(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】加温凝集剤を用いた汚泥処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 11/14 20190101AFI20241205BHJP
【FI】
C02F11/14 ZAB
(21)【出願番号】P 2022009796
(22)【出願日】2022-01-26
【審査請求日】2023-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000197746
【氏名又は名称】株式会社石垣
(72)【発明者】
【氏名】西原 康昭
(72)【発明者】
【氏名】多田 純
(72)【発明者】
【氏名】坂東 隆広
【審査官】松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/106838(WO,A1)
【文献】特開2019-010612(JP,A)
【文献】特開2005-186021(JP,A)
【文献】特開2003-164742(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0145569(US,A1)
【文献】中国実用新案第215559818(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00 - 11/20
B01D 21/00 - 21/01
B01D 21/02 - 21/34
B01D 24/00 - 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子凝集剤、無機凝集剤を単独で、あるいは、組み合わせた凝集剤である第1凝集剤を1次凝集部(5)で汚泥と混合し1次凝集フロックを形成した後、1次脱水部(12)で濃縮し、形成された濃縮汚泥を
無機凝集剤である第2凝集剤とともに混合して2次凝集フロックを形成した後、2次脱水部(14)で脱水する汚泥処理方法において、
濃縮汚泥に
添加する第2凝集剤のみ加温する
ことを特徴とする加温凝集剤を用いた汚泥処理方法。
【請求項2】
前記第2凝集剤を前記1次脱水部(12)、2次凝集部(13)及び前記2次脱水部(14)のうち少なくとも1箇所に接続された第2薬品供給管(10)の周面に設けた加温装置(15)で加温する
ことを特徴とする請求項1に記載の加温凝集剤を用いた汚泥処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水、し尿、集落排水、工場等の排水処理施設から発生する汚泥を1次凝集した後、濃縮し、さらに2次凝集した後、脱水する汚泥処理方法に関し、特に、2次凝集時に加温した凝集剤を用いることを特徴とする加温凝集剤を用いた汚泥処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水、し尿、集落排水、工場等の排水処理施設から発生する汚泥に高分子凝集剤、無機凝集剤を単独で、または組み合わせて供給し1次凝集した後、濃縮し、濃縮汚泥を2次凝集した後、脱水する汚泥処理方法は知られている。特許文献1には、凝集装置内の原液に高分子凝集剤を添加して1次凝集した後、濃縮装置で濃縮し、シュート内に供給された濃縮汚泥に無機凝集剤を添加して2次凝集した後、脱水装置で脱水する技術が開示されている。
【0003】
特許文献2には、加温された上水で凝集剤を溶解し、生成された凝集剤溶液を脱水機に注入する技術が開示されている。
【0004】
特許文献3には、凝集混和槽に接続された薬品供給管内で加温された高分子凝集剤を槽内の汚泥に添加する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5477373号公報
【文献】特許第4177752号公報
【文献】特開2019-10612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、1次凝集及び2次凝集で使用する凝集剤に関し、一般的には常温の凝集剤を用いている。しかし、常温の凝集剤は粘度が高く流動性が低いため、汚泥中に分散し難く、凝集剤と汚泥を十分に混合できていなかった。また、特許文献1では、脱水工程を行う際、脱水装置に圧入される濃縮汚泥に圧力を付与しながら脱水するため、脱水工程前段で2次凝集を行い、強固なフロックを形成しておく必要があった。
【0007】
特許文献2、特許文献3の技術は、加温した凝集剤を使用して汚泥を凝集するため、流動性の高い凝集剤が汚泥全体に作用する。しかし、特許文献2は、凝集溶解液と濃縮汚泥を別々に脱水機に供給する技術であり、凝集溶解液と濃縮汚泥を混合した後、脱水するものではない。凝集溶解液と濃縮汚泥の混合が脱水装置のみで行われるため、汚泥との混練性を高めることができない。また、加温の目的が上水の加温により凝集剤を効率よく溶解させることであり、汚泥との分散性を高めることが目的ではない。特許文献3は、1次凝集工程で使用する高分子凝集剤を加温するものであり、濃縮汚泥の2次凝集工程に関する記載や示唆はない。
【0008】
本発明は、一次凝集工程、濃縮工程を経て形成された濃縮汚泥に加温した凝集剤を添加した後、混合して2次凝集することで、強固な2次凝集フロックを形成できる加温凝集剤を用いた汚泥処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
高分子凝集剤、無機凝集剤を単独で、あるいは、組み合わせた凝集剤である第1凝集剤を1次凝集部で汚泥と混合し1次凝集フロックを形成した後、1次脱水部で濃縮し、形成された濃縮汚泥を無機凝集剤である第2凝集剤とともに混合して2次凝集フロックを形成した後、2次脱水部で脱水する汚泥処理方法において、濃縮汚泥に添加する第2凝集剤のみ加温することで、加温により粘度が低く流動性の高い第2凝集剤が濃縮汚泥全体に広く作用するため汚泥との混練性を高めることができ、SS分を多く含んだ強固な凝集フロックが形成可能となる。
【0010】
前記第2凝集剤を前記1次脱水部、2次凝集部及び2次脱水部のうち少なくとも1箇所に接続された第2薬品供給管の周面に設けた加温装置で加温することで、汚泥への分散性を高めることができるため第2凝集剤使用量の削減が可能となり、これに伴い第1凝集剤使用量も削減できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る加温凝集剤を用いた汚泥処理方法は、1次脱水部より排出された濃縮汚泥に加温した無機凝集剤からなる第2凝集剤を添加した後、混合することで、強固な凝集フロックを形成できる。脱水前段で強固な凝集フロックを形成しておくことで、フロックが脱水部のろ過面から目抜けすることなく、効率よく低含水率の脱水ケーキを生成できる。また、第2凝集剤を加温する加温装置は、薬品供給管に被覆させたシンプルな構成であるため既存設備に容易に適用可能なうえ、加温容量が少ないため省エネルギーで高効率な汚泥処理を実現できる。さらに加温装置にて直接加温される薬品供給管及び加温された第2凝集剤が供給されて間接的に加温される汚泥供給管が閉塞しない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る汚泥処理方法の概略構成図である。
【
図3】同じく、
図2に示す1次脱水部の拡大図である。
【
図4】同じく、
図2に示す2次凝集部の縦断面図である。
【
図5】同じく、他の実施形態に係る汚泥処理方法の概略構成図である。
【
図6】同じく、他の実施形態に係る汚泥処理方法の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明の実施形態に係る汚泥処理方法の概略構成図である。
汚泥貯留槽2内の汚泥は、汚泥供給管3から汚泥供給ポンプ4を経て1次凝集部5に供給される。汚泥供給管3には、高分子凝集剤、無機凝集剤を単独で、あるいは、組み合わせた凝集剤を移送する第1薬品供給管7を接続しており、第1薬品槽6内の第1凝集剤を1次凝集部5に移送できる構成となっている。1次凝集部5は、凝集混和槽であり、移送された汚泥及び第1凝集剤を槽内の撹拌機にて混合撹拌し、1次凝集フロックを形成する。形成された1次凝集フロックは、1次凝集部5の後段に設置した固液分離部1に移送された後、固液分離される。固液分離部1は、1次脱水部12、2次凝集部13、2次脱水部14で構成してある。
【0014】
1次脱水部12では、例えば、回転濃縮機、ベルト濃縮機、遠心脱水機等の公知の機械を用いて濃縮が行われる。1次凝集部5から供給された1次凝集フロックを濃縮しながら濃縮ろ液を分離し、濃縮汚泥を形成する。形成された濃縮汚泥は、1次脱水部12の後段に設置した2次凝集部13に移送される。
【0015】
2次凝集部13では、1次脱水部12で形成された濃縮汚泥の凝集が行われる。凝集は、1次凝集部5でも行われるが、1次凝集部5で形成された1次凝集フロックは微小であり、濃縮後に2次脱水部14で脱水される際にろ材から目抜けする場合がある。そのため、2次凝集部13にて再度凝集し粗大なフロックを形成しておく。
【0016】
2次凝集部13では、第2薬品槽9に貯留された第2凝集剤(無機凝集剤)を用いる。無機凝集剤は、濃縮汚泥に添加する前段で加温装置15にて加温しておく。無機凝集剤は、加温されることで粘度が低下し流動性が高くなる。そのため、加温した無機凝集剤を濃縮汚泥に添加することで汚泥中全体に作用させることができる。これにより、濃縮汚泥との混練性が高まり、緻密で強固な2次凝集フロックが形成される。形成された2次凝集フロックは、2次脱水部14に移送される。2次凝集部13は、後段で詳述する
図2、
図5、
図6に示すように、使用する機械によって形態が相違する。
【0017】
2次脱水部14は、1次脱水部12と同様に、公知の脱水装置で構成してあり、供給された2次凝集フロックを圧搾脱水しながら脱水ろ液を分離し、脱水ケーキを生成する。
【0018】
なお、第1薬品供給管7を1次凝集部5に接続し、第1凝集剤を直接供給してもよい。また、汚泥の混練性を高めるために、汚泥供給管3にラインミキサーを配設してもよい。
【0019】
図2は本発明の実施形態に係る固液分離部の縦断側面図、
図3は
図2に示す1次脱水部の拡大図、
図4は
図2に示す2次凝集部の縦断面図である。
図2に示すように、固液分離部1は、1次脱水部12、2次凝集部13、2次脱水部14からなり、1次脱水部12で形成された濃縮汚泥を、1次脱水部12の吐出し側及び2次脱水部14の供給側に連設された2次凝集部13で凝集した後、2次脱水部14で脱水できる構成としてある。
【0020】
1次脱水部12は、
図3に示すように、ろ過面を有する円筒状の外筒スクリーン16と、外筒スクリーン16の内周面に摺接しながら回転する螺旋状のスクリュー羽根17を巻き掛けたスクリュー軸18と、を有する回転濃縮機12を採用している。回転濃縮機12は、外筒スクリーン16端部に入口外筒フランジ37と出口外筒フランジ61を嵌着し、外筒スクリーン16とスクリュー軸18の間に濃縮室19を形成している。
【0021】
濃縮室19を形成する外筒スクリーン16は、出口外筒フランジ61に連結させた外筒駆動軸24の回動に伴い回動する。一方、スクリュー軸18は、フロントフレーム20に支架された汚泥供給管21によって回動自在に軸支されている。外筒スクリーン16及びスクリュー軸18は、図示しない駆動機にて差速回転できるように構成してある。
【0022】
スクリュー軸18の内部には、濃縮室19と汚泥供給管21を連通する汚泥供給路22が形成してあり、周面には、複数の供給口23を有している。汚泥供給管3から圧入供給された1次凝集フロックは、汚泥供給路22を通った後、供給口23より濃縮室19に流入する。濃縮室19に流入した1次凝集フロックは、水分を多く含んでおり、固形物負荷よりも水負荷が大きいため、圧入直後に外筒スクリーン16から濃縮ろ液が分離される。そして、排出側に向かって搬送されながら重力ろ過され濃縮ろ液がさらに分離される。
【0023】
濃縮ろ液を分離した1次凝集フロックは、濃縮汚泥となり、出口外筒フランジ61に形成された複数の排出口(図示しない)から濃縮汚泥槽27に排出された後、2次凝集部13に送られる。
【0024】
2次凝集部13は、
図4に示すように、濃縮汚泥槽27及び濃縮汚泥槽27の下部側壁に接続された濃縮汚泥供給ポンプ28で構成してある。濃縮汚泥槽27は、供給された濃縮汚泥を一時的に貯留するものであり、濃縮汚泥は濃縮汚泥供給ポンプ28によって2次脱水部14に圧入供給される。
【0025】
濃縮汚泥槽27の側面には、第2薬品供給管10を接続してあり、濃縮汚泥槽27内に第2凝集剤を添加できるように構成してある。第2薬品供給管10の周面には加温装置15を被覆させており、第2薬品供給管10を通って濃縮汚泥槽27に供給される無機凝集剤を加温する。第2薬品供給管10の周面から内部に熱を加えることで、無機凝集剤を効率よく加温できる。加温装置15は、第2薬品供給管10の濃縮汚泥槽27近傍部分を被覆し、無機凝集剤を濃縮汚泥槽27へ供給する直前で加温することが望ましい。これにより無機凝集剤が冷めることなく濃縮汚泥に供給することができる。また、加温された無機凝集剤を添加することで濃縮汚泥も間接的に加温されるため、濃縮汚泥の脱水性が向上する。
【0026】
なお、第2凝集剤は、40度~90度に加温しておくことが望ましい。該温度とすることで凝集剤の流動性が高くなり、濃縮汚泥に分散しやすくなる。また、無機凝集剤の代わりに高分子凝集剤を加温して濃縮汚泥に添加してもよい。加温装置15は公知の電気式ジャケットヒーターや、ジャケット部に温水、排ガス等の熱媒体を供給する温水式等、制限されない。その他、加温装置15を第2薬品槽9に配置し、第2薬品槽9内で無機凝集剤を加温する手段や、事前に加温した温水を無機凝集剤に供給して加温する手段をとってもよい。熱媒体を用いる場合には消化処理、焼却処理等、他の工程で発生する熱媒体を利用できるためエネルギーを有効利用できる。
【0027】
濃縮汚泥供給ポンプ28は、一軸ねじポンプ等の容積型ねじポンプを採用している。濃縮汚泥槽27から供給された濃縮汚泥及び加温された無機凝集剤は、濃縮汚泥槽27下部に接続された吸込口29を通って、ロータ30とステータ31の間に形成された一定容積の空隙36に螺旋状に吸い込まれ下方に向かって混合されながら移動した後、駆動軸34周部に半径方向に突出した複数の撹拌翼32によってさらに混合撹拌される。空隙36を移動する濃縮汚泥は脈動しないため、2次凝集フロックは破壊されない。そのうえ、下方に位置する撹拌翼32によってさらに混合され凝集反応が進むため、強固で緻密な2次凝集フロックを形成できる。なお、ロータ30及び撹拌翼32は、駆動機33から延設された駆動軸34と連結し、回動自在に構成している。
【0028】
なお、第2薬品供給管10を濃縮汚泥槽27に接続したが、吸込口29や濃縮汚泥供給ポンプ28の側面や、後述する2次脱水部14に接続してもよい。2次脱水部14に接続する場合は、例えば、
図2の供給路51や、濃縮汚泥を受け入れるろ過室48の始端側等、2次脱水部
14の汚泥供給側に接続し、供給直後の濃縮汚泥に第2凝集剤を添加することが望ましい。さらに第2薬品供給管10を分岐させ、回転濃縮機12、濃縮汚泥供給ポンプ28、2次脱水部14に接続し、選択した複数箇所に無機凝集剤を同時もしくは交互に添加する構成としてもよい。
【0029】
その他、
図3に示すように、第2薬品供給管10をスクリュー駆動軸24に接続し、スクリュー軸18及びスクリュー駆動軸24の内部に配設された薬品供給路38に連通させ、濃縮室19に開口したスクリュー軸18のノズル孔39から加温した無機凝集剤を供給してもよい。スクリュー羽根
17の最終ピッチ間の外筒スクリーン16には非透過性の環状筒40が連設してあり、回動する環状筒40の周面に沿って濃縮汚泥と加温した無機凝集剤が混合される。この形態も、濃縮汚泥供給ポンプ28の前段で無機凝集剤を添加するため、後段に位置する濃縮汚泥供給ポンプ28内で濃縮汚泥と無機凝集剤を効率よく混合することができる。このように、第2薬品供給管
10は、1次脱水部12、2次凝集部13及び後述する2次脱水部14のうち少なくとも1箇所に接続される。
【0030】
2次凝集部13で形成された2次凝集フロックは、濃縮汚泥供給ポンプ28によって
図2に示す2次脱水部14に圧入される。2次脱水部14は、ろ過面を有する円筒状の外筒スクリーン46と、外筒スクリーン46の内周を摺接しながら回転する螺旋状のスクリュー羽根47を巻き掛けたスクリュー軸45と、を有するスクリュープレス14を採用している。スクリュープレス14は、供給側を濃縮汚泥供給ポンプ28の吐出口35と連設するとともに、上方に載置した回転濃縮機12と一体的に構成してある。
【0031】
外筒スクリーン46の内周面とスクリュー軸45の外周面との間には、スクリュー羽根47で螺旋状に仕切られたろ過室48が形成されている。また、汚泥の供給側から排出側に向かってテーパー状に拡開したスクリュー軸45を用いているため、ろ過室48は、汚泥の供給側から排出側に向かって縮小している。
【0032】
ろ過室48を形成する外筒スクリーン46の供給側端部には、入口外筒フランジ41を嵌着しており、入口外筒フランジ41にはスプロケット42を外嵌している。スプロケット42は、フロントフレーム43に載置した正逆転可能な外筒駆動機44に連動連結されており、外筒スクリーン46が正逆に回動できる。一方、スクリュー軸45は、排出側端部にスクリュー駆動軸49を連結している。スクリュー駆動軸49は、スクリュー駆動機50の駆動によって回動可能に構成してある。
【0033】
スクリュー軸45の始端側には供給路51を接続してあり、周面には複数の供給口52を開口させている。供給路51は、濃縮汚泥供給ポンプ28の吐出口に摺接させてあり、濃縮汚泥供給ポンプ28から圧入供給された2次凝集フロックは、供給路51を通った後、供給口52からろ過室48に流入する。流入した2次凝集フロックは、固形物負荷よりも水負荷が大きいため、外筒スクリーン46から大量の脱水ろ液が排出される。そして、ろ過室48が始端側から排出側に向かって容積が漸減しているため、排出側に向かって移送される2次凝集フロックはろ過室48の容積変化及び回動するスクリュー羽根47によるスラスト力を受けて内部圧力を上昇させながら圧搾脱水されて脱水ろ液を分離し、ケーキ化する。
【0034】
ろ過室48を移送する2次凝集フロックは、加温された無機凝集剤と混合されて粗大化するため、外筒スクリーン46から目抜けしない。そのうえ、SS含有率が高く緻密で強固であるため、スクリュープレス14の脱水性能を高め、短時間で低含水率の脱水ケーキを得ることができる。生成された脱水ケーキは、排出側に設けられシリンダー54に接続されたプレッサー53による背圧を受けてさらに圧搾され含水率を低下させた後、排出される。なお、脱水運転時に外筒スクリーン46を固定しているが、回動させてもよい。
【0035】
本実施形態では、スクリュープレス14の上方に回転濃縮機12を載置し一体的に構成したが、上方にベルト濃縮機を載置する等、一体的に構成する1次脱水部12、2次脱水部14の機構は限定されない。また、スクリュープレス14の入口側に1次脱水部12を配置する構成や、外筒固定式スクリュープレス14の側面に濃縮汚泥供給ポンプ28を介して、1次脱水部12を接続してもよい。その他、固液分離部1を構成する各構成要素を配管で接続し、1次脱水部12と2次凝集部13の間に備えた配管に第2薬品供給管10を接続させる構成としてもよい。2次凝集部13の構成に関しても、1次脱水部12と2次脱水部14の間に公知のホッパーを配置し重力を利用して濃縮汚泥を2次脱水部14へ自然流下させて供給してもよい。
【0036】
図5、
図6は、他の実施形態に係る汚泥処理方法の概略構成図である。
図5は、1次凝集フロックを形成する1次凝集部5と、1次凝集フロック中の水分を自重によって脱水し濃縮汚泥を形成する1次脱水部12(ベルト濃縮機)と、形成された濃縮汚泥に加温した無機凝集剤を添加した後、混合し2次凝集フロックを形成する2次凝集部13と、2次凝集フロックをベルト間で挟んで圧搾脱水し脱水ケーキを生成する2次脱水部14(ベルトプレス)と、からなる固液分離部1を示している。1次脱水部12及び2次脱水部14は複数のローラー58にろ布59を走行自在に掛けまわして構成してある。
【0037】
1次脱水部12から2次脱水部14へ供給される濃縮汚泥に加温した第2凝集剤(無機凝集剤)を添加することで、無機凝集剤が汚泥中に効率よく分散するため、短時間で緻密で強固な2次凝集フロックを形成できる。緻密で強固な2次凝集フロックは、SS分が多く含まれており流動性が低いため、サイドリークが生じない。サイドリークを防止することで、2次脱水部14における脱水性能を高めることも可能となる。
【0038】
なお、第2凝集剤の添加手段は制限されず、例えば、濃縮汚泥が1次脱水部12から2次脱水部14に越流する際に噴射して添加する、1次脱水部12と2次脱水部14の間に凝集混和槽を設置し凝集混和槽内に添加する等、適宜選択する。
【0039】
図6は、固液分離部1に公知の遠心分離機を採用し、1次凝集部5で形成された1次凝集フロックを固液分離する際に加温した第2凝集剤(無機凝集剤)を添加するものである。1次凝集フロックは、回転する内胴55及び外胴56の間に形成された供給室57に供給された後、回転体に加わる径方向の遠心力によって質量密度の高い固形物が外胴56の内周面に沈降乃至堆積するとともに、固形物の内側に位置する質量密度の低い分離液が排出される。遠心分離機前段の1次脱水部12で遠心力によって1次凝集フロック中の水分を分離しながら濃縮汚泥を形成し、加温した第2凝集剤とともに混合されて2次凝集フロックを形成する。形成された2次凝集フロックは遠心分離機後段の2次脱水部14で遠心力によって2次凝集フロック中の水分をさらに分離し脱水ケーキとなる。なお、遠心分離機1は、図示しないモータにて回転する外胴56と、スクリュー60を有し外胴56内部で外胴56に対して差速回転する内胴55を軸支している。
【0040】
加温した無機凝集剤を用いて2次凝集することで、遠心分離機内で効率よく1次凝集フロックと凝集剤を混合できるため短時間で強固な2次凝集フロックを形成できる。これに伴い、低含水率の脱水ケーキを短時間で生成できるため、内胴55及び外胴56を駆動するモータの駆動時間を削減できるため、ランニングコスト低減にもつながる。
【0041】
なお、1次脱水、2次凝集及び2次脱水を1つの装置で実施しているが、2つの遠心分離機ないし遠心分離機とその他の脱水機を組み合わせて別々に実施する方法であってもよい。また、本実施例及び
図5、
図6は、1次凝集部5として凝集混和槽を採用しているが、これに限定されない。
【0042】
上述し、かつ図面に記載した本実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲で変形実施を可能とする。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る加温凝集剤を用いた汚泥処理方法は、2次凝集工程時に加温した凝集剤を用いて汚泥を凝集することで、汚泥との混練性を高めることが可能となり、短時間で粗大で強固な凝集フロックを形成できる。これにより、凝集剤使用量を削減できるとともに、凝集剤が汚泥と未反応のまま流れ出ることがない。そして、強固な凝集フロックを脱水装置に供給できるため、後段の脱水工程で効率よく脱水を行うことができる。脱水工程で使用する固液分離装置の運転時間が削減されることで燃料の使用量が減少するため、二酸化炭素排出量削減にもつながる。本発明は凝集剤使用量及び固液分離装置の運転時間を削減する脱水処理方法であり、環境に配慮した運転ができるものである。
【符号の説明】
【0044】
5 1次凝集部
10 第2薬品供給管
12 1次脱水部
13 2次凝集部
14 2次脱水部
15 加温装置