(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】在庫管理装置、在庫管理方法及び在庫管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0875 20230101AFI20241204BHJP
【FI】
G06Q10/0875
(21)【出願番号】P 2023001982
(22)【出願日】2023-01-10
【審査請求日】2023-12-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福山 像吾
(72)【発明者】
【氏名】岩井 義樹
【審査官】深津 始
(56)【参考文献】
【文献】特許第4153257(JP,B2)
【文献】国際公開第2023/204090(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -G06Q 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネスティングデータ毎にユニークな識別子を発行する識別子発行処理と、
前記ネスティングデータに含まれる一又は複数の部品データの部品情報を取得する部品情報取得処理と、
前記ネスティングデータの前記識別子と、前記ネスティングデータに含まれる前記部品データの前記部品情報とを紐づける紐づけ処理と
を実行可能に構成されており、
前記ネスティングデータには、製造番号を有する注文部品の前記部品データと、前記製造番号を有さない仕掛り在庫品の前記部品データとを含むことができ、
前記紐づけ処理は、
前記ネスティングデータ内の前記仕掛り在庫品の前記部品データの数量を前記仕掛り在庫品の在庫数として前記部品情報に紐づけて管理する数量紐づけ処理と、
前記数量紐づけ処理により前記ネスティングデータ内の前記仕掛り在庫品の前記部品データの数量が紐づいた前記部品情報と、前記ネスティングデータの前記識別子とを紐づける仕掛り在庫数紐づけ処理と
を含み、
前記
仕掛り在庫数紐づけ処理の処理内容に基づいて、前記部品情報毎に前記仕掛り在庫品の在庫数を管理する在庫数管理処理を更に実行可能に構成されている
在庫管理装置。
【請求項2】
前記ネスティングデータに前記部品データが新たに追加された際に、前記ネスティングデータの前記識別子と、追加された前記部品データの前記部品情報とを新たに紐づける追加紐づけ処理を実行可能に構成されている
請求項
1に記載の在庫管理装置。
【請求項3】
前記注文部品の前記部品データをネスティングする前に、前記注文部品の前記部品情報と同じ前記部品情報の前記仕掛り在庫品があるか判定し、前記仕掛り在庫品があると判定した場合、前記注文部品の前記部品データをネスティングせずに前記仕掛り在庫品を前記注文部品として引き当てる引当処理を実行可能に構成されている
請求項1又は2に記載の在庫管理装置。
【請求項4】
前記注文部品として引き当てた前記仕掛り在庫品に前記注文部品の前記製造番号を割り当てて管理する製造番号割当処理を実行可能に構成されている
請求項
3に記載の在庫管理装置。
【請求項5】
ネスティングデータ毎にユニークな識別子を発行する識別子発行工程と、
前記ネスティングデータに含まれる一又は複数の部品データの部品情報を取得する部品情報取得工程と、
前記ネスティングデータの前記識別子と、前記ネスティングデータに含まれる前記部品データの前記部品情報とを紐づける紐づけ工程と、
前記識別子を用いて、製造番号を有さない仕掛り在庫品の在庫数を管理する在庫数管理工程と
を在庫管理装置が実行し、
前記ネスティングデータには、前記製造番号を有する注文部品の前記部品データと、前記仕掛り在庫品の前記部品データとを含むことができ
、
前記紐づけ工程は、
前記ネスティングデータ内の前記仕掛り在庫品の前記部品データの数量を前記仕掛り在庫品の在庫数として前記部品情報に紐づけて管理する数量紐づけ工程と、
前記数量紐づけ工程により前記ネスティングデータ内の前記仕掛り在庫品の前記部品データの数量が紐づいた前記部品情報と、前記ネスティングデータの前記識別子とを紐づける仕掛り在庫数紐づけ工程と
を含み、
前記在庫数管理工程は、前記仕掛り在庫数紐づけ工程の処理内容に基づいて、前記部品情報毎に前記仕掛り在庫品の在庫数を管理する
在庫管理方法。
【請求項6】
ネスティングデータ毎にユニークな識別子を発行する識別子発行処理と、
前記ネスティングデータに含まれる一又は複数の部品データの部品情報を取得する部品情報取得処理と、
前記ネスティングデータの前記識別子と、前記ネスティングデータに含まれる前記部品データの前記部品情報とを紐づける紐づけ処理と、
前記識別子を用いて、製造番号を有さない仕掛り在庫品の在庫数を管理する在庫数管理処理と
を在庫管理装置に実行させ、
前記ネスティングデータには、前記製造番号を有する注文部品の前記部品データと、前記仕掛り在庫品の前記部品データとを含むことができ
、
前記紐づけ処理は、
前記ネスティングデータ内の前記仕掛り在庫品の前記部品データの数量を前記仕掛り在庫品の在庫数として前記部品情報に紐づけて管理する数量紐づけ処理と、
前記数量紐づけ処理により前記ネスティングデータ内の前記仕掛り在庫品の前記部品データの数量が紐づいた前記部品情報と、前記ネスティングデータの前記識別子とを紐づける仕掛り在庫数紐づけ処理と
を含み、
前記在庫数管理処理は、前記仕掛り在庫数紐づけ処理の処理内容に基づいて、前記部品情報毎に前記仕掛り在庫品の在庫数を管理する
在庫管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在庫管理装置、在庫管理方法及び在庫管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、材料を加工するCAMプログラムの内部テキストを形式言語として分析して、このCAMプログラムを実行することにより取得できる部品の個数や内訳等を求めることが可能な生産管理用コンピュータプログラムが知られている(特許文献1等)。従来の生産管理用コンピュータプログラムによれば、各CAMプログラムの実行により製作される部品の種類及び各個数を把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、1枚の定尺の金属板(シート)から複数種類及び/又は複数個の部品を切り出すブランク工程においては、1枚のシートの中に取引先からの注文により製作手配された注文部品と、注文とは関係なく、シートを無駄なく使用する観点や、部品の予備在庫を確保する目的から加工する仕掛り在庫品とが含まれることがある。
【0005】
しかしながら、従来の生産管理用コンピュータプログラムでは、シートに注文部品と仕掛り在庫品が混在していても、注文部品と仕掛り在庫品の区別ができないため、仕掛り在庫品だけを把握することができないという問題がある。
【0006】
また、一般的に、注文部品は、製造番号で管理されており、その製造番号から在庫状況の把握や、トレーサビリティの確保が可能である。一方で、仕掛り在庫品は、現場の判断で後から追加されることがあるため、従来の生産管理用コンピュータプログラムでは、仕掛り在庫品の正確な在庫状況の把握やトレーサビリティの確保といった、仕掛り在庫品の管理ができないという問題がある。
【0007】
本発明の一態様は、仕掛り在庫品を適切に管理できる在庫管理装置、在庫管理方法及び在庫管理プログラムである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る在庫管理装置は、ネスティングデータ毎にユニークな識別子を発行する識別子発行処理と、前記ネスティングデータに含まれる一又は複数の部品データの部品情報を取得する部品情報取得処理と、前記ネスティングデータの前記識別子と、前記ネスティングデータに含まれる前記部品データの前記部品情報とを紐づける紐づけ処理とを実行可能に構成されており、前記ネスティングデータには、製造番号を有する注文部品の前記部品データと、前記製造番号を有さない仕掛り在庫品の前記部品データとを含むことができ、前記識別子によって前記仕掛り在庫品を管理するよう構成されている。
【0009】
本発明の一態様に係る在庫管理方法は、ネスティングデータ毎にユニークな識別子を発行する識別子発行工程と、前記ネスティングデータに含まれる一又は複数の部品データの部品情報を取得する部品情報取得工程と、前記ネスティングデータの前記識別子と、前記ネスティングデータに含まれる前記部品データの前記部品情報とを紐づける紐づけ工程とを備え、前記ネスティングデータには、製造番号を有する注文部品の前記部品データと、前記製造番号を有さない仕掛り在庫品の前記部品データとを含むことができ、前記識別子によって前記仕掛り在庫品を管理するよう構成されている。
【0010】
本発明の一態様に係る在庫管理プログラムは、ネスティングデータ毎にユニークな識別子を発行する識別子発行処理と、前記ネスティングデータに含まれる一又は複数の部品データの部品情報を取得する部品情報取得処理と、前記ネスティングデータの前記識別子と、前記ネスティングデータに含まれる前記部品データの前記部品情報とを紐づける紐づけ処理とを在庫管理装置に実行させ、前記ネスティングデータには、製造番号を有する注文部品の前記部品データと、前記製造番号を有さない仕掛り在庫品の前記部品データとを含むことができ、前記識別子によって前記仕掛り在庫品を管理するよう構成されている。
【0011】
本発明の一態様に係る在庫管理装置、在庫管理方法及び在庫管理プログラムによれば、ネスティングデータ毎に識別子を発行し、そのネスティングデータの識別子とネスティングデータに含まれる部品の部品情報を紐づけて管理するため、製造番号を有さない仕掛り在庫品を適切に管理できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様に係る在庫管理装置、在庫管理方法及び在庫管理プログラムによれば、仕掛り在庫品を適切に管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る製造支援システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、本実施形態のネスティング装置を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の製作手配情報の一例を示す概略図である。
【
図4】
図4は、本実施形態のネスティングの一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の製造状況の一例を示す概略図である。
【
図6】
図6は、本実施形態の部品情報とワークジョブIDの紐づけの一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、本実施形態の部品情報とワークジョブIDの紐づけの一例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、本実施形態の部品情報とワークジョブIDの紐づけの一例を示す模式図である。
【
図9】
図9は、本実施形態の製作手配の一例を示す概略図である。
【
図10】
図10は、本実施形態の製造状況の一例を示す概略図である。
【
図11】
図11は、本実施形態のネスティング情報の一例を示す概略図である。
【
図12】
図12は、本実施形態のネスティングデータの一例を示す概略図である。
【
図13】
図13は、本実施形態のネスティング情報の一例を示す概略図である。
【
図14】
図14は、本実施形態のネスティングデータの一例を示概略す図である。
【
図15】
図15は、本実施形態の製造状況の一例を示す概略図である。
【
図16】
図16は、本実施形態のワークジョブIDの発行の一例を示す模式図である。
【
図17】
図17は、本実施形態の製作手配の一例を示す概略図である。
【
図18】
図18は、本実施形態の仕掛り在庫品の引き当ての一例を示す模式図である。
【
図19】
図19は、本実施形態の製造番号の割り当ての一例を示す模式図である。
【
図20】
図20は、本実施形態の製造状況の一例を示す概略図である。
【
図21】
図21は、本実施形態の在庫管理方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
[本実施形態に係る製造支援システムの全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係る製造支援システムを示す概略図である。
まず、
図1を参照して、本発明の実施形態に係る製造支援システム1を概説する。本実施形態に係る製造支援システム1は、1枚の定尺の金属板(以下、本実施形態においてシート)を任意の形状の部品に切り出すブランク加工を行うブランク工程を管理する製造支援システムである。製造支援システム1は、概略的には、
図1に示すように、在庫管理装置として機能するネスティング装置100を備える。また、製造支援システム1は、生産管理装置10と、サーバ50と、ブランク加工機70とを備える。これらの装置は、相互に通信可能に接続されている。
【0016】
生産管理装置10は、デスクトップパソコン(desktop personal computer)やノートパソコン(laptop computer)、タブレット(tablet)端末等の電子計算機である。生産管理装置10は、受注情報、一又は複数の部品を含む製品情報、製品及び部品の製造工程情報及び各工程の進捗情報の管理と、製品の製作手配とを行う。また、生産管理装置10は、製作手配をした製品及び部品に製造番号SNを発行する。さらに、生産管理装置10は、製品の製作手配を行う際に、その製品に関する製作手配情報12を作成する。生産管理装置10は、作成した製作手配情報12をサーバ50の後述する生産技術管理データベースに格納する。
【0017】
本実施形態において、製品は、工場内の全ての製造工程を経て、取引先に納品可能な状態の品とする。製品は、一又は複数の部品で構成される。さらに、本実施形態において、部品は、製品を構成する品とする。
【0018】
製作手配情報12は、取引先、製品情報及び部品情報PI、部品データ等を含む。製品情報は、例えば、製品名、製品の生産納期、製品の加工予定日、製品の製造工程情報、製品の数量、製品の製造番号SN、材料に関する情報等を含む。また、部品情報PIは、例えば、部品名、部品の生産納期、部品の加工予定日、部品の製造工程情報、部品の数量、部品の製造番号SN、材料に関する情報等を含む。
【0019】
部品データは、部品の形状等が分かる設計データ(図面データ)であり、例えば、部品のCAD(コンピュータ支援設計:computer-aided design)データである。製造工程情報は、例えば、ブランク加工後の曲げ加工の工程や、バリ取り等を行う二次工程、溶接、ねじ止め、検査等の組み立て工程等の製品が完成するまでの工程を示す情報である。材料に関する情報は、例えば、材料の種類、板厚等である。
【0020】
さらに、生産管理装置10は、作成した製作手配情報12の製作手配書16を出力可能に構成されている。製作手配書16は、製作手配情報12の内容と、バーコードとを含む。ユーザは、例えば、ネスティング装置100等でバーコードを読み込むことで、製作手配書16に係る製作手配情報12を確認することができる。
【0021】
図2は、本実施形態のネスティング装置を示す機能ブロック図である。
ネスティング装置100は、デスクトップパソコンやノートパソコン、タブレット端末等の電子計算機であり、
図2に示すように、入力部110と、表示部120と、制御部130と、記憶部140とを含む。また、ネスティング装置100は、CAD/CAM(コンピュータ支援製造:computer-aided manufacturing)ソフトを有する。
【0022】
入力部110は、例えば、キーボード(Keyboard)、マウス(Mouse)、タッチパッド(Touchpad)、ジョイスティック(Joystick)等の入力機器により構成されており、入力部110を操作することにより、ネスティング装置100において通常必要とされる情報入力の機能に加え、例えば、後述するネスティングデータ142の編集等の操作をすることができる。このような構成を備えることにより、ネスティング装置100は、入力部110を介して手動によりネスティングデータ142に部品データの追加等の操作ができる。
【0023】
表示部120は、表示装置としてのディスプレイ(Display)を有しており、ネスティング装置100において通常必要とされる画面表示の機能に加え、例えば、ネスティング画面等を表示する。また、表示部120は、入力部110の機能を有するタッチパネル(Touch screen)で構成され得る。表示部120がタッチパネルで構成された場合は、ユーザは、例えば、表示部120を操作することにより、ネスティングデータ142の編集等の各種の情報をネスティング装置100に対して入力可能となる。
【0024】
なお、入力部110及び表示部120の構成は、上述した構成に限定されず、これら入力部110及び表示部120に代わり、同等の機能を有する構成であれば(例えば、遠隔から利用可能な表示手段や入力手段等)、これに限定されるものではない。
【0025】
制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)を有する統合型演算処理装置により構成される。制御部130は、
図2に示すように、製作手配情報取得部131と、ネスティング部132と、加工スケジュール情報作成部133と、識別子発行部135と、紐づけ部137と、引当部139とを含む。
【0026】
図3は、本実施形態の製作手配情報の一例を示す概略図である。
製作手配情報取得部131は、
図3に示すように、生産管理装置10が作成した製作手配情報12を取得する製作手配情報取得処理を実行可能に構成されている。製作手配情報取得部131が取得する製作手配情報12は、部品情報PIと、部品データを少なくとも含む。部品情報PIは、部品名、部品の手配数、部品の納期、部品の製造番号SN等を有する。
【0027】
本実施形態において、製作手配情報取得部131は、サーバ50の生産技術管理データベースに格納された製作手配情報12を取得するが、これに限定されず、製作手配情報取得部131は、生産管理装置10から直接製作手配情報12を取得してもよい。また、製作手配情報取得部131は、生産管理装置10が製作手配情報12を作成するたびに都度製作手配情報12を取得してもよいし、複数の製作手配情報12をまとめて取得してもよい。
【0028】
なお、本実施形態において、製作手配情報取得部131は、自動的に製作手配情報12を取得するが、これに限定されない。ユーザがネスティング装置100に製作手配書16を読み込ませたり、入力部110を介して製作手配情報12を選択したりすることで、手動により製作手配情報取得部131に製作手配情報12を取得させることも可能である。
【0029】
図4は、本実施形態のネスティングの一例を示す模式図である。
ネスティング部132は、
図4に示すように、例えば、生産管理装置10から出力された製作手配情報12を基に製作手配情報12に含まれる同じ板厚の注文部品OPを選択してその部品の部品データを隙間なく配置するネスティングを行い、ネスティングデータ142を作成する。本実施形態において、ネスティングデータ142には、生産管理装置10によって付された製造番号SNを有する注文部品OPの部品データと、製造番号SNを有さない仕掛り在庫品PPの部品データとを含むことができる。
【0030】
本実施形態において、注文部品OPは、製作手配がされた部品、すなわち、製作手配情報取得部131が取得する製作手配情報12に部品情報PIが含まれている部品である。本実施形態において、仕掛り在庫品PPは、製作手配がされておらず、ブランク工程後、予備の在庫として保管される部品である。
【0031】
例えば、ユーザは、入力部110を介して手動によりネスティング部132が作成したネスティングデータ142に仕掛り在庫品PPの部品データを追加することができる。このような構成を備えることにより、シートの歩留まり率が低い場合や、予備の在庫を確保しておきたい部品がある場合等、仕掛り在庫品PPとして注文部品OPと一緒に製造したい部品がある場合にその部品の部品データを追加することができる。
【0032】
例えば、ユーザは、
図3及び
図4に示すように、製作手配された注文部品OPである部品「PART-01」及び「PART-02」の部品データに加えて、ネスティングデータ142の空きスペースに仕掛り在庫品PPとして部品「PART-07」の部品データをネスティングすることができる。
【0033】
なお、ユーザは、ネスティングデータ142の後述する加工スケジュール情報Iが作成される前にネスティングデータ142に部品データを追加でネスティングすることが可能であり、ネスティングデータ142の加工スケジュール情報Iが作成された後にネスティングデータ142に部品データを追加でネスティングすることも可能である。
【0034】
また、ネスティング部132は、ブランク加工機70がネスティングデータ142に合わせてシートを加工するための加工経路を算出し、ブランク加工機70のNC制御プログラムを作成する。
【0035】
加工スケジュール情報作成部133は、ネスティング部132が作成したネスティングデータ142に関する加工スケジュール情報Iを作成するよう構成されている。加工スケジュール情報作成部133は、作成した加工スケジュール情報Iをサーバ50の生産技術管理データベースに格納する。
【0036】
加工スケジュール情報Iは、加工スケジュール情報Iのスケジュール作成日、スケジュール名、加工予定日、予定加工機、ネスティングデータ142、ネスティングデータ142のシート名、ネスティングデータ142に含まれる部品一覧、ネスティングデータ142に含まれる部品の部品情報PI及びNC制御プログラム等を含む。本実施形態において、加工スケジュール情報Iは、複数のネスティングデータ142に関する加工スケジュール情報をまとめたものと、単一のネスティングデータ142に関する加工スケジュール情報との双方を含む概念でもよいし、いずれか一方でもよい。
【0037】
また、ネスティング装置100は、作成した加工スケジュール情報Iのスケジュール指示書を出力可能に構成されている。スケジュール指示書は、加工スケジュール情報Iの内容と、バーコードとを含む。ユーザは、例えば、ブランク加工機70でバーコードを読み込むことで、スケジュール指示書に係る加工スケジュール情報Iを確認し、NC制御プログラムを読み込むことができる。また、スケジュール指示書は、複数のプログラム指示書を有する。プログラム指示書は、スケジュール作成日、シート名、ネスティングデータ142の画像、シートに含まれる部品一覧、部品の数量及び加工予定日等を含む。
【0038】
識別子発行部135は、ネスティングデータ142毎にユニークな識別子を発行する識別子発行処理を実行可能に構成されている。具体的には、識別子発行部135は、ネスティング部132が作成したネスティングデータ142にユニークな識別子としてワークジョブID144を発行する。識別子発行部135は、ネスティングデータ142毎に異なるワークジョブID144を発行する。
【0039】
本実施形態において、「ネスティングデータ毎」とは、シート1枚分のデータ毎であることを意味する。例えば、ネスティング結果がシート2枚分以上のネスティングデータ142に跨る場合、識別子発行部135は、それぞれのネスティングデータ142に異なるワークジョブID144を発行する。
【0040】
ワークジョブID144は、例えば、ネスティング時の日付と連続番号で構成されてもよいし、連続番号のみで構成されてもよいし、ランダムな文字及び数字の羅列であってもよい。例えば、識別子発行部135は、
図4に示すネスティングデータ142に対し、「ID-001」というワークジョブID144を発行する。
【0041】
なお、識別子発行部135は、ネスティング部132がネスティングデータ142を作成した時点でワークジョブID144を発行してもよいし、ネスティングデータ142に係るNC制御プログラムに基づいてブランク加工機70がブランク加工をした後にワークジョブID144を発行してもよい。
【0042】
図5は、本実施形態の製造状況の一例を示す概略図である。
ネスティング部132が作成したネスティングデータ142のブランク加工が実行されると、製作手配された部品(注文部品OP)と、ユーザが追加でネスティングした部品(仕掛り在庫品PP)の在庫が出来上がる。本実施形態において、注文部品OPの在庫は、
図5に示すように、済み数としてカウントされ、仕掛り在庫品PPの在庫は、在庫数としてカウントされるが、これに限定されない。
【0043】
紐づけ部137は、ネスティングデータ142に含まれる一又は複数の部品データの部品情報PIを取得する部品情報取得処理と、ネスティングデータ142の識別子(ワークジョブID144)と、ネスティングデータ142に含まれる部品データの部品情報PIとを紐づける紐づけ処理とを実行可能に構成されている。
【0044】
部品情報取得処理において、紐づけ部137は、ネスティング部132は作成したネスティングデータ142に含まれる部品データの部品情報PIをサーバ50の生産技術管理データベースから取得する。また、紐づけ部137は、注文部品OPの部品データに係る部品情報PIを製作手配情報取得部131が取得した製作手配情報12から取得してもよい。
【0045】
図6は、本実施形態の部品情報とワークジョブIDの紐づけの一例を示す模式図である。
紐づけ処理において、紐づけ部137は、
図6に示すように、ネスティングデータ142のワークジョブID144と、部品情報取得処理で取得した部品情報PIとを紐づける。紐づけ部137は、同じ部品が複数のネスティングデータ142に含まれる場合、その部品の部品情報PIと複数のワークジョブID144とを紐づけ可能に構成されている。
【0046】
例えば、
図4に示すネスティングデータ142の他に複数のネスティングデータ142があり、部品「PART-01」の部品データが「ID-001」、「ID-003」及び「ID-005」というワークジョブID144が発行されたネスティングデータ142に含まれている。この場合、紐づけ部137は、部品「PART-01」の部品情報PIと、「ID-001」、「ID-003」及び「ID-005」の3つのワークジョブID144とを紐づける。
【0047】
また、部品「PART-02」の部品データが「ID-001」及び「ID-002」というワークジョブID144が発行されたネスティングデータ142に含まれている。この場合、紐づけ部137は、部品「PART-02」の部品情報PIと、「ID-001」及び「ID-002」の2つのワークジョブID144とを紐づける。同様に、紐づけ部137は、部品「PART-07」の部品情報PIと、「ID-001」、「ID-004」及び「ID-005」の3つのワークジョブID144とを紐づける。
【0048】
また、紐づけ部137は、ネスティングデータ142に部品データが新たに追加された際に、ネスティングデータ142のワークジョブID144と、追加された部品データの部品情報PIとを新たに紐づけ可能に構成されている。本実施形態において、「新たに追加された際に」とは、例えば、一度加工スケジュール情報Iが作成されたネスティングデータ142が編集され、新たに部品データが追加された時や、一度ワークジョブID144と紐づけされたネスティングデータ142に新たに部品データが追加された時等を意味する。
【0049】
また、紐づけ部137は、ネスティングデータ142内の仕掛り在庫品PPの部品データの数量を仕掛り在庫品PPの数量として部品情報PIに紐づけて管理する。さらに、紐づけ部137は、ネスティングデータ142のワークジョブID144と、ネスティングデータ142内の仕掛り在庫品PPの部品データの数量とを部品情報PIに紐づけて管理する。
【0050】
図7は、本実施形態の部品情報とワークジョブIDの紐づけの一例を示す模式図である。
例えば、
図7に示すように、部品「PART-01」は、ワークジョブID144が「ID-001」及び「ID-003」であるネスティングデータ142に注文部品OPとして含まれている。また、部品「PART-01」は、ワークジョブID144が「ID-005」であるネスティングデータ142に仕掛り在庫品PPとして含まれている。この場合、紐づけ部137は、ワークジョブID144が「ID-005」であるネスティングデータ142内の部品「PART-01」の部品データの数量(本実施形態において、4個)を部品「PART-01」の仕掛り在庫品PPの数量として「ID-005」というワークジョブID144と共に部品「PART-01」の部品情報PIに紐づける。
【0051】
図8は、本実施形態の部品情報とワークジョブIDの紐づけの一例を示す模式図である。
また、
図8に示すように、部品「PART-07」は、ワークジョブID144が「ID-001」、「ID-004」及び「ID-005」であるネスティングデータ142に仕掛り在庫品PPとして含まれている。この場合、紐づけ部137は、ワークジョブID144が「ID-001」であるネスティングデータ142内の部品「PART-07」の部品データの数量(本実施形態において、4個)を部品「PART-07」の仕掛り在庫品PPの数量として「ID-001」というワークジョブID144と共に部品「PART-07」の部品情報PIに紐づける。
【0052】
また、紐づけ部137は、ワークジョブID144が「ID-004」であるネスティングデータ142内の部品「PART-07」の部品データの数量(本実施形態において、4個)を部品「PART-07」の仕掛り在庫品PPの数量として「ID-004」というワークジョブID144と共に部品「PART-07」の部品情報PIに紐づける。同様に、紐づけ部137は、ワークジョブID144が「ID-005」であるネスティングデータ142内の部品「PART-07」の部品データの数量(本実施形態において、4個)を部品「PART-07」の仕掛り在庫品PPの数量として「ID-005」というワークジョブID144と共に部品「PART-07」の部品情報PIに紐づける。
【0053】
なお、紐づけ部137は、識別子発行部135がネスティングデータ142の作成後直ちにワークジョブID144を発行する場合、識別子発行処理後直ちに部品情報取得処理及び紐づけ処理を実行してもよいし、ネスティングデータ142に係るNC制御プログラムに基づいてブランク加工機70により加工がされた後に部品情報取得処理及び紐づけ処理を実行してもよい。また、紐づけ部137は、識別子発行部135がブランク加工後にワークジョブID144を発行する場合、識別子発行処理後に部品情報取得処理及び紐づけ処理を実行する。さらに、紐づけ部137は、部品情報取得処理と紐づけ処理とを異なるタイミングで実行してもよい。例えば、紐づけ部137は、ブランク加工前に部品情報取得処理を実行し、ブランク加工後に紐づけ処理を実行してもよい。
【0054】
引当部139は、ネスティング部132が注文部品OPの部品データをネスティングする前に、注文部品OPの部品情報PIと同じ部品情報PIの仕掛り在庫品PPがあるか判定し、仕掛り在庫品PPがあると判定した場合、その注文部品OPの部品データをネスティングせずに仕掛り在庫品PPを注文部品OPとして引き当てるよう構成されている。
【0055】
また、引当部139は、滞留日数が長い仕掛り在庫品PP、すなわち、古い仕掛り在庫品PPから順に引き当てるよう構成されてもよい。
【0056】
さらに、引当部139は、注文部品OPとして引き当てた仕掛り在庫品PPに注文部品OPの製造番号SNを割り当てて管理するよう構成されている。
【0057】
記憶部140は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有すると共に、様々なデータを読み書き可能に記憶する。記憶部140は、
図2に示すように、ネスティングデータ格納部141と、識別子格納部143と、紐付け情報格納部145とを含む。また、記憶部140は、在庫管理プログラム147を格納する。さらに、記憶部140は、ネスティング装置100の各部の制御に必要なプログラムを格納する。
【0058】
ネスティングデータ格納部141は、ネスティング部132が作成した一又は複数のネスティングデータ142を格納する。識別子格納部143は、識別子発行部135がネスティングデータ142に発行した一又は複数のワークジョブID144を格納する。具体的には、識別子格納部143には、ワークジョブID144と、そのワークジョブID144が発行されたネスティングデータ142の情報とが紐づけて格納されている。
【0059】
紐付け情報格納部145は、紐づけ部137が紐づけた一又は複数の紐付け情報を格納する。在庫管理プログラム147は、ネスティングデータ142毎にワークジョブID144を発行する識別子発行処理と、ネスティングデータ142に含まれる一又は複数の部品データの部品情報PIを取得する部品情報取得処理と、ネスティングデータ142のワークジョブID144と、ネスティングデータ142に含まれる部品データの部品情報PIとを紐づける紐づけ処理とをネスティング装置100に実行させ、ネスティングデータ142には、製造番号SNを有する注文部品OPの部品データと、製造番号SNを有さない仕掛り在庫品PPの部品データとを含むことができ、ワークジョブID144によって仕掛り在庫品PPを管理するよう構成されている。
【0060】
以上の構成を備えるネスティング装置100は、ワークジョブID144によって仕掛り在庫品PPを管理するよう構成されている。ここで本実施形態に係るネスティング装置100による一連の処理について、
図9~20を参照して説明する。なお、以下の説明は、本実施形態のネスティング装置100による処理の一例であり、これに限定されるものではない。
【0061】
図9は、本実施形態の製作手配の一例を示す概略図である。
例えば、
図9に示すように、生産管理装置10から注文部品OPの製作手配がされる。製作手配には、部品名「A001」という注文部品OPと、部品名「B001」という注文部品OPとが含まれている。以下、本実施形態において、これらを部品「A001」及び部品「B001」と呼ぶ。部品「A001」の手配数は、12個であり、部品「B001」の手配数は、5個である。また、部品「A001」の製造番号SNは、「OR001-01」であり、部品「B001」の製造番号SNは、「OR001-02」である。
【0062】
図10は、本実施形態の製造状況の一例を示す概略図である。
制御部130の製作手配情報取得部131は、この製作手配に係る製作手配情報12をサーバ50から取得する。まだブランク加工前であるため、製作手配された部品「A001」及び部品「B001」の済み数は、
図10に示すように、共に0個である。また、部品「A001」及び部品「B001」の仕掛り在庫品PPの在庫数も共に0個である。
【0063】
図11は、本実施形態のネスティング情報の一例を示す概略図である。
制御部130のネスティング部132は、部品「A001」及び部品「B001」の済み数及び在庫数が0個であるため、部品「A001」12個分の部品データと、部品「B001」5個分の部品データをネスティングしたネスティングデータ142を作成する。ユーザは、
図11に示すように、製作手配に係る注文部品OPと共に部品名「C001」という仕掛り在庫品PP(以下、本実施形態において、部品「C001」と呼ぶ)を10個加工したい。そのため、ユーザは、ネスティング部132が作成したネスティングデータ142に部品「C001」10個分の部品データを追加でネスティングする。
【0064】
図12は、本実施形態のネスティングデータの一例を示す概略図である。
図13は、本実施形態のネスティング情報の一例を示す概略図である。
作成されたネスティングデータ142(以下、本実施形態において、ネスティングデータ(1)及び(2)と呼ぶ)は、
図12に示すように、注文部品OP(部品「A001」及び部品「B001」)と、仕掛り在庫品PP(部品「C001」)の部品データを含んでいる。ネスティングデータ(2)は、歩留まり率が低く、まだ部品データをネスティングするスペースがある。そこで、ユーザは、
図13に示すように、部品「B001」6個分の部品データを更にネスティングする。
【0065】
図14は、本実施形態のネスティングデータの一例を示概略す図である。
ネスティングデータ(2)に追加でネスティングされた6個の部品「B001」は、注文部品OPではないため、仕掛り在庫品PPとして加工される。以上の部品がネスティングされたネスティングデータ(1)及び(2)は、
図14に示すように、共に歩留まり率が高いネスティングデータ142となっている。
【0066】
なお、ユーザが仕掛り在庫品PPの部品データを追加でネスティングする作業は、ネスティング装置100で行われてもよいし、ブランク加工機70で行われてもよい。
【0067】
その後、制御部130の加工スケジュール情報作成部133は、ネスティングデータ(1)及び(2)に関する加工スケジュール情報Iを作成する。加工スケジュール情報Iは、サーバ50の生産技術管理データベースに格納される。ブランク加工機70は、加工スケジュール情報Iを取得し、ネスティングデータ(1)及び(2)に基づいてシートをブランク加工する。
【0068】
なお、加工スケジュール情報作成部133は、ネスティングデータ(2)に追加で部品「B001」をネスティングする前に加工スケジュール情報Iを作成してもよい。その場合、加工スケジュール情報作成部133は、ネスティングデータ(2)に部品「B001」を追加後、加工スケジュール情報Iを更新する。
【0069】
図15は、本実施形態の製造状況の一例を示す概略図である。
ブランク加工後、各部品の製造状況は、
図15に示すように、部品「A001」の済み数が12個、部品「B001」の済み数が5個となる。また、部品「B001」の在庫数が6個、部品「C001」の在庫数が10個となる。
【0070】
図16は、本実施形態のワークジョブIDの発行の一例を示す模式図である。
その後、制御部130の識別子発行部135は、
図16に示すように、ネスティングデータ(1)及び(2)にそれぞれ、「WJ001」及び「WJ002」というワークジョブID144を発行する。
【0071】
なお、識別子発行部135は、ブランク加工前にワークジョブID144を発行してもよい。また、識別子発行部135は、ネスティングデータ(2)に部品「B001」を追加する前にワークジョブID144を発行してもよい。
【0072】
制御部130の紐づけ部137は、ネスティングデータ(1)及び(2)に含まれる部品データを取得する。そして、紐づけ部137は、ネスティングデータ(1)及び(2)のワークジョブID144と、ネスティングデータ(1)及び(2)に含まれる部品データの部品情報PIとを紐づける。具体的には、紐づけ部137は、ネスティングデータ(1)のワークジョブID144「WJ001」と、部品「A001」、部品「B001」及び部品「C001」の部品情報PIとを紐づける。また、紐づけ部137は、ネスティングデータ(2)のワークジョブID144「WJ002」と、部品「A001」、部品「B001」及び部品「C001」の部品情報PIとを紐づける。
【0073】
なお、紐づけ部137は、識別子発行部135がネスティングデータ(2)に部品「B001」を追加する前にワークジョブID144を発行する場合、その直後に紐づけ処理を実行してもよい。その場合、紐づけ部137は、ネスティングデータ(2)に部品「B001」を新たに追加した後に、ネスティングデータ(2)のワークジョブID144「WJ002」と、部品「B001」の部品情報PIとを新たに紐づける。
【0074】
さらに、紐づけ部137は、ネスティングデータ(1)及び(2)に含まれる仕掛り在庫品PPの部品データの数を仕掛り在庫品PPの在庫数として各部品の部品情報PIに紐づける。具体的には、部品「B001」の部品情報PIにワークジョブID144「WJ002」及び在庫数6個を紐づける。また、部品「C001」の部品情報PIにワークジョブID144「WJ001」及び在庫数8個と、ワークジョブID144「WJ002」及び在庫数2個とを紐づける。
【0075】
図17は、本実施形態の製作手配の一例を示す概略図である。
図9に示す製作手配の後に、
図17に示すように、生産管理装置10から別の製作手配がされる。新たな製作手配には、注文部品OPとして、部品「B001」と部品「C001」が含まれている。部品「B001」の手配数は、6個であり、部品「C001」の手配数は、15個である。また、部品「B001」の製造番号SNは、「OR002-01」であり、部品「C001」の製造番号SNは、「OR003-01」である。
【0076】
図18は、本実施形態の仕掛り在庫品の引き当ての一例を示す模式図である。
制御部130の製作手配情報取得部131は、この製作手配に係る製作手配情報12をサーバ50から取得する。まだブランク加工前であるため、製作手配された部品「B001」及び部品「C001」の済み数は、
図18に示すように、共に0個である。一方で、先のブランク加工により、部品「B001」及び部品「C001」の仕掛り在庫品PPの在庫数は、それぞれ、6個及び10個である。
【0077】
制御部130の引当部139は、注文部品OPである部品「B001」及び部品「C001」の部品データをネスティング部132がネスティングする前に、部品「B001」及び部品「C001」の仕掛り在庫品PPがあるか判定する。上述したように、部品「B001」及び部品「C001」の仕掛り在庫品PPが存在するため、引当部139は、部品「B001」及び部品「C001」の仕掛り在庫品PPがあると判定する。そして、引当部139は、
図18に示すように、部品「B001」及び部品「C001」の部品データをネスティングせずに部品「B001」及び部品「C001」の仕掛り在庫品PPを注文部品OPとして引き当てる。
【0078】
具体的には、引当部139は、部品「B001」の手配数が6個であり、部品「B001」の在庫数も6個であるため、部品「B001」の仕掛り在庫品PPを全て部品「B001」の注文部品OPとして引き当てる。また、部品「C001」の手配数が15個であり、部品「C001」の在庫数が10個であるため、部品「C001」の仕掛り在庫品PPを全て部品「C001」の注文部品OPとして引き当てる。
【0079】
図19は、本実施形態の製造番号の割り当ての一例を示す模式図である。
また、引当部139は、
図19に示すように、部品「B001」及び部品「C001」の注文部品OPとして引き当てた部品「B001」及び部品「C001」の仕掛り在庫品PPに注文部品OPの製造番号SNを割り当てる。
【0080】
具体的には、引当部139は、部品「B001」の注文部品OPとして引き当てた6個の部品「B001」の仕掛り在庫品PPに製造番号SN「OR002-01」を割り当てる。また、引当部139は、部品「C001」の注文部品OPとして引き当てた10個の部品「C001」の仕掛り在庫品PPに製造番号SN「OR003-01」を割り当てる。
【0081】
さらに、ネスティング部132は、仕掛り在庫品PPを引き当てられなかった部品「C001」の注文部品OP5個分の部品データをネスティングしたネスティングデータ142を作成する。その後、加工スケジュール情報作成部133は、その部品「C001」を含むネスティングデータ142に関する加工スケジュール情報Iを作成する。ブランク加工機70は、加工スケジュール情報Iを取得し、そのネスティングデータ142に基づいてシートをブランク加工する。
【0082】
また、識別子発行部135は、部品「C001」を含むネスティングデータ142に「WJ003」というワークジョブID144を発行する。さらに、紐づけ部137は、ワークジョブID144「WJ003」と、部品「C001」の部品情報PIとを紐づける。
【0083】
図20は、本実施形態の製造状況の一例を示す概略図である。
引当部139が仕掛り在庫品PPを引き当て、ワークジョブID144が「WJ003」のネスティングデータ142に基づいてシートをブランク加工した後の製造状況は、
図20に示すように、部品「B001」及び部品「C001」の済み数が、それぞれ、6個及び15個である。一方で、仕掛り在庫品PPを引き当てたことにより、部品「B001」及び部品「C001」の仕掛り在庫品PPの在庫数は、共に0個である。
【0084】
また、部品「C001」の済み数15個の内訳としては、ワークジョブID144が「WJ001」の部品「C001」が8個、ワークジョブID144が「WJ002」の部品「C001」が2個、ワークジョブID144が「WJ003」の部品「C001」が5個となっている。
【0085】
サーバ50は、HDD、SSD等の記憶媒体を有し、生産技術管理データベースと、加工実績データベースとを格納する。生産技術管理データベースは、生産管理装置10で作成された複数の製作手配情報12と、ネスティング装置100で作成された複数の加工スケジュール情報Iとを含む。加工実績データベースは、ブランク加工機70の加工実績を含む。サーバ50に保存されたデータは、生産管理装置10、ネスティング装置100及びブランク加工機70から参照される。サーバ50は、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。
【0086】
ブランク加工機70は、NC制御によってシートを加工する装置、例えば、レーザ加工機、タレットパンチプレス(turret punch press)、プラズマ加工機、ウォータージェット加工機等である。ブランク加工機70は、生産管理装置10、サーバ50、及びネスティング装置100と通信可能に構成されている。
【0087】
ブランク加工機70は、サーバ50の生産技術管理データベースに格納された加工スケジュール情報IのNC制御プログラムを読み込むことでブランク加工を行う。また、ブランク加工機70は、ブランク加工開始時、ブランク加工中断時、及びブランク加工完了時に加工実績をサーバ50に送信する。加工実績は、シート毎の加工開始時、加工中断時、及び加工完了時のそれぞれに対応する時刻等の情報を含む。
【0088】
さらに、ブランク加工機70は、ネスティングデータ142に部品データを追加でネスティング可能に構成されてもよい。
【0089】
[本実施形態に係る在庫管理方法]
次に、本実施形態に係るネスティング装置100による在庫管理方法について説明する。本実施形態に係る在庫管理方法は、概略的には、ネスティングデータ142毎にユニークな識別子としてワークジョブID144を発行する識別子発行工程と、ネスティングデータ142に含まれる一又は複数の部品データの部品情報PIを取得する部品情報取得工程と、ネスティングデータ142のワークジョブID144と、ネスティングデータ142に含まれる部品データの部品情報PIとを紐づける紐づけ工程とを備え、ネスティングデータ142には、製造番号SNを有する注文部品OPの部品データと、製造番号SNを有さない仕掛り在庫品PPの部品データとを含むことができ、ワークジョブID144によって仕掛り在庫品PPを管理するよう構成されている。
【0090】
図21は、本実施形態の在庫管理方法の一例を示すフローチャートである。
本実施形態に係る在庫管理方法について
図21を参照して詳述する。まず、ネスティング装置100の制御部130の製作手配情報取得部131は、サーバ50の生産技術管理データベースから製作手配情報12を取得する(
図21のS1:製作手配情報取得工程)。製作手配情報12は、製作手配された部品(注文部品OP)の部品情報PIを含む。部品情報PIは、部品の部品名と、部品の手配数と、部品の製造番号SNとを有する。
【0091】
制御部130の引当部139は、製作手配情報取得部131が取得した製作手配情報12に含まれる注文部品OPの部品情報PIと同じ部品情報PIの仕掛り在庫品PPがあるか判定する(
図21のS2:仕掛り在庫品判定工程)。引当部139が注文部品OPの部品情報PIと同じ部品情報PIの仕掛り在庫品PPがないと判定した場合(
図21のS2にてNO)、制御部130のネスティング部132は、製作手配情報12に含まれる注文部品OPの部品データを手配数の数だけネスティングしたネスティングデータ142を作成する(
図21のS3:ネスティング工程)。また、ネスティング工程において、ユーザは、仕掛り在庫品PPの部品データをネスティングデータ142に追加してもよい。
【0092】
その後、制御部130の加工スケジュール情報作成部133は、ネスティング部132が作成したネスティングデータ142に関する加工スケジュール情報Iを作成する。加工スケジュール情報作成部133は、作成した加工スケジュール情報Iをサーバ50の生産技術管理データベースに格納する。
【0093】
また、制御部130の識別子発行部135は、ネスティングデータ142にユニークな識別子としてワークジョブID144を発行する(
図21のS4:識別子発行工程)。識別子発行部135は、ネスティングデータ142に係るNC制御プログラムに基づいてブランク加工機70がブランク加工をする前にワークジョブID144を発行してもよいし、ブランク加工機70がブランク加工をした後にワークジョブID144を発行してもよい。
【0094】
制御部130の紐づけ部137は、ネスティングデータ142に含まれる部品データの部品情報PIをサーバ50から取得する(
図21のS5:部品情報取得工程)。そして、紐づけ部137は、識別子発行部135がネスティングデータ142に発行したワークジョブID144と、部品情報取得工程で取得したネスティングデータ142に含まれる部品データの部品情報PIとを紐づける(
図21のS6:紐づけ工程)。
【0095】
一方で、仕掛り在庫品判定工程において、制御部130の引当部139は、注文部品OPの部品情報PIと同じ部品情報PIの仕掛り在庫品PPがあると判定した場合(
図21のS2にてYES)、注文部品OPの部品情報PIと同じ部品情報PIの仕掛り在庫品PPを注文部品OPとして引き当てる(
図21のS7:引当工程)。また、引当部139は、注文部品OPとして引き当てた仕掛り在庫品PPに注文部品OPの製造番号SNを割り当てる(
図21のS8:製造番号割当工程)。
【0096】
引当部139が全ての注文部品OPに対して仕掛り在庫品PPを引き当てた場合(
図21のS9にてYES)、制御部130は、ネスティング部132が注文部品OPのネスティングをせずに終了する。一方で、引当部139が全ての注文部品OPに対して仕掛り在庫品PPを引き当てられなかった場合(
図21のS9にてNO)、制御部130は、ネスティング部132が仕掛り在庫品PPを引き当てられなかった残りの注文部品OPの部品データをネスティングしたネスティングデータ142を作成する(
図21のS3:ネスティング工程)。
【0097】
その後、仕掛り在庫品PPがない場合(
図21のS2にてNO)と同様に、そのネスティングデータ142に対し識別子発行工程から紐づけ工程までが実行される。以上の工程により、本実施形態に係るネスティング装置100による一連の在庫管理方法が実行される。
【0098】
[本実施形態に係る在庫管理装置、在庫管理方法及び在庫管理プログラムの利点]
以上説明したように、本実施形態に係る在庫管理装置(ネスティング装置100)は、ネスティングデータ142毎にユニークな識別子(ワークジョブID144)を発行する識別子発行処理と、ネスティングデータ142に含まれる一又は複数の部品データの部品情報PIを取得する部品情報取得処理と、ネスティングデータ142の識別子(ワークジョブID144)と、ネスティングデータ142に含まれる部品データの部品情報PIとを紐づける紐づけ処理とを実行可能に構成されており、ネスティングデータ142には、製造番号SNを有する注文部品OPの部品データと、製造番号SNを有さない仕掛り在庫品PPの部品データとを含むことができ、識別子(ワークジョブID144)によって仕掛り在庫品PPを管理するよう構成されている。
【0099】
そして、本実施形態に係る在庫管理装置(ネスティング装置100)は、このような構成を備えることにより、ネスティングデータ142毎に識別子(ワークジョブID144)を発行し、そのネスティングデータ142の識別子(ワークジョブID144)とネスティングデータ142に含まれる部品の部品情報PIを紐づけて管理するため、製造番号SNを有さない仕掛り在庫品PPの在庫やトレーサビリティを適切に管理できるという利点を有している。
【0100】
また、本実施形態に係る在庫管理装置(ネスティング装置100)は、ネスティングデータ142内の仕掛り在庫品PPの部品データの数量を仕掛り在庫品PPの数量として部品情報PIに紐づけて管理する。このような構成を備えることにより、ブランク加工がされた仕掛り在庫品PPの在庫数及びこれから加工される仕掛り在庫品PPの数を把握することができ、在庫数の把握に基づいて仕掛り在庫品PPの適切な管理ができるという利点を有している。
【0101】
さらに、本実施形態に係る在庫管理装置(ネスティング装置100)は、ネスティングデータ142の識別子(ワークジョブID144)と、ネスティングデータ142内の仕掛り在庫品PPの部品データの数量とを部品情報PIに紐づけて管理する。このような構成を備えることにより、どのネスティングデータ142からブランク加工された仕掛り在庫品PPがいくつずつあるか把握できるため、より正確な仕掛り在庫品PPの在庫数の把握ができると共に、仕掛り在庫品PPのトレーサビリティを向上でき、仕掛り在庫品PPのより適切な管理ができるという利点を有している。
【0102】
またさらに、本実施形態に係る在庫管理装置(ネスティング装置100)は、ネスティングデータ142に部品データが新たに追加された際に、ネスティングデータ142の識別子(ワークジョブID144)と、追加された部品データの部品情報PIとを新たに紐づけ可能に構成されている。このような構成を備えることにより、例えば、ネスティング工程の担当者が仕掛り在庫品PPの部品データをネスティングデータ142に追加した後に、さらに別の担当者が新たに別の仕掛り在庫品PPの部品データをネスティングデータ142に追加しても、追加後の仕掛り在庫品PPも含めて適切な管理ができるという利点を有している。
【0103】
また、本実施形態に係る在庫管理装置(ネスティング装置100)は、注文部品OPの部品データをネスティングする前に、注文部品OPの部品情報PIと同じ部品情報PIの仕掛り在庫品PPがあるか判定し、仕掛り在庫品PPがあると判定した場合、その注文部品OPの部品データをネスティングせずに仕掛り在庫品PPを注文部品OPとして引き当てるよう構成されている。このような構成を備えることにより、例えば、既に仕掛り在庫品PPがあるのに新たに同じ部品を注文部品OPとして加工してしまうことを防止できるため、仕掛り在庫品PPを有効活用することができ、在庫の無駄を削減できるという利点を有している。
【0104】
さらに、本実施形態に係る在庫管理装置(ネスティング装置100)は、注文部品OPとして引き当てた仕掛り在庫品PPに注文部品OPの製造番号SNを割り当てて管理するよう構成されている。このような構成を備えることにより、ブランク工程以降の工程においても製造番号SNによって引き当てた仕掛り在庫品PPのトレーサビリティを確保できるという利点を有している。
【0105】
[変形例]
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上述した実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0106】
例えば、上述した実施形態において、在庫管理装置(ネスティング装置100)は、ネスティングデータ142内の仕掛り在庫品PPの部品データの数量を仕掛り在庫品PPの数量として部品情報PIに紐づけて管理するものとして説明したが、これに限定されない。在庫管理装置(ネスティング装置100)は、ネスティングデータ142内の仕掛り在庫品PPの部品データの数量を仕掛り在庫品PPの数量として部品情報PIに紐づけなくてもよい。
【0107】
上述した実施形態において、在庫管理装置(ネスティング装置100)は、ネスティングデータ142の識別子(ワークジョブID144)と、ネスティングデータ142内の仕掛り在庫品PPの部品データの数量とを部品情報PIに紐づけて管理するものとして説明したが、これに限定されない。ネスティングデータ142の識別子(ワークジョブID144)と、ネスティングデータ142内の仕掛り在庫品PPの部品データの数量とを部品情報PIに紐づけなくてもよく、例えば、同じ部品情報PIの仕掛り在庫品PPが複数のネスティングデータ142に含まれている場合、その合計数だけを部品情報PIに紐づけてもよい。
【0108】
上述した実施形態において、在庫管理装置(ネスティング装置100)は、ネスティングデータ142に部品データが新たに追加された際に、ネスティングデータ142の識別子(ワークジョブID144)と、追加された部品データの部品情報PIとを新たに紐づけ可能に構成されているものとして説明したが、これに限定されない。在庫管理装置(ネスティング装置100)は、ネスティングデータ142に部品データが新たに追加された際に、ネスティングデータ142の識別子(ワークジョブID144)と、追加された部品データの部品情報PIとを新たに紐づけできなくてもよい。
【0109】
上述した実施形態において、在庫管理装置(ネスティング装置100)は、注文部品OPの部品データをネスティングする前に、注文部品OPの部品情報PIと同じ部品情報PIの仕掛り在庫品PPがあるか判定し、仕掛り在庫品PPがあると判定した場合、その注文部品OPの部品データをネスティングせずに仕掛り在庫品PPを注文部品OPとして引き当てるよう構成されているものとして説明したが、これに限定されない。在庫管理装置(ネスティング装置100)は、仕掛り在庫品PPを注文部品OPとして引き当てられなくてもよい。
【0110】
上述した実施形態において、在庫管理装置(ネスティング装置100)は、注文部品OPとして引き当てた仕掛り在庫品PPに注文部品OPの製造番号SNを割り当てて管理するよう構成されているものとして説明したが、これに限定されず、在庫管理装置(ネスティング装置100)は、注文部品OPとして引き当てた仕掛り在庫品PPに注文部品OPの製造番号SNを割り当てなくてもよい。
【0111】
上述した実施形態において、製造支援システム1は、サーバ50を備えるものとして説明したが、これに限定されず、製造支援システム1は、サーバ50を備えなくてもよい。また、ネスティング装置100は、サーバ50の代わりにサーバ50の各データベースを記憶部140に含んでもよい。
【0112】
上述した実施形態において、ネスティングデータ142への仕掛り在庫品PPの部品データの追加は、ユーザが行うことを前提として説明したが、これに限定されない。例えば、ネスティング装置100の制御部130のネスティング部132は、ネスティングデータ142の歩留まり率や各部品の在庫状況から判断し、自動的に仕掛り在庫品PPの部品データをネスティングデータ142に追加してもよい。
【符号の説明】
【0113】
1 製造支援システム
10 生産管理装置
12 製作手配情報
16 製作手配書
50 サーバ
70 ブランク加工機
100 ネスティング装置
110 入力部
120 表示部
130 制御部
131 製作手配情報取得部
132 ネスティング部
133 加工スケジュール情報作成部
135 識別子発行部
137 紐づけ部
139 引当部
140 記憶部
141 ネスティングデータ格納部
142 ネスティングデータ
143 識別子格納部
144 ワークジョブID(識別子)
145 紐付け情報格納部
147 在庫管理プログラム
I 加工スケジュール情報
OP 注文部品
PI 部品情報
PP 仕掛り在庫品
SN 製造番号