(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】電気加熱式エアロゾル発生物品用の紙ラッパー
(51)【国際特許分類】
A24D 1/02 20060101AFI20241205BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20241205BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20241205BHJP
【FI】
A24D1/02
A24D1/20
A24F40/42
(21)【出願番号】P 2021173994
(22)【出願日】2021-10-25
(62)【分割の表示】P 2019147688の分割
【原出願日】2016-03-24
【審査請求日】2021-11-24
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-23
(32)【優先日】2015-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ミンツォーニ ミルコ
【合議体】
【審判長】鈴木 充
【審判官】石黒 雄一
【審判官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/114530(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/114529(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/102092(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/102091(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/022320(WO,A2)
【文献】特表2013-519384(JP,A)
【文献】特表2015-502173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F40/00-47/00
A24D1/00-1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気加熱式エアロゾル発生物品であって、
エアロゾル発生基体であって、前記エアロゾル発生基体の5~30重量パーセントの量の少なくとも1つのエアロゾル形成体を含むものと、
マウスピースと、
前記エアロゾル発生基体の少なくとも一部分を囲む紙ラッパーとを備え、前記紙ラッパーが、水またはグリセリンを用いた湿潤引張強さ試験に従い測定した時、15ミリメートル当たり少なくとも5ニュートンの湿潤引張強さを持ち、
前記紙ラッパーが、乾燥引張強さ試験に従い測定した時に15ミリメートル当たり少なくとも10ニュートンの乾燥引張強さを持
ち、
前記エアロゾル発生基体と前記マウスピースとの間に配置された中空管をさらに含み、
前記紙ラッパーが前記中空管を囲む、
電気加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記紙ラッパーが前記エアロゾル発生基体の少なくとも全長さを囲む、請求項1に記載の電気加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記少なくとも1つのエアロゾル形成体が少なくとも1つのポリオールを含む、請求項1または2に記載の電気加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記少なくとも1つのポリオールが、ソルビトール、グリセロール、プロピレングリコール、およびトリエチレングリコールのうち少なくとも1つを含む、請求項3に記載の電気加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記エアロゾル発生基体が前記エアロゾル発生基体の10~20重量パーセントの量の水を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の電気加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記エアロゾル発生基体が7ミリメートル~15ミリメートルの長さを持つ、請求項1~
5のいずれか1項に記載の電気加熱式エアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気加熱式エアロゾル発生物品用の紙ラッパー、紙ラッパーを含む電気加熱式エアロゾル発生物品、および電気加熱式エアロゾル発生物品の製造における紙ラッパーの使用に関連する。
【背景技術】
【0002】
一つのタイプのエアロゾル発生システムは、電気的に作動する喫煙システムである。既知の手持ち式の電気的に作動する喫煙システムは、一般的に、電池と、制御電子回路と、エアロゾル発生装置と併用するために特に設計されたエアロゾル発生物品を加熱するための電気ヒーターとを備えたエアロゾル発生装置を備える。一部の例では、エアロゾル発生物品は、たばこプラグなどのエアロゾル発生基体のプラグを含み、エアロゾル発生装置内に収容されるヒーターは、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置に挿入される際にエアロゾル発生基体に挿入される。
【0003】
ところが、一部の場合に、使用後に消費者がエアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置から取り外すにあたり困難を経験することがある。例えば、一部の例で、エアロゾル発生物品の外側ラッパーは、エアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置から取り外す時に引き裂かれることがあり、これが、ラッパーの部分およびエアロゾル発生基体の部分によりエアロゾル発生装置の内部を汚染することがある。
【0004】
したがって、エアロゾル発生装置からのエアロゾル発生物品の取り外しを促進する電気加熱式エアロゾル発生物品用のラッパーを提供することが望ましい。エアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置から取り外す時にラッパーが引き裂かれるリスクを最小化するラッパーを提供することが特に望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第一の態様によれば、エアロゾル発生基体と、マウスピースと、エアロゾル発生基体の少なくとも一部分を囲む紙ラッパーとを備えた電気加熱式エアロゾル発生物品が提供されている。エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生基体の約5~約30重量パーセントの量の少なくとも1つのエアロゾル形成体を含む。紙ラッパーは、湿潤引張強さ試験に従って測定した時に15ミリメートル当たり少なくとも約5ニュートンの湿潤引張強さを持つ。
【0006】
本発明の第二の態様によれば、電気加熱式エアロゾル発生物品用の紙ラッパーが提供されており、紙ラッパーは、湿潤引張強さ試験に従い測定した時に15ミリメートル当たり少なくとも約5ニュートンの湿潤引張強さを持つ。
【0007】
湿潤引張強さ試験は、湿潤シート材料の引張強さを測定するものであり、本明細書では試験方法セクションに記載されている。
【0008】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生物品」という用語は、加熱された際にエアロゾルを形成しうる揮発性化合物を放出するエアロゾル発生基体を含む物品を意味する。本発明による喫煙物品のエアロゾル発生基体から生成されるエアロゾルは、見えても、または見えなくてもよく、蒸気(例えば、気状である物質の微粉は室温にて通常、液体または固体である)、ならびに気体および凝縮された蒸気の液体の液滴を含んでもよい。
【0009】
本発明の発明者は、電気加熱式エアロゾル発生物品は通常、例えば従来的な紙巻たばこのたばこロッドと比較した時に、より高い含水量を持つエアロゾル発生基体を含むことを認識してきた。発明者はさらに、より高い含水量によって、エアロゾル発生装置内で加熱される時に、周知の電気加熱式エアロゾル発生物品の従来的な紙ラッパーを著しく濡らしかねず、これが紙ラッパーを著しく弱め、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置から取り外される時に引き裂かれる原因となることを認識してきた。ところが、本発明は、湿潤引張強さ試験に従い測定した時に15ミリメートル当たり少なくとも約5ニュートンの湿潤引張強さを持つ紙ラッパーを提供することにより、この問題に対処する。
【0010】
好ましい実施形態では、紙ラッパーはまた、試験方法セクションに述べた乾燥引張強さ試験に従い測定した時に15ミリメートル当たり少なくとも約10ニュートンの乾燥引張強さを持つ。有利なことに、15ミリメートル当たり少なくとも約10ニュートンの乾燥引張強さを持つ発明のラッパーを提供することで、従来的な紙ラッパーの乾燥引張強さと実質的に等しい乾燥引張強さを持つラッパーを提供することにより、電気加熱式エアロゾル発生物品を組み立てるための既存の高速製造機械を修正する必要が最小化または除去されうる。
【0011】
エアロゾル発生基体は、固体と液体の両方の成分を含むことが好ましい。エアロゾル発生基体は、たばこを含むエアロゾル発生材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体はエアロゾル発生材料を含む非たばこを含んでもよい。
【0012】
エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生基体の約5~約30重量パーセント、好ましくはエアロゾル発生基体の約10~約30重量パーセント、より好ましくはエアロゾル発生基体の約10~約20重量パーセントの量の少なくとも1つのエアロゾル形成体を含む。エアロゾル形成体は、加熱されるとエアロゾルを発生する物質である。
【0013】
エアロゾル形成体は、少なくとも1つのポリオールエアロゾル形成体および非ポリオールエアロゾル形成体を含みうる。室温で固体または液体としうるが、室温で液体であることが好ましい。適切なポリオールは、ソルビトール、グリセロール、およびプロピレングリコールまたはトリエチレングリコールなどのグリコールを含む。適切な非ポリオールは、一価アルコール(メントールなど)、高沸点炭化水素、酸(乳酸など)、およびエステル(ジアセチン、トリアセチン、クエン酸トリエチルまたはミリスチン酸イソプロピルなど)を含む。ステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなどの、脂肪族カルボン酸エステルもエアロゾル形成体として使用されうる。同等または異なる比率でのエアロゾル形成体の組み合わせも使用されうる。ポリエチレングリコールおよびグリセロールは特に好ましい場合がある一方、トリアセチンは安定化させるのがより困難であり、またエアロゾル発生物品内部での移動を防止するために封入される必要もありうる。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0014】
上述の任意の実施形態において、エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生基体の約10~約20重量パーセントの量の水を備えうる。
【0015】
少なくとも1つのエアロゾル発生基体は、ココア、甘草、有機酸、またはメントールなど1つ以上の風味剤を含みうる。少なくとも1つのエアロゾル発生基体は、固体基体を含みうる。固体基体は、例えば、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の破片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこおよび膨化たばこのうち1つ以上を含む、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートのうち一つ以上を含みうる。随意に、基体は、基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含みうる。随意に、固体基体はまた、例えば、追加的なたばこまたは非たばこの揮発性風味化合物を含むカプセルを含みうる。こうしたカプセルは、固体エアロゾル発生基体の加熱中に融解しうる。別の方法として、または追加的に、こうしたカプセルは、固体エアロゾル発生基体の加熱前、加熱中、または加熱後に潰されうる。
【0016】
少なくとも1つのエアロゾル発生基体が均質化したたばこ材料を含む固体基体を含む場合、均質化したたばこ材料は、粒子状たばこを凝集することによって形成され得る。均質化したたばこ材料は、シートの形態としうる。本明細書に使用される「シート」という用語は、実質的にその厚さより大きい幅および長さを有する薄層状の要素を意味する。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉の茎の一方または両方を粉砕またはその他の方法で細かく砕くことにより得られる粒子状のたばこを凝集させることによって形成されうるか、あるいは、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、例えば、たばこの処理、取扱いおよび輸送中に形成されるたばこダスト、たばこの微粉およびその他の粒子状のたばこ副産物の1つ以上を含みうる。均質化したたばこ材料のシートは、粒子状たばこを凝集するのを補助するために1つ以上の固有の結合剤を含んでもよく、それはたばこ内因性結合剤、1つ以上の外因性結合剤であり、それはたばこ外来性結合剤またはそれらの組み合わせである。別の方法として、または加えて、均質化したたばこ材料のシートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶媒およびこれらの組み合わせを含むが限定されないその他の添加剤を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこおよび1つ以上の結合剤を含むスラリーをコンベヤーベルトまたはその他の支持表面上にキャスティングし、キャストスラリーを乾燥させて均質化したたばこ材料シートを形成し、均質化したたばこ材料シートを支持表面から除去することを一般的に含むタイプのキャスティングプロセスにより形成されることが好ましい。エアロゾル発生基体は、均質化したたばこ材料のシートの集合体を含むことができる。本明細書に使用される「集められた」という用語は、巻き込まれ、折り畳まれ、または別途エアロゾル発生物品の長軸方向軸に対して実質的に横方向に圧縮され、または収縮したシートを記述するために使用される。追加的に、または別の方法として、均質化したたばこ材料シートは捲縮されうる。本明細書に使用される「捲縮」という用語は、シートが複数の実質的に平行した隆起またはしわを有することを意味する。エアロゾル発生物品が組み立てられた時に、実質的に平行した隆起または波型形状は、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に沿って、または平行に延びることが好ましい。
【0017】
随意に、固体の基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもまたはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートなどの形態をとりうる。別の方法として、担体は、その内側表面上(第US-A-5 505 214号、第US-A-5 591 368号および第US-A-5 388 594号で開示されているものなど)、またはその外側表面上、またはその内側および外側の表面両方に配置された固体基体の薄い層を持つ、管状の担体としうる。こうした管状の担体は、例えば、紙、または紙様の材料、不織布炭素繊維マット、質量の小さく目の粗いメッシュ金属スクリーン、または穴あきの金属箔またはその他の任意の熱的に安定した高分子マトリクスで形成しうる。固体の基体は、例えば、シート、泡、ゲルまたはスラリーの形態で担体の表面上に沈着してもよい。固体の基体は、担体の全表面上に沈着してもよく、または代わりに、使用の間、所定の、あるいは均一でない風味送達を提供するために一定のパターンにおいて沈着してもよい。別の方法として、担体は、第EP-A-0 857 431号に説明されているものなど、たばこ成分が組み込まれた不織布繊維または繊維の束としうる。不織布繊維または繊維の束は、例えば、炭素繊維、天然セルロース繊維、またはセルロース誘導体繊維を含みうる。
【0018】
上述の任意の実施形態において、紙ラッパーは、エアロゾル発生基体のみを囲みうる。別の方法として、紙ラッパーは、マウスピースをエアロゾル発生基体に固定するためにエアロゾル発生基体およびマウスピースを囲んでもよい。
【0019】
エアロゾル発生基体は、消費者に送達するためにマウスピースに達する前にエアロゾル発生基体によって発生されたエアロゾルの冷却が許容されるように、エアロゾル発生基体とマウスピースの間に配置された、中空管(例えば中空のアセテート管)などの1つ以上の追加的な構成要素を備えうる。エアロゾル発生基体とマウスピースの間に配置された1つ以上の追加的な構成要素を備えた実施形態では、紙ラッパーは1つ以上の追加的な構成要素を囲むことが好ましい。
【0020】
上述の任意の実施形態において、マウスピースはフィルターを備えうる。フィルターは、1つ以上の適切な濾過材料から形成されてもよい。多くのこのような濾過材料は当業界で周知である。一つの実施形態において、マウスピースは酢酸セルローストウから形成されるフィルターを備える。
【0021】
マウスピースは、約5ミリメートル~約14ミリメートルの間の長さを有してもよい。一つの実施形態において、マウスピースは、およそ7ミリメートルの長さを有しうる。
【0022】
エアロゾル発生物品は、実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生物品は、形状において実質的に円筒状でもよい。
【0023】
エアロゾル発生基体は、実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生基体は、実質的に円筒形の形状としうる。
【0024】
エアロゾル発生物品は、約30ミリメートル~約100ミリメートルの全長を有してもよい。一つの実施形態で、エアロゾル発生物品の全長はおよそ45ミリメートルである。
【0025】
エアロゾル発生物品は、約5ミリメートル~約12ミリメートルの外径を有してもよい。一つの実施形態で、エアロゾル発生物品は、およそ7.2ミリメートルの外径を有しうる。
【0026】
エアロゾル発生基体は、約7ミリメートル~約15ミリメートルの長さを持ちうる。一つの実施形態において、エアロゾル発生基体は、およそ10ミリメートルの長さを有してもよい。別の実施形態において、エアロゾル発生基体は、およそ12ミリメートルの長さを有してもよい。
【0027】
エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生物品の外径にほぼ等しい外径を有することが好ましい。
【0028】
エアロゾル発生基体は、約5ミリメートル~約12ミリメートルの外径を有してもよい。一つの実施形態で、エアロゾル発生基体は、およそ7.2ミリメートルの外径を有しうる。
【0029】
本発明はまた、上述の任意の実施形態による電気加熱式エアロゾル発生物品の製造における紙ラッパーの使用にも及ぶ。したがって、第三の態様によれば、本発明は、電気加熱式エアロゾル発生物品の製造における紙ラッパーの使用を提供するが、紙ラッパーは、湿潤引張強さ試験に従い測定された時に、15ミリメートル当たり少なくとも約5ニュートンの湿潤引張強さを持つ。好ましくは、紙ラッパーはさらに、乾燥引張強さ試験に従い測定した時に15ミリメートル当たり少なくとも約10ニュートンの乾燥引張強さを含むことが好ましい。
[試験方法]
【0030】
乾燥引張強さ試験
乾燥引張強さ試験(ISO 1924-2)は、乾燥状態で調整された紙標本の引張強さを測定する。
【0031】
材料および設備:
・万能引張/圧縮試験機、Instron 5566、またはその等価物
・引張ロードセル100ニュートン、Instron、またはその等価物
・空気圧作用グリップ2個
・鋼ゲージブロック:180±0.25ミリメートル長(幅:~10ミリメートル、厚さ:~3ミリメートル)
・二枚刃ストリップカッター、サイズ15±0.05×~250ミリメートル、Adamel Lhomargy、またはその等価物
・外科用メス
・取得用ソフトウェア、Merlin、またはその等価物を実行するコンピュータ
・圧縮空気
【0032】
標本の準備:
・試験の前に、紙材料を摂氏22±2度、相対湿度60±5%で少なくとも24時間調整する。
・標本を機械方向に、二枚刃ストリップカッターで~250×15±0.1ミリメートルの寸法に切断する。試験片の端は、きちんと切断されなければならない。3つを越える試験用標本を同時に切断しないこと。
【0033】
計器のセットアップ:
・引張ロードセル100ニュートンを取り付ける
・万能引張/圧縮試験機およびコンピュータのスイッチをオンにする
・ソフトウェアで予め設定された測定方法を選択する(毎分8ミリメートルに設定された試験速度)
・引張ロードセルを較正する
・空気圧作用グリップを取り付ける
・空気圧作用グリップ間の試験距離を鋼ゲージブロックによって180 ± 0.5ミリメートルに調節する
・距離および力をゼロに設定する
【0034】
試験手順:
・試験用標本をグリップ間にまっすぐにかつ中央に置き、試験対象の領域に指で触れないようにする。
・上側グリップを閉じ、紙細片を開かれた下側グリップ内につるす。
・力をゼロに設定する。
・紙細片を軽く引き下げてから、試験用標本への力を維持することで下側グリップを閉じる。開始時の力は0.05~0.20ニュートンでなければならない。
・測定を開始する。グリップが上方向に移動する間、試験用標本が破断するまで徐々に増大する力がかけられる。
・残りの試験用標本で同じ手順を繰り返す。
【0035】
注意:結果は、試験用標本がグリップから10ミリメートルを越える距離で破断した時に有効である。そうでない場合、その結果を不合格にして、追加的な測定を実施する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、測定原理と、試験前および試験中の伸展時における関連する試験用標本の寸法を図示したものである。
【
図2】
図2は、単一の試験用標本について得られた典型的な力/伸張曲線および破断時の引張強さおよび伸展を計算するための関連公式を図示したものである。
【
図3】
図3は、基準物品の構成に使用される従来的な紙(標準紙)および試験物品の構成に使用される試験紙(RD紙)の両方に乾燥引張強さ試験の結果を図示したものである。
【
図4】
図4は、従来的な紙および試験紙について、2マイクロリットルの水の追加をした別個の湿潤引張強さ試験の結果を図示したものである。
【
図5】
図5は、従来的な紙および試験紙について、2マイクロリットルのグリセリンの追加をした別個の湿潤引張強さ試験の結果を図示したものである。
【
図6】
図6は、従来的な紙および試験紙について、2マイクロリットルの水およびグリセリン1:1混合物の追加をした別個の湿潤引張強さ試験の結果を図示したものである。
【
図7】
図7は、従来的な紙で構成された基準物品および試験紙で構成された試験物品の両方を喫煙試験に従い喫煙した結果を図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
湿潤引張強さ試験
湿潤引張強さ試験は、湿潤状態で調整された紙標本の引張強さを測定する。試験は、摂氏22±2度、相対湿度60±5%で、少なくとも24時間調整した後、および試験試料をサイズに切断した後で、試験試料に2マイクロリットルの液体を追加することを除き、乾燥引張強さ試験と同一である。2マイクロリットルの液体は、試験手続きの引っ張り手順の直前にシリンジで試験試料の中央に適用される。
【0038】
破断試験
破断試験は、紙外側ラッパーを含むエアロゾル発生物品を、喫煙することなく、適切なエアロゾル発生装置内で加熱サイクルを一巡させた後、エアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置から抽出する。試験は、多くの同一のエアロゾル発生物品について繰り返され、紙外側ラッパーの破断を示したエアロゾル発生物品のパーセント値が目視検査によって決定される。
【0039】
喫煙試験
エアロゾル発生物品によって発生されるエアロゾルの組成を決定するために、エアロゾル発生物品は、適切なエアロゾル発生装置内で、カナダ保健省(Health Canada)喫煙方法(吸煙量55ミリメートル、吸煙時間2秒および吸煙間隔30秒で12回の吸煙)に基づき加熱サイクルにかけられる。
【実施例】
【0040】
数多くの基準エアロゾル発生物品が従来的な紙ラッパーから形成された外側ラッパーを使用して構成され、また多くの試験エアロゾル発生物品が構成された。試験エアロゾル発生物品は、外側ラッパーが本発明の第一の態様による紙から形成されたことを除き、基準エアロゾル発生物品と同じく構成された。試験エアロゾル発生物品用に使用される紙は、Delfortgroup AGから製品コードCP.A646で入手可能である。
【0041】
基準物品の構成に使用される従来的な紙(標準紙)および試験物品の構成に使用される試験紙(RD紙)の両方に乾燥引張強さ試験を実施したが、結果は
図3に記録した通りである。結果は、従来的な紙および試験紙のどちらも、実質的に同じ乾燥引張強さを示すことを示しており、これにより有利なことに、既存の製造機械やプロセスを実質的に修正する必要なくエアロゾル発生物品の構成において試験紙の使用が許容される。
【0042】
従来的な紙および試験紙には、3回の別個の湿潤引張強さ試験:2マイクロリットルの水の追加(結果は
図4に記録)、2マイクロリットルのグリセリンの追加(結果は
図5に記録)、および2マイクロリットルの水およびグリセリン1:1混合物の追加(結果は
図6に記録)も実施した。湿潤引張強さ試験の結果は、従来的な紙と比較した時に試験紙は著しく大きな湿潤引張強さを示すことが示された。電気加熱式物品内での典型的なエアロゾル発生基体の含水量に最も類似している、水およびグリセリンの混合物が紙に追加された試験では、試験紙は従来的な紙の湿潤引張強さよりもほぼ8倍大きな湿潤引張強さを示した。
【0043】
試験紙の湿潤引張強さの増大は、多くの基準物品および試験物品のそれぞれに破断試験を実施した破断試験の結果でも明らかである。特に、従来的な紙で構成された基準物品は、試験した物品のおよそ59パーセントで破断が示され、これに対して、試験紙で構成された試験物品では紙ラッパーの破断は全く示されなかった。
【0044】
最後に、従来的な紙で構成された基準物品および試験紙で構成された試験物品の両方を喫煙試験に従い喫煙したが、その結果は
図7に記録した通りである。結果は、従来的な紙を試験紙で置き換えても、エアロゾル発生物品から送達されるエアロゾルの組成には有意な変化は何も生じなかったことを示す。