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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】バリ除去装置
(51)【国際特許分類】
   B21J 5/02 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B21J5/02 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021194293
(22)【出願日】2021-11-30
(65)【公開番号】P2023080781
(43)【公開日】2023-06-09
【審査請求日】2024-03-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593166462
【氏名又は名称】サムテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143085
【弁理士】
【氏名又は名称】藤飯 章弘
(72)【発明者】
【氏名】好川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】西脇 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】青井 康宏
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-271694(JP,A)
【文献】特開2009-006338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21J 5/00 - 5/12
B21J 13/00 - 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バリ出し鍛造装置によって形成され、上部に分離したバリを有するバリ付き鍛造品から前記バリを除去するバリ除去装置であって、
前記バリ付き鍛造品を搬送面に載置して搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送される前記バリ付き鍛造品から前記バリをすくい上げることにより前記バリを前記バリ付き鍛造品から除去するバリ除去手段を備えており、
前記バリ除去手段は、前記バリ付き鍛造品から前記バリをすくい上げるとともに、すくい上げた前記バリを前記搬送手段の搬送面上に載置することを特徴とするバリ除去装置。
【請求項2】
前記バリ除去手段は、前記搬送手段の搬送路の側方に配置されるアーム装置を備えており、
前記アーム装置は、アーム部材と前記アーム部材を駆動させるアーム駆動部とを備えており、前記アーム駆動部を駆動させて、前記搬送手段によって搬送される前記バリ付き鍛造品における前記バリの下方側に前記アーム部材を差し入れつつ上方側に持ち上げることにより前記アーム部材の各先端部によって前記バリの下面を支持して前記鍛造品の上方側において前記バリを保持するとともに、前記アーム部材の前記先端部を下方側に移動させつつ前記バリの下面から前記先端部を抜き出すことにより、前記バリを前記搬送手段の搬送面上に載置することを特徴とする請求項に記載のバリ除去装置。
【請求項3】
前記アーム装置は、前記搬送手段の搬送路を間に挟んだ両側にそれぞれ配置されることを特徴とする請求項に記載のバリ除去装置。
【請求項4】
前記アーム駆動部は、搬送路に向かって進退可能な駆動軸と、前記駆動軸に駆動力を付与する駆動手段とを備えており、
前記駆動手段は、前記駆動軸の先端部が搬送路側の位置となる第1の位置及び前駆駆動軸の先端部が搬送路から離れる第2の位置との間を往復移動し、
前記アーム部材は、前記駆動軸の進退方向を長手方向とする長尺状の第1アーム部と、前記第1アーム部の基端部に接続し前記第1アーム部の長手方向に対して略垂直上方に伸びる第2アーム部とを備えており、
前記アーム部材は、前記第1アーム部の基端部の幅方向に延在する回転軸を介して前記アーム駆動部が有する駆動軸の先端部に回動可能に取り付けられており、
前記駆動軸の先端部が搬送路側の位置となる第1の位置にあるときに、前記第2アーム部に当接するとともに、前記回転軸を介して、前記第1アーム部の先端部を上方に回動させ、前記第1アーム部の先端部によって前記バリの下面を支持して前記鍛造品の上方側に前記バリをすくい上げ可能とするストッパー部材と、
前記搬送手段の搬送路の上方側に配置され、前記第1アーム部の先端部との間で、上方側にすくい上げられた前記バリを挟み込む挟持部材とを備えていることを特徴とする請求項2又は3に記載のバリ除去装置。
【請求項5】
前記挟持部材は、前記バリの上面と接触可能な挟持部を備えていることを特徴とする請求項に記載のバリ除去装置。
【請求項6】
前記アーム装置は、前記搬送手段の搬送路を間に挟んだ両側にそれぞれ配置され、
前記各アーム駆動部は、搬送路に向かって進退可能な駆動軸と、前記駆動軸に駆動力を付与する駆動手段とを備えており、
前記駆動手段は、前記駆動軸の先端部が搬送路側の位置となる第1の位置及び前駆駆動軸の先端部が搬送路から離れる第2の位置との間を往復移動し、
前記各アーム部材は、前記駆動軸の進退方向を長手方向とする長尺状の第1アーム部と、前記第1アーム部の基端部に接続し前記第1アーム部の長手方向に対して略垂直上方に伸びる第2アーム部とを備えており、
前記アーム部材は、前記第1アーム部の基端部の幅方向に延在する回転軸を介して前記アーム駆動部が有する駆動軸の先端部に回動可能に取り付けられており、
前記駆動軸の先端部が搬送路側の位置となる第1の位置にあるときに、前記第2アーム部に当接するとともに、前記回転軸を介して、前記第1アーム部の先端部を上方に回動させ、前記第1アーム部の先端部によって前記バリの下面を支持して前記鍛造品の上方側に前記バリをすくい上げ可能とするストッパー部材を備えていることを特徴とする請求項に記載のバリ除去装置。
【請求項7】
前記搬送手段によって搬送される前記バリ付き鍛造品の搬送路上での位置を検知するセンサーを備えており、前記センサーによる検知信号に基づいて、バリ除去手段は、前記バリ付き鍛造品から前記バリをすくい上げる動作を行うことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のバリ除去装置。
【請求項8】
前記バリ除去手段は、タイマー手段を備えており、前記バリ付き鍛造品から前記バリをすくい上げる動作を開始したタイミングを基準時として、該基準時から所定時間経過後に、すくい上げた前記バリを前記搬送手段の搬送面上に載置する動作を行うことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のバリ除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリ除去装置に関する。特にバリ出し鍛造装置によって形成される鍛造品の上方に前記鍛造品と分離した状態で載置されるバリを除去するバリ除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から鍛造製品の製造装置として、バリ付きの鍛造品を形成するバリ出し鍛造装置が知られている。この装置の場合、バリを除去する必要があるため、例えば、バリ抜き用のパンチをバリ付き鍛造品の下方側から上方側に移動させてバリを鍛造品と分離させたのち、鍛造品の上方において分離した状態で載置されたバリを作業者が手作業で除去するという方法が知られている。また、特許文献1に開示されるように、バリ付き鍛造品をバリ部分にて抜き型にて支持し、鍛造品を上方側から下方側に向けて抜き落として、鍛造品からバリを分離するという方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-64114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、作業者が手作業によってバリを除去する方法は、作業性が悪いという問題があり、また、バリ付き鍛造品を抜き型にて支持し、鍛造品を上方側から下方側に向けて抜き落とすという特許文献1に開示の方法では、落下時に鍛造品に傷や変形が生じてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題を解決すべくなされたものであり、鍛造品に傷や変形を生じさせることなく効率よくバリを分離することができるバリ除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、バリ出し鍛造装置によって形成され、上部に分離したバリを有するバリ付き鍛造品から前記バリを除去するバリ除去装置であって、前記バリ付き鍛造品を搬送面に載置して搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送される前記バリ付き鍛造品から前記バリをすくい上げることにより前記バリを前記バリ付き鍛造品から除去するバリ除去手段を備えており、前記バリ除去手段は、前記バリ付き鍛造品から前記バリをすくい上げるとともに、すくい上げた前記バリを前記搬送手段の搬送面上に載置することを特徴とするバリ除去装置により達成される。
【0008】
また、前記バリ除去手段は、前記搬送手段の搬送路の側方に配置されるアーム装置を備えており、前記アーム装置は、アーム部材と前記アーム部材を駆動させるアーム駆動部とを備えており、前記アーム駆動部を駆動させて、前記搬送手段によって搬送される前記バリ付き鍛造品における前記バリの下方側に前記アーム部材を差し入れつつ上方側に持ち上げることにより前記アーム部材の各先端部によって前記バリの下面を支持して前記鍛造品の上方側において前記バリを保持するとともに、前記アーム部材の前記先端部を下方側に移動させつつ前記バリの下面から前記先端部を抜き出すことにより、前記バリを前記搬送手段の搬送面上に載置することが好ましい。
【0009】
また、前記アーム装置は、前記搬送手段の搬送路を間に挟んだ両側にそれぞれ配置されることが好ましい。
【0010】
また、前記アーム駆動部は、搬送路に向かって進退可能な駆動軸と、前記駆動軸に駆動力を付与する駆動手段とを備えており、前記駆動手段は、前記駆動軸の先端部が搬送路側の位置となる第1の位置及び前駆駆動軸の先端部が搬送路から離れる第2の位置との間を往復移動し、前記アーム部材は、前記駆動軸の進退方向を長手方向とする長尺状の第1アーム部と、前記第1アーム部の基端部に接続し前記第1アーム部の長手方向に対して略垂直上方に伸びる第2アーム部とを備えており、前記アーム部材は、前記第1アーム部の基端部の幅方向に延在する回転軸を介して前記アーム駆動部が有する駆動軸の先端部に回動可能に取り付けられており、前記駆動軸の先端部が搬送路側の位置となる第1の位置にあるときに、前記第2アーム部に当接するとともに、前記回転軸を介して、前記第1アーム部の先端部を上方に回動させ、前記第1アーム部の先端部によって前記バリの下面を支持して前記鍛造品の上方側に前記バリをすくい上げ可能とするストッパー部材と、前記搬送手段の搬送路の上方側に配置され、前記第1アーム部の先端部との間で、上方側にすくい上げられた前記バリを挟み込む挟持部材とを備えていることが好ましい。
【0011】
また、前記挟持部材は、前記バリの上面と接触可能な挟持部を備えていることが好ましい。
【0012】
また、前記アーム装置は、前記搬送手段の搬送路を間に挟んだ両側にそれぞれ配置され、前記各アーム駆動部は、搬送路に向かって進退可能な駆動軸と、前記駆動軸に駆動力を付与する駆動手段とを備えており、前記駆動手段は、前記駆動軸の先端部が搬送路側の位置となる第1の位置及び前駆駆動軸の先端部が搬送路から離れる第2の位置との間を往復移動し、前記各アーム部材は、前記駆動軸の進退方向を長手方向とする長尺状の第1アーム部と、前記第1アーム部の基端部に接続し前記第1アーム部の長手方向に対して略垂直上方に伸びる第2アーム部とを備えており、前記アーム部材は、前記第1アーム部の基端部の幅方向に延在する回転軸を介して前記アーム駆動部が有する駆動軸の先端部に回動可能に取り付けられており、前記駆動軸の先端部が搬送路側の位置となる第1の位置にあるときに、前記第2アーム部に当接するとともに、前記回転軸を介して、前記第1アーム部の先端部を上方に回動させ、前記第1アーム部の先端部によって前記バリの下面を支持して前記鍛造品の上方側に前記バリをすくい上げ可能とするストッパー部材を備えていることが好ましい。
【0013】
また、前記搬送手段によって搬送される前記バリ付き鍛造品の搬送路上での位置を検知するセンサーを備えており、前記センサーによる検知信号に基づいて、バリ除去手段は、前記バリ付き鍛造品から前記バリをすくい上げる動作を行うことが好ましい。
【0014】
また、前記バリ除去手段は、タイマー手段を備えており、前記バリ付き鍛造品から前記バリをすくい上げる動作を開始したタイミングを基準時として、該基準時から所定時間経過後に、すくい上げた前記バリを前記搬送手段の搬送面上に載置する動作を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、鍛造品に傷や変形を生じさせることなく効率よくバリを分離することができるバリ除去装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るバリ除去装置の一例を示す概略構成図である。
図2】(a)は、図1に示すバリ除去装置が備えるアーム装置の要部拡大図であり、(b)は、図2(a)における矢視A方向から見た平面図である。
図3図1に係るバリ除去装置の概略構成平面図である。
図4図1に示すバリ除去装置の作動を説明するための概略構成図である。
図5図1に示すバリ除去装置の作動を説明するための図であって、駆動軸の先端部が第1の位置に達した状態を示す概略構成図である。
図6図1に示すバリ除去装置の作動を説明するための概略構成図である。
図7図1に示すバリ除去装置の作動を説明するための概略構成図である。
図8図1に示すバリ除去装置の作動を説明するための概略構成図である。
図9図1に示すバリ除去装置の変形例を示す概略構成図である。
図10】(a)(b)共に、図1に示すバリ除去装置の変形例が備える支持部の概略構成平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るバリ除去装置1について添付図面を参照して説明する。なお、各図は、構成の理解を容易ならしめるために部分的に拡大・縮小している。
【0018】
本発明に係るバリ除去装置1は、バリ出し鍛造装置によって形成される鍛造品からバリZ1を除去する装置であり、特に、バリZ1抜き用のパンチをバリ付き鍛造品Zの下方側から上方側に移動させてバリZ1を鍛造品と分離させ、鍛造品の上方において例えばリング状のバリZ1が分離した状態で載置されたバリ付き鍛造品ZからバリZ1を除去する装置であり、図1に示すように搬送手段2とバリ除去手段33とを備えて構成される。
【0019】
搬送手段2は、バリ出し鍛造装置によって形成され、上方にリング状のバリZ1が載置された状態のバリ付き鍛造品Zを搬送する手段であり、バリ付き鍛造品Zが載置される搬送面21を備えて構成されている。この搬送手段2としては、例えば従来から知られているコンベア等を用いることができる。
【0020】
バリ除去手段3は、図1に示すように、バリ付き鍛造品Zが搬送される搬送手段2の搬送路の側方であって、搬送路を間に挟んだ両側にそれぞれ配置される一対のアーム装置31を備えている。各アーム装置31は、図1図1の要部拡大図である図2(a)、図2(a)における矢視A方向から見た図である図2(b)に示すように、アーム部材32と、該アーム部材32を駆動させるアーム駆動部33とを備えている。なお、各アーム装置31は、搬送手段2の搬送路の両側に設置される載置台34上に配置されている。また、載置台34の上面位置と、搬送手段の搬送面21の位置とはほぼ面一となるような位置関係で載置台34を設置することが好ましい。
【0021】
各アーム駆動部33は、搬送路に向かって進退可能な駆動軸331と、駆動軸331に駆動力を付与する駆動手段332とを備えている。このアーム駆動部33は、駆動軸331の進退方向が水平方向となるように、かつ、搬送手段2の搬送方向に対して垂直な方向に移動可能なように載置台34上に配置される。各アーム駆動部33は互いに連動して同じ動作を行うように構成される。このようなアーム駆動部33としては、駆動軸331を搬送路に向かって進退可能(搬送路に接近・離隔するよう)に構成されるものであれば、その具体的な態様は特に限定されない。駆動手段332は、駆動軸331の先端部333が搬送路側の位置となる第1の位置(駆動軸331の先端部333が搬送路に接近する位置)及び駆動軸331の先端部333が搬送路から離れる第2の位置との間を往復移動できるように制御されている。また、駆動軸331の先端部333は、アーム部材32と回転自在に接続するホルダー部334を備えている。なお、第1の位置と第2の位置との往復移動間距離は、適宜変更できるように構成されている。
【0022】
また、各アーム部材32は、側面視においてほぼL字状の形態を有している。具体的には、駆動軸331の進退方向を長手方向とする長尺状の第1アーム部321と、第1アーム部321の基端部322に接続し該第1アーム部321の長手方向に対して略垂直上方に伸びる第2アーム部323とを備えて構成される。このアーム部材32は、第2アーム部323との接続位置である第1アーム部321の基端部322の幅方向に延在する回転軸324を介してアーム駆動部33が有する駆動軸331の先端部333(ホルダー部334)に回動可能に取り付けられている。また、各アーム部材32の重心位置が、第1アーム部321の基端部322に設けられる回転軸324と第1アーム部321の先端部との間に存在するように各アーム部材32は構成されており、アーム駆動部33が有する駆動軸331の先端部333が搬送路から離れた第2の位置にあるとき、第1アーム部321の先端部325(アーム部材32の先端部)が下方側に下がり、載置台34上面と接するように構成される。また、各第1アーム部321の先端部325は、幅広状に形成されるとともに、先端に向かうに従い厚みが薄くなるように構成されている。
【0023】
また、バリ除去手段3は、図1に示すように、ストッパー部材35と挟持部材36とを備えている。これらストッパー部材35及び挟持部材36は、支持手段37に設置されている。支持手段37は、例えば載置台34の側面に設置固定される支柱部材371と、この支柱部材371の上方に設置される梁部材372とを備えている。梁部材372は、アーム駆動部33における駆動軸331の進退方向に沿う方向を長手方向として形成されており、一方端側にストッパー部材35が、他方端側に挟持部材36が設置されている。これらストッパー部材35及び挟持部材36は、その高さ方向位置や、駆動軸331の進退方向に沿う方向の位置を変更可能に構成されている。
【0024】
ストッパー部材35は、各アーム部材32が有する第1アーム部321の直上位置であって、アーム駆動部33が有する駆動軸331の先端部333が搬送路から離れた第2の位置にあるときに、アーム部材32における第2アーム部323と第1アーム部321の先端部325との間に位置するように配置される。また、ストッパー部材35の高さ位置は、アーム駆動部33における駆動軸331の先端部333が搬送路側の位置となる第1の位置にあるときに、第2アーム部323が当接するとともに、回転軸324を介して、第1アーム部321の先端部325を上方に回動させて第1アーム部321の先端部325が下方側から上方側にすくい上げるような動作を行えるような位置に設定される。
【0025】
また、挟持部材36は、搬送手段2における搬送面21(搬送路)の上方に配置される。具体的には、アーム駆動部33における駆動軸331の先端部333が搬送路側の位置となる第1の位置にあるときに、回転軸324を介して下方側から上方側に回動する第1アーム部321の先端部325に対向する位置に挟持部材36は設置される。なお、第1アーム部321の先端部325と挟持部材36との間で、バリ付き鍛造品ZにおけるバリZ1を挟持できるように本実施形態は構成されるので、両者間で安定的にバリZ1を挟むことができるように、挟持部材36はバリの上面と接触可能な挟持部361を備えるように構成されることが好ましい。挟持部361としては、バリの上面と面接触可能な面を有するように構成されることが好ましいが、バリの上面と点接触するような構成であってもよい。なお、挟持部材36は、第1アーム部321の先端部325の上方位置を規制するストッパー的な機能も有する。また、駆動軸331の先端部333が第1の位置にあるときにおける第1アーム部321の先端部325と挟持部材36との対向間隔は、バリZ1を安定的に挟んで保持できる程度の間隔として設定されることが好ましい。
【0026】
また、本実施形態におけるバリ除去装置1は、搬送手段2によって搬送されるバリ付き鍛造品Zの搬送路上での位置を検知するセンサー(位置検出センサー、図示せず)を備えている。当該センサーによる検知信号に基づいて、一対のアーム駆動部33の駆動が制御されている。なお、センサーは、アーム駆動部33の駆動を制御する制御部に電気的に接続して構成される。このバリ付き鍛造品Zの位置を検出するセンサーの設置位置は、例えば、アーム駆動部33の駆動を精度よく制御してバリZ1を確実に除去するという観点から、一対のアーム装置31間に到達した、或いはアーム装置31間に導かれる直前のバリ付き鍛造品Zを検知できるような位置に設定することが好ましい。また、バリ付き鍛造品Zの位置を検知するセンサーとしては、特に限定されず、光学式、レーザー式、又は接触式等種々の位置検出センサーを用いることができる。
【0027】
また、本実施形態におけるバリ除去手段3は、タイマー手段(図示せず)を備えて構成される。このタイマー手段は、例えば、アーム装置31が有するアーム駆動部33の動作を制御する制御部が備えるように構成されており、駆動軸331の先端部333が搬送路から離れている第2の位置にある状態から第1の位置に移動する動作(バリ付き鍛造品から前記バリをすくい上げる動作)を開始したタイミングを基準時として、当該基準時から所定時間経過後に、駆動軸331の先端部333を第1の位置から第2の位置に戻し、すくい上げたバリを搬送手段2の搬送面21上に載置する動作を行うように構成される。
【0028】
上記構成のバリ除去装置1の作動について以下説明する。まず、図3の概略構成平面図に示すようにバリ出し鍛造装置によって形成され、上方にバリZ1が載置された状態のバリ付き鍛造品Zが搬送手段2の搬送路によって搬送される(図3においては、ストッパー部材35、挟持部材36等を省略して記載している)。一対のアーム装置31の間をバリ付き鍛造品Zが通過する直前において、位置検出センサーが搬送路上の所定位置をバリ付き鍛造品Zが通過したことを検知し、検知信号が制御部に出力される。制御部は、この検知信号に基づいて、各アーム駆動部33の駆動を開始する。なお、検知信号が入力される前段階においては、各アーム駆動部33は待機状態(図1に示す状態)である。つまり、各駆動軸331の先端部333は搬送路から離れる第2の位置にあり、各アーム部材32の第1アーム部321の先端部325は下方側に下がり、載置台34上面と接するような位置にある。
【0029】
検知信号に基づいて、各アーム駆動部33の駆動が開始されると、駆動軸331の先端部333は搬送路側の位置となる第1の位置に向けて移動する。この移動に伴い、各アーム部材32は、搬送路側に押し出され、第1アーム部321の先端部325が搬送面21上に進入しつつ、第2アーム部323がストッパー部に近接することになる。アーム部材32は、回転軸324を介して駆動軸331の先端部333に回動自在に接続しているため、第2アーム部323がストッパー部材35に当接した後においても、駆動軸331の先端部333は、第1の位置に向けてさらに搬送路側に移動する。第2アーム部323がストッパー部材35に当接した後は、駆動軸331の先端部333の移動により、各第1アーム部321の先端部が上方に向けて回動していく。これにより、バリ付き鍛造品ZにおけるバリZ1の下方側に第1アーム部321の先端部325が差し入れられることになり、図4に示すようにバリ付き鍛造品Zの上方に載置されるバリZ1の下面部を第1アーム部321の先端部325が支持し、バリZ1は上方側にすくい上げられる。各アーム駆動部33は互いに連動して同じ動作を行うように構成されるため、各第1アーム部321の先端部325に支持されてすくい上げられるバリZ1は、水平状態を維持しつつ上方側に移動する。その後、駆動軸331の先端部333が第1の位置に達した際、図5に示すようにすくい上げられたバリZ1は挟持部材36との間で挟み込まれて、鍛造品が、一対のアーム駆動部33間を通過するまで保持される。
【0030】
一対のアーム駆動部33間を鍛造品が通過した後、駆動軸331の先端部333が搬送路から離れる第2の位置になるように、各アーム駆動部33の駆動が再開される。各アーム駆動部33は互いに連動して同じ動作を行うように構成されるため、図6に示すように、第1の位置から第2の位置に向けて各駆動軸331の先端部333が移動する間、各第1アーム部321の先端部325に支持されるバリZ1は、水平状態を維持しつつ搬送面21側に移動する。第1アーム部321に支持されるバリZ1が搬送面21に近接したタイミングで、各第1アーム部321の先端部325がバリZ1の下面から抜き出されることによりバリZ1は搬送面21上に載置されることになる(図7)。その後、駆動軸331の先端部333が第2の位置に向けて移動する動作に伴って、第1アーム部321が更に後退して搬送面21上から載置台34上に引き込まれ、図1に示す待機状態となる。
【0031】
ここで、本実施形態においては、アーム駆動部33の動作を制御する制御部がタイマー手段を備え、駆動軸331の先端部333が搬送路から離れている第2の位置にある状態から第1の位置に移動する動作を開始したタイミングを基準時として、当該基準時から所定時間経過後に、駆動軸331の先端部333を第1の位置から第2の位置に戻すように構成されているため、搬送手段2場を搬送される鍛造品の間隔や、上記基準時からの時間を適宜設定することにより、図8に示すように、すくい上げたバリZ1を、搬送手段2の搬送面21上であって所定間隔をあけて搬送される鍛造品Z同士の間に載置するように構成することができる。
【0032】
本実施形態に係るバリ除去装置1は、上記のように、搬送手段2によって搬送されるバリ付き鍛造品Zを間に挟んで、該バリ付き鍛造品Zの両側からバリZ1をすくい上げることようにして該バリZ1を除去できるように構成されるため、効率よく確実にバリZ1を除去することができる。
【0033】
また、バリ付き鍛造品Zを間に挟んで両側からバリZ1をすくい上げるとともに、すくい上げたバリZ1を搬送手段2の搬送面21上に載置するように構成しているため、複数のバリ付き鍛造品Zからそれぞれ除去されたバリZ1を搬送手段2の下流側において一括して集積することを容易に行うことができ、バリZ1の廃棄やバリZ1材料の再利用を効率よく行うことができる。
【0034】
また、本実施形態においては、各アーム部材32の先端部(第1アーム部321の先端部325)との間で、すくい上げられたバリZ1を挟み込む挟持部材36を備えるように構成しているため、鍛造品Zの上方側にすくい上げたバリZ1はその位置で安定的に保持され、各アーム部材32の先端部からバリZ1が予期せず落下し、例えば鍛造品を損傷させてしまうような事態を効果的に抑制することができる。
【0035】
また、上記実施形態においては、各アーム部材32が備える第1アーム部321の先端部325を幅広状に形成している。このような構成により、バリZ1をすくい上げる際の安定性が向上し、すくい上げたバリZ1が落下して、鍛造品を損傷させてしまうことをより一層防止することができる。
【0036】
また、上記実施形態においては、第1アーム部321の先端部325の形状として、先端に向かうに従い厚みが薄くなるように構成されている。このような構成により、鍛造品との干渉を効果的に回避することができる。また、第1アーム部321によりすくい上げたバリZ1を下方側に移動させつつ、バリZ1の下面側から第1アーム部321を引き抜いて搬送手段2の搬送面21上にバリZ1を載置するときのバリZ1の落下距離を小さくすることができ、すくい上げたバリZ1を下方側に移動させて搬送手段2の搬送面21上に載置する際に発生する騒音を極めて効果的に抑制することができる。
【0037】
以上、本発明の一実施形態に係るバリ除去装置1について説明したが、その具体的構成は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態においては、挟持部材36を備えるように構成しているが、各アーム部材32の先端部(第1アーム部321の先端部325)によってすくい上げられたバリZ1を安定的に保持できる状態であれば、この挟持部材36を省略してバリ除去装置1を構成してもよい。
【0038】
また、上記実施形態においては、各アーム部材32が備える第1アーム部321に先端部を幅広状に形成しているが、このような形態に特に限定されず、第1アーム部321の形状として、基端部322側から先端にかけて同じ幅寸法を備えるように構成してもよい。また、第1アーム部321の厚み寸法は、先端に向かうに従い薄くなるように構成しているが、特に鍛造品Zとの干渉やバリZ1を搬送面21上に載置する際の騒音を問題としないような場合には、第1アーム部321の形状として、基端部322側から先端にかけて同じ厚み寸法を備えるように構成してもよい。
【0039】
また、上記実施形態においては、搬送手段の搬送路を間に挟んだ両側に配置される一対のアーム装置31を備えるように構成しているが、このような態様に特に限定されず、図9に示すように、搬送手段における搬送路の側方片側に単一のアーム装置を備えるように構成してもよい。このような構成であっても、上述のように、アーム装置31、ストッパー部35及び挟持部材36の採用により、バリ付き鍛造品ZからバリZ1をすくい上げるとともに、すくい上げたバリZ1を搬送手段2の搬送面21上に載置することができる。
【0040】
また、例えば、単一のアーム装置を備えるように構成する場合、第1アーム部321の先端部に、図10(a)(b)の概略構成平面図に示すように、先端側が開口した開口部381を有する略U字状又は略凵字状の支持部38を取り付けるように構成してもよい。このような構成の場合であっても、上記のように、アーム駆動部33を駆動させて駆動軸331の先端部333を第2の位置から第1の位置に移動させることにより、開口部381を介して略U字状当の支持部38の内側にバリ付き鍛造品Zが導かれるように差し入れつつ、該バリ付き鍛造品Zの上方にあるバリZ1の下面に支持部38を当接させてすくい上げ、この状態を所定時間維持した後、駆動軸331の先端部333を第1の位置から第2の位置に移動させることにより、すくい上げたバリZ1を搬送手段2の搬送面21上に載置することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 バリ除去装置
2 搬送手段
21 搬送面
3 バリ除去手段
31 アーム装置
32 アーム部材
321 第1アーム部
322 基端部
323 第2アーム部
324 回転軸
325 第1アーム部の先端部(アーム部材の先端部)
33 アーム駆動部
331 駆動軸
332 駆動手段
333 駆動軸の先端部
334 ホルダー部
34 載置台
35 ストッパー部材
36 挟持部材
Z バリ付き鍛造品
Z1 バリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10