(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】量子コンピュータ及び量子コンピュータの制御方法
(51)【国際特許分類】
G06N 10/00 20220101AFI20241204BHJP
【FI】
G06N10/00
(21)【出願番号】P 2023573736
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 JP2022001056
(87)【国際公開番号】W WO2023135728
(87)【国際公開日】2023-07-20
【審査請求日】2024-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】戸丸 辰也
【審査官】千葉 久博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2003/049197(WO,A1)
【文献】HEN, Itay,Quantum gates with controlled adiabatic evolutions,PHYSICAL REVIEW A,American Physical Society,2015年02月12日,Vol.91, Iss.2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の量子ビットが配置された量子情報の保持と演算を行う量子ビット部と、
前記量子ビット部での演算結果を測定する測定部と、
前記量子ビット部及び前記測定部を制御する制御部と、を有し、
前記量子ビット部における演算中に前記各量子ビットが|0>と|1>にいる確率が、平均的に1:1となるように、前記制御部が前記量子ビットを操作することを特徴とする量子コンピュータ。
【請求項2】
前記演算中に前記各量子ビットが前記|0>と前記|1>にいる確率を平均的に1:1にすることにより、前記量子ビット部の状態を問題ハミルトニアンの基底状態に平均的に一致させて、緩和を通して解を得るように、前記制御部が制御することを特徴とする請求項1に記載の量子コンピュータ。
【請求項3】
演算時間が前記量子ビット部の縦緩和時間T
1及び横緩和時間T
2以上であるように前記制御部が制御することを特徴とする請求項1に記載の量子コンピュータ。
【請求項4】
前記制御部は、
前記量子ビット部において、x軸回転ゲート及びy軸回転ゲートを操作することにより前記量子ビットを操作し、
前記縦緩和時間T
1及び前記横緩和時間T
2以内に、
前記各量子ビットに作用される全ての前記x軸回転ゲートのx軸回転角の絶対値の総和が2πより大きく、かつ前記各量子ビットに作用される全ての前記y軸回転ゲートのy軸回転角の絶対値の総和が2πより大きくなるように、制御することを特徴とする請求項3に記載の量子コンピュータ。
【請求項5】
前記量子ビットに作用されるx軸回転角θのx軸回転ゲートをR
x(θ)、y軸回転角θのy軸回転ゲートをR
y(θ)、z軸回転角θのz軸回転ゲートをR
z(θ)と表した場合、
前記制御部の制御により、前記R
z(θ)として、R
y(3π/2)R
x(θ)R
y(π/2)あるいはR
y(-π/2)R
x(θ)R
y(-3π/2)を確率1/2で実施することを特徴とする請求項1に記載の量子コンピュータ。
【請求項6】
前記制御部は、
問題ハミルトニアンを時間δtごとに徐々に変化させ、
前記時間δtを前記縦緩和時間T
1及び前記横緩和時間T
2よりも大きくして、前記時間δtごとに前記量子ビット部の状態を緩和させるように、制御することを特徴とする請求項3に記載の量子コンピュータ。
【請求項7】
前記制御部は、
前記各量子ビットに作用される2量子ビットゲートに関して、事前に確率1/2でビット反転あるいはビット反転及び位相反転をするものとし、
前記ビット反転あるいは前記ビット反転及び位相反転をした場合に、前記2量子ビットゲートを実施した後に、再度前記ビット反転あるいは前記ビット反転及び位相反転をするように、制御することを特徴とする請求項1に記載の量子コンピュータ。
【請求項8】
前記量子ビット部及び前記測定部において前記演算と前記測定を繰り返すことにより、測定値の確率分布を得ることを特徴とする請求項1に記載の量子コンピュータ。
【請求項9】
前記量子ビット部及び前記測定部において、答えが既知の問題に対して前記演算と前記測定を繰り返すことにより前記測定値の前記確率分布を得て、
機械学習により前記測定値の前記確率分布から答えを推論する関数を求め、
答えが未知の問題に対して前記演算と前記測定を繰り返すことにより前記測定値の前記確率分布を得て、前記関数を利用して前記答えが未知の問題の答えを得ることを特徴とする請求項8に記載の量子コンピュータ。
【請求項10】
基底として前記|0>及び|1>を用いた量子縺れを形成する際に、
前記制御部が一方の量子ビットの状態を前記|0>、前記|1>あるいは前記|0>と前記|1>の線形重ね合わせ状態に初期化することを特徴とする請求項1に記載の量子コンピュータ。
【請求項11】
複数の量子ビットが配置された量子情報の保持と演算を行う量子ビット部と、
前記量子ビット部での演算結果を測定する測定部と、
前記量子ビット部及び前記測定部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部からの操作により前記量子ビット部においてx軸回転ゲートとy軸回転ゲートと2量子ビットゲートの動作が可能で、前記各量子ビットの基底を|0>及び|1>により表した場合に、前記各量子ビットの|0>と|1>のエネルギーが異なる量子コンピュータであって、
前記制御部は、
演算時間が前記量子ビット部の縦緩和時間T
1及び横緩和時間T
2以上であるように制御し、
前記縦緩和時間T
1及び前記横緩和時間T
2以内に、
前記各量子ビットに作用される全ての前記x軸回転ゲートのx軸回転角の絶対値の総和が2πより大きく、かつ前記各量子ビットに作用される全ての前記y軸回転ゲートのy軸回転角の絶対値の総和が2πより大きくなるように制御し、
前記制御部は、
前記各量子ビットに作用される前記2量子ビットゲートに関して、事前に確率1/2でビット反転あるいはビット反転及び位相反転をするものとし、
前記ビット反転あるいは前記ビット反転及び位相反転をした場合に、前記2量子ビットゲートを実施した後に、再度前記ビット反転あるいは前記ビット反転及び位相反転をするように制御することを特徴とする量子コンピュータ。
【請求項12】
複数の量子ビットが配置され量子情報の保持と演算を行う量子ビット部での演算結果を測定し、前記量子ビット部においてx軸回転ゲートとy軸回転ゲートと2量子ビットゲートの動作が可能で、前記各量子ビットの基底を|0>及び|1>により表した場合に、前記各量子ビットの前記|0>と前記|1>のエネルギーが異なる量子コンピュータを制御する制御方法であって、
演算時間が前記量子ビット部の縦緩和時間T
1及び横緩和時間T
2以上であるように制御し、
前記縦緩和時間T
1及び前記横緩和時間T
2以内に、
前記各量子ビットに作用される全ての前記x軸回転ゲートのx軸回転角の絶対値の総和が2πより大きく、かつ前記各量子ビットに作用される全ての前記y軸回転ゲートのy軸回転角の絶対値の総和が2πより大きくなるように制御し、
前記各量子ビットに作用される前記2量子ビットゲートに関して、事前に確率1/2でビット反転あるいはビット反転及び位相反転をするものとし、
前記ビット反転あるいは前記ビット反転及び位相反転をした場合に、前記2量子ビットゲートを実施した後に、再度前記ビット反転あるいは前記ビット反転及び位相反転をするように制御することを特徴とする量子コンピュータの制御方法。
【請求項13】
前記縦緩和時間T
1及び前記横緩和時間T
2以内に、前記各量子ビットに作用される全ての前記x軸回転ゲートのx軸回転角の絶対値の総和が2πより大きく、かつ前記各量子ビットに作用される全ての前記y軸回転ゲートのy軸回転角の絶対値の総和が2πより大きくなるように制御することにより、
前記量子ビット部において、演算中に前記|0>と前記|1>にいる確率が平均的に1:1となるように前記各量子ビットを操作することを特徴とする請求項12に記載の量子コンピュータの制御方法。
【請求項14】
前記量子ビットに作用されるx軸回転角θの前記x軸回転ゲートをR
x(θ)、y軸回転角θの前記y軸回転ゲートをR
y(θ)、z軸回転角θのz軸回転ゲートをR
z(θ)と表した場合、
前記R
z(θ)として、R
y(3π/2)R
x(θ)R
y(π/2)あるいはR
y(-π/2)R
x(θ)R
y(-3π/2)を確率1/2で実施することを特徴とする請求項12に記載の量子コンピュータの制御方法。
【請求項15】
問題ハミルトニアンを時間δtごとに徐々に変化させ、
前記時間δtを前記縦緩和時間T
1及び前記横緩和時間T
2よりも大きくし、
前記時間δtごとに前記量子ビット部の状態を緩和させることを特徴とする請求項12に記載の量子コンピュータの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量子コンピュータ及び量子コンピュータの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IT社会では計算機性能への要求は限りがなく、その要求に応えられるものとして量子コンピュータへの期待が大きい。量子コンピュータの基本構成要素である量子ビットは、古典ビットのように|0>と|1>のどちらかしかとり得ないのではなく、|0>と|1>の線形重ね合わせ状態a|0>+b|1>を取ることができ、言い換えれば、一度に2つの状態を取り得る。n量子ビットあれば一度に2n状態を取り得ることになるので、超並列計算が実現する。
【0003】
ここでaとbは|a|2+|b|2=1を満たす任意の複素数であり、aとbが正確に維持されることが演算における前提である。ところが、環境には必ずノイズが存在するので確率的にビット反転や位相反転が生じる。量子コンピュータが正しく動作するためにはこれらの誤りは訂正されなければならない。そこで量子誤り訂正が考案されたが、オーバヘッドが大きく、所謂誤り耐性量子コンピュータの実現は目処が立っていない。
【0004】
そこで近年注目されるようになってきた概念がNISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum)コンピュータである。これは中規模量子コンピュータ(量子ビット数が50-数百程度)を誤り訂正なしで動作させようとするものである。NISQコンピュータが古典コンピュータに比べて高速に処理できる(量子超越性)ことは実証済であるが、実証できたことは量子干渉を経て乱数を生成させることであり、課題としては特殊で、実問題を解くものではなかった。即ち、NISQコンピュータにより実問題を解くアルゴリズムは未解決課題である。
【0005】
量子コンピュータに期待されている問題の多くは基底状態を求めることに帰結される。量子化学(創薬)、量子多体問題、組合せ最適化問題、等が代表例である。また金融にも基底状態探索型の問題がある。基底状態は、既知の状態から出発して断熱過程を通して得ることができる。この方法は断熱状態準備(Adiabatic state preparation:ASP)と呼ばれ(非特許文献1参照)、量子コンピューティング及びその他で幅広く利用されている。物理系には、避けられないものとして縦緩和が存在するが、基底状態は縦緩和の遷移先なのでASPは縦緩和に対して頑強である(非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】A.Aspuru-Guzik、A.D.Dutoi、P.J.Love、M.Head-Gordon1、“SimulatedQuantum Computation of Molecular Energies、”Science 309、1704(2005).
【文献】A.M.Childs、E.Farhi、and J.Preskill、“Robustness of adiabatic quantum computation、”Phys.Rev.A65、012322(2002).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
量子コンピューティングの一種として量子アニール(Quantum Annealing:QA)と呼ばれる手法がある。これは問題ハミルトニアンをイジングスピン型に特化して(組合せ最適化問題に特化)ASPを実行するものである。QAは断熱量子計算(Adiabatic Quantum Computation:AQC)とも呼ばれる。QAは成熟度が高いが、イジングスピン・ハミルトニアンに限定されているために汎用性がないのが課題である。
【0008】
そこで、所謂ゲート型量子コンピュータでASPを実行することを考える。しかし、多くのゲート型量子コンピュータでは|0>と|1>にエネルギー差があり、縦緩和が有れば|0>あるいは|1>に緩和してしまい、問題ハミルトニアンの基底状態には緩和しない。即ち、ASPが縦緩和に頑強であるとの性質が消失し、問題解法の原理にASPを利用できなくなる。
【0009】
そこで本発明の目的は、|0>と|1>にエネルギー差があっても縦緩和に対して頑強なゲート型量子コンピュータを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様の量子コンピュータは、複数の量子ビットが配置されて量子情報の保持と演算を行う量子ビット部と、前記量子ビット部での演算結果を測定する測定部と、前記量子ビット部及び前記測定部を制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記量子ビット部において、演算中に|0>と|1>にいる確率が平均的に1:1となるように前記各量子ビットを操作することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、|0>と|1>にエネルギー差があっても縦緩和に対して頑強なゲート型量子コンピュータを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】緩和量子コンピューティングの原理を示す図である。
【
図2】緩和量子コンピューティングのための回路図の例である。
【
図3】x軸回転ゲート作用下でのブロッホベクトルの縦緩和の様子を示す図である。
【
図4A1】左側はJσ
iσ
i型の2量子ビットゲートを示し、右側はその2量子ビットゲートの前後にビット反転(Xゲート)を加えた図である。
【
図4A2】左側はJσ
iσ
i型の2量子ビットゲートを示し、右側はその2量子ビットゲートの前後に「ビット反転+位相反転」(Yゲート)を加えた図である。
【
図4A3】左側はJσ
zσ
x型の2量子ビットゲートを示し、右側はその2量子ビットゲートの前後にXゲートとYゲートを加えた図である。
【
図4A4】左側は、Jσ
zσ
y型の2量子ビットゲートを示し、右側はその2量子ビットゲートの前後にYゲートとXゲートを加えた図である。
【
図6】本発明をエネルギーダイヤグラムの観点でまとめた図である。
【
図7A】x軸回転ゲート印加下での緩和をシミュレートした結果を示す図である。
【
図7B】x軸回転ゲート印加下での緩和をシミュレートした結果を示す図である。
【
図8B】本発明のフローの他の例を示した図である。
【
図8C】本発明のフローの他の例を示した図である。
【
図8D】本発明のフローの他の例を示した図である。
【
図9】2量子ビットゲートにより量子縺れを形成する例を示した図である。
【
図10】量子演算装置を含む計算機システムの全体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて実施例について説明する。
【実施例1】
【0014】
縦緩和はエネルギーの高い状態から低い状態に状態が自発的に遷移する現象で物理系では避けられないものである。そこで縦緩和を量子コンピューティングの駆動力に使うことを考える(緩和量子コンピューティング)。ASPが縦緩和に頑強であることを言及したが、本発明では縦緩和をより積極的に利用する。
【0015】
本実施例1では緩和量子コンピューティングの考え方についてまず述べる。
図1が緩和量子コンピューティングの概念図である。
【0016】
問題ハミルトニアンをHpとする。Hpの基底状態を求めることが課題である。単純に縦緩和させてHpの基底状態に到達させようとすると、Hpの局所最小エネルギー状態に落ち込むことが多く、真の基底状態を得ることが難しい。そこでt=t0では確実に基底状態が得られるハミルトニアンHdとし、その後徐々にハミルトニアンを変化させてt=tnでハミルトニアンをHpにする。このようにすれば状態変化は真の基底状態近傍に限られるの局所最小エネルギー状態に落ち込むことが避けられる。
【0017】
量子ビットとしてスピンをモデルにする。Hdとして量子ビット間相互作用が無く横磁場を印加した状態を考える。この時、Hd=-BΣkXkと書ける。ここで添え字kは量子ビットを区別するための番号、Xkはパウリのスピン行列のX成分(同様にYk及びZkはそれぞれパウリのスピン行列のY成分及びZ成分とする)、Bは横磁場強度を表す係数である。t=t0からt=tnまでのハミルトニアンはパラメタs(t)を利用してH(tj)=s(tj)Hp+[1-s(tj)]Hdとする。ここでs(t0)=0及びs(tn)=1で、s(t)はt=t0からt=tnにおいて徐々に変化させる。
【0018】
ハミルトニアンやパラメタs(t)は時間δtごとに変化させることとし(t
j=t
0+jδt、j=0、1、…、n)、時間δtごとにその時点での基底状態に緩和させる。よって、δt>T
1、δt>T
2を満たすものとする。
図1内のρ(t)は密度行列を表す。
【0019】
本実施例1では、ゲート型の量子コンピューティングを想定している。H(tj)の基底状態に緩和させるためにはH(tj)に対応するゲートをδtの間作用し続ける。H(tj)対応のゲートを作用し続けるとは(数1)のユニタリゲートを系に作用し続けることである。
【0020】
【数1】
ゲート動作はx軸(y軸)回転やCNOT等のゲートの組み合わせで実現される。ゲート動作のハミルトニアンをH
k(k=1,2,…)としてH(t
j)=Σ
ka
k(t
j)H
kであるとする。この時、mを十分に大きい整数としてTrotter公式により(数2)なので、ハミルトニアンH
kで決まるユニタリゲート(数3)を順番に作用させればよい。
【0021】
【0022】
【数3】
また、[・]
mから理解できるようにこれを繰り返す。H
k=X
kならばU
kはx軸回転ゲートを、H
k=Y
kならばU
kはy軸回転ゲートを、H
k=Z
kならばU
kはz軸回転ゲートを表す。同様にH
k=JZ
1Z
2等の2量子ビット間相互作用の場合はU
kがそれに対応した2量子ビットゲートになる。ここでJは相互作用の強度を表す係数である。ゲートの印加時間は(数4)で決まる。
【0023】
【0024】
図2に3量子ビット系のあるハミルトニアンの場合の回路例を示す。
【0025】
図2では1行目の量子ビット1にはz軸回転ゲート、x軸回転ゲート、量子ビット2との相互作用ゲート、z軸回転ゲートを作用させる。同様に2行目の量子ビット2にはx軸回転ゲート、z軸回転ゲート、量子ビット1との相互作用ゲート、量子ビット3との相互作用ゲートを作用させる。3行目の量子ビット3にはy軸回転ゲート、z軸回転ゲート、量子ビット2との相互作用ゲートを作用させる。この[・]をm回繰り返す。
【実施例2】
【0026】
実施例1では問題ハミルトニアンHpを与え、縦緩和を通してHpの基底状態に系を導く手順に関して述べた。系のハミルトニアンとHpが一致していればこの手順でHpの基底状態が得られるが、多くのゲート型量子コンピュータでは|0>と|1>にエネルギー差があるために、系のハミルトニアンとHpが一致してせず緩和先は|0>あるいは|1>になる。
【0027】
そこでT1の時間内に|0>と|1>を十分に入れ替えて|0>と|1>にいる存在確率を平均的に1:1にして、|0>と|1>のエネルギー差を平均的に無くすことを考える。これにより平均的に系のハミルトニアンとHpを一致させることができる。尚、1:1は確率的なものであり、厳密な1:1を意味するものではなく、実施例3でも言及するように、動作条件の範囲で決まる誤差を含むものである。例えば、1.01:0.99等も1:1の意味に含む。
【0028】
尚、「|0>と|1>」の別の表現として、「0と1」「0状態と1状態」、「下準位と上準位」なども利用する。
【0029】
本発明では計算基底をz軸に取る。まずx軸回転ゲートR
x(θ)を考える。
図3のブロッホ球から明らかなようにR
x(θ)は半回転ごとに|0>と|1>を入れ替える。R
x(θ)を作用し続ければ縦緩和が平均的に打ち消されて、
図3に示すように太い矢印(状態を表すベクトル)がx軸方向を向くようになる。即ち、平均的に問題ハミルトニアンの解を得る。もちろん平均的な打ち消しなので純粋状態とはならず太い矢印の先はブロッホ球内になる(混合状態)。
【0030】
万能量子計算はRx(θ)、Ry(θ)、2量子ビットゲート(CNOT、CZ、√SWAPの何れか)により実現できる。上述のようにRx(θ)は|0>と|1>を平均化する性質がある。同様にRy(θ)も|0>と|1>を平均化する性質がある。
【0031】
Rz(θ)はRy(3π/2)Rx(θ)Ry(π/2)、Ry(-π/2)Rx(θ)Ry(-3π/2)等に変換できるのでやはり|0>と|1>を平均化する性質がある。ここでRy(3π/2)Rx(θ)Ry(π/2)のRy(3π/2)をRy(-π/2)でなくRy(3π/2)としたのはRy(3π/2)とRy(π/2)の回転角を足し合わせると2πになるからである。Ry(3π/2)Rx(θ)Ry(π/2)とRy(-π/2)Rx(θ)Ry(-3π/2)を1:1で採用すればy軸回転時の緩和の効果を打ち消すことができる。尚、Rx(θ),Ry(θ),Rz(θ)を行列で表示すれば、以下の(数5)のようになる。
【0032】
【0033】
JX
1X
2、JY
1Y
2、JZ
1Z
2等の相互作用で与えられる2量子ビットゲートは
図4A1に示す回路によりその前後でビット反転させても作用は同じである。よって
図4A1のビット反転を確率1/2で実施すれば|0>と|1>が確率1/2で入れ替わり、|0>と|1>の平均化が実現する。CNOT、CZ、√SWAPはJX
1X
2、JY
1Y
2、JZ
1Z
2等による2量ビットゲートと単一量子ビットの組み合わせで実現できる。
【0034】
例えば、√SWAPはH=J(X1X2+Y1Y2+Z1Z2-1)としてそのユニタリゲート(数6)においてθ=π/2とすればよい。CZゲートはH=JZ1Z2としてそのユニタリゲートを(数7)としてCZ=exp(-iπ/4)Rzz(π/2)Rz
1(-π/2)Rz
2(-π/2)で実現される。
【0035】
【0036】
【0037】
ここでRj
k(θ)は量子ビットkに関する角度θのj軸回転を表す。CNOTゲートは量子ビット1を制御、量子ビット2を標的としてCNOT=Ry
2(π/2)CZRy
2(-π/2)で実現される。
【0038】
図4A1の関係が成り立つのは以下の(数8)に基づく。パウリのスピン行列X、Y、Zをまとめてσ
i(i=1、2、3)と書くことにする。i≠jの時σ
iσ
j=iε
ijkσ
k(i≠k≠j)、i=jの時σ
iσ
j=Iである。ここでε
123=ε
231=ε
312=1、ε
321=ε
213=ε
132=-1、Iは恒等演算子である。よってi≠jの時σ
jσ
iσ
j=iε
ijkσ
jσ
k=-ε
ijkε
jkiσ
i=-σ
i、i=jの時σ
jσ
iσ
j=σ
iである。量子ビット1のσ
j(σ
1
j)と量子ビット2のσ
j(σ
2
j)のテンソル積(数8)は、以下の(数9)となる。
【0039】
【0040】
【0041】
従って、相互作用が(数10)ならばその前後でビット反転等[X作用だけでなく(
図4A1)、Y作用(
図4A2)やZ作用でもよい]をしてもその作用は同じである。
【0042】
【0043】
例えば、半導体量子ビットで実現される2量子ビットゲートはH=J(X1X2+Y1Y2+Z1Z2-1)の相互作用に基づく。この2量子ビットゲートは前後でビット反転等をしても(数9)に基づき作用が不変である。
【0044】
ビット反転はR
x(π)あるいはR
x(-π)で実現できる。R
x(±π)には量子ビットを±x軸方向に向かせる効果があるのでビット反転のためのR
x(±π)は1:1になるようにしてその効果を相殺する。2量子ビットゲートの前後で行うビット反転はR
x(±π)の代わりにR
y(±π)を用いてもよく、この場合はビット反転+位相反転になる。これらの変種を
図4B1及び
図4B2に示す。これらの変種を確率的に均等に使用して意図しない効果を相殺する。
【0045】
超電導量子ビットは、周波数変動型と呼ばれる方式と周波数固定型と呼ばれる方式が現在主流である。前者の方式ではH=J(X1X2+Y1Y2)及びH=JZ1Z2、またそれらの重ね合わせの2量子ビット相互作用が実現される。この場合も(数9)に基づき2量子ビットゲートの前後でビット反転等をしても作用が不変である。
【0046】
後者の周波数固定型では交差共鳴と呼ばれる2量子ビット相互作用が利用される。H=J(cosφZ1X2+sinφZ1Y2)の相互作用である。まずcosφ=1の場合を考える。(数9)に従いビット反転すれば(数11)になって符号が反転する。
【0047】
【0048】
X
iの代わりにY
iを用いれば(数12)になってハミルトニアンが不変になる。またX
1とY
2の組み合わせでもよく、(数13)である(
図4A3)。
【0049】
【0050】
【0051】
符号が反転する場合はそれを考慮してアルゴリズムを組む必要がある。あるいは、符号が反転しないゲートの組み合わせを利用する。後者の回路例は
図4B2及び
図4B3である。ここで
図4B2のR
σσ(θ)はR
zx(θ)と解釈する。これらの図の回転ゲートには量子ビットを軸方向に向かせる効果を含むが、それらは各図の変種を確率的に均等に使用することにより相殺できる。sinφ=1の場合はX
iとY
iの立場が入れ替わる。即ち、(数14)になる(
図4A4)。
【0052】
【0053】
符号を反転させないゲートの組み合わせとしては
図4B1及び
図4B4がある。ここで
図4B1のR
σσ(θ)はR
zy(θ)と解釈する。これらの図の回転ゲートには量子ビットを軸方向に向かせる効果を含むが、それらは各図の変種を確率的に均等に使用することにより相殺できる。
【0054】
尚、本発明にある「確率1/2」や「確率的に均等」は文字通り確率的なものであり、厳密な「1/2」や「均等」を意味するものではない。
【実施例3】
【0055】
実施例1及び2で述べた本発明をまとめたものが
図5である。量子コンピュータの量子演算装置100(
図10参照)は少なくとも、量子情報の保持と演算を行う量子ビット部(量子ビット系)502と、量子ビット部502での演算結果を測定する測定部(測定系)503と、量子ビット部502及び測定部503を制御するための制御部(制御系)501からなり、前記量子ビット部502及び前記測定部503は前記制御部501とのやり取りを通して動作する。
【0056】
実施例1で述べたように緩和量子コンピューティングではδt>T1、δt>T2として時間δtごとにその時点での基底状態に緩和させる。よってnステップ合計の演算時間でみればnδt>T1、nδt>T2である。
【0057】
|0>と|1>に滞在する確率を平均として1:1にするための一つの方法として、x軸回転ゲートとy軸回転ゲートが|0>と|1>の間を振動させる性質を利用する。この性質を十分に機能させるために、各回転ゲートの回転角の絶対値の、T1及びT2の時間内での和を2πよりも十分に大きくする。即ち、Σj|θxj
k|>>2π及びΣj|θyj
k|>>2πとする。ここでjは回転ゲートの時間軸方向での区別を、kは量子ビットの区別をする添え字である。また、回転角を絶対値で評価したのはθxj
k及びθyj
kは±のどちらも取り得るので単純に和を取ると打ち消しあってΣjθxj
k~1や0、Σjθyj
k~1や0になり得るからである。
【0058】
Σj|θxj
k|>>2π及びΣj|θyj
k|>>2πの条件式から理解できるように本発明における1:1は確率的なものであり、条件式の範囲で決まる誤差を含む。厳密な1:1を意味するものではない。
【0059】
2量子ビットゲートに関しては実施例2で述べたように確率1/2で2量子ビットゲートの前後でビット反転あるいはビット反転+位相反転を行う。
【実施例4】
【0060】
実施例3で述べたように本発明ではΣ
j|θ
xj
k|>>2π及びΣ
j|θ
yj
k|>>2πとすることにより|0>と|1>にいる確率を平均的に1:1にする。これをエネルギーダイヤグラムの観点で示したのが
図6である。
【0061】
|0>と|1>のエネルギー差を(数15)とする。x軸回転ゲート及びy軸回転ゲートは(数16)に共鳴したマイクロ波(数17)を印加することにより実現する。この共鳴により状態は|0>と|1>の間を振動する。これをラビ振動という。ラビ振動をエネルギーダイヤグラムで示せば|0>及び|1>が(数18)のエネルギー差で分離することになる。
図6の左側に以上の様子を示す。
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
本発明では|0>と|1>にいる確率を平均的に1:1にすることにより|0>と|1>のエネルギー差を疑似的に無くす。
図6の右側はそれを示す。この疑似的エネルギーダイヤグラムの基底状態は問題ハミルトニアンH
pの基底状態に対応しており、縦緩和によりこの系の基底状態に導く。
【0067】
x軸回転ゲートの印加下での緩和をシミュレートした例を
図7に示す。初期値は完全混合状態((|0><0|+|1><1|)/2:|0>と|1>の古典的完全混合)である。T
1=T
2とした。t=0で<X>=tr{Xρ}=0であった分極が時間の経過でtr{Xρ}>0となる。tr{Xρ}=0は
図3の原点に相当し、tr{Xρ}>0が
図3の太い矢印の状態に相当する。分極の大きさは
図7Aと
図7Bを比べると明らかなようにf
rabi=ω
rabi/2πが大きい程大きい。尚、シミュレーションは4次のRunge-Kuttaを利用した。
図7のhが時間の刻み幅である。hは、刻み幅を2hとしても結果に有意の差がでないように十分に小さい値とした。また、f
0=ω
0/2π、f
rf=ω
rf/2πである。
【実施例5】
【0068】
実施例4までの手順により問題ハミルトニアンHpの基底状態が疑似的に得られた。本実施例5では必要な情報を取り出すための測定と測定結果の処理について述べる。
【0069】
例えば、ある量子ビットに着目して解が|ψ>=a|0>+b|1>であったとする。H
pの基底状態を得る過程とZ測定を繰り返すことにより|a|
2と|b|
2に対応した確率分布Pr{|0>}とPr{|1>}を得る。その結果、|a|>|b|、|a|<|b|、|a|=|b|の判定が可能になる(
図8A)。
【0070】
|a|
2と|b|
2を決定したい場合は、予め解が分かっている問題を多数用意し、演算とZ測定を繰り返して教師データを生成し、機械学習により測定値から|a|
2と|b|
2を推論する関数f
a及びf
bを求め、実際の問題のPr{|0>}とPr{|1>}から|a|
2と|b|
2を求める(
図8B)。機械学習では位相を含めてaとbを推論することも可能である(
図8C)。
【0071】
測定したい量がXであったとする。この場合はXの固有ベクトル|+>=(|0>+|1>)/√2、|->=(|0>-|1>)/√2を基底にして測定する(X測定)。X測定を行うためにはアダマールゲートHで|ψ>をH|ψ>に変換してZ測定するか、y軸回転ゲートにより|ψ>をRy(-π/2)|ψ>に変換してZ測定すればよい。HはH=iRx(π)Ry(π/2)で実現できる。解が|ψ>=c|+>+d|->であったとする。Z測定の代わりにX測定をすれば、|ψ>=a|0>+b|1>の場合と同様にしてc及びdに関する情報が得られる。測定したい量がYであった場合も同様で、Yの固有ベクトル|+i>=(|0>+i|1>)/√2、|-i>=(i|0>+|1>)/√2を基底にして測定すればよい(Y測定)。Y測定は|ψ>をRx(π/2)|ψ>に変換してZ測定すればよい。
【0072】
組合せ最適化問題(イジングスピン・ハミルトニアンの場合)のように答えが古典的な場合は測定結果をより単純に扱える。この場合は解が|0>あるいは|1>になるので1回の測定で解候補が得られる。繰り返して演算及び測定をすれば解候補が複数得られる(
図8D)。
【実施例6】
【0073】
実施例5から明らかなように本発明では最終解として線形重ね合わせ状態|ψ>=a|0>+b|1>を扱える。即ち量子力学的問題を扱える。しかし、
図3の太い矢印の先がブロッホ球の表面にないことから理解できるように得られる状態は純粋状態ではなく混合状態である。混合状態の結果から純粋状態の結果を推論するものとして実施例5では機械学習を利用した。
【0074】
量子状態のもうひとつの重要な性質である量子縺れは純粋度に敏感である。混合状態同士で縺れさせても良好な量子縺れは形成できない。そこで、量子縺れを形成する際に一方の量子ビットを|0>や|1>あるいは|0>と|1>の線形重ね合わせ状態に初期化するのが有効である。|0>や|1>は純粋状態なので良好な量子縺れが形成される(
図9)。
【実施例7】
【0075】
図10は、実施例7に係り、量子演算装置100を含む計算機の構成の一例を示す。
図10は通常の計算機の構成と類似であるが量子演算装置100(
図5参照)を含むことが特徴である。量子演算装置100は量子力学的演算を専門に行う部分であり、その他の一般的演算は一般演算装置202で行う。
【0076】
以上の構成は、一体型のコンピュータとして構成してもよいし、あるいは、主記憶装置201、一般演算装置202、制御装置203、補助記憶装置204、入力装置205、出力装置206等の任意の部分がネットワークで接続された他のコンピュータで構成してもよい。
【0077】
一般的な演算は通常の計算機と同様な手順で動作させる。記憶部である主記憶装置201と演算部である一般演算装置202間でデータをやり取りし、その繰り返しで演算を進める。その際、全体を指揮するのが制御装置203である。一般演算装置202で実行されるプログラムは記憶部である主記憶装置201で記憶される。主記憶装置201で記憶容量が足りない場合は、同じく記憶部である補助記憶装置204を利用する。データやプログラム等の入力には入力装置205を使用し、結果の出力には出力装置206を利用する。入力装置205はキーボードのような手入力装置の他、ネットワーク接続のためのインターフェースも含む。また、このインターフェースは出力装置も兼ねる。
【0078】
量子演算も同様な手順で実施される。記憶部である主記憶装置201と演算部である量子演算装置100間でデータをやり取りし、その繰り返しで演算を進める。その際、全体を指揮するのが制御装置203である。量子演算装置100で実行されるプログラムは記憶部である主記憶装置201で記憶される。
【0079】
プログラムは一般演算装置202を利用して量子演算装置100で利用される符号へ変換され、主記憶装置201に記憶される。この符号化されたプログラムが主記憶装置201から量子演算装置100に送られ、制御装置203は符号化されたプログラムに従って、量子演算装置100に制御信号を送って演算を実行する。量子演算装置100の実行結果は主記憶装置201に送られ、必要に応じて一般演算装置202で後処理される。
【0080】
上記実施例では、演算中に|0>と|1>にいる確率を平均的に1:1にして|0>あるいは|1>に緩和する効果を平均的に相殺する。x軸回転ゲートRx(θxj)及びy軸回転ゲートRy(θyj)は|0>と|1>の間を振動させる。そこで、縦緩和時間T1及び横緩和時間T2内に作用させるRx(θxj)及びRy(θyj)の回転角の絶対値の和をΣj|θxj|>>2π及びΣj|θyj|>>2πとすることにより|0>と|1>にいる確率を平均的に1:1にする。
【0081】
また、2量子ビット演算RJ(θJj)に関しては演算の前後で確率1/2でビット反転することにより|0>と|1>の役割を対称化する。演算時間nδtは、nδt>T1、nδt>T2として、|0>及び|1>への緩和を平均化した疑似的状態に系を緩和させる。基底状態に縦緩和させることは基底状態探索問題では自動的に誤り訂正していることになり、NISQコンピュータで実問題を扱えるようになる。
【0082】
このように、上記実施例では、演算中に|0>と|1>にいる確率を平均的に1:1にして|0>あるいは|1>に緩和する効果を平均的に相殺する。x軸回転ゲートRx(θxj)を掛け続けると周期的に|0>と|1>が入れ替わる。そこで縦緩和時間T1及び横緩和時間T2内に作用させるRx(θxj)に関してΣj|θxj|>>2πとして|0>と|1>にいる確率を平均的に1:1にする。y軸回転ゲートRy(θyj)に関しても同様にする。2量子ビット演算RJ(θJj)に関しては演算の前後で確率1/2でビット反転し、|0>と|1>の役割を対称化する。
【0083】
これらの処理により|0>と|1>にいる確率を平均的に1:1にする。演算時間をnδtとして、nδt>T1、nδt>T2とする。即ち、|0>あるいは|1>に緩和する効果を平均的に相殺すると共に、演算時間nδtを十分に取って問題ハミルトニアンの基底状態に縦緩和させる。
【0084】
基底状態が正解、励起状態が誤りを伴う状態に対応するので、基底状態に縦緩和させることは自動的に誤り訂正を実現していることになる。即ち、量子誤り訂正の実装は不要であり、NISQコンピュータにより実問題を扱えることになる。また各量子ビットの最終解は線形重ね合わせ状態a|0>+b|1>でもよいので量子力学的問題を扱える。
【0085】
上記実施例によれば、|0>と|1>にエネルギー差があっても縦緩和に対して頑強なゲート型量子コンピュータを実現することができる。
【符号の説明】
【0086】
100 量子演算装置
101 演算と測定のループ
501 制御部
502 量子ビット部
503 測定部