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特許7598583赤キャベツ飲料の製造方法及び赤キャベツ飲料
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  • 特許-赤キャベツ飲料の製造方法及び赤キャベツ飲料 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】赤キャベツ飲料の製造方法及び赤キャベツ飲料
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/58 20060101AFI20241205BHJP
   A23L 2/68 20060101ALI20241205BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20241205BHJP
   A23L 19/00 20160101ALI20241205BHJP
   A23L 33/105 20160101ALN20241205BHJP
【FI】
A23L2/00 M
A23L2/00 D
A23L2/52
A23L2/00 F
A23L19/00 A
A23L33/105
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023220720
(22)【出願日】2023-12-27
【審査請求日】2023-12-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524000296
【氏名又は名称】山口 秀明
(73)【特許権者】
【識別番号】524000300
【氏名又は名称】山口 雅弘
(73)【特許権者】
【識別番号】524001514
【氏名又は名称】秋葉 一宏
(73)【特許権者】
【識別番号】524000311
【氏名又は名称】鈴木 康弘
(73)【特許権者】
【識別番号】524001525
【氏名又は名称】江畑 康弘
(73)【特許権者】
【識別番号】524000322
【氏名又は名称】伊藤 大輔
(73)【特許権者】
【識別番号】524001536
【氏名又は名称】鈴木 丈晴
(73)【特許権者】
【識別番号】524001547
【氏名又は名称】坂野 和則
(73)【特許権者】
【識別番号】524000333
【氏名又は名称】山口 和之
(73)【特許権者】
【識別番号】524001558
【氏名又は名称】山口 哲耶
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】弁理士法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】山口 秀明
(72)【発明者】
【氏名】山口 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 一宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康弘
(72)【発明者】
【氏名】江畑 康弘
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】坂野 和則
(72)【発明者】
【氏名】山口 和之
(72)【発明者】
【氏名】山口 哲耶
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-119238(JP,A)
【文献】特開平11-075789(JP,A)
【文献】ダイエットにも免疫アップにも効果のある[紫キャベツ酢漬け]1年続けてます!,The wayback machine [online],2020年11月30日,インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20201130101331/https://diet-note.com/post-1132/>,[検索日2024.03.18]
【文献】残り酢について-キャベツ酢を作って食べ終わった後に、酢が結構残ります。,YAHOO!知恵袋 [online],2020年11月18日,インターネット<URL:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13234599543>,[検索日2024.03.15]
【文献】菅野幸一,食酢の調理特性,調理科学,1992年,Vol.25, No.4,pp.71-78
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/
A23L 19/
C12J 1/
Google
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤キャベツ飲料の製造方法であって、当該製造方法は、
食塩又は食塩を含む調味料で処理されていない赤キャベツを所定の大きさに切断する工程、
切断した前記赤キャベツを食酢に浸漬する工程、及び、
浸漬した前記赤キャベツを浸漬液から取り除く工程、
を有し、
前記浸漬する工程は、前記赤キャベツの前記食酢に対する割合が1/5~1/2の範囲内であり、
前記浸漬する工程は、前記赤キャベツが、穀物酢及び/又は果実酢の前記食酢のみに浸漬され、
前記赤キャベツ飲料は、食塩を含む調味料が添加されていない、
赤キャベツ飲料の製造方法。
【請求項2】
前記浸漬液を2倍~10倍に希釈する工程を更に有する、
請求項1に記載の赤キャベツ飲料の製造方法。
【請求項3】
グラニュー糖、蜂蜜、ルビット、アルコール、クエン酸、リンゴ酸、及び、酒石酸の群から選択される1つ以上の調味料を添加する工程を更に有する、
請求項1に記載の赤キャベツ飲料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は赤キャベツ飲料の製造方法及び赤キャベツ飲料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
赤キャベツ色素(アカキャベツ色素)は、比較的耐熱性及び耐光性に優れており、アントシアニン系色素の中では最も使用量が多い色素とされている。赤キャベツ色素は、通常、飲料、漬物、ゼリーその他の食品を赤乃至赤紫に着色するために使用されている。
【0003】
一方、赤キャベツの栄養素を体内に取り入れる方法としては、通常のキャベツと同様、赤キャベツを生食する方法や、加熱する方法等が挙げられる。また、一般的に、キャベツは、加圧下、乳酸発酵させて、ザウエルクラウト等の漬物又はその発酵液を得ることが知られている。しかしながら、赤キャベツは、自身の色調や味覚等の観点から、ザウエルクラウトの原料としては不適当と考えられてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さらに、ザウエルクラウトのようにキャベツを発酵させる場合、食塩を添加するため、現代において望まれている低塩飲料として適さないという問題点も有している。
【0005】
そこで、本発明は、野菜として赤キャベツを用いて、低塩条件下、赤キャベツ中の栄養素を破壊することなく含み、天然の美しい色調を有する赤キャベツ飲料を製造する方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の赤キャベツ飲料の製造方法は、
赤キャベツを所定の大きさに切断する工程、
切断した前記赤キャベツを食酢に浸漬する工程、及び、
浸漬した前記赤キャベツを浸漬液から取り除く工程、
を有し、
前記浸漬する工程は、前記赤キャベツの前記食酢に対する割合が1/5~1/2の範囲内であり、
前記浸漬する工程は、前記赤キャベツが、穀物酢及び/又は果実酢の食酢のみに浸漬される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によると、野菜として赤キャベツを用いて、低塩条件下、赤キャベツ中の栄養素を破壊することなく含み、天然の美しい色調を有する赤キャベツ飲料を製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る赤キャベツ飲料の製造方法の一例のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態に係る赤キャベツ飲料の製造方法について図面を参照して説明する。
【0010】
(赤キャベツ飲料の製造方法)
図1に、本発明の一実施形態に係る赤キャベツ飲料の製造方法の一例のフロー図を示す。図1に示されるように、本実施形態に係る赤キャベツ飲料の製造方法は、
赤キャベツを所定の大きさに切断する工程(S100)、
切断した前記赤キャベツを食酢に浸漬する工程(S110)、及び、
浸漬した前記赤キャベツを浸漬液から取り除く工程(S120)、
を有する。
【0011】
また、本実施形態に係る赤キャベツ飲料の製造方法は、取り除く工程の後に、前記浸漬液を2倍~10倍に希釈する工程(S130)を更に有していても良い。
【0012】
以下、各々の工程について詳細に説明する。
【0013】
切断する工程(S100)は、赤キャベツを浸漬しやすいように、所定の大きさ、例えば数cm片にザク切り、千切り又はみじん切りする工程である。この切断する工程(S100)程により、赤キャベツの栄養素を抽出しやすくなる。
【0014】
浸漬する工程(S110)は、切断する工程(S100)で切断された赤キャベツを食酢に浸漬させることで、赤キャベツの栄養素を抽出する工程である。
【0015】
ここで、浸漬する浸漬液となる食酢は、例えば、米酢、玄米酢、黒酢、粕酢、麦芽酢、はと麦酢などの穀物酢、及び/又は、リンゴ酢、ブドウ酢、シェリー酢、バルサミコ酢、レモン酢、カボス酢や梅酢などの果実酢のみから形成され、その他の成分を含まないことが好ましい。
【0016】
上記理由については、詳細は不明であるが、後述する実施例において、穀物酢及び/又は果実酢を使用した赤キャベツ飲料を対象者が服用することで、対象者の血糖値等を下げる効果が見受けられ、醸造酢のほかに砂糖、レモン果汁、塩、顆粒だしなどが含まれている調味酢を使用した場合には、対象者の血糖値等を下げる効果が得られなかった。
【0017】
また、浸漬する工程(S110)において、赤キャベツの前記食酢に対する割合は、重量比において、1/5~1/2の範囲内とすることが好ましい。赤キャベツの前記食酢に対する割合を上記範囲内とすることで、効率よく赤キャベツの栄養素を抽出できるため好ましい。
【0018】
浸漬時間としては、特に限定されないが、本実施例においては24時間以上とした。
【0019】
取り除く工程(S120)は、浸漬液から固形成分である赤キャベツを取り除く工程である。赤キャベツを取り除く方法は、特に限定されず、公知の用具等を用いて物理的に取り除いて良いし、遠心分離、圧搾、濾過等で浸漬液のみを抽出しても良い。
【0020】
希釈する工程(S130)は、浸漬液を対象者が飲みやすいように、水などの飲むことが可能な飲料で希釈しても良い。通常、2倍~10倍程度に希釈することが、対象者が飲みやすくなるため、好ましい。
【0021】
また、得られた赤キャベツ飲料は、調味料等を加えてもよく、調味料としては例えば、グラニュー糖、蜂蜜、ソルビット等の甘味料、アルコール、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、香料、色素等が挙げられる。
【0022】
(実施例1)
本実施形態に係る赤キャベツ飲料の製造方法により、赤キャベツの栄養成分を抽出できることを確認した実施例について、説明する。
【0023】
赤キャベツおよそ200gを数cmにザク切りし、穀物酢(株式会社Mizkan製)500mlに浸漬させた。24時間以上浸漬後、固形成分を取り除き、赤キャベツ抽出液を得た。
【0024】
得られた赤キャベツ抽出液中の成分について、外部受託により分析した。
【0025】
分析結果について、表1に示す。
【0026】
【表1】
表1より明らかであるように、本実施形態に係る赤キャベツ飲料の製造方法により、赤キャベツ由来の栄養成分であると思われる、食物繊維、カルシウム、ビタミン、マグネシウム、ポリフェノール等が無事抽出されていることがわかった。ナトリウム、炭水化物、タンパク質等は、穀物酢由来の成分(及び赤キャベツ由来の成分との混合成分)であると思われる。
【0027】
(実施例2)
本実施形態に係る赤キャベツ飲料の製造方法により製造された赤キャベツ飲料が、優れた効果を有することを確認した実施例について、説明する。
【0028】
赤キャベツおよそ200gを数cmにザク切りし、穀物酢(株式会社Mizkan製)500mlに浸漬させた。24時間以上浸漬後、固形成分を取り除き、赤キャベツ抽出液を得た。
【0029】
40代の男性に対して、得られた赤キャベツ抽出液およそ60mlを、水でおよそ2から3倍希釈したものを、朝と晩の1日2度飲んでもらった。この赤キャベツ飲料の摂取は、3年間毎日繰り返した。
【0030】
対象者の1年毎に血液検査の代表的な結果は下記の通りである。なお、調査は、医療専門家が担当した。血液検査は、被験者を(3.5時間以上10時間未満)絶食させ、血液を採取し、種々の成分濃度を自動生化学機器により検出した。
【0031】
血液検査の随時中性脂肪(TG)は、603mg/dL(赤キャベツ飲料摂取前:乳び2+)、558mg/dL(赤キャベツ飲料摂取1年後:乳び+)、334mg/dL(赤キャベツ飲料摂取2年後:乳び-)、240mg/dL(赤キャベツ飲料摂取2年後:乳び-)であった。その他の項目については、特徴的な数値の変更はなかった。
【0032】
即ち、赤キャベツ飲料の摂取により、中性脂肪の低下がみられ、その他の血液濃度成分に有意な変化はないことがわかった。
【0033】
(実施例3)
本実施形態に係る赤キャベツ飲料の製造方法により製造された赤キャベツ飲料が、優れた効果を有することを確認した別の実施例について、説明する。
【0034】
赤キャベツおよそ200gを数cmにザク切りし、穀物酢(株式会社Mizkan製)500mlに浸漬させた。24時間以上浸漬後、固形成分を取り除き、赤キャベツ抽出液を得た。
【0035】
40代の別の男性に対して、得られた赤キャベツ抽出液およそ30mlを、水でおよそ5倍希釈したものを、朝と晩の1日2度飲んでもらった。この赤キャベツ飲料の摂取は、1年間毎日繰り返した。
【0036】
対象者の1年毎に血液検査の血糖値(HbAlc:NGSP値)の結果は下記の通りである。なお、調査は、医療専門家が担当した。血液検査は、被験者を一晩(12時間)絶食させ、翌日、空腹時に血液を採取し、下記の成分濃度を自動生化学機器により検出した。
【0037】
血液検査の血糖値(HbAlc:NGSP値)は、11.9%(赤キャベツ飲料摂取前)、7.6%(赤キャベツ飲料摂取1年後)であった。
【0038】
即ち、赤キャベツ飲料の摂取により、血糖値の低下がみられることがわかった。
【0039】
(実施例4)
本実施形態に係る赤キャベツ飲料の製造方法により製造された赤キャベツ飲料が、優れた効果を有することを確認した別の実施例について、説明する。
【0040】
赤キャベツおよそ200gを数cmにザク切りし、カンタン酢(登録商標:株式会社Mizkan製)500mlに浸漬させた。24時間以上浸漬後、固形成分を取り除き、赤キャベツ抽出液1を得た。
【0041】
同様に、赤キャベツおよそ200gを数cmにザク切りし、穀物酢(株式会社Mizkan製)500mlに浸漬させた。24時間以上浸漬後、固形成分を取り除き、赤キャベツ抽出液2を得た。
【0042】
40代の更に別の男性に対して、得られた赤キャベツ抽出液1およそ30mlを、水でおよそ2~5倍希釈したものを、朝と晩の1日2度飲んでもらった。この赤キャベツ飲料の摂取は、4ヶ月毎日繰り返した。
【0043】
対象者の1年毎に血液検査の血糖値(HbAlc:NGSP値)の結果は下記の通りである。なお、調査は、医療専門家が担当した。血液検査は、被験者を数時間(3時間~4時間程度)絶食させ、血液を採取し、下記の成分濃度を自動生化学機器により検出した。
【0044】
血液検査の血糖値(HbAlc:NGSP値)は、8.4%(赤キャベツ抽出液1摂取前)、8.6%(赤キャベツ抽出液1摂取2ヶ月後)、8.5%(赤キャベツ抽出液1摂取4ヶ月後)であった。
【0045】
その後、上記男性に対して、赤キャベツ抽出液2およそ30mlを、水でおよそ2~5倍希釈したものを、朝と晩の1日2度飲んでもらった。この赤キャベツ飲料の摂取は、2ヶ月毎日繰り返した。その後、同様の血液検査により、血糖値(HbAlc:NGSP値)の値を調査した。結果は下記の通りである。
【0046】
血液検査の血糖値(HbAlc:NGSP値)は、7.8%(赤キャベツ抽出液2摂取後)であった。
【0047】
即ち、前記赤キャベツが、穀物酢のみに浸漬されることで、より効率良く赤キャベツの優れた栄養成分を抽出できたため、優れた血糖値低下効果が得られたと考えられる。
【0048】
以上、本実施形態に係る赤キャベツ飲料の製造方法は、
赤キャベツを所定の大きさに切断する工程、
切断した前記赤キャベツを食酢に浸漬する工程、及び、
浸漬した前記赤キャベツを浸漬液から取り除く工程、
を有し、
前記浸漬する工程は、前記赤キャベツの前記食酢に対する割合が1/5~1/2の範囲内であり、
前記浸漬する工程は、前記赤キャベツが、穀物酢及び/又は果実酢の前記食酢のみに浸漬される。
【0049】
本実施形態に係る赤キャベツ飲料の製造方法は、低塩条件下、赤キャベツ中の栄養素を破壊することなく、赤キャベツの有する優れた栄養成分が効率良く抽出され、天然の美しい色調を有する赤キャベツ飲料を製造する方法である。
【符号の説明】
【0050】
S100 切断する工程
S110 浸漬する工程
S120 取り除く工程
S130 希釈する工程
【要約】
【課題】野菜として赤キャベツを用いて、低塩条件下、赤キャベツ中の栄養素を破壊することなく含み、天然の美しい色調を有する赤キャベツ飲料を製造する方法を提供する。
【解決手段】 赤キャベツを所定の大きさに切断する工程、切断した前記赤キャベツを醸造酢に浸漬する工程、及び、浸漬した前記赤キャベツを浸漬液から取り除く工程、を有し、前記浸漬する工程は、前記赤キャベツの前記食酢に対する割合が1/5~1/2の範囲内であり、前記浸漬する工程は、前記赤キャベツが、穀物酢及び/又は果実酢の醸造酢のみに浸漬される、赤キャベツ飲料の製造方法。
【選択図】図1
図1