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特許7598424情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
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  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム 図1
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム 図2
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/55 20130101AFI20241204BHJP
【FI】
G06F21/55
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023132484
(22)【出願日】2023-08-16
【審査請求日】2024-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】500147023
【氏名又は名称】デジタルアーツ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】道具 登志夫
【審査官】青木 重徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-056941(JP,A)
【文献】特開2021-162964(JP,A)
【文献】特表2021-528705(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2023/0112921(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末による外部アクセスを制御する情報処理装置であって、
ユーザ端末のユーザによる生成AIサーバに対する入力について、当該生成AIサーバからの回答を受け付けるアクセス制御部と、
前記生成AIサーバの回答について、所定のデータを含む場合に、当該データが適切か否かを判定する回答分析部と、
前記所定のデータが不適切なときに、当該データに対するアクセスを不可となるように前記回答を編集して、前記ユーザ端末に送信する回答編集部と、を備えて、
前記回答編集部は、前記生成AIサーバからの回答に含まれる前記所定のデータが不適切なときに、当該データに対応する記載を削除してアクセスが不可となるように回答を編集し、当該アクセスが不可となる理由を前記回答内に記載する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
ユーザ端末による外部アクセスを制御する情報処理方法であって、
ユーザ端末のユーザによる生成AIサーバに対する入力について、当該生成AIサーバからの回答を受け付けるステップと、
前記生成AIサーバの回答について、所定のデータを含む場合に、当該データが適切か否かを判定するステップと、
前記所定のデータが不適切なときに、当該データに対するアクセスを不可となるように前記回答を編集して、前記ユーザ端末に送信するステップと、
前記生成AIサーバからの回答に含まれる前記所定のデータが不適切なときに、当該データに対応する記載を削除してアクセスが不可となるように回答を編集し、当該アクセスが不可となる理由を前記回答内に記載するステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項3】
コンピュータを、
ユーザ端末のユーザによる生成AIサーバに対する入力について、当該生成AIサーバからの回答を受け付ける機能、
前記生成AIサーバの回答について、所定のデータを含む場合に、当該データが適切か否かを判定する機能、
前記所定のデータが不適切なときに、当該データに対するアクセスを不可となるように前記回答を編集して、前記ユーザ端末に送信する機能、
前記生成AIサーバからの回答に含まれる前記所定のデータが不適切なときに、当該データに対応する記載を削除してアクセスが不可となるように回答を編集し、当該アクセスが不可となる理由を前記回答内に記載する機能、
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、AI(人口知能)が様々な分野で活用されており、特に生成AIと呼ばれるコンテンツを生成できるAIの利用が急速に広まっている。生成AIには、大量の自然言語やプログラム言語を学習した大規模な学習モデルを用いてユーザの指示に応じ文章の生成や文章の要約等を高い精度で行うことができるものがある。生成AIを利用することで、ユーザがインターネット上の情報を検索する場合に、必要な情報を的確に取得することができる。
【0003】
従来では、生成AIによりサイバー攻撃のシナリオを生成して、当該シナリオに応じたセキュリティリスクを評価するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-219898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生成AIを活用することにより生活や業務の利便性は高まるものの、生成AIの学習モデルが誤った情報に基づいて学習した場合や悪意の第三者により生成AIが偽装された場合等、ユーザが受け付けた回答の中にマルウエアをダウンロードさせるようなURLやデータが含まれている場合であってもユーザが気づくことは極めて困難である。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、生成AIにより返された回答内のデータが適切か否かを即時に判定することができる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る情報処理装置は、ユーザ端末による外部アクセスを制御する情報処理装置であって、ユーザ端末のユーザによる生成AIサーバに対する入力について、当該生成AIサーバからの回答を受け付けるアクセス制御部と、前記生成AIサーバの回答について、所定のデータを含む場合に、当該データが適切か否かを判定する回答分析部と、前記所定のデータが不適切なときに、当該データに対するアクセスを不可となるように前記回答を編集して、前記ユーザ端末に送信する回答編集部と、を備えて、前記回答編集部は、前記生成AIサーバからの回答に含まれる前記所定のデータが不適切なときに、当該データに対応する記載を削除してアクセスが不可となるように回答を編集し、当該アクセスが不可となる理由を前記回答内に記載する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態により、生成AIにより返された回答内のデータが適切か否かを即時に判定することができる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す構成図。
図2】本実施形態に係る情報処理装置における生成AIの回答内のデータを判定する方法を示す説明図。
図3】本実施形態に係る情報処理方法の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理装置10の構成の一例を示す図である。
【0011】
情報処理装置10は、ユーザ端末20による外部ネットワークへのアクセスを代理するサーバである。なお、情報処理装置10は、例えば図1のようにユーザ端末20と外部ネットワーク上の生成AIサーバ50との間に配置される。
【0012】
ユーザ端末20は、ユーザそれぞれが有するPC、スマホ、タブレット端末などの、外部ネットワークとの通信が可能な端末を示しており、情報処理装置10とネットワークを介して通信可能である。なお、図1では、各ユーザが有するユーザ端末20(20a,20b,20c)の3つで記載しているが、この構成に限定されるものではない。
【0013】
生成AIサーバ50は、ネットワーク上の情報やプログラム言語を学習した学習モデルを備えて、ユーザの入力に対する回答を自動生成するサーバである。
【0014】
情報処理装置10は、ユーザ端末20から生成AIサーバ50へのアクセス要求を受け付けて、ユーザ端末20に代理して生成AIサーバ50への入力(質問の入力)を実行する。そして、情報処理装置10は、生成AIサーバ50から取得した回答等のコンテンツをユーザ端末20に返す。
【0015】
実施形態に係る情報処理装置10は、生成AIサーバ50に対する入力の回答を受け付けて、この回答について、所定のデータを含む場合に、当該データが適切か否かを判定するものである。
【0016】
本実施形態に係る情報処理装置10の具体的な構成について説明する。
情報処理装置10は、アクセス制御部11と、URL情報データベース12と、回答分析部13と、回答編集部14と、を備えている。
【0017】
なお、情報処理装置10を構成する各ユニットの機能は、所定のプログラムコードを、プロセッサを用いて実行することによって実現しても良く、このようなソフトウェア処理に限らず、例えば、ASIC等を用いたハードウェア処理で実現してもよいし、ソフトウェア処理とハードウェア処理とを組み合わせて実現してもよい。
【0018】
アクセス制御部11は、ユーザ端末20による外部アクセスを制御するものであり、ユーザによる生成AIサーバ50に対する入力について、当該生成AIサーバ50からの回答を受け付ける。
【0019】
URL情報データベース12は、ユーザにとって有害な悪性のURL(マルウエアをダウンロードさせるような悪意のあるサイトに対応するURL)等、URLのカテゴリ情報を保存している。また、悪性の疑いのあるデータの拡張子等の情報を悪性のデータとして保存してもよい。
【0020】
回答分析部13は、生成AIサーバ50の回答について、所定のデータを含む場合に、当該データが適切か否かを判定する。所定のデータとは、URLのリンク情報、ファイルデータ等、テキスト情報以外のデータを意味する。具体的には、回答分析部13は、生成AIサーバ50の回答を分析し、URLのリンク情報等が含まれていないかを検索する。生成AIサーバ50の回答に、URLのリンク情報等が含まれている場合に、URL情報データベース12とURLのリンク情報を照合し、悪性のURLか否かを判定する。URL情報データベース12内の悪性のURLと一致しない場合には、回答は適切と判断する一方、悪性のURLと一致する場合には、回答は不適切と判断する。また、URL情報データベース12においてユーザにとって無害な(アクセスしても問題の無い)良性のURL情報を保存しておき、生成AIサーバ50の回答内のリンク情報が良性のURLと一致する場合には、回答は適切と判断する一方、良性のURLと一致しない場合には、回答は不適切と判断してもよい。生成AIサーバ50の回答内のリンク情報が、良性及び悪性のURLと一致しない場合、すなわちURL情報データベース12に未登録のURLの場合に、回答は不適切と判断してもよい。
【0021】
また、生成AIサーバ50の回答にファイル等のデータが含まれている場合には、URL情報データベース12に登録されている悪性のデータと比較して、回答が適切か否かを判断する。
【0022】
回答編集部14は、所定のデータが不適切なときに、当該データに対するアクセスを不可となるように回答を編集して、ユーザ端末20に送信する。具体的には、生成AIサーバ50の回答内のURLが悪性であり不適切と判断された場合に、そのリンクの記載部分の削除を行う。
【0023】
なお、回答編集部14は、所定のデータが不適切なときに、アクセスが不可となる理由を回答内に記載してもよい。
【0024】
図2は、本実施形態に係る情報処理装置における生成AIの回答内のデータを判定する方法を示す説明図である(適宜図1参照)。
【0025】
情報処理装置10は、ユーザ端末20から生成AIサーバ50へのアクセス要求を受け付けて、ユーザ端末20に代理して生成AIサーバ50への入力(質問の入力)を実行する。
【0026】
情報処理装置10は、生成AIサーバ50から取得した回答について、URLのリンク情報が含まれている場合に、そのデータが悪性か否かを判定する。悪性のURLの場合には、回答内のリンク部分の記載を削除し、アクセスが不可となる理由を回答内に記載する。
【0027】
続いて、本実施形態に係る情報処理装置10の動作について説明する。図3は、本実施形態に係る情報処理方法の一例を示すフローチャートである(適宜、図1参照)。
【0028】
アクセス制御部11は、ユーザの質問を生成AIサーバ50に入力して、当該生成AIサーバ50からの回答を受け付ける(S10、S11)。
【0029】
回答分析部13は、生成AIサーバ50の回答を分析し、回答内に所定のデータ(例えばURLのリンク情報)を含む場合に、当該リンク情報が適切か否かを判定する(S12)。
【0030】
回答編集部14は、回答内のリンク情報がURL情報データベース12の悪性のデータと一致するときに、当該リンク情報に対するアクセスを不可となるようにリンク情報部分を削除して、ユーザ端末20に送信する(S13:YES、S14)。リンク情報が適切な場合は、回答をそのままユーザ端末20に送信する(S13:NO、終了)。
【0031】
以上述べた実施形態の情報処理装置によれば、生成AIサーバに対する入力の回答を受け付けて、この回答について、所定のデータを含む場合に、当該データが適切か否かを判定することで、生成AIによる回答内のデータが適切か否かを即時に判定することができる。
【0032】
なお、情報処理装置10で実行されるプログラムは、ROM等の記憶回路に予め組み込んで提供される。もしくは、このプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD、フレキシブルディスク等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供するようにしてもよい。また、情報処理装置10で実行されるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせて提供するようにしてもよい。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
10…情報処理装置、11…アクセス制御部、12…URL情報データベース、13…回答分析部、14…回答編集部、20…ユーザ端末、50…生成AIサーバ。
【要約】
【課題】生成AIにより返された回答内のデータが適切か否かを即時に判定することができる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置10は、ユーザ端末による外部アクセスを制御する情報処理装置であって、ユーザ端末のユーザによる生成AIサーバに対する入力について、当該生成AIサーバからの回答を受け付けるアクセス制御部11と、生成AIサーバの回答について、所定のデータを含む場合に、当該データが適切か否かを判定する回答分析部13と、所定のデータが不適切なときに、当該データに対するアクセスを不可となるように回答を編集して、ユーザ端末に送信する回答編集部14と、を備える。
【選択図】図1



図1
図2
図3