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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241205BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241205BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G15/00 303
G03G15/08 310
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020196007
(22)【出願日】2020-11-26
(65)【公開番号】P2022084264
(43)【公開日】2022-06-07
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】本田 貴啓
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-293240(JP,A)
【文献】特開2015-060196(JP,A)
【文献】特開2014-178349(JP,A)
【文献】特開2006-220699(JP,A)
【文献】特開2016-045419(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0348531(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/00
G03G 15/08
G03G 15/16
G03G 15/01
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムと、
前記感光体ドラムを露光して静電潜像を前記感光体ドラム上に形成する露光装置と、
前記感光体ドラム上の前記静電潜像に対してトナーを付着させる現像装置と、
前記露光装置を制御して、主走査方向におけるプリント可能領域の外側である非プリント可能領域に、キャリブレーション用のトナーパッチ画像を形成し、前記トナーパッチ画像の濃度測定値に基づいて濃度調整および階調調整の少なくとも一方を実行するキャリブレーション制御部と、
前記露光装置を制御して、印字率に応じたトナーリフレッシュ用のトナー帯を形成させるトナーリフレッシュ制御部とを備え、
前記トナーリフレッシュ制御部は、前記非プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯の長さが所定閾値を超えた場合、前記非プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯の少なくとも一部を、後続のページ画像に並行して形成し、
前記トナーリフレッシュ制御部は、前記非プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯の長さが所定閾値を超えた場合、前記非プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯を2つの分割トナー帯に分割し、
前記後続のページ画像は、前記分割トナー帯の一方の後端から所定下限長以上のエージング区間を開けて形成され、
前記分割トナー帯の一方を前記プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯に並行して形成し、前記分割トナー帯の他方を、前記一方の分割トナー帯の後端から少なくとも前記エージング区間を開けて前記後続のページ画像に並行して形成すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記一方の分割トナー帯の長さは、ページ画像間隔の長さから、当該一方の分割トナー帯と先行のページ画像との間隔の長さおよび前記エージング区間の下限長を減算して得られる長さであり、
前記ページ画像間隔の長さは、前記ページ画像間隔の所定の規定長さ、および先行のページ画像の後端からプリント可能領域に形成すべき前記トナー帯の後端までの距離と前記エージング区間の下限長との和のうちの長い方とされること、
を特徴とする請求項記載の画像形成装置。
【請求項3】
感光体ドラムと、
前記感光体ドラムを露光して静電潜像を前記感光体ドラム上に形成する露光装置と、
前記感光体ドラム上の前記静電潜像に対してトナーを付着させる現像装置と、
前記露光装置を制御して、主走査方向におけるプリント可能領域の外側である非プリント可能領域に、キャリブレーション用のトナーパッチ画像を形成し、前記トナーパッチ画像の濃度測定値に基づいて濃度調整および階調調整の少なくとも一方を実行するキャリブレーション制御部と、
前記露光装置を制御して、印字率に応じたトナーリフレッシュ用のトナー帯を形成させるトナーリフレッシュ制御部とを備え、
前記トナーリフレッシュ制御部は、前記非プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯の長さが所定閾値を超えた場合、前記非プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯の少なくとも一部を、後続のページ画像に並行して形成し、前記印字率に基づいて、前記プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯が不要であると判定した場合、前記非プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯の長さに拘わらず、前記非プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯の全部を、前記後続のページ画像に並行して形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
感光体ドラムと、
前記感光体ドラムを露光して静電潜像を前記感光体ドラム上に形成する露光装置と、
前記感光体ドラム上の前記静電潜像に対してトナーを付着させる現像装置と、
前記露光装置を制御して、主走査方向におけるプリント可能領域の外側である非プリント可能領域に、キャリブレーション用のトナーパッチ画像を形成し、前記トナーパッチ画像の濃度測定値に基づいて濃度調整および階調調整の少なくとも一方を実行するキャリブレーション制御部と、
前記露光装置を制御して、印字率に応じたトナーリフレッシュ用のトナー帯を形成させるトナーリフレッシュ制御部とを備え、
前記トナーリフレッシュ制御部は、前記非プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯の長さが所定閾値を超えた場合、前記非プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯の少なくとも一部を、後続のページ画像に並行して形成し、
前記非プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯の形成位置が、前記トナーパッチ画像の形成位置に重複すると判定した場合、前記非プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯および前記トナーパッチ画像の形成順序が、所定の設定に基づいて選択されることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、プリント時の印字率が低い場合、トナー消費量が少なくなり、現像ローラー上のトナーの品質が経時的に低下してプリント画像の品質も低下してしまう。そのため、トナーリフレッシュ動作が実行される(例えば特許文献1参照)。トナーリフレッシュ動作では、プリント画像におけるページ画像(トナー画像)間で、トナー帯が現像装置から排出される。このトナー帯は、プリント用紙に転写されずに回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-114835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
他方、ある画像形成装置は、濃度調整や階調調整のためのキャリブレーションを実行する。キャリブレーションでは、特定トナー濃度のパッチ画像が形成され、そのパッチ画像の濃度が光学的に測定され、その濃度測定値に基づいて、濃度調整や階調調整が自動的に実行される。その際、パッチ画像が、主走査方向(トナー画像の搬送方向に対して垂直な方向)においてプリント画像を形成可能なプリント可能領域の外側の非プリント可能領域に形成される場合、パッチ画像の品質保持のために、非プリント可能領域についてもトナーリフレッシュ動作が必要となる。
【0005】
非プリント可能領域では、プリントされるページ画像が形成されず印字率(つまり、所定単位時間や所定単位長さあたりのトナー消費量)が低いため、トナーリフレッシュ動作で多くのトナーが排出される。したがって、非プリント可能領域におけるトナー帯が画像搬送方向において長くなってしまう。
【0006】
図6は、トナーリフレッシュ動作で形成すべきトナー帯について説明する図である。例えば図6に示すように、中間転写ベルト101上において、ぺージ画像111の間でトナー帯121,122が形成される。トナー帯121は、プリント可能領域を主走査方向において分割して得られる複数の分割領域のそれぞれにおいて、その分割領域の印字率に対応する長さで形成される。また、トナー帯122は、非プリント可能領域において、非プリント可能領域の印字率に対応する長さで形成される。そして、上述のように、非プリント可能領域の印字率は低いため、例えば図6に示すように、トナー帯122は、比較的長く形成される。
【0007】
このように、トナー帯122が比較的長く形成される場合、トナー帯121,122前後のページ画像111の間隔が長くなってしまい、生産性(単位時間あたりのプリント枚数)が低下してしまう。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、トナーリフレッシュ動作に起因する生産性の低下を抑制する画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、感光体ドラムと、前記感光体ドラムを露光して静電潜像を前記感光体ドラム上に形成する露光装置と、前記感光体ドラム上の前記静電潜像に対してトナーを付着させる現像装置と、前記露光装置を制御して、主走査方向におけるプリント可能領域の外側である非プリント可能領域に、キャリブレーション用のトナーパッチ画像を形成し、前記トナーパッチ画像の濃度測定値に基づいて濃度調整および階調調整の少なくとも一方を実行するキャリブレーション制御部と、前記露光装置を制御して、印字率に応じたトナーリフレッシュ用のトナー帯を形成させるトナーリフレッシュ制御部とを備える。そして、前記トナーリフレッシュ制御部は、前記非プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯の長さが所定閾値を超えた場合、前記非プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯の少なくとも一部を、後続のページ画像に並行して形成する。さらに、以下の(A)~(C)のいずれかの構成を備える。(A)前記トナーリフレッシュ制御部は、前記非プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯の長さが所定閾値を超えた場合、前記非プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯を2つの分割トナー帯に分割し、前記後続のページ画像は、前記分割トナー帯の一方の後端から所定下限長以上のエージング区間を開けて形成され、前記分割トナー帯の一方を前記プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯に並行して形成し、前記分割トナー帯の他方を、前記一方の分割トナー帯の後端から少なくとも前記エージング区間を開けて前記後続のページ画像に並行して形成する。(B)前記トナーリフレッシュ制御部は、前記印字率に基づいて、前記プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯が不要であると判定した場合、前記非プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯の長さに拘わらず、前記非プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯の全部を、前記後続のページ画像に並行して形成する。(C)前記非プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯の形成位置が、前記トナーパッチ画像の形成位置に重複すると判定した場合、前記非プリント可能領域に形成すべき前記トナー帯および前記トナーパッチ画像の形成順序が、所定の設定に基づいて選択されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、トナーリフレッシュ動作に起因する生産性の低下を抑制する画像形成装置が得られる。
【0011】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機械的な内部構成を示す側面図である。
図2図2は、図1に示す画像形成装置の電気的な構成の一部を示すブロック図である。
図3図3は、主走査方向におけるプリント可能領域および非プリント可能領域について説明する図である。
図4図4は、図1および図2に示す画像形成装置においてトナーリフレッシュ動作時に形成されるトナー帯について説明する図である。
図5図5は、図1および図2に示す画像形成装置においてトナーリフレッシュ動作に形成されるトナー帯の前後のページ画像の間隔について説明する図である。
図6図6は、トナーリフレッシュ動作で形成すべきトナー帯について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
実施の形態1.
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機械的な内部構成を示す側面図である。図1に示す画像形成装置は、プリンター、ファクシミリ装置、複写機、複合機などといった、電子写真方式のプリント機能を有する装置である。
【0016】
この実施の形態の画像形成装置は、タンデム方式のカラー現像装置を有する。このカラー現像装置は、感光体ドラム1a~1d、露光装置2、および現像装置3a~3dを有する。感光体ドラム1a~1dは、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色の感光体であり、感光体ドラム1a~1d上には静電潜像が形成される。露光装置2は、感光体ドラム1a~1dを(ここではレーザー光で)露光して感光体ドラム1a~1d上に静電潜像を形成する装置である。露光装置2は、レーザー光の光源であるレーザーダイオード、そのレーザー光を感光体ドラム1a~1dへ導く光学素子(レンズ、ミラー、ポリゴンミラーなど)を有する。なお、感光体ドラム1a~1dは、アモルファスシリコン製でも、有機感光体(OPC)でもよい。
【0017】
現像装置3a~3dは、トナーカートリッジ内のトナーを現像ローラー4で感光体ドラム1a~1d上の静電潜像に付着させてトナー像を形成する。感光体ドラム1aおよび現像装置3aにより、ブラックの現像が行われ、感光体ドラム1bおよび現像装置3bにより、イエローの現像が行われ、感光体ドラム1cおよび現像装置3cにより、シアンの現像が行われ、感光体ドラム1dおよび現像装置3dにより、マゼンタの現像が行われる。
【0018】
中間転写ベルト5は、感光体ドラム1a~1dに接触し、感光体ドラム1a~1d上のトナー像を転写され担持する環状の像担持体である。中間転写ベルト5は、駆動ローラー6aおよびテンションローラー6bに張架され、駆動ローラー6aからの駆動力によって、感光体ドラム1aとの接触位置から感光体ドラム1dとの接触位置への方向へ周回していく。
【0019】
2次転写ローラー7は、搬送されてくるプリントシート(プリント用紙など)を中間転写ベルト5に接触させ、中間転写ベルト5上のトナー像をプリントシートに2次転写する。トナー像を2次転写されたプリントシートは、定着器10へ搬送される。定着器10は、ヒーターを備え、ヒーターを使用して加熱加圧方式でトナー像をプリントシートに定着する。
【0020】
濃度センサー8は、中間転写ベルト5に光を照射し、その反射光(例えば正反射光と拡散反射光)を受光し、受光した反射光の光量に対応する電気信号を出力する反射型光学式センサーである。濃度センサー8は、キャリブレーション用トナーパッチ画像が中間転写ベルト5に1次転写された後、中間転写ベルト5上のそのトナー像の濃度を光学的に検出する。ここでは、濃度センサー8は、主走査方向において、プリント可能領域(プリントされるページ画像を形成可能な領域)の外側の非プリント可能領域に配置され、その配置位置を通過するキャリブレーション用トナーパッチ画像の濃度を測定する。具体的には、濃度センサー8は、測定領域に光を照射し、その反射光を受光し、その測定領域を通過するトナーパッチ画像の濃度を測定する。
【0021】
1次転写ローラー9a~9dは、それぞれ、中間転写ベルト5を挟んで、感光体ドラム1a~1dに対向して配置され、感光体ドラム1a~1d上のトナー像を感光体ドラム1a~1dから中間転写ベルト5へ1次転写する。
【0022】
図2は、図1に示す画像形成装置の電気的な構成の一部を示すブロック図である。図2に示すように、図1に示す画像形成装置は、コントローラー31および帯電装置32をさらに備える。
【0023】
コントローラー31は、画像形成装置内の各部を電気的に制御する。コントローラー31は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイクロコンピューターなどを備え、ハードウェア処理およびソフトウェア処理の一方または両方を行う各種処理部として動作する。帯電装置32は、感光体ドラム1a~1dの表面電位を所定電位(暗電位)に帯電させたり、感光体ドラム1a~1dの表面電位をゼロボルト(グランドレベル)に設定したりする。
【0024】
そして、コントローラー31は、制御部41、キャリブレーション制御部42、およびトナーリフレッシュ制御部43として動作する。
【0025】
制御部41は、図1に示す機械的構成(感光体ドラム1a~1d、露光装置2、現像装置3a~3dなど)を制御して、プリント、キャリブレーション、トナーリフレッシュなどを実行する。
【0026】
図3は、主走査方向におけるプリント可能領域および非プリント可能領域について説明する図である。
【0027】
キャリブレーション制御部42は、定期的に、または所定のタイミングで繰り返し、キャリブレーションを実行する。キャリブレーション制御部42は、キャリブレーションにおいて、制御部41を介して露光装置2を制御して、例えば図3に示すように、主走査方向におけるプリント可能領域(つまり、プリントされるページ画像51を形成可能な領域)の外側である非プリント可能領域に、キャリブレーション用のトナーパッチ画像61を形成し、濃度センサー8によって得られたトナーパッチ画像61の濃度測定値に基づいて濃度調整および階調調整の少なくとも一方(ここでは両方)を実行する。
【0028】
具体的には、キャリブレーション制御部42は、露光装置2を制御して、非プリント可能領域においてトナーパッチ画像61に対応する静電潜像が形成されるように、露光装置2に感光体ドラム1a~1dを露光させる。そして、このように形成された静電潜像に対して現像装置3a~3dがトナーを付着させることで、トナーパッチ画像61が形成され、中間転写ベルト5に1次転写される。
【0029】
トナーリフレッシュ制御部43は、制御部41を介して露光装置2を制御して、印字率に応じたトナーリフレッシュ用のトナー帯を形成させる。なお、プリント可能領域は、複数の分割領域に分割され、その複数の分割領域のそれぞれについての印字率(トナー帯の直前の所定数のページ画像における分割領域ごとの印字率)が測定され、各分割領域のトナー帯(所定の一定濃度のトナー画像)の長さが、全分割領域および非プリント可能領域における印字率が所定の下限値以上となり、その分割領域の印字率に応じて、全分割領域および非プリント可能領域における印字率が均一な状態に近づくように導出される。
【0030】
具体的には、トナーリフレッシュ制御部43は、露光装置2を制御して、プリント可能領域および非プリント可能領域においてトナー帯に対応する静電潜像が形成されるように、露光装置2に感光体ドラム1a~1dを露光させる。そして、このように形成された静電潜像に対して現像装置3a~3dがトナーを付着させることで、トナー帯が形成され、中間転写ベルト5に1次転写される。
【0031】
図4は、図1および図2に示す画像形成装置においてトナーリフレッシュ動作時に形成されるトナー帯について説明する図である。
【0032】
トナーリフレッシュ制御部43は、例えば図4に示すように、非プリント可能領域に形成すべきトナー帯の長さが所定閾値を超えた場合、非プリント可能領域に形成すべきトナー帯の少なくとも一部を、後続のページ画像51に並行して形成する。
【0033】
ここでは、トナー帯に対して先行するページ画像51とトナー帯との間には所定長G1の間隔が設定されており、また、トナー帯の後続のページ画像51は、トナー帯の後端から下限長G2以上の長さのエージング区間を開けて形成される。そして、トナーリフレッシュ制御部43は、非プリント可能領域に形成すべきトナー帯の長さが所定閾値を超えた場合、非プリント可能領域に形成すべきトナー帯を2つの分割トナー帯71-1,71-2に分割し、分割トナー帯の一方(分割トナー帯71-1)をプリント可能領域に形成すべきトナー帯72に並行して形成し、分割トナー帯の他方(分割トナー帯71-2)を、一方の分割トナー帯(分割トナー帯71-1)の後端から少なくともエージング区間を開けて後続のページ画像51に並行して形成する。
【0034】
ここでは、上述の所定閾値は、ページ画像51間の間隔の長さGpから上述の間隔の長さG1およびエージング区間の下限長G2を減算して得られる値(Gp-G1-G2)に設定される。
【0035】
図5は、図1および図2に示す画像形成装置においてトナーリフレッシュ動作に形成されるトナー帯の前後のページ画像51の間隔について説明する図である。
【0036】
ここでは、トナー帯の前後のページ画像51の間隔の長さGpは、トナー帯72の長さに応じて調整される。具体的には、一方の分割トナー帯(分割トナー帯71-1)の長さL1は、ページ画像間隔の長さGpから、当該一方の分割トナー帯と先行のページ画像51との間隔の長さG1およびエージング区間の下限長G2(固定値、例えば50mm)を減算して得られる長さである。
【0037】
例えば図5に示すように、ページ画像間隔の長さGpは、(a)ページ画像間隔の所定の規定長さGref、および(b)先行のページ画像51の後端からプリント可能領域に形成すべきトナー帯72の後端(つまり、複数の分割領域のトナー帯72のうち、最も長いトナー帯72aの後端)までの距離Lmaxとエージング区間の下限長G2との和のうちの長い方とされる。つまり、距離Lmaxとエージング区間の下限長G2との和が規定長さGref以下であれば、ページ画像間隔の長さGpは、規定長さGrefとなり、そうではなければ、ページ画像間隔の長さGpは、距離Lmaxとエージング区間の下限長G2との和となる。なお、トナー帯72が形成されないページ画像間隔の長さGpは、規定長さGrefとされる。
【0038】
次に、上記画像形成装置の動作について説明する。
【0039】
トナーリフレッシュ制御部43は、プリントやキャリブレーションごとに印字率を印字率データとして記憶装置(メモリーなど)に記憶していき、所定のトナーリフレッシュタイミングが到来すると、印字率データに基づいて、プリント可能領域の各分割領域および非プリント可能領域の印字率を導出し、その印字率に基づいて、プリント可能領域の各分割領域および非プリント可能領域において形成すべきトナー帯の長さを特定する。
【0040】
そして、トナーリフレッシュ制御部43は、上述のように、非プリント可能領域において形成すべきトナー帯を、必要に応じて、分割トナー帯71-1,71-2とし、副走査方向(画像搬送方向)において、ページ画像51の間で、プリント可能領域のトナー帯72と分割トナー帯71-1とを形成し、分割トナー帯71-2を、後続のページ画像51に並行して形成する。
【0041】
以上のように、上記実施の形態によれば、キャリブレーション制御部42は、露光装置2を制御して、主走査方向における非プリント可能領域にキャリブレーション用のトナーパッチ画像61を形成し、トナーパッチ画像61の濃度測定値に基づいて濃度調整および階調調整の少なくとも一方を実行する。トナーリフレッシュ制御部43は、露光装置2を制御して、印字率に応じたトナーリフレッシュ用のトナー帯を形成させる。そして、トナーリフレッシュ制御部43は、非プリント可能領域に形成すべきトナー帯の長さが所定閾値を超えた場合、非プリント可能領域に形成すべきトナー帯の少なくとも一部を、後続のページ画像51に並行して形成する。
【0042】
これにより、非プリント可能領域に形成すべきトナー帯が比較的長くてもページ画像間隔が長くならずに済むため、トナーリフレッシュ動作に起因する生産性の低下が抑制される。
【0043】
実施の形態2.
【0044】
実施の形態2に係る画像形成装置では、トナーリフレッシュ制御部43は、印字率に基づいて、プリント可能領域に形成すべきトナー帯72(上述の全分割領域のトナー帯72)が不要であると判定した場合、非プリント可能領域に形成すべきトナー帯の長さに拘わらず、非プリント可能領域に形成すべきトナー帯の全部を、後続のページ画像51に並行して形成する。具体的には、プリント可能領域の全分割領域の印字率が上述の下限値以上である場合、プリント可能領域に形成すべきトナー帯72が不要であると判定される。
【0045】
なお、実施の形態2に係る画像形成装置のその他の構成および動作については実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0046】
実施の形態3.
【0047】
実施の形態3に係る画像形成装置では、非プリント可能領域に形成すべきトナー帯(ここでは、分割トナー帯71-1,71-2)の形成位置が、キャリブレーションのトナーパッチ画像61の形成位置に重複すると判定した場合、キャリブレーション制御部42および/またはトナーリフレッシュ制御部43は、非プリント可能領域に形成すべきトナー帯(ここでは、分割トナー帯71-1,71-2)およびトナーパッチ画像61の形成順序を、所定の設定(ユーザー設定など)に基づいて選択し、キャリブレーション制御部42およびトナーリフレッシュ制御部43は、選択した形成順序に従ったタイミングで、非プリント可能領域に形成すべきトナー帯(ここでは、分割トナー帯71-1,71-2)およびトナーパッチ画像61をそれぞれ形成する。生産性優先の場合、非プリント可能領域に形成すべきトナー帯の形成が優先され、画質優先の場合、トナーパッチ画像61の形成が優先される。
【0048】
なお、実施の形態3に係る画像形成装置のその他の構成および動作については実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0049】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、例えば、電子写真方式の画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1a~1d 感光体ドラム
2 露光装置
3a~3d 現像装置
42 キャリブレーション制御部
43 トナーリフレッシュ制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6