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特許7598386イーサネットケーブルを介した電力供給の管理
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】イーサネットケーブルを介した電力供給の管理
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/10 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
H04L12/10
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022567123
(86)(22)【出願日】2021-05-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2021061952
(87)【国際公開番号】W WO2021224371
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2024-03-18
(31)【優先権主張番号】BE2020/5306
(32)【優先日】2020-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522428232
【氏名又は名称】エコグリーン ソフト エスピーアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラルマン,ザビエル
(72)【発明者】
【氏名】エメリク,オリヴィエ
【審査官】宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-281628(JP,A)
【文献】特開2004-215086(JP,A)
【文献】特開2009-260407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00-69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イーサネットデバイス(11、12、13)への電力供給を管理する方法(1000)であって、各イーサネットデバイス(11、12、13)は、イーサネットデバイス(11、12、13)及び識別子(21、22、23)の第1のリスト(105)を記憶しているメモリを備える管理システム(50)に接続された、イーサネットケーブル(1、2、3)によって電気的に電力を供給されており、前記第1のリスト(105)によって前記イーサネットデバイス(11、12、13)を前記識別子(21、22、23)にマッピングしており、前記方法は、
-前記管理システム(50)が、前記識別子(21、22、23)のうちの1つ(125)を指定できるようにする入力情報(115)を受信するステップ(110)と、
-前記管理システム(50)が、前記第1のリスト(105)に基づいて、前記指定された識別子(125)に対応する前記イーサネットデバイス(135)を特定するステップ(120)と、
-前記管理システム(50)が、前記特定されたイーサネットデバイス(135)に給電している前記イーサネットケーブルへの電流を遮断するステップ(130)か、又は電流を再導通させるステップ(140)と、を含み、
前記識別子(21、22、23)のうちの前記少なくとも1つを指定できるようにする前記入力情報(115)を受信する前記ステップ(110)が、前記イーサネットデバイス(11、12、13)及び前記管理システム(50)とは別個であり、前記識別子(21、22、23)のうちの1つに対応するユーザデバイス(31、32a)備える入力システム(30)を使用した操作によって開始され、前記入力情報(115)が、前記操作に使用される前記ユーザデバイス(31、32a)示しており、
前記ユーザデバイス(31、32a)を使用した前記操作が、ユーザデバイスリーダ(35)による読取りであり、
前記ユーザデバイス(31、32a)が測位装置を備え、また前記入力情報(115)を前記受信するステップ(110)を開始する前記操作が、前記ユーザデバイス(31、32a)の所定のエリア内での測位であることを特徴とする、
イーサネットデバイス(11、12、13)への電力供給を管理する方法(1000)。
【請求項2】
前記操作が、前記ユーザデバイス(31、32a)を使用するユーザによって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のリスト(105)を決定するステップ(100)を含み、前記第1のリスト(105)を決定する該ステップ(100)が、好ましくは、各ユーザが前記識別子(21、22、23)のうちの1つに対応するユーザ(41、42、43)のリスト(405)を受信するステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記入力情報(115)により、前記イーサネットケーブルへの前記電流を遮断するステップ(130)を開始すべきか、又は前記電流を再導通させるステップ(140)を開始すべきかを判定できるようになる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ユーザデバイス(31、32a)が時計装置を備え、及び前記受信するステップ(110)を開始する前記操作が、前記イーサネットケーブルへの前記電流を再導通させるステップ(140)を開始する出勤時間を打刻すること、又は前記イーサネットケーブルへの前記電流を遮断するステップ(130)を開始する退勤時間を打刻することである、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のリスト(105)によって前記識別子(73)のうちの少なくとも1つを複数のイーサネットデバイス(63a、63b)にマッピングしており、また、前記識別子(73)のうちの前記少なくとも1つを指定できるようにする入力情報(115)を前記受信するステップ(110)により、前記指定された識別子(73)に対応するすべての前記イーサネットデバイス(63a、63b)に給電している前記イーサネットケーブルへの前記電流を遮断するステップ(130)、又は前記電流を再導通させるステップ(140)を開始する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のリスト(105)によって、複数の識別子(71a、71b)を前記イーサネットデバイス(61)のうちの少なくとも1つにマッピングしている、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記入力情報(115)により、前記指定された識別子(125)が第1の状態にあるか、又は第2の状態にあるかを更に判定することができ、前記識別子(71a、71b)のうちの少なくとも一方が前記第1の状態にあるとき、前記特定されたイーサネットデバイス(73)に給電している前記イーサネットケーブルへの前記電流を再導通させるステップ(140)が開始され、及びすべての前記識別子(71a、71b)が前記第2の状態にあるとき、前記特定されたイーサネットデバイス(61)に給電している前記イーサネットケーブルへの前記電流を遮断するステップ(130)が開始される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記イーサネットデバイス(11、12、13)のうちの少なくとも1つが、電話であり、自動銀行窓口機であり、アンテナであり、対話型端末装置であり、画面であり、プリンタであり、カメラであり、又はドッキングステーションである、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記イーサネットケーブル(1、2、3)の一方が前記イーサネットデバイス(11、12、13)に接続されており、他方が管理システム(50)のポート、例えば前記管理システム(50)のネットワークスイッチ(52)のポートに接続されており、前記電流を遮断するステップ(130)が、前記特定されたイーサネットデバイス(135)に給電している前記イーサネットケーブルに接続された、前記ポートを閉鎖することによって実行され、及び前記電流を再導通させるステップ(140)が、前記特定されたイーサネットデバイス(135)に給電している前記イーサネットケーブルに接続された、前記ポートを開放することによって実行される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
イーサネットデバイス(11,12,13)への電力供給を管理するシステム(500)であって、各イーサネットデバイス(11,12,13)が、イーサネットデバイス(11,12,13)及び識別子(21,22,23)の第1のリスト(105)を記憶しているメモリを備える管理システム(50)に接続された、イーサネットケーブル(1,2,3)によって電気的に電力が供給されており、前記第1のリスト(105)が前記イーサネットデバイス(11,12,13)を前記識別子(21,22,23)にマッピングする、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成された手段を備えているシステム。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法のステップを請求項11に記載のシステム(500)に実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムが記録されたコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イーサネットによる電力供給、即ちPoEと呼ばれる、イーサネットデバイスのイーサネットケーブルを介した電力供給の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
イーサネットケーブルによって電力を供給する場合、イーサネットケーブル1本のみを使用して電力を供給したり、イーサネットデバイスとデータを交換したりできるようになる。
【0003】
特許文献1には、イーサネットケーブルによって給電されるデバイスに対し、電力供給デバイスが電力を供給するシステムについて記載されている。電力供給デバイスは、被電力供給デバイスの電源オン/電源オフを制御している。
【0004】
特許文献2には、異なるタイプの端子がイーサネットを介して接続されているが、一部の端子には永続的に給電する必要があり(緊急時対応)、他の端子にはその必要がないというような性質の縦続回路網について記載されている。
特許文献3には、被電力供給デバイスと、電力供給デバイスと、電源管理モジュールとを備えるPoEシステムについて記載されている。電源管理モジュールは、電力供給デバイス内のイーサネット物理層と、電力供給モジュールとに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2016/029421号パンフレット
【文献】米国特許出願公開第2010/0217965号明細書
【文献】国際公開第2013/107015号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、消費電力を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、イーサネットデバイスへの電力供給を管理する方法であって、各イーサネットデバイスは、イーサネットケーブルによって電気的に電力を供給されており、本方法は、
-イーサネットデバイス及び識別子からなる第1のリストを決定するステップであって、第1のリストによってイーサネットデバイスを識別子にマッピングしている、ステップと、
-識別子のうちの1つを指定できるようにする入力情報を受信するステップと、
-第1のリストに基づいて、指定された識別子に対応するイーサネットデバイスを特定するステップと、
-特定されたイーサネットデバイスに給電しているイーサネットケーブルへの電流を遮断するか、又は電流を再導通させるステップと、を含む、方法を提案する。
【0008】
本発明は、具体的には、イーサネットデバイスへの電力供給を管理する方法であって、各イーサネットデバイスは、イーサネットデバイス及び識別子からなる第1のリストを記憶しているメモリを備える管理システムに接続された、イーサネットケーブルによって電気的に電力を供給されており、また第1のリストによってイーサネットデバイスを識別子にマッピングしており、本方法は、
-管理システムが、識別子のうちの1つを指定できるようにする入力情報を受信するステップと、
-管理システムが、第1のリストに基づいて、指定された識別子に対応するイーサネットデバイスを特定するステップと、
-管理システムが、特定されたイーサネットデバイスに給電しているイーサネットケーブルへの電流を遮断するか、又は電流を再導通させるステップと、を含み、
当該識別子のうちの少なくとも1つを指定できるようにする入力情報を受信するステップが、イーサネットデバイス及び管理システムとは別個であり、識別子のうちの1つに対応するユーザデバイス及び/又は電子カレンダ(electronic calendar)を備える入力システムを使用した操作によって開始され、当該入力情報が、操作に使用されるユーザデバイス又は電子カレンダを示していることを特徴とする、方法を提案する。
【0009】
特定されたイーサネットデバイスのイーサネットケーブルへの電流を遮断するステップの後、特定されたイーサネットデバイスに電流が一切導通しなくなるので、本発明に係る方法により、必要でないときに、特定されたイーサネットデバイスへの電力供給を完全に遮断できるようになる。このため、特定されたイーサネットデバイスは待機モードにはならないが、電力を一切授受しないために電源が完全にオフになる。結果的に、当該入力情報により、特定されたイーサネットデバイスの電力消費が完全に遮断されることになる。
【0010】
第1のリストにより、管理システムによって受信される入力情報と、遮断対象のイーサネットデバイスとの間のリンクが自動的に得られるようになる。即ち、第1のリスト内の各識別子は、管理システムに接続されたイーサネットデバイスのうちの少なくとも1つを識別する。その結果、当該入力情報により、第1のリスト内の識別子のうちの1つを指定し、したがって第1のリストを介して、オフ又はオンにすべきイーサネットデバイスを指定できるようになる。
【0011】
好ましくは、入力情報が、イーサネットデバイスの識別子のうちの1つに対応する、当該操作に使用されるユーザデバイス又は電子カレンダの識別子を含む。
【0012】
本発明に係る方法では、識別子のうちの1つに対応するユーザデバイス及び/又は電子カレンダを使用する操作により、例えば入力システムによる入力情報の送信が開始される。この入力情報は、操作に使用されるユーザデバイス又は電子カレンダを示すものである。したがって、管理システムはこの情報を受信すると、ユーザデバイス及び/又は電子カレンダをイーサネットデバイスのうちの1つにマッピングして、その特定されたイーサネットデバイスを接続しているケーブルへの電流を遮断するか、又は電流を再導通させることができる。
【0013】
本発明に係る方法では、入力システムを使用する操作が自動で行われてもよいし、又はユーザによって行われてもよい。入力情報を送受信するステップと、入力情報及び第1のリストに基づいてイーサネットデバイスを特定するステップと、対応するイーサネットケーブルへの電流を遮断又は再導通させるステップとが、好ましくは自動で行われる。
【0014】
ひとたびイーサネットデバイスが遮断された後は、本方法を用いて、入力情報に基づいて当該デバイスを自動的にオンに戻すことができる。
【0015】
本発明にあっては、すべてのイーサネットデバイスが自動的に遮断される(例えば、イーサネットデバイスがすべて、建物内の警報システムが作動する夕方に自動的に遮断されるため)こともあり得、また、入力情報が受信されると、再度オンに切り替わる(例えば、従業員が建物に到着する午前中に)こともあり得る。
【0016】
本発明は、電力消費量、ひいてはカーボンフットプリントを削減できるようにしている。加えて、WIFIアンテナなどのイーサネットデバイスへの電力供給を完全に遮断することによって、電磁波放射を低減することができる。
【0017】
本明細書で使用される場合、「イーサネットデバイス」は、イーサネットケーブルに接続され得ることで、当該デバイスへの電力供給が少なくとも部分的に、好ましくはすべてイーサネットケーブルによって確実に行われるような電気デバイスである。好ましくは、イーサネットケーブルにより、イーサネットデバイスがデータを更に送信かつ/又は受信できるようになる。
【0018】
イーサネットケーブルの一方はイーサネットデバイスに接続されており、他方は管理システムに接続されている。入力システムは管理システムとは別個であるため、イーサネットデバイスに給電しているイーサネットケーブルは、管理システムに物理的に接続されていない。入力システムはイーサネットデバイスとは別個であるため、その電力供給は、本発明に係る方法によって遮断又は再導通させることができない。
【0019】
一実施形態では、当該操作は、ユーザデバイスを使用するユーザによって実行される。
【0020】
一実施形態では、第1のリストは、管理システムに接続されたイーサネットケーブルをスキャンすることによって決定され、これにより、管理システムに接続されたイーサネットデバイスを特定する。当該スキャンが、好ましくは、セッション開始プロトコル(SIP:Session Initiation Protocol)を使用している。当該スキャンは、一日に数回実行され得る。
【0021】
一実施形態では、イーサネットケーブルの一方はイーサネットデバイスに接続されており、他方は管理システムのポート、例えば管理システムのネットワークスイッチのポートに接続されており、電流を遮断するステップは、特定されたイーサネットデバイスに給電しているイーサネットケーブルに接続された、ポートを閉鎖することによって実行され、また電流を再導通させるステップは、特定されたイーサネットデバイスに給電しているイーサネットケーブルに接続された、ポートを開放することによって実行される。
【0022】
一実施形態では、本方法は、第1のリストを決定するステップを含む。好ましくは、各ユーザが識別子のうちの1つに対応する形態のユーザのリストを受信することにより、第1のリストが決定される。その結果、管理システムは、固定電話参照(第1のリストにあるイーサネットデバイスを提供できるようにする)を有するユーザのリスト(第1のリストにある識別子を提供できるようにする)を備えることができる。
【0023】
第1のリストを決定する多くの方法が存在し、例えば、管理システムへの情報の入力及び/又は、上述のスキャンなどの管理システムによって実行される操作に基づくものが挙げられる。
【0024】
一実施形態では、入力情報により、イーサネットケーブルへの電流を遮断するステップを開始すべきか、又は電流を再導通させるステップを開始すべきかを判定できるようになる。
【0025】
一実施形態では、当該ユーザデバイスを使用した操作は、ユーザデバイスリーダによる読取りである。
【0026】
一実施形態では、ユーザデバイスは時計装置を備え、また受信するステップを開始する操作は、イーサネットケーブルへの電流を再導通させるステップを開始する出勤時間を打刻すること、又はイーサネットケーブルへの電流を遮断するステップを開始する退勤時間を打刻することである。したがって、従業員が退勤時間を打刻することによって退社すると、そのイーサネットデバイスへの電力供給が遮断され、従業員が出勤時間を打刻することによって出社すると、そのイーサネットデバイスへの電力供給が再開される。
【0027】
一実施形態では、ユーザデバイスは測位装置を備え、また入力情報を受信するステップを開始する操作は、所定のエリア内での測位である。したがって、従業員が所定のエリアを画定する空間から退出したり、所定のエリアを画定する出入口を通過したりして退勤すると、そのイーサネットデバイスへの電力供給が遮断されることになる。従業員が当該空間に進入することによって、又は当該出入口を通過することによって出社すると、電力供給が再開される。測位装置を、例えばRFIDチップ又はGPSとすることができる。
【0028】
識別子のうちの少なくとも1つが電子カレンダに対応する一実施形態では、入力情報は、当該電子カレンダから結果として得られるデータに由来するものである。
【0029】
一実施形態では、第1のリストによって識別子のうちの少なくとも1つを複数のイーサネットデバイスにマッピングしており、また、識別子のうちの少なくとも1つを指定できるようにする入力情報を受信するステップにより、指定された識別子に対応するすべてのイーサネットデバイスに給電しているイーサネットケーブルへの電流を遮断するステップ、又は電流を再導通させるステップを開始する。
【0030】
一実施形態では、第1のリストによって、複数の識別子をイーサネットデバイスのうちの少なくとも1つにマッピングしている。例えば、イーサネットプリンタは複数の識別子に対応し得る。
【0031】
一実施形態では、入力情報により、指定された識別子が第1の状態にあるか、又は第2の状態にあるかを更に判定することができ、当該識別子のうちの少なくとも1つが第1の状態にあるとき、特定されたイーサネットデバイスに給電しているイーサネットケーブルへの電流を再導通させるステップが開始され、またすべての識別子が第2の状態にあるとき、特定されたイーサネットデバイスに給電しているイーサネットケーブルへの電流を遮断するステップが開始される。
【0032】
一実施形態では、イーサネットデバイスのうちの少なくとも1つは、電話、例えば固定電話であり、自動銀行窓口機、例えばBancontact方式の窓口機であり、アンテナ、例えばWIFIアンテナであり、対話型端末装置であり、画面であり、プリンタであり、カメラであり、又はドッキングステーションである。
【0033】
本発明は、本発明の実施形態のいずれかに係る方法を実行するように構成された、イーサネットデバイス管理システムを更に提案する。
【0034】
本発明は、本発明の任意の一実施形態に係る方法のステップを管理システムに実行させる命令を含む、コンピュータプログラムを更に提案する。当該プログラムは、例えば管理システムのサーバ及び/又はネットワークスイッチ上で実行され得る。
【0035】
本発明は、当該コンピュータプログラムが記録されたコンピュータ可読媒体を更に提案する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の更なる特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになり得、その理解を促すために、添付の図面を参照する。
図1】本発明を実施するためのシステムの一例を示す図である。
図2】イーサネットデバイスを識別子にマッピングしている、極めて概略的な第1のリストの第1の例である。
図3】イーサネットデバイスをイーサネットケーブルにマッピングしている、極めて概略的な第2のリストの一例である。
図4】識別子をユーザデバイスにマッピングしている、極めて概略的な第3のリストの一例である。
図5】識別子をユーザにマッピングしている、極めて概略的なユーザリストの一例である。
図6】本発明の一実施形態に係る方法を示す図である。
図7】イーサネットデバイスを識別子にマッピングしている、極めて概略的な第1のリストの第2の例である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
特定の実施形態及び図を参照して本発明について述べているが、本発明はこれらによって限定されるものではない。掲載している図面又は図は概略図にすぎず、また非限定的なものである。
【0038】
本明細書にあっては、「第1の(first)」や「第2の(second)」という用語は、様々な要素を区別するためにのみ使用され、したがってこれらの要素間の順序を意味するものではない。
【0039】
図面において、同一又は類似の要素は、同一の参照番号を有していてもよい。
【0040】
図1は、本発明に係るシステム500の一例を示す図である。システム500は、入力システム30と、イーサネットケーブル1、2、3が機械的かつ電気的に接続された管理システム50とを備える。管理システム50は情報、例えば、入力システム30から発信される入力情報115を受信する。管理システム50は、イーサネットケーブル1、2、3を介してイーサネットデバイス11、12、13に情報を送信し、それらのイーサネットケーブル1、2、3を介してイーサネットデバイス11、12、13に給電する。
【0041】
管理システム50が、好ましくはサーバ51、イーサネットネットワークスイッチ52、及びメモリ53(サーバ51及び/又はネットワークスイッチ52内に含まれていてもよい)を備える。ネットワークスイッチ52は、イーサネットケーブル1、2、3を差し込み接続できるようにしている一連のポートを含む。
【0042】
管理システム50と、サーバ51と、ネットワークスイッチ52とは、例えば、中央処理装置(CPU)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はそれらの組合せから選択される算術論理演算装置を備えていてもよく、またデジタル電子素子若しくはアナログ電子素子、又はそれらの組合せを更に備えていてもよい。
【0043】
入力システム30は、ユーザ41、42、43によって直接的又は間接的に操作されてもよい。入力システム30は、具体的には、ユーザデバイス31、32a、電子カレンダ32b、33あるいは他の電子デバイス及び/又はコンピュータプログラムを備えていてもよい。入力システム30は、読取り中のユーザデバイス31、32aにリンクされた識別子を検出することによってユーザデバイス31、32aを読み取ることができる、1つ又は複数のユーザデバイスリーダ35を更に備えていてもよい。
【0044】
メモリ53は、イーサネットデバイス11、12、13を、イーサネットデバイス11、12、13の識別子である識別子21、22、23にマッピングしている第1のリスト105(図2)を含む。メモリ53は、イーサネットデバイス11、12、13及びそれらに接続されたイーサネットケーブル1、2、3をマッピングしている第2のリスト205(図3)を更に含んでいてもよい。メモリ53は、イーサネットデバイス11、12、13の識別子21、22、23を、これらの識別子21、22、23によって識別されるイーサネットデバイス11、12、13に割り当てられたユーザデバイス31、32a、及び/又は電子カレンダ32b、33にマッピングしている第3のリスト305(図4)を更に含んでいてもよい。メモリ53は、ユーザ41、42、43をイーサネットデバイス11、12、13の識別子21、22、23にマッピングしているユーザリスト405(図5)を更に含んでいてもよい。好ましくは、ユーザごとに1つの識別子しか存在しない。メモリ53内に設けられたデータベースは、第1のリスト105と、場合によっては他のリストのうちの1つ又は複数を含んでいてもよい。個々のリスト105、205、305、405が、好ましくはデータベース形態で集約されている。
【0045】
図6は、本発明の一実施形態に係る、イーサネットデバイス1、12、13への電力供給を管理する方法1000を示す。
【0046】
方法1000は、イーサネットデバイス11、12、13及び識別子21、22、23からなる第1のリスト105を決定するステップ100を含む。第1のリスト105の極めて概略的な一例を図2に示す。第1のリスト105を決定するステップ100が、好ましくは管理システム50によって実行されるが、その一方で他の場所で実行されてもよく、その後本発明の範囲内に留まりながら、管理システム50に提供されてもよい。ステップ100は、管理システム50に接続されたイーサネットケーブル1、2、3をスキャンすることにより、管理システム50に接続されたイーサネットデバイス11、12、13を特定するステップを含んでいてもよい。ステップ100は、具体的には、各ユーザが識別子21、22、23のうちの1つに対応する形態の、ユーザ41、42、43のリスト405(図5に示す)を受信するステップを含む。例えば、ユーザのリスト405を含むファイルが管理システム50にロードされ得る。
【0047】
第1のリスト105を決定するステップ100は、管理システム50に提供されるか、又は管理システム50によって定められた第1のリストの素案を検証するステップを含んでいてもよい。第1のリスト105を決定するステップ100は、管理システム50に提供された第1のリストの素案を検証するステップから構成されていてもよい。
【0048】
方法1000は、第1のリスト105の識別子21、22、23のうちの1つ125を指定するステップを実行できるようにする、入力情報115を受信するステップ110を含む。
【0049】
本発明の一実施形態では、入力システム30は、指定されたユーザによって直接的又は間接的に実行された操作に基づいて、指定されたユーザに対応する識別子125を特定できるようにする入力情報115を管理システム50に送信する。例えば、入力情報115は、当該操作に使用されたユーザデバイス31、32a又は電子カレンダ32b、33を示し、これにより、管理システム50が、第3のリスト305に基づいて指定された識別子125にリンクすることができる。入力情報と識別子との間のリンクは、任意の方法で作成され得る。
【0050】
方法1000は、入力情報115に含まれる識別子125を指定するステップ120を含み、また第1のリスト105に基づいて、指定された識別子125に対応するイーサネットデバイス135を特定する。管理システム50は、電力の供給をオン又はオフにするように指定されたイーサネットデバイス135を、ここで認識する。
【0051】
方法1000は、特定されたイーサネットデバイス135に給電しているイーサネットケーブルへの電流を遮断するステップ130か、又は電流を再導通させるステップ140を含む。電流を遮断するステップ130か、又は電流を再導通させるステップ140は、管理システム50のレベルで行われ、好ましくはネットワークスイッチ52のレベルで行われる。
【0052】
一実施形態では、入力情報115により、イーサネットケーブルへの電流を遮断するステップ130を開始すべきか、又は電流を再導通させるステップ140を開始すべきかを判定できるようになる。例えば、ユーザデバイス31は、ドアを開けるためのバッジであってもよく、またユーザデバイスリーダ35は、ドアの第1の(好ましくは外)側の第1の部分と、ドアの第2の(好ましくは内)側の第2の部分とを含む。ユーザデバイス31がリーダ35の第1の部分によって読み取られた場合、ユーザ41が進入していることを示す。入力情報115により、ユーザデバイス31が使用されていることを判定でき、また電流が再導通されるべきであることを示す。ユーザデバイス31がリーダ35の第2の部分によって読み取られた場合、ユーザ41が退出していることを示す。入力情報115により、ユーザデバイス31が使用されていることを判定でき、また電流が遮断されるべきであることを示す。
【0053】
識別子21、22のうちの少なくとも一方がユーザデバイス31、32aに対応する本発明の一実施形態では、入力情報115を受信するステップ110は、ユーザデバイス31、32aを使用する操作によって開始され、例えば、ユーザデバイスリーダ35による読取りによって開始される。
【0054】
例えば、ユーザデバイス31はRFIDチップを備えていてもよく、また当該操作は、ユーザデバイスリーダ35に含まれるRFIDセンサによってRFIDチップを読み取ることであってもよい。この読取りは、ユーザ41によって意図的に開始されてもよく、又はユーザがリーダ35の近傍を通過するときに自動的に行われてもよく、これによってユーザデバイス31を測位することができる。
【0055】
一実施形態では、識別子22、23のうちの少なくとも一方が電子カレンダ32b、33に対応しており、入力情報115は、当該電子カレンダ32b、33から結果として得られるデータに由来するものである。例えば、電子カレンダ33は、会議室の予約カレンダであってもよく(この場合「ユーザ43」と見なされる)、電子カレンダ33に示される各会議の開始時に、電流を再導通させることを示す入力情報115が送信され、また電子カレンダ33に示される各会議の終了時に、電流を遮断することを示す入力情報115が送信される。これにより、カレンダ33が当該会議室43の予約をあらかじめ登録している場合にのみ、当該会議室43内のイーサネットデバイスに給電することができる。
【0056】
本発明の一実施形態では、入力情報115は、指定された識別子125が第1の状態、例えば指定された識別子125に対応するユーザの出勤状態にあるか、又は第2の状態、例えば指定された識別子125に対応するユーザの欠勤状態にあるかを更に示す。識別子21、22、23の状態は、メモリ53に記憶され得る。
【0057】
ユーザデバイスリーダ35が、例えば固定されていてもよく、好ましくは壁に取り付けられていてもよい。本発明の範囲内に留まりながら、特定のユーザデバイスリーダ35が特定のイーサネットデバイスに機械的に取り付けられることも更に可能である。これにより、特定のユーザデバイスリーダ35によって送信された入力情報115に基づいて、その特定のイーサネットデバイス内の電流を遮断したり、又は電流を再導通させたりすることが可能になる。特定のユーザデバイスリーダ35は、外部電源を必要としない(ユーザデバイスリーダ35が電池、セルを含んでいるため、又はその技術によって電力の供給が必要とならないため)か、又は当該特定のイーサネットデバイスのイーサネットケーブル以外の何らかの手段によって給電される。
【0058】
図7は、イーサネットデバイス61、62、63a、63bを識別子71a、71b、72、73にマッピングしている、極めて概略的な第1のリスト105の一例である。イーサネットデバイス61は、2つの識別子71a、71bに対応する。イーサネットデバイス62は、識別子72に対応する。イーサネットデバイス63a、63bは、識別子73に対応する。
【0059】
好ましくは、イーサネットデバイス61が複数の識別子71a、71bに対応する場合、入力情報115により、指定された識別子125が第1の状態にあるか、又は第2の状態にあるかを更に判定することができ、識別子71a、71bのうちの少なくとも一方が第1の状態にあるとき、特定されたイーサネットデバイス73に給電しているイーサネットケーブルへの電流を再導通させるステップ140が開始され、また特定されたイーサネットデバイス61に対応するすべての識別子71a、71bが第2の状態にあるとき、特定されたイーサネットデバイス61に給電しているイーサネットケーブルへの電流を遮断するステップ130が開始される。例えば、当該識別子に対応するユーザが出勤していることを第1の状態が示し、またユーザが欠勤していることを第2の状態が示す場合、これにより、そのユーザ71a、71bのうちの少なくとも一方が出勤している場合に、複数のユーザ71a、71bに共通のイーサネットデバイス61に給電し、そのユーザ71a、71bが全員欠勤している場合に給電が遮断されるようにすることができる。
【0060】
好ましくは、識別子73のうちの1つが複数のイーサネットデバイス63a、63bに対応するとき、入力情報115を受信するステップ110により、指定された識別子73に対応するすべてのイーサネットデバイス63a、63に給電しているイーサネットケーブルへの電流を遮断するステップ130、又は電流を再導通させるステップ140が行われることになる。例えば、識別子は、イーサネット電話、イーサネットドッキングステーション、及びイーサネット画面に対応していてもよく、これらはすべて、当該識別子に対応するユーザが建物に進入する(又はこれから退出する)ときに、電源がオンになる(又はオフになる)。
【0061】
即ち、本発明は、イーサネットデバイス11、12、13への電力供給を管理する方法に関する。イーサネットデバイス11、12、13は、それらに確実に電流で電力供給するイーサネットケーブル1、2、3を介して管理システム50に接続されている。入力情報115を受信すると、管理システム50は、イーサネットデバイス11、12、13からなる第1のリスト105に基づいて、イーサネットデバイス11、12、13のうちの1つ又は複数への電力供給を遮断すべきか、あるいはそれらへの電力供給を再開すべきかを判定する。
【0062】
本発明について、特定の実施形態に関連して上述してきたが、これらは例示的なものであるため、限定的であると見なされるべきではない。本発明は、全体として、例示し、かつ/又は上述した実施例に限定されるものではない。動詞「備える(comprise)」、「含む(include)」、又は任意の他の変形、及びそれらの活用形を使用することにより、言及されたもの以外の要素が存在することを何ら除外するものではない。要素を導入するための不定冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、又は定冠詞「その(the)」を使用することにより、これらの要素が複数存在することを除外するものではない。特許請求の範囲における参照番号は、それらの範囲を限定するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7