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特許7598411霧化デバイスの加熱制御方法、装置、回路、媒体、及びプログラム製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】霧化デバイスの加熱制御方法、装置、回路、媒体、及びプログラム製品
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/57 20200101AFI20241204BHJP
【FI】
A24F40/57
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023103874
(22)【出願日】2023-06-26
(65)【公開番号】P2024012116
(43)【公開日】2024-01-25
【審査請求日】2023-06-26
(31)【優先権主張番号】202210819219.9
(32)【優先日】2022-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517419906
【氏名又は名称】深▲せん▼麦克韋爾科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN SMOORE TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】16#, Dongcai Industrial Park, Gushu Town, Xixiang Street, Baoan District, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】葛 紹周
(72)【発明者】
【氏名】譚 華
(72)【発明者】
【氏名】曽 昭煥
(72)【発明者】
【氏名】陳 濤
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2021-0125362(KR,A)
【文献】特表2021-532816(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113925217(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0151304(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0071301(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/57
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱制御過程における霧化デバイスの発熱体の各検出周期のリアルタイム検出温度を取得することと、
現在加熱周期の加熱時間及び前記リアルタイム検出温度に基づいて、前記発熱体の加熱状態を決定することと、を含み、
前記検出周期は前記現在加熱周期よりも小さく、各加熱周期の加熱時間は同一であるかまたは異なっている、
ことを特徴とする霧化デバイスの加熱制御方法。
【請求項2】
前記現在加熱周期の加熱時間及び前記リアルタイム検出温度に基づいて、前記発熱体の加熱状態を決定することは、
前記リアルタイム検出温度が目標温度に達するとともに、前記リアルタイム検出温度に対応する検出周期が前記現在加熱周期の加熱時間の範囲内にあると、前記現在加熱周期の加熱過程を終了するように制御することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記現在加熱周期の加熱時間及び前記リアルタイム検出温度に基づいて、前記発熱体の加熱状態を決定することは、
前記加熱時間内のリアルタイム検出温度が目標温度に達していないと、前記現在加熱周期の加熱時間が終了した後、加熱を停止することと、
前記加熱を停止した後の発熱体のリアルタイム温度を取得することであって、前記発熱体のリアルタイム温度は、前記加熱を停止した後の前記検出周期のリアルタイム検出温度であることと、
前記発熱体のリアルタイム温度に基づいて、前記発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定することと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記発熱体のリアルタイム温度に基づいて、前記発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定することは、
前記発熱体のリアルタイム温度が前記目標温度未満であると、前記発熱体のリアルタイム温度に基づいて前記発熱体の次の加熱周期の加熱時間を算出することを含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記発熱体のリアルタイム温度に基づいて前記発熱体の次の加熱周期の加熱時間を算出することは、
前記発熱体を前記発熱体のリアルタイム温度から前記目標温度まで加熱するための加熱エネルギーを決定することと、
前記加熱エネルギーに基づいて、前記発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定することと、を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記発熱体を前記発熱体のリアルタイム温度から前記目標温度まで加熱するための加熱エネルギーを決定することは、
前記目標温度と前記発熱体のリアルタイム温度との差、前記発熱体の材料の比熱容量、及び前記発熱体の質量に基づいて、前記加熱エネルギーを算出することを含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記加熱エネルギーに基づいて、前記発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定することは、
前記発熱体のリアルタイム温度に対応する検出周期である目標検出周期の前記発熱体の電圧値及び電流値を取得することと、
前記電圧値及び前記電流値に基づいて、前記発熱体の電力を決定することと、
前記電力及び前記加熱エネルギーに基づいて、前記発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定することと、を含み、
前記発熱体のリアルタイム温度は、前記加熱時間の終了時に検出されたリアルタイム温度である、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記次の加熱周期の加熱時間は、前記電力に対する前記加熱エネルギーの比である、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記加熱制御過程の1回目の加熱周期の加熱時間は、所定の加熱時間である、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
加熱制御過程における霧化デバイスの発熱体の各検出周期のリアルタイム検出温度を取得するための取得モジュールと、
現在加熱周期の加熱時間及び前記リアルタイム検出温度に基づいて、前記発熱体の加熱状態を決定するための状態決定モジュールと、を備え、
前記検出周期は前記現在加熱周期よりも小さく、各加熱周期の加熱時間は同一であるかまたは異なっている、
ことを特徴とする霧化デバイスの加熱制御装置。
【請求項11】
制御チップと、前記制御チップに電気的に接続された加熱スイッチおよび温度センサと、を備え、前記加熱スイッチは、更に霧化デバイスの発熱体に接続され、
前記温度センサは、加熱制御過程における前記発熱体の各検出周期のリアルタイム検出温度を取得するために用いられ、
前記制御チップは、現在加熱周期の加熱時間及び前記リアルタイム検出温度に基づいて、前記発熱体の加熱状態を決定し、前記発熱体の加熱状態に基づいて、前記加熱スイッチのオン/オフ状態を制御して、前記発熱体の加熱状態を制御するために用いられ、
前記検出周期は前記現在加熱周期よりも小さく、各加熱周期の加熱時間は同一であるかまたは異なっている、
ことを特徴とする霧化デバイスの加熱制御回路。
【請求項12】
前記制御チップと前記発熱体との間に接続された電圧/電流サンプリング回路を更に備え、
前記電圧/電流サンプリング回路は、前記発熱体の目標検出周期の電圧値及び電流値を取得するために用いられ、前記目標検出周期は、前記現在加熱周期の加熱時間が終了した後、目標温度より小さい発熱体のリアルタイム温度に対応する検出周期であり、
前記制御チップは、前記電圧値及び前記電流値に基づいて、前記発熱体の電力を決定し、前記目標温度と前記発熱体のリアルタイム温度との差、前記発熱体の材料の比熱容量、及び前記発熱体の質量に基づいて、前記発熱体を前記発熱体のリアルタイム温度から前記目標温度まで加熱するための加熱エネルギーを算出し、前記電力及び前記加熱エネルギーに基づいて、前記発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定するために用いられる、
ことを特徴とする請求項11に記載の回路。
【請求項13】
コンピュータプログラムが記憶されたメモリと、プロセッサと、を備える霧化デバイスであって、
前記コンピュータプログラムが前記プロセッサによって実行されると、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法のステップが実現される、
ことを特徴とする霧化デバイス。
【請求項14】
コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法のステップが実現される、
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項15】
コンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品であって、
当該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法のステップが実現される、
ことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化デバイスの技術分野に関し、特に、霧化デバイスの加熱制御方法、装置、回路、霧化デバイス、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
霧化デバイスの発展に伴い、霧化デバイスを使用するユーザがますます増えてきており、通常、霧化デバイスに対するユーザのテイスティング要求を満たすために、前期には急速に加熱する方式で霧化デバイスの霧化を行い、その後の時間には温度を維持する方式で霧化デバイスの霧化を維持する。
【0003】
しかしながら、上記の方式を採用して霧化デバイスに対して加熱制御を行うと、霧化デバイスの加熱制御の精度が低くなり、ユーザのテイスティング効果に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑み、上記の問題に対して、加熱制御の精度を向上させることができる霧化デバイス加熱制御方法、装置、回路、霧化デバイス、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、及びコンピュータプログラム製品を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によると、本発明は、加熱制御過程における霧化デバイスの発熱体の各検出周期のリアルタイム検出温度を取得することと、現在加熱周期の加熱時間及び前記リアルタイム検出温度に基づいて、前記発熱体の加熱状態を決定することと、を含み、前記検出周期は前記現在加熱周期よりも小さく、各加熱周期の加熱時間は同一であるかまたは異なっている、霧化デバイスの加熱制御方法を提供する。
【0006】
一実施例において、前記現在加熱周期の加熱時間及び前記リアルタイム検出温度に基づいて、前記発熱体に対する加熱状態を決定することは、前記リアルタイム検出温度が目標温度に達するとともに、前記リアルタイム検出温度に対応する検出周期が前記現在加熱周期の加熱時間の範囲内にあると、前記現在加熱周期の加熱過程を終了するように制御することを含む。
【0007】
一実施例において、前記現在加熱周期の加熱時間及び前記リアルタイム検出温度に基づいて、前記発熱体の加熱状態を決定することは、前記加熱時間内のリアルタイム検出温度が目標温度に達していないと、前記現在加熱周期の加熱時間が終了した後、加熱を停止することと、前記加熱を停止した後の発熱体のリアルタイム温度を取得することであって、前記発熱体のリアルタイム温度は、前記加熱を停止した後の前記検出周期のリアルタイム検出温度であることと、前記発熱体のリアルタイム温度に基づいて、前記発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定することと、を含む。
【0008】
一実施例において、前記発熱体のリアルタイム温度に基づいて、前記発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定することは、前記発熱体のリアルタイム温度が前記目標温度未満であると、前記発熱体のリアルタイム温度に基づいて前記発熱体の次の加熱周期の加熱時間を算出することを含む。
【0009】
一実施例において、前記発熱体のリアルタイム温度に基づいて前記発熱体の次の加熱周期の加熱時間を算出することは、前記発熱体を前記発熱体のリアルタイム温度から前記目標温度まで加熱するための加熱エネルギーを決定することと、前記加熱エネルギーに基づいて、前記発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定することと、を含む。
【0010】
一実施例において、前記発熱体を前記発熱体のリアルタイム温度から前記目標温度まで加熱するための加熱エネルギーを決定することは、前記目標温度と前記発熱体のリアルタイム温度との差、前記発熱体の材料の比熱容量、及び前記発熱体の質量に基づいて、前記加熱エネルギーを算出することを含む。
【0011】
一実施例において、前記加熱エネルギーに基づいて、前記発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定することは、前記発熱体のリアルタイム温度に対応する検出周期である目標検出周期の前記発熱体の電圧値及び電流値を取得することと、前記電圧値及び前記電流値に基づいて、前記発熱体の電力を決定することと、前記電力及び前記加熱エネルギーに基づいて、前記発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定することと、を含む。
【0012】
一実施例において、前記次の加熱周期の加熱時間は、前記電力に対する前記加熱エネルギーの比である。
【0013】
一実施例において、前記加熱制御過程の第1の加熱周期の加熱時間は、所定の加熱時間である。
【0014】
第2の態様によると、本発明は、加熱制御過程における霧化デバイスの発熱体の各検出周期のリアルタイム検出温度を取得するための取得モジュールと、現在加熱周期の加熱時間及び前記リアルタイム検出温度に基づいて、前記発熱体に対する加熱状態を決定するための状態決定モジュールと、を備え、前記検出周期は前記現在加熱周期よりも小さく、各加熱周期の加熱時間は同一であるかまたは異なっている、霧化デバイスの加熱制御装置を提供する。
【0015】
一実施例において、前記状態決定モジュールは、更に、前記リアルタイム検出温度が目標温度に達するとともに、前記リアルタイム検出温度に対応する検出周期が前記現在加熱周期の加熱時間の範囲内にあると、前記現在加熱周期の加熱過程を終了するように制御するために用いられる。
【0016】
一実施例において、前記状態決定モジュールは、更に、前記加熱時間内のリアルタイム検出温度が目標温度に達していないと、前記現在加熱周期の加熱時間が終了した後、加熱を停止し、前記加熱を停止した後の発熱体のリアルタイム温度を取得し、前記発熱体のリアルタイム温度は、前記加熱を停止した後の前記検出周期のリアルタイム検出温度であり、
前記発熱体のリアルタイム温度に基づいて、前記発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定するために用いられる。
【0017】
一実施例において、前記状態決定モジュールは、更に、前記発熱体のリアルタイム温度が前記目標温度未満であると、前記発熱体のリアルタイム温度に基づいて前記発熱体の次の加熱周期の加熱時間を算出するために用いられる。
【0018】
一実施例において、前記状態決定モジュールは、更に、前記発熱体を前記発熱体のリアルタイム温度から前記目標温度まで加熱するための加熱エネルギーを決定し、前記加熱エネルギーに基づいて、前記発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定するために用いられる。
【0019】
一実施例において、前記状態決定モジュールは、更に、前記目標温度と前記発熱体のリアルタイム温度との差、前記発熱体の材料の比熱容量、及び前記発熱体の質量に基づいて、前記加熱エネルギーを算出するために用いられる。
【0020】
一実施例において、前記状態決定モジュールは、更に、前記発熱体のリアルタイム温度に対応する検出周期である目標検出周期の前記発熱体の電圧値及び電流値を取得し、前記電圧値及び前記電流値に基づいて、前記発熱体の電力を決定し、前記電力及び前記加熱エネルギーに基づいて、前記発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定するために用いられる。
【0021】
一実施例において、前記次の加熱周期の加熱時間は、前記電力に対する前記加熱エネルギーの比である。
【0022】
一実施例において、前記加熱制御過程の第1の加熱周期の加熱時間は、所定の加熱時間である。
【0023】
第3の態様によると、本発明は、制御チップと、前記制御チップに電気的に接続された加熱スイッチおよび温度センサと、を備え、前記加熱スイッチは、更に霧化デバイスの発熱体に接続され、前記温度センサは、加熱制御過程における前記発熱体の各検出周期のリアルタイム検出温度を取得するために用いられ、前記制御チップは、現在加熱周期の加熱時間及び前記リアルタイム検出温度に基づいて、前記発熱体の加熱状態を決定し、前記発熱体の加熱状態に基づいて、前記加熱スイッチのオン/オフ状態を制御して、前記発熱体の加熱状態を制御するために用いられる、霧化デバイスの加熱制御回路を更に提供する。
【0024】
一実施例において、前記霧化デバイスの加熱制御回路は、前記制御チップと発熱体との間に接続された電圧/電流サンプリング回路を更に備え、前記電圧/電流サンプリング回路は、前記発熱体の目標検出周期の電圧値及び電流値を取得するために用いられ、前記目標検出周期は、前記現在加熱周期の加熱時間が終了した後、目標温度より小さい発熱体のリアルタイム温度に対応する検出周期であり、前記制御チップは、前記電圧値及び前記電流値に基づいて、前記発熱体の電力を決定し、前記目標温度と前記発熱体のリアルタイム温度との差、前記発熱体の材料の比熱容量、及び前記発熱体の質量に基づいて、前記発熱体を前記発熱体のリアルタイム温度から前記目標温度まで加熱するための加熱エネルギーを算出し、前記電力及び前記加熱エネルギーに基づいて、前記発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定するために用いられる。
【0025】
第4の態様によると、本発明は、コンピュータプログラムが記憶されたメモリと、プロセッサと、を備える霧化デバイスを更に提供する。前記コンピュータプログラムが前記プロセッサによって実行されると、加熱制御過程における霧化デバイスの発熱体の各検出周期のリアルタイム検出温度を取得するステップと、現在加熱周期の加熱時間及び前記リアルタイム検出温度に基づいて、前記発熱体の加熱状態を決定するステップと、が実現され、前記検出周期は前記現在加熱周期よりも小さく、各加熱周期の加熱時間は同一であるかまたは異なっている。
【0026】
第5の態様によると、本発明は、コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を更に提供する。前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、加熱制御過程における霧化デバイスの発熱体の各検出周期のリアルタイム検出温度を取得するステップと、現在加熱周期の加熱時間及び前記リアルタイム検出温度に基づいて、前記発熱体の加熱状態を決定するステップと、が実現され、前記検出周期は前記現在加熱周期よりも小さく、各加熱周期の加熱時間は同一であるかまたは異なっている。
【0027】
第6の態様によると、本発明は、コンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を更に提供する。当該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、加熱制御過程における霧化デバイスの発熱体の各検出周期のリアルタイム検出温度を取得するステップと、現在加熱周期の加熱時間及び前記リアルタイム検出温度に基づいて、前記発熱体の加熱状態を決定するステップと、が実現され、前記検出周期は前記現在加熱周期よりも小さく、各加熱周期の加熱時間は同一であるかまたは異なっている。
【0028】
上記の霧化デバイス加熱制御方法、装置、回路、霧化デバイス、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、及びコンピュータプログラム製品によれば、検出周期を設定する方式によって、加熱制御過程における霧化デバイスの発熱体の各検出周期のリアルタイム検出温度を取得することができ、現在加熱周期の加熱時間の発熱体の加熱状態への影響を考慮した上、現在加熱周期の加熱時間及びリアルタイム検出温度に基づいて発熱体の加熱状態を決定する際に、発熱体の加熱状態に対する判断精度を向上させることができ、発熱体の加熱状態に対する判断精度が高い場合、霧化デバイスに対する加熱制御の精度を向上させ、ユーザのテイスティング効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】霧化デバイスの加熱制御の結果の模式図である。
図2】パルス幅変調(pulse width modulation、PWM)に基づく加熱制御方法の結果の模式図である。
図3】一実施例における霧化デバイスの加熱制御方法の応用環境図である。
図4】一実施例における霧化デバイスの加熱制御方法の流れ模式図である。
図5】一実施例において現在加熱周期の加熱時間及びリアルタイム検出温度に基づいて発熱体の加熱状態を決定する流れ模式図である。
図6】一実施例において加熱エネルギーに基づいて発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定する流れ模式図である。
図7】一応用例における発熱体の加熱状態のグラフ模式図である。
図8】一応用例における発熱体の加熱状態のグラフ模式図である。
図9】一応用例における霧化デバイスの加熱制御過程のグラフ模式図である。
図10】一実施例における霧化デバイスの加熱制御方法の流れ模式図である。
図11】一実施例における霧化デバイスの加熱制御回路の構造模式図である。
図12】一実施例における霧化デバイスの加熱制御装置の構造ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の目的、技術的解決策、及び利点をより明確にするために、図面及び実施例を参照して、本発明を更に詳細に説明する。理解すべきものとしては、ここで説明する具体的な実施例は、本発明を解釈するものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0031】
通常、図1に示されたように、霧化デバイスの加熱制御の結果の模式図が提供される。霧化デバイスは加熱制御過程においてユーザのテイスティング要求を満たすために、P0過程では急速に加熱して作動媒体の温度が急速にP1過程で設定された温度まで昇温し、P1過程後では温度を相対的に安定して維持する方式を採用することができる。
【0032】
しかしながら、上記の方式を採用して霧化デバイスに対して加熱制御を行う場合、霧化デバイスに対する加熱制御の精度が低くなるおそれがある。その原因は次のとおりである。霧化デバイスにおける作動媒体は熱伝導が遅いという特性を有するため、霧化デバイスの作動媒体中に設けられた発熱体に対して高出力加熱を行った後、高出力加熱後のエネルギーが発熱体に濃縮されて作動媒体に伝導されないため、発熱体の加熱を停止した後、発熱体に濃縮されたエネルギーにより、作動媒体の温度が依然として設定されたP1過程の温度を超え、又は、発熱体の加熱を早期に停止することにより、発熱体のエネルギーが設定されたP1過程の温度に達することができず、ユーザのテイスティング効果に影響を及ぼす。
【0033】
上記の状況に対して、霧化デバイスの加熱制御過程を実現するために、パルス幅変調(pulse width modulation、PWM)に基づく加熱制御方法を採用することができる。PWMに基づく加熱制御方法は、周波数が一定であるがデューティサイクルが可変の制御方法である。図2に示されたように、発熱体の加熱周期は、第1周期、第2周期、第3周期、...、第N周期を含み、加熱制御過程全体において、発熱体の各加熱周期の時間は、いずれも同じであり、即ち、発熱体のスイッチオン時間Tonとスイッチオフ時間Toffの合計時間は不変であり、Tonを調整することにより、異なる加熱周期において異なるデューティサイクルを実現することができ、それにより出力を制御する効果を達成することができる。ここで、一定周波数fは第1のパラメータに対する1の比、第1のパラメータはTonとToffの和、デューティサイクルDは第2のパラメータに対するTonの比、第2のパラメータはTonとToffの和である。
【0034】
作動媒体に対する正確な制御を実現するために、PWMに基づく制御方法は、作動媒体の熱伝導速度、センサの温度測定速度、センサの温度測定精度に対する要求が高く、選択する温度測定センサに対する精度の要求が高く、また、一部の温度センサは生産前に他の設備を使用して校正する必要があるため、設備の投入、生産工程、及び生産時間が増え、総コストが増加される。
【0035】
また、PWMに基づく加熱制御方法は、Tonを調整して出力を制御する効果を達成することができるが、実際の応用シーンでは、発熱体の各加熱周期を同じ加熱周期に設定することで、霧化デバイスの加熱制御の精度が低くなるおそれもある。
【0036】
これに鑑み、本発明は、霧化デバイスの加熱制御方法を提供する。この霧化デバイスの加熱制御方法は、図3に示された応用環境に応用され得、当該応用シーンは、マイクロコントロールユニット(Micro Controller Unit:MCU)と、作動媒体中に設けられた発熱体と、を含み、マイクロコントロールユニットは、制御チップと呼ばれることができ、制御チップは、加熱制御過程において霧化デバイスの発熱体の各検出周期のリアルタイム検出温度を取得し、更に、現在加熱周期の加熱時間及びリアルタイム検出温度に基づいて、発熱体の加熱状態を決定する。
【0037】
一実施例において、図4に示されたように、霧化デバイスの加熱制御方法を提供する。当該方法を図1のMCUに応用する例を挙げて説明し、当該方法は、以下のステップを含むことができる。
【0038】
S402において、加熱制御過程における霧化デバイスの発熱体の各検出周期のリアルタイム検出温度を取得する。
【0039】
本実施例において、霧化デバイスは、作動媒体中に設けられた発熱体を含み、作動媒体は、加熱対象物質と呼ばれてもよいし、エアロゾル発生基質と呼ばれてもよい。エアロゾル発生基質の形態は、液体、ゲル、ペースト、又は固体等であってもよく、具体的には実際の応用シーンに応じて設定することができる。例えば、エアロゾル発生基質が固体である場合、粉砕状、顆粒状、粉末状、棒状、又はシート状等の形態の固体であってもよい。
【0040】
更に、加熱制御過程における霧化デバイスの発熱体の各検出周期のリアルタイム検出温度を取得することによって、加熱制御過程における発熱体の温度をリアルタイムで判断することができ、発熱体の温度によって発生したエネルギーは作動媒体の温度に影響を与えるため、発熱体の温度をリアルタイムで判断することによって、作動媒体の温度をリアルタイムで判断することができ、更に、作動媒体の温度に基づいて、霧化デバイスの霧化過程を判断することができ、それによりユーザのテイスティング効果を向上させる。
【0041】
ここで、検出周期は、1ms又は他の値であってもよく、検出周期の具体的な値は、実際の応用シーンに応じて設定され得、本実施例では具体的に限定されない。
【0042】
S404において、現在加熱周期の加熱時間及びリアルタイム検出温度に基づいて、発熱体の加熱状態を決定する。
【0043】
本実施例において、検出周期に基づいて発熱体の各検出周期のリアルタイム検出温度をリアルタイムで取得することができるため、現在加熱周期の加熱時間及びリアルタイム検出温度に基づいて発熱体の加熱状態を決定することで、霧化デバイスに対する加熱制御を正確に実現することができ、更にユーザのテイスティング効果を向上させる。
【0044】
なお、霧化デバイスの加熱制御過程の第1の加熱周期の加熱時間は、所定の加熱時間であり、当該第1の加熱周期において、発熱体に対して所定の加熱時間だけ加熱した後、次の加熱周期に入ることができるし、又は、当該第1の加熱周期において、発熱体に対して所定の加熱時間だけ加熱した後に、所定の停止時間だけ加熱を停止してから、次の加熱周期に入ることができるが、本実施例では限定されない。
【0045】
以上のように、図4に示された実施例において、検出周期を設定する方式によって、加熱制御過程において霧化デバイスの発熱体の各検出周期のリアルタイム検出温度を取得することができる。現在加熱周期の加熱時間の発熱体の加熱状態への影響を考慮した上、現在加熱周期の加熱時間及びリアルタイム検出温度に基づいて発熱体の加熱状態を決定する際に、発熱体の加熱状態に対する判断の精度を向上させることができ、発熱体の加熱状態に対する判断の精度が高い場合、霧化デバイスに対する加熱制御の精度を向上させ、ユーザのテイスティング効果を向上させることができる。
【0046】
一実施例において、現在加熱周期の加熱時間及びリアルタイム検出温度に基づいて発熱体の加熱状態を決定するステップは、リアルタイム検出温度が目標温度に達するとともに、リアルタイム検出温度に対応する検出周期が現在加熱周期の加熱時間の範囲内にあると、現在加熱周期の加熱過程を終了するように制御することを含む。
【0047】
ここで、目標温度は、200℃又は他の値に設定することができ、目標温度の具体的な値は、実際の応用シーンに応じて設定することができ、本実施例ではこれに対して限定しない。
【0048】
なお、発熱体のリアルタイム検出温度は、目標温度の上限値に達することが許容されるが、目標温度の上限値を超えることが許容されず、例えば、目標温度が200℃、目標温度の上限値が230℃であり、発熱体の目標温度の上限値を設定することで、発熱体の破損をある程度回避することができる。
【0049】
一実施例において、図5に示されたように、現在加熱周期の加熱時間及びリアルタイム検出温度に基づいて発熱体の加熱状態を決定する流れ模式図を提供する。当該方法を図1のMCUに応用する例を挙げて説明し、当該方法は、以下のステップを含む。
【0050】
S502において、加熱時間内のリアルタイム検出温度が目標温度に達していないと、現在加熱周期の加熱時間が終了した後、加熱を停止する。
【0051】
本実施例において、検出周期は現在加熱時間よりも小さいため、検出周期に基づいて加熱時間内の発熱体の各検出周期におけるリアルタイム検出温度を検出することができ、現在加熱周期の加熱時間内で、各検出周期で検出されたリアルタイム検出温度がいずれも目標温度に達していないと、現在加熱周期の加熱時間が終了した後、加熱を停止するすることができ、それにより、加熱を停止した後に発熱体の温度が目標温度に達することができる。
【0052】
S504において、加熱を停止した後の発熱体のリアルタイム温度を取得する。
【0053】
本実施例において、発熱体のリアルタイム温度は、加熱を停止した後の検出周期のリアルタイム検出温度である。ここで、発熱体のリアルタイム温度は、加熱時間範囲内の最後の検出周期で検出されたリアルタイム温度であってもよく、加熱時間の終了時に検出されたリアルタイム温度であってもよく、本実施例では限定されない。
【0054】
S506において、発熱体のリアルタイム温度に基づいて、発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定する。
【0055】
本実施例において、発熱体のリアルタイム温度が目標温度未満であると、発熱体のリアルタイム温度に基づいて発熱体の次の加熱周期の加熱時間を算出することができる。具体的に、発熱体のリアルタイム温度に基づいて発熱体の次の加熱周期の加熱時間を算出するステップは、以下のステップを含む。
【0056】
S5062において、発熱体を発熱体のリアルタイム温度から目標温度まで加熱するための加熱エネルギーを決定する。
【0057】
S5064において、加熱エネルギーに基づいて、発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定する。
【0058】
ここで、S5062において、具体的に、加熱エネルギーは、目標温度と発熱体のリアルタイム温度との差、発熱体の材料の比熱容量、及び発熱体の質量に基づいて、得ることができる。例えば、加熱エネルギーをQ、目標温度をT1、発熱体のリアルタイム温度をT0、発熱体の材料の比熱容量をC、発熱体の質量をmとすると、Qは、Q=C×m×(T1-T0)を満たし、ここで、発熱体の材料の比熱容量の単位は、J/(KG.℃)である。
【0059】
具体的な例として、C×mが1.5、目標温度が125℃、発熱体のリアルタイム温度が100℃であれば、Q=1.5×(125℃-100℃)=37.5Jとなる。
【0060】
上記のように、図5に示された実施例において、現在加熱周期の加熱を停止した後の検出周期のリアルタイム検出温度を取得し、リアルタイム検出温度と目標温度との関係を比較することによって、当該発熱体のリアルタイム温度から目標温度まで加熱するために必要な加熱エネルギーを決定することができ、更に、加熱エネルギーに基づいて発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定することができ、それにより、目標温度を超えることなく、霧化デバイスの加熱制御過程に対する正確な制御を実現することができる。
【0061】
一実施例において、図6に示されたように、加熱エネルギーに基づいて発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定する流れ模式図を提供する。図6に示された方法は、S5064を更に限定したものであり、当該方法を図1のMCUに応用する例を挙げて説明すると、当該方法は、以下のステップを含む。
【0062】
S602において、発熱体の目標検出周期の電圧値及び電流値を取得する。
【0063】
本実施例において、目標検出周期は、発熱体のリアルタイム温度に対応する検出周期であり、目標検出周期の発熱体の電圧値及び電流値を取得することによって、S604を実行することができる。
【0064】
S604において、電圧値及び電流値に基づいて発熱体の電力を決定する。
【0065】
本実施例において、発熱体の電力は、電圧値と電流値の積であり、例えば、発熱体の電力をP、電圧値をU、電流値をIとすると、Pは、P=U×Iを満たす。
【0066】
S606において、電力及び加熱エネルギーに基づいて、発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定する。
【0067】
具体的に、発熱体の次の加熱周期の加熱時間は、加熱エネルギーと電力の比であり、例えば、加熱時間をTon、加熱エネルギーをQ、電力をPとすると、Tonは、Ton=Q/Pを満たし、例えば、P=25.92W、Q=37.5Jであると、Ton=37.5J/25.92W=1.447sである。
【0068】
以上のように、在図6に示された実施例において、発熱体の目標検出周期の電圧値及び電流値を取得することによって、電圧値及び電流値に基づいて発熱体の電力を決定することができ、更に電力及び加熱エネルギーに基づいて、発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定することができる。このようにして、発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定することによって、発熱体は、次の加熱周期において発熱体のリアルタイム温度から目標温度に達することができ、更に、発熱体の温度が目標温度に達するようにリアルタイムで制御することによって、作動媒体の霧化過程は維持し続けることができ、それにより、ユーザのテイスティング効果を向上させる。
【0069】
理解されるものとして、図6において、MCUは、発熱体の電圧値及び電流値に基づいて発熱体の電力を決定するが、MCUは、更に、発熱体の電圧値及び発熱体の電気抵抗値に基づいて発熱体の電力を決定してもよく、具体的には、発熱体の電力をP、発熱体の電圧値をU、発熱体の電気抵抗値をRとすると、Pは、P=(U×U)/Rを満たし、例えば、U=3.6V、R=0.5Ωであると、P=(3.6×3.6)/0.5=25.92Wである。
【0070】
図4図6に示された内容を前提に、理解されるものとして、発熱体の各検出周期で検出されたリアルタイム検出温度T0の違いにより、式Q=C×m×(T1-T0)から分かるように、発熱体が発熱体のリアルタイム検出温度から目標温度T1まで達するために必要な加熱エネルギー1が異なり、式Ton=Q/Pから分かるように、発熱体の次の加熱周期の加熱時間Tonも異なり、即ち、発熱体の各加熱周期での加熱状態が異なる。
【0071】
例示的に、一応用例における発熱体の加熱状態のグラフは、図7に示された通りである。ここで、発熱体の各加熱周期での加熱時間は、ハイレベルで示され、発熱体の各加熱周期での加熱停止時間は、ローレベルで示される。図7から分かるように、発熱体の各加熱周期Tsの時間は異なり、発熱体の各加熱周期での加熱時間及び加熱停止時間も異なる。
【0072】
例示的に、一応用例における発熱体の加熱状態のグラフは、図8に示された通りである。ここで、発熱体の各加熱周期での加熱時間は、ハイレベルで示され、発熱体の各加熱周期での加熱停止時間は、ローレベルで示される。これから分かるように、異なる加熱周期Tsにおいて、発熱体の加熱時間は異なり、発熱体の加熱停止時間も異なる。
【0073】
例示的に、一応用例における霧化デバイスの加熱制御グラフは、図9に示された通りである。ここで、発熱体の各加熱周期での加熱時間は、ハイレベルで示され、発熱体の各加熱周期での加熱停止時間は、ローレベルで示される。発熱体の各加熱周期での加熱時間は、加熱時間及び加熱停止時間を含む。
【0074】
発熱体の加熱状態グラフにおいて、発熱体のP0過程における加熱時間は、加熱停止時間より長く、発熱体のP1過程における加熱時間は、加熱停止時間より短く、これに応じて、作動媒体の温度変化グラフにおいて、作動媒体はP0過程において急速昇温過程にあり、作動媒体はP1過程において温度が安定して維持され、発熱体の加熱状態に対する制御に基づいて、作動媒体の温度に対する制御を実現することができ、それにより、霧化デバイスの加熱制御の精度を向上させることができる。
【0075】
図3図9に示された内容を前提に、例示的に、図10に示されたように、霧化デバイスの加熱制御方法の流れ模式図を提供し、当該方法は、以下のステップを含むことができる。
【0076】
S1002において、加熱制御過程における霧化デバイスの発熱体の各検出周期のリアルタイム検出温度を取得する。
【0077】
S1004において、加熱時間内のリアルタイム検出温度が目標温度に達していないと、現在加熱周期の加熱時間が終了した後、加熱を停止する。
【0078】
S1006において、加熱を停止した後の発熱体のリアルタイム温度を取得し、発熱体のリアルタイム温度は加熱を停止した後の検出周期のリアルタイム検出温度である。
【0079】
S1008、発熱体のリアルタイム温度が目標温度未満であると、目標温度と発熱体のリアルタイム温度との差、発熱体の材料の比熱容量、及び発熱体の質量に基づいて、加熱エネルギーを算出する。
【0080】
S1010、発熱体のリアルタイム温度に対応する検出周期である目標検出周期の発熱体の電圧値及び電流値を取得する。
【0081】
S1012、電圧値及び電流値に基づいて発熱体の電力を決定する。
【0082】
S1014、電力及び加熱エネルギーに基づいて、発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定する。
【0083】
本実施例において、S1002~S1014の具体的な内容は、前述した内容を参考して説明することができるため、ここでは繰り返されない。
【0084】
説明すべきものとして、加熱制御過程における霧化デバイスの発熱体の各検出周期のリアルタイム検出温度を取得した後、リアルタイム検出温度が目標温度に達するとともに、リアルタイム検出温度に対応する検出周期が現在加熱周期の加熱時間の範囲内にあると、現在加熱周期の加熱過程を終了するように制御し、それにより、発熱体の温度が目標温度を超えることを回避する。
【0085】
ここで、リアルタイム検出温度が目標温度に達するとともに、リアルタイム検出温度に対応する検出周期が現在加熱周期の加熱時間の範囲内にあることから、発熱体のリアルタイム検出温度に対応する出力エネルギーQが過剰であることが分かるので、当該出力エネルギーに基づいて作動媒体の温度は設定された作動媒体の目標温度を超えないように、加熱スイッチを制御して現在加熱周期の加熱過程を終了することにより、霧化デバイスに対する加熱制御を正確に実現すると同時に、ユーザのテイスティング効果を向上させる。
【0086】
理解すべきものとして、上述した各実施例に係るフローチャートの各々のステップは、矢印の順に示されているが、これらのステップは、必ずしも矢印の順に実行されるとは限らない。これらのステップの実行は、本明細書で明示的に示されない限り、厳密な順序に限定されず、これらのステップは、他の順序で実行されてもよい。更に、上述した各実施例に係るフローチャート中の少なくとも一部のステップは、複数のステップ又は複数の段階を含んでもよく、これらのステップ又は段階は、必ずしも同じ時点で実行されるとは限らず、異なる時点で実行されてもよい。これらのステップ又は段階も、必ずしも順に実行されるとは限らず、他のステップ又は他のステップ中のステップ又は段階の少なくとも一部と交代してまたは交互に実行することができる。
【0087】
本発明の一実施例において、霧化デバイスの加熱制御回路を更に提供する。図11に示されたように、電源の一端は接地し、電源の他端は加熱スイッチに接続され、加熱スイッチは、更に発熱体の一端に接続され、発熱体の他端は接地し、電源の他端は、更にMCUに接続され、MCUと発熱スイッチとの間には、電圧/電流サンプリング回路が設けられる。
【0088】
ここで、電源は、加熱スイッチに電源電圧VCCを提供することができ、加熱スイッチは、当該電源電圧VCCに基づいてMCUによって指示されたオン/オフ状態を実行することができる。電源は、MCUに動作電圧VDDを提供することができ、MCUは、当該動作電圧VDDに基づいて霧化デバイスの加熱制御方法のステップを実行することができる。
【0089】
具体的に、温度センサは、加熱制御過程における発熱体の各検出周期のリアルタイム検出温度を取得するために用いられ、制御チップは、現在加熱周期の加熱時間及びリアルタイム検出温度に基づいて発熱体の加熱状態を決定し、発熱体の加熱状態に基づいて制御加熱スイッチのオン/オフ状態を制御して発熱体の加熱状態を制御するために用いられる。
【0090】
一実施例において、制御チップは、更に、リアルタイム検出温度が目標温度に達するとともに、リアルタイム検出温度に対応する検出周期が現在加熱周期の加熱時間の範囲内にあると、加熱スイッチの状態をオン状態として、現在加熱周期の加熱過程を終了するように制御するために用いられる。
【0091】
一実施例において、制御チップは、更に、加熱時間内のリアルタイム検出温度が目標温度に達していないと、現在加熱周期の加熱時間が終了した後、加熱スイッチの状態をオン状態として発熱体の加熱を停止するように制御するために用いられる。温度センサは、更に、加熱を停止した後の発熱体のリアルタイム温度を取得するために用いられ、発熱体のリアルタイム温度は、加熱を停止した後の前記検出周期のリアルタイム検出温度である。制御チップは、更に、発熱体のリアルタイム温度に基づいて、発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定するために用いられる。
【0092】
一実施例において、制御チップは、更に、発熱体のリアルタイム温度が目標温度未満であると、発熱体のリアルタイム温度に基づいて発熱体の次の加熱周期の加熱時間を算出するために用いられる。
【0093】
一実施例において、制御チップは、更に、発熱体を発熱体のリアルタイム温度から目標温度まで加熱するための加熱エネルギーを決定し、加熱エネルギーに基づいて発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定するために用いられる。
【0094】
一実施例において、制御チップは、更に、目標温度と発熱体のリアルタイム温度との差、発熱体の材料の比熱容量、及び発熱体の質量に基づいて、加熱エネルギーを算出するために用いられる。
【0095】
一実施例において、電圧/電流サンプリング回路は、発熱体の目標検出周期の電圧値及び電流値を取得するために用いられ、目標検出周期は発熱体のリアルタイム温度に対応する検出周期である。制御チップは、更に、電圧値及び前記電流値に基づいて、発熱体の電力を決定し、電力及び加熱エネルギーに基づいて、発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定するために用いられる。
【0096】
一実施例において、制御チップは、更に、次の加熱周期の加熱時間を加熱エネルギーと電力の比に設定するために用いられる。
【0097】
一実施例において、制御チップは、更に、加熱制御過程の第1の加熱周期の加熱時間を所定の加熱時間に設定するために用いられる。
【0098】
上記のように、発熱体を発熱体のリアルタイム温度から目標温度まで加熱する温度差が大きいほど、発熱体が放出する加熱エネルギーが多くなり、MCUが加熱スイッチを制御するスイッチオン時間Tonが長くなり、スイッチオン率が高くなる。発熱体を発熱体のリアルタイム温度から目標温度まで加熱する温度差が小さいほど、発熱体が放出する加熱エネルギーが少なくなり、MCUが加熱スイッチを制御するスイッチオフ時間Toffが長くなり、スイッチオン率が低くなる。これにより、温度制御にバランスをとる目的を達成することができる。
【0099】
上記内容を参照して、本発明によって提案される霧化デバイスの加熱制御方法は、パルス周波数変調(pulse frequency modulation、PFM)に基づく加熱制御方法であり、PWMに基づく加熱制御方法と比較すると、PFMに基づく加熱制御方法は、発熱体に対して正確な温度制御を行う必要がない。なぜならば、一部の応用シーンにおいて、発熱体に一定の適応温度差が存在し、発熱体から出力されたエネルギーの伝導及び昇温速度の向上により有利であり、発熱体に対して正確な温度制御を行う必要がない場合、MCUの処理過程も相対的に減少し、それによりMCUの動作量を低減することができ、運転処理効率を向上させることができるからである。
【0100】
更に、PFMに基づく加熱制御方法は、高精度な温度センサを必要とせず、得られた発熱体の温度が不正確であっても、検出周期において発熱体の温度を測定する過程を連続的に実行することによって、発熱体の昇温速度を制御することができ、発熱体の加熱周期を増加するだけである。高精度な温度センサを必要とするPWMに基づく加熱制御方法と比較すると、PFMに基づく加熱制御方法は、デバイスの校正及び煩雑な校正作業を省くことができるため、コストを削減することができる。
【0101】
上述した内容によれば、霧化デバイス加熱制御方法は、発熱体の温度に基づいて実現されルものであり、発熱体の温度も作動媒体の温度に影響を与えるので、作動媒体の温度に基づいて霧化デバイスに対する加熱制御を実現することができる。例えば、加熱周期内の作動媒体の最高温度と加熱周期終了前の最後の回の作動媒体の温度を取得し、加熱周期内の作動媒体の最高温度及び加熱周期内の最後の回の作動媒体の温度に基づいて、昇温及び降温の傾向を判断することができ、更に昇温及び降温の傾向に基づいて次の加熱周期でTonとToffを調整する必要があるか否かを判断することができる。又は、加熱周期内の最後の回の作動媒体の温度と作動媒体の目標温度との差に基づいて、両者の温度差の幅を判断し、大幅の温度差であると、TonとToffを同期して調整し、小さい幅の温度差であると、Ton又はToffを調整することができる。
【0102】
可能な場合のうち、大幅の温度差の加熱制御の場合、例えば、作動媒体は常温(25℃)から作動媒体の目標温度(150℃)まで急速に昇温する必要がある場合、発熱体の電力を算出する方法を参考して、作動媒体を常温から作動媒体の目標温度まで加熱するための加熱エネルギーを算出し、当該加熱エネルギーが非常に大きいので、長時間のスイッチオン時間Tonを設定することができ、例えば、スイッチオン時間Tonを5sより大きくし、スイッチを全開にすることで、発熱体をスイッチオン時間Tonだけ加熱し、このようにして、発熱体が出力するエネルギーによって、作動媒体の温度が作動媒体の目標温度まで昇温することができる。
【0103】
同じ発明概念に基づいて、本発明の実施例は、上記に係る霧化デバイスの加熱制御方法を実現するための霧化デバイスの加熱制御装置を更に提供する。当該装置によって提供される問題を解決するための実現形態は、上記の方法に記載の実現形態と同様であるため、以下に提供される1つ又は複数の霧化デバイスの加熱制御装置の実施例中の具体的な限定は、上記の霧化デバイスの加熱制御方法に対する限定を参考することができ、ここでは繰り返されない。
【0104】
一実施例において、図12に示されたように、霧化デバイスの加熱制御装置の構造ブロック図を提供し、当該装置は、取得モジュール1202と状態決定モジュール1204とを備える。ここで、取得モジュール1202は、加熱制御過程における霧化デバイスの発熱体の各検出周期のリアルタイム検出温度を取得するために用いられ、状態決定モジュール1204は、現在加熱周期の加熱時間及びリアルタイム検出温度に基づいて、発熱体に対する加熱状態を決定するために用いられ、検出周期は現在加熱周期よりも小さく、各加熱周期の加熱時間は同一であるかまたは異なっている。
【0105】
一実施例において、状態決定モジュールは、更に、リアルタイム検出温度が目標温度に達するとともに、リアルタイム検出温度に対応する検出周期が現在加熱周期の加熱時間の範囲内にあると、現在加熱周期の加熱過程を終了するように制御するために用いられる。
【0106】
一実施例において、状態決定モジュールは、更に、加熱時間内のリアルタイム検出温度が目標温度に達していないと、現在加熱周期の加熱時間が終了した後、加熱を停止し、加熱を停止した後の発熱体のリアルタイム温度を取得し、発熱体のリアルタイム温度は加熱を停止した後の検出周期のリアルタイム検出温度であり、また、発熱体のリアルタイム温度に基づいて、発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定するために用いられる。
【0107】
一実施例において、状態決定モジュールは、更に、発熱体のリアルタイム温度が目標温度未満であると、発熱体のリアルタイム温度に基づいて発熱体の次の加熱周期の加熱時間を算出するために用いられる。
【0108】
一実施例において、状態決定モジュールは、更に、発熱体を発熱体のリアルタイム温度から目標温度まで加熱するための加熱エネルギーを決定し、加熱エネルギーに基づいて、発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定するために用いられる。
【0109】
一実施例において、状態決定モジュールは、更に、目標温度と発熱体のリアルタイム温度との差、発熱体の材料の比熱容量、及び発熱体の質量に基づいて、加熱エネルギーを算出するために用いられる。
【0110】
一実施例において、状態決定モジュールは、更に、発熱体のリアルタイム温度に対応する検出周期である目標検出周期の発熱体の電圧値及び電流値を取得し、電圧値及び電流値に基づいて発熱体の電力を決定し、電力及び加熱エネルギーに基づいて発熱体の次の加熱周期の加熱時間を決定するために用いられる。
【0111】
一実施例において、次の加熱周期の加熱時間は、加熱エネルギーと電力の比である。
【0112】
一実施例において、加熱制御過程の第1の加熱周期の加熱時間は、所定の加熱時間である。
【0113】
上記の霧化デバイスの加熱制御装置の各モジュールは、その全部又は一部が、ソフトウェア、ハードウェア、及びその組み合わせによって実現することができる。上記の各モジュールは、ハードウェアの形態でプロセッサに組み込まれるか、又は、霧化デバイスのプロセッサから独立したものとしてもよいし、上記の各モジュールに対応する動作を実行するためにプロセッサによって呼び出されるように、ソフトウェアの形態で霧化デバイスのメモリに記憶されてもよい。
【0114】
一実施例において、霧化デバイスを更に提供し、前記霧化デバイスは、メモリとプロセッサとを備え、メモリには、コンピュータプログラムが記憶されており、コンピュータプログラムが当該プロセッサによって実行されると上記の各方法の実施例のステップが実現される。
【0115】
一実施例において、コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、当該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると上記の各方法の実施例のステップが実現される。
【0116】
一実施例において、コンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を提供し、当該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると上記の各方法の実施例のステップが実現される。
【0117】
当業者に理解されるように、上記の実施例の方法における全部または一部の流れは、コンピュータプログラムによって関連するハードウェアを命令して実現することができる。前記コンピュータプログラムは、不揮発性コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されており、当該コンピュータプログラムが実行されると、上記の各方法の実施例の流れが実現される。本発明によって提供される各実施例において使用されるメモリ、データベース、または他の媒体へのいかなる言及は、いずれも不揮発性および揮発性メモリのうちの少なくとも1つを含むことができる。不揮発性メモリは、読み取り専用メモリ(Read-Only Memory,ROM)、磁気テープ、フロッピーディスク、フラッシュメモリ、光メモリ、高密度埋め込み不揮発性メモリ、抵抗変化型メモリ(ReRAM)、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(Magnetoresistive Random Access Memory,MRAM)、強誘電体ランダムアクセスメモリ(Ferroelectric Random Access Memory,FRAM)、相変化メモリ(Phase Change Memory,PCM)、グラフェンメモリ等を含むことができる。揮発性メモリは、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory,RAM)または外部高速キャッシュメモリなどを含むことができる。限定されなく説明すると、RAMは、スタティックランダムアクセスメモリ(Static Random Access Memory,SRAM)またはダイナミックランダムアクセスメモリ(Dynamic Random Access Memory,DRAM) などの様々な形態であり得る。本発明によって提供される各実施例で言及されたデータベースは、リレーショナルデータベース及び非リレーショナルデータベースの少なくとも1つを含むことができる。非リレーショナルデータベースは、ブロックチェーンベースに基づく分散型データベース等を含み得るが、これらに限定されない。本発明によって提供される各実施例に係るプロセッサは、汎用プロセッサ、中央処理装置、グラフィックプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、プログラマブルロジックデバイス、量子コンピューティングに基づくデータ処理ジックデバイス等であり得るが、これらに限定されない。
【0118】
上記の実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることが可能であり、説明を簡潔にするために、上記実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせについては説明していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、本明細書に記載される範囲内であると考えられるべきである。
【0119】
上記の実施例は、本願のいくつかの実施形態を示しているに過ぎず、その叙述は具体的かつ詳細であるが、本願の発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。当業者であれば、本願の思想から逸脱することなく、本願の範囲に含まれるいくつかの変形および改善を行うことができることに留意されたい。したがって、本願の特許の範囲は、添付の特許請求の範囲に従うものとする。
図1
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図7
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図9
図10
図11
図12