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特許7598364ガス発生器のための拡散器、そのような拡散器を含むガス発生器、およびそのような拡散器のための製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】ガス発生器のための拡散器、そのような拡散器を含むガス発生器、およびそのような拡散器のための製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/264 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
B60R21/264
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022513080
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2020071395
(87)【国際公開番号】W WO2021037469
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】102019122987.1
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520137095
【氏名又は名称】ツェット・エフ・エアーバッグ・ジャーマニー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ユング,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】カプフェルスペルガー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュモーケル,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ベーバー,ベルンド
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102006041611(DE,A1)
【文献】特開2003-127821(JP,A)
【文献】特開平10-181514(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0141514(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0200327(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102008063789(DE,A1)
【文献】特開平11-314555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/264
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス発生器(50)のための拡散器(10)であって、長手軸(16)を含む管状のベース体(11)と、前記拡散器(10)の第1の端部(13)において前記ベース体(11)に軸方向に接続されたバッフルキャップ(12)と、前記第1の端部(13)に対向する前記拡散器(10)の第2の端部(14)に形成された接続デバイスとを備え、
ガスが前記拡散器(10)から前記第1の端部(13)および前記第2の端部(14)に向かって前記長手軸(16)に平行に前記拡散器(10)の内部から流れ出ることができるように、前記管状ベース体(11)の外壁に少なくとも1つの流出開口部(21、22)が形成され、前記バッフルキャップ(12)には流出開口部がなく、
前記少なくとも1つの流出開口部(21、22)が、第1の流出開口部(21)および第2の流出開口部(22)として形成され、前記第1の流出開口部(21)および前記第2の流出開口部(22)が、単一のタブ(20)によって形成され、前記タブ(20)が、前記管状ベース体(11)の前記外壁において前記長手軸(16)に直角に延在する2つの平行なノッチによって、また、それらの間の領域を径方向外向きの方向に変形させることによって形成され、前記タブ(20)が、2つの半ドーム形状の隆起部(23)を備え、
前記隆起部(23)の湾曲部が、前記拡散器(10)の内部から出る前記ガスの流れの径方向成分が前記第1の流出開口部(21)および前記第2の流出開口部(22)によって減少され得るように、また、前記流れがもっぱら軸方向のものであるように形成され得るように、前記第1の流出開口部(21)および前記第2の流出開口部(22)に向かって傾斜することを特徴とする、拡散器(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の拡散器(10)において、
記バッフルキャップ(12)が、ドーム形状とされるように、球セグメントまたは汎用球面継手として構成されることを特徴とする、拡散器(10)。
【請求項3】
請求項に記載の拡散器(10)において、
前記タブ(20)が、鰓(えら)形状とされ、前記拡散器(10)の前記第2の端部(14)に構成された前記接続デバイスが、テーパ(15)を含むことを特徴とする、拡散器(10)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の拡散器(10)において、
前記タブ(20)または前記第1および第2のタブ(20a、20b)が、前記長手軸(16)および/または横軸に関して対称であるように形成されることを特徴とする、拡散器(10)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の拡散器(10)において、
前記第1の端部(13)に向けられた前記第1の流出開口部(21)が、前記第2の端部(14)に向けられた前記第2の流出開口部(22)よりも大きな開口領域を有し、前記第1の流出開口部(21)および前記第2の流出開口部(22)の前記開口領域が、前記第1の流出開口部(21)を通る前記ガスの質量流量が前記第2の流出開口部(22)を通るガスの前記質量流量に等しいように設計されることを特徴とする、拡散器(10)。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の拡散器(10)において、
前記ベース体(11)が、前記第1の流出開口部(21)および前記第2の流出開口部(22)に径方向に対向する側に、内方に向けられた底部湾曲部(24)を含むことを特徴とする、拡散器(10)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の拡散器(10)において、
2つ以上の第1および第2の流出開口部(21、22)が、周方向に配置されことを特徴とする、拡散器(10)。
【請求項8】
エアバッグモジュールのためのガス発生器(50)であって、管状ハウジング(51)と、前記ガス発生器(50)の第1の端部に配置された請求項1からのいずれか一項に記載の拡散器(10)とを備える、ガス発生器(50)。
【請求項9】
請求項に記載のガス発生器(50)において、
前記ガス発生器(50)の前記管状ハウジング(51)が、その第1の端部にテーパを含み、前記テーパにおいて、前記拡散器(10)のテーパ(15)が、相補的な態様で係合し得るか、またはそこに構成され得ることを特徴とする、ガス発生器(50)。
【請求項10】
請求項8または9に記載のガス発生器(50)において、
前記ガス発生器(50)の直径および前記拡散器(10)の直径が、等しく、かつ/または、前記ガス発生器(50)が、火工技術式ガス発生器もしくは複合型ガス発生器であることを特徴とする、ガス発生器(50)。
【請求項11】
エアバッグモジュールであって、ガス発生器(50)、前記ガス発生器(50)によって膨張可能なエアバッグ、および、前記エアバッグモジュールを車両に取り付けるための固定デバイスを備え、
前記ガス発生器(50)が、請求項8から10のいずれか一項に従って構成されることを特徴とする、エアバッグモジュール。
【請求項12】
ガス発生器(50)と、エアバッグモジュールの一部として前記ガス発生器(50)によって膨張可能なエアバッグと、解放状況が与えられたときに前記ガス発生器(50)を作動させることができる電子制御ユニットとを備える、車両乗員または歩行者を含む人物を保護するための車両安全システムであって、
前記ガス発生器(50)が、請求項8から10のいずれか一項に従って構成されることを特徴とする、車両安全システム。
【請求項13】
請求項1からのいずれか一項に記載の拡散器(10)を製造するための方法であって、
a.管状ベース体(11)を用意するステップであって、前記管状ベース体(11)が、外壁を含み、かつ、前記拡散器(10)の第1の端部(13)を形成する、前記ベース体(11)に軸方向に接続されたバッフルキャップ(12)を含む、ステップと、
b.前記ベース体(11)の前記外壁に対して径方向に延在しかつ第1の長さを有する2つの平行なノッチを導入するステップであって、前記ノッチが、前記ベース体(11)の前記壁の奥行きを有する、ステップと、
c.前記ノッチに隣接する領域において単一のタブ(20)または第1のタブ(20a)および第2のタブ(20b)を塑性変形させるステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記塑性変形が、1つまたは2つの半ドーム形状の膨出部を有するマンドレルにより前記拡散器の内部から径方向外側に行われるか、または、1つまたは2つの半ドーム形状の膨出部を有する押圧ツールにより前記拡散器の外部から径方向内側に行われることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載のガス発生器のための拡散器に関する。本発明は、この種の拡散器を備えるガス発生器にさらに関する。さらに、本発明は、この種のガス発生器を含むエアバッグモジュールを扱う。また、本発明は、拡散器を製造するための方法を示す。
【背景技術】
【0002】
請求項1のプリアンブルに記載の特徴を備える拡散器が、EP1544060A1から知られている。既知の拡散器は、長手軸を有する実質的に管状のベース体と、拡散器の第1の端部においてベース体に軸方向に接続されたバッフルキャップと、第1の端部に対向する拡散器の第2の端部に形成された接続デバイスと、を備える。既知の拡散器は、その管状ベース体に径方向開口部を有し、ガスは、この径方向開口部を通って実質的に径方向だけに、すなわち実質的に拡散器の管状ベース体の長手軸に対して直角に、拡散器の内部から流れ出ることができる。
【0003】
拡散器は、ガス発生器内で生成されかつ/またはガス発生器内に保存されたガスを、拡散器に接続されたエアバッグまたは拡散器に続いて位置決めされたエアバッグに導入する機能を有する。既知の拡散器は、通常拡散器の径方向開口部に比較的近いエアバッグが、拡散器から径方向だけに流れ出るガスにより、特に温度および/またはガス流圧の上昇あるいはガス圧の伝播の点で、比較的高負荷をかけられるという欠点を有する。したがって、この場合、既知の拡散器に接続されかつガスで満たされるエアバッグの熱負荷および/または機械的負荷は、比較的高い。
【0004】
さらに、米国特許第7,928,443B1号から、端側バッフルキャップ(end-side baffle cap)上に一方ではガス発生器の長手方向における中央ガス出口を含みまた他方ではガス案内フラップの形態をなす複数の径方向流出開口部を有するガス発生器が知られており、ガス案内フラップは、ガスがガス発生器の長手方向に対して鋭角に流れ出ることを可能にする。そのため、全体的に見て、流出中の剪断補償(shearing compensation)または剪断中立性(shearing neutrality)が得られるべきである。また、このガス発生器によりエアバッグが満たされる場合、エアバッグは、特に中央ガス出口により、ガス発生器の長手方向において機械的かつ/または熱的に重い負荷をかけられる。エアバッグの重負荷を防ぐまたは軽減するために、例えば、エアバッグの内部の耐熱被覆などの高価かつ複雑なエアバッグ設計、または、いわゆるカルツォーネ(calzone)の使用が可能である。そのようなカルツォーネは、ガス発生器のガス流出開口部に配置されるか、またはエアバッグの内側の内部バッグとして配置される、熱および粒子耐性ファブリックのシールドである。そのような設計は、費用がかかりかつ複雑である。さらに、ガス発生器の前側端部でのガス発生器の長手方向におけるガス流は、ここで知られているガス発生器に関する事例におけるように、ガス発生器が内部に設置されるモジュールハウジングなどのさらなる構成部品がそこから短い距離の所に設けられるので、望ましいものではなく、回避しなければならないことが多い。この場合もまた、ガス発生器の端側バッフルキャップから軸方向に流れ出るガスに起因する不都合な熱負荷および/または機械的負荷が、弊害をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような背景に対して、本発明の目的は、エアバッグに重い負荷がかからないように改善されたガス誘導を可能にするガス発生器のための拡散器を提示することである。本発明の別の目的は、この種の拡散器を備えるガス発生器を提示することである。さらに、本発明の目的は、エアバッグモジュール、ガス発生器を備える車両安全システム、および、ガス発生器のための拡散器を製造するための方法を提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、拡散器に関しては、この目的は請求項1の主題によって達成され、ガス発生器に関しては、請求項12の主題によって達成され、エアバッグモジュールに関しては、請求項15の主題によって達成され、車両安全システムに関しては、請求項16の主題によって達成され、製造方法に関しては、請求項17の主題によって達成される。
【0007】
したがって、ガス発生器のための本発明による拡散器は、長手軸を含む実質的に管状のベース体と、拡散器の第1の端部においてベース体に軸方向に接続されたバッフルキャップと、第1の端部に対向する拡散器の第2の端部に形成された接続デバイスと、を有し、ガスが拡散器の第1および第2の端部に向かって実質的に長手軸に平行に拡散器の内部から流れ出ることができるように、管状ベース体の外壁に少なくとも1つの流出開口部が形成され、バッフルキャップには流出開口部がないことを特徴とする。管状ベース体に関しては、ベース体は実質的に円筒形の外側輪郭を有することを、理解すべきである。さらに、「バッフルキャップはベースに軸方向に接続される」という文言に関しては、バッフルキャップは、軸方向において、したがってベース体の長手軸に沿って、あるいはベース体の長手軸に平行に、追加の構成部品としてベース体に隣接するか、またはベース体と一体に形成されることを、理解すべきである。
【0008】
長手軸に実質的に平行ということに関しては、ガスの中心的な流れ方向が、拡散器のベース体の長手軸に平行に延在するか、または長手軸に対して45°未満の鋭角で延在することを、理解すべきである。
【0009】
本発明の利点は、一方では、ガスがバッフルキャップの領域からバッフルキャップの近傍に位置するエアバッグまたはモジュールハウジングへ流れ出ることができないという事実にある。具体的には、拡散器のバッフルキャップが拡散器のまたはそのような拡散器を含むガス発生器の軸方向端部側を構成する場合、エアバッグまたはモジュールハウジングなどのバッフルキャップの近くに位置決めされたさらなる構成部品は、熱負荷および/または機械的負荷によって能力が落ちることがない。他方では、有利には、ガスは、エアバッグに対して直接案内されないが、折り畳まれたエアバッグに沿って案内される。バッフルキャップによる拡散器の内側でのガスの主流の偏向により、主流は、さらに減少される。したがって、本発明による拡散器は、例えば、すでに上記で説明されたカルツォーネの使用を省くのに役立ち得る。さらに、本発明による拡散器は、簡単な方法で実現され得るので、安価である。流れを偏向させる拡散器の外側の周辺パイプクランプは、より高い製造コストを招くであろう。
【0010】
具体的には、本発明による拡散器では、少なくとも1つの流出開口部は、第1の流出開口部および第2の流出開口部として構成され、バッフルキャップは、好ましくは球セグメントまたは汎用球面継手として、特にドーム形状に構成される。この目的のために、流出開口部は、長手軸に平行に延在する表面法線を流出開口部の表面領域が有するように、有用に形成される。このタイプの本発明による拡散器はまた、互いに別々に膨張される2つのエアバッグが第1および第2の流出開口部を介して同時に満たされることを可能にする。
【0011】
好ましい実施形態では、第1の流出開口部および第2の流出開口部は、単一のタブによって形成され、このタブは、管状ベース体の外壁において長手軸に直角に延在する2つの平行なノッチにより、また、それらの間の領域を径方向外方に変形させることにより、形成される。そのようなタブは、平坦なまたは湾曲した表面を有し得る。したがって、本発明によるノッチとして、ベース体の特定の領域に沿って径方向に延在する適切なノッチを作り出すように、例えば切断、鋸引き、フライス削り、またはレーザアブレーションにより、ベース体の外壁の全厚に沿ってまたは全厚にわたって、切込みまたは対応する材料アブレーションが作られることが意図されている。2つのノッチは、幾何学的に正確な態様で長手軸に直角にまたは互いに平行に延在する必要はなく、互いに開散又は分岐してもよい。しかし、この場合、変形によりタブを作り出すためにノッチ間に介在された領域を変形させるのに、相応により複雑なツール設計またはツール誘導が必要とされ得る。
【0012】
別の好ましい実施形態では、タブは、鰓(gill)形状とされ、タブは、2つの半ドーム形状の隆起部を備え、特に、拡散器の第2の端部に形成される接続デバイスは、テーパを含む。隆起部は、具体的には、第1の端部に向けられた第1の流出開口部および第2の端部に向けられた第2の流出開口部が形成されるように、配置される。それぞれの流出開口部における隆起部は、長手軸からの最大(径方向)距離を有し得る。2つの隆起部の境界面は、長手軸からの最小の径方向距離を有し、この径方向距離は、管状ベース体の半径よりも大きいかまたはそれに等しい。拡散器の第2の端部におけるテーパは、例えばローラバニシングまたは圧接により、周辺溝またはチャネルの形態で作り出されてよく、したがって、ガス発生器のための実質的に予め形成された接続デバイスとしての役割を果たすことができ、そのような接続デバイスは、両方の凹部、すなわち拡散器の凹部およびガス発生器の凹部が互いに確実にかつ/または確実にではなく係合することができるように、拡散器への意図された接続点において幾何学的に相補的な凹部を含む。しかし、拡散器をガス発生器に接続するための適切な取付けステップにおいて、拡散器がガス発生器に接続されるかまたはガス発生器上に位置決めされた後でのみ、対応する凹部が拡散器に配置されることもまた、考えられる。したがって、この場合、拡散器は、ガス発生器に取り付けられるのに先立って、最初は円筒形の外側輪郭をその第2の端部に有し、ガス発生器に対する接続位置に運ばれ、ガス発生器は、その外側ハウジングに周辺凹部を有する。次いで、拡散器は、適切で相補的な凹部がこの取付けステップまでに拡散器に形成されるように、ローラバニシングまたは圧接などにより、ガス発生器上へのまたはガス発生器内へのその接続点を有して形成される。
【0013】
別の実施形態では、隆起部の湾曲は、拡散器の内部から出るガスの流れの径方向の割合が第1および第2の流出開口部によって減少され得、かつ、流れが軸方向だけであるように実質的に形成され得るように、第1および第2の流出開口部に向かって傾斜する。これは、第1の流出開口部あるいは第2の流出開口部から離間された領域における隆起部が、長手軸からの最大(径方向)距離を示すことを意味する。言い換えれば、軸方向における湾曲は、少なくとも一般に実質的に軸方向だけがガスの流れのために得られるように、ガスの流れをわずかに径方向内方に向ける一種のガス方向付け部分をもたらし、その結果、少なくとも、生じ得る径方向外方に向けられる流れ部分が、流出開口部において基本的にもっぱら軸線に向けられる。
【0014】
代替的な実施形態では、第1の流出開口部は、第1のタブによって形成され、第2の流出開口部は、第2のタブによって形成され、第1および第2のタブは、長手軸に直角に延在する2つの平行なノッチにより、また、ノッチのそれぞれから第1のあるいは第2の端部に向けられた領域の一部を径方向内方の方向に変形させることにより、形成される。この実施形態は、拡散器のベース体が外方にではなく内方に変形される故に、上記で説明された実施形態都は反対の実施形態である。好ましくは、第1および第2のタブは、鰓形状とされ、この場合、第1および第2のタブのそれぞれは、半ドーム形状の凹部を備える。
【0015】
上述の実施形態では、タブ、または第1および第2のタブは、長手軸および/または横軸に関して対称に、有用に形成される。
【0016】
好ましい実施形態では、第1の端部に向けられる第1の流出開口部は、第2の端部に向けられる第2の流出開口部よりも大きな開口領域を有する。具体的には、第1および第2の開口部の開口領域は、第1の開口部を通るガスの質量流量が第2の開口部を通る質量流量に等しいように、設計される。拡散器は、相反する等しい質量流量により、剪断中立の態様で使用され得る。
【0017】
適切な実施形態では、ベース体は、第1および第2の流出開口部に径方向に対向する側に、内方に向けられた底部湾曲部を有する。底部湾曲部は、拡散器内側の主流の配向を流出開口部に対して最適化する。
【0018】
別の実施形態では、2つ以上の第1および第2の流出開口部が、周方向に配置され、特に周方向に分散される。さらなる第1および第2の流出開口部を配置することにより、ガス流は、エアバッグ内でより良好に分散され、あるいは、いくつかのエアバッグを互いに別々に満たすことが可能である。
【0019】
本発明の1つの独立した態様は、管状ハウジングとガス発生器の第1の端部に配置される本発明による拡散器とを備える、エアバッグモジュールのためのガス発生器、具体的には管状ガス発生器に関する。
【0020】
適切なことには、ガス発生器の直径と拡散器の直径は、実質的に等しい。
【0021】
ガス発生器のハウジングは、拡散器のテーパが相補的に係合することができるかまたは形成され得るその第1の端部にテーパを含むことが好ましい。すでに上記で説明されたように、拡散器は、適切な圧接または周辺ローラバニシングによりガス発生器のハウジングに固定されてよく、この場合、テーパは、固定による取付けに先立ってすでに拡散器に導入されるか単にその後で拡散器に導入されてよく、あるいは、対応する取付けステップによって拡散器に導入されてよい。
【0022】
ガス発生器は、圧縮ガスで満たされた圧縮ガスタンクを備える、火工技術式ガス発生器または複合型ガス発生器であってよい。
【0023】
本発明の別の独立した態様は、ガス発生器を備えるエアバッグ、ガス発生器によって膨張され得るエアバッグ、および、エアバッグモジュールを車両に取り付けるための固定デバイスに関する。ガス発生器は、上記のように設計され得る。
【0024】
さらに、本出願の範囲内では、特に車両乗員または歩行者などの人物を保護するための車両安全システムが開示されかつ特許請求される。車両安全システムは、ガス発生器と、エアバッグモジュールの一部としてのガス発生器によって膨張可能なエアバッグと、トリガ状況が与えられたときにガス発生器を作動させることができる電子制御ユニットと、を含む。ガス発生器は、上記のように設計される。
【0025】
本発明の別の独立した態様は、
a)管状ベース体を用意するステップであって、管状ベース体が、外壁を有し、かつ、拡散器の第1の端部を形成する、ベース体に軸方向に接続されたバッフルキャップを有する、ステップと、
b)ベース体の外壁に径方向に延在しかつ第1の長さを有する2つの平行なノッチを導入するステップであって、ノッチがベース体の壁の奥行き又は深さを有する、ステップと、
c)ノッチに隣接する領域において単一のタブまたは第1および第2のタブを塑性変形させる、特に膨出させるステップと、
を含む、拡散器を製造するための方法に関する。
【0026】
本発明による方法は、簡単かつ安価である。
【0027】
方法の好ましい構成では、塑性変形は、1つもしくは2つの半ドーム形状の膨出部を備えるマンドレルにより拡散器の内部から径方向外方に行われるか、または、1つもしくは2つの半ドーム形状の膨出部を備える押圧ツール(impressing tool)により拡散器の外部から径方向内方に行われる。
【0028】
以下、添付の図を参照しながら、本発明を実施形態によって詳細に示す。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1の構成における本発明による拡散器を備える管状ガス発生器の図である。
図2図1による管状ガス発生器の長手方向断面図である。
図3図2の拡大された切り抜きを示す図である。
図4】第1の構成における本発明による拡散器の図である。
図5図4による拡散器の長手方向断面図である。
図6】第2の構成における本発明による拡散器の長手方向断面図である。
図7】第3の構成における本発明による拡散器の図である。
図8図7による拡散器の長手方向断面図である。
図9】第4の構成における本発明による拡散器の長手方向断面図である。
図10】第5の構成における本発明による拡散器の長手方向断面図である。
図11】第6の構成における本発明による拡散器の図である。
図12図11による拡散器の長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1から図3は、第1の構成で記載された本発明による拡散器10を備えるガス発生器50を示す。図4および図5は、第1の構成の拡散器10のみを示す。ガス発生器50は、管状ガス発生器として構成される。ガス発生器は、長手軸56を含む管状ハウジング51を有し、管状ハウジング51の第2の端部には、点火器52を含む点火器ハウジング53が配置される。隔壁55が、ハウジング51のテーパの領域内に配置され得る。別の隔壁54が、ハウジング41の第1の端部の領域内に配置され得る。拡散器10は、ガス発生器50のハウジング51の長手軸56の延長に延在する長手軸16を有する管状ベース体11を含む。バッフルキャップ12が、管状ベース体11に軸方向に隣接して拡散器10の第1の端部13に接続される。拡散器10の管状ベース体11は、実質的に円筒形の外側輪郭を有する。さらに、ベース体11に軸方向に接続されるバッフルキャップ12は、バッフルキャップ12が、独立した構成部品としてまたはベース体と一体に形成されて、軸方向において、すなわちベース体11の長手軸16に沿ってあるいは長手軸16に平行にベース体11に隣接するように、理解されるべきである。独立した構成部品の場合、バッフルキャップ12は、例えば、ベース体11にねじ込まれるか、圧接されるか、ローラバニシングされるか、またはレーザもしくは摩擦溶接などにより接着接続され得る。ガス発生器50のハウジング51および拡散器10の管状ベース体11は、便宜上、同様の、具体的には等しい直径を有する。拡散器10は、例えば圧接または径方向周囲のローラバニシングにより、ハウジング51に接続される。
【0031】
拡散器10の管状ベース体11の領域には、2つの隆起部23を有するタブ20が見られる。それを通ってガスが拡散器10の内部から拡散器10の外側領域へ流出するまたは流れ出ることができる第1の流出開口部21および第2の流出開口部22が、隆起部23と管状ベース体11との間に配置される。図2における長手方向断面から明らかなように、第1の流出開口部21および第2の流出開口部22の表面領域のそれぞれは、拡散器10の長手軸に平行に表面法線を有する。実質的にタブ20に対向する拡散器10の壁の領域において、底部湾曲部24が、拡散器10の壁に配置される。
【0032】
ガス発生器50の動作モードは、以下の通りである。点火器52が点火されるまたは作動されると、ガス発生器の内部ではガスが生成されかつ/または放出され、その結果、対応するガス流が生成されるかまたは生じ、このガス流は、ガス発生器50の管状ハウジング51の長手軸56に沿って移動するかまたは導かれて、突発波を作るかまたは隔壁55を開き、その後で隔壁54を開く。次いで、ガス流、またはガス流によって含まれるガスの全量は、拡散器10に流入し、あるいは、そこから前進させられる。拡散器10において、ガスの一部またはガス流の一部は、底部湾曲部24およびバッフルキャップ12によって偏向され、したがって第2の流出開口部22へ案内され、それにより、ガス流の一部またはガス量の一部は、主としてガス発生器の長手軸56に平行に、あるいは主として拡散器10のベース体11の長手軸16に平行に、流出開口部22から出る。ガス流の別の部分は、ガスが拡散器10に流入した後で、直接に隆起部23を通って第1の流出開口部21へ案内され、主として長手軸16に平行に拡散器10から出る。第1の流出開口部21および第2の流出開口部22を通って拡散器10から出るガス流は、実質的に相反する方向に延在し、その結果、ガス発生器50が作動されたときのガス発生器50のガス流出に関して、ガス発生器50のために意図された剪断中立性が維持される。
【0033】
図4および5に示された拡散器10は、長手軸16に直角に延在する2つの平行なノッチを最初にベース体11に設けることにより、ベース体11に一体に接続されたバッフルキャップ12を含む管状ベース体11から製造される。その際に、ベース体11は、径方向周囲に延在する適切な領域に沿って、その全肉厚にわたって外側から連続的に切断される。それぞれのノッチを作り出すそのような切断は、鋸引き、切断、フライス削り、またはレーザ処理などの、知られた材料アブレーション方法によって行われ得る。その後、ベース体11において、2つの隆起部23を有するタブ22が、2つの半ドーム形状の膨出部を備えるマンドレルの形態をした成形ツールにより、マンドレルが適切に押し付けられるかまたは外方に動かされることによって、形成される。選択肢として、相補的に成形された反対保持ツール(counter-holding tool)が、外側から位置決めされるかまたは案内され得る。タブ22の上記の塑性形成は、形成の領域内のまたは形成の領域に隣接した拡散器の材料を適切に延伸させ、拡大させ、または加工硬化もするのに役立つ。さらに、拡散器10は、その第2の端部14の領域に周辺テーパ15を備え、かつ/または、その第1の端部13の領域に、タブ20に対向する側に配置される底部湾曲部24を備え得る。したがって、拡散器10は、拡散器10との固定領域内に相補的であるように幾何学的に適切に形成されたガス発生器50のテーパまたは凹部に拡散器10のテーパ15が係合しかつ/または固定されるように、ガス発生器へのさらなる固定のために、その周辺テーパ15によりガス発生器50上にまたはガス発生器50に付着され得る。
【0034】
しかし、その代替形態として、拡散器10の周辺テーパ15は、拡散器10がガス発生器50に取り付けられるかまたは固定されるときにのみ、拡散器10に導入されてもよい。したがって、取り付けられる前は、拡散器10は、テーパを含まない実質的に円筒形に成形された第2の端部14を有し、次いで、適切な軸方向固定位置において、対応する相補的な凹部を含むガス発生器10上に位置決めされる。その後でのみ、拡散器10は、拡散器10上に凹部15が形成されるように、例えば径方向周辺のローラバニシングにより、その第2の端部14において径方向内向きの方向に、ガス発生器50の相補的な凹部上に形成される。
【0035】
図6は、第2の構成による拡散器10の長手方向断面図を示す。図5に示された第1の構成による拡散器10の長手方向断面図とは違い、隆起部23は、第1および第2の流れ方向付け領域33、34を備える。流れ方向付け領域33は、第1の端部13に向かって傾斜するように形成され、一方で、流れ方向付け領域34は、第2の端部14に向かって傾斜するように構成される。このようにして、外方に傾斜するそれぞれの湾曲部が形成され、これらの湾曲部は、拡散器から流れ出るガスの流れ成分が第1の流出開口部21および第2の流出開口部22から流れ出るときに径方向成分とともに生じることを防ぐ。言い換えれば、径方向に向けられたわずかな流出成分を有し得る、拡散器から流出するガスは、事実上、流れ方向付け領域33、34により、実質的に拡散器の長手軸16に平行な流出方向だけに流れ続けるように「強制」される。
【0036】
図7および8は、第3の構成による拡散器10を示す。拡散器10は、長手軸16を含む管状ベース体11を有する。拡散器10は、ベース体11の一部分にタブ20を含む。タブ20は、第1の流出開口部21および第2の流出開口部22が形成されるように、ベース体11の残りの部分よりも大きい長手軸16からの径方向距離を有する。長手方向断面において、タブ20の壁は、長手軸16に平行である。第1の流出開口部21および第2の流出開口部22の表面領域のそれぞれは、長手軸16に平行に表面法線を有する。拡散器10は、同じく第3の構成による底部湾曲部24を含み得る。拡散器10の第2の端部14の領域において、拡散器10は、場合により、ガス発生器50への固定のためのテーパ15を含み得る。
【0037】
図9に示された拡散器10の第4の構成は、第3の構成の変更形態である。第1の流出開口部21および第2の流出開口部22の領域において、タブ20は、流れ方向付け領域33および34を含む。この場合もまた、流れ方向付け領域33および34は、径方向流れ成分を区切るのに役立ち、あるいは、拡散器10の内部から出るガスの実質的にもっぱら平行な流出方向を作り出すのに役立つ。
【0038】
図10には、第5の構成による拡散器10が示されている。第5の構成は、図7および8に示された第3の構成の別の変更形態である。第5の構成では、タブ20が傾斜または長手軸16に対する角度を有することが、長手方向断面図に見られる。タブ20の傾斜は、第2の流出開口部22が第1の流出開口部21よりも小さな開口領域を有するように、選択される。第2の流出開口部22のより小さな開口領域は、第2の流出開口部22から退出するガスの質量流量を減少させるのに役立ち得る。したがって、第1の流出開口部21および第2の流出開口部22を通る質量流量は、タブ20の傾斜を選択することにより、要求通りに、具体的には等しくなるように設定され得る。
【0039】
図11および12は、第6の構成による拡散器10を示す。第6の構成では、拡散器10は、拡散器10の第1の端部13に、バッフルキャップ12を備える管状ベース体11を有する。ベース体11には、第1のタブ20aおよび第2のタブ20bが配置されるかまたは構成される。第1のタブ20aおよび第2のタブ20bは、残りのベース体11よりも小さい長手軸16からの距離を有し、すなわち、それらのタブは、内方に延在する。第1および第2のタブ20a、bのそれぞれは、半ドーム形状の凹部25を有する。管状ベース体11の一領域が、第1のタブおよび第2のタブ20a、bの端部間に配置される。第1の流出開口部21が、第1のタブ20aの端部と管状ベース体11の領域との間に配置され、第2の流出開口部22が、第2のタブ20bの端部と管状ベース体11の領域との間に配置される。流出開口部21および22は、長手軸16に平行に表面法線を示す。
【0040】
第6の構成による拡散器10が、バッフルキャップ12を備える管状ベース体11を用意することによって製造される。2つの平行なノッチが、ベース体11の長手軸16に直角にベース体11に導入される。導入された平行なノッチのそれぞれの外側に位置する領域は、成形ツールにより径方向内方に押圧され、その結果、第1のタブ20aおよび第2のタブ20bが作り出される。2つのタブ20a、b間の領域は変形されず、その結果、ベース体11の一領域が、実質的に残部として維持または保留され、この領域は、それ自体を見たときに、円弧、または円弧の切り抜きの形状を取る。拡散器のこの実施形態におけるベース体11の外壁は、それ自体を見たときに、または上述の形成された円弧を含まずに見たときに、ベース体11の周囲の領域に沿って相応にスリット形状とされた、外側への単一の開口部、または単一の流出開口部を単に含む。しかし、異なるガス流経路またはガス流方向の選択肢に関して管状ベース体11を見た場合、したがって、特に上述の形成された円弧をも見た場合、単一の流出開口部は、上述の第1および第2の流出開口部21、22の構成と見なされ得る。
<付記>
[付記1]
ガス発生器(50)のための、特にエアバッグモジュールの管状ガス発生器のための拡散器(10)であって、長手軸(16)を含む実質的に管状のベース体(11)と、前記拡散器(10)の第1の端部(13)において前記ベース体(11)に軸方向に接続されたバッフルキャップ(12)と、前記第1の端部(13)に対向する前記拡散器(10)の第2の端部(14)に形成された接続デバイスとを備え、
ガスが前記拡散器(10)から前記第1の端部(13)および前記第2の端部(14)に向かって実質的に前記長手軸(16)に平行に前記拡散器(10)の内部から流れ出ることができるように、前記管状ベース体(11)の外壁に少なくとも1つの流出開口部(21、22)が形成され、前記バッフルキャップ(12)には流出開口部がないことを特徴とする、拡散器(10)。
[付記2]
付記1に記載の拡散器(10)において、
前記少なくとも1つの流出開口部(21、22)が、第1の流出開口部(21)および第2の流出開口部(22)として形成され、特に、前記バッフルキャップ(12)が、ドーム形状とされるように、好ましくは球セグメントまたは汎用球面継手として構成されることを特徴とする、拡散器(10)。
[付記3]
付記2に記載の拡散器(10)において、
前記第1の流出開口部(21)および前記第2の流出開口部(22)が、単一のタブ(20)によって形成され、前記タブ(20)が、前記管状ベース体(11)の前記外壁において前記長手軸(16)に直角に延在する2つの平行なノッチによって、また、それらの間の領域を径方向外向きの方向に変形させることによって形成されることを特徴とする、拡散器(10)。
[付記4]
付記3に記載の拡散器(10)において、
前記タブ(20)が、鰓(えら)形状とされ、前記タブ(20)が、2つの半ドーム形状の隆起部(23)を備え、特に、前記拡散器(10)の前記第2の端部(14)に構成された前記接続デバイスが、テーパ(15)を含むことを特徴とする、拡散器(10)。
[付記5]
付記4に記載の拡散器(10)において、
前記隆起部(23)の湾曲部が、前記拡散器(10)の内部から出る前記ガスの流れの径方向成分が前記第1の流出開口部(21)および前記第2の流出開口部(22)によって減少され得るように、また、前記流れがもっぱら軸方向のものであるように実質的に形成され得るように、前記第1の流出開口部(21)および前記第2の流出開口部(22)に向かって傾斜することを特徴とする、拡散器(10)。
[付記6]
付記2に記載の拡散器(10)において、
前記第1の流出開口部(21)が、第1のタブ(20a)によって形成され、前記第2の流出開口部(22)が、第2のタブ(20b)によって形成され、前記第1のタブ(20a)および前記第2のタブ(20b)が、前記長手軸(16)に直角に延在する2つの平行なノッチによって、また、前記ノッチのそれぞれにより前記第1または第2の端部(13、14)に方向付けられた領域の一部を径方向内向きの方向に変形させることによって形成されることを特徴とする、拡散器(10)。
[付記7]
付記6に記載の拡散器(10)において、
前記第1および第2のタブ(20a、20b)が、鰓(えら)形状とされ、前記第1および第2のタブ(20a、20b)のそれぞれが、半ドーム形状の凹部(25)を備えることを特徴とする、拡散器(10)。
[付記8]
付記3から7のいずれか一項に記載の拡散器(10)において、
前記タブ(20)または前記第1および第2のタブ(20a、20b)が、前記長手軸(16)および/または横軸に関して対称であるように形成されることを特徴とする、拡散器(10)。
[付記9]
付記2から8のいずれか一項に記載の拡散器(10)において、
前記第1の端部(13)に向けられた前記第1の流出開口部(21)が、前記第2の端部(14)に向けられた前記第2の流出開口部(22)よりも大きな開口領域を有し、特に、前記第1の流出開口部(21)および前記第2の流出開口部(22)の前記開口領域が、前記第1の流出開口部(21)を通る前記ガスの質量流量が前記第2の流出開口部(22)を通るガスの前記質量流量に実質的に等しいように設計されることを特徴とする、拡散器(10)。
[付記10]
付記2から9のいずれか一項に記載の拡散器(10)において、
前記ベース体(11)が、前記第1の流出開口部(21)および前記第2の流出開口部(22)に径方向に対向する側に、内方に向けられた底部湾曲部(24)を含むことを特徴とする、拡散器(10)。
[付記11]
付記2から10のいずれか一項に記載の拡散器(10)において、
2つ以上の第1および第2の流出開口部(21、22)が、周方向に配置され、特に分散されることを特徴とする、拡散器(10)。
[付記12]
エアバッグモジュールのための、特に管状ガス発生器であるガス発生器(50)であって、管状ハウジング(51)と、前記ガス発生器(50)の第1の端部に配置された付記1から11のいずれか一項に記載の拡散器(10)とを備える、ガス発生器(50)。
[付記13]
付記12に記載のガス発生器(50)において、
前記ガス発生器(50)の前記ハウジング(51)が、その第1の端部にテーパを含み、前記テーパにおいて、前記拡散器(10)のテーパ(15)が、相補的な態様で係合し得るか、またはそこに構成され得ることを特徴とする、ガス発生器(50)。
[付記14]
付記12または13に記載のガス発生器(50)において、
前記ガス発生器(50)の直径および前記拡散器(10)の直径が、実質的に等しく、かつ/または、前記ガス発生器(50)が、火工技術式ガス発生器もしくは複合型ガス発生器であることを特徴とする、ガス発生器(50)。
[付記15]
エアバッグモジュールであって、ガス発生器(50)、前記ガス発生器(50)によって膨張可能なエアバッグ、および、前記エアバッグモジュールを車両に取り付けるための固定デバイスを備え、
前記ガス発生器(50)が、付記12から14のいずれか一項に従って構成されることを特徴とする、エアバッグモジュール。
[付記16]
ガス発生器(50)と、エアバッグモジュールの一部として前記ガス発生器(50)によって膨張可能なエアバッグと、解放状況が与えられたときに前記ガス発生器(50)を作動させることができる電子制御ユニットとを備える、特に車両乗員または歩行者などの人物を保護するための車両安全システムであって、
前記ガス発生器(50)が、付記12から14のいずれか一項に従って構成されることを特徴とする、車両安全システム。
[付記17]
付記1から10のいずれか一項に記載の拡散器(10)を製造するための方法であって、
a.管状ベース体(11)を用意するステップであって、前記管状ベース体(11)が、外壁を含み、かつ、前記拡散器(10)の第1の端部(13)を形成する、前記ベース体(11)に軸方向に接続されたバッフルキャップ(12)を含む、ステップと、
b.前記ベース体(11)の前記外壁に対して径方向に延在しかつ第1の長さを有する2つの平行なノッチを導入するステップであって、前記ノッチが、前記ベース体(11)の前記壁の奥行きを有する、ステップと、
c.前記ノッチに隣接する領域において単一のタブ(20)または第1のタブ(20a)および第2のタブ(20b)を塑性変形させる、特に膨出させるステップと、
を含む、方法。
[付記18]
付記17に記載の方法において、
前記塑性変形が、1つまたは2つの半ドーム形状の膨出部を有するマンドレルにより前記拡散器の内部から径方向外側に行われるか、または、1つまたは2つの半ドーム形状の膨出部を有する押圧ツールにより前記拡散器の外部から径方向内側に行われることを特徴とする、方法。
【符号の説明】
【0041】
10 拡散器
11 ベース体
12 バッフルキャップ
13 第1の端部
14 第2の端部
15 テーパ
16 長手軸
20 タブ
20a 第1のタブ
20b 第2のタブ
21 第1の流出開口部
22 第2の流出開口部
23 隆起部
24 底部湾曲部
25 凹部
33 流れ方向付け領域
34 流れ方向付け領域
50 ガス発生器
51 ハウジング
52 点火器
53 点火器ハウジング
54 隔壁
55 隔壁
56 長手軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12