(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ガスケット及びシール構造
(51)【国際特許分類】
F16J 15/10 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
F16J15/10 B
F16J15/10 D
(21)【出願番号】P 2021030943
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000225359
【氏名又は名称】内山工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヨバノヴィッチ ヴラディスラブ
(72)【発明者】
【氏名】津村 宏一
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-129573(JP,A)
【文献】特開2002-198664(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03148302(EP,A1)
【文献】特開2013-165560(JP,A)
【文献】特開2003-031967(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0098200(US,A1)
【文献】実開昭51-071441(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00- 5/06
H05K 7/00
F16J 15/00- 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一面に開口部を有しそれぞれの前記開口部側の周縁部同士を相互に合体させて用いられる第1部材及び第2部材と、前記第1部材の前記開口部に通じて設けられた凹状の開口窓部から外部に突出する板状部材とにおいて、前記第1部材、前記板状部材及び前記第2部材のそれぞれの各部材間を密封する弾性体で構成されたガスケットであって、
前記第1部材の前記周縁部と前記第2部材の前記周縁部との間をシールする環状の本体部と、前記本体部の端部から突出して設けられ前記開口窓部の底部側と前記板状部材の一方面との間をシールする立壁部とを有する第1ガスケットと、
前記板状部材の他方面と前記第2部材の周縁部との間をシールする第2ガスケットとを備えて
おり、
前記第2ガスケットには、前記板状部材の設置スペースを構成するとともに前記板状部材の厚み寸法と略同じ高さ寸法の段差を形成する段差部が設けられており、
前記段差部と前記立壁部とが弾接することを特徴とするガスケット。
【請求項2】
少なくとも一面に開口部を有しそれぞれの前記開口部側の周縁部同士を相互に合体させて用いられる第1部材及び第2部材と、前記第1部材の前記開口部に通じて設けられた凹状の開口窓部から外部に突出する板状部材とにおいて、前記第1部材、前記板状部材及び前記第2部材のそれぞれの各部材間を密封する弾性体で構成されたガスケットであって、
前記第1部材の前記周縁部と前記第2部材の前記周縁部との間をシールする環状の本体部と、前記本体部の端部から突出して設けられ前記開口窓部の底部側と前記板状部材の一方面との間をシールする立壁部とを有する第1ガスケットと、
前記板状部材の他方面と前記第2部材の周縁部との間をシールする第2ガスケットとを備えて
おり、
前記第1ガスケットの前記立壁部における前記板状部材の前記一方面と弾接する部位には、凸状の第1突起部が設けられ、
前記第2ガスケットの前記板状部材の前記他方面と弾接する部位には、凸状の第2突起部が設けられていることを特徴とするガスケット。
【請求項3】
請求項1
又は請求項2において、
前記開口窓部、前記立壁部及び前記第2ガスケットの形状はそれぞれ正面視において台形状であり、
前記立壁部及び前記第2ガスケットは、前記開口窓部内に前記立壁部が配され前記板状部材を介在させた状態で前記第2ガスケットが嵌合されるように形成されていることを特徴とするガスケット。
【請求項4】
請求項
3において、
前記本体部は、前記開口窓部の形状に沿って形成され傾斜した傾斜部位を有し、
前記第2ガスケットは、前記開口窓部の形状に沿って形成され傾斜した傾斜面を有しており、
前記傾斜部位に前記傾斜面が弾接することを特徴とするガスケット。
【請求項5】
請求項
2~請求項
4のいずれか1項において、
前記第2ガスケットには、前記板状部材の設置スペースを構成するとともに前記板状部材の厚み寸法と略同じ高さ寸法の段差を形成する段差部が設けられており、
前記段差部と前記立壁部とが弾接することを特徴とするガスケット。
【請求項6】
請求項1~請求項
5のいずれか1項において、
前記第1ガスケットの前記本体部には、前記第1部材に形成された溝に挿入される溝挿入部が設けられていることを特徴とするガスケット。
【請求項7】
少なくとも一面に開口部を有しそれぞれの前記開口部側の周縁部同士を相互に合体させて用いられる第1部材及び第2部材と、前記第1部材の前記開口部に通じて設けられた凹状の開口窓部から外部に突出する板状部材とにおいて、前記第1部材、前記板状部材及び前記第2部材のそれぞれの各部材間を弾性体で構成されたガスケットで密封するシール構造であって、
前記ガスケットは、前記第1部材の前記周縁部と前記第2部材の前記周縁部との間をシールする環状の本体部と、前記本体部の端部から突出して設けられ前記開口窓部の底部側と前記板状部材の一方面との間をシールする立壁部とを有する第1ガスケットと、前記板状部材の他方面と前記第2部材との間をシールする第2ガスケットとを備え、
前記第2ガスケットには、前記板状部材の設置スペースを構成するとともに前記板状部材の厚み寸法と略同じ高さ寸法の段差を形成し、前記立壁部と弾接する段差部が設けられており、
前記第1ガスケットは前記第1部材に形成された溝に組付けられるとともに、前記第2ガスケットは前記第2部材の前記周縁部に配置され、前記板状部材の突出部が前記開口窓部から突出するように配した状態で、前記第1部材と前記第2部材とを相互に合体させ、前記第1部材、前記板状部材及び前記第2部材のそれぞれの各部材間をシールすることを特徴とするシール構造。
【請求項8】
少なくとも一面に開口部を有しそれぞれの前記開口部側の周縁部同士を相互に合体させて用いられる第1部材及び第2部材と、前記第1部材の前記開口部に通じて設けられた凹状の開口窓部から外部に突出する板状部材とにおいて、前記第1部材、前記板状部材及び前記第2部材のそれぞれの各部材間を弾性体で構成されたガスケットで密封するシール構造であって、
前記ガスケットは、前記第1部材の前記周縁部と前記第2部材の前記周縁部との間をシールする環状の本体部と、前記本体部の端部から突出して設けられ前記開口窓部の底部側と前記板状部材の一方面との間をシールする立壁部とを有する第1ガスケットと、前記板状部材の他方面と前記第2部材との間をシールする第2ガスケットとを備え、
前記第1ガスケットの前記立壁部における前記板状部材の前記一方面と弾接する部位には、凸状の第1突起部が設けられ、
前記第2ガスケットの前記板状部材の前記他方面と弾接する部位には、凸状の第2突起部が設けられており、
前記第1ガスケットは前記第1部材に形成された溝に組付けられるとともに、前記第2ガスケットは前記第2部材の前記周縁部に配置され、前記板状部材の突出部が前記開口窓部から突出するように配した状態で、前記第1部材と前記第2部材とを相互に合体させ、前記第1部材、前記板状部材及び前記第2部材のそれぞれの各部材間をシールすることを特徴とするシール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1部材、板状部材及び第2部材のそれぞれの各部材間を密封するガスケット及びシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、周縁部同士を相互に合体させて用いられる箱状の2部材の間をシールする構造としては、下記特許文献1,2が挙げられる。
下記特許文献1には、上方に配される箱状部材と下方に配される箱状部材との間をパッキンでシールする構造が開示されており、パッキンには、上方に配される箱状部材のフランジ部に形成された正面視において台形状の開口部を塞いでシールする台形状のグロメット部分が設けられている。
下記特許文献2には、筐体間をゴムなどの柔軟性材料で構成されたガスケットでシールする密封構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】公開実用昭51-71441号公報
【文献】特許第5003762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献2のように筐体の周縁部がストレートに形成されている形状の場合は、ガスケットの形状もストレートな環状体とすればよいが、上記特許文献1のように開口部がある場合のシールは難しいという課題があった。またこのような開口部からプレートを突出させるような構造の場合は、上記特許文献1に開示されているような一部材のパッキンで各部材間をシールすることが難しいため、複数の部材が必要となるが、このような場合でもシール性が高く組付けが容易なガスケット及びシール構造が求められる。
【0005】
本発明は、前記実情に鑑みなされたものであり、シール性が高く組付けが容易なガスケット及びシール構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るガスケットは、少なくとも一面に開口部を有しそれぞれの前記開口部側の周縁部同士を相互に合体させて用いられる第1部材及び第2部材と、前記第1部材の前記開口部に通じて設けられた凹状の開口窓部から外部に突出する板状部材とにおいて、前記第1部材、前記板状部材及び前記第2部材のそれぞれの各部材間を密封する弾性体で構成されたガスケットであって、前記第1部材の前記周縁部と前記第2部材の前記周縁部との間をシールする環状の本体部と、前記本体部の端部から突出して設けられ前記開口窓部の底部側と前記板状部材の一方面との間をシールする立壁部とを有する第1ガスケットと、前記板状部材の他方面と前記第2部材の周縁部との間をシールする第2ガスケットとを備えており、前記第2ガスケットには、前記板状部材の設置スペースを構成するとともに前記板状部材の厚み寸法と略同じ高さ寸法の段差を形成する段差部が設けられており、前記段差部と前記立壁部とが弾接することを特徴とする。
また、本発明に係るガスケットは、少なくとも一面に開口部を有しそれぞれの前記開口部側の周縁部同士を相互に合体させて用いられる第1部材及び第2部材と、前記第1部材の前記開口部に通じて設けられた凹状の開口窓部から外部に突出する板状部材とにおいて、前記第1部材、前記板状部材及び前記第2部材のそれぞれの各部材間を密封する弾性体で構成されたガスケットであって、前記第1部材の前記周縁部と前記第2部材の前記周縁部との間をシールする環状の本体部と、前記本体部の端部から突出して設けられ前記開口窓部の底部側と前記板状部材の一方面との間をシールする立壁部とを有する第1ガスケットと、前記板状部材の他方面と前記第2部材の周縁部との間をシールする第2ガスケットとを備えており、前記第1ガスケットの前記立壁部における前記板状部材の前記一方面と弾接する部位には、凸状の第1突起部が設けられ、前記第2ガスケットの前記板状部材の前記他方面と弾接する部位には、凸状の第2突起部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
上記ガスケットによれば、ケース体を構成する第1部材の周縁部と第2部材の周縁部との間は、本体部によってシールされ、第1部材に設けられた開口窓部と板状部材との間は、立壁部及び第2ガスケットによってシールすることができる。よって、部品の構成上、ケース体から板状部材を突出させる必要がある場合において、シールし難い箇所を適正にシールすることができる。
【0008】
本発明に係るシール構造は、少なくとも一面に開口部を有しそれぞれの前記開口部側の周縁部同士を相互に合体させて用いられる第1部材及び第2部材と、前記第1部材の前記開口部に通じて設けられた凹状の開口窓部から外部に突出する板状部材とにおいて、前記第1部材、前記板状部材及び前記第2部材のそれぞれの各部材間を弾性体で構成されたガスケットで密封するシール構造であって、前記ガスケットは、前記第1部材の前記周縁部と前記第2部材の前記周縁部との間をシールする環状の本体部と、前記本体部の端部から突出して設けられ前記開口窓部の底部側と前記板状部材の一方面との間をシールする立壁部とを有する第1ガスケットと、前記板状部材の他方面と前記第2部材との間をシールする第2ガスケットとを備え、前記第2ガスケットには、前記板状部材の設置スペースを構成するとともに前記板状部材の厚み寸法と略同じ高さ寸法の段差を形成し、前記立壁部と弾接する段差部が設けられており、前記第1ガスケットは前記第1部材に形成された溝に組付けられるとともに、前記第2ガスケットは前記第2部材の前記周縁部に配置され、前記板状部材の突出部が前記開口窓部から突出するように配した状態で、前記第1部材と前記第2部材とを相互に合体させ、前記第1部材、前記板状部材及び前記第2部材のそれぞれの各部材間をシールすることを特徴とする。
また、本発明に係るシール構造は、少なくとも一面に開口部を有しそれぞれの前記開口部側の周縁部同士を相互に合体させて用いられる第1部材及び第2部材と、前記第1部材の前記開口部に通じて設けられた凹状の開口窓部から外部に突出する板状部材とにおいて、前記第1部材、前記板状部材及び前記第2部材のそれぞれの各部材間を弾性体で構成されたガスケットで密封するシール構造であって、前記ガスケットは、前記第1部材の前記周縁部と前記第2部材の前記周縁部との間をシールする環状の本体部と、前記本体部の端部から突出して設けられ前記開口窓部の底部側と前記板状部材の一方面との間をシールする立壁部とを有する第1ガスケットと、前記板状部材の他方面と前記第2部材との間をシールする第2ガスケットとを備え、前記第1ガスケットの前記立壁部における前記板状部材の前記一方面と弾接する部位には、凸状の第1突起部が設けられ、前記第2ガスケットの前記板状部材の前記他方面と弾接する部位には、凸状の第2突起部が設けられており、前記第1ガスケットは前記第1部材に形成された溝に組付けられるとともに、前記第2ガスケットは前記第2部材の前記周縁部に配置され、前記板状部材の突出部が前記開口窓部から突出するように配した状態で、前記第1部材と前記第2部材とを相互に合体させ、前記第1部材、前記板状部材及び前記第2部材のそれぞれの各部材間をシールすることを特徴とする。
【0009】
上記シール構造によれば、ケース体を構成する第1部材の周縁部と第2部材の周縁部との間は、本体部によってシールされ、第1部材に設けられた開口窓部と板状部材との間は、立壁部及び第2ガスケットによってシールすることができる。よって、部品の構成上、ケース体から板状部材を突出させる必要がある場合において、シールし難い箇所を適正にシールすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るガスケット及びシール構造によれば、シール性が高く、ガスケットの組付けを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るガスケット及び同ガスケットが用いられるシール構造が適用された収容ケースを説明するために模式的に示した概略分解斜視図である。
【
図2】同収容ケースの概略正面図であり、(a)は収容ケースを構成する第1部材と第2部材とを相互に合体させる前の状態、(b)は第1部材と第2部材とを相互に合体させた後の状態を示している。
【
図3】(a)及び(b)は同ガスケットのうち、第1ガスケットを模式的に示した一部断面斜視図を示しており、(a)は
図1におけるX1-X1’線断面斜視図、(b)は
図1におけるY1-Y1’線断面斜視図である。
【
図4】(a)は
図2(a)におけるX2-X2’線断面図、(b)は(a)に示す第1部材と第2部材とを相互に合体させた後の状態を示す断面図である。
【
図5】同ガスケットのうち、第2ガスケットを模式的に示した一部断面斜視図を示しており、
図1におけるZ-Z’線断面斜視図を示している。
【
図6】(a)は
図2(a)におけるY2-Y2’線断面図、(b)は第1部材と第2部材とを相互に合体させた後の状態におけるY2-Y2’線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態について、説明する。
本実施形態に係るガスケット1は、箱状の第1部材2と箱状の第2部材との間に板状部材4を介在させた状態でシールするガスケットについて説明する。ガスケット1は、少なくとも一面に開口部2a,3aを有し、それぞれの開口部2a,3a側の周縁部2b,3b同士を相互に合体させて用いられる第1部材(以下では第1箱状部材という)2及び第2部材(以下では第2箱状部材という)3と、第1箱状部材2の開口部2aに通じて設けられた凹状の開口窓部2cから外部に突出する板状部材4とにおいて、第1箱状部材2、板状部材4及び第2箱状部材3のそれぞれの各部材間を密封する弾性体で構成されている。第1ガスケット10は、第1箱状部材2の周縁部2bと第2箱状部材3の周縁部3bとの間をシールする環状の本体部11と、本体部11の端部から突出して設けられ開口窓部2cの底部2ca側と板状部材4の一方面40との間をシールする立壁部12とを有する。第2ガスケット20は、板状部材4の他方面41と第2箱状部材3の周縁部3bとの間をシールする。
以下、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、一部の図には、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
【0013】
本実施形態におけるガスケット1は、第1箱状部材2、板状部材4及び第2箱状部材3のそれぞれの各部材間を密封するものである。ガスケット1は、第1ガスケット10と第2ガスケット20とを備え、板状部材4を介在させた状態で第1箱状部材2と第2箱状部材とを相互に合体させ、使用されるシール構造に好適に用いられる。
図1には、その一例として、電子機器等が収容される収容ケース100に用いられるガスケット1とそのシール構造を示している。収容ケース100は、第1箱状部材2と、第2箱状部材3と、板状部材4とで構成されている。
【0014】
第1箱状部材2及び第2箱状部材3は、金属材で形成されており、その素材は収容ケース100として用いられる用途に応じてアルミニウムや鉄等が選択される。第1箱状部材2は略方形で凹状に開口した開口部2aを有する箱型からなり、第2箱状部材3の上方に覆い被さるように設けられる。
【0015】
第1箱状部材2は、板体部2dと、側壁部2eと、開口部2aと、開口窓部2cとを備えている。板体部2dは、第1箱状部材2の天板であり、略長方形状の平板体に形成されている。側壁部2eは、板体部2dの四周を囲むようにして設けられる。側壁部2eの周縁部2bには、第1ガスケット10が嵌合される溝2f(
図4(a)及び
図4(b)参照)が周方向に且つ環状に形成されている。溝2fの深さ寸法や形状は、第1ガスケット10の溝挿入部11bの高さ寸法や形状に応じて形成される。
図4(a)に示すとおり、溝2fは、下方が開口した開口部2faと、側壁部2fb,2fbと、底部2fcとを有している。開口窓部2cは、
図1、
図2に示すように正面視において台形状に形成され、開口部2aに通じて凹状に設けられている。開口窓部2cは、板状部材4の突出部4bが収まる大きさに形成された底部2caと、底部2caを挟んで両側に形成された一対の傾斜部2cbとを有している。開口窓部2cは、板状部材4の突出部4bが開口窓部2cから突出して設けられるように形成されるため、図例のものは突出部4bの形成態様にあわせて前後に形成されている。すなわち、板状部材4の突出部4b,4bに応じて、開口窓部2cも第1箱状部材2に2か所設けられている。
【0016】
第2箱状部材3は、板体部3dと、側壁部3eと、開口部3aとを備えている。板体部3dは、第2箱状部材3の底板であり、略長方形状の平板体に形成されている。側壁部3eは、板体部3dの四周を囲むようにして設けられる。側壁部3eの周縁部3bは、平坦面に形成され、第1ガスケット10及び第2ガスケット20を介して第1箱状部材2の側壁部2eの周縁部2bと、相互に合体される。
【0017】
板状部材4は、第1箱状部材2と第2箱状部材3との間で、且つその内部空間を上下に分割するように配備される。板状部材4の内部は、冷却媒体が流通する空間部42が設けられ、冷却媒体を流通させることで、収容ケース100内を冷却し、収容ケース100内に収容される電子機器等の熱を発する機器を冷却するように機能する。
板状部材4は、略長方形状の本体部4aと、本体部4aから突出した突出部4bとを有している。図例の突出部4bは本体部4aを挟んだ両側部から異なる方向に突出した2つの突出部4b,4bが設けられた例を示しており、これら突出部4b,4bは開口窓部2c,2cから外部へ突出するように配置される。板状部材4は熱伝導性のよい金属材等で形成され、その内部には、冷却媒体が流通するように空間部42が形成されている(
図6(a)参照)。空間部42内を流通する冷却媒体としては、水・オイル等の液体の他、ガス、空気等の気体であってもよい。図例のものは、一方の突出部4bの端面4baに供給口42aが設けられ(
図2拡大図参照)、他方の突出部4bの端面4baには排出口42bが設けられている(
図1参照)。供給口42aには外部の冷却媒体を供給するための管(不図示)が接続され、排出口42bには板状部材4の空間部42を流通する冷却媒体を排出するための管(不図示)が接続されている。なお、板状部材4の構成は、図例に限定されず、板状部材4の一方にのみ突出部4bを設け、供給口42a及び排出口42bが突出部4bの同じ面に設けられる構成としてもよい。
本体部4aの4隅の角部にはボルト5が挿通されるボルト孔4cが形成されており、板状部材4は、第1箱状部材2にボルト5で締結され一体とされる。よって第1箱状部材2には板状部材4を所定の位置に固定状態で配備するためのボルト締結穴(不図示)が設けられている。
【0018】
第1ガスケット10は、本体部11と、立壁部12とを有している。第1ガスケット10は、
図1に示すように平面視において略方形状の環状体に形成されている。第1ガスケット10は、一体に形成された型成形品であり、EPDM、NBR、H-NBR、ACM、AEM、FKM等を中心とするゴム等の弾性材を用いて形成される。本体部11は、第1箱状部材2の周縁部2bと第2箱状部材3の周縁部3bとの間をシールする。本体部11は、第1箱状部材2のシール対象部位である周縁部2bのストレート部分に沿って形成される直線部位11aaと、開口窓部2cの傾斜部2cbをシールするために傾斜部2cbに沿って形成される傾斜部位11abとを有している。傾斜部位11abは、傾斜部2cbの傾斜角度、形状などに応じて形成される。本体部11は、第1箱状部材2に形成された溝2fに挿入される溝挿入部11bと、溝挿入部11bの両側面11baから溝幅方向に突出して形成される鍔部11c,11cとを備える。
【0019】
図3(a)には、第1ガスケット10の本体部11で構成された部位を模式的に示した断面斜視図(
図1におけるX1-X1’線断面斜視図)を示している。
図3(a)に示すように溝挿入部11bは、断面視において縦長矩形状に形成され、鍔部11cは、溝挿入部11bの下方側(溝2fへの挿入方向の後方側)に形成されている。第1ガスケット10を溝2fに装着した状態では、
図4(a)、
図4(b)に示すように鍔部11c,11cが溝幅方向に露出した状態とされる。すなわち、第1ガスケット10を溝2fに装着させた状態では、鍔部11c,11cが溝2fの開口部2faから突出した状態になり、溝挿入部11bのほとんどが溝2f内に収まる状態になる。本体部11の溝挿入部11bの両側面11ba,11baには、溝2fへの挿入方向(溝挿入部11bの高さ方向)に向けて棒状縦長の突部11dが、適宜間隔を空けて複数形成されている。この突部11dによって、周方向に環状に形成された溝2f内で溝挿入部11bが倒れたり、直線部位11aaが蛇行することを防止することができる。また突部11dによって、第1ガスケット10の溝2fからの脱落を防止することもできる。
【0020】
図3(b)には、第1ガスケット10の立壁部12が形成された部位を模式的に示した断面斜視図(
図1におけるY1-Y1’線断面斜視図)を示している。
図3(b)に示すように溝2fに挿入される溝挿入部11b、鍔部11c及び突部11dの構成は
図3(a)と同様であり、鍔部11cと一体に立壁部12が形成されている点で異なる。立壁部12は、本体部11の一方側(溝挿入部11bの反対側の端部)から突出して設けられ、開口窓部2cの底部2ca側と板状部材4の一方面40との間をシールする。具体的には立壁部12は、開口窓部2cと板状部材4の一方面40との間をシールするため、断面視において略方形状に形成され(
図3(b)参照)、正面視において、第1箱状部材2の開口窓部2cの上方側を塞ぐように略台形状に形成されている(
図2(a)参照)。立壁部12の板状部材4の一方面40と弾接する部位、具体的には立壁部12の底部12a側には、筋状に突出して形成された複数の凸状の第1突起部12abが形成されている。この第1突起部12abは、板状部材4の一方面40に立壁部12の底部12aが弾接した際に程よく圧縮されるので(
図6(b)参照)、シール性を高めることができる。
【0021】
第2ガスケット20は、本体部21と、一対の傾斜面22,22と、段差部23,23とを有している。第2ガスケット20は、
図1、
図2等に示すように正面視において台形状に形成され、板状部材4の他方面41と第2箱状部材3の周縁部3bとの間をシールする。第2ガスケット20も第1ガスケット10と同様、一体に形成された型成形品であり、EPDM、NBR、H-NBR、ACM、AEM、FKM等を中心とするゴム等の弾性材を用いて形成される。一対の傾斜面22,22は、開口窓部2cの傾斜部2cbの形状に沿って傾斜して形成される。よって、
図2(b)に示すように第1ガスケット10の傾斜部位11abにおける本体部11の他方端部11bcと傾斜面22とが弾接するので、シールが難しい傾斜部位11abを弾性体同士が弾接してシールすることができ、より高いシール性を実現できる。
【0022】
段差部23は、台形状に形成された本体部21の一方面21aを挟んで両側に形成され、一方面21aの上に板状部材4が載置される設置スペースを形成する。よって、段差部23の高さは、板状部材4の厚みと略同一もしくは、板状部材4の厚み分よりも小さい隙間を形成するように設けられる。段差部23は
図5に示すように平坦面とされ、第1箱状部材2と第2箱状部材3とが合体した際には、
図2(b)に示すように立壁部12の底部12a側と弾接する。これにより、硬質な板状部材4が介在しても、立壁部12及び段差部23という弾性材同士の弾接部位をシールが難しい箇所に設けることができるので、高いシール性を発揮することができる。また立壁部12の底部12aに第1突起部12abが形成されているので、平坦面とされた段差部23に第1突起部12abが弾接することで、より一層シール性が向上する。
【0023】
図5には、第2ガスケット20を模式的に示した断面斜視図(
図1におけるZ-Z’線断面斜視図)を示している。
図5に示すように本体部21の一方面21a(
図5では上方側の面)には、筋状に突出して形成された複数の凸状の第2突起部21aaが形成されている。この第2突起部21aaによって、板状部材4の他方面41に第2ガスケット20の本体部21の一方面21aが弾接した際に
図6(b)に示すように程よく圧縮されるので、シール性を高めることができる。また硬質でシールが難しい板状部材4の両面(40,41)を弾性材からなる立壁部12と弾性材からなる第2ガスケット20の本体部21とで挟んで弾接させた状態でシールできる上、第1突起部12ab及び第2突起部21aaによる弾接効果が相俟って、より高いシール性を実現できる。本体部21の他方面21b(
図5では下方側の面)にも、筋状に突出して形成された複数の凸状の第3突起部21baが形成されている。この第3突起部21baによって、第2箱状部材3の周縁部3bに第2ガスケット20の本体部21の他方面21bが弾接した際に
図6(b)に示すように程よく圧縮されるので、シール性を高めることができる。
なお、本体部21の一方面21a及び他方面21bの形状は、図例に限定されず、板状部材4の他方面41、第2箱状部材3の周縁部3bの形状に合わせて形成される。例えば、板状部材4の他方面41の一部に凹状または凸状の空間部が形成されている場合は、それらの形状に嵌合する凸状または凹状が本体部21の一方面21aに形成される。また例えば周縁部3bに溝が形成されている場合は、その形状に合わせて他方面21bが形成される。
【0024】
本実施形態のガスケット1によれば、収容ケース100を構成する第1箱状部材2の周縁部2bと第2箱状部材3の周縁部3bとの間は、本体部11によってシールされ、第1箱状部材2に設けられた開口窓部2cと板状部材4との間は、立壁部12及び第2ガスケット20によってシールすることができる。また上述のように板状部材4を冷却板として用いるに際し、供給口42a、排出口42bを収容ケース100外に設ける必要がある場合等において、硬質な板状部材4をシールすることは難しいが、本実施形態によれば、第1ガスケット10と第2ガスケット20とより、シールし難い箇所を適正にシールすることができる。
【0025】
次に
図4及び
図6等を参照しながら、第1箱状部材2、板状部材4及び第2箱状部材3のそれぞれの各部材間を密封する要領について、さらに説明する。
なお、以下は例であって、この要領に限定されるものではない。
まず第1ガスケット10を第1箱状部材2の周縁部2bに形成された溝2fへ装着する。第1ガスケット10の本体部11の溝挿入部11bを開口部2faから挿入し、溝挿入部11bの一方端部11bbが溝2fの底部2fcに弾接する位置まで挿入する(
図4(a)参照)。このとき、本体部11の突部11dが側壁部2fb,2fbに弾接した状態となるため、溝挿入部11bは溝2f内で蛇行することなく、適正な状態でスムーズに組み付けることができる。第1ガスケット10の直線部位11aa及び傾斜部位11abを順次溝2fへ装着できたら、この状態で第1箱状部材2の所定位置に板状部材4をボルト5で固定する。第1箱状部材2の周縁部2bには、第1ガスケット10の本体部11の鍔部11cの厚みに応じて形成された段差部2baを備えており、この段差部2baによって、本体部11の過圧縮を防止することができる(
図4(b)参照)。
【0026】
次に第2箱状部材3の周縁部3bの所定位置、具体的には板状部材4の突出部4bが配される位置に第2ガスケット20を載置する。そして、第1箱状部材2を第2箱状部材3の上方から、周縁部2b,3b同士が合体するように配置させる。このとき、板状部材4は第1箱状部材2に締結されているため、板状部材4の突出部4bの他方面41が第2ガスケット20の段差部23,23間の一方面21aの上にセットされる。そして、第1箱状部材2と第2箱状部材3とを不図示の締結部材で締結し相互に合体させれば、第1箱状部材2、板状部材4及び第2箱状部材3のそれぞれの各部材間を密封するシール構造が実現される。
【0027】
こうして、第1箱状部材2と第2箱状部材3とが相互に合体させると、第1ガスケット10の溝挿入部11bが溝2f内で程よく圧縮状態となる。そして本体部11の他方端部11bcが周縁部3bに弾接状態となる上、鍔部11c,11cも周縁部2bと周縁部3bの間に挟まれた状態になるため、高いシール性を実現でき、第1箱状部材2と第2箱状部材3の周縁部2b,3b間を適正にシールすることできる(
図4(b)参照)。また立壁部12及び第2ガスケット20が配されている部位も、
図6(b)に示すように、立壁部12の底部12aが板状部材4の一方面40に弾接し、複数の第1突起部12abが適度に圧縮される。よって、板状部材4の一方面40と第1箱状部材2との間を強固にシールすることができる。さらに第2ガスケット20の一方面21aが板状部材4の他方面41に弾接し、複数の第2突起部21aaが圧縮されるとともに、第2ガスケット20の他方面21bが第2箱状部材3の周縁部3bに弾接し、複数の第3突起部21baが圧縮されることで、板状部材4の他方面41と第2箱状部材3との間を強固にシールすることができる。
また本実施形態におけるシール構造によれば、突出部4bを有する板状部材4を介在させた状態で、ガスケット1の部品点数、ガスケット1の組み付け手順を複雑なものにすることなく、高いシール性を実現できる。
【0028】
以上、収容ケース100、第1箱状部材2、第2箱状部材3、板状部材4、ガスケット1、第1ガスケット10、第2ガスケット20等の形状、構成は図例や上記実施形態に限定されるものではない。例えば第1箱状部材2及び第2箱状部材3は図に示すような箱状に限定されず、板状部2d、板状部3dの設けられていない筒状部材であってもよい。また例えば第1箱状部材2及び第2箱状部材3は樹脂材製でもよいし、第1ガスケット10は環状体に限らず、部分的に設けられるものであってもよい。突部11dの構成も図例に限定されるものではない。また上述のガスケット1によるシールに加え、液状ガスケット(FIPG(Formed in Place Gasket))を塗布してもよい。また収容ケース100に収容されるものの一例として、電気自動車等の電子機器(コンバータ、インバータ等)またはバッテリー等が挙げられるが、これに限定されない。さらに上記実施形態では、板状部材4の空間部42を流通する冷却媒体を供給及び排出するために管が接続される態様について説明したが、これに限定されない。例えば板状部材4の空間部42にケーブルが挿入されて収容ケース100内の電子機器等に接続される態様にも、本実施形態は好適に適用できる。この場合、板状部材4の突出部4bにコネクタ差込口が設けられ、このコネクタ差込口に配線用のコネクタが接続されるようにしてもよい。また、板状部材4の空間部42に冷却媒体の流路またはケーブルの挿通空間が形成されている態様のみならず、板状部材4の一面である上面または下面に冷却媒体が流れる管またはケーブルが貼着される態様であってもよい。さらに
図4では第1箱状部材2の周縁部2bに段差部2baを設けた例を示しているが、段差部2baのない平坦状としてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 ガスケット
10 第1ガスケット
20 第2ガスケット
100 収容ケース
2 第1箱状部材(第1部材)
2a 開口部
2b 周縁部
2c 開口窓部
2ca 底部
3 第2箱状部材(第2部材)
3a 開口部
3b 周縁部
4 板状部材
40 一方面
41 他方面