(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】通信制御装置、通信制御方法、通信制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/26 20090101AFI20241204BHJP
H04W 84/00 20090101ALI20241204BHJP
【FI】
H04W16/26
H04W84/00 110
(21)【出願番号】P 2023559330
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 JP2021041638
(87)【国際公開番号】W WO2023084719
(87)【国際公開日】2023-05-19
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】319010088
【氏名又は名称】楽天モバイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】青柳 健一郎
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-526915(JP,A)
【文献】特開2016-076960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と通信して当該基地局が提供する通信セルを拡張可能な中継局の移動に関する移動情報を取得する移動情報取得部と、
前記移動情報に基づいて、移動中の前記中継局に拡張させるべき通信セルを選択する拡張セル選択部と、
前記選択された通信セルを提供する基地局に前記中継局を接続する接続制御部と、
を備え
、
前記通信セルは、地上に設置される地上基地局が地上に提供する地上通信セルおよび飛行する非地上基地局が地上に提供する非地上通信セルを含み、
前記中継局が、前記地上通信セルおよび前記非地上通信セルの両方を拡張可能な位置にある場合、前記拡張セル選択部は、移動中の前記中継局に拡張させるべき通信セルとして前記非地上通信セルを選択する、
通信制御装置。
【請求項2】
前記中継局は、移動可能な移動体に取り付けられる、請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記移動情報は、前記中継局の移動経路、当該移動経路上の各位置への前記中継局の到着時刻、当該移動経路上の渋滞状況、前記中継局の移動速度、前記中継局の移動方向、前記中継局の現在位置の少なくともいずれかを含む、請求項1または2に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記基地局と通信する通信機、前記中継局、他の中継局の少なくともいずれかの活動履歴情報を収集する活動履歴情報収集部を更に備え、
前記移動情報取得部は、前記活動履歴情報に基づいて前記中継局の移動情報を推定する、
請求項1から3のいずれかに記載の通信制御装置。
【請求項5】
複数の通信セルの配置に関するセル配置情報を取得するセル配置情報取得部を更に備え、
前記拡張セル選択部は、前記移動情報および前記セル配置情報に基づいて、移動中の前記中継局に拡張させるべき通信セルを選択する、
請求項1から4のいずれかに記載の通信制御装置。
【請求項6】
通信セルの通信品質情報を取得するセル通信品質情報取得部を更に備え、
前記拡張セル選択部は、前記移動情報および前記通信品質情報に基づいて、移動中の前記中継局に拡張させるべき通信セルを選択する、
請求項1から5のいずれかに記載の通信制御装置。
【請求項7】
通信セルの拡張制限に関するセル拡張制限情報を取得するセル拡張制限情報取得部を更に備え、
前記拡張セル選択部は、前記移動情報および前記セル拡張制限情報に基づいて、移動中の前記中継局に拡張させるべき通信セルを選択する、
請求項1から6のいずれかに記載の通信制御装置。
【請求項8】
前記非地上基地局は宇宙空間を飛行する通信衛星である、請求項
1から7のいずれかに記載の通信制御装置。
【請求項9】
基地局と通信して当該基地局が提供する通信セルを拡張可能な中継局の移動に関する移動情報を取得する移動情報取得ステップと、
前記移動情報に基づいて、移動中の前記中継局に拡張させるべき通信セルを選択する拡張セル選択ステップと、
前記選択された通信セルを提供する基地局に前記中継局を接続する接続制御ステップと、
を備え
、
前記通信セルは、地上に設置される地上基地局が地上に提供する地上通信セルおよび飛行する非地上基地局が地上に提供する非地上通信セルを含み、
前記中継局が、前記地上通信セルおよび前記非地上通信セルの両方を拡張可能な位置にある場合、前記拡張セル選択ステップは、移動中の前記中継局に拡張させるべき通信セルとして前記非地上通信セルを選択する、
通信制御方法。
【請求項10】
基地局と通信して当該基地局が提供する通信セルを拡張可能な中継局の移動に関する移動情報を取得する移動情報取得ステップと、
前記移動情報に基づいて、移動中の前記中継局に拡張させるべき通信セルを選択する拡張セル選択ステップと、
前記選択された通信セルを提供する基地局に前記中継局を接続する接続制御ステップと、
をコンピュータに実行させ
、
前記通信セルは、地上に設置される地上基地局が地上に提供する地上通信セルおよび飛行する非地上基地局が地上に提供する非地上通信セルを含み、
前記中継局が、前記地上通信セルおよび前記非地上通信セルの両方を拡張可能な位置にある場合、前記拡張セル選択ステップは、移動中の前記中継局に拡張させるべき通信セルとして前記非地上通信セルを選択する、
通信制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムにおける通信制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやIoT(Internet of Things)デバイスに代表される無線通信デバイスの数、種類、用途は増加の一途を辿っており、無線通信規格の拡張や改善が続けられている。例えば「5G」として知られる第5世代移動通信システムの商用サービスは2018年に開始したが、現在も3GPP(Third Generation Partnership Project)で規格策定が進められている。また、5Gに続く次世代の無線通信規格としての「6G」または第6世代移動通信システムの規格策定に向けた取り組みも始まっている。
【0003】
スマートフォンや携帯電話等の携帯通信機器(以下では通信機と総称する)向けの移動通信(以下ではモバイル通信ともいう)ネットワークは、地上に設置される基地局(以下では地上基地局ともいう)が提供する通信セル(以下では地上通信セルともいう)によって構築されるのが一般的であった。しかし、地上通信セル外ではモバイル通信ができず、地上通信セル内であっても時間や場所によってはモバイル通信の品質が低下してしまうという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、地上基地局と通信して地上通信セルを拡張可能な中継局が用いられる。中継局の近傍にいる通信機は、地上基地局と直接的に通信できない場合であっても、中継局を介して地上基地局と間接的に通信できる。すなわち、中継局は地上基地局と通信機の間で通信電波を中継する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の中継局の多くは地上の所定位置に固定的に設置されているため、無線通信システムの構成を柔軟に変えるのが困難であった。そこで、中継局を移動可能とすることも考えられるが、移動中の中継局は地上に配置されている多くの通信セルを通過するため、拡張する必要性の高い通信セルが拡張されずに拡張する必要性の低い通信セルが拡張されてしまう可能性がある。
【0007】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、移動中の中継局が適切な通信セルを拡張できる通信制御装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の通信制御装置は、基地局と通信して当該基地局が提供する通信セルを拡張可能な中継局の移動に関する移動情報を取得する移動情報取得部と、移動情報に基づいて、移動中の中継局に拡張させるべき通信セルを選択する拡張セル選択部と、選択された通信セルを提供する基地局に中継局を接続する接続制御部と、を備える。
【0009】
この態様では、中継局の移動情報に基づいて拡張させるべき通信セルが選択されるため、移動中の中継局が適切な通信セルを拡張できる。
【0010】
本発明の別の態様は、通信制御方法である。この方法は、基地局と通信して当該基地局が提供する通信セルを拡張可能な中継局の移動に関する移動情報を取得する移動情報取得ステップと、移動情報に基づいて、移動中の中継局に拡張させるべき通信セルを選択する拡張セル選択ステップと、選択された通信セルを提供する基地局に中継局を接続する接続制御ステップと、を備える。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、移動中の中継局が適切な通信セルを拡張できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】通信制御装置が適用される無線通信システムの概要を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る通信制御装置が適用される無線通信システム1の概要を模式的に示す。無線通信システム1は、無線アクセス技術(RAT: Radio Access Technology)としてNR(New Radio)または5G NR(Fifth Generation New Radio)を使用し、コアネットワーク(CN:Core Network)として5GC(Fifth Generation Core)を使用する第5世代移動通信システム(5G)に準拠する5G無線通信システム11と、無線アクセス技術としてLTE(Long Term Evolution)やLTE-Advancedを使用し、コアネットワークとしてEPC(Evolved Packet Core)を使用する第4世代移動通信システム(4G)に準拠する4G無線通信システム12と、通信衛星131を介した衛星通信を担う衛星通信システム13を含む。図示は省略するが、無線通信システム1は、4Gより前の世代の無線通信システムを含んでもよいし、5Gより後の世代(6G等)の無線通信システムを含んでもよいし、Wi-Fi(登録商標)等の世代と関係づけられない任意の無線通信システムを含んでもよい。
【0015】
5G無線通信システム11は、地上に設置されてUE(User Equipment)とも呼ばれるスマートフォン等の通信機2A、2B、2C、2D(以下では通信機2と総称することがある)と5G NRによって通信可能な複数の5G基地局111A、111B、111C(以下では5G基地局111と総称することがある)を含む。5Gにおける基地局111はgNodeB(gNB)とも呼ばれる。各5G基地局111A、111B、111Cの通信可能範囲またはサポート範囲はセルと呼ばれ、それぞれ112A、112B、112C(以下では5Gセル112と総称することがある)として図示される。
【0016】
各5G基地局111の5Gセル112の大きさは任意であるが、典型的には半径数メートルから数十キロメートルである。確立した定義はないものの、半径数メートルから十メートルのセルはフェムトセルと呼ばれ、半径十メートルから数十メートルのセルはピコセルと呼ばれ、半径数十メートルから数百メートルのセルはマイクロセルと呼ばれ、半径数100メートルを超えるセルはマクロセルと呼ばれることがある。5Gではミリ波等の高い周波数の電波が使用されることも多く、直進性の高さ故に電波が障害物に遮られて通信可能距離が短くなる。このため、5Gでは4G以前の世代に比べて小さいセルが多用される傾向がある。
【0017】
通信機2は、複数の5Gセル112A、112B、112Cの少なくとも一つの内部にあれば、5G通信を行える。図示の例では、5Gセル112Aおよび112B内にある通信機2Bは、5G基地局111Aおよび111Bのいずれとも5G NRによって通信可能である。また、5Gセル112C内にある通信機2Cは、5G基地局111Cと5G NRによって通信可能である。通信機2Aおよび2Dは、全ての5Gセル112A、112B、112Cの外にあるため、5G NRによる通信ができない状態にある。各通信機2と各5G基地局111の間の5G NRによる5G通信は、コアネットワークである5GCによって管理される。例えば、5GCは、各5G基地局111との間のデータの授受、EPC、衛星通信システム13、インターネット等の外部ネットワークとの間のデータの授受、通信機2の移動管理等を行う。
【0018】
4G無線通信システム12は、地上に設置されて通信機2とLTEやLTE-Advancedによって通信可能な複数の4G基地局121(
図1では一つのみを示す)を含む。4Gにおける基地局121はeNodeB(eNB)とも呼ばれる。各5G基地局111と同様に、各4G基地局121の通信可能範囲またはサポート範囲もセルと呼ばれ122として図示される。
【0019】
通信機2は4Gセル122の内部にあれば4G通信を行える。図示の例では、4Gセル122内にある通信機2Aおよび2Bは、4G基地局121とLTEやLTE-Advancedによって通信可能である。通信機2Cおよび2Dは、4Gセル122の外にあるため、LTEやLTE-Advancedによる通信ができない状態にある。各通信機2と各4G基地局121の間のLTEやLTE-Advancedによる4G通信は、コアネットワークであるEPCによって管理される。例えば、EPCは、各4G基地局121との間のデータの授受、5GC、衛星通信システム13、インターネット等の外部ネットワークとの間のデータの授受、通信機2の移動管理等を行う。
【0020】
各通信機2A、2B、2C、2Dに着目すると、図示の例では、通信機2Aは4G基地局121との4G通信が可能な状態にあり、通信機2Bは5G基地局111A、111Bとの5G通信および4G基地局121との4G通信が可能な状態にあり、通信機2Cは5G基地局111Cとの5G通信が可能な状態にある。通信機2Bのように通信可能な基地局(111A、111B、121)が複数ある場合は、コアネットワークである5GCおよび/またはEPCによる管理の下、通信品質等の観点で最適と判断された一つの基地局が選択されて通信機2Bとの通信を行う。また、通信機2Dはいずれの5G基地局111および4G基地局121とも通信が可能な状態にないため、次に説明する衛星通信システム13による通信を行う。
【0021】
衛星通信システム13は、地表から500km~700km程度の高さの低軌道の宇宙空間を飛行する低軌道衛星としての通信衛星131を非地上基地局として用いる無線通信システムである。5G基地局111および4G基地局121と同様に、通信衛星131の通信可能範囲またはサポート範囲もセルと呼ばれ132として図示される。このように、非地上基地局としての通信衛星131は、非地上通信セルとしての衛星通信セル132を地上に提供する。地上の通信機2は衛星通信セル132の内部にあれば衛星通信を行える。5G無線通信システム11における5G基地局111および4G無線通信システム12における4G基地局121と同様に、衛星通信システム13における基地局としての通信衛星131は、衛星通信セル132内の通信機2と直接的にまたは航空機等を介して間接的に無線通信可能である。通信衛星131が衛星通信セル132内の通信機2との無線通信に使用する無線アクセス技術は、5G基地局111と同じ5G NRでもよいし、4G基地局121と同じLTEやLTE-Advancedでもよいし、通信機2が使用可能な任意の他の無線アクセス技術でもよい。このため、通信機2には衛星通信のための特別な機能や部品を設けなくてもよい。
【0022】
衛星通信システム13は、地上に設置されて通信衛星131と通信可能な地上局としてのゲートウェイ133を備える。ゲートウェイ133は、通信衛星131と通信するための衛星アンテナを備え、地上系ネットワーク(TN:Terrestrial Network)を構成する地上基地局としての5G基地局111および4G基地局121と接続されている。このように、ゲートウェイ133は、非地上基地局または衛星基地局としての通信衛星131によって構成される非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)と地上基地局111、121によって構成されるTNを相互通信可能に接続する。通信衛星131が5G NRによって衛星通信セル132内の通信機2と5G通信する場合は、ゲートウェイ133およびTNにおける5G基地局111(または5G無線アクセスネットワーク)を介して接続される5GCをコアネットワークとして利用し、通信衛星131がLTEやLTE-Advancedによって衛星通信セル132内の通信機2と4G通信する場合は、ゲートウェイ133およびTNにおける4G基地局121(または4G無線アクセスネットワーク)を介して接続されるEPCをコアネットワークとして利用する。このように、ゲートウェイ133を介して5G通信、4G通信、衛星通信等の異なる無線通信システムの間で適切な連携が取られる。
【0023】
通信衛星131による衛星通信は、主に、5G基地局111や4G基地局121等の地上基地局が設けられないまたは少ない地域をカバーするために利用される。図示の例では、全ての地上基地局の通信セル外にいる通信機2Dが通信衛星131と通信する。一方、いずれかの地上基地局と良好に通信できる状態にある通信機2A、2B、2Cも、衛星通信セル132内にいるため通信衛星131と通信可能ではあるが、原則として衛星基地局としての通信衛星131ではなく地上基地局と通信を行うことで、通信衛星131の限られた通信リソース(電力を含む)が通信機2D等のために節約される。通信衛星131は、ビームフォーミングによって通信電波を衛星通信セル132内の通信機2Dに向けることで、通信機2Dとの通信品質を向上させる。
【0024】
衛星基地局としての通信衛星131の衛星通信セル132の大きさは、通信衛星131が発するビームの本数に応じて任意に設定することができ、例えば、最大2,800本のビームを組み合わせることで直径約24kmの衛星通信セル132を形成できる。図示されるように、衛星通信セル132は、典型的には5Gセル112や4Gセル122等の地上通信セルより大きく、その内部に一または複数の5Gセル112および/または4Gセル122を含みうる。なお、以上では飛行する非地上基地局として、地表から500km~700km程度の高さの低軌道の宇宙空間を飛行する通信衛星131を例示したが、より高い静止軌道等の高軌道の宇宙空間を飛行する通信衛星や、より低い(例えば地表から20km程度)成層圏等の大気圏を飛行する無人または有人の航空機を非地上基地局として、通信衛星131に加えてまたは代えて使用してもよい。
【0025】
以上のように、本実施形態に係る無線通信システム1は、地上に設置される地上基地局111、121が地上に提供する地上通信セル112、122内の通信機2と通信可能な地上系ネットワーク(TN)11、12、および、飛行する非地上基地局131が地上に提供する非地上通信セル132内の通信機2と通信可能な非地上系ネットワーク(NTN)13を含む。そして、本実施形態に係る通信制御装置は、TNおよびNTNが併存する無線通信システム1において、任意の地上通信セルおよび/または非地上通信セルを拡張する移動可能な中継局を制御する。
【0026】
図2は、本実施形態に係る中継局制御の概要を模式的に示す。この例では、中継局RN(Relay NodeまたはRelay Station)が、移動可能な移動体としての自動車Vに取り付けられる。なお、移動体の他の例は、電車、自動二輪車、自転車、飛行機、船等の他の任意の乗り物や、移動する人や物を含み、中継局RNはこれらの移動体に取り付けられてもよい。また、これらの移動体は、予め定められた移動経路に沿って移動してもよいし、任意の移動経路に沿って移動してもよい。
図2の例では、中継局RNが取り付けられた自動車Vが、任意の移動経路RTに沿って地上を移動する。地上には、地上基地局111、121が提供する五つの地上通信セル112、122(
図2では「TN Cell TN1」~「TN Cell TN5」と示される)と、非地上基地局131が提供する一つの非地上通信セル132(
図2では「NTN Cell NTN1」と示される)が存在する。
【0027】
中継局RNは、地上基地局111、121および/または非地上基地局131と通信して、当該基地局が提供する地上通信セル112、122および/または非地上通信セル132を拡張できる。ここで「通信セルの拡張」とは、既存の通信セルがカバーするエリアを拡張することだけでなく、既存の通信セルの少なくとも一部の通信品質を向上させることも含む。更に「通信セルがカバーするエリアの拡張」とは、既存の通信セルの水平面内の面積を拡大することだけでなく、既存の通信セルを鉛直方向、例えば地下や建物の上方および/または下方の階に拡張することも含む。また、基地局間のバックホールを利用して一の基地局を他の基地局に対する中継局として機能させるIAB(Integrated Access and Backhaul)という技術が知られており、この場合の一の基地局を本実施形態の中継局RNとして利用してもよい。なお、中継局RNは、中継局として機能しうる通信機2、例えばいわゆるテザリング機能やパーソナルホットスポット機能を備える通信機2でもよい。無線LANアクセスポイントとして機能することが一般的なこのような通信機2が中継局RNとして使用される場合、拡張元の基地局(例えば5G基地局111)が使用するRAT(例えば5G NR)と拡張先の中継局RNが使用するRATは異なる。
【0028】
中継局RNが取り付けられた自動車Vが多数の通信セル(TN1~TN5、NTN1等)が存在する地上を移動する際、移動中の中継局RNに拡張させるべき一または複数の通信セルを適切に選択する必要がある。
図2の例では、自動車Vと共に移動経路RTに沿って移動する中継局RNが、始めに第1地上通信セルTN1を拡張対象セルとして選択して第1地上拡張セルTN1+を提供し、次に第3地上通信セルTN3を拡張対象セルとして選択して第3地上拡張セルTN3+を提供し、終わりに第1非地上通信セルNTN1を拡張対象セルとして選択して第1非地上拡張セルNTN1+を提供する。
【0029】
第1地上拡張セルTN1+内(第1地上通信セルTN1外)の通信機2は、第1地上通信セルTN1を提供する地上基地局111、121と中継局RNを介して間接的に通信でき、第3地上拡張セルTN3+内(第3地上通信セルTN3外)の通信機2は、第3地上通信セルTN3を提供する地上基地局111、121と中継局RNを介して間接的に通信でき、第1非地上拡張セルNTN1+内(第1非地上通信セルNTN1外)の通信機2は、第1非地上通信セルNTN1を提供する非地上基地局131と中継局RNを介して間接的に通信できる。
【0030】
なお、
図2の例において、中継局RNが取り付けられた自動車Vの移動経路RTから離れている第2地上通信セルTN2や第5地上通信セルTN5は、中継局RNによる拡張対象セルとして選択されない。また、第4地上通信セルTN4は移動経路RTに近接しているが、第4地上通信セルTN4を拡張するよりも第1非地上通信セルNTN1を拡張した方が広い通信可能領域(NTN1+)を提供できるため、第1非地上通信セルNTN1が中継局RNによる拡張対象セルとして優先的に選択され、第4地上通信セルTN4は中継局RNによる拡張対象セルとして選択されない。
【0031】
以上のように、自動車Vに取り付けられて移動中の中継局RNに拡張させるべき通信セルは、移動経路RT等の自動車Vの移動情報や、移動経路RTに対する複数の通信セルの配置等のセル情報に応じて選択される。
【0032】
図3は、本実施形態に係る通信制御装置3の機能ブロック図である。通信制御装置3は、移動情報取得部31と、活動履歴情報収集部32と、拡張セル選択部33と、セル情報取得部34と、接続制御部35を備える。これらの機能ブロックは、コンピュータの中央演算処理装置、メモリ、入力装置、出力装置、コンピュータに接続される周辺機器等のハードウェア資源と、それらを用いて実行されるソフトウェアの協働により実現される。コンピュータの種類や設置場所は問わず、上記の各機能ブロックは、単一のコンピュータのハードウェア資源で実現してもよいし、複数のコンピュータに分散したハードウェア資源を組み合わせて実現してもよい。特に本実施形態では、通信制御装置3の機能ブロックの一部または全部を、中継局RN、自動車V、通信機2、地上基地局111、121、非地上基地局131、ゲートウェイ133、コアネットワークCNに設けられるコンピュータやプロセッサで分散的または集中的に実現してもよい(
図3では便宜上これら全てを別体として示している)。
【0033】
移動情報取得部31は、自動車Vに取り付けられた中継局RNの移動に関する移動情報を取得する。移動情報は、自動車Vまたは中継局RNの移動経路RT、当該移動経路RT上の各位置への自動車Vまたは中継局RNの到着時刻、当該移動経路RT上の渋滞状況、自動車Vまたは中継局RNの移動速度、自動車Vまたは中継局RNの移動方向、自動車Vまたは中継局RNの現在位置の少なくともいずれかを含む。これらの移動情報の一部または全部は、自動車Vまたは中継局RN自体や、自動車Vに乗車している人が使用している通信機2、自動車Vに対して遠隔から移動指示を与える移動指示装置(不図示)等から取得できる。例えば、移動経路RT、当該移動経路RT上の各位置への到着時刻、当該移動経路RT上の渋滞状況は、自動車V、中継局RN、通信機2、移動指示装置等にインストールされた地図アプリケーションやナビゲーションアプリケーションから取得できる。また、移動速度、移動方向、現在位置は、自動車V、中継局RN、通信機2等に搭載されたGPSモジュール等の測位モジュールから取得できる。
【0034】
移動情報取得部31は、活動履歴情報収集部32が収集した活動履歴情報に基づいて、自動車Vに取り付けられた中継局RNの移動情報の一部または全部を推定してもよい。活動履歴情報収集部32は、地上基地局111、121および/または非地上基地局131と中継局RNを介さずに直接的におよび/または中継局RNを介して間接的に通信可能な一または複数の特定または不特定の通信機2、移動情報の推定対象の中継局RNまたは自動車V、他の中継局RNまたは自動車Vの少なくともいずれかの活動履歴情報を収集する。なお、活動履歴情報収集部32で収集される活動履歴情報は、後述する拡張セル選択部33でも利用される。
【0035】
例えば、5GのコアネットワークCNとしての5GCに導入されたNWDAF(Network Data Analytics Function)やLMF(Location Management Function)を活動履歴情報収集部32として利用できる。NWDAFは、5Gを含むネットワーク上のデータの収集と分析を担う。具体的には、NWDAFは、ネットワークに接続された多数の通信機2、中継局RN、自動車Vがネットワーク上で行った各種の活動に関する活動履歴情報(通信機2、中継局RN、自動車Vの接続先の基地局や、通信機2、中継局RN、自動車Vの位置に関する履歴情報を含む)を収集および蓄積し、それらの分析結果を例えばネットワーク上のトラフィック制御に活用する。LMFは、5Gを含むネットワーク上の多数の通信機2、中継局RN、自動車Vの物理的な位置を管理する。なお、5Gより後の世代の無線通信システムを含む他の無線通信システムにおいて、NWDAFおよび/またはLMFと同様の機能が異なる名称で提供されることも想定されるが、本実施形態ではそのような類似機能をNWDAFおよび/またはLMFに代えてまたは加えて利用してもよい。
【0036】
また、ネットワークに接続された多数の通信機2、中継局RN、自動車Vに対して、地図サービス、ナビゲーションサービス、位置追跡サービス等を提供するサービス事業者が使用するサーバも、活動履歴情報収集部32として利用できる。これらのサーバでも、ネットワークに接続された多数の通信機2、中継局RN、自動車Vが提供されるサービスに関連して行った各種の活動に関する活動履歴情報(通信機2、中継局RN、自動車Vの位置に関する履歴情報を含む)を収集できる。
【0037】
活動履歴情報収集部32としてのNWDAF、LMF、サービス事業者のサーバからは、ネットワークに接続された不特定多数の通信機2、中継局RN、自動車Vのネットワーク上の活動に関する統計情報(接続先の基地局に関する統計情報を含む)および/または物理的位置に関する履歴情報が取得可能である。
図3の例では、自動車Vが現在の時刻に通行している第4地上通信セルTN4と第1非地上通信セルNTN1の間の領域や、移動経路RT上で自動車Vが未来の時刻に到着または通行する領域における各時間帯の混雑状況や通信トラフィック等の活動履歴情報を、移動情報取得部31および/または拡張セル選択部33が取得する。
【0038】
これらの不特定多数の通信機2、中継局RN、自動車Vの各時間帯の活動履歴情報(ネットワーク上のおよび/または物理的な混雑情報や渋滞情報を含む)に基づいて、移動情報取得部31は、通信制御装置3による通信制御対象である中継局RNまたは自動車Vの現在または未来の時刻における位置や移動状態を高精度に推定でき、拡張セル選択部33は、通信需要が高いにも関わらず通信リソースが不足している等の領域を特定して、当該領域を効果的にカバーできる拡張セル(例えば第1非地上拡張セルNTN1+)を提供可能な通信セル(例えば第1非地上通信セルNTN1)を中継局RNによる拡張対象セルとして選択できる。
【0039】
例えば、移動情報取得部31が中継局RNまたは自動車Vの移動情報を推定する現在または未来の時間帯において、中継局RNまたは自動車Vがいる可能性のある複数の領域のうち、特定の領域における過去の通信トラフィック量や通信機2、中継局RN、自動車Vの数が顕著に多かった場合、当該領域に推定対象の中継局RNまたは自動車Vがいる可能性が高いと推定できる。同様に、拡張セル選択部33が中継局RNによる拡張対象セルを選択する現在または未来の時間帯において、中継局RNが拡張セルを提供可能な複数の通信セル(例えば、第4地上通信セルTN4および第1非地上通信セルNTN1)のうち、特定の通信セルにおける過去の通信トラフィック量や通信機2、中継局RN、自動車Vの数が顕著に多かった場合、当該通信セルを拡張対象セルとして選択できる。
【0040】
活動履歴情報収集部32としてのNWDAF、LMF、サービス事業者のサーバからは、不特定多数の通信機2、中継局RN、自動車Vに限らず、推定対象または通信制御対象の中継局RNまたは自動車V自体のネットワーク上の活動に関する統計情報(接続先の基地局に関する統計情報を含む)および/または物理的位置に関する履歴情報も取得可能である。これらの中継局RNまたは自動車V自体の各時間帯の活動履歴情報に基づいて、移動情報取得部31は、当該中継局RNまたは自動車Vの現在または未来の時刻における位置や移動状態を高精度に推定でき、拡張セル選択部33は、当該中継局RNが過去に拡張した通信セルの履歴を参照して適切な拡張対象セルを選択できる。
【0041】
例えば、移動情報取得部31が中継局RNまたは自動車Vの移動情報を推定する現在または未来の時間帯において、当該中継局RNまたは自動車Vが特定の領域にいた頻度が高かった場合、当該領域に推定対象の中継局RNまたは自動車Vがいる可能性が極めて高いと推定できる。同様に、拡張セル選択部33が中継局RNによる拡張対象セルを選択する現在または未来の時間帯において、当該中継局RNが特定の通信セルを拡張した頻度が高かった場合、当該通信セルを拡張対象セルとして優先的に選択できる。
【0042】
また、以上のような過去の別日の活動履歴情報に加えてまたは代えて、移動情報取得部31および/または拡張セル選択部33は、中継局RNまたは自動車Vの移動情報を推定する直前(例えば1時間以内)および/または拡張対象セルを選択する直前(例えば1時間以内)の中継局RNまたは自動車V自体の活動履歴情報を利用してもよい。例えば、移動情報取得部31が中継局RNまたは自動車Vの移動情報を推定する30分前に、当該中継局RNまたは自動車Vが特定の領域内を特定の方向に移動中であった場合、当該領域またはそこから当該方向に向かって30分で移動できる近接領域に推定対象の中継局RNまたは自動車Vがいる可能性が極めて高いと推定できる。同様に、拡張セル選択部33が中継局RNによる拡張対象セルを選択する30分前に、当該中継局RNが特定の通信セルを拡張していた場合、当該中継局RNが当該通信セルを拡張可能な領域に留まっている限り、当該通信セルを拡張対象セルとして優先的に選択できる。
【0043】
拡張セル選択部33は、移動情報取得部31が取得した移動情報、活動履歴情報収集部32が収集した活動履歴情報、セル情報取得部34が取得した各種のセル情報(セル配置情報、セル通信品質情報、セル拡張制限情報)に基づいて、自動車Vと共に移動中の中継局RNに拡張させるべき通信セルを選択する。セル情報取得部34は、セル配置情報取得部341と、セル通信品質情報取得部342と、セル拡張制限情報取得部343を備える。
【0044】
セル配置情報取得部341は、拡張セル選択部33による選択対象の一または複数の通信セルの配置に関するセル配置情報を取得する。セル配置情報取得部341は、例えば
図2で示したような地上通信セルTN1~TN5や非地上通信セルNTN1の地上における配置を、当該各通信セルを提供する各基地局自体や当該各通信セルに関する情報を集約的に管理するコアネットワークCN等から取得する。これらのセル配置情報によって、各通信セルの中心位置やカバー範囲(通信可能範囲)の形状や大きさを認識できるだけでなく、地上の各領域における通信セルの有無、通信セルの種別(地上通信セルまたは非地上通信セル)、通信セルの密度、通信セルの連続性や重なり、通信セルの中心位置や縁(エッジ)からの距離等も認識できる。拡張セル選択部33は、これらのセル配置情報を他の情報(移動情報取得部31が取得した移動情報等)と共に参照しながら、自動車Vと共に移動中の中継局RNに拡張させるべき通信セルを選択する。
【0045】
図2の例で自動車Vが始めに通行する上方の領域では、第1地上通信セルTN1および第3地上通信セルTN3によって高密度かつ連続的な通信セル群が配置されている。そこで、拡張セル選択部33は、中継局RNが自動車Vと共に当該領域を通行する場合、第1地上通信セルTN1の近傍ではこれを拡張対象セルとして中継局RNに第1地上拡張セルTN1+を提供させ、第3地上通信セルTN3の近傍ではこれを拡張対象セルとして中継局RNに第3地上拡張セルTN3+を提供させる。
【0046】
中継局RNが第3地上通信セルTN3の近傍を通過すると、通信セル群の密度が低下して連続性も失われる。この時の拡張セル選択部33による選択対象または選択候補の通信セルは、第4地上通信セルTN4および第1非地上通信セルNTN1である。典型的な地上通信セルと非地上通信セルでは後者の方が大きく、中継局RNによって拡張できる領域も大きい。そこで、拡張セル選択部33は、このように通信セル群が低密度で非連続な領域では、より大きい拡張セル(第1非地上拡張セルNTN1+)を提供できる非地上通信セル(第1非地上通信セルNTN1)を拡張対象セルとして、地上通信セル(第4地上通信セルTN4)よりも優先的に選択する。
【0047】
セル通信品質情報取得部342は、拡張セル選択部33による選択対象の一または複数の通信セルの通信品質情報(例えば信号強度や通信遅延)を、各通信セルを提供する各基地局自体、当該各基地局と通信中の通信機2(当該各基地局を隣接基地局として通信品質を測定中の通信機2も含む)、当該各通信セルに関する情報を集約的に管理するコアネットワークCN等から取得する。拡張セル選択部33は、これらのセル通信品質情報を他の情報(移動情報取得部31が取得した移動情報等)と共に参照しながら、自動車Vと共に移動中の中継局RNに拡張させるべき通信セルを選択する。
【0048】
例えば、
図3に示されるように中継局RNまたは自動車Vの移動経路RT上またはその近傍に拡張候補の通信セルが複数ある場合(第4地上通信セルTN4および第1非地上通信セルNTN1)、拡張セル選択部33は、セル通信品質情報取得部342が取得したセル通信品質情報が示す通信品質が高い(または低い)方の通信セル(例えば第1非地上通信セルNTN1)を拡張対象セルとして中継局RNに拡張セル(例えば第1非地上拡張セルNTN1+)を提供させる。なお、拡張セル選択部33は、活動履歴情報収集部32が収集した活動履歴情報等に基づいて把握される通信需要によって正規化された通信品質に基づいて、拡張対象セルを選択してもよい。例えば、拡張セル選択部33は、通信需要が高いにも関わらず通信リソースが不足している通信セル、すなわち通信需要によって正規化された通信品質が低い通信セルを拡張対象セルとして優先的に選択してもよい。
【0049】
セル拡張制限情報取得部343は、拡張セル選択部33による選択対象の一または複数の通信セルの拡張制限に関するセル拡張制限情報を、各通信セルを提供する各基地局自体、当該各通信セルに関する情報を集約的に管理するコアネットワークCN等から取得する。中継局RNが基地局と通信して通信セルを拡張する際には当該基地局の通信リソースが使用されるため、基地局によっては特定または不特定の中継局RNによる通信セルの拡張を制限することも考えられる。通信セルの拡張制限の態様としては、中継局RNを介した通信量、通信速度、UE接続数等に関する上限の設定、通信セルの拡張禁止等が例示される。また、これらの拡張制限は、常に対象通信セルに適用されてもよいし、時間帯や場所に応じて対象通信セルに適用されてもよいし、中継局RNによらない対象通信セルの通信量、通信速度、UE接続数が一定以上で通信リソースに余力がない場合に適用されてもよい。拡張セル選択部33は、複数の通信セルを選択候補として拡張対象セルを選択する場合、拡張制限が適用されている通信セルの優先度を下げ、拡張制限が適用されていない通信セルを優先的に選択する。
【0050】
以上、拡張セル選択部33が拡張対象セルを選択する際に参照可能な各種の情報について個別に説明した。実際には、拡張セル選択部33は、これらの情報(移動情報取得部31が取得した移動情報、活動履歴情報収集部32が収集した活動履歴情報、セル配置情報取得部341が取得したセル配置情報、セル通信品質情報取得部342が取得したセル通信品質情報、セル拡張制限情報取得部343が取得したセル拡張制限情報)を総合的に参酌または考慮した上で、ある判断基準の下で最適と認められた一または複数の拡張対象セルを選択する。この目的のために、網羅的な訓練データまたは学習データによって機械学習した人工知能によって拡張セル選択部33を構成してもよい。
【0051】
接続制御部35は、拡張セル選択部33によって選択された通信セルを提供する基地局に中継局RNを接続する。
図3の例では、拡張セル選択部33によって選択された第1非地上通信セルNTN1を提供する通信衛星131に中継局RNを接続する。通信衛星131に接続された中継局RNは、第1非地上通信セルNTN1の外側に延在する第1非地上拡張セルNTN1+を提供する。
【0052】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明した。実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0053】
なお、実施形態で説明した各装置の機能構成はハードウェア資源またはソフトウェア資源により、あるいはハードウェア資源とソフトウェア資源の協働により実現できる。ハードウェア資源としてプロセッサ、ROM、RAM、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてオペレーティングシステム、アプリケーション等のプログラムを利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、無線通信システムにおける通信制御技術に関する。
【符号の説明】
【0055】
1 無線通信システム、2 通信機、3 通信制御装置、11 5G無線通信システム、12 4G無線通信システム、13 衛星通信システム、31 移動情報取得部、32 活動履歴情報収集部、33 拡張セル選択部、34 セル情報取得部、35 接続制御部、111 5G基地局、112 5Gセル、121 4G基地局、122 4Gセル、131 通信衛星、132 衛星通信セル、133 ゲートウェイ、341 セル配置情報取得部、342 セル通信品質情報取得部、343 セル拡張制限情報取得部。