(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】電気加熱式エアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/50 20200101AFI20241205BHJP
【FI】
A24F40/50
(21)【出願番号】P 2023026389
(22)【出願日】2023-02-22
(62)【分割の表示】P 2020000193の分割
【原出願日】2015-04-24
【審査請求日】2023-03-24
(32)【優先日】2014-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ホルツヘル ラファエル
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/060267(WO,A2)
【文献】国際公開第2014/029880(WO,A2)
【文献】国際公開第2014/040988(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00~47/00
H02J 7/00~7/12、7/34~7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体および前記発熱体に電力を供給するための再充電可能電源を含む電気加熱式エアロゾル発生デバイス用のコントローラであって、前記コントローラが、前記デバイスに隣接した周囲温度に依存して、前記電源から前記発熱体への電力供給を制御して、前記デバイスに隣接した前記周囲温度が所定の低温閾値より低い時に前記発熱体に電力が供給されるのを阻止するように構成されている、コントローラ。
【請求項2】
前記コントローラがさらに、前記デバイスに隣接した前記周囲温度が前記所定の低温閾値を超える時に前記発熱体に電力を供給するように構成されている、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記デバイスに隣接した前記周囲温度を監視するように
構成されている、請求項1または2に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記コントローラが、前記監視された周囲温度の加重平均を計算し、前記加重平均が前記所定の低温閾値より低い場合に前記発熱体に電力が供給されるのを阻止するように構成されている、請求項3に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記監視された周囲温度の前記加重平均の前記計算において、前記周囲温度の現在の測定値が、約10%~約50%の重みを与えられ、前の加重平均が、約90%~約50%の重みを
与えられる、請求項4に記載のコントローラ。
【請求項6】
前記コントローラが、前記監視された周囲温度の加重平均を計算し、前記加重平均が所定の高温閾値を超える場合に前記発熱体に電力が供給されるのを阻止するように
構成される、請求項3、4、または5のいずれか1項に記載のコントローラ。
【請求項7】
前記コントローラが、前記デバイスに隣接した前記周囲温度が所定の高温閾値を超える時に前記発熱体に電力が供給されるのを阻止するように
構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載のコントローラ。
【請求項8】
前記コントローラが、前記デバイスに隣接した前記周囲温度が前記所定の高温閾値より低い時に前記発熱体に電力を供給するように構成されている、請求項6または7に記載のコントローラ。
【請求項9】
前記所定の低温閾値が、約10℃である、請求項1~8のいずれか1項に記載のコントローラ。
【請求項10】
電力が前記発熱体に供給されるのを阻止されている時にユーザに通知するように構成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載のコントローラ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のコントローラを含み、
ユーザが前記エアロゾル発生デバイスを起動してエアロゾルを発生させる時に、
前記コントローラが、前記デバイスに隣接した前記周囲温度が所定の温度範囲内の時に前記発熱体に前記電力を供給するように構成され、
前記コントローラが、前記デバイスに隣接した前記周囲温度が前記所定の温度範囲の
下限より低い時に前記発熱体に電力が供給されるのを阻止するように構成されている、電気加熱式エアロゾル発生デバイス。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか1項に記載のコントローラを含む電気加熱式エアロゾル発生デバイスであって、前記電気加熱式エアロゾル発生デバイスが、前記デバイスに隣接した前記周囲温度が
所定の温度範囲外である時にユーザに表示するための指標を含む、電気加熱式エアロゾル発生デバイス。
【請求項13】
発熱体、前記発熱体に電力を供給するための再充電可能電源、前記デバイスに隣接した前記周囲温度を感知するための温度センサー、および請求項1~10のいずれか1項に記載のコントローラを含む、電気加熱式エアロゾル発生デバイス。
【請求項14】
電気加熱式エアロゾル発生デバイスを制御する方法であって、
前記デバイスに隣接した周囲温度に依存して、再充電可能電源から発熱体に電力を供給する工程と、
前記デバイスに隣接した前記周囲温度が所定の低温閾値より低い時に前記発熱体に電力が供給されるのを阻止する工程とを含む、方法。
【請求項15】
前記デバイスに隣接した前記周囲温度が前記所定の低温閾値を超える時に前記発熱体に電力を供給する工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、前記デバイスに隣接した前記周囲温度を監視する工程を
含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、前記デバイスに隣接した前記周囲温度が所定の高温閾値を超える時に前記発熱体に電力が供給されるのを阻止する工程をさらに
含む、請求項14~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記デバイスに隣接した前記周囲温度が前記所定の高温閾値より低い時に前記発熱体に電力を供給する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記所定の低温閾値が、約10℃である、請求項14~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
電力が前記発熱体に供給されるのを阻止されている時にユーザに通知する工程をさらに含む、請求項14~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記電気加熱式エアロゾル発生デバイスが、コントローラを含み、前記方法が、ユーザが前記エアロゾル発生デバイスを起動してエアロゾルを発生させる時に前記コントローラによって実行される、請求項14~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記電気加熱式エアロゾル発生デバイスが、指標を含み、前記方法が、前記デバイスに隣接した前記周囲温度が
所定の温度範囲外である時に前記指標でユーザに表示する工程をさらに含む、請求項14~21のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気加熱式エアロゾル発生システムを制御する方法、電気加熱式エアロゾル発生装置を制御する方法、関連付けられた電気加熱式エアロゾル発生システムおよび装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
携帯可能な装置および一次充電装置を有するこうした電気システムの一例は、電気的に作動する喫煙システムである。電気的に作動する喫煙システムは、点火端のある喫煙装置と比較して副流煙を著しく減少させる一方で、消費者が喫煙体験中に喫煙システムを選択的に起動できる。電気的に作動する喫煙システムは一般に、エアロゾル発生物品または喫煙物品を受けるためのハウジング、エアロゾルを発生するための発熱体、電源および必要な電子回路を有するエアロゾル発生装置を含む。回路は、例えば、エアロゾル発生装置の加熱および充電を制御するための回路としうる。携帯可能な装置および一次充電装置を有することで、保持および使用が簡単な携帯可能な装置である小さなエアロゾル発生装置という利点を提供しながらも、反復使用のためにエアロゾル発生装置を急速かつ便利に再充電する能力もある。
【0003】
こうした周知のシステムにもかかわらず、電源充電プロセスの速度および効率の改善を可能にするニーズがなおも残っている。すなわち、充電装置電源の充電およびエアロゾル発生装置電源の充電である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の態様によれば、電気加熱式エアロゾル発生システムを制御する方法が提供されている。電気加熱式エアロゾル発生システムは、再充電可能電源を含む充電装置、および再充電可能電源を含むエアロゾル発生基体を受けるように構成された電気加熱式エアロゾル発生装置、および少なくとも一つの電気発熱体を備える。方法は、充電装置に隣接した周囲温度を監視する工程と、充電装置の再充電可能電源を充電するために、充電装置に隣接した周囲温度に依存して充電電流を決定する工程と、充電装置の再充電可能電源を決定した充電電流で充電する工程とを含む。充電装置に隣接した周囲温度が第一の所定の温度範囲内である時に充電電流が約0.1 C未満であり、充電装置に隣接した周囲温度が第二の所定の温度範囲内である時に充電電流が約0.1 Cよりも大きく、かつ、充電装置に隣接した周囲温度が所定の温度を超える時に充電装置の再充電可能な電力の充電を阻止するように、である。
【0005】
こうした充電方法を提供することで、充電装置の再充電可能電源が実質的に最適なレートでの再充電が可能となる一方で、電源の電流ステータスに対して大きすぎる充電電流が供給されることによって再充電可能電源を損傷するリスクが低減される。
【0006】
本明細書で使用される場合、「C」という用語は充電電流を意味し、1 Cは1000 mAhの再充電可能電源について1 Aと等しい。すなわち、再充電可能電源の容量が1時間に供給される充電電流である。
【0007】
一つの実施形態では、第一の温度範囲は約0℃~約10℃であり、また第二の温度範囲は約10℃~約45℃である。
【0008】
好ましい一つの実施形態では、充電装置に隣接した周囲温度が第二の所定の温度範囲内の時、充電電流は約0.2 Cである。
【0009】
充電装置の再充電可能電源は、電源の急速充電ができるよう構成されうる。この実施形態では、充電装置に隣接した周囲温度が第二の所定の温度範囲内の時、急速充電電流は約1 Cである。方法は、充電装置電源が急速充電されることを要求するユーザーからの入力を受ける工程を含みうる。さらに、または別の方法として、方法は、電力を供給して充電装置電源を再充電する入力電源のタイプを決定し、従って充電電流を決定する工程を含みうる。例えば、入力電源が再充電可能電源を急速充電するのに十分な電力を提供できない場合、充電電流0.2 Cが選択される。
【0010】
上述からすると、当然のことながら、第一および第二の温度範囲、および関連付けられた充電電流は、使用する電源のタイプに依存して、当業者によって変更されうる。
【0011】
方法はさらに、充電装置の再充電可能電源が充電中である時に、ユーザーにどの充電電流が電源に供給されているかを表示する工程を含みうる。どの充電電流が供給されているかを表示する工程は、光または一連の光などの視覚的指標、音または一連の音、および触覚的指標のうち少なくとも一つを利用することが好ましい。触覚的指標は振動または一連の振動としうる。視覚的指標はデジタルディスプレイとしうる。デジタルディスプレイは、充電装置の再充電可能電源を完全に充電するために要する時間の推定を提供しうる。
【0012】
方法はさらに、電気加熱式エアロゾル発生装置の再充電可能電源を充電するために、充電装置の再充電可能電源のための放電電流を決定する工程と、決定された放電電流で電気加熱式エアロゾル発生装置の再充電可能電源を充電する工程とを含むことが好ましい。充電装置に隣接した周囲温度が第三の所定の温度範囲内である時に放電電流は約0.1 C~約0.3 Cであり、充電装置に隣接した周囲温度が第四の所定の温度範囲内である時に放電電流が約0.8 C~約1.2 Cであり、充電装置に隣接した周囲温度が所定の温度を超える時に充電装置の再充電可能な電力の放電が阻止されるように、である。
【0013】
こうした充電方法を提供することで、電気加熱式エアロゾル発生装置の再充電可能電源が実質的に最適なレートでの再充電が可能となる一方で、電源の電流ステータスに対して大きすぎる充電電流が供給されることによって充電装置の再充電可能電源を損傷するリスクが低減される。理解されるとおり、充電装置電源の放電電流は、電気加熱式エアロゾル発生装置電源の充電電流と実質的に等価である。
【0014】
一つの実施形態で、第三の温度範囲は約-10℃~約0℃であり、また第四の温度範囲は約0℃~約45℃である。
【0015】
好ましい一つの実施形態で、充電装置に隣接した周囲温度が第三の所定の温度範囲内である時に放電電流は約0.2 Cであり、また充電装置に隣接した周囲温度が第四の所定の温度範囲内である時に放電電流は約1 Cである。
【0016】
方法はさらに、充電装置の再充電可能電源が放電中である時に、ユーザーにどの放電電流が電気加熱式エアロゾル発生装置の電源に供給されているかを表示する工程を含みうる。どの放電電流が供給されているかを表示する工程は、光または一連の光などの視覚的指標、音または一連の音、および触覚的指標のうち少なくとも一つを利用することが好ましい。触覚的指標は振動または一連の振動としうる。視覚的指標は電子ディスプレイとしうる。電子ディスプレイは、電気加熱式エアロゾル発生装置の再充電可能電源を完全に充電するのに必要な時間の推定を提供しうる。
【0017】
方法は、電気加熱式エアロゾル発生装置に隣接した周囲温度を監視する工程と、電源を再充電するために、装置に隣接した周囲温度に依存して充電電流を電気加熱式エアロゾル発生装置の再充電可能電源に供給する工程とをさらに含むことが好ましい。電気加熱式エアロゾル発生装置に隣接した周囲温度が所定の温度範囲内である時に約10 Cの充電電流を電源に供給し、電気加熱式エアロゾル発生装置に隣接した周囲温度が所定の温度範囲外である時に充電電流が電源に供給されるのを阻止するように、である。
【0018】
好ましい一つの実施形態で、所定の温度範囲が約0℃~約35℃である時、約10 Cの充電電流が電源に供給される。
【0019】
一つの実施形態で、周囲温度を監視する工程は毎分約1回~毎分約5回の頻度で実行されることが好ましい。周囲温度は毎分1回監視されることが好ましい。この実施形態で、充電電流を決定する工程は、監視された周囲温度の平均、好ましくは加重平均に依存して実行される。平均は、2つ、3つ、4つまたはそれ以上の測定値を使用して計算されうる。使用される場合、連続したそれぞれの測定値に適用される重み付けは、等差数列、または幾何級数で減少しうる。
【0020】
好ましい一つの実施形態では加重平均が使用され、ここで加重平均は、現在の測定された周囲温度および前回の加重平均を使用して計算される。現在の測定値には、約10%~約50%の重みが与えられ、また前回の加重平均には、従って約90%~約50%の重みが与えられる。適用される重み付けは、重み付けによって再充電可能電源の加熱レートまたは冷却レートについての近似値が生成されるように、再充電可能電源および周囲の空気の全体的な熱伝達係数に依存して選択されることが好ましい。初期的な加重平均は、周囲温度の第一の測定値に設定される。
【0021】
一例では、現在の測定値には約20%の重みが与えられ、また前回の加重平均には約80%の重みが与えられる。有利なことに、こうした重み付けによって、本明細書で説明したシステムの再充電可能な電力供給の比較的ゆっくりとした加熱レートまたは冷却レートに近づく。
【0022】
本発明のさらなる態様によれば、エアロゾル発生基体を受けるように構成された電気加熱式エアロゾル発生装置を制御する方法が提供されている。装置は、再充電可能電源と、少なくとも一つの電気発熱体とを含む。さらなる態様の方法は、装置に隣接した周囲温度を監視する工程と、装置に隣接した周囲温度に依存して、再充電可能電源から電力を発熱体に供給する工程とを含む。装置に隣接した周囲温度が所定の温度範囲内にある時に電力を発熱体に供給し、また装置に隣接した周囲温度が所定の温度範囲外である時に電力が発熱体に供給されるのを阻止するように、である。
【0023】
一つの実施形態で、使用温度範囲は約10℃~約70℃であり、約12℃~約65℃であることがより好ましい。温度が使用温度範囲の下端よりも低い時、温度が動作範囲内である時の発熱体の抵抗と比較して、発熱体の抵抗は低い。よって、オームの法則に従い、電流ドレインは高くなり、サイズおよび容量を増やすことなく、電気加熱式エアロゾル発生装置の電源は要求される電流を供給できない。
【0024】
この場合も、エアロゾル発生装置に隣接した周囲温度を監視する工程は、毎分約1回~毎分約5回の頻度で実行されることが好ましい。類似した加重平均過程は上述の通り使用されることが好ましい。現在の測定値には、約10%~約50%の重みが与えられ、また前回の加重平均には、従って約90%~約50%の重みが与えられる。適用される重み付けは、重み付けによって再充電可能電源の加熱レートまたは冷却レートについての近似値が生成されるように、再充電可能電源および周囲の空気の全体的な熱伝達係数に依存して選択されることが好ましい。この場合も、初期的な加重平均は、周囲温度の第一の測定値に設定される。
【0025】
一例では、現在の測定値には約30%の重みが与えられ、また前回の加重平均には約70%の重みが与えられる。有利なことに、これらの重み付けは、充電装置加重平均に使用される上述の20%/80%モデルよりも効率的にエアロゾル発生装置の加熱および冷却レートをモデル化するものであるが、これはエアロゾル発生装置のサーマルマスが充電装置のサーマルマスよりも小さいためである。従って、エアロゾル発生装置は充電装置よりも急速に加熱または冷却する。
【0026】
本発明のさらなる態様によれば、電気加熱式エアロゾル発生システムが提供されている。システムは、エアロゾル発生基体を受けるように構成された電気加熱式エアロゾル発生装置を含む。装置は、発熱体と、発熱体に電力供給するための再充電可能電源とを含む。システムは、電気加熱式エアロゾル発生装置を受けるように構成されている充電装置をさらに含む。充電装置は、電気加熱式エアロゾル発生装置を受けるためのくぼみと、電気加熱式エアロゾル発生装置の再充電可能電源を充電するための再充電可能電源と、充電装置に隣接した周囲温度を感知するための温度センサーと、外部電源から充電装置電源への電力供給を制御して、充電装置に隣接した周囲温度に依存して電源を再充電するためのコントローラとを含む。充電装置に隣接した周囲温度が第一の所定の範囲内である時にコントローラが約0.1 C未満の充電電流を供給するよう構成され、充電装置に隣接した周囲温度が第二の所定の範囲内である時にコントローラが約0.1 Cよりも大きい充電電流を供給するよう構成され、かつ、充電装置に隣接した周囲温度が所定の温度を超える時に充電装置の再充電可能な電力の充電を阻止するように、である。
【0027】
こうしたシステムを提供することで、充電装置の再充電可能電源が実質的に最適なレートでの再充電が可能となる一方で、電源の電流ステータスに対して大きすぎる充電電流が供給されることによって再充電可能電源を損傷するリスクが低減される。
【0028】
一つの実施形態では、第一の温度範囲は約0℃~約10℃であり、また第二の温度範囲は約10℃~約45℃である。
【0029】
好ましい一つの実施形態では、充電装置に隣接した周囲温度が第二の所定の温度範囲内の時、充電電流は約0.2 Cである。
【0030】
充電装置の再充電可能電源は、電源の急速充電ができるよう構成されうる。この実施形態では、充電装置に隣接した周囲温度が第二の所定の温度範囲内の時、急速充電電流は約1 Cである。コントローラは、充電装置電源が急速充電されることを要求するユーザーからの入力を受けるように構成されうる。さらに、または別の方法として、コントローラは、電力を供給して充電装置電源を再充電する入力電源のタイプを決定し、従って充電電流を決定するように構成されうる。例えば、入力電源が再充電可能電源を急速充電するのに十分な電力を提供できない場合、充電電流0.2 Cが選択される。
【0031】
充電装置は、外部電力を受け取って再充電可能電源を再充電するための手段を含みうることが好ましい。
【0032】
充電装置は、充電装置の再充電可能電源が充電中である時にどの充電電流が電源に供給されるかをユーザーに表示するための指標をさらに備えうる。指標は、光または一連の光などの視覚的指標、音または一連の音、および触覚的指標のうち少なくとも一つを含むことが好ましい。触覚的指標は振動または一連の振動としうる。視覚的指標はデジタルディスプレイとしうる。デジタルディスプレイは、充電装置の再充電可能電源を完全に充電するために要する時間の推定を提供しうる。
【0033】
充電装置コントローラはさらに、充電装置電源から電気加熱式エアロゾル発生装置電源への電力供給を制御して電源を再充電するように構成されることが好ましい。充電装置に隣接した周囲温度が第三の所定の温度範囲内である時にコントローラが約0.1 C~約0.3 Cの放電電流を電気加熱式エアロゾル発生装置の電源に供給するように構成され、充電装置に隣接した周囲温度が第四の所定の温度範囲内である時にコントローラが約0.8 C~約1.2 Cの放電電流を電気加熱式エアロゾル発生装置の電源に供給するよう構成され、また充電装置に隣接した周囲温度が所定の温度を超える時にコントローラが充電装置の再充電可能な電力の放電を阻止するよう構成されるように、である。
【0034】
こうしたコントローラを提供することで、電気加熱式エアロゾル発生装置の再充電可能電源が実質的に最適なレートでの再充電が可能となる一方で、電源の電流ステータスに対して大きすぎる充電電流が供給されることによって充電装置の再充電可能電源を損傷するリスクが低減される。理解されるとおり、充電装置電源の放電電流は、電気加熱式エアロゾル発生装置電源の充電電流と実質的に等価である。
【0035】
一つの実施形態で、第三の温度範囲は約-10℃~約0℃であり、また第四の温度範囲は約0℃~約45℃である。
【0036】
好ましい一つの実施形態で、充電装置に隣接した周囲温度が第三の所定の温度範囲内である時に放電電流は約0.2 Cであり、また充電装置に隣接した周囲温度が第四の所定の温度範囲内である時に放電電流は約1 Cである。
【0037】
充電装置の電源はリチウムイオン電池が好ましい。充電装置の電源は酸化リチウムコバルト電池がより好ましい。
【0038】
電気加熱式エアロゾル発生装置の電源もリチウムイオン電池が好ましい。電気加熱式エアロゾル発生装置の電源はリン酸鉄リチウム電池がより好ましい。
【0039】
充電装置はさらに、充電装置の再充電可能電源が放電中である時に、どの放電電流が電気加熱式エアロゾル発生装置の電源に供給されているかをユーザーに表示するための指標を備えうる。指標は、光または一連の光などの視覚的指標、音または一連の音、および触覚的指標のうち少なくとも一つを含むことが好ましい。触覚的指標は振動または一連の振動としうる。視覚的指標は電子ディスプレイとしうる。電子ディスプレイは、電気加熱式エアロゾル発生装置の再充電可能電源を完全に充電するのに必要な時間の推定を提供しうる。
【0040】
充電装置は、ユーザーに対して情報を表示するディスプレイ、またはさらなるディスプレイ(例えばデジタルディスプレイ)を含みうる。例えば、ディスプレイは、喫煙物品の消費、エネルギー使用量またはその他の情報を表示しうる。ディスプレイは、電気加熱式エアロゾル発生装置の電源が喫煙物品を消費するために使用されるのに十分に充電された時点をさらに表示しうる。
【0041】
充電装置はさらに、ハウジング、およびハウジングに取り付けられたリッドを含むことが好ましい。リッドは、リッドが閉位置にある時に電気加熱式エアロゾル発生装置にアクセスできないように、くぼみの開放端上で閉じるように構成される。充電装置はさらに、リッドが開いている時に電気加熱式エアロゾル発生装置への電力供給を阻止するための手段を備えうる。
【0042】
リッドは、ヒンジ付リッドが好ましい。ヒンジは、ハウジングの上部を前部壁から後部壁へと横切って延びることが好ましい。ヒンジは、リッドを第一の位置で保持するよう構成されたバネを備えうる。ヒンジはまた、リッドが第二の位置から第一の位置へと移動する時に、リッドの動きを弱めるように構成されたダンパーを備えうる。別の方法として、ヒンジは、リッドを第二の位置で保持するよう構成されたバネを備えうる。この代替案では、リッドは、リッドを第一の位置で保持するための手段が提供されることが好ましく、この保持手段はバネによってリッドに適用される力に克服する十分な力を提供するよう構成されている。
【0043】
保持手段は、少なくとも一つの磁石および少なくとも一つの対応する第一鉄要素を備えうる。少なくとも一つの磁石は主要装置のハウジング内に提供され、また第一鉄要素はリッド内に提供されている。別の方法として、保持手段はラッチタイプの配置としうる。
【0044】
ヒンジ付リッドは、ハウジングの上部全体を形成しうる。この代替案では、ヒンジはリッドの内部にあり、かつハウジングの側壁に隣接したものとしうる。
【0045】
充電装置のハウジングは、前部壁、後部壁、下部壁、上部壁、第一の側壁および第二の側壁を含むことが好ましい。
【0046】
「前方」、「後方」、「上」、「下」、「側」、「上部」、「下部」、「左」、「右」という用語、および充電装置および電気加熱式エアロゾル発生装置の構成要素の相対的位置を描写するために使用されるその他の用語は、くぼみの開口部が上部端で電気加熱式エアロゾル発生装置を受けるように構成されている直立位置にある充電装置のことを意味する。
【0047】
「長軸方向」という用語は底部から上部またはその反対の方向を意味する。「横断する」という用語は、長軸方向と直角を成す方向を意味する。
【0048】
充電装置は、2つの幅の狭い側壁によって間隙を介する2つの幅の広い壁と、上部および下部の壁とを含む、実質的に直方体としうる。電気加熱式エアロゾル発生装置は、細長いことが好ましい。
【0049】
温度センサーは、測定された温度と周囲温度との間の関係が改善されるように、充電装置ハウジングの壁と接触して提供されることが好ましい。温度センサーは、熱電対またはサーミスタとしうる。
【0050】
システムの電気加熱式エアロゾル発生装置は、装置に隣接した周囲温度を感知するための温度センサーをさらに含むことが好ましい。充電装置コントローラはさらに、充電装置電源から電気加熱式エアロゾル発生装置電源への電力供給を制御し、電気加熱式エアロゾル発生装置に隣接した周囲温度に依存して電源を再充電するように構成されることが好ましい。電気加熱式エアロゾル発生装置に隣接した周囲温度が所定の温度範囲内である時にコントローラが約10 Cの充電電流を電源に供給するように構成され、また電気加熱式エアロゾル発生装置に隣接した周囲温度が所定の温度範囲外である時、充電電流が電源に供給されるのを阻止するようコントローラが構成されるように、である。
【0051】
好ましい一つの実施形態で、所定の温度範囲が約0℃~約35℃である時、約10 Cの充電電流が電源に供給される。
【0052】
電気加熱式エアロゾル発生装置の温度センサーは、測定された温度と周囲温度との間の関係が改善されるように、装置のハウジングの壁と接触して提供されることが好ましい。温度センサーは、熱電対またはサーミスタとしうる。別の方法として、温度を測定するために発熱体をサーミスタとして使用してもよい。
【0053】
本発明のなおさらなる態様によれば、エアロゾル発生基体を受けるように構成された電気加熱式エアロゾル発生装置が提供されている。装置は、発熱体と、発熱体に電力供給するための再充電可能電源と、装置に隣接した周囲温度を感知するための温度センサーと、装置に隣接した周囲温度に依存して、電源から発熱体への電力供給を制御するためのコントローラとを備える。装置に隣接した周囲温度が所定の温度範囲内にある時に電力を発熱体に供給するようにコントローラが構成され、また装置に隣接した周囲温度が所定の温度範囲外である時に発熱体に電力が供給されるのを阻止するようにコントローラが構成されるように、である。
【0054】
装置はさらに、装置に隣接した周囲温度が所定の温度範囲外である時に、ユーザーに表示するための指標を含みうる。
【0055】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品の形態でのエアロゾル発生基体を受け、また喫煙の体験時にユーザーによって保持されるように設計されることが好ましい。エアロゾル発生装置の電源は、エアロゾルの発生が始まる前にエアロゾル形成基体を使用温度まで加熱するよう適合されることが好ましい。エアロゾル発生装置内の電源もまた、エアロゾル発生時にエアロゾル形成基体の温度を維持するように適合される。
【0056】
エアロゾル発生装置は、点火端のある紙巻たばこと類似したサイズか、またはそれよりわずかに大きいものであることが好ましい。従って、装置は、点火端のある紙巻たばこと類似した方法でユーザーの指の間に保持されうる。
【0057】
エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生物品、または喫煙物品の形態であることが好ましい。
【0058】
本明細書で使用される時、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を持つ基体に関連する。こうした揮発性化合物はエアロゾル形成基体の加熱により放出される。エアロゾル形成基体は固体でも液体でもよく、固体および液体の両方の成分を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、担体または支持体に吸着、被覆、含浸またはその他の方法で装填される場合がある。エアロゾル形成基体は、好都合なことにエアロゾル発生物品または喫煙物品の一部でありうる。
【0059】
エアロゾル形成基体はニコチンを含む場合がある。エアロゾル形成基体はたばこを含みうるが、例えば加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含むたばこ含有材料を含みうる。好ましい実施形態で、エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料、例えばキャストリーフたばこを備えうる。エアロゾル形成基体は、プロピレングリコールまたはグリセリンなどの少なくとも一つのエアロゾル形成剤を含みうる。
【0060】
本明細書で使用される時、「エアロゾル発生物品」および「喫煙物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を持つエアロゾル形成基体を含む物品を意味する。例えば、エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通ってユーザーの肺に直接吸入可能なエアロゾルを生成する喫煙物品としうる。エアロゾル発生物品は、使い捨てとしうる。これ以降、「エアロゾル発生物品」という用語を一般的に使用する。
【0061】
エアロゾル形成基体の加熱によって形成されたエアロゾルは、エアロゾル形成基体の燃焼または熱分解の劣化によって生成されるよりも少ない既知の有害成分を含みうる。エアロゾル発生物品は、たばこスティックとしうるか、またはそれを含みうる。
【0062】
エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含むことが好ましい。別の方法として、エアロゾル形成基体は、非たばこ材料を含みうる。エアロゾル形成基体は、さらにエアロゾル形成体を含みうる。適切なエアロゾル形成剤の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0063】
エアロゾル形成基体は固体の基体であってもよい。固体基体は、例えば、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の破片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこおよび膨化たばこのうち1つ以上を含む、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートのうち一つ以上を含みうる。随意に、基体は、基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含みうる。随意に、固体の基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもまたはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートなどの形態をとりうる。別の方法として、担体は、その内部表面上、またはその外部表面上、またはその内側表面および外側表面上の両方に配置された固体基体の薄い層を持つ、管状の担体としうる。こうした管状の担体は、例えば、紙、または紙様の材料、不織布炭素繊維マット、質量の小さく目の粗いメッシュ金属スクリーン、または穴あきの金属箔またはその他の任意の熱的に安定した高分子マトリクスで形成しうる。固体の基体は、例えば、シート、泡、ゲルまたはスラリーの形態で担体の表面上に沈着してもよい。固体の基体は、担体の全表面上に沈着してもよく、または代わりに、使用の間、均一でない風味送達を提供するために一定のパターンにおいて沈着してもよい。別の方法として、担体は、たばこ成分が組み込まれた不織布繊維または繊維の束としうる。不織布繊維または繊維の束は、例えば、炭素繊維、天然セルロース繊維、またはセルロース誘導体繊維を含みうる。
【0064】
エアロゾル形成基体は、液体基体でもよく、また喫煙物品は、液体基体を保持するための手段を含みうる。エアロゾル形成基体は別の方法として、その他任意の種類の基体(例えば、ガス基体)、または様々な基体タイプの任意の組み合わせとしうる。
【0065】
本発明の1つの態様のいずれの特徴も、任意の適切な組み合わせにおいて本発明のその他の態様にも適用されうる。特に、方法の態様は装置の態様に適用でき、その逆もまた可である。さらに具体的に言えば、本明細書で充電装置および電気加熱式エアロゾル発生装置に関連して説明したコントローラは、電力供給の制御に関連した任意の方法の態様を遂行するように構成しうる。さらにまた、1つの態様における任意の一部および/またはすべての特徴は、任意の適切な組み合わせにおいて、任意のその他の態様の任意の一部および/またはすべての特徴に適用されうる。
【0066】
当然ながら、本発明の任意の態様において説明および定義された種々の特徴の特定の組み合わせを独立して実施および/または供給および/または使用できる。
【0067】
本発明は以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】
図1は、本発明による充電ユニットおよび電気加熱式エアロゾル発生装置の略図を示す。
【
図2】
図2は、充電ユニットおよび電気加熱式エアロゾル発生装置を有する本発明のシステムを示す。
【
図3】
図3は、充電ユニットを充電するための制御工程の流れ図を示す。
【
図4】
図4は、充電ユニットを放電するための制御工程の流れ図を示す。
【
図5】
図5は、電気加熱式エアロゾル発生装置を充電するための制御工程の流れ図を示す。
【
図6】
図6は、電気加熱式エアロゾル発生装置を放電するための制御工程の流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
図1(a)は充電装置100を示す。この例の充電装置100は、電気加熱式の喫煙システム用である。
図1(b)は、電気加熱式エアロゾル発生装置102を示す。電気加熱式エアロゾル発生装置102は、エアロゾル形成基体を含む喫煙物品104を受けるように適合される。充電装置100は、エアロゾル発生装置が電気接点110と接続された時に電池106からエアロゾル発生装置に電力を供給するように構成されている、再充電可能電池106、制御電子回路108、および電気接点110を含む。充電装置はさらに温度センサー111を含む。再充電可能電池108は、酸化リチウムコバルト電池である。
【0070】
充電装置は、測定された温度に依存して、電池106を利用してエアロゾル発生装置を充電するよう構成されている。電気接点110は、くぼみ112の底部に隣接して提供されている。くぼみは、エアロゾル発生装置102を受けるように構成されている。リッド114は、エアロゾル発生装置102を充電装置100のくぼみ112内に固定するよう構成されるように提供されている。充電装置100の構成要素は、ハウジング116内に格納される。リッド114は、ヒンジ118によってハウジング116に連結されている。
【0071】
さらに、充電装置100には、一連の3つの指標120、122および124が提供されている。指標120は、充電装置電池106内に残っている充電レベルを示すために提供される。指標120は、充電装置の電池内に残っている充電のパーセンテージを示しうる。例えば、100%であれば電池106が完全に充電されていることを示し、また50%であれば電池106が半分だけ充電されていることを示す。別の方法として、指標120は、単に充電装置の電池がどの時点で再充電を必要とするかを示しうる。
【0072】
第二の指標122は、エアロゾル発生装置102が完全に充電されており、エアロゾルを発生するために使用される準備が整っていることを示すために提供されている。指標122は、エアロゾル発生装置が、ユーザーに完全な喫煙の体験を提供するために十分な電力、例えば、エアロゾル形成基体104全体をエアロゾル化するのに十分な電力、または所定回数の吸煙をするのに十分な電力を供給する能力があるようになった時点で、この準備完了の状態を示すのみである。
【0073】
第三の指標124は、外部電源(図示せず)から電池106を再充電するために使用される充電方式を示すために提供されている。様々な充電方式が下記に詳しく説明されている。
【0074】
エアロゾル発生装置102は、再充電可能電池126、制御電子回路128および電気接点130を備える。上述の通り、エアロゾル発生装置102の再充電可能電池126は、電気接点130が充電装置100の電気接点110と接触している時に、充電装置電池106から電力供給を受けるように構成されている。エアロゾル発生装置はさらに、装置に隣接した周囲温度を測定するための温度センサー131を備える。再充電可能電池126は、リン酸鉄リチウム電池である。
【0075】
エアロゾル発生装置102はさらに、エアロゾル発生物品104を受けるように構成されたくぼみ132を含む。例えば、ブレードヒーターの形態のヒーター134は、くぼみ132の底部に提供される。使用時、ユーザーがエアロゾル発生装置102を起動すると、電力が電池126から制御電子回路128を経由してヒーター134に供給される。ヒーターは、エアロゾル発生物品104のエアロゾル形成基体からエアロゾルを発生させるのに十分な標準使用温度に加熱される。エアロゾル発生装置102の構成要素は、ハウジング136内に格納される。
【0076】
図2は、充電装置100のくぼみ内に格納されたエアロゾル発生装置102を示す。リッド114は閉位置で示されている。この閉位置では、リッドは、充電装置とエアロゾル発生装置の間に良好な電気的接続が行われるように、エアロゾル発生装置102に作用するよう構成されている。見て分かる通り、エアロゾル発生装置の電気接点130は、充電装置の電気接点110と係合される。
【0077】
充電装置の制御電子回路108は、外部電源による充電装置電池106の充電の制御と、周囲温度に依存したエアロゾル発生装置電池126の充電の制御のどちらも行うように構成される。制御電子回路108によって利用される制御方法を、それぞれ
図3および
図4を参照しながら説明する。
【0078】
使用時、ユーザーが外部電源への充電装置を接続する時に、制御電子回路108は、
図3に示す以下の方法を使用して適切な充電電流を決定する。
【0079】
充電装置に隣接した周囲温度は温度センサー111を使用して測定され、周囲温度の加重平均が計算される。現在の温度測定値には20%の重みが与えられ、また前回の加重平均には80%の重みが与えられる。温度測定値が第一の温度測定値である場合、加重平均は現在の温度に設定される。
【0080】
次に、制御電子回路108は加重平均温度が第一の温度範囲内であるかどうかを判断する。特定の一例において、第一の温度範囲は0℃~10℃である。加重平均温度がその範囲内である場合、制御電子回路は0.1 C未満の充電電流を電池106に供給する。
【0081】
加重平均温度がその範囲内ではない場合、制御電子回路は加重平均温度が第二の温度範囲内であるかどうかを判断する。特定の一例において、第二の温度範囲は10℃~45℃である。加重平均温度が第二の温度範囲内ではない場合、電池106は使用温度範囲外であり、電池を損傷から保護するために充電は開始されない。指標124は、これをユーザーに示す。
【0082】
加重平均温度が第二の温度範囲内である場合、制御電子回路108は急速充電が要求されるかどうかを判断し、要求される場合にはおよそ1 Cの充電電流が供給され、そうでない場合にはおよそ0.2 Cの充電電流が供給される。
【0083】
各段階で充電電流が決定され、1分の期間の経過後、その過程が繰り返される。
【0084】
使用時、ユーザーがエアロゾル発生装置を充電装置に挿入し、エアロゾル発生装置の充電を起動する時、制御電子回路108は、
図4に示す以下の方法を使用して適切な充電電流を決定する。
【0085】
この場合も、充電装置に隣接した周囲温度は、温度センサー111を使用して測定され、周囲温度の加重平均が計算される。現在の温度測定値には20%の重みが与えられ、また前回の加重平均には80%の重みが与えられる。温度測定値が第一の温度測定値である場合、加重平均は現在の温度に設定される。
【0086】
次に、制御電子回路108は加重平均温度が第三の温度範囲内であるかどうかを判断する。特定の一例において、第三の温度範囲は-10℃~0℃である。加重平均温度がその範囲内である場合、制御電子回路はおよそ0.2 Cの充電電流を電池126に供給する。
【0087】
加重平均温度がその範囲内ではない場合、制御電子回路は加重平均温度が第四の温度範囲内であるかどうかを判断する。特定の一例において、第二の温度範囲は0℃~45℃である。加重平均温度が第四の温度範囲内ではない場合、電池126は使用温度範囲外であり、電池を損傷から保護するために充電は開始されない。指標124は、これをユーザーに示す。
【0088】
加重平均温度が第四の温度範囲内である場合、制御電子回路108はおよそ1 Cの充電電流を電池126に供給する。
【0089】
各段階で充電電流が決定され、1分の期間の経過後、その過程が繰り返される。
【0090】
さらに、エアロゾル発生装置の制御電子回路128は、装置電池126の充電の制御と、周囲温度に依存した装置の使用の制御のどちらも行うように構成される。制御電子回路128によって利用される制御方法を、それぞれ
図5および
図6を参照しながら説明する。
【0091】
ユーザーがエアロゾル発生装置の充電を開始する時、エアロゾル発生装置の制御電子回路128は、
図5に示す方法を遂行して、電池126が充電されうるかどうかを判断するように構成されている。
【0092】
装置102に隣接した周囲温度は、温度センサー131を使用して測定され、周囲温度の加重平均が計算される。現在の温度測定値には10~50%の重みが与えられ、また前回の加重平均には90~50%の重みが与えられる。温度測定値が第一の温度測定値である場合、加重平均は現在の温度に設定される。
【0093】
次に、制御電子回路128は加重平均温度がある使用温度範囲内であるかどうかを判断する。特定の一例において、使用温度範囲は0℃~35℃である。加重平均温度がその範囲内である場合、制御電子回路はおよそ10 Cの充電電流が電池126に供給できるようにする。ところが、充電装置温度は、上述の制御方法に従ってこの充電レートを変化させうる。
【0094】
加重平均温度がこの範囲内ではない場合、制御電子回路は、電池を損傷するリスクを低減するために電池126が充電されないよう阻止する。
【0095】
各段階で充電電流が決定され、1分の期間の経過後、その過程が繰り返される。
【0096】
最後に、ユーザーがエアロゾル発生装置を起動してエアロゾルを発生させる時にコントローラ128によって
図6の方法が実施される。
【0097】
この場合も、装置102に隣接した周囲温度は温度センサー131を使用して測定され、周囲温度の加重平均が計算される。現在の温度測定値には10~50%の重みが与えられ、また前回の加重平均には90~50%の重みが与えられる。温度測定値が第一の温度測定値である場合、加重平均は現在の温度に設定される。
【0098】
次に、制御電子回路128は加重平均温度がある使用温度範囲内であるかどうかを判断する。特定の一例において、使用温度範囲は12℃~65℃である。加重平均温度がこの範囲内である場合、制御電子回路は発熱体134に電力が供給できるようにする。
【0099】
加重平均温度が使用温度範囲外である場合、制御電子回路128は電力が発熱体134に供給されることを阻止する。
【0100】
1分の期間経過後、この過程が繰り返される。
【0101】
温度が使用温度範囲の下端より低い時、発熱体の抵抗は、電池126が十分な電流を供給するには低すぎることになる。特定の一例において、発熱体は、0℃でおよそ0.7オーム、および300℃(発熱体がエアロゾルを発生するために維持される温度)でおよそ2オームの抵抗を持つ。電池の公称電圧は0℃で3.3 Vであり、また動作中は電池の公称電圧は300℃で3.0 Vである。従って、0℃では電流ドレインは、3.3 / 0.7 = 4.7 Aとなるが、300℃では電流ドレインは3.0 / 2 = 1.5となる。
【0102】
温度が使用温度範囲の上端よりも高い時、エアロゾル発生装置の使用により、制御電子回路の温度がその設計温度上限の80℃を超えて上昇する場合があり、これが信頼できない性能を招きかねない。
【0103】
手短に言えば、制御電子回路128が電力を発熱体134に供給する時、発熱体134はおよそ300℃に加熱する。発熱体134はエアロゾル発生物品104のエアロゾル発生基体と接触している。これにより、エアロゾル発生基体は、ユーザーがエアロゾル発生物品104を吸った時に吸入できるエアロゾルを発生させる。
【0104】
本発明は、添付した図を参照しながら、上記で例示してきた。ところが、当然のことながら、本明細書で説明した制御方法は、その他のタイプの携帯可能な装置にも適用されうる。
【0105】
1. 電気加熱式エアロゾル発生システムを制御する方法であって、前記電気加熱式エアロゾル発生システムが、再充電可能電源を含む充電装置と、再充電可能電源を含むエアロゾル発生基体を受けるように構成された電気加熱式エアロゾル発生装置と、少なくとも一つの電気発熱体とを含み、前記方法が、
前記充電装置に隣接した周囲温度を監視する工程と、
前記充電装置の前記再充電可能電源を充電するために、前記周囲温度に依存して充電電流を決定する工程と、
前記充電装置の前記再充電可能電源を前記決定された充電電流で充電する工程とを含み、ここで、
前記周囲温度が第一の所定の温度範囲内である時に前記充電電流が約0.1 C未満であり、
前記周囲温度が第二の所定の温度範囲内である時に前記充電電流が約0.1 Cよりも大きく、
前記周囲温度が所定の温度を超える時に前記充電装置の前記再充電可能な電力の充電が阻止される、方法。
2. 前記充電装置の前記再充電可能電源が充電中である時に、ユーザーにどの充電電流が前記電源に供給されているかを表示する工程をさらに含む、1に記載の方法。
3. 1に記載の方法であって、さらに、
電気加熱式エアロゾル発生装置の再充電可能電源を充電するために、前記充電装置の前記再充電可能電源のための放電電流を決定する工程と、
前記決定された放電電流で前記電気加熱式エアロゾル発生装置の前記再充電可能電源を充電する工程とを含み、ここで
前記周囲温度が第三の所定の温度範囲内である時に前記放電電流は約0.1 C~約0.3 Cであり、
前記周囲温度が第四の所定の温度範囲内である時に前記放電電流は約0.8 C~約1.2 Cであり、
前記周囲温度が所定の温度を超える時に前記充電装置の前記再充電可能な電力の放電が阻止される、方法。
4. 前記充電装置の前記再充電可能電源が放電中である時、前記電気加熱式エアロゾル発生装置の前記電源にどの放電電流が供給されているかをユーザーに表示する工程をさらに含む、3に記載の方法。
5. 1~4のいずれかに記載の方法であって、さらに、
前記電気加熱式エアロゾル発生装置に隣接した前記周囲温度を監視する工程と、
前記電源を再充電するために、前記周囲温度に依存して、充電電流を前記電気加熱式エアロゾル発生装置の前記再充電可能電源に供給する工程とを含み、ここで、
前記電気加熱式エアロゾル発生装置に隣接した前記周囲温度が所定の温度範囲内である時に約10 Cの充電電流を前記電源に供給し、
前記電気加熱式エアロゾル発生装置に隣接した前記周囲温度が所定の温度範囲外である時に充電電流が前記電源に供給されるのを阻止する、方法。
6. 前記周囲温度を監視する前記工程が、毎分約1回~毎分約5回の頻度で実行される、1~5のいずれかに記載の方法。
7. 前記充電電流を決定する工程が、前記監視された周囲温度の加重平均に依存して実行される、6に記載の方法。
8. エアロゾル発生基体を受けるように構成された電気加熱式エアロゾル発生装置を制御する方法であって、前記装置が再充電可能電源と、少なくとも一つの電気発熱体とを含み、前記方法が、
前記装置に隣接した前記周囲温度を監視する工程と、
前記装置に隣接した前記周囲温度に依存して、電力を前記再充電可能電源から前記発熱体に供給する工程とを含み、ここで、
前記装置に隣接した前記周囲温度が所定の温度範囲内にある時、前記発熱体に電力を供給し、
前記装置に隣接した前記周囲温度が所定の温度範囲外である時、電力が前記発熱体に供給されるのを阻止する、方法。
9. 電気加熱式エアロゾル発生システムであって、
エアロゾル発生基体を受けるように構成された電気加熱式エアロゾル発生装置を含み、前記装置が、
発熱体と、
前記発熱体に電力供給するための再充電可能電源と、
前記電気加熱式エアロゾル発生装置を受けるように構成されている充電装置とを含み、前記充電装置が、
前記電気加熱式エアロゾル発生装置を受けるためのくぼみと、
前記電気加熱式エアロゾル発生装置の前記再充電可能電源を充電するための再充電可能電源と、
前記装置に隣接した前記周囲温度を感知するための温度センサーと、
外部電源から前記充電装置電源への前記電力供給を制御して、前記充電装置に隣接した前記周囲温度に依存して、前記電源を再充電するためのコントローラとを含み、ここで、
前記充電装置に隣接した前記周囲温度が第一の所定の範囲内である時に前記コントローラが約0.1 C未満の充電電流を供給するように構成され、
前記充電装置に隣接した前記周囲温度が第二の所定の範囲内である時に前記コントローラが約0.1 Cよりも大きな充電電流を供給するように構成され、
前記充電装置に隣接した前記周囲温度が所定の温度を超える時、前記充電装置の前記再充電可能な電力の充電が阻止される、システム。
10. 前記充電装置が、前記充電装置の前記再充電可能電源が充電中である時にどの充電電流が前記電源に供給されるかをユーザーに表示するための指標をさらに含む、9に記載のシステム。
11. 前記充電装置コントローラがさらに、前記充電装置電源から前記電気加熱式エアロゾル発生装置電源への前記電力供給を制御して前記電源を再充電するように構成されている、9または10に記載のシステムであって、
前記充電装置に隣接した前記周囲温度が第三の所定の温度範囲内である時に前記コントローラが約0.1 C~約0.3 Cの放電電流を前記電気加熱式エアロゾル発生装置の前記電源に提供するよう構成され、
前記充電装置に隣接した前記周囲温度が第四の所定の温度範囲内である時に前記コントローラが約0.8 C~約1.2 Cの放電電流を前記電気加熱式エアロゾル発生装置の前記電源に提供するように構成され、
前記充電装置に隣接した前記周囲温度が所定の温度を超える時に前記コントローラが前記充電装置の前記再充電可能な電力の放電を阻止するように構成されている、システム。
12. 前記充電装置が、前記充電装置の前記再充電可能電源が放電中である時に、どの放電電流が前記電気加熱式エアロゾル発生装置の前記電源に供給されているかをユーザーに表示するための指標をさらに含む、11に記載のシステム。
13. 前記電気加熱式エアロゾル発生装置が、前記装置に隣接した前記周囲温度を感知するための温度センサーをさらに含み、前記充電装置コントローラがさらに、前記電気加熱式エアロゾル発生装置に隣接した前記周囲温度に依存して、前記充電装置電源から前記電気加熱式エアロゾル発生装置電源への前記電力供給を制御して前記電源を再充電するように構成される、9、10、11または12のいずれかに記載のシステムであって、 前記電気加熱式エアロゾル発生装置に隣接した前記周囲温度が所定の温度範囲内である時に前記コントローラが約10 Cの充電電流を前記電源に供給するように構成され、 前記電気加熱式エアロゾル発生装置に隣接した前記周囲温度が所定の温度範囲外である時に充電電流が前記電源に供給されるのを阻止するように前記コントローラが構成されている、システム。
14. エアロゾル発生基体を受けるように構成された電気加熱式エアロゾル発生装置であって、
発熱体と、
前記発熱体に電力供給するための再充電可能電源と、
前記装置に隣接した前記周囲温度を感知するための温度センサーと、
前記装置に隣接した前記周囲温度に依存して、前記電源から前記発熱体への電力供給を制御するためのコントローラとを含み、ここで
前記装置に隣接した前記周囲温度が所定の温度範囲内にある時に前記コントローラが電力を前記発熱体に供給するように構成され、
前記装置に隣接した前記周囲温度が所定の温度範囲外である時に電力が前記発熱体に供給されるのを阻止するように前記コントローラが構成されている、電気加熱式エアロゾル発生装置。
15. 前記装置に隣接した前記周囲温度が所定の温度範囲外である時にユーザーに表示するための指標をさらに含む、14に記載の装置。