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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/898 20060101AFI20241205BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20241205BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A61K8/898
A61K8/41
A61Q5/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019108173
(22)【出願日】2019-06-10
(65)【公開番号】P2019214570
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-03-17
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】P 2018112248
(32)【優先日】2018-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 詩織
(72)【発明者】
【氏名】山崎 直幸
【合議体】
【審判長】木村 敏康
【審判官】冨永 保
【審判官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-235470(JP,A)
【文献】特開2012-236804(JP,A)
【文献】特開2016-117692(JP,A)
【文献】特開2013-209323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、及び(C)を含有し、
成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が0.01以上、5以下である、毛髪化粧料であって、
(A)下記式(I)を満たし、かつ下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する、ポリオキシアルキレン構造を含有するアミノポリエーテル変性シリコーン
0.3≦Si/AO≦1.2 (I)
〔式(I)中、Siは成分(A)中のケイ素原子のモル数、AOは成分(A)中のオキシアルキレン平均付加モル数を示す。〕
(B)下記式(II)を満たし、かつ下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する、ポリオキシアルキレン構造を含有するアミノポリエーテル変性シリコーン
1.8≦Si/AO≦2.8 (II)
〔式(II)中、Siは成分(B)中のケイ素原子のモル数、AOは成分(B)中のオキシアルキレン平均付加モル数を示す。〕
(C)カチオン性界面活性剤
成分(A)の25℃における動粘度が500mm 2 /s以上、1,500mm 2 /s以下であり、
成分(B)の25℃における動粘度が3,000mm 2 /s以上、10万mm 2 /s以下であり
成分(A)のSi/AOの値と成分(B)のSi/AOの値との差の絶対値が1.0以上、2.0以下であり、
成分(C)がアルキルトリメチルアンモニウム塩、アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアミン及びその塩、アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩、並びに、アルキルアミドアルキルジメチルアミン及びその塩からなる群から選ばれる1種以上であり、
毛髪化粧料中の成分(A)の含有量が、0.005質量%以上、0.2質量%以下であり、
毛髪化粧料中の成分(B)の含有量が、0.01質量%以上、0.3質量%以下であり、
毛髪化粧料中の成分(C)の含有量が、0.8質量%以上、5.0質量%以下である、毛髪化粧料。
【化1】

〔式(2)中、aは2以上100以下の数、bは1以上50以下の数、cは10以上18以下の数、dは1以上100以下の数を示す。括弧内の構造単位同士の結合順序は問わず、結合形態はブロック状でもランダム状でもよい。〕
【請求項2】
次の成分(A)、(B)、及び(C)を配合してなり、
成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が0.01以上、5以下である、毛髪化粧料であって、
(A)下記式(I)を満たし、かつ下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する、ポリオキシアルキレン構造を含有するアミノポリエーテル変性シリコーン
0.3≦Si/AO≦1.2 (I)
〔式(I)中、Siは成分(A)中のケイ素原子のモル数、AOは成分(A)中のオキシアルキレン平均付加モル数を示す。〕
(B)下記式(II)を満たし、かつ下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する、ポリオキシアルキレン構造を含有するアミノポリエーテル変性シリコーン
1.8≦Si/AO≦2.8 (II)
〔式(II)中、Siは成分(B)中のケイ素原子のモル数、AOは成分(B)中のオキシアルキレン平均付加モル数を示す。〕
(C)カチオン性界面活性剤
成分(A)の25℃における動粘度が500mm 2 /s以上、1,500mm 2 /s以下であり、
成分(B)の25℃における動粘度が3,000mm 2 /s以上、10万mm 2 /s以下であり
成分(A)のSi/AOの値と成分(B)のSi/AOの値との差の絶対値が1.0以上、2.0以下であり、
成分(C)がアルキルトリメチルアンモニウム塩、アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアミン及びその塩、アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩、並びに、アルキルアミドアルキルジメチルアミン及びその塩からなる群から選ばれる1種以上であり、
毛髪化粧料中の成分(A)の配合量が、0.005質量%以上、0.2質量%以下であり、
毛髪化粧料中の成分(B)の配合量が、0.01質量%以上、0.3質量%以下であり、
毛髪化粧料中の成分(C)の配合量が、0.8質量%以上、5.0質量%以下である、毛髪化粧料。
【化2】

〔式(2)中、aは2以上100以下の数、bは1以上50以下の数、cは10以上18以下の数、dは1以上100以下の数を示す。括弧内の構造単位同士の結合順序は問わず、結合形態はブロック状でもランダム状でもよい。〕
【請求項3】
リンス、コンディショニング剤、又はトリートメント剤である、請求項1又は2に記載の毛髪化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪は生活環境(太陽光による紫外線や熱)、日常のヘアケア行動(洗髪やブラッシングによる摩擦)、化学処理(カラーリング、パーマ等)によりダメージを受けている。ダメージを受けた毛髪が擦れ合うと、表面に大きな摩擦力が発生し、絡まりが生じる。「毛髪の絡まり」は、ヘアケア行動におけるあらゆるストレスの原因となる。洗髪時にシャンプー等の毛髪洗浄剤を泡立てる操作中の指通りの悪さ、洗髪後の毛髪のすすぎ時の指通りの悪さ等で「毛髪の絡まり」は感知される。
洗髪後の毛髪の絡まりを解く方法として、コンディショナーやトリートメント等の毛髪化粧料を用いる場合は、これら毛髪化粧料を毛髪に塗布し絡まり部位に指を通しながら馴染ませることによって、毛髪表面に潤滑成分を行き渡らせながら毛髪の絡まりを解いている。従来の技術では、毛髪の指通りや櫛通りをよくする目的で、コンディショナーやトリートメント等の毛髪化粧料にカチオン性界面活性剤、高級アルコール、シリコーン等が配合されている。
【0003】
特許文献1には、ポリエーテルアミノ変性シリコーンとカチオン界面活性剤を用いた毛髪化粧料が、濯ぎ時、水流中での毛髪のきしみ感を抑制し、柔軟性や平滑性を向上させることで、濯ぎ時の毛髪の絡みによる損傷を予防できることが開示されている。
特許文献2には、特定の動粘度範囲にあるアミノ変性シリコーンと、アミノポリエーテル変性シリコーンと、特定の動粘度範囲にあるジメチルポリシロキサンと、特定のアルキル型カチオンと、特定の高級アルコールを組み合わせた毛髪化粧料が毛髪の水分保持力を高めながらも、使用時の指どおりを改善し、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができ、かつ、低湿度下でのパサツキ防止とうるおい感を与えられることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-249418号公報
【文献】特開2013-43848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2に記載のいずれの毛髪化粧料も、使用時の毛髪の滑らかさや指通り等は向上するものの、手を通すなどの操作を行うことなく、洗髪により生じた毛髪の絡まりを自発的に解くには至っていない。
本発明は、洗浄後の毛髪に適用すると、手を通すなどの操作を行うことなく、洗髪後に存在する絡まりを解くことができ、かつ、乾燥後の毛髪にしっとりとした感触を与えることができる毛髪化粧料に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、所定の要件を満たす、ポリオキシアルキレン構造を含有する2種のアミノポリエーテル変性シリコーン、及びカチオン性界面活性剤を含有又は配合してなる毛髪化粧料が前記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、次の成分(A)、(B)、及び(C)を含有又は配合してなる毛髪化粧料に関する。
(A)下記式(I)を満たす、ポリオキシアルキレン構造を含有するアミノポリエーテル変性シリコーン
0.01≦Si/AO≦1.6 (I)
〔式(I)中、Siは成分(A)中のケイ素原子のモル数、AOは成分(A)中のオキシアルキレン平均付加モル数を示す。〕
(B)下記式(II)を満たす、ポリオキシアルキレン構造を含有するアミノポリエーテル変性シリコーン
1.6<Si/AO≦3.0 (II)
〔式(II)中、Siは成分(B)中のケイ素原子のモル数、AOは成分(B)中のオキシアルキレン平均付加モル数を示す。〕
(C)カチオン性界面活性剤
【発明の効果】
【0007】
本発明の毛髪化粧料によれば、洗浄後の毛髪に適用すると、手を通すなどの操作を行うことなく、洗髪後に存在する毛髪の絡まりを解くことができ、かつ、乾燥後の毛髪にしっとりとした感触を与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[毛髪化粧料]
本発明の毛髪化粧料は、次の成分(A)、(B)、及び(C)を含有又は配合してなることを特徴とする。
(A)下記式(I)を満たす、ポリオキシアルキレン構造を含有するアミノポリエーテル変性シリコーン
0.01≦Si/AO≦1.6 (I)
〔式(I)中、Siは成分(A)中のケイ素原子のモル数、AOは成分(A)中のオキシアルキレン平均付加モル数を示す。〕
(B)下記式(II)を満たす、ポリオキシアルキレン構造を含有するアミノポリエーテル変性シリコーン
1.6<Si/AO≦3.0 (II)
〔式(II)中、Siは成分(B)中のケイ素原子のモル数、AOは成分(B)中のオキシアルキレン平均付加モル数を示す。〕
(C)カチオン性界面活性剤
本発明の毛髪化粧料は上記成分(A)、(B)、及び(C)を含有又は配合することにより、洗浄後の毛髪に適用すると、洗髪後に存在する毛髪の絡まりを、手を通すなどの操作を行うことなく解くことができ、かつ、乾燥後の毛髪にしっとりとした感触を与えることができる。なお「成分(A)、(B)、及び(C)を含有する」とは、「成分(A)、(B)、及び(C)を配合してなる」ことをも意味する。
【0009】
本発明の毛髪化粧料が上記構成であることにより本発明の効果を奏する理由については定かではないが、以下のように推察される。
洗髪後に存在する毛髪の絡まりが自発的に解けるような状態にするには、毛髪間に働く摩擦力を低下させることが重要であると考えられる。毛髪化粧料には有効成分として一般にシリコーンが配合されることがあるが、本発明者らは、毛髪間に働く摩擦力を低下させるために、ポリオキシアルキレン構造の含有割合が高い、水溶性のアミノポリエーテル変性シリコーンである成分(A)を用いることが有効であることを見出した。さらに、成分(A)と、ポリオキシアルキレン構造の含有割合が低い、水不溶性のアミノポリエーテル変性シリコーンである成分(B)とを併用することで、乾燥後の毛髪にしっとりとした感触を与えることができ、さらに、洗髪により生じた毛髪の絡まりをより効果的に解くことができることを見出した。
成分(C)であるカチオン性界面活性剤は、水不溶性の成分(B)を毛髪化粧料に分散させる効果を有する。またシャンプー等の毛髪洗浄剤には洗浄性を発現させるためアニオン性界面活性剤が配合されるが、本発明の毛髪化粧料は成分(C)を含有することで、洗浄後の毛髪に適用した場合に良好なコンディショニング効果を与えることができる。
【0010】
本発明の毛髪化粧料としては、リンス、コンディショニング剤、トリートメント剤(洗い流さないタイプを含む)、スタイリング剤、染毛剤、育毛剤等が挙げられる。これらの中でも、リンス、コンディショニング剤、トリートメント剤、又はスタイリング剤であることが好ましく、リンス、コンディショニング剤、又はトリートメント剤であることがより好ましい。
毛髪化粧料の剤型には特に制限はなく、例えば液体状、泡状、ペースト状、クリーム状、固形状、粉末状等、任意の剤型とすることが可能である。毛髪への塗布性の観点からは、液体状、ペースト状又はクリーム状とすることが好ましく、液体状又はクリーム状とすることがより好ましい。また本発明の毛髪化粧料は、使用形態に応じて、水で希釈して水溶液の状態で用いてもよい。
【0011】
<成分(A)>
本発明の毛髪化粧料は、成分(A)として、下記式(I)を満たす、ポリオキシアルキレン構造を含有するアミノポリエーテル変性シリコーンを含有又は配合してなる。
0.01≦Si/AO≦1.6 (I)
〔式(I)中、Siは成分(A)中のケイ素原子のモル数、AOは成分(A)中のオキシアルキレン平均付加モル数を示す。〕
本発明の毛髪化粧料は成分(A)を含有又は配合することで、前述した作用機構により、洗浄後の毛髪に適用すると、手を通すなどの操作を行うことなく、洗髪後に存在する毛髪の絡まりを自発的に解くことができる。
式(I)において、Si/AOは、洗髪後に存在する毛髪の絡まりを解く観点から、0.01以上であり、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.3以上、より更に好ましくは0.5以上、より更に好ましくは0.7以上であり、同様の観点から、1.6以下、好ましくは1.4以下、より好ましくは1.2以下、更に好ましくは1.0以下、より更に好ましくは0.9以下である。
式(I)におけるSi/AOは、H-NMR測定により測定される、ケイ素に結合した水素原子及び炭化水素基のHの積分値と、オキシアルキレン基のHの積分値とから算出できる。具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
【0012】
成分(A)は、洗髪後に存在する毛髪の絡まりを解く観点から、窒素含有率が好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、より更に好ましくは1.0質量%以上であり、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下、更に好ましくは1.8質量%以下、より更に好ましくは1.5質量%以下である。成分(A)の窒素含有率の具体的範囲は、好ましくは0.1~2.5質量%、より好ましくは0.2~2.0質量%、更に好ましくは0.5~1.8質量%、より更に好ましくは1.0~1.5質量%である。成分(A)の窒素含有率は、JIS K0113:2005に規定されている電位差滴定方法に準拠して測定される値である。
【0013】
成分(A)は、より具体的には、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するアミノポリエーテル変性シリコーンであることが好ましい。より好ましくは、下記一般式(1)で表される繰り返し単位から構成されるアミノポリエーテル変性シリコーンである。
【化1】

〔式(1)中、Rは水素原子又は炭素数1以上6以下の1価の炭化水素基を示す。RはR又はEのいずれかを示す。Eは-R-Z(Rは単結合、又は炭素数1以上20以下の2価の炭化水素基を示し、Zは1~3級アミノ基含有基を示す。)で表される1価の基を示す。Yは炭素数1以上6以下のアルキレン基を示す。aは2以上の数、bは1以上の数、cは4以上100以下の数、dは1以上の数を示す。nは2以上10以下の数を示す。括弧内の構造単位同士の結合順序は問わず、結合形態はブロック状でもランダム状でもよい。c個のC2nOは同一でも異なっていてもよい。また、複数個のR、R、及びEは同一でも異なっていてもよい。〕
成分(A)が一般式(1)で表される繰り返し単位から構成される場合、前記式(I)におけるSi/AOは(a+b+1)/cで表される。
【0014】
一般式(1)において、Rは水素原子又は炭素数1以上6以下の1価の炭化水素基である。Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、又はフェニル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。
【0015】
一般式(1)において、RはR又はEのいずれかを示す。Eは-R-Z(Rは単結合、又は炭素数1以上20以下の2価の炭化水素基を示す。)で表される1価の基を示す。
は炭素数1以上20以下の2価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1以上20以下のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基であることが更に好ましく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、又はヘキサメチレン基であることがより更に好ましく、トリメチレン基又はプロピレン基であることがより更に好ましい。
【0016】
Zは1~3級アミノ基含有基であり、-N(R、-NR(CHN(R、又は-NR(CHN(R)CO-Rで示されるアミノ基含有基であることが好ましい。ここで、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基を示し、好ましくは水素原子又はメチル基である。Rは炭素数1以上3以下のアルキル基を示す。mは1以上6以下の数を示し、好ましくは2以上4以下の数である。
【0017】
一般式(1)において、好ましいE基は、-(CH-NH、-(CH-N(CH、-(CH-NH-(CH-NH、又は-(CH-NH-(CH-N(CHであり、より好ましくは、-(CH-NH-(CH-NHである。
【0018】
一般式(1)において、Yは炭素数1以上6以下のアルキレン基であり、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、n-ブチレン基(テトラメチレン基)又はi-ブチレン基が好ましく、n-ブチレン基又はi-ブチレン基がより好ましい。ここでいうi-ブチレン基には、-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-、及び-CHCHCH(CH)-が含まれる。
【0019】
一般式(1)において、aは2以上の数、bは1以上の数、cは4以上100以下の数、dは1以上の数を示す。aは好ましくは2以上1000以下の数、より好ましくは2以上100以下の数である。bは好ましくは1以上50以下の数であり、cは好ましくは4以上50以下の数、より好ましくは10以上18以下の数であり、dは好ましくは1以上100以下の数である。
【0020】
一般式(1)において、nは2以上10以下の数を示し、好ましくは2以上6以下、より好ましくは2以上4以下の数である。
【0021】
成分(A)は、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有するアミノポリエーテル変性シリコーンであることがより好ましい。さらに好ましくは、下記一般式(2)で表される繰り返し単位から構成されるアミノポリエーテル変性シリコーンである。成分(A)が一般式(2)で表される繰り返し単位から構成される場合も、前記式(I)におけるSi/AOは(a+b+1)/cで表される。
【化2】
〔式(2)中、a~dは前記と同じである。〕
【0022】
成分(A)は、オイル、エマルション等のいずれの形態のものでもよいが、オイルであることが好ましい。
成分(A)がオイルである場合、その25℃における動粘度は、毛髪等に効率よく残留させて本発明の効果を発揮させる観点から、好ましくは50mm2/s以上、より好ましくは100mm2/s以上、更に好ましくは300mm2/s以上、より更に好ましくは500mm2/s以上、より更に好ましくは700mm2/s以上であり、水溶性の観点からは、好ましくは50,000mm2/s以下、より好ましくは20,000mm2/s以下、更に好ましくは10,000mm2/s以下、より更に好ましくは5,000mm2/s以下、より更に好ましくは3,000mm2/s以下、より更に好ましくは1,500mm2/s以下、より更に好ましくは1,400mm2/s以下である。成分(A)の25℃における動粘度の具体的範囲は、好ましくは50~50,000mm2/s、より好ましくは100~20,000mm2/s、更に好ましくは300~10,000mm2/s、より更に好ましくは500~5,000mm2/s、より更に好ましくは500~3,000mm2/s、より更に好ましくは500~1,500mm2/s、より更に好ましくは700~1,400mm2/sである。
成分(A)の動粘度は、25℃において、JIS Z8803:2011に規定されている“液体の粘度測定方法”、又はASTM D 445-46Tに準拠して測定される値であり、例えば、ウベローデ粘度計を用いて測定できる。
【0023】
成分(A)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
成分(A)として、市販のアミノポリエーテル変性シリコーンを用いることもできる。例えば、一般式(2)で表される繰り返し単位を有するアミノポリエーテル変性シリコーンとして、東レ・ダウコーニング(株)製の「SILSTYLE 201」((ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマー、窒素含有率:1.2質量%、粘度:1000mm/s、Si/AO=0.80)等が挙げられる。
【0024】
毛髪化粧料中の成分(A)の含有量又は配合量は、洗髪後に存在する毛髪の絡まりを解く観点から、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.0005質量%以上、更に好ましくは0.001質量%以上、より更に好ましくは0.005質量%以上であり、また、後述する成分(B)と併用して乾燥後の毛髪にしっとりとした感触を与える観点から、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下、より更に好ましくは0.7質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以下、より更に好ましくは0.3質量%以下、より更に好ましくは0.2質量%以下、より更に好ましくは0.15質量%以下である。毛髪化粧料中の成分(A)の含有量又は配合量の具体的範囲は、好ましくは0.0001~5.0質量%、より好ましくは0.0001~3.0質量%、更に好ましくは0.0001~1.0質量%、より更に好ましくは0.0001~0.7質量%、より更に好ましくは0.0005~0.5質量%、より更に好ましくは0.001~0.3質量%、より更に好ましくは0.005~0.2質量%、より更に好ましくは0.005~0.15質量%である。
【0025】
<成分(B)>
本発明の毛髪化粧料は、成分(B)として、下記式(II)を満たす、ポリオキシアルキレン構造を含有するアミノポリエーテル変性シリコーンを含有又は配合してなる。
1.6<Si/AO≦3.0 (II)
〔式(II)中、Siは成分(B)中のケイ素原子のモル数、AOは成分(B)中のオキシアルキレン平均付加モル数を示す。〕
本発明の毛髪化粧料は成分(B)を含有又は配合することで、乾燥後の毛髪にしっとりとした感触を与えることができる。また成分(A)と併用することにより、洗髪後に存在する毛髪の絡まりをより効果的に解くことができる。
成分(B)は、上記効果を奏する観点から、水不溶性であることが好ましい。本明細書において「水不溶性」とは、25℃の水100gに対する溶解度が0.1g以下であることをいう。
式(II)において、Si/AOは、乾燥後の毛髪にしっとりとした感触を与える観点から、好ましくは1.8以上、より好ましくは2.0以上、更に好ましくは2.2以上であり、配合安定性の観点から、好ましくは2.8以下、より好ましくは2.6以下である。Si/AOは前記と同様の方法で求めることができる。
【0026】
成分(B)は、乾燥後の毛髪にしっとりとした感触を与える観点、及び、成分(A)と併用することによって毛髪の絡まりをより効果的に解く観点から、窒素含有率が好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、より更に好ましくは0.8質量%以上であり、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下、更に好ましくは1.8質量%以下、より更に好ましくは1.5質量%以下である。成分(B)の窒素含有率の具体的範囲は、好ましくは0.1~2.5質量%、より好ましくは0.2~2.0質量%、更に好ましくは0.5~1.8質量%、より更に好ましくは0.8~1.5質量%である。成分(B)の窒素含有率は、前記と同様の方法で求めることができる。
【0027】
成分(B)は下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有することがより好ましく、下記一般式(1)で表される繰り返し単位から構成されるアミノポリエーテル変性シリコーンであることが更に好ましい。すなわち本発明においては、成分(A)及び成分(B)が下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有することが好ましく、下記一般式(1)で表される繰り返し単位から構成されるアミノポリエーテル変性シリコーンであることがより好ましい。
【化3】

〔式(1)中、R、R、E、Y、a~d及びnは前記と同じである。〕
成分(B)が一般式(1)で表される繰り返し単位から構成される場合、前記式(II)におけるSi/AOは(a+b+1)/cで表される。
成分(B)における式(1)中のR、R、E、Y、a~d及びn、並びにその好ましい範囲は、Si/AOの範囲を除き、成分(A)と同じである。すなわち、成分(B)は前記一般式(2)で表される繰り返し単位を有するアミノポリエーテル変性シリコーンであることがより好ましく、前記一般式(2)で表される繰り返し単位から構成されるアミノポリエーテル変性シリコーンであることが更に好ましい。
【0028】
成分(B)は、オイル、エマルション等のいずれの形態のものでもよいが、オイルであることが好ましい。
成分(B)がオイルである場合、25℃における動粘度は、水不溶性の観点から、好ましくは2,000mm2/s以上、より好ましくは3,000mm2/s以上、更に好ましくは5,000mm2/s以上であり、配合の容易性の観点からは、好ましくは20万mm2/s以下、より好ましくは10万mm2/s以下、更に好ましくは5万mm2/s以下である。成分(B)がオイルである場合の、25℃における動粘度の具体的範囲は、好ましくは2,000~20万mm2/s、より好ましくは3,000~10万mm2/s、更に好ましくは5,000~5万mm2/sである。当該動粘度は、前記と同様の方法で測定できる。
【0029】
成分(B)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
成分(B)として、市販のアミノポリエーテル変性シリコーンを用いることもできる。例えば、東レ・ダウコーニング(株)製の「SILSTYLE 104」(前記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する(ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマー、窒素含有率:1.2質量%、25℃における動粘度:12,000mm/s、Si/AO=2.46)、「SS-3588」(前記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマー、窒素含有率:1.0質量%、Si/AO=2.39)、東レ・ダウコーニング(株)製の「SILSTYLE 401」((ビスイソブチルPEG/PPG-20/35/アモジメチコン)コポリマー、窒素含有率:0.2質量%)等が挙げられる。
【0030】
毛髪化粧料中の成分(B)の含有量又は配合量は、乾燥後の毛髪にしっとりとした感触を与える観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、乾燥後の毛髪のべたつきを防ぐ観点から、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以下、より更に好ましくは0.3質量%以下である。毛髪化粧料中の成分(B)の含有量又は配合量の具体的範囲は、好ましくは0.01~5.0質量%、より好ましくは0.01~3.0質量%、更に好ましくは0.01~1.0質量%、より更に好ましくは0.01~0.5質量%、より更に好ましくは0.05~0.5質量%、より更に好ましくは0.1~0.3質量%である。
【0031】
本発明の毛髪化粧料において、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]は、洗髪により生じた毛髪の絡まりを解く観点から、好ましくは0.005以上、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上、更に好ましくは0.05以上であり、乾燥後の毛髪にしっとりとした感触を与える観点から、好ましくは70以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは30以下、より更に好ましくは20以下、より更に好ましくは10以下、より更に好ましくは5以下である。毛髪化粧料における成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]の具体的範囲は、好ましくは0.005~70、より好ましくは0.01~50、更に好ましくは0.01~30、より更に好ましくは0.01~20、より更に好ましくは0.01~10、より更に好ましくは0.03~5、より更に好ましくは0.05~5である。
【0032】
また、毛髪の絡まりをより効果的に解く観点、及び、乾燥後の毛髪にしっとりとした感触を与える観点から、成分(A)のSi/AOの値と成分(B)のSi/AOの値との差の絶対値は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは1.0以上、より更に好ましくは1.5以上であり、同様の観点から、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.8以下である。成分(A)のSi/AOの値と成分(B)のSi/AOの値との差の絶対値の具体的範囲は、好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.2~2.5、更に好ましくは0.5~2.0、より更に好ましくは1.0~2.0、より更に好ましくは1.5~2.0、より更に好ましくは1.5~1.8である。
【0033】
<成分(C):カチオン性界面活性剤>
本発明の毛髪化粧料は、成分(C)としてカチオン性界面活性剤を含有又は配合してなる。本発明の毛髪化粧料は成分(C)を含有することで、毛髪化粧料に成分(B)を分散させるとともに、洗髪後の毛髪に対するコンディショニング効果を発揮する。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアミン及びその塩、アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩、並びに、アルキルアミドアルキルジメチルアミン及びその塩等が挙げられる。
【0034】
(i)アルキルトリメチルアンモニウム塩
アルキルトリメチルアンモニウム塩としては、例えば下記一般式(i)で表される化合物が挙げられる。
11-N(CH (i)
〔式中、R11は炭素数12以上22以下のアルキル基を示し、Xは塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオンを示す。〕
11は、好ましくは炭素数16以上20以下のアルキル基である。アルキルトリメチルアンモニウム塩として、具体的には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド(ステアリルトリモニウムクロリド)、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0035】
(ii)アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩
アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩としては、例えば下記一般式(ii)で表される化合物が挙げられる。
12-O-R13-N(CH (ii)
〔式中、R12は炭素数12以上22以下のアルキル基を示し、R13はヒドロキシ基が置換していてもよいエチレン基又はプロピレン基を示す。Xは上記と同じである。〕
12は、好ましくは炭素数16以上20以下のアルキル基である。アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩として、具体的には、ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0036】
(iii)ジアルキルジメチルアンモニウム塩
ジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、例えば下記一般式(iii)で表される化合物が挙げられる。
(R14-N(CH (iii)
〔式中、R14はそれぞれ独立に炭素数12以上22以下のアルキル基を示す。Xは上記と同じである。〕
14は、好ましくは炭素数16以上20以下のアルキル基である。ジアルキルジメチルアンモニウム塩として、具体的には、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0037】
(iv)アルキルジメチルアミン及びその塩
アルキルジメチルアミンは、酸と反応して第4級アンモニウム塩となり、界面活性剤となる。従って、ここでは、アルキルジメチルアミン及びその塩をカチオン性界面活性剤と定義する。また、その含有量又は配合量は、アルキルジメチルアミンの質量で換算する。アルキルジメチルアミン及びその塩としては、例えば下記一般式(iv)で表される化合物及びその塩が挙げられる。
15-N(CH (iv)
〔式中、R15は炭素数12以上22以下のアルキル基を示す。〕
15は、好ましくは炭素数16以上20以下のアルキル基である。
塩としては、有機酸又は無機酸による塩が挙げられる。有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸等のモノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等のジカルボン酸;ポリグルタミン酸等のポリカルボン酸;グリコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸等が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。これらの中では、有機酸が好ましく、ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、及び酸性アミノ酸からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。ジカルボン酸としてはマレイン酸及びコハク酸からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。ヒドロキシカルボン酸としてはグリコール酸、乳酸及びリンゴ酸からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。酸性アミノ酸としてはグルタミン酸がより好ましい。
具体的なアルキルジメチルアミン及びその塩としては、N,N-ジメチルベヘニルアミン、N,N-ジメチルステアリルアミン及びそれらの有機酸塩が挙げられ、N,N-ジメチルベヘニルアミンの乳酸塩、N,N-ジメチルステアリルアミンのグリコール酸塩などが好ましい。
【0038】
(v)アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩
アルコキシアルキルジメチルアミンは、酸と反応して第4級アンモニウム塩となり、界面活性剤となる。従って、ここでは、アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩をカチオン性界面活性剤と定義する。また、その含有量又は配合量は、アルコキシアルキルジメチルアミンの質量で換算する。アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩としては、例えば下記一般式(v)で表される化合物及びその塩が挙げられる。
16-O-R17-N(CH (v)
〔式中、R16は炭素数12以上22以下のアルキル基を示し、R17はエチレン基又はプロピレン基を示す。〕
16は、好ましくは炭素数16以上20以下のアルキル基である。
塩としては、有機酸又は無機酸による塩が挙げられる。当該有機酸及び無機酸の具体例としては、(iv)アルキルジメチルアミン及びその塩において例示したものが挙げられる。これらの中では、有機酸が好ましく、ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、及び酸性アミノ酸からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。ジカルボン酸としてはマレイン酸及びコハク酸からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。ヒドロキシカルボン酸としてはグリコール酸、乳酸及びリンゴ酸からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。酸性アミノ酸としてはグルタミン酸がより好ましい。
具体的なアルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩としては、N,N-ジメチル-3-ヘキサデシルオキシプロピルアミン、N,N-ジメチル-3-オクタデシルオキシプロピルアミン及びそれらの有機酸塩が挙げられ、N,N-ジメチル-3-ヘキサデシルオキシプロピルアミンの乳酸塩、N,N-ジメチル-3-オクタデシルオキシプロピルアミン(ステアロキシプロピルジメチルアミン)の乳酸塩、N,N-ジメチル-3-オクタデシルオキシプロピルアミンのグリコール酸塩が好ましい。
【0039】
(vi)アルキルアミドアルキルジメチルアミン及びその塩
アルキルアミドアルキルジメチルアミンは、酸と反応して第4級アンモニウム塩となり、界面活性剤となる。従って、ここでは、アルキルアミドアルキルジメチルアミン及びその塩をカチオン性界面活性剤と定義する。また、その含有量又は配合量は、アルキルアミドアルキルジメチルアミンの質量で換算する。アルキルアミドアルキルジメチルアミン及びその塩としては、例えば下記一般式(vi)で表される化合物及びその塩が挙げられる。
18-C(=O)NH-R19-N(CH (vi)
〔式中、R18は炭素数11以上21以下のアルキル基を示し、R19はエチレン基又はプロピレン基を示す。〕
18は、好ましくは炭素数15以上19以下のアルキル基である。
塩としては、有機酸又は無機酸による塩が挙げられる。当該有機酸及び無機酸の具体例としては、(iv)アルキルジメチルアミン及びその塩において例示したものが挙げられる。これらの中では、有機酸が好ましく、ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、及び酸性アミノ酸からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。ジカルボン酸としてはマレイン酸及びコハク酸からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。ヒドロキシカルボン酸としてはグリコール酸、乳酸及びリンゴ酸からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。酸性アミノ酸としてはグルタミン酸がより好ましい。
具体的なアルキルアミドアルキルジメチルアミン及びその塩としては、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ドコサナミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ステアラミド及びそれらの有機酸塩が挙げられ、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ドコサナミドの乳酸塩、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ステアラミドのグリコール酸塩が好ましい。
【0040】
上記(i)~(vi)以外のカチオン性界面活性剤としてとしては、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム(アルカノイルアミノプロピルジメチルエチルアンモニウムのエチル硫酸塩、アルカノイル基はラノリン由来)、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノエチルトリエチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルトリエチルアンモニウム、メチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソアルカン酸(C14~20)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソアルカン酸(C18~22)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソステアリン酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソノナン酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム及びアルキルトリメチルアンモニウムサッカリン等が挙げられる。
【0041】
成分(C)は1種又は2種以上を用いることができる。
上記の中でも、成分(C)としては、好ましくはアルキルトリメチルアンモニウム塩、アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアミン及びその塩、アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩、並びに、アルキルアミドアルキルジメチルアミン及びその塩からなる群から選ばれる1種以上であり、具体的には、前記一般式(i)~(iii)で表される化合物、並びに前記一般式(iv)~(iv)で表される化合物及びそれらの塩からなる群から選ばれる1種以上である。より好ましくは、アルキルトリメチルアンモニウム塩、並びにアルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩からなる群から選ばれる1種以上であり、具体的には、前記一般式(i)で表される化合物、並びに、前記一般式(v)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる1種以上である。
【0042】
毛髪化粧料中の成分(C)の含有量又は配合量は、毛髪化粧料中に成分(B)を分散させる観点及びコンディショニング効果を発現する観点から、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上であり、洗髪により生じた毛髪の絡まりを解く観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5.0質量%以下、より更に好ましくは2.0質量%以下である。毛髪化粧料中の成分(C)の含有量又は配合量の具体的範囲は、好ましくは0.3~20質量%、より好ましくは0.5~10質量%、更に好ましくは0.8~5.0質量%、より更に好ましくは0.8~2.0質量%である。
【0043】
本発明の毛髪化粧料において、成分(B)と成分(C)との質量比[(B)/(C)]は、洗髪後に存在する毛髪の絡まりを解く観点から、好ましくは0.005以上、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上、更に好ましくは0.05以上であり、成分(B)の分散性の観点から、好ましくは3以下、より好ましくは1以下、更に好ましくは0.8以下、より更に好ましくは0.5以下である。毛髪化粧料における成分(B)と成分(C)との質量比[(B)/(C)]の具体的範囲は、好ましくは0.005~3、より好ましくは0.01~1、更に好ましくは0.03~0.8、より更に好ましくは0.05~0.5である。
【0044】
(高級アルコール)
本発明の毛髪化粧料は、乾燥後の毛髪に平滑性及びしっとり感を与える観点、毛髪化粧料の剤型が液体状、ペースト状又はクリーム状である場合は安定性、粘度調整の観点から、さらに、炭素数12以上22以下の高級アルコールを含有又は配合したものとすることが好ましい。高級アルコールとしては、セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0045】
高級アルコールを用いる場合、毛髪化粧料中の高級アルコールの含有量又は配合量は、乾燥後の毛髪に平滑性及びしっとり感を与える観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、また、乾燥後の毛髪のべたつきを防ぐ観点、毛髪化粧料の剤型が液体状、ペースト状又はクリーム状である場合は粘度調整効果の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは5.0質量%以下である。毛髪化粧料中の高級アルコールの含有量又は配合量の具体的範囲は、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは0.5~15質量%、更に好ましくは1.0~10質量%、より更に好ましくは1.0~5.0質量%である。
【0046】
(有機酸又は無機酸)
本発明の毛髪化粧料は、成分(A)を溶解させる観点、及び、成分(C)としてアルキルジメチルアミン、アルコキシアルキルジメチルアミン、アルキルアミドアルキルジメチルアミン等のアミン類を用いる場合はこれらを中和して塩とする観点から、さらに、有機酸又は無機酸を含有又は配合したものとすることが好ましい。
有機酸又は無機酸としては、成分(C)である、(iv)アルキルジメチルアミン及びその塩において例示した有機酸又は無機酸が挙げられ、有機酸が好ましい。
有機酸としては、酢酸、プロピオン酸等のモノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等のジカルボン酸;ポリグルタミン酸等のポリカルボン酸;グリコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸等が挙げられ、ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、及び酸性アミノ酸からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。ジカルボン酸としてはマレイン酸及びコハク酸からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。ヒドロキシカルボン酸としてはグリコール酸、乳酸及びリンゴ酸からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。酸性アミノ酸としてはグルタミン酸がより好ましい。
【0047】
有機酸又は無機酸を用いる場合、毛髪化粧料中の含有量又は配合量は、成分(A)を溶解させる観点から、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.02質量%以上であり、製品の安定性の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以下である。
毛髪化粧料中の有機酸又は無機酸の含有量又は配合量の具体的範囲は、好ましくは0.005~10質量%、より好ましくは0.01~8質量%、更に好ましくは0.02~5質量%、より更に好ましくは0.02~1質量%、より更に好ましくは0.02~0.5質量%である。
なお、成分(C)としてアルキルジメチルアミン、アルコキシアルキルジメチルアミン、アルキルアミドアルキルジメチルアミン等のアミン類を用いる場合は、これらを中和して塩とするために好適な量の有機酸又は無機酸を適宜含有させることができる。
【0048】
(水性媒体)
本発明の毛髪化粧料は、通常、水性媒体を含有又は配合してなる。水性媒体は、水が主成分であることが好ましく、さらに、水以外の水性媒体を含有していてもよい。水以外の水性媒体としては、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;1,3-ブチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の炭素数6以下の低分子ジオール及びトリオールが挙げられる。
水性媒体中の水の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、上限は100質量%である。
毛髪化粧料中の水性媒体の含有量又は配合量は、毛髪化粧料の剤型により適宜選択することができるが、通常、5~99質量%の範囲であり、好ましくは30~98質量%の範囲である。
【0049】
(その他の成分)
本発明の毛髪化粧料は、本発明の目的を損なわない範囲で、毛髪化粧料に通常配合されるその他の成分を適宜含有又は配合してもよい。当該成分としては、例えば、カチオン化セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、高重合ポリエチレンオキサイド等の高分子化合物;油剤;成分(A)及び成分(B)以外のシリコーン;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド等のノニオン性界面活性剤;ベタイン類等の両性界面活性剤;酸化防止剤;ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム等の抗フケ剤;ビタミン剤;殺菌剤;抗炎症剤;防腐剤;キレート剤;パンテノール等の保湿剤;パール剤;セラミド類;香料;紫外線吸収剤;染料、顔料等の着色剤;ユーカリの極性溶媒抽出物、真珠層を有する貝殻又は真珠から得られる蛋白質又はその加水分解物、シルクから得られる蛋白質又はその加水分解物、マメ科植物の種子から得られる蛋白含有抽出物、オタネニンジン抽出物、米胚芽抽出物、ヒバマタ抽出物、ツバキ抽出物、アロエ抽出物、月桃葉抽出物、クロレラ抽出物等のエキス類;メントール等の清涼剤;等が挙げられる。
油剤としては、スクワレン、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、シクロパラフィン等の炭化水素;ヒマシ油、カカオ油、ミンク油、アボカド油、オリーブ油等のグリセリド類;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ等のロウ類;パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ラウリン酸ヘキシル、乳酸セチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸オレイル、2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸トリデシル等のエステル;カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、ラノリン脂肪酸、イソステアリル酸、イソパルミチン酸等の高級脂肪酸;等が挙げられる。
【0050】
(毛髪化粧料の製造方法)
本発明の毛髪化粧料の製造方法は特に限定されない。例えば、成分(A)~(C)、及び必要に応じて用いられるその他の成分を実施例に記載の方法で配合し、公知の攪拌装置等を用いて混合することにより製造できる。
【0051】
(使用方法)
本発明の毛髪化粧料の使用方法も特に限定されず、種類、剤型等に応じて適宜選択することができるが、本発明の効果を有効に発揮させる観点からは、洗浄後の毛髪に適用することが好ましい。
例えば、毛髪化粧料を洗浄後の毛髪に塗布してなじませた後、必要に応じ洗い流す方法;毛髪化粧料又はその水溶液に洗浄後の毛髪を浸漬させる方法;等が挙げられる。本発明の毛髪化粧料を例えば上記の方法で使用することにより、洗髪により生じた毛髪の絡まりを、手を通すなどの操作を行うことなく解くことができ、かつ、乾燥後の毛髪にしっとりとした感触を与えることができる。
【0052】
上述の実施形態に関し、本発明は毛髪化粧料、及び、毛髪の絡まり防止方法を開示する。
<1>
次の成分(A)、(B)、及び(C):
(A)下記式(I)を満たし、かつ下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する、ポリオキシアルキレン構造を含有するアミノポリエーテル変性シリコーン
0.5≦Si/AO≦1.2 (I)
〔式(I)中、Siは成分(A)中のケイ素原子のモル数、AOは成分(A)中のオキシアルキレン平均付加モル数を示す。〕
(B)下記式(II)を満たし、かつ下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する、ポリオキシアルキレン構造を含有するアミノポリエーテル変性シリコーン
2.0≦Si/AO≦2.8 (II)
〔式(II)中、Siは成分(B)中のケイ素原子のモル数、AOは成分(B)中のオキシアルキレン平均付加モル数を示す。〕
(C)カチオン性界面活性剤
を含有又は配合してなり、
成分(A)の25℃における動粘度が500~1,500mm2/sであり、
成分(B)の25℃における動粘度が3,000~10万mm2/sである、毛髪化粧料。
【化4】
〔式(2)中、aは2以上100以下の数、bは1以上50以下の数、cは10以上18以下の数、dは1以上100以下の数を示す。括弧内の構造単位同士の結合順序は問わず、結合形態はブロック状でもランダム状でもよい。〕
<2>
成分(A)のSi/AOの値と成分(B)のSi/AOの値との差の絶対値が1.0~2.0である、<1>に記載の毛髪化粧料。
<3>
前記式(I)におけるSi/AOが0.7以上、0.9以下である、<1>又は<2>に記載の毛髪化粧料。
<4>
前記式(II)におけるSi/AOが2.2以上、2.6以下である、<1>~<3>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<5>
成分(A)の25℃における動粘度が700~1,400mm2/sである、<1>~<4>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<6>
成分(B)の25℃における動粘度が5,000~5万mm2/sである、<1>~<5>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<7>
成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が0.05~5であり、
成分(B)と成分(C)との質量比[(B)/(C)]が0.05~0.5であり、
成分(A)の含有量又は配合量が0.005~0.2質量%である、<1>~<6>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<8>
成分(B)の含有量又は配合量が0.1~0.3質量%である、<7>に記載の毛髪化粧料。
<9>
成分(C)の含有量又は配合量が0.8~5.0質量%である、<7>又は<8>に記載の毛髪化粧料。
<10>
リンス、コンディショニング剤、又はトリートメント剤である、<1>~<9>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<11>
<1>~<10>のいずれか1に記載の毛髪化粧料を毛髪に塗布する工程を有する、毛髪の絡まり防止方法。
<12>
<1>~<11>のいずれか1に記載の毛髪化粧料又はその水溶液に、洗浄後の毛髪を浸漬させる工程を有する、毛髪の絡まり防止方法。
【実施例
【0053】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。なお本実施例において、各種測定及び評価は以下の方法により行った。
【0054】
(成分(A)及び成分(B)中のSi/AOの測定)
各例で使用した成分(A)及び成分(B)(アミノポリエーテル変性シリコーン1~3)10mgをNo.3スクリューバイアルに秤り取り、窒素雰囲気下で一晩乾燥させた。得られた乾燥物に重クロロホルム(和光純薬工業(株)製:クロロホルム-d、99.8%)1mlを添加して溶解させ、H-NMR(BRUKER JAPAN社製、JH074504 AV400)により、ケイ素に結合したジメチルシリル基(6H:-0.3~0.3ppm)の積分値、及びオキシエチレン(EO)鎖(4H:3.3-3.9ppm)の積分値からSi/AOのユニット比を以下の式を用いて算出した。
【数1】
【0055】
(くし通し荷重測定)
日本人の直毛を用いて、質量20g、長さ30cm、幅5.5cmの評価用毛束(後述するブリーチ剤でブリーチ処理することによりダメージを与えたもの)を作製した。この毛束を下記のプレーンシャンプーで洗浄し、すすぐ際には手を通すことで絡まりを解き、35~40℃の温水で十分に湿らせた。
再度プレーンシャンプーを毛束に塗布し、毛先と根本を両手の平にはさんで、円を描くように擦り合わせて毛髪が絡むように泡立てた。その毛束を、一切手を通さずに、温水で30秒間すすぎ、水気を手で絞った後、1Lビーカーに入れた各例の毛髪化粧料1Lに浸漬させた。ビーカー中で毛束を5回左右に振った後に引き上げ、毛束の含水量が20gとなったところで、下記要領で、毛束に最初にくしを通した時にかかる荷重を測定した。
コーミングフォース測定装置(宇都宮精機(株)製「KOT-0303」)に上記毛束をセットし、くし(スケルトンブラシ、横2.5cm、縦9.0cmの面に縦に5列、5mm間隔で、直径1mm、長さ2cmのピンが並んでいるもの)2本で毛束の最上部を挟み込むようにセットし、くしを毛先まで通した時にかかる荷重(gf)を測定した。荷重は長さ30cmの毛束に対して1.5mmずつ測定し、計200点の測定値の最大値をくし通し荷重とした。
なお、毛髪化粧料に代えて精製水を用いた場合には、くし通し荷重は測定上限の2055gfであった。くし通し荷重が2055gfよりも小さければ洗髪後に存在する毛髪の絡まりを解く効果を有しており、かつ、くし通し荷重の値が小さいほど、その効果が高いことを意味する。
【0056】
〔プレーンシャンプーの組成〕
成分 (質 量%)
ポリオキシエチレン(2.0)ラウリルエーテル硫酸Na 15.5
ラウリン酸ジエタノールアミド 2.2
エデト酸二ナトリウム 0.15
安息香酸ナトリウム 0.18
オキシベンゾン 0.03
リン酸 0.07
塩化ナトリウム 0.8
香料 0.4
精製水 残 量
計 100.0
【0057】
〔ブリーチ処理方法〕
花王泡ヘアブリーチL(1液)7mL、花王泡ヘアカラー(2液)14mLを混合し、質量20gの毛束に塗布して20分静置後、35~40℃の温水で十分にすすいだ。この操作を2回繰り返し、評価用毛束を作製した。
【0058】
(乾燥後の髪の感触評価)
くし通し荷重評価で作製した評価用毛束を35~40℃の温水で十分に湿らせた後、前記プレーンシャンプーで洗浄した。水気を絞った後、各例で調製した毛髪化粧料1Lに1分間浸漬させ、引き上げた後、35~40℃の温水で30秒間すすぎ、タオルで水分を拭き取り、ドライヤーで乾燥させた。
完全に乾燥した毛束の感触評価を5人のパネラーにより行った。「しっとりしている」を5、「しっとりしていない」を1とし、比較例1を基準スコア4.0とする5段階評価とした。5人のパネラーの評価の平均評点(小数第2位を四捨五入)を表1に示した。5人のパネラーの平均評点が3.5以上であれば、乾燥後の髪にしっとり感があると判断できる。
(評価基準)
5 しっとりしている
4 ややしっとりしている
3 どちらともいえない
2 あまりしっとりしていない
1 しっとりしていない
【0059】
実施例1~4、比較例1~2(毛髪化粧料の調製及び評価)
表1に示す配合に従って下記の要領で各例の毛髪化粧料(コンディショニング剤)を調製し、評価を行った。
1Lビーカーに成分(A)、及び精製水500gを投入して攪拌した。得られた液に乳酸を滴下した後に成分(C)を添加し、ビーカーをウォーターバスに浸して75℃まで昇温した。次いで、あらかじめ混合しておいた高級アルコールとジプロピレングリコールを添加した後、75℃で10分攪拌し、ウォーターバスから外して冷却を開始した。成分(B)と残りの精製水を添加し、攪拌しながら40℃以下になるまで冷却して、1Lの液体状の毛髪化粧料を得た。
この毛髪化粧料を用いて、前記方法で評価を実施した。結果を表1に示す。なお、表1に記載した配合量は各成分の有効成分量(質量%)である。
【0060】
【表1】
【0061】
表1に示すように、アミノポリエーテル変性シリコーンとして成分(B)のみを含有する比較例1、及びアミノポリエーテル変性シリコーンとして成分(A)のみを含有する比較例2の毛髪化粧料と対比して、実施例1~4の毛髪化粧料を洗浄後の毛髪に適用した場合には、洗髪後に存在する絡まりが緩和され、乾燥後の毛髪のしっとり感も保持されたことがわかる。なお、毛髪化粧料を毛髪に適用する際には、毛髪化粧料に洗浄後の毛髪を浸漬するだけで、毛髪に一切手を通さずに絡まりを解くことができた。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の毛髪化粧料によれば、洗浄後の毛髪に適用すると、手を通すなどの操作を行うことなく、洗髪後に存在する毛髪の絡まりを解くことができ、かつ、乾燥後の毛髪にしっとりとした感触を与えることができる。