(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】長尺積層シートの巻収体
(51)【国際特許分類】
B32B 3/16 20060101AFI20241205BHJP
B32B 7/06 20190101ALI20241205BHJP
C09J 7/40 20180101ALI20241205BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B32B3/16
B32B7/06
C09J7/40
H01L21/78 M
(21)【出願番号】P 2019567090
(86)(22)【出願日】2019-01-22
(86)【国際出願番号】 JP2019001908
(87)【国際公開番号】W WO2019146604
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-12-13
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2018009734
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】上道 厚史
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直也
(72)【発明者】
【氏名】中石 康喜
【合議体】
【審判長】岩谷 一臣
【審判官】藤井 眞吾
【審判官】長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/146254(WO,A1)
【文献】特開2010-083921(JP,A)
【文献】特開2016-111158(JP,A)
【文献】特開2016-213236(JP,A)
【文献】国際公開第2017/168825(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 - 43/00
H01L 21/78
H01L 21/301
C09J 7/00 - 7/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形の支持シートと、該支持シート上に形成されている略矩形の樹脂膜形成層とを有し、平面視で樹脂膜形成層を取り囲む領域にリングフレームを保持するための略矩形のリングフレーム保持手段を有する樹脂膜形成層付支持シートと、
長尺の剥離シートとを含み、
該剥離シートの剥離処理面上の短手方向両端には、長尺の補助シートが連続して積層されてなり、
該剥離シートの剥離処理面上の短手方向内側には、剥離シートの長手方向に沿って複数の樹脂膜形成層付支持シートが、樹脂膜形成層と剥離シートとが接触するように、剥離可能に独立して仮着されてな
り、樹脂膜形成層付支持シートと隣接する他の樹脂膜形成層付支持シートとの間には、補助シートを内部方向に延在させた幅広部を有する長尺積層シートがロール状に巻き取られてなる巻収体であって、
樹脂膜形成層と補助シートの外側端との距離をW1、
補助シートが最も幅広い部分における補助シートの
幅広部の幅をW2とした場合に、W2/W1≦1.2である長尺積層シートの巻収体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半導体チップが樹脂封止されてなる半導体パッケージに、接着剤層もしくは保護膜などの樹脂層を形成し、かつ半導体パッケージをダイシングするために用いられる樹脂膜形成層付支持シートを、ロール状に巻き取った巻収体に関する。特に本発明は、巻収体の巻圧によって樹脂膜形成層に発生することがある巻痕を低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、軽量化及び高機能化が進んでおり、これに伴って、電子機器に搭載される半導体装置にも、小型化、薄型化及び高密度化が求められている。半導体チップは、そのサイズに近いパッケージに実装されることがある。このようなパッケージは、CSP(Chip Scale Package)と称されることもある。CSPとしては、ウエハサイズでパッケージ最終工程まで処理して完成させるWLP(Wafer Level Package)、ウエハサイズよりも大きいパネルサイズでパッケージ最終工程まで処理して完成させるPLP(Panel Level Package)等が挙げられる。
【0003】
WLP及びPLPは、ファンイン(Fan-In)型とファンアウト(Fan-Out)型に分類される。ファンアウト型のWLP及びPLPにおいては、半導体チップを、チップサイズよりも大きな領域となるように封止材で覆って半導体チップの封止体を形成し、再配線層及び外部電極を、半導体チップの回路面だけでなく封止材の表面領域においても形成する。
【0004】
例えば、特許文献1には、半導体ウエハから個片化された複数の半導体チップを、その回路形成面を残し、モールド部材を用いて周りを囲んで拡張ウエハを形成し、半導体チップ外の領域に再配線パターンを延在させて形成する半導体パッケージの製造方法が記載されている。特許文献1に記載の製造方法において、半導体ウエハはダイシング用の粘着テープ(以下、「ダイシングシート」ともいう)に貼着された状態で個片化されるダイシング工程を施される。このような複数の半導体チップを含む樹脂封止体を以下では「チップ群パッケージ」と呼ぶことがある。また、これをダイシングして、個々のCSPを得る工程を、「パッケージダイシング」と呼ぶことがある。
【0005】
一般にパッケージダイシング法では、矩形の基板上に複数の半導体チップを載置し、一括して樹脂封止を行い、外部端子を形成して、樹脂により封止されたチップ群からなる矩形のパッケージ(チップ群パッケージ)を得る。これは、チップを配列する際の効率や、その後のパッケージの移送や保管などの観点から矩形であることが好ましいためである。
【0006】
次いで、このチップ群パッケージを、ダイシングしてCSP等の半導体装置を得る。チップ群パッケージをダイシングする工程では、パッケージの形状に対応する矩形状のダイシングシートをダイシング用のフレームに張設し、ダイシングシートにチップ群パッケージを貼付して、該パッケージをダイシングする(特許文献2、特許文献3)。
【0007】
チップ群パッケージの製造法は種々提案されている。たとえば、樹脂テープのような保持具上に半導体チップを仮着する。この際、半導体チップの回路面やバンプ面が上方向を向き、チップの裏面側が樹脂テープ上に仮着される。次いで、回路面やバンプ面に外部接続のためにリードを取り付け、一括して樹脂封止を行う。その後、樹脂テープを剥離することで、チップ群パッケージが得られる。このような工程を経て得られるチップ群パッケージは、チップの裏面が露出した構造で得られる。その後、上記のようなダイシングシートを用いてダイシングし、分割された半導体装置が得られる。
【0008】
チップの裏面が露出している場合、半導体装置の耐久性や信頼性が損なわれることがある。したがって、通常はチップの露出面には、保護膜が形成される。この保護膜は、抗折強度を高め、また半導体装置に製品番号等を印字する際にも有効に機能する。また、切断して得られる半導体装置を、他の部材上に搭載する際には、半導体装置のチップの露出面に接着剤層を取り付けて、他の部材に接着する。
【0009】
保護膜の形成や、接着剤層の取り付けを、分割された半導体装置に個別に行うことは煩雑である。また、個別に行うと保護膜や接着剤層の厚みなどが一定しないため、製品の品質にばらつきが生じることがある。したがって、チップの裏面が露出した構造のチップ群パッケージに対して、一括して保護膜や接着剤層を形成し、その後にダイシングするプロセスが工程上有利と考えられる。以下、保護膜や接着剤層などの樹脂膜を形成するための層を「樹脂膜形成層」と記載することがある。
【0010】
半導体チップに樹脂膜形成層を形成する手法は種々知られている。すなわち、半導体ウエハの片面に、保護膜の前駆体層や接着剤層などの樹脂膜形成層を貼付し、その後に半導体ウエハと樹脂膜形成層とを同時にダイシングすることで、片面に樹脂膜形成層を有する半導体チップが得られる。この工程を連続して行うために、ダイシング・ダイボンドシートや、保護膜形成層付ダイシングシート(特許文献4)などのウエハ加工用シートが知られている。これらのウエハ加工用シートは、略円形のシリコンウエハに貼付されることを前提としているため、円形のダイシングシート上に、円形の樹脂膜形成層が剥離可能に積層されている。
【0011】
しかし、チップ群パッケージは、前記のように矩形に形成される。これは、チップを配列する際の効率や、その後のパッケージの移送や保管などの観点から矩形であることが好ましいためである。
【0012】
このような矩形のチップ群パッケージに、従来の円形の樹脂膜形成層付ダイシングシートを適用すると、円形の樹脂膜形成層の最大正方形部分しか使用できず、周りの部分は未使用なまま廃棄される。具体的に言えば、仮に樹脂膜形成層が半径10cmの円形(面積約314cm2)の場合、その中での正方形の最大面積は200cm2(21/2×10cm四方)であり樹脂膜形成層の有効面積率は63.7%でしかない。
【0013】
したがって、前記した矩形状のダイシングシートなどの支持シート上に矩形状の樹脂膜形成層を形成した矩形の樹脂膜形成層付支持シートを用いることで、樹脂膜形成層の有効面積率を増大させることが検討される。
【0014】
樹脂膜形成層付支持シートでは、比較的大面積の支持シート上に、これよりもやや面積の小さな樹脂膜形成層が積層されることがある。樹脂膜形成層の使用領域を取り囲むように、リングフレームに仮着するための粘着性のリングフレーム保持手段が設けられる。この樹脂膜形成層付支持シートは、長尺の剥離シート上に積層される。この長尺積層シートは、ロール状に巻き取られた巻収体として上市される。長尺積層シートには、樹脂膜形成層付支持シートが積層された部分と、積層されていない部分があり、厚みが異なる部分が必然的に生じる。厚みが不均一な長尺積層シートをロール状に巻き取ると、巻崩れが起こることがある。また、厚み差に起因してロールの側部に隙間が発生し、この隙間から塵芥等が侵入し、樹脂膜形成層を汚染することがある。
【0015】
このような不都合を解消するため、長尺積層シートの短手方向両端に、長手方向に沿って補助シートを残留させることが検討される。補助シートを設けることで、長尺積層シートの厚みが均一になり、巻収体の巻崩れが防止され、また巻き出し時の走行安定性も向上する。さらに、ロール側部の隙間に補助シートが存在するため、塵芥の侵入も防止できる。
【0016】
しかし、補助シートの幅が一定であると、樹脂膜形成層付支持シートと隣接する他の樹脂膜形成層付支持シートとの間で、厚みの差が発生する。すなわち、樹脂膜形成層付支持シートが設けられた部分では、その側部に存在する補助シートにより厚みが均一になる。しかし、樹脂膜形成層付支持シートと隣接する他の樹脂膜形成層付支持シートとの間には、補助シートが存在せず、剥離シートが存在するのみであり、厚み差は解消されない。
【0017】
また、樹脂膜形成層付支持シートと補助シートとは、ほぼ同一の素材からなり、樹脂膜形成層付支持シートを矩形状に切断する際に、樹脂膜形成層付支持シートの側辺近傍に補助シートを残留させる。すなわち、樹脂膜形成層付支持シートと補助シートとを所定形状に型抜きし、樹脂膜形成層付支持シートと補助シートとの間の余剰部分(カス部)を除去することで、剥離シート上に、所定形状の樹脂膜形成層付支持シートが得られ、剥離シート14の短手方向両端に補助シートが残留する。この際の切断はロール状の抜き刃により連続的に行われ、余剰部分の除去は、余剰部分を連続して引き上げることで行う(カス上げ)。
【0018】
補助シートの幅が一定であると、樹脂膜形成層付支持シートが存在する部分から、該シートが存在しない部分に移行する箇所で、余剰部分の面積が急激に変化し、この結果、余剰部分の剥離力も変化する。余剰部分の剥離力が急激に増大すると、カス上げ時に余剰部分が千切れて、連続したカス上げができない。
【0019】
厚み差に起因する不都合を解消し、余剰部分の剥離力を徐々に変化させるため、樹脂膜形成層付支持シートと隣接する他の樹脂膜形成層付支持シートとの間のシートが存在しない部分には、補助シートを内部方向に延在させ、比較的幅の広い部分を形成する。これにより、樹脂膜形成層付支持シートが存在する部分と、該シートが存在しない部分との隣間での厚み差も緩和され、また余剰部分の面積が徐々に変化するため、カス上げ時の余剰部分の剥離力の急激な変化も無くなり、カス上げを安定して行える。
【0020】
したがって、
図5に示すように、矩形状の支持シート上に矩形状の樹脂膜形成層を有する樹脂膜形成層付支持シートにおいても、樹脂膜形成層付支持シートの側辺近傍には補助シートが形成され、また樹脂膜形成層付支持シートと隣接する他の樹脂膜形成層付支持シートとの間には、補助シートを内部方向に延在させた幅広部を形成する。
【0021】
樹脂膜形成層付支持シートと該シートが存在しない部分との間での厚み差を緩和し、また余剰部分の面積の急激な変化を防ぐためには、補助シートの幅広部は、大きいほど好ましいと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【文献】国際公開WO2010/058646
【文献】特開2002-3798号公報
【文献】特開2010-83921号公報
【文献】国際公開WO2013/047674
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
樹脂膜形成層付支持シートは、長尺の剥離シートの長手方向に沿って複数の樹脂膜形成層付支持シートが剥離可能に独立して仮着されてなり、また剥離シートの短手方向両端には、長尺の補助シートが連続して積層された長尺積層シートを、ロール状に巻き取った巻収体として上市される。
【0024】
しかし、補助シートの幅広部が大き過ぎると、樹脂膜形成層に巻痕が発生することがある。長尺積層シートをロール状に巻き取ると、巻き取りの進行に伴い、半径が増加するため、樹脂膜形成層の上面側または下面側に幅広部が重なることがある。この状態で巻き取りを続けると、巻圧によって幅広部が樹脂膜形成層に押し付けられ、樹脂膜形成層に幅広部の形状に対応した凸部や凹部が発生する(
図5参照)。このような凸部や凹部を巻痕と呼ぶ。
【0025】
樹脂膜形成層に巻き痕が発生すると、樹脂膜形成層の厚み精度が低下し、樹脂膜形成層をチップ群パッケージに貼付する際のエア噛みを発生し、パッケージの密着性が不十分になる。また、半導体装置の製造方法において、分割されたパッケージを、樹脂膜形成層を介してパッケージの搭載部に接着する際の接着性の低下や、ボイドの発生の原因となる。その結果、優れた信頼性を有する半導体装置を得ることが困難になる。また、樹脂膜を保護膜として用いる場合には、樹脂膜形成層の巻き痕は外観不良の原因となる。
【0026】
したがって、本発明の目的は、上記構造の長尺積層シートにおいて、巻収体とした際にも、樹脂膜形成層、特にチップ群パッケージが貼付される箇所における巻痕の発生を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記課題を解決する本発明は、以下の長尺積層シートの巻収体を提供する。
略矩形の支持シートと、該支持シート上に形成されている略矩形の樹脂膜形成層とを有し、平面視で樹脂膜形成層を取り囲む領域にリングフレームを保持するための略矩形のリングフレーム保持手段を有する樹脂膜形成層付支持シートと、
長尺の剥離シートとを含み、
該剥離シートの剥離処理面上の短手方向両端には、長尺の補助シートが連続して積層されてなり、
該剥離シートの剥離処理面上の短手方向内側には、剥離シートの長手方向に沿って複数の樹脂膜形成層付支持シートが剥離可能に独立して仮着されてなる長尺積層シートがロール状に巻き取られてなる巻収体であって、
剥離シート除去後の樹脂膜形成層側からの平面視での、樹脂膜形成層と補助シートの外側端との距離をW1、
該平面視での、補助シートが最も幅広い部分における補助シートの幅をW2とした場合に、W2/W1≦1.6である長尺積層シートの巻収体。
【発明の効果】
【0028】
本発明の長尺積層シートの巻収体によれば、補助シートの幅広部が、樹脂膜形成層のチップ群パッケージが貼付される箇所(使用領域)には重ならないので、樹脂膜形成層の使用領域には巻痕が発生しない。このため、チップ群パッケージを安定して貼付でき、また得られる樹脂膜の厚みも均一になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1A】第1形態の長尺積層シートの巻収体から一部を送り出した状態を示す。
【
図2A】第2形態の長尺積層シートの巻収体から一部を送り出した状態を示す。
【
図3A】第3形態の長尺積層シートの巻収体から一部を送り出した状態を示す。
【
図6A】長尺積層シートから樹脂膜形成層付支持シートを被着体に転写している状態をしめす。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の長尺積層シートの巻収体について詳細を説明する。
本発明において「略矩形」とは、厳密な正方形、長方形のみではなく、これに類似したやや歪な形状も包含する。たとえば、正方形あるいは長方形の各辺は湾曲、屈曲していてもよく、角部は丸みを帯びた曲線であっても良く、方向が連続的に変化する短い直線で丸みを帯びて構成されていても良い。
また、「支持シート」とは、樹脂膜形成層を剥離可能に支持できるシート状部材であり、剥離シートであってもよく、いわゆるダイシングシートのような粘着シートであってもよい。
「樹脂膜形成層」とは、保護膜を形成するための前駆体層および接着剤層の両者を包含する意味で用いる。保護膜を形成するための前駆体層は、所定の操作により硬化され、保護膜を形成する。
【0031】
「樹脂膜形成層付支持シート」とは、支持シートと樹脂膜形成層との積層体を意味する。またリングフレームを保持するための略矩形のリングフレーム保持手段を含む。
「剥離シート」とは、表面の剥離力が制御されたシートであり、樹脂製であってもよく、紙製や布製であってもよい。表面の剥離力は剥離剤などにより制御されるがこれに限定はされない。
「長尺」とは、矩形であり、長手方向が短手方向よりも十分に長い形状を意味する。
「補助シート」は、長尺の剥離シートの短手方向両端に形成された層状体を意味する。
「長尺積層シート」は、長尺の剥離シートと、該剥離シートの短手方向両端に連続して積層された長尺の補助シートと、剥離シートの短手方向内側に剥離可能に仮着された樹脂膜形成層付支持シートとを含む。
「巻収体」とは、上記長尺積層シートを巻き取り、ロール状にしたものを言う。
【0032】
以下、樹脂膜形成層付支持シート、これを含む長尺積層シート、その巻収体について、図面を参照しながら説明する。
樹脂膜形成層付支持シートは、略矩形の支持シートと、該支持シート上に剥離可能に形成されている略矩形の樹脂膜形成層とを有し、樹脂膜形成層側からの平面視で、樹脂膜形成層を取り囲む領域にリングフレームを保持するための略矩形のリングフレーム保持手段を有する。
【0033】
この樹脂膜形成層付支持シートは、長尺の剥離シートの剥離処理面上の短手方向内側に、剥離シートの長手方向に沿って、剥離可能に仮着される。また、長尺の剥離シートの剥離処理面上の短手方向両端には、長尺の補助シートが連続して積層され、長尺積層シートを構成する。
以下では、長尺積層シートの具体的な形態について説明するが、これらに限定はされない。
【0034】
[長尺積層シート:第1形態]
図1には、長尺積層シートの第1形態を示す。
図1Aは、巻収体1から長尺積層シート2を送り出した状態を示し、
図1Bは
図1AのA-A線断面図であり、
図1Cは
図1AのB-B線断面図である。
【0035】
図1Bに示すように、樹脂膜形成層付支持シート10は、支持シート11と、その片面の全面に積層された樹脂膜形成層12と、樹脂膜形成層12の片面の外周部に形成されたリングフレーム保持手段13とを有する。支持シート11と樹脂膜形成層12とは剥離可能に積層されている。支持シート11が剥離シートの場合、樹脂膜形成層12は剥離処理面上に形成される。支持シート11がダイシングシートのような粘着シートである場合には、樹脂膜形成層12は、粘着剤層上に形成される。支持シート11が粘着シートである場合には、粘着シートの具体的態様は後述する第2形態の粘着シートと同様である。
【0036】
長尺の剥離シート14の長手方向に沿って、短手方向の内側に、複数の樹脂膜形成層付支持シート10が、それぞれが独立して、剥離可能に仮着されている。
【0037】
長尺の剥離シート14の長手方向に沿って、短手方向の両端に、長尺の補助シート15が積層されている。補助シート15は、樹脂膜形成層付支持シート10の外周部と同じ積層構造を有する。すなわち、補助シート15は、支持シート11、樹脂膜形成層12およびリングフレーム保持手段13と同じ素材からなる。
【0038】
樹脂膜形成層付支持シートの間には、剥離シート14が露出しているが、この間には、補助シート15が、短手方向の内側に向けて延在する。すなわち、補助シートの幅は一様ではなく、樹脂膜形成層付支持シートの間の部分では、補助シートは幅が広くなるように形成される(以下、「幅広部」と呼ぶことがある)。幅広部の断面図は
図1Cに示される。
【0039】
このような長尺積層シート2は、たとえば以下のように製造できる。
長尺の剥離シート14上に、リングフレーム保持手段13となる粘着剤層(両面粘着テープであってもよい)を貼付する。粘着剤層を、矩形状に型抜きする。この際、粘着剤層を完全に切断し、剥離シートには浅い切込みが生じる程度に抜き刃を切り込む。次いで、型抜きされた粘着剤層を除去し、矩形開口部を有する粘着剤層を剥離シート14に残留させる。
【0040】
別に支持シートと樹脂膜形成層との積層体を準備しておき、これを剥離シート14の粘着剤層を有する面上に積層する。
次いで、積層体を、リングフレームの形状に合わせて切り込む。この際、粘着剤層の矩形開口部が型抜き形状のほぼ中央に位置するように切り込みを形成する。同時に、予定した補助シート15の形状に合わせて切り込みを作成する。この際も前記と同様に、積層体を完全に切断し、剥離シートには浅い切込みが生じる程度に抜き刃を切り込む。その後、樹脂膜形成層付支持シートと補助シートとの間の余剰部分(カス部)を除去することで、剥離シート14上に、所定形状の樹脂膜形成層付支持シート10が得られ、剥離シート14の短手方向両端に補助シート15が残留し、前記構造の長尺積層シート2が得られる。
【0041】
[長尺積層シート:第2形態]
図2には、長尺積層シートの第2形態を示す。
図2Aは、巻収体3から長尺積層シート4を送り出した状態を示し、
図2Bは
図2AのA-A線断面図であり、
図2Cは
図2AのB-B線断面図である。
【0042】
図2Bに示すように、樹脂膜形成層付支持シート20は、支持シート21と、その片面の内周部に積層された樹脂膜形成層22とを有する。支持シート21と樹脂膜形成層22とは剥離可能に積層されている。また、第2形態における支持シート21は、ダイシングシートなどの粘着シートである。粘着シートは、基材21Aと粘着剤層21Bとを有する。剥離シート24を除去すると、樹脂膜形成層22の外周には、粘着剤層21Bが露出し、リングフレーム保持手段23として機能する。
【0043】
長尺の剥離シート24の長手方向に沿って、短手方向の内側に、複数の樹脂膜形成層付支持シート20が、それぞれが独立して、剥離可能に仮着されている。
【0044】
長尺の剥離シート24の長手方向に沿って、短手方向の両端に、長尺の補助シート25が積層されている。補助シート25は、樹脂膜形成層付支持シート20の外周部と同じ積層構造を有する。すなわち、補助シート25は、基材21Aおよび粘着剤層22Bと同じ素材からなる。
【0045】
樹脂膜形成層付支持シートの間には、剥離シート24が露出しているが、この間には、補助シート25が、短手方向の内側に向けて延在する。すなわち、補助シートの幅は一様ではなく、樹脂膜形成層付支持シートの間の部分では、補助シートは幅が広くなるように形成される(以下、「幅広部」と呼ぶことがある)。幅広部の断面図は
図2Cに示される。
【0046】
このような長尺積層シート4は、たとえば以下のように製造できる。
長尺の剥離シート24上に、樹脂膜形成層を構成する樹脂層を全面に形成し、この樹脂層を、矩形状に型抜きする。この際、樹脂膜形成層を完全に切断し、剥離シートには浅い切込みが生じる程度に抜き刃を切り込む。次いで、型抜きされた樹脂膜形成層の外周を除去し、矩形状の樹脂膜形成層22を剥離シート24に残留させる。
【0047】
別に基材21Aと粘着剤層21Bとを有する粘着シートを準備しておき、これを剥離シート24の樹脂膜形成層22を有する面上に積層する。
次いで、粘着シートをリングフレームの形状に合わせて切り込む。この際、樹脂膜形成層22が、切り込み形状のほぼ中央に位置するように位置合わせした上で切り込む。同時に、予定した補助シート25の形状に合わせて粘着シートに切り込みを作成する。この際、粘着シートを完全に切断し、剥離シートには浅い切込みが生じる程度に抜き刃を切り込む。その後、樹脂膜形成層付支持シートと補助シートとの間の余剰部分(カス部)を除去することで、剥離シート24上に、所定形状の樹脂膜形成層付支持シート20が得られ、剥離シート24の短手方向両端に補助シート25が残留し、前記構造の長尺積層シート4が得られる。
【0048】
[長尺積層シート:第3形態]
図3には、長尺積層シートの第3形態を示す。
図3Aは、巻収体5から長尺積層シート6を送り出した状態を示し、
図3Bは
図3AのA-A線断面図であり、
図3Cは
図3AのB-B線断面図である。
【0049】
図3Bに示すように、樹脂膜形成層付支持シート30は、支持シート31と、その片面の内周部に積層された樹脂膜形成層32と、樹脂膜形成層32の外周部に形成されたリングフレーム保持手段33とを有する。支持シート31と樹脂膜形成層32とは剥離可能に積層されている。支持シート31が剥離シートの場合、樹脂膜形成層32は剥離処理面上に形成される。支持シート31がダイシングシートのような粘着シートである場合には、樹脂膜形成層32は、粘着剤層上に形成される。支持シート31が粘着シートである場合には、粘着シートの具体的態様は前述した第2形態の粘着シートと同様である。
【0050】
長尺の剥離シート34の長手方向に沿って、短手方向の内側に、複数の樹脂膜形成層付支持シート30が、それぞれが独立して、剥離可能に仮着されている。
【0051】
長尺の剥離シート34の長手方向に沿って、短手方向の両端に、長尺の補助シート35が積層されている。補助シート35は、樹脂膜形成層付支持シート30の外周部と同じ積層構造を有する。すなわち、補助シート35は支持シート31とリングフレーム保持手段33と同じ素材からなる。
【0052】
樹脂膜形成層付支持シートの間には、剥離シート34が露出しているが、この間には、補助シート35が、短手方向の内側に向けて延在する。すなわち、補助シートの幅は一様ではなく、樹脂膜形成層付支持シートの間の部分では、補助シートは幅が広くなるように形成される(以下、「幅広部」と呼ぶことがある)。幅広部の断面図は
図3Cに示される。
【0053】
このような長尺積層シート6は、たとえば以下のように製造できる。
長尺の剥離シート34上に、樹脂膜形成層を構成する樹脂層を全面に形成し、この樹脂層を、矩形状に型抜きする。この際、樹脂膜形成層を完全に切断し、剥離シートには浅い切込みが生じる程度に抜き刃を切り込む。次いで、型抜きされた樹脂膜形成層の外周を除去し、矩形状の樹脂膜形成層32を剥離シート34に残留させる。
【0054】
別に長尺の支持シート上に、リングフレーム保持手段33となる粘着剤層(両面粘着テープであってもよい)を貼付する。粘着剤層を、矩形状に型抜きする。この際、粘着剤層を完全に切断し、支持シートには浅い切込みが生じる程度に抜き刃を切り込む。次いで、型抜きされた粘着剤層を除去し、矩形開口部を有する粘着剤層を長尺支持シートに残留させる。
【0055】
次に、樹脂膜形成層32を有する長尺の剥離シート34と、矩形開口部を有する粘着剤層が積層されている長尺支持シートとを、該矩形開口部に樹脂膜形成層32が一致するように位置合わせして、両者を貼り付ける。
【0056】
次いで、この積層体を、支持シートの側から、リングフレームの形状に合わせて切り込む。この際、樹脂膜形成層32が、切り込み形状のほぼ中央に位置するように位置合わせした上で切り込む。同時に、予定した補助シート35の形状に合わせて積層体に切り込みを作成する。この際、積層体を完全に切断し、剥離シートには浅い切込みが生じる程度に抜き刃を切り込む。その後、樹脂膜形成層付支持シートと補助シートとの間の余剰部分(カス部)を除去することで、剥離シート34上に、所定形状の樹脂膜形成層付支持シート30が得られ、剥離シート34の短手方向両端に補助シート35が残留し、前記構造の長尺積層シート6が得られる。
【0057】
[幅広部]
本発明では、補助シート15、25、35を形成する際に、樹脂膜形成層付支持シートと隣接する他の樹脂膜形成層付支持シートとの間には、補助シートを内部方向に延在させ、比較的幅の広い部分(幅広部)を形成する(
図4参照)。これにより、樹脂膜形成層付支持シートと隣接する他の樹脂膜形成層付支持シートとの間での厚み差も緩和され、また余剰部分の面積が徐々に変化するため、カス上げ時の余剰部分の剥離力の急激な変化も無くなり、カス上げを安定して行える。
【0058】
巻収体とした際に、樹脂膜形成層の使用領域と重ならないように幅広部を形成する。樹脂膜形成層は、全面が使用されることはなく、周辺部にやや余裕を持って形成される。樹脂膜形成層の大きさは、チップ群パッケージよりもやや大きく設定され、チップ群パッケージを接着しても、樹脂膜形成層の周辺部には接着に使用されない箇所がある。この使用されない箇所では、樹脂膜形成層と幅広部とは重なっても良い。また、樹脂膜形成層の使用領域の一部に幅広部が重なって巻痕が生じても、巻痕が小さく、密着性に影響を与えない場合には、本発明では許容される。
【0059】
第1~第3の形態において、積層シートから剥離シートを除去した後の、樹脂膜形成層側からの平面視を
図4に示す。
図4において、点線で囲繞された部分は、樹脂膜形成層の使用領域を示す。なお、
図4には、第1の態様を例にとり示すが、剥離シートを除去した後の、樹脂膜形成層側からの平面視は第1~第3の形態で同一となる。したがって、第1形態で使用した符号に沿って説明する。
【0060】
いずれの場合にも、露出した樹脂膜形成層12を囲繞するリングフレーム保持手段13があり、その短手方向両端には補助シート15がある。
ここで、
図4に示す平面視において、樹脂膜形成層12と補助シート14の外側端との距離をW1とし、該平面視での、補助シートが最も幅広い部分における補助シートの幅をW2とした場合に、W1とW2とは、W2/W1≦1.6を満足するように、補助シートを形成する。好ましくはW2/W1≦1.4、W2/W1≦1.2を満足する。また、W2/W1の下限は0.2であり、好ましくは0.4≦W2/W1を満足する。
なお、第1形態におけるW1を
図1Bに示し、W2を
図1Cに示した。第2形態におけるW1を
図2Bに示し、W2を
図2Cに示した。第3形態におけるW1を
図3Bに示し、W2を
図3Cに示した。
【0061】
本発明の長尺積層シートの巻収体によれば、補助シートの幅広部が、樹脂膜形成層のチップ群パッケージが貼付される箇所(使用領域)には重ならないので、樹脂膜形成層の使用領域には巻痕が発生しない。また、幅広部と樹脂膜形成層とが重なったとしても、樹脂膜形成層に発生する巻痕が小さく、密着性に影響を与えない。このため、チップ群パッケージを安定して貼付でき、また得られる樹脂膜の厚みも均一になる。
【0062】
次に、支持シート、樹脂膜形成層、リングフレーム保持手段および長尺剥離シートについて説明するが、いずれも非限定的な例示である。
[支持シート]
支持シート11、31としては、剥離シートが挙げられ、また、後述するダイシングシートなどの粘着シートを用いることもできる。また、第2の形態における支持シート21としては粘着シートが用いられる。
【0063】
剥離シートとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。
【0064】
剥離シートの樹脂膜形成層に接する面の表面張力は、好ましくは40mN/m以下、さらに好ましくは37mN/m以下、特に好ましくは35mN/m以下である。下限値は通常25mN/m程度である。ただし、後述する「長尺剥離シート」よりも重剥離タイプとすることが好ましい。このような表面張力が比較的低い剥離シートは、材質を適宜に選択して得ることが可能であるし、また剥離シートの表面に剥離剤を塗布して剥離処理を施すことで得ることもできる。
【0065】
剥離処理に用いられる剥離剤としては、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系などが用いられるが、特にアルキッド系、シリコーン系、フッ素系の剥離剤が耐熱性を有するので好ましい。
【0066】
上記の剥離剤を用いて剥離シートの基体となるフィルム等の表面を剥離処理するためには、剥離剤をそのまま無溶剤で、または溶剤希釈やエマルション化して、グラビアコーター、メイヤーバーコーター、エアナイフコーター、ロールコーターなどにより塗布して、剥離剤が塗布された剥離シートを常温下または加熱下に供するか、または電子線により硬化させて剥離剤層を形成させればよい。
【0067】
また、ウェットラミネーションやドライラミネーション、熱溶融ラミネーション、溶融押出ラミネーション、共押出加工などによりフィルムの積層を行うことにより剥離シートの表面張力を調整してもよい。すなわち、少なくとも一方の面の表面張力が、上述した剥離シートの樹脂膜形成層と接する面のものとして好ましい範囲内にあるフィルムを、当該面が樹脂膜形成層と接する面となるように、他のフィルムと積層した積層体を製造し、剥離シートとしてもよい。
【0068】
支持シートとしては、基材フィルム上に粘着剤層を形成した、ダイシングシートなどの粘着シートを用いても良い。この態様においては、樹脂膜形成層は、粘着シートの粘着剤層上に積層される。粘着シートの基材としては、剥離シートとして例示した上記のフィルムが挙げられる。粘着剤層は、樹脂膜形成層を剥離できる程度の粘着力を有する弱粘着性のものを使用してもよいし、エネルギー線照射により粘着力が低下するエネルギー線硬化性のものを使用してもよい。粘着剤層は、公知の種々の粘着剤(例えば、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系、ビニルエーテル系などの汎用粘着剤、表面に凹凸のある粘着剤、エネルギー線硬化型粘着剤、熱膨張成分含有粘着剤等)により形成できる。
【0069】
支持シートの厚さは、通常は10~500μm、好ましくは15~300μm、特に好ましくは20~250μmである。支持シートが基材上に粘着剤層を形成した粘着シートの場合には、支持シート中3~50μmが粘着剤層の厚さである。
【0070】
[樹脂膜形成層]
樹脂膜形成層12、22、32は、保護膜を形成するための前駆体層であるか、または接着剤層からなる。樹脂膜形成層に少なくとも要求される機能は、(1)シート形状維持性、(2)初期接着性および(3)硬化性である。
【0071】
樹脂膜形成層には、バインダー成分の添加により(1)シート形状維持性および(3)硬化性を付与することができ、バインダー成分としては、重合体成分(A)および硬化性成分(B)を含有する第1のバインダー成分、または(A)成分および(B)成分の性質を兼ね備えた硬化性重合体成分(AB)を含有する第2のバインダー成分を用いることができる。
なお、樹脂膜形成層を硬化するまでの間、パッケージに仮着させておくための機能である(2)初期接着性は、感圧接着性であってもよく、熱により軟化して接着する性質であってもよい。(2)初期接着性は、通常バインダー成分の諸特性や、後述する無機フィラー(C)の配合量の調整などにより制御される。
【0072】
(第1のバインダー成分)
第1のバインダー成分は、重合体成分(A)と硬化性成分(B)を含有することにより、樹脂膜形成層にシート形状維持性と硬化性を付与する。なお、第1のバインダー成分は、第2のバインダー成分と区別する便宜上、硬化性重合体成分(AB)を含有しない。
【0073】
(A)重合体成分
重合体成分(A)は、樹脂膜形成層にシート形状維持性を付与することを主目的として樹脂膜形成層に添加される。
上記の目的を達成するため、重合体成分(A)の重量平均分子量(Mw)は、通常20,000以上であり、20,000~3,000,000であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)の値は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC)法(ポリスチレン標準)により測定される場合の値である。このような方法による測定は、たとえば、東ソー社製の高速GPC装置「HLC-8120GPC」に、高速カラム「TSK gurd column HXL-H」、「TSK Gel GMHXL」、「TSK Gel G2000 HXL」(以上、全て東ソー社製)をこの順序で連結したものを用い、カラム温度:40℃、送液速度:1.0mL/分の条件で、検出器を示差屈折率計として行われる。
なお、後述する硬化性重合体(AB)と区別する便宜上、重合体成分(A)は後述する硬化機能官能基を有しない。
【0074】
重合体成分(A)としては、アクリル系重合体、ポリエステル、フェノキシ樹脂(後述する硬化性重合体(AB)と区別する便宜上、エポキシ基を有しないものに限る。)、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ゴム系重合体等を用いることができる。また、これらの2種以上が結合したもの、たとえば、水酸基を有するアクリル系重合体であるアクリルポリオールに、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを反応させることにより得られるアクリルウレタン樹脂等であってもよい。さらに、2種以上が結合した重合体を含め、これらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0075】
(A1)アクリル系重合体
重合体成分(A)としては、アクリル系重合体(A1)が好ましく用いられる。アクリル系重合体(A1)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは-60~50℃、より好ましくは-50~40℃、さらに好ましくは-40~30℃の範囲にある。アクリル系重合体(A1)のガラス転移温度が高いと樹脂膜形成層の接着性が低下し、ワークに転写できなくなることや、転写後にワークから樹脂膜形成層または樹脂膜形成層を硬化して得られる樹脂膜が剥離する等の不具合を生じることがある。また、アクリル系重合体(A1)のガラス転移温度が低いと樹脂膜形成層と支持シートとの剥離力が大きくなって樹脂膜形成層の転写不良が起こることがある。
【0076】
アクリル系重合体(A1)の重量平均分子量は、100,000~1,500,000であることが好ましい。アクリル系重合体(A1)の重量平均分子量が高いと樹脂膜形成層の接着性が低下し、ワークに転写できなくなることや、転写後にワークから樹脂膜形成層または樹脂膜が剥離する等の不具合を生じることがある。また、アクリル系重合体(A1)の重量平均分子量が低いと樹脂膜形成層と支持シートとの接着性が高くなり、樹脂膜形成層の転写不良が起こることがある。
【0077】
アクリル系重合体(A1)は、少なくとも構成する単量体に、(メタ)アクリル酸エステルを含む。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、アルキル基の炭素数が1~18であるアルキル(メタ)アクリレート、具体的にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど;環状骨格を有する(メタ)アクリレート、具体的にはシクロアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、後述する水酸基を有する単量体、カルボキシル基を有する単量体、アミノ基を有する単量体として例示するもののうち、(メタ)アクリル酸エステルであるものを例示することができる。
【0078】
なお、本明細書で(メタ)アクリルは、アクリルおよびメタクリルの両者を包含する意味で用いることがある。
【0079】
アクリル系重合体(A1)を構成する単量体として、水酸基を有する単量体を用いてもよい。このような単量体を用いることで、アクリル系重合体(A1)に水酸基が導入され、樹脂膜形成層が別途エネルギー線硬化性成分(B2)を含有する場合に、これとアクリル系重合体(A1)との相溶性が向上する。水酸基を有する単量体としては、2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル;N-メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0080】
アクリル系重合体(A1)を構成する単量体として、カルボキシル基を有する単量体を用いてもよい。このような単量体を用いることで、アクリル系重合体(A1)にカルボキシル基が導入され、樹脂膜形成層が、別途エネルギー線硬化性成分(B2)を含有する場合に、これとアクリル系重合体(A1)との相溶性が向上する。カルボキシル基を有する単量体としては、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。後述する硬化性成分(B)として、エポキシ系熱硬化性成分を用いる場合には、カルボキシル基とエポキシ系熱硬化性成分中のエポキシ基が反応してしまうため、カルボキシル基を有する単量体の使用量は少ないことが好ましい。
【0081】
アクリル系重合体(A1)を構成する単量体として、アミノ基を有する単量体を用いてもよい。このような単量体としては、モノエチルアミノ(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0082】
アクリル系重合体(A1)を構成する単量体として、このほか酢酸ビニル、スチレン、エチレン、α-オレフィン等を用いてもよい。
【0083】
アクリル系重合体(A1)は架橋されていてもよい。架橋は、架橋される前のアクリル系重合体(A1)が水酸基等の架橋性官能基を有しており、樹脂膜形成層を形成するための組成物中に架橋剤を添加することで架橋性官能基と架橋剤の有する官能基とが反応することにより行われる。アクリル系重合体(A1)を架橋することにより、樹脂膜形成層の凝集力を調節することが可能となる。
【0084】
架橋剤としては有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物などが挙げられる。
【0085】
有機多価イソシアネート化合物としては、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物、脂環族多価イソシアネート化合物およびこれらの有機多価イソシアネート化合物の三量体、ならびにこれら有機多価イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等を挙げることができる。
【0086】
有機多価イソシアネート化合物として、具体的には、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、3-メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-2,4’-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、およびこれらの多価アルコールアダクト体が挙げられる。
【0087】
有機多価イミン化合物として、具体的には、N,N’-ジフェニルメタン-4,4’-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネートおよびN,N’-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等を挙げることができる。
【0088】
架橋剤は架橋する前のアクリル系重合体(A1)100質量部に対して通常0.01~20質量部、好ましくは0.1~10質量部、より好ましくは0.5~5質量部の比率で用いられる。
【0089】
樹脂膜形成層を構成する成分の含有量について、重合体成分(A)の含有量を基準として定める場合、重合体成分(A)が架橋されたアクリル系重合体であるときは、その基準とする含有量は、架橋される前のアクリル系重合体の含有量である。
【0090】
(A2)非アクリル系樹脂
また、重合体成分(A)として、ポリエステル、フェノキシ樹脂(後述する硬化性重合体(AB)と区別する便宜上、エポキシ基を有しないものに限る。)、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ゴム系重合体またはこれらの2種以上が結合したものから選ばれる非アクリル系樹脂(A2)の1種単独または2種以上の組み合わせを用いてもよい。このような樹脂としては、重量平均分子量が20,000~100,000のものが好ましく、20,000~80,000のものがさらに好ましい。
【0091】
非アクリル系樹脂(A2)のガラス転移温度は、好ましくは-30~150℃、さらに好ましくは-20~120℃の範囲にある。
【0092】
非アクリル系樹脂(A2)を、上述のアクリル系重合体(A1)と併用した場合には、パッケージへ樹脂膜形成層を転写する際に、支持シートと樹脂膜形成層との層間剥離を容易に行うことができ、さらに転写面に樹脂膜形成層が追従しボイドなどの発生を抑えることができる。
【0093】
非アクリル系樹脂(A2)を、上述のアクリル系重合体(A1)と併用する場合には、非アクリル系樹脂(A2)の含有量は、非アクリル系樹脂(A2)とアクリル系重合体(A1)との質量比(A2:A1)において、通常1:99~60:40、好ましくは1:99~30:70の範囲にある。非アクリル系樹脂(A2)の含有量がこの範囲にあることにより、上記の効果を得ることができる。
【0094】
(B)硬化性成分
硬化性成分(B)は、樹脂膜形成層に硬化性を付与することを主目的として添加される。硬化性成分(B)は、熱硬化性成分(B1)、またはエネルギー線硬化性成分(B2)を用いることができる。また、これらを組み合わせて用いてもよい。熱硬化性成分(B1)は、少なくとも加熱により反応する官能基を有する化合物を含有する。また、エネルギー線硬化性成分(B2)は、エネルギー線照射により反応する官能基を有する化合物(B21)を含有し、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射を受けると重合硬化する。これらの硬化性成分が有する官能基同士が反応し、三次元網目構造が形成されることにより硬化が実現される。硬化性成分(B)は、重合体成分(A)と組み合わせて用いるため、樹脂膜形成層を形成するための塗工用組成物の粘度を抑制し、取り扱い性を向上させる等の観点から、通常その重量平均分子量(Mw)は、10,000以下であり、100~10,000であることが好ましい。
【0095】
(B1)熱硬化性成分
熱硬化性成分としては、たとえば、エポキシ系熱硬化性成分が好ましい。
エポキシ系熱硬化性成分は、エポキシ基を有する化合物(B11)を含有し、エポキシ基を有する化合物(B11)と熱硬化剤(B12)を組み合わせたものを用いることが好ましい。
【0096】
(B11)エポキシ基を有する化合物
エポキシ基を有する化合物(B11)(以下、「エポキシ化合物(B11)」ということがある。)としては、従来公知のものを用いることができる。具体的には、多官能系エポキシ樹脂や、ビスフェノールAジグリシジルエーテルやその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂など、分子中に2官能以上有するエポキシ化合物が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0097】
エポキシ化合物(B11)を用いる場合には、樹脂膜形成層には、重合体成分(A)100質量部に対して、エポキシ化合物(B11)が、好ましくは1~1500質量部含まれ、より好ましくは3~1200質量部含まれる。エポキシ化合物(B11)が少ないと、樹脂膜形成層の硬化後における接着性が低下する傾向がある。また、エポキシ化合物(B11)が多いと、樹脂膜形成層と支持シートとの剥離力が高くなり、樹脂膜形成層の転写不良が起こることがある。
【0098】
(B12)熱硬化剤
熱硬化剤(B12)は、エポキシ化合物(B11)に対する硬化剤として機能する。好ましい熱硬化剤としては、1分子中にエポキシ基と反応しうる官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。その官能基としてはフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基および酸無水物などが挙げられる。これらのうち好ましくはフェノール性水酸基、アミノ基、酸無水物などが挙げられ、さらに好ましくはフェノール性水酸基、アミノ基が挙げられる。
【0099】
フェノール系硬化剤の具体的な例としては、多官能系フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、アラルキルフェノール樹脂が挙げられる。
アミン系硬化剤の具体的な例としては、DICY(ジシアンジアミド)が挙げられる。
これらは、1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
【0100】
熱硬化剤(B12)の含有量は、エポキシ化合物(B11)100質量部に対して、0.1~500質量部であることが好ましく、1~200質量部であることがより好ましい。熱硬化剤の含有量が少ないと、硬化後における接着性が低下する傾向がある。
【0101】
(B13)硬化促進剤
硬化促進剤(B13)を、樹脂膜形成層の熱硬化の速度を調整するために用いてもよい。硬化促進剤(B13)は、特に、熱硬化性成分(B1)として、エポキシ系熱硬化性成分を用いるときに好ましく用いられる。
【0102】
好ましい硬化促進剤としては、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの3級アミン類;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
【0103】
硬化促進剤(B13)は、エポキシ化合物(B11)および熱硬化剤(B12)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、さらに好ましくは0.1~1質量部の量で含まれる。硬化促進剤(B13)を上記範囲の量で含有することにより、高温度高湿度下に曝されても優れた接着性を有し、厳しいリフロー条件に曝された場合であっても高い信頼性を達成することができる。硬化促進剤(B13)を添加することで、樹脂膜形成層の硬化後の接着性を向上させることができる。このような作用は硬化促進剤(B13)の含有量が多いほど強まる。
【0104】
(B2)エネルギー線硬化性成分
樹脂膜形成層がエネルギー線硬化性成分を含有することで、多量のエネルギーと長い時間を要する熱硬化工程を行うことなく樹脂膜形成層の硬化を行うことができる。これにより、製造コストの低減を図ることができる。
エネルギー線硬化性成分は、エネルギー線照射により反応する官能基を有する化合物(B21)を単独で用いてもよいが、エネルギー線照射により反応する官能基を有する化合物(B21)と光重合開始剤(B22)を組み合わせたものを用いることが好ましい。
【0105】
(B21)エネルギー線照射により反応する官能基を有する化合物
エネルギー線照射により反応する官能基を有する化合物(B21)(以下「エネルギー線反応性化合物(B21)」ということがある。)としては、具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいは1,4-ブチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等のアクリレート系化合物が挙げられ、また、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレート系オリゴマー、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートおよびイタコン酸オリゴマーなどのアクリレート系化合物等の重合構造を有するアクリレート化合物であって、比較的低分子量のものが挙げられる。このような化合物は、分子内に少なくとも1つの重合性二重結合を有する。
【0106】
エネルギー線反応性化合物(B21)を用いる場合、樹脂膜形成層には、重合体成分(A)100質量部に対して、エネルギー線反応性化合物(B21)が、好ましくは1~1500質量部含まれ、より好ましくは3~1200質量部含まれる。
【0107】
(B22)光重合開始剤
エネルギー線反応性化合物(B21)に光重合開始剤(B22)を組み合わせることで、重合硬化時間を短くし、ならびに光線照射量を少なくすることができる。
【0108】
このような光重合開始剤(B22)として具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4-ジエチルチオキサンソン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、1,2-ジフェニルメタン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドおよびβ-クロールアンスラキノンなどが挙げられる。光重合開始剤(B22)は1種類単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0109】
光重合開始剤(B22)の配合割合は、エネルギー線反応性化合物(B21)100質量部に対して0.1~10質量部含まれることが好ましく、1~5質量部含まれることがより好ましい。
光重合開始剤(B22)の配合割合が0.1質量部未満であると光重合の不足で満足な硬化性が得られないことがあり、10質量部を超えると光重合に寄与しない残留物が生成し、不具合の原因となることがある。
【0110】
(第2のバインダー成分)
第2のバインダー成分は、硬化性重合体成分(AB)を含有することにより、樹脂膜形成層にシート形状維持性と硬化性を付与する。
【0111】
(AB)硬化性重合体成分
硬化性重合体成分は、硬化機能官能基を有する重合体である。硬化機能官能基は、互いに反応して三次元網目構造を構成しうる官能基であり、加熱により反応する官能基や、エネルギー線により反応する官能基が挙げられる。
硬化機能官能基は、硬化性重合体(AB)の骨格となる連続構造の単位中に付加していてもよいし、末端に付加していてもよい。硬化機能官能基が硬化性重合体成分(AB)の骨格となる連続構造の単位中に付加している場合、硬化機能官能基は側鎖に付加していてもよいし、主鎖に直接付加していてもよい。硬化性重合体成分(AB)の重量平均分子量(Mw)は、樹脂膜形成層にシート形状維持性を付与する目的を達成する観点から、通常20,000以上である。
【0112】
加熱により反応する官能基としてはエポキシ基が挙げられる。エポキシ基を有する硬化性重合体成分(AB)としては、高分子量のエポキシ基含有化合物や、エポキシ基を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。高分子量のエポキシ基含有化合物は、たとえば、特開2001-261789に開示されている。
また、上述のアクリル系重合体(A1)と同様の重合体であって、単量体として、エポキシ基を有する単量体を用いて重合したもの(エポキシ基含有アクリル系重合体)であってもよい。エポキシ基を有する単量体としては、たとえばグリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
エポキシ基含有アクリル系重合体を用いる場合、その好ましい態様はエポキシ基以外についてアクリル系重合体(A1)と同様である。
【0113】
エポキシ基を有する硬化性重合体成分(AB)を用いる場合には、硬化性成分(B)としてエポキシ系熱硬化性成分を用いる場合と同様、熱硬化剤(B12)や、硬化促進剤(B13)を併用してもよい。
【0114】
エネルギー線により反応する官能基としては、(メタ)アクリロイル基が挙げられる。エネルギー線により反応する官能基を有する硬化性重合体成分(AB)としては、ポリエーテルアクリレートなどの重合構造を有するアクリレート系化合物等であって、高分子量のものを用いることができる。
また、たとえば側鎖に水酸基等の官能基Xを有する原料重合体に、官能基Xと反応しうる官能基Y(たとえば、官能基Xが水酸基である場合にはイソシアネート基等)およびエネルギー線照射により反応する官能基を有する低分子化合物を反応させて調製した重合体を用いてもよい。
この場合において、原料重合体が上述のアクリル系重合体(A1)に該当するときは、その原料重合体の好ましい態様は、アクリル系重合体(A1)と同様である。
【0115】
エネルギー線により反応する官能基を有する硬化性重合体成分(AB)を用いる場合には、エネルギー線硬化性成分(B2)を用いる場合と同様、光重合開始剤(B22)を併用してもよい。
【0116】
第2のバインダー成分は、硬化性重合体成分(AB)と併せて、上述の重合体成分(A)や硬化性成分(B)を含有していてもよい。
【0117】
樹脂膜形成層には、バインダー成分のほか、以下の成分を含有させてもよい。
【0118】
(C)無機フィラー
樹脂膜形成層は、無機フィラー(C)を含有していてもよい。無機フィラー(C)を樹脂膜形成層に配合することにより、硬化後の樹脂膜における熱膨張係数を調整することが可能となり、パッケージに対して硬化後の樹脂膜の熱膨張係数を最適化することで半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、硬化後の樹脂膜の吸湿性を低減させることも可能となる。
【0119】
また、本発明における樹脂膜形成層を硬化して得られる樹脂膜を、保護膜として機能させる場合には、保護膜にレーザーマーキングを施すことにより、レーザー光により削り取られた部分に無機フィラー(C)が露出して、反射光が拡散するために白色に近い色を呈する。そのため、樹脂膜形成層が後述する着色剤(D)を含有すると、レーザーマーキング部分と他の部分にコントラスト差が得られ、印字が明瞭になるという効果がある。
【0120】
好ましい無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、炭化珪素、窒化ホウ素等の粉末、これらを球形化したビーズ、単結晶繊維およびガラス繊維等が挙げられる。これらのなかでも、シリカフィラーおよびアルミナフィラーが好ましい。上記無機フィラー(C)は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0121】
上述の効果をより確実に得るための、無機フィラー(C)の含有量の範囲としては、樹脂膜形成層を構成する全固形分100質量部に対して、好ましくは1~80質量部、より好ましくは20~75質量部、特に好ましくは40~70質量部である。
【0122】
(D)着色剤
樹脂膜形成層は、透明であっても良い。また樹脂膜形成層には、着色剤(D)を配合して着色してもよい。着色剤を配合することで、レーザーマーキング等の手段により樹脂膜に刻印を行った場合に、文字、記号等のマークが認識しやすくなるという効果がある。すなわち、樹脂膜が形成されたパッケージでは、樹脂膜の表面に品番等が通常レーザーマーキング法(レーザー光により保護膜表面を削り取り印字を行う方法)により印字されるが、樹脂膜が着色剤(D)を含有することで、樹脂膜のレーザー光により削り取られた部分とそうでない部分のコントラスト差が充分に得られ、視認性が向上する。
【0123】
着色剤としては、有機または無機の顔料および染料が用いられる。これらの中でも電磁波や赤外線遮蔽性の点から黒色顔料が好ましい。黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等が用いられるが、これらに限定されることはない。半導体装置の信頼性を高める観点からは、カーボンブラックが特に好ましい。着色剤(D)は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、半導体装置の検査を赤外線により行う場合には、赤外線透過性の着色剤を用いてもよい。
着色剤(D)の配合量は、樹脂膜形成層を構成する全固形分100質量部に対して、好ましくは0.1~35質量部、さらに好ましくは0.5~25質量部、特に好ましくは1~15質量部である。
【0124】
(E)カップリング剤
無機物と反応する官能基および有機官能基と反応する官能基を有するカップリング剤(E)を、樹脂膜形成層のパッケージに対する接着性、密着性および/または樹脂膜の凝集性を向上させるために用いてもよい。また、カップリング剤(E)を使用することで、樹脂膜形成層を硬化して得られる樹脂膜の耐熱性を損なうことなく、その耐水性を向上させることができる。このようなカップリング剤としては、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、シランカップリング剤等が挙げられる。これらのうちでも、シランカップリング剤が好ましい。
【0125】
シランカップリング剤としては、その有機官能基と反応する官能基が、重合体成分(A)、硬化性成分(B)や硬化性重合体成分(AB)などが有する官能基と反応する基であるシランカップリング剤が好ましく使用される。
このようなシランカップリング剤としてはγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-6-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-6-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシランなどが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
【0126】
シランカップリング剤は、重合体成分(A)、硬化性成分(B)および硬化性重合体成分(AB)の合計100質量部に対して、通常0.1~20質量部、好ましくは0.2~10質量部、より好ましくは0.3~5質量部の割合で含まれる。シランカップリング剤の含有量が0.1質量部未満だと上記の効果が得られない可能性があり、20質量部を超えるとアウトガスの原因となる可能性がある。
【0127】
(F)汎用添加剤
樹脂膜形成層には、上記の他に、必要に応じて各種添加剤が配合されてもよい。各種添加剤としては、レベリング剤、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、イオン捕捉剤、ゲッタリング剤、連鎖移動剤や剥離剤などが挙げられる。
【0128】
樹脂膜形成層は、たとえば上記各成分を適宜の割合で混合して得られる組成物(樹脂膜形成用組成物)を用いて得られる。樹脂膜形成用組成物は予め溶媒で希釈しておいてもよく、また混合時に溶媒に加えてもよい。また、樹脂膜形成用組成物の使用時に、溶媒で希釈してもよい。
【0129】
かかる溶媒としては、酢酸エチル、酢酸メチル、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ヘプタンなどが挙げられる。
【0130】
樹脂膜形成層は、初期接着性と硬化性とを有し、未硬化状態では常温または加熱下でチップ群パッケージに押圧することで容易に接着する。また押圧する際に樹脂膜形成層を加熱してもよい。そして硬化を経て最終的には耐衝撃性の高い樹脂膜を与えることができ、接着強度にも優れ、厳しい高温度高湿度条件下においても十分な信頼性を保持し得る。なお、樹脂膜形成層は単層構造であってもよく、また多層構造であってもよい。
【0131】
樹脂膜形成層の厚さは、好ましくは1~100μm、より好ましくは2~90μm、特に好ましくは3~80μmである。樹脂膜形成層の厚さを上記範囲とすることで、樹脂膜形成層が信頼性の高い保護膜または接着剤として機能する。
【0132】
[リングフレーム保持手段]
第2形態の樹脂膜形成層付支持シートでは、支持シート21が粘着シートからなり、樹脂膜形成層22の外周部に露出している粘着剤層21Bがリングフレーム保持手段として機能する。
【0133】
第1形態では、樹脂膜形成層の表面の外周部にリングフレーム保持手段13が設けられ、第3形態では、樹脂膜形成層を環囲するようにリングフレーム保持手段33が設けられる。リングフレーム保持手段としては、粘着剤層単体からなる粘着部材、基材と粘着剤層から構成される粘着部材や、芯材を有する両面粘着部材を採用することができる。
【0134】
リングフレーム保持手段13、33は、外周形状が略矩形であり、内周部には矩形の空洞部(内部開口)を有する。外形的には、リングフレームに固定可能な大きさを有する。内部開口は、チップ群パッケージよりも大きくする。なお、リングフレームは、通常金属またはプラスチックの成形体である。
【0135】
粘着剤層単体からなる粘着部材をリングフレーム保持手段とする場合、特に制限されないが、たとえばアクリル粘着剤、ゴム系粘着剤、またはシリコーン粘着剤からなることが好ましい。 これらのうちで、リングフレームからの再剥離性を考慮するとアクリル粘着剤が好ましい。また、上記粘着剤は、単独で用いても、二種以上混合して用いてもよい。
【0136】
リングフレーム保持手段を構成する粘着剤層の厚さは、好ましくは2~20μm、より好ましくは3~15μm、さらに好ましくは4~10μmである。粘着剤層の厚さが2μm未満のときは、十分な接着性が発現しないことがある。粘着剤層の厚さが20μmを超えるときは、リングフレームから剥離する際に、リングフレームに粘着剤の残渣物が残り、リングフレームを汚染することがある。
【0137】
基材と粘着剤層から構成される粘着部材をリングフレーム保持手段とする場合には、粘着部材を構成する粘着剤層にリングフレームを貼着する。
粘着剤層を形成する粘着剤としては、上記の粘着剤層単体からなる粘着部材における粘着剤層を形成する粘着剤と同様である。また、粘着剤層の厚さも同様である。
【0138】
リングフレーム保持手段を構成する基材としては、特に制限されないが、たとえばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどが挙げられる。これらのうちで、エキスパンド性を考慮するとポリエチレンフィルムおよびポリ塩化ビニルフィルムが好ましく、ポリ塩化ビニルフィルムがより好ましい。
【0139】
リングフレーム保持手段を構成する基材の厚さは、好ましくは5~200μm、より好ましくは10~150μm、さらに好ましくは20~100μmである。
【0140】
また、芯材を有する両面粘着部材をリングフレーム保持手段とする場合には、両面粘着部材は、芯材と、その一方の面に形成される積層用粘着剤層と、その他方の面に形成される固定用粘着剤層からなる。積層用粘着剤層は、樹脂膜形成層に貼付される側の粘着剤層であり、固定用粘着剤層は、リングフレームに貼付される側の粘着剤層である。
【0141】
両面粘着部材の芯材としては、上記粘着部材の基材と同様のものが挙げられる。これらのうちで、エキスパンド性を考慮するとポリオレフィンフィルムおよび可塑化したポリ塩化ビニルフィルムが好ましい。
【0142】
芯材の厚さは、通常5~200μm、好ましくは10~150μm、より好ましくは20~100μmである。
【0143】
両面粘着部材の積層用粘着剤層および固定用粘着剤層は、同じ粘着剤からなる層であっても異なる粘着剤からなる層であってもよい。固定用粘着剤層とリングフレームとの接着力が、樹脂膜形成層と積層用粘着剤層との接着力よりも小さくなるように適宜選択される。このような粘着剤としては、たとえばアクリル粘着剤、 ゴム系粘着剤、シリコーン粘着剤が挙げられる。これらのうちで、リングフレームからの再剥離性を考慮するとアクリル粘着剤が好ましい。固定用粘着剤層を形成する粘着剤は、単独で用いても、二種以上混合して用いてもよい。積層用粘着剤層についても同様である。
【0144】
積層用粘着剤層および固定用粘着剤層の厚さは、上記粘着部材の粘着剤層の厚さと同様である。
【0145】
リングフレーム保持手段を設けることで、樹脂膜形成層付支持シートをリングフレーム等の治具に接着することが容易になる。
【0146】
[長尺剥離シート]
長尺剥離シート14、24、34は、樹脂膜形成用シートの使用時にキャリアフィルムとしての役割を果たすものであり、上述した支持シートとして例示した剥離シートを用いることができる。
【0147】
長尺剥離シートの樹脂膜形成層に接する面の表面張力は、好ましくは40mN/m以下、さらに好ましくは37mN/m以下、特に好ましくは35mN/m以下である。下限値は通常25mN/m程度である。ただし、支持シートとして剥離シートを用いる場合には、長尺剥離シートの方を軽剥離タイプとすることが好ましい。
長尺剥離シートの具体例や、剥離剤、剥離処理方法等は、前述した支持シートの一例として説明した剥離シートと同様である。
【0148】
長尺剥離シートの厚さは特に限定されないが、好ましくは30μm以上、より好ましくは50~200μmである。剥離フィルムが30μm未満であると、樹脂膜形成用シートをロール状に巻いた時に、樹脂膜形成層に巻き痕が発生することがある。
【0149】
上記のような長尺積層シートの巻収体の使用態様について、第1形態に係る長尺積層シートを例にとり、
図6Aおよび
図6Bを参照し、簡単に説明する。
まず、巻収体1から長尺積層シート2を送り出し、ピールプレート40により急角度で折り曲げながら、樹脂膜形成層付支持シート10を、長尺剥離シート14から剥離し、樹脂膜形成層付支持シート10をチップ群パッケージ44に貼付する。同時にリングフレーム保持手段13にリングフレーム45を固定する。余剰のシート(剥離シート14および補助シート15)は、ガイドローラ42、43を経て巻き取られて、廃棄テープ46として回収される。なお、
図6Aでは補助シート15は省略してある。次いで、樹脂膜形成層12とチップ群パッケージ44とを完全に切断し、支持シート11を完全には切断しないようにダイシングする。ダイシング後に分割されたパッケージを、樹脂膜形成層12とともに支持シート11から剥離して、樹脂膜形成層が転写されたパッケージが得られる。樹脂膜形成層を保護膜として使用する場合には、ダイシングに先立ち樹脂膜形成層を硬化して保護膜としてもよく、またダイシング後に硬化してもよい。また、樹脂膜形成層を接着剤層として使用する場合には、所定の被着体上に、樹脂膜形成層を介してパッケージを貼付し、必要に応じ樹脂膜形成層を硬化する。
このようなプロセスは、半導体ウエハ、チップへの保護膜の形成あるいは接着剤層の転写に関するWO2015/146254に記載の方法に準じて行われる。
【0150】
本発明の長尺積層シートの巻収体によれば、補助シートの幅広部が、樹脂膜形成層のチップ群パッケージが貼付される箇所(使用領域)には重ならないので、樹脂膜形成層の使用領域には巻痕が発生しない。また、幅広部と樹脂膜形成層とが重なったとしても、樹脂膜形成層に発生する巻痕が小さく、密着性に影響を与えない。このため、チップ群パッケージを安定して貼付でき、また得られる樹脂膜の厚みも均一になる。
【符号の説明】
【0151】
1,3,5…巻収体
2,4,6…長尺積層シート
10…第1形態に係る樹脂膜形成層付支持シート
11…支持シート
12…樹脂膜形成層
13…リングフレーム保持手段
14…長尺剥離シート
15…補助シート
20…第2形態に係る樹脂膜形成層付支持シート
21…支持シート
21A…基材
21B…粘着剤層
22…樹脂膜形成層
23…リングフレーム保持手段
24…長尺剥離シート
25…補助シート
30…第3形態に係る樹脂膜形成層付支持シート
31…支持シート
32…樹脂膜形成層
33…リングフレーム保持手段
34…長尺剥離シート
35…補助シート
40…ピールプレート
41,42,43…ガイドローラ
44…チップ群パッケージ
45…リングフレーム
46…廃棄テープ