る。粘度はまた、履歴データとの比較によって決定されてもよい。
【0069】
一部の実施形態によれば、スラリーを方向付けるための流路の選択、すなわち、第1の流路または第2の流路が選択されるかどうかは、異なる可能性のある時点で決定される。選択は、事前に、すなわち、例えば、スラリーバッチ組成物に基づいて、キャストプロセスを開始する前に行うことができる。スラリーの組成物から、スラリー粘度を計算することができ、第1の流路が好ましい粘度の範囲に属するか、または第2の流路が好ましい粘度の範囲に属するかどうかを決定することができる。代替的にまたは追加的に、選択は、(スラリーがその特定の瞬間に方向付けられる選択された流路に属するポンプの)使用されるポンプの測定されたポンプ速度およびスラリーの対応する流量に基づいて、リアルタイムで行うことができる。所与のポンプ速度については、所与のスラリー流量が予期される。測定された流量が期待される流量と異なる場合、流路の変化を決定することができる。代替的にまたは追加的に、選択は、スラリーの粘度測定に基づいて、リアルタイムで行うことができる。測定値は、インラインで行われてもよい。さらに、測定は、タンク内、または第1の流路内もしくは第2の流路内、またはキャストボックス内で行われてもよい。測定は、例えば、粘度計を用いて、運動粘度(またはスラリーの密度が既知である場合にスラリーの動的粘度)を評価するように実施されてもよい。好適な粘度計の例としては、例えば、振動粘度計、キャピラリー粘度計、Zahnカップ、またはその他のものが挙げられる。スラリーの粘度が変化した場合、選択された流路も変化し得る。
【0070】
方法は、スラリーの粘度値を2回以上測定または決定することと、粘度値が以前の測定または決定と比較して変動する場合に、スラリーの流れを、第1の流路から第2の流路に、またはその逆に切り替えることと、を含むことがより好ましい。フィードバックループが存在することが好ましい。粘度値は、例えば、所与の周波数で数回測定される。測定の結果に基づいて、またはこれらの変動が2回以上の測定で確認される場合、スラリーは、スラリーが以前に方向付けられた流路とは異なる流路に方向付けられる。測定の結果に基づくことは、例えば、粘度値の変動が存在する場合、より好ましくは、所与の閾値を超える粘度値の変動が存在する場合を意味する場合がある。スラリーまたはスラリータイプの組成物は、製造中に変化し得るため、選択された流路もそれに応じて変化し得る。
【0071】
スラリーまたはスラリータイプの組成物は、製造中に変化し得るため、選択された流路もそれに応じて変化してもよく、スラリーの粘度の値を監視する。
【0072】
方法は、スラリーを第2のタンクに貯蔵することと、第2のタンクとキャストボックスとの間の流体連通のための第3の流路を提供することであって、第3の流路が、第3のポンプを含む、提供することと、第2のタンクおよびキャストボックスが第2の流路を介して流体連通するように、第2の流路を第2のタンクに接続することと、スラリーの粘度値に基づいて、第3の流路に沿ってまたは第2の流路に沿って、スラリーを第2のタンクからキャストボックスへと方向付けることと、を含むことが好ましい。上述のように、スラリーは、例えば、第1のタンクおよび第2のタンクなど、2つ以上のタンクに貯蔵されてもよい。したがって、各サンクは、キャストボックスへの流路を有し、第1の流路は、第1のポンプを含み、第1のタンクをキャストボックスに接続し、第3の流路は、第3のポンプを含み、第2のタンクをキャストボックスに接続する。第1のポンプおよび第3のポンプは、実質的に類似した特性を有することが好ましい。第1のポンプおよび第3のポンプは、実質的に同じ粘度値を有するスラリーで使用されるように適合されることが好ましい。第1のタンクおよび第2のサンクはさらに、第1のタンクおよび第2のタンクからキャストボックスにスラリーを方向付けるために使用される第2の流路を共有する。第2のタンクでは、スラリーは、スラリーの粘度の値に応じて、第3の流路または第2の流路のいずれかを方向付ける。さらに、各タンクはまた、2つ以上のキャストボックスに流体接続されてもよい。
【0073】
スラリーは、第1の流路および第3の流路を通って、スラリー粘度の同じ範囲の値に対して第1のタンクおよび第2のタンクからキャストボックスに方向付けられることが好ましい。スラリーは、第1の流路および第3の流路の代わりに、第2の流路を通って、スラリー粘度の同じ値対して第1のタンクおよび第2のタンクからキャストボックスに方向付けられることが好ましい。
【0074】
方法は、スラリーの粘度値を2回以上測定または決定することと、粘度値が以前の測定または決定と比較して変動する場合に、スラリーの流れの両方を、第1の流路および第3の流路から第2の流路に、またはその逆に切り替えることと、を含むことがより好ましい。フィードバックループが存在することが好ましい。粘度値は、例えば、所与の周波数で数回測定される。測定の結果に基づいて、またはこれらの変動が2回以上の測定で確認される場合、スラリーは、スラリーが以前に方向付けられた流路とは異なる流路に方向付けられる。測定の結果に基づくことは、例えば、粘度値の変動が存在する場合、より好ましくは、所与の閾値を超える粘度値の変動が存在する場合を意味する場合がある。スラリーまたはスラリータイプの組成物は、製造中に変化し得るため、選択された流路もそれに応じて変化し得る。
【0075】
キャストボックスに入るスラリーの流れは、流量を画定し、方法は、キャストボックスに入るスラリーの流量を、切り替えの前後で実質的に一定に維持することを含むことが好ましい。流量は、例えば、キャストボックスでの流路の入口で測定され得る。
【0076】
第1のポンプは、第1のポンプ速度を画定し、第2のポンプは、第2のポンプ速度を画定することが好ましい。方法は、第1のポンプ速度または第2のポンプ速度を測定することと、第1の流路における、または第2の流路におけるスラリーの流量を測定することと、第1の流路における、または第2の流路におけるスラリーの測定された流量が、それぞれの測定された第1のポンプ速度または第2のポンプ速度の所定の範囲外である場合に、スラリーの流れを、第1の流路から第2の流路に、またはその逆に切り替えることと、を含むことが好ましい。例えば、第3のポンプを有する第3の流路がまた存在する場合、好ましくは、第1のポンプは、第1のポンプ速度を画定し、第2のポンプは、第2のポンプ速度を画定し、第3のポンプは、第3のポンプ速度を画定する。方法は、好ましくは、第1のポンプ速度、第2のポンプ速度、および第3のポンプ速度を測定することと、第1の流路、第2の流路、または第3の流路におけるスラリーの流量を測定することと、測定された流量が、それぞれの測定された第1のポンプ速度、第2のポンプ速度、または第3のポンプ速度の所定の範囲外である場合に、スラリーの両方の流れを、第1の流路または第3の流路から第2の流路に、またはその逆に切り替えることと、を含む。
【0077】
第1のポンプの第1のポンプ速度が測定される。第2のポンプの第2のポンプ速度が測定される。第3のポンプの第3のポンプ速度は、存在する場合に、測定される。第1の流路におけるスラリーの流量が測定される。第2の流路における流量が測定される。第3の流路における流量は、存在する場合に、測定される。第1の流路における流量が、測定された第1のポンプ速度の所定の範囲外である場合、スラリーの流れは、第1の流路から第2の流路へと切り替えられる。第3の流路における流量が、測定された第3のポンプ速度の所定の範囲外である場合、スラリーの流れは、第3の流路から第2の流路へと切り替えられる。第2の流路における流量が、測定された第2のポンプ速度の所定の範囲外である場合、スラリーの流れは、第2の流路から第1の流路または第3の流路へと切り替えられる。
【0078】
ポンプの速度は、その回転速度を指す。ポンプは一般に、スラリーを移動させるための回転機構を含む。したがって、ポンプ速度は、ポンプの回転速度、または単位時間当たりの回転数を指す。異なるポンプは、異なる最大速度を有してもよく、これを超えると、ポンプが誤動作または過熱する場合がある。ポンプはまた、例えば、安全上の理由から、最大速度に限定されてもよく、最大速度を超えてその速度を増加することができない。したがって、ポンプの速度が所与の範囲外である場合、スラリーは、速度測定の瞬間にキャストボックスに到達するために使用される流路とは異なる流路に方向付けられる。ポンプ速度の所与の範囲外のポンプ速度が測定されたとき、これは、流路に存在する所与のポンプに対してスラリーが粘性すぎることを意味し得る。このような場合、異なるポンプ、ひいては異なる流路を使用することが好ましい。ポンプの速度は、ポンプに依存する所与の範囲を有することが好ましい。例えば、この所与の範囲は、第1のポンプの最大速度、第2のポンプの最大速度、および第3のポンプの最大速度を含み得る。これは、有利なことに、ポンプが所与のポンプの最大速度に到達することを防止し得る。
【0079】
第1のポンプは、第1のポンプ速度を画定し、第2のポンプは、第2のポンプ速度を画定することが好ましい。方法は、キャストボックスを出るか、またはキャストボックスに入るか、または第1の流路における、もしくは第2の流路におけるスラリーの流量を測定することと、測定されたスラリー流量に基づいて、第1のポンプ速度または第2のポンプ速度を変更することと、を含むことが好ましい。
【0080】
例えば、第3のポンプが存在する場合、第1のポンプ、第2のポンプ、または第3のポンプは、第1のポンプ速度、第2のポンプ速度、または第3のポンプ速度を画定することが好ましく、方法は、キャストボックスを出るか、またはキャストボックスに入るか、または第1の流路における、もしくは第2の流路、もしくは第3の流路におけるスラリーの流量を測定することと、測定されたスラリー流量に基づいて、第1のポンプ速度または第2のポンプ速度または第3のポンプ速度を変更することと、を含む。
【0081】
スラリーの流量が変更される場合、流量を所望の値に戻すために、ポンプ速度の変更もまた必要とし得る。
【0082】
第1のポンプまたは第2のポンプは、容積式ポンプであることが好ましい。第2のポンプは、より多くの「粘性スラリー」が方向付けられる第2の流路に、容積式ポンプを含むことが好ましい。第2のポンプは、約20000センチポイズ~約45000センチポイズで構成される動的粘度範囲を有するスラリーとともに使用され得ることが好ましい。第1のポンプは、約15000センチポイズ~約25000センチポイズで構成される動的粘度範囲を有するスラリーとともに使用され得ることが好ましい。第1のポンプまたは第2のポンプは、ローブポンプを含むことが好ましい。第1のポンプまたは第2のポンプは、体積流量ポンプを含むことがより好ましい。
【0083】
第1の流路または第2の流路は、配管を含み、配管は、約2.5センチメートル~約10.5センチメートルで構成された直径を有することが好ましい。第1の流路または第2の流路は、スラリーを第1のタンクからキャストボックスへと方向付けるための配管を含むことが好ましい。配管は、金属から作製されることが好ましく、配管は、ステンレス鋼から作製されることがより好ましい。配管の直径は、スラリー粘度および予想される流量に応じて選択されることが好ましい。
【0084】
粘度評価器は、粘度計を含むことが好ましい。粘度計は、運動粘度を評価することが好ましい。あるいは、粘度計は、スラリーの密度が既知である場合に、スラリーの動的粘度を評価する。粘度計は、振動粘度計、キャピラリー粘度計、Zahnカップ、またはその他のものであることが好ましい。
【0085】
装置は、第2のタンクと、第2のタンクをキャストボックスに流体接続して、スラリーの流れをキャストボックスに方向付ける、第3の流路と、第3の流路内に位置する第3のポンプと、第2の流路が第2のタンクとキャストボックスを流体接続して、スラリーの流れをキャストボックスに方向付けることと、第3の流路または第2の流路のいずれかを選択的に開いて、第3の流路または第2の流路のいずれかを介する第2のタンクからキャストボックスへのスラリーの流れを可能にする、第2の弁と、制御要素が第2の弁を動作させて、スラリーの粘度値に基づいて、第3の流路または第2の流路を選択することと、を含むことが好ましい。上述のように、スラリーは、例えば、第1のタンクおよび第2のタンクなど、2つ以上のタンクに貯蔵されてもよい。各サンクは、キャストボックスへのその独自の流路を有し、第1の流路は、第1のポンプを含み、第1のタンクをキャストボックスに接続し、第3の流路は、第3のポンプを含み、第2のタンクをキャストボックスに接続することが好ましい。第1のポンプおよび第3のポンプは、実質的に類似した特性を有することが好ましい。第1のポンプおよび第3のポンプは、実質的に同じ粘度値を有するスラリーで使用されるように適合されることが好ましい。第1のタンクおよび第2のサンクはまた、好ましくは、第2の流路を共有し、ここで、第2の流路は、第1のタンクおよび第2のタンクからキャストボックスにスラリーを方向付けるために使用されるべきである。第2のタンクでは、スラリーは、スラリーの粘度の値に応じて、第3の流路または第2の流路のいずれかを方向付ける。したがって、スラリーの粘度の値に応じて、第3の流路または第2の流路を介してスラリーを方向付けるために、弁が開放または閉鎖される。
【0086】
第1のポンプ、第2のポンプ、または第3のポンプは、それぞれ第1のポンプ速度、第2のポンプ速度、または第3のポンプ速度を画定することが好ましい。装置は、第1のポンプ速度、または第2のポンプ速度、または第3のポンプ速度をそれぞれ変化させるための速度バリエータを含むことが好ましい。実質的に一定の流量を有するために、ポンプの速度を変更してもよい。
【0087】
具体的な実施形態を以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0088】
図1図1は、本発明によるアルカロイドを含有する材料のシートをキャストするためのキャスト装置の概略横方向図を示している。
図2図2は、図1のキャスト装置の第2の実施形態を示している。
図3図3は、図1および図2の装置の第3の実施形態を示している。
図4図4は、図1図3の装置の詳細の拡大図を示している。
【0089】
図1を参照すると、本発明によるアルカロイドを含有する材料のキャストシートの製造のためのキャスティング装置の第1の実施形態が表されており、参照番号100で示されている。図1では、キャスト装置100の一部分のみが示されている。
【0090】
特に、キャスト装置100は、アルカロイドを含有する材料(均質化したたばこ材料1など)のキャストシートの製造のために適合されている。
【0091】
キャスト装置100は、スラリー2を含有するキャストボックス10と、移動可能な支持体20とを備え、キャストブレード70(図4を参照)は、均質化したたばこ材料のキャストシート1を形成するために、キャストボックス10の中に含有されたスラリー2を移動可能な支持体20上にキャストする。キャストブレード70の代わりに、任意の他のキャスト装置もまた使用され得る。
【0092】
キャスト装置100は、スラリー2がキャストボックス10内に移送される貯蔵タンクまたは緩衝タンクなどの第1のタンク3をさらに含む。キャスト装置100は、キャストボックス10を第1のタンク3に接続する第1の流路4および第2の流路5と、第1の流路4および第2の流路5内にそれぞれ位置付けられた第1のポンプ6および第2のポンプ7と、を含む。第1のポンプ6および第2のポンプ7は、第1の流路または第2の流路を介してキャストボックス10に導入されるスラリー2の量を制御する流量の制御を含むことが好ましい。第1のポンプ6および第2のポンプ7は有利なことに、スラリーの移送時間が必要最小限に短く保たれることを確実にするように設計されている。したがって、第1のタンク3は、同じものをスラリー2で供給するように、第1の流路4および第2の流路5によって、キャストボックス10に流体接続されている。
【0093】
第1のポンプ6は、第2のポンプ7とは異なる。第1のポンプは、第1の範囲のスラリー粘度で動作するのに適している。第2のポンプは、第2の範囲のスラリー粘度で動作するのに適している。第1の範囲は、第2の範囲とは異なる。
【0094】
各流路4、5は、適切な配管8および2つの弁を含み、それらのそれぞれの第1および第2のポンプ6、7の下流および上流に位置付けられている。第1の弁21および第2の弁22は、第1のポンプ6の上流および下流の第1の流路4にそれぞれ存在し、第3の弁23および第4の弁24は、第2のポンプ7の上流および下流の第2の流路5にそれぞれ存在する。第1の弁21および第2の弁22は、第1の流路4からの第1のポンプ6のクリーニングまたは保守のための交換を可能にするために使用される。第3の弁23および第4の弁24は、第2の流路5からの第2のポンプ7のクリーニングまたは保守のための交換を可能にするために使用される。
【0095】
図1の実施形態では、第1の流路4は、第1のタンク3内に形成された第1の出口25を含み、第1のタンク3から延在しており、一方で、第2の流路5は、第1のタンク3内に形成された第2の出口26を含み、第1のタンク3から延在している。したがって、第1のポンプおよび第2のポンプを含む、第1の流路の所与のセクションおよび第2の流路の所与のセクションについては、第1の流路は、第2の流路から分離している。第1のポンプ6および第2のポンプ7の下流では、第1の流路4および第2の流路5は、単一の入口27がキャストボックス10にスラリーを送達するように合流する。
【0096】
さらに、キャスト装置100は、第1の弁から第4の弁21、22、23、24への開閉を制御するよう構成される、制御要素50を含む。制御要素50は、適切にプログラムされた、例えば、マイクロプロセッサなどの制御ユニットであってもよい。
【0097】
キャスト装置100はまた、1つ以上の粘度計を含んでもよく、すべて60で示されている。粘度計は、第1の流路内、または第2の流路内、またはその両方に位置してもよい。粘度計60は、スラリーの粘度を測定するか、または決定するために、代替的にまたは追加的に、第1のタンク3内、またはキャストボックス10内に位置してもよい。粘度計60は、その位置にかかわらず、制御要素50にも接続されている。
【0098】
制御要素50はまた、第1のポンプ6および第2のポンプ7を制御して、例えば、それらのポンプ速度またはポンプ流量など、同じ特性を制御するように適合される。
【0099】
キャスト装置100はまた、例えば、第1の流路4または第2の流路5のうちの1つに位置付けられた流量センサ80を含む。流量センサ80は、流路4、5のうちの1つに沿って、またはキャストボックス10に配置されてもよい。流量センサ80はまた、制御要素50に接続されている。
【0100】
ここで図2を参照すると、キャスト装置101の第2の実施形態が示されている。図1の実施形態のキャスト装置100の同じまたは類似要素を示す参照番号は、変更されないままである。
【0101】
キャスト装置101は、第1のタンク3および第2のタンク30を含む。第1のタンク3および第2のタンク30は、同一であっても異なっていてもよい。第1のタンク3および第2のタンク30は、図1のキャスト装置100の第1の実施形態の第1のタンク3と同一であることが好ましい。
【0102】
キャスト装置101は、キャスト装置100の第1の実施形態と同一であり、図4を参照して後で詳述する、キャストボックス10をさらに備える。
【0103】
キャスト装置101は、キャストボックス10を第1のタンク3および第2のタンク30に接続する、第1の流路4、第2の流路5、および第3の流路11をさらに含み、第1の流路4は、第1のタンク3をキャストボックス10に接続し、第3の流路11は、第2のタンク30をキャストボックス10に接続し、一方で、第2の流路5は、第1のタンク3および第2のタンク30の両方をキャストボックス10に接続する。第1の流路4、第2の流路5、および第3の流路11の各々は、ポンプ、すなわち、第1のポンプ6、第2のポンプ7、および第3のポンプ9をそれぞれ含む。第1のポンプ6、第2のポンプ7、および第3のポンプ9の各々は、キャストボックス10に導入されるスラリー2の量を制御するための流量の制御を含むことが好ましい。第1のポンプ6、第2のポンプ7、および第3のポンプ9は有利なことに、スラリーの移送時間が必要最小限に短く保たれることを確実にするように設計されている。したがって、第1のタンク3は、同じものをスラリー2で供給するように、第1の流路4および第2の流路5によって、キャストボックス10に流体接続されている。したがって、第2のタンク30は、同じものをスラリー2で供給するように、第2の流路5および第3の流路11によって、キャストボックス10に流体接続されている。
【0104】
第1のポンプ6は、第2のポンプ7とは異なる。第1のポンプは、第1の範囲のスラリー粘度で動作するのに適している。第2のポンプは、第2の範囲のスラリー粘度で動作するのに適している。第1の範囲は、第2の範囲とは異なる。第3のポンプ9は、第1のポンプ6と実質的に同一である。第3のポンプ9は、第3の範囲のスラリー粘度で動作するのに適している。第3の範囲は、第1の範囲と等しい。
【0105】
第1の流路4および第3の流路11は、互いに類似している。第1の流路および第3の流路の各々は、2つの弁を含み、それは、それらのそれぞれの第1のポンプ6および第3のポンプ9の下流および上流に位置付けられている。第1の弁21および第2の弁22は、第1のポンプ6の上流および下流の第1の流路4にそれぞれ存在する。第5の弁31および第6の弁32は、それぞれ第3のポンプ9の上流および下流で第3の流路11に存在する。第1の弁21および第2の弁22は、第1の流路4からの第1のポンプ6のクリーニングまたは保守のための交換を可能にするために使用される。第5の弁31および第6の弁32は、第3の流路11からの第3のポンプ9のクリーニングまたは保守のための交換を可能にするために使用される。
【0106】
図2の実施形態では、第1の流路4および第3の流路11の各々は、出口を含む。第1の流路4は、第1のタンク3内に出口25を含み、出口から延在している。第3の流路11は、第2のタンク30内に出口28を含む。したがって、第1のポンプ6および第3のポンプ9をそれぞれ含む、第1の流路の所与のセクションおよび第3の流路の所与のセクションについては、第1の流路は、第3の流路から分離している。第1のポンプ6および第3のポンプ9の下流では、第1の流路4および第3の流路11は、単一の入口27がキャストボックス10にスラリーを送達するように合流する。
【0107】
第2の流路は、第1のタンク3の1つの出口26および第2のタンク30の別の出口29からなる、2つの出口を含む。2つの出口26、29から、2つの別個の配管8が延在しており、それらは第2のポンプ7の上流で合流する。各配管には、第2のポンプ7の上流に位置する第7の弁33および第3の弁23が含まれる。第2のポンプ7の下流に、さらなる弁、第4の弁24が位置付けられている。第4の弁24の下流では、第2の流路5は、単一の入口27がキャストボックス10にスラリー2を送達するように第1の流路4および第3の流路11と合流する。第2のポンプ7の上流の第3の弁23および第7の弁33、ならびに第2のポンプ7の下流の第4の弁24は、第2の流路5からの第2のポンプ7のクリーニングまたは保守のための交換を可能にするために使用される。
【0108】
さらに、キャスト装置101は、第1~第7の弁21、22、23、24、31、32、33の開閉を制御するよう構成される、制御要素50を含む。制御要素50は、適切にプログラムされた、例えば、マイクロプロセッサなどの制御ユニットであってもよい。図2では、制御要素50の様々な構成要素への接続は、明確にするために示されていない。
【0109】
キャスト装置101はまた、1つ以上の粘度計を含んでもよく、すべて60で示されている。粘度計は、第1の流路内、または第2の流路内、または第3の流路内に位置してもよい。粘度計は、すべての流路に位置してもよい。粘度計は、3つの流路のうちの2つに位置してもよい。代替的にまたは追加的に、粘度計は、スラリーの粘度を測定するか、または決定するために、第1のタンク3内、第2のタンク30内、またはキャストボックス10内に位置してもよい。粘度計60は、その位置にかかわらず、制御要素50にも接続されている。
【0110】
制御要素50はまた、第1のポンプ6、第2のポンプ7、および第3のポンプ9を制御して、例えば、それらの速度またはポンプ流量など、同じ特性を制御するように適合される。
【0111】
キャスト装置101はまた、例えば、流路のうちの1つに位置付けられて示された流量センサ80を含む。流量センサ80は、第1の流路4、第2の流路5、または第3の流路11のうちの1つに沿って配置されてもよい。流量センサは、すべての流路に位置してもよい。流量センサは、3つの流路のうちの2つに位置してもよい。流量センサ80は、入口27でのスラリーの流量が測定されるように、キャストボックス10に位置してもよい。流量センサ80はまた、制御要素50に接続されている。
【0112】
ここで図3を参照すると、キャスト装置102の第3の実施形態が示されている。図1または図2の実施形態のキャスト装置100、101の同じまたは類似要素を示す参照番号は、変更されないままである。
【0113】
キャスト装置102は、図1のキャスト装置100と類似している。キャスト装置102は、キャスト装置100、101の第1の実施形態および第2の実施形態と同一であり、図4を参照して後で詳述される、キャストボックス10を備える。
【0114】
キャスト装置102は、第1の流路および第2の流路に対する追加の流路を含むという点で、図1のキャスト装置100とは異なる。追加の流路は、第1の流路および第2の流路と同じように、第1のタンク3をキャストボックス10に接続する。キャスト装置102は、キャストボックス10を第1のタンク3に接続するために、第1の流路4、第2の流路5、および第4の流路34を含む。第1の流路、第2の流路、および第4の流路の各々は、ポンプ、すなわち、第1のポンプ6、第2のポンプ7、および第4のポンプ35を含む。第1のポンプ6、第2のポンプ7、および第4のポンプ35は、キャストボックス10に導入されるスラリー2の量を制御するための流量の制御を含むことが好ましい。第1のポンプ6、第2のポンプ7、および第4のポンプ35は有利なことに、スラリーの移送時間が必要最小限に短く保たれることを確実にするように設計されている。したがって、第1のタンク3は、同じものをスラリーで供給するように、第1の流路4、第2の流路5、および第4の流路34によって、キャストボックス10に流体接続されている。
【0115】
第1のポンプ6は、第2のポンプ7とは異なる。第1のポンプは、第1の範囲のスラリー粘度で動作するのに適している。第2のポンプは、第2の範囲のスラリー粘度で動作するのに適している。第1の範囲は、第2の範囲とは異なる。第4のポンプ35は、第1のポンプ6とは異なる。第4のポンプ35は、第2のポンプ7とは異なる。第4のポンプ35は、第4の範囲のスラリー粘度で動作するのに適している。第4の範囲は、第1の範囲とは異なる。第4の範囲は、第2の範囲とは異なる。
【0116】
第1の流路4、第2の流路5、および第4の流路34の各々は、2つの弁を含み、それは、それらのそれぞれの第1のポンプ6、第2のポンプ7、および第4のポンプ35の下流および上流に位置付けられている。第1の弁21および第2の弁22は、第1のポンプ6の上流および下流の第1の流路にそれぞれ存在する。第3の弁23および第4の弁24は、第2のポンプ7の上流および下流で第2の流路にそれぞれ存在する。第8の弁36および第9の弁37は、第4のポンプ35の上流および下流で第4の流路34にそれぞれ存在する。第1の弁21および第2の弁22は、第1の流路4からの第1のポンプ6のクリーニングまたは保守のための交換を可能にするために使用される。第3の弁23および第4の弁24は、第2の流路5からの第2のポンプ7のクリーニングまたは保守のための交換を可能にするために使用される。第8の弁36および第9の弁37は、第4の流路34からの第4のポンプ35のクリーニングまたは保守のための交換を可能にするために使用される。図3の実施形態では、第1の流路4、第2の流路5、および第4の流路34の各々は、第1のタンク3にそれぞれ出口25、26、38を含み、そこから延在している。第1のポンプ6、第2のポンプ7、および第4のポンプ35の下流では、第1の流路、第2の流路、および第4の流路は、単一の入口27がキャストボックス10にスラリーを送達するように合流する。
【0117】
さらに、キャスト装置102は、制御要素50を含み、弁21、22、23、24、36、37の開閉を制御するよう構成される、制御要素50を含む。制御要素50は、適切にプログラムされた、例えば、マイクロプロセッサなどの制御ユニットであってもよい。図3では、制御要素50の様々な構成要素への接続は、明確にするために示されていない。
【0118】
キャスト装置102はまた、1つ以上の粘度計を含んでもよく、すべて60で示されている。粘度計は、第1の流路内、または第2の流路内、または第4の流路内に位置してもよい。粘度計は、すべての流路に位置してもよい。粘度計は、3つの流路のうちの2つに位置してもよい。代替的にまたは追加的に、粘度計は、スラリーの粘度を測定するか、または決定するために、第1のタンク3内、またはキャストボックス10内に位置してもよい。粘度計60は、その位置にかかわらず、制御要素またはユニット50にも接続されている。
【0119】
制御要素50はまた、第1のポンプ6、第2のポンプ7、および第4のポンプ35を制御して、例えば、それらの速度またはポンプ流量など、同じ特性を制御するように適合される。
【0120】
キャスト装置102はまた、例えば、流路のうちの1つに位置付けられて示された流量センサ80を含む。流量センサ80は、第1の流路4、第2の流路5、または第4の流路34のうちの1つに沿って配置されてもよい。流量センサは、すべての流路に位置してもよい。流量センサは、3つの流路のうちの2つに位置してもよい。流量センサ80は、流路のうちの1つの出口での流量が測定されるように、キャストボックスに位置してもよい。流量センサ80はまた、制御要素50に接続されている。
【0121】
ここで図4を参照すると、キャストボックス10の詳細図が示されている。図4のキャストボックスは、図1図3のキャスト装置100、101、102の任意の実施形態で使用されるキャストボックス10とすることができる。
【0122】
キャストボックス10は、4つの側壁を含む。側壁は、対向する第1の壁12および第2の壁14と、対向する第1の壁12および第2の壁14を接続する、対向する第3の壁および第4の壁(図示せず)を含む。
【0123】
キャストブレード70は、第2の壁14にてキャストボックス10に関連付けられている。キャストブレード70は、スラリーをキャストするためにキャストボックス10と関連付けられる。キャストブレード70は、その長軸方向の幅である主寸法を有する。キャストブレード70は、例えば実質的に長方形である。
【0124】
キャストブレード70は、好ましくはアクチュエータ(図に示されていない)によって動作される調整可能な板によってキャストボックス10に取り付けられていて、これはキャストブレード70の位置の正確な制御を可能にする。
【0125】
キャストボックス10中のスラリー2の量は所定のレベルを有し、このレベルは、スラリー2の円柱によってかけられる圧力が実質的に同じままであるように、実質的に一定に保たれることが好ましい。スラリー2の量を実質的に同じレベルに維持するために、ポンプ(キャスト装置100の第1の実施形態における第1のポンプおよび第2のポンプ、またはキャスト装置の第2の実施形態101における第1のポンプ、第2のポンプおよび第3のポンプ、またはキャスト装置102の第3の実施形態における第1のポンプ、第2のポンプおよび第4のポンプのいずれか)は、キャストボックス10へのスラリー2の流れを制御する。
【0126】
移動可能な支持体20は、例えば、ドラム組立体を含む連続的なステンレス鋼ベルトを備える。ドラム組立体は、キャストボックス10の下に位置する主ドラム41を含み、これは移動可能な支持体20を移動させる。キャストボックス10は、主ドラム41の上に据え付けられていることが好ましい。
【0127】
スラリー2は、キャストブレード70を通してドラム41にて鋼ベルト20上にキャストされ、これは均質化したたばこ材料の連続的なシート1を作り出す。スラリー2がキャストブレード70へと、そしてそれ故に移動可能な支持体20へと到達するために、キャストボックス10は、その底部に対応する開口部または開口17を有し、そして開口部17はキャストボックス10の幅に沿って延びる。開口部17は、ドラム41にわたって、かつドラム41の近傍に位置付けられる。
【0128】
鋼ベルト20の移動は、キャストボックス10の前方出口18にて(第2の壁14にて、スラリーの動きを示す曲線13を参照)キャストブレード70に向かって、スラリー2を前進させる。キャストブレード70は、鋼ベルト20上のスラリー2の一部をキャストし、その一方でスラリー2の残りの大半は後戻りし、キャストボックス10内部で再循環する。鋼ベルト20は、キャスト方向に沿って移動する(矢印44を参照)。
【0129】
キャストブレード70と鋼ベルト20の間には間隙が存在し、その寸法は、とりわけ、均質化したたばこ材料のキャストシート1の厚さを決定する。
【0130】
キャスト装置100は、本発明の方法に従って動作する。
【0131】
スラリー2の粘度が評価される。粘度は、好ましくは、第1のタンク3内、もしくはキャストボックス10内、または第1の流路4内、もしくは第2の流路5内、もしくは両方に位置する粘度計60を使用して評価される。2つ以上の粘度計を使用することができる。あるいは、スラリーの粘度は、スラリーの組成物に基づいて計算され得る。
【0132】
第1の流路4および第2の流路5には、スラリーの異なるタイプの粘度に適した2つの異なるポンプ6、7が提供される。例えば、第1のポンプ6は、好ましくは「低粘度スラリー」に使用され、第2のポンプ7は、好ましくは「高粘度スラリー」に使用される。したがって、スラリーの粘度が所与の閾値を上回るか下回るかに応じて、制御要素50は、それぞれ、スラリーが第2のポンプ7または第1のポンプ6を使用して、第2の流路5を介してまたは第1の流路4を介して第1のタンクからキャスト装置へと流れるように、弁23を開き、弁21を閉じたままにし、またはその逆も可である。したがって、スラリーは、その時点で2つの流路のうちの1つのみを使用する。
【0133】
キャストボックス10では、スラリー2は、好ましくは、同じレベルを維持する。さらに、キャストボックスでは、第1の流路4または第2の流路5から来るスラリーの流量が、センサ80を介してチェックされる。キャストボックス10は、キャストブレード70を介してキャスト方向44に沿って移動する移動可能な支持体20上にスラリー2をキャストする。
【0134】
スラリーの粘度は、キャストが行われる間に連続的にチェックされることが好ましい。したがって、スラリーの粘度が変化するか、または測定された流量が所与の範囲外である場合、制御要素50は、弁21および23を作動させて、スラリーによって使用される流路がキャストボックス10に到達するように変化させ得る。
【0135】
以下では、キャスト装置101、102の動作方法が概説され、キャスト装置100の動作方法との差異のみが言及されている。
【0136】
キャスト装置102は、キャスト装置100として動作するが、代替的に選択され得る3つの異なる流路4、5、34がある。3つの異なるポンプ6、7、35があり、その各々は、スラリー2の粘度の異なる値のセットに使用されることが好ましい。例えば、第1のポンプ6は、好ましくは、「低粘度スラリー」に使用され、第2のポンプ7は、好ましくは、「高粘度スラリー」に使用され、一方で、第4のポンプ35は、高粘度スラリーと低粘度スラリーとの間の粘度値の範囲に含まれる「中間粘度スラリー」に使用される。したがって、スラリーの粘度が第1の閾値を超え、第2の閾値を下回る場合、制御要素50は、スラリーが第4のポンプ35を使用して第4の流路34を介して第1のタンクからキャスト装置へと流れるように、弁36を開き、弁21および23を閉じたままにする。スラリーの粘度が第2の閾値を超える場合、制御要素50は、スラリーが第2のポンプ7を使用して第2の流路5を介して第1のタンクからキャスト装置へと流れるように、弁23を開き、弁21および36を閉じたままにする。スラリーの粘度が第1の閾値を下回る場合、制御要素50は、スラリーが第1のポンプ6を使用して第1の流路4を介して第1のタンクからキャスト装置へと流れるように、弁21を開き、弁23および36を閉じたままにする。したがって、スラリーは、その時点で3つの流路のうちの1つのみを使用する。したがって、スラリーの粘度を評価した後、第1の流路4、第2の流路5、または第4の流路34のうちの1つは、第1のタンク3からキャストボックス10へとスラリーを方向付けるように選択され、ここで、スラリーは、キャスト装置100に従ってキャストされる。単一の流路が、タンクからキャストボックスへのスラリーの移送のために使用される。
【0137】
キャスト装置101では、スラリーは、第1のタンク3および第2のタンク30からなる、2つのタンク内に位置する。第1のタンク3は、それぞれ第1のポンプ6および第2のポンプ7を有する第1の流路4および第2の流路5を介してキャストボックス10に接続されている。第2のタンク30は、それぞれ第3のポンプおよび第2のポンプを有する第3の流路11および第2の流路5を介してキャストボックスに接続されている。第1のポンプ6および第3のポンプ9は、スラリーの粘度の同じ範囲の値に使用されるのに好適であり、一方で、第2の流路の第2のポンプ5は、例えば、第1のポンプおよび第3のポンプよりも高い粘度の値について、スラリーの粘度の異なる範囲の値で使用されるのに好適であることが好ましい。したがって、スラリーの粘度が所与の閾値を超えるか、または下回るかどうかに応じて、制御要素50は、それぞれ、スラリー2が第1のポンプ5および第3のポンプ9を使用して、第1の流路4を介して、および第3の流路11を介して、第1のタンク3および第2のタンク30からキャストボックス10へと流れるように、またはスラリー2が第2のポンプ7を使用して、第2の流路5を介して第1のタンク3および第2のタンク30からキャストボックス10へと流れるように、弁21、31を開き、弁23および33を閉じたままにし、またはその逆も可である。したがって、2つのタンクから、スラリーは、単一の流路を介して、すなわち、第2の流路5を介して、または2つの異なる流路である第1の流路4および第3の流路11を同時に介して、キャストボックス10に流れることができる。
図1
図2
図3
図4