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  • 特許-施設関連知識習得システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】施設関連知識習得システム
(51)【国際特許分類】
   G09B 7/04 20060101AFI20241204BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20241204BHJP
【FI】
G09B7/04
G06Q50/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024134367
(22)【出願日】2024-08-09
【審査請求日】2024-08-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501370370
【氏名又は名称】三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 愛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 航
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 朝子
(72)【発明者】
【氏名】小野 清子
(72)【発明者】
【氏名】藤瀬 和彦
【審査官】白形 優依
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111368808(CN,A)
【文献】特開2018-128605(JP,A)
【文献】特開2022-027250(JP,A)
【文献】特開2023-000982(JP,A)
【文献】特開昭54-065630(JP,A)
【文献】国際公開第2004/029905(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00 - 9/56
G09B17/00 -19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
代表者と同行者とを含む集団が施設関連知識の習得をするための施設関連知識習得システムであって、
学習エリアには、前記集団を撮像する第一撮像装置と、前記同行者は使用せず前記代表者のみが使用するデジタル機器と、前記代表者が前記デジタル機器により見ることができる内容と同じ内容が少なくとも表示され且つ少なくとも前記同行者が見ることができる第一表示装置と、
復習エリアには、前記代表者と前記同行者とが同じ内容を見ることができる第二表示装置と
を有すると共に、
前記施設関連知識に関し予め設定された複数の問題と、前記複数の問題の各々の正解に対応する複数の解説と、前記各々の正解に対応する前記代表者と前記同行者のそれぞれの正解動作とを記憶する記憶装置と、
制御装置と
を有し、
前記制御装置は、
前記記憶装置が記憶する前記複数の問題の中から少なくとも一つの問題を選択し、前記第一表示装置へ表示させる出題問題選択部と、
前記第一表示装置に表示された問題に対する前記代表者の回答動作を前記デジタル機器に基づき認識する代表者動作認識部と、
前記第一表示装置に表示された問題に対して前記集団の各個人が体の大きな動作で行ったそれぞれの回答動作を前記第一撮像装置に基づき認識するとともに、前記代表者動作認識部が認識した前記代表者の回答動作と、前記代表者の回答動作が前記体の大きな動作とは異なる前記代表者の体の小さな動作であることを示す相違情報に基づき前記第一撮像装置に基づく認識を修正することで、前記集団全体における最多人数が行った回答動作を示す最多人数回答動作を認識する最多人数動作認識部と、
前記代表者動作認識部が認識した前記代表者の回答動作と、前記最多人数動作認識部が認識した前記最多人数回答動作とをそれぞれ、前記記憶装置が記憶する前記正解動作と比較することで、前記代表者の回答動作及び前記最多人数回答動作の各々の正誤を判定し、それぞれ前記問題に対応させて前記正誤の判定の結果を前記記憶装置へ記憶する正誤判定部と、
前記代表者の前記正誤の判定の結果を前記第一表示装置に表示させ、前記判定の結果に対応する前記解説を前記第一表示装置に表示させまたは前記第一表示装置から音声出力させる正解解説部と
を備え、
前記出題問題選択部は、前記複数の問題のうち、前記記憶装置に記憶された前記最多人数回答動作の前記判定の結果が不正解であった問題を前記第二表示装置へ表示させる施設関連知識習得システム。
【請求項2】
前記最多人数動作認識部は、前記最多人数回答動作をした人数割合が所定割合以下であることを示す必修情報を前記正誤判定部へ送信し、
前記正誤判定部は、前記必修情報を受信した場合、前記最多人数回答動作は不正解であると判定する請求項1記載の施設関連知識習得システム。
【請求項3】
前記学習エリアは、前記集団の全員が集合する1つの場所であり、
前記復習エリアは、前記学習エリアと同一の場所、または、前記学習エリアと異なる前記集団の全員が集合する1つの場所、または、前記集団の各個人が分散した複数の場所のいずれかの場所である請求項2に記載の施設関連知識習得システム。
【請求項4】
前記復習エリアは、前記集団の全員が集合する1つの場所であり、
前記復習エリアには、前記集団を撮像する第二撮像装置をさらに備え、
前記最多人数動作認識部は、前記出題問題選択部により前記第二表示装置に表示された問題に対して前記集団の各個人が体の大きな動作で行ったそれぞれの回答動作を前記第二撮像装置に基づき認識することで、前記集団全体における最多人数が行った回答動作を示す最多人数回答動作を認識し、
前記正誤判定部は、前記最多人数回答動作の正誤を判定し、
前記正解解説部は、前記正誤の判定の結果を前記第二表示装置に表示させ、前記判定の結果に対応する前記解説を前記第二表示装置に表示させまたは前記第二表示装置から音声出力させる請求項3に記載の施設関連知識習得システム。
【請求項5】
前記学習エリアに配置されたマイクと、
前記マイクで収集された音声を認識する集団音声認識部と
をさらに有し、
前記正誤判定部は、
前記集団音声認識部が、前記正解動作に対応する言葉を所定量以上の音量で認識した場合、前記最多人数回答動作に基づき正誤を判定し、
前記集団音声認識部が、前記正解動作に対応する言葉を前記所定量以上の音量で認識できない場合、前記最多人数回答動作は実際の正誤に関係なく不正解であると判定する請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の施設関連知識習得システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物清掃工場などの施設に関連する知識を集団で習得するための施設関連知識習得システムに関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物を焼却処理する清掃工場などの施設では、学童向けの見学会が随時開催される。そして、見学会の参加者各人がスマートフォン(以下、「スマホ」という)等のデジタル機器を使用することで、アニメーションを用いたキャラクターによる説明などを通じて、施設に関連する知識(以下、「施設関連知識」という)を習得できる工夫がなされてきた(特許文献1参照)。
一方、仮想現実用の装置(以下、「VR装置」という)を用いて実際の操作手順を体験し学ぶことができる技術(特許文献2参照)や、体験型施設で学習した内容をパソコン等のデジタル機器を用いて自宅で容易に復習できる技術(特許文献3参照)が開発されている。
また、多数の参加者の個別のジェスチャーをそれぞれ把握し、例えば、右手を挙手した人数と左手を挙手した人数を把握できる技術が開発されている(特許文献4参照)。
さらに、カメラ、マイク、スピーカ、及び生成AIが内蔵された表示装置に人物やキャラクターなどを表示させ、利用者が当該表示装置に向かって口頭質問することで、会話形式で所望の回答を得るようにしたシステムも開発されている(特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2023-171091号公報
【文献】特開2019- 12154号公報
【文献】特開2010-225129号公報
【文献】特開2010-239327号公報
【文献】特開2020-182092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
施設の見学会において、複数の参加者で構成される集団が、少なくとも初めて施設関連知識について学習する場合においては、その集団の各参加者個人が所有するデジタル機器、例えば、スマホ、タブレットなどの携帯端末の使用を制限することが望ましい。なぜなら、一般的に、参加者が所有するデジタル機器には当該参加者が独自にアプリ(例えば、ゲームアプリ)をインストールしており、見学会の実施中に当該アプリが起動されると、当該参加者が学習に集中できない事態が生じうるからである。
そこで、施設の見学会を実施する際には、各参加者が所有するデジタル機器の使用を制限し、代わりに、施設関連知識の学習に不要なアプリがインストールされていない学習専用のデジタル機器を、当該見学会の主催者等が貸与するのが望ましい。
【0005】
ところで、施設の見学会、例えば、清掃工場の見学会に参加する一つの集団における参加者の人数は、学童向けの見学会の場合、通常、30~40名ほどの多人数である。このため、一つの集団における参加者全員に専用のデジタル機器を貸与することは、コストの観点から望ましくない。
コスト低減の観点から、一つの集団において、複数の参加者の中から選出された代表者のみに専用のデジタル機器を使用させ、代表者以外の参加者、すなわち同行者は、代表者の行動を見学する学習形式が考えられる。しかし、この学習形式の場合、同行者は専用のデジタル機器を使用できないため、学童に限らず大人であっても、同行者が学習への集中力を維持することは容易でない。そのため、当該学習形式の場合、一つの集団全体として見たとき、施設関連知識の習得効果が低減する恐れがある。
【0006】
また、施設関連知識を効果的に習得するには、復習を適切に行うことが望ましい。しかし、当該集団全体として施設関連知識の習得効果を早期に向上させる復習を実施することは容易ではない。
【0007】
そこで、本発明では、学習エリアにおいて、代表者はデジタル機器を使用して施設関連知識を学習し且つ同行者はデジタル機器を使用することなく施設関連知識を学習する学習形式でありながら、学習エリアでの施設関連知識の学習時に、代表者と同行者による集団全体の集中力を維持でき、復習エリアでの施設関連知識の復習時に、集団全体としての施設関連知識の習得効果を早期に向上可能な施設関連知識習得システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の施設関連知識習得システムは、代表者と同行者とを含む集団が施設関連知識の習得をするためのシステムである。学習エリアには、集団を撮像する第一撮像装置と、同行者は使用せず代表者のみが使用するデジタル機器と、代表者が見る内容と同じ内容が少なくとも表示され且つ少なくとも同行者が見ることができる第一表示装置が配置される。また、復習エリアには、少なくとも代表者と同行者とが同じ内容を見ることができる第二表示装置が配置される。そして、本システムは、施設関連知識に関し予め設定された複数の問題と、複数の問題の各々の正解に対応する複数の解説と、各々の正解に対応する代表者と同行者のそれぞれの正解動作とを記憶する記憶装置と、制御装置とを備える。
【0009】
このうち、制御装置は、記憶装置が記憶する複数の問題の中から少なくとも一つの問題を選択し、第一表示装置へ表示させる出題問題選択部と、第一表示装置に表示された問題に対する代表者の回答動作を上記デジタル機器に基づき認識する代表者動作認識部と、第一表示装置に表示された問題に対して集団の各個人が「体の大きな動作」で行ったそれぞれの回答動作を第一撮像装置に基づき認識するとともに、代表者動作認識部が認識した代表者の回答動作と、代表者の回答動作が「体の大きな動作」とは異なる動作であることを示す相違情報に基づき第一撮像装置に基づく認識を修正することで、集団全体における最多人数が行った回答動作を示す最多人数回答動作を認識する最多人数動作認識部と、代表者動作認識部が認識した代表者の回答動作と、最多人数動作認識部が認識した最多人数回答動作とをそれぞれ、記憶装置が記憶する正解動作と比較することで、代表者の回答動作及び最多人数回答動作の各々の正誤を判定し、それぞれ問題に対応させて正誤の判定の結果を記憶装置へ記憶する正誤判定部と、代表者の正誤の判定の結果を第一表示装置に表示させ、判定の結果に対応する解説を第一表示装置に表示させまたは第一表示装置から音声出力させる正解解説部と、を少なくとも備える。
そして、出題問題選択部は、複数の問題のうち、記憶装置に記憶された最多人数回答動作の判定の結果が不正解であった問題を第二表示装置へ表示させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の施設関連知識習得システムによれば、集団が施設関連知識の学習を行う学習エリアにおいては、デジタル機器を使用して回答可能な代表者だけでなく、デジタル機器を使用しない同行者も、第一表示装置に表示された問題に対し、第一撮像装置により、ジェスチャーなどの「体の大きな動作」で回答に参加することができる。このため、代表者のみならず同行者も集中力を維持した状態で施設関連知識を学習することができる。
また、本発明の施設関連知識習得システムによれば、集団が学習エリアで学習した施設関連知識の復習を行う復習エリアにおいては、学習エリアで出題された問題の中で集団の最多人数が行った最多人数回答動作の判定の結果が不正解、すなわち集団内の多数の者の回答が不正解であった問題が少なくとも第二表示装置に表示され、再び回答させることができる。つまり、集団の中の多数派が間違えた問題を選択的に集団全体で復習することができるので、当該問題における集団全体の理解度を早期に高めることができる。
【0011】
すなわち、本発明の施設関連知識習得システムによれば、学習エリアにおいて、代表者はデジタル機器を使用して施設関連知識を学習し且つ同行者はデジタル機器を使用することなく施設関連知識を学習する学習形式でありながら、学習エリアでの施設関連知識の学習時に、集団全体の集中力を維持でき、復習エリアでの施設関連知識の復習時に、集団全体としての施設関連知識の習得効果を早期に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態としての施設関連知識習得システムを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1を参照して、本発明の実施形態である施設関連知識習得システム10について説明する。以下に示す構成等はあくまでも例示に過ぎず、明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。実施形態で示す各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、当該各構成は、本発明の必須の構成要件を除き、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0014】
施設関連知識習得システム10は、代表者1と同行者2とを含む集団3が施設関連知識の習得をするためのシステムである。施設関連知識の習得とは、例えば、廃棄物清掃工場などの廃棄物処理施設や、発電所や化学工場などのプラントや企業、さらには遊園地のような娯楽施設など、特定の施設に関連する知識を習得することを意味する。施設が廃棄物清掃工場の場合には、集団3は、施設関連知識として、例えば、廃棄物(ごみ)の分別、廃棄物ごとの処理方法、及び廃棄物清掃工場の各設備の動作や役割などを習得することができる。
すなわち、少なくとも代表者1名と同行者1名を含む集団が、何らかの施設に関連する知識を習得する場合に、施設関連知識習得システム10を使用することができる。
ここでは、一例として、図1に示すように、代表者2名(1-1、1-2)と同行者8名(2-1乃至2―8)の計10名からなる集団3を用いて説明する。代表者の数や同行者の数は、それぞれ1名以上であれば、適宜変更可能である。
後述の学習エリア4において、集団3の構成メンバーは全員、スマホ等の自己が所有するデジタル機器の使用が制限され、代わりに、代表者1は専用のデジタル機器13を使用できるが、同行者2は当該デジタル機器を使用することができない。一方、復習エリア5においては、そもそも当該デジタル機器13の貸与がないので、集団3の構成メンバーは全員、当該デジタル機器13を使用できない。ただし、復習エリア5においては、集団3の各構成メンバーがそれぞれ所有するデジタル機器の使用は、制限されなくともよい。
【0015】
では、施設関連知識習得システム10の基本構成を説明した後、各構成について順次詳述する。なお、施設関連知識習得システム10の全体の動作については、後述の制御装置16の説明箇所で明らかになる。
まず、施設関連知識習得システム10の基本構成を説明する。施設関連知識習得システム10は、次の構成を少なくとも備えている。
学習エリア4内に、施設関連知識に関する問題並びにそれに対する正誤及び解説等を表示する第一表示装置11と、集団3の構成メンバーである代表者1と同行者2の全員を撮像する第一撮像装置12と、同行者2は使用せず代表者1のみが使用可能なデジタル機器13が配置される。
また、復習エリア5内に、少なくとも学習エリアで集団3の多数が誤った問題を表示する第二表示装置14が配置される。
さらに、第一表示装置11や第二表示装置14に表示される複数の問題、各々の問題の正解に対応する解説、及び各々の問題の正解に対応する人物の正解動作を記憶する記憶装置15と、学習エリア4および復習エリア5に配置した上述の各装置や機器並びに記憶装置15と各種情報をやりとりしてこれらを制御する制御装置16が、学習エリア4、復習エリア5、またはこれら以外の場所のいずれかの場所に配置される。
制御装置16と、学習エリア4および復習エリア5に配置した上述の各装置や機器並びに記憶装置15との間の各種情報のやりとり、すなわちこれら各種情報の送受信は、有線、無線のいずれで行われてもよい。互いに直接的に送受信されなくても、インターネット回線などの通信ネットワークを介して間接的に送受信されてよい。
【0016】
なお、学習エリア4は、集団3の構成メンバー全員が施設関連知識を学習するために集合した特定の場所である。すなわち、学習エリア4は、特定の一箇所である。第一撮像装置12が、集団3の構成メンバーである代表者1と同行者2の全員を撮影することができれば、当該特定の場所は、屋内、屋外、施設内、または施設外のいずれであってもよい。例えば、学習エリア4は、特定の一箇所であれば、施設内の会議室や多目的ホールであってもよいし、施設内の廊下や広場であってもよいし、施設外である学校の教室や展示会などイベント会場の特定のスペースであってもよい。
また、復習エリア5は、集団3の構成メンバーである代表者1と同行者2のそれぞれが、学習エリア4で学習した施設関連知識を復習するため場所である。復習エリア5は、学習エリア4と同様、集団3の構成メンバー全員が集合した特定の場所であってもよいし、学習エリア4と異なり、集団3の構成メンバーの各個人または集団3の各グループが互いに異なる場所に分散した複数の場所であってもよい。すなわち、復習エリア5は、特定の一箇所であってもよいし、複数箇所であってもよい。例えば、復習エリア5は、施設内の会議室や多目的ホールであってもよいし、施設内の廊下や広場であってもよいし、施設外である学校の教室や展示会などイベント会場の特定のスペースであってもよいし、各構成メンバーのそれぞれの家であってもよい。
さらに、復習エリア5は、学習エリア4と同じ場所であってもよい。例えば、集団3は、学習エリア4で施設関連知識を学習した後、その学習エリア4と同じ場所を復習エリア5として使用し、学習エリア4で学習した施設関連知識を復習してもよい。
【0017】
[学習エリア4における構成について]
では、各構成について、順次、説明する。まず、図1に示す学習エリア4において施設関連知識習得システム10が備える構成について説明する。
第一表示装置11は、後述の制御装置16により送信される施設関連知識に関する問題並びにそれに対する正誤及び解説等の情報を受信して表示する装置であり、代表者1が後述のデジタル機器13により見ることができる映像等の情報を同行者2にも共有させる装置である。従って、第一表示装置11は、デジタル機器13に表示される内容と同じ内容を集団3の構成メンバー全員が見ることができれば、いかような表示装置であってもよいし、単数でも複数でもよい。ただし、複数の場合は、全ての第一表示装置11に同一のタイミングで同一の内容が表示される。
第一表示装置11は、例えば、液晶モニタ等のディスプレイ装置でもよいし、プロジェクタと組になったスクリーンでもよいし、近年開発が進む「空中ディスプレイ」でもよい。第一表示装置11は、スピーカを備えて、上記問題や解説等を読み上げる音声出力可能な構成としてよい。
第一撮像装置12は、集団3の構成メンバーである代表者1と同行者2の全員を撮影して当該撮影した情報を後述の制御装置16へ送信する装置であり、例えば、広角カメラまたは全周囲カメラなどである。第一撮像装置12は、集団3の各構成メンバーの体の動作を撮影する必要があるので、動画または時間的に連続した複数の静止画を撮影するビデオカメラが望ましい。
マイク17は、学習エリア4における集団3の全体の音声を集音し、当該集音した音声に関する情報を後述の制御装置16へ送信する装置である。
【0018】
デジタル機器13(図1では、13-1、13-2の2つ)は、集団3の構成メンバーのうち、同行者2ではなく、代表者1のみ(図1では、1-1、1-2の2人のみ)が操作可能なデジタル機器であり、上述した問題や解説等の情報を後述の制御装置16から受信して表示し、当該問題に対する代表者1の回答動作を制御装置16へ送信する機器である。デジタル機器13は、例えば、施設の管理者から、学習エリア4において施設関連知識を学習する場合にだけ、代表者1のみに貸与される。後述の復習エリア5で施設関連知識を復習する場合にもデジタル機器13が代表者1に貸与されてもよいが、原則として、当該復習の場合には、集団3の構成メンバーの誰にもデジタル機器13は貸与されない。
なお、代表者1は、デジタル機器13を用いることなく、同行者2と同様、第一撮像装置12(復習エリア5では、第二撮像装置24)に体の動作を撮影させて、当該問題に回答することもできる。
【0019】
学習エリア4における上述の構成のうち、デジタル機器13について詳述する。
デジタル機器13は、上述の問題に対する答えを代表者1が回答するための回答動作(後述する「体の大きな動作」や「体の小さな動作」)に関する情報を後述の制御装置16へ送信できる機器であれば、いかような機器でもよい。
従って、デジタル機器13は、例えば、タブレット型の携帯端末(以下、「タブレット」という)やスマホであってもよい。また、デジタル機器13は、仮想現実(Virtual Reality)用の装置、すなわちVR装置であってもよいし、拡張現実(Augmented Reality)用の装置、すなわちAR装置であってもよい。さらに、デジタル機器13は、複合現実(Mixed Reality)用の装置、すなわちMR装置であってもよいし、代替現実(Substitutional Reality)用の装置、すなわちSR装置であってもよい。
例えば、施設関連知識の習得のために、代表者1にVR体験をさせつつ問題を提示する場合は、デジタル機器13はVR装置であり、VR装置は、(a)VRゴーグルのみでもよいし、(b)VRゴーグルと、手でスイッチ等を操作するVRモジュールとのセットであってもよいし、(c)VRモジュールのみでもよい。
【0020】
デジタル機器13は、代表者1の回答動作を情報として取得するために、カメラやモーションセンサ、または、スイッチのいずれか1つを少なくとも備えるのが望ましい。カメラやモーションセンサを備えたデジタル機器13は、当該カメラが撮影した映像や当該モーションセンサにより検知される加速度の変化から、代表者1が後述の「体の大きな動作」で回答をしたことを認識し、その回答動作に関する情報を制御装置16へ送信する。また、スイッチを備えたデジタル機器13は、当該スイッチへの指による接触(例えば、タッチパネルへのタッチなど)や当該スイッチの指による押下げにより、代表者1が後述の「体の小さな動作」で回答をしたことを認識し、その回答動作に関する情報を制御装置16へ送信する。
【0021】
ここで、「体の大きな動作」とは、腕や足など体の大きな部位を大きく動かす動作であり、例えば、腕の上げ下げ、しゃがむまたは立ち上がるなどの動作である。右手を挙手または左手を挙手するのも、「体の大きな動作」である。
一方、「体の小さな動作」とは、腕や足など体の大きな部位を大きく動かすことはなく、指先などの体の小さな部位を動かす程度の動作であり、例えば、指の動作である。
なお、ここでは、「体の大きな動作」は、第一撮像装置12が撮影した情報により制御装置16が回答動作として認識できるが、「体の小さな動作」は、第一撮像装置12が撮影した情報では制御装置16が回答動作として認識できない又は認識が難しいと仮定して、話を進める。
また、デジタル機器13が上述したカメラ等とスイッチを共に備えれば、代表者1は「体の大きな動作」と「体の小さな動作」の双方を同時に回答することができ、互いに矛盾した回答動作となる場合もありうる。そこで、この場合には、施設関連知識習得システム10では、例えば、「体の小さな動作」による回答動作を優先して採用するなど予めルール化して対処する。
以下では、説明の簡便のため、デジタル機器13による回答動作は、「体の大きな動作」と「体の小さな動作」が同時になされることはなく、ある問題に対していずれか一方のみの回答動作がなされるとして、話を進める。
【0022】
[復習エリア5における構成について]
次に、図1に示す復習エリア5において施設関連知識習得システム10が備える構成について説明する。図1の復習エリア5は、一例として、学校等の教室に集団3の構成メンバー全員が集合して着席している状態を示す図である。
なお、復習エリア5では、先述のように、学習エリア4と異なり、デジタル機器13は集団3の構成メンバーの誰にも原則として貸与されないので、代表者1と同行者2を区分けする意味はない。言い換えれば、この場合、構成メンバーの全員が学習エリア4の同行者に対応する回答動作を実施する。しかし、ここでは、便宜上、図1において、学習エリア4の構成メンバーと同じ付番を復習エリア5の構成メンバーにも使用する。
【0023】
まず、第二表示装置14は、後述の制御装置16により送信される施設関連知識に関する問題、少なくとも学習エリア4で出題された問題のうち集団3の構成メンバーの多数が誤った問題並びにそれに対する正誤及び解説等の情報を受信して表示する装置である。第一表示装置11と同様、第二表示装置14は、集団3の構成メンバー全員が同一の内容を見ることができれば、液晶モニタや空中ディスプレイなど、いかような表示装置であってもよいし、単数でも複数でもよい。
また、学習エリア4では、集団3の構成メンバーは、誰も自己が所有するデジタル機器を第一表示装置11として使用することはできなかったが、復習エリア5では、自己が所有するスマホ、タブレット、またはノートPCなどのデジタル機器を第二表示装置14として使用することが可能である。この場合、第一表示装置11と異なり、第二表示装置14への問題や解説等の内容や表示のタイミングは同一である必要はなく、各構成メンバーでそれぞれ異なっていてもよい。言い換えれば、集団3の各構成メンバーは、それぞれ自分のデジタル機器を使用して制御装置16にアクセスし、自分の希望するスピードで復習することができる。
第二表示装置14は、第一表示装置11と同様、スピーカを備えて、上記問題や解説等を読み上げる音声出力可能な構成としてよい。
【0024】
次に、第二撮像装置24は、第一撮像装置12と同様、集団3の構成メンバーを撮影して当該撮影した情報を後述の制御装置16へ送信する装置であり、例えば、広角または全周囲のビデオカメラなどである。図1では、第二撮像装置24は、着席した集団3の構成メンバー全員の上半身の「体の大きな動作」(例えば、右手や左手の挙手)を撮影する。また、上述のように、復習エリア5では、集団3の構成メンバーは、自己が所有するデジタル機器を使用することができるので、各々が所有するデジタル機器が内蔵するカメラを第二撮像装置24としてもよい。
なお、学習エリア4と復習エリア5が同一の場所である場合は、第二表示装置14は第一表示装置11であるとしてもよいし、第二撮像装置24は第一撮像装置12であるとしてもよい。
【0025】
[記憶装置15と制御装置16について]
次に、施設関連知識習得システム10が備える記憶装置15と制御装置16について、順次説明する。先述のとおり、記憶装置15と制御装置16は、学習エリア4、復習エリア5、またはこれら以外の場所のいずれかの場所に配置されるが、学習エリア4が施設内に配置される場合は、施設関連知識習得システム10の管理やメンテナンスを容易にするため、学習エリア4または施設内に配置されるのが望ましい。
まず、記憶装置15には、少なくとも、施設関連知識の習得のための複数の問題と、複数の問題の各々の正解に対応する複数の解説と、各問題に対する各々の「正解動作」に関する情報が予め記憶されている。
【0026】
ここで、ある問題に対する「正解動作」とは、代表者または同行者がなしうる回答動作のうち、当該問題の正解に対応する回答動作を意味する。
上述の通り、代表者1は、「体の大きな動作」による回答動作、または、「体の小さな動作」による回答動作の二通りの回答動作で、各問題に対して回答し得る。一方、同行者2は、「体の大きな動作」による回答動作のみで各問題に対して回答する。そのため、記憶装置15には、各問題に対応して、「体の大きな動作」で行われた正解動作、または、「体の小さな動作」で行われた正解動作の二通りの正解動作が予め記憶される。
例えば、「右と左のどちらが正しい?」という問題に対し、正解が「右」である場合、「体の大きな動作」の一種である「腕を動かして右方向を示す」という体の動きに関する正解動作が、記憶装置15に予め記憶される。また、この情報と共に、「体の小さな動作」の一種である「デジタル機器13の「右」に対応するスイッチを押下げる」または「タッチパネル上で「右」に対応するスイッチへ指を接触させる」という体の動きに関する正解動作に関する情報が、記憶装置15に予め記憶される。
【0027】
なお、後述するマイク17を用いた制御を行う場合、記憶装置15には、各問題に対する正解動作に紐づけて、その正解動作に対応する言葉(単語)についての音声に関する情報(以下、「音声情報」という)が予め記憶される。例えば、「腕を動かして右方向を示す」という正解動作の場合には、これに紐づけて、「右」という言葉(単語)の音声情報が、記憶装置15に予め記憶される。同様に、「腕を動かして左方向を示す」という正解動作の場合には、これに紐づけて、「左」という言葉(単語)の音声情報が、記憶装置15に予め記憶される。
【0028】
次に、制御装置16について説明する。制御装置16は、少なくとも、出題問題選択部18、代表者動作認識部19、最多人数動作認識部20、正誤判定部21、及び正解解説部22を備える。制御装置16は、さらに、集団音声認識部23を備えてもよい。
以下、これらの構成を、順次、説明する。
【0029】
[出題問題選択部18について]
出題問題選択部18は、記憶装置15が記憶する複数の問題のうち少なくとも一部の問題を選択して、学習エリア4の第一表示装置11及びデジタル機器13に表示させる。出題問題選択部18は、記憶装置15が記憶した順に各問題を順次選択してもよいし、ランダムに各問題を選択してもよい。
また、出題問題選択部18は、学習エリア4での出題の結果、集団3の構成メンバーの全員における最多人数が行った回答動作である「最多人数回答動作」が不正解であった問題を記憶装置15から選択して、復習エリア5の第二表示装置14に表示させる。
【0030】
[代表者動作認識部19について]
まず、代表者動作認識部19は、出題問題選択部18が学習エリア4の第一表示装置11に表示させた問題に対する代表者1の「体の大きな動作」または「体の小さな動作」による回答動作に関する情報を、デジタル機器13から受信する。代表者1が複数の場合、例えば図1に示すように代表者1-1と代表者1-2の2名の場合、代表者動作認識部19は、各々の代表者が使用するそれぞれのデジタル機器13(13-1、13-2)から、各代表者の回答動作に関する情報を別個に受信する。
そして、例えば、「右と左のどちらが正しい?」という問題の場合、代表者動作認識部19は、当該受信した情報により、「体の大きな動作」または「体の小さな動作」により、代表者1がどのような回答動作をしたか、すなわち、(1)「右」に相当する回答動作をしたか、(2)「左」に相当する回答動作をしたか、または、(3)「右」や「左」に相当しない回答動作(例えば、「上」や「下」に相当する回答動作等)をしたか、を認識する。代表者1が複数の場合は、各々の代表者ごとに、代表者動作認識部19は当該認識を行う。
【0031】
次に、代表者動作認識部19は、当該認識した代表者1の回答動作に関する情報(ここでは、上記(1)、(2)、(3)のいずれか1つに関する情報)を後述の正誤判定部21へ送信するとともに、後述の最多人数動作認識部20へ送信する。代表者1が複数の場合は、各々の代表者ごとに、代表者動作認識部19は当該認識した各代表者の回答動作に関する情報をそれぞれ、正誤判定部21と最多人数動作認識部20へ送信する。
ここで、代表者動作認識部19は、認識した代表者1の回答動作が「体の小さな動作」による回答動作であった場合には、当該認識した代表者1の回答動作に関する情報(ここでは、上記(1)、(2)、(3)のいずれか1つに関する情報)に、「体の大きな動作」による回答動作ではないことを示す「相違情報」を伴わせて最多人数動作認識部20へ送信する。
【0032】
[最多人数動作認識部20について]
まず、最多人数動作認識部20は、学習エリア4の第一撮像装置12が撮影した情報を受信し、集団3の全ての構成メンバーのそれぞれの「体の大きな動作」による回答動作を個別に認識し、所定の回答動作をした者の人数を計数する。
例えば、「右と左のどちらが正しい?」という問題の場合、第一撮像装置12が撮影した情報に基づき、最多人数動作認識部20は、集団3の構成メンバーの全員について、(1)「右」に相当する回答動作をしたか、(2)「左」に相当する回答動作をしたか、または、(3)「右」や「左」に相当しない回答動作をしたか、をそれぞれ個別に認識する。
ここで、今、図1の学習エリア4に示すように、代表者1と同行者2が、挙手による「体の大きな動作」による回答動作を行ったと仮定する。すると、第一撮像装置12が撮影した情報に基づき、最多人数動作認識部20は、集団3の全ての構成メンバー10名のうち、(1)の「右」に相当する回答動作をした者は6名(すなわち、図1における同行者2-1、2-2、2-3、2-4、2-5、2-6に対応する人数)と認識し、(2)の「左」に相当する回答動作をした者は2名(すなわち、図1における代表者1-2、同行者2-7に対応する人数)と認識し、(3)の「右」や「左」に相当しない回答動作をした者は2名(すなわち、代表者1-1、同行者2-8に対応する人数)と認識する。
この時、「相違情報」を伴う代表者1-1の回答動作があった場合、「体の大きな動作」による回答動作ではないため、第一撮像装置12が撮影した情報のみに基づいて最多人数動作認識部20が認識した計数結果(以下、「撮影情報のみに基づく計数結果」という)は、正確でないことになる。本例で言えば、第一撮像装置12が撮影した情報のみによる最多人数動作認識部20の認識結果では、代表者1-1は、実際の回答動作とは異なる(3)の「右」や「左」に相当しない回答動作をした者に含まれて計数されている。
【0033】
そこで、最多人数動作認識部20は、代表者動作認識部19より受信した「相違情報」を用いて、第一撮像装置12による撮影に関する情報のみに基づいて認識した計数結果の修正を行う。
例えば、この時、最多人数動作認識部20は、代表者動作認識部19から、代表者1-1と代表者1-2の2名の代表者のうち、1名(ここでは、代表者1-1)については「相違情報」を伴う(1)の回答動作を受信し、他の1名(ここでは、代表者1-2)については「相違情報」を伴わない(2)の回答動作を受信していると仮定する。
すると、1名については「相違情報」を伴う回答動作であるので、最多人数動作認識部20は、撮影情報のみに基づく計数結果のうち、(3)についての計数結果から1名分を減算し、(3)の計数結果は正しくは(2-1)=1で1名であると修正する。また、当該減算した1名については、「相違情報」を伴った回答動作は(1)の回答動作であることが代表者動作認識部19から受信した情報により判明しているため、最多人数動作認識部20は、第一撮像装置12が撮影した情報のみに基づく計数結果のうち、(1)についての計数結果に1名分を加算し、(1)の計数結果は正しくは(6+1)=7で7名(すなわち、図1における代表者1-1と同行者2-1、2-2、2-3、2-4、2-5、2-6に対応する人数)であると修正する。
【0034】
すなわち、当該修正により、最多人数動作認識部20は、正確には、(1)の「右」に相当する回答動作をした者は7名と認識し、(2)の「左」に相当する回答動作をした者は2名と認識し、(3)の「右」や「左」に相当しない回答動作をした者は1名と認識する。
そして、最多人数動作認識部20は、当該修正の後の(1)、(2)、(3)の計数結果を比較して、集団3の構成メンバー全員の回答動作のうち、最も多数派の回答動作である最多人数回答動作は、(1)の回答動作であると認識し、「最多人数回答動作」として(1)の回答動作に関する情報を、後述の正誤判定部21へ送信する。
【0035】
ここで、本例では、最多人数回答動作は、集団3の構成メンバーの過半数である7名の回答動作となったが、例えば三択の問題など、問題によっては、集団3の中では多数派ではあっても、必ずしも過半数になる回答動作が最多人数回答動作として最多人数動作認識部20に認識されるとは限らない。最多人数動作認識部20は、上述の修正を行った結果、集団3の中で最も多数派の回答動作を、最多人数回答動作として認識する。
ただし、集団3の全ての構成メンバーによる回答動作が、それぞれ同数の回答動作で複数に分かれる場合がありうる。例えば、上述の例で言えば、集団3の構成メンバー10名のうち、(1)の計数結果が5名、(2)の計数結果が5名と同数に分かれる場合がありうる。このとき、最多人数動作認識部20は、(1)と(2)のいずれの回答動作を「最多人数回答動作」としてもよい。先述のとおり、出題問題選択部18は、「最多人数回答動作」が不正解の問題を復習エリア5の第二表示装置14に表示させ、集団3の全ての構成メンバーに復習をさせるが、正誤を問わず同数に分かれた問題は、集団3の多数派が誤った問題に比べ、集団3の全体としての施設関連知識の習得効果を向上させる観点からは、優先度は高くなく、復習の問題に選択される場合もあれば、されない場合もあるという位置づけでかまわないからである。
【0036】
最多人数動作認識部20は、後述の正誤判定部21へ最多人数回答動作を送信する際、最多人数回答動作に紐づけて「第一必修情報」を併せて送信してもよい。
「第一必修情報」とは、「最多人数回答動作」が集団3の構成メンバーの人数のうち予め設定された所定割合以下の人数によるものかどうかを示す情報であり、所定割合以下の人数によるものである場合に、最多人数動作認識部20が「最多人数回答動作」に関する情報とともに「第一必修情報」を正誤判定部21へ送信する。なお、「第一必修情報」が紐づいた「最多人数回答動作」に関する問題は、「最多人数回答動作」の実際の正誤にかかわらず、復習エリア5で集団3の構成メンバー全員に復習させることを意味する情報である。
この場合、最多人数動作認識部20は、最多人数回答動作をした人数と集団3の構成メンバー全員の人数との比率から、集団3における最多人数回答動作をした人数の割合を算出する。
【0037】
集団3の全ての構成メンバーによる回答動作が同数に分かれた場合、復習の問題に選択されてもされなくてもよい旨を上述したが、例えば、「第一必修情報」の上記所定割合を50%に設定した場合、集団3の構成メンバー10名のうち、(1)の計数結果が5名、(2)の計数結果が5名と同数に分かれたと仮定すると、「最多人数回答動作」の実際の正誤によらず、「最多人数回答動作」に対応する問題を復習エリア5で必ず集団3の構成メンバー全員に復習させることができる。
また、例えば、当該所定割合が70%に設定された場合、70%の人数による「最多人数回答動作」が正解であっても、復習エリア5で集団3の構成メンバー全員に復習させることができる。
すなわち、最多人数動作認識部20が「第一必修情報」を送信する構成を採用する場合、集団3の施設関連知識の獲得という成果をより強固にすることができる。
【0038】
なお、最多人数動作認識部20は、復習エリア5における復習時、復習エリア5の第二撮像装置24が撮影した情報を受信し、学習エリア4における動作と同様の動作を行う。ただし、復習エリア5に関しては、最多人数動作認識部20は、代表者動作認識部19からの情報は受信しないので、その点が学習エリア4に関する動作と異なることになる。
【0039】
[正誤判定部21について]
正誤判定部21は、学習エリア4においては、代表者動作認識部19が認識した代表者1の回答動作に関する情報と、最多人数動作認識部20が認識した最多人数回答動作に関する情報を受信する。そして、正誤判定部21は、これら受信した情報の各々と、記憶装置15が記憶する正解動作に関する情報とをそれぞれ比較することで、各問題に対する代表者1の回答動作及び最多人数回答動作の正誤をそれぞれ判定し、正解または不正解のいずれか一方の判定結果をそれぞれ後述の正解解説部22へ送信する。
また、正誤判定部21は、対応する問題に紐づけて、代表者1の回答動作の正誤と最多人数回答動作の正誤の判定結果(すなわち、正解または不正解のいずれか一方の判定結果)を、記憶装置15に記憶させる。ここで、制御装置16は、記憶装置15に、当該判定結果が保存されているか否かで、学習エリア4における学習時であるのか、復習エリア5における復習時であるのかを把握することができる。すなわち、制御装置16は、初めて当該判定結果を記憶装置15に保存する場合は学習時であると認識し、すでに保存されている当該判定結果に上書きするなど書き換えて保存する場合は復習時であると認識できる。
なお、正誤判定部21は、「必修情報」(「第一必修情報」のみならず、後述の「第二必修情報」を含む)を伴って受信した最多人数回答動作については、実際の正誤に関係なく、不正解として判定する。
また、正誤判定部21は、復習エリア5における復習時に、学習エリア4と同様の動作を行う。ただし、このとき、正誤判定部21は、代表者動作認識部19からの情報は受信しないので、その点が学習エリア4における動作と異なることになる。
【0040】
[正解解説部22について]
正解解説部22は、学習エリア4における学習時に、受信した判定結果に関する情報または記憶装置15が記憶した判定結果に関する情報のうち、少なくとも代表者1の回答動作の判定結果に関する情報に基づいて、代表者1の判定結果を学習エリア4の第一表示装置11に表示させる。正解解説部22は、最多人数回答動作に関する判定結果も併せて第一表示装置11に表示させてもよい。
そして、正解解説部22は、当該判定結果に対応する解説(例えば、問題の正解の解説)を第一表示装置11に表示させ、または、生成AIなどを用いて第一表示装置11のスピーカ等から音声出力させる。
なお、正解解説部22は、復習エリア5における復習時に、最多人数回答動作に関する判定結果及び当該判定結果に対応する解説を第二表示装置14に表示させ、または、生成AIなどを用いて第二表示装置14のスピーカ等から音声出力させる。
【0041】
[集団音声認識部23について]
集団音声認識部23は、マイク17が学習エリア4で集音した音声情報と、記憶装置15が予め記憶する各問題の正解動作に対応する言葉を受信し、音声分析を行う。
例えば、「右と左のどちらが正しい?」という問題の場合、集団音声認識部23は、記憶装置15から正解動作に対応する言葉として、例えば「右」という音声情報を予め受信している。そして、集団音声認識部23は、マイク17で収集された音声情報の入力を受け、この中で、正解動作に対応する言葉である「右」に対応する音声情報を所定量以上の音量で認識できない場合、集団3の構成メンバーの多数が、正解であることに自信をもっていないか、集団3内で意見が紛糾しているか、または、不正解の回答をしていると、認識する。そこで、この場合、集団音声認識部23は、最多人数動作認識部20が送信する最多人数回答動作に関する情報に紐づく情報として「第二必修情報」を正誤判定部21へ送信する。
「第二必修情報」とは、第一必修情報と同様、「最多人数回答動作」の実際の正誤にかかわらず、復習エリア5で集団3の構成メンバー全員に復習させることを意味する情報である。従って、ある問題に対する「最多人数回答動作」が正解であっても、集団3の構成メンバーの多数が正解であることに自信をもっていない場合や意見が紛糾した場合には、復習エリア5で集団3の構成メンバー全員に復習させることができる。
すなわち、集団音声認識部23が「第二必修情報」を送信する構成を採用する場合、集団3の施設関連知識の獲得という成果をより強固にすることができる。
なお、集団音声認識部23は、正解動作に対応する言葉である「右」に対応する音声情報を所定量以上の音量で認識した場合、集団3の構成メンバーの多数が、正解であることに自信をもって回答していると認識する。この場合、集団音声認識部23は、「第二必修情報」を正誤判定部21へ送信しない。
【0042】
以上のとおり、本発明の施設関連知識習得システムによれば、学習エリアにおいて、代表者はデジタル機器を使用して施設関連知識を学習し且つ同行者はデジタル機器を使用することなく施設関連知識を学習する学習形式でありながら、学習エリアでの施設関連知識の学習時に、集団全体の集中力を維持でき、復習エリアでの施設関連知識の復習時に、集団全体としての施設関連知識の習得効果を早期に向上することができる。
なお、第一表示装置11は、第一表示装置11と第一撮像装置12とマイク17とスピーカ(不図示)とが一体となったパネル型の一つの装置として構成されてもよいし、同様に、第二表示装置14は、第二表示装置14と第二撮像装置24とスピーカ(不図示)とが一体となったパネル型の一つの装置として構成されてもよい。
また、第一表示装置11や第二表示装置14には、各問題に対する正誤や解説を印刷する機能が備えられてもよい。
さらに、第一撮像装置12や第二撮像装置24は、それぞれ1台の撮像装置に限らず、複数台の撮像装置からなるシステムとしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1、1-1~1-2 代表者
2、2-1~2―8 同行者
3 集団
4 学習エリア
5 復習エリア
10 施設関連知識習得システム
11 第一表示装置
12 第一撮像装置
13、13-1、13-2 デジタル機器
14 第二表示装置
15 記憶装置
16 制御装置
17 マイク
18 出題問題選択部
19 代表者動作認識部
20 最多人数動作認識部
21 正誤判定部
22 正解解説部
23 集団音声認識部
24 第二撮像装置
【要約】
【課題】施設関連知識を早期に習得可能な復習を提供する。
【解決手段】施設関連知識習得システム10の制御装置16は、学習エリア4の第一表示装置11に表示された問題に対する代表者1の回答動作をデジタル機器13に基づき認識する代表者動作認識部19と、問題に対して代表者1と同行者2を含む集団の各個人が行った回答動作をそれぞれ認識し且つ集団3内の多数派の回答動作である最多人数回答動作を認識する最多人数動作認識部20と、最多人数回答動作の正誤を判定し、判定の結果を記憶装置15へ記憶する正誤判定部21と、最多人数回答動作の判定の結果が不正解であった問題を、復習エリア5の第二表示装置14へ表示させる出題問題選択部18とを有する。
【選択図】図1
図1