(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】HIF抑制用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/194 20060101AFI20241205BHJP
A61K 36/38 20060101ALI20241205BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241205BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20241205BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A61K31/194
A61K36/38
A61P43/00 105
A61P27/02
A61P27/06
(21)【出願番号】P 2021504090
(86)(22)【出願日】2020-03-02
(86)【国際出願番号】 JP2020008742
(87)【国際公開番号】W WO2020179747
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2019038043
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019078929
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】598121341
【氏名又は名称】慶應義塾
(73)【特許権者】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 俊英
(72)【発明者】
【氏名】伊吹 麻里
(72)【発明者】
【氏名】坪田 一男
(72)【発明者】
【氏名】蔀 美和子
【審査官】参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-522264(JP,A)
【文献】特開2008-110950(JP,A)
【文献】特開2013-039036(JP,A)
【文献】特表2007-534747(JP,A)
【文献】特開2008-143811(JP,A)
【文献】J. Clin. Biochem. Nutr.,2008年,Vol.42,pp.89-103
【文献】Keio J. Med.,2018年,Vol.67(1),pp.1-9
【文献】上原記念生命科学財団研究報告集,2015年,29,pp.1-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00
A61K 36/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ヒドロキシクエン酸及び/又はその塩を含有するガルシニア及び/またはそのエキスのうち、少なくとも1種を含有する、HIF抑制用組成物。
【請求項2】
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ヒドロキシクエン酸及び/又はその塩を含有するガルシニア及び/またはそのエキスのうち、少なくとも1種を含有する、網膜保護用組成物。
【請求項3】
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ヒドロキシクエン酸及び/又はその塩を含有するガルシニア及び/またはそのエキスのうち、少なくとも1種を含有する、網膜色素上皮細胞におけるHIF高値抑制
用組成物。
【請求項4】
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ヒドロキシクエン酸及び/又はその塩を含有するガルシニア及び/またはそのエキスのうち、少なくとも1種を含有する、眼部のVEGF抑制用組成物。
【請求項5】
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ヒドロキシクエン酸及び/又はその塩を含有するガルシニア及び/またはそのエキスのうち、少なくとも1種を含有する、眼部の血管新生抑制用組成物。
【請求項6】
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ヒドロキシクエン酸及び/又はその塩を含有するガルシニア及び/またはそのエキスのうち、少なくとも1種を含有する、眼部のVEGFの抑制及びVEGFによって誘導される血管新生の抑制による血管組織の恒常性維持用組成物。
【請求項7】
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ヒドロキシクエン酸及び/又はその塩を含有するガルシニア及び/またはそのエキスのうち、少なくとも1種を含有する、後眼部疾患のリスク低減、予防又は治療用組成物
(但し、該後眼部疾患が、糖尿病合併症である場合を除く)。
【請求項8】
前記後眼部疾患が、加齢黄斑変性、網膜色素変性症、増殖性硝子体網膜症、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、ぶどう膜炎、レーベル病、未熟児網膜症、網膜剥離、網膜色素上皮剥離、中心性漿液性脈絡網膜症、中心性滲出性脈絡網膜症、ポリープ状脈絡膜血管症、多発性脈絡膜炎、新生血管黄斑症、網膜動脈瘤、網膜血管腫状増殖、これらの疾患に起因する視神経障害、緑内障に起因する視神経障害および虚血性視神経障害からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項7に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はHIF抑制用組成物に関する。本発明はまた、網膜保護用組成物、眼部の抗老化用組成物、眼部のVEGF抑制用組成物、眼部の血管新生抑制用組成物、眼部の血管組織の恒常性維持用組成物、後眼部疾患のリスク低減、予防又は治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
HIF(Hypoxia Inducible Factor:低酸素誘導因子)は、細胞に対する酸素供給が不足状態に陥った際に誘導される転写因子であり、低酸素適応応答、幹細胞の維持や炎症の制御などの恒常性維持など多彩な生理活性を有しているが、一方でHIFが過剰発現することががんの発症・進展に大きく関わっていると考えられている。
【0003】
そのため、例えば、非特許文献1に開示されるように、HIFは、がん治療のターゲットとして研究されている。他方、特許文献1及び非特許文献2に開示されるように、がんのみでなく、眼科領域における疾患や眼部異常についても、HIFを抑制することで治療効果、予防効果、リスク低減効果が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Onnis B, et al.“Development of HIF-1 inhibitors for cancer therapy”J Cell Mol Med. 2009
【文献】Kurihara T, et al.“Hypoxia-induced metabolic stress in retinal pigment epithelial cells is sufficient to induce photoreceptor degeneration” eLife 2016
【文献】Wang X, et al.“Mitochondrial ferritin affects mitochondria by stabilizing HIF-1arufwa in retinal pigment epithelium: implications fwor the pathophysiology of age-related macular degeneration” Neurobiol Aging. 2016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、HIF抑制用組成物の多くは非特許文献1に開示されるように抗がん剤であるため、細胞毒性が強く、例えば、眼疾患に対しそのまま適用することが難しい。その為、安全性の高く、医薬品の領域だけでなく、機能性食品やサプリメントの領域でも適用可能な成分を用いた新規HIF抑制用組成物が求められている。
【0007】
そこで、本発明は、HIFを抑制し、それにより、関連する疾患や眼部異常を効果的に改善する組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明者等が鋭意検討した結果、食品分野や医薬品分野において、安全に使用されている成分において、HIF阻害活性を有することが認められることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記に掲げる組成物を提供する。
[1]ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン又はその誘導体及びそれらの塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸、パントテン酸、ビオチン、並びに、葉酸からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、HIF抑制用組成物。
[2]ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン又はその誘導体及びそれらの塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸、パントテン酸、ビオチン、並びに、葉酸からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、網膜保護用組成物。
[3]ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン又はその誘導体及びそれらの塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸、パントテン酸、ビオチン、並びに、葉酸からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、眼部の抗老化用組成物。
[4]ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン又はその誘導体及びそれらの塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸、パントテン酸、ビオチン、並びに、葉酸からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、眼部のVEGF抑制用組成物。
[5]ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン又はその誘導体及びそれらの塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸、パントテン酸、ビオチン、並びに、葉酸からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、眼部の血管新生抑制用組成物。
[6]ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン又はその誘導体及びそれらの塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸、パントテン酸、ビオチン、並びに、葉酸からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、眼部の血管組織の恒常性維持用組成物。
[7]ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン又はその誘導体及びそれらの塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸、パントテン酸、ビオチン、並びに、葉酸からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、後眼部疾患のリスク低減、予防又は治療用組成物。
[8]前記後眼部疾患が、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、網膜色素変性症、増殖性硝子体網膜症、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、ぶどう膜炎、レーベル病、未熟児網膜症、網膜剥離、網膜色素上皮剥離、中心性漿液性脈絡網膜症、中心性滲出性脈絡網膜症、ポリープ状脈絡膜血管症、多発性脈絡膜炎、新生血管黄斑症、網膜動脈瘤、網膜血管腫状増殖、これらの疾患に起因する視神経障害、緑内障に起因する視神経障害および虚血性視神経障害からなる群より選択される少なくとも1種である、[7]に記載の組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、食品分野や医薬品分野において、安全に使用されている成分によりHIFを阻害し、HIFの高値により引き起こされる眼部の異常や疾患を効果的に改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1(A)~(D)は、試験例3における、暗所適応下(Dark-adapted)での刺激(10cd s/m
2)によるERG(杆体系機能)測定結果を示すグラフである。
【
図2】
図2(A)~(B)は、試験例3における、明所適応下(Light-adapted)での刺激(10cd s/m
2)によるERG(錐体系機能)測定結果を示すグラフである。
【
図3】
図3(A)~(B)は、試験例3における、暗所適応下(Dark-adapted)での刺激(10cd s/m
2)によるERG(杆体系機能)測定結果を示すグラフである。
【
図4】
図4は、試験例3における、明所適応下(Light-adapted)での刺激(10cd s/m
2)によるERG(錐体系機能)測定結果を示すグラフである。
【
図5】
図5(A)は、試験例4における、投与開始42日目(6w)のレーザー照射後の脈絡膜新生血管(CNV)誘導結果を示したグラフである。
図5(B)は、試験例4における、投与開始56日目(8w)のレーザー照射後の脈絡膜新生血管(CNV)誘導結果を示したグラフである。
【
図6】
図6は、試験例5における、レーザー照射後の脈絡膜新生血管(CNV)誘導結果を示したグラフである。
【
図7】
図7は、試験例6における、レーザー照射後の脈絡膜新生血管(CNV)誘導結果を示したグラフである。
【
図8】
図8は、試験例7における、レーザー照射後の脈絡膜新生血管(CNV)誘導結果を示したグラフである。
【
図9】
図9は、試験例8における、レーザー照射後の脈絡膜新生血管(CNV)誘導結果を示したグラフである。
【
図10】
図10は、試験例9における、HIF下流遺伝子の発現を確認した結果を示したグラフである。
【
図11】
図11は、試験例9における、HIF下流遺伝子の発現を確認した結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[HIF抑制用組成物]
一つの実施形態において、本発明のHIF抑制用組成物は、ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、並びに、オレアノール酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する。
【0013】
本明細書において、植物のエキスは、植物の全草あるいは必要部位(花、頭花、花芽、つぼみ、花穂、葉、枝、枝葉、根茎、根皮、根、樹皮、果実、果皮、豆果、種子など)から抽出した粗抽出物そのままでも、更にそれを精製処理したものでも良く、濃縮処理したものでも良く、合成によって得られたものでも良く、市販品を用いることもできる。植物のエキスを得る方法としては、特に限定されず、通常の抽出法、精製方法、濃縮方法、合成方法、乾燥粉末化方法等が採用される。
【0014】
(ヒドロキシクエン酸及びその塩)
ヒドロキシクエン酸(HCA;1,2-ジヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボン酸)は天然物質であり、ガルシニア・カンボジア(Garcinia cambogia)等のガルシニア属植物の果皮に自然状態で含まれている。そのカルシウム塩(ヒドロキシクエン酸カルシウム)は脂肪酸生合成を阻害することが知られている。ガルシニア・カンボジアは、東南アジア原産のオトギリソウ科植物であり、古くからスパイス・保存料として利用されており、現在は、その脂肪合成抑制作用によりダイエット素材としても良く知られている。HCAを成分とした、肥満抑制効果をうたった医薬品を含む様々な商品が開発されている
【0015】
ヒドロキシクエン酸の塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されないが、例えば、アルカリ金属(特にナトリウム)塩又はアルカリ土類金属(特にカルシウム又はマグネシウム)塩等が挙げられる。ヒドロキシクエン酸の塩としては、カルシウム塩が好ましい。
【0016】
これらのヒドロキシクエン酸及び/又はその塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。また、ヒドロキシクエン酸及び/又はその塩を含有する食品素材などを使用してもよい。このような素材としては、限定はされないが、ガルシニア及びそのエキスが挙げられる。
【0017】
(ガルシニア及びそのエキス)
ガルシニア及びそのエキスとは、オトギリソウ科の常緑樹であるGarcinia cambogiaの果実又は果皮、その乾燥物、その微粉末としたもの、並びに、その抽出物(エキス)をいう。
【0018】
ガルシニアエキスは、本発明の効果を奏する限り、抽出方法は限定されない。一例として、ガルシニアエキスは、ガルシニア又はその粉砕物から、水及び/又は有機溶媒で浸漬抽出し、残査を濾別することにより得られる抽出液、この抽出液から溶媒を除去したもの、あるいはこれらの微粉末、又は、上記抽出液や溶媒除去物を適当な溶剤を用いるなどして溶解、分散、希釈したものなどをいい、市販品を用いることも可能である。他の抽出方法の例として、ガルシニアエキスは、Garcinia cambogiaの果実又は果皮を蒸すなどの加工をしてから抽出することもできる
【0019】
本明細書において、植物のエキス(植物の抽出物ともいう)を用いる場合、より詳細には、抽出溶媒として、水(熱水を含む)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリルなどのニトリル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素類、トルエンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、その他ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの有機溶媒(すべて含水であってもよい)などを適宜用いることができ、1種または2種の任意の混合液であってもよい。これらの溶媒のうち、水、エタノール、1,3-ブチレングリコールまたはこれらの混合溶液が好ましい。本明細書に記載のエキスは、各種原料品会社から入手することができ、それらは通常、賦形剤を含めた形で販売されている場合が多いが限定はされない。以下、エキス量とは、乾燥固形分と賦形剤を含んだ量をいう。
【0020】
ガルシニアエキスの抽出溶媒は、本発明の効果を奏する限り、制限されないが、水、エタノール、または含水エタノールであることが好ましく、含水エタノールであることがより好ましい。
【0021】
ヒドロキシクエン酸を含有する食品素材、又は、ガルシニアエキスの市販品としては、例えば、スーパーシトリマックス(株式会社龍泉堂)、ガルシニアカンボジアエキス末(ヴィディヤジャパン株式会社)、ガルシニア・カンボジア(バイオアクティブズジャパン株式会社)、ガーシトリン(株式会社サビンサジャパンコーポレーション)、ガルシニアエキス末(興新物産株式会社)などがあるが、これらに限定されない。
【0022】
(ラクトフェリン)
ラクトフェリンは、分子量が約8万ダルトンの糖タンパク質であり、1分子当たり2分子の鉄原子が可逆的に結合可能であって、哺乳動物の乳中等に存在している。
【0023】
本発明で用いられるラクトフェリンとしては、哺乳動物(例えばヒト、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ等)の乳(初乳、移行乳、常乳、末期乳等)又はこれらの乳の処理物(脱脂乳、ホエー等)等を原料とし、該原料から、常法(例えばイオン交換クロマトグラフィー等)により分離精製して得られるラクトフェリン(分離ラクトフェリン);該分離ラクトフェリンを塩酸、クエン酸等により脱鉄した状態のアポラクトフェリン;遺伝子操作により、微生物、動物細胞、トランスジェニック動物等で生産した各種ラクトフェリン等が挙げられる。これらのラクトフェリンは、いずれか1種を用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。ラクトフェリンは、市販品を用いることも可能である。
【0024】
また、ラクトフェリンを含む食品素材などを使用してもよい。ラクトフェリンを含む食品素材としては、例えば、ラクトフェリンを含む市販品としては、例えば、ラクトフェリン(リバソン株式会社)、オーラバリア LF+LPO(森永乳業株式会社)、IDP(兼松ケミカル株式会社)、Bioferrin(グランビアジャパン株式会社)などがあるが、これらに限定されない。
【0025】
(ニンジン及びそのエキス)
ニンジン及びそのエキスとは、ニンジン、これを微粉末としたもの(ニンジン末)、並びに、その抽出物(エキス)をいう。
【0026】
具体的には、ニンジン末は、日本薬局方に定義されたとおり「ニンジン」を粉末としたものであって、定量するとき、換算した生薬の乾燥物に対してギンセノサイドRg1を0.10%以上及びギンセノサイドRb1を0.20%以上含むものである。ニンジン末は、日本薬局方に定められた規格のものが市販されており、これを使用することができる。
【0027】
ニンジンエキスは、本発明の効果を奏する限り、抽出方法は限定されない。一例として、ニンジンエキスは、ニンジン又はその粉砕物から、水及び/又は有機溶媒で浸漬抽出し、残査を濾別することにより得られる抽出液、この抽出液から溶媒を除去したもの、あるいはこれらの微粉末、又は、上記抽出液や溶媒除去物を適当な溶剤を用いるなどして溶解、分散、希釈したものなどをいい、市販品を用いることも可能である。他の抽出方法の例として、ニンジンエキスは、ニンジンを蒸すなどの加工をしてから抽出することもできる。
【0028】
ニンジンエキスの抽出溶媒は、本発明の効果を奏する限り、制限されないが、水、エタノール、または含水エタノールであることが好ましく、含水エタノールであることがより好ましい。
【0029】
また、ニンジン及びそのエキスの由来は、本発明の効果を奏する限り、制限されないが、オタネニンジン(朝鮮人参)、アメリカニンジン(西洋人参)、シベリアニンジン(エゾウコギ)、サンシチニンジン(三七人参、田七人参)、またはこれらの組み合わせであることが好ましく、オタネニンジン(朝鮮人参)であることがより好ましい。
【0030】
ニンジン及びそのエキスの市販品は、限定されないが、以下のものが例示される。オタネニンジンとしては、例えば、黒高麗ニンジンエキスパウダー(日本薬品株式会社)、高麗ニンジンエキス末(フロンティアフーズ株式会社)、高麗人参抽出物(株式会社サンクト)、ニンジンエキス末S(松浦薬業株式会社)、ニンジンカンソウエキス10%(インデナジャパン株式会社)等が挙げられる。アメリカニンジンとしては、西洋人参エキス末(株式会社FAPジャパン)、西洋人参エキス末(松浦薬業株式会社)、ウィスコンシンジンセン(株式会社皇漢薬品研究所)、アメリカンジンセンエキス(タマ生化学株式会社)等が挙げられる。シベリアニンジンとしては、例えば、エゾウコギエキス(松浦薬業株式会社)、シベリアジンセンエキス末(興新物産株式会社)、エゾウコギエキス末(株式会社FAPジャパン)、エゾウコギエキス末(株式会社皇漢薬品研究所)、シベリア人参乾燥エキス(アスク薬品株式会社)等が挙げられる。サンシチニンジン(三七人参、田七人参)としては、例えば、田七人参エキス末(株式会社中原)、田七人参エキス末(松浦薬業株式会社)田七人参(アダプトゲン製薬株式会社)等が挙げられるが、ニンジン及びそのエキスの市販品はこれらに限定されない。
【0031】
(ピリドキシン及びその塩)
ピリドキシンは、5-ヒドロキシ-6-メチルピリジン-3,4-ジメタノールとも称される化合物である。ピリドキシン及び/又はその塩は、水溶性ビタミンであるビタミンB6として公知の化合物であり、公知の方法によって合成してもよく市販品として入手することもできる。
【0032】
ピリドキシンの塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されないが、具体的には、有機酸塩[例えば、モノカルボン酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩等)、多価カルボン酸塩(フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩等)、オキシカルボン酸塩(乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等)、有機スルホン酸塩(メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩等)等]、無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩等)等が挙げられる。
【0033】
これらのピリドキシン及び/又はその塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。眼の異物感を改善するという観点から、(A)成分としては、ピリドキシンの無機酸塩が好ましく、ピリドキシンの塩酸塩又はリン酸塩がより好ましく、ピリドキシンの塩酸塩が更に好ましい。
【0034】
また、ピリドキシン及び/又はその塩を含む食品素材などを使用してもよい。ピリドキシン及び/又はその塩を含む食品素材又はその市販品としては、例えば、とうがらし、米ぬか、ニンニク、バジル、パセリ、小麦胚芽などがあり、その市販品としては、例えば、ビタミンB6含有酵母(セティ株式会社)、ビタミンB6(DSMニュートリションジャパン株式会社)、カプシカム オレオレジン(ヴィディヤジャパン株式会社)、精選乾燥脱脂米糠(築野食品工業株式会社)、オリザドリム(オリザ油化株式会社)、ガーリックエキス(バイオアクティブズジャパン株式会社)などがあるが、これらに限定されない。
【0035】
ピリドキシン及び/又はその塩を含む食品素材の中でも、本願発明の効果を顕著に奏する観点から、米ぬかが好ましく、脱脂米ぬか(脱脂米ぬか抽出物ともいう)がより好ましい。
【0036】
脱脂米ぬかは、玄米を精米して得られる米ぬかを脱脂して得られる。また、これを用い、各種抽出溶媒にて抽出物とすることもできる。本発明においては、イネ科イネ属に属するイネ(Oryza sativa)の種子から得られる米ぬかが原料として用いられ、ジャポニカ種、インディカ種等、あらゆる品種のイネ由来の米ぬかを用いることが可能である。
【0037】
(オレアノール酸及びその塩)
オレアノール酸は、β-アミリン系トリテルペンの一種であって、オリーブ葉、センブリ、チョウジ、ブドウ、ビート、柿、梅、ビワ、沙棘(シーバックソーン)、アルガン、サトウダイコンに遊離体またはサポニンとして存在することが知られている。オレアノール酸は、上記原料から公知の方法で抽出および精製することができ、あるいは、化学合成によってまたは市販品として得ることもできる。
【0038】
また、オレアノール酸を含む食品素材などを使用してもよい。オレアノール酸を含む食品素材又はその市販品としては、例えば、オレアノール酸を含む食品素材としてオレアノール-55(タマ生化学株式会社)、オレアビータ(株式会社ニュートリション・アクト)、ニップンパミスエキスGR、ニップンパミスエキスOA(日本製粉株式会社)、パロアッスル(株式会社IHM)などがあるが、これらに限定されない。
【0039】
オレアノール酸は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルギニン塩などの塩基性アミノ酸塩を含む有機酸塩等が挙げられる。
【0040】
(チアミン又はその誘導体及びそれらの塩)
チアミンは、水溶性ビタミンであるビタミンB1として公知の化合物であり、公知の方法によって合成してもよく市販品として入手することもできる。
【0041】
チアミンの塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されないが、具体的には、有機酸塩[例えば、モノカルボン酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩等)、多価カルボン酸塩(フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩等)、オキシカルボン酸塩(乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等)、有機スルホン酸塩(メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩等)等]、無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩等)等が挙げられる。
【0042】
これらのチアミン又はその誘導体及びそれらの塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。チアミン又はその誘導体及びその塩としては、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミンセチル硫酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩、チアミンラウリル硫酸塩、ビスベンチアミンなどがあげられる。これらのうち、チアミンの無機酸塩が好ましく、チアミンの塩酸塩又は硝酸塩がより好ましく、硝酸塩が更に好ましい。
【0043】
また、チアミン又はその誘導体及びそれらの塩を含む食品素材などを使用してもよい。チアミン又はその誘導体及びそれらの塩を含む食品素材又はその市販品としては、例えば、チアミン硝酸塩<株式会社中原)、チアミン塩酸塩(株式会社サンクト)、ビタミンB1含有酵母(セティ株式会社)、ビタミンB1(DSM株式会社)、精選乾燥脱脂米糠(築野食品工業株式会社)、オリザドリム(オリザ油化株式会社)、胚芽粉状(日本製粉株式会社)、ゴマ(バイオアクティブズジャパン株式会社)などがあるが、これらに限定されない。
【0044】
(ナイアシン)
ナイアシンは、ニコチン酸(ビタミンB3、ナイアシン)及びそのアミド化合物(ニコチン酸アミド、ニコチンアミド、ナイアシンアミド)の総称であり、水溶性ビタミンとして公知の化合物であり、公知の方法によって合成してもよく市販品として入手することもできる。
【0045】
ナイアシンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。眼の異物感を改善するという観点から、(A)成分としては、ナイアシンアミドが好ましい。
【0046】
また、ナイアシンを含む食品素材などを使用してもよい。ナイアシンを含む食品素材又はその市販品としては、例えば、米ぬか、ナイアシンアミド含有酵母(セティ株式会社)、ニコチン酸(DSM株式会社)、精選乾燥脱脂米糠(築野食品工業株式会社)、オリザドリム(オリザ油化株式会社)、などがあるが、これらに限定されない。
【0047】
(イノシトール)
イノシトールは、シクロヘキサンの各炭素上の水素原子が1つずつヒドロキシ基に置き換わった構造(1,2,3,4,5,6-シクロヘキサンヘキサオール)を持つ、シクリトールの1種として公知の化合物であり、公知の方法によって合成してもよく市販品として入手することもできる。
【0048】
また、イノシトールを含む食品素材などを使用してもよい。イノシトールを含む食品素材又はその市販品としては、例えば、米ぬか、イノシトール(株式会社サンクト)、イノシトール(築野食品工業株式会社)、精選乾燥脱脂米糠(築野食品工業株式会社)、オリザドリム(オリザ油化株式会社)、キトルシロップ(ピュアズ・ジャパン株式会社)などがあるが、これらに限定されない。
【0049】
(フィチン酸及びその塩)
フィチン酸は、生体物質の1種で、myo-イノシトールの六リン酸エステルであり、myo-イノシトール‐1,2,3,4,5,6-六リン酸(myo―inositol―1,2,3,4,5,6-hexaphosphate または hexakisphosphate 又は hexakis(dihydrogenphosphate))とも言い、公知の方法によって合成してもよく市販品として入手することもできる。フィチン酸の塩としては、フィチン酸のカルシウム塩およびマグネシウム塩等(フィチン)があり、植物の種子や穀物などから調製され、水にほとんど溶けない白色粉末として得られる。
【0050】
また、フィチン酸を含む食品素材などを使用してもよい。フィチン酸を含む食品素材又はその市販品としては、例えば、米ぬか、フィチン酸(IP6)(築野食品工業株式会社)、フィチン酸FC(エフシー化学株式会社)、フィチン酸(扶桑化学工業株式会社)、精選乾燥脱脂米糠(築野食品工業株式会社)、オリザドリム(オリザ油化株式会社)、などがあるが、これらに限定されない。
【0051】
(パントテン酸及び/又はその塩)
パントテン酸は、D(+)-N-(2,4-ジヒドロキシ-3,3-ジメチルブチリル)-β-アラニンのことで水溶性ビタミンであるビタミンB群に含まれる公知の化合物であり、公知の方法によって合成してもよく市販品として入手することもできる。
【0052】
パントテン酸の塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されないが、具体的には、カルシウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム等が挙げられる。
【0053】
これらのパントテン酸及び/又はその塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。(A)成分としては、パントテン酸のカルシウム塩が好ましい。
【0054】
また、パントテン酸及び/又はその塩を含む食品素材などを使用してもよい。パントテン酸及び/又はその塩を含む食品素材又はその市販品としては、例えば、パントテン酸(DSM株式会社)、パントテン酸含有酵母(セティ株式会社)、精選乾燥脱脂米糠(築野食品工業株式会社)、オリザドリム(オリザ油化株式会社)、カプシカム オレオレジン(ヴィディヤジャパン株式会社)などがあるが、これらに限定されない。
【0055】
(ビオチン)
ビタミンB群に分類される水溶性ビタミンの一種で、公知の方法によって合成してもよく市販品として入手することもできる。
【0056】
また、ビオチンを含む食品素材などを使用してもよい。フィチン酸を含む食品素材又はその市販品としては、例えば、米ぬか、ビオチン含有酵母(セティ株式会社)、精選乾燥脱脂米糠(築野食品工業株式会社)、オリザドリム(オリザ油化株式会社)などがあるが、これらに限定されない。
【0057】
(葉酸)
葉酸は、プテリジンにパラアミノ安息香酸と1つまたは複数のグルタミン酸が結合した構造を持つビタミンB群に分類される水溶性ビタミンの一種で、水溶性ビタミンに分類される生理活性物質である。公知の方法によって合成してもよく市販品として入手することもできる。
【0058】
また、葉酸を含む食品素材などを使用してもよい。葉酸を含む食品素材又はその市販品としては、例えば、米ぬか、葉酸含有酵母(セティ株式会社)、葉酸(DSM株式会社)、などがあるが、これらに限定されない。
【0059】
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種の総含有量は、他の配合成分の種類及び含有量、組成物の製剤形態等に応じて適宜設定されるが、組成物全量に対して、好ましくは0.1~95質量%であり、より好ましくは0.3~80質量%であり、更に好ましくは0.5~75質量%であり、特に好ましくは1~70質量%である。
【0060】
ヒドロキシクエン酸及びその塩を含有する場合、ヒドロキシクエン酸及びその塩の単独の含有量は、特に限定されないが、例えば、組成物全量に対して、好ましくは0.1~95質量%であり、より好ましくは1~80質量%であり、更に好ましくは10~75質量%であり、特に好ましくは20~70質量%である。
【0061】
ガルシニア及びそのエキスを含有する場合、ガルシニア及びそのエキスの単独の含有量は、特に限定されないが、例えば、組成物全量に対して、好ましくは0.1~95質量%であり、より好ましくは1~80質量%であり、更に好ましくは10~75質量%であり、特に好ましくは20~70質量%である。
【0062】
ニンジン及びそのエキスを含有する場合、ニンジン及びそのエキスの単独の含有量は、特に限定されないが、例えば、組成物全量に対して、好ましくは0.1~95質量%であり、より好ましくは1~80質量%であり、更に好ましくは10~75質量%であり、特に好ましくは20~70質量%である。
【0063】
ピリドキシン及びその塩を含有する場合、ピリドキシン及びその塩の単独の含有量は、特に限定されないが、例えば、組成物全量に対して、好ましくは0.1~95質量%であり、より好ましくは0.3~70質量%であり、更に好ましくは0.5~50質量%であり、特に好ましくは1~30質量%である。
【0064】
オレアノール酸及びその塩を含有する場合、オレアノール酸及びその塩の単独の含有量は、特に限定されないが、例えば、組成物全量に対して、好ましくは0.1~95質量%であり、より好ましくは1~80質量%であり、更に好ましくは10~75質量%であり、特に好ましくは20~70質量%である。
【0065】
ラクトフェリンを含有する場合、ラクトフェリンの単独の含有量は、特に限定されないが、例えば、組成物全量に対して、好ましくは0.1~95質量%であり、より好ましくは1~80質量%であり、更に好ましくは10~75質量%であり、特に好ましくは20~70質量%である。
【0066】
チアミンを含有する場合、チアミンの単独の含有量は、特に限定されないが、例えば、組成物全量に対して、好ましくは0.001~95質量%であり、より好ましくは0.01~50質量%であり、更に好ましくは0.1~10質量%である。
【0067】
ナイアシンを含有する場合、ナイアシンの単独の含有量は、特に限定されないが、例えば、組成物全量に対して、好ましくは0.01~95質量%であり、より好ましくは0.1~80質量%であり、更に好ましくは1~75質量%である。
【0068】
イノシトールを含有する場合、イノシトールの単独の含有量は、特に限定されないが、例えば、組成物全量に対して、好ましくは1~95質量%であり、より好ましくは5~80質量%であり、更に好ましくは10~75質量%である。
【0069】
フィチン酸を含有する場合、フィチン酸の単独の含有量は、特に限定されないが、例えば、組成物全量に対して、好ましくは1~95質量%であり、より好ましくは10~80質量%であり、更に好ましくは20~75質量%である。
【0070】
パントテン酸を含有する場合、パントテン酸の単独の含有量は、特に限定されないが、例えば、組成物全量に対して、好ましくは0.001~95質量%であり、より好ましくは0.01~50質量%であり、更に好ましくは0.1~10質量%である。
【0071】
ビオチンを含有する場合、ビオチンの単独の含有量は、特に限定されないが、例えば、組成物全量に対して、好ましくは0.00005~50質量%であり、より好ましくは0.0001~10質量%であり、更に好ましくは0.001~1質量%である。
【0072】
葉酸を含有する場合、葉酸の単独の含有量は、特に限定されないが、例えば、組成物全量に対して、好ましくは0.00005~50質量%であり、より好ましくは0.0001~10質量%であり、更に好ましくは0.001~1質量%であり、特に好ましくは20~70質量%である。
【0073】
[用途]
本発明のHIF抑制用組成物は、HIFの阻害と関連のある状態、症状、疾患の改善にも好適に用いられる。上述のように、非特許文献2等において、HIFと眼部の異常との関連性が示されている。さらに、非特許文献3等において、HIFの異常高値は、網膜色素上皮細胞(RPE細胞)において加齢に伴い確認されることが知られている。よって、網膜の細胞でHIFを阻害することが、眼部の抗老化に対しても有効である。
【0074】
また、HIFの一種であるHIF-1αおよびHIF-2αによって、VEGFの発現が調節されることが知られている。よって、網膜の細胞でHIFを阻害することにより、眼部のVEGFの抑制及びVEGFによって誘導される血管新生の抑制に有効である。このように、網膜の細胞のHIFの阻害により血管新生が抑制されるため、眼部の血管組織の恒常性を維持することにも有効である。
【0075】
また、HIFを阻害することにより、後眼部の網膜神経節細胞および視細胞障害に対する治療的効果、及び、網膜神経節細胞および視細胞保護効果が知られている。よって、上記の成分は、緑内障や加齢黄斑変性をはじめとした後眼部疾患や後眼部異常に対して有効である。
【0076】
本明細書において、後眼部とは、眼の水晶体の裏面より内側をいい、網膜、黄斑、強膜、脈絡膜、硝子体、視神経などの部分をいう。後眼部の部位のなかでも、本発明の効果を顕著に奏する観点から網膜を対象とすることが好ましい。
【0077】
本明細書において、後眼部異常とは、後眼部における疾患には該当しないものの、網膜、黄斑、強膜、脈絡膜、硝子体、及び視神経からなる群より選択される少なくとも1種に何らかの異常又は所見が生じている状態をいう。後眼部における異常や(臨床)所見は、限定はされないが、例えば、健康診断、医師による診察、臨床検査等により発見され得る。後眼部の検査としては、例えば、眼底検査、眼圧検査、眼底三次元画像解析(OCT)検査、視野検査、屈折検査、細隙灯顕微鏡検査等が挙げられる。これらの検査のうち、例えば、眼底検査では、後眼部の異常所見を「Scheieの分類」を用いて、高血圧性変化と動脈硬化性変化の観点から評価する。また、眼底検査では、「Scheieの分類」以外に所見として、乳頭陥凹拡大、豹紋状眼底、硬性白斑、ドルーゼン、緑内障の疑い、出血、出血疑、網脈絡膜萎縮、白内障の疑い、交叉現象、白斑、網膜変性、蛇行、黄斑変性の疑い、コーヌス、乳頭部所見等が示される場合がある。本発明は、後眼部異常のリスク低減、予防又は治療用としても用いられ得る。
【0078】
本明細書において、後眼部異常の予防とは、後眼部の異常の発生の防止若しくは遅延、又は、後眼部の異常の発生のリスクを低減させることをいう。
【0079】
本明細書において、後眼部異常の改善とは、後眼部の異常がある状態の緩和若しくは好転、異常がある状態の悪化の防止若しくは遅延、又は、後眼部の異常がある状態の進行の防止、遅延、若しくは逆転をいう。
【0080】
本発明の後眼部疾患のリスク低減、予防又は治療用組成物が対象とする後眼部疾患は、限定はされないが、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、網膜色素変性症、増殖性硝子体網膜症、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、ぶどう膜炎、レーベル病、未熟児網膜症、網膜剥離、網膜色素上皮剥離、中心性漿液性脈絡網膜症、中心性滲出性脈絡網膜症、ポリープ状脈絡膜血管症、多発性脈絡膜炎、新生血管黄斑症、網膜動脈瘤、網膜血管腫状増殖、これらの疾患に起因する視神経障害、緑内障に起因する視神経障害および虚血性視神経障害からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。これらの後眼部疾患のなかでも、本発明の効果を顕著に奏する観点から加齢黄斑変性及び/又は網膜色素変性症を対象とすることが好ましい。
【0081】
本明細書において、後眼部疾患の予防とは、後眼部の疾患若しくは症状の発症の防止若しくは遅延、又は、後眼部の疾患若しくは症状の発症のリスクを低減させることをいう。
【0082】
本明細書において、後眼部疾患の治療とは、後眼部の疾患若しくは症状の緩和若しくは好転、疾患若しくは症状の悪化の防止若しくは遅延、又は、後眼部の疾患若しくは症状の進行の防止、遅延、若しくは逆転をいう。
【0083】
後眼部異常の改善又は後眼部疾患の予防には、限定はされないが、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、網膜色素変性症、増殖性硝子体網膜症、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、ぶどう膜炎、レーベル病、未熟児網膜症、網膜剥離、網膜色素上皮剥離、中心性漿液性脈絡網膜症、中心性滲出性脈絡網膜症、ポリープ状脈絡膜血管症、多発性脈絡膜炎、新生血管黄斑症、網膜動脈瘤、網膜血管腫状増殖、これらの疾患に起因する視神経障害、緑内障に起因する視神経障害および虚血性視神経障害からなる群より選択される少なくとも1種の発症リスクの低減が含まれる。
【0084】
本発明の組成物は、食品、飲料、飼料、ペットフードに添加又はこれらと混合して使用することができる。または、そのままで飲料又は食品として使用することができる。または網膜保護、眼部の抗老化、VEGF抑制、血管新生抑制、血管組織の恒常性維持、後眼部疾患のリスク低減又は予防を機能性としてその旨を表示した飲食品、すなわち、健康食品、機能性表示食品、病者用食品及び特定保健用食品などに添加又は配合して使用することができる。
【0085】
健康食品、機能性表示食品、病者用食品及び特定保健用食品は、具体的には、固形製剤(錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、チュアブル錠など)や液剤(シロップ剤、懸濁剤)、流動食等の各種製剤形態として使用することができる。製剤形態の食品は、公知の医薬製剤と同様に製造することができ、有効成分と、食品として許容できる担体、例えば適当な賦形剤等とを混合した後、慣用の手段を用いて製造することができる。
【0086】
例えば、錠剤であれば、粉末状の活性成分と製薬上許容される担体成分(賦形剤など)とを混合して圧縮成形することにより調製でき、キャンディー(飴)などの製菓錠剤は型に注入する方法で調製してもよい。錠剤には、糖衣コーティングを施し、糖衣錠としてもよい。さらに、錠剤は単層錠であってもよく、二層錠などの積層錠であってもよい。
【0087】
顆粒剤などの粉粒剤は、種々の造粒法(押出造粒法、粉砕造粒法、乾式圧密造粒法、流動層造粒法、転動造粒法、高速攪拌造粒法など)により調製してもよく、錠剤は、上記造粒法、打錠法(湿式打錠法、直接打錠法)などを適当に組み合わせて調製できる。
【0088】
カプセル剤は、慣用の方法により、カプセル(軟質又は硬質カプセル)内に粉粒剤(粉剤、顆粒剤など)を充填することにより調製できる。
【0089】
液剤は、各成分を担体成分である水性媒体(精製水、エタノール含有精製水など)に溶解又は分散させ、必要により濾過又は滅菌処理し、所定の容器に充填し、滅菌処理することにより調製できる。本発明の固形製剤の好ましい剤形は、カプセル剤又は錠剤であり、軟質カプセル(軟カプセル剤、ソフトカプセル)であることがより好ましい。
【0090】
軟カプセル剤は表面が滑らかで飲み込みやすく、使用者に好まれる。一般的な軟カプセル剤の製造方法として、平板式、ロータリー方式、シームレス方式が例示される。
【0091】
ロータリー方式(打ち抜き法)の製造は、シート状カプセル皮膜が、流動する充填内容物を挟み込み、回転する円筒型の金型の穴に沿ってカプセル形状に形成する。一方で、シームレス方式(滴下法)の製造は、同心円の多重ノズルからカプセル皮膜組成物と内容物が同時に吐出され、継ぎ目の無いカプセル形状に形成される。
【0092】
軟カプセル剤の皮膜の基剤は、特に限定はされないが、デンプン、プルラン、セルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン、コハク化ゼラチン等を用いることができ、デンプン、ゼラチン、コハク化ゼラチンが好ましく、ゼラチン、コハク化ゼラチンが更に好ましい。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0093】
また、スープ類、ジュース類、果汁飲料、牛乳、乳飲料、乳清飲料、乳酸菌飲料、茶飲料、アルコール飲料、コーヒー飲料、炭酸飲料、清涼飲料水、水飲料、ココア飲料、ゼリー状飲料、スポーツ飲料、ダイエット飲料等の液状飲料、プリン、ヨーグルトなどの半固形食品、麺類、菓子類、スプレッド類等として、本発明の組成物を製造することができる。
【0094】
本発明の組成物を食品組成物として調製する場合は、種々の食品添加物を配合してもよい。食品添加物としては、例えば、酸化防止剤、色素、香料、調味料、甘味料、酸味料、pH調整剤、品質安定剤、保存剤等が挙げられる。
【0095】
本発明の組成物を医薬組成物として調製する場合は、有効成分である、ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、並びに、オレアノール酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種と、好ましくは薬学的に許容される担体を含む製剤として調製する。薬学的に許容される担体とは、一般的に、前記有効成分とは反応しない、不活性の、無毒の、固体若しくは液体の、増量剤、希釈剤又はカプセル化材料等をいい、例えば、水、エタノール、ポリオール類、適切なそれらの混合物、植物性油等の溶媒又は分散媒体等が挙げられる。
【0096】
医薬組成物は、経口により、非経口により、例えば、口腔内に、消化管内に、又は鼻腔内に投与される。経口投与製剤としては、固形製剤(錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、チュアブル錠など)や、液剤(シロップ剤、懸濁剤、吸入剤)等が挙げられる。非経口投与製剤としては、点眼剤、点滴剤、点鼻剤及び注射剤等が挙げられる。
【0097】
医薬組成物は、さらに医薬分野において慣用されている添加剤を含んでいてもよい。そのような添加剤には、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、抗酸化剤、着色剤、矯味剤等があり、必要に応じて適宜使用できる。長時間作用できるように徐放化するため、既知の遅延剤等でコーティングすることもできる。医薬組成物は、さらに必要に応じてその他の添加剤や薬剤、例えば制酸剤、胃粘膜保護剤を加えてもよい。
【0098】
医薬組成物は、口腔用組成物、内服組成物などの形態で適用することができる。また医薬組成物を治療的に使用してもよいし、非治療的に使用してもよい。
【0099】
ヒドロキシクエン酸及び/又はその塩の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、摂取又は投与経路、摂取又は投与スケジュール、製剤形態又はその他の要因により適宜決定することができる。ヒドロキシクエン酸及び/又はその塩の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.01mg/kg体重/日以上が好ましく、0.1mg/kg体重/日以上がより好ましく、0.5mg/kg体重/日以上が更に好ましく、1mg/kg体重/日以上が特に好ましく、10mg/kg体重/日以上が最も好ましい。ヒドロキシクエン酸及び/又はその塩の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、400mg/kg体重/日以下が好ましく、300mg/kg体重/日以下がより好ましく、100mg/kg体重/日以下が更に好ましく、50mg/kg体重/日以下が特に好ましく、30mg/kg体重/日以下が最も好ましい。ヒドロキシクエン酸及び/又はその塩の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.01~400mg/kg体重/日が好ましく、0.1~300mg/kg体重/日がより好ましく、0.5~100mg/kg体重/日が更に好ましく、1~50mg/kg体重/日が特に好ましく、10~30mg/kg体重/日が最も好ましい。ヒドロキシクエン酸及び/又はその塩の含有量は、上記の摂取量又は投与量となる量とすることができる。なお、成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、剤形に合わせて、例えばカプセル剤であれば、1~6カプセル、1~4カプセル、1~3カプセル、又は1~2カプセルに分けて服用してもよい。
【0100】
ガルシニア及び/又はそのエキスの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、摂取又は投与経路、摂取又は投与スケジュール、製剤形態又はその他の要因により適宜決定することができる。ガルシニア及び/又はそのエキスの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.02mg/kg体重/日以上が好ましく、0.2mg/kg体重/日以上がより好ましく、1.0mg/kg体重/日以上が更に好ましく、2mg/kg体重/日以上が特に好ましく、20mg/kg体重/日以上が最も好ましい。ガルシニア及び/又はそのエキスの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、800mg/kg体重/日以下が好ましく、600mg/kg体重/日以下がより好ましく、200mg/kg体重/日以下が更に好ましく、100mg/kg体重/日以下が特に好ましく、60mg/kg体重/日以下が最も好ましい。ガルシニア及び/又はそのエキスの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.02~800mg/kg体重/日が好ましく、0.2~600mg/kg体重/日がより好ましく、1.0~200mg/kg体重/日が更に好ましく、2~100mg/kg体重/日が特に好ましく、20~60mg/kg体重/日が最も好ましい。ガルシニア及び/又はそのエキスの含有量は、上記の摂取量又は投与量となる量とすることができる。なお、成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、剤形に合わせて、例えばカプセル剤であれば、1~6カプセル、1~4カプセル、1~3カプセル、又は1~2カプセルに分けて服用してもよい。
【0101】
ラクトフェリンの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、摂取又は投与経路、摂取又は投与スケジュール、製剤形態又はその他の要因により適宜決定することができる。ラクトフェリンの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.01mg/kg体重/日以上が好ましく、0.1mg/kg体重/日以上がより好ましく、0.5mg/kg体重/日以上が更に好ましく、1mg/kg体重/日以上が特に好ましく、2mg/kg体重/日以上が最も好ましい。ラクトフェリンの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、200mg/kg体重/日以下が好ましく、150mg/kg体重/日以下がより好ましく、100mg/kg体重/日以下が更に好ましく、50mg/kg体重/日以下が特に好ましく、20mg/kg体重/日以下が最も好ましい。ラクトフェリンの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.01~200mg/kg体重/日が好ましく、0.1~150mg/kg体重/日がより好ましく、0.5~100mg/kg体重/日が更に好ましく、1~50mg/kg体重/日が特に好ましく、2~20mg/kg体重/日が最も好ましい。ラクトフェリンの含有量は、上記の摂取量又は投与量となる量とすることができる。なお、成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、剤形に合わせて、例えばカプセル剤であれば、1~6カプセル、1~4カプセル、1~3カプセル、又は1~2カプセルに分けて服用してもよい。
【0102】
ニンジン及び/又はそのエキスの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、摂取又は投与経路、摂取又は投与スケジュール、製剤形態又はその他の要因により適宜決定することができる。ニンジン及び/又はそのエキスの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.02mg/kg体重/日以上が好ましく、0.2mg/kg体重/日以上がより好ましく、1.0mg/kg体重/日以上が更に好ましく、2mg/kg体重/日以上が特に好ましく、20mg/kg体重/日以上が最も好ましい。ニンジン及び/又はそのエキスの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、800mg/kg体重/日以下が好ましく、600mg/kg体重/日以下がより好ましく、200mg/kg体重/日以下が更に好ましく、100mg/kg体重/日以下が特に好ましく、60mg/kg体重/日以下が最も好ましい。ニンジン及び/又はそのエキスの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.02~800mg/kg体重/日が好ましく、0.2~600mg/kg体重/日がより好ましく、1.0~200mg/kg体重/日が更に好ましく、2~100mg/kg体重/日が特に好ましく、20~60mg/kg体重/日が最も好ましい。ニンジン及び/又はそのエキスの含有量は、上記の摂取量又は投与量となる量とすることができる。なお、成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、剤形に合わせて、例えばカプセル剤であれば、1~6カプセル、1~4カプセル、1~3カプセル、又は1~2カプセルに分けて服用してもよい。
【0103】
ピリドキシン及び/又はその塩の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、摂取又は投与経路、摂取又は投与スケジュール、製剤形態又はその他の要因により適宜決定することができる。ピリドキシン及び/又はその塩の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.0001mg/kg体重/日以上が好ましく、0.001mg/kg体重/日以上がより好ましく、0.005mg/kg体重/日以上が更に好ましく、0.01mg/kg体重/日以上が特に好ましく、0.02mg/kg体重/日以上が最も好ましい。ピリドキシン及び/又はその塩の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、50mg/kg体重/日以下が好ましく、10mg/kg体重/日以下がより好ましく、5mg/kg体重/日以下が更に好ましく、1mg/kg体重/日以下が特に好ましく、0.5mg/kg体重/日以下が最も好ましい。ピリドキシン及び/又はその塩の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.0001~50mg/kg体重/日が好ましく、0.001~10mg/kg体重/日がより好ましく、0.005~5mg/kg体重/日が更に好ましく、0.01~1mg/kg体重/日が特に好ましく、0.02~0.5mg/kg体重/日が最も好ましい。ピリドキシン及び/又はその塩の含有量は、上記の摂取量又は投与量となる量とすることができる。なお、成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、剤形に合わせて、例えばカプセル剤であれば、1~6カプセル、1~4カプセル、1~3カプセル、又は1~2カプセルに分けて服用してもよい。
【0104】
オレアノール酸及び/又はその塩の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、摂取又は投与経路、摂取又は投与スケジュール、製剤形態又はその他の要因により適宜決定することができる。オレアノール酸及び/又はその塩の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.01mg/kg体重/日以上が好ましく、0.1mg/kg体重/日以上がより好ましく、0.5mg/kg体重/日以上が更に好ましく、1mg/kg体重/日以上が特に好ましく、10mg/kg体重/日以上が最も好ましい。オレアノール酸及び/又はその塩の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、2000mg/kg体重/日以下が好ましく、1500mg/kg体重/日以下がより好ましく、1000mg/kg体重/日以下が更に好ましく、800mg/kg体重/日以下が特に好ましく、500mg/kg体重/日以下が最も好ましい。オレアノール酸及び/又はその塩の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.01~2000mg/kg体重/日が好ましく、0.1~1500mg/kg体重/日がより好ましく、0.5~1000mg/kg体重/日が更に好ましく、1~800mg/kg体重/日が特に好ましく、10~500mg/kg体重/日が最も好ましい。オレアノール酸及び/又はその塩の含有量は、上記の摂取量又は投与量となる量とすることができる。なお、成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、剤形に合わせて、例えばカプセル剤であれば、1~6カプセル、1~4カプセル、1~3カプセル、又は1~2カプセルに分けて服用してもよい。
【0105】
チアミンの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、摂取又は投与経路、摂取又は投与スケジュール、製剤形態又はその他の要因により適宜決定することができる。チアミンの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.0001mg/kg体重/日以上が好ましく、0.001mg/kg体重/日以上がより好ましく、0.005mg/kg体重/日以上が更に好ましい。チアミンの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、10mg/kg体重/日以下が好ましく、1mg/kg体重/日以下がより好ましく、0.1mg/kg体重/日以下が更に好ましい。チアミンの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.0001~10mg/kg体重/日が好ましく、0.001~1mg/kg体重/日がより好ましく、0.005~0.1mg/kg体重/日が更に好ましい。チアミンの含有量は、上記の摂取量又は投与量となる量とすることができる。なお、成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、剤形に合わせて、例えばカプセル剤であれば、1~6カプセル、1~4カプセル、1~3カプセル、又は1~2カプセルに分けて服用してもよい。
【0106】
ナイアシンの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、摂取又は投与経路、摂取又は投与スケジュール、製剤形態又はその他の要因により適宜決定することができる。ナイアシンの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、ニコチン酸として、例えば、0.01mg/kg体重/日以上が好ましく、0.1mg/kg体重/日以上がより好ましく、0.5mg/kg体重/日以上が更に好ましい。ナイアシンの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、ニコチン酸として、例えば、100mg/kg体重/日以下が好ましく、50mg/kg体重/日以下がより好ましく、10mg/kg体重/日以下が更に好ましい。ナイアシンの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.01~100mg/kg体重/日が好ましく、0.1~50mg/kg体重/日がより好ましく、0.5~10mg/kg体重/日が更に好ましい。ナイアシンの含有量は、上記の摂取量又は投与量となる量とすることができる。なお、成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、剤形に合わせて、例えばカプセル剤であれば、1~6カプセル、1~4カプセル、1~3カプセル、又は1~2カプセルに分けて服用してもよい。
【0107】
イノシトールの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、摂取又は投与経路、摂取又は投与スケジュール、製剤形態又はその他の要因により適宜決定することができる。イノシトールの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.01mg/kg体重/日以上が好ましく、0.1mg/kg体重/日以上がより好ましく、0.5mg/kg体重/日以上が更に好ましい。イノシトールの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、200mg/kg体重/日以下が好ましく、150mg/kg体重/日以下がより好ましく、100mg/kg体重/日以下が更に好ましい。イノシトールの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.01~200mg/kg体重/日が好ましく、0.1~150mg/kg体重/日がより好ましく、0.5~100mg/kg体重/日が更に好ましく、1~50mg/kg体重/日が特に好ましく、2~20mg/kg体重/日が最も好ましい。イノシトールの含有量は、上記の摂取量又は投与量となる量とすることができる。なお、成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、剤形に合わせて、例えばカプセル剤であれば、1~6カプセル、1~4カプセル、1~3カプセル、又は1~2カプセルに分けて服用してもよい。
【0108】
フィチン酸の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、摂取又は投与経路、摂取又は投与スケジュール、製剤形態又はその他の要因により適宜決定することができる。フィチン酸の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.01mg/kg体重/日以上が好ましく、0.1mg/kg体重/日以上がより好ましく、1mg/kg体重/日以上が更に好ましい。フィチン酸の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、200mg/kg体重/日以下が好ましく、150mg/kg体重/日以下がより好ましく、100mg/kg体重/日以下が更に好ましい。フィチン酸の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.01~200mg/kg体重/日が好ましく、0.1~150mg/kg体重/日がより好ましく、0.5~100mg/kg体重/日が更に好ましく、1~50mg/kg体重/日が特に好ましく、2~20mg/kg体重/日が最も好ましい。フィチン酸の含有量は、上記の摂取量又は投与量となる量とすることができる。なお、成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、剤形に合わせて、例えばカプセル剤であれば、1~6カプセル、1~4カプセル、1~3カプセル、又は1~2カプセルに分けて服用してもよい。
【0109】
パントテン酸の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、摂取又は投与経路、摂取又は投与スケジュール、製剤形態又はその他の要因により適宜決定することができる。パントテン酸の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.001mg/kg体重/日以上が好ましく、0.005mg/kg体重/日以上がより好ましく、0.01mg/kg体重/日以上が更に好ましい。パントテン酸の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、100mg/kg体重/日以下が好ましく、10mg/kg体重/日以下がより好ましく、1mg/kg体重/日以下が更に好ましい。パントテン酸の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.001~100mg/kg体重/日が好ましく、0.005~10mg/kg体重/日がより好ましく、0.01~1mg/kg体重/日が更に好ましい。パントテン酸の含有量は、上記の摂取量又は投与量となる量とすることができる。なお、成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、剤形に合わせて、例えばカプセル剤であれば、1~6カプセル、1~4カプセル、1~3カプセル、又は1~2カプセルに分けて服用してもよい。
【0110】
ビオチンの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、摂取又は投与経路、摂取又は投与スケジュール、製剤形態又はその他の要因により適宜決定することができる。ビオチンの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.01mg/kg体重/日以上が好ましく、0.1mg/kg体重/日以上がより好ましく、0.5mg/kg体重/日以上が更に好ましい。ビオチンの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、100mg/kg体重/日以下が好ましく、50mg/kg体重/日以下がより好ましく、10mg/kg体重/日以下が更に好ましい。ビオチンの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.01~100mg/kg体重/日が好ましく、0.1~50mg/kg体重/日がより好ましく、0.5~10mg/kg体重/日が更に好ましい。ビオチンの含有量は、上記の摂取量又は投与量となる量とすることができる。なお、成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、剤形に合わせて、例えばカプセル剤であれば、1~6カプセル、1~4カプセル、1~3カプセル、又は1~2カプセルに分けて服用してもよい。
【0111】
葉酸の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、摂取又は投与経路、摂取又は投与スケジュール、製剤形態又はその他の要因により適宜決定することができる。葉酸の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.01μg/kg体重/日以上が好ましく、0.1μg/kg体重/日以上がより好ましく、0.5μg/kg体重/日以上が更に好ましい。葉酸の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、200μg/kg体重/日以下が好ましく、150μg/kg体重/日以下がより好ましく、100μg/kg体重/日以下が更に好ましい。葉酸の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.01~200mg/kg体重/日が好ましく、0.1~150μg/kg体重/日がより好ましく、0.5~100μg/kg体重/日が更に好ましい。葉酸の含有量は、上記の摂取量又は投与量となる量とすることができる。なお、成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、剤形に合わせて、例えばカプセル剤であれば、1~6カプセル、1~4カプセル、1~3カプセル、又は1~2カプセルに分けて服用してもよい。
【0112】
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸、パントテン酸、ビオチン、並びに、葉酸からなる群より選択される少なくとも1種の1回あたりの経口による摂取量又は投与量は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、摂取又は投与経路、摂取又は投与スケジュール、製剤形態又はその他の要因により適宜決定することができる。上記成分の1回あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.01mg以上が好ましく、0.1mg以上がより好ましく、0.5mg以上が更に好ましく、1mg以上が特に好ましく、10mg以上が最も好ましい。上記成分の1回あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、500mg以下が好ましく、400mg以下がより好ましく、300mg以下が更に好ましく、200mg以下が特に好ましく、100mg以下が最も好ましい。上記成分の1回あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.01~500mgが好ましく、0.1~400mgがより好ましく、0.5~300mgが更に好ましく、1~200mgが特に好ましく、10~100mgが最も好ましい。
【0113】
本発明の後眼部異常の予防及び/又は改善用食品組成物、又は後眼部疾患の予防及び/又は治療剤は、1日1回~数回に分け、通常、1日1~6回、1日1~3回、1日1~2回又は任意の期間及び間隔で摂取若しくは投与され得る。
【0114】
本発明は、以下の態様でもあり得る。
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、HIF抑制用組成物;
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、網膜保護用組成物;
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、眼部の抗老化用組成物;
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、眼部のVEGF抑制用組成物;
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、眼部の血管新生抑制用組成物;
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、眼部の血管組織の恒常性維持用組成物;
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、後眼部疾患のリスク低減、予防又は治療用組成物;
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種を含有する組成物の、HIF抑制剤の製造のための使用;
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種を含有する組成物の、網膜保護剤の製造のための使用;
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種を含有する組成物の、眼部の抗老化剤の製造のための使用;
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種を含有する組成物の、眼部のVEGF抑制剤の製造のための使用;
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種を含有する組成物の、眼部の血管新生抑制剤の製造のための使用;
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種を含有する組成物の、眼部の血管組織の恒常性維持剤の製造のための使用;
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種を含有する組成物の、後眼部疾患のリスク低減、予防又は治療用剤の製造のための使用;
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種を含有する組成物を、人に摂取させることを含む、HIF抑制方法;
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種を含有する組成物を、人に摂取させることを含む、網膜保護方法;
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種を含有する組成物を、人に摂取させることを含む、眼部の抗老化方法;
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種を含有する組成物を、人に摂取させることを含む、眼部のVEGF抑制方法;
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種を含有する組成物を、人に摂取させることを含む、眼部の血管新生抑制方法;
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種を含有する組成物を、人に摂取させることを含む、眼部の血管組織の恒常性維持方法;
ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種を含有する組成物を、人に摂取させることを含む、後眼部疾患のリスク低減、予防又は治療方法;
前記後眼部疾患が、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、網膜色素変性症、増殖性硝子体網膜症、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、ぶどう膜炎、レーベル病、未熟児網膜症、網膜剥離、網膜色素上皮剥離、中心性漿液性脈絡網膜症、中心性滲出性脈絡網膜症、ポリープ状脈絡膜血管症、多発性脈絡膜炎、新生血管黄斑症、網膜動脈瘤、網膜血管腫状増殖、これらの疾患に起因する視神経障害、緑内障に起因する視神経障害および虚血性視神経障害からなる群より選択される少なくとも1種である、上記組成物、使用、又は方法;
前記ヒドロキシクエン酸の塩が、カルシウム塩である、上記組成物、使用、又は方法;
前記ピリドキシンの塩が、塩酸塩又はリン酸塩である、上記組成物、使用、又は方法;
前記米ぬかが、脱脂米ぬかである、上記組成物、使用、又は方法;
前記ナイアシンが、ナイアシンアミドである、上記組成物、使用、又は方法;
前記パントテン酸の塩が、カルシウム塩である、上記組成物、使用、又は方法;
前記ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ラクトフェリン、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸及びその塩、チアミン及びその塩、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸及びその塩、パントテン酸及びその塩、ビオチン、葉酸、並びに、米ぬかからなる群より選択される少なくとも1種の総含有量が、0.1~95質量%である、上記組成物、使用、又は方法;
前記ヒドロキシクエン酸及びその塩の成人1日あたりの経口による摂取量が、0.01~400mg/kg体重/日である、上記組成物、使用、又は方法;
前記ガルシニア及び/又はそのエキスの成人1日あたりの経口による摂取量が、0.02~800mg/kg体重/日である、上記組成物、使用、又は方法;
前記ニンジン及び/又はそのエキスの成人1日あたりの経口による摂取量が、0.02~800mg/kg体重/日である、上記組成物、使用、又は方法;
前記ピリドキシン及び/又はその塩の成人1日あたりの経口による摂取量が、0.0001~50mg/kg体重/日である、上記組成物、使用、又は方法;
前記オレアノール酸及び/又はその塩の成人1日あたりの経口による摂取量が、0.01~2000mg/kg体重/日である、上記組成物、使用、又は方法;
前記ラクトフェリンの成人1日あたりの経口による摂取量が、0.01~200mg/kg体重/日である、上記組成物、使用、又は方法;
前記チアミンの成人1日あたりの経口による摂取量が、0.0001~10mg/kg体重/日である、上記組成物、使用、又は方法;
前記ナイアシンの成人1日あたりの経口による摂取量が、0.01~100mg/kg体重/日である、上記組成物、使用、又は方法;
前記イノシトールの成人1日あたりの経口による摂取量が、0.01~200mg/kg体重/日である、上記組成物、使用、又は方法;
前記フィチン酸及び/又はその塩の成人1日あたりの経口による摂取量が、0.01~200mg/kg体重/日である、上記組成物、使用、又は方法;
前記パントテン酸及び/又はその塩の成人1日あたりの経口による摂取量が、0.001~100mg/kg体重/日である、上記組成物、使用、又は方法;
前記ビオチンの成人1日あたりの経口による摂取量が、0.01~100mg/kg体重/日である、上記組成物、使用、又は方法;
前記葉酸の成人1日あたりの経口による摂取量が、0.01~200mg/kg体重/日である、上記組成物、使用、又は方法;
前記成分の1回あたりの経口による摂取量が、0.01~500mgである、上記組成物、使用、又は方法;
前記成分の摂取が、1日1~6回で行われる、上記組成物、使用、又は方法;
【実施例】
【0115】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、実施例において示すエキスの量は、特に明示がない限り、乾燥固形分換算と賦形剤等を含んだ量を示す。
【0116】
[試験例1:HIF抑制物質のスクリーニング1]
マウス網膜錐体細胞株(661W)にレンチウイルスを用いて、HIF活性依存的-Firefly-Luciferaseと、内在性コントロールCMV-Renilla-Luciferaseとを共に遺伝子導入し、安定発現株RH661Wを作成した。このRH661Wに、プロリン水酸化酵素(PHD)阻害剤である塩化コバルト(CoCl2)を添加することでHIFを安定化させ、さらにルシフェリンを加えることでHIF活性と相関する発光シグナルが得られる。このRH661Wに対して、種々のサンプル(候補物質)を添加し、塩化コバルト誘導HIF活性に対する候補物質のHIF阻害効果を確認した。
【0117】
そこで96well plateに、RH661Wを0.8×104コ/wellで播種した。24時間後に、細胞がplate底面に生着したのち、200μMのCoCl2を添加しHIF活性を誘導した。同時に、候補物質を1mg/mlで添加した。候補物質としては、(-)-ヒドロキシクエン酸・カルシウム塩、ガルシニア・カンボジアエキス(バイオアクティブズジャパン株式会社)、ニンジンエキス(松浦薬業株式会社)、ピリドキシン塩酸塩、20-23% ビタミンB6、脱脂米ぬか(オリザ油化株式会社)、オレアノール酸、ラクトフェリンを用いた。
24時間後にPromega社製Dual-Glo Luciferase assay systemを用いて発光強度を測定し、HIFの抑制効果を検証した。
【0118】
それぞれの、活性は、以下に従って算出した。細胞が発する光子数をプレートリーダー(BioTek,SYNERGYHTX)にて測定し、ratioを算出し、それぞれの候補物質の平均値を算出した。候補物質添加のratioを塩化コバルトのみ添加時のratioで割り、cell+CoCl2比を算出した。結果を表1に示す。
【0119】
[試験例2:HIF抑制物質のスクリーニング2]
ヒト網膜色素上皮細胞株(ARPE)にレンチウイルスを用いて、HIF活性依存的-Firefly-Luciferaseと、内在性コントロールCMV-Renilla-Luciferaseとを共に遺伝子導入し、安定発現株RHARPEを作成した。このRHARPEに、プロリン水酸化酵素(PHD)阻害剤である塩化コバルト(CoCl2)を添加することでHIFを安定化させ、さらにルシフェリンを加えることでHIF活性と相関する発光シグナルが得られる。このRHARPEに対して、種々のサンプル(候補物質)を添加し、塩化コバルト誘導HIF活性に対する候補物質のHIF阻害効果を確認した。
【0120】
そこで96well plateに、RHARPEを0.8×104コ/wellで播種した。24時間後に、細胞がplate底面に生着したのち、200μMのCoCl2を添加しHIF活性を誘導した。同時に、候補物質を1mg/mlで添加した。候補物質としては、ニンジンエキス(松浦薬業株式会社)、ガルシニア・カンボジアエキス(バイオアクティブズジャパン株式会社)、(-)-ヒドロキシクエン酸・カルシウム塩、ラクトフェリン、ビタミンB1、ビタミンB6、ナイアシンアミド(ニコチン酸アミド)、イノシトール、フィチン酸、D-パントテン酸カルシウム、d-ビオチン、葉酸、脱脂米ぬか(オリザ油化株式会社)、オレアノール酸を用いた。
24時間後にPromega社製Dual-Glo Luciferase assay systemを用いて発光強度を測定し、HIFの抑制効果を検証した。
【0121】
それぞれの、活性は、以下に従って算出した。細胞が発する光子数をプレートリーダー(BioTek,SYNERGYHTX)にて測定し、ratioを算出し、それぞれの候補物質の平均値を算出した。候補物質添加のratioを塩化コバルトのみ添加時のratioで割り、cell+CoCl2比を算出した。結果を表2に示す。
【0122】
【0123】
【0124】
表1、2に示す通り、ヒドロキシクエン酸及びその塩、ガルシニア及びそのエキス、ニンジン及びそのエキス、ピリドキシン及びその塩、オレアノール酸、及び、ラクトフェリン、チアミン、ナイアシン、イノシトール、フィチン酸、パントテン酸、ビオチン、脱脂米ぬか並びに、葉酸について、HIF阻害活性が認められた。
【0125】
HIFの異常高値は、網膜色素上皮細胞(RPE細胞)において加齢に伴い確認されることが知られている。試験例1では、同じく網膜で視細胞として重要な役割を担う網膜錐体細胞を用い、試験例2では、網膜色素上皮細胞を用いてHIF抑制物質のスクリーニングを行った。上記のHIF抑制が確認された成分は、網膜細胞でHIFを阻害することができるため、眼部の抗老化等に対して有効であることが示唆された。
【0126】
また、HIFの一種であるHIF-1αおよびHIF-2αによって、VEGFの発現が調節されることが知られている。よって、網膜の細胞でHIFを阻害することにより、眼部のVEGFの抑制及びVEGFによって誘導される血管新生の抑制に有効である。このように、網膜の細胞のHIFの阻害により血管新生が抑制されるため、眼部の血管組織の恒常性を維持することにも有効であることが示唆された。
【0127】
また、HIFを阻害することにより、後眼部の網膜神経節細胞および視細胞障害に対する治療的効果、及び、網膜神経節細胞および視細胞保護効果が知られている。よって、上記の成分は、緑内障や加齢黄斑変性をはじめとした後眼部疾患や後眼部異常に対して有効であることが示唆された。
【0128】
[試験例3:網膜電図(ERG)試験(網膜の活動電位の低下抑制による網膜視細胞保護)]
6週齢のBALB/cAマウス(雄)に、コントロール群はコントロール餌(MF、オリエンタル酵母株式会社)、ガルシニア投与群はガルシニア・カンボジアエキス(バイオアクティブズジャパン株式会社)が3g/kg/dayとなるように前記コントロール餌と混合した餌を計10週間投与した。投与8週間目に、前日からの暗順応ののち、3000Luxの光を1時間照射した。照射1週間目と2週間目にERGを測定した。
8週齢のBALB/cAマウス(雄)に、コントロール群はトウモロコシ油(SIGMA-ALDRICHトウモロコシ油 2303205、以下同じ)を、ヒドロキシクエン酸投与群は300mg/kg/day/1000μLになるようトウモロコシ油に懸濁した(-)-ヒドロキシクエン酸を5日/週、計2週間腹腔内投与した。投与1週間目に、前日からの暗順応ののち、3000Luxの光を1時間照射した。照射1週間目にERGを測定した。
ERGでは、Ganzfeldドーム、測定装置、およびLED刺激装置(PuREC、MAYO Corporation、Japan)を使用して、全視野フラッシュERG応答を記録した。一晩の暗順応の後、マウスをMMBで麻酔した。関電極をコンタクトレンズ電極で記録し、不関電極を眼の間の皮下に配置した。尾部へのクリッピング電極をアースとして使用した。
ERG応答は各動物の両眼から得た。
まず、暗所適応下での刺激(10 cd s/m2)による暗所性反応を記録した。
次に、明所視反応を記録した。白色の背景(30cd/m2)下での刺激(20cd s/m2)による明所視反応を記録した。
処置中、すべてのマウスを、ヒートパッドを用いて温かく保った。
ERGのa波は以下の式に当てはめられた。
LambとPughのモデルに基づいて、応答(R)を時間(T)とフラッシュ強度(I)の関数として計算した。Rmaxは最大振幅、Sは感度、Tdはそれぞれa波の開始前の遅延である。SおよびRmaxのデータをデータ分析のために対数値に変換した。
【0129】
[式1]
R(I、T)= {1-exp [-I・S・(T-Td)2]・Rmax
【0130】
30Hzローパスフィルターで処理した後、ERG b波をNaka-Rushton方程式にフィッティングした。ここで、Rは振幅、Rmaxは最大振幅、Iはフラッシュ強度、Kは半値振幅における光強度、nは無次元圧縮定数である。
【0131】
[式2]
R = In / In + Kn・Rmax
【0132】
図1(A)~(D)は、ガルシニア投与群及びコントロール投与群における、暗所適応下(Dark-adapted)での刺激(10cd s/m
2)によるERG(杆体系機能)測定結果を示す。
図2(A)~(B)は、ガルシニア投与群及びコントロール投与群における、明所適応下(Light-adapted)での刺激(10cd s/m
2)によるERG(錐体系機能)測定結果を示す。本明細書において、網膜電図(ERG)試験結果の図におけるn数は、評価されたマウスの数を示す。
【0133】
図1及び
図2に示す通り、照射1週間目と2週間目のいずれにおいても、コントロール投与群と比較してガルシニア投与群においてERGの振幅の低下が抑制されており、ガルシニア投与による網膜光障害の抑制効果が認められた。従って、網膜光障害モデルにおけるガルシニアの網膜保護作用が確認された。
【0134】
図3(A)~(B)は、ヒドロキシクエン酸投与群及びトウモロコシ油(コントロール)投与群における、暗所適応下(Dark-adapted)での刺激(10cd s/m
2)によるERG(杆体系機能)測定結果を示す。
図4は、ヒドロキシクエン酸投与群及びトウモロコシ油(コントロール)投与群における、明所適応下(Light-adapted)での刺激(10cd s/m
2)によるERG(錐体系機能)測定結果を示す。
【0135】
図3及び
図4に示す通り、照射1週間目において、トウモロコシ油投与群と比較してヒドロキシクエン酸投与群においてERGの振幅の低下が抑制されており、ヒドロキシクエン酸投与による網膜光障害の抑制効果が認められた。従って、網膜光障害モデルにおけるヒドロキシクエン酸の網膜保護作用が確認された。
ヒドロキシクエン酸は、ガルシニアに多量に含まれる有効成分であるため、
図1及び
図2におけるガルシニア投与の結果と、
図3及び
図4におけるヒドロキシクエン酸投与の結果とは、整合することが認められた。
【0136】
[試験例4:レーザーCNV試験法(血管新生抑制)1]
4週齢のC57BL6/Jマウス(雄)に餌をそれぞれ計49日間、63日間経口投与し、投与開始42日目に、200mW、0.1sec、75μmでレーザー照射を行うことで脈絡膜新生血管(CNV)モデルを作成し、照射7日後のCNV体積を定量した。コントロール群はコントロール餌(MF,オリエンタル酵母工業株式会社)、ガルシニア投与群はガルシニア・カンボジアエキス(バイオアクティブズジャパン株式会社)が300mg/kg/dayになるように前記コントロール餌と混合した餌を投与した。
【0137】
具体的には、C57BL/6マウスをMMBにて麻酔後、アルゴンレーザー(スポットサイズ75μm、持続時間0.1秒、強度200mW)を片眼につき5箇所ずつ視神経乳頭の近くに照射した。レーザー施行時の気泡発生にて、ブルッフ膜の破裂を確認した。本明細書において、レーザーCNV試験結果の図におけるn数は、評価されたレーザー照射箇所の数を示す。
餌投与開始からそれぞれ42日目と56日目にレーザーを照射し、レーザー照射7日目、ソムノペンチル(共立製薬株式会社、東京、日本)にて麻酔後、マウスの眼球を摘出し、網膜色素上皮のみをフラットマウントし、4%PFA(4%パラホルムアルデヒド、16%PFA(ELECTRON MICROSCOPY SCIENCE),20×PBS,MQを5:1:14で混合して作成)にて1時間固定後、PBSにて3回洗浄し、アイソレクチン(Isolectin GS-IB4FromGriffonia simplicifolia、 Alexa FluorTM 594 Conjugate:PBS=1:200で希釈)にて、4℃で2晩染色した。その後、PBSで3回洗浄し、Fluoromount-G(SouthernBiotech)にて封入した。これをZweiss LSM 710共焦点顕微鏡下で観察し、Imaris(Bitplane)にてCNVの体積を定量した。
【0138】
図5(A)は、投与開始42日目(6w)のレーザー照射後の脈絡膜新生血管(CNV)誘導結果を示したグラフである。
図5(B)は、投与開始56日目(8w)のレーザー照射後の脈絡膜新生血管(CNV)誘導結果を示したグラフである。
図5(A)及び(B)に示す通り、レーザー照射により脈絡膜新生血管(CNV)を誘導した場合であっても、ガルシニア投与群ではCNVの誘導抑制効果が認められた。試験例1及び2で予想されたように、網膜細胞にてHIF阻害活性が確認された成分であれば、レーザー照射により脈絡膜新生血管(CNV)を誘導した場合に、CNVの誘導抑制効果が認められることが示唆された。
【0139】
[試験例5:レーザーCNV試験法(血管新生抑制)2]
6週齢のC57BL6/Jマウス(雄)に、コントロール群はトウモロコシ油を、ヒドロキシクエン酸投与群は30mg/kg/day/1000μlになるようトウモロコシ油に懸濁した(-)-ヒドロキシクエン酸を5日/週、計2週間腹腔内投与した。投与1週間目に200mW、0.1sec、75μmでレーザー照射を行うことで脈絡膜新生血管(CNV)モデルを作成し、照射7日後のCNV体積を定量した。
【0140】
具体的には、C57BL/6マウスをMMBにて麻酔後、アルゴンレーザー(スポットサイズ75μm、持続時間0.1秒、強度200mW)を片眼につき5箇所ずつ視神経乳頭の近くに照射した。レーザー施行時の気泡発生にて、ブルッフ膜の破裂を確認した。
投与開始からそれぞれ1週間目にレーザーを照射し、レーザー照射7日目、ソムノペンチル(共立製薬株式会社、東京、日本)にて麻酔後、マウスの眼球を摘出し、網膜色素上皮のみをフラットマウントし、4%PFA(4%パラホルムアルデヒド、16%PFA(ELECTRON MICROSCOPY SCIENCE),20×PBS,MQを5:1:14で混合して作成)にて1時間固定後、PBSにて3回洗浄し、アイソレクチン(Isolectin GS-IB4 From Griffonia simplicifolia、 Alexa FluorTM 594 Conjugate:PBS=1:200で希釈)にて、4℃で2晩染色した。その後、PBSで3回洗浄し、Fluoromount-G(SouthernBiotech)にて封入した。これをZweiss LSM 710共焦点顕微鏡下で観察し、Imaris(Bitplane)にてCNVの体積を定量した。
【0141】
図6は、投与開始1週間目のレーザー照射後の脈絡膜新生血管(CNV)誘導結果を示したグラフである。
図6に示す通り、レーザー照射により脈絡膜新生血管(CNV)を誘導した場合であっても、ヒドロキシクエン酸投与群ではCNVの誘導抑制効果が認められた。試験例1、2及び5の結果を考慮すると、網膜細胞にてHIF阻害活性が確認された成分であれば、レーザー照射により脈絡膜新生血管(CNV)を誘導した場合に、CNVの誘導抑制効果が認められることが示唆された。
【0142】
[試験例6:レーザーCNV試験法(血管新生抑制)3]
4週齢のC57BL6/Jマウス(雄)に餌をそれぞれ計63日間経口投与し、投与開始56日目に、200mW、0.1sec、75μmでレーザー照射を行うことで脈絡膜新生血管(CNV)モデルを作成し、照射7日後のCNV体積を定量した。コントロール群はコントロール餌(MF,オリエンタル酵母工業株式会社)、ニンジンエキス投与群はニンジンエキス(松浦薬業株式会社)が200mg/kg/dayになるように前記コントロール餌と混合した餌を投与した。
【0143】
具体的には、C57BL/6マウスをMMBにて麻酔後、アルゴンレーザー(スポットサイズ75μm、持続時間0.1秒、強度200mW)を片眼につき5箇所ずつ視神経乳頭の近くに照射した。レーザー施行時の気泡発生にて、ブルッフ膜の破裂を確認した。本明細書において、レーザーCNV試験結果の図におけるn数は、評価されたレーザー照射箇所の数を示す。
餌投与開始から56日目にレーザーを照射し、レーザー照射7日目、ソムノペンチル(共立製薬株式会社、東京、日本)にて麻酔後、マウスの眼球を摘出し、網膜色素上皮のみをフラットマウントし、4%PFA(4%パラホルムアルデヒド、16%PFA(ELECTRON MICROSCOPY SCIENCE),20×PBS,MQを5:1:14で混合して作成)にて1時間固定後、PBSにて3回洗浄し、アイソレクチン(Isolectin GS-IB4From Griffonia simplicifolia、 Alexa FluorTM 594 Conjugate:PBS=1:200で希釈)にて、4℃で2晩染色した。その後、PBSで3回洗浄し、Fluoromount-G(SouthernBiotech)にて封入した。これをZweiss LSM 710共焦点顕微鏡下で観察し、Imaris(Bitplane)にてCNVの体積を定量した。
【0144】
図7は、投与開始8週間目のレーザー照射後の脈絡膜新生血管(CNV)誘導結果を示したグラフである。
図7に示す通り、レーザー照射により脈絡膜新生血管(CNV)を誘導した場合であっても、ニンジンエキス投与群ではCNVの誘導抑制効果が認められた。試験例1、2及び6の結果を考慮すると、網膜細胞にてHIF阻害活性が確認された成分であれば、レーザー照射により脈絡膜新生血管(CNV)を誘導した場合に、CNVの誘導抑制効果が認められることが示唆された。
【0145】
[試験例7:レーザーCNV試験法(血管新生抑制)4]
3週齢のC57BL6/Jマウス(雄)に、コントロール群はPBSを、ラクトフェリン投与群は1600mg/kg/dayになるようPBSに懸濁したラクトフェリンを6日/週、計5週間胃ゾンテにて投与した。投与1週間目に200mW、0.1sec、75μmでレーザー照射を行うことで脈絡膜新生血管(CNV)モデルを作成し、照射1週間後のCNV体積を定量した。
【0146】
具体的には、C57BL/6マウスをMMBにて麻酔後、アルゴンレーザー(スポットサイズ75μm、持続時間0.1秒、強度200mW)を片眼につき5箇所ずつ視神経乳頭の近くに照射した。レーザー施行時の気泡発生にて、ブルッフ膜の破裂を確認した。
投与開始から4週間目にレーザーを照射し、レーザー照射1週間後、ソムノペンチル(共立製薬株式会社、東京、日本)にて麻酔後、マウスの眼球を摘出し、網膜色素上皮のみをフラットマウントし、4%PFA(4%パラホルムアルデヒド、16%PFA(ELECTRON MICROSCOPY SCIENCE),20×PBS,MQを5:1:14で混合して作成)にて1時間固定後、PBSにて3回洗浄し、アイソレクチン(Isolectin GS-IB4From Griffonia simplicifolia、 Alexa FluorTM 594 Conjugate:PBS=1:200で希釈)にて、4℃で2晩染色した。その後、PBSで3回洗浄し、Fluoromount-G(SouthernBiotech)にて封入した。これをZweiss LSM 710共焦点顕微鏡下で観察し、Imaris(Bitplane)にてCNVの体積を定量した。
【0147】
図8は、投与開始4週間目のレーザー照射後の脈絡膜新生血管(CNV)誘導結果を示したグラフである。
図8に示す通り、レーザー照射により脈絡膜新生血管(CNV)を誘導した場合であっても、ラクトフェリン投与群ではCNVの誘導抑制効果が認められた。試験例1、2及び7の結果を考慮すると、網膜細胞にてHIF阻害活性が確認された成分であれば、レーザー照射により脈絡膜新生血管(CNV)を誘導した場合に、CNVの誘導抑制効果が認められることが示唆された。
【0148】
[試験例8:レーザーCNV試験法(血管新生抑制)5]
3週齢のC57BL6/Jマウス(雄)に餌をそれぞれ計63日間経口投与し、投与開始56日目に、200mW、0.1sec、75μmでレーザー照射を行うことで脈絡膜新生血管(CNV)モデルを作成し、照射7日後のCNV体積を定量した。コントロール群はビタミンB6欠乏AIN-93G(オリエンタル酵母工業株式会社)にビタミンB6を0.17mg/kg/dayになるよう混合した餌、ビタミンB6投与群はビタミンB6欠乏AIN-93GにビタミンB6を1.53mg/kg/dayもしくは5.96mg/kg/day、米ぬか投与群はビタミンB6欠乏AIN-93GにビタミンB6を0.17mg/kg/day、脱脂米ぬか(オリザ油化株式会社)を100mg/kg/dayになるように混合した餌を投与した。
【0149】
具体的には、C57BL/6マウスをMMBにて麻酔後、アルゴンレーザー(スポットサイズ75μm、持続時間0.1秒、強度200mW)を片眼につき5箇所ずつ視神経乳頭の近くに照射した。レーザー施行時の気泡発生にて、ブルッフ膜の破裂を確認した。本明細書において、レーザーCNV試験結果の図におけるn数は、評価されたレーザー照射箇所の数を示す。
餌投与開始からそれぞれ56日目にレーザーを照射し、レーザー照射7日目、ソムノペンチル(共立製薬株式会社、東京、日本)にて麻酔後、マウスの眼球を摘出し、網膜色素上皮のみをフラットマウントし、4%PFA(4%パラホルムアルデヒド、16%PFA(ELECTRON MICROSCOPY SCIENCE),20×PBS,MQを5:1:14で混合して作成)にて1時間固定後、PBSにて3回洗浄し、アイソレクチン(Isolectin GS-IB4From Griffonia simplicifolia、 Alexa FluorTM 594 Conjugate:PBS=1:200で希釈)にて、4℃で2晩染色した。その後、PBSで3回洗浄し、Fluoromount-G(SouthernBiotech)にて封入した。これをZweiss LSM 710共焦点顕微鏡下で観察し、Imaris(Bitplane)にてCNVの体積を定量した。
【0150】
図9は、投与開始8週間目のレーザー照射後の脈絡膜新生血管(CNV)誘導結果を示したグラフである。
図9に示す通り、レーザー照射により脈絡膜新生血管(CNV)を誘導した場合であっても、ビタミンB
6投与群及び米ぬか投与群ではCNVの誘導抑制効果が認められた。試験例1、2及び8の結果を考慮すると、網膜細胞にてHIF阻害活性が確認された成分であれば、レーザー照射により脈絡膜新生血管(CNV)を誘導した場合に、CNVの誘導抑制効果が認められることが示唆された。
【0151】
[試験例9:HIF下流遺伝子の発現確認試験]
12well plateに、ヒト網膜色素上皮細胞株(ARPE)を1.0×106コ/wellで播種した。24時間後に、細胞がplate底面に生着したのち、培地を交換し、200μMのCoCl2を添加しHIF活性を誘導した。同時に、ガルシニア・カンボジアエキス(バイオアクティブズジャパン株式会社)及び(-)-ヒドロキシクエン酸・カルシウム塩を1mg/mlで添加した。
【0152】
添加8時間後にRNAを抽出し、RT-PCR(ReverTra Ace qPCR RT Master Mix(TOYOBO)、及びリアルタイムPCR(THUNDERBIRD SYBO qPCR Mix(TOYOBO))により遺伝子発現を確認した。ガルシニア・カンボジアエキス(バイオアクティブズジャパン株式会社)及び(-)-ヒドロキシクエン酸・カルシウム塩の結果を、それぞれ
図10及び
図11に示す。
【0153】
図10及び
図11に示す通り、CoCl
2で発現亢進したHIF下流遺伝子であるVEGF、GLUT1、PDK1、BNIP3が、ガルシニア・カンボジアエキス及び(-)-ヒドロキシクエン酸・カルシウム塩の添加により、有意に抑制された。
【0154】
本明細書において、MMB麻酔薬は、ミダゾラム(4mg/kg、SANDOZ、山形、日本)、メデトミジン(0.75mg/kg、福島、日本)、酒石酸ブトルファノール(5mg/kg、明治製菓製薬、東京、日本)の3種を混合し作成した。各薬物は、MMB麻酔薬中に1:1.07:1.33の比率で含まれる。
【0155】
本明細書において、すべての手順は、眼科および視覚研究における動物の使用に関するARVOの声明、慶應義塾大学の動物実験に関する施設内ガイドライン、研究における動物の使用のためのガイドライン(ARRIVE)を遵守する慶應義塾大学医学部の動物研究に関する倫理委員会によって承認されている。C57BL/6Jマウス、BALB/cAマウスは、CLEA Japan、Incから入手した。