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特許7598518駅改札システム、駅改札システムにおける管理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】駅改札システム、駅改札システムにおける管理装置
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20241204BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20241204BHJP
【FI】
G07B15/00 H
G06Q50/40
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2024553803
(86)(22)【出願日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 JP2024024591
【審査請求日】2024-09-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509288585
【氏名又は名称】QUADRAC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 敬夫
(74)【代理人】
【識別番号】100119301
【弁理士】
【氏名又は名称】蟹田 昌之
(72)【発明者】
【氏名】三露 学
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-200370(JP,A)
【文献】特開2022-140133(JP,A)
【文献】特開2008-071203(JP,A)
【文献】特開2008-225881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00-15/06
G06Q 50/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人駅の改札機と、管理装置と、遠隔操作端末とがネットワークで接続された駅改札システムであって、
前記無人駅の改札機は、前記無人駅の改札機に利用客のカードがタップされた場合にエラーが発生した場合、前記タップされたカードのカード情報と前記カードから前記カード情報を読み取ったリーダライタのリーダライタ情報を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記無人駅の改札機から受信したカード情報とリーダライタ情報を前記管理装置に記憶し、
前記遠隔操作端末は、前記ネットワークを介して前記管理装置に記憶されているカード情報とリーダライタ情報を取得し、前記ネットワークを介して、これら取得したカード情報とリーダライタ情報を含む遠隔窓口処理命令を前記管理装置に送信する駅改札システム。
【請求項2】
利用客がカードをタップする入場駅の改札機と、
前記利用客が前記カードをタップする出場駅の改札機と、
前記入場駅の改札機と前記出場駅の改札機とにネットワークを介して接続される管理装置と、
前記管理装置にネットワークを介して接続され、決済処理を実行する決済装置と、
前記管理装置にネットワークを介して接続され、駅係員により操作される遠隔操作端末と、を備えた駅改札システムにおける前記管理装置であって、
前記入場駅の改札機は、前記入場駅の改札機にタップされたカードからカード番号を含むカード情報を読み取る第1リーダライタを備え、
前記出場駅の改札機は、前記出場駅の改札機にタップされたカードからカード番号を含むカード情報を読み取る第2リーダライタを備え、
前記管理装置は、
カード番号から求めた関数適用値と入場駅の駅情報と入場日時を対応付けて記憶する入場管理領域と、
利用が拒否されているカード番号から求めた関数適用値を記憶する拒否リスト領域と、
エラーIDとエラー種別情報とカード番号とカード番号から求めた関数適用値とカード番号の一部とカード番号以外のカード情報とリーダライタ情報と検索用データとを対応付けて記憶するエラー管理領域と、
カード番号とカード番号以外のカード情報と運賃情報とリーダライタ情報を対応付けて記憶する決済管理領域と、を有する記憶装置を有し、
前記入場駅の改札機は、前記入場駅の改札機にカードがタップされた場合、前記第1リーダライタにより、前記入場駅の改札機にタップされたカードからカード番号を含むカード情報を読み取り、
前記入場駅の改札機は、前記第1リーダライタによりカード情報を読み取った場合、前記管理装置に対して、前記入場駅の駅情報と前記第1リーダライタが読み取ったカード番号から求めた関数適用値と入場日時とを含む第1データを送信し、
前記管理装置は、前記入場駅の改札機から前記第1データを受信した場合、前記第1データと、前記入場管理領域に記憶されている情報及び前記拒否リスト領域に記憶されている情報とを用いて、所定のエラー条件が成立するかどうかを判断するエラー判断処理を実行し、
前記管理装置は、前記第1データを用いたエラー判断処理において前記所定のエラー条件が成立しないと判断した場合は、前記入場駅の改札機に正常信号を送信し、
前記入場駅の改札機は、前記管理装置から正常信号を受信した場合は、正常処理を実行し、かつ、前記管理装置に対して、前記入場駅の駅情報と、前記第1リーダライタが読み取ったカード番号から求めた関数適用値と、入場日時と、を含む第2データを送信し、
前記管理装置は、前記入場駅の改札機から前記第2データを受信した場合、前記第2データを前記入場管理領域に記憶し、
前記管理装置は、前記第1データを用いたエラー判断処理において前記所定のエラー条件が成立すると判断した場合は、前記入場駅の改札機にエラー信号とエラー種別情報とを送信し、
前記入場駅の改札機は、前記管理装置からエラー信号とエラー種別情報とを受信した場合、エラー処理を実行し、かつ、前記管理装置に対して、前記管理装置から受信したエラー種別情報と、前記第1リーダライタが読み取ったカード番号と、前記第1リーダライタが読み取ったカード番号から求めた関数適用値と、前記第1リーダライタが読み取ったカード番号の一部と、カード番号以外のカード情報と、前記第1リーダライタのリーダライタ情報と、検索用データと、を含む第3データを送信し、
前記管理装置は、前記入場駅の改札機から前記第3データを受信した場合、前記第3データに含まれる情報をエラーIDに対応付けて前記エラー管理領域に記憶し、
前記出場駅の改札機は、前記出場駅の改札機にカードがタップされた場合、前記第2リーダライタにより、前記出場駅の改札機タップされたカードからカード番号を含むカード情報を読み取り、
前記出場駅の改札機は、前記第2リーダライタによりカード情報を読み取った場合、前記管理装置に対して、前記出場駅の駅情報と前記第2リーダライタが読み取ったカード番号から求めた関数適用値と出場日時とを含む第4データを送信し、
前記管理装置は、前記出場駅の改札機から前記第4データを受信した場合、前記第4データと、前記入場管理領域に記憶されている情報及び前記拒否リスト領域に記憶されている情報とを用いて、所定のエラー条件が成立するかどうかを判断するエラー判断処理を実行し、
前記管理装置は、前記第4データを用いたエラー判断処理において前記所定のエラー条件が成立しないと判断した場合は、前記出場駅の改札機に正常信号を送信し、
前記出場駅の改札機は、前記管理装置から正常信号を受信した場合は、正常処理を実行し、かつ、前記管理装置に対して、前記出場駅の駅情報と前記第2リーダライタが読み取ったカード番号とカード番号以外のカード情報と出場日時と前記第2リーダライタのリーダライタ情報とを含む第5データを送信し、
前記管理装置は、前記出場駅の改札機から前記第5データを受信した場合、前記第5データに含まれる前記出場駅の駅情報と前記入場管理領域において前記第5データに含まれるカード番号から求めた関数適用値に対応付けて記憶されている前記入場駅の駅情報とを用いて算出される運賃情報を取得し、この取得した運賃情報を前記第5データに含まれるカード番号及びカード番号以外のカード情報と第2リーダライタのリーダライタ情報に対応付けて前記決済管理領域に記憶し、
前記管理装置は、前記第4データを用いたエラー判断処理において前記所定のエラー条件が成立すると判断した場合は、前記出場駅の改札機にエラー信号とエラー種別情報を送信し、
前記出場駅の改札機は、前記管理装置からエラー信号とエラー種別情報を受信した場合は、エラー処理を実行し、かつ、前記管理装置に対して、前記管理装置から受信したエラー種別情報と、前記第2リーダライタが読み取ったカード番号と、前記第2リーダライタが読み取ったカード番号から求めた関数適用値と、前記第2リーダライタが読み取ったカード番号の一部と、カード番号以外のカード情報と、前記第2リーダライタのリーダライタ情報と、検索用データと、を含む第6データを送信し、
前記管理装置は、前記出場駅の改札機から前記第6データを受信した場合、前記第6データに含まれる情報をエラーIDに対応付けて前記エラー管理領域に記憶し、
前記遠隔操作端末は、前記管理装置に対して、カード番号の一部、カード番号以外のカード情報、及び前記検索用データに含まれる1つ以上の情報のうちの1つ以上の情報を含む第7データを送信し、
前記管理装置は、前記遠隔操作端末から前記第7データを受信した場合、前記エラー管理領域から、前記第7データが含む1つ以上の情報のうちの所定数以上に対応付けて記憶されている1つ以上のエラーIDを取得するエラーID取得処理を実行し、
前記管理装置は、前記取得したエラーIDと、前記エラー管理領域において前記取得したエラーIDに対応付けて記憶されている情報と、を対応付けて含む第8データを前記遠隔操作端末に送信し、
前記遠隔操作端末は、前記管理装置から前記第8データを受信した場合、前記第8データに含まれる1つ以上のエラーIDの中から一つのエラーIDを選択するエラーID選択処理を実行し、
前記遠隔操作端末は、前記選択した一つのエラーIDを含む第9データを前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記遠隔操作端末から前記第9データを受信した場合、前記エラー管理領域において前記第9データに含まれるエラーIDに対応付けて記憶されているエラー種別情報、カード番号及びカード番号以外のカード情報、及びリーダライタ情報を含む第10データを前記遠隔操作端末に送信し、
前記遠隔操作端末は、前記管理装置から前記第10データを受信した場合、前記第10データに含まれるエラー種別情報に基づいて、選択可能な1つ以上の遠隔窓口処理要求を前記遠隔操作端末の画面に表示する遠隔窓口処理要求表示処理を実行し、
前記遠隔操作端末は、前記選択可能な1つ以上の遠隔窓口処理要求の中から1つの遠隔窓口処理要求が選択された場合、前記選択された1つの遠隔窓口処理要求を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記遠隔操作端末から前記1つの遠隔窓口処理要求を受信した場合、受信した前記1つの遠隔窓口処理要求に応じた遠隔窓口処理を実行し、
前記管理装置は、前記決済装置に対して、前記決済管理領域に記憶されているカード番号、カード番号以外のカード情報、運賃情報、及びリーダライタ情報を含む決済要求を送信し、
前記決済装置は、前記管理装置から決済要求を受信した場合、前記決済要求に基づき前記決済処理を実行する、駅改札システムにおける管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の駅改札システムにおける管理装置であって、
前記遠隔窓口処理要求表示処理において、前記遠隔操作端末は、前記第10データに含まれるエラー種別情報に基づいて、発駅キャンセル処理要求、入場処理要求、出場処理要求、及び拒否リスト解除処理要求の中から選択可能な1つ以上の遠隔窓口処理要求を前記遠隔操作端末の画面に表示する、駅改札システムにおける管理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の駅改札システムにおける管理装置であって、
前記遠隔操作端末は、前記1つの遠隔窓口処理要求として発駅キャンセル処理要求が選択された場合、前記第10データに含まれるカード番号を含む発駅キャンセル処理要求を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記遠隔操作端末から前記発駅キャンセル処理要求を受信した場合、前記入場管理領域から、前記発駅キャンセル処理要求に含まれるカード番号から求めた関数適用値と当該関数適用値に対応付けて記憶されている情報を削除する発駅キャンセル処理を実行する、駅改札システムにおける管理装置。
【請求項5】
請求項2に記載の駅改札システムにおける管理装置であって、
前記遠隔操作端末は、前記1つの遠隔窓口処理要求として入場処理要求が選択された場合、選択可能な1つ以上の駅情報を前記遠隔操作端末の画面に表示し、前記選択可能な1つ以上の駅情報の中から選択された一つの駅情報と前記第10データに含まれるカード番号とを含む入場処理要求を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記遠隔操作端末から入場処理要求を受信した場合、前記入場処理要求に含まれる一つの駅情報と前記入場処理要求に含まれるカード番号から求めた関数適用値とを対応付けて前記入場管理領域に記憶する入場処理を実行する、駅改札システムにおける管理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の駅改札システムにおける管理装置であって、
前記入場処理要求には、さらに、前記第10データに含まれるカード番号とカード番号以外のカード情報と前記リーダライタ情報とが含まれ、
前記管理装置は、前記1つの遠隔窓口処理要求として入場処理要求が選択された場合、さらに、前記入場処理要求に含まれるカード番号とカード番号以外の情報とリーダライタ情報とを含む問い合わせ要求を前記決済装置に送信し、
前記管理装置は、前記決済装置から前記問い合わせ要求に含まれるカード番号の利用が拒否されている旨の応答を受信した場合には、前記入場処理要求に含まれるカード番号から求めた関数適用値を前記拒否リスト領域に記憶する拒否リスト登録処理を実行する、駅改札システムにおける管理装置。
【請求項7】
請求項2に記載の駅改札システムにおける管理装置であって、
前記遠隔操作端末は、前記1つの遠隔窓口処理要求として出場処理要求が選択された場合、選択可能な1つ以上の駅情報を前記遠隔操作端末の画面に表示し、前記選択可能な1つ以上の駅情報の中から選択された一つの駅情報と、前記第10データに含まれるカード番号と、カード番号以外のカード情報とリーダライタ情報と、を含む出場処理要求を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記遠隔操作端末から出場処理要求を受信した場合、前記出場処理要求に含まれる駅情報と、前記出場処理要求に含まれるカード番号に対応付けて前記入場管理領域に記憶されている前記入場駅の駅情報と、を用いて算出される運賃情報を取得し、この取得した運賃情報を前記出場処理要求に含まれるカード番号とカード番号以外のカード情報とリーダライタ情報とに対応付けて前記決済管理領域に記憶する出場処理を実行する、駅改札システムにおける管理装置。
【請求項8】
請求項2に記載の駅改札システムにおける管理装置であって、
前記遠隔操作端末は、前記1つの遠隔窓口処理要求として拒否リスト解除処理要求が選択された場合、前記第10データに含まれるカード番号とカード番号以外のカード情報とリーダライタ情報とを含む拒否リスト解除処理要求を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記遠隔操作端末から拒否リスト解除処理要求を受信した場合、前記拒否リスト解除処理要求に含まれるカード番号とカード番号以外のカード情報とリーダライタ情報とを含む問い合わせ要求を前記決済装置に送信し、
前記管理装置は、前記決済装置から前記拒否リスト解除処理要求に含まれるカード番号の利用が拒否されていない旨の応答を受信した場合には、前記拒否リスト解除処理要求に含まれるカード番号から求めた関数適用値を前記拒否リスト領域から削除する拒否リスト解除処理を実行する、駅改札システムにおける管理装置。
【請求項9】
請求項2に記載の駅改札システムにおける管理装置であって、
前記第2データには、さらに、前記第1リーダライタが読み取ったカード番号を含むカード情報と、前記第1リーダライタのリーダライタ情報と、が含まれ、
前記管理装置は、前記入場駅の改札機から前記第2データを受信した場合、さらに、前記第2データに含まれるカード番号とカード番号以外の情報とリーダライタ情報とを含む問い合わせ要求を前記決済装置に送信し、
前記管理装置は、前記決済装置から前記問い合わせ要求に含まれるカード番号の利用が拒否されている旨の応答を受信した場合には、前記第2データに含まれるカード番号から求めた関数適用値を前記拒否リスト領域に記憶する拒否リスト登録処理を実行する、駅改札システムにおける管理装置。
【請求項10】
請求項2に記載の駅改札システムにおける管理装置であって、
前記第2データには、さらに、前記入場駅の社局情報が含まれ、
前記管理装置は、前記入場駅の改札機から前記第2データを受信した場合、前記入場駅の社局情報を含む第2データを前記入場管理領域に記憶し、
前記管理装置は、前記出場駅の改札機から前記第4データを受信した場合、前記入場管理領域に記憶されている前記入場駅の社局情報を含む第2データを用いて前記エラー判断処理を実行する、駅改札システムにおける管理装置。
【請求項11】
請求項2に記載の駅改札システムにおける管理装置であって、
前記検索用データには、駅情報、社局情報、改札機が設置されているエリアを示すコーナー情報、改札機の号機番号、及び改札機の改札機IDの1つ以上の情報が含まれる、駅改札システムにおける管理装置。
【請求項12】
請求項乃至11のいずれか一項に記載の駅改札システムにおける管理装置と、
前記入場駅の改札機と、
前記出場駅の改札機と、
前記決済装置と、
前記遠隔操作端末と、を備えた駅改札システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駅改札システム及び駅改札システムにおける管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
改札機にカードをタップしても以下のような理由で改札機を通過できないことがある。
(1)入場記録がないのに駅から出場しようとした場合(未入場エラー)
(2)どこかで既に入場済みの状態であるのに入場しようとした場合(二重入場エラー)
(3)駅滞在時間(例えば2時間)を超過して出場しようとした場合(時間超過エラー)
(4)営業日を跨いで出場しようとした場合(営業日付エラー)
(5)カード会社によりカードの利用が拒否されている場合(拒否リスト登録エラー)
このような場合、有人駅であれば、駅係員が窓口処理機を使用して例えば以下のような「窓口処理」を実施できる(非特許文献1参照)。
・上記(1)の場合:「他駅入場」、「当駅入場」
・上記(2)、(3)、(4)の場合:「発駅キャンセル」、「他駅出場」、「当駅出場」、「強制出場」
・上記(5)の場合:「拒否リスト登録解除」
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】JRE MAL Media, ”JR東日本 改札が通れない!?そんな時に、考えられる主な原因と対処法を解説します”, [2024年5月29日検索]、インターネット<URL:https://media.jrenet.jp/articles/258>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような窓口処理を無人駅においても行うためには、有人駅の窓口処理機と同等の機能を持った遠隔操作端末をネットワークに接続し、この遠隔操作端末を操作して上記の窓口処理を遠隔から実行できることが好ましい。しかし、遠隔操作端末と利用客のカードは物理的に遠く離れた位置にあり、利用客のカードを遠隔操作端末にタップさせることはできない。このため、遠隔操作端末では、有人駅の窓口処理機とは異なり、利用客のカードからカード情報を読み取ることができない。また、クレジットカードなどのカード決済においては、カード情報とともに、カード情報を読み取るリーダライタの情報を決済装置(「センター」と呼ばれることもある)に送信し、オーソリゼーション(略して「オーソリ」と呼ばれることが多い)などの処理を実行する必要がある。しかし、有人駅の窓口処理機であれば、窓口処理機に接続されるリーダライタによりカード情報を読み取るため、当該リーダライタの情報を決済装置(センター)に送信することができるが、上記のとおり遠隔操作端末と利用客のカードは物理的に遠く離れた位置にあり、利用客のカードを遠隔操作端末にタップさせることはできない。このため、遠隔操作端末では、有人駅の窓口処理機のようにはリーダライタの情報を決済装置(センター)に送信することができない。
【0005】
本発明の一実施形態によれば、無人駅においても、有人駅におけるのと同様に、改札機のエラーに円滑に対応することが可能な駅改札システム及び駅改札システムにおける管理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、次の一実施形態を含む。
【0007】
無人駅の改札機と、管理装置と、遠隔操作端末とがネットワークで接続された駅改札システムであって、
前記無人駅の改札機は、前記無人駅の改札機に利用客のカードがタップされた場合にエラーが発生した場合、前記タップされたカードのカード情報と前記カードから前記カード情報を読み取ったリーダライタのリーダライタ情報を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記無人駅の改札機から受信したカード情報とリーダライタ情報を前記管理装置に記憶し、
前記遠隔操作端末は、前記ネットワークを介して前記管理装置に記憶されているカード情報とリーダライタ情報を取得し、前記ネットワークを介して、これら取得したカード情報とリーダライタ情報を含む遠隔窓口処理命令を前記管理装置に送信する駅改札システム。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、無人駅の改札機でエラーが発生した場合、エラーになったカード情報とリーダライタ情報が管理装置に記憶される。駅係員は、遠隔操作端末を操作することにより、管理装置に記憶されるカード情報とリーダライタ情報を取得することができ、これら取得したカード情報とリーダライタ情報を用いて、有人駅における窓口処理と同等の処理(遠隔窓口処理)をネットワーク越しに遠隔から実行することができる。本発明の一実施形態によれば、無人駅においても、有人駅におけるのと同様に、改札機のエラーに円滑に対応することが可能であり、ひいては、カードを用いた改札処理を無人駅においても広く普及させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る駅改札システムの構成を示す模式図である。
図2】入場管理領域のデータ構造を説明する模式図である。
図3】拒否リスト領域のデータ構造を説明する模式図である。
図4】エラー管理領域のデータ構造を説明する模式図である。
図5】決済管理領域のデータ構造を説明する模式図である。
図6A】利用客が駅に入場する場合の動作例を説明するシーケンス図(正常時)である。
図6B】利用客が駅に入場する場合の動作例を説明するシーケンス図(異常時)である。
図7A】利用客が駅から出場する場合の動作例を説明するシーケンス図(正常時)である。
図7B】利用客が駅から出場する場合の動作例を説明するシーケンス図(異常時)である。
図8A】遠隔窓口処理を行う場合の動作例を説明するシーケンス図である。
図8B】遠隔窓口処理を行う場合の動作例を説明するシーケンス図である。
図9】決済処理を行う場合の動作例を説明するシーケンス図である。
図10】三角表の一例を示す図である。
図11】三角表の一例を示す図(2つ以上の社局にまたがる路線の場合)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は実施形態に係る駅改札システムの構成を示す模式図である。図1に示すように、実施形態に係る駅改札システムは、利用客がカードをタップする入場駅の改札機と、利用客がカードをタップする出場駅の改札機と、入場駅の改札機と出場駅の改札機とにネットワークを介して接続される管理装置と、管理装置にネットワークを介して接続され、決済処理を実行する決済装置と、管理装置にネットワークを介して接続され、駅係員により操作される遠隔操作端末と、を備えた駅改札システムである。以下、詳細に説明する。
【0011】
[入場駅、出場駅]
入場駅は利用客が駅へ入場する駅である。出場駅は利用客が駅から出場する駅である。例えば、利用客がA駅に入場してA駅から電車に乗車し、B駅で電車から降車してB駅から出場する場合、A駅が入場駅であり、B駅が出場駅である。入場駅と出場駅の少なくとも一方は無人駅であり、駅には駅係員がいない。複数の駅が設けられている場合であって、複数の駅のすべてが無人駅である場合、及び複数の駅に有人駅と無人駅が混在する場合は、本発明の一実施形態に含まれる。他方、無人駅が存在しない場合、換言すればすべての駅が有人駅である場合は、本発明の一実施形態に含まれない。例えば、A駅、B駅、C駅、D駅、及びE駅の5つの駅があり、A駅とB駅が有人駅であり、C駅、D駅、及びE駅が無人駅である場合は、本発明の一実施形態に含まれる。この場合、A駅からE駅は同一の社局により運営される駅であってもよいし、異なる社局により運営される駅であってもよい。例えば、A駅及びB駅を運営する社局と、C駅、D駅、及びE駅を運営する社局は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。他方、A駅、B駅、C駅、D駅、及びE駅の5つの駅のすべてが有人駅である場合は、本発明の一実施形態に含まれない。ただし、例えば、A駅、B駅、C駅、D駅、及びE駅の5つの駅が設けられた路線の電車から、F駅、G駅、及びH駅の3つの駅が設けられた他の路線の電車にC駅で乗り換えることが可能であって、F駅が有人駅であり、G駅及びH駅が無人駅である場合は、A駅からH駅を全体として見た場合は有人駅と無人駅が混在する形態となるため、本発明の一実施形態を適用することが可能である。
【0012】
[カード]
カードにはカード情報が記憶されている。カード情報はカードを用いた決済に必要となる情報である。カードの一例には、クレジットカードのほか、デビットカード、プリペイドカードが含まれる。また、カードには、例えば、カード情報を記憶する非接触ICカードやスマートフォンなどを用いることができる。
【0013】
(カード情報)
カード情報の一例には、以下の情報が含まれる。
・カード番号
・カードの有効期限
・カードの発行国
・カードのブランド
【0014】
(カード番号)
カード番号は、カード会社により個々のカードに割り当てられた番号である。カード番号の一例には、クレジットカード番号、デビットカード番号、及びプリペイドカード番号が含まれる。カード番号は、暗号化されていない状態でカードに記憶されていてもよいが、暗号化された状態でカードに記憶されていることが好ましい。本明細書における「カード番号」は、特に断りがない場合、暗号化された状態のカード番号を意味するものとする。
【0015】
カード番号から求めた関数適用値とは、例えば、カード番号を引数やパラメータとする所定の関数の出力値である。所定の関数の一例には、ハッシュ関数のほか、DES(Data Encryption Standard)やAES(Advanced Encryption Standard)などを用いた暗号化関数が含まれる。所定の関数の出力値の一例にはハッシュ値や暗号化値が含まれる。
【0016】
カード番号の一部の一例には、カード番号の下位3桁や下位4桁、カード番号の上位数桁と下位数桁を表示し他の桁を「*」などの記号で置き換えた値(例:トランケートPAN)などが含まれる。例えば、カード番号が「4980123456780123」である場合、カード番号の下位3桁は「123」であり、カード番号の下位4桁は「0123」であり、カード番号の上位6桁と下位4桁を表示し他の桁を*で表した値は「498012******0123」である。
【0017】
カード番号から求めた関数適用値(カード番号の関数適用値)は、カード番号が暗号化されている場合は、暗号化されたカード番号を所定の復号処理により復号することによってカード番号を求め、この得られたカード番号を引数やパラメータとするハッシュ関数の出力値を算出することにより求められる。
【0018】
カード番号の一部は、カード番号が暗号化されている場合は、暗号化されたカード番号を所定の復号処理により復号することによってカード番号を求め、これにより得られたカード番号の一部を取得することにより求められる。
【0019】
(カードのブランド)
カードのブランドの一例には、VISA(登録商標)、MASTERCARD(登録商標)、JCB(登録商標)が含まれる。
【0020】
[各情報]
以下、本明細書で処理する情報についてさらに説明する。
【0021】
(駅情報)
駅情報は、改札機が設置されている駅を特定する情報である。改札機には当該改札機が設置されている駅を特定する駅情報が記憶されている。例えば、A駅の改札機にはA駅を特定する駅情報が記憶されており、B駅の改札機にはB駅を特定する駅情報が記憶されている。
【0022】
(入場日時、出場日時)
入場日時は入場駅の改札機にカードがタップされた日時を特定する情報である。出場日時は出場駅の改札機にカードがタップされた日時を特定する情報である。入場日時や出場日時の一例には、カードがタップされた日時そのもののほか、改札機から管理装置に後述の第1データや第4データが送信される日時が含まれる。後者の日時のように、正確にはカードがタップされた日時ではないが、本発明の適用にあたりカードがタップされた日時ととみなすことができる日時も、入場日時や出場日時に含まれる。
【0023】
(エラーID)
エラーIDは、エラー管理領域において記憶されている情報を区別するための情報である。エラーIDの一例には英文字、数字、記号及びこれらの組み合わせなどが含まれる。例えば、エラー管理領域において、エラーID「1」に対応付けて情報Aと情報Bが記憶されており、エラーID「2」に対応付けて情報Cと情報Dが記憶されている場合、エラーID「1」を選択することにより情報A、Bを選択や取得などすることが可能であり、エラーID「2」を選択することにより情報C、Dを選択や取得などすることが可能である。
【0024】
(エラー種別情報)
エラー種別情報は、エラーの種別を特定する情報である。管理装置は、後述のとおり、エラー判断処理を実行し、所定のエラー条件が成立するかどうかを判断するが、エラー種別情報は、どのエラー条件が成立するのかを特定する情報である。換言すれば、エラー種別情報により、どのエラー条件が成立しているのかを特定することができる。例えば、エラー条件1とエラー条件2という2つのエラー条件が設定されているとする。この場合、エラー条件1が成立する場合はエラー種別情報=「1」などとし、エラー条件2が成立する場合はエラー種別情報=「2」などとする。これにより、エラー種別情報が1であればエラー条件1が成立しており、エラー種別情報が2である場合はエラー条件2が成立していることを特定できる。
【0025】
(リーダライタ情報)
リーダライタ情報はリーダライタを特定する情報である。リーダライタ情報はリーダライタに記憶されており、改札機から読み出すことができる。後述のとおり、改札機はリーダライタに記憶されるリーダライタ情報を管理装置に送信することができる。
【0026】
(検索用データ)
検索用データは、エラー管理領域に記憶されている情報の検索に利用できる情報である。検索用データの一例には、駅情報、社局情報、改札機が設置されているエリアを示すコーナー情報、改札機の号機番号、及び改札機の改札機IDの1つ以上の情報が含まれる。
【0027】
(社局情報)
社局情報は、A鉄道やB地下鉄などの、駅を運営する会社を特定する情報である。入場駅の社局情報は入場駅を運営する会社を特定する情報であり、出場駅の社局情報は出場駅を運営する会社を特定する情報である。例えば、ある駅がA鉄道により運営されている場合、当該駅の社局情報はA鉄道を特定する情報である。社局の一例には鉄道会社が含まれる。
【0028】
(コーナー情報)
コーナー情報は、中央改札口や東改札口などの、改札機が設置されている駅構内のエリアを特定する情報である。
【0029】
(号機番号)
号機番号は、東改札口の3番目の改札機などの、改札機が設置されているエリアにおいて改札機を特定する情報である。
【0030】
(改札機ID)
改札機IDは、改札機を特定する番号である。
【0031】
(運賃情報)
運賃情報は、例えば、350円や500円などの、運賃として決済すべき金額を特定する情報である。
【0032】
(営業日付)
営業日付は所定の時刻を基準にして定義することができる。例えば午前2時を基準にする場合、2024年6月5日午前2時00分00秒から2024年6月6日午前1時59分59秒までは、2024年6月5日の営業日付に含まれる。この場合、例えば、2024年6月5日午前8時11分39秒の営業日付と、2024年6月6日午前1時30分30秒の営業日付は、いずれも2024年6月5日であり、同じ営業日付であると判断される。
【0033】
[改札機]
入場駅の改札機は入場駅に設置される改札機である。出場駅の改札機は出場駅に設置される改札機である。
【0034】
改札機は、演算装置と記憶装置を備えている。演算装置の一例にはCPU(Central Processing Unit)が含まれる。記憶装置の一例には、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリや、ROM(Read Only Memory)やSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性メモリが含まれる。改札機は、記憶装置が記憶するプログラムを演算装置が実行することにより動作する。
【0035】
改札機は、管理装置から正常信号を受信した場合は正常処理を実行する。正常処理は、利用客が改札機を通過できるようにする処理である。正常処理の一例には、改札機の扉を開く動作や正常音を出力する動作が含まれる。
【0036】
改札機は、管理装置からエラー信号を受信した場合はエラー処理を実行する。エラー信号はエラー処理の実行を命じる信号である。エラー処理は、利用客が改札機を通過できないようにする処理である。エラー処理の一例には、改札機の扉を閉じる動作や警告音を出力する動作が含まれる。
【0037】
改札機は、改札機にタップされたカードからカード情報を読み取るリーダライタを備えている。本明細書では、入場駅の改札機が備えるリーダライタのことを「第1リーダライタ」といい、出場駅の改札機が備えるリーダライタのことを「第2リーダライタ」という。第1リーダライタは、入場駅の改札機にタップされたカードからカード番号を含むカード情報を読み取る。第2リーダライタは、出場駅の改札機にタップされたカードからカード番号を含むカード情報を読み取る。
【0038】
[管理装置]
管理装置は、駅の改札を管理する装置である。
【0039】
管理装置は、演算装置と記憶装置を備えている。演算装置の一例にはCPU(Central Processing Unit)が含まれる。記憶装置の一例には、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリや、ROM(Read Only Memory)やSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性メモリが含まれる。管理装置は、記憶装置が記憶するプログラムを演算装置が実行することにより動作する。
【0040】
管理装置の記憶装置は、入場管理領域と、拒否リスト領域と、エラー管理領域と、決済管理領域と、を有している。
【0041】
(入場管理領域)
図2は入場管理領域のデータ構造を説明する模式図である。図2に示すように、入場管理領域には、カード番号から求めた関数適用値と入場駅の駅情報と入場日時と好ましくは入場駅の社局情報とが対応付けて記憶される。
【0042】
(拒否リスト領域)
図3は拒否リスト領域のデータ構造を説明する模式図である。図3に示すように、拒否リスト領域には、カードの利用が拒否されているカード番号から求めた関数適用値が記憶される。カードの利用が拒否されている場合、決済装置における決済処理の実行は拒否される。拒否される理由は特に限定されないが、例えば「利用上限額に達している」、「残高不足」、「盗難届が出ているためカード会社によって利用が止められている」は拒否される理由の一例となり得る。カードの利用が拒否されているかどうかのステータスは、カード番号とカード番号以外のカード情報とリーダライタ情報を含む問い合わせ要求を決済装置に送信することにより、決済装置に問い合わせて確認することができる。
【0043】
(エラー管理領域)
図4はエラー管理領域のデータ構造を説明する模式図である。図4に示すように、エラー管理領域には、エラーIDとエラー種別情報とカード番号とカード番号から求めた関数適用値とカード番号の一部とカード番号以外のカード情報とリーダライタ情報と検索用データとが対応付けて記憶される。
【0044】
(決済管理領域)
図5は決済管理領域のデータ構造を説明する模式図である。図5に示すように、決済管理領域には、カード番号とカード番号以外のカード情報と運賃情報とリーダライタ情報が対応付けて記憶される。
【0045】
本実施形態では、一例として、入場管理領域、エラー管理領域、及び決済管理領域における各情報が、1つのテーブルの同じ行における異なる列に記憶されることにより、互いに対応付けて記憶される形態を説明する。ただし、これらの領域においては、2つ以上のテーブルを用いて各情報を対応付けて記憶してもよい。例えば、ある領域に第1テーブルと第2テーブルが設定され、第1テーブルに情報A、情報B、情報Cが記憶され、第2テーブルに情報C、情報Dが記憶されているとする。この場合は、情報Cをキーにして、第1テーブルの情報A及び情報B、第2テーブルの情報Dを対応付けることが可能である。このような場合は、当該領域において、情報A、情報B、情報C、情報Dは対応付けて記憶されている場合に該当する。
【0046】
[決済装置]
決済装置は、決済処理を実行する装置である。決済装置は「センター」と呼ばれることもある。決済装置は、カードの発行会社(単に「カード会社」ともいう)により運営される。決済装置は、ネットワークを介して管理装置に接続される。クレジットカードなどのカード決済においては、カード番号を含むカード情報とともに、カード情報を読み取ったリーダライタのリーダライタ情報が決済装置に送信され、決済装置によりオーソリゼーション(オーソリ)などの処理が実行される。
【0047】
決済装置は、演算装置と記憶装置を備えている。演算装置の一例にはCPU(Central Processing Unit)が含まれる。記憶装置の一例には、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリや、ROM(Read Only Memory)やSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性メモリが含まれる。決済装置は、記憶装置が記憶するプログラムを演算装置が実行することにより動作する。
【0048】
[遠隔操作端末]
遠隔操作端末は、駅から離れた場所にいる駅係員が操作する端末である。遠隔操作端末は、ネットワークを介して管理装置に接続される。
【0049】
遠隔操作端末は、演算装置と記憶装置を備えている。演算装置の一例にはCPU(Central Processing Unit)が含まれる。記憶装置の一例には、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリや、ROM(Read Only Memory)やSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性メモリが含まれる。遠隔操作端末は、記憶装置が記憶するプログラムを演算装置が実行することにより動作する。
【0050】
[ネットワーク]
決済装置と管理装置を接続するネットワークは、セキュリティを強化するなどのため、図1に示すように、管理装置と改札機を接続するネットワークとは別のネットワークであることが好ましい。ただし、同じネットワークであってもよい。また、遠隔操作端末と管理装置を接続するネットワークは、システムの構築を容易にするなどのため、図1に示すように、管理装置と改札機を接続するネットワークと同じネットワークであることが好ましい。ただし、別のネットワークであってもよい。ネットワークの一例には、インターネット、専用回線、閉域網、及びVPN回線などが含まれる。
【0051】
[駅改札システムの動作例]
以下、本実施形態に係る駅改札システムの動作例を説明する。
【0052】
(利用客が駅に入場する場合の動作例)
図6Aは利用客が駅に入場する場合の動作例を説明するシーケンス図(正常時)である。図6Bは利用客が駅に入場する場合の動作例を説明するシーケンス図(異常時)である。以下、図6A図6Bを参照しつつ、利用客が駅に入場する場合の動作例について説明する。
【0053】
(ステップ1)
入場駅の改札機は、入場駅の改札機にカードがタップされた場合、第1リーダライタにより、入場駅の改札機にタップされたカードからカード番号を含むカード情報を読み取る。
【0054】
(ステップ2)
入場駅の改札機は、管理装置に対して、第1データを送信する。第1データには、入場駅の駅情報と、第1リーダライタで読み取ったカード番号から求めた関数適用値と、入場日時と、好ましくは入場駅の社局情報と、が含まれる。
【0055】
(ステップ3)
管理装置は、入場駅の改札機から第1データを受信した場合、エラー判断処理を実行する。エラー判断処理は、第1データに含まれる情報と、入場管理領域に記憶されている情報及び拒否リスト領域に記憶されている情報とを用いて、所定のエラー条件が成立するかどうかを判断することにより行われる。
【0056】
以下のエラー条件は、本ステップにおける所定のエラー条件の一例である。管理装置は、以下の条件の1つ以上が成立する場合、所定のエラー条件が成立すると判断し、1つのエラー条件も成立しない場合は所定のエラー条件が成立しないと判断する。
【0057】
(二重入場)
管理装置は、入場管理領域において、第1データに含まれるカード番号から求めた関数適用値に対応付けて入場駅の駅情報が既に記憶されているかどうかを判断し、記憶されている場合、二重入場のエラー条件が成立すると判断する。エラー種別情報は例えば「二重入場」という文字列である。
【0058】
ただし、管理装置は、入場管理領域に入場駅の駅情報が記憶されている場合であっても、第1データに入場駅の社局情報が含まれており、かつ、当該第1データに含まれる入場駅の社局情報と入場管理領域に記憶されている入場駅の社局情報とが一致しない場合は、二重入場のエラー条件が成立しないと判断することが好ましい。このようにすれば、二重入場のエラー条件が成立するかどうかを、同一社局の駅同士で判断することができる。例えば、利用客が、A電鉄の駅1から入場して駅1で電車に乗車後、A電鉄の駅2で降車して駅2から出場し、翌日、A電鉄とは別のB鉄道の駅3に入場しようとしたとする。ただし、駅2での降車時に駅2の改札機に適切にカードがタップされなかったため、入場記録はA電鉄に入場したままの状態になっていたとする。この場合、社局情報を考慮して二重入場のエラー条件を判断しないと、B鉄道の駅3の改札機で二重入場のエラー条件が成立し、当該利用客は、駅3の改札機を通過できなくなる。このため、当該利用客は、A電鉄の駅まで出向いて、A電鉄の駅係員にA電鉄に入場したままの状態の入場記録の解消を依頼する必要がある。B鉄道の駅係員がA電鉄の入場記録を操作することは好ましくなく、また、そのような操作は多くの場合認められていないからである。しかし、上記のとおり社局情報を考慮すれば、当該利用客は、B鉄道の駅3をエラーなく通過することができる。なお、当該利用客は、例えばA電鉄の駅4に入場しようとした場合には二重入場のエラーが成立するので、その際、A電鉄の駅係員に上記入場記録の解消を依頼できる。
【0059】
(拒否リスト登録)
管理装置は、第1データに含まれるカード番号から求めた関数適用値が拒否リスト領域に記憶されているかどうかを判断し、記憶されている場合、拒否リスト登録のエラー条件が成立すると判断する。エラー種別情報は例えば「拒否リスト登録」という文字列である。
【0060】
(ステップ4)
管理装置は、第1データを用いたエラー判断処理において所定のエラー条件が成立しないと判断した場合は、入場駅の改札機に正常信号を送信する。
【0061】
(ステップ5)
入場駅の改札機は、管理装置から正常信号を受信した場合は、正常処理を実行する。
【0062】
(ステップ6)
また、入場駅の改札機は、管理装置から正常信号を受信した場合は、管理装置に対して、第2データを送信する。第2データは、入場駅の駅情報と、第1リーダライタが読み取ったカード番号から求めた関数適用値と、入場日時と、好ましくは入場駅の社局情報を含む。
【0063】
第2データには、さらに、第1リーダライタが読み取ったカード番号と、カード番号以外のカード情報と、第1リーダライタのリーダライタ情報と、が含まれていることが好ましい。
【0064】
(ステップ7)
管理装置は、入場駅の改札機から第2データを受信した場合、第2データを入場管理領域に記憶する。第2データに入場駅の社局情報が含まれている場合は、入場駅の社局情報も第2データの一部として入場管理領域に記憶する。
【0065】
第2データに、第1リーダライタが読み取ったカード番号と、カード番号以外のカード情報と、第1リーダライタのリーダライタ情報とが含まれている場合、管理装置は、第2データに含まれるカード番号とカード番号以外の情報とリーダライタ情報とを含む問い合わせ要求を決済装置に送信し、決済装置からカード番号の利用が拒否されている旨の応答を受信した場合には、第2データに含まれるカード番号から求めた関数適用値を拒否リスト領域に記憶する拒否リスト登録処理を実行することができる。このようにすれば、利用客が電車に乗車している間に、利用客のカードの利用が止められているかどうかを判断することができる。決済装置は、管理装置から問い合わせ要求を受信した場合、問い合わせ要求に含まれるカード番号の利用が拒否されているかどうかを判断し、その結果を管理装置に送信する。
【0066】
(ステップ8)
管理装置は、第1データを用いたエラー判断処理において所定のエラー条件が成立すると判断した場合は、入場駅の改札機にエラー信号とエラー種別情報とを送信する。
【0067】
(ステップ9)
入場駅の改札機は、管理装置からエラー信号とエラー種別情報とを受信した場合、エラー処理を実行する。
【0068】
(ステップ10)
また、入場駅の改札機は、管理装置からエラー信号とエラー種別情報とを受信した場合、管理装置に対して、第3データを送信する。第3データは、管理装置から受信したエラー種別情報、第1リーダライタで読み取ったカード番号、第1リーダライタで読み取ったカード番号から求めた関数適用値、第1リーダライタで読み取ったカード番号の一部、カード番号以外のカード情報、第1リーダライタのリーダライタ情報、及び検索用データを含む。
【0069】
(ステップ11)
管理装置は、入場駅の改札機から第3データを受信した場合、第3データに含まれる各情報をエラーIDに対応付けてエラー管理領域に記憶する。
【0070】
(利用客が駅から出場する場合の動作例)
図7Aは利用客が駅から出場する場合の動作例を説明するシーケンス図(正常時)である。図7Bは利用客が駅から出場する場合の動作例を説明するシーケンス図(異常時)である。以下、図7A図7Bを参照しつつ、利用客が駅から出場する場合の動作例について説明する。
【0071】
(ステップ21)
出場駅の改札機は、出場駅の改札機にカードがタップされた場合、第2リーダライタにより、出場駅の改札機にタップされたカードからカード番号を含むカード情報を読み取る。
【0072】
(ステップ22)
出場駅の改札機は、第2リーダライタによりカード情報を読み取った場合、管理装置に対して、第4データを送信する。第4データには、出場駅の駅情報と第2リーダライタで読み取ったカード番号から求めた関数適用値と出場日時と好ましくは出場駅の社局情報が含まれる。
【0073】
(ステップ23)
管理装置は、出場駅の改札機から第4データを受信した場合、エラー判断処理を実行する。エラー判断処理は、第4データに含まれる情報と、入場管理領域に記憶されている情報及び拒否リスト領域に記憶されている情報とを用いて、所定のエラー条件が成立するかどうかを判断する
【0074】
以下のエラー条件は、本ステップにおける所定のエラー条件の一例である。管理装置は、以下のエラー条件の1つ以上が成立する場合、所定のエラー条件が成立すると判断し、1つのエラー条件も成立しない場合はエラー条件が成立しないと判断する。
【0075】
(未入場)
管理装置は、入場管理領域において、第4データに含まれるカード番号から求めた関数適用値に対応付けて入場駅の駅情報が記憶されているかどうかを判断し、記憶されていない場合、未入場のエラー条件が成立すると判断する。エラー種別情報は例えば「未入場」という文字列である。
【0076】
(時間超過)
管理装置は、第4データに含まれるカード番号から求めた関数適用値に対応付けて入場管理領域に記憶されている入場日時から第4データに含まれる出場日時までの時間間隔が、所定の駅滞在可能時間(例えば2時間)を超えているかどうかを判断し、超えている場合、時間超過のエラー条件が成立すると判断する。エラー種別情報は例えば「時間超過」という文字列である。
【0077】
(営業日付)
管理装置は、第4データに含まれる出場日時の営業日付が、第4データに含まれるカード番号から求めた関数適用値に対応付けて入場管理領域に記憶されている入場日時の営業日付と異なっているかどうかを判断し、異なっている場合、営業日付のエラー条件が成立すると判断する。エラー種別情報は例えば「営業日付」という文字列である。
【0078】
(拒否リスト登録)
管理装置は、第4データに含まれるカード番号から求めた関数適用値が拒否リスト領域に記憶されているかどうかを判断し、記憶されている場合、拒否リスト登録のエラー条件が成立すると判断する。エラー種別情報は例えば「拒否リスト登録」という文字列である。
【0079】
(ステップ24)
管理装置は、第4データを用いたエラー判断処理において所定のエラー条件が成立しないと判断した場合は、出場駅の改札機に正常信号を送信する。
【0080】
(ステップ25)
出場駅の改札機は、管理装置から正常信号を受信した場合は、正常処理を実行する。
【0081】
(ステップ26)
また、出場駅の改札機は、管理装置から正常信号を受信した場合は、管理装置に対して、第5データを送信する。第5データは、出場駅の駅情報と、第2リーダライタが読み取ったカード番号と、第2リーダライタが読み取ったカード番号から求めた関数適用値と、カード番号以外のカード情報と、出場日時と、第2リーダライタのリーダライタ情報とを含む。
【0082】
(ステップ27)
管理装置は、出場駅の改札機から第5データを受信した場合、運賃情報を取得し、この取得した運賃情報を第5データに含まれるカード番号、カード番号以外のカード情報、及び第2リーダライタのリーダライタ情報に対応付けて決済管理領域に記憶する。
【0083】
運賃情報は、例えば図10に示す三角表に基づき、出場駅の駅情報と入場駅の駅情報とを用いて算出する。出場駅の駅情報は第5データに含まれる出場駅の駅情報であり、入場駅の駅情報は、入場管理領域において第5データに含まれるカード番号から求めた関数適用値に対応付けて記憶されている入場駅の駅情報である。図10に示す三角表に基づくと、例えば、入場駅の駅情報がA駅であり、出場駅の駅情報がC駅である場合は、運賃情報200円となる。なお、この例の場合、A駅とC駅は同じ社局が運営する駅であってもよいし、異なる社局が運営する駅であってもよい。例えばA駅を運営する社局がY社局である場合、C駅を運営する社局は同じY社局であってもよいし、図11に示すようにY社局とは異なるX社局であってもよい。
【0084】
管理装置は、管理装置自ら運賃情報を算出することにより運賃情報を取得してもよいし、外部の運賃情報計算装置から運賃情報を取得してもよい。運賃情報計算装置は、例えば、管理装置にネットワークを介して接続される装置である。
【0085】
運賃情報計算装置を用いる場合、管理装置は、例えば、本ステップにおいて、第5データに含まれる出場駅の駅情報と、入場管理領域において第5データに含まれるカード番号から求めた関数適用値に対応付けて記憶されている入場駅の駅情報とを、を含む運賃計算要求を運賃計算装置に送信する。運賃情報計算装置は、運賃計算要求に含まれる入場駅の駅情報と出場駅の駅情報とを用いて、例えば図10図11に示す三角表に基づき、運賃情報を算出する。
【0086】
あるいは、管理装置は、ステップ2で第1データを受信した後、第1運賃計算要求を運賃情報計算装置に送信しておき、本ステップにおいて、第2運賃計算要求を運賃情報計算装置に送信してもよい。第1運賃計算要求は、第1データに含まれる入場駅の駅情報とカード番号から求めた関数適用値とを含む。第2運賃計算要求は、第5データに含まれる出場駅の駅情報とカード番号から求めた関数適用値を含む。運賃情報計算装置は、第1、第2運賃計算要求に含まれるカード番号から求めた関数適用値を用いて、第1運賃計算要求に含まれる入場駅の駅情報と第2運賃計算要求に含まれる出場駅の駅情報とのペアを特定し、例えば図10図11に示す三角表に基づき、運賃情報を算出し、算出した運賃情報を管理装置に送信する。
【0087】
(ステップ28)
管理装置は、第4データを用いたエラー判断処理において所定のエラー条件が成立すると判断した場合は、出場駅の改札機にエラー信号とエラー種別情報を送信する。
【0088】
(ステップ29)
出場駅の改札機は、管理装置からエラー信号とエラー種別情報を受信した場合は、エラー処理を実行する。
【0089】
(ステップ30)
また、出場駅の改札機は、出場駅の改札機は、管理装置からエラー信号とエラー種別情報を受信した場合は、管理装置に対して、第6データを送信する。第6データは、管理装置から受信したエラー種別情報、第2リーダライタで読み取ったカード番号、第2リーダライタで読み取ったカード番号から求めた関数適用値、第2リーダライタで読み取ったカード番号の一部、カード番号以外のカード情報、第1リーダライタのリーダライタ情報、及び検索用データを含む。
【0090】
(ステップ31)
管理装置は、出場駅の改札機から第6データを受信した場合、第6データに含まれる情報をエラーIDに対応付けてエラー管理領域に記憶する。
【0091】
(遠隔窓口処理を行う場合の動作例)
図8A図8Bは遠隔窓口処理を行う場合の動作例を説明するシーケンス図である。以下、図8A図8Bを参照しつつ、遠隔窓口処理を行う場合の動作例について説明する。
【0092】
(ステップ40)
まず、利用客が、遠隔にいる駅係員に対して、電話、インターホン、あるいはチャットなどの通信手段により、改札機でエラーが生じていることを伝える。本ステップにおいて、利用客は、カード番号、カード番号以外のカード情報(例:ブランド)、駅名、社局情報、コーナー情報などの情報を駅係員に伝えることができる。
【0093】
(ステップ41)
遠隔操作端末は、管理装置に対して、カード番号の一部、カード番号以外のカード情報、及び検索用データに含まれる1つ以上の情報のうちの1つ以上の情報を含む第7データを送信する。
【0094】
(ステップ42)
管理装置は、遠隔操作端末から第7データを受信した場合、エラーID取得処理を実行する。エラーID取得処理は、エラー管理領域から、第7データが含む1つ以上の情報のうちの所定数以上に対応付けて記憶されている1つ以上のエラーIDを取得する処理である。所定数は、例えば、1つ、2つ、3つ、または4つである。例えば、所定数が2つであり、第7データに情報A、情報B、及び情報Cが含まれており、エラー管理領域において、エラーID1に情報A及び情報Eが対応づけて記憶されており、エラーID2に情報B及び情報Cが対応付けて記憶されており、エラーID3に情報A及び情報Cが対応付けて記憶されている場合を想定する。この場合は、本ステップにより、エラーID2とエラーID3が取得される。
【0095】
(ステップ43)
その後、管理装置は、第8データを遠隔操作端末に送信する。第8データは、ステップ42で取得した1つ以上のエラーIDと、取得したエラーIDにエラー管理領域において対応付けて記憶されている各情報と、をエラーIDごとに含むデータである。上記したエラーID2とエラーID3で説明すると、例えば、(エラーID2、情報B、情報C)、(エラーID3、情報A、情報C)などのように、情報B及び情報CがエラーID2に対応付けて記憶されており、情報A及び情報CがエラーID3に対応付けて記憶されていることが明確となる形式で、第8データに、これらの情報が含まれる。
【0096】
(ステップ44)
遠隔操作端末は、管理装置から第8データを受信した場合、第8データに含まれる1つ以上のエラーIDの中から一つのエラーIDを選択するエラーID選択処理を実行する。
【0097】
(ステップ45)
遠隔操作端末は、ステップ44で選択した一つのエラーIDを含む第9データを管理装置に送信する。
【0098】
(ステップ46)
管理装置は、遠隔操作端末から第9データを受信した場合、第10データを遠隔操作端末に送信する。第10データは、エラー管理領域において第9データに含まれる一つのエラーIDに対応付けて記憶されている、エラー種別情報、カード番号、カード番号以外のカード情報、及びリーダライタ情報を含む。
【0099】
(ステップ47)
遠隔操作端末は、管理装置から第10データを受信した場合、第10データに含まれるエラー種別情報に基づいて、選択可能な1つ以上の遠隔窓口処理要求を遠隔操作端末の画面に表示する遠隔窓口処理要求表示処理を実行する。遠隔操作端末は、例えば、第10データに含まれるエラー種別情報に基づいて、発駅キャンセル処理要求、入場処理要求、出場処理要求、及び拒否リスト解除処理要求の中から選択可能な1つ以上の遠隔窓口処理要求を遠隔操作端末の画面に表示することができる。例えば、エラー種別情報が「二重入場」である場合は、「発駅キャンセル処理要求」及び「出場処理要求」が画面に表示され、エラー種別情報が「未入場」である場合は「出場処理要求」が画面に表示され、エラー種別情報が「時間超過」である場合は、「発駅キャンセル処理要求」及び「出場処理要求」が画面に表示され、エラー種別情報が「営業日付」である場合は、「発駅キャンセル処理要求」及び「出場処理要求」が画面に表示され、エラー種別情報が「拒否リスト登録」である場合は「拒否リスト解除処理要求」が画面に表示される。
【0100】
(ステップ48)
遠隔操作端末は、ステップ47で画面に表示した選択可能な1つ以上の遠隔窓口処理要求の中から1つの遠隔窓口処理要求が選択された場合、選択された1つの遠隔窓口処理要求を管理装置に送信する。
【0101】
(ステップ49)
管理装置は、遠隔操作端末から1つの遠隔窓口処理要求を受信した場合、遠隔窓口処理要求に応じた遠隔窓口処理を実行する。
【0102】
(ステップ50)
その後、管理装置は、遠隔操作端末に対して、遠隔窓口処理完了通知を送信する。
【0103】
以下、ステップ48、ステップ49の一例を説明する。
【0104】
(発駅キャンセル)
遠隔操作端末は、1つの遠隔窓口処理要求として発駅キャンセル処理要求が選択された場合、第10データに含まれるカード番号を含む発駅キャンセル処理要求を管理装置に送信する(ステップ48)。管理装置は、遠隔操作端末から発駅キャンセル処理要求を受信した場合、入場管理領域から、発駅キャンセル処理要求に含まれるカード番号から求めた関数適用値と当該関数適用値に対応付けて記憶されている情報を削除する発駅キャンセル処理を実行する。
【0105】
(入場処理)
遠隔操作端末は、1つの遠隔窓口処理要求として入場処理要求が選択された場合、選択可能な1つ以上の駅情報を遠隔操作端末の画面に表示し、選択可能な1つ以上の駅情報の中から選択された一つの駅情報と、第10データに含まれるカード番号から求めた関数適用値と、を含む入場処理要求を管理装置に送信する(ステップ48)。管理装置は、遠隔操作端末から入場処理要求を受信した場合、入場処理要求に含まれる一つの駅情報とカード番号から求めた関数適用値とを対応付けて入場管理領域に記憶する。選択可能な1つ以上の駅情報は、入場駅の候補となる駅情報である。例えば、選択可能な1つ以上の駅情報として、A駅、B駅、及びC駅が画面に表示された場合において、B駅が選択された場合には、B駅の駅情報が入場処理要求に含まれる。この場合、管理装置において、利用客がB駅で入場したものとして処理がなれる。
【0106】
入場処理要求には、さらに、第10データに含まれるカード番号とカード番号以外のカード情報とリーダライタ情報とが含まれていることが好ましい。この場合、管理装置は、入場処理要求に含まれるカード番号とカード番号以外の情報とリーダライタ情報とを含む問い合わせ要求を決済装置に送信し、管理装置は、決済装置からカード番号の利用が拒否されている旨の応答を受信した場合には、入場処理要求に含まれるカード番号から求めた関数適用値を拒否リスト領域に記憶する拒否リスト登録処理を実行することができる。このようにすれば、利用客が電車に乗車している間に、利用客のカードの利用が止められているかどうかを判断することができる。決済装置は、管理装置から問い合わせ要求を受信した場合、問い合わせ要求に含まれるカード番号の利用が拒否されているかどうかを判断し、その結果を管理装置に送信する。
【0107】
(出場処理)
遠隔操作端末は、1つの遠隔窓口処理要求として出場処理要求が選択された場合、選択可能な1つ以上の駅情報を遠隔操作端末の画面に表示し、選択可能な1つ以上の駅情報の中から選択された一つの駅情報と、第10データに含まれるカード番号とカード番号以外のカード情報とリーダライタ情報とを含む出場処理要求を管理装置に送信する(ステップ48)。管理装置は、遠隔操作端末から出場処理要求を受信した場合、運賃情報を取得し、この取得した運賃情報を出場処理要求に含まれるカード番号とカード番号以外のカード情報とリーダライタ情報とに対応付けて決済管理領域に記憶する(ステップ49)。選択可能な1つ以上の駅情報は、出場駅の候補となる駅情報である。例えば、選択可能な1つ以上の駅情報として、A駅、B駅、及びC駅が画面に表示された場合において、C駅が選択された場合には、C駅の駅情報が出場処理要求に含まれる。この場合、管理装置において、利用客がC駅で出場したものとして運賃情報が取得され、決済管理領域に記憶される。
【0108】
運賃情報は、例えば図10図11に示す三角表に基づき、出場駅の駅情報と入場駅の駅情報とを用いて算出する。出場駅の駅情報は出場処理要求に含まれる駅情報であり、入場駅の駅情報は、入場管理領域において出場処理要求に含まれるカード番号から求めた関数適用値に対応付けて記憶されている入場駅の駅情報である。図10図11に示す三角表に基づくと、例えば、入場駅の駅情報がA駅であり、出場駅の駅情報がC駅である場合は、運賃情報200円となる。社局が異なる場合の運賃情報も、例えば図11に示すように、社局と駅名の両方を三角表に持つことで対応することができる。
【0109】
管理装置は、管理装置自ら運賃情報を算出することにより運賃情報を取得してもよいし、外部の運賃情報計算装置から運賃情報を取得してもよい。運賃情報計算装置は、例えば、管理装置にネットワークを介して接続される装置である。
【0110】
運賃情報計算装置を用いる場合、管理装置は、例えば、出場処理要求に含まれる駅情報と、入場管理領域において出場処理要求に含まれるカード番号から求めた関数適用値に対応付けて記憶されている入場駅の駅情報とを、を含む運賃計算要求を運賃計算装置に送信する。運賃情報計算装置は、運賃計算要求に含まれる入場駅の駅情報と出場駅の駅情報とを用いて、例えば図10図11に示す三角表に基づき、運賃情報を算出する。
【0111】
あるいは、管理装置は、ステップ2で第1データを受信した後、第1運賃計算要求を運賃情報計算装置に送信しておき、出場処理要求の受信後、第2運賃計算要求を運賃情報計算装置に送信してもよい。第1運賃計算要求は、第1データに含まれる入場駅の駅情報とカード番号から求めた関数適用値とを含む。第2運賃計算要求は、出場処理要求に含まれる駅情報と出場処理要求に含まれるカード番号から求めた関数適用値を含む。運賃情報計算装置は、第1、第2運賃計算要求に含まれるカード番号から求めた関数適用値を用いて、第1運賃計算要求に含まれる入場駅の駅情報と第2運賃計算要求に含まれる出場駅の駅情報とのペアを特定し、例えば図10図11に示す三角表に基づき、運賃情報を算出し、算出した運賃情報を管理装置に送信する。
【0112】
(拒否リスト解除処理)
遠隔操作端末は、1つの遠隔窓口処理要求として拒否リスト解除処理要求が選択された場合、第10データに含まれるカード番号とカード番号以外のカード情報とリーダライタ情報とを含む拒否リスト解除処理要求を管理装置に送信する(ステップ48)。管理装置は、遠隔操作端末から拒否リスト解除処理要求を受信した場合、拒否リスト解除処理要求に含まれるカード番号とカード番号以外のカード情報とリーダライタ情報とを含む問い合わせ要求を決済装置に送信し、決済装置からカード番号の利用が拒否されていない旨の応答を受信した場合には、拒否リスト解除処理要求に含まれるカード番号から求めた関数適用値を拒否リスト領域から削除する拒否リスト解除処理を実行する(ステップ49)。
【0113】
例えば、「残高不足」によりカード会社によりカードの利用が拒否され、拒否リスト領域にカード番号から求めた関数適用値が登録されていたものの、入金により残高不足が解消してカードの利用が可能になったが、拒否リスト領域にカード番号から求めた関数適用値が登録されたままになっていたため、無人駅の改札機でエラーが生じた場合は、本処理により、拒否リストから当該カード番号から求めた関数適用値が削除される。
【0114】
(決済処理を行う場合の動作例)
図9は決済処理を行う場合の動作例を説明するシーケンス図である。以下、図9を参照しつつ、決済処理を行う場合の動作例について説明する。
【0115】
(ステップ61)
管理装置は、決済装置に対して、決済管理領域に記憶されているカード番号、カード番号以外のカード情報、運賃情報、及びリーダライタ情報を含む決済要求を送信する。
【0116】
(ステップ62)
決済装置は、管理装置から決済要求を受信した場合、決済要求に基づき決済処理を実行する。
【0117】
(ステップ63)
その後、決済装置は、管理装置に対して、決済処理完了通知を送信する。
【0118】
以上説明した実施形態によれば、無人駅の改札機でエラーが発生した場合、エラーになったカード情報とリーダライタ情報が管理装置に記憶される。駅係員は、遠隔操作端末を操作することにより、管理装置に記憶されるカード情報とリーダライタ情報を取得することができ、これら取得したカード情報とリーダライタ情報を指定して、有人駅における窓口処理と同等の処理(遠隔窓口処理)をネットワーク越しに実行することができる。本実施形態によれば、無人駅においても、有人駅におけるのと同様に、改札機のエラーに円滑に対応することが可能であり、カードを用いた改札処理を無人駅においても広く普及させることができる。
【0119】
以上、実施形態について説明したが、これらの説明は一例を示すものであり、これらの説明によって請求の範囲に記載された構成は何ら限定されるものではない。上記の説明と異なる形態であっても、請求の範囲に記載された構成を備える形態であれば、本発明の効果を奏するものであり、本発明に含まれる。
【要約】
無人駅の改札機と、管理装置と、遠隔操作端末とがネットワークで接続された駅改札システムであって、前記無人駅の改札機は、前記無人駅の改札機に利用客のカードがタップされた場合にエラーが発生した場合、前記タップされたカードのカード情報と前記カードから前記カード情報を読み取ったリーダライタのリーダライタ情報を前記管理装置に送信し、前記管理装置は、前記無人駅の改札機から受信したカード情報とリーダライタ情報を前記管理装置に記憶し、前記遠隔操作端末は、前記ネットワークを介して前記管理装置に記憶されているカード情報とリーダライタ情報を取得し、前記ネットワークを介して、これら取得したカード情報とリーダライタ情報を含む遠隔窓口処理命令を前記管理装置に送信する駅改札システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11