(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】温度制御システム
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20241204BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20241204BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20241204BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20241204BHJP
H01M 10/663 20140101ALI20241204BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20241204BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20241204BHJP
【FI】
B60H1/22 651A
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/663
H01M10/6568
H01M10/615
(21)【出願番号】P 2023536780
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 JP2022028228
(87)【国際公開番号】W WO2023003020
(87)【国際公開日】2023-01-26
【審査請求日】2023-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2021120536
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】マレリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 智弘
(72)【発明者】
【氏名】川俣 達
(72)【発明者】
【氏名】廣野 幸治
【審査官】佐藤 正浩
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/22
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/6556
H01M 10/663
H01M 10/6568
H01M 10/615
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の温度制御システムであって、
冷媒が循環する冷凍サイクル回路と、
冷却水が循環する冷却水回路と、
を備え、
前記冷凍サイクル回路は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機にて圧縮された冷媒の熱を用いて空調に用いられる空気を加熱する放熱器と、冷媒と前記冷却水回路内の冷却水との間で熱交換を行う第1熱交換器と、を有し、
前記冷却水回路は、
前記第1熱交換器と、蓄電池と熱交換を行う蓄電池熱交換器と、冷却水を吸入吐出する第1ポンプと、を有し、冷却水が循環する第1冷却水回路と、
冷却水と外気との間で熱交換を行う外部熱交換器と、前記車両を駆動する駆動系部品と熱交換を行う駆動系熱交換器と、冷却水を吸入吐出する第2ポンプと、を有し、冷却水が循環する第2冷却水回路と、
前記第1冷却水回路を循環する冷却水と前記第2冷却水回路を循環する冷却水との熱的な連結と分離とを切り換える第1熱連結器と、
冷却水の流れを遮断可能な開閉弁を有し、前記外部熱交換器の上流と下流とに接続されて前記第1冷却水回路と並列に設けられるバイパス回路と、
を備える、
温度制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の温度制御システムであって、
前記外部熱交換器にて放熱した冷却水が分岐し、前記第1冷却水回路の前記蓄電池熱交換器と前記第2冷却水回路の前記駆動系熱交換器とに流入する、
温度制御システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の温度制御システムであって、
前記冷却水回路では、前記駆動系熱交換器と、前記蓄電池熱交換器と、前記第1熱交換器と、の順に冷却水が循環可能である、
温度制御システム。
【請求項4】
請求項1に記載の温度制御システムであって、
前記第1冷却水回路は、
前記第1熱交換器を有し、冷却水が循環する第3冷却水回路と、
前記第1ポンプと、前記蓄電池熱交換器と、を有し、冷却水が循環する第4冷却水回路と、
前記第3冷却水回路を循環する冷却水と前記第4冷却水回路を循環する冷却水との熱的な連結と分離とを切り換える第2熱連結器と、
前記第4冷却水回路を循環する冷却水と前記バイパス回路を循環する冷却水との熱的な連結と分離とを切り換える第3熱連結器と、
を有し、
前記第1熱連結器は、前記第2冷却水回路と前記第3冷却水回路との連結と分離とを切り換え可能であり、
前記外部熱交換器にて放熱した冷却水が分岐し、前記第2冷却水回路の前記駆動系熱交換器と前記第4冷却水回路の前記蓄電池熱交換器とに流入する、
温度制御システム。
【請求項5】
請求項1又は4に記載の温度制御システムであって、
前記第1冷却水回路は、
前記第1熱交換器を有し、冷却水が循環する第3冷却水回路と、
前記第1ポンプと、前記蓄電池熱交換器と、を有し、冷却水が循環する第4冷却水回路と、
前記第3冷却水回路を循環する冷却水と前記第4冷却水回路を循環する冷却水との熱的な連結と分離とを切り換える第2熱連結器と、
前記第4冷却水回路を循環する冷却水と前記バイパス回路を循環する冷却水との熱的な連結と分離とを切り換える第3熱連結器と、
を有し、
前記第1熱連結器が前記第2冷却水回路と前記第3冷却水回路とを連結させ、前記第2熱連結器が前記第3冷却水回路と前記第4冷却水回路とを連結させ、前記第3熱連結器が前記第4冷却水回路と前記バイパス回路とを分離させることで、前記駆動系熱交換器と前記蓄電池熱交換器と前記第1熱交換器との順に冷却水が循環可能である、
温度制御システム。
【請求項6】
請求項4に記載の温度制御システムであって、
前記第3熱連結器と前記開閉弁とが、前記バイパス回路の流路において直列に配置されている、
温度制御システム。
【請求項7】
請求項6に記載の温度制御システムであって、
前記第3熱連結器、前記開閉弁、及び前記第3熱連結器と前記開閉弁とを接続する流路が、一体バルブのハウジング内に設けられる、
温度制御システム。
【請求項8】
請求項5に記載の温度制御システムであって、
前記第1熱連結器と前記第2熱連結器とが、前記第3冷却水回路の流路において直列に配置されている、
温度制御システム。
【請求項9】
請求項8に記載の温度制御システムであって、
前記第1熱連結器、前記第2熱連結器、及び前記第1熱連結器と前記第2熱連結器とを接続する流路が、一体バルブのハウジング内に設けられる、
温度制御システム。
【請求項10】
請求項1に記載の温度制御システムであって、
前記第1冷却水回路は、
前記第1熱交換器を有し、冷却水が循環する第3冷却水回路と、
前記第1ポンプと、前記蓄電池熱交換器と、を有し、冷却水が循環する第4冷却水回路と、
前記第3冷却水回路を循環する冷却水と前記第4冷却水回路を循環する冷却水との熱的な連結と分離とを切り換える第2熱連結器と、
前記第4冷却水回路を循環する冷却水と前記バイパス回路を循環する冷却水との熱的な連結と分離とを切り換える第3熱連結器と、
を有し、
前記第1熱連結器は、前記第2冷却水回路と前記第3冷却水回路との連結と分離とを切り換え可能であり、
前記バイパス回路は、
前記第2冷却水回路における前記外部熱交換器への冷却水の流れをバイパスするバイパス流れ状態と、
前記蓄電池熱交換器と前記駆動系熱交換器とを並列に接続する並列接続流れ状態と、
を切り換え可能である、
温度制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の温度制御システムに関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明は、冷凍サイクル回路と冷却水回路とを組み合わせて、簡素な構成で、冷暖房、蓄電池温度コントロール、及び廃熱利用の多様な制御を実行可能な温度制御システムを提供することを目的とする。
【0003】
本発明のある態様によれば、車両の温度制御システムは、冷媒が循環する冷凍サイクル回路と、冷却水が循環する冷却水回路と、を備え、前記冷凍サイクル回路は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機にて圧縮された冷媒の熱を用いて空調に用いられる空気を加熱する放熱器と、冷媒と前記冷却水回路内の冷却水との間で熱交換を行う第1熱交換器と、を有し、前記冷却水回路は、前記第1熱交換器と、蓄電池と熱交換を行う蓄電池熱交換器と、冷却水を吸入吐出する第1ポンプと、を有し、冷却水が循環する第1冷却水回路と、冷却水と外気との間で熱交換を行う外部熱交換器と、前記車両を駆動する駆動系部品と熱交換を行う駆動系熱交換器と、冷却水を吸入吐出する第2ポンプと、を有し、冷却水が循環する第2冷却水回路と、前記第1冷却水回路を循環する冷却水と前記第2冷却水回路を循環する冷却水との熱的な連結と分離とを切り換える第1熱連結器と、冷却水の流れを遮断可能な開閉弁を有し、前記外部熱交換器の上流と下流とに接続されて前記第1冷却水回路と並列に設けられるバイパス回路と、を備える。
【0004】
上記態様によれば、冷凍サイクル回路と冷却水回路とを組み合わせて、簡素な構成で、冷暖房、蓄電池温度コントロール、及び廃熱利用の多様な制御を実行可能な温度制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る温度制御システムの構成図である。
【
図2】
図2は、温度制御システムの制御ブロック図である。
【
図3】
図3は、バルブ切換による冷却水回路の運転モードの切り換えについて説明する図である。
【
図4】
図4は、冷却水回路の各運転モードについて説明する図である。
【
図5】
図5は、冷却水回路及び冷凍サイクル回路の運転モード切換制御について説明するメインフローチャートである。
【
図6】
図6は、急速充電時における蓄電池温度と蓄電池の状態とについて説明する図である。
【
図7】
図7は、急速充電時における外気温度と蓄電池の状態とについて説明する図である。
【
図8】
図8は、通常走行モードにおける冷却水回路及び冷凍サイクル回路の運転モード切換制御について説明するフローチャートである。
【
図9】
図9は、蓄電池加温モードにおける冷却水回路及び冷凍サイクル回路の運転モード切換制御について説明するフローチャートである。
【
図10】
図10は、高電圧温水ヒータの切り換えについて説明する図である。
【
図11】
図11は、外気温度と蓄電池温度とによる冷却水回路の切り換えについて説明する遷移図である。
【
図12】
図12は、外気温と蓄電池温度とによる冷凍サイクル回路の切り換えについて説明する遷移図である。
【
図13】
図13は、外気温度に対する温度制御システムの運転モードの切り換えについて説明する図である。
【
図14】
図14は、温度制御システムの各運転モードについて説明する図である。
【
図15】
図15は、外気温度に対する冷凍サイクル回路H/Pの機器の動作について説明する図である。
【
図16】
図16は、空調装置の各運転モードによる冷凍サイクル回路H/Pの機器の動作について説明する図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施形態の変形例に係る冷却水回路の構成図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施形態の変形例に係る冷却水回路が備える一体バルブの構成図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施形態の変形例に係る冷却水回路の各運転モードについて説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る温度制御システム100について説明する。
【0007】
まず、
図1を参照して、温度制御システム100の全体構成について説明する。
図1は、温度制御システム100の構成図である。
【0008】
温度制御システム100は、車両に搭載されるシステムであって、車室内の空調を行うと共に、蓄電池Batt.の温度を調整するものである。温度制御システム100は、空調装置110と、冷却水が循環する冷却水回路20と、を備える。
【0009】
空調装置110は、空調に利用される空気が通過するHVAC(Heating Ventilation and Air Conditioning)ユニットと、冷媒が循環する冷凍サイクル回路H/Pと、コントローラと、を有する。
【0010】
HVACユニットは、空調に利用する空気を冷却又は加熱する。HVACユニットは、ブロワと、エアミックスドアと、これらを空調に利用する空気が通過可能となるように囲うケースと、を備える。HVACユニット内には、冷凍サイクル回路H/PのエバポレータEVAとヒータコアI/CONDとが配置される。ブロワから送風された空気は、エバポレータEVA内を流れる冷媒との間、及びヒータコアI/COND内を流れる冷媒との間で熱交換を行う。
【0011】
冷凍サイクル回路H/Pは、圧縮機としての電動コンプレッサEDCと、放熱器としてのヒータコアI/CONDと、室外熱交換器CONDと、気液分離器Acummと、蒸発器としてのエバポレータEVAと、第1熱交換器としての冷却水-冷媒熱交換器Chillerと、電動膨張弁EXV(eva)と、電動膨張弁EXV(Chiller)と、シャット弁S/V(COND)と、シャット弁S/V(Chiller)と、逆止弁C/V(high)と、逆止弁C/V(Low)と、を有する。
【0012】
冷却水回路20は、第1冷却水回路21と、第2冷却水回路22と、バイパス回路25と、第1熱連結器4way_valve#1と、第2熱連結器4way_valve#2と、第3熱連結器4way_valve#3と、を有する。第1冷却水回路21は、第3冷却水回路23と、第4冷却水回路24と、第2熱連結器4way_valve#2と、を有する。
【0013】
第1冷却水回路21は、冷却水-冷媒熱交換器Chillerと、第1ポンプW/P(Batt.)と、冷却水加熱器としての高電圧温水ヒータHVWHと、蓄電池Batt.と熱交換を行う蓄電池熱交換器と、第2熱連結器4way_valve#2と、を有する。第1冷却水回路21は、第1熱連結器4way_valve#1によって、第2冷却水回路22との熱的な連結と分離とを切り換え可能である。第1冷却水回路21は、第3熱連結器4way_valve#3によって、バイパス回路25との熱的な連結と分離とを切り換え可能である。
【0014】
第2冷却水回路22は、冷却水と外気との間で熱交換を行う外部熱交換器LT-RADと、デガスタンクD/Tと、複数の第2ポンプW/P(e-PT)と、一対の駆動系部品e-PTの各々と熱交換を行う一対の駆動系熱交換器と、を有する。第2冷却水回路22は、第1熱連結器4way_valve#1によって、第1冷却水回路21との熱的な連結と分離とを切り換え可能である。
【0015】
第3冷却水回路23は、冷却水-冷媒熱交換器Chillerを有する。第3冷却水回路23は、第1熱連結器4way_valve#1によって、第2冷却水回路22との熱的な連結と分離とを切り換え可能である。第3冷却水回路23は、第2熱連結器4way_valve#2によって、第4冷却水回路24との熱的な連結と分離とを切り換え可能である。
【0016】
第4冷却水回路24は、第1ポンプW/P(Batt.)と、高電圧温水ヒータHVWHと、蓄電池Batt.と熱交換を行う蓄電池熱交換器と、を有する。第4冷却水回路24は、第2熱連結器4way_valve#2によって、第3冷却水回路23との熱的な連結と分離とを切り換え可能である。第4冷却水回路24は、第3熱連結器4way_valve#3によって、バイパス回路25との熱的な連結と分離とを切り換え可能である。
【0017】
バイパス回路25は、冷却水の流れを遮断可能な開閉弁S/Vを有し、外部熱交換器LT-RADの上流と下流とに接続されて第1冷却水回路21と並列に設けられる。バイパス回路25は、第3熱連結器4way_valve#3によって、第4冷却水回路24(第1冷却水回路21)との熱的な連結と分離とを切り換え可能である。
【0018】
次に、
図2を参照して、温度制御システム100の制御について説明する。
図2は、温度制御システム100の制御ブロック図である。
【0019】
温度制御システム100は、HVAC制御部HVAC_AMPと、冷凍サイクル制御部H/P_AMPと、冷却水制御部Thermal_System_AMPと、を有する。
【0020】
HVAC制御部HVAC_AMPには、使用者が選択した車室内目標温度PTCと、HVAC風量Fan_speedと、外気/内気モードIntakeと、が入力される。また、HVAC制御部HVAC_AMPには、日射センサSunと、車室内温度Incarと、車室内湿度Humidと、EVA吹き出し空気温度Tintと、外気温度ambと、が入力される。HVAC制御部HVAC_AMPは、目標吹き出し温度Toと、風量air_floと、空調運転モードA/Cmodeと、外気/内気モードintakeと、を制御する。具体的には、HVAC制御部HVAC_AMPは、HVAC吹き出し位置切換ドアMode_doorと、吹き出し空気混合ドアMIX_doorと、外気/内気循環切換ドアINT_doorと、送風ブロワファンBlowerと、の動作を制御する。
【0021】
冷凍サイクル制御部H/P_AMPには、外気温度ambと、H/P冷媒温度Ref._Temp.と、H/P冷媒圧力Ref._pressureと、が入力される。また、冷凍サイクル制御部H/P_AMPには、HVAC制御部HVAC_AMPから目標吹き出し温度Toと、風量air_floと、空調運転モードA/Cmodeと、外気/内気モードintakeと、が入力される。冷凍サイクル制御部H/P_AMPは、冷凍サイクルの運転モードH/P_modeを制御する。具体的には、冷凍サイクル制御部H/P_AMPは、電動膨張弁EXVと、電動コンプレッサEDCと、電磁弁S/Vと、の動作を制御する。
【0022】
冷却水制御部Thermal_System_AMPには、外気温度ambと、e-PT冷却水温度e-PT_Temp_LLC.と、蓄電池冷却水温度Batt._Temp_LLC.と、が入力される。また、冷却水制御部Thermal_System_AMPには、車両情報から、e-PT温度e-PT_Temp.と、蓄電池温度Batt._Temp.と、車速Speedと、蓄電池の充電状態SOCと、が入力される。冷却水制御部Thermal_System_AMPは、切換バルブ位置Valve_modeと、冷却水流量LLC_flowと、冷却要求Cooling_requestと、を制御する。具体的には、冷却水制御部Thermal_System_AMPは、高電圧温水ヒータHVWHと、冷却水ポンプW/pumpと、冷却水切換バルブmulti_function_valveと、RAD冷却用ファンCooling_fanと、の動作を制御する。
【0023】
次に、
図3及び
図4を参照して、冷却水回路20における運転モードの切り換えについて説明する。
図3は、バルブ切換による冷却水回路20の運転モードの切り換えについて説明する図である。
図4は、冷却水回路20の各運転モードについて説明する図である。
【0024】
図3に示すように、温度制御システム100は、#1から#5の5つの冷却水運転モードに切り換え可能であり、冷凍サイクルの冷凍サイクル運転モードとの組み合わせにより、11の運転モード(H/P冷媒回収モードを含む)を有する。
【0025】
図4に示すように、冷却水回路20は、第1運転モードValve_patarn#1と、第2運転モードValve_patarn#2と、第3運転モードValve_patarn#3と、第4運転モードValve_patarn#4と、第5運転モードValve_patarn#5と、を有する。
図3に示すように、各運転モードは、第1熱連結器4way_valve#1と、第2熱連結器4way_valve#2と、第3熱連結器4way_valve#3と、開閉弁S/Vと、によって切り換えられる。
【0026】
図3に示すように、第1運転モードValve_patarn#1では、第1熱連結器4way_valve#1は連結状態S(Series)であり、第2熱連結器4way_valve#2は連結状態S(Series)であり、第3熱連結器4way_valve#3は分離状態P(Pararrel)であり、開閉弁S/Vは開状態O(Open)である。
図4に示すように、第1運転モードValve_patarn#1では、冷凍サイクル回路H/Pは暖房運転を行い、駆動系熱交換器は駆動系部品e-PTから熱回収を行い、蓄電池熱交換器は蓄電池Batt.から熱回収を行う。
【0027】
図3に示すように、第2運転モードValve_patarn#2では、第1熱連結器4way_valve#1は連結状態S(Series)であり、第2熱連結器4way_valve#2は分離状態P(Pararrel)であり、第3熱連結器4way_valve#3は分離状態P(Pararrel)であり、開閉弁S/Vは閉状態C(Close)である。
図4に示すように、第2運転モードValve_patarn#2では、冷凍サイクル回路H/Pは暖房運転又は除湿暖房運転を行い、駆動系熱交換器は駆動系部品e-PTからの熱回収又は外部熱交換器LT-RADによる放熱を行い、蓄電池熱交換器は冷却水を循環させるか又は加温を行う。
【0028】
図3に示すように、第3運転モードValve_patarn#3では、第1熱連結器4way_valve#1は連結状態S(Series)であり、第2熱連結器4way_valve#2は分離状態P(Pararrel)であり、第3熱連結器4way_valve#3は連結状態S(Series)であり、開閉弁S/Vは開状態O(Open)である。
図4に示すように、第3運転モードValve_patarn#3では、冷凍サイクル回路H/Pは暖房運転又は除湿暖房運転を行い、駆動系熱交換器は駆動系部品e-PTからの熱回収又は外部熱交換器LT-RADによる放熱を行い、蓄電池熱交換器は外部熱交換器LT-RADによる放熱を行う。
【0029】
図3に示すように、第4運転モードValve_patarn#4では、第1熱連結器4way_valve#1は分離状態P(Pararrel)であり、第2熱連結器4way_valve#2は連結状態S(Series)であり、第3熱連結器4way_valve#3は連結状態S(Series)であり、開閉弁S/Vは開状態O(Open)である。
図4に示すように、第4運転モードValve_patarn#4では、冷凍サイクル回路H/Pは除湿運転(冷房運転)を行い、駆動系熱交換器は外部熱交換器LT-RADによる放熱を行い、蓄電池熱交換器は外部熱交換器LT-RADによる放熱を行う。
【0030】
図3に示すように、第5運転モードValve_patarn#5では、第1熱連結器4way_valve#1は分離状態P(Pararrel)であり、第2熱連結器4way_valve#2は連結状態S(Series)であり、第3熱連結器4way_valve#3は分離状態P(Pararrel)であり、開閉弁S/Vは閉状態C(Close)である。
図4に示すように、第5運転モードValve_patarn#5では、冷凍サイクル回路H/Pは冷房運転を行い、駆動系熱交換器は外部熱交換器LT-RADによる放熱を行い、蓄電池熱交換器は冷却水-冷媒熱交換器Chillerによる放熱又は蓄電池Batt.の保温を行う。
【0031】
なお、
図4では、デガスタンクD/Tは、第2冷却水回路22のみに設けられるが、これに代えて、冷却水の流れが閉サイクルになるループに追加してもよい。また、デガスタンクD/Tを第1冷却水回路21とバイパス回路25との分岐部に設けてもよい。
【0032】
次に、
図5から
図10を参照して、コントローラによる冷却水回路20と冷凍サイクル回路H/Pとの運転モードの切り換えについて説明する。
図5は、冷却水回路20及び冷凍サイクル回路H/Pの運転モード切換制御について説明するメインフローチャートである。
図6は、急速充電時(QC)における蓄電池温度(Batt._cell_Temp)と蓄電池の状態(Battery_status)とについて説明する図である。
図7は、急速充電時(QC)における外気温度と蓄電池の状態(Battery_status)とについて説明する図である。
図8は、通常走行モードにおける冷却水回路20及び冷凍サイクル回路H/Pの運転モード切換制御について説明するフローチャートである。
図9は、蓄電池加温モードにおける冷却水回路20及び冷凍サイクル回路H/Pの運転モード切換制御について説明するフローチャートである。
図10は、高電圧温水ヒータHVWHの切り換えについて説明する図である。
【0033】
図5に示すように、コントローラは、イグニッションONであるか否か(IGN_on?)を判定し、急速充電QCであるか否か(QC?)を判定する。イグニッションONであり急速充電QCではない場合には、通常走行モード(Normal_mode)であるので、
図8のフローへ移行する。イグニッションOFFであり急速充電QCではない場合には、蓄電池加温モード(Batt._warm_mode)であるので、
図9のフローへ移行する。
【0034】
図5のメインフローでは、コントローラは、急速充電QC時に、外気温度(Anb.Temp_status)が中間温度未満であるか、中間温度以上であるか若しくは高温であるかを判定する。更に、コントローラは、蓄電池Batt.の温度が低温か、適温か、又は高温かによって、冷却水回路20の運転モード(Valve_Patarn)と冷凍サイクル回路H/Pの運転モード(H/P_mode)とを切り換える。なお、各運転モードの切り換えは、
図6及び
図7に示すように実行される。
【0035】
図8に示すように、通常走行モード(Normal_mode)では、コントローラは、車室内の空調要求があるか否かを判定する。その後は、
図5のメインフローと同様に、外気温度(Anb.Temp_status)及び蓄電池Batt.の温度とに基づき、冷却水回路20の運転モード(Valve_Patarn)と冷凍サイクル回路H/Pの運転モード(H/P_mode)とを切り換える。
【0036】
車室内の空調要求があり、外気温度が極低温である場合には、第1運転モード(Valve_Patarn#1)に冷却水回路20を切り換える。これにより、廃熱と高電圧温水ヒータHVWHとの熱を利用して車室内暖房が実行されて、高電圧温水ヒータHVWHの出力により空調と蓄電池Batt.の温度とが適温に維持される。
【0037】
外気温度が低く、蓄電池Batt.の温度が適温よりも低い場合には、蓄電池Batt.を加温できる第3運転モード(Valve_Patarn#3)に冷却水回路20を切り換える。これにより、高電圧温水ヒータHVWHの出力によって蓄電池Batt.の温度が適温に維持され、車室内暖房は、駆動系部品e-PTの廃熱と外部熱交換器LT-RADからの吸熱により実行される。
【0038】
外気温度が低く、蓄電池Batt.の温度が高温の場合には、冷凍サイクル回路H/Pの冷却水-冷媒熱交換器Chillerから吸熱する第5運転モード(Valve_Patarn#5)に冷却水回路20を切り換える。これにより、冷凍サイクル回路H/Pは、蓄電池Batt.の廃熱を利用した暖房運転を行う。
【0039】
外気温度が常温以上である場合には、蓄電池Batt.の温度に関わらず、第5運転モード(Valve_Patarn#5)に冷却水回路20を切り換える。これにより、冷凍サイクル回路H/Pは冷房運転を行う、冷却水-冷媒熱交換器Chillerへの冷媒循環のオン/オフによって蓄電池Batt.の冷却を行う。
【0040】
車室内の空調要求がない場合で、外気温度が低温である場合には、空調要求がある場合と同じモードに冷却水回路20を切り換える。また、車室内の空調要求がない場合で、外気温度が常温以上である場合には、冷凍サイクル回路H/Pが冷却水-冷媒熱交換器Chillerのみに冷媒を循環させる運転モードに切り換えられる。
【0041】
図9に示すように、蓄電池加温モード(Batt._warm_mode)では、コントローラは、
図5のメインフローと同様に、外気温度(Anb.Temp_status)及び蓄電池Batt.の温度とに基づき、冷却水回路20の運転モード(Valve_Patarn)と冷凍サイクル回路H/Pの運転モード(H/P_mode)とを切り換える。また、蓄電池加温モード(Batt._warm_mode)では、蓄電池Batt.の温度が低温である場合には、高電圧温水ヒータHVWHがオンになり、蓄電池Batt.の温度が適温以上である場合には、高電圧温水ヒータHVWHがオフになる。なお、高電圧温水ヒータHVWHのオン/オフの切り換えは、
図10に示すように実行される。
【0042】
蓄電池加温モード(Batt._warm_mode)には、車両が停止状態で、蓄電池Batt.の温度が低温になった場合に切り換えられる。具体的には、車両が停止状態で、蓄電池Batt.の温度が低温の場合には、第2運転モード(Valve_Patarn#2)に冷却水回路20を切り換え、冷凍サイクル回路H/Pの運転を停止させ、高電圧温水ヒータHVWHのオン/オフの切り換えによって蓄電池Batt.の温度を適温に維持する。
【0043】
次に、
図11及び
図12を参照して、運転モードの遷移について説明する。
図11は、外気温度と蓄電池温度とによる冷却水回路20の切り換えについて説明する遷移図である。
図12は、外気温と蓄電池温度とによる冷凍サイクル回路H/Pの切り換えについて説明する遷移図である。
【0044】
図11に示すように、冷却水回路20の運転モードは、外気温度と蓄電池温度Batt.Tempとに基づき切り換えられる。具体的には、外気温度は、低温と中間温度と高温とに区分けされ、蓄電池温度Batt.Tempは、低温と適温と高温と異常温度とに区分けされる。
【0045】
外気温度が低温である場合には、冷凍サイクル回路H/Pは熱回収暖房運転を行い、蓄電池Batt.は、外部熱交換器LT-RADによる放熱又は廃熱の熱回収が行われ、駆動系部品e-PTは廃熱の熱回収が行われ、高電圧温水ヒータHVWHは作動状態にされる。
【0046】
このとき、蓄電池温度Batt.Tempが低温の領域では、第5運転モードValve_patarn#5による運転が行われ(#5_Batt._warming)、蓄電池温度Batt.Tempが更に高い低温と適温とにまたがる領域では、第1運転モードValve_patarn#1による運転が行われ(#1_Recover)、蓄電池温度Batt.Tempが更に高い適温の領域では、第4運転モードValve_Patarn#4による運転が行われ(#4_QC(Quick Charge:急速充電)_Batt._cooling)、蓄電池温度Batt.Tempが更に高い適温と高温とにまたがる領域では、第3運転モードValve_Patarn#3による運転が行われる(#3_Recover(e-PT)+Batt_cooling(Rad))。
【0047】
外気温度が中間温度(一部、低温から中間温度にまたがる領域)である場合には、冷凍サイクル回路H/Pは室外熱交換器CONDにて吸熱する暖房運転(除湿暖房)を行い、蓄電池Batt.は、外部熱交換器LT-RADによる放熱又は廃熱の熱回収が行われ、駆動系部品e-PTは外部熱交換器LT-RADによる放熱が行われ、高電圧温水ヒータHVWHは非作動状態にされる。
【0048】
このとき、蓄電池温度Batt.Tempが低温から高温にまたがる領域では、第2運転モードValve_Patarn#2による運転が行われる(#2_Recover(e-PT)+Batt_absorb)。
【0049】
外気温度が高温(蓄電池温度Batt.が適温である場合には、一部、中間温度から高温にまたがる領域、蓄電池温度Batt.が高温である場合には、一部、低温から高温にまたがる全領域)である場合には、冷凍サイクル回路H/Pは室外熱交換器CONDにて放熱する冷房運転を行い、蓄電池Batt.は、比較的低温である場合には外部熱交換器LT-RAD又は冷却水-冷媒熱交換器Chillerによる放熱、比較的高温である場合には冷却水-冷媒熱交換器Chillerによる放熱が行われ、駆動系部品e-PTは外部熱交換器LT-RADによる放熱が行われ、高電圧温水ヒータHVWHは非作動状態にされる。
【0050】
このとき、蓄電池温度Batt.Tempが低温から高温にまたがるすべての領域では、第5運転モードValve_Patarn#5による運転が行われる(#5_e-PT_cooling(Rad)+Batt._cooling(Chiller))。
【0051】
図12に示すように、冷凍サイクル回路H/Pの運転モードは、外気温度と蓄電池温度Batt.Tempとに基づき切り換えられる。具体的には、外気温度は、低温と中間温度と高温とに区分けされ、蓄電池温度Batt.Tempは、低温と適温と高温と異常温度とに区分けされる。
【0052】
第1運転モード(#1_Ref.Recover)は、暖房運転開始時に室外熱交換器COND内に溜まっている冷媒を回収する運転モードである。第2運転モード(#2_Recover_H/P)は、冷却水-冷媒熱交換器Chillerを介して、駆動系部品e-PTの廃熱、蓄電池Batt.の廃熱、及び高電圧温水ヒータHVWHから吸熱して暖房運転を行うモードである。第3運転モード(#3_Recover+Rad_absorb_Dry_heat)は、冷却水-冷媒熱交換器Chiller及び冷却水回路20を介して外部熱交換器LT-RADで吸熱し除湿暖房運転を行うモードである。第4運転モード(#4_Cabin_cooling(w/o_Chiller))は、冷却水-冷媒熱交換器Chillerには冷媒が循環しない通常の冷房運転のモードである。第5運転モード(#5_Cabin_cooling+Chiller_cooling)は、車室内の冷房運転と蓄電池Batt.を冷却するために冷却水-冷媒熱交換器Chillerにも冷媒を循環させる運転とを同時に行うモードである。第6運転モード(#6_Chiller_cooling(w/o_cabin))は、エバポレータEVAには冷媒を循環させず、蓄電池Batt.の冷却のために冷却水-冷媒熱交換器Chillerのみに冷媒を循環させる運転を行うモードである。第7運転モード(System_OFF)は、冷凍サイクル回路H/Pの運転を停止させるモードである。
【0053】
外気温度が低温である場合には、蓄電池温度Batt.Tempが低温から高温にまたがる領域では、第2運転モードによる運転が行われ(#2_Recover_H/P)、蓄電池温度Batt.Tempが更に高い高温の領域では、第6運転モードによる運転が行われる(#6_Chiller_cooling(w/o_cabin))。また、起動時のみ、蓄電池温度Batt.Tempが低温から適温にまたがる領域では、第1運転モードによる運転が行われる(#1_Ref.Recover)。
【0054】
外気温度が中間温度(一部、低温から中間温度にまたがる領域)である場合には、蓄電池温度Batt.Tempが低温から高温にまたがる領域では、第2運転モードと第3運転モードとを交互に切り換える運転が行われ(#3_Recover+Rad_absorb_Dry_heat)、蓄電池温度Batt.Tempが更に高い高温の領域では、第6運転モードによる運転が行われる(#6_Chiller_cooling(w/o_cabin))。
【0055】
外気温度が高温(蓄電池温度Batt.が適温である場合には、一部、中間温度から高温にまたがる領域、蓄電池温度Batt.が高温である場合には、一部、低温から高温にまたがる全領域)である場合には、蓄電池温度Batt.Tempが低温から適温にまたがる領域では、第4運転モードによる運転が行われ(#4_Cabin_cooling(w/o_Chiller))、蓄電池温度Batt.Tempが適温の領域では、第6運転モードによる運転が行われ(#6_Chiller_cooling(w/o_cabin))、蓄電池温度Batt.Tempが高温の領域では、第5運転モードによる運転が行われる(#5_Cabin_cooling+Chiller_cooling)。
【0056】
次に、
図13及び
図14を参照して、温度制御システム100の運転モードについて説明する。
図13は、外気温度に対する温度制御システム100の運転モードの切り換えについて説明する図である。
図14は、温度制御システム100の各運転モードについて説明する図である。
【0057】
図13に示すように、第1運転モードNo.1(Recover(e-PT,HVWH))には、外気温度が低温の領域で切り換えられる。第2運転モードNo.2(Recover(e-PT)+RAD_absorb)には、外気温度が低温から中間温度にまたがる領域で切り換えられる。第3運転モードNo.3(Rad_absorb+Batt.cool)には、外気温度が低温から中間温度にまたがる領域で切り換えられる。第4運転モードNo.4(Batt.cool(rad))には、外気温度が中間温度から高温にまたがる領域で切り換えられる。第5運転モードNo.5(Batt.cool(Ref.))には、外気温度が高温の領域で切り換えられる。第6運転モードNo.6(Batt._warming)には、外気温度が低温の領域で切り換えられる。第7運転モードNo.7(QC(RAD_COOL))には、外気温度が低温から中間温度にまたがる領域で切り換えられる。第8運転モードNo.8(QC(Cabin_warming))には、外気温度が低温から中間温度にまたがる領域で切り換えられる。第9運転モードNo.9(QC(Ref._COOL))には、外気温度が高温の領域で切り換えられる。第10運転モードNo.10(QC(Cabin_cooling))には、外気温度が高温の領域で切り換えられ、第11運転モードNo.11には、外気温度が低温から中間温度にまたがる領域で切り換えられる。
【0058】
図14に示すように、第1運転モードNo.1では、駆動系部品e-PTは熱回収モードであり、蓄電池Batt.は熱回収モードであり、空調モード(H/Pモード)は暖房モードであり、第1熱連結器4way_valve#1は連結状態S(Series)であり、第2熱連結器4way_valve#2は連結状態S(Series)であり、第3熱連結器4way_valve#3は分離状態P(Pararrel)であり、開閉弁S/Vは開状態O(Open)であり、高電圧温水ヒータHVWHはオンである。
【0059】
なお、すべての運転モードにおいて、クーリングファンC/fanは、外部熱交換器LT-RAD、冷凍サイクル回路H/Pにおける電動コンプレッサEDCの吐出圧Pd、及び車速によるマップ制御が行われる。
【0060】
第2運転モードNo.2では、駆動系部品e-PTは熱回収モードであり、蓄電池Batt.は循環モードであり、空調モード(H/Pモード)は除湿暖房モードであり、第1熱連結器4way_valve#1は連結状態S(Series)であり、第2熱連結器4way_valve#2は分離状態P(Pararrel)であり、第3熱連結器4way_valve#3は分離状態P(Pararrel)であり、開閉弁S/Vは閉状態C(Close)であり、高電圧温水ヒータHVWHはオフである。
【0061】
第3運転モードNo.3では、駆動系部品e-PTは熱回収モードであり、蓄電池Batt.はRad放熱モードであり、空調モード(H/Pモード)は除湿暖房モードであり、第1熱連結器4way_valve#1は連結状態S(Series)であり、第2熱連結器4way_valve#2は分離状態P(Pararrel)であり、第3熱連結器4way_valve#3は連結状態S(Series)であり、開閉弁S/Vは開状態O(Open)であり、高電圧温水ヒータHVWHはオフである。
【0062】
第1運転モードNo.1、第2運転モードNo.2、及び第3運転モードNo.3では、駆動系部品e-PTの廃熱を利用して、ヒートポンプ暖房運転が行われる。なお、第1運転モードNo.1では、高電圧温水ヒータHVWHによる加熱が併用される。
【0063】
第4運転モードNo.4では、駆動系部品e-PTはRad放熱モードであり、蓄電池Batt.はRad放熱モードであり、空調モード(H/Pモード)は除湿(冷房)モードであり、第1熱連結器4way_valve#1は分離状態P(Pararrel)であり、第2熱連結器4way_valve#2は連結状態S(Series)であり、第3熱連結器4way_valve#3は連結状態S(Series)であり、開閉弁S/Vは開状態O(Open)であり、高電圧温水ヒータHVWHはオフである。
【0064】
第5運転モードNo.5では、駆動系部品e-PTはRad放熱モードであり、蓄電池Batt.はChiller放熱モードであり、空調モード(H/Pモード)は冷房モードであり、第1熱連結器4way_valve#1は分離状態P(Pararrel)であり、第2熱連結器4way_valve#2は連結状態S(Series)であり、第3熱連結器4way_valve#3は分離状態P(Pararrel)であり、開閉弁S/Vは閉状態C(Close)であり、高電圧温水ヒータHVWHはオフである。
【0065】
第4運転モードNo.4及び第5運転モードNo.5では、冷凍サイクル回路H/Pを使用せずに蓄電池Batt.を冷却する。
【0066】
第6運転モードNo.6では、蓄電池Batt.は保温モードであり、第1熱連結器4way_valve#1は分離状態P(Pararrel)であり、第2熱連結器4way_valve#2は連結状態S(Series)であり、第3熱連結器4way_valve#3は分離状態P(Pararrel)であり、開閉弁S/Vは閉状態C(Close)であり、高電圧温水ヒータHVWHはオンである。
【0067】
第6運転モードNo.6では、高電圧温水ヒータHVWHの運転により蓄電池Batt.を保温する。
【0068】
第7運転モードNo.7では、駆動系部品e-PTはRad放熱モードであり、蓄電池Batt.はRad放熱モードであり、第1熱連結器4way_valve#1は分離状態P(Pararrel)であり、第2熱連結器4way_valve#2は連結状態S(Series)であり、第3熱連結器4way_valve#3は連結状態S(Series)であり、開閉弁S/Vは開状態O(Open)であり、高電圧温水ヒータHVWHはオフである。
【0069】
第8運転モードNo.8では、駆動系部品e-PTはRad放熱モードであり、蓄電池Batt.はChiller放熱モードであり、空調モード(H/Pモード)は暖房モードであり、第1熱連結器4way_valve#1は分離状態P(Pararrel)であり、第2熱連結器4way_valve#2は連結状態S(Series)であり、第3熱連結器4way_valve#3は連結状態S(Series)であり、開閉弁S/Vは開状態O(Open)であり、高電圧温水ヒータHVWHはオフである。
【0070】
第9運転モードNo.9では、駆動系部品e-PTはRad放熱モードであり、蓄電池Batt.はChiller放熱モードであり、第1熱連結器4way_valve#1は分離状態P(Pararrel)であり、第2熱連結器4way_valve#2は連結状態S(Series)であり、第3熱連結器4way_valve#3は分離状態P(Pararrel)であり、開閉弁S/Vは閉状態C(Close)であり、高電圧温水ヒータHVWHはオフである。
【0071】
第7運転モードNo.7及び第9運転モードNo.9では、蓄電池Batt.と室内Cabinの要求に応じて、冷凍サイクル回路H/Pが作動する。
【0072】
第10運転モードNo.10では、駆動系部品e-PTはRad放熱モードであり、蓄電池Batt.はChiller放熱モードであり、空調モード(H/Pモード)は冷房モードであり、第1熱連結器4way_valve#1は分離状態P(Pararrel)であり、第2熱連結器4way_valve#2は連結状態S(Series)であり、第3熱連結器4way_valve#3は分離状態P(Pararrel)であり、開閉弁S/Vは閉状態C(Close)であり、高電圧温水ヒータHVWHはオフである。
【0073】
第11運転モードNo.11は、暖房運転開始時に室外熱交換器CONDに溜まった冷媒を回収するモードであり、本実施形態の冷凍サイクル回路H/Pでは必要なモードであり、冷凍サイクル回路の構成によっては不要な場合もある。
【0074】
次に、
図15及び
図16を参照して、外気温度による冷凍サイクル回路H/Pの機器の動作について説明する。
図15は、外気温度に対する冷凍サイクル回路H/Pの機器の動作について説明する図である。
図16は、空調装置110の各運転モードによる冷凍サイクル回路H/Pの機器の動作について説明する図である。
【0075】
図15に示すように、外気/内気モードIntakeは、外気温度が比較的低い領域(低温から中間温度にまたがる領域)では、外気導入モードであり、外気温度が比較的高い領域(低温から高温にまたがる領域)では、内気循環モードである。
【0076】
冷凍サイクル回路H/Pは、外気温度が比較的低い領域(低温から中間温度にまたがる領域)では、暖房運転が行われ、外気温度が中間の領域(低温から高温にまたがる領域)では、除湿暖房運転が行われ、外気温度が比較的高い領域(高温の領域)では、冷房運転が行われる。なお、冷凍サイクル回路H/Pは、外気温度が中間の領域(中間温度と高温とにまたがる狭い領域)では、除湿運転(冷房運転)が行われる。このとき、外気/内気モードIntakeによって除湿暖房運転か除湿運転(冷房運転)かを切り換えられる。
【0077】
電動コンプレッサEDCは、外気温度が比較的低い領域(低温から高温にまたがる領域)では、吐出圧Pdによる制御が行われ、外気温度が比較的高い領域(中間温度から高温にまたがる領域)では、エバポレータEVA吹き出し空気温度Tintによる制御が行われる。
【0078】
電動膨張弁EXV(eva)は、外気温度が比較的低い領域(低温から中間温度にまたがる領域)では、エバポレータEVA吹き出し空気温度Tintによる制御(int_controle(min_opening))が行われ、外気温度が比較的高い領域(中間温度から高温にまたがる領域)では、室外熱交換器COND出口冷媒過冷却度による制御(Sub-cool_controle)が行われる。
【0079】
電動膨張弁EXV(Chiller)は、外気温度が低温の領域では、室外熱交換器COND出口冷媒過冷却度による制御(Sub-cool_controle)が行われ、外気温度が比較的高い領域(低温から高温にまたがる領域)では、蓄電池熱交換器の入口冷却水温度による制御(Tw_Batt.)が行われる。
【0080】
シャット弁S/V(COND)は、外気温度が比較的低い温度領域(低温から高温にまたがる領域)では、閉状態(Close)であり、外気温度が比較的高い温度領域(中間温度から高温にまたがる領域)では、開状態(Open)である。
【0081】
シャット弁S/V(Chiller)は、外気温度が比較的低い温度領域(低温から高温にまたがる領域)では、開状態(Open)であり、外気温度が比較的高い温度領域(中間温度から高温にまたがる領域)では、閉状態(Close)である。
【0082】
図16に示すように、電動コンプレッサEDCの制御は、暖房運転時には吐出圧Pd、冷房運転時にはエバポレータEVA吹き出し空気温度Tintが所定値になるように回転数を可変させる。
【0083】
電動膨張弁EXV(eva)は、暖房運転時に閉状態(Close)であり、除湿暖房運転時には、開度固定でエバポレータEVA吹き出し空気温度Tintにより開閉を行う制御が行われる。電動膨張弁EXV(eva)は、冷房運転時には、外気温度、車室内温度、HVAC風量等による制御が行われるか、室外熱交換器COND出口冷媒過冷却度による制御が行われる。
【0084】
電動膨張弁EXV(Chiller)は、暖房運転時及び除湿暖房運転時には、蓄電池熱交換器の入口冷却水温度による制御が行われるか、ヒータコアI/COND出口冷媒過冷却度による制御が行われる。電動膨張弁EXV(Chiller)は、冷房運転時であり蓄電池Batt.冷却時には、蓄電池熱交換器の冷却水温度によるマップ制御が行われる。
【0085】
シャット弁S/V(COND)は、冷房運転時には開状態(Open)であり、暖房運転時には閉状態(Close)である。シャット弁S/V(Chiller)は、冷房運転時には閉状態(Close)であり、暖房運転時には開状態(Open)である。シャット弁S/V(COND)とシャット弁S/V(Chiller)とは、暖房運転開始時の冷媒回収運転時(第11運転モードNo.11)にのみ共に閉状態(Close)である。
【0086】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0087】
車両の温度制御システム100は、冷媒が循環する冷凍サイクル回路H/Pと、冷却水が循環する冷却水回路20と、を備え、冷凍サイクル回路H/Pは、冷媒を圧縮する電動コンプレッサEDCと、電動コンプレッサEDCにて圧縮された冷媒の熱を用いて空調に用いられる空気を加熱するヒータコアI/CONDと、冷媒と冷却水回路20内の冷却水との間で熱交換を行う冷却水-冷媒熱交換器Chillerと、を有し、冷却水回路20は、冷却水-冷媒熱交換器Chillerと、蓄電池Batt.と熱交換を行う蓄電池熱交換器と、冷却水を吸入吐出する第1ポンプW/P(Batt.)と、を有し、冷却水が循環する第1冷却水回路21と、冷却水と外気との間で熱交換を行う外部熱交換器LT-RADと、車両を駆動する駆動系部品e-PTと熱交換を行う駆動系熱交換器と、冷却水を吸入吐出する第2ポンプW/P(e-PT)と、を有し、冷却水が循環する第2冷却水回路22と、第1冷却水回路21を循環する冷却水と第2冷却水回路22を循環する冷却水との熱的な連結と分離とを切り換える第1熱連結器4way_valve#1と、冷却水の流れを遮断可能な開閉弁S/Vを有し、外部熱交換器LT-RADの上流と下流とに接続されて第1冷却水回路21と並列に設けられるバイパス回路25と、を備える。
【0088】
また、外部熱交換器LT-RADにて放熱した冷却水は、分岐して、第1冷却水回路21の蓄電池熱交換器と第2冷却水回路22の駆動系熱交換器とに流入する。
【0089】
また、冷却水回路20では、駆動系熱交換器と、蓄電池熱交換器と、冷却水-冷媒熱交換器Chillerと、の順に冷却水が循環可能である。
【0090】
また、第1冷却水回路21は、冷却水-冷媒熱交換器Chillerを有し、冷却水が循環する第3冷却水回路23と、第1ポンプW/P(Batt.)と、蓄電池熱交換器と、を有し、冷却水が循環する第4冷却水回路24と、第3冷却水回路23を循環する冷却水と第4冷却水回路24を循環する冷却水との熱的な連結と分離とを切り換える第2熱連結器4way_valve#2と、第4冷却水回路24を循環する冷却水とバイパス回路25を循環する冷却水との熱的な連結と分離とを切り換える第3熱連結器4way_valve#3と、を有し、第1熱連結器4way_valve#1は、第2冷却水回路22と第3冷却水回路23との連結と分離とを切り換え可能であり、外部熱交換器LT-RADにて放熱した冷却水が分岐し、第2冷却水回路22の駆動系熱交換器と第4冷却水回路24の蓄電池熱交換器とに流入する。
【0091】
また、第1冷却水回路21は、冷却水-冷媒熱交換器Chillerを有し、冷却水が循環する第3冷却水回路23と、第1ポンプW/P(Batt.)と、蓄電池熱交換器と、を有し、冷却水が循環する第4冷却水回路24と、第3冷却水回路23を循環する冷却水と第4冷却水回路24を循環する冷却水との熱的な連結と分離とを切り換える第2熱連結器4way_valve#2と、第4冷却水回路24を循環する冷却水とバイパス回路25を循環する冷却水との熱的な連結と分離とを切り換える第3熱連結器4way_valve#3と、を有し、第1熱連結器4way_valve#1が第2冷却水回路22と第3冷却水回路23とを連結させ、第2熱連結器4way_valve#2が第3冷却水回路23と第4冷却水回路24とを連結させ、第3熱連結器4way_valve#3が第4冷却水回路24とバイパス回路25とを分離させることで、駆動系熱交換器と蓄電池熱交換器と冷却水-冷媒熱交換器Chillerとの順に冷却水が循環可能である。
【0092】
また、第3熱連結器4way_valve#3と開閉弁S/Vとが、バイパス回路25の流路において直列に配置されている。
【0093】
また、第1熱連結器4way_valve#1と第2熱連結器4way_valve#2とが、第3冷却水回路23の流路において直列に配置されている。
【0094】
また、バイパス回路25は、第2冷却水回路22における外部熱交換器LT-RADへの冷却水の流れをバイパスするバイパス流れ状態と、蓄電池熱交換器と駆動系熱交換器とを並列に接続する並列接続流れ状態と、を切り換え可能である。
【0095】
これらの構成によれば、冷凍サイクル回路H/Pと冷却水回路20とを組み合わせて、簡素な構成で、冷暖房、蓄電池温度コントロール、及び廃熱利用の多様な制御を実行可能な温度制御システム100を提供することができる。
【0096】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0097】
例えば、上記実施形態では、温度制御システム100が冷却水回路として
図1に示す冷却水回路20を備える態様について説明した。しかしながら、温度制御システム100の冷却水回路の構成はこれに限られない。一例として、温度制御システム100は、
図17に示す冷却水回路30を備えていてもよい。この場合も、温度制御システム100が冷却水回路20を備える場合と同様の効果を奏する。
【0098】
以下、
図17から
図19を参照して、冷却水回路の変形例である冷却水回路30について説明する。
図17は、冷却水回路30の構成図である。
図18は、冷却水回路30が備える一体バルブ40の構成図である。
図19は、冷却水回路30の各運転モードについて説明する図である。
【0099】
図17に示すように、冷却水回路30は、第1冷却水回路31と、第2冷却水回路32と、バイパス回路35と、第1熱連結器4way_valve#1と、第2熱連結器4way_valve#2と、第3熱連結器4way_valve#3と、を有する。第1冷却水回路31は、第3冷却水回路33と、第4冷却水回路34と、第2熱連結器4way_valve#2と、を有する。
【0100】
第1冷却水回路31は、冷却水-冷媒熱交換器Chillerと、第1ポンプW/P(Batt.)と、高電圧温水ヒータHVWHと、蓄電池Batt.と熱交換を行う蓄電池熱交換器と、第2熱連結器4way_valve#2と、を有する。第1冷却水回路31は、第1熱連結器4way_valve#1によって、第2冷却水回路32との熱的な連結と分離とを切り換え可能である。第1冷却水回路31は、第3熱連結器4way_valve#3によって、バイパス回路35との熱的な連結と分離とを切り換え可能である。
【0101】
第2冷却水回路32は、冷却水と外気との間で熱交換を行う外部熱交換器LT-RADと、第2ポンプW/P(e-PT)と、駆動系部品e-PTと熱交換を行う駆動系熱交換器と、を有する。第2冷却水回路32は、第1熱連結器4way_valve#1によって、第1冷却水回路31との熱的な連結と分離とを切り換え可能である。第2ポンプW/P(e-PT)及び駆動系熱交換器は、それぞれ複数設けられていてもよい。
【0102】
第3冷却水回路33は、冷却水-冷媒熱交換器Chillerと、高電圧温水ヒータHVWHと、を有する。高電圧温水ヒータHVWHは、冷却水が流れる方向において、冷却水-冷媒熱交換器Chillerの上流側に設けられる。第3冷却水回路33は、第1熱連結器4way_valve#1によって、第2冷却水回路22との熱的な連結と分離とを切り換え可能である。第3冷却水回路33は、第2熱連結器4way_valve#2によって、第4冷却水回路34との熱的な連結と分離とを切り換え可能である。
【0103】
第4冷却水回路34は、第1ポンプW/P(Batt.)と、蓄電池Batt.と熱交換を行う蓄電池熱交換器と、を有する。第4冷却水回路34は、第2熱連結器4way_valve#2によって、第3冷却水回路33との熱的な連結と分離とを切り換え可能である。第4冷却水回路34は、第3熱連結器4way_valve#3によって、バイパス回路35との熱的な連結と分離とを切り換え可能である。
【0104】
バイパス回路35は、外部熱交換器LT-RADへの流れの有無及びバイパス回路35への流れの有無を切り換え可能な開閉弁としての三方弁TW/Vを有する。バイパス回路35は、外部熱交換器LT-RADの上流と下流とに接続されて第1冷却水回路31と並列に設けられる。バイパス回路35は、第3熱連結器4way_valve#3によって、第4冷却水回路34(第1冷却水回路31)との熱的な連結と分離とを切り換え可能である。
【0105】
図17に示すように、冷却水回路30では、第1熱連結器4way_valve#1と第2熱連結器4way_valve#2とが近い位置に配置される。そのため、第1熱連結器4way_valve#1と第2熱連結器4way_valve#2とを、一体バルブ40として構成することができる。これによれば、第1熱連結器4way_valve#1と第2熱連結器4way_valve#2とを別々に設ける場合と比較して、冷却水回路30をよりコンパクトにできる。第3熱連結器4way_valve#3と三方弁TW/Vとについても同様に、一体バルブ50として構成することができる。
【0106】
図18に示すように、一体バルブ40は、弁体41、42と、弁体41、42を回転可能に収容するハウジング43と、を備えるロータリ弁である。弁体41及びハウジング43は、第1熱連結器4way_valve#1を構成する。弁体42及びハウジング43は、第2熱連結器4way_valve#2を構成する。
【0107】
図17及び
図18に示すように、ハウジング43は、流路43a~43gを有する。
図17に示すように、流路43a及び流路43bは、第3冷却水回路33と接続される。流路43c及び流路43dは、第4冷却水回路34と接続される。流路43e及び流路43fは、第2冷却水回路32と接続される。流路43gは、第1熱連結器4way_valve#1と第2熱連結器4way_valve#2とを接続する。
【0108】
一体バルブ50は、一体バルブ40が有する2つの4way_valveのうちの一方を3way_valveとして構成することで実現可能である。
図17に示すように、一体バルブ50のハウジング53は、流路53a~53fを有する。流路53a及び流路53eは、第2冷却水回路32と接続される。流路53b及び流路53cは、第4冷却水回路34と接続される。流路53dは、バイパス回路35と接続される。流路53fは、第3熱連結器4way_valve#3と三方弁TW/Vとを接続する。流路53fは、バイパス回路35の一部を構成する。
【0109】
このように、冷却水回路30は、第1熱連結器4way_valve#1と、第2熱連結器4way_valve#2と、第1熱連結器4way_valve#1と第2熱連結器4way_valve#2とを接続する流路43gと、がハウジング43内に設けられた一体バルブ40を有する。これにより、冷却水回路30がコンパクトに構成される。
【0110】
また、冷却水回路30は、第3熱連結器4way_valve#3と、三方弁TW/Vと、第3熱連結器4way_valve#3と三方弁TW/Vとを接続する流路53fと、がハウジング53内に設けられた一体バルブ50を有する。これにより、冷却水回路30がコンパクトに構成される。
【0111】
続いて、
図19を参照して、冷却水回路30の各運転モードについて説明する。
【0112】
図19に示すように、冷却水回路30は、第1運転モードValve_patarn#1と、第2運転モードValve_patarn#2と、第3運転モードValve_patarn#3と、第4運転モードValve_patarn#4と、第5運転モードValve_patarn#5と、第6運転モードValve_patarn#6と、を有する。各運転モードは、第1熱連結器4way_valve#1と、第2熱連結器4way_valve#2と、第3熱連結器4way_valve#3と、三方弁TW/Vと、によって切り換えられる。
【0113】
冷却水回路30の第1運転モードValve_patarn#1は、冷却水回路20の第1運転モードValve_patarn#1に相当する運転モードである。
【0114】
第1運転モードValve_patarn#1では、第1熱連結器4way_valve#1は連結状態S(Series)であり、第2熱連結器4way_valve#2は連結状態S(Series)であり、第3熱連結器4way_valve#3は分離状態P(Pararrel)であり、三方弁TW/Vは外部熱交換器LT-RADへの流れを遮断しバイパス回路35への流れを許容する状態である。
【0115】
つまり、第1運転モードValve_patarn#1では、第1熱連結器4way_valve#1が第2冷却水回路32と第3冷却水回路33とを連結させ、第2熱連結器4way_valve#2が第3冷却水回路33と第4冷却水回路34とを連結させ、第3熱連結器4way_valve#3が第4冷却水回路34とバイパス回路35とを分離させ、三方弁TW/Vが外部熱交換器LT-RADへの冷却水の流れを遮断すると共にバイパス回路35への冷却水の流れを許容することで、駆動系熱交換器と蓄電池熱交換器と冷却水-冷媒熱交換器Chillerとバイパス回路35との順に冷却水が循環可能である。
【0116】
図19に示すように、第1運転モードValve_patarn#1では、冷凍サイクル回路H/Pは暖房運転を行い、駆動系熱交換器は駆動系部品e-PTから熱回収を行い、蓄電池熱交換器は蓄電池Batt.から熱回収を行う。また、高電圧温水ヒータHVWHの出力により空調と蓄電池Batt.の温度とが適温に維持される(BATT加温・熱回収)。
【0117】
冷却水回路30の第2運転モードValve_patarn#2は、冷却水回路20の第5運転モードValve_patarn#5に対して、三方弁TW/Vが外部熱交換器LT-RADへの流れを遮断しバイパス回路35への流れを許容する点が相違する運転モードである。
【0118】
第2運転モードValve_patarn#2では、第1熱連結器4way_valve#1は分離状態P(Pararrel)であり、第2熱連結器4way_valve#2は連結状態S(Series)であり、第3熱連結器4way_valve#3は分離状態P(Pararrel)であり、三方弁TW/Vは外部熱交換器LT-RADへの流れを遮断しバイパス回路35への流れを許容する状態である。
【0119】
つまり、第2運転モードValve_patarn#2では、第1熱連結器4way_valve#1が第2冷却水回路32と第3冷却水回路33とを分離させ、第2熱連結器4way_valve#2が第3冷却水回路33と第4冷却水回路34とを連結させ、第3熱連結器4way_valve#3が第4冷却水回路34とバイパス回路35とを分離させ、三方弁TW/Vが外部熱交換器LT-RADへの冷却水の流れを遮断すると共にバイパス回路35への冷却水の流れを許容することで、第1冷却水回路31と第2冷却水回路32とが分離し、第2冷却水回路32から独立して蓄電池熱交換器と冷却水-冷媒熱交換器Chillerとを冷却水が循環可能であり、第1冷却水回路31から独立して駆動系熱交換器とバイパス回路35とを冷却水が循環可能である。
【0120】
図19に示すように、第2運転モードValve_patarn#2では、冷凍サイクル回路H/Pは暖房運転又は除湿暖房運転を行い、駆動系熱交換器は駆動系部品e-PTからの熱を蓄熱し、蓄電池熱交換器は蓄電池Batt.から熱回収を行う。また、高電圧温水ヒータHVWHの出力により空調と蓄電池Batt.の温度とが適温に維持される(BATT加温)。
【0121】
上述したように、冷却水回路30では、高電圧温水ヒータHVWHは、冷却水が流れる方向において、冷却水-冷媒熱交換器Chillerの上流側に設けられる。そのため、第1運転モードValve_patarn#1及び第2運転モードValve_patarn#2では、高電圧温水ヒータHVWHの出力(熱)は、優先的に暖房に利用される。そして、冷凍サイクル回路H/Pによって回収されなかった残りの熱が、蓄電池Batt.の加温、或いは温度維持に利用される。
【0122】
冷却水回路30の第3運転モードValve_patarn#3は、冷却水回路20の第2運転モードValve_patarn#2に相当する運転モードである。
【0123】
第3運転モードValve_patarn#3では、第1熱連結器4way_valve#1は連結状態S(Series)であり、第2熱連結器4way_valve#2は分離状態P(Pararrel)であり、第3熱連結器4way_valve#3は分離状態P(Pararrel)であり、三方弁TW/Vは外部熱交換器LT-RADへの流れを許容しバイパス回路35への流れを遮断する状態である。
【0124】
図19に示すように、第3運転モードValve_patarn#3では、冷凍サイクル回路H/Pは暖房運転又は除湿暖房運転を行い、駆動系熱交換器は駆動系部品e-PTからの熱回収を行うと共に外気温度に応じて外部熱交換器LT-RADによる吸熱を行い、蓄電池熱交換器は蓄電池Batt.からの熱を蓄熱する。
【0125】
第3運転モードValve_patarn#3では、駆動系部品e-PTからの熱を利用しない場合は、外部熱交換器LT-RADによる放熱が行われ、駆動系部品e-PTからの熱を利用する場合は、外部熱交換器LT-RADによる吸熱が行われる。
【0126】
冷却水回路30の第4運転モードValve_patarn#4は、冷却水回路20の第3運転モードValve_patarn#3に相当する運転モードである。
【0127】
第4運転モードValve_patarn#4では、第1熱連結器4way_valve#1は連結状態S(Series)であり、第2熱連結器4way_valve#2は分離状態P(Pararrel)であり、第3熱連結器4way_valve#3は連結状態S(Series)であり、三方弁TW/Vは外部熱交換器LT-RADへの流れ及びバイパス回路35への流れを許容する状態である。
【0128】
図19に示すように、第4運転モードValve_patarn#4では、冷凍サイクル回路H/Pは暖房運転又は除湿暖房運転を行い、駆動系熱交換器は外部熱交換器LT-RADによる放熱を行うと共に外気温度に応じて駆動系部品e-PTからの熱回収を行い、蓄電池熱交換器は外部熱交換器LT-RADによる放熱を行う。
【0129】
冷却水回路30の第5運転モードValve_patarn#5は、冷却水回路20の第4運転モードValve_patarn#4に相当する運転モードである。
【0130】
第5運転モードValve_patarn#5では、第1熱連結器4way_valve#1は分離状態P(Pararrel)であり、第2熱連結器4way_valve#2は連結状態S(Series)であり、第3熱連結器4way_valve#3は連結状態S(Series)であり、三方弁TW/Vは外部熱交換器LT-RADへの流れ及びバイパス回路35への流れを許容する状態である。
【0131】
図19に示すように、第5運転モードValve_patarn#5では、冷凍サイクル回路H/Pは除湿運転(冷房運転)を行い、駆動系熱交換器は外部熱交換器LT-RADによる放熱を行い、蓄電池熱交換器は外部熱交換器LT-RADによる放熱を行うと共に空調温度に応じて冷却水-冷媒熱交換器Chillerによる放熱を行う。
【0132】
冷却水回路30の第6運転モードValve_patarn#6は、冷却水回路20の第5運転モードValve_patarn#5に相当する運転モードである。
【0133】
第6運転モードValve_patarn#6では、第1熱連結器4way_valve#1は分離状態P(Pararrel)であり、第2熱連結器4way_valve#2は連結状態S(Series)であり、第3熱連結器4way_valve#3は分離状態P(Pararrel)であり、三方弁TW/Vは外部熱交換器LT-RADへの流れを許容しバイパス回路35への流れを遮断する状態である。
【0134】
図19に示すように、第6運転モードValve_patarn#6では、冷凍サイクル回路H/Pは冷房運転を行い、駆動系熱交換器は外部熱交換器LT-RADによる放熱を行い、蓄電池熱交換器は冷却水-冷媒熱交換器Chillerによる放熱を行う。
【0135】
温度制御システム100が冷却水回路30を備える場合は、第2運転モードValve_patarn#2によって、低外気温時の駆動系部品e-PTからの熱を蓄熱して利用することができる。第2運転モードValve_patarn#2によって蓄熱した熱を利用する場合は、第1運転モードValve_patarn#1に切り換えて、駆動系部品e-PTからの熱と蓄電池Batt.からの熱との両方を回収して暖房に利用する。第2運転モードValve_patarn#2から第1運転モードValve_patarn#1への切り換えは、第2冷却水回路32の冷却水温度と第4冷却水回路34の冷却水温度とが略同じ温度になると行われる。運転モードの切り換えを実行する冷却水温度は、5~15[℃]程度とされる。
【0136】
以上述べたように、冷却水回路30は、冷却水-冷媒熱交換器Chillerと、蓄電池Batt.と熱交換を行う蓄電池熱交換器と、冷却水を吸入吐出する第1ポンプW/P(Batt.)と、を有し、冷却水が循環する第1冷却水回路31と、冷却水と外気との間で熱交換を行う外部熱交換器LT-RADと、車両を駆動する駆動系部品e-PTと熱交換を行う駆動系熱交換器と、冷却水を吸入吐出する第2ポンプW/P(e-PT)と、を有し、冷却水が循環する第2冷却水回路32と、第1冷却水回路31を循環する冷却水と第2冷却水回路32を循環する冷却水との熱的な連結と分離とを切り換える第1熱連結器4way_valve#1と、冷却水の流れを遮断可能な三方弁TW/Vを有し、外部熱交換器LT-RADの上流と下流とに接続されて第1冷却水回路31と並列に設けられるバイパス回路35と、を備える。
【0137】
また、外部熱交換器LT-RADにて放熱した冷却水は、分岐して、第1冷却水回路31の蓄電池熱交換器と第2冷却水回路32の駆動系熱交換器とに流入する。
【0138】
また、冷却水回路30では、駆動系熱交換器と、蓄電池熱交換器と、冷却水-冷媒熱交換器Chillerと、の順に冷却水が循環可能である。
【0139】
また、第1冷却水回路31は、冷却水-冷媒熱交換器Chillerを有し、冷却水が循環する第3冷却水回路33と、第1ポンプW/P(Batt.)と、蓄電池熱交換器と、を有し、冷却水が循環する第4冷却水回路34と、第3冷却水回路33を循環する冷却水と第4冷却水回路34を循環する冷却水との熱的な連結と分離とを切り換える第2熱連結器4way_valve#2と、第4冷却水回路34を循環する冷却水とバイパス回路35を循環する冷却水との熱的な連結と分離とを切り換える第3熱連結器4way_valve#3と、を有し、第1熱連結器4way_valve#1は、第2冷却水回路32と第3冷却水回路33との連結と分離とを切り換え可能であり、外部熱交換器LT-RADにて放熱した冷却水が分岐し、第2冷却水回路32の駆動系熱交換器と第4冷却水回路34の蓄電池熱交換器とに流入する。
【0140】
また、第1冷却水回路31は、冷却水-冷媒熱交換器Chillerを有し、冷却水が循環する第3冷却水回路33と、第1ポンプW/P(Batt.)と、蓄電池熱交換器と、を有し、冷却水が循環する第4冷却水回路34と、第3冷却水回路33を循環する冷却水と第4冷却水回路34を循環する冷却水との熱的な連結と分離とを切り換える第2熱連結器4way_valve#2と、第4冷却水回路34を循環する冷却水とバイパス回路35を循環する冷却水との熱的な連結と分離とを切り換える第3熱連結器4way_valve#3と、を有し、第1熱連結器4way_valve#1が第2冷却水回路32と第3冷却水回路33とを連結させ、第2熱連結器4way_valve#2が第3冷却水回路33と第4冷却水回路34とを連結させ、第3熱連結器4way_valve#3が第4冷却水回路34とバイパス回路35とを分離させることで、駆動系熱交換器と蓄電池熱交換器と冷却水-冷媒熱交換器Chillerとの順に冷却水が循環可能である。
【0141】
また、第3熱連結器4way_valve#3と三方弁TW/Vとが、バイパス回路35の流路において直列に配置されている。
【0142】
また、第1熱連結器4way_valve#1と第2熱連結器4way_valve#2とが、第3冷却水回路33の流路において直列に配置されている。
【0143】
また、第3冷却水回路33は、高電圧温水ヒータHVWHを有し、高電圧温水ヒータHVWHは、冷却水-冷媒熱交換器Chillerの上流側に設けられる。
【0144】
また、バイパス回路35は、第2冷却水回路32における外部熱交換器LT-RADへの冷却水の流れをバイパスするバイパス流れ状態と、蓄電池熱交換器と駆動系熱交換器とを並列に接続する並列接続流れ状態と、を切り換え可能である。
【0145】
これらの構成によれば、冷凍サイクル回路H/Pと冷却水回路30とを組み合わせて、簡素な構成で、冷暖房、蓄電池温度コントロール、及び廃熱利用の多様な制御を実行可能な温度制御システム100を提供することができる。
【0146】
また、第3熱連結器4way_valve#3、三方弁TW/V、及び、第3熱連結器4way_valve#3と三方弁TW/Vとを接続する流路53fが、一体バルブ50のハウジング53内に設けられる。
【0147】
また、第1熱連結器4way_valve#1、第2熱連結器4way_valve#2、及び、第1熱連結器4way_valve#1と第2熱連結器4way_valve#2とを接続する流路43gが、一体バルブ40のハウジング43内に設けられる。
【0148】
これらの構成によれば、冷却水回路30をコンパクトにできる。
【0149】
本願は2021年7月21日に日本国特許庁に出願された特願2021-120536に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。