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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】開閉式足場昇降装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/10 20060101AFI20241205BHJP
   E04G 5/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
E04G5/10 B
E04G5/00 301F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024095595
(22)【出願日】2024-06-13
【審査請求日】2024-06-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520512052
【氏名又は名称】株式会社TOBIHIRO
(74)【代理人】
【識別番号】100208731
【弁理士】
【氏名又は名称】真々田 忠博
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】小林 浩二
【審査官】齋藤 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-114642(JP,A)
【文献】特開平11-247429(JP,A)
【文献】登録実用新案第3106505(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-0607451(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1793003(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/00 - 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠組足場の上下の布板間を移動するための開閉式足場昇降装置であって、折畳可能な階段踏板体、及び、前記階段踏板体が接続される開口部を覆う開閉可能な作業床とからなり、
前記階段踏板体は、上向きに段部を有し前記開口部の側枠の一方端に固定される固定ササラ桁、下向きに段部を有し固定ササラ桁を中心にして回動自在であって上部に持ち手を有する回動ササラ桁、及び、前記固定ササラ桁と前記回動ササラ桁の間に挟まれ、前記両ササラ桁の段部に回動可能に固定された複数の踏板とから構成され、
階段の使用時には、前記作業床を開けて開口部を形成し、前記階段踏板体の前記回動ササラ桁を固定ササラ桁に対して回動させることで、前記回動ササラ桁と前記固定ササラ桁に対して上記踏板を回動させて階段を形成し、これにより階段踏板体を通行可能な状態におき、
階段の不使用時には、前記階段踏板体を平坦な板状体に折り畳んで垂直方向に立て、前記作業床を回動して前記開口部を閉じ、これにより前記作業床上を通行可能な状態におくことからなる
開閉式足場昇降装置。
【請求項2】
前記固定ササラ桁は上端にフックを有し、これにより前記側枠の一方端に固定され、前記回動ササラ桁は上端を延長して持ち手を形成し、その持ち手を持って回動ササラ桁を回動させて前記階段踏板体を展開して前記階段を形成することからなる請求項1に記載の開閉式足場昇降装置。
【請求項3】
前記踏板は、平行四辺形の形状を有し、対抗する一対の角の先端を削除して、一方を前記固定ササラ桁に固定し、他方を前記回動ササラ桁に固定し、これにより、前記階段踏板体を折り畳むと一対のササラ桁と複数の踏板体が平坦な板状体を構成するように構成された請求項1に記載の開閉式足場昇降装置。
【請求項4】
前記持ち手は、回動ササラ桁の上端から延長しており、前記階段踏板体が階段を形成しているときには前記開口部を前記作業床で閉じることはできず、また、前記作業床を開けて開口部を形成していなければ前記階段踏板体を展開して階段を形成できないことからなる請求項2に記載の開閉式足場昇降装置。
【請求項5】
前記複数の踏板と前記両ササラ桁との固定は、回転軸を中心に回動可能な蝶番を用いることからなる請求項3に記載の開閉式足場昇降装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の開閉式足場昇降装置の使用方法であって、
上位の布板から下位の布板に降りる際には、前記作業床を開けて前記開口部を形成し、前記持ち手を回動することで前記階段踏板体を展開して階段を形成し、
下位の布板から上位の布板に移動する際には、前記作業床を開けて前記開口部を形成し、前記階段踏板体を展開して階段を形成し、
前記階段の不使用時には、前記階段を折り畳んで平坦な板状の階段踏板体として収納し、前記作業床を閉じて前記開口部を前記作業床で覆うことで前記作業床上を移動可能とすることからなる
開閉式足場昇降装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の建築・改修・解体現場においては、建物の外周に複数段にわたって枠組足場が設置されるが、その上下の足場間を昇降の移動を行う際の足場昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から用いられている足場昇降装置は、足場の布板に開口部を形成し、その開口部近傍に下位の足場の布板につながる昇降階段やタラップを設け、作業員は、その階段やタラップを通して上下の足場の布板間を行き来していた。しかし、建物の建築等の作業を行う作業員は、腰回りや胸周りにハーネスや腰道具等の多数の道具類を装着するのが普通であり、そのような装備をフルに装着した場合、作業員の身体の外周が大きく膨らんでしまう。このため、足場に常設した昇降階段やタラップを用いて上下の足場間を移動することは困難であった。
すなわち、従来の昇降階段においては、上下の足場の布板間を連絡する階段を常設しておくので、上段の足場の布板に設けた開口部には、落下防止のためにステアガードと呼ばれる柵を設けている。そうすると、ステアガードと足場の建枠の間が狭くなってしまい、フル装備の作業員が上下の足場間を移動し、或いは階段に設けた開口部を通過する際の移動が困難となっていた。
【0003】
そこで、昇降階段を通常の作業時には通行の邪魔にならないように隅にどかしておき、上下の布板間を昇降する必要が生じた場合にのみ、昇降用の階段を設置することからなる足場昇降装置が開発されている。その場合には、昇降階段の近傍に設けた開口部は、昇降階段の不使用時には開閉式の布板で覆うことができるので、本来の広さの足場を使用することができる。
【0004】
特許文献1に示される開閉式布枠装置は、開閉式の床付き布枠と昇降用階段を備え、その昇降用階段は、上下の布枠間を昇降する際には開口部に設置されているが、階段の不使用時には跳ね上げて上段の布枠に保持させる方式のものである。
しかし、この布枠装置は、昇降階段の下端を持ち上げて上段の布枠に固定する方式であるため、作業員は移動のたびごとに手を伸ばして上段の布枠に固定する作業を強いられることや、階段の下端部は階段の通行の便を考慮して下方に屈曲して出っ張っているため、上段の布枠に固定するとその部分が邪魔になり、作業員の通行のための十分な通路が確保できないという問題があった。
【0005】
また、特許文献2に示される工事フレームは、階段を通行の邪魔にならないように隅にどかすにあたり、昇降用階段の活動プレート組を支持ロットの一側に回転させる方式を採用するものである。しかし、この方式による場合でも、最上段にある階段プレート332や上下の連結ロッド32は支持ロッドの一側に回転移動させることができず(図2)、作業員の通行のための十分な通路が確保できないという問題があった。
【0006】
さらに、特許文献3には、折畳式階段ユニットが記載されており、階段踏板体は、固定側板41、揺動側板42の間に回転自在に設けられた踏板43から構成され、この階段踏板体を折り畳む際には、固定側板近傍に揺動側板を折重ねることにより折り畳んでいる。しかし、この折畳式階段ユニットにおいても、作業員の通行のための十分な通路の確保については考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平11-193626号公報
【文献】実用新案登録第3106505号公報
【文献】特開平4-277260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上下の布板間を昇降する際にのみ昇降用階段を設置し、通常の足場使用時には作業員の通行の妨げとはならない位置にコンパクトに階段を収納することができる足場昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明においては、次のような構成を有する開閉式足場昇降装置を提供する。
[1]枠組足場の上下の布板間を移動するための開閉式足場昇降装置であって、折畳可能な階段踏板体、及び、前記階段踏板体が接続される開口部を覆う開閉可能な作業床とからなり、前記階段踏板体は、上向きに段部を有し前記開口部の側枠の一方端に固定される固定ササラ桁、下向きに段部を有し固定ササラ桁を中心にして回動自在な回動ササラ桁、及び、前記固定ササラ桁と前記回動ササラ桁の間に挟まれ、前記両ササラ桁の段部に回動可能に固定された複数の踏板とから構成され、階段の使用時には、前記作業床を開けて開口部を形成し、前記階段踏板体の回動ササラ桁を回動させて前記側枠の他方端に配置して階段を形成し、これにより階段踏板体を通行可能な状態におき、階段の不使用時には、前記階段踏板体を平坦な板状体に折り畳んで垂直方向に立て、前記作業床を回動して前記開口部を閉じ、これにより前記作業床上を通行可能な状態におくことからなる開閉式足場昇降装置。
[2]前記固定ササラ桁は上端にフックを有し、これにより前記側枠の一方端に固定され、前記回動ササラ桁は上端を延長して持ち手を形成し、その持ち手を持って回動ササラ桁を回動させて前記階段踏板体を展開して前記階段を形成することからなる[1]に記載の開閉式足場昇降装置。
[3]前記踏板は、平行四辺形の形状を有し、対向する一対の角の先端を削除して、一方を前記固定ササラ桁に固定し、他方を前記回動ササラ桁に固定し、これにより、前記階段踏板体を折り畳むと一対のササラ桁と複数の踏板体が平坦な板状体を構成するように構成された[1]又は[2]のいずれかに記載された開閉式足場昇降装置。
[4]前記持ち手は、回動ササラ桁の上端から延長しており、前記階段踏板体が階段を形成しているときには前記開口部を前記作業床で閉じることはできず、また、前記作業床を開けて開口部を形成していなければ前記階段踏板体を展開して階段を形成できないことからなる[2]に記載の開閉式足場昇降装置。
[5]前記複数の踏板と前記両ササラ桁との固定は、回転軸を中心に回動可能な蝶番を用いることからなる[3]に記載の開閉式足場昇降装置。
[6][1]又は[2]のいずれかに記載の開閉式足場昇降装置の使用方法であって、下位の布板に降りる際には、前記作業床を開けて前記開口部を形成し、前記持ち手を回動することで前記階段踏板体を展開して階段を形成し、上位の布板に移動する際には、前記作業床を開けて前記開口部を形成し、前記階段踏板体を展開して階段を形成し、前記階段の不使用時には、前記階段を折り畳んで平坦な板状の階段踏板体として収納し、前記作業床を閉じて前記開口部を前記作業床で覆うことで前記作業床上を移動可能とすることからなる開閉式足場昇降装置の使用方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る開閉式足場昇降装置は上記した構成を有するので、昇降用の階段を使用しない際には、階段踏板体を平坦な板状に折り畳んで収納するため、足場上を移動する作業員のための通路の幅を広く保つことができる。また、昇降用の階段を使用して上下の布板間を移動する際には、折り畳まれた階段踏板体は、片手で容易に広げて階段を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】建物の枠組足場に本発明の開閉式足場昇降装置を適用し、階段を展開した状態を示す。
図2】階段を展開した状態を作業員の目線からみた状態を示す。
図3図1における階段を折り畳んで枠組足場の外周部に収納し、作業床を閉じた状態を示す。
図4図3における作業床を閉じた状態を、下の階の布板にいる作業員の目線から見た状態を示す。
図5図3における作業床を閉じた状態を、上の階の布板にいる作業員の目線から見た状態を示す。
図6】本発明で使用する階段踏板体について、階段を折り畳んだ状態の平面図である。
図7】固定ササラ桁と踏板の接続状態を示す。固定ササラ桁では段部は上向きに設置されている。
図8】回動ササラ桁と踏板の接続状態を示す。回動ササラ桁では段部は下向きに設置されている。
図9】階段踏板体が折り畳まれて平坦な板状となった状態を、踏板体の表側から見たものである。
図10】階段踏板体が折り畳まれて平坦な板状となった状態を、踏板体の裏側から見たものである。
図11】回動ササラ桁から延長している持ち手が、布板表面から突出している状態を示す。持ち手が邪魔をして、作業床で完全に開口部を覆うことができない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(展開した状態)
図1及び図2は、建物の枠組足場に本発明の開閉式足場昇降装置を適用し、階段を展開した状態を示す。上下の布板間を昇降移動しようとする作業員は、形成された階段を利用して昇降することができる。階段に沿って手すりを設け、階段を昇降する作業員の安全を図ることが必要である。
【0013】
(閉じた状態)
図3は、図1において展開してあった階段を折り畳んで階段踏板体を平坦な平板上にし、これを固定ササラ桁に沿って垂直に立てて収納し、作業床を閉じた状態を示す。
また、図4図5は、その際の足場の状態を作業員の目線から見た状態を示す。図4は、本発明の開閉式階段踏板体を設置した下の階の布板から見たもので、図5は、上の階の布板から見たものである。これらの図から明らかなように、作業員は、枠組足場の布板上を他の部分と変わらない幅を利用して移動することができる。
【0014】
(ササラ桁)
図6は、折り畳んだ状態の階段足場体の平面図である。
固定ササラ桁2と回動ササラ桁3との間に複数の踏板4が固定されている。
固定ササラ桁は、段部7aが上を向いた状態で踏板4に接続され、その上下部にはフック5が設けられており、これにより、固定足場2は、開口部の側枠10の一方端に固定することができる。
また、回動ササラ桁3は、段部7bが下を向いた状態で踏板4に接続され、その上部には、回動ササラ桁を延長して持ち手6が形成されている。この持ち手を取って回動ササラ桁を回動させ、階段を展開することができる。この階段を展開した状態では、持ち手6が開口部の側枠10上に載置されて階段は固定される。また、この状態では、持ち手6が布板から突出しているので、図11に示されるように、階段を折り畳んだ後でないと作業床9を適正に閉じることはできない。
【0015】
(踏板)
図6に示される通り、ササラ桁に回動可能に固定される複数の踏板4は、平行四辺形の形状において対向する一対の対角の先端を削り落とした形状をしている。そして、この削り落とした部分を、両側の固定ササラ桁2と回動ササラ桁3の段部7aおよび7bに接続されている。
そして、このように折り畳まれた状態では、階段踏板体1は平坦な板状の形状になるので、コンパクトに収納することができる。このため、作業員の通行の邪魔になることもない。
【0016】
(踏板の接続)
図7及び図8は、ササラ桁2、3と踏板4を接続している状態を示す。図7は踏板4の表面側から、図8は裏面側から見たものである。ササラ桁の段部7aおよび7bにおいて、回転軸を中心に回動可能な蝶番8a、8bを用いて接続することが好ましい。
本発明の階段踏板体は、このような構造で接続されているので、階段として展開している際には階段として機能し、階段を折り畳むと、回動ササラ桁は回動して固定ササラ桁の上部に移動し、回転ササラ桁、回動ササラ桁及び複数の踏板が平坦な板状体を形成する。
【0017】
(平坦な板状体)
本発明の階段踏板体1は、階段を折り畳むと平坦な板状体にすることできる。図9は、この平坦な踏板体を枠組足場の外側からみた状態を示し、図10は、枠組足場の内部の布板上から見た抗体を示す。
本発明においては、踏板昇降用の階段を折り畳む際に、このように平坦な板状体にすることができるので、昇降用階段を使用しない場合における作業員による足場の通行は、従来の昇降装置に比較して格段に容易になる。
【符号の説明】
【0018】
1 階段踏板体
2 固定ササラ桁
3 回動ササラ桁
4 踏板
5 フック
6 持ち手
7a、7b 段部
8a、8b 蝶番
9 作業床
10 側枠
【要約】      (修正有)
【課題】上下の布板間を昇降する際にのみ昇降用階段を設置し、足場使用時にはコンパクトに階段を収納することができる足場昇降装置を提供する。
【解決手段】上下の足場間を移動するための開閉式足場昇降装置で、折畳可能な階段踏板体1、及び階段踏板体が接続される開口部を覆う開閉可能な作業床9とからなり、階段踏板体1は、上向きに段部を有し開口部の側枠10の一方端に固定される固定ササラ桁2、下向きに段部を有し回動自在な回動ササラ桁3、及び固定ササラ桁2と回動ササラ桁3の間に挟まれ回動可能に固定された複数の踏板4から構成され、階段の使用時は、作業床9を開けて開口部を形成し、踏板体の回動ササラ桁3を回動させて側枠10の他方端に配置して階段を形成し、階段踏板体を通行可能な状態におき、階段の不使用時は、階段踏板体を平面状に折り畳んで、作業床9を回動して記開口部を閉じ、作業床上を通行可能な状態におく開閉式足場昇降装置。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11