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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】統合されたエネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6557 20140101AFI20241204BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241204BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20241204BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20241204BHJP
   H01M 50/273 20210101ALI20241204BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20241204BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20241204BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20241204BHJP
【FI】
H01M10/6557
H01M10/613
H01M50/204 401H
H01M50/249
H01M50/273
H01M50/213
H01M10/625
B60K1/04 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022529612
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-23
(86)【国際出願番号】 US2020061626
(87)【国際公開番号】W WO2021102340
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-11-17
(31)【優先権主張番号】62/938,646
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/081,253
(32)【優先日】2020-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スムプフ,ジュニア,ロバート デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ピレス,アンドリュ
(72)【発明者】
【氏名】ストックトン,ウィリアム ビー.
(72)【発明者】
【氏名】スプーナー,コール
(72)【発明者】
【氏名】プロダン,コール
(72)【発明者】
【氏名】ゴラシア,ジャイエシュ バラット
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,ケントン
(72)【発明者】
【氏名】バーク,ダン
(72)【発明者】
【氏名】ザファ,ダフナ ガブリエラ
(72)【発明者】
【氏名】パテル,クルパル
(72)【発明者】
【氏名】パーカー,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ヘーグマン,デビッド エリアス
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-004919(JP,A)
【文献】特表2016-537799(JP,A)
【文献】特表2017-532720(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0162922(US,A1)
【文献】特開2019-091555(JP,A)
【文献】特開2019-081436(JP,A)
【文献】国際公開第2013/084935(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6557
H01M 10/613
H01M 50/204
H01M 50/249
H01M 50/273
H01M 50/213
H01M 10/625
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体型バッテリコンポーネントであって、
少なくとも1つのエネルギーモジュールと、
前記少なくとも1つのエネルギーモジュールに近接して形成された冷却チャネルと、
樹脂化合物で形成され、前記少なくとも1つのエネルギーモジュールを取り囲み、前記一体型バッテリコンポーネントに構造的支持および熱的保護をもたらすポッティング材料と、
前記少なくとも1つのエネルギーモジュールを支持するための底面と、
前記少なくとも1つのエネルギーモジュールを支持するための上面と、を備え、
前記上面が、前記少なくとも1つのエネルギーモジュールに直接的に結合されるとともに、車両のフロアを形成し、
環境シーリングが、前記一体型バッテリコンポーネントと車体との間に形成される、一体型バッテリコンポーネント。
【請求項2】
前記少なくとも1つのエネルギーモジュールは、複数のセルを備え、
前記複数のセルの個々のセルがそれぞれ、上側セル表面を備え、
前記上側セル表面が、正および負の端子を呈する、請求項1に記載の一体型バッテリコンポーネント
【請求項3】
前記少なくとも1つのエネルギーモジュールの個々セルへの電気的接続をもたらす箔シートをさらに備える、請求項に記載の一体型バッテリコンポーネント
【請求項4】
前記冷却チャネルは、前記冷却チャネルを通る冷却流体をもたらすためのマニホルドを備え、前記マニホルドは、前記冷却流体の入力に対応する第1の部分と、前記冷却流体の出力のための第2の部分とをもたらすように構成される、請求項1に記載の一体型バッテリコンポーネント
【請求項5】
前記一体型バッテリコンポーネントを取り囲む外部構造をさらに備える、請求項1に記載の一体型バッテリコンポーネント
【請求項6】
システムであって、
乗客用フロアコンポーネントを備えていない車体と、
一体型バッテリコンポーネントと、を備え、
前記一体型バッテリコンポーネントは、
複数のセルアレイであって、個々のセルアレイは、共通の配向にて配置された複数のセルを含む、複数のセルアレイと、
前記複数のセルアレイに近接して形成された冷却チャネルと、
樹脂化合物で形成され、前記複数のセルアレイを取り囲み、前記一体型バッテリコンポーネントに構造的支持および熱的保護をもたらすポッティング材料と、
取り付けインターフェース、エンクロージャ上部およびエンクロージャ底部を備えるエンクロージャと、を備え、
前記複数のセルアレイおよび前記ポッティング材料が前記エンクロージャ内部に配置され、前記エンクロージャ上部が前記車体のフロアを形成し、
前記一体型バッテリコンポーネントは、前記取り付けインターフェースを介して、前記車体に取り付けられるとともに、前記車体に対するシールを形成する、システム。
【請求項7】
前記複数のセルは、円柱形セルまたは矩形セルの少なくとも一方に対応し、前記複数のセルアレイの前記共通の配向は、各々の個々のセルの上面が整列するように配置されたセルの列を含む、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数のセルアレイは、前記複数のセルアレイの複数のセルの上面に沿った実質的な水平面を形成する、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数のセルアレイの個々のセルへの電気的接続をもたらす箔シートをさらに備える、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数のセルアレイは、前記セルアレイの間に最小限の間隔を形成するように構成され、前記冷却チャネルは、前記複数のセルアレイの間の前記最小限の間隔に形成されている、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記一体型バッテリコンポーネントを取り囲む外部構造をさらに備える、請求項に記載のシステム。
【請求項12】
前記車に追加の構造的支持をもたらすために前記一体型バッテリコンポーネントに並べて配置された少なくとも1つの支持支柱をさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記一体型バッテリコンポーネントは、前記一体型バッテリコンポーネントの周囲において前記車に取り付けられる、請求項に記載のシステム。
【請求項14】
前記エンクロージャ上部は、乗客用の座席に機械的に係合する、請求項6に記載のシステム。
【請求項15】
前記シールは、環境シーリングである、請求項6に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一般的に述べると、多数の装置またはコンポーネントを、少なくとも部分的に、電力源によって動作させることが可能である。車両の文脈において、電動車両を、全体的または部分的に、電源によって動作させることができる。電動車両のための電源を、「バッテリ」と一般的に呼ぶことができ、バッテリは、個々のバッテリセル、あるいはセル、モジュール、およびパックを表すことができる。いくつかの手法において、セルの集まりを個々のモジュールと見なすことができ、モジュールの集まりをパックと見なすことができる。電動車両のための電源を、パックの構成にて組み込み、維持することができる。同様の手法/専門用語は、エネルギーを収集、貯蔵、および分配するための配電網における貯蔵の用途にも適用可能である。
【0002】
電動車両は、典型的には、モバイルデバイスなどの典型的な消費者デバイスと比べて千倍も強力であることもある大量の電力を必要とする。これらの電力要件を達成するために、電動車両のバッテリパックは、典型的には、個別に配置され、あるいは複数のモジュールに構成された個々のセルの大型の密集配置を含む。バッテリパックの構成および性能は、個々のバッテリセルの特性、バッテリパックに組み込まれる個々のセルの総数、ならびにモジュールまたはバッテリパックへのセルおよび補助コンポーネントの配置/配向に依存する。バッテリパックは、電動車両による輸送および配電網における蓄電のほとんどの用途の文脈において、最も高価かつ大きくて重いアセンブリの1つを呈し得る。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1A】例示的な実施形態による一体型バッテリパックの例示的なコンポーネントを示すブロック図である。
【0004】
図1B】例示的な実施形態による一体型バッテリパックの例示的なコンポーネントを示すブロック図である。
【0005】
図2A】本出願のいくつかの態様による円柱形蓄電アレイの一アレイにおいて利用するための円柱形セルの例示的なコンポーネントを示すブロック図である。
【0006】
図2B】本出願のいくつかの態様による円柱形蓄電アレイの一アレイにおいて利用するための円柱形セルの例示的なコンポーネントを示すブロック図である。
【0007】
図3】例示的な実施形態による一体型バッテリパックの例示的なコンポーネントを示すブロック図である。
【0008】
図4】例示的な実施形態による一体型バッテリパックの例示的なコンポーネントを示すブロック図である。
【0009】
図5】例示的な実施形態による追加の支持構造と組み合わせられた一体型バッテリパックのブロック図である。
【0010】
図6A】例示的な実施形態による一体型バッテリパックを車両と組み合わせるシステムを示している。
図6B】例示的な実施形態による一体型バッテリパックを車両と組み合わせるシステムを示している。
【0011】
図7A】例示的な実施形態による一体型バッテリパックを車両と組み合わせるシステムを示している。
図7B】例示的な実施形態による一体型バッテリパックを車両と組み合わせるシステムを示している。
【0012】
図8】例示的な実施形態による追加の支持構造と組み合わせられた一体型バッテリパックのブロック図である。
【0013】
図9A】例示的な実施形態による一体型バッテリパックを車両と組み合わせるシステムを示している。
図9B】例示的な実施形態による一体型バッテリパックを車両と組み合わせるシステムを示している。
【0014】
図10A】例示的な実施形態による一体型バッテリパックを車両と組み合わせるシステムを示している。
図10B】例示的な実施形態による一体型バッテリパックを車両と組み合わせるシステムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一般的に説明すると、本開示の1つ以上の態様は、外周に沿った支持だけしか必要としない一体型バッテリパックまたはモジュールを含むエネルギー貯蔵システムに関する。例示的には、統合された一体型バッテリパックを形成し、車両フレームのための構造的支持の一部として使用することができる。例えば、バッテリパックは、バッテリパック内のセルに機械的に結合したハニカムまたは畝付きの表面から形成された底部層を含むことができる。底部層は、下方からの衝撃エネルギーを吸収して分散させ、繊細なバッテリ材料の損傷およびバッテリパックの密閉エンクロージャの破れの可能性を低減することができるように設計される。一実施形態において、底部層は、バッテリセルを支持し、通常の車両の動作からの機械的負荷に反応するために充分な剛性および強度を有する材料から製作されるが、バッテリパックシステムの故障を引き起こしかねない下方からの道路衝突に応答して変形することもできる。可撓な構造またはつぶれることができる構造を生み出すだけでなく、一連の畝は、特定のセルに損傷が生じた場合や、バッテリパックの1つ以上のセルにおいて熱暴走が発生した場合に、ガスをバッテリパックから逃がすことを可能にすることができる。
【0016】
例示的な統合された一体型バッテリパックは、バッテリパックモジュールまたはバッテリセルのアレイを保持する構造フレーム内に組み合わせることができる1つ以上の特性または特徴をさらに含むことができる。さまざまな特徴の態様が、以下で説明される。一態様において、そのような特徴は、エネルギー貯蔵セルユニット/アレイを収容し、樹脂を含む密閉容器に対応するバッテリパックの構造フレームを含むことができる。樹脂を、熱的および構造的性能またはしきい値に従って選択および実装することができる。別の態様において、そのような特徴は、すべての正および負の電気端子を製品アセンブリの共通面上で面内に整列させて有している小型または大型のセルのアレイを含むことができる。さらに別の態様において、そのような特徴は、セルアレイを受動的または能動的に冷却するための種々の冷却コンポーネントなど、セルアレイの熱管理のためのコンポーネントを含むことができる。さらに別の態様において、そのような特徴は、セルを隣接するコンポーネントから電気的に絶縁するための材料を含むことができる。さらなる態様において、そのような特徴は、セルおよびバッテリ端子の電気的相互接続のための1つ以上の導電性箔シート、ならびに電圧感知チャネルを含む。またさらなる態様において、そのような特徴は、1つ以上の電気ヒューズ要素を含むことができる。さらに別の態様において、そのような特徴は、製品電圧/温度の測定および制御のための電子機器を含むことができる。
【0017】
種々の態様が例示的な実施形態および特徴の組み合わせに従って説明されるが、当業者であれば、これらの例および特徴の組み合わせが本質的に例示的であり、限定として解釈されるべきではないことを理解できるであろう。
【0018】
電動車両または配電網における貯蔵ネットワークなどの種々の実施形態への組み込み時に、エネルギー貯蔵システムの実施者または製造者は、材料コスト、資本支出、運用費用、および製造スクラップの抑制などのエネルギー貯蔵システムのセルおよび非セルのオーバーヘッドコストの削減を目指す。さらに、実施者または製造業者は、エネルギー貯蔵システムに組み込まれるエネルギーセルの最大体積または重量充てん密度をさらに制限し得るエネルギー貯蔵システムのオーバーヘッド容積および質量を低減することも目指す。特定の用途において、エネルギー貯蔵システムを、エネルギーセルのアレイ(セルアレイ)およびパックエンクロージャなどの支持コンポーネントの固有の材料および形状と係合することによって追加の非セル性能機能を提供するように構成または製造することもできる。そのような構成を実施することにより、実施者または製造者は、これまではバッテリ内または電動車両(または、他の装置)のフレーム上の他の場所の他の構造またはコンポーネントによってもたらされていた構造の追加のコスト、質量、体積、および複雑さを低減または緩和することができる。大幅に簡素化された製造アセンブリは、所与の生産能力に対して設備の設置面積を削減しながら、大量の自動製造設備の設計、立ち上げ、およびスケーリングを加速する。
【0019】
本出願の1つ以上の態様は、個別に、または組み合わせにて、そのような実施の課題および非効率性に対処することができる。例えば、本明細書で説明されるように、セルアレイの共通の平面に沿ったレーザ溶接による相互接続は、少ない熱損失で電圧および電流を供給し、電圧検知および制御の電子機器を接続するために使用される導電性接続を、いずれも以前の方法と比較して小さい製造フットプリント/動作費用で生成する。別の例においては、バッテリパックフレーム内の構造樹脂を使用して、最終製品におけるセルを位置決めおよび拘束し、衝撃および振動からの慣性負荷に反応し、誘発され、あるいは誘発されない熱暴走を効果的に管理し、追加の受動的なヒートシンク能力および能動冷却システムへの並列熱経路を提供することができる。さらなる例において、バッテリアレイ内の個々のセルに誘電体セルスリーブを取り入れることにより、エネルギー貯蔵ユニットを製品フレーム、他のセル、および能動冷却システム(装備されており、導電性構造からなる場合)から電気的に絶縁する電気バリアが形成される。セルレベルにおいて電気絶縁を適用することにより、導電性セル容器を物理的に離間させる必要がなくなるため、バッテリセルの最大体積充てん密度を有する直列電圧ストリングの構築が可能になる。当業者であれば、さらなる利点または技術的効率が、本出願の1つ以上の態様または態様の組み合わせに制限なく関連できることを、理解できるであろう。
【0020】
・例示的なバッテリパックのフレーム構造
一実施形態において、バッテリパックは、製造組み立ての完了時に、または電動車両などの残りの製品とのバッテリパックの結合の一部として、密封容器を形成するフレーム構造で提供されてよい。フレーム構造は、予め組み立てられ、あるいは一連のコンポーネント追加によって形成される単一または複数の材料およびコンポーネントで構成されてよい。シールを、製造組み立て時にコンポーネントに加えられる固有の質量または荷重によって作動/有効化するように設計することができる。フレーム構造は、他の機能コンポーネントを拘束または相互接続するための種々の機械的または電気的インターフェースを含むことができる。例えば、フレーム構造は、機能電子機器用のインターフェースまたは高度に集中した電流をバッテリインターフェース地点へと運ぶために適した高ゲージ端子(バスバー)を含むことができる。さらに、フレーム構造は、熱暴走事象における単一セル、マルチセル、およびアレイレベルの性能を促進するための追加のコンポーネントまたは特徴を含むことができる。
【0021】
例示的には、フレーム構造は、セルアレイまたはセルアレイを含むモジュールの組を受け入れるための1つ以上のキャビティまたは定められた領域を備えて構成または構築される。フレーム構造を、定められた領域内にセルアレイまたはセルモジュールの質量を吊り下げるために適した構造特性で構築することができる。さらに、フレーム構造を、全体としてのバッテリパックあるいはセルアレイまたはモジュールの機能的完全性を保護するために、フレーム構造の上方または下方からの乱用負荷または衝撃を許容または管理するようにさらに構成することができる。
【0022】
電動車両に組み込まれる場合、フレーム構造の一部を、電気伝導チェーンを近傍の製品シャーシコンポーネントから体積に関して密な様相で絶縁するために、電気絶縁材料から構成でき、あるいは電気絶縁材料でコーティングすることができる。
【0023】
さらに、以下でさらに詳細に説明されるように、フレーム構造の一部は、製品にとって有益な幾何学的形状が樹脂充てんプロセスの一部として達成されるように、樹脂の陰型として機能することができる。
【0024】
図1Aを参照すると、セルアレイモジュールに対応する例示的なエネルギー貯蔵システム100が示されている。エネルギー貯蔵システム100は、本明細書において説明されるさまざまなコンポーネントおよび特徴を含む密封容器を示す。図1Bを参照すると、図1aのエネルギー貯蔵システム100の分解図が示されている。図1Bを参照すると、エネルギー貯蔵システム100は、フレーム構造102、120を含む。例示的には、フレーム構造102、120は、図1Aの密封容器をもたらす6つの個々の側面に対応する。図1Aに示される構造は、説明の目的のための三次元構造に対応する。当業者であれば、エネルギー貯蔵システムの寸法が、利用されるセル132の数およびセルの幾何学的形状に基づいてさまざまであってよいことを、理解できるであろう。さらに、エネルギー貯蔵システムは、車両と統合されるように構成されてよく、独自に構成されてよいカスタム形状および構成にさらに対応することができる。
【0025】
一実施形態において、フレーム構造102は、例示的には鉱物シートである底面104を含む。底面は、バッテリセルの熱暴走の場合に底面が低い背圧で破れるように、比較的薄くかつ機械的に脆くなるように選択または構成することができる。底面は、高速ガスの浸食に対して機械的に安定であってよく、セルアレイを有害な対流熱伝達から保護するために、高い溶融温度および高い耐熱性を示す材料で作られてよい。底面の内側部分は、例示的には、接着によって保持されるセルアレイの整列のために比較的平面状または平坦であるとともに、電気相互接続部の製造時に箔-端子間のギャップを押しつぶすために必要な押さえ力に効果的に反応するように、荷重下での変形が少ない。いくつかの実施形態において、底面を、車両または他の構造への連続的な取り付けをもたらすように形成または波形にすることができる。さらに、底面は、物理的侵入を低減し、あるいはセルの歪みを分散させるために、バッテリベースプレートのための支持またはエネルギー吸収をもたらすことができ、バッテリシステムコンポーネントの合計質量の低減をもたらすことができる。いくつかの実施形態において、畝付きの底面トレイを、セルの通気容積をポッティング樹脂の進入から閉鎖することによってバッテリフロアへの直接的な樹脂の機械的結合を可能にする「負の幾何学的形状」で置き換えてもよい。またさらなる実施形態において、畝付きの底面をハニカムサンドイッチパネルによって完全に置き換えてもよい。
【0026】
フレーム構造102の一部分は、ハイドローリックインターフェースが位置する横フレーム構造に対応する1つ以上の成形エンドキャップまたは側面106、108をさらに含むことができる。側面106、108を、熱および取り付けインターフェースの周りの低コストかつ幾何学的に寛容な封止のために構築/構成することができる。側面106、108は、超音波または熱によって固定される電気端子バスバーの保持のための特徴を含むことができる。いくつかの実施形態において、側面106などの一方の側面が、エネルギー貯蔵システム100の正端子コネクタに対応するコンポーネントまたはインターフェースを含むことができる一方で、他方の側面108は、エネルギー貯蔵システムの負端子コネクタに対応するコンポーネントまたはインターフェースを含むことができる。別の実施形態においては、側面を使用して、機能電子機器を位置決めおよび拘束することができる。
【0027】
フレーム構造102は、フレーム構造の残りの垂直に配向された面に対応する1つ以上の表面110、112をさらに含むことができる。側面110、112は、接着樹脂をせん断および剥離荷重にて係合させるためのワッフルパターンを有する成形されたエンジニアリンググレードの充てんまたは非充てんプラスチックマウントに対応することができる。側面110、112は、超音波または熱で固定される電子機器/PCBAのための特徴、および統合される熱計器のためのアクセスポートをさらに含むことができる。側面110、112は、フレーム構造102に対するセルアレイの位置決めをさらに含むことができる。さらに、セルアレイの正端子および負端子が同じ平面に対応するいくつかの実施形態においては、セルアレイおよび感知電子機器への電気的接続のためのインターフェースが、平面が側面110、112と交差するレベルに位置する。1つ以上の電気相互接続部116が、例示の目的で側面106および110に取り付けられているものとして示されている。一実施形態において、相互接続部116は、上面の整列に基づいて実質的に水平面を形成する個々のセル132との電気的接続を行うことができるように、側面に取り付けられる。これは、図4にも示されている。
【0028】
いくつかの実施形態において、フレーム構造を、フレーム構造102と統合されてよく、あるいはフレーム構造に取り付けられる別のコンポーネントであってよい蓋120と関連付けることができる。蓋120は、熱可塑性シート、鉱物シート、または電気的に絶縁された金属シートに対応することができる。蓋は、樹脂を封止するための軟質発泡外周シール、ならびに組み立て時にシールの位置合わせを助けるための成形または形成された外周壁を含むことができる。いくつかの実施形態において、蓋は、セル/電子機器とバッテリエンクロージャとの間の誘電体絶縁バリアとして機能することができる。さらに、蓋120は、吸引リフトのためのキャンインターフェースを提供することができる。蓋120は、例示的には、樹脂材料(例えば、ポッティング材料)の上面の設定された厚さを捕捉し、熱暴走の際に熱バリアを提供する材料で構成または構築されてよい。蓋120は、型抜きされてよく、あるいは形成された後に型抜きされてよい。いくつかの実施形態においては、蓋120を、距離による電気的絶縁を提供しつつ、上側の酷使のための剛体材料スタックを導入することなくバッテリカバーへの直接結合を可能にするために、格子またはワッフルパターンによって置き換えることができる。またさらに、他の実施形態においては、蓋120を完全に取り除き、下方に位置する潜在的セルアレイの直接樹脂結合を可能にするバッテリエンクロージャの上部カバーへの誘電体コーティングまたはライニングの適用によって置き換えることができる。
【0029】
さらなる実施形態において、一体型バッテリパックは、一体型バッテリパックが必ずしも車両構造に直接的に統合されないが、車両のための支持をもたらすように、追加のフレーム構造に収容されてよい。この点に関し、複数の個々のバッテリパックを車両に設けることができる。車両は、さらなる支持のために、バッテリパックに加えて追加の支柱または支持構造をさらに含むことができる。例えば、車両部分が、一体型バッテリパックの組の幅と交差し、あるいは一体型バッテリパックの組と平行な支柱を含むことができる。追加の支柱または支持構造を、前部または後部座席の組などの車両に関連する追加のコンポーネントのための追加の支持を提供するように構成することができる。別の例において、支持支柱を、車両からの他のコンポーネント、乗客、または荷重によって加わる圧縮、引張、ねじり、せん断、または曲げ応力に反応し、あるいはこれらを吸収するために、車両の1つ以上の側面に組み込むことができ、あるいは一体型バッテリパックの組に隣接させて組み込むことができる。追加の支柱および一体型バッテリパックの組の幾何学的形状は、追加のコンポーネントを配置するために車両の比較的平坦な下面を呈するように選択されてよい。一体型バッテリパックの実装およびセルアレイに利用され得るポッティング材料に応じて、以下で説明されるように、このような支柱または他の支持構造は必要でない場合があり、随意であると考えることができ、あるいは完全に除去されてよい。
【0030】
・例示的なセルアレイ
引き続き図1Bを参照すると、エネルギー貯蔵システムは、セルアレイ130をさらに含むことができる。セルアレイ130は、複数の個々のセルを含むことができ、個々のセルは、矩形または円柱形の小さいフォームファクタまたは大きいフォームファクタであってよい。当業者であれば、円柱形および矩形のセル以外に、さらなる形状または別の形状も利用できることを、理解できるであろう。さらに、いくつかの代案の実施形態において、異なる形状のセルからなるセルアレイを組み込むことも可能であってよい。図2Aおよび図2Bが、セルアレイ130などのセルアレイに利用される個々のセル132の2つの視点を示している。図1Bに戻ると、セルのグループ132は、共通の配向にて並べられたモジュールまたはアレイとして配置されもよい。他の実施形態においては、セルの直列グループが、交互または互い違いの配向のモジュールとして配置されてよい。
【0031】
一実施形態において、個々のセルのすべての正および負のセル端子は、セルのアレイに対して共通の平面方向に整列する。例えば、図2Aおよび図2Bに示されるように、個々のセルの各々は、正端子132Aおよび負端子132Bを、両方の端子表面が実質的に同様の水平面上に位置するように、セルの上面に含むことができる。そのような共通の平面方向、または実質的な平面方向は、電力供給、直列電圧感知、およびセルアレイ用の電気端子インターフェースの包含に必要な共通平面に沿った一次および二次電気的相互接続を容易にする。さらに、電気コネクタまたはインターフェースを、フレーム構造102の壁に組み込むことができる。
【0032】
一実施形態において、誘電体スリーブが、各々のセル134の円柱形の側面を実質的に取り囲むように、個々のセル134(図2Aおよび図2B)の外面に予め適用される。セルは、意図的に間隔が空けられても、あるいは直接接触(最大の充てん密度)させられていてもよい。側面134の誘電体セルスリーブの使用は、体積エネルギー密度を向上させ、内部空隙容積を少なくするように機能することができ(これにより、構造的に充てんされたモジュール構成のコスト、ひいては質量が低減される)、結果として、誘発され、あるいは誘発されていない熱暴走からの熱エネルギーのバランスのとれた拡散を促進することによって、モジュールまたはパックレベルの安全事象への伝播の可能性を低減することができる。誘電体セルスリーブは、用途特有の性能のために、隣接するコンポーネントを電気または熱伝導性材料で製作することも可能にする。
【0033】
セルアレイ130を、液体および/または気体によって、1つ以上の面において、受動的または能動的に冷却することができる。一実施形態において、セルは、個々のセルアレイの間に設けられた間隔136(図4)に配置される熱コンポーネント138を利用して、湾曲した側面インターフェースにおいて冷却される。この態様において、セルアレイの配置は、熱コンポーネント138と個々のセル132の側面との接触をもたらす間隔を形成するように構成される。湾曲した側面インターフェースを冷却することにより、圧力ベントおよび電気端子セル機能を個々のセル132の反対向きの/独立した平坦面に存在させることが可能になり、車両製品にパッケージングすることができるセル容器の高さが最大化され(活物質のコストオーバーヘッドの利益)、熱インターフェースがエネルギー貯蔵システム100の直列負荷および熱漏洩経路の外側に配置される。さらに、側面冷却アーキテクチャをパッケージするために生成された熱管理コンポーネント138によって生成された結果としての冷却チャネルは、製造充てんプロセスにおける構造樹脂のクロスフローのための経路も提供する。熱管理コンポーネント138は、密封樹脂容器の一部として、あるいは容器への導入に先立ってセルアレイの一部分に直接、予め組み立てられてよい。一実施形態において、熱管理コンポーネント138の形状は、セルを製品内に正確に位置させるように選択され、この好ましい位置を凍結すると同時に、セル活物質と熱管理システムとの間の熱伝導率の全体的な大きさおよび変動レベルを改善するために、接着剤が導入される。
【0034】
例示的には、熱管理コンポーネント138は、金属またはプラスチックであってよい冷却チューブまたはプレート材料に対応することができる。熱管理コンポーネント138の形態は、最も低い熱抵抗を最高精度のセル位置に対して取り引きするためにU字形またはV字形であってよい。熱管理コンポーネント138のチューブ押し出しを、部品品質欠陥の存在におけるセル位置精度の改善に加えて、同一のセルグリッド幾何学的オーバーヘッドにおける圧力降下および熱抵抗の改善を達成するために、押しつぶすことができる。またさらに、得られる冷却チャネルマニホールドを、並列チャネルの長さの不一致に起因する流れの不均衡の影響を相殺するために鏡像反転させることができる。
【0035】
一実施形態において、各々の冷却チャネル内に、「U-FLOW」としても知られる分離された「供給」および「戻り」セクションが存在し、これを使用して、電流バランスおよび過充電温度制限を介して性能に悪影響を与える熱誘起並列内ブリック電圧勾配を崩壊させることができる。「U-FLOW」構成を、セルアレイの単一の側面に沿ってかさばるコンポーネント/インターフェースをまとめ/より効率的に入れ子にすることによって、セルアレイオーバーヘッドパッケージング容積を低減するために使用することもできる。セルアレイの共通面にハイドローリックインターフェースをまとめることの別の利点は、樹脂容器に含まれる封止インターフェース(潜在的な漏れ地点)の削減であり、結果として、近傍の測定および検知電子コンポーネントのパッケージングも容易にすることができる。
【0036】
交互配向セルを有する実施形態において、冷却チャネル138の端部を、図3にも示される検知および測定電子機器への相互接続のために下側電圧ブリック箔シート140を上方に架橋する電気的に絶縁された導体を取り付けるためのインターフェースとして使用することができる。導電性箔シート140は、エネルギー貯蔵ユニットを直列および並列に相互接続し、用途によって要求される抵抗加熱、電流バランス、および質量/コスト/製造方法を満たすための単一または種々のゲージであってよい。一次導電性箔シート140を、N+1個の個別のセクションに分解または編成することができ、Nはエネルギー貯蔵アレイの直列セル数である。各々のセクションは、1つの並列セルセクションの負端子を後続の並列セルセクションの正端子に結合させる。個別のセクションは、個別に追加されても、積層プレアセンブリの一部として追加されてもよい。直列電圧構築の方向は、冷却流体の流れの方向に対して平行または垂直、あるいはこれら2つの何らかの組み合わせであってよい。複数の導電性箔シート140が実装される場合(例えば、交互セル配向アーキテクチャにおいて)、箔シートをセルアレイアセンブリの2つ以上の面に設置することができる。箔シート140を、本明細書において説明されるように、セルアレイアセンブリの面に設置することができる。
【0037】
一実施形態において、事前組み立てを、導電性材料の単一の箔シートとして開始し、N+1個の個別のセクションを作成するためにプロセス中に分離することができる。一次導電性箔シートを形成する個別のプレートを、延長部または統合されたトレースを介して電圧検知電子機器に直接接続することができる。代わりに、導電性箔シートの第2の層を追加して、この機能を達成してもよい。その後に、一次導電性箔シートはレーザ溶接され、セル、検知電子機器、および正/負のアレイ端子との電気的接続が生成される。例示的には、箔設計は、抵抗損失を低減し、あるいは専用の製造手直し位置として役立つように、端子ごとに複数の並列タブを含むことができる。さらに、箔タブを、電気相互接続部の品質検証のための固定具および試験プローブを押さえつけることを考慮して、オーバーサイズにすることができる。
【0038】
箔またはタブのプロファイルを、製品の幾何学的形状およびセルアレイのレイアウトに起因する電流の不均衡を緩和するために局所的に変化させることができる。一次導電性箔シートは、セルまたはアレイレベルの電気ヒューズ機能(アーク放電を抑えるために樹脂または鉱物シートによって封入される)をすっきりと取り入れることができ、あるいは、これを追加のコンポーネントで達成することができる。導電性箔シートの設計は、製造時の構造樹脂材料の均一な排出および充てんに対応するための穿孔を含む。一実施形態において、導電性箔シートは、相互接続動作のために同時に位置合わせされる個別の部品/アセンブリのスパンを低減するために、熱アセンブリにサイズが正確に整合される。さらに、導電性箔シートおよび冷却コンポーネントのサイズを整合させることにより、それらを、樹脂容器への導入および直列電圧スタックを協働して形成する隣接するサブアセンブリへの相互接続の前に、上側および下側セル表面にアクセス可能な高精度のサブアセンブリとして互いに接合することが可能になる。直列電気チェーンを、これらのより小さい箔層を互いに瓦状に重ねることによって生成することができ、あるいは追加の電気架橋箔シートを上に積層することによって生成することができる。この実施形態は、セルアレイ導体に可能な限り低い電流密度をもたらし、迅速な構造樹脂充てんのための反復する細長いドレインチャネルをすっきりと取り入れ、これは、比較的小さいセルユニットサイズ(例えば、18650)を利用するエネルギー貯蔵製品にとってとくに有益である。
【0039】
・例示的な温度および制御電子機器
電圧/温度検知および制御電子機器を、側面110、112、104、106などのエネルギー貯蔵システム100の任意の面に取り付けることができる。一実施形態において、電子機器は、セルアレイの側面に沿って取り付けられた1つ以上のロングフォーマットPCBAで構成され、表面110、112の傍らに統合された電圧および温度感知点を有する。この配置は、別個の電圧感知ハーネスの必要性を排除し、最も外側の熱アセンブリに沿った最初および最後のセルへの温度センサアクセスを与える。別の実施形態において、PCBA電子機器は、一次導電性箔およびセル端子と同一面内に取り付けられる。さらに別の配置において、PCBA電子機器は遠隔に取り付けられ、レーザ溶接および/またはコネクタを介し、長いアルミニウムまたは銅の電圧感知ハーネスによって接続される。後者の配置は、追加のコンポーネントおよびプロセスステップをもたらすが、最も体積密度の高いパッケージングおよび最も全体的な材料コスト/質量の少ない解決策を提供する。随意により、長い電圧感知ハーネスは、箔シート140の導電性材料プロファイルに直接統合されてもよい。
【0040】
・例示的な樹脂/ポッティング材料
樹脂材料は、いくつかの実施形態において、製品フレーム全体に加えて、(1)熱的保護ならびに(2)セルおよびセルアレイの構造的支持を提供するように設計される。上述の実施形態は、せん断、曲げ、およびねじりに関与することができる幾何学的に堅い複合ハニカムセルアレイ構造を形成することによって所与の製品の全体的なコスト、質量、体積、および製造オーバーヘッドを低減する。樹脂組成物は、電気的に絶縁性でなければならず、組成において純粋なポリマー材料であってよく、あるいは低密度、耐火性、および吸熱燃焼特性の何らかの組み合わせを示す添加材が充てんされてもよい。ポリマー材料を、バッテリ内の最終密度を低下させるために発泡させてもよい。
【0041】
樹脂特性を、熱伝導率、耐炎性、硬化およびレオロジー特性、未使用または経年の機械的応答、密度および熱質量、全体的なコストのカテゴリーにおける特性の増減を提供するように調整することができる。セルアレイ内の樹脂材料の体積カバレッジは、電気ヒューズアーク抑制に加えて、伝導、対流、および放射バリアとして機能するように慎重に調整される。間隙セルアレイ空間は、製品要件に応じて、部分的または完全に満たされてよい。セルアレイの上方および下方の樹脂層は、サンドイッチパネル構造で一般的に見られるように、高い機械的能力の比較的低ゲージの連続スキンに直接結合することができる。樹脂層を局所的または全体的に増加させて、幾何学的断面を追加したり、上面または下面の乱用事例からの衝撃減衰および保護を改善したり、かつ/または活物質と熱暴走通気チャネルとの間の熱抵抗を強化したりすることができる。
【0042】
樹脂特性は、一般に、化学的性質、充てん材、およびプロセス要件の範囲内で調整可能である。これらの特性は、熱伝導率、耐炎性、硬化およびレオロジー特性、初期または経年の機械的応答、密度および熱質量、および全体的なコストのカテゴリーに分類される。例示として、樹脂特性を、耐熱性および難燃性、引張弾性率、伸び、降伏強度、接着せん断強度、混合粘度、取り扱い時間、および密度のうちの1つ以上を考慮して構成または選択することができる。当業者であれば、上記のバランスのとれた一連の特性を達成する多数の樹脂配合物が存在することを、理解できるであろう。各々のバッテリアレイアーキテクチャは、変形形態、修正形態、およびポッティング形状を必要とする場合があり、任意の特定の実施形態において複数の樹脂を利用することができる。この樹脂の調整可能性は、構造エネルギー貯蔵セルアレイへのアプローチにおいて柔軟性を提供する。
【0043】
・電動車両との例示的な統合
一実施形態において、図5が、エネルギー貯蔵システム100の個々のモジュールであると考えられる複数のバッテリ構造102A、102B、102C、102Dの分解図を示している。複数のバッテリ構造は、底部502および上部504を有するより大きなエンクロージャ500内に吊り下げられる。図5に示されるように、車両600は、車両600およびバッテリ構造102A、102B、102C、102Dに支持を提供するために利用されるいくつかの取り付け支柱702Aおよび702Bを含む。上部504は、バッテリ構造102A、102B、102C、102Dに直接結合でき、座席などの車両の他のコンポーネントに機械的に係合することができる。上部504は、乗客のための車両のフロア構造として機能することができる。図6Aおよび図6Bが、車両600のフレーム内のエンクロージャ500の取り付けを示している。図7Aが、フレーム600内のエンクロージャ500の上面図を示している。図7Bが、複数のバッテリ構造102A、102B、102C、102Dを示す車両600およびエンクロージャ500の横断面図を示している。この実施形態において、支柱702Aおよび702Bは、車両600に追加の質量を加え、本来であればさらなるセルアレイのために利用することができる追加の空間を占有する。またさらに、各々の個々のバッテリ構造102A、102B、102C、102Dは、車両への取り付け、または別個のエンクロージャ内への固定を必要とする。
【0044】
別の実施形態において、個々のバッテリ構造は完全に排除され、冗長構造を強固にし、所与のアセンブリ内のコンポーネントの総量を削減するために、セルアレイとエンクロージャが直接組み合わせられる。図8が、エネルギー貯蔵システム100であると考えられる単一のバッテリ構造102Eの分解図を示している。セルアレイ102Eは、底部802および上部804を有するより大きなエンクロージャ800に直接取り付けられる。上部804は、バッテリ構造102Eに直接結合でき、座席などの車両の他のコンポーネントに機械的に係合することができる。上部804は、乗客のための車両のフロア構造として機能することができる。図9Aおよび図9Bが、車両900のフレーム内のエンクロージャ800の取り付けを示している。図10Aが、フレーム900内のエンクロージャ800の上面図を示している。図10Bが、単一のバッテリ構造102を示す車両900およびエンクロージャ800の横断面図を示している。車両600(図7Aおよび図7B)と比較すると、車両900は、追加の支柱を必要とせずに単一の統合されたバッテリ構造102Eを含む。これは、(セルおよびセルアレイの配向に応じて)バッテリ構造102Eがセルアレイまたは追加のセルアレイに追加のセルを取り入れるための追加の空間を提供する。これは、車両の全体的な質量の削減、およびエネルギー貯蔵容量を改善するために追加のセルを組み込むための追加の容積の提供など、車両900の性能を改善することができる。さらに、バッテリ構造は、例示的には、902および904に示される統合されたバッテリ構造の周囲において車両900に係合する。周囲において取り付けられたエンクロージャ800だけで、別個の客室フロアコンポーネントが不要であるようなやり方で、車体の開いた底面が閉じられる。車両600および900の両方の客室フロアは、環境シーリングAND、ならびに効率的な機械的構造を形成し、他の車両コンポーネント(例えば、座席およびクラッシュ構造)と機械的に係合する幾何学的断面において機能する。
【0045】
以上の開示は、本開示を開示された正確な形態または特定の使用分野に限定することを意図していない。したがって、本明細書に明示的に記載されているか、あるいは暗示されているかにかかわらず、本開示に対するさまざまな代替の実施形態および/または修正が、本開示に照らして可能であると考えられる。このように本開示の実施形態を説明してきたが、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、形態および詳細において変更を行うことができることを理解できるであろう。したがって、本開示は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0046】
以上の明細書において、本開示を特定の実施形態を参照して説明した。しかしながら、当業者であれば理解できるとおり、本明細書に開示された種々の実施形態は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな他のやり方で修正または実施することが可能である。したがって、この説明は、例示と見なされるべきであり、開示されたエアベントアセンブリの種々の実施形態を製作および使用するやり方を当業者に教示する目的のためのものである。本明細書に示されて説明された開示の形態が、代表的な実施形態として解釈されるべきであることを理解されたい。本明細書に代表的に示されて説明された要素、材料、プロセス、またはステップを、同等の要素、材料、プロセス、またはステップで置き換えることが可能である。さらに、本開示の特定の特徴は、いずれも本開示のこの説明の利益を得た後に当業者にとって明らかになるように、他の特徴の使用とは無関係に利用することが可能である。本開示を説明および特許請求するために使用される「・・・を含む」、「・・・を備える」、「・・・を取り入れる」、「・・・からなる」、「・・・を有する」、「・・・である」、などの表現は、非排他的なやり方で解釈され、すなわち明示的には記載されていない項目、コンポーネント、または要素も存在してよいことを意図している。単数形への言及は、複数形にも関連すると解釈されるべきである。
【0047】
さらに、本明細書に開示された種々の実施形態は、例示および説明の意味で解釈されるべきであり、決して本開示を限定するものと解釈されるべきではない。すべての結合についての言及(例えば、取り付け、固定、結合、接続、など)は、読者の本開示の理解を助けるためにのみ使用され、とくには本明細書に開示されるシステムおよび/または方法の位置、配向、または使用に関して、限定を生じさせるものではない。したがって、結合についての言及が存在する場合、それらは広く解釈されるべきである。さらに、そのような結合についての言及は、必ずしも2つの要素が互いに直接接続されることを意味しない。さらに、これらに限られるわけではないが「第1」、「第2」、「第3」、「一次」、「二次」、「主」、などのすべての数値用語、あるいはあらゆる他の順序および/または数値の用語も、本開示のさまざまな要素、実施形態、変形例、および/または修正例の読者の理解を助けるための識別子としてのみ解釈されるべきであり、とりわけ何らかの要素、実施形態、変形例、および/または修正例の別の要素、実施形態、変形例、および/または修正例に対する順序または優先に関するいかなる限定も生じさせない。
【0048】
さらに、個々の用途に応じて有用であるとおりに、図面/図に示された要素のうちの1つ以上を、より分離された様相またはより統合された様相で実施することも可能であり、あるいは特定の場合には除去し、あるいは機能しないようにすることさえも可能であることを、理解できるであろう。
条項1.
一体型バッテリコンポーネントであって、
複数のセルアレイであって、個々のセルアレイは、複数の円柱形セルを含んでおり、前記複数の円柱形セルは、前記バッテリアレイが円柱形セルの列を形成するように共通の配向にて配置されている、複数のセルアレイと、
前記複数のセルアレイに近接して形成された冷却チャネルと、
樹脂化合物で形成され、前記複数のセルアレイを取り囲み、前記一体型バッテリコンポーネントに構造的支持および熱的保護をもたらすポッティング材料と、
前記複数の円柱形セルアレイを支持するための底面と、
前記複数のセルアレイを支持するための蓋と
を備える、一体型バッテリコンポーネント。
条項2.
個々のセルアレイにおける円柱形セルの前記列は、各々の個々の円柱形セルの上面が整列するように配置されている、条項1に記載の装置。
条項3.
複数のセルアレイは、前記複数のセルアレイの前記円柱形セルの上面に沿った実質的に水平な平面を形成している、条項2に記載の装置。
条項4.
各々の個々の円柱形セルの前記上面は、正および負の端子を呈する、条項2に記載の装置。
条項5.
1つ以上の側面をさらに備える、条項3に記載の装置。
条項6.
車両への接続のための一式の電気相互接続部をさらに備え、前記一式の電気相互接続部は、前記円柱形セルの上面に沿う実質的に水平な平面に対応するレベルにおいて、前記1つ以上の側面のうちの少なくとも1つに取り付けられる、条項5に記載の装置。
条項7.
前記複数のセルアレイの個々の円柱形セルへの電気的接続をもたらす箔シートをさらに備える、請求項6に記載の装置。
条項8.
前記複数のセルアレイの個々の円柱形セルは、側面を取り囲む誘電体スリーブを含む、条項1に記載の装置。
条項9.
前記複数のセルアレイは、前記セルアレイの間に最小限の間隔を形成するように構成され、前記冷却チャネルは、前記複数のセルアレイの間の前記最小限の間隔に形成されている、条項1に記載の装置。
条項10.
前記冷却チャネルは、前記冷却チャネルを通る冷却流体をもたらすためのマニホルドを備える、条項8に記載の装置。
条項11.
前記マニホルドは、前記冷却流体の入力に対応する第1の部分と、前記冷却流体の出力のための第2の部分とをもたらすように構成される、条項9に記載の装置。
条項12.
前記蓋は、前記複数のセルアレイと車両との間の熱バリアを形成する、条項1に記載の装置。
条項13.
前記一体型バッテリコンポーネントを取り囲む外部構造をさらに備える、条項1に記載の装置。
条項14.
一体型バッテリコンポーネントであって、
車両と、
一体型バッテリコンポーネントと
を備えており、
前記一体型バッテリコンポーネントは、
複数のセルアレイであって、個々のセルアレイは、共通の配向にて配置された複数のセルを含んでいる、複数のセルアレイと、
前記複数のセルアレイに近接して形成された冷却チャネルと、
樹脂化合物で形成され、前記複数のセルアレイを取り囲み、前記一体型バッテリコンポーネントに構造的支持および熱的保護をもたらすポッティング材料と、
前記複数のセルアレイを支持するための底面と、
前記複数のセルアレイを支持および保護するための上面と
を備え、
前記一体型バッテリコンポーネントは、前記車両と統合され、前記車両のための構造支持面を提供する、一体型バッテリコンポーネント。
条項15.
前記複数のセルは、円柱形セルまたは矩形セルの少なくとも一方に対応し、前記複数のセルアレイの前記共通の配向は、各々の個々のセルの上面が整列するように配置されたセルの列を含む、条項13に記載のシステム。
条項16.
複数のセルアレイは、前記複数のセルアレイの前記セルの上面に沿った実質的に水平な平面を形成している、条項13に記載のシステム。
条項17.
各々の個々のセルの前記上面は、正および負の端子を呈する、条項15に記載の装置。
条項18.
1つ以上の側面をさらに備える、条項15に記載のシステム。
条項19.
車両への接続のための一式の電気相互接続部をさらに備え、前記一式の電気相互接続部は、前記複数のセルの上面に沿う前記実質的に水平な平面に対応するレベルにおいて、前記1つ以上の側面のうちの少なくとも1つに取り付けられる、条項17に記載のシステム。
条項20.
前記複数のセルアレイの個々のセルへの電気的接続をもたらす箔シートをさらに備える、条項14に記載のシステム。
条項21.
前記複数のセルアレイは、前記セルアレイの間に最小限の間隔を形成するように構成され、前記冷却チャネルは、前記複数のセルアレイの間の前記最小限の間隔に形成されている、条項13に記載のシステム。
条項22.
前記一体型バッテリコンポーネントを取り囲む外部構造をさらに備える、条項13に記載のシステム。
条項23.
前記車両に追加の構造的支持をもたらすために前記一体型バッテリコンポーネントに並べて配置された少なくとも1つの支持支柱をさらに備える、条項22に記載のシステム。
条項24.
前記一体型バッテリコンポーネントは、前記一体型バッテリコンポーネントの周囲において前記車両に取り付けられる、条項13に記載のシステム。
条項25.
一体型バッテリコンポーネントであって、
複数のセルアレイであって、個々のセルアレイは、複数の円柱形セルを含んでおり、前記複数の円柱形セルは、各々の個々のセルの上面が整列するように、前記円柱形バッテリアレイがセルの列を形成するように共通の配向にて配置されており、複数のセルアレイは、前記複数のセルアレイの前記セルの前記上面に沿った実質的に水平な平面を形成している、複数のセルアレイと、
前記複数のセルアレイに近接して形成された冷却チャネルと、
樹脂化合物で形成され、前記複数のセルアレイを取り囲み、前記一体型バッテリコンポーネントに構造的支持および熱的保護をもたらすポッティング材料と、
前記複数のセルアレイを支持および保護するための底面と、
前記複数のセルアレイを支持および保護するための上面と
を備える、一体型バッテリコンポーネント。条項26.
各々の個々のセルの前記上面は、正および負の端子を呈する、条項24に記載の装置。
条項27.
1つ以上の側面と、車両への接続のための一式の電気相互接続部とをさらに備え、前記一式の電気相互接続部は、前記セルの上面に沿う実質的に水平な平面に対応するレベルにおいて、前記1つ以上の側面のうちの少なくとも1つに取り付けられる、条項24に記載の装置。
条項28.
前記複数のセルアレイの個々のセルへの電気的接続をもたらす箔シートをさらに備える、条項24に記載の装置。
条項29.
前記複数のセルアレイは、前記セルアレイの間に最小限の間隔を形成するように構成され、前記冷却チャネルは、前記複数のセルアレイの間の前記最小限の間隔に形成されている、条項24に記載の装置。
条項30.
前記一体型バッテリコンポーネントを取り囲む外部構造をさらに備える、条項24に記載の装置。
条項31.
前記複数のセルは、円柱形セルまたは矩形セルの少なくとも一方に対応する、条項24に記載の装置。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B