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特許7598468連続的な溶液重合法による脂肪族ポリケトンの製造方法及び脂肪族ポリケトン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】連続的な溶液重合法による脂肪族ポリケトンの製造方法及び脂肪族ポリケトン
(51)【国際特許分類】
   C08G 16/00 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
C08G16/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023536145
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 CN2022090287
(87)【国際公開番号】W WO2023151192
(87)【国際公開日】2023-08-17
【審査請求日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】202210128845.3
(32)【優先日】2022-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523217503
【氏名又は名称】シャンブロード ケミカル インダストリー リサーチ インスティチュート カンパニー、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペイ、リジュン
(72)【発明者】
【氏名】レン、ジャオユ
(72)【発明者】
【氏名】リュー、インシェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ペンペン
(72)【発明者】
【氏名】カオ、リヤン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ペンペン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ルイジン
【審査官】櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-060727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一酸化炭素とオレフィン化合物とを触媒を含む溶媒系で連続的に溶液重合させることにより得られた脂肪族ポリケトンであって、
前記脂肪族ポリケトンは、粒子径が10μm~50μmであり、粒子径分布幅スパンが0.5~0.9であり、かさ密度が0.35g/mlを超える、
前記触媒を含む溶媒系が、触媒と、助触媒と、助溶剤とを含む混合溶媒である、
前記助溶剤が、下記の式(II):
【化II】

(式(II)中、-NM はイミダゾール系置換基であり、Xはトリフルオロ酢酸イオン、トトリフルオロメタンスルホン酸イオン、又はヘキサフルオロりん酸イオンである。)で表される構造を有するカルボン酸官能化されたイミダゾリウム塩である、
連続的な溶液重合法により製造される脂肪族ポリケトン。
【請求項2】
前記脂肪族ポリケトンが、重量平均分子量が20万を超え、分子量分布が2.0未満である、ことを特徴とする請求項1に記載の連続的な溶液重合法により製造される脂肪族ポリケトン。
【請求項3】
前記触媒が、二価パラジウム塩と二座ホスフィン配位子との有機金属錯体であり、
前記二価パラジウム塩が、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、スルホン酸パラジウム及び酢酸パラジウムのうちの一つまたは複数であり、
前記二座ホスフィン配位子が、下記の式(I):
【化I】

(式(I)中、R、R、R及びRは独立してフェニル基又は置換フェニル基から選択され、Rは少なくとも3個の炭素原子を含むアルキレン基である。)で表される構造を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の連続的な溶液重合法により製造される脂肪族ポリケトン。
【請求項4】
前記助触媒が、硫酸、ベンゼンスルホン酸、過塩素酸、トリクロロ酢酸、及びトリフルオロ酢酸から選択される一つまたは複数である、ことを特徴とする請求項に記載の連続的な溶液重合法により製造される脂肪族ポリケトン。
【請求項5】
前記混合溶媒が、オルトクロロフェノールとメタノールとの混合溶媒、メタクレゾールとメタノールとの混合溶媒、ヘキサフルオロイソプロパノールとメタノールとの混合溶媒、又はDMFとメタノールとの混合溶媒である、ことを特徴とする請求項に記載の連続的な溶液重合法により製造される脂肪族ポリケトン。
【請求項6】
連続的な溶液重合法による請求項1~のいずれか1項に記載の脂肪族ポリケトンの製造方法であって、
一酸化炭素、オレフィン化合物、及び触媒を含む溶媒系を連続フロー反応器に連続的に仕込んで溶液重合反応を行い、脂肪族ポリケトンを得る工程a)を含む、
前記触媒を含む溶媒系が、触媒と、助触媒と、助溶剤とを含む混合溶媒である、
前記助溶剤が、下記の式(II):
【化II】

(式(II)中、-NM はイミダゾール系置換基であり、Xはトリフルオロ酢酸イオン、トトリフルオロメタンスルホン酸イオン、又はヘキサフルオロりん酸イオンである。)で表される構造を有するカルボン酸官能化されたイミダゾリウム塩である、方法。
【請求項7】
工程a)における前記溶液重合反応の温度が100℃~110℃、圧力が6.5MPa~7MPaであり、
前記溶液重合反応の保持時間がモノマー及び溶媒の供給速度を制御することにより制御され、
前記溶液重合反応には、マイクロチャネル反応器を採用し、モノマーを連続的に仕込み、未反応のモノマーを分離して再利用し、製品を連続的に排出する、ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記工程a)が、重合反応により得られた反応液を気液分離し、ガスを再利用し、液体から溶媒を除去してポリケトン粉末を得ることをさらに含み、
前記溶媒を除去する方法がフラッシュであり、回収された溶媒が混合溶媒としてリサイクル可能である、ことを特徴とする請求項又はに記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
この出願は、2022年2月11日に中国特許庁に出願され、出願番号202210128845.3、発明の名称「連続的な溶液重合法による脂肪族ポリケトンの製造方法及び脂肪族ポリケトン」である中国特許出願の優先権を主張し、その全内容が援用により本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、化学工業の技術分野に関し、より具体的には、連続的な溶液重合法による脂肪族ポリケトンの製造方法及び脂肪族ポリケトンに関する。
【背景技術】
【0003】
一酸化炭素は、石油、石炭及びその他のエネルギー並びに石油化学工業の主な副産物である。そして、一酸化炭素を高付加値の製品に変換することは、化学工業において重要である。このような一炭素化学工業の開発は、石油資源がますますに減少していき、資源危機がますますに深刻になっている「カーボンニュートラル」の時代背景において、重要な実用的意義を有し、かつ、見通しが良い。ポリケトン(Polyketone、POK)は、一酸化炭素及びオレフィンから共重合により得られる、一酸化炭素がポリケトンの全質量の50%程度を占める新規なグリーン高分子材料として知られており、原料構成やエネルギー消費の点から環境に優しいし、衝撃強度、耐薬品性、耐摩耗性、ガスバリア性及び難燃性にも優れるし、自動車や、エレクトロニクス、パッケージングなどの応用分野でPA、PBT、POM、EVOHなどの材料の代わりとして使えるので、幅広い応用の可能性がある。
【0004】
ポリケトンの研究開発は1940年代に始まるが、今、その工業化を実現できるのが世界では韓国の暁星株式会社しかいなく、その製造プロセスとしてスラリー重合プロセスが用いられている。また、ポリケトンに関する研究は、中国及び海外の研究機関において既存のスラリー重合プロセスに限られ、ポリケトンの溶液重合プロセスは文献に報告されていない。従来のバッチ・スラリー重合プロセスには、ポリマー粒子の形態を調節するのが難しい、原料が壁にかかりやすい、単一反応釜の収率が低い、製品の再現性が悪いなどの問題がある。また、反応釜型スラリー重合のプロセスでは、不溶性製品が増加するので、反応プロセスでの物質移動や熱移動が困難になり、ポリケトンの工業化生産に技術的難題及び安全上のリスクをもたらす恐れもある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、連続的な溶液重合法による脂肪族ポリケトンの新規な製造方法及び製造された脂肪族ポリケトンを提供することを目的とする。本発明で提供される新規方法によれば、スラリープロセスにおけるポリマー粒子の形態を調節するのが難しい、原料が壁にかかりやすい、単一反応釜の収率が低い、製品の再現性が悪い、及び物質移動、熱移動が悪いなどの問題が解決され、ポリケトン製造プロセスが円滑に行うことが確保され、製品の品質、生産能力及び設備投資を大幅に改善することができる。
【0006】
本発明は、連続的な溶液重合法により製造される脂肪族ポリケトンを提供する。前記脂肪族ポリケトンは、一酸化炭素とオレフィン化合物とを触媒を含む溶媒系で連続的に溶液重合させることにより得られる。前記脂肪族ポリケトンは、粒子径が10μm~50μmであり、粒子径分布幅スパン(Span)値が0.5~0.9であり、かさ密度が0.35g/mlを超える。
【0007】
好ましくは、前記脂肪族ポリケトンは、重量平均分子量が20万を超え、分子量分布が2.0未満である。
【0008】
好ましくは、前記触媒を含む溶媒系は、触媒と、助触媒と、助溶剤とを含む混合溶媒である。
【0009】
好ましくは、前記触媒は二価パラジウム塩と二座ホスフィン配位子との有機金属錯体である。
【0010】
前記二価パラジウム塩は、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、スルホン酸パラジウム及び酢酸パラジウムのうちの一つまたは複数である。
【0011】
前記二座ホスフィン配位子は、下記の式(I):
【化I】

(式(I)中、R、R、R及びRは独立してフェニル基又はフェニル基から選択され、Rは少なくとも3個の炭素原子を含むアルキレン基である。)で表される構造を有する。
【0012】
好ましくは、前記助触媒は、硫酸、ベンゼンスルホン酸、過塩素酸、トリクロロ酢酸及びトリフルオロ酢酸から選択される一つまたは複数である。
【0013】
好ましくは、前記助溶剤は、下記の式(II):
【化II】

(式(II)中、-NMはイミダゾール系置換基であり、Xはトリフルオロ酢酸イオン、トトリフルオロメタンスルホン酸イオン又はヘキサフルオロりん酸イオンである。)で表される構造を有するカルボン酸官能化されたイミダゾリウム塩である。
【0014】
好ましくは、前記混合溶媒は、オルトクロロフェノールとメタノールとの混合溶媒、メタクレゾールとメタノールとの混合溶媒、ヘキサフルオロイソプロパノールとメタノールとの混合溶媒、又はDMFとメタノールとの混合溶媒である。
【0015】
また、本発明は、連続的な溶液重合法による上記の技術案に記載されている脂肪族ポリケトンの製造方法を提供する。前記製造方法は、
一酸化炭素、オレフィン化合物、及び触媒を含む溶媒系を連続フロー反応器に連続的に仕込んで溶液重合反応を行い、脂肪族ポリケトンを得る工程a)を含む。
【0016】
好ましくは、工程a)における前記溶液重合反応は、温度が100℃~110℃であり、圧力が6.5MPa~7MPaであり、
前記溶液重合反応の保持時間は、モノマー及び溶媒の供給速度を制御することにより制御され、
前記溶液重合反応には、マイクロチャネル反応器を採用し、モノマーを連続的に仕込み、未反応のモノマーを分離して再利用し、製品を連続的に排出する。
【0017】
好ましくは、前記工程a)は、重合反応により得られた反応液を気液分離し、ガスを再利用し、液体から溶媒を除去してポリケトン粉末を得ることをさらに含み、
前記溶媒を除去する方法がフラッシュであり、回収された溶媒が混合溶媒としてリサイクル可能である。
【0018】
本発明では、連続的な溶液重合法による脂肪族ポリケトンの製造方法及び脂肪族ポリケトンが提供される。この方法は、一酸化炭素、オレフィン化合物、及び触媒を含む溶媒系を連続フロー反応器に連続的に仕込んで溶液重合反応を行い、脂肪族ポリケトンを得る工程a)を含む。前記脂肪族ポリケトンは、粒子径が10μm~50μmであり、粒子径分布幅スパンが0.5~0.9であり、かさ密度が0.35g/mlを超える。従来技術に比べると、本発明で提供される方法では、助溶剤としてカルボン酸官能化されたイミダゾリウム塩を選択し、連続的な溶液重合反応の溶媒としてオルトクロロフェノールとメタノール、メタクレゾールとメタノール、ヘキサフルオロイソプロパノールとメタノール、DMFとメタノールなどの混合溶媒を選択し、反応に連続フロー反応器を使用して連続的な原料仕込みや連続的な産物排出を行うことにより、従来のバッチ・スラリープロセスにおけるポリマー粒子の形態を調節するのが難しい、原料が壁にかかりやすい、単一反応釜の収率が低い、製品の再現性が悪いなどの難題が効果的に解決され、重合により重量平均分子量>20万、分子量分布<2.0、かさ密度>0.35g/ml、粒子径10μm~50μm、粒子径分布幅スパン0.5~0.9の脂肪族ポリケトンが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例1で製造されたポリケトン粉末の走査型電子顕微鏡写真である。
図2】比較例1で製造されたポリケトン粉末の走査型電子顕微鏡写真である。 表1は、本発明の実施例1で製造されたポリケトン粉末の粒子径分布データを示す。 表2は、比較例1で製造されたポリケトン粉末の粒子径分布データを示す。 表3は、比較例2で製造されたポリケトン粉末の粒子径分布データを示す。 表4は、本発明の実施例2で製造されたポリケトン粉末の粒子径分布データを示す。 表5は、本発明の実施例3で製造されたポリケトン粉末の粒子径分布データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を参照しながら、本発明の技術案を明確かつ完全に説明するが、説明された実施形態は本発明の一部の実施形態にすぎず、実施形態の全部ではないことが自明である。当業者が本発明における実施形態に基づいて創造的な努力なしに得た他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲内に入ることとする。
【0021】
本発明は、連続的な溶液重合法により製造される脂肪族ポリケトンを提供する。前記脂肪族ポリケトンは、一酸化炭素とオレフィン化合物とを触媒を含む溶媒系で連続的に溶液重合させることにより得られる。前記脂肪族ポリケトンは、粒子径が10μm~50μmであり、粒子径分布幅スパンが0.5~0.9であり、かさ密度が0.35g/mlを超える。
【0022】
本発明においては、前記脂肪族ポリケトンは、重量平均分子量が20万を超え、分子量分布が2.0未満であることが好ましい。
【0023】
本発明においては、前記触媒を含む溶媒系は、触媒と、助触媒と、助溶剤とを含む混合溶媒であることが好ましい。本発明においては、前記触媒は、二価パラジウム塩と二座ホスフィン配位子との有機金属錯体であることが好ましく、ここでは、前記二価パラジウム塩は、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、スルホン酸パラジウム及び酢酸パラジウムのうちの一つまたは複数であることが好ましく、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、スルホン酸パラジウム、又は酢酸パラジウムであることがより好ましく、酢酸パラジウムであることがより好ましい。本発明では、前記二価パラジウム塩の供給源としては、特に限定されないが、当業者によく知られている市販品を採用すればよい。
【0024】
本発明においては、前記二座ホスフィン配位子は、下記の式(I)で表される構造を有することが好ましい。
【化I】

式(I)中、R、R、R及びRは独立してフェニル基又は置換フェニル基から選択され、Rは少なくとも3個の炭素原子を含むアルキレン基であり、好ましくは具体的には:1,3-ビス[ビス(2-メトキシフェニル)ホスフィノ]プロパン(1,3-Bis[bis(2-methoxyphenyl)phosphino]propane)である。
【0025】
本発明においては、前記触媒の前記混合溶媒中の含有量は、0.01~0.05mmol/Lであることが好ましく、具体的には0.01mmol/L、0.02mmol/L、0.03mmol/L、0.04mmol/L、0.05mmol/Lであり得る。
【0026】
本発明においては、前記助触媒は、好ましくは硫酸、ベンゼンスルホン酸、過塩素酸、トリクロロ酢酸及びトリフルオロ酢酸から選択される一つまたは複数であり、より好ましくは硫酸、ベンゼンスルホン酸、過塩素酸、トリクロロ酢酸又はトリフルオロ酢酸であり、さらに好ましくはトリフルオロ酢酸である。本発明においては、前記助触媒の供給源としては、特に制限はなく、当業者によく知られている上記有機及び無機強酸の市販品を採用すればよい。本発明においては、前記助触媒と触媒とのモル比は、(10~2):1であることが好ましく、具体的には10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、又は2:1であり得る。
【0027】
本発明においては、前記助溶剤は、下記の式(II)で表される構造を有するカルボン酸官能化されたイミダゾリウム塩であることが好ましい。
【化II】

式(II)中、-NMはイミダゾール系置換基であり、Xはトリフルオロ酢酸イオン、トトリフルオロメタンスルホン酸イオン又はヘキサフルオロりん酸イオンである。本発明においては、前記助溶剤によれば、モノマーや製品の溶媒中の溶解度を向上させ、物質移動効果を高めることができる。本発明においては、前記助溶剤と触媒のモル比は、好ましくは(5~15):1、より好ましくは10:1である。
【0028】
本発明においては、前記助溶剤の混合溶媒中の含有量は、0.1~0.5mmol/Lであることが好ましい。
【0029】
本発明においては、前記混合溶媒は、オルトクロロフェノールとメタノールとの混合溶媒、メタクレゾールとメタノールとの混合溶媒、ヘキサフルオロイソプロパノールとメタノールとの混合溶媒、又はDMFとメタノールとの混合溶媒であることが好ましく、ヘキサフルオロイソプロパノールとメタノールとの混合溶媒であることがより好ましい。本発明の好ましい実施例においては、前記混合溶媒は、ヘキサフルオロイソプロパノールとメタノールとの混合溶媒であり、ここでは、前記メタノールとヘキサフルオロイソプロパノールの体積割合は、1:(3~6)であることが好ましく、具体的には1:3、1:4、1:5、又は1:6であり得る。
【0030】
また、本発明は、連続的な溶液重合法による上記の技術案に記載されている脂肪族ポリケトンの製造方法を提供する。前記製造方法は、一酸化炭素、オレフィン化合物、及び触媒を含む溶媒系を連続フロー反応器に連続的に仕込んで溶液重合反応を行い、脂肪族ポリケトンを得る工程a)を含む。
【0031】
本発明においては、前記触媒を含む溶媒系は、触媒と、助触媒と、助溶剤とを含む混合溶媒であることが好ましい。本発明では、まず、触媒、助触媒及び助溶剤を混合溶媒に溶解し、触媒を含む溶媒系を得る。
【0032】
本発明においては、前記触媒は、二価パラジウム塩と二座ホスフィン配位子との有機金属錯体であることが好ましく、ここでは、前記二価パラジウム塩は、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、スルホン酸パラジウム及び酢酸パラジウムのうちの一つまたは複数であることが好ましく、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、スルホン酸パラジウム又は酢酸パラジウムであることがより好ましく、酢酸パラジウムであることがさらに好ましい。本発明では、前記二価パラジウム塩の供給源としては、特に制限はなく、当業者によく知られている市販品を採用すればよい。
【0033】
本発明においては、前記二座ホスフィン配位子は、下記の式(I)で表される構造を有することが好ましい。
【化I】

式(I)中、R、R、R及びRは独立してフェニル基又は置換フェニル基から選択され、Rは少なくとも3個の炭素原子を含むアルキレン基であり、具体的には、1,3-ビス[ビス(2-メトキシフェニル)ホスフィノ]プロパンであることが好ましい。
【0034】
本発明においては、前記混合溶媒中の前記触媒の含有量は、0.01~0.05mmol/Lであることが好ましく、具体的には0.01mmol/L、0.02mmol/L、0.03mmol/L、0.04mmol/L、又は0.05mmol/Lであり得る。
【0035】
本発明においては、前記助触媒は、好ましくは硫酸、ベンゼンスルホン酸、過塩素酸、トリクロロ酢酸及びトリフルオロ酢酸から選択される一つまたは複数であり、より好ましくは硫酸、ベンゼンスルホン酸、過塩素酸、トリクロロ酢酸又はトリフルオロ酢酸であり、さらに好ましくはトリフルオロ酢酸である。本発明では、前記助触媒の供給源としては、特に限定されないが、当業者に知られている上記有機及び無機強酸の市販品を採用すればよい。本発明においては、前記助触媒と触媒のモル比は、(10~2):1であることが好ましく、具体的には10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、又は2:1であり得る。
【0036】
本発明においては、前記助溶剤は、下記の式(II)で表される構造を有するカルボン酸官能化されたイミダゾリウム塩であることが好ましい。
【化II】

式(II)中、-NMはイミダゾール系置換基であり、Xはトリフルオロ酢酸イオン、トトリフルオロメタンスルホン酸イオン、又はヘキサフルオロりん酸イオンである。本発明において、前記助溶剤によれば、モノマーや製品の溶媒中の溶解度を向上させ、物質移動効果を高めることができる。本発明においては、前記助溶剤と触媒のモル比は、好ましくは(5~15):1であり、より好ましくは10:1である。
【0037】
本発明においては、前記助溶剤の混合溶媒中の含有量は、0.1~0.5mmol/Lであることが好ましい。
【0038】
本発明においては、前記混合溶媒は、オルトクロロフェノールとメタノールとの混合溶媒、メタクレゾールとメタノールとの混合溶媒、ヘキサフルオロイソプロパノールとメタノールとの混合溶媒、又はDMFとメタノールとの混合溶媒であることが好ましく、ヘキサフルオロイソプロパノールとメタノールとの混合溶媒であることがより好ましい。本発明の好ましい実施例においては、前記混合溶媒は、ヘキサフルオロイソプロパノールとメタノールとの混合溶媒であり、ここでは、前記メタノールとヘキサフルオロイソプロパノールの体積割合は、1:(3~6)であることが好ましく、具体的には1:3、1:4、1:5、又は1:6であり得る。
【0039】
次に、本発明では、一酸化炭素、オレフィン化合物、及び上記の触媒と、助触媒と、助溶剤とを含む混合溶媒を連続フロー反応器に連続的に仕込み、反応温度、反応圧力及び保持時間を制御して溶液重合反応を行う。本発明においては、前記溶液重合反応の温度は100℃~110℃であることが好ましく、圧力は6.5MPa~7MPaであることが好ましい。
【0040】
本発明においては、前記溶液重合反応の保持時間は、好ましくはモノマー及び溶媒の供給速度を制御することにより制御される。ここでは、前記モノマーは、一酸化炭素と1つ又はいは複数のオレフィン不飽和化合物との混合物であり、オレフィンと一酸化炭素のモル比としては、(0.5~5):1であることが好ましく、前記溶媒は、上記技術案に記載されている混合溶媒である。本発明においては、前記溶媒はリサイクル可能である。
【0041】
本発明においては、前記溶液重合反応には、マイクロチャネル反応器を採用することが好ましい。マイクロチャネル反応器は、効率的な熱交換、物質移動を実現できる連続型プラグフロー反応器(Plug Flow Reactor)である。このような反応器によれば、制御された時間と空間で、高温、高濃度、及び高速混合で反応を速く完了させることができ、それにより、転化率、安全性、及び效率を向上させるという総合的な効果が得られる。その上で、本発明によれば、連続的なモノマー仕込み、未反応のモノマーの分離・再利用、連続的な製品排出を実現することができる。
【0042】
本発明においては、前記マイクロチャネル反応器には、反応開始前、窒素置換し、置換完了後に反応器の加熱モジュールを反応温度に昇温させてから、原料を反応器に連続的に仕込む。
【0043】
本発明は、重合反応により得られた反応液を気液分離し、ガスを再利用し、液体から溶媒を除去してポリケトン粉末を得ることをさらに含み、
前記溶媒を除去する方法はフラッシュであり、回収された溶媒は混合溶媒としてリサイクル可能である。
【0044】
本発明においては、システムの圧力が反応圧力よりも高くなると、反応液が気液分離装置に連続的かつ安定的に入り込んで気液分離される。分離されたガスが再利用され、分離された液体から溶媒が除去された後にポリケトン粉末が得られる。
【0045】
本発明においては、前記溶媒を除去する方法は、フラッシュであることが好ましく、当業者によく知られているフラッシュタンクを採用すればよい。回収された溶媒は混合溶媒としてリサイクル可能である。
【0046】
本発明では、フラッシュにより溶媒を除去し、粒子が緻密かつ均一であるポリケトン粉末を得、溶媒を回収して再利用する。
【0047】
本発明では、連続・溶液重合プロセスを開発し、好ましくはマイクロチャネル反応器を採用し、反応が正常に進行するように確保しながら原料を連続的に仕込み、産物を連続的に排出することにより、従来のバッチプロセスにおける製品の凝集による壁掛けや、物質移動困難、熱移動困難という問題が解決される。また、反応終了後、反応液を分離して未反応のモノマーを回収した後、フラッシュ法により溶媒を除去することが好ましく、粒子の形態が均一で安定した製品が得られる。
【0048】
本発明では、二価パラジウム塩と二座ホスフィン配位子との有機金属錯体を主触媒とし、強酸を助触媒とし、カルボン酸官能化されたイミダゾリウム塩を助溶剤とし、オルトクロロフェノールとメタノール、メタクレゾールとメタノール、ヘキサフルオロイソプロパノールとメタノール、又はDMFとメタノールの混合溶媒を反応試薬として選択し、一酸化炭素、エチレン及びプロピレンガスを反応物として、モノマーを連続的に仕込み、反応温度、圧力及び保持時間を制御し、反応液を連続的に採取し、未反応のモノマーを回収して再利用でき、溶媒をフラッシュにより除去して再利用でき、重量平均分子量>20万、分子量分布<2.0、粉末粒子径10μm~50μm、粒子径分布幅スパン0.5~0.9、かさ密度>0.35g/mlのポリケトン粉末が得られる。本発明で述べたスラリー重合プロセスは、物質移動や熱移動効果が悪くて、それより得られたポリケトン製品は、粒子が大きく、ふわふわし、壁に付きやすく、粉末のかさ密度が0.1~0.2g/mL、粉末粒子径が20~480μm、粒子径分布幅スパンが3.3~4.0である。それに対して、溶液重合プロセスで得られたポリケトン製品は、粒子が細かくて緻密で、かさ密度が0.35g/mlを超え、粉末粒子径が10μm~50μmであり、粒子径分布幅スパンが0.5~0.9である。
【0049】
本発明は、連続的な溶液重合法による脂肪族ポリケトンの製造方法及び脂肪族ポリケトンを提供する。この方法は、一酸化炭素、オレフィン化合物、及び触媒を含む溶媒系を連続フロー反応器に連続的に仕込んで溶液重合反応を行い、脂肪族ポリケトンを得る工程a)を含む。前記脂肪族ポリケトンは、粒子径が10μm~50μmであり、粒子径分布幅スパンが0.5~0.9であり、かさ密度が0.35g/mlを超える。従来技術に比べると、本発明で提供される方法では、助溶剤としてカルボン酸官能化されたイミダゾリウム塩を用い、連続・溶液重合反応溶媒としてオルトクロロフェノールとメタノール、メタクレゾールとメタノール、ヘキサフルオロイソプロパノールとメタノール、又はDMFとメタノールの混合溶媒を用い、反応に連続的な原料仕込み及び連続的な産物排出用の連続フロー反応器を採用することにより、従来のバッチ・スラリープロセスにおけるポリマー粒子の形態を調節するのが難しい、原料が壁にかかりやすい、単一反応釜の収率が低い、製品の再現性が悪いなどの難題が効率的に解決され、重合により、重量平均分子量>20万、分子量分布<2.0、かさ密度>0.35g/ml、粒子径が10μm~50μmであり、粒子径分布幅スパンが0.5~0.9である脂肪族ポリケトンが得られる。
【0050】
本発明をさらに説明するために、以下の実施例を通じて詳細に説明する。本発明の以下の実施例で使用される原料はすべて市販品である。CO、エチレン、プロピレンのターポリマーは、以下の方法で製造した。
実施例1
【0051】
メタノールとヘキサフルオロイソプロパノールの所定量の混合液(メタノールの体積:ヘキサフルオロイソプロパノールの体積=1:4)に、主触媒の濃度が0.02mmol/L、助触媒の濃度が0.08mmol/L、助溶剤の濃度が0.2mmol/Lになるように、主触媒として1,3-ビス[ビス(2-メトキシフェニル)ホスフィノ]プロパンと酢酸パラジウムとの有機金属錯体、助触媒としてトリフルオロ酢酸、及び助溶剤としてカルボン酸官能化されたイミダゾリウム塩を加えた。反応開始前、マイクロチャネル反応器に窒素置換し、置換完了後に反応器の加熱モジュールを100℃に昇温し、次いで反応器(反応器のフラックスが50mlである)に、流速5ml/minとして混合液、流速0.6g/minとしてプロピレン、供給速度30g/minとしてCOとエチレンとの質量比が1:1.1である混合ガスを連続的に仕込み、反応圧力6.5MPa~7.0MPaまでシステムを仕込み、保持時間を10minに制御し、システムの圧力が反応圧力よりも高くなった際に、反応液を気液分離装置に採取し、ガスを再利用し、溶媒をフラッシュして除去するように液体をフラッシュタンクに入れ、粒子が緻密かつ均一であるポリケトン粉末を得た。溶媒を回収して再利用した。得られたポリケトン粉末は、重量平均分子量が22万、分子量分布が1.8、かさ密度が0.37g/ml、粒子径が10μm~50μm、粒子径分布幅スパンが0.507であった。
【0052】
粉末の粒子径を表1に示す。粉末の走査型電子顕微鏡写真を図1に示す。
【表1】

比較例1
【0053】
10Lのオートクレーブに溶媒としてメタノール3.5L、主触媒(1,3-ビス[ビス(2-メトキシフェニル)ホスフィノ]プロパンと酢酸パラジウムとの有機金属錯体)48.58mg、助触媒としてトリフルオロ酢酸3.4mgを加えた。上記物質を加えた後、オートクレーブ内に窒素を通気して保圧し、窒素置換した後、プロピレン400gを通気し、COとCの質量比が1:1.1である混合ガス350gを通気し、設定温度95℃まで昇温し、温度が一定になった後、CO:C=1:1.1の混合ガスを連続的に通気し、反応圧力を3.5MPa~4.0MPaに維持しながら、攪拌速度400r/minとして、2時間反応させた。
【0054】
反応終了後、得られたポリケトン粉体製品をろ過し、メタノールで洗浄した後、真空80℃で3時間乾燥させ、ポリケトン粉末を得た。得られたポリケトン粉末は、重量平均分子量が19万、分子量分布が2.2、かさ密度が0.18g/ml、粒子径20μm~480μm、粒子径分布幅スパンが3.954であった。
【0055】
粉末の粒子径を表2に示す。粉末の走査型電子顕微鏡写真を図2に示す。
【表2】

比較例2
【0056】
10Lのオートクレーブに溶媒としてメタノール3.5L、主触媒(1,3-ビス[ビス(2-メトキシフェニル)ホスフィノ]プロパンと酢酸パラジウムとの有機金属錯体)48.58mg、助触媒としてトリフルオロ酢酸3.4mgを加えた。上記物質を加えた後、オートクレーブ内に窒素を通気して保圧し、窒素置換した後、プロピレン400gを通気し、COとCの質量比が1:1.1の混合ガス350gを通気し、設定温度100℃まで昇温し、温度が一定になった後、CO:C=1:1.05の混合ガスを連続的に通気し、反応圧力を3.5MPa~4.0MPaに維持しながら、攪拌速度400r/minとして、2.5時間反応させた。
【0057】
反応終了後、得られたポリケトン粉体製品をろ過し、メタノールで洗浄した後、真空80℃で3時間乾燥させ、ポリケトン粉末を得た。得られたポリケトン粉末は、重量平均分子量が17.9万、分子量分布が2.25、かさ密度が0.16g/ml、粒子径20μm~480μm、粒子径分布幅スパンが3.371であった。
【0058】
粉末の粒子径を表3に示す。
【表3】

実施例2
【0059】
メタノールとヘキサフルオロイソプロパノールの所定量の混合液(メタノールの体積:ヘキサフルオロイソプロパノールの体積=1:4)に、主触媒の濃度が0.02mmol/L、助触媒の濃度が0.08mmol/L、助溶剤の濃度が0.2mmol/Lになるように、主触媒として1,3-ビス[ビス(2-メトキシフェニル)ホスフィノ]プロパンと酢酸パラジウムとの有機金属錯体、助触媒としてトリフルオロ酢酸、及び助溶剤としてカルボン酸官能化されたイミダゾリウム塩を加えた。反応開始前、マイクロチャネル反応器に窒素を通気して置換し、置換完了後に反応器の加熱モジュールを110℃に昇温し、次いで反応器(反応器のフラックスが50mlである)に、流速5ml/minとして混合液、流速0.6g/minとしてプロピレン、供給速度30g/minとしてCOとエチレンとの質量比が1:1.1である混合ガスを連続的に仕込み、反応圧力6.5MPa~7.0MPaまでシステムを仕込み、保持時間を10minに制御し、システムの圧力が反応圧力よりも高くなった際に、反応液を気液分離装置に採取し、ガスを再利用し、溶媒をフラッシュして除去するように液体をフラッシュタンクに入れ、粒子が緻密かつ均一であるポリケトン粉末を得た。溶媒を回収して再利用した。得られたポリケトン粉末は、重量平均分子量が20.5万、分子量分布が1.75、かさ密度が0.38g/ml、粒子径10μm~50μm、粒子径分布幅スパンが約0.776であった。
【0060】
粉末の粒子径を表4に示す。
【表4】

実施例3
【0061】
メタノールとヘキサフルオロイソプロパノールの所定量の混合液(メタノールの体積:ヘキサフルオロイソプロパノールの体積=1:4)に、主触媒の濃度が0.02mmol/L、助触媒の濃度が0.08mmol/L、助溶剤の濃度が0.2mmol/Lになるように、主触媒として1,3-ビス[ビス(2-メトキシフェニル)ホスフィノ]プロパンと酢酸パラジウムとの有機金属錯体、助触媒としてトリフルオロ酢酸、及び助溶剤としてカルボン酸官能化されたイミダゾリウム塩を加えた。反応開始前、マイクロチャネル反応器に窒素を通気して置換し、置換完了後に反応器の加熱モジュールを100℃に昇温し、次いで反応器(反応器のフラックスが50mlである)に、流速10ml/minとして混合液、流速1.2g/minとしてプロピレン、供給速度60g/minとしてCOとエチレンとの質量比が1:1.1である混合ガスを連続的に仕込み、反応圧力6.5MPa~7.0MPaまでシステムを仕込み、保持時間を5minに制御し、システムの圧力が反応圧力よりも高くなった際に、反応液を気液分離装置に採取し、ガスを再利用し、溶媒をフラッシュして除去するように液体をフラッシュタンクに入れ、粒子が緻密かつ均一であるポリケトン粉末を得た。溶媒を回収して再利用した。得られたポリケトン粉末は、重量平均分子量が20.1万、分子量分布が1.95、かさ密度が0.35g/ml、粒子径10μm~50μm、粒子径分布幅スパンが約0.826であった。
【0062】
粉末の粒子径を表5に示す。
【表5】
【0063】
上記は本発明の好ましい実施形態にすぎず、なお、当業者にとって、本発明の原理から逸脱することなく、いくつかの改良や修飾を行う可能性もある。これらの改良及び修飾も本発明の保護範囲にあるものと見なされるべきであることに留意されたい。

本発明に関連して、以下の内容を更に開示する。
[1]
一酸化炭素とオレフィン化合物とを触媒を含む溶媒系で連続的に溶液重合させることにより得られた脂肪族ポリケトンであって、
前記脂肪族ポリケトンは、粒子径が10μm~50μmであり、粒子径分布幅スパンが0.5~0.9であり、かさ密度が0.35g/mlを超える、連続的な溶液重合法により製造される脂肪族ポリケトン。
[2]
前記脂肪族ポリケトンが、重量平均分子量が20万を超え、分子量分布が2.0未満である、ことを特徴とする[1]に記載の連続的な溶液重合法により製造される脂肪族ポリケトン。
[3]
前記触媒を含む溶媒系が、触媒と、助触媒と、助溶剤とを含む混合溶媒である、ことを特徴とする[1]に記載の連続的な溶液重合法により製造される脂肪族ポリケトン。
[4]
前記触媒が、二価パラジウム塩と二座ホスフィン配位子との有機金属錯体であり、
前記二価パラジウム塩が、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、スルホン酸パラジウム及び酢酸パラジウムのうちの一つまたは複数であり、
前記二座ホスフィン配位子が、下記の式(I):
【化I】

(式(I)中、R 、R 、R 及びR は独立してフェニル基又は置換フェニル基から選択され、R は少なくとも3個の炭素原子を含むアルキレン基である。)で表される構造を有する、ことを特徴とする[1]に記載の連続的な溶液重合法により製造される脂肪族ポリケトン。
[5]
前記助触媒が、硫酸、ベンゼンスルホン酸、過塩素酸、トリクロロ酢酸、及びトリフルオロ酢酸から選択される一つまたは複数である、ことを特徴とする[3]に記載の連続的な溶液重合法により製造される脂肪族ポリケトン。
[6]
前記助溶剤が、下記の式(II):
【化II】

(式(II)中、-NM はイミダゾール系置換基であり、Xはトリフルオロ酢酸イオン、トトリフルオロメタンスルホン酸イオン、又はヘキサフルオロりん酸イオンである。)で表される構造を有するカルボン酸官能化されたイミダゾリウム塩である、ことを特徴とする[3]に記載の連続的な溶液重合法により製造される脂肪族ポリケトン。
[7]
前記混合溶媒が、オルトクロロフェノールとメタノールとの混合溶媒、メタクレゾールとメタノールとの混合溶媒、ヘキサフルオロイソプロパノールとメタノールとの混合溶媒、又はDMFとメタノールとの混合溶媒である、ことを特徴とする[3]に記載の連続的な溶液重合法により製造される脂肪族ポリケトン。
[8]
連続的な溶液重合法による[1]~[7]のいずれかに記載の脂肪族ポリケトンの製造方法であって、
一酸化炭素、オレフィン化合物、及び触媒を含む溶媒系を連続フロー反応器に連続的に仕込んで溶液重合反応を行い、脂肪族ポリケトンを得る工程a)を含む、方法。
[9]
工程a)における前記溶液重合反応の温度が100℃~110℃、圧力が6.5MPa~7MPaであり、
前記溶液重合反応の保持時間がモノマー及び溶媒の供給速度を制御することにより制御され、
前記溶液重合反応には、マイクロチャネル反応器を採用し、モノマーを連続的に仕込み、未反応のモノマーを分離して再利用し、製品を連続的に排出する、ことを特徴とする[8]に記載の方法。
[10]
前記工程a)が、重合反応により得られた反応液を気液分離し、ガスを再利用し、液体から溶媒を除去してポリケトン粉末を得ることをさらに含み、
前記溶媒を除去する方法がフラッシュであり、回収された溶媒が混合溶媒としてリサイクル可能である、ことを特徴とする[8]又は[9]に記載の方法。
図1
図2