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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】物品集積装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20241205BHJP
   B25J 15/06 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
B25J15/06 M
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021006566
(22)【出願日】2021-01-19
(65)【公開番号】P2022110868
(43)【公開日】2022-07-29
【審査請求日】2024-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 幸祐
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-060002(JP,A)
【文献】特開平06-305551(JP,A)
【文献】特開2015-039767(JP,A)
【文献】特開2013-000855(JP,A)
【文献】特開2019-209459(JP,A)
【文献】特許第6644846(JP,B1)
【文献】特開2019-051559(JP,A)
【文献】特開2015-160300(JP,A)
【文献】特開平10-138181(JP,A)
【文献】特開2018-069377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてくる物品をロボットによって集積位置に移して集積する物品集積装置において、
前記物品を搬送する搬送部と、
前記搬送部の搬送面上の前記物品を把持して前記集積位置に集積するロボットと、
前記搬送面上の前記物品の位置および姿勢に基づいて、前記ロボットの動作を制御する制御部と、
を備え
前記ロボットは、前記物品を把持する第1把持部および第2把持部を含む複数の把持部を有しており、
前記複数の把持部が順番に前記物品を把持する場合、前記物品を把持していない前記ロボットが最初に把持する前記物品を、1つ目の前記物品とし、前記1つ目の前記物品を把持している前記ロボットが次に把持する前記物品を、2つ目の前記物品としたとき、
前記制御部は、
前記把持部の平面視における外形、または前記把持部が把持している前記物品を含む前記把持部の平面視における外形が、複数の把持部の周囲の物体との干渉を起こさない干渉回避範囲に収まっているか否か、を演算し、前記ロボットによる前記1つ目の前記物品の把持の可否を判断し、
さらに、前記把持部の平面視における外形、または前記把持部が把持している前記物品を含む前記把持部の平面視における外形が、複数の把持部の周囲の物体との干渉を起こさない干渉回避範囲に収まっているか否か、を演算し、前記ロボットによる前記2つ目の前記物品の把持の可否を判断する、
物品集積装置。
【請求項2】
前記搬送部は、第1範囲と、前記搬送部の搬送方向において前記第1範囲よりも下流側に位置する第2範囲と、に亘って設けられており、
前記ロボットは、
前記第1範囲において前記第1把持部によって前記1つ目の物品を把持し、
前記第2範囲において前記第2把持部によって前記2つ目の物品を把持する、
請求項1に記載の物品集積装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1把持部の平面視における外形、または前記第1把持部が把持している前記物品を含む前記第1把持部の平面視における外形が、複数の把持部の周囲の物体との干渉を起こさない干渉回避範囲に収まっているか否か、を演算し、前記ロボットによる前記第1把持部による前記1つ目の物品の把持ができないと判断した場合、
前記第2把持部の平面視における外形、または前記第2把持部が把持している前記物品を含む前記第2把持部の平面視における外形が、複数の把持部の周囲の物体との干渉を起こさない干渉回避範囲に収まっているか否か、を演算し、前記ロボットによる前記第2把持部による前記1つ目の物品の把持の可否を判断する、
請求項2に記載の物品集積装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品集積装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1(特開2018-104179号公報)に開示されているように、一方のコンベアにおいて搬送されている物品をピックアップして、当該物品を他方のコンベアに移動させる、といった機能を有する把持部を備える物品集積装置が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されているような物品集積装置では、把持部の位置や物品の位置および物品の姿勢次第では、把持部が把持部の周囲に存在する物体に干渉する恐れがある。このような事態を回避するためには、把持部がいかなる位置にあり、いかなる姿勢を取ったとしても、把持部が物体に干渉することがない、といった観点のもとで、把持部の可動範囲を設定することが考えられる。
【0004】
しかしながら、上記のような態様で把持部の可動範囲を設定する場合、把持部の可動範囲が過度に制限される恐れがある。これにより、把持部にピックアップされないままコンベアを通過する物品が発生していることが考えられる。言い換えると、従来技術に係る物品集積装置では、物品集積の効率が悪い。
【0005】
本発明の目的は、把持部が把持部の周囲に存在する物体に干渉するといった事態の発生の抑制と、物品集積の効率向上と、を実現する物品集積装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る物品集積装置は、搬送されてくる物品をロボットによって集積位置に移して集積する物品集積装置である。物品集積装置は、搬送部と、ロボットと、制御部と、を備える。搬送部は、物品を搬送する。ロボットは、搬送部の搬送面上の物品を把持して集積位置に集積する。制御部は、搬送面上の物品の位置および姿勢に基づいて、ロボットの動作を制御する。ロボットは、複数の把持部を有している。複数の把持部は、物品を把持する第1把持部および第2把持部を含む。複数の把持部が順番に物品を把持する場合、制御部は、把持部の平面視における外形または把持部が把持している物品を含む把持部の平面視における外形が、複数の把持部の周囲の物体との干渉を起こさない干渉回避範囲に収まっているか否か、を演算し、ロボットによる物品の把持の可否を判断する。
【0007】
第1観点に係る物品集積装置では、把持部の平面視における外形または把持部が把持している物品を含む把持部の平面視における外形が、複数の把持部の周囲の物体との干渉を起こさない干渉回避範囲に収まっているか否かを、制御部が判断する。この構成によれば、把持部または把持部に把持されている物品が周囲の物体に干渉する恐れがない。また、把持部の平面視における外形または把持部が把持している物品を含む把持部の平面視における外形が、干渉回避範囲に収まっていると制御部が判断する場合には、ロボットは物品を把持する。このため、物品集積の効率が向上する。
【0008】
本発明の第2観点に係る物品集積装置は、第1観点に係る物品集積装置である。物品を把持していないロボットが最初に把持する物品を、1つ目の物品としたとき、制御部は、ロボットによる1つ目の物品の把持の可否を判断する。
【0009】
この構成によれば、把持部または把持部に把持されている1つ目の物品が、周囲の物体に干渉する恐れがない。また、把持部が把持している1つ目の物品を含む把持部の平面視における外形が、干渉回避範囲に収まっていると制御部が判断する場合には、パラレルリンクロボットは1つ目の物品を把持する。このため、物品集積の効率が向上する。
【0010】
本発明の第3観点に係る物品集積装置は、第2観点に係る物品集積装置である。1つ目の物品を把持しているロボットが次に把持する物品を、2つ目の物品としたとき、制御部は、さらに、ロボットによる2つ目の物品の把持の可否を判断する。
【0011】
この構成によれば、把持部、把持部に把持されている1つ目の物品、または把持部に把持されている2つ目の物品が、周囲の物体に干渉する恐れがない。また、把持部が把持している1つ目の物品を含む把持部の外形と、把持部が把持している2つ目の物品を含む把持部の外形と、が干渉回避範囲に収まっていると制御部が判断する場合には、パラレルリンクロボットは2つ目の物品を把持する。このため、物品集積の効率が向上する。
【0012】
本発明の第4観点に係る物品集積装置は、第3観点に係る物品集積装置である。搬送部は、第1範囲と、第2範囲と、に亘って設けられている。第2範囲は、搬送部の搬送方向において第1範囲よりも下流側に位置する。ロボットは、第1範囲において第1把持部によって1つ目の物品を把持する。ロボットは、第2範囲において第2把持部によって2つ目の物品を把持する。
【0013】
本発明の第5観点に係る物品集積装置は、第4観点に係る物品集積装置である。制御部は、第1把持部による1つ目の物品の把持ができない場合、第2把持部による1つ目の物品の把持の可否を判断する。
【0014】
本発明の第6観点に係る物品集積装置は、第1観点に係る物品集積装置である。制御部は、物品が搬送される搬送方向に対する角度に応じて、把持の可否を判断する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る物品集積装置では、把持部または把持部に把持されている物品が周囲の物体に干渉する恐れがない。また、本発明に係る物品集積装置では、物品集積の効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】箱詰め装置の概略側面図である。
図2A】パラレルリンクロボットの概略図である。
図2B】箱詰めロボットの概略図である。
図2C】第1コンベアおよび第2コンベアの概略図である。
図2D】箱搬送コンベアの概略図である。
図3】制御部の構成を示すブロック図である。
図4】第1コンベアや第1コンベアに搬送される物品を示す平面図である。
図5】第1コンベアや第1コンベアに搬送される物品を示す平面図である。
図5A】予測部によって予測された物品の位置や、予測部によって予測された把持部の姿勢を示す平面図である。
図6】1つ目の物品を把持している第1把持部や第1コンベアや第1コンベアに搬送される物品を示す平面図である。
図6A】予測部によって予測された物品の位置や、予測部によって予測された把持部の姿勢を示す平面図である。
図6B】ヘッダを180°回転させた上で2つ目の物品を把持している第2把持部を示す平面図である。
図7】1つ目の物品を把持している第1把持部や第1コンベアや第1コンベアに搬送される物品を示す平面図である。
図7A】予測部によって予測された物品の位置や、予測部によって予測された把持部の姿勢を示す平面図である。
図8】物品集積装置の動作の流れを示すフロー図である。
図9】従来技術に係る物品集積装置を示す図である。
図9A】従来技術に係る物品集積装置を示す図である。
図9B】従来技術に係る物品集積装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の一実施形態に係る物品集積装置について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、具体例であって、技術的範囲を限定するものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、以下の説明では、方向や位置関係等を説明するために、垂直、直交、水平、平行等の表現を用いる場合があるが、これらは厳密に垂直、直交、水平、平行等である場合だけではなく、実質的に垂直、直交、水平、平行等である場合を含む。
【0018】
(1)全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る物品集積装置10が搭載された箱詰め装置100を示す概略側面図である。図2A図2Dは、箱詰め装置100の各部の構成を示す概略図である。図3は、箱詰め装置100のブロック図である。図4は、第1コンベア91と第1コンベア91によって搬送される物品Pとを概略的に示した平面図である。
【0019】
箱詰め装置100は、複数の物品Pを1つの箱Bに入れるための装置である。図1図3に示すように、箱詰め装置100は、物品集積装置10と、箱詰めロボット83と、第2コンベア92と、箱搬送コンベア300と、を含む。物品集積装置10は、主に、第1コンベア91(特許請求の範囲に記載の「搬送部」に相当)と、パラレルリンクロボット82(特許請求の範囲に記載の「ロボット」に相当)と、制御部50と、を備える。さらに、ここでは追加の構成として、物品集積装置10はカメラ21を備える。
【0020】
物品集積装置10の第1コンベア91は、物品入口PIから箱詰め装置100に入れられた物品Pを1つずつ搬送する。物品集積装置10のカメラ21は、第1コンベア91を流れる物品Pの位置および姿勢を検出する。物品集積装置10のパラレルリンクロボット82は、第1コンベア91の上の2つの物品Pを持ち上げて、2つの物品Pからなる物品列Rを第2コンベア92の上に置く(図2C参照)。第2コンベア92は、搬送速度を調節することにより、4つの物品Pからなる物品群Gを作る。箱詰めロボット83は、物品群Gを構成する4つの物品Pを同時に把持し、当該4つの物品Pを箱待機部84で待機している箱Bの中へ入れる。箱Bは、箱詰めロボット83による物品群Gの箱詰めが完了した後に、箱搬送コンベア300により次の工程(例えば、箱Bの上蓋を閉鎖する工程)へと運ばれていく。
【0021】
また、本実施形態に係る箱詰め装置100は、箱詰め装置100のオペレータや箱詰め装置100の周囲の機器を保護するための安全枠SFを有する(図4参照)。このため、パラレルリンクロボット82を含め、箱詰め装置100を構成する各部は、安全枠SFに干渉することがないように動作しなければならない。本実施形態では、パラレルリンクロボット82の把持部が安全枠SFに干渉することがないように、制御部50がパラレルリンクロボット82の動作を制御する。以下、詳細に説明する。
【0022】
(2)詳細な構成
物品集積装置10の詳細な構成について説明する。物品集積装置10は、主に、第1コンベア91と、パラレルリンクロボット82と、制御部50と、を備える。
【0023】
(2-1)第1コンベア91
第1コンベア91について、図2Cおよび図4を参照しながら説明する。
【0024】
第1コンベア91は、コンベアローラ91aと無端状のベルト91bと、を有するベルトコンベアである(図2C参照)。コンベアローラ91aは、図示しないコンベアモータによって駆動される。コンベアローラ91aが駆動されることで、ベルト91bが回転し、ベルト91b上の物品Pが搬送方向D1(図4参照)に向かって搬送される。
【0025】
図4に示すように、第1コンベア91は、第1範囲R1と、第2範囲R2と、に亘って設けられている。第1範囲R1は、物品Pの搬送方向D1において第2範囲R2よりも上流側に位置する範囲である。第2範囲R2は、物品Pの搬送方向D1において第1範囲R1よりも下流側に位置する範囲である。
【0026】
図4に示すように、第1コンベア91によって搬送される物品Pの位置および姿勢は様々である。例えば図4には、平面視において第1コンベア91の右端寄りに搬送される物品Pや、平面視において斜めに傾いた姿勢(搬送方向D1に平行な方向に対して傾斜した姿勢)で搬送される物品Pが示されている。これらの物品Pが、パラレルリンクロボット82の把持部によって把持される。
【0027】
(2-2)パラレルリンクロボット82
パラレルリンクロボット82について、図1および図2Aを参照しながら説明する。パラレルリンクロボット82は、第1コンベア91の搬送面上の物品Pを把持して、把持した物品Pを集積位置に集積するロボットである。集積位置は例えば、第2コンベア92の搬送面である。
【0028】
図1に示すように、パラレルリンクロボット82は、第1コンベア91の上方に配置される。図2Aに示すように、パラレルリンクロボット82は、ベース821と、アーム822と、第1吸引部材61と、第2吸引部材62と、ヘッダ70と、を有する。ベース821にはアーム822が取り付けられている。アーム822の下方の端部はヘッダ70と連結している。ヘッダ70は第1把持部71と第2把持部72とを有する。第1吸引部材61は、一端が第1把持部71に接続され、他端が図示しない真空ポンプや真空ブロアに接続されている。第2吸引部材62は、一端が第2把持部72に接続され、他端が図示しない真空ポンプや真空ブロアに接続されている。
【0029】
第1把持部71は、エア吸引によって1つ目の物品P1を把持する把持部である。「1つ目の物品P1」とは、物品Pを把持していない状態のパラレルリンクロボット82が最初に把持する物品Pのことを指す。第1把持部71は、第1コンベア91の第1範囲R1において、1つ目の物品P1を把持する。
【0030】
第2把持部72は、エア吸引によって2つ目の物品P2を把持する把持部である。「2つ目の物品P2」とは、1つ目の物品P1を把持しているパラレルリンクロボット82が次に把持する物品Pのことを指す。第2把持部72は、第1コンベア91の第2範囲R2において、2つ目の物品P2を把持する。
【0031】
本実施形態に係るパラレルリンクロボット82は、ダブルピックを行うことによって、物品Pを第1コンベア91から第2コンベア92へと移動させる。ダブルピックは、第1吸引部材61に接続された第1把持部71と、第2吸引部材62に接続された第2把持部72と、を有するヘッダ70により、次の要領で行われる。まず、パラレルリンクロボット82は、第1コンベア91の上にある1つ目の物品P1に第1把持部71を接触させ、1つ目の物品P1を把持する。次に、パラレルリンクロボット82はヘッダ70を移動させ、第1コンベア91の上にある2つ目の物品P2に第2把持部72を接触させ、2つ目の物品P2を把持する。最後に、パラレルリンクロボット82は、把持された2つの物品P1、P2を持ち上げて、それらを第2コンベア92の上に置く。このようにして、第2コンベア92の上に物品列Rが形成される。
【0032】
(2-3)制御部50
本実施形態に係る制御部50の構成について、図3を参照しながら説明する。
【0033】
制御部50は、コンピュータにより実現されるものである。制御部50は、物品集積装置10を含めて、箱詰め装置100を構成する各部と制御信号や情報等の送受信が可能なように有線または無線により電気的に接続されている。制御部50は、物品集積装置10を含めて、箱詰め装置100を構成する各部の動作を制御する。制御部50は、制御演算装置と記憶装置とを備える。制御演算装置には、CPUまたはGPUといったプロセッサを使用できる。制御演算装置は、記憶装置に記憶されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って所定の演算処理を行う。さらに、制御演算装置は、プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶されている情報を読み出したりすることができる。記憶装置には、ROMやRAM等のメモリを使用できる。記憶装置には、箱詰め装置100の各部の動作を制御するためのプログラムや、箱詰め装置100が他の機器との通信を行う際に使用される通信プロトコル等が記憶される。このほか、記憶装置には、第1コンベア91による物品Pの搬送速度や、ヘッダ70の移動速度などを含めた各種情報が記憶されている。
【0034】
図3には、制御演算装置により実現される各種の機能ブロックを示している。図3に示すように、制御部50は、干渉回避範囲設定部51や、予測部52や、判断部53としての機能を有する。干渉回避範囲設定部51、予測部52、判断部53については後述する。
【0035】
(2-3-1)制御部50による制御
以下では、制御部50によって行われるパラレルリンクロボット82の制御について説明する。図4図5に示すように、箱詰め装置100の周囲には、安全枠SFが設けられている。箱詰め装置100の安全性を確保するために、パラレルリンクロボット82は、安全枠SFに干渉しないように動作しなければならない。具体的には、パラレルリンクロボット82は、安全枠SFに接触するといった事態を回避しながら、ダブルピックを行わなければならない。パラレルリンクロボット82を構成する各部の中でも、特に安全枠SFに干渉する可能性が高い部位として、第1把持部71や第2把持部72が挙げられる。上記のとおり、第1コンベア91に搬送される物品Pの位置および姿勢(傾き)は様々であり、これらの物品Pを把持するために、第1把持部71や第2把持部72は前後左右方向への移動を頻繁に繰り返す必要があるためである。
【0036】
また、物品Pの外形が第1把持部71または第2把持部72の外形よりも大きい場合、物品Pが、安全枠SFに干渉する可能性がある。例えば、物品Pの外形が第1把持部71の外形よりも大きい場合、第1把持部71の位置や姿勢次第では、第1把持部71が安全枠SFに干渉しなくとも、第1把持部71に把持されている物品Pが安全枠SFに干渉するといった事態が生じる恐れがある。これらの点を考慮した上で、制御部50は、パラレルリンクロボット82の動作を制御しなければならない。制御部50は、パラレルリンクロボット82の動作を制御するために、干渉回避範囲設定部51や、予測部52や、判断部53による演算を行う。
【0037】
(2-3-1-1)干渉回避範囲設定部51
干渉回避範囲設定部51は、干渉回避範囲ARの設定を行う機能部である。干渉回避範囲ARは、把持部(ここでは第1把持部71または第2把持部72)の平面視における外形、または、把持部が把持している物品Pを含む把持部の平面視における外形が、周囲の物体(ここでは安全枠SF)との干渉を起こさない範囲である。干渉回避範囲設定部51は、例えば、カメラ21を通じて確認される安全枠SFの位置と、第1コンベア91の位置と、に基づいて設定される。把持部の平面視における外形、または、把持部が把持している物品Pを含む把持部の平面視における外形が、干渉回避範囲ARに収まっている限り、把持部または把持部に把持されている物品Pが、周囲の物体と干渉を起こすことはない。干渉回避範囲ARは、例えば図5Aの破線で示される範囲である。
【0038】
(2-3-1-2)予測部52
予測部52は、物品Pが把持される位置の予測や、物品Pを把持する把持部の姿勢の予測を行う機能部である。以下では、予測部52によって予測された物品Pの位置のことを、「予測位置」と呼ぶことがある。また、以下では、予測部52によって予測された把持部の姿勢のことを、「予測姿勢」と呼ぶことがある。予測部52は、カメラ21が撮影した物品Pの現在位置や、カメラ21が撮影したヘッダ70の現在位置や、第1コンベア91による物品Pの搬送速度や、ヘッダ70の移動速度などに基づいて、予測位置や予測姿勢を算出する。
【0039】
(2-3-1-3)判断部53
判断部53は、物品Pが予測位置にあり、把持部が予測姿勢を取るとき、把持部の平面視における外形、または、把持部が把持している物品Pを含む把持部の平面視における外形が、干渉回避範囲ARに収まっているか否かの判断を行う機能部である。制御部50は、判断部53の判断に基づいて、パラレルリンクロボット82による物品Pの把持の可否を判断する。具体的には、物品Pが予測位置にあり、把持部が予測姿勢を取るときに、把持部の平面視における外形、または、把持部が把持している物品Pを含む把持部の平面視における外形が、干渉回避範囲ARに収まっていると判断部53が判断する場合、制御部50はパラレルリンクロボット82に物品Pの把持を行わせる。一方で、物品Pが予測位置にあり、把持部が予測姿勢を取るときに、把持部の平面視における外形、または、把持部が把持している物品Pを含む把持部の平面視における外形が、干渉回避範囲ARに収まっていないと判断部53が判断する場合、制御部50はパラレルリンクロボット82による物品Pの把持をキャンセルする。
【0040】
(3)パラレルリンクロボット82の動作
制御部50により制御されるパラレルリンクロボット82の動作について、図5図7Aを参照しながら説明する。図5には、複数の物品PA、PB、PCを搬送する第1コンベア91と、物品Pを把持していない第1把持部71と、物品Pを把持していない第2把持部72とが示されている。図5に示すように、複数の物品PA、PB、PCは、物品PAが搬送方向D1において最も下流側に位置しており、物品PCが搬送方向D1において最も上流側に位置している。ここでは、物品PA、物品PB、物品PCの外形はいずれも同一であり、物品PA、物品PB、物品PCの外形はいずれも、第1把持部71および第2把持部72の外形よりも大きいといった状況を想定する。
【0041】
図5に示すような状況で、物品PAが第1範囲R1の範囲内にあることをカメラ21により検知した制御部50は、物品PAの把持に係る演算を開始する。上記のとおり、パラレルリンクロボット82は物品Pを把持していない。また、上記のとおり、第1把持部71は、第1コンベア91の第1範囲R1において、1つ目の物品P1を把持する把持部である。したがって、図5に示すような状況では、制御部50は、第1範囲R1における第1把持部71による物品PAの把持の可否を判断する。
【0042】
第1把持部71による物品PAの把持の可否を判断するために、予測部52は、物品PAが把持される位置の予測や、物品PAを把持する第1把持部71の姿勢の予測や、物品PAを把持しない第2把持部72の姿勢の予測を行う。物品PAの具体的な予測位置と、第1把持部71の具体的な予測姿勢と、第2把持部72の具体的な予測姿勢と、の一例を図5Aに示す。図5Aに示すように、ここでは、予測部52は、物品PAが第1コンベア91の中央寄りの位置において第1把持部71に把持されることを予測している。また、図5Aに示すように、物品PAを把持する第1把持部71は、長手方向が搬送方向D1に対して平行な姿勢を取ることを、予測部52は予測している。また、図5Aに示すように、第1把持部71が物品PAを把持するとき、第2把持部72は長手方向が搬送方向D1に対して平行な姿勢を取ることを、予測部52は予測している。
【0043】
図5Aに示すような予測位置と予測姿勢とを参照した判断部53は、物品PAが予測位置にあり、第1把持部71および第2把持部72が予測姿勢を取るとき、物品PAを含む第1把持部71の平面視における外形と、第2把持部72の平面視における外形と、のいずれもが干渉回避範囲ARに収まっていると判断する。判断部53の上記判断に従い、制御部50は、第1把持部71に物品PAの把持を行わせる。
【0044】
第1把持部71に物品PAを把持させた制御部50は、次に、第2把持部72による物品PBの把持の可否を判断する。図6には、複数の物品PB、PCを搬送する第1コンベア91と、第1把持部71によって物品PAを把持しているパラレルリンクロボット82とが示されている。上記のとおり、第2把持部72による物品PBの把持は、第2範囲R2において行われる。
【0045】
第2範囲R2における第2把持部72による物品PBの把持の可否を判断するために、予測部52は、物品PBが把持される位置の予測や、物品PBを把持する第2把持部72の姿勢の予測や、既に物品PAを把持している第1把持部71の姿勢の予測を行う。物品PBの具体的な予測位置と、第2把持部72の具体的な予測姿勢と、第1把持部71の具体的な予測姿勢と、の一例を図6Aに示す。図6Aに示すような予測位置と予測姿勢とを参照した判断部53は、物品PBが予測位置にあり、第2把持部72が予測姿勢を取るとき、物品PBを含む第2把持部72の平面視における外形は干渉回避範囲ARに収まっていると判断する。しかしながら、第1把持部71が予測姿勢を取るとき、判断部53は、物品PAを含む第1把持部71の平面視における外形が、干渉回避範囲ARに収まっていないと判断する(具体的には、第1把持部71が把持している物品PAが、干渉回避範囲ARに収まっていない)。判断部53の上記判断に従い、制御部50は、物品PBの把持をキャンセルする。
【0046】
なお、図6に示すような状況における第2把持部72による物品PBの把持について、ヘッダ70を180°回転させた上でヘッダ70を搬送方向D1における下流側から上流側に移動させることで、第2把持部72に物品PBを把持させることも考えられる(図6B参照)。図6Bに示すような態様による把持では、物品PAを把持している第1把持部71の平面視における外形と、物品PBを把持している第2把持部72の平面視における外形と、のいずれもが干渉回避範囲ARに収まっている。しかしながら、係る態様による把持は好ましいものではない。ヘッダ70を180°回転させることは、タイムロスを招き、物品集積の効率低下に繋がる恐れがあるためである。また、ヘッダ70を180°回転させる際に、物品PAが第1把持部71から振り落とされる可能性がある。さらに、ヘッダ70を180°回転させた上で第2把持部72に物品PBを把持させた場合、第1把持部71に把持されている物品PAの向きと、第2把持部72に把持されている物品PBの向きとが不揃いになることも考えられる。このため、本実施形態に係る制御部50は、把持部の平面視における外形、または、把持部が把持している物品Pを含む把持部の平面視における外形が、干渉回避範囲ARに収まっていない場合には、速やかに把持をキャンセルする。
【0047】
第2把持部72による物品PBの把持をキャンセルした制御部50は、次に、第2把持部72による物品PCの把持の可否を判断する。図7には、複数の物品PB、PCを搬送する第1コンベア91と、第1把持部71によって物品PAを把持しているパラレルリンクロボット82とが示されている。
【0048】
第2把持部72による物品PCの把持の可否を判断するために、予測部52は、物品PCが把持される位置の予測や、物品PCを把持する第2把持部72の姿勢の予測や、既に物品PAを把持している第1把持部71の姿勢の予測を行う。物品PCの具体的な予測位置と、第2把持部72の具体的な予測姿勢と、第1把持部71の具体的な予測姿勢と、の一例を図7Aに示す。図7Aに示すような予測位置と予測姿勢とを参照した判断部53は、物品PCが予測位置にあり、第1把持部71および第2把持部72が予測姿勢を取るとき、物品PAを含む第1把持部71の平面視における外形と、物品PCを含む第2把持部72の平面視における外形と、のいずれもが干渉回避範囲ARに収まっていると判断する。判断部53の上記判断に従い、制御部50は、第2把持部72に物品PCの把持を行わせる。
【0049】
最後に、パラレルリンクロボット82は、把持された2つの物品PA、PCを持ち上げて、それらを第2コンベア92の上に置く。このようにして、第2コンベア92の上に物品列Rが形成される。
【0050】
(4)全体動作
既に説明した物品集積装置10の動作について、図8に示すフローチャートを用いて簡単に説明する。物品集積装置10は、運転開始指令を受け付けると、図8のステップS1からステップS11に示すような流れで動作を行う。なお、図8に示す動作の流れは一例であり、適宜変更可能である。例えば、矛盾のない範囲でステップの順序が変更されてもよいし、一部のステップが他のステップと並列に実行されてもよいし、他のステップが新たに追加されてもよい。
【0051】
ステップS1では、干渉回避範囲設定部51が干渉回避範囲ARを設定する。
【0052】
ステップS2では、第1コンベア91を流れる物品P(1つ目の物品P1)をカメラ21が検知する。
【0053】
ステップS3では、予測部52が予測を行う。
【0054】
ステップS4では、予測部52の予測に基づいて、判断部53が第1把持部71による物品Pの把持の可否を判断する。第1把持部71による物品Pの把持が可能であると判断部53が判断する場合(ステップS4でYesの場合)、物品集積装置10の動作はステップS5に進む。第1把持部71による物品Pの把持ができないと判断部53が判断する場合(ステップS4でNoの場合)、物品集積装置10の動作はステップS2に戻る。
【0055】
ステップS5では、第1把持部71による1つ目の物品P1の把持が行われる。
【0056】
ステップS6では、第1コンベア91を流れる物品P(2つ目の物品P2)をカメラ21が検知する。
【0057】
ステップS7では、予測部52が予測を行う。
【0058】
ステップS8では、予測部52の予測に基づいて、判断部53が第2把持部72による物品Pの把持の可否を判断する。第2把持部72による物品Pの把持が可能であると判断部53が判断する場合(ステップS8でYesの場合)、物品集積装置10の動作はステップS9に進む。第2把持部72による物品Pの把持ができないと判断部53が判断する場合(ステップS8でNoの場合)、物品集積装置10の動作はステップS6に戻る。
【0059】
ステップS9では、第2把持部72による2つ目の物品P2の把持が行われる。
【0060】
ステップS10では、パラレルリンクロボット82が物品P1、P2を持ち上げ、それらを第2コンベア92の上に置く。
【0061】
ステップS11では、制御部50が運転停止指令の有無を確認する。運転停止指令を受信している場合(ステップS11でYesの場合)、制御部50は物品集積装置10の動作を停止する。運転停止指令を受信していない場合(ステップS11でNoの場合)、物品集積装置10の動作はステップS2に戻る。
【0062】
このようにして、物品集積装置10の動作が行われる。
【0063】
(5)従来技術に係る物品集積装置との比較
(5-1)
従来、上記特許文献1に開示されているように、一方のコンベアにおいて搬送されている物品をピックアップして、当該物品を他方のコンベアに移動させる、といった機能を有する把持部を備える物品集積装置が知られている。
【0064】
上記特許文献1に開示されているような物品集積装置では、把持部の位置や物品の位置および物品の姿勢次第では、把持部が把持部の周囲に存在している物体に干渉する恐れがある。このような事態を回避するためには、把持部がいかなる位置にあり、いかなる姿勢を取ったとしても、把持部が物体に干渉することがない、といった観点に基づいて、把持部の可動範囲を設定することが考えられる。
【0065】
さらに、物品集積装置が複数の把持部を有する場合には、複数の把持部の中のいずれの把持部で物品の把持を行ったとしても、把持部が物体に干渉することがない、といった観点も考慮した上で、把持部の可動範囲を設定することが考えられる。
【0066】
従来技術に係る物品集積装置の一例としての物品集積装置10Xを搭載する箱詰め装置を図9に示す。図9に示すように、従来技術に係る箱詰め装置は、安全枠SFXを有している。物品集積装置10Xは、物品Pを搬送する第1コンベア91Xと、ヘッダ70Xを有するパラレルリンクロボット(図示省略)とを備える。第1コンベア91Xは、物品PDと物品PEとを搬送している。ヘッダ70Xは、第1把持部71Xと第2把持部72Xとを有する。第1把持部71Xおよび第2把持部72Xは、安全枠SFXに干渉することなく動作しなければならない。図9の一点鎖線は、把持部(ここでは第1把持部71Xおよび第2把持部72X)がいかなる位置にあり、いかなる姿勢を取ったとしても、把持部が物体(ここでは安全枠SFX)に干渉することがない、といった観点と、複数の把持部(第1把持部71Xおよび第2把持部72X)の中のいずれの把持部で物品の把持を行ったとしても、把持部が物体に干渉することがない、といった観点から設定された把持部の可動範囲である。以下では、上記のような観点のもとで設定された可動範囲のことを、可動範囲RMと呼ぶ。可動範囲RMが設定された物品集積装置10Xでは、物品PDや物品PEを把持することができない。物品PDや物品PEを把持する場合、把持部の一部が可動範囲RMに収まらない可能性があるためである。
【0067】
ここで、物品集積装置10Xの把持部は、把持部の位置や姿勢次第では、物品PDを安全枠SFXに接触することなく把持できる可能性がある。例えば、図9Aに示すように、長手方向が搬送方向D1に対して平行な姿勢を取る第1把持部71Xおよび第2把持部72Xを、搬送方向D1における上流側から下流側に向かうようにして物品PDに接近させることで、第1把持部71Xまたは第2把持部72Xは、安全枠SFXに接触することなく物品PDを把持することができる。
【0068】
また、物品PEについては、第1把持部71Xによる把持であれば、安全に把持できる可能性がある。例えば、長手方向が搬送方向D1に対して平行な姿勢を取る第1把持部71Xを搬送方向D1における下流側から上流側に向かうようにして接近させることで、第1把持部71Xは、安全枠SFXに接触することなく物品PEを把持することができる(図9B参照)。
【0069】
このように、従来技術に係る物品集積装置10Xでは、安全枠SFXに干渉することなく把持できる可能性がある物品Pについて、把持部の可動範囲RMが狭く制限されていることから、把持することができない。このため、物品集積の効率が悪い。
【0070】
あるいは、把持部の可動範囲RMを大きくするために、安全枠SFXの設置範囲を広くすることも考えられる。しかしながら、係る対応は、箱詰め装置の装置サイズを増大させる恐れがあるため、好ましいものではない。
【0071】
(5-2)
一方で、本実施形態に係る物品集積装置10では、制御部50は、把持部の平面視における外形または把持部が把持している物品Pを含む把持部の平面視における外形が、安全枠SFとの干渉を起こさない干渉回避範囲ARに収まっているか否か、を演算し、パラレルリンクロボット82による物品Pの把持の可否を判断する。言い換えると、本実施形態に係る物品集積装置10では、物品Pを把持する際に、周囲の物体(例えば安全枠SF)に干渉する恐れがあるか否かによって、物品Pの把持の可否を判断する。したがって、本実施形態に係る物品集積装置10では、周囲に存在する物体と干渉することがない限りにおいて、図9に示す物品PDや物品PEを把持することができる。このため、可動範囲RMを予め定めた上で物品集積を行う場合と比較して、物品集積の効率がよい。また、本実施形態に係る物品集積装置10では、装置サイズを増大させることがない。
【0072】
(6)特徴
(6-1)
本実施形態に係る物品集積装置10は、搬送されてくる物品Pをパラレルリンクロボット82によって集積位置に移して集積する物品集積装置10である。物品集積装置10は、第1コンベア91と、パラレルリンクロボット82と、制御部50と、を備える。第1コンベア91は、物品Pを搬送する。パラレルリンクロボット82は、第1コンベア91の搬送面上の物品Pを把持して集積位置に集積する。制御部50は、搬送面上の物品Pの位置および姿勢に基づいて、パラレルリンクロボット82の動作を制御する。パラレルリンクロボット82は、複数の把持部を有している。複数の把持部は、物品Pを把持する第1把持部71および第2把持部72を含む。複数の把持部が順番に物品Pを把持する場合、制御部50は、把持部の平面視における外形または把持部が把持している物品Pを含む把持部の平面視における外形が、安全枠SFとの干渉を起こさない干渉回避範囲ARに収まっているか否か、を演算し、パラレルリンクロボット82による物品Pの把持の可否を判断する。
【0073】
本実施形態に係る物品集積装置10では、把持部の平面視における外形または把持部が把持している物品Pを含む把持部の平面視における外形が、安全枠SFとの干渉を起こさない干渉回避範囲ARに収まっているか否かを、制御部50が判断する。
【0074】
この構成によれば、把持部または把持部に把持されている物品Pが安全枠SFに干渉する恐れがない。また、把持部の平面視における外形または把持部が把持している物品Pを含む把持部の平面視における外形が、干渉回避範囲ARに収まっていると制御部50が判断する場合には、パラレルリンクロボット82は物品Pを把持する。このため、物品集積の効率が向上する。
【0075】
(6-2)
本実施形態に係る物品集積装置10では、物品Pを把持していないパラレルリンクロボット82が最初に把持する物品Pを、1つ目の物品P1としたとき、制御部50は、パラレルリンクロボット82による1つ目の物品P1の把持の可否を判断する。
【0076】
言い換えると、本実施形態に係る物品集積装置10では、第1把持部71が把持している1つ目の物品P1を含む第1把持部71の外形と、第2把持部72の外形と、が干渉回避範囲ARに収まっているか否かを、制御部50が判断する。
【0077】
この構成によれば、第1把持部71、第2把持部72、または第1把持部71に把持されている1つ目の物品P1が、安全枠SFに干渉する恐れがない。また、第1把持部71が把持している1つ目の物品P1を含む第1把持部71の外形と、第2把持部72の外形と、が干渉回避範囲ARに収まっていると制御部50が判断する場合には、パラレルリンクロボット82は1つ目の物品P1を把持する。このため、物品集積の効率が向上する。
【0078】
(6-3)
本実施形態に係る物品集積装置10では、1つ目の物品P1を把持しているパラレルリンクロボット82が次に把持する物品Pを、2つ目の物品P2としたとき、制御部50は、さらに、パラレルリンクロボット82による2つ目の物品P2の把持の可否を判断する。
【0079】
言い換えると、本実施形態に係る物品集積装置10では、第1把持部71が把持している1つ目の物品P1を含む第1把持部71の外形と、第2把持部72が把持している2つ目の物品P2を含む第2把持部72の外形と、が干渉回避範囲ARに収まっているか否かを、制御部50が判断する。
【0080】
この構成によれば、第1把持部71、第2把持部72、第1把持部71の把持されている1つ目の物品P1、または第2把持部72に把持されている2つ目の物品P2が、安全枠SFに干渉する恐れがない。また、第1把持部71が把持している1つ目の物品P1を含む第1把持部71の外形と、第2把持部72が把持している2つ目の物品P2を含む第2把持部72の外形と、が干渉回避範囲ARに収まっていると制御部50が判断する場合には、パラレルリンクロボット82は2つ目の物品P2を把持する。このため、物品集積の効率が向上する。
【0081】
(6-4)
本実施形態に係る物品集積装置10では、第1コンベア91は、第1範囲R1と、第2範囲R2と、に亘って設けられている。第2範囲R2は、第1コンベア91の搬送方向において第1範囲R1よりも下流側に位置する。パラレルリンクロボット82は、第1範囲R1において第1把持部71によって1つ目の物品P1を把持する。パラレルリンクロボット82は、第2範囲R2において第2把持部72によって2つ目の物品P2を把持する。
【0082】
(7)変形例
上記実施形態は、以下の変形例に示すように適宜変形が可能である。各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。なお、上記の第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0083】
(7-1)変形例A
上記実施形態では説明を省略したが、制御部50は、第1把持部71による1つ目の物品P1の把持ができない場合、第2把持部72による1つ目の物品P1の把持の可否を判断するものであってもよい。この場合、第2把持部72は、1つ目の物品P1を第1範囲R1において把持するものであってもよい。あるいは、第2把持部72は、1つ目の物品P1を第2範囲R2において把持するものであってもよい。
【0084】
また、第2把持部72が1つ目の物品P1を把持した場合、制御部50は、第1把持部71による2つ目の物品P2の把持の可否を判断するものであってもよい。この場合、第1把持部71は、2つ目の物品P2を第1範囲R1において把持するものであってもよい。あるいは、第1把持部71は、2つ目の物品P2を第2範囲R2において把持するものであってもよい。
【0085】
(7-2)変形例B
上記実施形態では説明を省略したが、制御部50は、第1把持部71による物品Pの把持ができない場合、当該物品Pを、第2範囲R2において、第2把持部72によって把持できるか否かを判断するものであってもよい。物品Pが第2把持部72であれば把持できる場合、制御部50は、第2把持部72であれば把持できる物品P以外の物品Pを第1把持部71に把持させた後に、第2把持部72であれば把持できる物品Pを第2把持部72に把持させるものであってもよい。
【0086】
(7-3)変形例C
上記実施形態では説明を省略したが、制御部50は、物品Pが搬送される搬送方向に対する角度に応じて、把持の可否を判断するものであってもよい。例えば、物品Pが搬送方向D1に平行な方向に対して所定角度以上に傾いた状態で搬送される場合には、制御部50は把持部による把持をキャンセルするものであってもよい。
【0087】
物品Pが搬送方向D1に平行な方向に対して傾いた状態で搬送される場合、当該物品Pの角度に応じてヘッダ70を回転させる必要が生じる。ここで、物品Pが搬送方向D1に平行な方向対して所定角度以上に傾いた状態で搬送される場合には、ヘッダ70の回転角度を大きくする必要が生じる。ヘッダ70の回転角度を大きくする場合、第1把持部71または第2把持部72が干渉回避範囲ARに収まらない可能性が高くなる。
【0088】
本変形例に係る物品集積装置10では、物品Pが搬送される搬送方向に対する角度に応じて、制御部50が把持の可否を判断する。この構成によれば、制御部50は、物品Pが搬送方向に平行な方向に対して所定角度以上に傾いた状態で搬送される場合には、把持部の平面視における外形、または、把持部が把持している物品Pを含む把持部の平面視における外形が干渉回避範囲ARに収まっているか否か、の演算を行うことなく、物品Pの把持をキャンセルできる。このため、制御部50の演算速度が向上する。
【0089】
(7-4)変形例D
上記実施形態では、第1把持部71と第2把持部72とを有するパラレルリンクロボット82について説明した。しかしながら、パラレルリンクロボット82の構成はこれに限定されるものではなく、パラレルリンクロボット82は3以上の把持部を有するものであってもよい。
【0090】
(7-5)変形例E
上記実施形態では、複数の把持部の周囲に、安全枠SFが存在している例について説明した。しかしながら、複数の把持部の周囲に存在する物体の例はこれに限定されるものではなく、物体は例えば、物品集積装置10が設置される工場の壁であってもよい。
【0091】
(7-6)変形例F
上記実施形態では、物品集積装置10が、パラレルリンクロボット82を備える例について説明した。しかしながら、物品集積装置10が備えるロボットはパラレルリンクロボット82に限定されるものではない。物品集積装置10は、物品Pを吸着保持できる複数の把持部を有し、当該複数の把持部を移動させて物品Pを搬送するように構成されているロボットであれば、様々なロボットを備えることができる。
【0092】
(7-7)変形例G
上記実施形態では、カメラ21によって物品Pの位置および姿勢を検出する物品集積装置10の例について説明した。しかしながら、物品集積装置10の構成はこれに限定されるものではなく、物品集積装置10は、カメラ21に代えて、物品Pの位置および姿勢を検出することができるセンサを備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0093】
10 物品集積装置
50 制御部
71 第1把持部
72 第2把持部
82 パラレルリンクロボット(ロボット)
91 第1コンベア(搬送部)
P 物品
P1 1つ目の物品
P2 2つ目の物品
R1 第1範囲
R2 第2範囲
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【文献】特開2018-104179号公報
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図5A
図6
図6A
図6B
図7
図7A
図8
図9
図9A
図9B