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特許7598506ガス均質化装置、ガス均質化方法、水素ガスの製造方法、水素ガス製造設備及びその運転方法、ガス化溶融炉設備及びその運転方法、製鉄方法、熱処理方法、並びに鉄鉱石の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】ガス均質化装置、ガス均質化方法、水素ガスの製造方法、水素ガス製造設備及びその運転方法、ガス化溶融炉設備及びその運転方法、製鉄方法、熱処理方法、並びに鉄鉱石の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/10 20220101AFI20241204BHJP
   C01B 3/00 20060101ALI20241204BHJP
   C21B 5/00 20060101ALI20241204BHJP
   C21B 13/00 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
B01F23/10
C01B3/00 Z
C21B5/00
C21B5/00 321
C21B13/00
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2024082107
(22)【出願日】2024-05-20
【審査請求日】2024-05-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真生
(72)【発明者】
【氏名】矢野 亮
(72)【発明者】
【氏名】木内 崇文
(72)【発明者】
【氏名】大橋 亜珠香
(72)【発明者】
【氏名】中尾 憲治
(72)【発明者】
【氏名】荒井 貴博
【審査官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-142995(JP,A)
【文献】国際公開第2010/047168(WO,A1)
【文献】特開2018-177615(JP,A)
【文献】特開2021-062316(JP,A)
【文献】特開2007-090262(JP,A)
【文献】特開2011-067723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00 - 25/90
C01B 3/00
C21B 5/00
C21B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成が経時的に変動する第1ガスが順次に導入される複数のタンクと、
前記複数のタンクの少なくとも一つから導出され、前記第1ガスよりも経時的な組成の変動幅が低減された第2ガスが流通する流路と、
前記第2ガスと、前記第1ガス及び前記第2ガスとは異なる組成を有する第3ガスとを混合して第4ガスを導出する混合器と、を備える、ガス均質化装置。
【請求項2】
前記第1ガスの組成は周期的に変動する、請求項1に記載のガス均質化装置。
【請求項3】
前記第1ガスは、圧力スイング吸着装置から導出されるオフガスの少なくとも一部を含む、請求項1又は2に記載のガス均質化装置。
【請求項4】
前記圧力スイング吸着装置の吸着塔から導出される前記オフガスの流路は複数に分岐しており、
前記オフガスが水素の平均濃度が互いに異なる複数のオフガスに分別され、分別されたオフガスが前記第1ガスとして前記複数のタンクに順次に導入される、請求項3に記載のガス均質化装置。
【請求項5】
前記第1ガスが前記複数のタンクに順次に導入されるように前記第1ガスが導入されるタンクを切り替える切替部を備え、
前記切替部は前記第1ガスの組成変動の周期ごとに前記タンクを切り替える、請求項1又は2に記載のガス均質化装置。
【請求項6】
前記第1ガスが前記複数のタンクに順次に導入されるように前記第1ガスが導入されるタンクを切り替える切替部を備え、
前記切替部は前記第1ガスの組成変動の周期よりも短い周期で前記タンクを切り替える、請求項1又は2に記載のガス均質化装置。
【請求項7】
前記複数のタンクの総数は、前記第1ガスの組成変動の一周期当たりに前記第1ガスが導入されるタンクの基数よりも多い、請求項1又は2に記載のガス均質化装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のガス均質化装置と、水素ガスを精製する圧力スイング吸着装置と、を備える水素ガス製造設備であって、
前記圧力スイング吸着装置から導出される水素ガスを含むオフガスの少なくとも一部が前記第1ガスとして前記ガス均質化装置に導入され、
水素ガスと窒素ガスとを含む前記第3ガスが前記混合器に導入され、
前記第4ガスを含むガスが前記圧力スイング吸着装置に導入される、水素ガス製造設備。
【請求項9】
前記第1ガスとして前記ガス均質化装置に導入される前記オフガスにおける水素ガスの平均濃度が40体積%以上である、請求項8に記載の水素ガス製造設備。
【請求項10】
請求項1又は2に記載のガス均質化装置と、溶融炉と、前記溶融炉の上方に設けられる装入装置と、前記装入装置で用いられる窒素ガスを精製する第1圧力スイング吸着装置と、を備えるガス化溶融炉設備であって、
前記第1圧力スイング吸着装置から導出される酸素ガスを含むオフガスの少なくとも一部が前記第1ガスとして前記ガス均質化装置に導入され、
前記第3ガスとして酸素を含む第1酸素含有ガスが前記混合器に導入され、
前記第4ガスを含む第2酸素含有ガスが前記溶融炉に導入される、ガス化溶融炉設備。
【請求項11】
空気から、前記第3ガスとして前記空気よりも高い酸素ガス濃度を有する前記第1酸素含有ガスを得る第2圧力スイング吸着装置をさらに備える、請求項10に記載のガス化溶融炉設備。
【請求項12】
組成が経時的に変動する第1ガスを複数のタンクに順次に導入する導入工程と、
前記複数のタンクの少なくとも一つから、前記第1ガスよりも経時的な組成の変動幅が低減された第2ガスを導出する導出工程と、
前記第2ガスと、前記第1ガス及び前記第2ガスとは異なる組成を有する第3ガスとを混合器において混合して第4ガスを得る混合工程と、を有する、ガス均質化方法。
【請求項13】
圧力スイング吸着装置の吸着塔から導出される流路が複数に分岐しており、前記吸着塔から導出されるオフガスを複数に分別する分別工程を有し、
分別された前記オフガスの一部を前記第1ガスとして前記複数のタンクに順次に導入する、請求項12に記載のガス均質化方法。
【請求項14】
請求項1又は2に記載のガス均質化装置と、水素ガスを精製する圧力スイング吸着装置と、を備える水素ガス製造設備の運転方法であって、
前記圧力スイング吸着装置から導出される水素ガスを含むオフガスの少なくとも一部を前記第1ガスとして前記ガス均質化装置に導入する第1導入工程と、
水素ガスと窒素ガスとを含む前記第3ガスを前記混合器に導入する第2導入工程と、
前記第4ガスを前記圧力スイング吸着装置に導入する第3導入工程と、
前記圧力スイング吸着装置において前記第4ガスから水素ガスを得る精製工程と、を有する、水素ガス製造設備の運転方法。
【請求項15】
請求項1又は2に記載のガス均質化装置と、溶融炉と、前記溶融炉の装入装置で用いられる窒素ガスを精製する第1圧力スイング吸着装置と、を備えるガス化溶融炉設備の運転方法であって、
前記第1圧力スイング吸着装置から導出される酸素ガスを含むオフガスの少なくとも一部を前記第1ガスとして前記ガス均質化装置に導入する第1導入工程と、
前記第3ガスとして酸素を含む第1酸素含有ガスを前記混合器に導入する第2導入工程と、
前記第4ガスを含む第2酸素含有ガスを前記溶融炉に導入する第3導入工程と、を有する、ガス化溶融炉設備の運転方法。
【請求項16】
水素ガスを含み、組成が経時的に変動する第1ガスが順次に導入される複数のタンクと、前記複数のタンクの少なくとも一つから導出され、前記第1ガスよりも経時的な組成の変動幅が低減された第2ガスが流通する流路と、前記第2ガスと、前記第1ガス及び前記第2ガスとは異なる組成を有する第3ガスとを混合して第4ガスを導出する混合器と、吸着塔を有する圧力スイング吸着装置と、を備える水素ガス製造設備を用いる水素ガスの製造方法であって、
水素ガスと前記水素ガスとは異なる異種成分を含む前記第4ガスを前記吸着塔に導入し、前記異種成分を前記吸着塔内の吸着剤に吸着させて水素ガスを得る吸着工程と、
前記吸着塔への前記第4ガスの導入を停止し、前記吸着工程よりも前記吸着塔内の圧力を下げて、前記吸着塔内に残存するガスを排出する脱圧工程と、
前記吸着塔内の圧力を前記脱圧工程よりもさらに下げて、前記吸着塔内に残存するガスを排出する排気工程と、
前記吸着塔内に残存するガスとともに、前記吸着剤に吸着された前記異種成分を排出する再生工程と、
前記再生工程の後に前記吸着塔内に前記第4ガスを導入することにより前記吸着塔内を加圧する加圧工程と、を有し、
前記脱圧工程、前記排気工程、及び前記再生工程で排出されるオフガスを分別して、水素ガスの平均濃度が異なる複数のオフガスを得る分別工程を有する、水素ガスの製造方法。
【請求項17】
前記分別工程では、前記脱圧工程及び前記再生工程において前記吸着塔から排出される第1オフガスと、前記排気工程において前記吸着塔から排出され、前記第1オフガスよりも水素ガスの平均濃度が低い第2オフガスと、を分別する、請求項16に記載の水素ガスの製造方法。
【請求項18】
前記第4ガスは、アンモニアを分解して得られる水素ガスを含む、請求項16又は17に記載の水素ガスの製造方法。
【請求項19】
請求項16又は17に記載の水素ガスの製造方法により得られる前記水素ガス及び/又は前記複数のオフガスを製鉄工程で使用する、製鉄方法。
【請求項20】
請求項16又は17に記載の水素ガスの製造方法により得られる前記水素ガス及び/又は前記複数のオフガスを高炉に導入する、製鉄方法。
【請求項21】
請求項16又は17に記載の水素ガスの製造方法により得られる前記水素ガス及び/又は前記複数のオフガスを加熱炉に導入する、熱処理方法。
【請求項22】
請求項16又は17に記載の水素ガスの製造方法により得られる前記水素ガス及び/又は前記複数のオフガスを鉄鉱石の直接還元炉に導入する、鉄鉱石の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガス均質化装置、ガス均質化方法、水素ガスの製造方法、水素ガス製造設備及びその運転方法、ガス化溶融炉設備及びその運転方法、製鉄方法、熱処理方法及び鉄鉱石の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種プラントでは種々のオフガスが発生する。例えば、PSA装置の脱圧工程及び再生工程では、水素ガスを含むオフガスが発生する。特許文献1では、PSA装置から排出されるオフガスを、第1のタンクと第2のタンクの間で循環させて混合することによって、オフガス中の水素ガス濃度の変動を抑制する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-177615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の方法でオフガスを均質化するためには、タンク間で大量のオフガスを循環させる必要がある。オフガスの循環量が増えると、オフガスを循環させるための動力が増加する。本開示は、動力の増加を抑制しつつ、ガスの経時的な組成変動の影響を十分に低減することが可能なガス均質化装置及びガス均質化方法を提供する。本開示は、オフガスを有効に利用して水素ガスを効率よく製造することが可能な水素ガス製造設備及びその運転方法を提供する。本開示は、オフガスを有効に利用して効率よく運転することが可能なガス化溶融炉設備及びその運転方法を提供する。本開示は、オフガスを有効に利用することが可能な水素ガスの製造方法を提供する。本開示は、水素ガス製造設備で得られる精製ガス又はオフガスを有効に利用することが可能な製鉄方法、熱処理方法及び鉄鉱石の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面は、組成が経時的に変動する第1ガスが順次に導入される複数のタンクと、上記複数のタンクの少なくとも一つから導出され、上記第1ガスよりも経時的な組成の変動幅が低減された第2ガスが流通する流路と、上記第2ガスと、上記第1ガス及び上記第2ガスとは異なる組成を有する第3ガスとを混合して第4ガスを導出する混合器と、を備える、ガス均質化装置を提供する。
【0006】
上記ガス均質化装置は、組成が経時的に変動する第1ガスが順次に導入される複数のタンクを備える。このような複数のタンクは、第1ガスの経時的な組成の変動を緩衝し、第1ガスよりも経時的な組成の変動幅が低減された第2ガスを導出することができる。そして、このような第2ガスが流通する流路と、当該第2ガスと第3ガスとを混合し第4ガスを導出する混合器を備える。このようなガス均質化装置によれば、第1ガスの経時的な組成の変動の影響が十分に低減され、十分に均質化された第4ガスを得ることができる。また、複数のタンクの間でガスを循環する必要がないことから、動力の増加を抑制することができる。
【0007】
本開示の一側面は、上記ガス均質化装置と、水素ガスを精製する圧力スイング吸着装置と、を備える水素ガス製造設備であって、上記圧力スイング吸着装置から導出される水素ガスを含むオフガスの少なくとも一部が上記第1ガスとして上記ガス均質化装置に導入され、水素ガスと窒素ガスとを含む上記第3ガスが上記混合器に導入され、上記第4ガスを含むガスが上記圧力スイング吸着装置に導入される、水素ガス製造設備を提供する。
【0008】
上記水素ガス製造設備は、圧力スイング吸着装置から導出される水素ガスを含むオフガスの少なくとも一部を、上記ガス均質化装置を用いて圧力スイング吸着装置に導入することができる。このためオフガスに含まれる水素ガスを有効に利用することが可能になり、効率よく水素ガスを製造することができる。
【0009】
本開示の一側面は、上記ガス均質化装置と、溶融炉と、前記溶融炉の上方に設けられる装入装置と、上記装入装置で用いられる窒素ガスを精製する第1圧力スイング吸着装置と、を備えるガス化溶融炉設備であって、上記第1圧力スイング吸着装置から導出される酸素ガスを含むオフガスの少なくとも一部が上記第1ガスとして上記ガス均質化装置に導入され、上記第3ガスとして酸素を含む第1酸素含有ガスが上記混合器に導入され、上記第4ガスを含む第2酸素含有ガスがガス化溶融炉に導入される、ガス化溶融炉設備を提供する。
【0010】
上記ガス化溶融炉設備は、第1圧力スイング吸着装置から導出される酸素ガスを含むオフガスの少なくとも一部を、上記ガス均質化装置を用いてガス化溶融炉設備に導入することができる。このためオフガスに含まれる酸素ガスを有効に利用することが可能になり、ガス化溶融炉設備を効率よく運転することができる。
【0011】
本開示の一側面は、組成が経時的に変動する第1ガスを複数のタンクに順次に導入する導入工程と、上記複数のタンクの少なくとも一つから、上記第1ガスよりも経時的な組成の変動幅が低減された第2ガスを導出する導出工程と、上記第2ガスと、上記第1ガス及び上記第2ガスとは異なる組成を有する第3ガスとを混合器において混合して第4ガスを得る混合工程と、を有する、ガス均質化方法を提供する。
【0012】
上記ガス均質化方法は、組成が経時的に変動する第1ガスを複数のタンクに順次に導入する導入工程を有する。このような導入工程では、複数のタンクにおいて第1ガスの経時的な組成の変動が緩衝される。そして、導出工程で導出される、第1ガスよりも経時的な組成の変動幅が低減された第2ガスと第3ガスとを混合し第4ガスを得る混合工程を有する。このようなガス均質化方法によれば、第1ガスの経時的な組成の変動の影響が十分に低減され、十分に均質化された第4ガスを得ることができる。また、複数のタンクの間でガスを循環する必要がないことから、動力の増加を抑制することができる。
【0013】
本開示の一側面は、上記ガス均質化装置と、水素ガスを精製する圧力スイング吸着装置と、を備える水素ガス製造設備の運転方法であって、上記圧力スイング吸着装置から導出される水素ガスを含むオフガスの少なくとも一部を上記第1ガスとして上記ガス均質化装置に導入する第1導入工程と、水素ガスと窒素ガスとを含む前記第3ガスを上記混合器に導入する第2導入工程と、上記第4ガスを上記圧力スイング吸着装置に導入する第3導入工程と、上記圧力スイング吸着装置において上記第4ガスから水素ガスを得る精製工程と、を有する、水素ガス製造設備の運転方法を提供する。
【0014】
上記水素ガス製造設備の運転方法は、圧力スイング吸着装置から導出される水素ガスを含むオフガスの少なくとも一部を、上記ガス均質化装置を用いて圧力スイング吸着装置に導入することができる。このためオフガスに含まれる水素ガスを有効に利用することが可能になり、効率よく水素ガスを製造することができる。
【0015】
本開示の一側面は、上記ガス均質化装置と、ガス化溶融炉と、上記ガス化溶融炉の装入装置で用いられる窒素ガスを精製する第1圧力スイング吸着装置と、を備えるガス化溶融炉設備の運転方法であって、上記第1圧力スイング吸着装置から導出される酸素ガスを含むオフガスの少なくとも一部を上記第1ガスとして上記ガス均質化装置に導入する第1導入工程と、上記第3ガスとして酸素を含む第1酸素含有ガスを上記混合器に導入する第2導入工程と、上記第4ガスを含む第2酸素含有ガスを上記ガス化溶融炉に導入する第3導入工程と、を有する、ガス化溶融炉設備の運転方法を提供する。
【0016】
上記ガス化溶融炉設備の運転方法は、第1圧力スイング吸着装置から導出される酸素ガスを含むオフガスの少なくとも一部を、上記ガス均質化装置を用いてガス化溶融炉設備に導入することができる。このためオフガスに含まれる酸素ガスを有効に利用することが可能になり、ガス化溶融炉設備を効率よく運転することができる。
【0017】
本開示の一側面は、水素ガスを含み、組成が経時的に変動する第1ガスが順次に導入される複数のタンクと、前記複数のタンクの少なくとも一つから導出され、前記第1ガスよりも経時的な組成の変動幅が低減された第2ガスが流通する流路と、前記第2ガスと、前記第1ガス及び前記第2ガスとは異なる組成を有する第3ガスとを混合して第4ガスを導出する混合器と、吸着塔を有する圧力スイング吸着装置と、を備える水素ガス製造設備を用いる水素ガスの製造方法であって、水素ガスと上記水素ガスとは異なる異種成分を含む上記第4ガスを吸着塔に導入し、上記異種成分を吸着塔内の吸着剤に吸着させて水素ガスを得る吸着工程と、上記吸着塔への上記第4ガスの導入を停止し、上記吸着工程よりも吸着塔内の圧力を下げて、上記吸着塔内に残存するガスを排出する脱圧工程と、上記吸着塔内の圧力を上記脱圧工程よりもさらに下げて、上記吸着塔内に残存するガスを排出する排気工程と、上記吸着塔内に残存するガスとともに、上記吸着剤に吸着された上記異種成分を排出する再生工程と、上記再生工程の後に上記吸着塔内に上記第4ガスを導入することにより上記吸着塔内を加圧する加圧工程と、を有し、上記脱圧工程、上記排気工程、及び上記再生工程で排出されるオフガスを分別して、水素ガスの平均濃度が異なる複数のオフガスを得る分別工程を有する、水素ガスの製造方法を提供する。
【0018】
上記水素ガスの製造方法では、圧力スイング吸着装置の吸着塔から発生するオフガスを分別して水素ガスの平均濃度が異なる複数のオフガスを得る。したがって、複数のオフガスをそれぞれ別々の用途に使用することができる。このため、水素ガス濃度が高い精製ガスを得つつ、オフガスを水素ガスの平均濃度に応じて有効に利用することができる。
【0019】
本開示の一側面は、上述の水素ガスの製造方法により得られる上記水素ガス及び/又は上記複数のオフガスを製鉄工程で使用する、製鉄方法を提供する。この製鉄方法では、上記水素ガス製造設備で得られる精製ガス又はオフガスを有効に利用することができる。これによって二酸化炭素の排出を低減することができる。
【0020】
本開示の一側面は、上述の水素ガスの製造方法により得られる上記水素ガス及び/又は上記複数のオフガスを高炉に導入する、製鉄方法を提供する。この製鉄方法では、上記水素ガス製造設備で得られる精製ガス又はオフガスを有効に利用することができる。これによって二酸化炭素の排出を低減することができる。
【0021】
本開示の一側面は、上述の水素ガスの製造方法により得られる上記水素ガス及び/又は上記複数のオフガスを加熱炉に導入する、熱処理方法を提供する。この熱処理方法では、上記水素ガス製造設備で得られる精製ガス又はオフガスを有効に利用することができる。これによって二酸化炭素の排出を低減することができる。
【0022】
本開示の一側面は、上述の水素ガスの製造方法により得られる上記水素ガス及び/又は上記複数のオフガスを直接還元炉に導入する、鉄鉱石の製造方法を提供する。この製造方法では、上記水素ガス製造設備で得られる精製ガス又はオフガスを有効に利用することができる。これによって二酸化炭素の排出を低減することができる。直接還元炉はシャフト炉を用いたものであってよく、流動層を用いたものであってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本開示は、動力の増加を抑制しつつ、ガスの経時的な組成変動の影響を十分に低減することが可能なガス均質化装置及びガス均質化方法を提供することができる。本開示によれば、オフガスを有効に利用して水素ガスを効率よく製造することが可能な水素ガス製造設備及びその運転方法を提供することができる。本開示によれば、オフガスを有効に利用して効率よく運転することが可能なガス化溶融炉設備及びその運転方法を提供することができる。本開示によれば、オフガスを有効に利用することが可能な水素ガスの製造方法を提供することができる。本開示は、水素ガス製造設備で得られる精製ガス又はオフガスを有効に利用することが可能な製鉄方法、熱処理方法及び鉄鉱石の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】ガス均質化装置及び水素ガス製造設備の一実施形態を示す図である。
図2】水素ガスを精製する圧力スイング吸着装置で発生するオフガスの組成の経時的な変動の一例を示すグラフである。
図3】圧力スイング吸着装置の一例を示す図である。
図4】圧力スイング吸着装置の別の例を示す図である。
図5】ガス均質化装置及び水素ガス製造設備の別の実施形態を示す図である。
図6】水素ガスを精製する圧力スイング吸着装置で発生するオフガスの組成の経時的な変動の一例を示すグラフである。
図7】ガス化溶融炉設備の一実施形態を示す図である。
図8】窒素を生成する圧力スイング吸着装置から導出されるオフガスの組成(酸素ガスと窒素ガスの体積割合)の変動を示す図である。
図9】実施例1のシミュレーション結果である。(A)が酸素ガス濃度を、(B)が窒素ガス濃度のシミュレーション結果を示している。
図10】比較例1のシミュレーション結果である。(A)が酸素ガス濃度を、(B)が窒素ガス濃度のシミュレーション結果を示している。
図11】実施例2のシミュレーション結果である。
図12】比較例2のシミュレーション結果である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、場合により図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す符号の向きを基準とする位置関係に基づくものとする。さらに、各要素の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0026】
一実施形態に係るガス均質化装置は、組成が経時的に変動する第1ガスが順次に導入される複数のタンクと、複数のタンクの少なくとも一つから導出され、第1ガスよりも経時的な組成の変動幅が低減された第2ガスが流通する流路と、第2ガスと、第1ガス及び第2ガスとは異なる組成を有する第3ガスとを混合して第4ガスを導出する混合器と、を備える。
【0027】
第1ガスは組成が経時的に変動するガスであれば特に限定されない。例えば、圧力スイング吸着装置から導出されるオフガスであってよい。複数のタンクの基数は、2基以上、3基以上、又は5基以上であってよい。「第1ガスが順次に導入される」とは、第1ガスが導入されるタイミングが異なることを意味する。例えば、複数のタンクが第1タンク、第2タンク及び第3タンクを含む場合、最初の所定期間(第1期間)に第1ガスが第1タンクに導入され、次の所定期間(第2期間)に第1ガスが第2タンクに導入され、さらに次の所定期間(第3期間)に第1ガスが第3タンクに導入される。このように所定期間が経過するごとに、導入されるタンクが切り替わる。第1ガスの導入の順番は限定されず、例えば、第1タンク、第3タンク及び第2タンクの順番で導入されてもよい。ガスの組成の変動幅とは所定成分の濃度の最小値と最大値の差である。ガスが3成分以上を含有する場合には、最小値と最大値の差が最も大きい成分に基づいて変動幅が求められる。各タンクに第1ガスが導入される期間及び第1ガスが導入されるタンクを切り替えるタイミングは、各タンクから導出される第2ガスの組成の変動幅が、第1ガスの組成の変動幅よりも低減されるようなタイミングであれば特に限定されない。
【0028】
第1ガスの組成は、周期的に変動してよい。圧力スイング吸着装置は、純度の高い所定のガスとともに、吸着塔の脱圧及び再生の際にオフガスを導出する。組成が周期的に変動する第1ガスとしては、このオフガスが挙げられる。各タンクに第1ガスが連続して導入される期間tは、第1ガスの組成変動の周期pよりも短くてもよく長くてもよい。また、期間t=周期pであってもよい。例えば、周期pに対する期間tの比は、複数のタンクの基数が過剰になることを抑制しつつ組成の変動幅が十分に低減された第2ガスを得る観点から、0.1~1であってよい。当該比が1の場合、第1ガスの組成変動の周期ごとに第1ガスが導入されるタンクが切り替えられることになる。
【0029】
図1の水素ガス製造設備200は、高純度の水素ガス(Hガス)を製造する圧力スイング吸着装置10と、圧力スイング吸着装置10で発生する、組成が経時的に変動するオフガス(第1ガス)を均質化するガス均質化装置100と、を備える。ガス均質化装置100は、複数のタンク20と、複数のタンク20における第1タンク21及び第2タンク22に、圧力スイング吸着装置10から導出されるオフガス(第1ガス)を順次に導入する流路12と、複数のタンク20から導出される第2ガスが流通する流路52と、流路52に接続され、第2ガスと第3ガスとを混合する混合器30と、を備える。
【0030】
流路12は、オフガスを系外に導出する流路13が接続されている。流路13を用いて、例えば、水素ガス濃度が低いオフガスの一部を系外に放出してもよいし、放出しなくてもよい。圧力スイング吸着装置10で発生した、水素ガスを含むオフガスの少なくとも一部は、流路12を流通して第1タンク21又は第2タンク22に導入される。
【0031】
流路12は、第1タンク21及び第2タンク22にオフガスを導入するため2本に分岐している。分岐した流路には、それぞれバルブSV1,SV2が設けられている。SV1,SV2の開閉操作を行うことによって、流路12を流通するオフガスの導入先を切り替えることができる。すなわち、SV1,SV2は、オフガスが導入されるタンクを切り替える切替部を構成する。SV1,SV2を操作することによって、流路12を流通するオフガスを第1タンク21及び第2タンク22に交互に導入することができる。
【0032】
圧力スイング吸着装置10が水素ガスを精製するPSA式水素ガス精製装置(H-PSA)である場合、高純度(99.9体積%以上)の水素ガスの他に、水素ガスと水素ガス以外のガスを含むオフガスが発生する。このようなオフガスの組成は、圧力スイング吸着装置10において脱圧工程、排気工程、再生工程及び加圧工程が繰り返されることに伴って経時的に変動する。この場合、オフガスの組成は、図2に示す時間Tを一周期(周期p)として、周期的に変動する。以下、本例におけるこのオフガスを「第1ガス」と称する。第1ガス(オフガス)における水素ガスの濃度は、35~45体積%の間で周期的に変動する。第1ガスにおける窒素ガスの濃度は、55~65体積%の間で周期的に変動する。第1ガスの組成の変動幅は、10体積%である。
【0033】
図1における第1タンク21には、最初の一周期の間、SV1を開放(SV2は閉止)して第1ガスを導入する。その後、SV1を閉止するとともにSV2を開放し、次の一周期の間、第2タンク22に第1ガスを導入する。これによって、第1タンク21及び第2タンク22のそれぞれには、一周期分の第1ガスが導入される。したがって、第1タンク21と第2タンク22に収容される第1ガスの組成がそれぞれ均質化される。このようにして、第1タンク21及び第2タンク22において、第1ガスよりも経時的な変動が低減された第2ガスが得られる。また、第1タンク21と第2タンク22に収容される第1ガスの互いの組成は同等になる。このようにして第1ガスよりも経時的な組成の変動幅が低減された第2ガスが得られる。
【0034】
第1タンク21と第2タンク22は、それぞれ、第1ガスの導入、第1ガスの均質化(第2ガスの生成)、第2ガスの導出を、繰り返して行う。上述のとおり、SV1を閉止するとともにSV2を開放し、第2タンク22にオフガスの導入が開始されたら、第1タンク21に接続された流路52におけるバルブOV1を開放する。これによって、第1タンク21で生成した第2ガスが流路52を流通する。均質化されたオフガス(第2ガス)は、流路52を流通して混合器30に導入される。
【0035】
第1タンク21における第2ガスの在庫が少なくなったら、流路52におけるOV1を閉止し、流路12におけるSV1を開放する。これとともに、流路12におけるSV2を閉止し、流路52におけるバルブOV2を開放する。これによって、圧力スイング吸着装置10から導出される第1ガスの導出先が第2タンク22から第1タンク21に切り替えられるとともに、第2ガスの混合器30への導出元が第1タンク21から第2タンク22に切り替えられる。このようにして、ガス均質化装置100及び水素ガス製造設備200を継続して運転することができる。
【0036】
混合器30には、第2ガスを供給する流路52と、第3ガスを供給する流路53が接続されている。第3ガスは、例えば以下式(1)に示すとおり、アンモニアを分解して得られる水素ガスと窒素ガスを含んでいてよい。第3ガスにおける水素ガスの含有量は、65~85体積%、又は70~80体積%であってよい。第3ガスにおける窒素ガスの含有量は15~35体積%、又は20~30体積%であってよい。流路52及び流路53には、第2ガス及び第3ガスの流量を調節する流量調節バルブFV1,FV2が設けられている。第2ガスの組成が変動した場合にFV1,FV2を用いて第2ガス及び第3ガスの流量を調節して、後述する第4ガスの組成の変動を抑制してもよい。
2NH→N+3H ・・・(1)
【0037】
混合器30は、円筒状の側壁と側壁上端に接続された上板と側壁下端に接続された底板とで構成される容器本体38と、容器本体38の内部に設けられる邪魔板31,32,33を有する。邪魔板31,33は円盤形状を有しており、邪魔板31,33と側壁の内面との間にはリング形状の隙間が設けられている。邪魔板32はリング形状を有しており、中心に円形状の貫通孔が設けられている。流路52,53は、容器本体38の上板に接続されており、第2ガスと第3ガスは容器本体38の上部から導入される。
【0038】
容器本体38内には、邪魔板31,32,33によってジグザクの流路が形成されている。第2ガス及び第3ガスはこのような流路を流通しながら混合される。図1では、混合器30に3枚の邪魔板が設けられているが、これに限定されない。混合器30において第2ガスと第3ガスを十分に混合して均質化する観点から、邪魔板の数は5枚以上、7枚以上、又は10枚以上であってよい。混合器30は、容器本体と邪魔板から構成される形状に限定されず、例えば、ジグザグの流路を構成する管体で構成されてもよい。混合器30として、ミキサ、ブレンダ、インジェクタ等、種々の混合器を用いてもよい。
【0039】
混合器30において、第2ガスと第3ガスとが十分混合されて得られるガスを、「第4ガス」と称する。混合器30の容器本体38における底板には流路44が接続されている。流路44は圧縮機40が設けられている。この圧縮機40によって、ガス均質化装置100において、第1ガス、第2ガス、第3ガス及び第4ガスを流通させることができる。ガス均質化装置100は、このようにガスを流通させるための動力源を設けているが、複数のタンク20において第1ガスを循環する必要がないため、均質化に伴う動力の増加を抑制することができる。混合器30で生成した第4ガスは混合器30から流路44に導出される。
【0040】
第4ガスは、アンモニアを分解して得られる水素ガスと窒素ガスが含まれる第3ガス、及び、圧力スイング吸着装置10から導出される第1ガス(オフガス)のガス組成が均質化された第2ガスを含む。この第1ガスは、図2に示すとおり、水素ガスを含んでおり、その濃度は、周期的に変動する。しかしながら、ガス均質化装置100では、複数のタンク20において周期的な変動を低減した第2ガスとするとともに、混合器30において第3ガスと周期的な変動が低減された第2ガスとを混合する。これによって、経時的な組成の変動が十分に抑制され、十分に均質化された第4ガスを得ることができる。
【0041】
第4ガスは流路44を流通し圧力スイング吸着装置10に導入される。第4ガスには元々第1ガスに含まれていた水素ガスが含まれる。このため、水素ガス製造設備200は、オフガスを有効に利用して効率よく水素ガスを製造することができる。水素ガス製造設備200には、経時的な組成の変動が十分に抑制された第4ガスが導入される。このため、圧力スイング吸着装置10を十分安定的に運転することができる。
【0042】
図3に示すように圧力スイング吸着装置10は、4つの吸着塔(第1吸着塔10A,第2吸着塔10B,第3吸着塔10C,第4吸着塔10D)を有する。第1吸着塔10A,第2吸着塔10B,第3吸着塔10C,第4吸着塔10Dには、水素ガス以外のガス(窒素ガス等)を吸着する吸着剤が収容されている。各吸着塔は、吸着工程と、脱圧工程と、排気工程と、再生工程と、加圧工程の各工程を繰り返して行うことによって、水素ガスの精製を行ってもよい。
【0043】
吸着工程は、第4ガス(原料ガス)に含まれる水素ガス以外のガスを高圧下で吸着塔内の吸着剤に吸着させて、水素ガスを回収する工程である。脱圧工程は、吸着工程後の吸着塔内を脱圧して吸着工程よりも吸着塔の圧力を下げて、吸着塔内に残存する水素ガス及び第4ガスを排出する工程である。このときに発生するオフガスは、吸着塔内に残留する水素ガスと第4ガスを含む。排気工程は、大気圧下への開放又は真空ポンプ等を用いて吸着塔内に残存する第4ガス及び水素ガスを排出する工程である。排気工程は、吸着塔内の圧力を前記脱圧工程よりもさらに下げて、吸着塔内に残存するガスを排出する。再生工程は、大気圧下への開放又は真空ポンプで吸着塔内をさらに減圧し、吸着塔内に残存する第4ガス及び水素ガスとともに、吸着剤に吸着されていた不純物を排出する工程である。加圧工程は、再生工程を終えた吸着塔に水素ガスを導入して吸着塔内を加圧する工程である。
【0044】
図3は、第1吸着塔10Aが吸着工程を、第2吸着塔10Bが脱圧工程及び排気工程を、第3吸着塔10Cが再生工程を、第4吸着塔10Dが加圧工程をそれぞれ行っている状態を示している。第1吸着塔10Aから高純度の水素ガスが得られる。一方、第2吸着塔10B及び第3吸着塔10Cからは水素ガスとその他のガスを含むオフガスが発生する。このようにして発生するオフガスの全てを、流路12を経由して複数のタンク20に導入してもよい。
【0045】
図4に示す圧力スイング吸着装置10では、脱圧工程及び排気工程を行っている第2吸着塔10B及び再生工程を行っている第3吸着塔10Cの下部に接続される流路が複数に分岐している。すなわち、図1に示す複数のタンク20に接続される流路12と、図1に示す複数のタンク20に接続されず、系外の設備に接続される流路14とに分岐している。脱圧工程及び再生工程で得られるオフガス(第1オフガス)の水素ガスの濃度は、脱圧工程及び再生工程の間の平均で例えば40体積%以上であり、排気工程で得られるオフガス(第2オフガス)の水素ガスの平均濃度よりも高い。
【0046】
圧力スイング吸着装置10から導出されるオフガスのうち、水素ガスの濃度が高い高質オフガス(第1オフガス)のみを第1ガスとして流路12を経由して複数のタンク20に導入してもよい。これによって、第4ガスに含まれる水素ガス以外のガス成分の濃度を低減して、圧力スイング吸着装置10の負荷を低減することができる。高質オフガスよりも水素ガスの濃度が低い低質オフガス(第2オフガス)は、流路14を流通して例えば燃焼設備において燃料として用いてもよい。なお、高質オフガスの全量を複数のタンク20に導入することは必須ではなく、高質オフガスの一部を他の用途に使用してもよい。この高質オフガスは低質オフガスよりもカロリーが高く且つ組成の変動が少ないため、発電機の燃料に用いてもよい。このようにオフガスを複数に分別することで、エネルギーの有効利用を図ることができる。
【0047】
図4に示すような複数の吸着塔を備える圧力スイング吸着装置10を用いて水素ガスの製造方法を行ってもよい。水素ガスの製造方法では、精製ガスとして高純度の水素ガスを得るとともに、高質オフガス(第1オフガス)と低質オフガス(第2オフガス)とを得ることができる。このため、水素ガスの製造方法ということもできる。このようにして得られる精製ガス(水素ガス)、高質オフガス、及び低質オフガスからなる群より選ばれる少なくとも一つを高炉に導入してもよいし、製鉄工程で用いてもよい。これによって鉄鋼生産に伴って排出される二酸化炭素を低減することができる。精製ガス(水素ガス)、高質オフガス、及び低質オフガスからなる群より選ばれる少なくとも一つを、加熱炉に導入して熱処理に用いてもよいし、直接還元炉に導入して鉄鉱石の製造に用いてもよい。これによって、二酸化炭素の排出量を低減することができる。
【0048】
高質オフガスと低質オフガスは経時的に水素ガス濃度が変動してよい。高質オフガスの水素ガスの平均濃度は、低質オフガスの水素ガスの平均濃度よりも高い。高質オフガスの水素ガスの平均濃度は40体積%以上、又は45体積%以上であってよい。
【0049】
図5の水素ガス製造設備210は、水素ガスを精製する圧力スイング吸着装置10と、圧力スイング吸着装置10で発生する、組成が経時的に変動するオフガス(第1ガス)を均質化するガス均質化装置110と、を備える。ガス均質化装置110は、複数のタンク20Aと、複数のタンク20Aに圧力スイング吸着装置10から導出されるオフガス(第1ガス)を順次に導入する流路12と、複数のタンク20Aから導出される第2ガスが流通する流路51,52,54と、第3ガスが流通する流路53と、第2ガスと第3ガスとを混合する混合器30と、を備える。
【0050】
図5の水素ガス製造設備210は、図1の水素ガス製造設備200とは、第1ガスが導入される複数のタンク20Aの基数と、これに関わる付帯設備の点で異なっている。その他の構成は図1の水素ガス製造設備200と同様であってよい。ここでは、図1の水素ガス製造設備200と異なる点を中心に以下に説明する。
【0051】
流路12は、第1タンク21、第2タンク22、第3タンク23、第4タンク24、第5タンク25、第6タンク26、第7タンク27(以下、纏めて「タンク群21~27」という。)にオフガスを導入するため7本に分岐している。分岐した流路には、それぞれバルブSV1,SV2,SV3,SV4,SV5,SV6,SV7(以下、纏めて「SV1~SV7」という。)が設けられている。SV1~SV7の開閉操作を行うことによって、流路12を流通する第1ガスの導入先を切り替えることができる。すなわち、SV1~SV7は、第1ガスが導入されるタンクを切り替える切替部を構成する。SV1~SV7を操作することによって、タンク群21~27の各タンクに第1ガスを異なるタイミングで導入することができる。なお、第1ガスは、タンク群21~27のうち一基ずつ順次導入してもよいし、タンク群21~27のうち二基のグループ又は三基のグループに、順次導入してもよい。
【0052】
タンク群21~27には、流路51及び流路52からなる群より選ばれる少なくとも一つの流路が接続されている。流路51と、第1タンク21、第2タンク22、第3タンク23、第4タンク24、及び第5タンク25と、を接続する各分岐管には、それぞれバルブOV1A、バルブOV2A、バルブOV3A、バルブOV4A、バルブOV5Aが設けられている。これらのバルブを操作することによって、第1タンク21、第2タンク22、第3タンク23、第4タンク24、及び第5タンク25から流路51への第2ガスの導出を開始したり停止したりすることができる。
【0053】
流路52と、第2タンク22、第3タンク23、第4タンク24、第5タンク25、第6タンク26、及び第7タンク27と、を接続する各分岐管には、それぞれバルブOV2B、バルブOV3B、バルブOV4B、バルブOV5B、バルブOV6B、及びバルブOV7Bが設けられている。これらのバルブを操作することによって、第2タンク22、第3タンク23、第4タンク24、第5タンク25、第6タンク26、及び第7タンク27から流路52への第2ガスの導出を開始したり停止したりすることができる。つまり、第2ガスの導出元のタンクを切り替えることができる。
【0054】
流路51と流路52は、予備混合器30A(第2混合器)に接続されている。予備混合器30Aは、円筒状の側壁と側壁上端に接続された上板と側壁下端に接続された底板とで構成される容器本体39と、容器本体39の内部に設けられる邪魔板35,36,37を有する。邪魔板35,37は円盤形状を有しており、邪魔板35,37と側壁の内面との間にはリング状の隙間が設けられている。邪魔板36はリング形状を有しており、中心に円形状の貫通孔が設けられている。流路51,52は、容器本体39の上板に接続されており、流路51,52を流通してきた第2ガスは容器本体39の上部から導入される。
【0055】
容器本体39内には、邪魔板35,36,37によってジグザクの流路が形成されている。異なるタンクから導出された第2ガスはこのような流路を流通しながら混合される。これによって、第2ガスを十分に均質化することができる。図5では、予備混合器30Aに3枚の邪魔板が設けられているが、これに限定されない。予備混合器30Aにおいて第2ガス同士を十分に混合して均質化する観点から、邪魔板の数は5枚以上、7枚以上、又は10枚以上であってよい。予備混合器30Aは、混合器30と同様に容器本体と邪魔板から構成される形状に限定されず、例えば、ジグザグの流路を構成する管体で構成されてもよい。予備混合器30Aとして、ミキサ、ブレンダ、インジェクタ等、種々の混合器を用いてもよい。
【0056】
第1ガスの組成が図2に示すように変動する場合、第1ガスの組成変動の一周期内(周期p)において、第1ガスを複数のタンクに順次導入してもよい。図6には一周期分の第1ガスの組成変動を示している。図6の横軸は時間、縦軸は窒素ガスの体積比である。図6では、一周期を、I,II,III,IV,V,VIの6つの時間帯に等分している。これらの時間帯ごとに、第1ガスを導入するタンクを切り替えてもよい。表1及び表2に、タンクの切り替えの例を示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
表1及び表2にはサイクル1~9の各時間帯I~VIにおけるタンク群21~27の状態を示している。一つのサイクルが一周期に対応する。各サイクルにおいて、第1ガス(オフガス)の組成が図6のように変動する。表1及び表2では、サイクル1~9を示しているが、サイクル数は限定されず、サイクル10以降もサイクル9までと同様の操作を繰り返してもよい。
【0060】
表1,2中、「導入」は第1ガスが各タンクに導入されることを示し、「待機」は第2ガスが充填された状態であることを示し、「導出」は各タンクから第2ガスを流路51又は流路52に導出することを示す。この「導出」は、一つの時間帯で、1基のタンク内にある第2ガスを全て導出するのに対し、「1/2導出」は、2つの時間帯にわたって、2基のタンク内にある第2ガスを全て導出する。このため、単位時間当たりの各タンクからの第2ガスの導出量は、「1/2導出」では「導出」の半分となる。「↓」は直前の時間帯と同じ状態を継続すること示し、「-」は第2ガスを導出した後、タンクが実質的に空の状態になっていることを示している。
【0061】
表1及び表2に示されるように、各サイクルにおいて時間帯Iで圧力スイング吸着装置10から導出される第1ガスは、いずれも第1タンク21に導入される。第1タンク21に導入された第1タンク21は時間帯II~Vの間、滞留して均質化され第2ガスとなり、時間帯VIで第1タンク21から導出される。また、各サイクルにおいて時間帯IVで発生する第1ガスは、第4タンク24、第5タンク25、第6タンク26、又は第7タンク27に導入される。これらのタンクで暫く滞留して均質化されて第2ガスとなり、その後、いずれかの時間帯で各タンクから導出される。時間帯I,IVで発生する第1ガスは、概ね一周期で発生する第1ガスの平均的な組成に近い組成を有することから、単独で第2ガスを導出しても第2ガスの組成の経時的な変動を十分に抑制することができる。
【0062】
各サイクルにおいて時間帯IIIで発生する第1ガスは、第2タンク22、第3タンク23、第4タンク24、又は第5タンク25に導入される。各サイクルにおいて時間帯Vで発生する第1ガスは、第2タンク22、第3タンク23、又は第5タンク25に導入される。各タンクに導入された第1ガスは暫く滞留して均質化され第2ガスとなる。時間帯IIIで各タンクに導入され滞留した第2ガスと、時間帯Vで各タンクに導入され滞留した第2ガスは、それぞれ同じタイミングで流路51又は流路52に導出される。これらは予備混合器30Aで合流して混合される。これによって概ね一つの周期で発生する第1ガスの平均的な組成に近い組成を有する第2ガスが得られる。
【0063】
各サイクルにおいて時間帯IIで発生する第1ガスは、第2タンク22、第4タンク24、第6タンク26、又は第7タンク27に導入される。各サイクルにおいて時間帯VIで発生する第1ガスは、第3タンク23、第4タンク24、第5タンク25又は第6タンク26に導入される。各タンクに導入された第1ガスは暫く滞留して均質化されて第2ガスとなる。時間帯IIで発生し均質化された第2ガスと、時間帯VIで発生し均質化された第2ガスは、それぞれ同じタイミングで流路51又は流路52に導出される。これらは予備混合器30Aで合流して混合される。これによって概ね一つの周期で発生する第1ガスの平均的な組成に近い組成を有する第2ガスが得られる。
【0064】
このようにして経時的な組成の変動が低減された第2ガスが得られる。この第2ガスは流路54を流通して混合器30に導入される。混合器30以降は、図1に示す実施形態と同様であってよい。この実施形態では、第1ガスの組成変動の一周期当たりに第1ガスが導入されるタンクの基数は6基であるのに対し、複数のタンク20Aの総数は7基である。このように一周期当たりに第1ガスが導入されるタンクの基数よりもタンクの総数を多くすることによって、組成変動が十分に抑制された第2ガス及び第4ガスを安定的に得ることができる。
【0065】
本開示のガス均質化装置は、水素ガス製造設備以外の設備に含まれていてよい。例えば、廃棄物を処理するガス化溶融炉設備に含まれていてもよい。
【0066】
図7のガス化溶融炉設備300は、炭材ベッド式の溶融炉70と、溶融炉70の上部に設けられた二重シール機構を有する装入装置60と、ガス均質化装置120と、装入装置60で用いられる窒素ガスを調製する第1圧力スイング吸着装置10aと、を備える。溶融炉70は、シャフト部72と該シャフト部72の下端に設けられる朝顔部74と、朝顔部74の下部に設けられる炉底部76と、を有する。シャフト部72から炉底部76には、上から順に、熱分解帯用の上段羽口75と、燃焼溶融帯用の下段羽口77とが設けられている。上段羽口75及び下段羽口77は、それぞれ複数段で設けられていてもよい。
【0067】
廃棄物、炭材及び副資材は、装入装置60において、窒素ガスによって、廃棄物、炭材及び副資材中に混在する空気が除去されて溶融炉70に装入される。廃棄物としては、一般廃棄物、産業廃棄物、これらに乾燥、焼却、破砕等の処理を施して得られた焼却灰等の処理物、及び、これらを一度埋め立て処理した後、再度掘り起こした土砂分を含む埋め立てごみ等が挙げられる。副資材は、上述の塩基度調整剤を含んでよい。副資材は、塩基度調整剤の他に、鉄鉱石、マグネシア、ペリクレース、クドカンラン石、及びジャモン石等から選ばれる少なくとも一つを含んでよい。このような副資材を用いることによって、溶融炉70の内部において、廃棄物78を十分に溶融させることができる。炭材としては、石炭、コークス又は成型炭、木質バイオマス等を用いることができる。
【0068】
下段羽口77からは酸素富化空気が供給され、上段羽口75からは支燃ガスとして空気が供給される。溶融炉70に装入された炭材は、下段羽口77から供給された酸素富化空気によって燃焼され熱源として機能する。溶融炉70に装入された副資材を含む廃棄物78は、炭材の燃焼によって例えば1600℃以上にまで加熱されて、熱分解残渣73となる。熱分解残渣73は、主に上段羽口75から供給された空気によって燃焼される。
【0069】
廃棄物78中の可燃分と塩基度調整剤の成形体に含まれるプラスチック及びバイオマスはガス化して溶融炉70内を上昇し、排ガス管62を経由して燃焼室に導入される。一方、灰分は、熱分解残渣73を経て溶融スラグとなる。塩基度調整剤の成形体に含まれる石灰源及びシリカ源は、溶融スラグの塩基度調整剤として機能する。塩基度が調整された溶融スラグは、炉底部76の炭材充填層71を流下して出滓口79から排出される。
【0070】
溶融炉70で生成した熱分解ガスは、シャフト部72を上昇し、装入装置60の下部に接続された排ガス管62から燃焼室へ導入される。燃焼排ガスは可燃ガスとして燃焼された後、ボイラで廃熱回収される。その後、排ガスは、減温塔で温度が調整された後、集塵機及び触媒反応塔を通過して、煙突から排出されてよい。
【0071】
第1圧力スイング吸着装置10aは、窒素ガスを精製するPSA式窒素ガス精製装置(N-PSA)であってよい。第1圧力スイング吸着装置10aは、例えば、空気から高純度の窒素ガスを得るとともに、窒素ガス及び酸素ガスを含むオフガスを導出する。第1圧力スイング吸着装置10aも図3に示すように、複数(例えば2~4つ)の吸着塔を有し、それぞれに窒素ガス以外のガス(酸素ガス等)を吸着する吸着剤が収容されている。各吸着塔は、吸着工程と、脱圧工程と、排気工程と、再生工程と、加圧工程の各工程を繰り返して行ってよい。
【0072】
第1圧力スイング吸着装置10aで得られた窒素ガスは、装入装置60において、廃棄物、炭材及び副資材中に混在する空気の除去及び装入に用いられてよい。脱圧工程、排気工程及び再生工程等で発生するオフガスは、酸素ガスを含む。以下、本例において、酸素ガスを含む当該オフガスを「第1ガス」と称する。第1ガスは、図1に示す実施形態と同様に、流路12を流通して複数のタンク20のそれぞれに順次に導入される。第1タンク21と第2タンクに導入された第1ガスは、滞留して均質化される。このようにして、第1タンク21及び第2タンクにおいて、第1ガスよりも経時的な組成の変動幅が低減された第2ガスが得られる。また、第1タンク21と第2タンクに収容される第2ガスの組成は同等になる。
【0073】
混合器30には、第2ガスを供給する流路52と、第3ガスを供給する流路53が接続されている。第3ガスは、第2圧力スイング吸着装置80で得られる高純度の酸素ガスであってよい。第2圧力スイング吸着装置80としては、空気から酸素ガスを精製するPSA式酸素ガス精製装置(O-PSA)であってよい。PSA式酸素ガス精製装置の装置構成も、図3に示すように、複数(例えば2~4つ)の吸着塔を有し、それぞれに酸素ガス以外のガス(窒素ガス等)を吸着する吸着剤が収容されている。各吸着塔は、吸着工程と、脱圧工程と、排気工程と、再生工程と、加圧工程の各工程を繰り返して行ってよい。
【0074】
混合器30において、第2ガスと第3ガスとが混合されて得られる酸素富化空気(第4ガス)の酸素ガス濃度は、例えば30~80体積%、又は40~70体積%であってよい。混合器30で生成した酸素富化空気は、必要に応じて空気を混合した後、下段羽口77から溶融炉70に供給されてよい。第1圧力スイング吸着装置10aで発生した第1ガスを、酸素富化空気の調整に用いることによって、第2圧力スイング吸着装置80の負荷を低減することができる。また、混合器30で得られる酸素富化空気は、経時的な組成変動が十分に抑制されているため、溶融炉70を十分に安定して運転することができる。
【0075】
一実施形態に係るガス均質化方法は、組成が経時的に変動する第1ガスを複数のタンク20に順次に導入する導入工程と、複数のタンク20の少なくとも一つから、第1ガスよりも経時的な組成の変動幅が低減された第2ガスを導出する導出工程と、第2ガスと、第1ガス及び第2ガスとは異なる組成を有する第3ガスとを混合器において混合して第4ガスを得る混合工程と、を有する。このガス均質化方法は、図1に示す水素ガス製造設備200のガス均質化装置100、図5に示す水素ガス製造設備210のガス均質化装置110、図7に示すガス化溶融炉設備300のガス均質化装置120、又はこれらとは別の設備において行ってよい。上述の各装置及び各設備の説明は、ガス均質化方法にも適用される。
【0076】
一実施形態に係る水素ガス製造設備の運転方法は、図1図5)に示すガス均質化装置100(110)と、圧力スイング吸着装置10と、を備える水素ガス製造設備200(210)の運転方法であって、圧力スイング吸着装置10から導出される水素ガスを含むオフガスの少なくとも一部を第1ガスとしてガス均質化装置100に導入する第1導入工程と、水素ガスと窒素ガスとを含む第3ガスを混合器30に導入する第2導入工程と、水素ガスと窒素ガスとを含む第4ガスを圧力スイング吸着装置10に導入する第3導入工程と、圧力スイング吸着装置10において第4ガスから水素ガスを得る精製工程と、を有する。
【0077】
この水素ガス製造設備の運転方法は、図1に示す水素ガス製造設備200、図5に示す水素ガス製造設備210、又はこれらとは別の水素ガス製造設備において行ってよい。水素ガス製造設備200,210の説明は、水素ガス製造設備の運転方法にも適用される。
【0078】
一実施形態に係る水素ガスの製造方法は、図4に示す圧力スイング吸着装置10を用いて行ってよい。上述の水素ガス製造設備200及びその運転方法に関する説明内容は、水素ガスの製造方法にも適用される。この水素ガスの製造方法は、水素ガスと水素ガスとは異なる異種成分(例えば窒素ガス)を含む原料ガスを吸着塔に導入し、異種成分を吸着塔10A(10B,10C,10D)の吸着剤に吸着させて原料ガスよりも水素ガス濃度が高い精製ガスを得る吸着工程と、吸着塔10A(10B,10C,10D)への原料ガスの導入を停止し、吸着工程よりも吸着塔10A(10B,10C,10D)内の圧力を下げて、吸着塔10A(10B,10C,10D)内に残存するガスを排出する脱圧工程と、吸着塔10A(10B,10C,10D)内の圧力を脱圧工程よりもさらに下げて、吸着塔10A(10B,10C,10D)内に残存するガスを排出する排気工程と、吸着塔10A(10B,10C,10D)内の圧力を排気工程よりもさらに下げて、吸着塔10A(10B,10C,10D)内に残存するガスとともに、吸着剤に吸着された異種成分を排出する再生工程と、再生工程に続いて吸着塔10A(10B,10C,10D)内に原料ガスを導入することにより吸着塔内を加圧する加圧工程と、上記脱圧工程及び上記再生工程において吸着塔10A(10B,10C,10D)から排出される第1オフガスと、上記排気工程において吸着塔10A(10B,10C,10D)から排出され、第1オフガスよりも水素ガスの平均濃度が低い第2オフガスと、を分別する分別工程と、を有する。
【0079】
原料ガスは第4ガスに限定されず、水素ガスを含む種々のガスを用いることができる。各吸着塔において一連の工程を繰り返し行うことで、高純度の水素ガスを継続的に製造しつつ、オフガスを有効利用することができる。吸着塔は4つに限定されない。分別工程では、脱圧工程、排気工程及び再生工程で得られるそれぞれのオフガスを、水素ガスの平均濃度が異なる3つのオフガスに分別してもよいし、脱圧工程で得られるオフガスと、排気工程及び再生工程で得られるオフガスとに分別してもよい。このように水素ガスの平均濃度が異なる複数のオフガスが得られればよい。
【0080】
一実施形態に係るガス化溶融炉設備の運転方法は、図7に示すガス均質化装置120と、溶融炉70と、溶融炉70の装入装置60で用いられる窒素ガスを精製する第1圧力スイング吸着装置10aと、を備えるガス化溶融炉設備300の運転方法であって、第1圧力スイング吸着装置10aから導出される酸素ガスを含むオフガスの少なくとも一部を第1ガスとしてガス均質化装置120に導入する第1導入工程と、第3ガスとして酸素を含む第1酸素含有ガスを混合器30に導入する第2導入工程と、第4ガスを含む第2酸素含有ガスを溶融炉70に導入する第3導入工程と、を有する。第3ガス(第1酸素含有ガス)は、第2圧力スイング吸着装置80で得られるガスであってよい。第2酸素含有ガスは、第3ガスと空気とを混合して得られる酸素富化空気であってよい。
【0081】
このガス化溶融炉設備の運転方法は、図7に示すガス化溶融炉設備300、又はこれらとは別のガス化溶融炉設備において行ってよい。ガス化溶融炉設備300の説明は、ガス化溶融炉設備の運転方法にも適用される。
【0082】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。本開示は以下の実施形態を含む。
【0083】
[1]組成が経時的に変動する第1ガスが順次に導入される複数のタンクと、
前記複数のタンクの少なくとも一つから導出され、前記第1ガスよりも経時的な組成の変動幅が低減された第2ガスが流通する流路と、
前記第2ガスと、前記第1ガス及び前記第2ガスとは異なる組成を有する第3ガスとを混合して第4ガスを導出する混合器と、を備える、ガス均質化装置。
[2]前記第1ガスの組成は周期的に変動する、[1]に記載のガス均質化装置。
[3]前記第1ガスは、圧力スイング吸着装置から導出されるオフガスの少なくとも一部を含む、[1]又は[2]に記載のガス均質化装置。
[4]前記圧力スイング吸着装置の吸着塔から導出される前記オフガスの流路は複数に分岐しており、
前記オフガスが水素の平均濃度が互いに異なる複数のオフガスに分別され、分別されたオフガスが前記第1ガスとして前記複数のタンクに順次に導入される、[3]に記載のガス均質化装置。
[5]前記第1ガスが前記複数のタンクに順次に導入されるように前記第1ガスが導入されるタンクを切り替える切替部を備え、
前記切替部は前記第1ガスの組成変動の周期ごとに前記タンクを切り替える、[1]~[4]のいずれか一つに記載のガス均質化装置。
[6]前記第1ガスが前記複数のタンクに順次に導入されるように前記第1ガスが導入されるタンクを切り替える切替部を備え、
前記切替部は前記第1ガスの組成変動の周期よりも短い周期で前記タンクを切り替える、[1]~[5]のいずれか一つに記載のガス均質化装置。
[7]前記複数のタンクの総数は、前記第1ガスの組成変動の一周期当たりに前記第1ガスが導入されるタンクの基数よりも多い、[1]~[6]のいずれか一つに記載のガス均質化装置。
[8]上記[1]~[7]のいずれか一つに記載のガス均質化装置と、水素ガスを精製する圧力スイング吸着装置と、を備える水素ガス製造設備であって、
前記圧力スイング吸着装置から導出される水素ガスを含むオフガスの少なくとも一部が前記第1ガスとして前記ガス均質化装置に導入され、
水素ガスと窒素ガスとを含む前記第3ガスが前記混合器に導入され、
前記第4ガスを含むガスが前記圧力スイング吸着装置に導入される、水素ガス製造設備。
[9] 前記第1ガスとして前記ガス均質化装置に導入される前記オフガスにおける水素ガスの平均濃度が40体積%以上である、[8]に記載の水素ガス製造設備。
[10]上記[1]~[9]のいずれか一つに記載のガス均質化装置と、溶融炉と、前記溶融炉の上方に設けられる装入装置と、前記装入装置で用いられる窒素ガスを精製する第1圧力スイング吸着装置と、を備えるガス化溶融炉設備であって、
前記第1圧力スイング吸着装置から導出される酸素ガスを含むオフガスの少なくとも一部が前記第1ガスとして前記ガス均質化装置に導入され、
前記第3ガスとして酸素を含む第1酸素含有ガスが前記混合器に導入され、
前記第4ガスを含む第2酸素含有ガスが前記溶融炉に導入される、ガス化溶融炉設備。
[11]空気から、前記第3ガスとして前記空気よりも高い酸素ガス濃度を有する前記第1酸素含有ガスを得る第2圧力スイング吸着装置をさらに備える、[10]に記載のガス化溶融炉設備。
[12]組成が経時的に変動する第1ガスを複数のタンクに順次に導入する導入工程と、
前記複数のタンクの少なくとも一つから、前記第1ガスよりも経時的な組成の変動幅が低減された第2ガスを導出する導出工程と、
前記第2ガスと、前記第1ガス及び前記第2ガスとは異なる組成を有する第3ガスとを混合器において混合して第4ガスを得る混合工程と、を有する、ガス均質化方法。
[13]圧力スイング吸着装置の吸着塔から導出される流路が複数に分岐しており、前記吸着塔から導出されるオフガスを複数に分別する分別工程を有し、
分別された前記オフガスの一部を前記第1ガスとして前記複数のタンクに順次に導入する、[12]に記載のガス均質化方法。
[14]上記[1]~[9]のいずれか一つに記載のガス均質化装置と、水素ガスを精製する圧力スイング吸着装置と、を備える水素ガス製造設備の運転方法であって、
前記圧力スイング吸着装置から導出される水素ガスを含むオフガスの少なくとも一部を前記第1ガスとして前記ガス均質化装置に導入する第1導入工程と、
水素ガスと窒素ガスとを含む前記第3ガスを前記混合器に導入する第2導入工程と、
前記第4ガスを前記圧力スイング吸着装置に導入する第3導入工程と、
前記圧力スイング吸着装置において前記第4ガスから水素ガスを得る精製工程と、を有する、水素ガス製造設備の運転方法。
[15]上記[1]~[9]のいずれか一つに記載のガス均質化装置と、溶融炉と、前記溶融炉の装入装置で用いられる窒素ガスを精製する第1圧力スイング吸着装置と、を備えるガス化溶融炉設備の運転方法であって、
前記第1圧力スイング吸着装置から導出される酸素ガスを含むオフガスの少なくとも一部を前記第1ガスとして前記ガス均質化装置に導入する第1導入工程と、
前記第3ガスとして酸素を含む第1酸素含有ガスを前記混合器に導入する第2導入工程と、
前記第4ガスを含む第2酸素含有ガスを前記溶融炉に導入する第3導入工程と、を有する、ガス化溶融炉設備の運転方法。
[16]水素ガスを含み、組成が経時的に変動する第1ガスが順次に導入される複数のタンクと、前記複数のタンクの少なくとも一つから導出され、前記第1ガスよりも経時的な組成の変動幅が低減された第2ガスが流通する流路と、前記第2ガスと、前記第1ガス及び前記第2ガスとは異なる組成を有する第3ガスとを混合して第4ガスを導出する混合器と、吸着塔を有する圧力スイング吸着装置と、を備える水素ガス製造設備を用いる水素ガスの製造方法であって、
水素ガスと前記水素ガスとは異なる異種成分を含む前記第4ガスを前記吸着塔に導入し、前記異種成分を前記吸着塔内の吸着剤に吸着させて水素ガスを得る吸着工程と、
前記吸着塔への前記第4ガスの導入を停止し、前記吸着工程よりも前記吸着塔内の圧力を下げて、前記吸着塔内に残存するガスを排出する脱圧工程と、
前記吸着塔内の圧力を前記脱圧工程よりもさらに下げて、前記吸着塔内に残存するガスを排出する排気工程と、
前記吸着塔内に残存するガスとともに、前記吸着剤に吸着された前記異種成分を排出する再生工程と、
前記再生工程の後に前記吸着塔内に前記第4ガスを導入することにより前記吸着塔内を加圧する加圧工程と、を有し、
前記脱圧工程、前記排気工程、及び前記再生工程で排出されるオフガスを分別して、水素ガスの平均濃度が異なる複数のオフガスを得る分別工程を有する、水素ガスの製造方法。
[17]前記分別工程では、前記脱圧工程及び前記再生工程において前記吸着塔から排出される第1オフガスと、前記排気工程において前記吸着塔から排出され、前記第1オフガスよりも水素ガスの平均濃度が低い第2オフガスと、を分別する、[17]に記載の水素ガスの製造方法。
[18]前記第4ガスは、アンモニアを分解して得られる水素ガスを含む、[16]又は[17]に記載の水素ガスの製造方法。
[19]上記[16]~[18]のいずれか一つに記載の水素ガスの製造方法により得られる前記水素ガス及び/又は前記複数のオフガスを製鉄工程で使用する、製鉄方法。[20]上記[16]~[18]のいずれか一つに記載の水素ガスの製造方法により得られる前記水素ガス及び/又は前記複数のオフガスを高炉に導入する、製鉄方法。
[21]上記[16]~[18]のいずれか一つに記載の水素ガスの製造方法により得られる前記水素ガス及び/又は前記複数のオフガスを加熱炉に導入する、熱処理方法。
[22]上記[16]~[18]のいずれか一つに記載の水素ガスの製造方法により得られる前記水素ガス及び/又は前記複数のオフガスを鉄鉱石の直接還元炉に導入する、鉄鉱石の製造方法。
【実施例
【0084】
実施例を参照して本発明の内容をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0085】
(実施例1)
図8に示されるように、第1圧力スイング吸着装置10aで得られる第1ガス(オフガス)の組成(酸素ガスと窒素ガスの体積割合)は周期的に変動する。このような第1ガスを図7に示すガス化溶融炉設備300のガス均質化装置120に供給したときに混合器30内における酸素ガス濃度及び窒素ガス濃度のシミュレーション結果を図9(A)及び図9(B)にそれぞれ示す。なお、このシミュレーションにおける混合器30は、内径1200mm、長さ4200mmの円柱形状を有しており、内部には円板形状(直径:1000mm)とリング形状の邪魔板(貫通孔の直径:350mm)を交互に合計で13枚有している。図8に示すように組成が変動する第1ガスを第1タンク21と第2タンク22に順次に導入し、第1ガスよりも組成の変動幅が低減された第2ガスを得た。混合器30に、酸素ガス:窒素ガス=90体積%:10体積%の第3ガスを1000Nm/hの流量で供給し、各タンクで均質化して得た第2ガスを790Nm/hの流量で供給した。
【0086】
図9(A)及び図9(B)の横軸は、13枚の邪魔板で区画される混合器30内の14個の領域(段)を上流側から順番に番号付けしたものである。図9(A)及び図9(B)に示すように、混合器30内では、図8に示す第1ガスの組成変動の影響が無くなり、均質な第4ガスを得ることができた。混合器30の3段目以降で、第4ガスの組成が一定になっていた。
【0087】
(比較例1)
複数のタンク20を用いずに、図8に示すように組成が変動する第1ガスを直接混合器30に導入したときの混合器30の出口における酸素ガス濃度及び窒素ガス濃度をそれぞれシミュレーションした。複数のタンク20を用いなったこと以外は実施例1と同じ条件とした。その結果、図10(A)及び図10(B)に示されるように、第4ガスは周期的に組成が変動しており、第1ガスの組成変動の影響を受けていた。このように、混合器30のみでは組成変動を抑制することが困難であることが確認された。
【0088】
(実施例2)
図7に示すように、ガス化溶融炉設備300にガス均質化装置120を設けた場合に、第2圧力スイング吸着装置80の負荷がどの程度軽減されるかをシミュレーションした。図11に示すように第1圧力スイング吸着装置10aからは第1ガス(酸素ガス濃度の平均値が33体積%のオフガス)が790Nm/hの量で発生するものとした。第2圧力スイング吸着装置80には空気を供給し、酸素ガス濃度が90体積%の第3ガスが得られるものとした。混合器30から導出される第4ガスは、ブロアで昇圧され、その後、空気と混合されて酸素ガス濃度が38体積%の酸素富化空気となり、下段羽口から溶融炉70に4000Nm/hの流量で供給されるものとした。この場合の第2圧力スイング吸着装置80への空気の導入量は865Nm/hであった。
【0089】
(比較例2)
複数のタンク20及び混合器30を用いずに、第1圧力スイング吸着装置10aのオフガスを回収せずに放出した場合に、第2圧力スイング吸着装置80への空気の導入量がどのくらいになるのかをシミュレーションした。下段羽口から溶融炉70に導入される酸素富化空気の流量と酸素ガス濃度を実施例2と同じにするためには、図12に示すとおり、第2圧力スイング吸着装置80に空気を1000Nm/hの流量で導入することが必要であった。
【0090】
実施例2と比較例2の結果から、第1圧力スイング吸着装置10aから発生する酸素ガス濃度の平均値が33体積%のオフガスを回収することによって、第2圧力スイング吸着装置80の負荷を十分に低減できることが確認された。なお、図11及び図12に示す「%」は体積基準の値である。
【符号の説明】
【0091】
10…圧力スイング吸着装置、10a…第1圧力スイング吸着装置、10A…第1吸着塔、10B…第2吸着塔、10C…第3吸着塔、10D…第4吸着塔、12,13,14,44,51,52,53,54…流路、20,20A…複数のタンク、21…第1タンク、22…第2タンク、23…第3タンク、24…第4タンク、25…第5タンク、26…第6タンク、27…第7タンク、30…混合器、30A…予備混合器、31,32,33,35,36,37…邪魔板、38,39…容器本体、40…圧縮機、60…装入装置、62…排ガス管、70…溶融炉、71…炭材充填層、72…シャフト部、73…熱分解残渣、74…朝顔部、75…上段羽口、76…炉底部、77…下段羽口、78…廃棄物、79…出滓口、80…第2圧力スイング吸着装置、100,110,120…ガス均質化装置、200,210…水素ガス製造設備、300…ガス化溶融炉設備。
【要約】
【課題】動力の増加を抑制しつつ、ガスの経時的な組成変動の影響を十分に低減することが可能なガス均質化装置を提供すること。
【解決手段】組成が経時的に変動する第1ガスが順次に導入される複数のタンクと、複数のタンクの少なくとも一つから導出され、第1ガスよりも経時的な組成の変動幅が低減された第2ガスが流通する流路と、流路に接続され、第2ガスと、第1ガス及び第2ガスとは異なる組成を有する第3ガスとを混合して第4ガスを導出する混合器と、を備える、ガス均質化装置を提供する。
【選択図】図1
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12