IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ON-ARTの特許一覧

<>
  • 特許-着ぐるみ誘導システム 図1
  • 特許-着ぐるみ誘導システム 図2
  • 特許-着ぐるみ誘導システム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】着ぐるみ誘導システム
(51)【国際特許分類】
   A63J 7/00 20060101AFI20241205BHJP
   A63J 19/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A63J7/00
A63J19/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024086402
(22)【出願日】2024-05-28
【審査請求日】2024-05-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517083958
【氏名又は名称】株式会社ON-ART
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】金丸 賀也
【審査官】白形 優依
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-120557(JP,A)
【文献】特開2020-092954(JP,A)
【文献】特表2022-520935(JP,A)
【文献】丁 吉之 ほか,着ぐるみ装着者支援のための提示情報の認知度を考慮したマルチモーダル情報提示手法,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2014)シンポジウム論文集 ,日本,一般社団法人情報処理学会,2014年07月02日,Vol.2014, No.1,pp.2-9
【文献】岡崎 辰彦 ほか,身体性を考慮した着ぐるみ装着者支援システム,WISS 2011,日本,2011年12月03日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63J 1/00 - 99/00
A63H 1/00 - 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着ぐるみに任意の動きをさせるために誘導する着ぐるみ誘導システムであって、
前記着ぐるみの内部における所定の操作位置に、前記着ぐるみを支持して操作するパイロットが配置されるようになっており、
前記着ぐるみの内部における前記操作位置に配置された前記パイロットが視認できる位置に、複数のモニタが設置されており、
前記着ぐるみから見た映像を映すように前記着ぐるみに配置されて前記モニタに接続された着ぐるみ設置カメラと、
前記着ぐるみから離間した位置で前記着ぐるみを俯瞰するように配置されて前記モニタに接続された俯瞰カメラと、
を有しており、
前記パイロットが複数の前記モニタで前記着ぐるみ設置カメラと前記俯瞰カメラの映像を視認することで前記着ぐるみの現在位置と動作状況を把握可能に構成されており、
かつ、前記着ぐるみの外部に配置された指示出しのメインスタッフと前記パイロットが通信可能な通信装置を有しており、
前記メインスタッフと前記着ぐるみの外部に配置されたカメラスタッフとが通信可能な通信装置を有しており、
前記パイロットと前記カメラスタッフとは直接コミュニケーションを取らないように通信不可に構成されており、
前記メインスタッフの指示により前記カメラスタッフが操作した前記俯瞰カメラからと前記着ぐるみ設置カメラからの前記モニタに映し出された情報と前記通信装置による前記メインスタッフからの情報に応じて、前記パイロットが前記着ぐるみの操作を行うように構成されていることを特徴とする着ぐるみ誘導システム。
【請求項2】
前記着ぐるみ設置カメラ及び/又は前記俯瞰カメラは複数配置されており、
前記モニタに映し出される映像が、自動及び/又は手動にて切り替わるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の着ぐるみ誘導システム。
【請求項3】
前記着ぐるみが四足歩行の動物をモチーフとしたもので構成されており、
前記着ぐるみには、前記動物の前足の制御を担当する前足担当パイロットと、前記動物の後ろ足の制御を担当する後ろ足担当パイロットの2名のパイロットがそれぞれの操作位置に配置されており、
前記前足担当パイロット、前記後ろ足担当パイロット及び前記スタッフで前記着ぐるみの操作、演出を行うように構成されており、
前記前足担当パイロット用の複数の前記モニタと、前記後ろ足担当パイロット用の複数の前記モニタとを有しており、
前記前足担当パイロット用の前記モニタと、前記後ろ足担当パイロット用の前記モニタとで、映し出される映像が変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の着ぐるみ誘導システム。
【請求項4】
前記着ぐるみ設置カメラは、少なくとも前記着ぐるみの胸部に前方を向くように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の着ぐるみ誘導システム。
【請求項5】
前記着ぐるみ設置カメラ前記着ぐるみ設置カメラの映像を映す前記モニタとが地面と平行な一直線上に配置されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の着ぐるみ誘導システム。
【請求項6】
AI搭載の制御装置を有しており、前記メインスタッフの指示に応じて、前記制御装置が、前記モニタの表示状態の切り替え制御を行うと共に、前記カメラスタッフや前記パイロットに指示を出すように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の着ぐるみ誘導システム。
【請求項7】
AI搭載の制御装置を有しており、前記制御装置が、演出状況に応じて自動的に、前記モニタの表示状態の切り替え制御を行うと共に、前記カメラスタッフや前記パイロットに指示を出すように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の着ぐるみ誘導システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着ぐるみに適切な移動、動作、演出を行わせるように誘導する着ぐるみ誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、恐竜をモチーフとした種々の着ぐるみを用いたショーやイベントが多く存在している。このような着ぐるみは、内部に入った人が所定の操作を行って、着ぐるみを移動させたり、動作させたり、ショーやイベントの演出を行ったりするようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-018164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、着ぐるみの内部で操作を行っている人は、着ぐるみの中からでは、周りの状況が見えていなかったり、着ぐるみの動きが見えていなかったりすることがあり、このため、適切な動きをすることができない場合があった。その結果、ショーやイベントの進行や演出に悪影響を与える場合もあり、問題となっていた。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、着ぐるみに適切な移動、動作、演出を行わせるように誘導することができる着ぐるみ誘導システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を達成するために、本発明は、着ぐるみに任意の動きをさせるために誘導する着ぐるみ誘導システムであって、前記着ぐるみの内部における所定の操作位置に、前記着ぐるみを支持して操作するパイロットが配置されるようになっており、前記着ぐるみの内部における前記操作位置に配置された前記パイロットが視認できる位置に、複数のモニタが設置されており、前記着ぐるみから見た映像を映すように前記着ぐるみに配置されて前記モニタに接続された着ぐるみ設置カメラと、前記着ぐるみから離間した位置で前記着ぐるみを俯瞰するように配置されて前記モニタに接続された俯瞰カメラと、を有しており、前記パイロットが複数の前記モニタで前記着ぐるみ設置カメラと前記俯瞰カメラの映像を視認することで前記着ぐるみの現在位置と動作状況を把握可能に構成されており、かつ、前記着ぐるみの外部に配置されたスタッフと前記パイロットが通信可能な通信装置を有しており、前記モニタによる情報と前記通信装置による情報に応じて、前記パイロット及び/又は前記スタッフが前記着ぐるみの操作、演出を行うように構成されている着ぐるみ誘導システムとしたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記記載の構成に加え、前記着ぐるみ設置カメラ及び/又は前記俯瞰カメラは複数配置されており、前記モニタに映し出される映像が、自動及び/又は手動にて切り替わるように構成されている着ぐるみ誘導システムとしたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記記載の構成に加え、前記着ぐるみが四足歩行の動物をモチーフとしたもので構成されており、前記着ぐるみには、前記動物の前足の制御を担当する前足担当パイロットと、前記動物の後ろ足の制御を担当する後ろ足担当パイロットの2名のパイロットがそれぞれの操作位置に配置されており、前記前足担当パイロット、前記後ろ足担当パイロット及び前記スタッフで前記着ぐるみの操作、演出を行うように構成されており、前記前足担当パイロット用の複数の前記モニタと、前記後ろ足担当パイロット用の複数の前記モニタとを有しており、前記前足担当パイロット用の前記モニタと、前記後ろ足担当パイロット用の前記モニタとで、映し出される映像が変更可能に構成されている着ぐるみ誘導システムとしたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記記載の構成に加え、前記着ぐるみ設置カメラは、少なくとも前記着ぐるみの胸部に前方を向くように配置されている着ぐるみ誘導システムとしたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記記載の構成に加え、前記着ぐるみ設置カメラ、前記着ぐるみ設置カメラの映像を映す前記モニタ、前記パイロットの目の位置が直線状に配置されるように構成されている着ぐるみ誘導システムとしたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記記載の構成に加え、前記通信装置は、音声通信が可能な音声通信装置である着ぐるみ誘導システムとしたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記記載の構成に加え、前記通信装置は、通信情報が文字及び/又は画像で表示可能となっている着ぐるみ誘導システムとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数のカメラ、モニタを有し、パイロットとスタッフが通信可能な通信装置を有し、これらの情報からパイロット及び/又はスタッフで着ぐるみの操作、演出を行うようになっているため、多角的な視野と指示により、着ぐるみに適切な移動、動作、演出を行わせるように誘導することができる。
【0014】
また、本発明によれば、複数のカメラの映像を切り替えて使用することで、限られたモニタで、より多角的な視野の確認を行うことができ、その結果、より着ぐるみに適切な移動、動作、演出を行わせるように誘導することができる。
【0015】
また、本発明によれば、パイロットが2人いる場合でも、それぞれが必要な映像を確認することができ、その結果、着ぐるみに適切な移動、動作、演出を行わせるように誘導することができる。
【0016】
また、本発明によれば、着ぐるみ設置カメラとして、少なくとも着ぐるみの胸部に前方を向くように設置されているものを有していることで、パイロットが最低限必要な視認情報を得ることができ、その結果、着ぐるみに適切な移動、動作、演出を行わせるように誘導することができる。
【0017】
また、本発明によれば、着ぐるみ設置カメラ、その映像を映すモニタ、パイロットの目の位置が直線状に配置されるようになっていることで、パイロットがモニタを通してその先の着ぐるみの壁を透視したかのように外部の様子を見ることができ、周囲の状況を把握しやすくすることができ、着ぐるみを適切な移動、動作させやすくすることができる。
【0018】
また、本発明によれば、パイロットとスタッフが通信する通信装置として、音声通信装置を有していることで、簡単にパイロットとスタッフを繋ぎ、簡単に情報のやり取りをすることができ、その結果、着ぐるみに適切な移動、動作、演出を行わせるように誘導することができる。
【0019】
また、本発明によれば、パイロットとスタッフが通信する通信装置として、通信情報が文字及び/又は画像で表示可能となっていることで、音が聞き取りにくい状況、文字や画像で表示した方が指示が分かりやすい場合、指示を暫く残しておきたい場合等において適切にパイロットとスタッフを繋ぎ、確実に情報のやり取りをすることができ、その結果、着ぐるみに適切な移動、動作、演出を行わせるように誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係る着ぐるみ誘導システムを示す概略図である。
図2】同実施の形態に係る着ぐるみ誘導システムにおける着ぐるみ設置カメラと俯瞰カメラの映像を映し出すモニタを示す概略図である。
図3】同実施の形態に係る着ぐるみ誘導システムにおけるブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
図1図3には、本発明の実施の形態を示す。
【0023】
本実施の形態の着ぐるみ誘導システム1は、着ぐるみ10に任意の動きをさせるために誘導するシステムであり、ここでは、図1に示すように、恐竜の着ぐるみ10と、当該着ぐるみ10に適切な移動、動作、演出を行わせるように誘導するためのスタッフ3,4,5,6を有している。なお、本発明は、恐竜の着ぐるみ10に適用する場合に限らず、例えば所謂怪獣(架空の生き物)、マンモス等の古来の生き物、キリンやサイ、ゾウ、ライオン、トラ等の他の動物に模したものに適用しても良い。また、ロボットや樹木等の動物以外のもの(生き物、生き物以外を含む)に模したものに適用しても良い。
【0024】
まず、着ぐるみ10について、図1を用いて説明する。本実施の形態の着ぐるみ10は、二足歩行の恐竜をモチーフとしたものであり、内部における所定の操作位置に、着ぐるみ10を支持して操作する1人のパイロット2が配置されるように構成されている。このパイロット2が着ぐるみ10の歩行(移動)、腕の動作、顔の動作(首の動きや口の開閉や目玉の移動等)、しっぽの動作等の操作を担うようになっている。なお、操作位置としては、例えば、恐竜の足部の上部位置等の人が入って恐竜の操作を問題なく行える位置が挙げられる。また、パイロット2が操作位置に保持、支持されるようにコックピットが形成されていても良い。ここでは、着ぐるみ10の動作を行うための着ぐるみ10の内部の機構や構成については、説明を省略する。
【0025】
また、着ぐるみ10の内部においては、操作位置に配置されたパイロット2が視認できる位置に、複数のモニタ21,22(本実施の形態では、横並びに2台)が設置されている。ここでは、図2に示すように、着ぐるみ10から見た映像E1を映すように着ぐるみ10に配置されてモニタ21に接続された着ぐるみ設置カメラ30がパイロット2から見て右側に配置され、着ぐるみ10を俯瞰する映像E2を映すように着ぐるみ10から離間した位置に配置されてモニタ22に接続された俯瞰カメラ40がパイロット2から見て左側に配置されている。なお、モニタ21,22の配置方法については、横並びに限るものではなく、着ぐるみ10の内部構造やパイロット2の背格好、視認性等を考慮して、上下や斜め等、適宜配置とすれば良い。
【0026】
このような着ぐるみ10では、パイロット2が直接外部の状況を見ることができない場合もあり、このモニタ21,22の情報により、パイロット2が複数のモニタ21,22で着ぐるみ設置カメラ30と俯瞰カメラ40の映像E1,E2を同時に視認することができ、着ぐるみ10の現在位置と動作状況を同時に把握できるようになっている。なお、ここでは、俯瞰カメラ40の映像E2は、矢印Aで示す映像通信によって、俯瞰カメラ40を操作するカメラスタッフ5の持つ通信装置から、着ぐるみ10の通信装置50を介して、モニタ22に送られるように構成されている。
【0027】
なお、本実施の形態では、着ぐるみ設置カメラ30と、モニタ21と、パイロット2の目の位置が直線状になるように配置されている。また、本実施の形態では、さらには、設置カメラ30の撮影方向(前方)と、モニタ21の画面角度、パイロット2の目線が一直線上に並ぶようになっている。また、ここでは、設置カメラ30の撮影方向(前方)と、モニタ21の画面角度、パイロット2の目線が地面と平行な一直線上に並ぶようになっている。このように配置されることで、パイロット2がモニタ21を通してその先(ここでは、真正面)の着ぐるみの壁を透視したかのように外部の様子を見ることができ、周囲の状況を把握しやすくすることができ、着ぐるみ10を適切な移動、動作させやすくすることができるものである。
【0028】
また、本実施の形態では、着ぐるみ10の外部に配置されたメインスタッフ3とパイロット2が通信可能な通信装置50を有しており、ここではトランシーバー等の音声通信装置が配設されている(音声通信を示す矢印B参照)。なお、本実施の形態では、パイロット2はメインスタッフ3とのみ通信装置50にてコミュニケーションを取るようになっており、他のスタッフ4,5,6とは直接コミュニケーションを取らないように構成されている。これは、複数の指示や情報がパイロット2に与えられて、パイロット2が混乱しないようにするためである。
【0029】
このように、モニタ21,22による情報と通信装置50による情報に応じて、パイロット2が着ぐるみの操作を行うように構成されている。また、メインスタッフ3の指示により、サブスタッフ4やカメラスタッフ5、音出しスタッフ6が動くように構成されている(音声通信を示す矢印B参照)。これにより、カメラスタッフ5は、俯瞰カメラ40の配置位置を変更したり、映像の角度や画角を変更したりするように構成されている。また音出しスタッフ6は、メインスタッフ3の指示により、音響効果を担う機器(スピーカ等)に演出効果の音や光の演出を行わせるようになっている(音響通信を示す矢印C参照)。また、サブスタッフ4に着ぐるみ10の状況を確認させ、その報告に基づいてメインスタッフ3がパイロット2に適切な行動、操作を行わせるように指示を出すように構成されている(音声通信を示す矢印B参照)。
【0030】
なお、ここでは、着ぐるみ設置カメラ30は、少なくとも恐竜の胸部11に前方を向くように配置されている。
【0031】
また、着ぐるみ設置カメラ30と俯瞰カメラ40は1台ずつでなくても良く、俯瞰カメラ40が複数台別々の場所に設置されていても良い。また、カメラスタッフ5が複数人いてそれぞれ移動しながら全体を把握しやすい画角を確保するようになっていても良い。また、俯瞰カメラ40の少なくとも1台(複数台でも可)はドローン等の飛行体に配置されて、飛行しながら撮影されるようになっていても良い。また、着ぐるみ設置カメラ30についても、複数台有していても良く、例えば、胸部11のカメラ30の他に頭部や鼻先、背中やしっぽ等に他のカメラを有していても良い。さらに、これらのカメラは、手動でパイロット2又はメインスタッフ3が切り替え可能に構成されていても良いが、自動的に切り替わるようになっていても良い。
【0032】
このときには、例えば、図3に示すように、AI搭載の制御装置60がスタッフ3,4,5,6やパイロット2や着ぐるみの前方カメラ(着ぐるみ設置カメラ)30や俯瞰カメラ40等と電気的に接続されており、着ぐるみの状況とイベントの進行状況に応じて、自動的に最適なカメラの組み合わせに切り替えていくようになっていても良い。なお、図示省略したが、制御装置60がモニタ21,22にも電気的に接続されていて、モニタ21,22の表示状態の切り替え等を制御装置60が制御するようになっていても良い。また、その他の機器や装置に電気的に接続されていて、それらの制御も行うようになっていても良い。
【0033】
さらに、当該状況を把握した上で、パイロット2や他のスタッフに指示を出すようになっていても良い。また、メインスタッフ3が制御装置60を通して指示を出すようになっていても良い。このときには、メインスタッフ3が概要を制御装置60に伝達した後、制御装置60が他のスタッフやパイロット2やカメラ30,40やモニタ21,22、音響装置等に詳細や指示を出すように構成されていても良い。この制御装置60は、着ぐるみ10に搭載されていても良いし、外部に設置されていても良いし、スタッフ3,4,5,6が携帯している状態でも良い。また、この演出全体が制御装置60に記憶されており、当該制御装置60から当該演出に基づく指示を各部に行うようになっていても良い。
【0034】
また、メインスタッフ3とのやり取りについても、メインスタッフ3がAIロボットで構成されていて、ロボットが判断してパイロット2に指示を出すようになっていても良い。
【0035】
また、制御装置60は、着ぐるみ10に設けられていなくても良く、他の場所に配置されていて、通信によって他のスタッフやパイロット等と繋がっているようになっていても良い。
【0036】
また、スタッフ3,4,5,6とパイロット2との通信装置については、音声通信装置に限るものではなく、チャットのような文字通信装置で伝達可能になっていても良い。また、これらの文字での通信情報が、リアルタイム(後から表示も可)でモニタ21及び/又はモニタ22に表示されるようになっていても良い。さらに、文字での通信情報を表示するために、別の表示装置が設けられるようになっていても良い。また、このとき文字と共に、または文字の代わりに、画像や映像で情報が表示されるようになっていても良い。
【0037】
なお、本実施の形態では、メインスタッフ3は1名で構成されていたが、これに限るものではなく、2名以上のメインスタッフ3が存在しているパターンがあっても良い。例えば、演出全体の司令塔を担うメインスタッフ3(指令メインスタッフ)が配置されていて、その指令メインスタッフ3からカメラや演出の演出メインスタッフ3とパイロット2に指示を出す操作メインスタッフ3に指示を出し、それぞれのメインスタッフ3を通じて他のスタッフ4,5,6やパイロット2に指示を出すようになっていても良い。また、メインスタッフ3が着ぐるみ10の移動状況や演出状況に応じて複数いるようになっていて、着ぐるみが所定位置に到達したときや、着ぐるみが所定の演出を開始するとき等に、一方のメインスタッフ3から他方のメインスタッフ3に引き継ぎを行うようになっていても良い。また、その他の状況においても、メインスタッフ3が複数名で構成されるパターンがあっても良い。
【0038】
以上のように、本実施の形態によれば、複数のカメラ30,40、モニタ21,22を有し、パイロット2とスタッフ3が通信可能な通信装置50を有し、これらの情報からパイロット2及び/又はスタッフ3で着ぐるみ10の操作、演出を行うようになっているため、多角的な視野と指示により、着ぐるみ10に適切な移動、動作、演出を行わせるように誘導することができる。
【0039】
また、本実施の形態によれば、複数のカメラ30,40の映像を切り替えて使用することで、限られたモニタ21,22で、より多角的な視野の確認を行うことができ、その結果、より着ぐるみ10に適切な移動、動作、演出を行わせるように誘導することができる。
【0040】
また、本実施の形態によれば、着ぐるみ設置カメラ30として、少なくとも着ぐるみ(ここでは恐竜)の胸部11に前方を向くように設置されているものを有していることで、パイロット2が最低限必要な視認情報を得ることができ、その結果、着ぐるみ10に適切な移動、動作、演出を行わせるように誘導することができる。
【0041】
また、本実施の形態によれば、着ぐるみ設置カメラ30、その映像を映すモニタ21、パイロット2の目の位置が直線状に配置されるようになっていることで、パイロット2がモニタ21を通してその先の着ぐるみ10の壁を透視したかのように外部の様子を見ることができ、周囲の状況を把握しやすくすることができ、着ぐるみ10を適切な移動、動作させやすくすることができる。
【0042】
また、本実施の形態によれば、パイロット2とスタッフ3が通信する通信装置50として、音声通信装置を有していることで、簡単にパイロット2とスタッフ3を繋ぎ、簡単に情報のやり取りをすることができ、その結果、着ぐるみ10に適切な移動、動作、演出を行わせるように誘導することができる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、パイロット2とスタッフ3が通信する通信装置50として、通信情報が文字及び/又は画像で表示可能となっていることで、音が聞き取りにくい状況、文字や画像で表示した方が指示が分かりやすい場合、指示を暫く残しておきたい場合等において適切にパイロット2とスタッフ3を繋ぎ、確実に情報のやり取りをすることができ、その結果、着ぐるみ10に適切な移動、動作、演出を行わせるように誘導することができる。
【0044】
なお、本発明は、前記した各実施の形態のようなものに限らず、他の構成、他の使用状況にも適用できる。
【0045】
例えば、前記した実施の形態では、図1に示すような二足歩行の恐竜をモチーフとした着ぐるみ10に対する誘導、演出を行う場合について説明したが、これに限るものではなく、他の恐竜をモチーフとした着ぐるみに対する誘導、演出に本システムを適用しても良い。例としては、ステゴサウルスのような四足歩行の恐竜をモチーフとした着ぐるみに本システムを適用しても良い。
【0046】
このときには、着ぐるみには、恐竜の前足の制御を担当する前足担当パイロットと、恐竜の後ろ足の制御を担当する後ろ足担当パイロットの2名のパイロットがそれぞれの操作位置に配置されていても良い。さらに、前足担当パイロット、後ろ足担当パイロット及びスタッフで着ぐるみの操作、演出を行うように構成されていても良い。
【0047】
また、このとき、前足担当パイロット用の複数のモニタと、後ろ足担当パイロット用の複数のモニタとを有しており、前足担当パイロット用のモニタと、後ろ足担当パイロット用のモニタとで、映し出される映像が自動及び/又は手動で変更可能に構成されていても良い。
【0048】
これにより、パイロットが2人いる場合でも、それぞれが必要な映像を確認することができ、その結果、着ぐるみに適切な移動、動作、演出を行わせるように誘導することができる。
【0049】
また、前記した実施の形態では、複数の指示や情報によりパイロット2を混乱させないようにパイロット2にはメインスタッフ3のみが通信可能となっていて、他のスタッフ4,5,6とは直接コミュニケーションを取らないように構成されていたが、これに限るものではなく、状況状態によっては、パイロット2が複数のスタッフ3,4,5,6と直接通信可能となっていても良い。また、パイロット2とスタッフ3,4,5,6間だけでなく、スタッフ同士も含めて複数人数で同時接続で通信可能となっていても良い。このとき、音声のみでなく、文字や画像、映像等の視覚情報も同時に共有できるようになっていても良い。
【0050】
また、前記した実施の形態で使用する前方カメラ30、俯瞰カメラ40を始めとする種々のカメラとしては、通常の映像撮影用のカメラ(ビデオカメラ)の他、例えばアクションカメラ、360度全方位カメラ、立体視カメラ等の適宜の機能性を向上させたカメラを使用しても良い。
【0051】
また、モニタ21,22における映像の映し方についても、例えばVRゴーグルを用いて立体視できるようになっていたり、プロジェクションで投影することができるようになっていても良い。このようにすることで、パイロット2が、着ぐるみ10の移動、操作、演出をより行いやすくできるようになっていれば、適宜の装置を用いても良い。
【0052】
また、本発明は、前記したように、恐竜に適用することに限るものではなく、怪獣等の架空の生き物、他の動物、動物以外のその他の着ぐるみの演出、動作に適用させても良い。
【符号の説明】
【0053】
1 着ぐるみ誘導システム
2 パイロット
3 メインスタッフ(スタッフ)
4 サブスタッフ(スタッフ)
5 カメラスタッフ(スタッフ)
6 音出しスタッフ(スタッフ)
10 着ぐるみ
11 胸部
21 第1モニタ(モニタ)
22 第2モニタ(モニタ)
30 前方カメラ(着ぐるみ設置カメラ)
40 俯瞰カメラ
50 音声通信装置(通信装置)
60 制御装置
E1 前方映像
E2 俯瞰映像
A 映像通信
B 音声通信
C 音響通信
【要約】
【課題】着ぐるみに適切な移動、動作、演出を行わせるように誘導することができる着ぐるみ誘導システムを提供する。
【解決手段】着ぐるみ10を誘導する着ぐるみ誘導システム1で、着ぐるみ10を支持して操作するパイロット2が配置され、着ぐるみ10の内部のパイロット2が視認できる位置に、複数のモニタ21,22が設置され、着ぐるみ設置カメラ30と俯瞰カメラ40とを有し、パイロット2が複数のモニタ21,22で着ぐるみ設置カメラ30と俯瞰カメラ40の映像E1,E2を視認することで着ぐるみ10の現在位置と動作状況を把握可能に構成され、着ぐるみ10の外部に配置されたスタッフ3とパイロット2が通信可能な通信装置50を有し、モニタ21,22による情報E1,E2と通信装置50による情報に応じ、パイロット2及び/又はスタッフ3が着ぐるみ10の操作、演出を行うように構成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3