(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】電磁弁装置及び吐水装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/05 20060101AFI20241205BHJP
E03D 5/10 20060101ALI20241205BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20241205BHJP
H01F 7/18 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
E03C1/05
E03D5/10
F16K31/06 360
F16K31/06 310E
H01F7/18 Z
(21)【出願番号】P 2021106836
(22)【出願日】2021-06-28
【審査請求日】2024-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2020160007
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 駿甫
(72)【発明者】
【氏名】森岡 聡子
(72)【発明者】
【氏名】太田 祐史
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-156451(JP,A)
【文献】特開2001-221121(JP,A)
【文献】特開平10-311455(JP,A)
【文献】特開平10-163025(JP,A)
【文献】特開2015-117465(JP,A)
【文献】特開2003-021257(JP,A)
【文献】特開2019-132356(JP,A)
【文献】国際公開第2013/191267(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/05
E03D 5/10
F16K 31/06
H01F 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水装置に用いられ、通水及び止水を制御する電磁弁装置であって、
水を流すための水路と、前記水路を閉じる止水位置と前記水路を開く通水位置とに移動するプランジャと、前記プランジャを前記止水位置及び前記通水位置に移動させるソレノイドコイルと、前記プランジャを前記止水位置に保持する第1保持部材と、前記プランジャを前記通水位置に保持する第2保持部材と、を有する自己保持型の電磁弁と、
前記ソレノイドコイルに流れる電流を検出する電流検出部と、
前記電流検出部の検出結果に基づいて前記ソレノイドコイルへの通電を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記プランジャを前記通水位置から前記止水位置に移動させる止水動作時において、前記ソレノイドコイルへの通電を開始した後、前記電流検出部の検出結果を基に、前記電流の傾きの変化量を演算するとともに、前記電流の傾きの変化量の符号の反転により、前記電流の傾きが、通電開始時よりも小さくなった後、再び大きくなるように変化する変化点を検出し、前記変化点の検出に応答して前記ソレノイドコイルへの通電を停止することを特徴とする電磁弁装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記電流の傾きの変化量の符号が、1回反転することにより、前記変化点を検出することを特徴とする請求項1記載の電磁弁装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記電流の傾きの変化量の符号が、2回反転することにより、前記変化点を検出することを特徴とする請求項1記載の電磁弁装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記電流の傾きの変化量の符号が、2回反転した後、さらに反転することにより、前記変化点を検出することを特徴とする請求項1記載の電磁弁装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記電流の傾きの変化量の符号が、2回反転した後、さらに1回反転することにより、前記変化点を検出することを特徴とする請求項4記載の電磁弁装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記電流の傾きの変化量の符号が、2回反転した後、さらに2回反転することにより、前記変化点を検出することを特徴とする請求項4記載の電磁弁装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記電流の傾きの変化量を演算するとともに、前記電流の傾きの変化量の変化をさらに演算し、前記電流の傾きの変化量の符号が、1回又は2回反転した後、前記電流の傾きの変化量の変化の符号が、1回又は2回反転することにより、前記変化点を検出することを特徴とする請求項1記載の電磁弁装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記電流の傾きの変化量の符号が、2回反転した後、前記変化点を検出できない場合には、前記ソレノイドコイルへの通電開始から一定時間の経過に応じて、前記ソレノイドコイルへの通電を停止することを特徴とする請求項4記載の電磁弁装置。
【請求項9】
異常の発生を報知するための報知部をさらに備え、
前記制御部は、前記電流の傾きの変化量の符号が、2回反転した後、前記変化点を検出できない場合に、前記報知部を動作させ、異常の発生を報知することを特徴とする請求項8記載の電磁弁装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記電流の傾きの変化量の符号が、2回反転した後、特定の条件を満たしている場合には、前記ソレノイドコイルへの通電開始から一定時間の経過に応じて、前記ソレノイドコイルへの通電を停止することを特徴とする請求項4記載の電磁弁装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記ソレノイドコイルへの通電を停止した後、止水が完了していない場合に、前記ソレノイドコイルに再度通電を行うことを特徴とする請求項1~10のいずれか1つに記載の電磁弁装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記ソレノイドコイルに再度通電を行う場合に、前回よりも長い通電時間となるように制御を行うことを特徴とする請求項11記載の電磁弁装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記変化点を検出した後、所定時間経過したことに応答して、前記ソレノイドコイルへの通電を停止することを特徴とする請求項1~12のいずれか1つに記載の電磁弁装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記電流検出部の検出結果を基に、第1時間毎に前記電流を平均化することにより、前記第1時間毎の前記電流の平均値を演算し、前記電流の平均値から前記電流の傾きを演算することを特徴とする請求項1~13のいずれか1つに記載の電磁弁装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記第1時間よりも長い第2時間毎に前記電流の傾きを平均化することにより、前記第2時間毎の前記電流の傾きの平均値を演算し、前記電流の傾きの平均値から前記電流の傾きの変化量を演算することを特徴とする請求項14記載の電磁弁装置。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1つに記載の電磁弁装置と、
電池及び発電機の少なくとも一方の電力を前記電磁弁装置に供給する電源部と、
を備えたことを特徴とする吐水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、電磁弁装置及び吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者の手などの対象物をセンサで検知して、吐止水を自動で制御する吐水装置がある。吐水装置は、給水及び止水を制御する電磁弁装置を備える。こうした吐水装置は、例えば、水栓装置、小便器、あるいは大便器などの水回り機器に適用されている。
【0003】
電磁弁装置では、電磁弁の開閉にも電力を使用する。このため、電磁弁装置では、電磁弁の低消費電力駆動が求められている。例えば、吐水時の水流を利用して発電する発電機や電池などから電力を供給する吐水装置においては、電磁弁の開閉にともなう電力の消費を抑えることで、発電機で溜めた電力や電池の電力を効率よく活用することができる。例えば、電池交換などのメンテナンスの頻度を低下させ、メンテナンスにかかる手間を抑制することができる。
【0004】
電磁弁の低消費電力駆動を実現するため、電磁弁を開く時のプランジャの移動にともなう電流の変化を検出し、プランジャの移動完了に応じて即座に電流の供給を停止することが提案されている(例えば、特許文献1)。これにより、電磁弁への無駄な通電を抑制し、電磁弁を開く時の電力の消費を抑えることができる。
【0005】
しかしながら、電磁弁を閉じる時には、開く時と比べてプランジャの移動にともなう電流の変化を検出し難い。また、プランジャの移動する時間は、水圧や温度変化などのノイズの影響を受けるため、プランジャの移動完了までの時間を出荷前などに予め設定しておくことも難しい。従って、電磁弁を閉じる時については、ノイズの影響などを考慮した十分に長い通電時間を予め設定しており、電磁弁を開く時と比べて消費電力が大きい。
【0006】
このため、電磁弁装置及び吐水装置では、電磁弁を閉じる時の無駄な通電を抑制し、消費電力をより抑制できるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、電磁弁を閉じる時の無駄な通電を抑制した電磁弁装置及び吐水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、吐水装置に用いられ、通水及び止水を制御する電磁弁装置であって、水を流すための水路と、前記水路を閉じる止水位置と前記水路を開く通水位置とに移動するプランジャと、前記プランジャを前記止水位置及び前記通水位置に移動させるソレノイドコイルと、前記プランジャを前記止水位置に保持する第1保持部材と、前記プランジャを前記通水位置に保持する第2保持部材と、を有する自己保持型の電磁弁と、前記ソレノイドコイルに流れる電流を検出する電流検出部と、前記電流検出部の検出結果に基づいて前記ソレノイドコイルへの通電を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記プランジャを前記通水位置から前記止水位置に移動させる止水動作時において、前記ソレノイドコイルへの通電を開始した後、前記電流検出部の検出結果を基に、前記電流の傾きの変化量を演算するとともに、前記電流の傾きの変化量の符号の反転により、前記電流の傾きが、通電開始時よりも小さくなった後、再び大きくなるように変化する変化点を検出し、前記変化点の検出に応答して前記ソレノイドコイルへの通電を停止することを特徴とする電磁弁装置である。
【0010】
この電磁弁装置によれば、電流の傾きの変化点を検出し、変化点の検出に応答してソレノイドコイルへの通電を停止することにより、電磁弁を閉じる止水動作時においても、必要以上に通電してしまうことを抑制し、低消費電力化することができる。また、電流の傾きの変化量の符号の反転によって変化点を検出することにより、電磁弁の環境因子や製造バラツキがある場合などにおいても、プランジャの移動の完了を正確に判断することができ、正確に止水を行うことができる。従って、電磁弁を閉じる時の無駄な通電を抑制した電磁弁装置を提供することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記制御部は、前記電流の傾きの変化量の符号が、1回反転することにより、前記変化点を検出することを特徴とする電磁弁装置である。
【0012】
この電磁弁装置によれば、ソレノイドコイルへの通電を開始した後、1回目の電流の傾きの変化点を検出し、電磁弁の環境因子や製造バラツキがある場合などにおいても、より早く止水を行うことができる。
【0013】
第3の発明は、第1の発明において、前記制御部は、前記電流の傾きの変化量の符号が、2回反転することにより、前記変化点を検出することを特徴とする電磁弁装置である。
【0014】
この電磁弁装置によれば、1回目の電流の傾きの変化点の直後を検出し、電磁弁の環境因子や製造バラツキがある場合などにおいても、より確実に止水を行うことができる。
【0015】
第4の発明は、第1の発明において、前記制御部は、前記電流の傾きの変化量の符号が、2回反転した後、さらに反転することにより、前記変化点を検出することを特徴とする電磁弁装置である。
【0016】
この電磁弁装置によれば、2回目以降の電流の傾きの変化点を検出することができる。本願発明者は、プランジャが、通水位置から止水位置に移動した後、移動の勢いで止水位置から跳ね返る可能性があることを見出した。止水位置から離れたタイミングでソレノイドコイルへの通電を停止してしまうと、プランジャが通水位置に戻り、電磁弁を適切に止水できない可能性がある。プランジャが止水位置で跳ね返る勢いは、2回目以降の跳ね返りにおいて小さくなる。従って、2回目以降の変化点を検出することにより、止水位置で跳ね返ったプランジャが再び止水位置に戻るタイミングを検出する。これにより、止水動作時の消費電力を抑制しつつ、プランジャが止水位置に移動したと考えられる、より適切なタイミングでソレノイドコイルへの通電を停止し、より確実に止水を行うことができる。
【0017】
第5の発明は、第4の発明において、前記制御部は、前記電流の傾きの変化量の符号が、2回反転した後、さらに1回反転することにより、前記変化点を検出することを特徴とする電磁弁装置である。
【0018】
この電磁弁装置によれば、2回目の電流の傾きの変化点を検出し、プランジャが止水位置に移動したと考えられる、より適切なタイミングで、より早く止水を行うことができ、止水動作時の消費電力を適切に抑制することができる。
【0019】
第6の発明は、第4の発明において、前記制御部は、前記電流の傾きの変化量の符号が、2回反転した後、さらに2回反転することにより、前記変化点を検出することを特徴とする電磁弁装置である。
【0020】
この電磁弁装置によれば、2回目の電流の傾きの変化点の直後を検出し、プランジャが止水位置に移動したと考えられる、より適切なタイミングで、より確実に止水を行うことができる。止水動作時の消費電力を適切に抑制しつつ、より確実に止水を行うことができる。
【0021】
第7の発明は、第1の発明において、前記制御部は、前記電流の傾きの変化量を演算するとともに、前記電流の傾きの変化量の変化をさらに演算し、前記電流の傾きの変化量の符号が、1回又は2回反転した後、前記電流の傾きの変化量の変化の符号が、1回又は2回反転することにより、前記変化点を検出することを特徴とする電磁弁装置である。
【0022】
この電磁弁装置によれば、ソレノイドコイルに流れる電流の傾きの変化量が小さい場合などにおいても、電流の傾きの変化点をより適切に検出することができる。
【0023】
第8の発明は、第4の発明において、前記制御部は、前記電流の傾きの変化量の符号が、2回反転した後、前記変化点を検出できない場合には、前記ソレノイドコイルへの通電開始から一定時間の経過に応じて、前記ソレノイドコイルへの通電を停止することを特徴とする電磁弁装置である。
【0024】
この電磁弁装置によれば、変化点を検出できなかった場合にも、より確実に止水を行うことができる。
【0025】
第9の発明は、第8の発明において、異常の発生を報知するための報知部をさらに備え、前記制御部は、前記電流の傾きの変化量の符号が、2回反転した後、前記変化点を検出できない場合に、前記報知部を動作させ、異常の発生を報知することを特徴とする電磁弁装置である。
【0026】
この電磁弁装置によれば、変化点を検出できなかった場合に、より確実に止水を行いつつ、変化点を検出できない異常が発生したことを使用者などに対して報知することができる。
【0027】
第10の発明は、第4の発明において、前記制御部は、前記電流の傾きの変化量の符号が、2回反転した後、特定の条件を満たしている場合には、前記ソレノイドコイルへの通電開始から一定時間の経過に応じて、前記ソレノイドコイルへの通電を停止することを特徴とする電磁弁装置である。
【0028】
この電磁弁装置によれば、特定の条件を満たしている場合にも、より確実に止水を行うことができる。
【0029】
第11の発明は、第1~第10のいずれか1つの発明において、前記制御部は、前記ソレノイドコイルへの通電を停止した後、止水が完了していない場合に、前記ソレノイドコイルに再度通電を行うことを特徴とする電磁弁装置である。
【0030】
この電磁弁装置によれば、プランジャが止水位置で跳ね返り、通水位置に戻ってしまうことにより、吐水状態のままとなってしまうことを抑制することができる。
【0031】
第12の発明は、第11の発明において、前記制御部は、前記ソレノイドコイルに再度通電を行う場合に、前回よりも長い通電時間となるように制御を行うことを特徴とする電磁弁装置である。
【0032】
この電磁弁装置によれば、プランジャが止水位置で跳ね返り、通水位置に戻ってしまうことにより、吐水状態のままとなってしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0033】
第13の発明は、第1~第12のいずれか1つの発明において、前記制御部は、前記変化点を検出した後、所定時間経過したことに応答して、前記ソレノイドコイルへの通電を停止することを特徴とする電磁弁装置である。
【0034】
この電磁弁装置によれば、プランジャが止水位置に移動したと考えられる、より適切なタイミングでソレノイドコイルへの通電を停止し、より確実に止水を行うことができる。
【0035】
第14の発明は、第1~第13のいずれか1つの発明において、前記制御部は、前記電流検出部の検出結果を基に、第1時間毎に前記電流を平均化することにより、前記第1時間毎の前記電流の平均値を演算し、前記電流の平均値から前記電流の傾きを演算することを特徴とする電磁弁装置である。
【0036】
この電磁弁装置によれば、電流検出部の検出結果に含まれるノイズの影響などを抑制し、電流の傾きの変化点をより正確に検出することができる。
【0037】
第15の発明は、第14の発明において、前記制御部は、前記第1時間よりも長い第2時間毎に前記電流の傾きを平均化することにより、前記第2時間毎の前記電流の傾きの平均値を演算し、前記電流の傾きの平均値から前記電流の傾きの変化量を演算することを特徴とする電磁弁装置である。
【0038】
この電磁弁装置によれば、制御部における演算の負荷を軽減しつつ、電流検出部の検出結果に含まれるノイズの影響などを抑制し、電流の傾きの変化点をより正確に検出することができる。
【0039】
第16の発明は、第1~第15のいずれか1つの発明の電磁弁装置と、電池及び発電機の少なくとも一方の電力を前記電磁弁装置に供給する電源部と、を備えたことを特徴とする吐水装置である。
【0040】
この吐水装置によれば、電流の傾きの変化点を検出し、変化点の検出に応答してソレノイドコイルへの通電を停止することにより、電磁弁を閉じる止水動作時においても、必要以上に通電してしまうことを抑制し、低消費電力化することができる。また、電流の傾きの変化量の符号の反転によって変化点を検出することにより、電磁弁の環境因子や製造バラツキがある場合などにおいても、プランジャの移動の完了を正確に判断することができ、正確に止水を行うことができる。従って、電磁弁を閉じる時の無駄な通電を抑制した吐水装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明の態様によれば、電磁弁を閉じる時の無駄な通電を抑制した電磁弁装置及び吐水装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】第1の実施形態に係る水栓装置を模式的に表す説明図である。
【
図2】
図2(a)及び
図2(b)は、第1の実施形態に係る電磁弁を模式的に表す説明図である。
【
図3】第1の実施形態に係る水栓装置を模式的に表すブロック図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、制御部の動作の一例を模式的に表すグラフである。
【
図5】
図5(a)~
図5(c)は、制御部の動作の一例を模式的に表すグラフである。
【
図6】第1の実施形態に係る電磁弁の動作の一例を模式的に表すグラフである。
【
図7】第1の実施形態に係る制御部の動作の一例を模式的に表すフローチャートである。
【
図8】
図8(a)~
図8(c)は、制御部の別の動作の一例を模式的に表すグラフである。
【
図9】第1の実施形態に係る電磁弁の別の動作の一例を模式的に表すグラフである。
【
図10】第1の実施形態に係る電磁弁の別の動作の一例を模式的に表すグラフである。
【
図11】
図11(a)及び
図11(b)は、第1の実施形態に係る電磁弁の別の動作の一例を模式的に表すグラフである。
【
図12】
図12(a)及び
図12(b)は、第1の実施形態に係る電磁弁の別の動作の一例を模式的に表すグラフである。
【
図13】第1の実施形態に係る制御部の動作の変形例を模式的に表すフローチャートである。
【
図14】
図14(a)及び
図14(b)は、第1の実施形態に係る電磁弁の別の動作の一例を模式的に表すグラフである。
【
図15】第1の実施形態に係る水栓装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
【
図16】第1の実施形態に係る制御部の動作の変形例を模式的に表すフローチャートである。
【
図17】第1の実施形態に係る水栓装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
【
図18】第1の実施形態に係る制御部の動作の変形例を模式的に表すフローチャートである。
【
図19】第1の実施形態に係る制御部の動作の変形例を模式的に表すフローチャートである。
【
図20】制御部の動作の一例を模式的に表すグラフである。
【
図21】第1の実施形態に係る水栓装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
【
図22】第1の実施形態に係る制御部の動作の変形例を模式的に表すフローチャートである。
【
図23】第1の実施形態に係る水栓装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
【
図24】第1の実施形態に係る水栓装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
【
図25】第2の実施形態にかかるトイレ装置を表す斜視図である。
【
図26】第3の実施形態にかかるトイレ装置を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る水栓装置を模式的に表す説明図である。
図1に表したように、水栓装置10(吐水装置)は、対象物(人体や物体等)を検知して自動的な吐止水を行うものであり、洗面台に備え付けられる洗面器11に対して吐止水を行う。
【0044】
洗面器11は、洗面カウンタ12に設けられる。洗面カウンタ12の上には、洗面器11のボウル面11aに対して水を吐出するためのスパウトを構成する水栓13(吐水部)が設けられる。水栓13は、水を吐出する吐水口13aを有し、この吐水口13aから吐出される水が洗面器11のボウル面11a内に吐出されるように設けられる。
【0045】
水栓13が吐水口13aから吐出する水は、給水路14により供給される。給水路14は、水道管等の給水源から供給される水を吐水口13aへと導く。洗面器11には、排水路15が接続されている。排水路15は、吐水口13aから洗面器11のボウル面11a内に吐水された水を排出する。
【0046】
水栓装置10は、水栓13と給水路14とを備えるとともに、電磁弁装置20と、センサ部22と、発電機24と、をさらに備える。電磁弁装置20は、電磁弁30と、制御部32と、を備える。電磁弁30及び制御部32は、例えば、洗面台の下側に収容される。電磁弁30及び制御部32は、例えば、洗面カウンタ12の下方に設けられるキャビネット(図示は省略)内に収容される。
【0047】
センサ部22は、例えば、水栓13の内部に収容される。但し、センサ部22は、水栓13と別に設けてもよい。センサ部22は、接続ケーブル23を介して電磁弁装置20の制御部32と接続されている。制御部32は、例えば、接続ケーブル23を介してセンサ部22に電源電圧を供給し、接続ケーブル23を介してセンサ部22を制御する。
【0048】
電磁弁30は、給水路14に設けられ、給水路14の開閉を行う。電磁弁30が開くと、給水路14から供給された水が吐水口13aから吐出される吐水状態となり、電磁弁30が閉じると、給水路14から供給された水が吐水口13aから吐出されない止水状態となる。
【0049】
電磁弁30は、制御部32に接続されている。制御部32は、電磁弁30を駆動して、電磁弁30の開/閉動作を制御する。電磁弁30は、制御部32からの制御信号に従って電気的に制御され、給水路14の開閉を行う。このように、電磁弁30は、吐水口13aから吐水される水の給水路14を開閉する給水バルブとして機能する。
【0050】
電磁弁30は、例えば、ラッチング・ソレノイド・バルブと称される自己保持型電磁弁(ラッチ式電磁弁)であり、ソレノイドコイルへの一方向への通電によって閉状態から開状態に動作(開動作)し、その後ソレノイドコイルへの通電を遮断しても開状態を保持し、ソレノイドコイルへの他方向への通電によって開状態から閉状態に動作(閉動作)し、その後ソレノイドコイルへの通電を遮断しても閉状態を保持する。
【0051】
センサ部22は、吐水口13aに接近する対象物(手など)を検知する。この吐水口13aの吐水先が、センサ部22の検知領域となる。センサ部22は、光信号を送信し、送信した光信号を受けた人体等の対象物から反射した反射信号を受信することにより、対象物の位置や動き等を検知する。
【0052】
センサ部22は、例えば、赤外光の光信号を用いた光センサである。センサ部22から送信される光信号は、例えば、可視光などでもよい。以下では、光信号を赤外光として説明を行う。なお、「赤外光」とは、例えば、0.7μm以上1000μm以下の波長の光である。また、センサ部22には、例えば、超音波センサやマイクロ波センサなどを用いてもよい。
【0053】
センサ部22は、水栓13の吐水口13a近くの内部に設けられ、洗面台の使用者側(
図1において左側)に向けて光信号を送信するように配置される。これにより、センサ部22は、吐水口13aに人体が近づいてきたことや、吐水口13aに近づいた人体から吐水口13aに向けて手が差し出されたこと等を検知可能にする。
【0054】
センサ部22は、対象物の検知結果を表す検知信号を接続ケーブル23を介して制御部32に入力する。制御部32は、センサ部22から入力された検知信号に基づいて、対象物の有無を検知する。制御部32は、例えば、検知信号に基づいて、対象物の位置や動き等を検知する。そして、制御部32は、この検知結果に基づいて電磁弁30の開/閉動作を制御する。また、制御部32は、センサ部22に対して制御信号を出力して、センサ部22のセンシング動作を制御する。
【0055】
発電機24は、例えば、水栓13と電磁弁30との間の給水路14の経路上に設けられ、電磁弁30を開いた際に、給水路14を流れる水の流れを利用して発電を行う。発電機24は、発電した電力を電磁弁装置20などに供給する。なお、発電機24は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0056】
以上のように、本実施形態の水栓装置10では、センサ部22の検知信号に基づいて制御部32が制御することにより、電磁弁30の開/閉動作が制御される。これにより、吐水口13aに接近する対象物の検知結果(洗面台の使用者の動き等)に応じた吐水を行う。制御部32は、対象物の検知に応じて吐水を行い、対象物の非検知に応じて吐水を停止させる。すなわち、水栓装置10では、使用者が吐水口13aの近くに手などを差し出している間、自動的に吐水が行われる。
【0057】
センサ部22は常に動作しているのではなく、例えば、センシングを必要とするタイミングに動作をするように、制御部32が制御している。これにより、センサ部22の消費電力を下げることができる。制御部32は、例えば、使用者が不便に感じない程度にセンサ部22のセンシング動作の頻度を下げる。これにより、水栓装置10全体の低消費電力化を図ることができる。
【0058】
図2(a)及び
図2(b)は、第1の実施形態に係る電磁弁を模式的に表す説明図である。
図2(a)及び
図2(b)に表したように、電磁弁30は、水路40と、プランジャ42と、ソレノイドコイル44と、第1保持部材46と、第2保持部材48と、ダイアフラム50と、を有する。
【0059】
水路40は、電磁弁30の内部に水を流すための水路である。水路40は、給水路14の一部を構成する。水路40の入口側が給水管などの給水源と接続され、水路40の出口側が水栓13と接続される。
【0060】
プランジャ42は、水路40を閉じる止水位置と、水路40を開く通水位置と、に移動する。この例では、
図2(a)に表した位置が、通水位置であり、
図2(b)に表した位置が、止水位置である。プランジャ42は、例えば、止水位置と通水位置との間で直線移動する。プランジャ42は、例えば、プランジャ本体42aと、弾性体42bと、を有する。プランジャ本体42aは、例えば、棒状である。プランジャ本体42aには、例えば、鉄などの強磁性体が用いられる。弾性体42bは、プランジャ本体42aの先端部に設けられている。弾性体42bには、例えば、ゴムなどが用いられる。弾性体42bの弾性率は、プランジャ本体42aの弾性率よりも低い。なお、プランジャ42は、必ずしも弾性体42bを有しなくてもよい。
【0061】
ソレノイドコイル44は、プランジャ42を止水位置及び通水位置に移動させる。ソレノイドコイル44は、管状である。プランジャ42は、ソレノイドコイル44の内部に挿通された状態で配置される。ソレノイドコイル44は、電流の供給に応じて電磁力を発生させることにより、内部に挿通されたプランジャ42を止水位置及び通水位置に直線移動させる。
【0062】
第1保持部材46は、プランジャ42を止水位置に保持する。第1保持部材46は、例えば、コイルバネである。第1保持部材46は、例えば、止水位置側に付勢する付勢力をプランジャ42に加えることにより、プランジャ42を止水位置に保持する。
【0063】
第2保持部材48は、プランジャ42を通水位置に保持する。第2保持部材48は、例えば、永久磁石である。第2保持部材48は、例えば、通水位置側に吸着させる吸着力をプランジャ42に加えることにより、プランジャ42を通水位置に保持する。
【0064】
ダイアフラム50は、水路40とプランジャ42との間に設けられる。ダイアフラム50は、プランジャ42が止水位置に移動した際に、ダイアフラム50の両面に圧力差が生じてダイアフラム50が移動し、プランジャ42とともに水路40を閉じる。プランジャ42は、止水位置に移動し、水路40を閉じる際に、弾性体42bを水路40あるいはダイアフラム50に当接させる。これにより、水路40やダイアフラム50などとの密着性を高め、より適切に水路40を閉じることができる。また、弾性体42bを当接させることにより、止水時にプランジャ42が水路40やダイアフラム50に当接し、音が発生してしまうことを抑制することもできる。なお、ダイアフラム50は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0065】
電磁弁30では、ソレノイドコイル44に流す電流の向きによって、プランジャ42を止水位置と通水位置とに移動させることができる。
【0066】
プランジャ42を止水位置に移動させた場合には、コイルバネである第1保持部材46の付勢力が、永久磁石である第2保持部材48の吸着力よりも大きくなる。これにより、プランジャ42を止水位置に移動させた場合には、第1保持部材46の付勢力によってプランジャ42が止水位置に保持される。
【0067】
一方、プランジャ42を通水位置に移動させた場合には、永久磁石である第2保持部材48の吸着力が、コイルバネである第1保持部材46の付勢力よりも大きくなる。これにより、プランジャ42を通水位置に移動させた場合には、第2保持部材48の吸着力によってプランジャ42が通水位置に保持される。
【0068】
なお、上記とは反対に、第1保持部材46を永久磁石とし、第2保持部材48をコイルバネとしてもよい。第1保持部材46及び第2保持部材48の構成は、プランジャ42の位置を保持可能な任意の構成でよい。
【0069】
図3は、第1の実施形態に係る水栓装置を模式的に表すブロック図である。
図3に表したように、水栓装置10は、電源部26をさらに備える。電源部26は、発電機24及び電池28と接続されている。電源部26は、発電機24及び電池28の電力を電磁弁装置20などに供給する。電源部26は、例えば、発電機24及び電池28から供給される直流電力を所定の電圧値の直流電力に変換し、電磁弁装置20やセンサ部22などの各部に供給する。
【0070】
電池28は、図示を省略したホルダなどに着脱可能に取り付けられる。電池28は、電源部26に対して着脱可能に接続される。電池28の電圧が低下した場合などには、電池28の交換が行われる。
【0071】
この例では、電源部26が、発電機24及び電池28と接続されている。電源部26は、発電機24及び電池28の少なくとも一方と接続されていればよい。電源部26は、発電機24及び電池28の少なくとも一方の電力を電磁弁装置20に供給可能に構成されていればよい。
【0072】
電磁弁装置20は、電流検出部34と、駆動回路36と、をさらに備える。電流検出部34は、ソレノイドコイル44に流れる電流を検出する。電流検出部34は、制御部32と接続され、電流の検出結果を制御部32に入力する。
【0073】
駆動回路36は、電源部26及びソレノイドコイル44と接続されている。駆動回路36は、電源部26から供給された電力を基に、ソレノイドコイル44への電流の供給、及びソレノイドコイル44への電流の供給の停止を切り替える。また、駆動回路36は、ソレノイドコイル44に供給する電流の向きを切り替え可能とする。すなわち、駆動回路36は、プランジャ42の止水位置への移動及び通水位置への移動を可能とする。
【0074】
制御部32は、センサ部22の検出結果及び電流検出部34の検出結果に基づいて、ソレノイドコイル44への通電を制御する。制御部32は、駆動回路36と接続されている。制御部32は、センサ部22の検出結果及び電流検出部34の検出結果に基づいて、駆動回路36の動作を制御することにより、ソレノイドコイル44への通電を制御する。
【0075】
図4(a)及び
図4(b)は、制御部の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図4(a)及び
図4(b)は、プランジャ42を止水位置から通水位置に移動させる通水動作時の制御部32の動作の一例を模式的に表す。
図4(a)は、電流検出部34によって検出されるソレノイドコイル44に流れる電流の一例を模式的に表す。
図4(b)は、駆動回路36によるソレノイドコイル44への通電の動作の一例を模式的に表す。
【0076】
制御部32は、センサ部22の非検知状態から検知状態への切り替わりに応答して、駆動回路36を駆動することにより、プランジャ42を通水位置に移動させる方向の電流をソレノイドコイル44に供給する(
図4のタイミングT11)。
【0077】
通水動作時においては、プランジャ42が止水位置から通水位置に移動を開始すると、プランジャ42の移動にともなってソレノイドコイル44に誘導作用による逆起電力が発生する。このため、
図4(a)に表したように、通水動作時においては、通電開始から電流が増加した後、一度減少する。そして、プランジャ42の通水位置への移動が完了すると、逆起電力が消失するため、電流が再度増加する。
【0078】
制御部32は、通水動作時においては、電流検出部34の検出結果を基に、電流が増加した後、一度減少し、再度増加するように変化する変化点CP1を検出し、この変化点CP1の検出に応答して駆動回路36を駆動することにより、ソレノイドコイル44への通電を停止する(
図4のタイミングT12)。これにより、通水動作時において、ソレノイドコイル44への無駄な通電を抑制し、電磁弁装置20及び水栓装置10を低消費電力化することができる。
【0079】
プランジャ42が通水位置に移動すると、水路40が開く。換言すれば、電磁弁30が開く。従って、水栓13の吐水口13aから水が吐出される吐水状態となる。また、プランジャ42が通水位置に移動すると、プランジャ42が第2保持部材48によって通水位置に保持される。従って、ソレノイドコイル44への通電を停止した後にも、プランジャ42が通水位置に保持され、水栓13の吐水状態が維持される。
【0080】
なお、
図4の上部に表した電流波形では、タイミングT12においてソレノイドコイル44への通電を停止した波形ではなく、再度増加することを分かり易く示すため、変化点CP1を超えた後にもソレノイドコイル44に通電し続けている状態を便宜的に表している。
【0081】
図5(a)~
図5(c)は、制御部の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図5(a)~
図5(c)は、プランジャ42を通水位置から止水位置に移動させる止水動作時の制御部32の動作の一例を模式的に表す。
図5(a)は、電流検出部34によって検出されるソレノイドコイル44に流れる電流の一例を模式的に表す。
図5(b)は、ソレノイドコイル44に流れる電流の微分値の一例を模式的に表す。
図5(c)は、駆動回路36によるソレノイドコイル44への通電の動作の一例を模式的に表す。
【0082】
制御部32は、センサ部22の検知状態から非検知状態への切り替わりに応答して、駆動回路36を駆動することにより、プランジャ42を止水位置に移動させる方向の電流をソレノイドコイル44に供給する(
図5のタイミングT21)。
【0083】
図5(a)に表したように、止水動作時においては、通水動作時と比べて、プランジャ42の移動にともなう電流の変化が小さい。このため、制御部32は、止水動作時においては、ソレノイドコイル44への通電を開始した後、電流検出部34の検出結果を基に、電流の傾きの変化量を演算するとともに、電流の傾きの変化量の符号の反転により、電流の傾きが、通電開始時よりも小さくなった後、再び大きくなるように変化する変化点CP2を検出し、この変化点CP2の検出に応答して駆動回路36を駆動することにより、ソレノイドコイル44への通電を停止する(
図5のタイミングT23)。これにより、止水動作時においても、ソレノイドコイル44への無駄な通電を抑制し、電磁弁装置20及び水栓装置10を低消費電力化することができる。
【0084】
なお、
図5(a)の電流波形及び
図5(b)の微分値の波形では、タイミングT23においてソレノイドコイル44への通電を停止した波形ではなく、電流の傾きが再び大きくなるように変化することを分かり易く示すため、変化点CP2を超えた後にもソレノイドコイル44に通電し続けている状態を便宜的に表している。
【0085】
制御部32は、例えば、所定のサンプリング時間でソレノイドコイル44に流れる電流の検出結果(電流値)を電流検出部34から取得する。サンプリング時間は、例えば、10μsである。但し、サンプリング時間は、これに限ることなく、任意の時間でよい。
【0086】
制御部32は、電流検出部34の検出結果を基に、第1時間毎に電流値を平均化することにより、第1時間毎の電流(電流値)の平均値を演算する。第1時間は、例えば、100μsである。制御部32は、例えば、電流値を10個取得する毎に、取得した10個の電流値を基に、電流の平均値を演算する。但し、第1時間は、これに限ることなく、サンプリング時間よりも長い任意の時間でよい。
【0087】
制御部32は、電流の平均値から電流の傾きを演算する。制御部32は、第1時間毎に電流の平均値を演算した後、前回の電流の平均値と今回の電流の平均値とを基に微分の演算を行うことにより、電流の傾きを演算する。より詳しくは、制御部32は、第1時間をt1とし、前回の電流の平均値をC1とし、今回の電流の平均値をC2とし、電流の傾きをDfとするとき、Df=(C1-C2)/t1の式により、電流の傾きDfを演算する。電流の傾きは、換言すれば、
図5(b)に表した電流の微分値である。このため、制御部32は、前回の電流の平均値C1、及び今回の電流の平均値C2を演算するための所定回数分の電流値を少なくとも内部のメモリなどに記憶する。
【0088】
なお、電流の傾きの演算は、電流値のサンプリング毎に行ってもよい。但し、上記のように、電流の平均値から電流の傾きを演算することにより、例えば、電流検出部34の検出結果に含まれるノイズの影響などを抑制することができる。また、電流値のサンプリング毎に電流の傾きを演算する場合と比べて、制御部32の演算負荷を抑えることもできる。
【0089】
制御部32は、第1時間よりも長い第2時間毎に電流の傾き(微分値)を平均化することにより、第2時間毎の電流の傾きの平均値を演算する。第2時間は、例えば、500μsである。制御部32は、例えば、電流の傾きを5個取得する毎に、取得した5個の電流の傾きを基に、電流の傾きの平均値を演算する。但し、第2時間は、これに限ることなく、第1時間よりも長い任意の時間でよい。
【0090】
制御部32は、電流の傾きの平均値から電流の傾きの変化量を演算する。制御部32は、第2時間毎に電流の傾きの平均値を演算した後、前回の電流の傾きの平均値と今回の電流の傾きの平均値とを基に微分の演算を行うことにより、電流の傾きの変化量を演算する。より詳しくは、制御部32は、第2時間をt2とし、前回の電流の傾きの平均値をDf1とし、今回の電流の傾きの平均値をDf2とし、電流の傾きの変化量をSLとするとき、SL=(Df1-Df2)/t2の式により、電流の傾きの変化量SLを演算する。電流の傾きの変化量は、換言すれば、電流値を2回微分した2回微分値である。
【0091】
なお、電流の傾きの変化量の演算は、電流の傾きの演算毎に行ってもよい。すなわち、制御部32は、第1時間をt1とし、前回の電流の傾きをDf1とし、今回の電流の傾きをDf2とし、電流の傾きの変化量をSLとするとき、SL=(Df1-Df2)/t1の式により、電流の傾きの変化量SLを演算してもよい。但し、上記のように、電流の傾きの平均値から電流の傾きの変化量を演算することにより、例えば、電流検出部34の検出結果に含まれるノイズの影響などをより抑制することができる。また、電流の傾きの演算毎に電流の傾きの変化量を演算する場合と比べて、制御部32の演算負荷を抑えることもできる。
【0092】
図5(a)及び
図5(b)に表したように、電流の傾きは、ソレノイドコイル44への通電の開始から変化点CP2の部分に向かって小さくなった後、変化点CP2の部分で一時的に大きくなる。このため、
図5(b)に表したように、タイミングT21からタイミングT22の間においては、電流の傾きの変化量の符号が「負」であり、タイミングT22からタイミングT23の間において、電流の傾きの変化量の符号が「正」に反転する。従って、電流の傾きの変化量の符号の反転により、変化点CP2を検出することができる。
【0093】
図5(c)に表したように、制御部32は、例えば、電流の傾きの変化量の符号が、1回反転することにより、変化点CP2を検出し、ソレノイドコイル44への通電を停止する。
【0094】
図6は、第1の実施形態に係る電磁弁の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図6は、プランジャ42を通水位置から止水位置に移動させる止水動作時におけるプランジャ42の位置PSと、ソレノイドコイル44に流れる電流CRと、の関係の一例を模式的に表す。
【0095】
プランジャ42を通水位置から止水位置に移動させる場合には、第2保持部材48がプランジャ42を通水位置に保持しようとする力よりも、第1保持部材46がプランジャ42を止水位置に保持しようとする力の方が大きくなる境界位置にプランジャ42が移動するまで、ソレノイドコイル44への通電を行う必要がある。プランジャ42が境界位置に到達する前にソレノイドコイル44への通電を停止してしまうと、第2保持部材48の力により、プランジャ42が通水位置に戻ってしまう可能性がある。
【0096】
図6に表したように、変化点CP2は、ソレノイドコイル44への通電を開始し、プランジャ42が通水位置から止水位置に移動したタイミングにおいて発生する。従って、上記のように、変化点CP2の検出に応答して駆動回路36を駆動することにより、ソレノイドコイル44への通電を停止する。これにより、プランジャ42が止水位置に移動した適切なタイミングでソレノイドコイル44への通電を停止することができ、プランジャ42が通水位置に戻ってしまうことを抑制することができる。ソレノイドコイル44への無駄な通電を抑制しつつ、適切に止水を行うことができる。
【0097】
図7は、第1の実施形態に係る制御部の動作の一例を模式的に表すフローチャートである。
図7に表したように、制御部32は、センサ部22の検知状態から非検知状態への切り替わりに応答して、駆動回路36を駆動することにより、プランジャ42を止水位置に移動させる方向の電流をソレノイドコイル44に供給し、ソレノイドコイル44への通電を開始する(
図7のステップS101)。
【0098】
制御部32は、ソレノイドコイル44への通電を開始した後、所定のサンプリング時間でソレノイドコイル44に流れる電流の電流値を電流検出部34から取得し、取得した電流値を内部のメモリなどに保存する(
図7のステップS102)。但し、電流値の保存先は、内部のメモリに限ることなく、制御部32に接続された外部のメモリなどでもよい。
【0099】
制御部32は、電流値を保存した後、第1時間が経過したか否かを判定する(
図7のステップS103)。制御部32は、第1時間が経過していないと判定した場合には、ステップS102の処理に戻り、電流値の取得を行う。
【0100】
制御部32は、第1時間が経過したと判定した場合には、第1時間で取得された所定数の電流値を基に、第1時間毎の電流の平均値を演算する(
図7のステップS104)。
【0101】
制御部32は、第1時間毎に電流の平均値を演算した後、前回の電流の平均値と今回の電流の平均値とを基に微分の演算を行うことにより、電流の傾きを演算する(
図7のステップS105)。
【0102】
制御部32は、電流の傾きを演算した後、第2時間が経過したか否かを判定する(
図7のステップS106)。制御部32は、第2時間が経過していないと判定した場合には、ステップS102の処理に戻り、電流値の取得を行う。
【0103】
制御部32は、第2時間が経過したと判定した場合には、第2時間で取得された所定数の電流の傾きを基に、第2時間毎の電流の傾きの平均値を演算する(
図7のステップS107)。
【0104】
制御部32は、第2時間毎に電流の傾きの平均値を演算した後、前回の電流の傾きの平均値と今回の電流の傾きの平均値とを基に微分の演算を行うことにより、電流の傾きの変化量を演算する(
図7のステップS108)。
【0105】
制御部32は、電流の傾きの変化量を演算した後、電流の傾きの変化量の符号が、1回反転したか否かを判定する(
図7のステップS109)。制御部32は、電流の傾きの変化量の符号が反転していないと判定した場合には、ステップS102の処理に戻り、電流値の取得を行う。
【0106】
一方、制御部32は、電流の傾きの変化量の符号が、1回反転したと判定した場合には、変化点CP2を検出したと判断し、ソレノイドコイル44への通電を停止する(
図7のステップS110)。
【0107】
以上、説明したように、本実施形態に係る水栓装置10(吐水装置)及び電磁弁装置20によれば、電流の傾きの変化点CP2を検出し、変化点CP2の検出に応答してソレノイドコイル44への通電を停止することにより、電磁弁30を閉じる止水動作時においても、必要以上に通電してしまうことを抑制し、低消費電力化することができる。また、電流の傾きの変化量の符号の反転によって変化点CP2を検出することにより、電磁弁30の環境因子や製造バラツキがある場合などにおいても、プランジャ42の移動の完了を正確に判断することができ、正確に止水を行うことができる。従って、電磁弁30を閉じる時の無駄な通電を抑制した水栓装置10及び電磁弁装置20を提供することができる。
【0108】
また、本実施形態に係る水栓装置10及び電磁弁装置20では、制御部32が、電流の傾きの変化量の符号が、1回反転することにより、変化点CP2を検出する。これにより、ソレノイドコイル44への通電を開始した後、1回目の電流の傾きの変化点CP2を検出し、電磁弁30の環境因子や製造バラツキがある場合などにおいても、より早く止水を行うことができる。
【0109】
また、本実施形態に係る水栓装置10及び電磁弁装置20では、制御部32が、電流検出部34の検出結果を基に、第1時間毎に電流を平均化することにより、第1時間毎の電流の平均値を演算し、電流の平均値から電流の傾きを演算する。これにより、電流検出部34の検出結果に含まれるノイズの影響などを抑制し、電流の傾きの変化点CP2をより正確に検出することができる。
【0110】
また、本実施形態に係る水栓装置10及び電磁弁装置20では、制御部32が、第1時間よりも長い第2時間毎に電流の傾きを平均化することにより、第2時間毎の電流の傾きの平均値を演算し、電流の傾きの平均値から電流の傾きの変化量を演算する。これにより、制御部32における演算の負荷を軽減しつつ、電流検出部34の検出結果に含まれるノイズの影響などを抑制し、電流の傾きの変化点CP2をより正確に検出することができる。
【0111】
図8(a)~
図8(c)は、制御部の別の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図8(a)~
図8(c)は、プランジャ42を通水位置から止水位置に移動させる止水動作時の制御部32の別の動作の一例を模式的に表す。
図8(a)~
図8(c)は、
図5(a)~
図5(c)と同様に、それぞれソレノイドコイル44に流れる電流、電流の微分値、及びソレノイドコイル44への通電の動作の一例を模式的に表す。
【0112】
図8(a)~
図8(c)に表したように、この例では、制御部32が、電流の傾きの変化量の符号が、2回反転することにより、変化点CP2を検出する。
【0113】
図8(a)及び
図8(b)に表したように、電流の傾きは、変化点CP2の部分で一時的に大きくなった後、再び小さくなる。このため、
図8(b)に表したように、タイミングT21からタイミングT22の間においては、電流の傾きの変化量の符号が「負」であり、タイミングT22からタイミングT23の間において、電流の傾きの変化量の符号が「正」に反転した後、タイミングT23からタイミングT24の間において、電流の傾きの変化量の符号が再び「負」に反転する。
【0114】
従って、電流の傾きの変化量の符号の2回の反転を検出することにより、変化点CP2をより確実に検出することができる。例えば、変化点CP2の直後を検出することができる。
【0115】
このように、この例では、制御部32が、電流の傾きの変化量の符号が、2回反転することにより、変化点CP2を検出する。これにより、1回目の電流の傾きの変化点CP2の直後を検出し、電磁弁30の環境因子や製造バラツキがある場合などにおいても、より確実に止水を行うことができる。
【0116】
このように、制御部32は、電流の傾きの変化量の符号が、1回反転することにより、変化点CP2を検出してもよいし、2回反転することにより、変化点CP2を検出してもよい。1回の反転で変化点CP2を検出した場合には、より早く止水を行い、無駄な通電をより抑制することができる。2回の反転で変化点CP2を検出した場合には、より確実に止水を行うことができる。
【0117】
図9は、第1の実施形態に係る電磁弁の別の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図9は、
図6と同様に、プランジャ42を通水位置から止水位置に移動させる止水動作時におけるプランジャ42の位置PSと、ソレノイドコイル44に流れる電流CRと、の関係の一例を模式的に表す。
【0118】
図9に表したように、本願発明者は、プランジャ42が、通水位置から止水位置に移動した後、移動の勢いで止水位置から跳ね返る可能性があることを見出した。例えば、プランジャ42が先端部に弾性体42bを有する場合には、弾性体42bの反発により、止水位置での跳ね返りが強くなる傾向にあることを見出した。
【0119】
プランジャ42が止水位置で跳ね返る勢いは、2回目以降の跳ね返りにおいて徐々に小さくなる。プランジャ42は、例えば、止水位置で数回跳ね返った後、第1保持部材46の力などにより、止水位置に保持される。
【0120】
また、本願発明者は、鋭意の検討の結果、
図9に表したように、プランジャ42が止水位置で跳ね返った場合には、プランジャ42が止水位置に到達する毎に、電流の傾きの変化点CP2(CP2-1、CP2-2)が表れることを見出した。
【0121】
プランジャ42が止水位置から跳ね返り、止水位置から離れたタイミングでソレノイドコイル44への通電を停止してしまうと、プランジャ42が通水位置に戻り、電磁弁30を適切に止水できない可能性がある。
【0122】
従って、プランジャ42の止水位置での跳ね返りが大きい場合などには、制御部32は、電流の傾きの変化量の符号が、2回反転した後、さらに反転することにより、変化点CP2を検出する。すなわち、制御部32は、止水位置で跳ね返ったプランジャ42が再び止水位置に戻るタイミングを検出する。これにより、止水動作時の消費電力を抑制しつつ、プランジャ42が止水位置に移動したと考えられる、より適切なタイミングでソレノイドコイル44への通電を停止し、より確実に止水を行うことができる。
【0123】
図10は、第1の実施形態に係る電磁弁の別の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図10は、ソレノイドコイル44に流れる電流CRと、電流CRの2回微分値TD(電流の傾きの変化量)と、の一例を模式的に表す。
【0124】
図10に表したように、プランジャ42が止水位置で跳ね返る場合には、プランジャ42の1回目の止水位置への到達に応じて1回目の変化点CP2-1が発生し、1回目の変化点CP2-1の発生に応じて、電流の傾きの変化量の符号の1回目の反転が発生するとともに、1回目の変化点CP2-1の直後に、電流の傾きの変化量の符号の2回目の反転が発生する。そして、プランジャ42の2回目の止水位置への到達に応じて2回目の変化点CP2-2が発生し、2回目の変化点CP2-2の発生に応じて、電流の傾きの変化量の符号の3回目の反転が発生するとともに、2回目の変化点CP2-2の直後に、電流の傾きの変化量の符号の4回目の反転が発生する。
【0125】
このように、電流の傾きの変化量の符号は、プランジャ42の1回目の止水位置への到達によって2回反転し、プランジャ42の2回目の止水位置への到達によって、さらに2回反転する。以下、同様に、電流の傾きの変化量の符号は、プランジャ42が止水位置に到達する毎に、2回ずつ反転する。
【0126】
制御部32は、例えば、電流の傾きの変化量の符号が、2回反転した後、さらに1回反転することにより、変化点CP2を検出する。換言すれば、制御部32は、例えば、電流の傾きの変化量の符号が、3回反転することにより、変化点CP2を検出する。
【0127】
これにより、2回目の電流の傾きの変化点CP2-2を検出し、プランジャ42が止水位置に移動したと考えられる、より適切なタイミングで、より早く止水を行うことができ、止水動作時の消費電力を適切に抑制することができる。
【0128】
制御部32は、例えば、電流の傾きの変化量の符号が、2回反転した後、さらに2回反転することにより、変化点CP2を検出してもよい。換言すれば、制御部32は、例えば、電流の傾きの変化量の符号が、4回反転することにより、変化点CP2を検出してもよい。
【0129】
これにより、2回目の電流の傾きの変化点CP2-2の直後を検出し、プランジャ42が止水位置に移動したと考えられる、より適切なタイミングで、より確実に止水を行うことができる。止水動作時の消費電力を適切に抑制しつつ、より確実に止水を行うことができる。
【0130】
なお、変化点CP2を検出する電流の傾きの変化量の符号の反転の回数は、3回又は4回に限ることなく、5回以上でもよい。例えば、プランジャ42の止水位置での跳ね返りが大きい場合やプランジャ42の止水位置での跳ね返りの回数が多い場合などには、変化点CP2を検出する電流の傾きの変化量の符号の反転の回数を5回以上に設定する。これにより、プランジャ42が止水位置から離れたタイミングでソレノイドコイル44への通電を停止してしまい、電磁弁30を適切に止水できなくなってしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0131】
例えば、
図6に表した例のように、プランジャ42の止水位置での跳ね返りが小さい場合には、変化点CP2を検出する電流の傾きの変化量の符号の反転の回数を1回又は2回に設定する。これにより、より早く止水を行うことができ、止水動作時の消費電力を適切に抑制することができる。
【0132】
図11(a)及び
図11(b)は、第1の実施形態に係る電磁弁の別の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図11(a)は、
図10と同様に、ソレノイドコイル44に流れる電流CRと、電流CRの2回微分値TD(電流の傾きの変化量)と、の一例を模式的に表す。
図11(b)は、駆動回路36によるソレノイドコイル44への通電の動作の一例を模式的に表す。
【0133】
図11(a)及び
図11(b)に表したように、この例では、制御部32が、電流の傾きの変化量の符号が、2回反転した後、さらに2回反転することにより、変化点CP2を検出した後、所定時間Δt経過したことに応答して、ソレノイドコイル44への通電を停止する。
【0134】
このように、制御部32は、変化点CP2を検出した後、変化点CP2の検出のタイミングから所定時間Δt経過したことに応答して、ソレノイドコイル44への通電を停止してもよい。これにより、プランジャ42が止水位置に移動したと考えられる、より適切なタイミングでソレノイドコイル44への通電を停止し、より確実に止水を行うことができる。
【0135】
なお、所定時間Δtの設定は、電流の傾きの変化量の符号が、4回反転した場合に限るものではない。制御部32は、電流の傾きの変化量の符号が、1回反転することにより、変化点CP2を検出した後、所定時間Δt経過したことに応答して、ソレノイドコイル44への通電を停止してもよい。制御部32は、電流の傾きの変化量の符号が、2回反転することにより、変化点CP2を検出した後、所定時間Δt経過したことに応答して、ソレノイドコイル44への通電を停止してもよい。制御部32は、電流の傾きの変化量の符号が、3回反転することにより、変化点CP2を検出した後、所定時間Δt経過したことに応答して、ソレノイドコイル44への通電を停止してもよい。
【0136】
図12(a)及び
図12(b)は、第1の実施形態に係る電磁弁の別の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図12(a)は、プランジャ42を通水位置から止水位置に移動させる止水動作時におけるプランジャ42の位置PSと、ソレノイドコイル44に流れる電流CRの2回微分値TD(電流の傾きの変化量)と、の一例を模式的に表す。
図12(b)は、プランジャ42を通水位置から止水位置に移動させる止水動作時におけるプランジャ42の位置PSと、ソレノイドコイル44に流れる電流CRの3回微分値HD(電流の傾きの変化量の変化)と、の一例を模式的に表す。
【0137】
図12(a)及び
図12(b)に表したように、この例において、制御部32は、電流の傾きの変化量を演算するとともに、電流の傾きの変化量の変化をさらに演算する。電流の傾きの変化量の変化は、換言すれば、ソレノイドコイル44に流れる電流の電流値を3回微分した3回微分値である。制御部32は、換言すれば、ソレノイドコイル44に流れる電流の電流値の2回微分値を演算するとともに、3回微分値をさらに演算する。
【0138】
制御部32は、例えば、第2時間毎に、前回の電流の傾きの変化量と今回の電流の傾きの変化量とを基に微分の演算を行うことにより、電流の傾きの変化量の変化を演算する。より詳しくは、制御部32は、第2時間をt2とし、前回の電流の傾きの変化量をSL1とし、今回の電流の傾きの変化量をSL2とし、電流の傾きの変化量の変化をTLとする時、TL=(SL1-SL2)/t2の式により、電流の傾きの変化量の変化TLを演算する。
【0139】
例えば、電流の傾きの変化量を第1時間毎に演算した場合には、制御部32は、第1時間毎に、電流の傾きの変化量の変化を演算してもよい。すなわち、制御部32は、第1時間をt1とし、前回の電流の傾きの変化量をSL1とし、今回の電流の傾きの変化量をSL2とし、電流の傾きの変化量の変化をTLとする時、TL=(SL1-SL2)/t1の式により、電流の傾きの変化量の変化TLを演算してもよい。
【0140】
例えば、電流の傾きの変化量を第1時間毎に演算した場合に、制御部32は、第1時間よりも長い第2時間毎に電流の傾きの変化量(2回微分値)を平均化することにより、第2時間毎に電流の傾きの変化量の平均値を演算し、電流の傾きの変化量の平均値から電流の傾きの変化量の変化(3回微分値)を演算してもよい。すなわち、制御部32は、第2時間をt2とし、前回の電流の傾きの変化量の平均値をSL1とし、今回の電流の傾きの変化量の平均値をSL2とし、電流の傾きの変化量の変化をTLとする時、TL=(SL1-SL2)/t2の式により、電流の傾きの変化量の変化TLを演算してもよい。
【0141】
例えば、電流の傾きの変化量を第2時間毎に演算した場合に、制御部32は、第2時間よりも長い第3時間毎に電流の傾きの変化量(2回微分値)を平均化することにより、第3時間毎に電流の傾きの変化量の平均値を演算し、電流の傾きの変化量の平均値から電流の傾きの変化量の変化(3回微分値)を演算してもよい。すなわち、制御部32は、第3時間をt3とし、前回の電流の傾きの変化量の平均値をSL1とし、今回の電流の傾きの変化量の平均値をSL2とし、電流の傾きの変化量の変化をTLとする時、TL=(SL1-SL2)/t3の式により、電流の傾きの変化量の変化TLを演算してもよい。
【0142】
図13は、第1の実施形態に係る制御部の動作の変形例を模式的に表すフローチャートである。
図13は、止水時における制御部32の動作の一例を模式的に表す。
図13に表したように、この例において、制御部32は、センサ部22の検知状態から非検知状態への切り替わりに応答して、駆動回路36を駆動することにより、プランジャ42を止水位置に移動させる方向の電流をソレノイドコイル44に供給し、ソレノイドコイル44への通電を開始する(
図13のステップS201)。
【0143】
制御部32は、ソレノイドコイル44への通電を開始した後、電流の傾きの変化量を演算する(
図13のステップS202)。電流の傾きの変化量の演算の処理は、
図7に関して説明したステップS102~S108の処理と同様であるから、詳細な説明は省略する。また、制御部32は、電流の傾きの変化量を演算するとともに、電流の傾きの変化量を基に、電流の傾きの変化量の変化を演算する。換言すれば、制御部32は、ソレノイドコイル44に流れる電流の電流値の2回微分値、3回微分値を演算する。
【0144】
制御部32は、電流の傾きの変化量、及び電流の傾きの変化量の変化を演算した後、電流の傾きの変化量の符号が、1回反転したか否かを判定する(
図13のステップS203)。換言すれば、制御部32は、電流の傾きの1回目の変化点CP2-1を検出したか否かを判定する。
【0145】
制御部32は、1回反転していないと判定した場合には、ステップS202及びステップS203の処理を繰り返す。
【0146】
制御部32は、1回反転したと判定した場合には、電流の傾きの変化量の変化の演算をさらに行う(
図13のステップS204)。
【0147】
制御部32は、電流の傾きの変化量の変化を演算し、電流の傾きの変化量の変化の符号が、1回反転したか否かを判定する(
図13のステップS205)。換言すれば、制御部32は、ソレノイドコイル44に流れる電流の電流値の2回微分値の符号が1回反転した後、ソレノイドコイル44に流れる電流の電流値の3回微分値の符号が1回反転したか否かを判定する。
【0148】
制御部32は、電流の傾きの変化量の変化の符号が、1回反転していないと判定した場合には、ステップS204及びステップS205の処理を繰り返す。
【0149】
一方、制御部32は、電流の傾きの変化量の変化の符号が、1回反転したと判定した場合には、ソレノイドコイル44への通電を停止することにより、止水の処理を終了する(
図13のステップS206)。すなわち、制御部32は、電流の傾きの変化量の変化の符号が、1回反転したと判定した場合に、電流の傾きの変化点CP2を検出したと判定する。換言すれば、制御部32は、電流の傾きの変化量の変化の符号が、1回反転したと判定した場合に、電流の傾きの2回目の変化点CP2-2を検出したと判定する。
【0150】
電流の傾きの変化量の符号が、2回反転した後、さらに反転することによって変化点CP2を検出するようにした場合に、ソレノイドコイル44に流れる電流の変化が小さくなり、電流の傾きの変化点CP2を検出できなくなってしまう可能性がある。
【0151】
例えば、プランジャ42の止水位置での跳ね返りの勢いが小さい場合に、ソレノイドコイル44に流れる電流の傾きの変化量が小さくなり、
図12(a)に表した2回目の変化点CP2-2のタイミングのように、電流の傾きの変化量の符号が反転すべきタイミングにおいても、電流の傾きの変化量の符号が反転しなくなってしまう可能性が生じる。
【0152】
これに対して、この例では、制御部32が、電流の傾きの変化量の変化を演算し、電流の傾きの変化量の符号が、1回反転した後、電流の傾きの変化量の変化の符号が、1回反転したか否かを判定する。これにより、例えば、
図12(b)に表した2回目の変化点CP2-2のタイミングのように、電流の傾きの変化量の符号が反転しない場合においても、電流の傾きの変化量の変化の符号の反転によって、電流の傾きの変化点CP2を検出することができる。
【0153】
このように、電流の傾きの変化量の変化を演算し、電流の傾きの変化量の変化の符号の反転に基づいて、電流の傾きの変化点CP2を検出する。これにより、プランジャ42の止水位置での跳ね返りの勢いが小さく、ソレノイドコイル44に流れる電流の傾きの変化量が小さい場合などにおいて、電流の傾きの変化点CP2をより適切に検出することができる。
【0154】
図14(a)及び
図14(b)は、第1の実施形態に係る電磁弁の別の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図14(a)は、
図12(a)と同様に、プランジャ42を通水位置から止水位置に移動させる止水動作時におけるプランジャ42の位置PSと、ソレノイドコイル44に流れる電流CRの2回微分値TD(電流の傾きの変化量)と、の一例を模式的に表す。
図14(b)は、
図12(b)と同様に、プランジャ42を通水位置から止水位置に移動させる止水動作時におけるプランジャ42の位置PSと、ソレノイドコイル44に流れる電流CRの3回微分値HD(電流の傾きの変化量の変化)と、の一例を模式的に表す。
【0155】
図14(a)及び
図14(b)に表したように、この例において、制御部32は、ソレノイドコイル44への通電を開始し、電流の傾きの変化量の符号が2回反転した後、電流の傾きの変化量の変化の符号が2回反転した場合に、電流の傾きの変化点CP2を検出したと判定する。換言すれば、制御部32は、ソレノイドコイル44に流れる電流の電流値の2回微分値の符号が2回反転した後、ソレノイドコイル44に流れる電流の電流値の3回微分値の符号が2回反転した場合に、電流の傾きの変化点CP2を検出したと判定する。
【0156】
このように、電流の傾きの変化量の変化(電流値の3回微分値)を演算する場合、制御部32は、電流の傾きの変化量の符号の1回目の反転で1回目の変化点CP2-1を検出してもよいし、電流の傾きの変化量の符号の2回目の反転で1回目の変化点CP2-1を検出してもよい。そして、電流の傾きの変化量の変化(電流値の3回微分値)を演算する場合、制御部32は、電流の傾きの変化量の変化の符号の1回目の反転で2回目の変化点CP2-2を検出してもよいし、電流の傾きの変化量の符号の2回目の反転で2回目の変化点CP2-2を検出してもよい。
【0157】
制御部32は、例えば、電流の傾きの変化量の符号が2回反転した後、電流の傾きの変化量の変化の符号が1回反転した場合に、電流の傾きの変化点CP2を検出したと判定してもよいし、電流の傾きの変化量の符号が1回反転した後、電流の傾きの変化量の変化の符号が2回反転した場合に、電流の傾きの変化点CP2を検出したと判定してもよい。
【0158】
電流の傾きの変化量の符号の反転の回数を1回とするか2回とするか、及び電流の傾きの変化量の変化の符号の反転の回数を1回とするか2回とするかは、水栓装置10の製品(機種)や設置環境などに応じて、より適切なタイミングでソレノイドコイル44への通電を停止できるように、適宜選択すればよい。
【0159】
図15は、第1の実施形態に係る水栓装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
図15に表したように、電磁弁装置20aは、報知部60をさらに備える。報知部60は、制御部32と接続されている。報知部60は、制御部32の制御に基づいて、使用者や電磁弁装置20a(水栓装置10)のメンテナンスの担当者などに対し、電磁弁装置20aの動作に関する異常の発生を報知するためのものである。制御部32は、電磁弁装置20aの動作に関する異常の発生を検出した際に、報知部60を動作させることにより、使用者などに対して異常の発生を報知する。
【0160】
報知部60は、例えば、光の点灯及び消灯の切り替えによって異常の発生を検出する。報知部60には、例えば、LEDなどのランプが用いられる。報知部60は、これに限ることなく、例えば、音の出力によって報知を行うスピーカや、文字や図柄などの表示によって報知を行う液晶ディスプレイなどの表示装置などでもよい。報知部60の報知の態様は、使用者などに対して適切に報知を行うことができる任意の態様でよい。報知部60は、使用者などに対して適切に報知を行うことができる任意の部材でよい。
【0161】
報知部60は、例えば、センサ部22と同様に、水栓13に設けられる。報知部60は、制御部32などに設けてもよい。報知部60は、制御部32などとともに、洗面カウンタ12の下方に設けられるキャビネット内などに設けてもよい。報知部60の配置は、使用者などに対して適切に報知を行うことができる任意の配置でよい。
【0162】
図16は、第1の実施形態に係る制御部の動作の変形例を模式的に表すフローチャートである。
図16は、電磁弁装置20aの止水時における制御部32の動作の一例を模式的に表す。
【0163】
図16に表したように、電磁弁装置20aにおいて、制御部32は、センサ部22の検知状態から非検知状態への切り替わりに応答して、駆動回路36を駆動することにより、プランジャ42を止水位置に移動させる方向の電流をソレノイドコイル44に供給し、ソレノイドコイル44への通電を開始する(
図16のステップS301)。
【0164】
制御部32は、ソレノイドコイル44への通電を開始した後、電流の傾きの変化量を演算する(
図16のステップS302)。電流の傾きの変化量の演算の処理は、
図7に関して説明したステップS102~S108の処理と同様であるから、詳細な説明は省略する。
【0165】
制御部32は、電流の傾きの変化量を演算した後、電流の傾きの変化量の符号が、2回反転したか否かを判定する(
図16のステップS303)。換言すれば、制御部32は、電流の傾きの1回目の変化点CP2-1を検出したか否かを判定する。
【0166】
制御部32は、2回反転していないと判定した場合には、ステップS302及びステップS303の処理を繰り返す。
【0167】
制御部32は、2回反転したと判定した場合には、電流の傾きの変化量の演算をさらに行い、電流の傾きの変化点CP2を検出したか否かを判定する(
図16のステップS304、S305)。制御部32は、例えば、電流の傾きの変化量の符号が、2回反転した後、さらに1回又は2回反転したか否かを判定する。換言すれば、制御部32は、電流の傾きの2回目の変化点CP2-2を検出したか否かを判定する。但し、変化点CP2の検出は、電流の傾きの変化量の符号の5回以上の反転で検出してもよい。制御部32は、電流の傾きの3回目以降の変化点CP2を検出してもよい。
【0168】
制御部32は、電流の傾きの変化点CP2を検出したと判定した場合には、ソレノイドコイル44への通電を停止することにより、止水の処理を終了する(
図16のステップS306)。
【0169】
一方、制御部32は、電流の傾きの変化点CP2を検出していないと判定した場合には、続けて、ソレノイドコイル44への通電開始から第1所定時間が経過したか否かを判定する(
図16のステップS307)。第1所定時間は、例えば、3ms程度(2ms以上4ms以下)である。
【0170】
制御部32は、第1所定時間が経過していないと判定した場合には、ステップS304の処理に戻り、電流の傾きの変化点CP2の検出を行う。制御部32は、第1所定時間の経過の前までに、電流の傾きの変化点CP2を検出した場合には、上記のように、電流の傾きの変化点CP2の検出に応じて、ソレノイドコイル44への通電を停止する。
【0171】
一方、制御部32は、第1所定時間が経過したと判定した場合には、ソレノイドコイル44への通電開始から第2所定時間の経過に応じて、ソレノイドコイル44への通電を停止する(
図16のステップS308)。
【0172】
換言すれば、制御部32は、第1所定時間が経過したと判定した場合には、変化点CP2を検出する制御モードから一定時間制御の制御モードに制御モードを変更する。すなわち、制御部32は、変化点CP2を検出できない場合に、変化点CP2を検出する制御モードから一定時間制御の制御モードに制御モードを変更する。第2所定時間は、例えば、15ms程度(10ms以上20ms以下)である。
【0173】
このように、制御部32は、電流の傾きの変化量の符号が、2回反転したと判定した後、電流の傾きの変化点CP2を検出できない場合には、一定時間(第2所定時間)の経過に応じて、ソレノイドコイル44への通電を停止する。
【0174】
また、制御部32は、電流の傾きの変化量の符号が、2回反転したと判定した後、電流の傾きの変化点CP2を検出できない場合に、報知部60を動作させ、使用者などに対して異常の発生を報知する(
図16のステップS309)。制御部32は、換言すれば、変化点CP2を検出できず、一定時間制御の制御モードに切り替わったことを報知する。
【0175】
制御部32は、例えば、ソレノイドコイル44への通電を停止させた後、報知部60を動作させ、異常の発生を報知する。制御部32は、例えば、ソレノイドコイル44への通電の停止と実質的に同時に報知部60による報知を開始してもよい。あるいは、制御部32は、第1所定時間が経過したと判定し、一定時間制御の制御モードに切り替えたタイミングで報知部60による報知を開始してもよい。換言すれば、制御部32は、第1所定時間と第2所定時間との間において、ソレノイドコイル44への通電の停止よりも前に、報知部60による報知を開始してもよい。
【0176】
電流の傾きの変化量の符号が、2回反転した後、さらに反転することによって変化点CP2を検出するようにした場合、3回目以降の符号の反転を検出できなくなってしまう場合がある。換言すれば、2回目以降の変化点CP2を検出できなくなってしまう場合がある。
【0177】
例えば、経年劣化などにより、プランジャ42の弾性体42bの反発係数が低くなると、プランジャ42の止水位置での跳ね返りが弱まり、ソレノイドコイル44に流れる電流の変化が小さくなってしまう可能性が生じる。そして、このように、ソレノイドコイル44に流れる電流の変化が小さくなることにより、電流の傾きの変化量の符号の3回目以降の反転を検出できなくなる可能性が生じてしまう。
【0178】
これに対して、電磁弁装置20aでは、制御部32が、電流の傾きの変化量の符号が、2回反転したと判定した後、電流の傾きの変化点CP2を検出できない場合に、一定時間の経過に応じて、ソレノイドコイル44への通電を停止する。これにより、弾性体42bの経年劣化などによって変化点CP2を検出できなくなってしまった場合にも、より確実に止水を行うことができる。例えば、変化点CP2を検出できず、水栓装置10が吐水状態のままとなってしまうことを抑制することができる。
【0179】
また、電磁弁装置20aでは、制御部32が、電流の傾きの変化量の符号が、2回反転したと判定した後、電流の傾きの変化点CP2を検出できない場合に、報知部60を動作させ、使用者などに対して異常の発生を報知する。これにより、変化点CP2を検出できない異常が発生したことを使用者などに対して報知することができる。例えば、弾性体42bの交換などのメンテナンスの実施を使用者などに対して促すことができる。
【0180】
図17は、第1の実施形態に係る水栓装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
図17に表したように、電磁弁装置20bは、温度センサ62をさらに備える。温度センサ62は、水栓13から吐出される水の温度を測定する。温度センサ62は、制御部32と接続されている。温度センサ62は、水栓13から吐出される水の温度の測定結果を制御部32に入力する。
【0181】
温度センサ62は、例えば、水栓13の内部に設けられる。温度センサ62は、電磁弁30の内部や給水路14の内部などに設けてもよい。温度センサ62の配置は、水栓13から吐出される水の温度を適切に測定可能な任意の配置でよい。温度センサ62には、例えば、サーミスタや熱電対などが用いられる。温度センサ62は、これらに限ることなく、水栓13から吐出される水の温度を適切に測定可能な任意のセンサでよい。
【0182】
図18は、第1の実施形態に係る制御部の動作の変形例を模式的に表すフローチャートである。
図18は、電磁弁装置20bの止水時における制御部32の動作の一例を模式的に表す。
【0183】
図18に表したように、電磁弁装置20bにおいて、制御部32は、センサ部22の検知状態から非検知状態への切り替わりに応答して、駆動回路36を駆動することにより、プランジャ42を止水位置に移動させる方向の電流をソレノイドコイル44に供給し、ソレノイドコイル44への通電を開始する(
図18のステップS401)。
【0184】
制御部32は、ソレノイドコイル44への通電を開始した後、電流の傾きの変化量を演算する(
図18のステップS402)。電流の傾きの変化量の演算の処理は、
図7に関して説明したステップS102~S108の処理と同様であるから、詳細な説明は省略する。
【0185】
制御部32は、電流の傾きの変化量を演算した後、電流の傾きの変化量の符号が、2回反転したか否かを判定する(
図18のステップS403)。換言すれば、制御部32は、電流の傾きの1回目の変化点CP2-1を検出したか否かを判定する。
【0186】
制御部32は、2回反転していないと判定した場合には、ステップS402及びステップS403の処理を繰り返す。
【0187】
一方、制御部32は、2回反転したと判定した場合に、特定の条件を満たしているか否かを判定する。この例において、制御部32は、2回反転したと判定した場合に、温度センサ62で測定された水栓13から吐出される水の温度が、所定温度未満か否かを判定する(
図18のステップS404)。制御部32は、例えば、水の温度が所定温度未満である場合に、特定の条件を満たしていないと判定し、水の温度が所定温度以上である場合に、特定の条件を満たしていると判定する。
【0188】
制御部32は、所定温度未満と判定した場合には、電流の傾きの変化量の演算をさらに行い、電流の傾きの変化点CP2を検出したか否かを判定する(
図18のステップS405、S406)。制御部32は、電流の傾きの変化量の符号が、2回反転した後、さらに1回又は2回反転したか否かを判定する。換言すれば、制御部32は、電流の傾きの2回目の変化点CP2-2を検出したか否かを判定する。
【0189】
制御部32は、電流の傾きの変化点CP2を検出したと判定した場合には、ソレノイドコイル44への通電を停止することにより、止水の処理を終了する(
図18のステップS407)。
【0190】
一方、制御部32は、電流の傾きの変化点CP2を検出していないと判定した場合には、ステップS405及びステップS406の処理を繰り返す。このように、制御部32は、温度センサ62で測定された水栓13から吐出される水の温度が、所定温度未満である場合には、電流の傾きの変化点CP2の検出に応じて、ソレノイドコイル44への通電を停止する。
【0191】
制御部32は、ステップS404の処理において、所定温度以上と判定した場合には、ソレノイドコイル44への通電開始から一定時間の経過に応じて、ソレノイドコイル44への通電を停止する(
図18のステップS408)。
【0192】
換言すれば、制御部32は、温度センサ62で測定された水栓13から吐出される水の温度が、所定温度以上である場合には、変化点CP2を検出する制御モードから一定時間制御の制御モードに制御モードを変更する。一定時間は、例えば、15ms程度(10ms以上20ms以下)である。
【0193】
このように、制御部32は、温度センサ62で測定された水栓13から吐出される水の温度が、所定温度以上である場合には、一定時間の経過に応じて、ソレノイドコイル44への通電を停止する。
【0194】
本願発明者は、電流の傾きの変化量の符号が、2回反転した後、さらに1回又は2回反転することによって変化点CP2を検出するようにした場合に、水栓13から吐出される水の温度が、所定温度以上であると、プランジャ42が通水位置から止水位置に移動した後、止水位置から跳ね返り、通水位置に戻ってしまう可能性が高まる傾向にあることを見出した。
【0195】
換言すれば、2回目の変化点CP2-2を検出する場合に、水栓13から吐出される水の温度が、所定温度以上であると、プランジャ42が通水位置から止水位置に移動した後、止水位置から跳ね返り、通水位置に戻ってしまう可能性が高まる傾向にあることを見出した。
【0196】
これは、水栓13から吐出される水の温度が、所定温度以上であると、プランジャ42の弾性体42bの反発係数が高くなり、プランジャ42の止水位置での跳ね返りが強くなるためであると考えられる。
【0197】
これに対して、電磁弁装置20bでは、制御部32が、温度センサ62で測定された水栓13から吐出される水の温度が、所定温度以上である場合には、一定時間の経過に応じて、ソレノイドコイル44への通電を停止する。
【0198】
これにより、水栓13から吐出される水の温度が所定温度以上で、弾性体42bの反発係数が高くなってしまった場合などにも、より確実に止水を行うことができる。例えば、プランジャ42が止水位置で跳ね返って通水位置に戻り、水栓装置10が吐水状態のままとなってしまうことを抑制することができる。
【0199】
図19は、第1の実施形態に係る制御部の動作の変形例を模式的に表すフローチャートである。
図19は、電磁弁装置20bの止水時における制御部32の動作の変形例を模式的に表す。なお、
図19のステップS501~S503は、
図18のステップS401~S403と同様であるから、詳細な説明は、省略する。
【0200】
図19に表したように、この例において、制御部32は、電流の傾きの変化量の符号が、2回反転したと判定した場合に、電流検出部34によって検出されたソレノイドコイル44に流れる電流の電流値が所定の閾値以上か否かを判定する(
図19のステップS504)。制御部32は、より詳しくは、電流の傾きの変化量の符号が、2回反転したと判定した場合に、2回反転したと判定したタイミングにおいて電流検出部34によって検出された電流値が、所定の閾値以上か否かを判定する。
【0201】
この例において、制御部32は、例えば、電流値が所定の閾値以上である場合に、特定の条件を満たしていないと判定し、電流値が所定の閾値未満である場合に、特定の条件を満たしていると判定する。
【0202】
制御部32は、
図18に表した例と同様に、電流値が所定の閾値以上である場合(特定条件を満たしていない場合)には、電流の傾きの変化点CP2の検出に応じて、ソレノイドコイル44への通電を停止し(
図19のステップS505~S507)、電流値が所定の閾値未満である場合(特定条件を満たしている場合)には、ソレノイドコイル44への通電開始から一定時間の経過に応じて、ソレノイドコイル44への通電を停止する(
図19のステップS508)。
【0203】
図20は、制御部の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図20は、プランジャ42を通水位置から止水位置に移動させる止水動作時において、電流検出部34によって検出されるソレノイドコイル44に流れる電流の一例を模式的に表す。また、
図20では、水栓13から吐出される水の温度を、5℃、20℃、64℃、86℃とした際の、それぞれの電流の一例を模式的に表している。
【0204】
図20に表したように、ソレノイドコイル44に流れる電流は、水栓13から吐出される水の温度が高くなるほど、小さくなる傾向にある。このため、ソレノイドコイル44に流れる電流に対して所定の閾値Ithを設定し、ソレノイドコイル44に流れる電流の電流値が所定の閾値Ith以上か否かを判定することにより、水栓13から吐出される水の温度が所定温度未満か否かを判定することと同様とすることができる。
【0205】
制御部32は、電流値を閾値Ith以上と判定することにより、換言すれば、水栓13から吐出される水の温度を所定温度未満と判定することができる。制御部32は、電流値を閾値Ith未満と判定することにより、換言すれば、水栓13から吐出される水の温度を所定温度以上と判定することができる。
【0206】
このように、制御部32は、電流検出部34によって検出されたソレノイドコイル44に流れる電流の電流値を特定の条件として判定してもよい。この場合にも、温度センサ62で測定された水栓13から吐出される水の温度を特定の条件とした場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、水栓13から吐出される水の温度が所定温度以上で、弾性体42bの反発係数が高くなってしまった場合などにも、より確実に止水を行うことができる。
【0207】
電流検出部34によって検出されたソレノイドコイル44に流れる電流の電流値を特定の条件とした場合には、温度センサ62を省略することができる。従って、より簡単な構成で、水の温度が高い場合にも、より確実に止水を行うことができる。一方、温度センサ62で測定された水栓13から吐出される水の温度を特定の条件とした場合には、制御部32において水の温度をより正確に把握することができ、水の温度が高い場合の止水を、より確実に行うことができる。
【0208】
このように、特定の条件は、電流検出部34によって検出されたソレノイドコイル44に流れる電流の電流値でもよいし、温度センサ62で測定された水栓13から吐出される水の温度でもよい。
【0209】
また、特定の条件は、これらに限ることなく、例えば、電磁弁30(プランジャ42)の温度や、電磁弁30の周囲の空気の温度(気温)などとしてもよい。制御部32は、例えば、電磁弁30の温度や、電磁弁30の周囲の空気の温度が、所定温度以上である場合に、特定の条件を満たしていると判定してもよい。この場合にも、上記の例と同様の効果を得ることができる。温度センサ62は、例えば、電磁弁30の温度、あるいは電磁弁30の周囲の空気の温度を測定するものとしてもよい。
【0210】
図21は、第1の実施形態に係る水栓装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
図21に表したように、電磁弁装置20cでは、制御部32が、発電機24と接続されている。制御部32は、発電機24の発電量に関する情報を取得する。制御部32は、例えば、発電機24と接続されることにより、発電機24の発電量に関する情報を発電機24から取得する。発電機24の発電量に関する情報とは、例えば、発電機24の出力電圧や出力電流の大きさの情報である。発電機24の発電量に関する情報は、例えば、発電機24が発電中か否かを表す情報などでもよい。発電機24の発電量に関する情報は、制御部32において発電機24が発電しているか否かを把握することができる任意の情報でよい。
【0211】
制御部32は、発電機24からに限ることなく、例えば、発電機24の出力電圧を測定する電圧計や発電機24の出力電流を測定する電流計などから発電機24の発電量に関する情報を取得してもよい。発電機24の発電量に関する情報の取得方法は、上記に限ることなく、制御部32において適切に情報を取得することができる任意の方法でよい。
【0212】
図22は、第1の実施形態に係る制御部の動作の変形例を模式的に表すフローチャートである。
図22は、電磁弁装置20cの止水時における制御部32の動作の一例を模式的に表す。
【0213】
図22に表したように、電磁弁装置20cにおいて、制御部32は、センサ部22の検知状態から非検知状態への切り替わりに応答して、駆動回路36を駆動することにより、プランジャ42を止水位置に移動させる方向の電流をソレノイドコイル44に供給し、ソレノイドコイル44への通電を開始する(
図22のステップS601)。
【0214】
制御部32は、ソレノイドコイル44への通電を開始した後、電流の傾きの変化量を演算する(
図22のステップS602)。電流の傾きの変化量の演算の処理は、
図7に関して説明したステップS102~S108の処理などと同様であるから、詳細な説明は省略する。
【0215】
制御部32は、電流の傾きの変化量を演算した後、電流の傾きの変化量を基に、電流の傾きの変化点CP2を検出したか否かを判定する(
図22のステップS603)。この際、変化点CP2の検出は、電流の傾きの変化量の符号の1回目の反転で検出してもよいし、2回目以降の反転で検出してもよい。
【0216】
制御部32は、電流の傾きの変化点CP2を検出していないと判定した場合には、ステップS602及びステップS603の処理を繰り返す。
【0217】
制御部32は、電流の傾きの変化点CP2を検出したと判定した場合には、ソレノイドコイル44への通電を停止する(
図22のステップS604)。
【0218】
制御部32は、ソレノイドコイル44への通電を停止した後、発電機24の発電量に関する情報を基に、止水が完了したか否かを判定する(
図22のステップS605)。換言すれば、制御部32は、ソレノイドコイル44への通電を停止した後、発電機24が発電しているか否かを判定する。制御部32は、発電機24が発電していない場合に、止水が完了したと判定し、発電機24が発電している場合に、止水が完了していないと判定する。
【0219】
制御部32は、止水が完了したと判定した場合には、止水の処理を終了する。一方、制御部32は、止水が完了していないと判定した場合には、駆動回路36を駆動することにより、プランジャ42を止水位置に移動させる方向の電流をソレノイドコイル44に供給し、ソレノイドコイル44への通電を再度開始する(
図22のステップS606)。
【0220】
制御部32は、ソレノイドコイル44への通電を再度開始した場合、前回よりも長い通電時間となるように制御を行い、ソレノイドコイル44への通電を停止する(
図22のステップS607)。
【0221】
制御部32は、例えば、前回の通電において、電流の傾きの変化量の符号の1回目の反転で、電流の傾きの変化点CP2を検出した場合には、電流の傾きの変化量の符号の2回目の反転で、電流の傾きの変化点CP2を検出することにより、前回よりも長い通電時間となるようにする。
【0222】
このように、制御部32は、例えば、電流の傾きの変化量の符号の反転の回数を増やすことにより、前回よりも長い通電時間となるように制御を行う。制御部32は、あるいは、変化点CP2を検出する制御モードから一定時間制御の制御モードに切り替えることにより、前回よりも長い通電時間となるように制御を行ってもよい。
【0223】
制御部32は、ソレノイドコイル44への通電を停止した後、ステップS605の処理に戻る。これにより、制御部32は、止水が適切に完了するまで、ソレノイドコイル44への通電の処理を繰り返す。
【0224】
このように、電磁弁装置20cでは、制御部32が、止水が完了していないと判定した場合に、ソレノイドコイル44に再度通電を行う。これにより、電磁弁30を閉じる止水動作時において、必要以上に通電してしまうことを抑制し、低消費電力化を実現可能としつつ、プランジャ42が意図せず通水位置に戻ってしまった際にも、より確実に止水することができる。
【0225】
また、電磁弁装置20cでは、制御部32が、ソレノイドコイル44に再度通電を行う場合に、前回よりも長い通電時間となるように制御を行う。これにより、再度の通電によって、より確実に止水することができる。
【0226】
図23は、第1の実施形態に係る水栓装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
図23に表したように、電磁弁装置20dでは、電磁弁30が、検出センサ52をさらに有する。検出センサ52は、電磁弁30のプランジャ42が止水位置に位置していることを検出するためのセンサである。検出センサ52は、制御部32と接続されている。検出センサ52は、プランジャ42が止水位置に位置していることの検出結果を制御部32に入力する。
【0227】
検出センサ52は、例えば、リミットスイッチなどの機械式のスイッチ、磁気センサ、あるいは光学センサなどである。検出センサ52は、これらに限ることなく、プランジャ42が止水位置に位置していることを適切に検出することができる任意のセンサでよい。検出センサ52は、例えば、プランジャ42が通水位置に位置していることを検出し、プランジャ42が通水位置に位置していないことによって、プランジャ42が止水位置に位置していると検出するものとしてもよい。
【0228】
電磁弁装置20dでは、制御部32が、ソレノイドコイル44への通電を停止した後、検出センサ52の検出結果を基に、止水が完了したか否かを判定する。制御部32は、ソレノイドコイル44への通電を停止した後、プランジャ42が止水位置に位置していることを検出センサ52で検出されているか否かを判定する。制御部32は、検出センサ52でプランジャ42の止水位置が検出されている場合に、止水が完了したと判定し、検出センサ52でプランジャ42の止水位置が検出されていない場合に、止水が完了していないと判定する。
【0229】
このように、止水が完了したか否かの判定は、発電機24の発電量に関する情報に限ることなく、検出センサ52の検出結果を基に行ってもよい。この場合にも、上記の例と同様に、電磁弁30を閉じる止水動作時において、必要以上に通電してしまうことを抑制し、低消費電力化を実現可能としつつ、プランジャ42が意図せず通水位置に戻ってしまった際にも、より確実に止水することができる。
【0230】
図24は、第1の実施形態に係る水栓装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
図24に表したように、電磁弁装置20eは、水流センサ64をさらに備える。水流センサ64は、水栓13からの水の吐出を検出する。水流センサ64は、制御部32と接続されている。水流センサ64は、水栓13からの水の吐出の検出結果を制御部32に入力する。
【0231】
水流センサ64は、例えば、水栓13の内部に設けられる。水流センサ64は、電磁弁30の内部や給水路14の内部などに設けてもよい。水流センサ64の配置は、水栓13からの水の吐出を適切に検出可能な任意の配置でよい。水流センサ64は、水栓13からの水の吐出を適切に検出可能な任意のセンサでよい。
【0232】
電磁弁装置20eでは、制御部32が、ソレノイドコイル44への通電を停止した後、水流センサ64の検出結果を基に、止水が完了したか否かを判定する。制御部32は、ソレノイドコイル44への通電を停止した後、水栓13からの水の吐出が水流センサ64で検出されているか否かを判定する。制御部32は、水流センサ64で水栓13からの水の吐出が検出されていない場合に、止水が完了したと判定し、水流センサ64で水栓13からの水の吐出が検出されている場合に、止水が完了していないと判定する。
【0233】
このように、止水が完了したか否かの判定は、水流センサ64の検出結果を基に行ってもよい。止水が完了したか否かの判定は、止水が完了したか否かを制御部32において適切に判定することができる任意の情報に基づいて行えばよい。
【0234】
(第2の実施形態)
図25は、第2の実施形態にかかるトイレ装置を表す斜視図である。
図25に表したように、トイレ装置100(吐水装置)は、大便器102と、給水路14と、電磁弁装置20と、センサ部22と、を備える。なお、上記第1の実施形態に関して説明した水栓装置10と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0235】
大便器102は、凹状のボウル部と、ボウル部に洗浄水を吐出する吐水口(図示は省略)と、を有する。大便器102は、給水路14を介して供給された洗浄水を吐水口からボウル部内に吐出することにより、ボウル部内に排泄された汚物などを洗い流す。すなわち、この例においては、大便器102が吐水部として機能する。大便器102は、換言すれば、洋式腰掛便器である。
【0236】
このように構成されたトイレ装置100において、上記第1の実施形態と同様に、制御部32が、プランジャ42を通水位置から止水位置に移動させる止水動作時において、ソレノイドコイル44への通電を開始した後、電流検出部34の検出結果を基に、電流の傾きの変化量を演算するとともに、電流の傾きの変化量の符号の反転により、電流の傾きが、通電開始時よりも小さくなった後、再び大きくなるように変化する変化点CP2を検出し、変化点CP2の検出に応答してソレノイドコイル44への通電を停止する。これにより、電磁弁30を閉じる止水動作時においても、必要以上に通電してしまうことを抑制し、低消費電力化することができる。従って、電磁弁30を閉じる時の無駄な通電を抑制したトイレ装置100を提供することができる。
【0237】
(第3の実施形態)
図26は、第3の実施形態にかかるトイレ装置を表す説明図である。
図26に表したように、トイレ装置200(吐水装置)は、小便器202と、給水路14と、電磁弁装置20と、センサ部22と、を備える。
【0238】
小便器202は、凹状のボウル部と、ボウル部に洗浄水を吐出する吐水口(図示は省略)と、を有する。小便器202は、給水路14を介して供給された洗浄水を吐水口からボウル部内に吐出することにより、ボウル部の表面を洗い流す。すなわち、この例においては、小便器202が吐水部として機能する。
【0239】
このように構成されたトイレ装置200において、上記第1の実施形態と同様に、制御部32が、プランジャ42を通水位置から止水位置に移動させる止水動作時において、ソレノイドコイル44への通電を開始した後、電流検出部34の検出結果を基に、電流の傾きの変化量を演算するとともに、電流の傾きの変化量の符号の反転により、電流の傾きが、通電開始時よりも小さくなった後、再び大きくなるように変化する変化点CP2を検出し、変化点CP2の検出に応答してソレノイドコイル44への通電を停止する。これにより、電磁弁30を閉じる止水動作時においても、必要以上に通電してしまうことを抑制し、低消費電力化することができる。従って、電磁弁30を閉じる時の無駄な通電を抑制したトイレ装置200を提供することができる。
【0240】
このように、吐水装置は、水栓装置でもよいし、大便器を用いたトイレ装置でもよいし、小便器を用いたトイレ装置でもよい。吐水装置は、これらに限ることなく、対象物の検出を行って吐止水を制御する任意の吐水装置でよい。
【0241】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、水栓装置10、トイレ装置100、200などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0242】
10 水栓装置、 11 洗面器、 12 洗面カウンタ、 13 水栓(吐水部)、 13a 吐水口、 14 給水路、 15 排水路、 20、20a~20e 電磁弁装置、 22 センサ部、 23 接続ケーブル、 24 発電機、 26 電源部、 28 電池、 30 電磁弁、 32 制御部、 34 電流検出部、 36 駆動回路、 40 水路、 42 プランジャ、 44 ソレノイドコイル、 46 第1保持部材、 48 第2保持部材、 50 ダイアフラム、 52 検出センサ、 60 報知部、 62 温度センサ、 64 水流センサ、 100 トイレ装置、 102 大便器、 200 トイレ装置、 202 小便器