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  • 特許-生体情報特定システム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】生体情報特定システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20241205BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20241205BHJP
   G01B 15/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A61B5/11 100
A61B5/00 102A
G01B15/00 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019049606
(22)【出願日】2019-03-18
(65)【公開番号】P2020151001
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-09-08
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】谷 博之
【合議体】
【審判長】加々美 一恵
【審判官】瓦井 秀憲
【審判官】▲高▼見 重雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0217664(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0184802(US,A1)
【文献】特開2018-187442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/22 G01B 15/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を送出し、且つ、無線で信号を受信する送受信機と、
前記電波を受け取り、受け取った前記電波を電力に変換し、当該電力を電源として用いて、自己の固有のID情報であって、自己の位置情報を含むID情報を前記送受信機に送信し、かつ、所定範囲の各位置に配置される複数のセンサモジュールと、を備えた生体の情報を特定する生体情報特定システムであって、
前記複数のセンサモジュールは、前記電力を電源として用いて、生体の状態に関する状態情報の取得、及び、前記状態情報の前記送受信機への送信を行い、
前記送受信機は、前記ID情報及び前記状態情報に基づいて、前記生体の状態を特定し、
前記送受信機は、予め定められた基準強度であって、前記ID情報に対応する基準強度に対する、前記複数のセンサモジュールから受信した、前記ID情報および前記状態情報の少なくとも前記ID情報に紐付けられた電波の強度の変化に基づいて、前記送受信機と前記センサモジュールとの間に、前記生体が存在するか否かを検出する、
生体情報特定システム。
【請求項2】
記送受信機は、予め定められた前記基準強度に対する前記センサモジュールから受信した電波の強度の変化に基づいて、前記送受信機との間に前記生体が存在する前記センサモジュールを検出する、
請求項1に記載の生体情報特定システム。
【請求項3】
前記複数のセンサモジュールは、互いの間で情報の受け取り及び受け渡しが可能な第1のセンサモジュール及び第2のセンサモジュールを含み、
前記送受信機は、前記第1のセンサモジュールから前記ID情報又は前記状態情報を受信できない場合に、前記第2のセンサモジュールに対して、前記第1のセンサモジュールの前記ID情報又は前記第1のセンサモジュールが取得した前記状態情報を、送信するよう指示する、
請求項2に記載の生体情報特定システム。
【請求項4】
前記生体の情報とは、前記生体の動き情報、または、前記生体の健康に関する情報を含む、請求項1または請求項2に記載の生体情報特定システム。
【請求項5】
送受信機が電波を送出する工程と、
所定範囲の各位置に配置される複数のセンサモジュールが前記電波を受け取り、受け取った前記電波を電力に変換し、当該電力を電源として用いて、自己の固有のID情報であって、自己の位置情報を含むID情報を前記送受信機に送信する工程と、
前記複数のセンサモジュールが、前記電力を電源として用いて、生体の状態に関する状態情報を取得し、前記状態情報を前記送受信機に送信する工程と、
前記送受信機が、前記ID情報及び前記状態情報に基づいて、前記生体の状態を特定する工程と、
前記送受信機が、予め定められた基準強度であって、前記ID情報に対応する基準強度に対する、前記複数のセンサモジュールから受信した前記ID情報および前記状態情報の少なくとも前記ID情報に紐付けられた電波の強度の変化に基づいて、前記送受信機と前記センサモジュールとの間に、前記生体が存在するか否かを検出する工程と、
を含む生体情報特定方法。
【請求項6】
電波を受け取り、受け取った前記電波を電力に変換し、当該電力を電源として用いて、自己の固有のID情報であって、自己の位置情報を含むID情報を含む信号を送信する複数のセンサモジュールを備えた生体の情報を特定する生体情報特定システムに設けられ、前記電波を送出し、且つ、無線で前記信号を前記複数のセンサモジュールから受信する送受信機であって、
前記送受信機は、
前記電波を送信する、および前記信号を受信するアンテナと、
前記信号に基づいて、前記生体の状態を特定する発信制御部と、
を備え、
予め定められた基準強度であって、前記ID情報に対応する基準強度に対する、前記複数のセンサモジュールから受信した、前記信号に紐付けられた電波の強度の変化に基づいて、前記送受信機と前記センサモジュールとの間に、前記生体が存在するか否かを検出する、
送受信機。
【請求項7】
前記信号は、
生体の状態に関する状態情報を含む、
請求項6に記載の送受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報を特定する生体情報特定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IoT化が進む中で、人の位置や生体情報を収集し、見守りや健康管理に活用する取り組みが注目されている。人の位置を検出するためには、例えば、屋内の近距離で通信できるRFIDを活用した移動体の位置測定システムが提案されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1の移動体の位置測定システムは、床に固有のID情報をもった複数のIDタグを配置し、人体に取り付けたIDリーダよって、近接したIDタグ情報を読み取る。IDタグ情報を読み取ったIDタグの配置された位置に人体が存在していることを測定するとともに、移動体の向きをベクトル方向に基づいて測定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-183455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の人体の位置測定システムは、IDリーダを用いて、位置を測定している。IDリーダは、人体の位置を測定できるが、人体に関する状態を取得することはできない。また、電池駆動のため、定期的な電池交換や充電が必要となる。
【0006】
本願開示の課題は、充電や電池交換が不要な小型端末を用いて、生体の位置および生体の状態に関する状態情報を特定する生体情報特定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の生体情報特定システムは、電波を送出し、且つ、無線で信号を受信する送受信機と、前記電波を受け取り、受け取った前記電波を電力に変換し、当該電力を電源として用いて、自己の固有のID情報であって、自己の位置情報を含むID情報を前記送受信機に送信し、かつ、所定範囲の各位置に配置される複数のセンサモジュールと、を備えた生体の情報を特定する生体情報特定システムであって、前記複数のセンサモジュールは、前記電力を電源として用いて、生体の状態に関する状態情報の取得、及び、前記状態情報の前記送受信機への送信を行い、前記送受信機は、前記ID情報及び前記状態情報に基づいて、前記生体の状態を特定し、前記送受信機は、予め定められた基準強度であって、前記ID情報に対応する基準強度に対する、前記複数のセンサモジュールから受信した、前記ID情報および前記状態情報の少なくとも前記ID情報に紐付けられた電波の強度の変化に基づいて、前記送受信機と前記センサモジュールとの間に、前記生体が存在するか否かを検出する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の生体情報特定システムは、人体に、無線機やセンサを装着させることなく、人の生体の位置情報、生体の状態に関する状態情報を特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態の生体情報特定システムの全体構成を示す図
図2】本実施の形態における生体情報特定システム全体及びセンサモジュールを詳細に説明した図
図3】本実施の形態の生体情報特定システムのセンサモジュールの変形例を示した図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
<構造>
図1は、本実施の形態の生体情報特定システムの全体構成を示す図である。本明細書においては、生体とは、人体及び動物を含む概念である。以下の本実施の形態では、生体に、特に人体を適用した例について説明する。
【0012】
<構成>
図1及び図2は、本実施の形態における生体情報特定システムの全体を示した図面である。移動体のセンシング装置は、送受信機101と、センサシート104とを備える。つぎに、各構成について詳細に説明する。
【0013】
<送受信機101>
送受信機101は、発振制御部102と第1アンテナ103とを備える。送受信機101は、高周波電力を生成し、空間へ電波として送信する機能を有する。送受信機101は、各センサモジュール105へ情報を送るように指示し、各センサモジュール105から、人体に関する状態情報を取得する機能を有する。
【0014】
<発振制御部102>
発振制御部102は、高周波電力を生成する機能を有し、水晶振動子、位相同期回路(PLL回路)、増幅回路(AMP)などの電気回路で構成され、高周波の電力を生成する。生成する高周波電力の周波数は、900MHz帯、2.45GHz帯、5.8GHz帯などのマイクロ波帯であれば、特に限定されるものではない。生成する高周波電力は、送電する距離、送受信機のサイズに応じて、適宜選択される。
【0015】
また、発振制御部102は、生成した高周波電力の電波としての送信及び受信を制御し、後述のセンサモジュール105から送信された情報を取得し蓄積する。発振制御部102は、メモリ、CPU、通信デバイスなどの機能デバイス及び機能デバイスなどの電気回路を備える。
【0016】
<第1アンテナ103>
第1アンテナ103は、発振制御部102で生成された高周波電力を電波として空間へ送信する機能と他の機器(本実施の形態では、例えばセンサモジュール105)から送信された電波を取得する機能を有する。アンテナの種類としては、例えば指向性アンテナが好ましい。指向性アンテナは、平面状であって、誘電体基板をGND板とアンテナ板とで挟んだ構造のパッチアンテナを使用する。
【0017】
送受信機101は、各センサモジュール105に、高周波電力をもれなく送電する場合、例えば部屋の四隅の高い位置に配置する必要がある。部屋の四隅の高い位置に配置された送受信機101は、第1アンテナ103に、例えば半値角90度程度の指向性を持ったアンテナを用いることで、部屋の隅々に電波を行き渡すことができる。送受信機101を、上述のように配置すれば、前記部屋内のいずれの位置にセンサモジュール105を配置しても、各センサモジュール105に高周波電力を放射することができる。
【0018】
<センサシート104>
センサシート104は、複数のセンサモジュール105を、シート106に固定することにより構成される。センサシート104は、人体の検出が必要な範囲、例えば、人体が横たわる床の上に設置される。センサシート104は、シート106の上における人体の位置を検知するとともに、人体に関する状態情報を取得し、それらの情報を送受信機101へ送信する。
【0019】
図2は、本実施の形態における生体情報特定システム全体及びセンサモジュールを詳細に示している。図2の左側の図は、送受信機101及びセンサシート104の例を示し、右側の図は、左側の図における点線で囲まれた部分を詳細に示している。センサシート104は、複数のセンサモジュール105と、各センサモジュール105が固定されたシート106と、を備える。
【0020】
<センサモジュール105>
センサモジュール105は、第2アンテナ201と、受電制御部202と、センサ203とを備える。センサモジュール105は、第2アンテナ201を介して送受信機101から送信された電波を受け取り、受け取った電波を電力に変換し、この電力を電源として用い、保有しているID情報を送受信機101に送信する。センサモジュール105は、シート106の上の所定の位置に配置され固定される。具体的には、各センサモジュール105は、互いに所定の間隔を開けて、マス目状にシート106に配置され固定される。センサモジュール105を、例えば図2に示すように、5行及び5列に、所定の間隔を開けて配置する。なお、センサモジュール105は、互いに間隔を開けることなく、接触した状態で配置されてもよい。接触した状態でセンサモジュール105を配置すれば、所定の間隔を開けて配置する場合よりも、精密に人体の位置を検出することができる。また、センサモジュール105が保有する情報には、シート106上における各センサモジュール105の位置情報が含まれる。例えば3行目であって3列目のセンサモジュール105が保有するID情報には、図2に示されている左側の各センサモジュール105のうち、真ん中のセンサモジュール105であるという位置情報が含まれている。
【0021】
シート106は、配置された各センサモジュール105を電気的に接続する機能を有していてもよい。その場合、シート106は、アルミなどの導電部材で構成される。
【0022】
第2アンテナ201は、送受信機101からの電波を受信し、センサモジュール105が保有する情報を送受信機101に送信する。また、第2アンテナ201は、送受信器101から放射された高周波電力を受け取る。
【0023】
センサ203は、各センサモジュール105の範囲内で、人体位置を検出し、人体の状態に関する状態情報を取得する。
【0024】
センサ203が取得する状態情報は、例えば生体の情報など、様々な情報がある。センサ203として、取得したい情報に応じて様々なセンサを用いることができる。例えば取得した情報を、介護に用いる場合は、転倒事故などを防止するために動き情報を取得する必要があるため、例えば加速度センサを用いることが好ましい。また、取得したい情報が、健康に関する情報である場合には、例えば体温または心拍センサを用いることができる。なお、センサ203の種類は、上述のものに限られず、様々なものが用いられる。センサ203は、一つに限られず、取得したい情報に応じて複数種類、複数個用いることもできる。なお、図2においては、説明の便宜上、1つのセンサモジュール105に対して1つのセンサ203が描かれている。
【0025】
図3は、本実施の形態に係るセンサモジュール105の詳細な構造を示す図である。受電制御部202は、整流部301と、電源制御部302と、情報処理部303と、通信部304とを備える。
【0026】
整流部301は、第2アンテナ201を介して送受信機101から受け取った電波を、直流電流に変換する。
【0027】
電源制御部302は、整流部301によって生成された直流電流を、センサ203、電源制御部302及び情報処理部303に、それらを作動させることが可能な電圧で電力を供給する。電源制御部302と情報処理部303とには、センサ203が接続されている。
【0028】
情報処理部303は、センサ203が取得した情報を、処理した上で、一定のタイミングで通信部304を通じて送受信機101へ送信する機能を有する。
【0029】
センサモジュール105は、送受信機101へ各センサモジュール105に固有のID情報を送信し、センサ203の情報取得を行うとともに、送受信機101からの指示を受信する。
【0030】
これらの機能により、送受信機101から放射された高周波電力を電源として活用しながら、センサ203が取得した情報を、送受信機101へ無線送信することができる。
【0031】
受電制御部202には、図3に示すように、複数種類のセンサを接続することができる。また、受電制御部202には、3つ以上のセンサが接続されてもよい。
【0032】
<人体位置検出動作>
次に、人体の位置を検出する方法について説明する。具体的には、センサシート104上に人が存在しない状態で、送受信機101は、電波を送信し、各センサモジュール105にID情報を送信するよう指示する。すると、各センサモジュール105は、ID情報を送受信機101へ送信する。続いて、送受信機101は、ID情報を受信し、発信制御部102は、それぞれのID情報と受信した電波の強度を対応付けて発振制御部102が備えるメモリに記憶させる。発信制御部102は、各センサモジュール105から受信したID情報に基づいて、センサモジュール105の位置を特定するとともに、このときに受信した電波強度を、基準強度と定める。
【0033】
このような準備が予め行われた後、人体の実際の検出が次のように行われる。
(1)送受信機101は、電波を送信し、センサモジュール105へID情報を送信するように指示する。
(2)各センサモジュール105は、ID情報を送受信機101へ送信する。
(3)送受信機101は、センサモジュール105から受信したID情報に対応する基準強度を発振制御部102が備えるメモリから読み出し、読み出した基準強度と、センサモジュール105から受信した電波の強度と比較する。
(4)基準強度に対する受信した電波の強度の変化に基づいて、センサモジュール105の近傍に人体が存在するか否かを検出する。
【0034】
なお、図2に示すように、センサモジュール105上に人体が存在すると、この人体によって、センサモジュール105から発せられた電波が遮られる。その結果、送受信機101が受信する電波の強度が弱くなる。この原理を利用して、センサモジュール105の上に人体が存在するか否かを検出することができる。また、発信制御部102は、基準強度からの変化量を事前に閾値として設定し、例えば、受信した電波強度が基準強度の50%以下に低下した場合に、センサモジュール105上に人体が存在すると判断してもよい。なお、閾値は、基準強度の50%に限られず、例えば基準強度の60%でもいいし、40%でもいい。また、電波が受信できず、ID情報が読み取れなかった場合についても、発信制御部102は、電波強度が閾値以下であると判断してもよい。この方法により、複数個配置されたセンサモジュール105のうち、人体が上に存在するセンサモジュール105を検出し特定することができる。なお、センサモジュール105の上に横たわった人体によってセンサモジュール105からの電波が阻害されやすい方が、人体の存在を検出しやすい。よって、第2アンテナ201は、上側を指向するように配置することが好ましい。
【0035】
<個人特定動作>
検出した人体の個人を特定する方法を説明する。
(1)まず、送受信機101より、各センサモジュール105に対して状態情報を送信するように指示を送信する。
(2)各センサモジュール105は、ID情報とセンサモジュール105が取得した状態情報を送受信機101へ送信する。
(3)発信制御部102は、センサモジュール105のID情報と、状態情報と、センサモジュール105から受信した電波の強度とを紐付けて発信制御部102が備えるメモリに記憶させる。
【0036】
ここで、発信制御部102は、センサモジュール105から取得した電波強度に基づいて、送受信機101からセンサモジュール105までの距離を推定することができる。送受信機101は、推定した距離に基づいて、センサモジュール105が存在する存在範囲を特定することができる。なお、送受信機101は、センサモジュール105から取得した電波強度に基づいて、人体が上にあるセンサモジュール105を特定することに加え、人体を検知したセンサモジュール105の個数や位置などから、人体の寝方や座り方などを推定することができる。
【0037】
例えば図1に示すように、センサモジュール105上に人が存在する場合、センサモジュール105は、送受信機101から送信された電波を受信することができない場合がある。また、送受信機101が、センサモジュール105からの電波を受信できない場合がある。これらの場合に対処するため、例えばセンサモジュール105は、センサシート104内の各センサモジュール105を、電気的に接続しておくことが好ましい。送受信機101からの電波が受信できない場合、または送受信機101に対して、電波を送信できない場合には、センサシート104内の電気的に接続されている各センサモジュール105間で、情報や電力を受け渡しすることができる。その結果、送受信機101は、送受信機101から電波を受信できない、または送受信機101に対して電波を送信できないセンサモジュール105(第1のセンサモジュール)のID情報や状態情報を、他のセンサモジュール105(第2のセンサモジュール)を介して、取得することができる。
【0038】
具体的には、送受信機101及び各センサモジュール105は、次のように動作する。
(1)送受信機101は、ID情報が読み取れないセンサモジュール105(第1のセンサモジュール)を特定する。送受信機101は、ID情報が読み取れないセンサモジュール105には、人が存在すると判断する。
(2)ID情報が読み取れないセンサモジュール105は、送受信機101からの電波が受信されず、電波による電力が供給されていない。このため、送受信機101は、人体が上にあり電波を受信できないセンサモジュール105への送電指示をID情報が読み取れるセンサモジュール105(第2のセンサモジュール)に対して送信する。
(3)ID情報が読み取れるセンサモジュール105は、送受信機101からの電波を受け取ると、受け取った電波を電力に変換し、この電力をID情報が読み取れないセンサモジュール105へ供給する。
(4)ID情報が読み取れないセンサモジュール105は、ID情報が読み取れるセンサモジュール105から供給された電力を用いて、上にある人体の状態情報を取得する。また、ID情報が読み取れないセンサモジュール105 は、取得した状態情報を、ID情報が読み取れるセンサモジュール105に、自身のID情報とともに送信する。
(5)ID情報が読み取れるセンサモジュール105は、ID情報が読み取れないセンサモジュール105から受信した人体の状態情報を、ID情報が読み取れないセンサモジュール105のID情報とともに、送受信機101に送信する。
【0039】
このように、ID情報が読み取れないセンサモジュール105があっても、ID情報が読み取れるセンサモジュール105が、ID情報及び人体の状態情報を、ID情報が読み取れないセンサモジュール105に代わって、送受信機101へ送信することができる。
【0040】
<効果>
センサモジュール105のID情報を用いて人体の位置を検出し、IDリーダ等の特別な無線機を携帯する必要なく、センサシート104内の人体位置検出が実現できる。
【0041】
また、センサシート104内での人体の位置検出に加え、センサモジュール105が、取得する必要がある情報を検出するセンサを搭載することで、体にセンサを巻き付けるなどの圧迫感を与えることなく、シートに横たわる人体の様々な状態情報を取得することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本願開示の生体情報特定システムは、布団やベッドのマットレス、椅子の座面等の下部に配置することで、生体情報特定システムとして幅広く活用することが出来る。
【符号の説明】
【0043】
101 送受信機
102 発振制御部
103 第1アンテナ
104 センサシート
105 センサモジュール
106 シート
201 第2アンテナ
202 受電制御部
203 センサ
301 整流部
302 電源制御部
303 情報処理部
304 通信部
図1
図2
図3