(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ウェーハ検査用プローブカードホルダー
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20241205BHJP
G01R 1/073 20060101ALI20241205BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20241205BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01R1/073 E
G01R31/26 J
(21)【出願番号】P 2024007498
(22)【出願日】2024-01-22
【審査請求日】2024-01-22
(31)【優先権主張番号】10-2023-0157806
(32)【優先日】2023-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513299708
【氏名又は名称】ユニテスト インク.
【氏名又は名称原語表記】UNITEST INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ダエ キョウング
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-028607(JP,A)
【文献】特表2017-514134(JP,A)
【文献】特開平10-031035(JP,A)
【文献】特開2008-128798(JP,A)
【文献】特開2005-049254(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0105795(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01R 1/06
G01R 1/073
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央にプローブカードが設けられ、前記プローブカードの周辺に垂直に貫通したガイド孔を有する第1ボディ部と、
中央にウェーハの保持されるウェーハチャックが設けられ、前記ガイド孔と対応してマグネットホルダーが設けられる第2ボディ部と、
前記ガイド孔に挿入されて前記マグネットホルダーと磁力によって固定可能なマグネットチャックが設けられ、前記第1ボディ部の上部で前記第2ボディ部に組み立てられるウェイトリングと、
前記第1ボディ部と前記ウェイトリングとの間に設けられ、前記第1ボディ部と前記ウェイトリングとの間隔を固定するクランプ部と、を備える、ウェーハ検査用プローブカードホルダー。
【請求項2】
前記マグネットチャックは、前記ウェイトリングの下部に少なくとも2つ設けられることを特徴とする、請求項1に記載のウェーハ検査用プローブカードホルダー。
【請求項3】
前記クランプ部は、第1ボディ部と前記ウェイトリングとの間に少なくとも2つ設けられることを特徴とする、請求項2に記載のウェーハ検査用プローブカードホルダー。
【請求項4】
前記クランプ部は、前記マグネットチャック同士の間に少なくとも1つ設けられることを特徴とする、請求項3に記載のウェーハ検査用プローブカードホルダー。
【請求項5】
前記クランプ部は、
前記ウェイトリングまたは前記第1ボディ部に一端が固定されるシャフトと、
前記ウェイトリングまたは前記第1ボディ部に固定され、空圧信号に応じて前記シャフトに固定される空圧駆動部と、を備える、請求項1に記載のウェーハ検査用プローブカードホルダー。
【請求項6】
前記第1ボディ部と前記ウェイトリングとの間に介在し、組み立て位置を案内するためのガイド部材をさらに備える、請求項1に記載のウェーハ検査用プローブカードホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハの検査のためにプローブカードとウェーハを1つに固定して自己位置の保持が可能なプローブカードホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置の集積回路素子などの半導体素子は、ウェーハに一連の処理工程を繰り返し行うことにより形成できる。例えば、ウェーハに膜を形成する蒸着工程、蒸着が行われたウェーハに電気的特性を有するパターンを形成するためのエッチング工程、パターンに不純物を注入または拡散させるためのイオン注入工程または拡散工程、パターンが形成されたウェーハから不純物を除去するための洗浄及びリンス工程などを繰り返し行うことにより、半導体素子がウェーハ上に形成される。
【0003】
このような一連の工程を経た半導体素子が形成された後、半導体素子の電気的特性を検査するための電気的な検査工程が行われることがある。検査工程は、多数のプローブを有するプローブカードを含むプローブステーションと電気的な信号を提供するためにプローブカードに連結されたテスターによって行われる。
【0004】
一般に、プローブステーションは、検査チャンバーと、検査チャンバー内に配置されてウェーハを支持するチャックと、チャックを駆動するチャック移送装置と、ウェーハ上に形成された半導体素子と接触するように構成された多数のプローブを有するプローブカードと、プローブカードに連結されてテストを行うテスターと、を含む。
【0005】
このような従来技術では、チャック移送装置が、ウェーハの保持されたチャックを検査チャンバーに運び、CCDカメラなどのビジョンセンサーなどを用いてウェーハ上の接触電極とプローブカードのプローブの位置を把握し、把握された位置情報に基づいてチャック移送装置を制御してウェーハの接触電極をプローブに接触させることにより電気的に接続する。理想的な場合、プローブステーションは、オーバードライブ制御によって、チャックに搭載されたウェーハとプローブカードとが適切な圧力によって均一に接触した状態を維持する。
【0006】
しかし、プローブステーションは、機械的な精度の誤差および外乱により、チャックに搭載されたウェーハとプローブカードとが実際に完璧な接触状態を維持することは非常に難しく、この状態で、予め定められたオーバードライブ量に対応する高さまでチャックを上昇させても、ウェーハの特定部位があまり深く突き刺されてウェーハが損傷したり、特定部位が正しく突き刺されなくてプローブと接触電極とが接触していない「オープンフェイル(open fail)」が発生したりして、正常な検査が不可能になるという問題が生じる。
【0007】
本発明は、このような従来技術のウェーハ検査工程を脱皮して大量のウェーハを効率よく検査するための代案として、プローブカードとウェーハを一つにモジュール化してウェーハ検査を行おうとするものであり、このために、移送過程でプローブカードとウェーハが精密な自己位置を保持することができるプローブカードホルダーを開発し、これを出願するのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国公開特許第10-2010-0130540号明細書(公開日付:2010年12月13日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ウェーハの検査のためにプローブカードとウェーハを一つにモジュール化し、プローブカードとウェーハの自己位置の保持が可能なウェーハ検査用プローブカードホルダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明のウェーハ検査用プローブカードホルダーは、中央にプローブカードが設けられ、前記プローブカードの周辺に垂直に貫通したガイド孔を有する第1ボディ部と、中央にウェーハの保持されるウェーハチャックが設けられ、前記ガイド孔と対応してマグネットホルダーが設けられる第2ボディ部と、前記ガイド孔に挿入されて前記マグネットホルダーと磁力によって固定可能なマグネットチャックが設けられ、前記第1ボディ部の上部で前記第2ボディ部に組み立てられるウェイトリングと、前記第1ボディ部と前記ウェイトリングとの間に設けられ、前記第1ボディ部と前記ウェイトリングとの間隔を固定するクランプ部と、を備える。
【0011】
好ましくは、前記マグネットチャックは、前記ウェイトリングの下部に少なくとも2つ設けられ、より好ましくは、前記クランプ部は、第1ボディ部と前記ウェイトリングとの間に少なくとも2つ設けられ、さらに好ましくは、前記クランプ部は、前記マグネットチャック同士の間に少なくとも1つ設けられる。
【0012】
好ましくは、前記クランプ部は、前記ウェイトリングまたは前記第1ボディ部に一端が固定されるシャフトと、前記ウェイトリングまたは前記第1ボディ部に固定され、空圧信号によって前記シャフトに固定される空圧駆動部と、を備える。
【0013】
好ましくは、前記第1ボディ部と前記ウェイトリングとの間に介在し、組み立て位置を案内するためのガイド部材をさらに備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明のウェーハ検査用プローブカードホルダーは、中央にプローブカードが設けられ、プローブカードの周辺に垂直に貫通したガイド孔を有する第1ボディ部と、中央にウェーハの保持されるウェーハチャックが設けられ、ガイド孔と対応してマグネットホルダーが設けられる第2ボディ部と、ガイド孔に挿入されてマグネットホルダーと磁力によって固定可能なマグネットチャックが設けられ、第1ボディ部の上部で第2ボディ部に組み立てられるウェイトリングと、第1ボディ部とウェイトリングとの間に設けられ、第1ボディ部とウェイトリングとの間隔を固定するクランプ部と、を備えて、ウェーハとプローブカードをモジュール化して一体に構成することにより、モジュールの移送過程で精密な自己位置を保持することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態によるウェーハ検査用プローブカードホルダーの斜視構成図である。
【
図2】本発明の実施形態によるウェーハ検査用プローブカードホルダーの分解斜視構成図である。
【
図3】本発明の実施形態によるウェーハ検査用プローブカードホルダーの平面構成図である。
【
図4】
図4の(a)、(b)は、それぞれ本発明の実施形態によるウェーハ検査用プローブカードホルダーの正面構成図と側面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態において提示される特定の構造または機能的説明は、本発明の概念による実施形態を説明する目的で例示されたものに過ぎず、本発明の概念による実施形態は、様々な形態で実施できる。また、本明細書に説明された実施形態に限定されると解釈されてはならず、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物ないし代替物を包含すると理解されるべきである。
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態によるウェーハ検査用プローブカードホルダーの斜視構成図であり、
図2は、本発明の実施形態によるウェーハ検査用プローブカードホルダーの分解斜視構成図であり、
図3は、本発明の実施形態によるウェーハ検査用プローブカードホルダーの平面構成図であり、
図4の(a)(b)は、それぞれ本発明の実施形態によるウェーハ検査用プローブカードホルダーの正面構成図と側面構成図である。
【0019】
図1~
図4を参照すると、本発明の実施形態によるウェーハ検査用プローブカードホルダー(以下、「プローブカードホルダー」とも略記する)100は、第1ボディ部110、第2ボディ部120、ウェイトリング130、およびクランプ部140を備える。
【0020】
第1ボディ部110は、中央にプローブカード111が設けられ、プローブカード111の周辺に垂直に貫通したガイド孔112を有する。本実施形態において、第1ボディ部110は略4つの辺を有する四角の部材であって、ガイド孔112は第1ボディ部110の4つの各隅に配置されることを示しているが、第1ボディ部の形状とガイド孔の数及び位置は様々に変形することができる。好ましくは、第1ボディ部110は少なくとも2つのガイド孔112を有する。
【0021】
第1ボディ部110は、両端部に移送のために自由回動可能な複数のローラ113が設けられ、このようなローラは、摩擦係数が少なく且つ回転性能に優れたカム従動子(cam follower)によって提供できるが、これに限定されるものではない。
【0022】
第2ボディ部120は、中央にウェーハの保持されるウェーハチャック121が設けられ、第1ボディ部110のガイド孔112と対応してマグネットホルダー122が設けられる。マグネットホルダー122は、マグネットチャック131と磁力によって引力が作用しうる周知の素材(例えば、強磁性体)によって提供できる。本実施形態では、マグネットホルダー122は、ガイド孔112と対応する位置に4つが設けられることを示している。ウェーハチャック121は、保持されたウェーハを真空吸着して固定するためのエアフィッティング(air fitting)121aが設けられる。
【0023】
ウェイトリング130は、四角の環状であり、下部にマグネットチャック131が設けられ、このようなマグネットチャック131は、第2ボディ部120のマグネットホルダー122と対応して同数だけ設けられる。マグネットチャック131は、永久磁石または電磁石によって提供されることができ、好ましくは、永久磁石によって提供される。
【0024】
好ましくは、ウェイトリング130の下部に複数のガイドピン132が設けられることができ、各ガイドピン132と対応して第1ボディ部110の上面にホール114が設けられ、ウェイトリング130と第1ボディ部110との組み立て過程で各ガイドピン132がホール114に挿入されることにより、ウェイトリング130と第1ボディ部110との組み立て位置の整列がなされることができる。一方、本実施形態において、ガイドピン132はウェイトリング130に設けられると図示しているが、第1ボディ部に複数のガイドピンが備えられ、ウェイトリングに各ガイドピンと対応して複数のホールが設けられることにより、第1ボディ部110とウェイトリング130との組み立て位置を案内するためのガイド部材が提供されることができる。
【0025】
クランプ部140は、第1ボディ部110とウェイトリング130との間に設けられ、第1ボディ部110とウェイトリング130との間隔を固定するためのものであり、好ましくは、第1ボディ部110とウェイトリング130との間に複数のクランプ部140が設けられる。
【0026】
このようなクランプ部140は、ウェイトリング130の下部に上端が固定されるシャフト141と、第1ボディ部110に固定され、空圧信号に応じてシャフト141を固定する空圧駆動部142と、を備える。図面符号143は、空圧を供給するためのエアフィッティングである。
【0027】
図5は、
図3のA-A線に沿った断面構成図であり、理解を容易にするために、第1ボディ部、ウェイトリングおよびクランプ部のみが示されており、構成要素の大きさと比率は誇張されて表現されている。
【0028】
図5を参照すると、クランプ部140は、上端がウェイトリング130と第1ボルト144とによって固定されるシャフト141と、下端が第1ボディ部110と第2ボルト145によって固定され、シャフト141を固定することができる空圧駆動部142と、を含み、空圧駆動部142に印加される空圧信号に応じて、シャフト141は、空圧駆動部142内で上下移動するか、或いは位置(高さ)が固定される。
【0029】
好ましくは、空圧駆動部142は、NC(Normal close)状態のクランプ機構であり、空圧駆動部142に空圧信号が印加される間に、シャフト141は、空圧駆動部142で上下移動が可能である。これに対し、空圧駆動部142に空圧信号が印加されなければ、シャフト141は空圧駆動部142によって固定され、第1ボディ部110とウェイトリング130との間隔は固定される。
【0030】
このようなクランプ部140は、Zimmer社製の「clamping and braking element」として販売されているRBPSシリーズのクランプ機構によって提供できるが、これに限定されるものではない。
【0031】
このように構成された本発明のプローブカードホルダー100は、ウェーハ(図示せず)がウェーハチャック121に保持され、第2ボディ部120の上部に第1ボディ部110とウェイトリング130が積層されて組み立てられ、マグネットチャック131とマグネットホルダー122が磁力によって固定されることにより、第1ボディ部110、第2ボディ部120およびウェイトリング130は互いに固定される。一方、第1ボディ部110、第2ボディ部120及びウェイトリング130の組み立て過程でクランプ部140に空圧信号が印加されることにより、シャフト141は、空圧駆動部142で上下移動が可能である。以後、最終的に、クランプ部140に供給された空圧が遮断されると、クランプ部140によって第1ボディ部110とウェイトリング130との間隔が固定され、これにより、ウェーハとプローブカードの自己位置が固定されることができる。
【0032】
このように、プローブカードとウェーハは、プローブカードホルダー100によって精密に自己位置が保持されてモジュール化されることにより運搬が可能であり、検査チャンバーに移送されて検査が行われることができる。
【0033】
図3では、4つのクランプ部によって固定された第1ボディ部110とウェイトリング130との間の各位置における間隔H1~H4を例示して矢印で示している。理解を容易にするために、各位置での間隔(H1~H4)が誇張されて表現されており、本発明は、マグネットチャックと、空圧信号を用いたクランピング部とを採用することにより、水平状態(H1=H2=H3=H4)だけでなく、勾配を有する場合(チルト状態)(H1≠H2≠H3≠H4)にも、10μm未満の精密な範囲内でその間隔を精密に維持してクランプが可能であることを確認した。
【0034】
一方、本発明の実施形態では、4つのマグネットチャックと4つのクランプ部が適用されたプローブカードホルダーを例示して説明したが、ウェーハのサイズに応じてマグネットチャックとクランプ部の配置及び数は変わり得る。
【0035】
以上で説明した本発明は、上述した実施形態及び添付図面によって限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱することなく様々な置換、変形及び変更が可能であるのは、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【符号の説明】
【0036】
100 プローブカードホルダー
110 第1ボディ部
111 プローブカード
112 ガイド孔
120 第2ボディ部
121 ウェーハチャック
122 マグネットホルダー
130 ウェイトリング
140 クランプ部
131 マグネットチャック
【要約】 (修正有)
【課題】ウェーハを1つに固定して自己位置の保持が可能なプローブカードホルダーを提供する。
【解決手段】プローブカードホルダーは、中央にプローブカード111が設けられ、プローブカード111の周辺に垂直に貫通したガイド孔112を有する第1ボディ部110と、中央にウェーハの保持されるウェーハチャック121が設けられ、ガイド孔112と対応してマグネットホルダー122が設けられる第2ボディ部120と、ガイド孔112に挿入されてマグネットホルダー122と磁力によって固定可能なマグネットチャック131が設けられ、第1ボディ部110の上部で第2ボディ部120に組み立てられるウェイトリング130と、第1ボディ部110とウェイトリング130との間に設けられ、第1ボディ部110とウェイトリング130との間隔を固定するクランプ部140と、を備える。
【選択図】
図2