(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】液圧式の車両ブレーキ装置の液圧ユニットのための液圧ブロック
(51)【国際特許分類】
B60T 15/00 20060101AFI20241204BHJP
B60T 17/06 20060101ALI20241204BHJP
B60T 8/34 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
B60T15/00
B60T17/06
B60T8/34
(21)【出願番号】P 2022508598
(86)(22)【出願日】2020-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2020064484
(87)【国際公開番号】W WO2021032330
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-02-09
(31)【優先権主張番号】102019212356.2
(32)【優先日】2019-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ヴェー アンドレアス
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-170355(JP,U)
【文献】特開平01-293257(JP,A)
【文献】米国特許第02152485(US,A)
【文献】米国特許第04445334(US,A)
【文献】実開昭59-047565(JP,U)
【文献】実開昭64-001051(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 15/00
B60T 17/06
B60T 8/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧式の車両ブレーキ装置の液圧ユニットのための液圧ブロックであって、前記液圧ブロック(1)の上側(2)に、この上側(2)に配置されたブレーキ液貯蔵タンク(5)の接続ニップル(4)のための差し込み接続部(3)としての孔を有している形式のものにおいて、
前記差し込み接続部(3)内に逆止弁(11)が配置され、
前記接続ニップル(4)が所定の形式で前記差し込み接続部(3)内に差し込まれたときに、前記逆止弁(11)のバルブシート部(13)が少なくとも部分的に前記ブレーキ液貯蔵タンク(5)の前記接続ニップル(4)内に位置し、
前記逆止弁(11)が、前記差し込み接続部(3)内の環状段部で支持されるバルブスプリング(18)と、前記差し込み接続部(3)内に配置された前記バルブシート部(13)と、前記バルブスプリング(18)によって前記バルブシート部(13)のバルブシート(17)に向かって付勢される遮断体(12)とを有し、
前記遮断体(12)は前記バルブスプリング(18)が支持される前記環状段部を越えて延在
し、
前記逆止弁(11)が管状のカラー(8)によって取り囲まれていて、前記カラー(8)が前記差し込み接続部(3)内で環状室(9)によって取り囲まれており、前記接続ニップル(4)が所定の形式で前記差し込み接続部(3)内に差し込まれたときに、前記環状室(9)内に前記ブレーキ液貯蔵タンク(5)の前記接続ニップル(4)が突入し、
前記液圧ブロック(1)内で前記ブレーキ液貯蔵タンク(5)のための前記差し込み接続部(3)をテストバルブのための受け部(23)および/またはマスタブレーキシリンダ孔(6)および/または補助動力シリンダ孔(7)に接続する管路(22)が、前記差し込み接続部(3)内で前記カラー(8)を取り囲む前記環状室(9)を接線方向でまたは割線方向で横断するか、または前記差し込み接続部(3)内で前記カラー(8)を取り囲む前記環状室(9)内に軸平行に開口することを特徴とする、液圧式の車両ブレーキ装置の液圧ユニットのための液圧ブロック。
【請求項2】
液圧式の車両ブレーキ装置の液圧ユニットのための液圧ブロックであって、前記液圧ブロック(1)の上側(2)に、この上側(2)に配置されたブレーキ液貯蔵タンク(5)の接続ニップル(4)のための差し込み接続部(3)としての孔を有している形式のものにおいて、
前記差し込み接続部(3)内に逆止弁(11)が配置され、
前記逆止弁(11)が、前記差し込み接続部(3)内の環状段部で支持されるバルブスプリング(18)と、前記差し込み接続部(3)内に配置されたバルブシート部(13)と、前記バルブスプリング(18)によって前記バルブシート部(13)のバルブシート(17)に向かって付勢される遮断体(12)とを有し、
前記遮断体(12)は前記バルブスプリング(18)が支持される前記環状段部を越えて延在
し、
前記逆止弁(11)が管状のカラー(8)によって取り囲まれていて、前記カラー(8)が前記差し込み接続部(3)内で環状室(9)によって取り囲まれており、前記接続ニップル(4)が所定の形式で前記差し込み接続部(3)内に差し込まれたときに、前記環状室(9)内に前記ブレーキ液貯蔵タンク(5)の前記接続ニップル(4)が突入し、
前記液圧ブロック(1)内で前記ブレーキ液貯蔵タンク(5)のための前記差し込み接続部(3)をテストバルブのための受け部(23)および/またはマスタブレーキシリンダ孔(6)および/または補助動力シリンダ孔(7)に接続する管路(22)が、前記差し込み接続部(3)内で前記カラー(8)を取り囲む前記環状室(9)を接線方向でまたは割線方向で横断するか、または前記差し込み接続部(3)内で前記カラー(8)を取り囲む前記環状室(9)内に軸平行に開口することを特徴とする、液圧式の車両ブレーキ装置の液圧ユニットのための液圧ブロック。
【請求項3】
前記差し込み接続部(3)内にスクリーン(19)またはフィルタが配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の液圧ブロック。
【請求項4】
前記カラー(8)は、前記接続ニップル(4)が所定の形式で前記差し込み接続部(3)内に差し込まれたときに、前記ブレーキ液貯蔵タンク(5)の前記接続ニップル(4)内で環状ギャップ(10)によって取り囲まれていることを特徴とする、請求項
1から3までのいずれか1項に記載の液圧ブロック。
【請求項5】
前記差し込み接続部(3)内で前記カラー(8)を取り囲む前記環状室(9)が、クラウンカッタまたはクラウンドリルによって製作されていることを特徴とする、請求項
1から
4までのいずれか1項に記載の液圧ブロック。
【請求項6】
前記液圧ブロック(1)が、1つのマスタブレーキシリンダ孔(6)および/または1つの補助動力シリンダ孔(7)を有していることを特徴とする、請求項1から
5までのいずれか1項に記載の液圧ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部の特徴を有する液圧式の車両ブレーキ装置の液圧ユニットのための液圧ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1によれば、スリップ制御を行う液圧式の補助動力式車両ブレーキ装置の液圧ユニットのための直方体状の液圧ブロックが開示されており、この液圧ブロックは、マスタブレーキシリンダ孔と、補助動力シリンダ孔と、ペダルシミュレータのための受け部と、電磁弁、逆止弁ならびにその他の、ブレーキ圧制御およびスリップ制御用の構成要素のための受け部とを有している。ここでは上側と呼ばれる、液圧ブロックの側は、マスタブレーキシリンダとも呼ばれるブレーキ液貯蔵タンクを取り付けるために設けられている。この上側は、ブレーキ液貯蔵タンクの接続ニップルを差し込むための盲孔を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】ドイツ連邦共和国特許公開第102016202113号明細書
【発明の概要】
【0004】
請求項1の特徴を有する本発明による液圧ブロックは、特にスリップ制御システムを有する液圧式の補助動力式車両ブレーキ装置の液圧ユニットのために設けられている。スリップ制御システムを有する液圧式の補助動力式車両ブレーキ装置の主要構成部分は、液圧ブロックを備えた液圧ユニットであって、この液圧ブロックに、ブレーキ管路を介して車両ブレーキ装置の液圧式のホイールブレーキが接続されている。スリップ制御システムは、特にアンチロックブレーキシステム、トラクションスリップ制御装置および/またはビークルダイナミックコントロール/エレクトロニック・スタビリティ・プログラムであって、このために略語ABS、ASRおよび/またはFDR/ESPが一般的に用いられている。FDR/ESPは、俗語として“Schleuderschutzregelungen(超過加速度防止制御)”とも呼ばれる。スリップ制御システムは公知であって、ここでは詳しく説明しない。
【0005】
液圧ブロックは、マスタブレーキシリンダ孔を有しており、このマスタブレーキシリンダ孔内に、単数または複数のピストン、2系統車両ブレーキ装置のためには2つのピストンが受け入れられており、これらのピストンは、車両ブレーキ装置を筋力で操作するかまたは補助動力で操作するために、(フット)ブレーキペダルまたは(ハンド)ブレーキレバーによってマスタブレーキシリンダ孔内でしゅう動可能である。
【0006】
液圧ブロックがマスタブレーキシリンダ孔を有していない場合、液圧ブロックは特に、例えばブレーキ管路を介してマスタブレーキシリンダに接続可能である。
【0007】
液圧ブロックがマスタブレーキシリンダ孔を有している場合、液圧ブロックは好適にはペダルストロークシミュレータのための受け部も有している。ペダルストロークシミュレータは、液圧ブロック内で円筒形の盲孔を有しており、この盲孔は、円筒形のカップ状のシリンダカバーによって気密に閉鎖可能であり、このシリンダカバーは盲孔と協働してシミュレータシリンダを形成し、このシミュレータシリンダ内で例えばばね付勢されたまたはガス圧により負荷されたシミュレータピストンがしゅう動可能である。シミュレータシリンダは、シミュレータバルブとも呼ばれる電磁弁を介して好適な形式でマスタブレーキシリンダに接続されていて、マスタブレーキシリンダが車両ブレーキ装置の補助動力操作時にセパレートバルブの閉鎖によって車両ブレーキ装置から液圧的に分離されてブレーキ液がマスタブレーキシリンダから車両ブレーキ装置に押し退けられないときに、ブレーキ液をマスタブレーキシリンダから受け入れるために用いられる。
【0008】
液圧式の補助動力式車両ブレーキ装置を補助動力で操作するために、本発明による液圧ブロックは補助動力シリンダ孔を有していて、この補助動力シリンダ孔内に補助動力式ブレーキ圧発生器のピストンが受け入れられており、このピストンは、補助動力ブレーキ圧を発生させるために、好適には液圧ブロックの外に配置された電動機によって、例えばねじ伝動装置を介して補助動力シリンダ孔内でしゅう動可能である。電動機、ねじ伝動装置、ピストンおよび補助動力シリンダ孔は、補助動力式ブレーキ圧発生器を形成する。補助動力式ブレーキ圧発生器のピストンは、しばしばプランジャピストンとも呼ばれる。補助動力式ブレーキ圧発生器、つまり補助動力シリンダ孔は、本発明にとって確かに好適ではあるが、必ずしも液圧ブロック内に設けられていなくてもよい。
【0009】
本発明による液圧ブロックは、車両ブレーキ装置またはそのスリップ制御システムの液圧構成要素の液圧的な接続および機械的な固定のために用いられる。このような液圧構成要素は、特に電磁弁、逆止弁、液圧蓄圧器、減衰室、圧力センサである。マスタブレーキシリンダ、ペダルストロークシミュレータおよび補助動力式ブレーキ圧発生器は、これが設けられている場合は、同様に、車両ブレーキ装置またはそのスリップ制御システムの構成要素である。
【0010】
液圧構成要素は、液圧ブロック内の受け部内に固定されており、これらの受け部は、大抵の場合、部分的に直径段部を備えた円筒形の貫通孔または盲孔として構成されている。「接続」とは、複数の受け部またはこれらの受け部内に固定された液圧構成要素が、液圧ブロック内の管路によって、車両ブレーキ装置またはそのスリップ制御システムの液圧回路図に従って接続されている、という意味である。これらの管路は、一般的に液圧ブロック内に作孔されている。
【0011】
車両ブレーキ装置またはそのスリップ制御システムの液圧構成要素を装備することによって、液圧ブロックは液圧ユニットを形成する。この場合、「装備する」とは、液圧構成要素が、これらの液圧構成要素のためにそれぞれ設けられた液圧ブロックの受け部内に固定されている、という意味である。
【0012】
ここで上側と呼ばれる側で、本発明による液圧ブロックは、液圧ブロックの上側に配置可能なブレーキ液貯蔵タンクの接続ニップルのための差し込み接続部としての孔を有している。液圧ブロックは、ブレーキ液貯蔵タンクの複数の接続ニップルのための差し込み接続部としての互いに平行な複数の孔を有していてもよい。孔は、特に盲孔および/または直径の段付けされた孔であって、この孔内に、ブレーキ液貯蔵タンクを例えばマスタブレーキシリンダ孔および/または補助動力シリンダ孔に接続するための、液圧ブロック内の単数または複数の管路が開口する。
【0013】
接続ニップルは、ブレーキ液貯蔵タンクの下側から突き出す管状の突起部である。複数の接続ニップルが互いに平行に、ブレーキ液貯蔵タンクの下側から突き出している。車両ブレーキ装置に接続するために、ブレーキ液貯蔵タンクはその接続ニップルが、差し込み接続部を形成する孔内に差し込まれるか、またはその複数の接続ニップルが、差し込み接続部を形成する、液圧ブロックの上側の複数の孔内に差し込まれ、これらの孔内で単数または複数の接続ニップルが例えばシールによってシールされている。差し込み接続部は液圧ブロックの上側で、(ブレーキ)液をガイドする差し込み接続部のカップリングを形成し、このカップリング内にブレーキ液貯蔵タンクの接続ニップルがコネクタとして差し込み可能である。
【0014】
本発明によれば、ブレーキ液貯蔵タンクの接続ニップルのための差し込み接続部内に逆止弁が配置されており、この逆止弁は、本発明の好適な実施例では、接続ニップルが所定の形式で差し込み接続部内に差し込まれたときに、少なくとも部分的に接続ニップル内に位置している。
【0015】
逆止弁は、いわゆるセルフクリンチ技術によって液圧ブロックの差し込み接続部内に固定され得る。この場合、これは接続部内に逆止弁を押し込むことによるセルフコーキングであって、この場合、バルブを取り囲む液圧ブロックの材料が逆止弁によって、逆止弁が液圧ブロックの接続部内で保持され、かつ好適な形式でシールもされるように、塑性変形される。
【0016】
本発明によれば、逆止弁は、場所をとらず、かつ流れ的に好都合に液圧ブロック内に収納することができる。
【0017】
従属請求項は、独立請求項に記載した本発明の実施態様および好適な実施形態を対象としている。
【0018】
明細書および図面に開示されたすべての特徴は、本発明の実施例において単独でまたは基本的に任意の組み合わせで実現可能である。本発明の請求項の特徴または実施例のすべてではなく1つまたは複数を有する本発明の実施例が基本的に可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明による液圧ブロックの垂直横断面図である。
【
図2】
図1の矢印IIで示した、組み込まれた逆止弁を有するブレーキ液リザーバタンクのための液圧ブロックの差し込み接続部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を以下に、図面に示した実施例を用いて具体的に説明する。
【0021】
図1に示された本発明による液圧ブロック1は、スリップ制御システムを備えた液圧式の補助動力式車両ブレーキ装置の液圧ユニットのために設けられている。このようなスリップ制御システムは、例えばアンチロックブレーキシステム、トラクションスリップ制御装置および/またはビークルダイナミックコントロール/エレクトロニック・スタビリティ・プログラムであって、このために略語ABS、ASRおよび/またはFDR/ESPが一般的に用いられている。スリップ制御システムは公知であって、ここでは詳しく説明しない。
【0022】
この実施例では、液圧ブロック1は細い直方体状の金属ブロックであって、この金属ブロックの互いに向かい合う広幅側24は、概ね正方形である。「細い」とは、2つの広幅側24の間隔が、広幅側の幅または長さの半分よりも大きくない、という意味である。この実施例では、2つの広幅側24の互いの間隔は、広幅側24の幅または長さの概ね1/3乃至1/4である。その他の側比も可能である。
【0023】
液圧ブロック1は、補助動力式車両ブレーキ装置のブレーキ圧制御を含むスリップ制御システムの液圧構成要素を機械的に固定および液圧的に接続するために用いられる。このような液圧構成要素は、液圧ブロック内の受け部内に固定されている特に電磁弁、逆止弁、液圧蓄圧器、減衰室および圧力センサである。受け部は、円筒形の凹部、盲孔および/または貫通孔でもあり、これらの凹部および/または孔は、直径段部を有していてよく、これらの凹部および/または孔内に液圧構成要素が組み込まれ、例えば環状のかしめ部によって気密に固定されているかまたは固定される。液圧構成要素は受け部内に埋め込まれているかまたは液圧ブロック1から突き出していてよい。液圧構成要素を装備することによって、液圧ブロック1は、補助動力または筋力でブレーキ圧を発生させるための、および補助動力式車両ブレーキ装置のスリップ制御を行うための液圧ユニットを形成する。
【0024】
液圧的な接続とは、液圧構成要素のための受け部が、液圧ブロック1を貫通案内されている管路によって、補助動力式車両ブレーキ装置の液圧回路図またはそのスリップ制御システムに従って互いに接続されている、という意味である。補助動力式車両ブレーキ装置の液圧回路図は例えば特許文献1に開示されている。受け部および管路は、液圧ブロック1のいわゆる「作孔」を形成し、この場合、受け部および管路は、基本的に穿孔とは異なる方法で製作されてもよい。
【0025】
ここで上側2として示された側で、液圧ブロック1はこの実施例では、ブレーキ液貯蔵タンク5の接続ニップル4のための差し込み接続部3としての直径の段付けされた3つの孔を有している。差し込み接続部3は、液圧ブロック1の作孔を通じて、特に液圧ブロック1内のマスタブレーキシリンダ孔6および補助動力シリンダ孔7に接続されている。本発明にとって必須ではない実施例では、上側は、例えば図示していない自動車のスプラッシュボードに固定するために上側2を上にして設けられている液圧ブロック1の狭幅側である。ブレーキ液貯蔵タンク5は、その接続ニップル4が液圧ブロック1の差し込み接続部3内に達するように、液圧ブロック1の上側2に載せられる。接続ニップル4は管状の突起部であって、この突起部は、ブレーキ液貯蔵タンク5の下側から突き出していて、例えばOリング26、その他のシールリング、加硫されたシールによってシールされているか、または接続ニップル4が差し込み接続部3の内側領域に当接することによってもシールされている。差し込み接続部3はカップリングと解釈されてもよく、また接続ニップル4は、(ブレーキ)液をガイドする差し込み接続部のコネクタと解釈されてよく、このカップリングおよびコネクタによって、ブレーキ液貯蔵タンク5は液圧ブロック1またはその作孔に接続されている。
【0026】
差し込み接続部3内に同軸的に、差し込み接続部3内で環状室9によって取り囲まれている管状のカラー8が存在する(
図2参照)。環状室9は、例えば図示していないクラウンカッタまたはクラウンドリルによって製作されている。差し込み接続部3内に差し込まれた接続ニップル4は、差し込み接続部3内でカラー8を取り囲む環状室9内に突入していて、上述されているように、接続ニップル4の外側領域で以って差し込み接続部3の内側領域に当接して差し込み接続部をシールしており、これに対して、接続ニップル4の内側領域とカラー8との間に、環状室9の一部である環状ギャップ10が存在している。
【0027】
ブレーキ液貯蔵タンク5の接続ニップル4のための差し込み接続部3のカラー8内に逆止弁11が設けられており、この逆止弁11は、ブレーキ液貯蔵タンク5から液圧ブロック1に向かって貫流される(
図2)。逆止弁11は遮断体12を有しており、この遮断体12はバルブシート部13と協働する。遮断体12とバルブシート部13とは、差し込み接続部3内でカラー8内に同軸的に配置されており、この場合、遮断体12は同軸的に移動し、バルブシート部13は不動である。
【0028】
遮断体12は、バルブシート部13に向けられたシール面14としてのボールキャップ状またはボールリングキャップ状の同軸的な端面を有している。シール面14から軸方向で間隔を保って、遮断体12は、差し込み接続部3内で遮断体12をセンタリングするためのフランジ15を有している。逆止弁11の遮断体12のフランジ15の、シール面14とは反対側に、この実施例では、軸方向平面内で星形に配置された3つのリブ16が突き出しており、これらのリブ16は遮断体12を同様に差し込み接続部3内でセンタリングする。
【0029】
バルブシート部13は、この実施例では、同軸的な円錐台形周壁状のセクションを備えた非扁平な孔付き円板であって、その凹状の側が、遮断体12に面していて、逆止弁11の円錐台形周壁状のバルブシート17を形成している。
【0030】
この実施例では、バルブシート部13は、いわゆるセルフクリンチ“self-clinch” 技術によって差し込み接続部3内でカラー8内に固定され、かつシールされている。これは、カラー8内にバルブシート部13を押し込む際のセルフコーキングであり、この場合、バルブシート部13は押し込まれるときに、カラー8の内側でバルブシート部13を取り囲む材料を環状の隆起部27に塑性変形させ、この環状の隆起部27が、バルブシート部13の外側範囲内の環状の溝内に係合してバルブシート部13を保持し、カラー8内でシールするようになっている。バルブシート部13は、逆止弁11のその他の部分、つまり遮断体12およびバルブスプリング18をカラー8内または差し込み接続部3内で保持する。バルブシート部13のその他の固定も可能である(図示せず)。
【0031】
バルブシート部13は、液圧ブロック1の上側2で差し込み接続部3を形成する孔の環状段部に固定的に配置されている。遮断体12は、バルブシート部13の、差し込み接続部3の開口とは反対側に位置していて、そのシール面14がバルブスプリング18によってバルブシート17に向かって付勢される。バルブスプリング18は、この実施例では圧縮コイルばねであって、この圧縮コイルばねは、差し込み接続部3内の環状段部に支持されていて、遮断体12のフランジ15に押し付けられている。その他のバルブスプリングまたはスプリング無しの逆止弁11も可能である。
【0032】
遮断体12および/またはバルブシート部13の以上述べた形状は、本発明にとって必須ではない。逆止弁11および/または遮断体12は、以上述べたものとは異なって形成されてもよい。
【0033】
差し込み接続部3の開口内の環状段部内に、丸い円板状のフィルタスクリーン19が配置されており、このフィルタスクリーン19は、例えば環状円板状のフレーム21を備えた金属またはプラスチックより成る丸い円板状のフィルタクロスまたはスクリーン20を有している。
【0034】
逆止弁11は部分的に、液圧ブロック1の差し込み接続部3内に差し込まれた、ブレーキ液貯蔵タンク5の接続ニップル4およびカラー8の内側に位置している。この実施例では、フィルタスクリーン19、バルブシート部13および遮断体12の概ねフランジ15までが、差し込み接続部3内に差し込まれた接続ニップル4内およびカラー8内に位置している。
【0035】
差し込み接続部3内でカラー8を取り囲む環状室9は、ここでは管路22と呼ばれる孔によって横断されており、この孔は差し込み接続部3の接線方向または割線方向に延在していて、ブレーキ液貯蔵タンク5の接続ニップル4と差し込み接続部3内のカラー8との間で環状ギャップ10に連通している。これによって、管路22はブレーキ液貯蔵タンク5と連通している。管路22は、ブレーキ液貯蔵タンク5の接続ニップル4のための差し込み接続部3を直接的にまたは液圧ブロック1の別の作孔を通じて、図示していないテストバルブのための受け部23(
図1)に接続し、この場合、テストバルブのための受け部23は、液圧ブロック1の作孔を通じてマスタブレーキシリンダ孔6に接続されている。テストバルブは、ブレーキ液貯蔵タンク5とマスタブレーキシリンダ孔6との間に液圧的に配置されていて、逆止弁11に対して並列に流体接続されている。テストバルブは、無電流の基本位置で開放する2ポート2位置方向制御電磁弁であって、この方向制御電磁弁によって、マスタブレーキシリンダ孔6またはマスタブレーキシリンダは逆止弁11に対して並列にブレーキ液貯蔵タンク5に流体接続されている。
【0036】
差し込み接続部3をテストバルブのための受け部23に接続する管路22は、接線方向または割線方向の代わりに、
図2に破線で示されているように、差し込み接続部3内でカラー
8を取り囲む環状室9内の底部に例えば軸平行に開口していてもよい。
【0037】
液圧ブロック1内に、前述のマスタブレーキシリンダ孔6および補助動力シリンダ孔7が設けられていて、これらのマスタブレーキシリンダ孔6および補助動力シリンダ孔7は、この実施例では、直径段部および環状溝を有する、簡略してシリンダと呼ばれる円筒形の貫通孔である。
【0038】
マスタブレーキシリンダ孔6は、上側2に対して平行に、かつ上側2に隣接する、液圧ブロック1の互いに向き合う2つの広幅側24に対して平行に、液圧ブロック1を貫通して延在している。マスタブレーキシリンダ孔6は、単数または複数の図示していないマスタブレーキシリンダピストンをしゅう動可能に受けるために用いられ、これらのマスタブレーキシリンダピストンのうちの1つが、いわゆる一次ピストンとしてまたはロッドピストンとして、筋力によって機械的に液圧的なブレーキ圧を発生させるために、図示していないフットブレーキペダルによって同様に図示していないピストンロッドを介して、または図示していないハンドブレーキレバーによってマスタブレーキシリンダ孔6内でしゅう動可能である。
【0039】
補助動力シリンダ孔7は、互いに向き合う広幅側24に対して直角に液圧ブロック1内を貫通して延在している。補助動力シリンダ孔7は、しばしばプランジャピストンとも呼ばれる補助動力式ブレーキ圧発生器の図示していない補助動力ピストンをしゅう動可能に受けるために用いられる。補助動力によってブレーキ圧を発生させるために、補助動力ピストンは、補助動力シリンダ孔7内で、補助動力シリンダ孔7に対して同軸的に液圧ブロック1の2つの広幅側24のうちの一方の外側に取り付けられた図示していない電動機によって、機械的な減速歯車伝動装置としての図示されていない遊星歯車伝動装置、および同様に図示されていないボールねじ伝動装置の形のねじ伝動装置を介してしゅう動可能である。
【0040】
マスタブレーキシリンダ孔6は、差し込み接続部3と、一方ではテストバルブのための受け部23との間、他方では補助動力シリンダ孔7との間で、液圧ブロック1内に配置されている。補助動力シリンダ孔7は、マスタブレーキシリンダ孔6と、液圧ブロック1の上側2に向き合う、液圧ブロック1の下側25との間に配置されている。上側2と下側25との間の中央で液圧ブロック1の中心平面の一方側に、マスタブレーキシリンダ孔6が配置されていて、他方側に補助動力シリンダ孔7が配置されている。
【符号の説明】
【0041】
1 液圧ブロック
2 上側
3 差し込み接続部
4 接続ニップル
5 ブレーキ液貯蔵タンク
6 マスタブレーキシリンダ孔
7 補助動力シリンダ孔
8 管状のカラー
9 環状室
10 環状ギャップ
11 逆止弁
12 遮断体
13 バルブシート部
15 フランジ
16 リブ
17 バルブシート
18 バルブスプリング
19 フィルタスクリーン
20 フィルタクロスまたはスクリーン
21 環状円板状のフレーム
22 管路
23 受け部
24 広幅側
25 下側
26 Oリング
27 環状の隆起部