(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】燃料電池車両、および燃料電池車両で水素を認識するための検出システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20241204BHJP
H01M 8/04313 20160101ALI20241204BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20241204BHJP
H01M 8/2475 20160101ALI20241204BHJP
H01M 8/04089 20160101ALI20241204BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20241204BHJP
H01M 8/0444 20160101ALN20241204BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/04 N
H01M8/04313
H01M8/00 Z
H01M8/2475
H01M8/04089
H01M8/10 101
H01M8/0444
(21)【出願番号】P 2023504587
(86)(22)【出願日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 EP2021069805
(87)【国際公開番号】W WO2022023059
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】102020209494.2
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ファルケナウ,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ボッシュ,ティモ
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-116358(JP,A)
【文献】特開2004-055205(JP,A)
【文献】特開2016-046852(JP,A)
【文献】特開2010-123270(JP,A)
【文献】特開2007-179826(JP,A)
【文献】特開2015-023598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00-8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池車両(13)のキャビティ(12)の中の水素(11)を認識するための検出システム(10a;10b;10c)であって、燃料電池ハウジング(16)および前記燃料電池ハウジング(16)をパージするためのパージ空気配管(17)を有する燃料電池システム(15)と、前記燃料電池ハウジング(16)の外部の水素センサ(14)とを有し、前記パージ空気配管(17)は前記燃料電池ハウジング(16)からパージ空気(19)を流出させるためのパージ空気流出部(18)を有する、検出システムにおいて、
前記パージ空気流出部(18)は前記パージ空気配管(17)からの前記パージ空気を前記水素センサ(14)に印加するためにアライメントされ
、
前記パージ空気(19)を前記水素センサ(14)へと案内するために前記パージ空気配管(17)および前記水素センサ(14)と接続された接続ハウジング(21)を有し、
前記接続ハウジング(21)は前記キャビティ(12)から前記接続ハウジング(21)へ水素(11)を流入させるための少なくとも1つのガス取込開口部(22)を有し、
前記パージ空気配管(17)はノズル(23)を有し、前記接続ハウジング(21)は、前記パージ空気(19)と前記キャビティ(12)からの前記水素(11)とからなる流体混合物(27)を提供するための混合室(25)と、ディフューザ(26)とを有する、前記ノズル(23)に隣接するイジェクタ(24)を含み、前記混合室(25)は少なくとも1つの前記ガス取込開口部(22)を有し、前記ディフューザ(26)は前記流体混合物(27)を前記水素センサ(14)に供給するために前記水素センサ(14)と接続されることを特徴とする、検出システム。
【請求項2】
前記パージ空気流出部(18)は、前記パージ空気配管(17)からの前記パージ空気を前記水素センサ(14)に直接的に印加するために、前記水素センサ(14)のほうを向いていることを特徴とする、請求項1に記載の検出システム(10a)。
【請求項3】
収集された水素を前記水素センサ(14)へと案内するために前記水素センサ(14)に配置される、水素を収集するための収集手段(20)を有することを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の検出システム(10a)。
【請求項4】
前記収集手段(20)は漏斗状に構成されることを特徴とする、請求項3に記載の検出システム(10a)。
【請求項5】
前記パージ空気流出部(18)は少なくとも部分的に前記水素センサ(14)と一直線上に並ぶように配置されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の検出システム(10a)。
【請求項6】
前記接続ハウジング(21)は少なくとも部分的に漏斗状に構成されることを特徴とする、請求項
1から5のいずれか1項に記載の検出システム(10b;10c)。
【請求項7】
キャビティ(12)と、前記キャビティ(12)の中の水素(11)を認識するための請求項1から
6のいずれか1項に記載の検出システム(10a;10b;10c)とを有している燃料電池車両(13)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池ハウジングおよび燃料電池ハウジングをパージするためのパージ空気配管を有する燃料電池システムと、燃料電池ハウジングの外部の水素センサとを有する、燃料電池車両のキャビティの中の水素を認識するための検出システムに関し、パージ空気配管は燃料電池ハウジングからパージ空気を流出させるためのパージ空気流出部を有する。さらに本発明は、このような検出システムを有する燃料電池車両に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子電解質膜(PEM)燃料電池システムでは、酸素を用いて廃熱と水を生成しながら水素が電気エネルギーへと変換される。このようなPEM燃料電池システムは、そのために通常、それぞれ水素の供給を受けるアノードと、それぞれ空気の供給を受けるカソードと、それぞれアノードとカソードの間に配置された高分子電解質膜とをそれぞれ有する、スタックされた複数の燃料電池を有している。燃料電池がスタックされることで、燃料電池システムの出力電圧を高めることができる。このようなスタックの内部には、個々の燃料電池に水素や空気を供給する、ないしは、使用済みの湿った空気ならびに使用済みのアノード排ガスを燃料電池スタックないし燃料電池システムから運び出す、供給通路がある。設計技術の面から、燃料電池スタックは何メートルものシール個所を有しているが、これらを通じて少量の水素が漏れという形で燃料電池スタックから出ていく可能性がある。外に出た水素の定義された運び出しをするために、従来技術に基づく燃料電池スタックは燃料電池ハウジングで取り囲まれている。燃料電池ハウジングは少なくとも1つの個所から、定義されたとおりにパージ空気の供給を受ける。少なくとも1つの別の個所で、パージ空気がパージ空気配管を通って燃料電池ハウジングから再び出ていく。燃料電池ハウジングがパージ空気によっていわば洗流される。燃料電池ハウジング内の水素を認識するために、当分野に属する燃料電池システムでは、パージ空気配管の内部または表面に水素センサが組み付けられる。さらに法律の規定に基づき、閉鎖または半閉鎖されたキャビティの中には、たとえば燃料電池車両のエンジンルームの中には、さらに別の水素センサを取り付けることが義務付けられている。周知のシステムでは、これら両方の水素センサが水素ないし水素濃度を検出して、事前定義された限界値の超過が認識されると燃料電池システムの終了につながる。しかしながら水素センサは高価であり、燃料電池車両での複雑なシステム構造につながる。
【発明の概要】
【0003】
本発明により、燃料電池システムおよび/または燃料電池車両で望ましくない水素を確実に検出するための、簡素に構成された低コストなシステムが提案される。このようなシステムは、特に、請求項1に記載の検出システムによって提示され、ならびに請求項10に記載の燃料電池車両によって提示される。その他の好ましい実施形態は、従属請求項、発明の詳細な説明、および図面から明らかとなる。このとき検出システムとの関連で記載されている構成要件は、本発明による燃料電池車両との関連でも有効であり、それぞれその逆も成り立つので、個々の発明態様に関わる開示に関しては常に相互に参照がなされ、および/または参照をすることができる。
【0004】
本発明の第1の態様では、燃料電池車両のキャビティの中の水素を認識するための検出システムが提示される。この検出システムは、燃料電池ハウジングおよび燃料電池ハウジングをパージするためのパージ空気配管を有する燃料電池システムと、燃料電池ハウジングの外部の水素センサとを有する。パージ空気配管は、燃料電池ハウジングからパージ空気を流出させるためのパージ空気流出部を有する。パージ空気流出部は、パージ空気配管からのパージ空気を水素センサに印加するためにアライメントされる。
【0005】
パージ空気配管ないしパージ空気開口部、および一方の水素センサの本発明に基づく構造によって、パージ空気配管の内部および/または燃料電池ハウジングの内部に普通であれば設けられる水素センサを省略することができる。それに伴ってコストを削減することができ、燃料電池システムのシステム構成を簡素化することができる。さらに、水素センサおよびこれに付属する機能コンポーネントの省略は、他の機能コンポーネントのための設計スペースを創出し、または、燃料電池システムのいっそうコンパクトな構成を可能にする。
【0006】
パージ空気流出部は、パージ空気配管からのパージ空気を水素センサに直接的に印加するためにアライメントされるのが好ましい。すなわちパージ空気流出部および/またはパージ空気配管は、パージ空気開口部を通ってパージ空気配管から外に出るパージ空気が直接的な経路で、および/または少なくとも障害物なしに、水素センサへと到達できるように構成および/または配置される。
【0007】
水素センサとは、センサハウジングと、センサハウジングにあるセンサ面とを有するセンサユニットであると理解することができる。したがって、本件で説明する水素センサに配置される機能ユニットは、センサ面に直接配置されている必要はなく、センサハウジングに配置されていてもよい。水素センサは、パージ空気およびキャビティの中の水素および/または水素濃度を認識するためにコンフィグレーションされて配置される。
【0008】
パージ空気流出部は、パージ空気を燃料電池ハウジングから燃料電池ハウジングの周囲へ流出させるためにコンフィグレーションされる。パージ空気流出部とは、実施態様に応じて、パージ空気配管の端部区域であると理解することができ、または、パージ空気配管を水素センサと接続する、パージ空気配管に接続する機能コンポーネントであると理解することができる。
【0009】
キャビティは閉鎖型または半閉鎖型として構成されていてよい。キャビティとは、燃料電池車両の設計スペース、たとえばエンジンルームであると理解することができる。パージ空気配管は、理想的な通路の形態で構成されている必要はなく、原則として、パージ空気を燃料電池ハウジングから的確に案内するのに適している限りにおいて、任意のジオメトリーを有することができる。燃料電池システムはパージ空気配管によってパージされるのではなく、パージ空気配管を利用したうえでパージされる。パージ空気配管は、パージ空気導入区域を有することができ、これを通ってパージ空気が燃料電池ハウジングの中に導入され、およびパージ空気流出区域を有することができ、これを利用したうえでパージ空気ないし処理されたパージ空気を燃料電池ハウジングから再び導出することができる。
【0010】
燃料電池システムは、燃料電池ハウジングによって取り囲まれる、または実質的に取り囲まれる、複数の燃料電池スタックを有するのが好ましい。水素センサは、温度補償式、圧力補償式、および湿度補償式の信号評価が行われる水素マイクロセンサの形態でコンフィグレーションされていてよい。
【0011】
本発明の別の実施態様では、検出システムにおいてパージ空気流出部が、パージ空気配管からのパージ空気を水素センサに直接的に印加するために、水素センサのほうに向いていることが可能である。パージ空気流出部およびパージ空気配管が水素センサに向けて直接的にアライメントされることで、パージ空気中の水素濃度を特別に正確に判定することができる。他の流体の混合を簡易な方式で防止することができ、または少なくとも所望の量に合わせて低減および/または調整することができる。水素センサに向けたパージ空気流出部のアライメントとは、パージ空気流出部の法線ベクトルが水素センサの方向に、および/または水素センサのほうに、向いていることであると理解することができる。さらにパージ空気流出部の法線ベクトルは、水素センサのセンサ面の法線ベクトルに対して直交するように、または鈍角をなすように、アライメントされていてよく、センサ面の法線ベクトルは、燃料電池車両に組み付けられた状態のとき、重力方向または実質的に重力方向に延びる。それに伴い、パージ空気が可能な限り直接的に水素センサへ到達することを簡易な方式で実現することができる。
【0012】
本発明の別の実施態様では、検出システムは、収集された水素を水素センサへと案内するために水素センサに配置される、水素を収集するための収集手段を有することが可能である。収集手段により、普通であれば水素センサへと到達し得ないはずの水素を含んでいる流体も、水素センサへと案内することができ、それにより検出システムが、望ましくない水素漏れを特別に効率的に認識することができる。
【0013】
本発明による検出システムでは、収集手段は漏斗状に構成されていてよい。漏斗形状により、簡易で低コストかつそれにもかかわらず効率的な方式で、周囲空気およびそれに伴って場合により水素も収集して、水素センサへと案内することができる。漏斗状の収集手段は、水素センサに向かって先細になっている。特に漏斗状の収集手段は、検出システムが燃料電池車両に組み込まれた状態にあるときに、重力方向と反対向きに先細になる。収集手段は、水素センサおよび/またはパージ空気流出部に対して同軸および/または同心的に構成および/または配置されるのが好ましい。
【0014】
パージ空気流出部は、本発明に基づく検出システムでは、水素センサに対して少なくとも部分的に一直線上に配置されるのが好ましい。それに伴い、パージ空気配管から流出するパージ空気を水素センサに直接当てることができる。そのようにして、パージ空気中の水素含有量に関して特別に情報提供力の高い測定を行うことができる。パージ空気流出部はこのケースでは直接的に、または実質的に直接的に、水素センサのほうに向いている。パージ空気流出部が水素センサに対して少なくとも部分的に一直線上に配置されるとは、パージ空気流出部の法線ベクトルの方向へのパージ空気配管の仮想的な延在が、少なくとも部分的に水素センサに当たることになることであると理解することができる。
【0015】
さらに、本発明に基づく検出システムは、水素センサへとパージ空気を案内するためにパージ空気配管および水素センサと接続される接続ハウジングを有することができる。接続ハウジングを用いて、パージ空気およびこれに伴ってパージ空気中の水素も水素センサへと直接的に案内することができ、パージ空気がたとえば障害物のために迂回し、そのために他の流体と望ましくない混合をすることがない。接続ハウジングを用いて、水素センサがパージ空気流出部に直接配置されていなくてよくなり、それにもかかわらず、パージ空気中の水素含有量の情報提供力の高い測定を行うことができる。
【0016】
さらに、本発明に基づく検出システムにおいて、接続ハウジングが少なくとも部分的に漏斗状に構成されていると好ましい場合があり得る。好ましくはパージ空気流出部に向かって先細になり、水素センサに向かって相応に拡大する漏斗状の接続ハウジングがディフューザとして作用することができ、これによってパージ空気配管からのパージ空気流を低速化することができ、それにより水素センサでいっそう効果的に検出することができる。
【0017】
これに加えて本発明に基づく検出システムでは、接続ハウジングが、キャビティから接続ハウジングに水素を流入させるための少なくとも1つのガス取込開口部を有することが可能である。それに伴い、燃料電池ハウジングの周囲からの水素ないし燃料電池ハウジングからの漏れ水素もさらに水素センサによって判定できることを、簡易かつ効率的な方式で保証することができる。接続ハウジングは、キャビティないし燃料電池ハウジングの周囲の周囲空気から接続ハウジングに水素を流入させるため複数のガス取込開口部ないし穴を有するのが好ましい。その代替として接続ハウジングはハーフシェル状に構成されていてよく、接続ハウジングの閉じた部分がパージ空気配管と水素センサを相互に接続し、接続ハウジングの開いた部分を少なくとも1つのガス取込開口部であると理解することができる。
【0018】
さらに、本発明による検出システムのパージ空気配管がノズルを有し、接続ハウジングは、パージ空気とキャビティからの水素とからなる流体混合物を提供するための混合室と、ディフューザとを有する、ノズルに隣接するイジェクタを含むことが可能であり、混合室は少なくとも1つのガス取込開口部を有し、ディフューザは流体混合物を水素センサに供給するために水素センサと接続される。それに伴い、燃料電池ハウジングの周囲からの周囲空気を、ないしはその中に含まれる漏れ水素を、混合室へと効率的な方式で吸い込み、そこからさらに水素センサへと、ないしはその表面まで、案内することができる。
【0019】
本発明のさらに別の態様では、キャビティと、キャビティの中の水素を認識するための上記で詳細に説明した検出システムとを有する燃料電池車両が提示される。それに伴って本発明による燃料電池車両は、本発明による検出システムに関して詳細に説明したのと同様の利点をもたらす。燃料電池車両は、道路走行車両の形態で、特に乗用車やトラックの形態で、提供されるのが好ましい。
【0020】
本発明を改良するその他の方策は、図面に模式的に示されている本発明のさまざまな実施例に関する以下の説明から明らかとなる。特許請求の範囲、発明の詳細な説明、および図面から明らかとなる一切の構成要件および/または利点は、設計上の具体的事項や空間的な配置も含めて、それ自体でもさまざまな組み合わせでも発明の要部となり得る。
【0021】
図面はそれぞれ模式的に次のものを示す:
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1の実施形態に基づく検出システムである。
【
図2】本発明の第2の実施形態に基づく検出システムである。
【
図3】本発明の第3の実施形態に基づく検出システムである。
【
図4】本発明の好ましい実施形態に基づく検出システムを有する燃料電池車両である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
同じ機能や作用形態を有する部材には、各図面ではそれぞれ同一の符号が付されている。
【0024】
図1は、第1の実施形態に基づく、
図4に示す燃料電池車両13のキャビティ12の中のキャビティ流体の水素11ないし水素含有量を認識するための検出システム10aを示している。検出システム10aは、燃料電池ハウジング16と、燃料電池ハウジング16をパージするためのパージ空気配管17とを有する燃料電池システム15を有している。さらに検出システム10aは、燃料電池ハウジング16の外部に水素センサ14を有している。
図1に示すように、パージ空気配管17は、燃料電池ハウジング16からパージ空気19を流出させるためのパージ空気流出部18を有している。パージ空気流出部18は、パージ空気配管17からのパージ空気を水素センサ14に印加するためにアライメントされている。より厳密に言うとパージ空気流出部18は、パージ空気配管17からのパージ空気を水素センサ14に直接的に印加するために、水素センサ14のほうを向いている。
図1に見られるとおり、パージ空気流出部18は収集手段20と水素センサ14から間隔をおいて配置されており、それにより、キャビティ12からの水素11ないし水素を有する流体が、さらにパージ空気配管17の外部でも水素センサ14へと問題なく到達することができる。
【0025】
図1に示す実施形態では、検出システム10aは、燃料電池ハウジング16の周囲に由来する水素を、ないしは場合により水素を含む周囲空気を、収集するための収集手段20を有している。収集手段20は、収集された水素ないし周囲空気を水素センサ14へと案内するために水素センサ14に配置されている。
図1に示すとおり、収集手段20は漏斗状に構成されており、この漏斗形状は水素センサ14に向かって先細になっている。さらに、パージ空気流出部18は水素センサ14と一直線上に並ぶように配置されていることが図示した実施形態から見て取れる。水素センサ14および/または収集手段20には、水素11および/またはパージ空気19の水素センサ14からの流出ないし導出のための流出開口部(図示せず)が構成されるのが好ましい。それにより、誤った水素検出につながりかねない水素センサ14での流体滞留を防止することができる。
【0026】
図2には、第2の実施形態に基づく検出システム10bが示されている。図示した検出システム10bは、パージ空気19を水素センサ14へと案内するためにパージ空気配管17および水素センサ14と接続された、接続ハウジング21からパージ空気19ならびに水素11を流出させるための流出開口部を
図2の右側に有する、接続ハウジング21を有している。接続ハウジング21は漏斗状に構成されている。さらに接続ハウジング21は、キャビティ12から接続ハウジング21へと水素11ないし周囲空気をその中に含まれる水素とともに流入させるためのガス取込開口部22を有している。
図2に示す接続ハウジング21は、原則として、パージ空気配管17の構成要素であるとみなすこともできる。
【0027】
図3には、第3の実施形態に基づく検出システム10cが示されている。図示した検出システム10cでは、パージ空気配管17はノズル23を有している。接続ハウジング21は、パージ空気19と水素11とからなる流体混合物27をキャビティ12から提供するための混合室25とディフューザ26とを有する、ノズル23に隣接するイジェクタ24を有している。したがって混合室25にはガス取込開口部22が構成されており、ディフューザ26は、水素センサ14へ流体混合物27を供給するために、水素センサ14と接続されている。
図3に示すイジェクタ24は、原則として、パージ空気配管17の構成要素であるとみなすこともできる。その追加または代替として、ノズル23をイジェクタ24の一部であるとみなすことができる。
図3に示す接続ハウジング21は、
図2に示す接続ハウジング21と同じく、パージ空気19ならびに水素11を接続ハウジング21から流出させるための流出開口部を有している。
【0028】
図4には、エンジンルームの形態のキャビティ12と、キャビティ12の中の水素11を認識するための
図1に示すような検出システム10aとを有する燃料電池車両13が示されている。
【0029】
本発明は、図示している実施形態に加えてそれ以外の構成原理も許容する。すなわち本発明は、図面との関連で説明した実施例だけに限定されるとみなされるべきではない。たとえばパージ空気配管17は、燃料電池ハウジング16を越えて延びていなければならないわけではなく、燃料電池ハウジング16と同一平面上で終わっていてもよい。
【符号の説明】
【0030】
10a;10b;10c 検出システム
11 水素
12 キャビティ
13 燃料電池車両
14 水素センサ
15 燃料電池システム
16 燃料電池ハウジング
17 パージ空気配管
18 パージ空気流出部
19 パージ空気
20 収集手段
21 接続ハウジング
22 ガス取込開口部
23 ノズル
24 イジェクタ
25 混合室
26 ディフューザ
27 流体混合物