(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/64 20060101AFI20241205BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H01R13/64
H01R13/639 Z
(21)【出願番号】P 2021051246
(22)【出願日】2021-03-25
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】名和 徹夫
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-152274(JP,A)
【文献】特開2013-187116(JP,A)
【文献】実開平01-166977(JP,U)
【文献】特開2020-080269(JP,A)
【文献】特開2000-082533(JP,A)
【文献】特開2015-005490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵌合方向に沿って相手ハウジングと嵌合するハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられ、前記相手ハウジングとの嵌合後に仮係止位置と本係止位置との間で移動する検知部材と、を備え、
前記ハウジングは、前記相手ハウジングに設けられたロック受け部に係止するロック部を有する弾性変形可能なロックアームを有し、
前記検知部材は、前記ロック部と前記ロック受け部とが係止した状態で前記ロックアームの撓み空間に進入して前記ロックアームの撓み規制をする位置保証係合部と、前記嵌合方向の後端部に設けられた
左右一対の操作部と、を有し、
前記検知部材は、前記嵌合方向と交差する積層方向について前記ハウジングに重なって配されており、かつ、前記仮係止位置に配された状態において前記ハウジングから前記嵌合方向の後方に突出しており、
前記ハウジングは端子が収容されるキャビティを有し、
前記ハウジングのうち前記検知部材と対向する面には、前記嵌合方向について前記キャビティの側方の位置に、前記嵌合方向に延びる係合溝が設けられており、
前記検知部材は、前記ハウジングに向けて突出し、且つ前記嵌合方向に沿って延びるとともに、前記係合溝内に進入する突条を有し、
前記ハウジングには、前記検知部材が前記本係止位置に移動した状態で、前記操作部に対応する位置に、前記操作部を収容するための
左右一対の収容凹部が設けられており、
前記ハウジングには、前記嵌合方向の後端部から、前記積層方向について上方に延びる
左右一対の立設壁が形成されており、
前記検知部材が前記本係止位置に移動し前記収容凹部に収容された状態で、前記操作部の左端部と前記立設壁の左側面が前記嵌合方向に連なっており、前記操作部の右端部と前記立設壁の右側面が前記嵌合方向に連なっており、
前記収容凹部は、前記立設壁に設けられているコネクタ。
【請求項2】
嵌合方向に沿って相手ハウジングと嵌合するハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられ、前記相手ハウジングとの嵌合後に仮係止位置と本係止位置との間で移動する検知部材と、を備え、
前記ハウジングは、前記相手ハウジングに設けられたロック受け部に係止するロック部を有する弾性変形可能なロックアームを有し、
前記検知部材は、前記ロック部と前記ロック受け部とが係止した状態で前記ロックアームの撓み空間に進入して前記ロックアームの撓み規制をする位置保証係合部と、前記嵌合方向の後端部に設けられた操作部と、を有し、
前記検知部材は、前記嵌合方向と交差する積層方向について前記ハウジングに重なって配されており、かつ、前記仮係止位置に配された状態において前記ハウジングから前記嵌合方向の後方に突出しており、
前記ハウジングは端子が収容されるキャビティを有し、
前記ハウジングのうち前記検知部材と対向する面には、前記嵌合方向について前記キャビティの側方の位置に、前記嵌合方向に延びる係合溝が設けられており、
前記検知部材は、前記ハウジングに向けて突出し、且つ前記嵌合方向に沿って延びるとともに、前記係合溝内に進入する突条を有し、
前記ハウジングには、前記検知部材が前記本係止位置に移動した状態で、前記操作部に対応する位置に、前記操作部を収容するための収容凹部が設けられており、
前記ハウジングには、前記嵌合方向の後端部から、前記積層方向について上方に延びる立設壁が形成されており、
前記収容凹部は、前記立設壁に設けられており、
前記ハウジングは、前記嵌合方向の両側方に突出するとともに、前記嵌合方向に沿って延びる嵌合リブを有し、
前記嵌合リブは、前記ハウジングと前記相手ハウジングとが誤った姿勢で嵌合する場合には前記相手ハウジングと当接し、前記ハウジングと前記相手ハウジングとが正規の姿勢で嵌合する場合には前記ハウジングと前記相手ハウジングとの嵌合動作を許容するようになっており、
前記係合溝は前記嵌合リブに設けられてい
るコネクタ。
【請求項3】
前記係合溝の底面の幅寸法は、前記係合溝の開口部の幅寸法よりも大きく設定されており、
前記突条の断面形状は前記係合溝の断面形状に倣った形状をなしている請求項1
または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記検知部材は、前記嵌合方向の前方に延びる延出部を有し、前記延出部のうち前記ハウジングと対向する面に前記突条が形成されており、
前記嵌合方向について、前記突条の前端部は、前記延出部の前端部よりも後方に位置している請求項1または請求項
3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングには、前記立設壁の先端部同士の間に架け渡されるようにして前記ロックアームの上方に設けられた保護部が形成されており、
前記検知部材は、前記積層方向について前記保護部の下方の位置に設けられて、前記保護部が前記積層方向について上方から力を受けたときに前記保護部に下方から当接する支持部を有する請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対のコネクタが正規に嵌合したかを検知するために、一方のコネクタに検知部材を組み付けたものが知られている。検知部材は、正規嵌合に至るまでの間は前進操作させることができず初期位置に保持されるが、一対のコネクタが正規嵌合に至ると前進操作が許容され検知位置へと移動する。検知部材を備えたコネクタの一例として特開2019-133758号公報が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検知部材が初期位置に保持された状態における検知部材の後端部を保護するために、コネクタの後端部には、検知部材を収容する収容部が、コネクタの後端部から後方に突出して設けられている。この収容部は、検知部材が検知位置へ移動した後は無駄なスペースとなっている。
【0005】
そこで、全体としてコネクタを小型化するために、検知部材を収容する収容部を、コネクタから突出させない構成とすることが考えられる。しかし、このような構成にすると、検知部材が初期位置に保持された状態において、検知部材の後端部がコネクタの後端部から後方に突出する状態となる。すると、検知部材の後端部に異物が衝突した場合など、検知部材に外力が加えられた場合において、検知部材が撓んだり、検知部材がコネクタから外れたりする可能性がある。
【0006】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、小型化されるとともに、検知部材に外力が作用しても、検知部材が撓んだり、検知部材がハウジングから外れたりすることを抑制できるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るコネクタは、嵌合方向に沿って相手ハウジングと嵌合するハウジングと、前記ハウジングに取り付けられ、前記相手ハウジングとの嵌合後に仮係止位置と本係止位置との間で移動する検知部材と、を備え、前記ハウジングは、前記相手ハウジングに設けられたロック受け部に係止するロック部を有する弾性変形可能なロックアームを有し、前記検知部材は、前記ロック部と前記ロック受け部とが係止した状態で前記ロックアームの撓み空間に進入して前記ロックアームの撓み規制をする位置保証係合部を有し、前記検知部材は、前記嵌合方向と交差する積層方向について前記ハウジングに重なって配されており、かつ、前記仮係止位置に配された状態において前記ハウジングから前記嵌合方向の後方に突出しており、前記ハウジングは端子が収容されるキャビティを有し、前記ハウジングのうち前記検知部材と対向する面には、前記嵌合方向について前記キャビティの側方の位置に、前記嵌合方向に延びる係合溝が設けられており、前記検知部材は、前記ハウジングに向けて突出し、且つ前記嵌合方向に沿って延びるとともに、前記係合溝内に進入する突条を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、コネクタを小型化できるとともに、検知部材に外力が作用しても、検知部材が撓んだり、検知部材がハウジングから外れたりすることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る雌コネクタを示す断面図であって、
図3におけるI-I線断面図である。
【
図2】
図2は、検知部材が本係止位置に配された状態の雌コネクタを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、検知部材が本係止位置に配された状態の雌コネクタを示す背面図である。
【
図4】
図4は、雌ハウジングと、検知部材とが組み付けられる工程を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、検知部材を示す下方からの斜視図である。
【
図11】
図11は、検知部材が仮係止位置に配された状態の雌コネクタを示す斜視図である。
【
図12】
図12は、検知部材が仮係止位置に配された状態の雌コネクタを示す側面図である。
【
図13】
図13は、検知部材が仮係止位置に配された状態の雌コネクタを示す断面図であって、
図3におけるI-I線に対応する位置で切断された断面図である。
【
図14】
図14は、検知部材が仮係止位置に配された状態の雌コネクタを示す一部拡大断面図であって、
図3におけるXV-XV線に対応する位置で切断された一部拡大断面図である。
【
図15】
図15は、
図3におけるXV-XV線断面の一部を拡大した、一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0011】
(1)本開示に係るコネクタは、嵌合方向に沿って相手ハウジングと嵌合するハウジングと、前記ハウジングに取り付けられ、前記相手ハウジングとの嵌合後に仮係止位置と本係止位置との間で移動する検知部材と、を備え、前記ハウジングは、前記相手ハウジングに設けられたロック受け部に係止するロック部を有する弾性変形可能なロックアームを有し、前記検知部材は、前記ロック部と前記ロック受け部とが係止した状態で前記ロックアームの撓み空間に進入して前記ロックアームの撓み規制をする位置保証係合部を有し、前記検知部材は、前記嵌合方向と交差する積層方向について前記ハウジングに重なって配されており、かつ、前記仮係止位置に配された状態において前記ハウジングから前記嵌合方向の後方に突出しており、前記ハウジングは端子が収容されるキャビティを有し、前記ハウジングのうち前記検知部材と対向する面には、前記嵌合方向について前記キャビティの側方の位置に、前記嵌合方向に延びる係合溝が設けられており、前記検知部材は、前記ハウジングに向けて突出し、且つ前記嵌合方向に沿って延びるとともに、前記係合溝内に進入する突条を有する。
【0012】
キャビティと検知部材との間に係合溝が設けられる場合に比べて、コネクタを小型化できる。突条が溝内に進入することにより、仮係止位置において検知部材に外力が作用しても、外力が突条、及び係合溝を介してハウジングによって受けられるので、検知部材が撓んだり、検知部材がハウジングから外れることが抑制される。
【0013】
(2)前記係合溝の底面の幅寸法は、前記係合溝の開口部の幅寸法よりも大きく設定されており、前記突条の断面形状は前記係合溝の断面形状に倣った形状をなしていることが好ましい。
【0014】
開口部の幅寸法よりも底面の幅寸法が大きく設定された係合溝に、突条が進入することにより、ハウジングと検知部材とが強固に保持されるので、検知部材が撓んだり、検知部材がハウジングから外れることが一層抑制される。
【0015】
(3)前記検知部材は、前記嵌合方向の前方に延びる延出部を有し、前記延出部のうち前記ハウジングと対向する面に前記突条が形成されており、前記嵌合方向について、前記突条の前端部は、前記延出部の前端部よりも後方に位置していることが好ましい。
【0016】
延出部の前端部によって突条の前端部が保護されるので、突条の前端部に異物が衝突することを抑制できる。
【0017】
(4)前記検知部材には、前記嵌合方向について両側端部に、作業者が前記検知部材を操作するための操作部が設けられており、前記ハウジングには、前記検知部材が前記本係止位置に移動した状態で、前記操作部に対応する位置に、前記操作部を収容するための収容凹部が設けられていることが好ましい。
【0018】
操作部が設けられていることにより、検知部材を操作しやすい。また、操作部が収容凹部内に収容されるので、検知部材が本係止位置に移動した状態で、操作部がハウジングの外部に突出することが抑制される。これにより、コネクタを全体として小型化できる。
【0019】
(5)前記ハウジングには、前記嵌合方向について両側端部から、前記積層方向について上方に延びる立設壁と、前記立設壁の先端部同士の間に架け渡されるようにして前記ロックアームの上方に設けられたと保護部と、が形成されており、前記検知部材は、前記積層方向について前記保護部の下方の位置に設けられて、前記保護部が前記積層方向について上方から力を受けたときに前記保護部に下方から当接する支持部を有することが好ましい。
【0020】
支持部によって保護部が下方から支持されるので、保護部が過度に変形することが抑制される。これにより、ロックアームをより一層保護することができる。
【0021】
(6)前記ハウジングは、前記嵌合方向の両側方に突出するとともに、前記嵌合方向に沿って延びる嵌合リブを有し、前記嵌合リブは、前記ハウジングと前記相手ハウジングとが誤った姿勢で嵌合する場合には前記相手ハウジングと当接し、前記ハウジングと前記相手ハウジングとが正規の姿勢で嵌合する場合には前記ハウジングと前記相手ハウジングとの嵌合動作を許容するようになっており、前記係合溝は前記嵌合リブに設けられていることが好ましい。
【0022】
嵌合リブに係合溝が設けられているので、ハウジングのスペースを有効に利用することができる。これにより、コネクタを全体として小型化できる。
【0023】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0024】
<実施形態1>
本開示の実施形態1について、
図1から
図15を参照しつつ説明する。本実施形態に係る雌コネクタ10(コネクタの一例)は、雄コネクタ11(相手コネクタの一例)と嵌合可能になっている。雌コネクタ10は、雌ハウジング12(ハウジングの一例)と、検知部材13と、を備える。以下の説明において、矢線Zで示される方向を上方とし、矢線Yで示される方向を前方とし、矢線Xで示される方向を左方として説明する。なお、複数の部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0025】
[雄コネクタ11]
図1に示されるように、雄コネクタ11は、絶縁性の合成樹脂材が射出成型された雄ハウジング14(相手ハウジングの一例)を有する。雄ハウジング14は後方に開口するフード部15を有する。フード部15内には、雌コネクタ10が後方から内嵌されるようになっている。本実施形態においては、前後方向が、雄コネクタ11と雌コネクタ10との嵌合方向とされる。フード部15の前壁には、前後方向に延びる板状をなす雄端子(図示せず)が配設されている。雄端子の後端部はフード部15内に位置するようになっている。
【0026】
フード部15の上壁の後端部には、下方に突出するロック受け部16が設けられている。ロック受け部16は、後述する雌コネクタ10のロック部17に後方から当接するようになっている。雄コネクタ11のロック受け部16が、雌コネクタ10のロック部17に後方から当接することにより、雌コネクタ10が後方に移動することが規制されるようになっている。
【0027】
[雌コネクタ10]
図2に示されるように、雌コネクタ10は、雌ハウジング12と、検知部材13と、を備える。雌ハウジング12には、前後方向に貫通する複数(本実施形態では4つ)のキャビティ18が、左右方向(交差方向の一例)に間隔を空けて、並んで形成されている。各キャビティ18内には、雌端子(図示せず)が収容される。雌ハウジング12の前端部には、フロントマスク19が取り付けられている。フロントマスク19の前壁には、雌ハウジング12のキャビティ18と連通する開口部20が、前後方向に貫通して形成されている(
図3参照)。
【0028】
図1に示されるように、雌ハウジング12の上壁の上面には、前端部から後方に延びるロックアーム21が設けられている。ロックアーム21の上面には、前後方向について中央付近に、上方に突出するロック部17が設けられている。ロックアーム21の後端部には、作業者がロックアーム21を操作するための操作部22が形成されている。
【0029】
図1に示されるように、ロック部17の下側には、上方に凹んだ係合凹部23が形成されている。この係合凹部23と、後述する検知部材13の弾性係合部24の位置保証係合部25とが係合するようになっている。ロックアーム21は、前端部を支点にして上下方向に弾性変形可能に形成されている。これにより、例えば、操作部22が作業者によって下方に押圧されることにより、下方に弾性変形することができる。
【0030】
図2に示されるように、雌ハウジング12の後端部寄りの位置には、左右両端部から上方に延びる立設壁26が形成されている。立設壁26の上端部同士は、保護部27により連結されている。保護部27は、ロックアーム21の上方において、立設壁26の上端部同士の間に架け渡されるように形成されている。立設壁26と、保護部27とによって、ロックアーム21が異物と干渉することが抑制されるようになっている。立設壁26、及び保護部27は、全体として弾性変形可能になっている。
【0031】
図2に示されるように、立設壁26の後端部には、前方に凹んで形成された収容凹部28が形成されている。後述するように、収容凹部28には、検知部材13が雌ハウジング12に対して本係止位置に保持された状態で、検知部材13に設けられた操作部29が収容されるようになっている。
【0032】
図4に示されるように、雌ハウジング12の後端部には、後方に開口するとともに、検知部材13が収容される検知部材収容部30が形成されている。検知部材13は、検知部材収容部30内に、前後方向に移動可能な状態で収容される。検知部材13は、雌ハウジング12のうちキャビティ18が形成された部分の上方(積層方向の一例)に重なって配されるようになっている。
【0033】
図5に示されるように、雌ハウジング12の右端部には右方に突出するとともに前後方向に延びる右嵌合リブ31(嵌合リブの一例)が形成されている。右嵌合リブ31は、雌ハウジング12の前端部まで延びている。また、雌ハウジング12の左端部には
左方に突出するとともに前後方向に延びる左嵌合リブ32(嵌合リブの一例)が形成されている。左嵌合リブ32は、雌ハウジング12の前端部まで延びている。
【0034】
図5に示されるように、雌ハウジング12と雄ハウジング14とが正規の姿勢で嵌合する際には、右嵌合リブ31、及び左嵌合リブ32は、雄ハウジング14のフード部15内に収容可能になっている。一方、詳細には図示しないが、雌ハウジング12と雄ハウジング14とが誤った姿勢で嵌合する際には、右嵌合リブ31、及び左嵌合リブ32が、雄ハウジング14と当接することにより、雄ハウジング14のフード部15内に収容されないようになっている。これにより、雌ハウジング12と雄ハウジング14との誤嵌合が抑制されるようになっている。
【0035】
図6に示されるように、右嵌合リブ31の上面には、後端部から前方に延びる右係合溝33(係合溝の一例)が凹状に形成されている。
図7に示されるように、左右方向について、右係合溝33の底面33Aの幅寸法は、右係合溝33の開口部33Bの幅寸法よりも大きく形成されている。換言すると、右係合溝33の断面形状は、左右方向について上底の幅寸法よりも下底の幅寸法が大きく形成された略台形状をなしている。右係合溝33の底面は雌ハウジング12の上面と平行に形成されている。右係合溝33の左側面は、雌ハウジング12の上面と直交して形成されている。右係合溝33の右側面は、底面に対して左方にややオーバーハングして形成されている。
【0036】
図6に示されるように、左嵌合リブ32の上面には、後端部から前方に延びる左係合溝34(係合溝の一例)が凹状に形成されている。
図7に示されるように、左右方向について、左係合溝34の底面34Aの幅寸法は、左係合溝34の開口部34Bの幅寸法よりも大きく形成されている。換言すると、左係合溝34の断面形状は、左右方向について上底の幅寸法よりも下底の幅寸法が大きく形成された略台形状をなしている。左係合溝34の底面は雌ハウジング12の上面と平行に形成されている。左係合溝34の右側面は、雌ハウジング12の上面と直交して形成されている。左係合溝34の左側面は、底面に対して右方にややオーバーハングして形成されている。
【0037】
[検知部材13]
図4に示されるように、検知部材13は、絶縁性の合成樹脂材が射出成型されることにより形成される。検知部材13は、左右方向に延びる基部35と、基部35の右端部から前方に延びる右腕部36と、基部35の左端部から前方に延びる左腕部37と、基部35のうち左右方向について中央位置付近から前方に延びる弾性係合部24と、を有する。
【0038】
図5に示されるように、基部35の左右両端部には、作業者が指でつまむことにより検知部材13を操作するための操作部29が設けられている。基部35の左右方向の長さ寸法は、雌ハウジング12の左右方向の長さ寸法と実質的に同じに形成されている。実質的に同じとは、基部35の左右方向の長さ寸法と、雌ハウジング12の左右方向の長さ寸法とが同じ場合を含むとともに、同じでない場合であっても実質的に同じと認定しうる場合も含む。
【0039】
図3に示されるように、操作部29の上下方向の高さ寸法は、雌ハウジング12の収容凹部28の上下方向についての差し渡し寸法と同じか、やや小さくなっている。これにより、操作部29は収容凹部28内に収容可能になっている。
【0040】
図4に示されるように、右腕部36、及び左腕部37は、左右方向について偏平な板状に形成されている。右腕部36、及び左腕部37の、基部35からの前方への突出長さ寸法は、左右同じに設定されている。弾性係合部24の、基部35からの前方への突出長さ寸法は、右腕部36、及び左腕部37の突出長さ寸法よりも大きく設定されている。
【0041】
図5に示されるように、右腕部36の前端部には、右方の突出する右係合受け部38が設けられている。右係合受け部38は、右側に形成された立設壁26の左側面に形成された右係合部39と係合可能になっている。また、左腕部37の前端部には、左方に突出する左係合受け部40が設けられている。左係合受け部40は、左側に形成された立設壁26の右側面に形成された左係合部41と係合可能になっている。右係合受け部38と右係合部39とが係合するとともに、左係合受け部40と左係合部41とが係合することにより、検知部材13は、雌ハウジング12に対して、仮係止位置(
図8参照)と、本係止位置(
図5参照)とに保持可能になっている。
【0042】
図3に示されるように、右腕部36の上端部と、左腕部37の上端部とは、検知部材13が雌ハウジング12に対して本係止位置に保持された状態で、雌ハウジング12の保護部27の下方に位置するようになっている。右腕部36の上端部、及び左腕部37の上端部は、保護部27が上方から力を受けたときに下方から保護部27と当接することにより保護部27を支持する支持部42とされる。
【0043】
図1に示されるように、弾性係合部24は、やや斜め前上方に延びて形成されている。弾性係合部24は、細長い板状に形成されており、上下方向に弾性変形可能になっている。
【0044】
図1に示されるように、弾性係合部24の前端部には、ロックアーム21のロック部17の下端部と後方から係合する前止まり係合部43が設けられている。前止まり係合部43は、後方に切り欠かれた凹状に形成されている。前止まり係合部43の上方には、ロックアーム21の係合凹部23の内壁と下方から係合する位置保証係合部25が形成されている(
図1参照)。位置保証係合部25は、係合凹部23の内壁の形状に倣って形成されている。なお、位置保証係合部25が係合凹部23の内壁の形状に倣って形成されているとは、位置保証係合部25の形状が係合凹部23の内壁の形状と整合して形成されている場合を含むと共に、位置保証係合部25の形状が係合凹部23の内壁の形状と整合していない場合でも、概ね整合していると認定しうる場合も含む。
【0045】
図9に示されるように、基部35には、右腕部36の下方の位置に、前方に延びる右延出部44(延出部の一例)が設けられている。また、基部35には、左腕部37の下方の位置に、前方に延びる左延出部45(延出部の一例)が設けられている。右延出部44、及び左延出部45は、上下方向について偏平な板状をなしている。右延出部44、及び左延出部45の、基部35から前方への突出長さ寸法は、左右同じに設定されている。
【0046】
図10に示されるように、右延出部44の下面には、下方に突出する右突条46(突条の一例)が前後方向に延びて形成されている。右突条46の前端部は、右延出部44の前端部よりもやや後方に位置している。
【0047】
図3に示されるように、右突条46の断面形状は、略台形状をなしており、右係合溝33の断面形状に倣った形状となっている。右突条46の外形状は、右係合溝33の内形状と同じかやや小さく形成されている。これにより、右突条46は、右係合溝33内に、後方から進入可能になっている。
【0048】
図10に示されるように、左延出部45の下面には、下方に突出する左突条47(突条の一例)が前後方向に延びて形成されている。左突条47の前端部は、左延出部45の前端部よりもやや後方に位置している。
【0049】
図3に示されるように、左突条47の断面形状は、略台形状をなしており、左係合溝34の断面形状に倣った形状となっている。左突条47の外形状は、左係合溝34の内形状と同じかやや小さく形成されている。これにより、左突条47は、左係合溝34内に、後方から進入可能になっている。
【0050】
[コネクタの組み付け工程]
続いて、雌コネクタ10と、雄コネクタ11との組み付け工程の一例について説明する。雌コネクタ10と、雄コネクタ11との組み付け工程は以下の記載に限定されない。
【0051】
雌ハウジング12は、絶縁性の合成樹脂材が射出成型されることにより所定の形状に形成される。雌ハウジング12に形成された各キャビティ18内に、雌端子が後方から挿入され、保持される。
【0052】
図4に示されるように、雌ハウジング12の検知部材収容部30内に、矢線Aで示されるように後方から検知部材13が組み付けられる。検知部材13の右突条46の前端部が、雌ハウジング12の右係合溝33内に後方から進入されるとともに、検知部材13の左突条47の前端部が、雌ハウジング12の左係合溝34内に後方から進入される。これにより、検知部材13は、検知部材収容部30内において、仮係止位置に保持される。
【0053】
図11及び
図12に示されるように、検知部材13が雌ハウジング12に対して仮係止位置に保持された状態では、検知部材13の後端部は、雌ハウジング12の後端部よりも後方に突出した状態になっている。また、
図13に示されるように、検知部材13の前止まり係合部43が、ロックアーム21のロック部17の下端部に後方から当接している。
【0054】
雄コネクタ11が、後方にフード部15が開口する姿勢で、雌ハウジング12に対して前方から組み付けられる。フード部15内に雌ハウジング12が嵌め入れられると、フード部15の上壁がロックアーム21に上方から当接する。すると、フード部15の上壁がロックアーム21を下方に押圧することにより、ロックアーム21が下方に撓み変形する。さらに雄コネクタ11が後方に押されると、ロックアーム21が復帰変形して、ロックアーム21のロック部17がフード部15のロック受け部16の内部に嵌入される。これにより、雄コネクタ11と、雌コネクタ10とが、抜け止め状態で保持される。
【0055】
続いて、検知部材13の基部35が後方から押圧されることにより、検知部材13が、仮係止位置(
図14参照)から本係止位置(
図15参照)に向けて前方に移動される。このとき、右突条46が右係合溝33内に進入するとともに、左突条47が左係合溝34内に進入して、前後方向にガイドされることにより、検知部材13がスムーズに、仮係止位置から本係止位置に移動されるようになっている。
【0056】
さらに検知部材13が前方に押されると、検知部材13が本係止位置に保持される。すると、
図1に示されるように、検知部材13の弾性係合部24の位置保証係合部25が、ロックアーム21の係合凹部23の内壁と下方から当接する。これにより、ロックアーム21が下方に撓み変形することが抑制されるので、雄コネクタ11と雌コネクタ10との嵌合位置が保証されるようになっている。
【0057】
[実施形態1の作用効果]
続いて、実施形態1の作用効果について説明する。実施形態1は、前後方向に沿って雄ハウジング14と嵌合する雌ハウジング12と、雌ハウジング12に取り付けられ、雄ハウジング14との嵌合後に仮係止位置と本係止位置との間で移動する検知部材13と、を備え、雌ハウジング12は、雄ハウジング14に設けられたロック受け部16に係止するロック部17を有する弾性変形可能なロックアーム21を有し、検知部材13は、ロック部17とロック受け部16とが係止した状態でロックアーム21の撓み空間に進入してロックアーム21の撓み規制をする位置保証係合部25を有し、検知部材13は、雌ハウジング12の上方に重なって配されており、かつ、仮係止位置に配された状態において雌ハウジング12から嵌合方向の後方に突出しており、雌ハウジング12は雌端子が収容されるキャビティ18を有し、雌ハウジング12のうち検知部材13と対向する面には、前後方向についてキャビティ18の側方の位置に、前後方向に延びる右係合溝33、及び左係合溝34が設けられており、検知部材13は、雌ハウジング12に向けて突出し、且つ前後方向に沿って延びるとともに、右係合溝33内に進入する右突条46、及び左係合溝34内に進入する左突条47を有する。
【0058】
キャビティ18と検知部材13との間に右係合溝33、及び左係合溝34が設けられる場合に比べて、雌コネクタ10を小型化できる。右突条46が右係合溝33内に進入し、且つ左突条47が左係合溝34内に進入することにより、仮係止位置において検知部材13に外力が作用しても、外力が右突条46、及び左突条47、並びに、右係合溝33、及び左係合溝34を介して雌ハウジング12によって受けられるので、検知部材13が撓んだり、検知部材13が雌ハウジング12から外れたりすることが抑制される。
【0059】
実施形態1によれば、右係合溝33の底面33Aの幅寸法は、右係合溝33の開口部33Bの幅寸法よりも大きく形成されており、左係合溝34の底面34Aの幅寸法は、左係合溝34の開口部34Bの幅寸法よりも大きく形成されている。
【0060】
開口部33Bの幅寸法よりも底面33Aの幅寸法が大きく形成された右係合溝33に、右突条46が進入するとともに、開口部34Bの幅寸法よりも底面34Aの幅寸法が大きく形成された左係合溝34に、左突条47が進入することにより、雌ハウジング12と検知部材13とが強固に保持されるので、検知部材13が撓んだり、検知部材13が雌ハウジング12から外れたりすることが一層抑制される。
【0061】
実施形態1によれば、検知部材13は、前方に延びる右延出部44、及び左延出部45を有し、右延出部44のうち雌ハウジング12と対向する面に右突条46が形成されており、左延出部45のうち雌ハウジング12と対向する面に左突条47が形成されており、右突条46の前端部は、右延出部44の前端部よりも後方に位置しており、左突条47の前端部は、左延出部45の前端部よりも後方に位置している。
【0062】
右延出部44の前端部によって右突条46の前端部が保護され、左延出部45の前端部によって左突条47の前端部が保護されるので、右突条46の前端部、及び左突条47の前端部に異物が衝突することを抑制できる。
【0063】
実施形態1によれば、検知部材13には、前後方向について両側端部に、作業者が検知部材13を操作するための操作部29が設けられており、雌ハウジング12には、検知部材13が本係止位置に移動した状態で、操作部29に対応する位置に、操作部29を収容するための収容凹部28が前方に凹んで設けられている。
【0064】
操作部29が設けられていることにより、検知部材13を操作しやすい。操作部29が収容凹部28内に収容されるので、検知部材13が本係止位置に移動した状態で、操作部29が雌ハウジング12の外部に突出することが抑制される。これにより、雌コネクタ10を全体として小型化できる。
【0065】
実施形態1によれば、雌ハウジング12には、嵌合方向について両側端部から、積層方向について上方に延びる立設壁26と、立設壁26の先端部同士の間に架け渡されるようにしてロックアーム21の上方に設けられたと保護部27と、が形成されており、検知部材13は、積層方向について保護部27の下方の位置に設けられて、保護部27が積層方向について上方から力を受けたときに保護部27に下方から当接する支持部42を有する。
【0066】
支持部42によって保護部27が下方から支持されるので、保護部27が過度に変形することが抑制される。これにより、ロックアーム21を一層保護することができる。
【0067】
実施形態1によれば、雌ハウジング12は、前後方向の両側方に突出するとともに、嵌合方向に沿って延びる右嵌合リブ31、及び左嵌合リブ32を有し、右嵌合リブ31、及び左嵌合リブ32は、雌ハウジング12と雄ハウジング14とが誤った姿勢で嵌合する場合には雄ハウジング14と当接し、雌ハウジング12と雄ハウジング14とが正規の姿勢で嵌合する場合には雌ハウジング12と雄ハウジング14との嵌合動作を許容するようになっており、右係合溝33は右嵌合リブ31に設けられ、左係合溝34は左嵌合リブ32に設けられている。
【0068】
右嵌合リブ31、及び左嵌合リブ32に、それぞれ、右係合溝33、及び左係合溝34が設けられているので、雌ハウジング12のスペースを有効に利用することができる。これにより、雌コネクタ10を全体として小型化できる。
【0069】
<他の実施形態>
(1)右係合溝33、及び左係合溝34の断面形状は実施形態1に記載された形状に限られず、例えば、いわゆるあり溝でもよい。また、右係合溝33、及び左係合溝34の断面形状は台形状に限られず、断面形状がL字状をなしていてもよいし、T字状をなしていてもよい。
【0070】
(2)雌ハウジング12は、1つから3つ、または、5つ以上のキャビティ18を有してもよいでもよい。
【0071】
(3)雌ハウジング12は収容凹部28を有しない構成としてもよい。
【0072】
(4)支持部42は省略してもよい。
【0073】
(5)右係合溝33、及び左係合溝34は、雌ハウジング12のうち、右嵌合リブ31、及び左嵌合リブ32と異なる部分に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10: 雌コネクタ
11: 雄コネクタ
12: 雌ハウジング
13: 検知部材
14: 雄ハウジング
15: フード部
16: ロック受け部
17: ロック部
18: キャビティ
19: フロントマスク
20: 開口部
21: ロックアーム
22: 操作部
23: 係合凹部
24: 弾性係合部
25: 位置保証係合部
26: 立設壁
27: 保護部
28: 収容凹部
29: 操作部
30: 検知部材収容部
31: 右嵌合リブ(嵌合リブ)
32: 左嵌合リブ(嵌合リブ)
33: 右係合溝
33A: 底面
33B: 開口部
34: 左係合溝
34A: 底面
34B: 開口部
35: 基部
36: 右腕部
37: 左腕部
38: 右係合受け部
39: 右係合部
40: 左係合受け部
41: 左係合部
42: 支持部
43: 前止まり係合部
44: 右延出部(延出部)
45: 左延出部(延出部)
46: 右突条(突条)
47: 左突条(突条)