(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ツインレーザーカメラ組立体
(51)【国際特許分類】
B23K 9/12 20060101AFI20241205BHJP
B23K 9/127 20060101ALI20241205BHJP
B23K 31/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B23K9/12 331J
B23K9/127 508B
B23K31/00 K
B23K31/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020109043
(22)【出願日】2020-06-24
【審査請求日】2023-05-10
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(73)【特許権者】
【識別番号】516145345
【氏名又は名称】サーボ-ロボット インク.
【氏名又は名称原語表記】SERVO-ROBOT INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100140693
【氏名又は名称】木宮 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ボワロ, ジャン-ポール
(72)【発明者】
【氏名】ギャブリー, ジャック-アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】シモノー, レイナル
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-150474(JP,A)
【文献】再公表特許第2018/169048(JP,A1)
【文献】特開2017-138297(JP,A)
【文献】国際公開第2018/169049(WO,A1)
【文献】特表2019-505391(JP,A)
【文献】特開2019-000910(JP,A)
【文献】特開2000-301339(JP,A)
【文献】特開2003-290921(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102006004919(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/12
B23K 9/127
B23K 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット加工ツール用のツインレーザーカメラ単体組立体であって、
前記ロボット加工ツールの一部分がその内部に横方向において挿入可能である直立開口部を定義する前壁を有する
第1及び第2のハウジング部を備えるハウジングと、
前記ロボット加工ツールの前記一部分が、前記直立開口部内において延在する、且つ、そのツール中心点が前記ハウジングの下方において突出する、動作位置において、前記ロボット加工ツールとの関係における前記ハウジングの装着のための取付支持部と、
前記動作位置にある際に、前記ツール中心点及びその変位の方向との関係における対称的なインライン構成において前記直立開口部の両側部において前記
第1及び第2のハウジング
部内において個々に取り付けられる第1及び第2レーザーレンジファインダであって、前記ロボット加工ツールの前記ツール中心点から、類似した、但し、反対の、ルックアヘッド及びルックバック距離において前記ロボット加工ツールの前記変位の方向に交差するようにレーザービームを投射するレーザープロジェクタと、前記レーザービームが投射される前記ルックアヘッド及びルックバック距離においてターゲットエリア上において個々に視野を有する対応する撮像装置と、を個々に有する前記第1及び第2レーザーレンジファインダと、
前記ハウジング内において取り付けられた、且つ、それぞれの前記レーザーレンジファインダに接続された、オンボードコントローラであって、結合部及びビード位置及び形状信号が、前記ロボット加工ツールの前記変位の方向との関係においてロボット基準フレーム内において生成されるように、ロボット制御信号を受け取るべく、前記レーザープロジェクタを動作させるべく、且つ、前記撮像装置によって生成された画像信号を処理するべく、構成されたオンボードコントローラと、
を有する組立体。
【請求項2】
前記ルックアヘッド距離において投射される前記レーザービームは、結合部計測レーザービームであり、且つ、前記ルックバック距離において投射される前記レーザービームは、ビード計測検査レーザービームであり、前記オンボードコントローラは、両方のレーザーレンジファインダについて同一の予め設定された較正を有しており、前記画像信号は、前記予め設定された較正の関数として、前記オンボードコントローラにより、処理されている請求項1に記載のツインレーザーカメラ単体組立体。
【請求項3】
前記直立開口部は、前記ハウジングの上部及び下部壁の間において延在するU字形状のチャネルを有する請求項1に記載のツインレーザーカメラ単体組立体。
【請求項4】
前記直立開口部は、前記ハウジングが前記動作位置にある際に、前記ロボット加工ツールの前記一部分が、前記直立開口部内において、接触を伴うことなしに、延在するように、前記ハウジング内において開口部サイズを有する請求項1に記載のツインレーザーカメラ単体組立体。
【請求項5】
前記ハウジング及び前記取付支持部は、アルミニウムから製造されている請求項1に記載のツインレーザーカメラ単体組立体。
【請求項6】
前記取付支持部は、前記ロボット加工ツールの上部結合構造への装着のためのフランジが提供された上端部と、前記ハウジングが突出する下端部と、を有する細長いアームを有しており、前記細長いアームは、前記ロボット加工ツールのモデル仕様との関係において前記ハウジングの前記動作位置を決定する形態及びサイズによって予め構成されている請求項1に記載のツインレーザーカメラ単体組立体。
【請求項7】
前記ハウジングに装着された、且つ、前記オンボードコントローラに接続された、ビデオカメラを更に有し、前記ビデオカメラは、前記ツール中心点及び前記レーザービームのうちの少なくとも1つを含むターゲットエリア上において視野を有し、前記オンボードコントローラは、前記ビデオカメラから画像信号を受け取るように、且つ、前記ビデオカメラからの前記画像信号に基づいて前記ツール中心点を較正するように、構成されている請求項1に記載のツインレーザーカメラ単体組立体。
【請求項8】
前記ビデオカメラは、前記オンボードコントローラによって制御自在に開閉可能である保護シャッタが提供された光学入力を有する請求項7に記載のツインレーザーカメラ単体組立体。
【請求項9】
前記ハウジングに装着された、且つ、前記ターゲットエリアのうちの少なくとも1つのものの内部において温度の計測のために位置決めされた、温度センサを更に有し、前記オンボードコントローラは、前記温度センサから温度信号を受け取るための入力を有しており、且つ、前記ターゲットエリアのうちの前記少なくとも1つのものに従って前記温度信号を処理するように構成されている請求項1に記載のツインレーザーカメラ単体組立体。
【請求項10】
前記ハウジングのピッチ及びロール角を計測するべく前記ハウジング内において取り付けられた慣性計測ユニットを更に有しており、前記慣性計測ユニットは、前記オンボードコントローラに接続されており、前記オンボードコントローラは、前記ルックアヘッド距離において動作する前記レーザーレンジファインダによって計測される前記ロボット加工ツール及び結合部の向きを判定するように構成されている請求項1に記載のツインレーザーカメラ単体組立体。
【請求項11】
前記ロボット加工ツールは、溶接トーチであり、且つ、前記ハウジングは、前記レーザービームの通過のためのインライン開口部を定義する、且つ、前記ターゲットエリアから光を受け取る、底壁を有しており、前記レーザービームの通過のための前記開口部は、前記ターゲットエリアから光を受け取るための前記開口部よりも、U字形状のチャネルから遠く離れている請求項1に記載のツインレーザーカメラ単体組立体。
【請求項12】
前記ハウジングには、前記ハウジングが前記動作位置にある際に、前記開口部と前記ロボット加工ツールとの間において前記底壁から下向きに突出する保護フラップが提供されている請求項11に記載のツインレーザーカメラ単体組立体。
【請求項13】
前記ハウジングには、前記底壁の下方において延在する、且つ、前記直立開口部を取り囲む、絶縁されたプレートが提供されている請求項11に記載のツインレーザーカメラ単体組立体。
【請求項14】
前記ハウジングには、前記取付支持部の下端部に装着可能である絶縁型のブラケットが提供されている請求項11に記載のツインレーザーカメラ単体組立体。
【請求項15】
前記ロボット加工ツールは、材料ディスペンサであり、且つ、前記ハウジングは、前記レーザービームの通過のためのインライン開口部を定義する、且つ、前記ターゲットエリアから光を受け取る、底壁を有しており、前記レーザービームの通過のための前記開口部は、前記ターゲットエリアから光を受け取るための前記開口部よりも、U字形状のチャネルから近い請求項1に記載のツインレーザーカメラ単体組立体。
【請求項16】
それぞれのレーザープロジェクタは、前記ハウジングの底壁内において延在するレンズに光学的に結合されたレーザー供給源を有し、且つ、それぞれの撮像装置は、ミラー及びレンズ構成を通じて前記ハウジングの前記底壁内において延在するレンズに光学的に結合された画像センサを有する請求項1に記載のツインレーザーカメラ単体組立体。
【請求項17】
前記ハウジングは、前記ハウジングの壁から外向きに突出するケーブルコネクタを有し、前記ケーブルコネクタは、前記オンボードコントローラに接続されている請求項1に記載のツインレーザーカメラ単体組立体。
【請求項18】
前記ハウジングは、前記ハウジングの壁から外向きに突出する空気入口を有し、前記ハウジングには、前記ハウジングの下方において延在する保護ノズルが提供されており、前記保護ノズルは、前記空気入口との通信状態にある請求項1に記載のツインレーザーカメラ単体組立体。
【請求項19】
前記ハウジングは、ツインレーザーレンジファインダ及び前記オンボードコントローラがその上部に取り付けられるメインフレームを有する請求項1に記載のツインレーザーカメラ単体組立体。
【請求項20】
前記オンボードコントローラは、計測された結合部形状に適合する動作パラメータを演算するように、且つ、前記動作パラメータをロボットコントローラ又は溶接電源に送信するように、構成されている請求項1に記載のツインレーザーカメラ単体組立体。
【請求項21】
前記オンボードコントローラは、前記ビード位置から導出された計測データ及び形状信号及び既定のデータベースに基づいて、ビードプロファイルを改善する動作パラメータ変更を演算するように、且つ、次いで、前記動作パラメータ変更をロボットコントローラに開ループにおいて送信するように、構成されている請求項1に記載のツインレーザーカメラ単体組立体。
【請求項22】
前記オンボードコントローラは、ビードプロファイルを改善する動作パラメータ変更をロボットコントローラに送信するように、結果的に得られるビードパラメータを計測するように、且つ、新しい動作パラメータ変更を前記ロボットコントローラに閉ループにおいて返送するように、構成されている請求項1に記載のツインレーザーカメラ単体組立体。
【請求項23】
前記オンボードコントローラは、既定のビードプロファイル及び品質を提供する、且つ、ロボット処理欠陥を回避する、最良の動作パラメータを判定するべく、人工知能学習プロセスを使用するように構成されている請求項22に記載のツインレーザーカメラ単体組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット材料加工に関し、且つ、更に詳しくは、溶接トーチ又は封止剤ディスペンサなどのロボット加工ツール用のツインレーザーカメラ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット溶接のリアルタイム検査を実行するには、インライン結合部計測を実行して結合部の場所及び形状に関するリアルタイムデータを取得することも、非常に有用であり、且つ、場合によっては、しばしば、必要とされる。次いで、これらのデータは、結合部又は継ぎ目の場所との関係において溶接ビードの場所及び寸法を演算するべく、且つ、可能な欠陥の正確な溶接検査及び検出のために溶接ビードを抽出するべく、使用される。現時点においては、例えば、特許文献1(Schwarz他)及び特許文献2(Schwarz)に示されているように、2つの別個の標準的なレーザーカメラが溶接トーチを装備したロボットアーム上において取り付けられている。一方のカメラは、結合部の追跡を目的として使用されており、且つ、他方のものは、溶接ビードの検査を目的として使用されている。このようなカメラの構成は、多くの欠点を有する。例えば、これらの取付が、溶接トーチの周りの空間及びプロセスの制約に起因して、問題となる。又、フォワード及びバックワード方向の両方における溶接のために、溶接トーチとの関係において、これらを対称的に位置決めすることも困難である。検査を目的として使用されている標準的なカメラは、冷却及び固化プロセスのために時間を残すべく、例えば、50~60mmなどの、溶接トーチからの距離において配置しなければならない。この結果、この構成は、310mm以上の空間を溶接トーチの周りにおいて必要としうる。更には、2つの別個のカメラは、カメラノズルの冷却及び保護のために、同数の電子制御基板、電気ケーブル、及び空気供給チューブを必要としている。これらは、別個であることから、それぞれのカメラは、ロボットアーム上において、長い動作期間にわたって、絶対空間較正と、安定した振る舞いと、を有していなければならず、これは、実現が非常に困難である。
【0003】
当技術分野においては、ロボット用のプロセス追跡及び監視装置について開示した特許文献3(Hofts他)が知られている。装置は、ロボットのアームを受け入れるための中央孔を定義する、モーターを備えた丸い本体を有する。本体は、上部の固定された構造と、下部の運動自在の構造と、を有する。2つのカメラ及び2つの光生成器が、運動自在の構造の下方において突出している。本体内において取り付けられているモーターは、追跡及び監視を目的として、ロボットのアームの周りにおける運動自在な構造の回転及びカメラ及び光生成器の回転を許容している。固定された且つ運動自在である構造を有する本体構造は、光生成器及びカメラの組立及びオフサイド位置決めを複雑化させ、且つ、装置の追跡及び監視を低速化させる。又、構造が、加工済みの被加工物からスパッタ及び煙霧が放出される、ロボット溶接のような過酷な環境において使用されうるかどうかも疑問である。
【0004】
当技術分野においては、被加工物上において供給された材料を検出する検出組立体について開示した特許文献4(Bieman他)も知られている。センサのリングが検出組立体の丸いハウジングの周りに提供されている。Hofts他におけると同様に、ハウジングは、被加工物及び供給された材料を照明するべく使用されるセンサ及び光源がプロセスツールを取り囲むように、プロセスツールがそれを通じて延在する中央開口部を定義している。この場合にも、この設計が、ロボット溶接のような過酷な環境において使用されうるかどうかが疑問である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2017/137550号
【文献】米国特許第10,166,630号明細書
【文献】独国特許出願公開第102014104031号明細書
【文献】米国特許第6,541,757号明細書
【文献】米国特許第9,541,755号明細書
【文献】米国特許第10,043,283号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の1つは、コンパクトであり、丈夫であると共に、多様である、且つ、フォワード又はバックワード方向における結合部の計測及び追跡並びにビードの計測及び検査のために、或いは、計測、追跡、及び検査が必要とされうるその他のロボット化されたプロセスのために、使用されうる、ロボット加工ツール用のツインレーザーカメラ組立体を提供する、というものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、ロボット加工ツール用のツインレーザーカメラ単体組立体が提供され、これは、
ロボット加工ツールの一部分がその内部に横方向において挿入可能である直立開口部を定義する前壁を有するハウジングと、
ロボット加工ツールの一部分が、直立開口部内において延在すると共に、そのツール中心点がハウジングの下方において突出している、動作位置における、ロボット加工ツールとの関係におけるハウジングの装着のための取付支持部と、
前記動作位置にある際に、ツール中心点及びその変位の方向との関係において対称的なインライン構成において直立開口部の両側においてハウジング内において個々に取り付けられた第1及び第2レーザーレンジファインダであって、ロボット加工ツールのツール中心点からの、類似の、但し、反対のルックアヘッド及びルックバック距離においてロボット加工ツールの変位の方向に対して交差するようにレーザービームを投射するレーザープロジェクタと、レーザービームが投射されるルックアヘッド及びルックバック距離においてターゲットエリアにわたって個々に視野を有する対応する撮像装置と、を個々に有する第1及び第2レーザーレンジファインダと、
ハウジング内において取り付けられた、且つ、それぞれのレーザーレンジファインダに接続された、オンボードコントローラであって、結合部及びビードの位置及び形状信号が、ロボット加工ツールの変位の方向との関係においてロボット基準フレーム内において生成されるように、ロボット制御信号を受け取り、レーザープロジェクタを動作させ、且つ、撮像装置によって生成された画像信号を処理する、ように、構成されたオンボードコントローラと、
を有する。
【0008】
以下、次の図面を参照し、好適な実施形態の詳細な説明を本明細書に提供することとする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明によるツインレーザーカメラ組立体の概略斜視図である。
【
図2】本発明によるツインレーザーカメラ組立体の概略断面図である。
【
図3】本発明によるツインレーザーカメラ組立体の別の概略斜視図である。
【
図4】本発明によるツインレーザーカメラ組立体の別の概略断面図であり、内部の電子及び光学部分を更に詳細に示す。
【
図5】本発明によるツインレーザーカメラ組立体の一変形の別の断面図である。
【
図6】本発明によるツインレーザーカメラ組立体を使用したロボットシステムの概略図である。
【
図7】本発明によるツインレーザーカメラ組立体のオンボードコントローラ及びコンポーネントの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示との関連における使用されている「単体組立体」という表現は、単一片から、或いは、1つのものとして機能するように1つの集合体として組み立てられたいくつかの断片から製造された一体化片から、製造された組立体を表している。
【0011】
図1を参照すれば、被加工物6を加工するべく使用されるGMAW(Gas Metal Arc Welding)トーチとしてのロボット加工ツール4との関係において取り付けられた、本発明によるツインレーザーカメラ単体組立体2が示されている。組立体2は、ロボット加工ツール4の一部分12がその内部に横方向において挿入可能である直立開口部10、即ち、U字形状のチャネル10、を定義する前壁を有するハウジング8を有する。直立開口部10は、ハウジング8の上部壁及び下部壁61、63(
図2に示されている)の間において延在するU字形状のチャネルの形態を有することができる。図示されたケースと同様に、ロボット加工ツール4の一部分12が直立開口部10内において延在していると共に、ロボット加工ツール4のツール中心点(TCP:Tool Center Point)32(即ち、先端部)がハウジング8の下方において突出している、動作位置における、ロボット加工ツール4との関係におけるハウジング8の装着のために、取付支持部14が提供されている。
【0012】
図2を参照すれば、第1及び第2レーザーレンジファインダ16、18が、個々に、
図1において示されているように軸Xに沿って、動作位置にある際に、ツール中心点32及びロボット加工ツール4の変位の方向との関係において対称的なインライン構成において直立開口部4の両側において、ハウジング8内において個々に取り付けられている。レーザーレンジファインダ16、18は、個々に、ロボット加工ツール4のツール中心点32から、類似した、但し、反対の、ルックアヘッド及びルックバック距離28、30において、ロボット加工ツール4の変位の方向に対して交差するようにレーザービーム24、26を投射するためのレーザープロジェクタ20、22と、レーザービーム24、26が投射されるルックアヘッド及びルックバック距離28、30において、ターゲットエリアにわたって個々に視野38、40を有する対応する撮像装置34、36と、を有する。レーザービーム24、26は、好ましくは、組立体2の垂直方向プレーン内において投射され、且つ、視野38、40は、組立体2が相対的に小型になるように、ロボット加工ツール4の近傍の場所から方向付けられており、例えば、そのサイズは、ロボット加工ツール4の変位の方向において148mmである。
【0013】
コントローラ42が、ハウジング8内において取り付けられており、且つ、レーザーレンジファインダ16、18に接続されている。コントローラ42は、結合部及びビードの位置及び形状信号が、ロボット加工ツール4の変位の方向との関係においてロボット基準フレーム内において生成されるように、例えば、ハウジング8の壁から外向きに突出すると共にコントローラ42に接続されたケーブルコネクタ44を通じてロボット制御信号を受け取り、レーザープロジェクタ20、22を動作させ、且つ、撮像装置34、36によって生成された画像信号を処理する、ように、構成されている。この結果、TCP32において、などの、同一の場所において、結合部62及びビード58の形状を演算することができる。
【0014】
ルックアヘッド距離28において投射されるレーザービーム24は、結合部計測レーザービームであり、且つ、ルックバック距離30において投射されるレーザービーム26は、ビード計測レーザービームである。結合部計測レーザービーム24は、結合部の検査及び/又は結合部の追跡を目的として使用されうる一方で、ビード計測レーザービーム26は、ビード検査を目的として使用することができる。一実施形態においては、コントローラ42は、レーザーレンジファインダ16、18の両方用の同一の予め設定された較正を有しており、この場合に、画像信号は、予め設定された較正の関数として、コントローラ42によって処理されている。この結果、それぞれのレーザーレンジファインダ16、18が、ロボット加工ツール4の変位の方向に応じて、インライン追跡及び検査のタスクの両方を実行しうるように、レーザーレンジファインダ16、18の機能をコントローラ42によってスワップすることができる。
【0015】
一実施形態においては、それぞれのレーザープロジェクタ20、22は、ハウジング8の底壁63内において延在するレンズ64、70に光学的に結合されたレーザー供給源80、82を有しており、且つ、それぞれの撮像装置34、36は、被加工物6上において投射されたレーザービーム24、26から結果的に得られるレーザーラインを検知するべく、例えば、ミラー88、92及びレンズ90、94の構成を通じてハウジング8の底壁63内において延在する、レンズ66、68に光学的に結合されたCMOSセンサなどの、画像センサ84、86を有する。
【0016】
一実施形態においては、直立開口部10は、ハウジング8が動作位置にある際に、ロボット加工ツール4の一部分12が、電気絶縁を目的として、接触を伴うことなしに、直立開口部10内において延在するような、開口部サイズをハウジング8内において有する。
【0017】
再度
図1を参照すれば、ハウジング8及び取付支持部14は、好ましくは、アルミニウムから製造されている。環境と、組立体2の使用と、に適合されている場合には、且つ、ハウジング8がロボット加工ツール4との関係において運動することを防止するべく、取付支持部14が十分な剛性を有する場合には、適宜、その他の材料を使用することができる。一実施形態においては、取付支持部14は、例えば、ボルト47及びドエルピン49により、ロボットアームの手首(図示されてはいない)に通常は装着されることになる、ロボット加工ツール4の上部結合構造48への装着のためのフランジ46が提供された上端部と、ハウジング8が突出する下端部と、を有する細長いアーム16を有する。細長いアーム16は、ロボット加工ツール4のモデル仕様との関係においてハウジング8の動作位置を決定する形状及びサイズを有する。従って、なんらの余分な調節を伴うことなしに、異なるロボット加工ツールを収容するべく、細長いアームの異なる形状及びサイズを提供することができる。従って、それぞれの細長いアーム16は、ロボット加工ツール4に固有のものであってもよく、且つ、所与のロボット加工ツール4のためのツインレーザーカメラ組立体2の正確なロボット較正のために予め較正することができる。
【0018】
図3を参照すれば、一実施形態においては、組立体2には、好ましくは、(
図2に示されているように)ハウジング8に装着された、且つ、コントローラ42に接続された、ビデオカメラ50が提供されている。ビデオカメラ50は、(
図1に示されているように)ツール中心点32と、レーザービーム24、26のうちの少なくとも1つと、を含むターゲットエリア上において視野52を有する。(
図2に示されているように)コントローラ42は、ビデオカメラ50から画像信号を受け取り、且つ、ビデオカメラ50からの画像信号に基づいてツール中心点32を較正するように、構成されている。ビデオカメラ50は、自動焦点機能と、(
図7に示されているように)コントローラ42によって制御自在に開閉可能である保護シャッタ54が提供された光学入力52と、を有することができる。一実施形態においては、組立体2には、恐らくは、ビデオカメラ50と組み合わせられた、ハウジング8に装着された、且つ、ターゲットエリアのうちの少なくとも1つのもの内において温度の計測のために位置決めされた、温度センサ56(
図7に示されているように)が提供されており、この場合に、コントローラ42は、温度センサ56から温度信号を受け取るための入力を有し、且つ、例えば、(
図1に示されているように)ロボット加工ツール4によって実現される処理の結果として得られるビード58の温度を計測するべく、温度センサ56によって監視されている1つ又は複数のターゲットエリアに従って温度信号を処理するように、構成されている。一実施形態においては、組立体2には、(
図7に示されているように)ハウジング8のピッチ及びロール角を計測するべくハウジング8内において取り付けられた慣性計測ユニット(IMU:Inertial Measurement Unit)60が更に提供されており、この場合に、慣性計測ユニット60は、コントローラ42に結合されており、その結果、コントローラ42は、ロボット加工ツール4の、且つ、(
図2に示されているように)ルックアヘッド距離28において動作する(
図1に示されているように)レーザーレンジファインダ16、18によって追跡されている結合部62の、向きを判定するように、構成することができる。一実施形態においては、ハウジング8には、ロボットアーム(図示されてはいない)との関係において電気絶縁を目的として取付支持部14(
図1に示されているように)の下端部に装着可能である絶縁型のブラケット78が提供されている。ハウジング8は、ハウジング8に、特許文献5(Boillot他)において開示されているように、空気入口96との連通状態において、ハウジング8の下方において延在する保護ノズル98が提供されているケースにおいては、圧縮された空気ホース(図示されてはいない)に接続可能である、ハウジング8の壁から外向きに突出する空気入口96を有することができる。
【0019】
再度
図2を参照すれば、一実施形態においては、底壁63は、レーザービーム24、26の通過のためのレンズ64、66、68、70が提供された、且つ、ターゲットエリアから視野38、40内において光を受け取る、インライン開口部を定義しており、この場合に、レーザービーム24、26の通過のためのレンズ64、70を有する開口部は、ターゲットエリアから光を受け取るためのレンズ66、68を有する開口部よりも、U字形状のチャネル10から、遠く離れている。
【0020】
一実施形態においては、ハウジング8には、ハウジング8が動作位置にある際に、レンズ64、66、68、70を有する開口部とロボット加工ツール4の間において、底壁63から下方に突出する保護フラップ72、74が提供されている。このような保護フラップ72、74は、有利には、溶接の光、煙霧、及びスパッタに対するレンズ64、66、68、70用の遮蔽を提供することができる。保護フラップ72、74は、U字形状のチャネル10を通じた溶接の煙霧の改善された排出のための煙突を形成する下部が幅広になった開口部を有する単一の折り曲げ片から製造することができる。一実施形態においては、ハウジング8には、底壁63の下方において延在すると共に、U字形状のチャネル10を取り囲む、絶縁型のプレート76が提供されている。
【0021】
図4を参照すれば、ハウジング8は、レーザーレンジファインダ16、18及びコントローラ42のコンポーネントがその上部に取り付けられる一体型のフレーム100を有することができる。又、IMU60として、その他のコンポーネントをフレーム100上に取り付けることもできる。フレーム100は、有利には、アルミニウムから製造することができると共に、ハウジングは、レーザープロジェクタ20、22、撮像装置34、36、及びコントローラ42の空気冷却のために機械加工することができる。従って、組立体2は、優れた寸法安定性を有する。
【0022】
図5を参照すれば、ロボット加工ツール4が、封止剤ディスペンサとしての材料ディスペンサである、或いは、多くの熱又は可能な光学的干渉を生成しないツールである、ケースにおいては、ハウジング8内におけるレーザーレンジファインダ16、18のレーザープロジェクタ20、22及び撮像装置34、36の位置をスワップすることができる。この結果、例えば、レーザービーム24、26の通過用のレンズ64、70、を有する開口部は、例えば、ターゲットエリアから光38、40を受け取るためのレンズ66、68を有する開口部よりも、U字形状のチャネル10から、近接している。この結果、有利には、鋭い湾曲経路に追随することを相対的に容易にするべく、例えば、30mmなどのように、ルックアヘッド及びルックバック距離28、30を相対的に短いものにすることができる。
【0023】
再度
図1を参照すれば、本発明による組立体2は、インライン追跡及び検査のために、コンパクトなU字形状の設計を有しており、且つ、好ましくは、フォワード及びバックワード溶接又はその他の加工のためのすべての機能を統合している。(例えば、
図2において示されているように)両方の撮像装置34、36は、共通光学基準フレームを共有することができると共に、専用の較正ターゲットプレート(図示されてはいない)により、ロボットTCPフレーム内において空間的に較正することができる。組立体2の設計は、ビード58の検査を実行するためのロボット手首(図示されてはいない)の回転を除去することにより、ロボットのプログラミングを大幅に単純化しており、アクセス可能性を改善しており、且つ、サイクルタイムを低減している。組立体2のその他の利点は、ロボット加工ツールとの関係における動作位置におけるその容易な取付、相対的に短いルックアヘッド及びルックバック距離、電気アーク、熱、煙霧、スパッタからの適切な保護、両方のレンジファインダ16、18用の1回の較正、ロボット加工ツール又はロボット手首との関係における取付支持部14による予め設定された較正機能、ビデオカメラ50による容易なツール中心先端部較正、単一コントローラ42による保存及びデータ処理の効率である。レーザープロジェクタ20、22及びコントローラ42は、特許文献6(Boillot他)において開示されているように、例えば、動作モードに応じて、赤色又は青色レーザー供給源を伴って、眼に安全である動作モード及び眼に安全ではない動作モードを実装するべく、適合することができる。
【0024】
図6を参照すれば、本発明による組立体2を使用する、可能なシステムの概略図が示されている。レーザーレンジファインダ16は、3Dロボット座標における結合部位置データ、検出された区切り点を有する基本結合部追跡データ、並びに、溶接(又は、その他のプロセス)の前の基本結合部形状データを提供するべく、使用することができる。レーザーレンジファインダ18は、3Dロボット座標及びビード形状データ内のビード位置データを提供するべく、使用することができる。レーザーレンジファインダ16、18からのデータは、(例えば、
図7に示されているように)検査又は追跡データを演算及び提供するための組立体のコントローラ42によって実行されるレーザービジョンソフトウェア内において実装されうる結合部計測モジュール105及びビード計測モジュール106に送信することができる。両方のモジュール105、106は、自身がリンク122を通じて処理する追跡及び検査データを共有することができる。ロボットコントローラ108は、追跡及び検査データが3Dロボット座標内において変換されうるように、TCPデータをモジュール105、106に提供することができる。結合部計測モジュール105は、ロボットコントローラ108に、結合部の追跡を目的として、且つ、ロボットアームの動作のために、必要とされる追跡データを提供するプログラムコードを実装することができる。ビード計測モジュール106は、ロボットコントローラ108に、予め設定された溶接特性及び品質に従って溶接プロセス及びロボットパラメータを調節するべく必要とされる検査データを提供するプログラムコードを実装することができる。従って、システムは、未処理のプロファイルを表す基準データとの関係において、ビード検査を改善する、較正済みの、調整された追跡及び検査データを有しており、これは、ビード形状データの抽出を許容している。例えば、プロセスの監視及びデータベースの保存のために使用されうる、ロボットコントローラ108、組立体2のコンポーネント、及びPCステーションの間における通信は、有利には、共通GigE(Gigabite Ethernet)リンクを通じて実現することができる。システム内において使用されるフロントチャネル計測データの例は、ロボット位置のリアルタイム知識によって恐らくは改善された、結合部位置(追跡点)、ギャップ、ミスマッチ、エリア、法線ベクトル、及び経路接ベクトルを含む結合部形状、溶接パラメータを最適化するべくビード形状などのバックチャネル計測データからのデータフィードバックの関数として恐らくは調節された、位置オフセット、溶接電流及び電圧、ウィービング、移動速度、及びワイヤ供給速度を含む適応溶接(又は、その他のプロセス)パラメータである。システム内において使用されうるバックチャネル計測データの例は、溶接されていない結合部位置を基準とする溶接ビード位置、幅、高さ、脚部サイズ、アンダーカット、凸性、及び恐らくはその他の形状特徴を含む溶接ビード形状、並びに、適応溶接パラメータの演算を支援しうる適用された溶接パラメータの最終結果である。ビード位置及び形状は、ロボット位置のリアルタイム知識によって改善することができるが、これは、被加工物の形状を表す3D表面マップを構築するべく、PCステーション110によって使用することができる。又、これらの機能は、溶接の前の結合部の位置などの、フロントチャネル計測データからのデータフィードバックの関数として調節されてもよく、その理由は、両方のレーザーレンジファインダ16、18が同一の較正17を共有しており、且つ、被加工物上において堆積された材料の量を判定することができるからである。ロボットコントローラ108から取得されるデータの例は、現時点のロボットツールの位置/向き(TCPデータ)、TCPデータの時間に基づいた変化から演算される経路又は軌跡情報、例えば、レーザーの制御、タスクの選択、追跡の開始/停止、検査の開始/停止、溶接方向(フォワード又はバックワード)用の同期制御データ、並びに、例えば、プロセスの開始/停止信号や溶接パラメータなどのようなプロセスに関係するデータなどである。ロボットコントローラ108に送信されるデータの例は、結合部に追随するためのロボット加工ツール4の正確な位置決めのためのロボット座標内の結合部の位置、フロント及びバックチャネル計測データ内の結合部及びビード形状に基づいた最適化された溶接パラメータ、例えば、合格、警告、不合格、又は非準拠形状などの、被加工物の品質状態、並びに、例えば、タイプ、サイズ、及び位置などの可能な欠陥のリストである。
【0025】
レーザーレンジファインダ16、18及びカメラ50の(例えば、
図1において示される)空間的位置は、組立体2の同一の機械的な基準フレーム17内において較正されている。組立体2とロボット(図示されてはいない)の間の関係を判定するべく使用される較正プロセスは、(図示されてはいない)ターゲットプレート上におけるロボットの複数のモーション及び組立体2の計測値によって実行されてもよく、この場合に、この関係は、ターゲットプレート上における較正特徴との関係においてレーザーレンジファインダ16、18によって提供される計測データの関数として、演算されている。次いで、ロボット-組立体基準フレームを判定することができる。(例えば、
図1において示されている)溶接トーチ又はその他のロボット加工ツール4の所与のモデルの場合に、理論的なTCPワイヤ先端部位置は、組立体2と同一の基準フレーム内であることが知られている。ロボット-組立体基準フレーム内における任意のロボット加工ツール4のTCP(例えば、アーク溶接トーチのワイヤ先端部又はレーザー溶接トーチのレーザースポット)の実際の位置を判定するべく、以下のプロセスを使用することができる。水平方向において位置決めされた簡単な平らな被加工物を使用することにより、ロボットが、特定のロボット加工ツール4について工場において実施された較正に従って、レーザーレンジファインダ16、18の計測データを使用して、平らな被加工物に向かって垂直方向において組立体2を移動させる。このステップにおいては、組立体2の正確な垂直方向の位置決め及びレーザーレンジファインダ16、18によって投射されたレーザーラインに基づいて、(
図7に示されている)IMU60を較正することができる。カメラ50及び被加工物の表面上におけるワイヤ先端部の陰影を使用することによって、或いは、接触センサ(図示されてはいない)のフィードバックを使用することによって、ロボットにより、或いは、操作者によって実行される手動的な位置決めにより、実現される、被加工物との間のTCPワイヤ先端部の接触が、レーザーレンジファインダ16、18との間のTCPの位置(x,y,z)を判定することを許容しており、その理由は、ツール4が、レーザーライン計測及びカメラ50によって検証されるように、被加工物のプレーンに対して垂直であるからである。x=x
o+m
xz及びy=y
o+m
yzにより、x、y位置を演算することができる。又、x、y値は、組立体基準フレーム内において参照されてもよく、その理由は、カメラ50が、既に、この基準フレーム内において較正されているからである。較正データは、ロボットコントローラ108内において保存することができる。ロボット-組立体の較正を実行する別の方法は、レーザーレンジファインダ16、18及び2つの交差レーザーポインタ(図示されてはいない)のうちの1つのみを使用することにより、可能である。レーザーポインタの交差が、TCPの高さ位置を提供する。次いで、レーザーレンジファインダ16、18及びカメラ50のうちの1つが、x、y、z計測データを提供する。有利には、ロボット加工ツール4の傾斜が、ワイヤ先端部の接触/触覚検出のために使用されてもよく、その理由は、これが、手動により、或いは、カメラ50を通じて、相対的に長くなり、且つ、相対的に可視状態となる、からである。TCPは、プロプライエタリな較正システム(例えば、ターゲット、細長いアーム16、ロボット、及びソフトウェア)により、検証することができる。TCPを較正する別の方法は、単純なエッジ又はラップ結合部を伴うものであってもよい。このケースにおいては、レーザーレンジファインダ16、18は、エッジ又はラップ結合部のy
1-Z1及びy
2-Z2位置を計測するべく、使用される。TCPは、TCP
y位置が判定されるように、エッジ上において位置決めすることができる。この結果、TCPの軸方向を中心とした組立体2の90°の回転により、ラップの直線部におけるTCPの位置決めが、TCP
x及びTCP
zの誤りを生成することにならないであろう。必要に応じて、ターゲットプレーンに対する新しい計測を実行することができる。カメラ50及びTCPを十字線ターゲット上において位置決めすることにより、ロボット-組立体較正を実行する更に別の方法を実現することができる。TCPの軸方向を中心とした組立体2の回転の後に、十字線ターゲットの中心は、較正が適切である際には、カメラ50によって提供される画像内から逸脱することにならないであろう。必要に応じて、誤差極小化手順をロボットによって実施することができる。
【0026】
一実施形態においては、調整型のインライン適応溶接、結合部の追跡、及び溶接ビードの検査のための動作シーケンスは、以下のとおりであってよい。ロボットの操作者は、較正された追跡レーザーライン及びIMU60によって検証される、トーチ4及び組立体2の向きが被加工物6の表面に対して垂直である状態において、溶接開始位置において、TCPワイヤ先端部を位置決めする。ロボットコントローラ108は、溶接開始位置をアクノリッジすると共に保存する。次いで、ロボットは、結合部の部分的な長さにわたる、溶接トーチ4の変位の方向に応じて、この目的のために使用されるレーザーレンジファインダ16又は18により、結合部を追跡及び計測するための動作モードにおいて設定され、且つ、溶接対象の結合部のタイプ、結合部の向き、被加工物の厚さ、結合部の面取り角、ルート、及びフェースギャップなど、というパラメータを取得する。これらのパラメータ及び適用可能な材料データから、組立体2又はロボットコントローラ108は、ルックアップテーブル又はその他の方式から最良の又は好ましい溶接パラメータを演算する。演算されうる溶接パラメータの例は、溶接速度、電流、電圧、ワイヤ供給レート、ワイヤ先端部の突出長さ、溶接トーチ、及び作業角度などである。操作者は、溶接パラメータを検証し、且つ、溶接プロセスを開始する。溶接パラメータは、結合部の向き及びギャップの関数として、適応溶接の際に変更することができる。結合部の向き及びギャップ、電圧、電流、溶接速度、ワイヤ供給レート、結合部との関係におけるビードのプロファイル及び位置、トーチ4の前部又は/及び後部における結合部の温度などのような、計測された溶接パラメータを溶接の間にリアルタイムで記録することができる。溶接ビード容積が判定されうる、溶接結合部及び溶接ビードデータをロボット位置データとマージすることができる。場所のオフセット、ビードの幅、喉厚、凸性、逃げ角、空隙率、スパッタなどのような、主要な溶接特徴を演算することができる。溶接要件に基づいて、溶接検査データ及び品質を評価することができる。溶接品質は、溶接プロセス及び結合部形状可変性と相関させることができる。統計的な分析、傾向分析、及びプロセス改善を目的として、溶接ビード検査及び結合部追跡データ並びに相関データなどのその他のデータをデータベース内において保存することができる。
【0027】
一実施形態においては、ロボットコントローラ108は、ビード計測モジュール106によって演算された検査データを受け取るためのビード計測モジュール106を有する検査結果リンク112と、ロボット及び組立体2を同期化させるための組立体2を有するEthernet同期化双方向リンク114と、TCP関係のデータを組立体2に送信するためのTCPデータリンクと、処理済みの検査データを共有するための組立体を有するプロセスデータ双方向リンク118と、結合部計測モジュール105によって演算された追跡データを受け取るための結合部計測モジュール105を有する追跡データリンク120と、を有することができる。ビード計測モジュール106及び結合部計測モジュール105は、リンク122を通じて互いにフィードバックデータを共有してもよく、その理由は、レーザーレンジファインダ16、18は、検査目的のみならず、追跡のためにも、使用されうるからである。この観点において、レーザーレンジファインダ16、18は、いずれも、ビード計測モジュール106及び結合部計測モジュール105との間のリンク124、126、128、130を有する。結合部及びビード形状などの詳細な検査データ及びプロファイルデータなどの完全な視覚データは、組立体2と共にリンク132、134を通じて、PCステーション110に送信することができる。
【0028】
従って、レーザーレンジファインダ16、18によってコントローラ42に提供される追跡及び検査データは、ロボット溶接又はその他のプロセスの相対的に良好な品質制御のために使用することができると共に、統計分析、傾向改善、及びプロセス最適化などのその他の目的のために使用することができる。軸X、Y、Zを中心としたロボット加工ツール4及び結合部62の角度及び向きα、β、γは、IMU84により、提供することができる。ビード58及びプロセス(例えば、溶接)温度は、温度センサ56によって提供することができる。溶接又はその他のプロセスパラメータは、適応制御用のルックアップテーブル、被加工物データ仕様、結合部向きから、コントローラ42によって演算することができる。結合部及びビードプロファイル形状データの両方からのビード形状抽出は、コントローラ42により、実行することができる。プロセス開始及び終了位置は、(
図7において示されているように)インターフェイスボード104内の電源機能の動作から判定することができる。フィラーワイヤを伴う溶接のケースにおいては、フィラーワイヤ及び溶接速度を通じた溶接凸性の制御と、ワイヤ追加レート対溶接凸性を伴う溶接貫通及び希釈の制御と、を実行することができる。ロボット加工ツール4は、アーク溶接トーチ、レーザー溶接トーチ、蝋付けツールなどであってよい。開ループ、閉ループ、及び自己学習という、3つの異なるモードにおいて、制御された適応プロセス又は溶接を実行することができる。開ループモードにおいては、ツインレーザーカメラ組立体2が結合部62を計測しており、且つ、オンボードコントローラ42が、ビード位置及び形状信号及び既定のデータベース(図示されてはいない)から導出された計測されたデータに基づいてビードプロファイルを改善する動作パラメータ変更を演算するように、且つ、次いで、動作パラメータ変更を開ループにおいてロボットコントローラに送信するように、構成されている。閉ループモードにおいては、オンボードコントローラ42は、ビードプロファイルを改善する動作パラメータ変更をロボットコントローラに送信するように、結果的に得られるビードパラメータを計測するように、且つ、閉ループにおいて、計測されたビード形状に基づいた新しい動作パラメータ変更をロボットコントローラに返送するように、構成されている。自己学習モードにおいては、オンボードコントローラ42は、既定のビードプロファイル及び品質を提供する、且つ、ロボット加工の欠陥を回避する、最良の動作パラメータを判定するべく、結合部及びビード形状の連続的な計測において人工知能学習プロセスを使用するように、構成されている。又、動作パラメータは、適宜、溶接電源(図示されてはいない)に直接的に送信することもできる。
【0029】
図7を参照すれば、組立体2の回路、機能、及びコンポーネントの可能な実施形態又は構成が示されている。ケーブルコネクタ44とインターフェイスボード104の間において、Ethernet10/100/1000双方向通信インターフェイスリンク136を実装することができる。又、チップ及び回路の電力供給を目的として、24VDC入力138を提供することもできる。又、このような望ましい機能がシステム内において実装されている場合に、レーザー安全インターロック入力ライン140を提供することもできる。インターフェイスボード104には、電源、状態LED制御、FPGA不揮発性メモリ、GigE磁石、及びレーザーインターロック機能を提供するためのコンポーネント及び回路を提供することもできる。インターフェイスボード104は、ライン146、148を通じて、レーザーオンLED142(例えば、黄色)及び状態led144(例えば、マルチカラー)を制御することができる。又、インターフェイスボード104は、保護ボード158、160が提供されたライン150、152、154、156を通じてレーザー供給源80、82を制御することができる。コントローラ42は、バス164を通じてインターフェイスボード104に接続されたFPGAボード162を有することができる。FPGAボード162は、例えば、画像センサ84、86、カメラ50、シャッタ54、IMU60、及び温度センサ56との通信のためのライン166、168、170、172、174をフレキシブルケーブル又はSPI(Serial Peripheral Interface)ケーブルの形態において有することができる。FPGAボード162は、(例えば、
図2に示されている)保護ノズル98のために意図された保護レンズ検出センサ182、184から信号を受け取るための入力ライン178、180を有することができる。FPGAボード162は、画像センサインターフェイス機能、3Dプロファイル生成、レーザー制御、温度監視、保護レンズ検出、GigE-PHY(オープンシステム相互接続の物理層)とのインターフェイス、及びIMUとのインターフェイスを実行又は提供するべく、プログラミングすることができる。CPUボード186は、3Dプロファイル較正、視覚処理、追跡制御、検査処理、及びロボットインターフェイス機能などの様々な演算機能及びその他のものを提供するべく、バス188を通じてFPGAボード162に接続することができる。RTC(Real-Time Clock)電池ボード190は、例えば、コントローラ42用のタイミング機能を提供するべく、信号ライン192を通じてFPGAボード162に接続することができる。
【0030】
本発明の実施形態については、添付図面において図示され、且つ、上述されているが、当業者には、本発明を逸脱することなしに、これらの実施形態における変更が実施されうることが明らかとなろう。
【符号の説明】
【0031】
10 直立開口部
12 一部分
14 取付支持部
16、18 第1及び第2レーザーレンジファインダ
100 フレーム
104 インターフェイスボード
105 結合部計測モジュール
106 ビード計測モジュール
108 ロボットコントローラ
110 PCステーション
142 レーザーオンLED
144 状態LED
158 保護ボード
160 保護ボード
162 FPGAボード
182 センサ0
184 センサ1
186 CPUボード
190 RTC電池ボード
2 ツインレーザーカメラ単体組立体
20、22 レーザープロジェクタ
24、26 レーザービーム
28、30 ルックアヘッド及びルックバック距離
32 ツール中心点
34、36 撮像装置
38、40 視野
4 ロボット加工ツール
42 コントローラ
44 ケーブルコネクタ
46 フランジ
47 ボルト
48 上部結合構造
49 ドエルピン
50 ビデオカメラ
54 保護シャッタ
56 温度センサ
58 ビード
6 被加工物
61、63 上部壁及び下部壁
62 結合部
64、70 レンズ
8 ハウジング
80 レーザー0
82 レーザー1
84、86 画像センサ
88、92 ミラー
60 慣性計測ユニット
72、74 保護フラップ
78 ブラケット
96 空気入口
98 保護ノズル