(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】幹細胞の修復方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0775 20100101AFI20241205BHJP
C02F 1/30 20230101ALI20241205BHJP
【FI】
C12N5/0775
C02F1/30
(21)【出願番号】P 2022506426
(86)(22)【出願日】2020-08-23
(86)【国際出願番号】 CN2020110682
(87)【国際公開番号】W WO2021036964
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】201910786774.4
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522041042
【氏名又は名称】ウー,スーユエン
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウー,スーユエン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウー,リンヅァ
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03272713(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第1280101(CN,A)
【文献】特開平04-287673(JP,A)
【文献】特開2000-093973(JP,A)
【文献】特開2001-286866(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102228718(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 5/0775
C02F 1/20-1/26
C02F 1/30-1/38
A23L 2/52
A23L 2/00
A23L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インビトロで幹細胞を修復するための方法であって
、
(1)幹細胞を蘇らせ、再生し、増殖させる工程、
(2)Gibco DMEM乾燥粉末培地
をパルス波処理超純水に溶解させ、1Lの誘導培地を調製する工程、
(3)幹細胞を24時間培養した後、誘導培地を交換し、誘導培養を行う工程、
を含
み、
前記パルス波処理超純水は、
28Wのパワーと1.5MHzの周波数を有するパルス波を用いて超純水を照射し処理する方法であって、ここで、前記パルス波が、複数の繰り返されたパルス列を含み、前記繰り返されたパルス列が、第1のパルス列と第2のパルス列を交互に含み、前記第1のパルス列と前記第2のパルス列の両方が、4つのパルスと4つの間隔を含み、前記第1のパルス列の4つのパルスのデューティ比は等しく、前記パルスの前記デューティ比の範囲は1.3~3.5μsであり、4つのパルスはそれぞれ後続のパルスと間隔が等しく、パルスの間隔の範囲は0.7~3.1μsであり、前記第2のパルス列の4つのパルスのデューティ比は等しく、前記パルスの前記デューティ比の範囲は1.1~3.9μsであり、第1および第3のパルスはそれぞれのパルスと後続のパルスの間隔が等しく、パルス間隔の範囲は1.8~4.6μsであり、第2および第4のパルスはそれぞれのパルスと後続のパルスの間隔が等しく、パルスの間隔の範囲は0.9~2.3μsである、方法と、
35Wのパワーと1.9MHzの周波数を有するパルス波を用いて超純水を照射し処理する方法であって、ここで、前記パルス波が、複数の繰り返されたパルス列を含み、前記繰り返されたパルス列が、第1のパルス列と第2のパルス列を交互に含み、前記第1のパルス列と前記第2のパルス列の両方が、4つのパルスと4つの間隔を含み、前記第1のパルス列の4つのパルスのデューティ比は等しく、前記パルスの前記デューティ比の範囲は1.3~3.5μsであり、4つのパルスはそれぞれ後続のパルスと間隔が等しく、パルスの間隔の範囲は0.7~3.1μsであり、前記第2のパルス列の4つのパルスのデューティ比は等しく、前記パルスの前記デューティ比の範囲は1.1~3.9μsであり、第1および第3のパルスはそれぞれのパルスと後続のパルスの間隔が等しく、パルス間隔の範囲は1.8~4.6μsであり、第2および第4のパルスはそれぞれのパルスと後続のパルスの間隔が等しく、パルスの間隔の範囲は0.9~2.3μsである、方法と、
から選択される方法によって処理される、方法。
【請求項2】
前記幹細胞は、胚性幹細胞、臍帯幹細胞、胎盤幹細胞、神経幹細胞、筋肉幹細胞または臍帯血幹細胞を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記幹細胞は、ヒト臍帯間葉系幹細胞である、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記超純水にパルス波を照射して処理する方法を30分間ずつ2回行う、請求項1-3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
インビトロでの幹細胞修復を促進するための培養系の調製における
、パルス波処理超純水の使用
であって、
前記パルス波処理超純水は、
28Wのパワーと1.5MHzの周波数を有するパルス波を用いて超純水を照射し処理する方法であって、ここで、前記パルス波が、複数の繰り返されたパルス列を含み、前記繰り返されたパルス列が、第1のパルス列と第2のパルス列を交互に含み、前記第1のパルス列と前記第2のパルス列の両方が、4つのパルスと4つの間隔を含み、前記第1のパルス列の4つのパルスのデューティ比は等しく、前記パルスの前記デューティ比の範囲は1.3~3.5μsであり、4つのパルスはそれぞれ後続のパルスと間隔が等しく、パルスの間隔の範囲は0.7~3.1μsであり、前記第2のパルス列の4つのパルスのデューティ比は等しく、前記パルスの前記デューティ比の範囲は1.1~3.9μsであり、第1および第3のパルスはそれぞれのパルスと後続のパルスの間隔が等しく、パルス間隔の範囲は1.8~4.6μsであり、第2および第4のパルスはそれぞれのパルスと後続のパルスの間隔が等しく、パルスの間隔の範囲は0.9~2.3μsである、方法と、
35Wのパワーと1.9MHzの周波数を有するパルス波を用いて超純水を照射し処理する方法であって、ここで、前記パルス波が、複数の繰り返されたパルス列を含み、前記繰り返されたパルス列が、第1のパルス列と第2のパルス列を交互に含み、前記第1のパルス列と前記第2のパルス列の両方が、4つのパルスと4つの間隔を含み、前記第1のパルス列の4つのパルスのデューティ比は等しく、前記パルスの前記デューティ比の範囲は1.3~3.5μsであり、4つのパルスはそれぞれ後続のパルスと間隔が等しく、パルスの間隔の範囲は0.7~3.1μsであり、前記第2のパルス列の4つのパルスのデューティ比は等しく、前記パルスの前記デューティ比の範囲は1.1~3.9μsであり、第1および第3のパルスはそれぞれのパルスと後続のパルスの間隔が等しく、パルス間隔の範囲は1.8~4.6μsであり、第2および第4のパルスはそれぞれのパルスと後続のパルスの間隔が等しく、パルスの間隔の範囲は0.9~2.3μsである、方法と、
から選択される方法によって処理される、パルス波処理超純水の使用。
【請求項6】
前記幹細胞は、正常幹細胞、自然アポトーシス幹細胞、DMSO誘導損傷幹細胞、陽性薬剤A+B誘導損傷幹細胞、および傷の入った幹細胞を含む、請求項
5に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞修復技術の分野に属し、特に、幹細胞を修復する方法およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
水は生命の源であり、当初の状態の水源は透明で美味しいものであった。しかし、時間と物質の蓄積と共に、環境は悪化し、当初の状態の水源は当初の外観を失い、水源の周波数も破壊され、大きく変化した。現代の都市には高層ビルが建ち並んでいるため、交錯した磁波が周波数と干渉し、同時に、人間の生体周波数が乱されて破壊され、その結果、生体に病的な変化が現れ、疾患を引き起こした。
【0003】
先行技術では、既存のパルス符号技術は、主にエレクトロニクス産業で応用される。1999年7月12日、本出願人は「改良型パルス処理機」という名称の発明の中国特許を出願し(発行特許番号CN1119289C)、特許文献には、パルス処理機のパルス列およびパルス間隔を設定し、特定のパルス周期を形成することにより、前記パルス周期で形成される遠赤外線放射波が食品の処理に適用された後、食品中のフリーラジカル濃度が低減され、健康効果を得られることが開示されている。しかし、そのような処理技術の適用範囲は限定的である。
【0004】
先行技術および本出願人が以前に開示した特許技術の複数の欠点に対して、本出願人は、先行技術のパルス処理技術の特定のパラメータおよび処理方法を改良し、改良された方法で飲料水を処理し、パルス波処理水を得た一方、処理サンプルに対して相加効果を有する。前記パルス波処理水を用いて調製された培地で複数の幹細胞を培養する際、幹細胞の正常な増殖に影響を与えずに、自然なアポトーシスおよび損傷誘導アポトーシスを抑制し、幹細胞を修復する効果を有する。
【発明の概要】
【0005】
上記技術的課題を解釈するために、本発明は、パルス波で水を処理する方法を提供することを目的とし、前記方法は、飲料水に放射して処理するために、28Wのパワー、1.5Mの周波数を有するパルス波を採用する工程を含み、ここで、前記パルス波が複数の繰り返されたパルス列を含み、前記繰り返されたパルス列は、第1のパルス列と第2のパルス列を交互に含み、第1のパルス列と第2のパルス列の両方は、4つのパルスと4つの間隔を含み、前記第1のパルス列の4つのパルスのデューティ比(duty ratio)は等しく、パルスのデューティ比の範囲は1.3~3.5μsであり、4つのパルスの間隔は等しく、パルス間隔の範囲は0.7~3.13μsである。前記第2のパルス列の4つのパルスのデューティ比は等しく、パルスのデューティ比の範囲は1.1~3.9μsであり、第1および第3のパルス間隔は等しく、パルス間隔の範囲は1.8~4.6μsであり、第2および第4のパルス間隔は等しく、パルス間隔の範囲は0.9~2.3μsである。
【0006】
好ましくは、パルス波を放射して飲料水を処理する回数は2回で、それぞれ30分である。
【0007】
本発明の目的は、パルス波によって水を処理する別の方法を提供することであり、前記方法は、飲料水に放射して処理するために、35Wのパワー、1.9Mの周波数を有するパルス波を採用する工程を含み、ここで、前記パルス波が複数の繰り返されたパルス列を含み、前記繰り返されたパルス列は、第1のパルス列と第2のパルス列を交互に含み、第1のパルス列と第2のパルス列の両方は、4つのパルスと4つの間隔を含み、前記第1のパルス列の4つのパルスのデューティ比は等しく、パルスのデューティ比の範囲は1.3~3.5μsであり、4つのパルスの間隔は等しく、パルス間隔の範囲は0.7~3.13μsである。前記第2のパルス列の4つのパルスのデューティ比は等しく、パルスのデューティ比の範囲は1.1~3.9μsであり、第1および第3のパルス間隔は等しく、パルス間隔の範囲は1.8~4.6μsであり、第2および第4のパルス間隔は等しく、パルス間隔の範囲は0.9~2.3μsである。
【0008】
好ましくは、パルス波を放射して飲料水を処理する回数は1回で、合計30分である。
【0009】
好ましくは、前記パルス波は、パルス処理機により生成されるものであり、前記パルス処理機は、パルス列発生器(1)、駆動回路(2)、放射器(7)、処理台(11)およびスペースストレージエリア(space storage area)を備え、前記処理台(11)には、飲料水または超純水が備えられ、前記パルス列発生器(1)は、高周波発振器(a)、パルス蓄積周波数分周回路(pulse storage frequency dividing circuit)(b)、および周波数混合回路(c)で構成され、前記高周波発振器(a)、パルス蓄積周波数分周回路(b)、および周波数混合回路(c)は直列に接続され、前記パルス列発生器(1)は駆動回路(2)を介して前記放射器(7)に接続され、前記スペースストレージエリアは放射器(7)の下方に位置し、前記処理台(11)はスペースストレージエリア上に位置し、高周波発振器(a)で発生した高周波発振波は、パルス蓄積周波数分周回路(b)と周波数混合回路(c)を介して変調かつ符号化されてパルス列が形成され、形成されたパルス列は駆動回路(2)を通じて増幅されて放射器(7)に加えられ、放射器(7)によって放射されたパルス波は、処理台(11)上に置かれた飲料水または超純水に放射されて、パルス波処理水が得られる。
【0010】
好ましくは、入射パルス波が異なる放射高さおよび放射角度を水と形成するように、前記スペースストレージエリア位置は自由に調整することができ、前記放射角度の範囲は0~90°である。
【0011】
好ましくは、放射角度は45°であり、放射高さは55cmである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、パルス波処理によって得られるパルス波処理水を提供することであり、前記パルス波処理水は、パルス波処理飲料水またはパルス波処理超純水である。
【0013】
本発明のさらなる目的は、インビトロで幹細胞を修復するための方法を提供することであり、上記方法は、以下の複数の工程:
(1)幹細胞を蘇らせ、再生し、増殖させる工程、
(2)Gibco DMEM乾燥粉末培地をパルス波処理超純水に溶解させ、1Lの誘導培地を調製する工程、
(3)幹細胞を24時間培養した後、誘導培地を交換し、誘導培養を行う工程、
を含む。
【0014】
好ましくは、前記幹細胞は、胚性幹細胞、臍帯幹細胞、胎盤幹細胞、神経幹細胞、筋肉幹細胞または臍帯血幹細胞を含む。
【0015】
好ましくは、前記幹細胞は、ヒト臍帯間葉系幹細胞である。
【0016】
本発明のさらなる目的は、インビトロでの幹細胞修復を促進するための培養系の調製におけるパルス波処理超純水の使用を提供することである。
【0017】
好ましくは、前記幹細胞は、正常幹細胞、自然アポトーシス幹細胞、DMSO誘導損傷幹細胞、陽性薬剤A+B誘導損傷幹細胞、および傷の入った幹細胞を含む。
【0018】
本発明のさらなる目的は、漢方薬製品、サプリメント、食品、飲料または化粧品の調製におけるパルス波処理飲料水の使用を提供することである。
【0019】
本発明の有益な効果は、(1)パルス波の波形、周波数、パワーを定義し、このパルス波を放射して飲料水を処理することによって、パルス波処理水を得ることができ、パルス波を使って水を処理する方法によって、水に接触せずに水分子構造の水素-酸素結合の角度を変えることができ、水中の溶解した酸素含有量を増加させ、ストロンチウム、カリウム、カルシウム、および鉄を含む、水中の有益な元素の含有量を改善し、ヒ素、バリウム、カドミウム、マンガンを含む重金属元素および有機物質の量を減らすこと、(2)上記方法は多様な処理サンプルに対して相加効果を有すること、(3)本発明により得られるパルス波処理水は、幹細胞のアポトーシスを抑制し、幹細胞修復効果、特にヒト臍帯間葉系幹細胞の修復効果を有すること、(4)さらに、本発明により得られるパルス波処理水は幹細胞の増殖に基本的に影響せず、幹細胞の増殖および発達に安全かつ安心であることである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、パルス処理機の回路図であり、ここで、1-パルス列発生器、2-駆動回路、3-アラーム回路、4-メインCPU制御部、5-電力変換器、6-ギア切替スイッチ、7-放射器、8-スペースストレージエリア1、9-スペースストレージエリア2、10-水、11-処理台、a-高周波発振器、b-パルス蓄積周波数分周回路、c-周波数混合回路である。
【
図2】
図2は、H-MSC細胞の成長増殖グラフを示し、
図2のaはH-MSC細胞の成長増殖曲線を示し、
図2のbは継代培養後のH-MSC細胞の増殖状況を示す。
【
図3】
図3は、リアルタイムダイナミックイメージングシステム(real time monitoring system)によるH-MSC細胞の自然死細胞数の変化のモニタリング図を示す。
【
図4】
図4は、H-MSC細胞の自然アポトーシスグラフであり、
図4のaはH-MSC細胞の自然死変化の曲線を示し、
図4のbは接種後24時間のH-MSC細胞の自然死数を示している。
【
図5】
図5は、リアルタイムダイナミックイメージングシステムによる、DMSO誘導性のH-MSC細胞損傷および死滅数変化のモニタリンググラフを示す。
【
図6】
図6は、DMSO誘導性のH-MSC細胞の損傷死滅プロットを示し、ここで、
図6のaはH-MSC細胞の誘導損傷変化曲線を示し、
図6のbは接種後24時間のH-MSC細胞の誘導性の死滅数を示している。
【
図7】
図7は、リアルタイムダイナミックイメージングシステムによる陽性試薬誘導性のH-MSC細胞損傷および死滅数の変化のモニタリンググラフを示す。
【
図8】
図8は、陽性試薬誘導性のH-MSC細胞の損傷と死滅のプロットを示し、
図8のaはH-MSC細胞の誘導損傷変化曲線を示し、
図8のbは、接種後24時間のH-MSC細胞の誘導性の死滅数を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
下記により具体的な実施形態を通して本発明を詳しく説明する。本発明の保護範囲は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明に基づいて当業者が技術常識と照らし合わせて考え得るあらゆる技術的解決手段は、本発明の保護範囲に属するものである。
【0022】
実施形態における関連用語および機器材料の説明。
【0023】
本発明の実施形態におけるすべてのパルス波処理水は、超純水をパルス波処理することによって得られる生命の水である。
【0024】
本発明における生命の水は、飲料水を90°以下の放射角度でパルス波放射処理して得られるパルス波処理水であり、放射角度45°のパルス波により得られるパルス波処理水の水質が最適である。
【0025】
主要機器:リアルタイムダイナミック生細胞イメージングシステム(RT-LCI)、CO2インキュベーター、符号化パルス処理機(特許番号ZL99109583.9に記載のパルス処理機の改良型)。
【0026】
主要材料:ヒト臍帯間葉系幹細胞P4世代(H-MSC)(Saliai SC-08-003、NA);細胞培養6ウェルプレート(Coming 3516、1966040728);Essen#4379-ImageLock Plates培養プレート(Essen4379、17050401);Death Dye Cell Killing-488(Themro YOYO-1 NA);DMSO(Sigma RNBG989、202008);アポトーシス陽性誘導試薬(アポトーシス誘導試薬A+アポトーシス誘導試薬B)(Beyontime C0005、NA);超純水をパワー28Wおよび周波数1.5Mのパルス波で30分間にわたり2回処理したパルス波処理水である生命の水-1;超純水をパワー35Wおよび周波数1.9Mのパルス波で合計30分間にわたり1回処理したパルス波処理水である生命の水-2。
【0027】
実施形態1 パルス処理機とその動作原理
【0028】
パルス処理機は、パルス列発生器(1)、駆動回路(2)、アラーム回路(3)、メインCPU制御部(4)、電源変換器(5)、ギア切替スイッチ(6)、放射器(7)、処理台(11)、およびスペースストレージエリアを備える。前記スペースストレージエリアは、スペースストレージエリアIとスペースストレージエリアIIを含み、パルス波の入射角が90°未満となるようにスペースストレージエリアIとスペースストレージエリアIIは並設されている。前記処理台(11)は超純水を備え、パルス列発生器(1)は、高周波発振器(a)、パルス蓄積周波数分周回路(b)、および周波数混合回路(c)で構成されており、これらは直列で接続されている。前記パルス列発生器(1)は、駆動回路(2)を介して放射器(7)と接続される。前記スペースストレージエリアは放射器(7)の下にあり、前記処理台(11)はスペースストレージエリアの上にある。前記メインCPU制御部(4)は、アラーム回路(3)、電源変換器(5)、およびギア切替スイッチ(6)にそれぞれ接続され、前記ギア切替スイッチ(6)は、さらに電源変換器(5)および放射器(7)にそれぞれ接続される。前記ギア切替スイッチ(6)は、第1のギアS1および第2のギアS2を含み、前記第1のギアは、パワー28W、周波数1.5Mであり、前記第2のギアは、パワー35W、周波数1.9Mである。
【0029】
パルス処理機の動作原理:まず、メインCPU制御部(4)は、パネル上の各キー、指示ランプ、アラーム、およびタイマーを制御し、アラーム回路(3)、電源変換器(5)、およびギア切替スイッチ(6)に指示を送る。電源変換器(5)は、主電圧(220V)が分圧器で処理された後、処理後の電圧を異なるユニットに出力して、システム全体に電力を供給する。次に、パルス列発生器(1)の高周波発振器(a)により生成された高周波発振波が、パルス蓄積周波数分周回路(b)と周波数混合回路(c)を介して変調かつ符号化されてから、パルス波列が形成され、符号化により形成されたパルス波列は、その電力が駆動回路(2)を介して増幅された後に放射器(7)に加えられる。放射器(7)から放射されたパルス波は、処理台(11)に配された超純水に放射され、最後にギア切替スイッチ(6)を切り替えて、パルス波処理機のパワーと周波数を調整し、パルス波の強度と周期を制御する。
【0030】
実施形態2:パルス処理機によって処理された後に生命の水を得る
【0031】
2.1 生命の水の調製
生命の水-1の調製:超純水に改良型パルス処理機で発生させたパルス波を2回放射して、それぞれ30分間処理する。前記パルス波はいくつかの繰り返されたパルス列で構成され、前記繰り返されたパルス列は、第1のパルス列と第2のパルス列で交互に構成され、第1のパルス列と第2のパルス列は共に4つのパルスと4つの間隔で構成される。第1のパルス列の前記4つのパルスはデューティ比が等しく、パルスのデューティ比の範囲は1.3~3.5μsであり、前記4つのパルスの間隔は等しく、パルス間隔の範囲は0.7~3.1μsである。前記第2のパルス列の4つのパルスのデューティ比は等しく、パルスのデューティ比の範囲はl.l~3.9μsであり、第1のパルスと第3のパルスはパルス間の間隔は等しく、パルス間隔の範囲は1.8~4.6μsであり、第2のパルスと第4のパルスはパルス間の間隔は等しく、パルス間隔の範囲は0.9~2.3μsである。パルス波のパワーは28Wであり、パルス波の周波数は1.5Mであり、放射高さは55cmであり、放射角度は45°である。
生命の水-2の調製:超純水に改良型パルス処理機で発生させたパルス波を1回放射して、合計30分間処理する。前記パルス波はいくつかの繰り返されたパルス列で構成され、前記繰り返されたパルス列は第1のパルス列と第2のパルス列で交互に構成され、第1のパルス列と第2のパルス列は共に4つのパルスと4つの間隔で構成される。第1のパルス列の前記4つのパルスのデューティ比は等しく、パルスのデューティ比の範囲は1.3~3.5μsであり、4つのパルス間の間隔は等しく、パルス間隔の範囲は0.7~3.1μsである。第2のパルス列の4つのパルスのデューティ比は等しく、パルスのデューティ比の範囲は1.1~3.9μsであり、第1のパルスと第3のパルスはパルス間の間隔は等しく、パルス間の間隔の範囲は1.8~4.6μsであり、第2のパルスと第4のパルスはパルス間の間隔は等しく、パルス間の間隔の範囲は0.9~2.3μsである。パルス波のパワーは35Wであり、パルス波の周波数は1.9Mであり、放射高さは55cmであり、放射角度は45°である。
【0032】
2.2 水質測定結果
パルス波によって処理された後に得られた生命の水は、蘭州大学がレーザーラマン分光法を用いて検査した結果、水分子の水素-酸素結合構造の角度が104.5°から180°に拡大し、非極性となった。さらに水中の水素原子と酸素原子の両方の電子雲の角度が重なり、水中の溶存酸素量が12%以上増加し、pH値は弱アルカリ性となり、国家食品薬品監督管理局指定部門の検査では、ストロンチウム、カリウム、カルシウム、鉄などの有益な元素の増加と、ヒ素、バリウム、カドミウム、マンガンなどの重金属元素の減少と、有機物の減少が見られ、ケトルの水垢は、生命の水で沸かした後に自動的に剥がれ落ちる。
【0033】
上記の方法は、複数の処理サンプルに対して相加効果を発揮する。
【0034】
実施形態3:H-MSC細胞の成長および増殖実験
3.1 グループ分けと培養
H-MSC細胞を蘇らせ・継代増殖し、顕微鏡で細胞を観察し、細胞状態が良好であること確認し、細胞融合度が80%になった時点で4群(正常群、対照群、生命の水-1群、生命の水-2群)に分け、1.2×105細胞/ウェルで6ウェルプレートに接種し、2mL/ウェルの培養系で培養する。
【0035】
3.2 培養
細胞接種の24時間後、誘導培養のために培地を交換し、培養条件は、H-DMEM培地+10%FBS(BIウシ胎児血清)+1%二重抗体+5%CO2+37℃である。正常群のH-DMEM培地は市販のH-DMEM培地(Coming 03318002、201908)、対照群の培地は、Gibco/DMEM乾燥粉末培地を超純水に溶解して調製し、生命の水-1群培地はGibco/DMEM乾燥粉末培地を生命の水-1に溶解して調製し、生命の水-2群培地はGibco/DMEM乾燥粉末培地をパルス波処理水-2に溶解して調製した。
【0036】
3.3 H-MSC細胞の成長および増殖測定
リアルタイムダイナミックイメージングシステムを用いて細胞をモニタリングし、2世代にわたって誘導培養し、生命の水を誘導継代させながら、72時間、H-MSC細胞の成長および増殖状況を観察および測定した。
【0037】
3.4 測定結果
図2に示すように、生命の水で調製した培地で培養したH-MSC細胞の成長曲線は、基本的に正常群および純水で調製した培地で培養したH-MSC細胞と同じであり、72時間培養後の生命の水-1群および生命の水-2群両方のH-MSC細胞の増殖数は、対照群および正常群と比べて優位な差はなかった(P>0.05、n=8)。この結果から、生命の水はH-MSC細胞の正常増殖に影響を与えず、細胞の成長と発育に安全で信頼性を有することが分かった。
【0038】
実施形態4:H-MSC細胞自然アポトーシス実験
【0039】
4.1 グループ分けと培養
H-MSC細胞を3群(対照群、生命の水-1群、生命の水-2群)に分け、そして2世代にわたって細胞をそれぞれ誘導継代し(誘導継代方法は実施形態2のセクション2.2のものと同じである)、細胞の融合度が60%になった時点でEssen#4379-ImageLock Platesに接種し、8000個/ウェルの接種量で、150μl/ウェルの培養系で培養する。
【0040】
4.2 H-MSC細胞自然死滅数の測定
平行対照として、各群に3ウェルを設置し、細胞接種24時間後に最終濃度1μMの死滅色素Ki488を添加し、リアルタイムダイナミックイメージングシステムでモニタリングし、自然細胞死滅数の変化状況を観察測定した。
【0041】
4.3 測定結果
リアルタイムダイナミックイメージングシステムによる細胞モニタリングの結果を
図3に示し、対照群のH-MSC細胞の死滅が多く、対照群と比較して生命の水-1群と生命の水-2群のH-MSC細胞の死滅が明らかに減少した。
図4の結果は、生命の水-1群および生命の水-2群のH-MSC細胞の細胞死滅曲線が対照群より緩やかで低く、24時間培養後の細胞死滅数は対照群より明らかに低く(P<0.001、n=8)、よって、異なる強度のパルス波で処理した生命の水培養系はH-MSC細胞の自然アポトーシスに対して細胞活性を示し、死滅の数を対照群のそれと比較した時に有意差を有し、自然細胞アポトーシスを抑制することができることが示された。対象群との差は明らかであり、生命の水が新陳代謝を促進し、細胞環境を変化させ、細胞の正常な分化を確保することが実証された。
【0042】
実施形態5:H-MSC細胞誘導損傷実験
【0043】
5.1 2%DMSOによるH-MSC細胞損傷実験
【0044】
5.1.1 グループ分けおよび培養
グループ分けおよび培養は実施形態3の3.1と同じである。
【0045】
5.1.2 H-MSC細胞自然
死滅数量測定
平行対照として、各群に3ウェルを設置した。細胞接種の24時間後に、各群の細胞が2%DMSOを含む培地に交換し、最終濃度1μMの死滅色素Ki488を添加し、リアルタイムダイナミックイメージングシステムで観察し、2%DMSO誘導の環境でH-MSC細胞の損傷・死滅数量変化の推移を観察した。
【0046】
5.1.3 測定結果
リアルタイムダイナミックイメージングシステムによる細胞観察の結果を
図5として示し、対照群のH-MSC細胞は、2%DMSOによる誘導後、著しく死滅した。
図6より、2%DMSOによる誘導後の生命の水-1群、生命の水-2群のH-MSC細胞の死滅グラフは、対照群に比べて緩やかで低いことが分かった。培養の24時間後の細胞死滅数は対照群より著しく少なく(P<0.001、n=8)、異なる強度のパルス波で処理した生命の水培養系は、H-MSC細胞が2%DMSO誘導でダメージを受けた際の生存環境への適応能力が高く、アポトーシスを大幅に抑制して一定の修復効果を発揮できることが示された。
【0047】
5.2 陽性誘導試薬によるH-MSC細胞障害アッセイ
【0048】
5.2.1 グループ分けと培養
グループ分けと培養は実施形態3の3.1と同じであった。
【0049】
5.2.2 H-MSC細胞自然死滅数の測定
平行対照として、各群には、3ウェルを設置し、細胞接種の24時間後、陽性誘導試薬、および1/1250の原液を含む培地に交換し、最終濃度1μMの死滅色素Ki488を添加し、リアルタイムダイナミックイメージングシステムで観察し、陽性誘導試薬誘導性のH-MSC細胞損傷および死滅数の推移をモニタリングした。
【0050】
5.2.3 測定結果
リアルタイムダイナミックイメージングシステムにより細胞をモニタリングした結果を
図7の通りに示し、1/1250原液を含む陽性誘導試薬による誘導後の対照群のH-MSC細胞が死滅し、対照群に比べ、生命の水-1群、生命の水-2群の細胞死滅は著しく減少したことが確認された。
図8により、1/1250の原液を含む陽性誘導試薬による誘導後の生命の水-1群および生命の水-2群のH-MSC細胞の死滅曲線は、対照群に比べて緩やかで低く、培養の24時間後の細胞死滅数は、対照群に比べて著しく少なかった(P<0.001、n=8)。陽性誘導試薬でアポトーシスを誘導された際、細胞の抗感染能力と解毒機能が対照群をはるかに上回り、細胞死滅を遅らせ、細胞の生存能力が対照群より強く、その差は大きく、細胞の損傷とアポトーシスを大幅に抑制でき、一定の修復効果があることが示された。
【0051】
要約すると、パルス処理機で処理した超純水で調製されたH-MSC細胞を培地で培養すると、H-MSC細胞の正常な増殖に影響を与えないだけではなく、H-MSC細胞の自然なアポトーシス障害や誘導性アポトーシスを著しく抑制し、幹細胞修復効果があることが分かった。