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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】視覚機能の再活性化用眼科組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/045 20060101AFI20241205BHJP
   A61K 31/131 20060101ALI20241205BHJP
   A61K 31/136 20060101ALI20241205BHJP
   A61K 31/19 20060101ALI20241205BHJP
   A61K 31/20 20060101ALI20241205BHJP
   A61K 31/22 20060101ALI20241205BHJP
   A61K 31/355 20060101ALI20241205BHJP
   A61K 31/4415 20060101ALI20241205BHJP
   A61K 31/737 20060101ALI20241205BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20241205BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A61K31/045
A61K31/131
A61K31/136
A61K31/19
A61K31/20
A61K31/22
A61K31/355
A61K31/4415
A61K31/737
A61P27/02
A61P39/06
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018103325
(22)【出願日】2018-05-30
(65)【公開番号】P2018203728
(43)【公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-03-16
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】P 2017109365
(32)【優先日】2017-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【弁理士】
【氏名又は名称】坂西 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100215957
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 明照
(72)【発明者】
【氏名】清宮 暁
(72)【発明者】
【氏名】辻 和宏
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 洋平
【合議体】
【審判長】前田 佳与子
【審判官】池上 京子
【審判官】田中 耕一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/190306(WO,A1)
【文献】特開2017-75145(JP,A)
【文献】特開2013-216706(JP,A)
【文献】週刊粧業オンライン,2015年,p.1-2,https://www.syogyo.jp/pressrelease/2015/10/post_012957,[検索日:2022年3月7日]
【文献】スマイル40プレミアム 添付文書,ライオン株式会社,2015年,p.1-2
【文献】牧野 直子,気になる?!栄養素 新連載 第1回 疲れ目を和らげる レチノール,NHKテレビテキスト きょうの料理 2002年4月号,第46巻,P.89
【文献】サンテメディカルアクティブ,添付文書,参天製薬株式会社,2016年10月13日
【文献】スマイルピット,添付文書,ライオン株式会社,2013年01月31日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00-33/44
A61P 1/00-43/00
JSTplus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ビタミンA類、ビタミンE類、アミノエチルスルホン酸及びその塩、ピリドキシン及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、ネオスチグミン及びその塩、メントール、並びにホウ酸及びその塩からなる群より選択される2種以上を組み合わせて含有し、
ビタミンA類が、パルミチン酸レチノール又は酢酸レチノールであり、
ビタミンE類が、酢酸トコフェロールである、角膜上皮幹細胞に対する酸化ストレス予防剤
【請求項2】
パルミチン酸レチノール及びアミノエチルスルホン酸を含有する、請求項1に記載の角膜上皮幹細胞に対する酸化ストレス予防剤
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚機能の再活性化用眼科組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン、スマートフォン等の普及を背景として、目がすぐに疲れる、しょぼしょぼする、目がかすむ、ピントが合いにくいといった自覚症状を訴える患者が増加している。これらの症状は、特に高齢者で多くみられる特徴がある。このような患者において、ピント調節機能の観点のみからではなく、より効果的にこれらの症状を改善させることが望まれている。
【0003】
一方、角膜上皮細胞は、紫外線などの光、大気中の酸素、瞬き等による酸素分圧変動等の要因により、酸化ストレスの発生原因に常にさらされている(非特許文献1)。また、角膜細胞の輪部には、角膜上皮細胞の元となる角膜上皮幹細胞が存在している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】日本眼科学会雑誌,111巻,3号,pp.193-206
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した各症状を総合的に改善すべく、角膜上皮幹細胞の保護を介して視覚機能を再活性化することができる眼科組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、眼部における上述した各症状を改善させるためには、視覚機能を総合的に向上させることが有効であることを見出した。また、角膜上皮幹細胞を酸化ストレスをはじめとする障害から保護することにより、角膜表面を均一化させることができ、かつ視覚機能を総合的に再活性化できることを見出した。さらに、(A)ビタミンA類、ビタミンE類、アミノエチルスルホン酸及びその塩、ピリドキシン及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、ネオスチグミン及びその塩、メントール、並びにホウ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種は、共存させることにより、及び/又は事前に接触させることにより、角膜上皮幹細胞を酸化ストレスなどの外部ダメージから保護できることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、例えば、以下の各発明に関する。
[1]
(A)ビタミンA類、ビタミンE類、アミノエチルスルホン酸及びその塩、ピリドキシン及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、ネオスチグミン及びその塩、メントール、並びにホウ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、視覚機能の再活性化用眼科組成物。
[2]
ビタミンA類が、パルミチン酸レチノール又は酢酸レチノールである、[1]に記載の視覚機能の再活性化用眼科組成物。
[3]
ビタミンE類が、酢酸トコフェロールである、[1]又は[2]に記載の視覚機能の再活性化用眼科組成物。
[4]
(A)成分を2種以上組み合わせて含有する、[1]~[3]のいずれかに記載の視覚機能の再活性化用眼科組成物。
【0008】
本発明はまた、以下の各発明にも関する。
[2-1]
(A)ビタミンA類、ビタミンE類、アミノエチルスルホン酸及びその塩、ピリドキシン及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、ネオスチグミン及びその塩、メントール、並びにホウ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、角膜上皮幹細胞に対する酸化ストレス抑制剤。
[2-2]
(A)ビタミンA類、ビタミンE類、アミノエチルスルホン酸及びその塩、ピリドキシン及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、ネオスチグミン及びその塩、メントール、並びにホウ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、角膜組織再生剤。
[2-3]
(A)ビタミンA類、ビタミンE類、アミノエチルスルホン酸及びその塩、ピリドキシン及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、ネオスチグミン及びその塩、メントール、並びにホウ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、角膜上皮幹細胞に対する酸化ストレス予防剤。
[2-4]
(A)ビタミンA類、ビタミンE類、アミノエチルスルホン酸及びその塩、ピリドキシン及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、ネオスチグミン及びその塩、メントール、並びにホウ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、眼疲労改善用眼科組成物。
[2-5]
(A)ビタミンA類、ビタミンE類、アミノエチルスルホン酸及びその塩、ピリドキシン及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、ネオスチグミン及びその塩、メントール、並びにホウ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、目のかすみ改善用眼科組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、角膜上皮幹細胞の保護を介して視覚機能を再活性化することができる眼科組成物の提供が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本明細書中、「w/v%」は、「g/100mL」と同義である。
【0011】
本発明に係る眼科組成物は、(A)ビタミンA類、ビタミンE類、アミノエチルスルホン酸及びその塩、ピリドキシン及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、ネオスチグミン及びその塩、メントール、並びにホウ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種(「(A)成分」ともいう。)を含有する。本発明に係る眼科組成物は、(A)成分を含むことにより、優れた角膜上皮幹細胞の保護作用を発揮することから、視覚機能の再活性化用途に好適に用いられる。
【0012】
[(A)成分]
〔ビタミンA類〕
ビタミンA類は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。ビタミンA類の具体例としては、例えば、レチノール(ビタミンA1)、3-デヒドロレチノール(ビタミンA2)及びこれらの誘導体、並びにこれらの塩が挙げられる。
【0013】
ビタミンA類の誘導体としては、例えば、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、酪酸レチノール、プロピオン酸レチノール、オクチル酸レチノール、ラウリル酸レチノール、オレイン酸レチノール及びリノレン酸レチノール等の1価のカルボン酸とのエステルが挙げられる。
【0014】
ビタミンA類の塩としては、例えば、有機酸塩[例えば、モノカルボン酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩等)、多価カルボン酸塩(フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩等)、オキシカルボン酸塩(乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等)、有機スルホン酸塩(メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩等)等]、無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩等)、有機塩基との塩(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリン等の有機アミンとの塩等)、無機塩基との塩[例えば、アンモニウム塩;アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)、アルミニウム等の金属との塩等]が挙げられる。
【0015】
ビタミンA類としては、レチノールの誘導体が好ましく、レチノールと1価のカルボン酸とのエステルがより好ましく、パルミチン酸レチノール及び酢酸レチノールが更に好ましく、パルミチン酸レチノールが更により好ましい。
【0016】
ビタミンA類としては、合成物を使用してもよいし、又は天然物から得られる抽出物(例えば、ビタミンA油など)を使用してもよい。ビタミンA油とは、レチノールを含有する動物の組織等から得られる脂肪油、若しくはその濃縮物、又はそれらに植物油を適宜添加したものである。ビタミンA類として、市販されているものを使用することもできる。ビタミンA類は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0017】
本実施形態に係る眼科組成物におけるビタミンA類の含有量は、眼科組成物の総量を基準として、ビタミンA類の総含有量が、0.5万~20万IU/100mLであることが好ましく、1万~10万IU/100mLであることがより好ましく、1.5万~6万IU/100mLであることが更に好ましく、2万~5.5万IU/100mLであることが更により好ましく、4万~5.5万IU/100mLであることが更によりまた好ましく、4.5万~5.5万IU/100mLであることが特に好ましい。
【0018】
「IU」とは、第十七改正日本薬局方ビタミンA定量法等に記載の手法により求められる国際単位を意味する。例えば、第十七改正日本薬局方の医薬品各条において、酢酸レチノールの場合、1gにつきビタミンA250万単位以上を含むこと、パルミチン酸レチノールの場合、1gにつきビタミンA150万単位以上を含むことが記載されている。
【0019】
〔ビタミンE類〕
ビタミンE類は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。ビタミンE類の具体例としては、例えば、トコフェロール、トコトリエノール及びこれらの誘導体、並びにこれらの塩が挙げられる。トコフェロール及びトコトリエノールは、α-、β-、γ-、及びδ-のいずれであってもよく、またd体及びdl体のいずれであってもよい。
【0020】
ビタミンE類の誘導体としては、例えば、酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、リノレン酸トコフェロール等の有機酸とのエステルが挙げられる。
【0021】
ビタミンE類の塩としては、例えば、有機酸塩(乳酸塩、酢酸塩、酪酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩等)、無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩等)、有機塩基との塩(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、アミノ酸、トリピリジン、ピコリンなどの有機アミンとの塩等)、無機塩基との塩(例えば、アンモニウム塩、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウムなどの金属との塩等)が挙げられる。
【0022】
ビタミンE類としては、d-α-トコフェロール、dl-α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、ビタミンE酢酸エステル(例えば、酢酸トコフェロール)、ビタミンEニコチン酸エステル、ビタミンEコハク酸エステル、ビタミンEリノレン酸エステルが好ましく、酢酸トコフェロール(例えば、酢酸d-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール等)がより好ましい。
【0023】
ビタミンE類は、天然品、合成品のいずれであってもよい。ビタミンE類として、市販されているものを使用することもできる。ビタミンE類は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0024】
本実施形態に係る眼科組成物におけるビタミンE類の含有量は、眼科組成物の総量を基準として、ビタミンE類の総含有量が、0.0001~0.5w/v%であることが好ましく、0.001~0.15w/v%であることがより好ましく、0.01~0.10w/v%であることが更に好ましく、0.025~0.05w/v%であることが更により好ましい。
【0025】
〔アミノエチルスルホン酸及びその塩〕
アミノエチルスルホン酸(タウリン)及びその塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
【0026】
アミノエチルスルホン酸の塩としては、例えば、有機塩基との塩(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリン等の有機アミンとの塩)、無機塩基との塩[例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)、アルミニウム等の金属との塩]が挙げられる。
【0027】
アミノエチルスルホン酸及びその塩としては、アミノエチルスルホン酸が好ましい。
【0028】
アミノエチルスルホン酸及びその塩として、市販されているものを使用することもできる。アミノエチルスルホン酸及びその塩は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0029】
本実施形態に係る眼科組成物におけるアミノエチルスルホン酸及びその塩の含有量は、眼科組成物の総量を基準として、アミノエチルスルホン酸及びその塩の総含有量が、0.001~10w/v%であることが好ましく、0.01~5w/v%であることがより好ましく、0.1~2w/v%であることが更に好ましく、0.2~1.5w/v%であることが更により好ましく、0.5~1w/v%であることが更によりまた好ましく、0.8~1.0w/v%であることが特に好ましい。
【0030】
〔ピリドキシン及びその塩〕
ピリドキシン(ビタミンB6)及びその塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
【0031】
ピリドキシンの塩としては、例えば、有機酸塩(例えば、乳酸塩、酢酸塩、酪酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩等)、無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩等)が挙げられる。
【0032】
ピリドキシン及びその塩としては、ピリドキシン及びその無機酸塩が好ましく、塩酸ピリドキシンがより好ましい。
【0033】
ピリドキシン及びその塩として、市販されているものを使用することもできる。ピリドキシン及びその塩は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0034】
本実施形態に係る眼科組成物におけるピリドキシン及びその塩の含有量は、眼科組成物の総量を基準として、ピリドキシン及びその塩の総含有量が、0.001~1.0w/v%であることが好ましく、0.01~0.5w/v%であることがより好ましく、0.02~0.2w/v%であることが更に好ましく、0.05~0.1w/v%であることが更により好ましい。
【0035】
〔コンドロイチン硫酸及びその塩〕
コンドロイチン硫酸及びその塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。コンドロイチン硫酸は、D-グルクロン酸とN-アセチル-D-ガラクトサミンの2つ糖が反復する糖鎖に硫酸が結合した構造を有するグリコサミノグリカンの一種である。
【0036】
コンドロイチン硫酸の塩としては、例えば、有機塩基との塩(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリン等の有機アミンとの塩)、無機塩基との塩[例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)、アルミニウム等の金属との塩]が挙げられる。
【0037】
コンドロイチン硫酸及びその塩としては、コンドロイチン硫酸の無機塩基との塩が好ましく、コンドロイチン硫酸のアルカリ金属塩がより好ましく、コンドロイチン硫酸のナトリウム塩及びカリウム塩が更に好ましく、コンドロイチン硫酸のナトリウム塩(コンドロイチン硫酸ナトリウム)が更により好ましい。
【0038】
コンドロイチン硫酸及びその塩は、その由来については特に制限されるものではなく、例えば、哺乳動物や魚の軟骨(例えば、サケやサメの軟骨等)等の動物から得られたものであってもよく、微生物から得られたものであってもよく、合成品であってもよい。コンドロイチン硫酸及びその塩として、市販されているものを使用することもできる。コンドロイチン硫酸及びその塩は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0039】
本実施形態に係る眼科組成物におけるコンドロイチン硫酸及びその塩の含有量は、眼科組成物の総量を基準として、コンドロイチン硫酸及びその塩の総含有量が、0.005~5w/v%であることが好ましく、0.01~3w/v%であることがより好ましく、0.02~2w/v%であることが更に好ましく、0.05~1w/v%であることが更により好ましく、0.1~0.5w/v%であることが特に好ましい。
【0040】
〔ネオスチグミン及びその塩〕
ネオスチグミン及びその塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。ネオスチグミンの塩としては、例えば、メチル硫酸ネオスチグミンが挙げられる。ネオスチグミン及びその塩としては、メチル硫酸ネオスチグミンが好ましい。
【0041】
ネオスチグミン及びその塩として、市販されているものを使用することもできる。ネオスチグミン及びその塩は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0042】
本実施形態に係る水性組成物におけるネオスチグミン及びその塩の含有量は、眼科組成物の総量を基準として、ネオスチグミン及びその塩の総含有量が、0.00005~0.05w/v%であることが好ましく、0.0001~0.01w/v%であることがより好ましく、0.0005~0.005w/v%であることが更に好ましく、0.001~0.005w/v%であることが更により好ましい。
【0043】
〔メントール〕
メントールは、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。メントールは、d体、l体、dl体のいずれであってもよいが、l-メントールが好ましい。
【0044】
メントールとして、メントールを含有する精油を使用してもよい。このような精油としては、例えば、例えば、ハッカ油、クールミント油、スペアミント油、ペパーミント油が挙げられる。メントールとして、市販されているものを使用することもできる。メントールは、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0045】
本実施形態に係る眼科組成物におけるメントールの含有量は、眼科組成物の総量を基準として、0.00001~0.5w/v%であることが好ましく、0.0001~0.25w/v%であることがより好ましく、0.0005~0.1w/v%であることがさらに好ましく、0.001~0.08w/v%であることが更に好ましい。なお、メントールを含む精油を使用する場合は、当該精油の配合割合は、配合される精油中のメントール含有量が上記配合割合を満たすように設定される。
【0046】
〔ホウ酸及びその塩〕
ホウ酸及びその塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
【0047】
ホウ酸の塩としては、例えば、ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂(四ホウ酸ナトリウム)が挙げられる。
【0048】
ホウ酸及びその塩としては、ホウ酸とホウ酸の塩の組み合わせが好ましく、ホウ酸とホウ砂の組み合わせがより好ましい。
【0049】
ホウ酸とホウ砂を組み合わせる場合の配合比としては、ホウ酸1質量部に対して、ホウ砂が0.001~4質量部であることが好ましく、0.005~2質量部であることがより好ましく、0.01~1質量部であることが更に好ましい。
【0050】
ホウ酸及びその塩として、市販されているものを使用することもできる。ホウ酸及びその塩は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0051】
本実施形態に係る眼科組成物におけるホウ酸及びその塩の含有量は、眼科組成物の総量を基準として、ホウ酸及びその塩の総含有量が、0.01~10w/v%であることが好ましく、0.05~5w/v%であることがより好ましく、0.1~3w/v%であることが更に好ましく、0.2~2w/v%であることが更により好ましい。
【0052】
〔(A)成分の組み合わせ〕
本実施形態に係る眼科組成物は、上述した(A)成分を2種以上組み合わせて含むものであってもよい。これにより、角膜上皮幹細胞の保護効果が相乗的に向上するため、視覚機能を再活性化するという本発明による効果がより顕著に発揮される。(A)成分の組み合わせの具体例としては、これに限られるものではないが、ビタミンA類(特に、パルミチン酸レチノール)とアミノエチルスルホン酸及びその塩(特に、アミノエチルスルホン酸)との組み合わせ、ビタミンA類(特に、パルミチン酸レチノール)とホウ酸及びその塩(特に、ホウ酸とホウ砂の組み合わせ)との組み合わせ、ビタミンA類(特に、パルミチン酸レチノール)とメントール(特に、l-メントール)との組み合わせ、ネオスチグミン及びその塩(特に、メチル硫酸ネオスチグミン)とホウ酸及びその塩(特に、ホウ酸とホウ砂の組み合わせ)との組み合わせ、ネオスチグミン及びその塩(特に、メチル硫酸ネオスチグミン)とメントール(特に、l-メントール)との組み合わせを挙げることができる。
【0053】
ビタミンA類とアミノエチルスルホン酸及びその塩とを組み合わせる場合、角膜上皮幹細胞の保護効果が相乗的に向上するという観点から、ビタミンA類の総含有量1万IUに対するアミノエチルスルホン酸及びその塩の総含有量(質量)は、0.00005~20g/1万IUであることが好ましく、0.0001~10g/1万IUであることがより好ましく、0.0005~5g/1万IUであることが更に好ましく、0.001~1g/1万IUであることが更により好ましく、0.005~0.8g/1万IUが更によりまた好ましく、0.01~0.5g/1万IUであることが特に好ましく、0.05~0.3g/1万IUであることが特により好ましく、0.15~0.23g/1万IUであることが最も好ましい。
【0054】
同様の観点から、ビタミンA類の総含有量1質量部に対するアミノエチルスルホン酸及びその塩の総含有量としては、0.005~3500質量部であってよく、0.01~1800質量部であることが好ましく、0.02~1000質量部であることがより好ましい。
【0055】
ビタミンA類とホウ酸及びその塩とを組み合わせる場合、本発明による効果がより一層向上するという観点から、ビタミンA類の総含有量1万IUに対するホウ酸及びその塩の総含有量(質量)は、0.0001~50g/1万IUであることが好ましく、0.0005~10g/1万IUであることがより好ましく、0.001~5g/1万IUであることが更に好ましく、0.005~2g/1万IUであることが更により好ましく、0.01~1g/1万IUであることが特に好ましく、0.02~0.5g/1万IUが特により好ましい。
【0056】
同様の観点から、ビタミンA類の総含有量1質量部に対するホウ酸及びその塩の総含有量としては、0.01~10000質量部であってよく、0.05~5000質量部であることが好ましく、0.1~1000質量部であることがより好ましく、0.5~500質量部であることが更に好ましく、1~100質量部であることが更により好ましく、5~50質量部であることが特に好ましい。
【0057】
ビタミンA類とメントールとを組み合わせる場合、本発明による効果がより一層向上するという観点から、ビタミンA類の総含有量1万IUに対するメントールの総含有量(質量)は、0.00001~1g/1万IUであることが好ましく、0.000005~0.5g/1万IUであることがより好ましく、0.00001~0.1g/1万IUであることが更に好ましく、0.00005~0.05g/1万IUであることが更により好ましく、0.0001~0.01g/1万IUであることが特に好ましい。
【0058】
同様の観点から、ビタミンA類の総含有量1質量部に対するメントールの総含有量としては、0.0001~1000質量部であってよく、0.0005~100質量部であることが好ましく、0.001~50質量部であることがより好ましく、0.005~20質量部であることが更に好ましく、0.01~5質量部であることが更により好ましい。
【0059】
ネオスチグミン及びその塩とホウ酸及びその塩とを組み合わせる場合、本発明による効果がより一層向上するという観点から、ネオスチグミン及びその塩の総含有量1質量部に対するホウ酸及びその塩の総含有量としては、0.5~50000質量部であってよく、1~10000質量部であることが好ましく、5~5000質量部であることがより好ましく、10~1000質量部であることが更に好ましく、20~500質量部であることが更により好ましい。
【0060】
ネオスチグミン及びその塩とメントールとを組み合わせる場合、本発明による効果がより一層向上するという観点から、ネオスチグミン及びその塩の総含有量1質量部に対するメントールの総含有量としては、0.001~5000質量部であってよく、0.005~1000質量部であることが好ましく、0.01~500質量部であることがより好ましく、0.05~100質量部であることが更に好ましく、0.1~50質量部であることが更により好ましく、0.2~20質量部であることが特に好ましい。
【0061】
[(B)成分]
本実施形態に係る眼科組成物は、(B)非イオン界面活性剤(「(B)成分」ともいう。)を含むものであってもよい。
【0062】
非イオン界面活性剤は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。非イオン界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー付加物、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルが挙げられる。
【0063】
非イオン界面活性剤のより具体的な例として、例えば、モノラウリル酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、POEソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60)及びPOEソルビタントリステアレート(ポリソルベート65)等のPOEソルビタン脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油5、POE硬化ヒマシ油10、POE硬化ヒマシ油20、POE硬化ヒマシ油40、POE硬化ヒマシ油50、POE硬化ヒマシ油60及びPOE硬化ヒマシ油100等のPOE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油3、POEヒマシ油10、POEヒマシ油20、POEヒマシ油35、POEヒマシ油40、POEヒマシ油50及びPOEヒマシ油60等のPOEヒマシ油、ポロクサマー407、ポロクサマー235、ポロクサマー188、ポロクサマー403、ポロクサマー237及びポロクサマー124等のPOE・POPブロックコポリマー類、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(2E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(4E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(9E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(10E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(23E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(25E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(32E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40E.O.、ステアリン酸ポリオキシル40)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(45E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(55E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(75E.O.)及びモノステアリン酸ポリエチレングリコール(140E.O.)等のモノステアリン酸ポリエチレングリコール、POE(9)ラウリルエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POE(20)POP(4)セチルエーテル等のPOE-POPアルキルエーテル類、並びにPOE(10)ノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類が挙げられる。なお、上記例示した化合物において、POEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレン、及び括弧内の数字は付加モル数を示す。
【0064】
非イオン界面活性剤として、市販されているものを使用することもできる。非イオン界面活性剤は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0065】
本実施形態に係る眼科組成物における非イオン界面活性剤の含有量は、眼科組成物の総量を基準として、非イオン界面活性剤の総含有量が、0.0001~5w/v%であることが好ましく、0.0005~3w/v%であることがより好ましく、0.001~2w/v%であることが更に好ましく、0.005~1w/v%であることが更により好ましく、0.01~0.8w/v%であることが特に好ましい。
【0066】
本実施形態に係る眼科組成物のpHは、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば特に限定されるものではない。本実施形態に係る眼科組成物のpHとしては、例えば、4.0~9.5であってよく、4.0~9.0であることが好ましく、4.5~9.0であることがより好ましく、4.5~8.5であることが更に好ましく、5.0~8.5であることが更により好ましい。
【0067】
本実施形態に係る眼科組成物は、必要に応じて、生体に許容される範囲内の浸透圧比に調節することができる。適切な浸透圧比は、眼科組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定され得るが、例えば、0.4~5.0とすることができ、0.6~3.0とすることが好ましく、0.8~2.2とすることがより好ましく、0.8~2.0とすることが更に好ましい。浸透圧比は、第十七改正日本薬局方に基づき、286mOsm(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液の浸透圧)に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(凝固点降下法)を参考にして測定する。なお、浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)は、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500~650℃で40~50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いることができる。
【0068】
本実施形態に係る眼科組成物の粘度は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば、特に限定されるものではない。本実施形態に係る眼科組成物の粘度としては、例えば、回転粘度計(RE550型粘度計、東機産業社製、ローター;1°34‘×R24)で測定した20℃における粘度が1~10000mPa・sであることが好ましく、1~8000mPa・sであることがより好ましく、1~1000mPa・sであることが更に好ましく、1~100mPa・sであることが更により好ましく、1~20mPa・sであることが特に好ましい。
【0069】
本実施形態に係る眼科組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記成分の他に種々の薬理活性成分及び生理活性成分から選択される成分を組み合わせて適当量含有していてもよい。当該成分は特に制限されず、例えば、一般用医薬品製造販売承認基準2012年版(一般社団法人 レギュラトリーサイエンス学会 監修)に記載された眼科用薬における有効成分が例示できる。眼科用薬において用いられる成分として、具体的には、例えば、次のような成分が挙げられる。
抗アレルギー剤:例えば、クロモグリク酸ナトリウム、トラニラスト、ペミロラストカリウム、アシタザノラスト等。
抗ヒスタミン剤:例えば、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン等。
サルファ剤:例えば、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフイソキサゾール、スルフイソミジンナトリウム等。
ステロイド剤:例えば、プロピオン酸フルチカゾン、フランカルボン酸フルチカゾン、フランカルボン酸モメタゾン、プロピオン酸ベクロメタゾン、フルニソリド等。
局所麻酔剤:例えば、リドカイン、プロカイン等。
水溶性ビタミン((A)成分に該当するものを除く。):例えば、シアノコバラミン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、パンテノール等。
その他:例えば、レバミピド等。
【0070】
本実施形態に係る眼科組成物には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途及び製剤形態に応じて、常法に従い、様々な添加物を適宜選択し、1種又はそれ以上を併用して適当量含有させてもよい。このような添加物として、例えば、医薬品添加物事典2016(日本医薬品添加剤協会編集)に記載された各種添加物が例示できる。代表的な成分として次の添加物が挙げられる。
担体:例えば、水、含水エタノール等の水性溶媒。
キレート剤:例えば、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)等。
基剤:例えば、オクチルドデカノール、酸化チタン、臭化カリウム、プラスチベース等。
pH調節剤:例えば、塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等。
安定化剤:例えば、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、シクロデキストリン、モノエタノールアミン等。
陰イオン界面活性剤:例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、N-アシルタウリン塩等。
緩衝剤:、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、トリス緩衝剤、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩、イプシロン-アミノカプロン酸等。
両性界面活性剤:例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等。
防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤:例えば、塩化亜鉛、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、エタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、塩酸ポリヘキサニド等)、グローキル(ローディア社製 商品名)等。
等張化剤:例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グリセリン、プロピレングリコール等。
糖類:例えば、グルコース、シクロデキストリン等。
糖アルコール類:例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン等。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
【0071】
本実施形態に係る眼科組成物が水を含有する場合、水の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、水の含有量が、80w/v%以上100w/v%未満であることが好ましく、85w/v%以上99.5w/v%以下であることがより好ましく、90w/v%以上99.2w/v%以下であることが更に好ましい。
【0072】
本実施形態に係る眼科組成物に使用される水は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであればよい。このような水として、例えば、蒸留水、常水、精製水、滅菌精製水、注射用水及び注射用蒸留水等を挙げることができる。それらの定義は第十七改正日本薬局方に基づく。
【0073】
本実施形態に係る眼科組成物は、所望量の(A)成分、及び必要に応じて他の成分を所望の濃度となるように添加及び混和することにより調製することができる。例えば、精製水でそれらの成分を溶解又は分散させ、所定のpH及び浸透圧に調整し、濾過滅菌等により滅菌処理することで調製できる。
【0074】
本実施形態に係る眼科組成物は、目的に応じて種々の製剤形態をとることができる。製剤形態として、例えば、液剤、ゲル剤、半固形剤(軟膏等)等が挙げられる。
【0075】
本実施形態に係る眼科組成物は、例えば、点眼剤(点眼液又は点眼薬ともいう。また、点眼剤にはコンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤を含む。)、人工涙液、洗眼剤(洗眼液又は洗眼薬ともいう。また、洗眼剤にはコンタクトレンズ装用中に洗眼可能な洗眼剤を含む。)、コンタクトレンズ用組成物[コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用組成物(コンタクトレンズ消毒剤、コンタクトレンズ用保存剤、コンタクトレンズ用洗浄剤、コンタクトレンズ用洗浄保存剤)等]として用いることができる。なお、「コンタクトレンズ」は、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ(イオン性及び非イオン性の双方を包含し、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ及び非シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの双方を包含する)を含む。
【0076】
本実施形態に係る眼科組成物は、本発明による効果をより顕著に発揮できることから、点眼剤(コンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤を含む。)であることが好ましい。本実施形態に係る眼科組成物が点眼剤である場合、その用法・用量としては、効果を奏し、副作用の少ない用法・用量であれば特に限定されないが、例えば成人(15歳以上)及び7歳以上の小児の場合、1回1~3滴、1~2滴、又は2~3滴を1日5~6回点眼して用いる方法を例示できる。
【0077】
本実施形態に係る眼科組成物は、任意の容器に収容して提供される。本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器については特に制限されず、例えば、ガラス製であってもよく、またプラスチック製であってもよい。好ましくはプラスチック製である。プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド及びこれらを構成するモノマーの共重合体、並びにこれら2種以上を混合したものが挙げられる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレートである。また、本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器は、容器内部を視認できる透明容器であってもよく、容器内部の視認が困難な不透明容器であってもよい。好ましくは透明容器である。ここで、「透明容器」とは、無色透明容器及び有色透明容器の双方が含まれる。
【0078】
本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器には、ノズルが装着されてもよい。ノズルの材質については特に制限されず、例えば、ガラス製であってもよく、またプラスチック製であってもよい。好ましくはプラスチック製である。プラスチックとしては、例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びこれらを構成するモノマーの共重合体、並びにこれら2種以上を混合したものが挙げられる。好ましくは、ポリエチレンである。
【0079】
本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器は、複数回の使用量が収容されるマルチドーズ型であってもよく、単回の使用量が収容されるユニットドーズ型であってもよい。
【0080】
本実施形態に係る眼科組成物は、内容積が4~30mLである容器に充填されてなることが好ましく、内容積が5~20mLである容器に充填されてなることがより好ましく、内容積が6~16mLである容器に充填されてなることが更に好ましく、内容積が10~15mLである容器に充填されてなることが更により好ましい。
【0081】
本発明に係る眼科組成物は、(A)成分を共存させることにより、及び/又は事前に接触させることにより、角膜上皮幹細胞を酸化ストレスなどの外部ダメージから保護できる。これにより、角膜表面を均一化させることができ、かつ視覚機能を総合的に再活性化できる。したがって、本発明に係る眼科組成物は、目の疲れ(眼疲労)、目のかすみ等の改善用としても好適である。また、本発明に係る眼科組成物は、角膜上皮幹細胞に対する酸化ストレス抑制剤として、更には角膜組織再生剤として好適に使用できる。
【0082】
本発明に係る眼科組成物は、角膜上皮幹細胞の保護を介して視覚機能を再活性化するものであるため、特に年齢に伴う目の衰えを感じやすい高齢者用として好適である。ここで、高齢者とは、一般的に年齢に伴う目の衰えを感じやすい60歳以上のヒトを指す。
【0083】
本発明に係る眼科組成物は、角膜上皮幹細胞と事前に接触させることにより、(A)成分が外液(涙液等)に存在していなくても、角膜上皮幹細胞を酸化ストレスなどの外部ダメージから保護することができる。したがって、眼部に酸化ストレスを生じることが予想されるときに予防的に使用してもよい。すなわち、本発明に係る眼科組成物は、角膜上皮幹細胞に対する酸化ストレス予防剤としても好適に使用できる。
【実施例
【0084】
以下、実施例等に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各表中の各成分の含有量は、特に指定がない限りg/100mLである。
【0085】
〔試験例1:角膜上皮幹細胞に対する酸化ストレス試験(1)〕
表1に示す組成で、常法に従い、各水性組成物を調製し、試験溶液とした。
【0086】
マウス角膜上皮幹細胞(TKE2)を、培養プレート(96well、日本コーニング社製)に播種し、37℃、5%CO、湿度90%の条件下でコンフルエントになるまで培養した。培養培地には、KSFM(keratinocyte serum-free medium(Bovine Pituitary Extract,EGF含有),Thermo Fisher Scientific社製)培地を用いた。
【0087】
各ウェルから培養培地を吸引除去し、各試験溶液をそれぞれ100μLずつ各ウェルに添加し、37℃、5%COの条件下で6時間インキュベートした。次に、各ウェルに、tert-ブチルヒドロペルオキシド(t-BOOH)を、1000μM/wellとなるように添加した。その後、37℃、5%COの条件下で4時間インキュベートした後に、各ウェルの生細胞数を測定した。
【0088】
生細胞数の測定は、各ウェルに細胞数測定試薬Cell Counting Kit-8(DOJINDO社製)を添加し、1時間、37℃、5%COで培養を行った後、450nmの吸光度を測定することによって行った。コントロールの生細胞数を100%としたときの各試験溶液に対して測定された生細胞数の割合を細胞生存率(%)とした。なお、コントロールは、t-BOOHを添加しなかったこと以外は、比較例1-1と同様に処理したものである。
【0089】
次いで、下記(式1)に従い、対応する比較試験溶液の細胞生存率を100%としたときの各試験溶液の細胞生存率の割合(細胞生存率割合(%))を算出した。
(式1)細胞生存率割合(%)=各試験溶液の細胞生存率/対応する比較試験溶液の細胞生存率×100
なお、実施例1-1~実施例1-5の試験溶液に対応する比較試験溶液は、比較例1-1の試験溶液である。結果を表1に併せて示す。
【0090】
【表1】
【0091】
パルミチン酸レチノール、アミノエチルスルホン酸又は酢酸トコフェロールを添加することにより、角膜上皮幹細胞の細胞生存率が向上した。
【0092】
〔試験例2:角膜上皮幹細胞に対する酸化ストレス試験(2)〕
表2に示す組成で、常法に従い、各水性組成物を調製し、試験溶液とした。
【0093】
マウス角膜上皮幹細胞(TKE2)を、培養プレート(96well、日本コーニング社製)に播種し、37℃、5%CO、湿度90%の条件下でコンフルエントになるまで培養した。培養培地には、KSFM(keratinocyte serum-free medium(Bovine Pituitary Extract,EGF含有),Thermo Fisher Scientific社製)培地を用いた。
【0094】
各ウェルから培養培地を吸引除去し、各試験溶液をそれぞれ100μLずつ各ウェルに添加し、37℃、5%COの条件下で6時間インキュベートした。その後、各ウェルから各試験溶液を吸引除去し、PBS緩衝液で細胞を洗浄した。次に各ウェルに培養培地で希釈したt-BOOHを添加した(1000μM/well)。その後、37℃、5%COの条件下で4時間インキュベートした後に、各ウェルの生細胞数を測定した。
【0095】
生細胞数の測定は、各ウェルに細胞数測定試薬Cell Counting Kit-8(DOJINDO社製)を添加し、1時間、37℃、5%COで培養を行った後、450nmの吸光度を測定することによって行った。コントロールの生細胞数を100%としたときの各試験溶液に対して測定された生細胞数の割合を細胞生存率(%)とした。なお、コントロールは、t-BOOHを添加しなかったこと以外は、比較例2-1と同様に処理したものである。
【0096】
次いで、上記(式1)に従い、対応する比較試験溶液の細胞生存率を100%としたときの各試験溶液の細胞生存率の割合(細胞生存率割合(%))を算出した。なお、実施例2-1~実施例2-3の試験溶液に対応する比較試験溶液は、比較例2-1の試験溶液である。結果を表2に併せて示す。
【0097】
【表2】
【0098】
パルミチン酸レチノール又はアミノエチルスルホン酸を添加することにより、角膜上皮幹細胞の細胞生存率が向上した。また、パルミチン酸レチノール及びアミノエチルスルホン酸を共存させることにより、角膜上皮幹細胞の細胞生存率が相乗的に向上した。試験例2では、角膜上皮幹細胞に対し活性酸素種(t-BOOH)を添加する際には、試験溶液は洗浄されており、パルミチン酸レチノール及びアミノエチルスルホン酸等の成分は存在していない。すなわち、パルミチン酸レチノール及びアミノエチルスルホン酸は、角膜上皮幹細胞と事前に接触することにより、角膜上皮幹細胞を活性酸素種から保護する作用を奏していることが示された。また、洗浄ありでも細胞保護効果が認められることから、パルミチン酸レチノール及びアミノエチルスルホン酸は、少なくとも一部において、活性酸素種を除去する作用とは異なる作用によって、角膜上皮幹細胞を保護していることを示している。
【0099】
〔試験例3:角膜上皮幹細胞に対する酸化ストレス試験(3)〕
表3に示す組成で、常法に従い、各水性組成物を調製し、試験溶液とした。
【0100】
細胞生存率(洗浄あり)は、試験例2と同様の方法で求めた。次いで、上記(式1)に従い、対応する比較試験溶液の細胞生存率を100%としたときの各試験溶液の細胞生存率の割合(細胞生存率割合(%))を算出した。なお、実施例3-1~実施例3-3の試験溶液に対応する比較試験溶液は、比較例3-1の試験溶液である。結果を表3に併せて示す。
【0101】
【表3】
【0102】
試験例2と同様、酢酸トコフェロール又は塩酸ピリドキシンを添加することにより、角膜上皮幹細胞の細胞生存率が向上した。すなわち、酢酸トコフェロール又は塩酸ピリドキシンは、試験例2と同様に、角膜上皮幹細胞と事前に接触することにより、角膜上皮幹細胞を活性酸素種から保護する作用を奏していることが示された。また、洗浄ありでも細胞保護効果が認められることから、酢酸トコフェロール及び塩酸ピリドキシンは、少なくとも一部において、活性酸素種を除去する作用とは異なる作用によって、角膜上皮幹細胞を保護していることを示している。
【0103】
〔試験例4:角膜上皮幹細胞に対する酸化ストレス試験(4)〕
表4に示す組成で、常法に従い、各水性組成物を調製し、試験溶液とした。
【0104】
細胞生存率(洗浄なし)は、試験例1と同様の方法で求めた。細胞生存率(洗浄あり)は、試験例2と同様の方法で求めた。次いで、上記(式1)に従い、対応する比較試験溶液の細胞生存率を100%としたときの各試験溶液の細胞生存率の割合(細胞生存率割合(%))を算出した。なお、試験処方1-2~試験処方1-9の試験溶液に対応する比較試験溶液は、試験処方1-1の試験溶液である。結果を表4に併せて示す。
【0105】
【表4】
【0106】
コンドロイチン硫酸ナトリウム、メチル硫酸ネオスチグミン、l-メントール又はホウ酸及びホウ砂の組み合わせを添加することにより、角膜上皮幹細胞の細胞生存率が向上した。コンドロイチン硫酸ナトリウム、メチル硫酸ネオスチグミン、l-メントール、並びにホウ酸及びホウ砂の組み合わせのいずれの場合においても、洗浄ありでも細胞保護効果が認められることから、角膜上皮幹細胞と事前に接触することにより、角膜上皮幹細胞を活性酸素種から保護する作用を奏していること、及び少なくとも一部において、活性酸素種を除去する作用とは異なる作用によって、角膜上皮幹細胞を保護していることが示された。
【0107】
〔参考例:非幹細胞に対する酸化ストレス試験〕
表5に示す組成で、常法に従い、各水性組成物を調製し、試験溶液とした。
【0108】
細胞生存率(洗浄あり)は、マウス角膜上皮幹細胞(TKE2)に代えて角膜上皮細胞(HECT)を使用したこと以外は、試験例2と同様の方法で求めた。なお、培養培地はDMEM/F12(INVITROGEN社製)にFCS(DSファーマ社製)を5%、DMSO(和光純薬社製)を0.5%、recombinant human EGF(R&D社製)を10ng/mL、insulin solution human(SIGMA社製)を5μg/mLとなるように添加したものを用いた。
【0109】
次いで、上記(式1)に従い、対応する比較試験溶液の細胞生存率を100%としたときの各試験溶液の細胞生存率の割合(細胞生存率割合(%))を算出した。なお、参考処方2及び3の試験溶液に対応する比較試験溶液は、参考処方1の試験溶液である。結果を表5に併せて示す。
【0110】
【表5】
【0111】
角膜上皮幹細胞に代えて角膜上皮細胞を使用した場合には、パルミチン酸レチノールの添加による細胞保護効果は認められなかった。
【0112】
〔試験例5:角膜上皮幹細胞に対する酸化ストレス試験(5)〕
表6に示す組成で、常法に従い、各水性組成物を調製し、試験溶液とした。
【0113】
細胞生存率(洗浄なし)は、試験例1と同様の方法で求めた。細胞生存率(洗浄あり)は、試験例2と同様の方法で求めた。次いで、上記(式1)に従い、対応する比較試験溶液の細胞生存率を100%としたときの各試験溶液の細胞生存率の割合(細胞生存率割合(%))を算出した。なお、実施例4-1~実施例4-4の試験溶液に対応する比較試験溶液は、比較例4-1の試験溶液である。結果を表6に併せて示す。
【0114】
【表6】
【0115】
パルミチン酸レチノールとホウ酸/ホウ砂、パルミチン酸レチノールとl-メントール、メチル硫酸ネオスチグミンとホウ酸/ホウ砂、メチル硫酸ネオスチグミンとl-メントールを組み合わせて添加することにより、角膜上皮幹細胞の細胞生存率が向上することが確認された。
【0116】
〔製剤例〕
下記表7~表12に記載の処方で、処方例1~59が調製される。処方例1~59を、ポリエチレンテレフタレート製の容器に充填し、低密度ポリエチレン製のノズルを装着したものを製剤例1~59とした。処方例1~59を、ポリエチレンテレフタレート製の容器に充填し、キャップ装着時(保存時)において、内容液と接液する可能性のある壁面の全部がポリブチレンテレフタレート製のノズルを装着したものを製剤例60~118とした。処方例1~59を、ポリエチレンテレフタレート製の容器に充填し、内容液と接液する可能性のある壁面の一部がポリエチレンテレフタレート製のノズルを装着したものを製剤例119~177とした。処方例1~59を、ポリエチレンテレフタレート製の容器に充填し、内容液と接液する可能性のある壁面の一部がポリエチレンナフタレート製のノズルを装着したものを製剤例178~236とした。なお、下記表7~表12における各成分量の単位は、w/v%である。また、表7~12中、パルミチン酸レチノール(レチノールパルミチン酸エステル)は、100mLあたりの配合量を示す。
【0117】
【表7】
【0118】
【表8】
【0119】
【表9】
【0120】
【表10】
【0121】
【表11】
【0122】
【表12】
【0123】
〔製剤例2〕
下記表13に記載の処方で、処方例60~64が調製される。処方例60~64を、ポリエチレンテレフタレート製の容器に充填し、低密度ポリエチレン製のノズルを装着したものを製剤例237~241とした。なお、下記表13における各成分量の単位は、w/v%である。
【0124】
【表13】