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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】入浴設備
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/196 20220101AFI20241204BHJP
   A47K 3/00 20060101ALI20241204BHJP
   F24H 15/174 20220101ALI20241204BHJP
   F24H 15/176 20220101ALI20241204BHJP
   F24H 15/215 20220101ALI20241204BHJP
   F24H 15/219 20220101ALI20241204BHJP
   F24H 15/315 20220101ALI20241204BHJP
   F24H 15/325 20220101ALI20241204BHJP
【FI】
F24H15/196 301C
A47K3/00 K
A47K3/00 Z
F24H15/174
F24H15/176
F24H15/215
F24H15/219
F24H15/315
F24H15/325
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023109740
(22)【出願日】2023-07-04
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】392035972
【氏名又は名称】株式会社ヤマト
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100207549
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 慎也
(74)【代理人】
【識別番号】100140981
【弁理士】
【氏名又は名称】柿原 希望
(72)【発明者】
【氏名】石井 清隆
(72)【発明者】
【氏名】正谷 智希
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-107101(JP,A)
【文献】特開2001-137140(JP,A)
【文献】中国実用新案第202380769(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0028076(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 - 15/493
A47K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽水を貯留する浴槽と、前記浴槽内に水温の異なる水または湯を吐出する複数の吐水部と、前記浴槽水を取水する取水部と、前記取水部で取水した浴槽水を予め設定された水温に調整して対応する吐水部へ送水する循環ユニットと、を有する入浴設備において、
前記吐水部が、前記浴槽内に第1の温度の浴槽水を吐水する第1の吐水部と、前記浴槽内に前記第1の温度よりも高い第2の温度の水または湯を吐水する第2の吐水部とで構成されるとともに、前記第2の吐水部は前記取水部と前記第1の吐水部との間に位置し、
前記循環ユニットが前記取水部で取水した浴槽水を第1の温度に調整して第1の吐水部に送水するとともに、前記第2の吐水部は前記取水部で取水した浴槽水の水温が規定の温度を下回った場合に第2の温度の水または湯を吐水することを特徴とする入浴設備。
【請求項2】
浴槽水を貯留する浴槽と、前記浴槽内に水温の異なる水または湯を吐出する複数の吐水部と、前記浴槽水を取水する取水部と、前記取水部で取水した浴槽水を予め設定された水温に調整して対応する吐水部へ送水する循環ユニットと、を有する入浴設備において、
前記吐水部が、前記浴槽内に第1の温度の浴槽水を吐水する第1の吐水部と、前記浴槽内に前記第1の温度よりも高い第2の温度の浴槽水を吐水する第2の吐水部とで構成され、
前記取水部が、前記第1の吐水部から所定の距離をとって設けられた第1の取水部と、前記第2の吐水部から所定の距離をとって設けられた第2の取水部とで構成され、
前記循環ユニットが、前記第1の取水部で取水した浴槽水を前記第1の温度に調整して前記第1の吐水部へ送水する第1の循環ユニットと、前記第2の取水部で取水した浴槽水を前記第2の温度に調整して前記第2の吐水部へ送水する第2の循環ユニットとで構成されることを特徴とする入浴設備。
【請求項3】
浴槽水を吐水する吐水部が帯状で浴槽の側壁に沿うように設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の入浴設備。
【請求項4】
浴槽水を吐水する吐水部の吐水位置が、浴槽の水面位置よりも高所に位置することを特徴とする請求項記載の入浴設備。
【請求項5】
浴槽水を吐水する吐水部と浴槽とが落水壁でそれぞれ接続し、前記吐水部から吐出する浴槽水を前記落水壁を伝って前記浴槽内に流入させることで、供給時の飛沫の発生と過度の攪拌とを抑制することを特徴とする請求項記載の入浴設備。
【請求項6】
循環ユニットが浴槽水を冷却もしくは加温する水温調整手段を備え、
前記水温調整手段は、前記浴槽水と外部から送水される冷水もしくは温水との間で熱交換を行う熱交換器と、前記熱交換器に冷水もしくは温水を送水する温調配管と、前記熱交換器と並列に接続したバイパス管と、前記温調配管とバイパス管との流量比を変化させる流量調整機構と、を有し、
前記流量調整機構が浴槽水の水温に応じて前記温調配管の流量を変化させることで、前記熱交換器を流れる浴槽水の流量を一定としながら、前記浴槽水の水温を予め設定された水温に調整することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の入浴設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の温度が異なる複数の領域を1つの浴槽内に設けた入浴設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高温の室内に入って体を温め発汗を促すサウナ風呂が人気を博している。このようなサウナ風呂では、サウナルームで体を温めた後、水風呂に入って体を冷やし、これらを交互に繰り返す入浴法が一般的である。このとき利用者が好む水風呂の水温としては、10℃未満の比較的冷たい水温の水風呂を好む利用者と、15℃前後の比較的ぬるい水温の水風呂を好む利用者とに分かれる傾向がある。しかしながら、温度の異なる水風呂を複数設置することは、スペースの問題や維持管理の面を考慮した場合に施設側の負担が大きいという問題点がある。
【0003】
ここで、下記[特許文献1]には、1つの浴槽を温浴用途と水風呂用途で切り替えることが可能な発明が開示されている。この[特許文献1]に記載の発明を用いることで、1つの浴槽を低温の水風呂と比較的ぬるい温度の水風呂とで切り替えることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-150750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、[特許文献1]に記載の発明では水温を切り替えるのみで、同時に異なる水温の水風呂を利用することはできず、利用者のニーズを十分に満たすものではない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、1つの浴槽内に水温の異なる複数の領域を設けた入浴設備の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
(1)浴槽水を貯留する浴槽10と、前記浴槽10内に水温の異なる水または湯を吐出する複数の吐水部と、前記浴槽水を取水する取水部と、前記取水部で取水した浴槽水を予め設定された水温に調整して対応する吐水部へ送水する循環ユニットと、を有する入浴設備において、
前記吐水部が、前記浴槽10内に第1の温度の浴槽水を吐水する第1の吐水部30aと、前記浴槽10内に前記第1の温度よりも高い第2の温度の水または湯を吐水する第2の吐水部30b’とで構成されるとともに、前記第2の吐水部30b’は前記取水部32と前記第1の吐水部30aとの間に位置し、
循環ユニット40が前記取水部32で取水した浴槽水を第1の温度に調整して第1の吐水部30aに送水するとともに、前記第2の吐水部30b’は前記取水部32で取水した浴槽水の水温が規定の温度を下回った場合に第2の温度の水または湯を吐水することを特徴とする入浴設備100aを提供することにより、上記課題を解決する。
(2)浴槽水を貯留する浴槽10と、前記浴槽10内に水温の異なる水または湯を吐出する複数の吐水部と、前記浴槽水を取水する取水部と、前記取水部で取水した浴槽水を予め設定された水温に調整して対応する吐水部へ送水する循環ユニットと、を有する入浴設備において、
前記吐水部が、前記浴槽10内に第1の温度の浴槽水を吐水する第1の吐水部30aと、前記浴槽10内に前記第1の温度よりも高い第2の温度の浴槽水を吐水する第2の吐水部30bとで構成され、
前記取水部が、前記第1の吐水部30aから所定の距離をとって設けられた第1の取水部32aと、前記第2の吐水部30bから所定の距離をとって設けられた第2の取水部32bとで構成され、
前記循環ユニットが、前記第1の取水部32aで取水した浴槽水を前記第1の温度に調整して前記第1の吐水部30aへ送水する第1の循環ユニット40aと、前記第2の取水部32bで取水した浴槽水を前記第2の温度に調整して前記第2の吐水部30bへ送水する第2の循環ユニット40bとで構成されることを特徴とする入浴設備100bを提供することにより、上記課題を解決する。
)浴槽水を吐水する吐水部が帯状で浴槽10の側壁14に沿うように設けられることを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の入浴設備100a、100bを提供することにより、上記課題を解決する。
)浴槽水を吐水する吐水部の吐水位置が、浴槽10の水面位置よりも高所に位置することを特徴とする上記()記載の入浴設備100a、100bを提供することにより、上記課題を解決する。
)浴槽水を吐水する吐水部と浴槽10とが落水壁36でそれぞれ接続し、前記吐水部から吐出する浴槽水を前記落水壁36を伝って前記浴槽10内に流入させることで、供給時の飛沫の発生と過度の攪拌とを抑制することを特徴とする上記()記載の入浴設備100a、100bを提供することにより、上記課題を解決する。
)循環ユニットが浴槽水を冷却もしくは加温する水温調整手段50、50a、50bを備え、
前記水温調整手段50、50a、50bは、前記浴槽水と外部から送水される冷水もしくは温水との間で熱交換を行う熱交換器(冷却手段52、52a、52b、加温手段54a、54b)と、前記熱交換器に冷水もしくは温水を送水する温調配管(冷却用温調配管67、加温用温調配管68)と、前記熱交換器と並列に接続したバイパス管66と、前記温調配管67、68とバイパス管66との流量比を変化させる流量調整機構64と、を有し、
前記流量調整機構64が浴槽水の水温に応じて前記温調配管67、68の流量を変化させることで、前記熱交換器を流れる浴槽水の流量を一定としながら、前記浴槽水の水温を予め設定された水温に調整することを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の入浴設備100a、100bを提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る入浴設備は1つの浴槽内に水温の異なる複数の領域を同時に設けることができる。これにより、利用者は自身の嗜好に合った水温のエリアにて入浴を行うことが可能となり、施設側の負担を抑制しながら利用者の満足度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る第1の形態の入浴設備の概略構成図である。
図2】本発明に係る第1の形態の入浴設備の吐水部及び取水部を示す上面図である。
図3】本発明に係る第2の形態の入浴設備の概略構成図である。
図4】本発明に係る第2の形態の入浴設備の吐水部及び取水部を示す上面図である。
図5】本発明に係る第2の形態の入浴設備の吐水部及び取水部を示す側面図である。
図6】取水部が2列の本発明に係る入浴設備を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る入浴設備について図面に基づいて説明する。尚、ここでは本発明をサウナ風呂に併設されている水風呂を例にして説明を行うが、本発明は水風呂に限定されるものではなく、一般的な温浴用の入浴設備にも適用が可能である。
【0011】
ここで、図1は本発明に係る第1の形態の入浴設備100aの概略構成図であり、図2は入浴設備100aの吐水部30a、30b’及び取水部32を説明する上面図である。また、図3は本発明に係る第2の形態の入浴設備100bの概略構成図であり、図4は入浴設備100bの吐水部30a、30b及び取水部32a、32bを説明する上面図である。
【0012】
先ず、本発明に係る入浴設備100a、100bは、その共通する構成として、浴槽水を貯留する浴槽10と、この浴槽10内に水温の異なる水または湯を吐出する複数の吐水部(第1の吐水部30a、第2の吐水部30b、30b’)と、浴槽水(浴槽10内の水または湯)を取水する取水部(32、32a、32b)と、この取水部で取水した浴槽水を予め設定された水温に調整して対応する吐水部へ送水する循環ユニット(40、40a、40b)と、を有している。
【0013】
そして、図1に示す本発明に係る第1の形態の入浴設備100aでは、吐水部が第1の温度の浴槽水を吐水する第1の吐水部30aと、第1の温度よりも高い第2の温度の水または湯を吐水する第2の吐水部30b’とで構成される。また、第1の形態の入浴設備100aの取水部32は、図2に示すように第1の吐水部30a及び第2の吐水部30b’の2つの吐水部に対して一つ設けられ、取水部32と第1の吐水部30aとの間に第2の吐水部30b’が位置する。また、図1に示すように、第1の形態の入浴設備100aの循環ユニット40は取水部32と第1の吐水部30aの間に設けられ、取水部32で取水した浴槽水を第1の温度に調整して第1の吐水部30aに送水する。また、循環ユニット40の経路上には温度センサ等の周知の温度測定手段76が設置され、取水部32で取水した浴槽水の温度を取得する。
【0014】
また、第1の形態の入浴設備100aの第2の吐水部30b’には流量調整弁74を介して混合栓70が接続し、この混合栓70には水道水等が供給される給水栓72と、外部に設けられたヒータやボイラー等の周知の温水器62からの温水が供給される温水配管63とが接続する。そして、流量調整弁74は温度測定手段76が取得する浴槽水の温度が予め設定された規定の温度を下回った場合に開状態とされ、これにより混合栓70にて調整された第2の温度の水または湯が第2の吐水部30b’から浴槽10内へ吐出する。尚、混合栓70から吐出される水の温度(第2の温度)と流量調整弁74の流量(第2の吐水部30b’からの吐出量)は、後述する2つの温度領域が浴槽10内で良好に形成されるように予め調整されている。
【0015】
また、図3に示す第2の形態の入浴設備100bの吐水部は、浴槽10内に第1の温度の浴槽水を吐水する第1の吐水部30aと、浴槽10内に第1の温度よりも高い第2の温度の浴槽水を吐水する第2の吐水部30bとで構成されている。また、入浴設備100bの取水部は、第1の吐水部30aから所定の距離をとって(対応する第1の吐水部30a寄りに)設けられた第1の取水部32aと、第2の吐水部30bから所定の距離をとって(対応する第2の吐水部30b寄りに)設けられた第2の取水部32bとで構成されている。そして、入浴設備100bの循環ユニットは、第1の取水部32aで取水した浴槽水を第1の温度に調整して第1の吐水部30aへ送水する第1の循環ユニット40aと、第2の取水部32bで取水した浴槽水を第2の温度に調整して第2の吐水部30bへ送水する第2の循環ユニット40bとで構成される。尚、ここでは主に入浴設備100bの吐水部が2つの2系統の例を用いて説明を行っているが、本発明に係る第2の形態の入浴設備100bの系統数は2つに限定されるものではなく、図4(d)に示すように第3の吐水部30cを加えた3つでも良く、また4系統と5系統と、3以上の系統としても良い。ただしこの場合、取水部及び循環ユニットも吐水部毎に個別に設けられる。
【0016】
次に、吐水部30a、30b、30b’に関して図2図4を用いて説明を行う。先ず、図2に示す第1の形態の入浴設備100aでは、前述のように第2の吐水部30b’が取水部32と第1の吐水部30aとの間に設けられる。このとき、外側に位置する第1の吐水部30aは、基本的に浴槽10の側壁14に沿うように設ける。また、内側に位置する第2の吐水部30b’は基本的に浴槽10の底面12に設ける。
【0017】
また、第2の形態の入浴設備100bでは第1の吐水部30a、第2の吐水部30bともに外側に位置するため、第1の形態の吐水部30aと同様に、浴槽10の側壁14に沿うように設けることが好ましい。よって、浴槽10の形状が四角形もしくは多角形の場合には、図4(a)、(b)、(d)に示すように、吐水部30a、30b、(30c)は浴槽10の側壁14の辺に沿って設けられる。また、浴槽10の形状が円や楕円もしくは不定形のものの場合、図4(c)に示すように、設置される部分の側壁14の曲線に沿うように設けられる。また、各吐水部30a、30b、(30c)は浴槽10内で近接させず可能な限り離して設置することが望ましい。特に浴槽10の形状が四角形の場合には、図4(a)に示すように、対向する2辺に設けることが好ましい。
【0018】
尚、入浴設備100a、100bの吐水部30a、30bは、図1図6の各図に示すように、複数の吐水口31を帯状の吐水溝34に設置して、この吐水溝34を介して水または湯を帯状に吐出することが好ましい。
【0019】
次に、入浴設備100a、100bの吐水部30a、30bの高さ方向の設置位置に関して説明を行う。先ず、これらの吐水部30a、30bの設置位置としては、図5(a)に示すように浴槽10の底面12に設けることが挙げられる。尚、この場合には例えばグレーチング等を吐水溝34や吐水口31の上面に嵌め込み、底面12に段差を設けないことが好ましい。このことは入浴設備100aの第2の吐水部30b’に関しても同様である。
【0020】
また、図5(b)に示すように、吐水部30a、30bを浴槽10の水面より下に設置することが挙げられる。この構成では、吐水部30a、30bからの冷水を利用者の上半身部分に直接吐出することができる。尚、浴槽水を循環させるタイプの入浴設備では、レジオネラ菌の感染症対策のため循環水の飛沫防止が求められている。この点、図5(a)、(b)に示す構成では、吐水部30a、30bが浴槽10の水面より下に位置するため、吐水時の飛沫の発生を防止することができる。
【0021】
次に、本発明に好適な入浴設備100a、100bの吐水部30a、30bの設置位置及び構成を図5(c)の入浴設備100bを例にして説明を行う。本発明に好適な吐水部30a、30bは、例えば吐水溝34により帯状に設けられ、この吐水溝34と浴槽10の側壁14とを落水壁36により接続する。そして、落水壁36の上端を浴槽10の水面位置よりも高所に位置させ、吐水部30a、30bから吐出した浴槽水を、この落水壁36を伝わせて帯状に浴槽10内に流入させる。このとき、吐水位置(落水壁36の上端)が高すぎると吐水の浴槽10への流入時に飛沫が生じる可能性があるため、吐水位置は浴槽10の水面から数cm~15cm程度とすることが好ましい。そして、吐水部30a、30bからの吐水量を最適化することで、吐水流入時の飛沫の発生を防止することができる。尚、落水壁36は更なる飛沫抑制の観点から浴槽10側に下った斜面で構成しても良い。そして、これらの構成では吐水部30a、30bから吐水した冷水を利用者の肩や背中に直接当てることが可能となり、利用者の冷感をさらに向上することができる。
【0022】
次に、本発明に係る入浴設備100a、100bの取水部32、32a、32bに関して図2図4図6を用いて説明を行う。先ず、図2に示す第1の形態の入浴設備100aの取水部32は、前述のように第1の吐水部30a及び第2の吐水部30b’の2つの吐水部に対して一つ設けられる。また、第2の形態の入浴設備100bの取水部32a、32bは、それぞれの吐水部30a、30bと一対一対応して個別に設けられる。このため、入浴設備100bが2系統の場合には、図4(a)、(b)、(c)に示すように、第1の吐水部30aと対応した第1の取水部32aが(第1の吐水部30aから)所定の距離をとって設けられる。また、第2の吐水部30bと対応した第2の取水部32bが(第2の吐水部30bから)所定の距離をとって設けられる。さらに、例えば図4(d)に示すように、吐水部が第1、第2、第3の吐水部30a、30b、30cの3つで構成される場合、取水部もこれらの第1、第2、第3の吐水部30a、30b、30cと対応して第1の取水部32a、第2の取水部32b、第3の取水部32cの3つで構成される。また、例えば図4(c)に示すように、浴槽10の形状が円等で吐水部30a、30bがこの浴槽10の側壁14に沿った曲線状である場合、取水部32a、32を構成する取水口33の配列は吐水部30a、30bの形状によらず直線状としても良いが、吐水部30a、30bの形状に準じた平行曲線状に配列して形成することが好ましい。尚、入浴設備100a、100bの取水部32、32a、32b、(32c)は、複数の取水口33を単純に浴槽10の底面12に並べて設置して構成しても良いが、図4(b)に示すように、複数の取水口33を帯状の取水溝35に設置して、この取水溝35を介して浴槽水を帯状に取水するようにしても良い。ただし、取水溝35を設ける場合、グレーチング等を取水溝35の上面に嵌め込んで浴槽10の底面12に段差を設けないようにすることが好ましい。さらに、図2図4では取水口33がそれぞれ1列に配列して取水部32、32a、32bを構成する例を説明しているが、取水口33は1列に限定されず、図6に示すようにそれぞれ2列ずつとしても良いし、3列、4列としても良い。さらに、取水口33が複数列の場合には、後述の温度領域を維持するために取水口33の列ごとの取水量を変化させたり、利用状況に応じて列ごとに開閉可能とするようにしても良い。さらに、取水口33をドット状に配列し面として取水部32、32a、32bを構成しても良い。
【0023】
次に、本発明に係る入浴設備100a、100bの循環ユニット40、40a、40bに関して説明を行う。本発明に係る循環ユニット40、40a、40bは、取水部32、32a、32bで取水した浴槽10内の水または湯(浴槽水)を予め設定された水温に調整して、対応する吐水部30a、30bへそれぞれ送水するものであり、前述のように入浴設備100aでは1つ、入浴設備100bでは取水部32a、32b毎に個別に設けられる。
【0024】
そして、それぞれの循環ユニット40、40a、40bには、取水した浴槽水中の毛髪等の大きなゴミを捕集するヘアキャッチャ42と、浴槽水を循環ユニット40、40a、40b内に送水する送水手段44と、ヘアキャッチャ42を通過した浴槽水を濾過する濾過器46と、濾過後の浴槽水の水温を予め設定された所定の温度に調整する水温調整手段50、50a、50bと、を有している。尚、ヘアキャッチャ42、送水手段44、濾過器46に関しては特に限定は無く、一般的な入浴設備、水処理設備で用いられる周知のものを用いることができる。
【0025】
また、第1の形態の入浴設備100aが水風呂の場合には、循環ユニット40の水温調整手段50は濾過後の浴槽水を冷却する冷却手段52のみを有する。また、第2の形態の入浴設備100bが水風呂の場合には、水温調整手段50a、50bは冷却手段52a、52bに加えて濾過後の浴槽水を加温する加温手段54a、54bを有する。さらに、入浴設備100a、100bが温浴設備の場合には加温手段のみを有する。
【0026】
次に、入浴設備100a、100bに好適な冷却手段52、52a、52b、加温手段54a、54bの例を、図3を用いて説明する。本発明に好適な冷却手段52、52a、52b、加温手段54a、54bとしては熱交換器を用いることが好ましく、特にコイル状に巻かれた熱伝導率の高い管内に冷水もしくは温水を流して周囲の水または湯との間で熱交換を行うコイル式熱交換器(冷却コイル、再熱コイル)を用いることが好ましい。
【0027】
そして、本発明に好適な冷却手段52、52a、52bは、この冷却手段52、52a、52bに冷水を送水する冷却用温調配管67と、冷却手段52、52a、52bのそれぞれと並列に接続したバイパス管66と、このバイパス管66と冷却用温調配管67との間での流量比をそれぞれ変化させる例えば比例式3方弁などの流量調整機構64と、冷却手段52、52a、52bの下流側に設置され冷却された浴槽水の水温を取得する周知の温度測定手段53と、を有している。そして、冷却手段52、52a、52bの冷却用温調配管67には、冷却器60と接続した冷水配管61が流量調整機構64を介してそれぞれ並列に接続する。また、冷却器60は外部に設けられたチラー等の周知の冷水設備であり、この冷却器60で冷やされた冷水が冷水配管61内を循環する。そして、冷却手段52、52a、52b内では、冷却用温調配管67を介して冷水配管61から送水された冷水と浴槽水との間で熱交換が行われ、浴槽水に対する冷却が行われる。
【0028】
また、本発明に好適な加温手段54a、54bは、この加温手段54a、54bに温水を送水する加温用温調配管68と、加温手段54a、54bのそれぞれと並列に接続したバイパス管66と、このバイパス管66と加温用温調配管68との間での流量比をそれぞれ変化させる流量調整機構64と、加温手段54a、54bの下流側に設置され加温された浴槽水の水温を取得する温度測定手段55と、を有している。そして、加温手段54a、54bの加温用温調配管68には、温水器62と接続した温水配管63が流量調整機構64を介してそれぞれ並列に接続する。また、温水器62は外部に設けられたヒータやボイラー等の周知の給湯設備であり、この温水器62で温められた温水が温水配管63内を循環する。そして、加温手段54a、54b内では、加温用温調配管68を介して温水配管63から送水された温水と浴槽水との間で熱交換が行われ、浴槽水に対する加温が行われる。
【0029】
次に、本発明に係る第1の形態の入浴設備100aの動作を水風呂を例にして説明を行う。先ず、入浴設備100aの浴槽10に給水栓72から水を供給する。この浴槽10の水位は図示しない水位センサが取得する。そして、浴槽10の水が既定の水位に達すると、水位センサがこれを検知して給水栓72からの水の供給を停止する。尚、利用者の使用等により浴槽10の水位が減少すると、水位センサがこれを検知して給水栓72を開閉し、浴槽10の水位を予め設定された既定の水位に維持する。
【0030】
次に、入浴設備100aを動作させる。また、冷却器60、温水器62が動作する。これにより冷水配管61には冷却器60で冷やされた冷水が一定の流量で循環する。尚、冷却器60、温水器62が施設全体の冷水及び温水の供給を担っている場合には、これら冷却器60、温水器62は基本的に施設の稼働時には常時動作する。
【0031】
そして、入浴設備100aが動作すると、循環ユニット40の送水手段44が起動する。これにより、取水部32から浴槽水が取水されヘアキャッチャ42、濾過器46を経由して水温調整手段50に送水される。尚、送水された浴槽水の温度は温度測定手段76が取得する。また、水温調整後の浴槽水の温度は温度測定手段53が取得する。
【0032】
ここで、浴槽水の水温が10℃であったと仮定する。また、水温調整手段50の設定温度(第1の温度)を7℃とする。そして、温度測定手段53が取得した浴槽水の温度が設定された第1の温度(7℃)よりも高い場合、水温調整手段50は冷却手段52の流量調整機構64に対し、冷却用温調配管67への冷水の流量を増大させるとともに、その分、バイパス管66側への冷水の流量を減少もしくはゼロとする。これにより、冷却手段52は冷却動作し、冷却手段52内を流れる冷水と浴槽水との間で熱交換が行われ、浴槽水に対する冷却が行われる。尚、冷却手段52側への冷水の流量は温度測定手段53の値によって制御され、温度測定手段53が取得した浴槽水の温度に応じて流量調整機構64が冷却手段52への冷水の流量を増減する。これにより、循環ユニット40を流れる浴槽水は最終的に第1の温度である7℃に調整され、第1の吐水部30aから浴槽10内へ吐出される。そして、浴槽10内における第1の吐水部30aの近傍は第1の温度(7℃)の浴槽水が連続的に吐水され比較的低めの温度領域が形成される。
【0033】
尚、この浴槽水は入浴者の体温等によって温められる一方で第1の吐水部30aからは第1の温度の浴槽水が連続的に吐水され続ける。よって、浴槽10内には第1の吐水部30aから遠ざかるにつれ水温が高くなるような温度勾配が形成される。これにより、浴槽10内における第1の吐水部30aの近傍エリアには第1の温度(7℃)の吐水による比較的低めの温度領域が形成され、また第1の吐水部30aから遠いエリアには入浴者の体温等によって温められた第1の温度よりも高い水温の温度領域が形成される。この2つの温度領域は、利用者の浴槽10への出入りや移動等によって乱されるが、第1の吐水部30aの近傍では常に比較的冷たい第1の温度での入浴が可能となる。
【0034】
また、入浴者が居ないか少ない状態が継続すると、第1の吐水部30aからの連続的な吐水により水温の低い温度領域が広がり、最終的に浴槽10内が全て低水温となる可能性がある。そこで、本発明に係る入浴設備100aでは、取水部32が取水する浴槽水の温度を温度測定手段76を介して取得して、この浴槽水の温度が予め規定された所定の温度を下回った場合に流量調整弁74を開状態とする。これにより、温水配管63を流れる温水と給水栓72からの水とが混合栓70に流入し、第2の温度(例えば25℃)になるように混合されて第2の吐水部30b’から浴槽10内に吐出する。この第2の吐水部30b’から吐出した第2の温度の水は、図1の破線の矢印に示すように第1の吐水部30a側の冷水と混合して、例えば15℃前後の適度な温度となり取水部32側に移動する。これにより、第1の吐水部30aから第2の吐水部30b’までの間のエリアには第1の温度の吐水による比較的低めの温度領域が形成される。また、第2の吐水部30b’よりも取水部32側のエリアには第2の吐水部30b’から吐出した第2の温度の水と第1の吐水部30a側の浴槽水とが混合した比較的高めの温度領域が形成される。これにより、水温の異なる2つの領域は維持され、利用者は自身の嗜好に合った水温のエリアにて入浴を行うことができる。尚、第2の吐水部30b’からの第2の温度の水の吐水によって、取水部32が取水する浴槽水の温度が予め規定された所定の温度を上回った場合、流量調整弁74は閉状態とされ第2の吐水部30b’からの第2の温度の水または湯の吐出は停止する。
【0035】
次に、本発明に係る第2の形態の入浴設備100bの動作を2系統の水風呂を例にして説明を行う。先ず、入浴設備100aと同様に、入浴設備100bの浴槽10に給水栓72から水を供給する。そして、浴槽10の水が既定の水位に達すると、水位センサがこれを検知して給水栓72からの水の供給を停止する。また、浴槽10の水位は予め設定された既定の水位に維持される。
【0036】
次に、入浴設備100bを動作させる。また、冷却器60、温水器62が動作する。これにより冷水配管61には冷却器60で冷やされた冷水が一定の流量で循環する。また、温水配管63には温水器62で温められた温水が一定の流量で循環する。
【0037】
そして、入浴設備100bが動作すると、第1の循環ユニット40a、第2の循環ユニット40bの送水手段44が起動する。これにより、第1の取水部32a、第2の取水部32bから浴槽水が取水されヘアキャッチャ42、濾過器46を経由してそれぞれの水温調整手段50a、50bに送水される。送水された水の温度は温度測定手段53、55が取得する。
【0038】
ここで、浴槽水の水温が10℃であったと仮定する。また、第1の循環ユニット40aの水温調整手段50aの設定温度(第1の温度)を7℃とし、第2の循環ユニット40bの水温調整手段50bの設定温度(第2の温度)を15℃とする。この場合、第1の循環ユニット40aの水温調整手段50aは温度測定手段53、55の値から浴槽水の水温(10℃)が予め設定された第1の温度(7℃)よりも高いことを認識する。この場合、水温調整手段50aは冷却手段52aを冷却動作させるとともに、加温手段54aの機能を停止する。具体的には、冷却手段52aと対応した流量調整機構64に対し、冷却用温調配管67への冷水の流量を増大させるとともに、その分、バイパス管66側への冷水の流量を減少もしくはゼロとする。これにより、冷却手段52a内を流れる冷水と浴槽水との間で熱交換が行われ、第1の循環ユニット40aを流れる浴槽水が冷却される。尚、冷却手段52a側への冷水の流量は冷却手段52aに設けられた温度測定手段53の値によって制御され、温度測定手段53が取得した浴槽水の温度に応じて流量調整機構64が冷却手段52aへの冷水の流量を増減する。これにより、第1の循環ユニット40aを流れる浴槽水は最終的に第1の温度である7℃に調整される。
【0039】
また、加温手段54aと対応した流量調整機構64が加温用温調配管68への温水の送水を停止するとともに、温水配管63を流れる温水をバイパス管66側へ送水する。これにより、加温手段54aは熱交換器として機能せず、冷却手段52aで第1の温度に冷やされた浴槽水はそのまま加温手段54aを通過して、第1の吐水部30aから浴槽10内へ吐出される。
【0040】
また、第2の循環ユニット40bの水温調整手段50bは温度測定手段53、55の値から浴槽水の水温(10℃)が予め設定された第2の温度(15℃)よりも低いことを認識する。この場合、水温調整手段50bは加温手段54bを加温動作させるとともに、冷却手段52bの機能を停止させる。具体的には、加温手段54bと対応した流量調整機構64に対し、加温用温調配管68への温水の流量を増大させるとともに、その分、バイパス管66側への温水の流量を減少もしくはゼロとする。また、冷却手段52bと対応した流量調整機構64が冷却用温調配管67への冷水の送水を停止するとともに、冷水配管61を流れる冷水をバイパス管66側へ送水する。これにより、冷却手段52bでは浴槽水との間での熱交換は行われず、第2の循環ユニット40bを流れる浴槽水はそのまま加温手段54bへと送水される。そして、加温手段54bにおいて温水配管63を流れる温水との間で熱交換が行われ、これにより第2の循環ユニット40bを流れる浴槽水は加温される。尚、加温手段54b側への温水の流量は加温手段54bに設けられた温度測定手段55の値によって制御され、温度測定手段55が取得した浴槽水の温度に応じて流量調整機構64が加温手段54bへの温水の流量を増減する。これにより、第2の循環ユニット40bを流れる浴槽水は最終的に第2の温度である15℃に調整される。そして、第2の温度に温められた浴槽水は第2の吐水部30bから浴槽10内へ吐出される。
【0041】
また、第2の取水部32bが取水した浴槽水の水温が第2の温度よりも高い場合、水温調整手段50bは水温調整手段50aと同様に冷却手段52bを冷却動作させるとともに、加温手段54bの機能を停止させる。具体的には、冷却手段52bと対応した流量調整機構64に対し、冷却用温調配管67への冷水の流量を増大させるとともに、その分、バイパス管66側への冷水の流量を減少もしくはゼロとする。また、加温手段54bと対応した流量調整機構64が加温用温調配管68への温水の送水を停止するとともに、温水配管63を流れる温水をバイパス管66側へ送水する。これにより、冷水配管61を流れる冷水が流量調整機構64、冷却用温調配管67を介して冷却手段52b内を流通する。そして、この冷却手段52bにおいて浴槽水との間で熱交換が行われ、第2の循環ユニット40bを流れる浴槽水が冷却する。尚、冷却手段52b側への冷水の流量は冷却手段52bに設けられた温度測定手段53の値によって制御され、第2の循環ユニット40bを流れる浴槽水は最終的に第2の温度である15℃に調整される。そして、冷却手段52bで冷やされた浴槽水はそのまま加温手段54bを通過して、第2の吐水部30bから浴槽10内へ吐出される。
【0042】
上記のようにして、第1の吐水部30a、第2の吐水部30bから浴槽10内へ吐出された第1の温度及び第2の温度の浴槽水は、循環ユニット40a、40bの流量を最適化し且つ利用者による水の攪拌がない理想的な状態では、概ね図5の破線の矢印に示すようなルートで取水部32a、32bから再度取水される。これにより、浴槽10内の第1の吐水部30aと第1の取水部32aとの間のエリアに、第1の温度(7℃)の吐水が循環する比較的低めの温度領域が形成される。また、第2の吐水部30bと第2の取水部32bとの間のエリアに、水温が第1の温度よりも高い第2の温度(15℃)の吐水が循環する比較的高めの温度領域が形成される。尚、この2つの温度領域は、対流や入浴者の体温、利用者の浴槽10への出入りや移動等によって乱され、その温度は吐水時よりも上昇するものの、吐水部30a、30bの近傍ではこれらの第1の温度、第2の温度での入浴が可能となる。また、この温度領域の乱れは時間の経過とともに徐々に解消される。特に図5(c)に示す吐水部30a、30bが浴槽10の水面位置よりも高所に位置し吐水が落水壁36を伝って浴槽10内に流入する構成では、流入した吐水は破線の矢印に示すように概ね浴槽10の側壁14に沿って浴槽10の底面12方向に向かって拡散する。このため、吐水の流入時の攪拌は抑制され、他の構成よりも温度領域を維持できる他、落水壁36の近傍では吐水した冷水を利用者の身体に直接流すことが可能となり、利用者に対して効果的な冷却と冷感の向上とを図ることができる。
【0043】
尚、入浴設備100a、100bの吐水部30a、30bの吐水量及び取水部32、32a、32bの取水量、即ち、循環ユニット40、40a、40bの送水量が変化すると、上記の温度領域が乱れる可能性がある。よって、吐水部30a、30bの吐水量及び取水部32、32a、32bの取水量は、2つの温度領域が良好に形成される流量で一定とされ基本的にこの値で固定される。そして、浴槽水に対する冷却もしくは加温の強弱は、前述のように流量調整機構64の制御による冷却手段52、52a、52bもしくは加温手段54a、54bを流れる冷水、温水の流量によって行う。これにより、本発明に係る入浴設備100a、100bは、浴槽10内の2つの温度領域を保持しながら、吐水部30a、30bから吐水される浴槽水の水温を規定された温度に維持することができる。
【0044】
以上のように、本発明に係る入浴設備100a、100bは1つの浴槽10内に水温の異なる複数の領域が同時に設けられ、利用者は自身の嗜好に合った水温のエリアにて入浴を行うことができる。特に、サウナ風呂に併設された水風呂に本発明を適用した場合、例えば利用者の嗜好が分かれる10℃未満の比較的冷たい水温の水風呂のエリアと、15℃前後の比較的ぬるい水温の水風呂のエリアとを、1つの浴槽10内に同時に設けることができる。これにより、1つの浴槽10で双方の利用者のニーズを満たすことが可能となり、施設側の負担を抑制しながら利用者の満足度を向上することができる。さらに、本発明に係る第1の形態の入浴設備100aは循環ユニット40が一台で構成できるため、省スペース化と設備コスト及びランニングコストの抑制を図ることができる。
【0045】
尚、本例で示した入浴設備100a、100b、吐水部、取水部、循環ユニット等の各部の構成、配列、数、機構、形状、寸法、動作、配管経路等は一例であるから、特に本例に限定される訳ではなく、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 浴槽
14 側壁
30a 第1の吐水部
30b、30b’ 第2の吐水部
32 取水部
32a 第1の取水部
32b 第2の取水部
36 落水壁
40 循環ユニット
40a 第1の循環ユニット
40b 第2の循環ユニット
50、50a、50b 水温調整手段
52、52a、52b 冷却手段(熱交換器)
54a、54b 加温手段(熱交換器)
64 流量調整機構
66 バイパス管
67 冷却用温調配管(温調配管)
68 加温用温調配管(温調配管)
100a、100b 入浴設備
【要約】
【課題】1つの浴槽内に水温の異なる複数の領域を設けた入浴設備を提供する。
【解決手段】この入浴設備100a、100bは、浴槽10内に第1の温度の浴槽水を吐水する第1の吐水部30aと、前記浴槽10内に前記第1の温度よりも高い第2の温度の水または湯を吐水する第2の吐水部30b’とを有することで、1つの浴槽10内に水温の異なる複数の領域を同時に設けることができる。これにより、利用者は自身の嗜好に合った水温のエリアにて入浴を行うことができる。特に、サウナ風呂に併設された水風呂に適用した場合、例えば利用者の嗜好が分かれる10℃未満の比較的冷たい水温の水風呂のエリアと、15℃前後の比較的ぬるい水温の水風呂のエリアとを、1つの浴槽10内に同時に設けることができる。これにより、1つの浴槽10で双方の利用者のニーズを満たすことが可能となり、施設側の負担を抑制しながら利用者の満足度を向上することができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6