(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】舗装層間滞水の検出方法
(51)【国際特許分類】
E01C 23/01 20060101AFI20241205BHJP
E01D 22/00 20060101ALI20241205BHJP
G01V 3/12 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
E01C23/01
E01D22/00 A
G01V3/12 B
(21)【出願番号】P 2021042975
(22)【出願日】2021-03-16
【審査請求日】2024-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000208204
【氏名又は名称】大林道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197848
【氏名又は名称】石塚 良一
(72)【発明者】
【氏名】福本 勝司
(72)【発明者】
【氏名】光谷 修平
(72)【発明者】
【氏名】小関 裕二
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-032853(JP,A)
【文献】青野 健治, 他5名,マルチアンテナ方式ステップ周波数型GPRによる路面下探査について,土木学会年次学術講演会講演概要集,土木学会,2013年09月,第68回, 第6部門,p.187-p.188
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 23/01
E01D 22/00
G01V 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周波数ステップで連続して電磁波を送受信可能なレーダアンテナと、該レーダアンテナを制御可能なコントロールユニットと、該コントロールユニットを制御するとともに
アスファルト混合物から成る層を含む舗装体の内部における解析結果を表示出力することが可能な制御PCと、を使用した前記舗装体の上層と非透水又は透水し難い下層との間の層間における滞水を検出する方法であって、
前記制御PCは、
前記レーダアンテナによって取得された探査データを解析するとともに該解析によって反射波形データを取得し、
前記反射波形データの波形を振幅によって色分けして深度断面画像を出力し、
前記深度断面画像における前記層間を含む前記上層及び前記下層の水平断面を複数のレイヤーに分け、該複数のレイヤーにおける解析結果に基づいて、前記層間における前記滞水の有無を検出する
ことを特徴とする舗装層間滞水の検出方法。
【請求項2】
前記レーダアンテナによる計測パラメータとして、前記レーダアンテナの進行方向のデータ密度を2~4cm、周波数ステップの間隔を14~20MHz、電磁波の送信時間を0.5μsに設定する
請求項1に記載の舗装層間滞水の検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポットホールの発生要因に成りうる舗装体内の層間における滞水を検出することが可能な、舗装層間滞水の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルト舗装におけるポットホールの主な要因として、土工部であれば、表層/基層/アスファルト安定処理路盤の各層間や、橋梁部であれば、表層/レベリング層/床版の各層間において、下層が非透水となるような箇所に何らかの原因によって滞水することが挙げられる。このような滞水があると、
図1(b)に示されるように、その上層のアスファルト混合物層において、アスファルト被膜が水で洗い取られて骨材から剥離し、結果、骨材間の結合が失われてポットホールが発生することがある。
【0003】
また、
図1(a)に示されるように、非透水層上にポットホールの要因となる滞水箇所が存在していたり、表層のポーラスアスファルト内に堆積した塵が保水しているような場合、従来は舗装表面の熱赤外線画像を撮像し、その温度分布状態を調査することによって滞水箇所などの特定を行っていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来の方法によって舗装表面の温度差を検出して滞水箇所を特定するには、太陽光が舗装表面に照射され始め、舗装体の温度が大きく変化するタイミング、若しくは、日没にともなって舗装体の温度が大きく変化するタイミングでしか行えなかった。加えて、舗装表面に周辺構造物等による影が生じる場合は輻射の差が調査に悪影響を及ぼす。さらに、通行車両の車輪の通過によって熱伝導の差が影響することもあり、汎用的な観測が難しいという問題があった。
【0006】
また、
図1(a)に示されるように、水に強いポーラスアスファルトに堆積した塵が保水していても、それがポットホールの発生要因となる可能性は低い。一方、非透水層上に滞水箇所が存在し、その上層に通常のアスファルト混合物層(基層及び/又は表層)がある場合は、ポットホールが発生する前に発見して適切な処理を行う必要がある。しかし、上記した従来の検出方法では、ポーラスアスファルトに堆積した塵が保水しているのか、非透水層上に生じたポットホールの要因となる滞水が存在しているのか、その違いを判別することができなかった。
【0007】
そこで、本発明は、従来技術のような舗装表面の温度変化による影響を何ら受けることなく、また、ポーラスアスファルト内に堆積した塵が保水しているような状況下にあっても、ポットホールの発生要因となりうる舗装体内の層間における滞水を高精度に検出することが可能な、舗装層間滞水の検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)所定の周波数ステップで連続して電磁波を送受信可能なレーダアンテナと、該レーダアンテナを制御可能なコントロールユニットと、該コントロールユニットを制御するとともに舗装体の内部における解析結果を表示出力することが可能な制御PCと、を使用した前記舗装体の上層と非透水又は透水し難い下層との間の層間における滞水を検出する方法であって、前記層間を含む前記上層及び前記下層の水平断面を複数のレイヤーに分け、該複数のレイヤーにおける解析結果に基づいて、前記層間における前記滞水の有無を検出することを特徴とする舗装層間滞水の検出方法である。
【0009】
上記(1)の構成によれば、舗装体の構成材料と水との大きな誘電率の違いを利用し、層間を含む上層及び下層の水平断面を複数のレイヤーに分けて解析することによって、層間に存在する滞水を、高精度に検出することが可能となる。またこれにより、従来技術のような舗装表面の温度変化による影響を何ら受けることなく、さらに、ポーラスアスファルト内に堆積した塵が保水しているような状況下にあっても、これと区別して層間における滞水を検出することが可能Tとなる。
【0010】
(2)前記レーダアンテナによる計測パラメータとして、前記レーダアンテナの進行方向のデータ密度を2~4cm、周波数ステップの間隔を14~20MHz、電磁波の送信時間を0.5μsに設定する上記(1)に記載の舗装層間滞水の検出方法である。
【0011】
上記(2)の構成によれば、計測パラメータとして、レーダアンテナの進行方向のデータ密度を2~4cm、周波数ステップの間隔を14~20MHz、電磁波の送信時間を0.5μsに設定することにより、時速30~80kmの速度でレーダアンテナを移動させて滞水の検出が可能となる。このような効果を得ることによって、一般道や高速道路などで、交通規制を行うことなく通常に走行しながら極めて高精度に層間の滞水を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ポットホールの発生メカニズム及び従来課題を説明する断面図である。
【
図2】本発明の実施形態における、滞水の検出原理を説明する図である。
【
図3】本発明の実施形態における、電磁波の送受信態様を説明する図である。
【
図4】本発明の実施形態における、検出画像の断面を説明する斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態における、層間における滞水の探査態様を説明する斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態における、システム構成を説明する図である。
【
図7】本発明の実施形態における、検出画像の断面位置を説明する平面図である。
【
図8】本発明の実施形態における、検出画像の表示出力態様及びレイヤー分析の方法を説明する図である。
【
図9】本発明の実施形態における、レイヤー分析の方法を説明する図である。。
【
図10】本発明の実施形態における、検出画像の表示出力態様を説明する図である。
【
図11】検証実験における探査時の計測パラメータを示す表である。
【
図12】検証実験における探査エリアの滞水箇所を示した平面図である。
【
図13】
図11の計測パラメータごとに表示出力した縦断面の検出画像である。
【
図14】
図11の計測パラメータごとに表示出力した水平断面の検出画像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の舗装層間滞水の検出方法について、図面を参照しながら実施形態について説明する。
【0014】
図2には、本実施形態の舗装層間滞水の検出方法における、ポットホールの発生要因となるような舗装体内の層間5にある滞水10の検出原理を説明する図が示されている。
図2(a)の断面図に示されるように、舗装表面1をレーダアンテナ24によって連続して電磁波を送受信しながら移動させ、舗装体の上層2と非透水の下層3との間の層間5にある滞水10を高精度に検出することが可能となる。
【0015】
上層2としては、密粒度アスファルト混合物などで構成された公知の汎用的な舗装体であり、その下に滞水10が存在することで、アスファルトの剥離が懸念される全てのアスファルト混合物が対象となる。また、非透水の下層3としては、水を透過し難いものも含め、基層のアスファル混合物や、アスファルト安定処理路盤などのアスファルト混合物のほか、コンクリート製や鋼製の構造物も含まれ、下層3は非透水層となる部分である。
【0016】
レーダアンテナ24から送信された電磁波は、誘電率などの電気的に異なる媒質の境界面で反射する性質を有しており、電磁波を送信して、その反射波を受信するまでの時間から、反射物である滞水10の深度を算出することが可能となる。
【0017】
レーダアンテナ24が移動しながら電磁波の送受信を連続して行うことで、
図2(b)に示されるような電気的な波形を取得し、波形を振幅によって色分けすることにより、
図2(c)に示されるような深度断面画像を出力することができる。
【0018】
また、
図3(a)には、本実施形態で使用するレーダアンテナ24の内部構造の一例が平面図で示されているが、図示されるように、複数の送信素子241と複数の受信素子242を配置することにより、1回の測定でレーダアンテナ24が通過した測線の直下を面的に捉えることが可能となる。なお、送信素子241及び受信素子242は、モノポールアンテナによって構成されている。
【0019】
そして、各送信素子241から送信された電磁波は、舗装体内で反射し、最も近い受信素子242によって受信されることによって探査データが取得される。各送信素子241と各受信素子242との中点がチャンネル243となっており、図示される本実施形態で使用するレーダアンテナ24は20チャンネルとなっている。各チャンネル間の距離は75mmとなっているため、レーダアンテナ24の幅方向の有効範囲は1.5mとなる。
【0020】
本実施形態では、
図3(b)に示されるようにステップ周波数方式を採用している。すなわち、低周波(30MHz)から高周波(3000MHz)の間において、2~20MHz間隔(周波数ステップ)で段階的に送信する周波数を切り上げ、広帯域の周波数帯データを探査データとして取得可能な手法であり、各周波数においては連続サイン波を送信している。
【0021】
得られた探査データは、
図3(c)に示されるように周波数ごとのスペクトル情報として周波数領域データが収録される。一般的な時間領域データである反射波形データにするには、逆フーリエ変換が必要になる。ここで、各周波数ステップにおける発信時間を「Dwell Time」と言う。この値は、パルスレーダのスタッキング(重ね合わせ)と同様の効果があるため、この時間が長いほどS/N比を向上させることができる。
【0022】
探査データの収録時には、「Trigger」、「Time Window」、「Dwell Time」の3つの計測パラメータを設定する。「Trigger」は、レーダアンテナ24の進行方向(探査方向)のデータ密度であり、1~50cm間隔で選択して設定することができる。「Time Window」は、1測定あたりの最大データ取得時間であり、例えば、探査対象の舗装体の厚さ等を踏まえた探査データの最大深度に対応して、25~250ns(10-9秒)の範囲で選択して設定することができる。
【0023】
また、「Time Window」の値によって周波数ステップが異なることになり、この値が大きいほど周波数ステップは狭くなる。言い換えれば、「Time Window」の値を設定することによって周波数ステップを設定することができる。例えば、「Time Window」が35nsでは周波数ステップが14MHzとなり、125nsでは周波数ステップが4MHzとなる。なお、周波数ステップが狭くなるほど、より多くの周波数データが得られる。
【0024】
「Dwell Time」は前述したように、各周波数ステップにおける電磁波の送信時間であり、0.6~10μs(10-6秒)の範囲で選択して設定できる。以上、これら3つの計測パラメータの組み合わせ方により、レーダアンテナ24を移動させる際の測定可能な最高速度を決定することができる。当該最高速度は上記計測パラメータの組み合わせによっては100km/h以上に設定することも可能である。
【0025】
また、探査データの解析によって得られた反射波形データに基づいて、
図4に示されるように、アンテナ方向と深度方向とからなる横断面と、レーダアンテナ24の進行方向(探査方向)と深度方向とからなる縦断面と、アンテナ方向とレーダアンテナ24の進行方向(探査方向)とからなる水平断面の、3つの断面における
図10に示されるような検出画像が解析・生成される。
【0026】
(滞水の検出方法)
本発明は、前述したように舗装体の上層2と非透水(透水し難いものを含む)の下層3との間の層間5に存在する滞水10を高精度に検出することが可能となっている。すなわち、電磁波の速度は物質によって異なり、一般に媒質中の電磁波速度は、30cm/√ε(εは比誘電率)で求められる。そして、アスファルト混合物を構成する材料の概ねの比誘電率は、アスファルトで3、砂利で5~7、砂で3~5といったところである。その一方、水は比誘電率が非常に高く、80である。このような誘電率の大きな違いを利用することによって、上層2と下層3との間の層間5に存在する滞水10を高精度に検出することを見出したものである。
【0027】
本実施形態では、
図5の斜視図に示されるように、舗装体の上層2と非透水の下層3との間の層間5に存在する滞水10を検出するべく、レーダアンテナ24を進行方向に移動させる。より詳細に説明すると、
図6に示されるように、レーダアンテナ24はトレーラ25に設置され、不図示の車両によって牽引されて移動する。
【0028】
また、レーダアンテナ24の近傍には、車輪と接続された距離計23と、GPSアンテナ22が設置され、レーダアンテナ24と併せてコントロールユニット21にそれぞれ電気的に接続されている。そして、コントロールユニット21は制御PC20に接続され、コントロールユニット21及び制御PC20は車両に搭載されている。このような構成により、探査エリア内の位置情報を正確に計測し、滞水10が存在する位置を正確に特定して検出画像とともに表示出力することが可能となる。なお、上記したレーダアンテナ24やコントロールユニット21などは、3D-RADAR社製など、公知の探査機材を使用することができる。
【0029】
図7は、本実施形態における道路の舗装表面1の平面図が示され、滞水10に対する検出画像の断面方向が図示されている。そして、
図8(a)には、制御PC20によって表示出力された滞水10が存在する位置における縦断面及び横断面の各検出画像の一例が示されている。
【0030】
この検出画像から、舗装体の上層2(表層)と、非透水層である下層3との間の層間5に滞水10が存在する可能性があることが判る。しかしながら、この検出画像からだけでは、層間5に確かに滞水10が存在するか否かが正確に判断できない。そこで、本実施形態では、
図8(b)に示されるよう、舗装体を層間5を挟んで複数のレイヤー30に分け、レイヤー30ごとに解析することによって、層間5に滞水10が存在するのか否かを判定することができる。なお、上層2と下層3の層間5の深さ位置は、通常、舗装の設計断面が予め判っていることが殆どであるので、事前に把握した舗装体の設計断面(断面構成)に基づいて、層間5を含んだ深さ範囲をレイヤー30に分けることとなる。
【0031】
図9には、上記したレイヤー30ごとに解析されて表示出力された各レイヤー30における水平断面が模式的に示されている。図示されるように、層間5のレイヤー画像に示された画像と、その前後のレイヤー画像(図示される上下のレイヤー画像)とを比較することで、より鮮明に検出された対象画像が層間5のレイヤー画像に示されることで、それが層間5に存在する滞水10であることを判断することができる。なお、必ずしもレイヤー画像を目視することによって滞水10の有無を判断することに限定されるものではなく、例えば、反射波形データに係る数値データ等に基づいて、層間5における滞水10の有無を判断してもよい。
【0032】
図10には、制御PC20によって表示出力された滞水10の縦断面及び横断面、さらに前述したレイヤー30ごとに解析して得た上層2と下層3との間の層間5における水平断面の検出画像が示されている。これらの検出画像は、舗装体の上層2(図示される例では密粒度アスファルト混合物による表層)のアスファルト混合物層と、非透水層である下層3との間の層間5に滞水10を検出したものの一例であり、当該検出画像によって、層間5に円形の形状を有する滞水10が存在することを明瞭に検出している。
【0033】
図11には、本実施形態において検証された計測パラメータが示されている。表中の「最高速度」はレーダアンテナ24を移動させる際の測定可能な最高速度である。レーダアンテナ24の移動速度が、探査結果に及ぼす影響を確認するため、最高速度を5km/h、30km/h、80km/hの3水準としている。
【0034】
続いて、
図12には、本発明の検証実験として行った、滞水10の探査エリアである道路の舗装表面1の平面図が示されている。そして、当該探査エリアには、大小を含め、図示A~Fの滞水箇所が、舗装体の上層2(表層)にあたる密粒度アスファルト混合物層と、下層3にあたる非透水層との間の層間5に存在している。図示A、B、Fはそれぞれ直径約30cmの滞水箇所であり、図示C、Dは直径約15cm、図示Eは約10cmの滞水箇所である。
【0035】
加えて、上記した図示A~Fの検出画像を
図13及び
図14に示している。すなわち、
図13には、
図12に示される縦断面の検出画像が、
図14には
図12の層間5における水平断面の検出画像が図示されており、図示される(1)~(4)は、それぞれ
図11の計測パラメータのNo,1~4に対応している。
【0036】
図13及び
図14の(1)及び(2)は、計測パラメータのNo,1及び2に対応した検出画像であり、高密度の探査データが取得できる一方、レーダアンテナ24が移動できる最高速度は5km/hである。また、レーダアンテナ24が舗装表面1に接触しないように、限界まで舗装表面1に近接させた状態で探査を行っている。
【0037】
図13及び
図14の(3)は、計測パラメータのNo,3に対応した検出画像であり、レーダアンテナ24の移動できる最高速度は30km/hまでである。計測パラメータのNo,2と比較して、Triggerの間隔は2倍、周波数ステップは3.5倍、Dwell Timeは0.5倍、レーダアンテナ24と舗装表面1との離隔は2倍となっている。
【0038】
図13及び
図14の(4)は、計測パラメータのNo,4に対応した検出画像であり、レーダアンテナ24の移動できる最高速度は80km/hまでである。計測パラメータのNo,2と比較して、Triggerの間隔は4倍、周波数ステップは5倍、Dwell Timeは0.5倍、レーダアンテナ24と舗装表面1との離隔は2倍となっている。
【0039】
図13及び
図14の検出画像から計測パラメータごとに比較すると、(1)及び(2)の高密度なデータを取得する設定とした最嵩速度5km/hによる検出画像と、一般道路や高速道路における探査を想定し、最高速度を30km/h、80km/hとした(3)及び(4)の検出画像とで、ほぼ同等の検出精度を有することが確認された。また、滞水10の滞水厚さは1mm以下のものも明瞭に検出画像として得られることも確認された。
【0040】
(その他)
前述した実施形態では、舗装体の内部、特に層間5に存在する滞水10を明瞭に検出することができたが、必ずしも滞水10の検出に限定されるものではない。本発明の検証実験において、上層2の密粒度アスファルト混合物層と、下層3の非透水層との間に、直径30cm程度のアスファルトが添加されていない6,7号砕石と砂、石粉を混合した薄い層を形成し、探査を行った。その結果、検出画像として明瞭に検出することが確認された。このような効果により、舗装体内に滞水10は生じていないものの、アスファルト混合物の一部に剥離が生じ、土砂化してしまった箇所も同様の探査態様で発見することが可能となる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について図面等に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。また、上記実施形態に記載された具体的な材質、寸法形状等は本発明の課題を解決する範囲において、変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 舗装表面
2 上層
3 下層
5 層間
6 ポットホール
10 滞水
20 制御PC
21 コントロールユニット
22 GPSアンテナ
23 距離計
24 レーダアンテナ
25 トレーラ
30 レイヤー
241 送信素子
242 受信素子
243 チャンネル