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特許7598475透明超音波センサーを結合した光音響検出システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】透明超音波センサーを結合した光音響検出システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/13 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
A61B8/13
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023546567
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 KR2021005468
(87)【国際公開番号】W WO2022163944
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】10-2021-0014148
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506376458
【氏名又は名称】ポステック アカデミー-インダストリー ファンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】チュル ホン キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ウー パク
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン ハム キム
(72)【発明者】
【氏名】ピョル リー パク
(72)【発明者】
【氏名】ムンギュ ハン
【審査官】佐藤 賢斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-351023(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0132084(KR,A)
【文献】特開2013-106823(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0031834(KR,A)
【文献】特開2020-036898(JP,A)
【文献】特開2014-068751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
G01N 29/00 - 29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光音響現象を発生することに適合な光を光発振装置で生成する光源と、
前記光源から生成された光をプローブ側に伝達する光伝達系と、
光学系と透明超音波センサーを内部に収納するプローブと、
前記光源から生成された光のサイズ、焦点、経路を調整する光学系と、
光音響効果によって観察領域に照射された光に対応し、前記観察領域から生成された超音波を感知し、前記光源から生成された前記光が透過できるように光透過性の材質で出来ている透明超音波センサーと、
前記透明超音波センサーによって感知された前記超音波を含む光音響データを収集するデータ収集装置および
前記光音響データを分析し観察領域から特定物質の検出有無を判断するデータ検出装置とを含み、
前記透明超音波センサーは、
前記光の経路と前記超音波の経路とが一致するように配置され、光学インピーダンス整合を行い、透明材料からなる整合部と、
前記整合部の後ろに位置し、透明材料からなる圧電層と、
前記圧電層の裏面及び前面にそれぞれ位置し、それぞれ透明な導電性物質からなる第1電極層および第2電極層と、
前記第1電極層に連結された第1ハウジングと、
前記第2電極層に連結された第2ハウジングと、を含み、
前記第1電極層と前記第2電極層の大きさは、互いに異なり、
前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングは、それぞれ中央に空きスペースを有するリングの形状である、
透明超音波センサーが結合した光音響検出システム。
【請求項2】
前記光源は、光媒介共振機レーザー(OPOレーザー)、液相色素レーザー、LED、LD、固形色素レーザー、アレキサンドライトレーザーを含んでいる群から選択される少なくとも一つの光発振装置である、請求項1に記載の透明超音波センサーが結合した光音響検出システム。
【請求項3】
前記光伝達系は光ファイバーや関節式アームのうち、少なくとも一つを含んでいる、請求項1に記載の透明超音波センサーを結合した光音響検出システム。
【請求項4】
前記光学系は、ビームエキスパンダー(beam expander)、鏡(mirror)、レンズ(lens)を少なくとも含んでいる、請求項1に記載の透明超音波センサーを結合した光音響検出システム。
【請求項5】
前記透明超音波センサーは、焦点タイプまたは非焦点タイプのうち一つである、請求項1に記載の透明超音波センサーを結合した光音響検出システム。
【請求項6】
前記透明超音波センサーは、単一の透明超音波センサーの素子である、請求項1に記載の透明超音波センサーを結合した光音響検出システム。
【請求項7】
前記透明超音波センサーは、
複数の透明超音波センサー素子のアレイ(array)で出来ている、請求項1に記載の透明超音波センサーを結合した光音響検出システム。
【請求項8】
前記光の経路軸と前記超音波の経路軸は互いに並行に形成される、請求項1に記載の透明超音波センサーを結合した光音響検出システム。
【請求項9】
前記光の波長を変更する波長変換系をさらに含んでいる、請求項1に記載の透明超音波センサーを結合した光音響検出システム。
【請求項10】
前記透明超音波センサーと前記観察領域の間に、超音波を伝達することができる媒質をさらに含んでいる、請求項1に記載の透明超音波センサーを結合した光音響検出システム。
【請求項11】
前記データ収集装置は、前記透明超音波センサーと有線または無線に連結され、前記光音響データを受信する、請求項1に記載の透明超音波センサーを結合した光音響検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明超音波センサーを結合した光音響検出システムに関するもので、詳述すると超音波センサーと超音波の発生地点をつなぐ軸を光源と光照射地点をつなぐ軸と一致させ、高いSNRを持つ、センチネルリンパ節など病変の超音波映像を獲得できる光音響検出機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
悪性腫瘍のリンパ節の転移有無は患者の生存率を決定する主要要素である。特に、悪性腫瘍は「センチネルリンパ節(SLN:Sentinel lymph node)」に最初に転移するため、SLNの正確な検出と組織検査の施行は、患者の予後によってとても大事である。SLNの組織検査を必須として施行している代表的な癌には、乳がんと皮膚黒色腫があり、口腔がん、胃がんなどに対しても、SLNの組織検査が増えていく趨勢である。
【0003】
現在、SLN組織検査は放射性物質を注入し、手術中にSLNの位置をガンマ線検出器(Radioscope)で感知し、切除することになる。ガンマ線検出器は施術者が手に持って直接制御する。
【0004】
しかし、ガンマ線検出器を利用するSLN組織検査は、放射性物質をリンパ節の生検過程で被施術者の組織に注射する特性上、被施術者と施術者ともに放射能被曝の危険性がある。また、ガンマ線検出器の価格が高く、別途の特殊な空間で使用する必要があるため、極めて限られた病院でだけ実施が可能である。さらに、使用後の放射性物質の廃棄処理にも相当な費用がかかる。
【0005】
一方で、このようなガンマ線検出器を利用するSLN組織検査が持っている放射線検査による被曝の危険問題を解決するための対案として、ガンマ線の代わりに光音響センサー(photoacoustic sensor)を利用した光音響検出器(photoacoustic detector)が台頭した。
【0006】
光音響現象とは、物体に特定の波長台域の光を照射する時、物体が光を吸収しながら超音波を発生させる現象である。光音響検出器は、このような光音響現象を利用した装備である。
【0007】
図1は従来技術による光音響検出器の一例を示した図面である。
光音響検出器は、大きく特定波長の台域の光を対象物に照射するための光源と、対象物に照射された光から光音響現象として発生する超音波を利用して、超音波映像が生成されるよう対象物から発生した超音波を検出する超音波センサー(または超音波トランスデューサー。同一な意味で使用される)を含むように出来ている。
【0008】
このような光音響検出器は、高解像度の光学システムとその他の医療映像撮影装備に比べ、相対的に皮膚下の深い組織まで透過可能な超音波システムの長所を融合し、生体組織内の深い部位まで高い解像度で多様な組織又は器官(がん組織、血管、造影剤など)を検出することができる。
【0009】
しかし、従来の技術による光音響検出器の場合、超音波センサーが不透明なため、光源から放出される光が超音波センサーを透過することができなかった。そのため、透明な媒質が求められる光源の光学システムと不透明な超音波センサーを同一な軸上に配置することは不可能であった。
【0010】
その結果、図1に示したように光音響検出器内の光源と超音波センサーが一定角度傾いた形態で配置された光音響検出器が提示されていた。
このような従来の光音響検出器は下記のような問題点を持っている。
1.光音響検出器のサイズが大きくなり光音響検出器がターゲットに接近することを妨げ、使用が不便である。
2.光源と超音波センサーが正確に同じ「planо」を指した時こそ、高い信号対雑音比(SNR:Signal-to-noise ratio)が得られることが知られているにもかかわらず、超音波センサーと光源の位置の差異による信号の減衰及び「artifact」が発生し検出敏感度が低下する。
【0011】
従って、高いSNRを獲得させるように超音波センサーと超音波の発生地点を繋ぐ軸が光源と光の照射地点を繋ぐ軸と一致する光音響SLN検出器が必要となった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記のような要請に応えるため着眼されたもので、超音波センサーと超音波の発生地点をつなぐ軸を光源と光の照射地点をつなぐ軸と一致させ、高いSNRを持ち、センチネルリンパ節など病変の超音波映像を獲得できるようにする、透明超音波センサーを結合した光音響検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記のような目的を達成するため、本発明の一例による超音波センサーを結合した光音響検出システムは、光発振装置で光音響現象を発生させることに適合な光を生成する光源と、前記光源から生成された光をプローブ側に伝達する光伝達系と、光学系と透明超音波センサーを内部に収納するプローブと、前記光源から生成された光のサイズ、焦点、経路などを調整する光学系と、光音響効果によって観察領域に照射された前記光に対応し、前記観察領域で生成された超音波を感知して、前記光源から生成された前記光が透過するように光透過性の材質で出来ている透明超音波センサーと、前記透明超音波センサーによって感知された前記超音波を含む光音響データを収集するデータ収集装置および前記光音響データを分析し観察領域から特定の物質が検出有無を判断するデータ検出装置と、を含む。
【0014】
この時、前記光源は光媒介共振機レーザー(OPOレーザー)、液相色素レーザー、LED、LD、固形色素レーザー、アレキサンドライトレーザーを少なくとも含めている群から選択される少なくとも一つの光発振装置であるのが望ましい。
【0015】
また、前記光伝達系は光ファイバー及び関節式アームのうち少なくとも一つが含まれているのがよい。
【0016】
また、前記光学系はビームエキスパンダー(beam expander)、鏡(mirror)、レンズ(lens)を少なくとも一つを含めているのが望ましい。
【0017】
また、前記透明超音波センサーは焦点タイプか非焦点タイプのうち、一つであってもよい。
【0018】
また、前記透明超音波センサーは単一の透明超音波センサーの素子であってもよい。
【0019】
また、前記透明超音波センサーは複数の透明超音波センサー素子のアレイで出来ていてもよい。
【0020】
また、前記光の経路軸と前記超音波の経路軸は互いに並行に形成されてもよい。
【0021】
また、前記光の波長を変更する波長変換系をさらに含めていてもよい。
【0022】
また、前記透明超音波センサーと前記観察領域の間に超音波を伝達できる媒質がさらに含まれてもよい。
【0023】
また、前記データ収集装置は前記透明超音波センサーと有線または無線で連結され、前記光音響データを受信することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明を利用すると、光透過性を持つ透明超音波センサーと超音波の発生地点をつなぐ軸を光源と光の照射地点をつなぐ軸と一致させることによって、高いSNRを持ちセンチネルリンパ節などの病変の超音波映像が獲得できる可透明超音波センサーを結合した光音響検出システムを具現できる効果がある。
【0025】
また、本発明を利用すると、従来のガンマ線検出器とは異なり、放射性物質を使用しないため、費用の削減だけではなく施術者と被施術者の安全を向上させられるという効果がある。
【0026】
また、本発明を利用すると透明超音波センサーを利用することによって、従来の光音響技術の限界とされていた光音響検出用プローブの小型化が可能になる。これは、施術者が手に持って使用しないといけない光音響検出器に適合で、検出しようとする物質にプローブの接近を容易にすることによって検出正確度を引き上げる効果がある。
【0027】
また、本発明を利用すると超音波センサーと光源の位置の差異による信号の減衰やartifactが発生しないため、検出の敏感度が上がり使用者の経験に依存していた、超音波軸と光源の軸を一致させる過程が要らないため検出の信頼度が向上する効果がある。
【0028】
また、本発明を利用すると必要によって様々な大きさの光音響検出器を製作することが可能なので、多様な身体部位に適合な使用性を持つ光音響検出器を具現できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は従来技術による光音響検出器を示した図面である。
図2図2は透明超音波センサーを結合した光音響検出器の測定原理を簡単に示した図面である。
図3図3は透明超音波センサーを結合した光音響検出器の一例を示したブロック図である。
図4図4図3で示した透明超音波センサーを結合した光音響検出器のプローブ末端の多様に変形した実施形態を示した図面である。
図5図5図3で示した透明超音波センサーを結合した光音響検出器を含む光音響検出システムを例示した図面である。
図6図6は透明超音波センサの一例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための最善の形態】
【0030】
以下、本発明による透明超音波センサーを結合した光音響検出システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を説明することにおいて、当該分野で既に告知された技術または構成に対する具体的な説明を加えることが、あえて本発明の要旨を不正確にする可能性があると判断される場合は、詳細な説明でこれを一部は省いている。また、本明細書で使用している用語は、本発明の実施形態を適切に表現するため使われた用語として、これは当該分野の関連者または慣例によって異なる可能性がある。従って、本用語に対する定義は本明細書全般の内容を基になされるべきである。
【0031】
ここで使用されている専門用語は、特定の実施形態を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図したものではない。ここで使用している単数形態の文句は、これと明白に反対の意味を表していない限り、複数の形態も含めている。明細書で使用する「含む」という意味は特定の特性、領域、定数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特性、領域、定数、段階、動作、要素および/または群の存在や付加を除外するものではない。
【0032】
また、透明超音波センサー(transparent ultrasonic sensor)、透明超音波トランスデューサー(transparent ultrasonic transducer)、TUT(transparent ultrasonic transducer)は、特別な言及がない限り、この明細書で全て同一な対象を意味する。
【0033】
図2は透明超音波センサーを結合した光音響検出器の測定原理を簡単に示した図面である。
透明超音波センサーを結合した光音響検出器で、光源モジュール(S1)と透明超音波センサー(S2)は、光源モジュール(S1)から出力される光の経路と透明超音波センサー(S2)から出力される信号の経路が互いに並行になるよう1列に配置される。
【0034】
即ち、光源モジュール(S1)の光の出射面と透明超音波センサー(S2)の入射面が互いに並行になる。
【0035】
したがって、対象物(200)に最終入射される光の経路(P1)と透明超音波センサー(S2)の超音波の経路(P2)は同一または並行になることができる。
【0036】
このように、透明超音波センサーの後方または、透明超音波センサーの経路(P2)と同一な経路上に光学モジュール(S1)が位置することによって透明超音波センサー(S2)の前方に位置した対象物(200)の映像獲得が可能になる。
【0037】
この場合、光学超音波センサー(S2)と光学モジュール(S1)から出力される信号や光の歪曲現象なく、同一な対象物(200)の同一な位置に対する信号が獲得され、正確な映像を獲得することができる。
【0038】
図3は透明超音波センサーを結合した光検出器の一例を示したブロック図である。
図3に示したように、透明超音波センサーが結合した光音響検出器(1)は、光源(10)、光伝達系(30)およびプローブ(50)を含めて出来ていて、プローブ(50)には光学系(40)や透明超音波センサー(20)がさらに含まれている。
【0039】
光源(10)は光発振装置として、光媒介共振機レーザー(OPOれーざー)、液相色素レーザー、LED、LD、固形色素レーザー、アレキサンドライトレーザーなど、光音響現象を発生させることに適合な光を生成できる広い範囲の様々な光発振装置を含む。
【0040】
光伝達系(3)は、光源(10)で生成された光をプローブ(50)側に伝達する光の伝達経路系である。一般的に光ファイバー(optical fiber)またはArticulated armなどが使われているが、光伝達系がこれらに限られるという意味ではない。
【0041】
プローブ(50)は施術者が被施術者の観察領域に光を容易に照射することができるように、光学系(40)や透明超音波センサー(20)をパッケージ化して収納する部分である。
【0042】
光学系(40)は光源(10)で生成された光のサイズ、焦点、経路などを調整するため使用するものであり、ビームエキスパンダー(beam expander)、鏡(mirror)、レンズ(lens)などの様々なものを使用することができる。
【0043】
透明超音波センサー(20)は光源(10)で生成された光が透過し被施術者の観察領域に照射できるように、透過性素子で出来ている超音波センサーである。また、光音響効果によって、観察領域に照射された光に対応し観察領域で超音波が生成されると、この超音波を感知する役割を行う。透明超音波センサー(20)は様々な周波数台域の焦点タイプ(focused type)、または非焦点タイプ(unfocused type)の透明超音波センサーを広く使用することができる。また、用途や必要によって単一(Single)素子、または配列(Array)素子の超音波を使用することができる。
【0044】
図4図3で例示した透明超音波センサーを結合した光音響検出器のプローブ末端の多様な変形の実施形態を示した図面である。
【0045】
図4に示したように、プローブ(50)は光の経路や超音波の経路上に平面鏡(plane mirror)(42)を配置することによって、プローブ(50)の末端で光の経路や超音波の経路を調整できるようにする。
【0046】
例えば、図4(a)では透明超音波センサーと光軸の角度が0°になる。図4(b)のように、透明超音波センサーと光軸の角度を平面鏡(42)の角度が-45°になるよう調整すると、被施術者の観察領域をプローブ(50)の左側に配置することができる。それと同じように、図4(c)のように透明超音波センサーと光軸の角度を平面鏡(42)の角度が+45°になるよう調整すると、被施術者の観察領域をプローブ(50)の右側に配置することができる。
【0047】
図5図3で示した透明超音波センサーが結合した光音響検出器を含む光音響検出システムを示した図面である。
【0048】
図5に示したように、光音響検出システム(2)は、光源(10)と、関節式アーム(articulated arm)(32)と、光音響検出器のケース(42)と、波長変換系(60)と、光学系(40)と、透明超音波センサー(20)と、媒質(70)と、データ収集装置(80)および検出装置(90)とを含めて出来ている。
【0049】
光源(10)は前述したように、光の発振装置として、光媒介共振機レーザー(OPOレーザー)、液相色素レーザー、LED、LD、固形色素レーザー、アレキサンドライトレーザーなど、光音響現象を発生させることに適合した光を生成できる様々な光発振装置を広く含めている。この時、主にNd:YAGを使用した532nmの波長台域のレーザーがパンプレーザーとして使われる。
【0050】
関節式アーム(32)は光を伝達する通路として、光ファイバーまたは他の光の伝達系に代替して使用することができる。
【0051】
光音響検出器のケース(52)は前述したプローブ(50)に対応される。光源(10)から発振されたレーザーは、関節式アーム(32)を通して光音響検出器のケース(52)の内部に伝達される。光音響検出器のケース(52)は、波長変更系(60)と光学系(40)を含めている。本発明による光音響検出システム(2)の場合、光の経路と超音波の経路を一致させることによって、光音響検出器のケース(52)を施術者が片手に持って使用するのに適合な程度のサイズに小型化することができる。
【0052】
波長変換系(60)は、パンプレーザーの波長を変更するための構成要素である。光の波長を変更するための方法には様々なものがあり、この実施形態では波長変換系(60)としてDye rodを利用し光源(10)から532nmに発振されたレーザー光の波長を650nmに変更した。
【0053】
光学系(40)は光軸の進行経路を変更するための構成要素である。前述したように、光学系(40)は光源(10)で生成された光のサイズ、焦点、経路などを調整するため使われるもので、ビームエキスパンダー(beam expander)、鏡(mirror)、レンズ(lens)などの様々なものを使用することができる。光学系(40)を利用すると透明超音波センサー(20)を正面だけではなく、様々な角度に位置させることができ、さらに効率的な検出が可能になる。光学系(40)は必須的な要素ではないので、場合によっては省略することがある。
【0054】
透明超音波センサー(20)は前述したように光源(10)で生成された光が透過し、被施術者の観察領域に照射されるように、光透過性の素子で出来ている超音波センサーである。また、光音響の効果によって、観察領域に照射された光に対応し、観察領域で超音波が生成されると、この超音波を感知する役割をする。透明超音波センサー(20)は様々な周波数台域の焦点タイプ(focused type)や非焦点タイプ(unfocused type)の透明超音波センサーを広く使用することができる。また、用途や必要によって単一(Single)素子または配列(Array)素子の超音波センサーを使用することができる。
【0055】
媒質(70)は超音波を観察領域から高効率で透明超音波センサー(20)の方に伝達させる役割をする。媒質(70)は水または超音波ゼリー、超音波パッドなど、超音波を伝達する性質を持っていることで知られている様々な物質を含めているのが望ましい。
【0056】
データ収集装置(80)は、透明超音波センサー(20)に入力した観察領域からの光音響データを収集する装置である。
【0057】
データ収集装置(80)は透明超音波センサー(20)から有線または無線を通じてデータを受信する。
【0058】
検出装置(90)はデータ収集装置(80)に収集された観察領域からのデータを分析することによって、観察領域からの特定物質の検出有無を判断する。
【0059】
図6は透明超音波センサーの一例を示す分解斜視図である。
【0060】
図6に例示した透明超音波センサー(20)は丸い平面の形状を持っているが、これに限らない。
【0061】
透明超音波センサー(20)は右の方から保護層(211)、保護層(211)の後ろに位置する音響レンズ部(213)、整合部(213)の後ろに位置する圧電部(215)、圧電部(215)と連結されている第1及び第2ハウジング(2171,2173)、圧電部(215)の後に位置する後面層(216)、第1及び第2ハウジング(2171,2173)の間に位置する絶縁部(218)、そして第2ハウジング(2173)の後ろに位置する補正レンズ部(219)を備えてもよい。
【0062】
保護層(211)は透明超音波センサー(220)を物理的及び電気的に保護し、超音波信号を照射しようとする媒質、即ちサンプル(A)との音響インピーダンス(acoustic impedance)の差を縮めるためのものである。従って、保護層(211)は保護技能を備え、液体(例、水)と生体の間の音響インピーダンスマッチングを実施する整合層として動作することができる。
【0063】
このような保護層(211)は透明な物質でできていてもよい。一例として、保護層(211)は透明なポリマー(polymer)であるパリレン(parylene)を含有することができる。
【0064】
本形態において、保護層(211)の音響インピーダンスは約2.84Mraylであっても良い。
【0065】
このような保護層(211)は圧電部(215)の前面または側面と透明超音波センサー(20)の縁に位置している第2ハウジング(2173)の側面に位置することができる。
【0066】
従って保護層(211)は結局、透明超音波センサー(20)の前面と側面を構成することができる。
【0067】
保護層(211)の後ろに位置する整合部(213)は圧電部(215)から発生される超音波信号を照射しようとする媒質、即ちサンプル(A)との音響インピーダンス(acoustic impedance)の差異を縮めるためのものである。
【0068】
即ち、圧電部(215)の動作のため超音波信号が生成される時、空気ではない水、生体組織または他の媒質内で効率的に超音波信号を伝達するためには、当該媒質の音響インピーダンスを最大限調整することで、超音波エネルギーの損失を最小化することができる。
【0069】
本形態の整合部(213)のそれぞれの音響レンズは光と超音波信号の焦点調整が可能な音響レンズを利用したフォーカシング・タイプ(focused type)でもよい。
【0070】
このように、整合部(213)が焦点調整機能を備えているため、サンプル(A)により反射され透明超音波センサー(20)に入射される超音波信号は、正確に圧電部(215)の意図した位置につくようになる。
【0071】
従ってこのような整合部(213)の焦点調整機能によって、圧電部(215)から出力される超音波信号によって獲得される超音波映像の焦点調整が行われ、鮮明な超音波映像を獲得することができる。
【0072】
これにより、透明超音波センサー(20)の動作によって獲得される映像の鮮明度が向上し、超音波信号が照射されたサンプル(A)の、意図していた部位に対する鮮明な映像を獲得がされる。
【0073】
また、整合部(213)で音響レンズを利用するので、表面の屈曲が一定で表面の透明度が上がり、サンプル(A)に照射されたり、サンプル(A)から反射される超音波信号の送受信時の超音波信号の損失量を削減できる。
【0074】
また、必要によって整合部(213)に追加的な透過膜や遮断膜を形成し、意図した波長帯の信号のみを透過させたり遮断することができる。
【0075】
整合部(213)に備えられた音響レンズは透明な硝子類、透明なエポキシ類および透明なシリコン類のうち、少なくとも一つでできていてもよい。
【0076】
このような音響レンズは、音響レンズの機能によって選択することができる。
【0077】
例えば、音響レンズが音響インピーダンスの整合機能を実施する整合層として機能する場合、圧電部(215)に備えられた圧電物質がPVDFやPVDF-TrFEなどのポリマー(polymer)形態ではない場合は、音響レンズを硝子類で製作することがより望ましい。
【0078】
即ち、圧電物質がLNO(lithium niobite)やPMN-PTでできている場合、音響インピーダンスが30~40Mraylsと高いが、ガラス類の場合10~15Mraylsと低く、音響インピーダンスマッチングに容易な音響インピーダンス数値を持つだけでなく、透明度がとても優れているので、圧電物質がポリマー形態ではない場合は、音響レンズを硝子類で製作することができる。
【0079】
しかし、音響インピーダンスの整合機能を担う整合層が既に製作されている場合、音響レンズは透明なエポキシ類や透明なシリコン類で製作することができる。
【0080】
即ち、おおよそ30~40Mraylsの音響インピーダンスを持つ圧電物質とおおよそ1~2Mraylsの音響インピーダンスを持つ生体組織や水(即ち、超音波を照射しようとする媒質)の間に整合機能を遂行する整合層(おおよそ7~20Mrayls)が既に存在していると、別途の音響インピーダンスマッチング動作が要らないので、生体組織や水と似ている音響インピーダンスを持っているエポキシ類やシリコン類(おおよそ1~3Mrayls)が適切である。即ち、エポキシ類とシリコン類の音響インピーダンスは生体組織や水とほぼ同じ音響インピーダンスを持っているため、別途の音響インピーダンスマッチングが不要なためである。
【0081】
また、音速(speed of sound)と音響レンズの材料に対する音速を考慮し、音響レンズの曲面に対する曲率と凹か凸か決めることができる。
【0082】
例えば、音響レンズをガラス類で製作する場合、光学レンズを使用することができる。ここで、ガラス類は水より光速が速いので平凹(plano-concave)のような凹形状の音響レンズを設計することがある。
【0083】
音響レンズが透明なエポキシ類で製作される場合、1次的に製作された音響レンズに研磨工程を実施し、最大限透明度を引き上げ最終的な音響レンズを完成すべきである。このように、音響レンズがエポキシ類でできている場合も、エポキシ類が水より光速が早いので、音響レンズもやはり平凹形状で製作されることができる。
【0084】
音響レンズが透明なシリコン類で製作される場合も、エポキシ類の場合と同様に別途の研磨工程を実施し完成された音響レンズを最大限向上させるべきである。この場合、シリコン類は水より光速が遅いので硝子類とエポキシ類の場合とは異なり、音響レンズは平凸(plano-convex)形態のように凸形状で製作することができる。このように、音響レンズが平凸形状で製作される場合、音響レンズは光を集める機能を持つことができる。
【0085】
圧電部(215)は、圧電層(2151)、圧電層(2151)の後面と前面にそれぞれ位置する第1や第2電極層(2153,2155)を備えることができる。
【0086】
圧電層(2151)は圧電効果及び逆圧電効果が発生する層であって、前述したように、LNO(lithium niobite)、PMN-PT、PVDF及びPVDF-TrFEのうち、少なくとも一つの圧電物質を含有することができる。
【0087】
LNOの電気機械結合係数(electromechanical coupling coefficient)は約0.49で、極めて高いため、その分、電気-機械のエネルギー変換効率にとても優れている。
【0088】
また、LNOは誘電率(dielectric permittivity)が低いため、圧電層(2151)がLNOでできている場合、大きな開口部を持つ単一素子トランスデューサー(large aperture single element transducer)に透明超音波センサーの使用することが望ましい。
【0089】
また、LNOはキュリー温度(Curie temperature)が高いため高温でよく耐えるので、耐熱性の良好な透明超音波センサー(20)の開発が可能になる。
これに加え、圧電層(2151)をLNOで形成する場合、10乃至400MHzの中心周波数を持つ単一素子の超音波センサーの開発も容易になる場合がある。
【0090】
圧電層(2151)がPMN-PTを含有する場合、PMN-PTの圧電性能(piezoelectric performance)(d33~1500-2800 pC/n)及び電気機械結合係数(k>0.9)が極めて高いので、透明超音波センサー(20)の性能を向上する。
【0091】
このようなPMN-PTはLNOとは異なり誘電率が高いので、小口径の単一またはアレイ超音波センサー(small aperture single or array ultrasound transducer)に適合する透明超音波センサー(20)の開発が用意になる。
【0092】
また、圧電層(2151)がPVDF及びPVDF-TrFEのうち、少なくとも一つを含有する場合、次のような特徴を持つことができる。
【0093】
PVDF及びPVDF-TrFEはポリマー膜(Polymer film)の形態を持ち、可撓性(flexible)を持っていて伸長可能(stretchable)な圧電層(2151)の製作が可能になり、これによって圧電層(2151)の厚みを削減することができるので、薄くなった厚みの分、約100MHz帯の高い周波数帯域の信号のため透明超音波センサー(20)の製作が可能である。
【0094】
またPVDF及びPVDF-TrFEは比較的に低い電気機械結合係数と高い受信常数(receiving constant)を持ち、他の圧電物質に比べ広い帯域幅を持っていて、単一素子やアレイ形態の素子、両方の製作が容易になる。
【0095】
ここで単一素子(例えば、単一超音波センサー)は圧電物質を含むすべての構成要素の数が1個の超音波センサーを意味することができる。また、アレイ形態の素子(例えば、アレイ超音波センサー)は圧電物質を含むすべての構成要素の数が複数個(n個)である超音波センサーである場合があり、一般的に病院でよく使用される形で構成されることができる。この時の形状はリニア(linear)形状、凸(convex)形状、2Dマトリックス(matrix)などであることが望ましい。
【0096】
本形態の場合、PMN-PTと同様に小口径の単一またはアレイ超音波センサー、両方の製作が可能である。
【0097】
このような圧電層(2151)の物質特徴は次の[表1]のように要約することができる。
【0098】
【表1】
【0099】
圧電層(2151)の前面と後面にそれぞれ位置する第1及び第2電極層(2153,2155)は図面に表示していない駆動信号の発生器から(+)駆動信号と(-)駆動信号をそれぞれ受信し、圧電層(2151)に逆圧電効果を発揮して、超音波信号がサンプル(A)の方に伝達されるようにし、逆にサンプル(A)によって反射され受信される超音波信号による圧電層(2151)の圧電効果によって生成される電気信号を受信し、外部に出力できるようにする。このような第1及び第2電極層(2153,2155)は前述したように透明な導電性物質で構成されることができて、例えばAgNW(銀ナノワイヤ)、ITO、炭素ナノチューブ及びグラフィン(graphene)のうち、少なくとも一つを含有することができる。
【0100】
第1ハウジング(2171)及び第2ハウジング(2173)との容易な結合のため、第1電極層(2153)の大きさと第2電極層(2155)の大きさは互いに異なってもよい。
【0101】
従って、円形の平面形状を持つ第1及び第2電極層(2153,2155)で、第2電極層(2155)の直径は第1電極層(2153)の直径と異なり、第2電極層(2155)の一部(例、縁部)は、第1電極層(2153)の縁部から外部に導出されてもよい。
【0102】
圧電物質に電気的信号(例えば、パルス信号)を加えると圧電物質(即ち、圧電層(2151))が前後に振動し超音波信号を発生するが、サンプル(A)に向かっている圧電層(2151)の前面だけではなく、その反対側の後面からも超音波信号が発生する。
【0103】
ここで、後面から発生した超音波信号は、サンプル(A)に向かっていないので、このように後面から発生する超音波信号はノイズ信号として作用する。また、サンプル(A)に反射され戻ってくる超音波信号の一部は整合部(215)を通過し補正レンズ部(219)の方から出力されることが望ましい。
【0104】
従って、後面層(216)は圧電部(15)の後面に位置し、圧電部(215)の後面から発生する超音波信号を減衰させ、サンプル(A)によって反射される超音波信号を減衰させる役割を遂行できる。
【0105】
このように、後面層(216)が圧電部(215)の後面(即ち、反射される超音波信号が入射される圧電部(215)の前面の反対側に位置している面)に位置するので、入射される超音波信号は圧電部の後面を通過しなくなる。
【0106】
これによって、圧電部(215)の後面を通過する超音波信号による、不要な信号の干渉を防止し、圧電部(215)に反射される超音波信号の損失を防止し、リングダウン信号(ring down signal)を削減してリングダウン現象を減らすことができる。
【0107】
リングダウンとは、不要な信号が時間軸に長く垂れている現象で、映像生成に悪影響を与える要因である。
【0108】
従って、後面層(216)はこのようなリングダウン現象を削減するため音響インピーダンスと厚みのうち、少なくとも一つを調整し適切な後面層(216)を製作することができる。
【0109】
高い音響インピーダンスを持つ物質で後面層(216)を製作するとリングダウン現象が減り、時間軸でリングダウン現象が減少されることは、周波数領域で帯域幅が広くなるという意味と似ている。しかし、そのかわり超音波信号の送受信時、全体超音波信号の大きさもまた後面層(216)によって減衰される。
【0110】
逆に、相対的に低い音響インピーダンスを持つ物質で後面層(216)を製造するとリングダウン現象は大きく減少せず、帯域幅が減少するのだが、超音波信号の送受信量を増やすことができる。
【0111】
後面層(216)もやはり透明な非導電性物質でできているが、例えば透明なエポキシ類(例、Epotek301)または透明な硝子類でできている。
【0112】
後面層(216)がEpotek301でできている場合、音響インピーダンスが3.1Mraylの低い音響インピーダンスを持つと、低い信号減衰(damping)が行われ、透明超音波センサー(20)は比較的に高い信号の獲得が可能になる。
【0113】
また、Epotek301は380nm~2000nmの波長で約95%以上の極めて高い透明度を持っており、常温で硬化するため、後面層(216)の製造が容易である。
【0114】
後面層(216)が硝子でできている場合、透明度と平坦度が高く別途の硬化工程が不要である。
【0115】
硝子が約13Mraylの音響インピーダンスを持つ場合、後面層(216)から高い信号減衰作用でパルス長(pulse length)が縮み、リングダウン効果が減少するが透明超音波センサー(20)の周波数帯域幅を増加させる効果を発揮することがある。
【0116】
このような後面層(216)は必要により省略できる。
【0117】
第1ハウジング(2171)と第2ハウジング(2173)は、前述したように、それぞれ第1電極層(2153)と第2電極層(2155)に連結されている。従って、このような第1ハウジング(2171)と第2ハウジング(2173)は電気信号の伝達が行われる導電性物質(例えば、銅)を含有する透明な導電性物質でできていてもよい。
【0118】
従って、第1ハウジング(2171)は第1信号線(L1:図面に示してない)を通じて当該信号を受信し第1電極層(2153)に伝達し、逆に第1電極層(2153)から印加された信号を第1信号線(L1)から出力できる。
【0119】
第2ハウジング(2173)も第1信号線(L1)とは別の信号線である第2信号線(L2:図面に示してない)を通じて当該信号を受信し第2電極層(2155)に伝達して、それとは逆に第2電極層(2155)から印加される信号を第2信号線(L2)から出力できる。
【0120】
本形態で、第1信号線(L1)に入力される信号はパルス信号である場合もあり、第2信号線(L2)に流入される信号が接地信号かシールド信号(-)である場合もあり、第1ハウジング(2171)はパルス信号を第1電極層(2153)に伝達し、第2ハウジング(2173)は接地信号を第2電極層(2155)に伝達することができる。
【0121】
このような第1ハウジング(2171)と第2ハウジング(2173)は、リング(ring)の形状を持っていて、それぞれが接している当該電極層(2153,2155)の縁部、即ち円形の側面と接するように位置することができる。
【0122】
即ち、第1ハウジング(2171)と第2ハウジング(2173)の内部の空いている空間の中に、第1電極層(2153)と第2電極層(2155)が挿入され装着されることが望ましい。
【0123】
従って、第1ハウジング(2171)と第2ハウジング(2173)は透明超音波センサー(20)が実際アクティブ領域(図示せず)に周りから囲むように位置し、第1と第2ハウジング(2171,2173)、実質的には第1ハウジング(2171)によるアクティブ領域(図示せず)の減少を最小化することができる。
【0124】
このように第1ハウジング(2171)と第2ハウジング(2173)は、電気信号を当該電極層(2153,2155)に伝達する役割を遂行するので、伝導性が良好な物質を含有できる。
【0125】
第1ハウジング(2171)は光の受信が行われる圧電層(2151)の後面全体に位置している第1電極層(2151)の縁部(即ち、へり部)に位置するので、最大限薄い幅(W11)を持つものがよく、配線抵抗などによる信号の損失率を最小化するため最大限厚い厚みを持つものが望ましい。
【0126】
第2ハウジング(2173)は第1電極層(2153)より大きな直径を持つ第2電極層(2155)と結合するので、第1ハウジング(2171)より大きな直径を持っている。
【0127】
また、第2ハウジング(2173)は第1ハウジング(2171)より外郭に位置し、透明超音波センサー(20)を保護する役割を遂行するので、第1ハウジング(2171)の幅と厚みより大きな幅と厚みを持つことができる。
【0128】
従って、第2ハウジング(2173)内に第1電極層(2153)と第1ハウジング(2171)が位置することができる。
【0129】
また、前述したように、外部に露出する第2ハウジング(2173)の外側面は保護層(211)で覆われていて、ノイズ信号が第2ハウジング(2173)を通じて透明超音波センサー(20)に流入できないようにする。
第2ハウジング(2173)は圧電層(2151)の光受信面積に影響を及ぼさないので、大きさは必要によって増加させることができる。
【0130】
また、第2ハウジング(2173)にネジ線かコネクターなどを形成し、第2ハウジング(2173)に、意図した光学部品を結合することができる。この場合、第2ハウジング(2173)は他の部品との結合するための結合部として機能することができる。
【0131】
絶縁部(218)はそれぞれ該当する電気信号を該当の電極層(2153,2155)に伝達する第1ハウジング(2171)と第2ハウジング(2173)の間に当該ハウジング(2171,2173)と接して位置し、第1ハウジング(2171)と第2ハウジング(2173)を絶縁し、電気的な短絡やショート(short)を防止できるようにし、第1ハウジング(2171)と第2ハウジング(2173)の位置を固定する役割をすることができる。
【0132】
このような絶縁部(218)は非伝導性のエポキシのように透明な絶縁物質で構成できる。整合部(213)が一つの例として、平凹(plano-concave)な形状の音響レンズを使用する場合、サンプル(A)から反射され入射される光と超音波信号は整合部(213)の音響レンズによって焦点が調整されるが、整合部(213)を通過した後は光拡散現象が発生する場合がある。
【0133】
従って、整合部(213)に使用された音響レンズの形状と反対の平凸(plano-convex)な形状の補正レンズ部(219)を後面層(217)の前に位置させ、このような光の屈折現象を補償し光拡散現象を防止することができる。
【0134】
この時、補正レンズ部(219)の曲率は最終的に光をどの位置に位置させるのかによって選択的に使用することができる。
【0135】
このように、補正レンズ部(219)は超音波信号の焦点に関係なく光の焦点にだけ影響するが、整合部(213)の音響レンズは超音波信号の焦点と光の焦点、両方に影響を及ぼすことができる。
【0136】
このような補正レンズ部(219)は必要に応じて省略でき、また、補正レンズ部(219)を変形し光の焦点距離を調整することができる。
【0137】
また、補正レンズ部(219)は反射され受信される超音波信号の焦点と光の焦点を同時に調整する共焦点機能を持つことができる。しかし、補正レンズ部(219)が共焦点機能を持つ場合、透明超音波センサー(20)を通過する前の光の形状を考慮し補正レンズ部(219)を設計すべきである。
【0138】
本形態で、補正レンズ(219)は1枚のレンズを備えるが、これに限らず、平凸レンズと同じ一枚のレンズ以外にも数次補正のためレンズを追加的に備え、複数枚のレンズを備えることができる。
【0139】
このような構造を持つ透明超音波センサー(20)のアクティブ領域(AR1)に位置する全ての構成要素が光の透過が行われる透明な材料でできている場合、透明超音波センサー(20)の特徴は次のようである。
【0140】
まず、整合部(213)の動作によって光学インピーダンスマッチング、即ち整合が行われるので、透明超音波センサー(20)から出力される信号の信頼性が向上する。
【0141】
また、整合部(213)に使われた焦点調整機能を備えた音響レンズの使用により、サンプル(A)によって反射される光と超音波信号の焦点調整ができ、圧電部の正確に意図した位置に光と超音波信号がつくようになる。これによって、透明超音波センサー(20)から出力される信号により獲得される超音波映像の鮮明度が大きく向上し、当該サンプル(A)の存在可否だけではなく、感知されたサンプル(A)の正確な形状も把握できるようになる。
【0142】
また、前述したように、透明超音波センサー(20)を構成する構成要素(例、211-216,219)が透明なガラス類、透明なエポキシ類、透明なシリコン類のように全て透明な材料でできているので、光源(10)から出力される光は直ちに透明超音波センサー(20)を通過して当該サンプル(A)の方へ照射することができる。
【0143】
これによって、透明超音波センサー(20)を備えた光学システムの配置が自由になり、光学システムが設置される空間の活用度が向上する。
【0144】
また、使用者の必要に応じて補正レンズ部(219)を選択的に使用することができ、補正レンズ部(219)を変更し光の焦点距離を調整することができる。
【0145】
また、使用者の必要に応じて音響レンズとして400-1000nm用コーティングをした平凹形状の光学レンズが使用される場合、400-1000nmで光の透過がよく行われ、超音波映像の鮮明度が向上する。具体的なコーティング技法及び厚みなどは必要に応じる範囲で従来の知られていたコーティング技法を広く適用することができ、光学レンズ表面のコーティングは省略することができる。
【0146】
平凹形状の光学レンズを利用した音響レンズ(213)で使用される場合、音響レンズによる光拡散現象は発生するが、補正レンズ部(219)による光拡散現象が補完され、意図する地点に光の焦点を調整できる。このように、補償レンズの使用によって音響レンズの選択の幅を広げることができる。
【0147】
このような音響レンズ(213)と補正レンズ部(219)による焦点調整によって、光の形状(shape)が維持され、これにより微細なフォーカスが維持されるので高解像度の光学映像(例えば、光音響映像や光干渉断層撮影映像)が獲得できる。
【0148】
また、透明超音波センサー(20)のハウジングを構成する第1や第2ハウジング(2171,2173)にそれぞれ第1と第2信号線(L1,L2)を連結し、透明超音波センサー(20)の第1と第2電極(2153,2155)への電気信号を印加するので、信号線(L1,L2)の連結を用意に実施することができる。
【0149】
さらに、外側ハウジングである第2ハウジング(2173)にネジ線などを形成し、他の光学素子との連結や結合を用意にすることができる。このように、光源から出射される光の経路と全然無関係な部分に位置している第2ハウジング(2173)に必要な光学素子の結合が行われるので、光は正常に損失なく透明超音波センサー(20)の圧電部(215)に入射され、また透明超音波センサー(20)の中心を法線方向に通過するので、光と超音波信号との整列が用意に行われる。
【0150】
ここで垂直の意味は、光が透明超音波センサー(例えば、透明超音波センサー)の入射面と垂直になる方向に直進するという意味でもよい。
【0151】
このように、垂直に光を超音波センサーに入射させる場合、光と超音波信号の焦点位置が正確に一致する場合があり、透明超音波センサーから得られる映像の鮮明度はさらに向上する。
【0152】
前述したように、空気と媒質間の音響インピーダンスの差異による媒質内での超音波エネルギーを最小化するための整合層が存在することが望ましい。
このような整合層は1つ以上あってもよい。
【0153】
比較例として、このような整合層の形成は下記のように行われるのが望ましい。
【0154】
超音波信号の媒質が水か生体組織(1.5Mrayl)で 、圧電層がLNO(34.5Mrayl)またはPMN-PT(37.1Mrayl)の場合、超音波エネルギーの送受信効率を最大化するため音響インピーダンスのマッチングが必要である。この場合、37.1Mrayl~1.5Mraylの間にある物質で、1つ以上の整合層が必要な場合がある。
【0155】
ここで、KLM simulation tool(PiezoCAD, PZFLEXなど)を利用して特定マッチング層を生成した場合、水や生体組織から伝達される超音波信号の波形をシミュレーションを通じて確認し、適切な整合層の物質を探す必要があり、生成された整合層の厚みも超音波の波形に影響するので、整合層の厚みを調整し適切な厚みを探すべきである。理論的に波動エネルギーの損失を最小にする厚みは、波動の方程式によって意図したλ/4の厚みで最小損失になる(c=λ*f、℃:speed of sound 約1480m/s、λ:波長、f:意図した中心周波数)。
【0156】
通常の超音波センサーでは、よくシルバーパウダー(silver powder)とエポキシ(epoxy)の混合物(7.9Mrayl)で最初の整合層を生成する。この時、シルバーパウダーとエポキシの混合比率によって音響インピーダンスの調整が可能で、その一例としてシルバーパウダー:エポキシ=3:1.25がある。
【0157】
その後、パリレン(2.8Mrayl)コーティングを通じて第2整合層を生成することができる。
【0158】
圧電層がPVDF及びPVDF-TrFEである場合(約4Mrayl)は、パリレンコーティングだけを使って、1つの整合層を生成することができる。ここでパリレンコーティングによって形成された整合層は、整合層の役割だけでなく外部からの保護及び絶縁の役割も遂行できる。
【0159】
しかし、本形態による透明超音波センサー(20)の場合は、アクティブ領域(AR1)に位置する構成要素(例、211-216,219)が透明であるので、圧電層を構成するLNOやPMN-PTの場合、硝子を利用して整合層(213)を生成することができる。この時、硝子の原材料(例:borosilicate glass=13Mrayl、Crown glass=14.2Mrayl、Quartz=14.5Mrayl,plate glass=10.7Mrayl,sodalime glass=13Mrayl)によって少しずつ異なるため、意図にあう硝子を適切に選択し使用することができる。
【0160】
その後、第2整合層(例:2~6Mraly)は透明なエポキシ類かシリコン類(例、PDMS)を使用して生成することができ、第3整合層はパリレンコーティング利用し生成することができる。ここで、第2整合層の生成は省き、パリレンコーティングを利用して第1整合層(例、213)の上に直接第2整合層(例、211)を形成することができる。この場合も、KLMシミュレーションの結果、シミュレーションの波形を利用し意図する整合層生成することができる。
【0161】
本形態による透明超音波センサー(20)では、一例としてborosilicateで制作された光学レンズを第1整合層として使用し、パリレンコーティングを利用して第1整合層の上に第2整合層を形成、音響インピーダンスマッチングと外部からの保護や信号絶縁ができる。
【0162】
前述したように、この光学レンズは音響インピーダンスのマッチング機能だけではなく、圧電層から発生した超音波信号を集束、即ちフォーカシングする役割も遂行できる。
【0163】
透明超音波センサー(20)は主に映像を獲得する用途で使用されていたので、超音波の集束は高い解像度や高い敏感度(sensitivity)大きな影響を及ぼす要素である。
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図5
図6