(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】センサーモジュール
(51)【国際特許分類】
G01N 27/12 20060101AFI20241205BHJP
H05K 13/04 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
G01N27/12 B
G01N27/12 G
G01N27/12 M
H05K13/04 M
(21)【出願番号】P 2020123506
(22)【出願日】2020-07-20
【審査請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】田邊 圭
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-227482(JP,A)
【文献】国際公開第2005/054835(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0100842(US,A1)
【文献】特開2004-191164(JP,A)
【文献】特開2018-100900(JP,A)
【文献】特開平10-010067(JP,A)
【文献】特開2020-098132(JP,A)
【文献】特開2014-081367(JP,A)
【文献】特開2016-047646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00
G01N 27/12
G01N 5/02
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面及び裏面を有する基板と、
前記基板の前記表面に搭載されたセンサー素子及び前記センサー素子に接続されたコントロールICと、
前記基板の前記裏面に形成された外部端子と、
前記基板に固定され、前記センサー素子及びコントロールICを覆うケースと、を備え、
前記ケースは、複数の貫通孔が設けられた天板部を有し、
前記天板部は、前記貫通孔の存在しない中央領域と、前記中央領域の周囲を囲む位置に設けられ前記複数の貫通孔が形成された貫通孔形成領域とを有
し、
前記複数の貫通孔の一部は、前記センサー素子を有するセンサーチップと重なりを有していることを特徴とするセンサーモジュール。
【請求項2】
前記天板部の外形が矩形であることを特徴とする請求項1に記載のセンサーモジュール。
【請求項3】
前記貫通孔形成領域は、前記貫通孔の存在しないクリアランス領域を含み、
前記クリアランス領域は、前記天板部の角部近傍又は辺の略中央部近傍に位置することを特徴とする請求項2に記載のセンサーモジュール。
【請求項4】
前記複数の貫通孔と重なるフィルターをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のセンサーモジュール。
【請求項5】
前記フィルターは、前記中央領域を覆うことなく、前記複数の貫通孔と重なるよう前記貫通孔形成領域を選択的に覆うことを特徴とする請求項4に記載のセンサーモジュール。
【請求項6】
前記フィルターは、連続的な形状を有する単一部材であることを特徴とする請求項5に記載のセンサーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンサーモジュールに関し、特に、測定雰囲気中に含まれる所定のガス成分などを検出するセンサーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
所定のガス成分を検出するガスセンサーとしては、特許文献1に記載されたガスセンサーが知られている。特許文献1に記載されたガスセンサーは、キャビティを有する基板と、キャビティ内に収容されたガス検出素子と、キャビティを覆う保護キャップとを備えている。保護キャップには複数の通気孔が設けられており、通気孔を通じて外部の測定対象ガスがキャビティ内に導入される。
【0003】
特許文献1に記載されたガスセンサーにおいては、保護キャップの天井部に通気孔が存在しない平面部が設けられており、この平面部をチップマウンタの吸着ノズルで吸着することによってガスセンサーを回路基板に表面実装することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたガスセンサーにおいては、保護キャップの平面部が中心位置から偏在していることから、チップマウンタの吸着ノズルで吸着する際に、ガスセンサーの姿勢が不安定になるという問題があった。このような問題はガスセンサーだけでなく、回路基板に表面実装可能な全てのセンサーモジュール、例えば、空気の振動、圧力又は温度を検出するセンサーモジュール、つまりマイクロフォン、圧力センサー、温度センサーなどにおいても生じる問題である。
【0006】
したがって、本発明は、回路基板に表面実装可能なセンサーモジュールにおいて、空気の流通を確保しつつ、チップマウンタの吸着ノズルで吸着する際の姿勢をより安定させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるセンサーモジュールは、表面及び裏面を有する基板と、基板の表面に搭載されたセンサー素子と、基板の裏面に形成された外部端子と、基板に固定されセンサー素子を覆うケースとを備え、ケースは、複数の貫通孔が設けられた天板部を有し、天板部は、貫通孔の存在しない中央領域と、中央領域の周囲を囲む位置に設けられ複数の貫通孔が形成された貫通孔形成領域とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、天板部の中央領域に貫通孔が設けられていないことから、チップマウンタの吸着ノズルで中央領域を吸着することにより、回路基板に表面実装する際の姿勢を安定させることが可能となる。
【0009】
本発明において、天板部の外形は矩形であっても構わない。これによれば、ケースに囲まれた空間の体積を最大化することが可能となる。この場合、貫通孔形成領域は貫通孔の存在しないクリアランス領域を含み、クリアランス領域は天板部の角部近傍又は辺の略中央部近傍に位置していても構わない。これによれば、検査工程において天板部を治具で押さえる必要がある場合に、クリアランス領域を治具で押さえることにより、貫通孔が治具で塞がれることがなくなる。
【0010】
本発明によるセンサーモジュールは、複数の貫通孔と重なるフィルターをさらに備えていても構わない。これによれば、ケースで囲まれた空間への異物の混入を防止することが可能となる。この場合、フィルターは、中央領域を覆うことなく複数の貫通孔と重なるよう貫通孔形成領域を選択的に覆うものであっても構わない。これによれば、チップマウンタの吸着ノズルで吸着する際に、フィルターと吸着ノズルの接触を防止することが可能となる。
【0011】
また、フィルターは連続的な形状を有する単一部材であっても構わない。これによれば、フィルターの貼り付け工程が簡素化されるとともに、フィルターと天板部の接着強度を高めることが可能となる。この場合、天板部は、フィルターで覆われた貼り付け領域と、フィルターで覆われていない非貼り付け領域とを有し、貼り付け領域は貫通孔形成領域と重なり、非貼り付け領域は、中央領域と、貫通孔形成領域の外側に位置する外側領域と、貫通孔形成領域と重なり、中央領域と外側領域を繋ぐ切断領域とを含むものであっても構わない。これによれば、天板部にフィルターシートを貼り付けた後、フィルターシートの不要部分を剥離する工程において、外側領域に貼り付けられた不要部分と中央領域に貼り付けられた不要部分を一工程で除去することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明によれば、空気の流通を確保しつつ、チップマウンタの吸着ノズルで吸着する際にセンサーモジュールの姿勢をより安定させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態によるセンサーモジュール1Aの外観を示す略斜視図である。
【
図2】
図2は、センサーモジュール1Aの略分解斜視図である。
【
図3】
図3は、センサーモジュール1Aを裏面側から見た略平面図である。
【
図4】
図4は、天板部41の形状をより詳細に説明するための略平面図である。
【
図5】
図5は、センサーモジュール1Aの搬送方法を説明するための略斜視図である。
【
図6】
図6は、センサーモジュール1Aの検査方法を説明するための略斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2の実施形態によるセンサーモジュール1Bの外観を示す略斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の第3の実施形態によるセンサーモジュール1Cの外観を示す略斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の第4の実施形態によるセンサーモジュール1Dの外観を示す略斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の第5の実施形態によるセンサーモジュール2Aの外観を示す略斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の第6の実施形態によるセンサーモジュール2Bの外観を示す略斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の第7の実施形態によるセンサーモジュール2Cの外観を示す略斜視図である。
【
図13】
図13は、本発明の第8の実施形態によるセンサーモジュール2Dの外観を示す略斜視図である。
【
図14】
図14は、本発明の第9の実施形態によるセンサーモジュール3Aの外観を示す略斜視図である。
【
図15】
図15は、本発明の第10の実施形態によるセンサーモジュール3Bの外観を示す略斜視図である。
【
図16】
図16は、本発明の第11の実施形態によるセンサーモジュール3Cの外観を示す略平面図である。
【
図17】
図17は、本発明の第12の実施形態によるセンサーモジュール3Dの外観を示す略平面図である。
【
図18】
図18は、本発明の第13の実施形態によるセンサーモジュール3Eの外観を示す略平面図である。
【
図19】
図19は、本発明の第14の実施形態によるセンサーモジュール4Aの外観を示す略平面図である。
【
図20】
図20は、第14の実施形態によるセンサーモジュール4Aの製造工程の一部を説明するための略斜視図である。
【
図21】
図21は、第14の実施形態によるセンサーモジュール4Aの製造工程の一部を説明するための略斜視図である。
【
図22】
図22は、フィルター65のエッジ部分を面取り形状とした例を説明するための模式図である。
【
図23】
図23は、切断領域41Dの幅が中央領域41Aから外側領域41Cに向かって広くなる形状とした例を説明するための模式図である。
【
図24】
図24は、本発明の第15の実施形態によるセンサーモジュール4Bの外観を示す略平面図である。
【
図25】
図25は、フィルター65のエッジ部分を面取り形状とした例を説明するための模式図である。
【
図26】
図26は、切断領域41Dの幅が中央領域41Aから外側領域41Cに向かって広くなる形状とした例を説明するための模式図である。
【
図27】
図27は、本発明の第16の実施形態によるセンサーモジュール4Cの外観を示す略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態によるセンサーモジュール1Aの外観を示す略斜視図である。また、
図2は、センサーモジュール1Aの略分解斜視図である。
【0016】
図1及び
図2に示すように、第1の実施形態によるセンサーモジュール1Aは、基板10と、基板10の表面11に搭載されたセンサーチップ20及びコントロールIC30と、基板10に固定され、センサーチップ20及びコントロールIC30を覆うケース40とを備えている。
図3に示すように、基板10の裏面12には複数の外部端子13が設けられている。基板10の表面11及び裏面12は、xy面を構成する。
【0017】
センサーチップ20は、例えば、測定雰囲気中に含まれる所定のガス成分(CO
2など)の濃度を測定するセンサー素子を備える。但し、センサーチップ20がガスセンサーである点は必須でなく、測定雰囲気中における空気の振動、圧力、温度、湿度などを検出するセンサー、つまりマイクロフォン、圧力センサー、温度センサー、湿度センサーなどであっても構わない。また、
図2に示す例では、2つのセンサーチップ20を基板10に搭載しているが、基板10に搭載するセンサーチップ20の数については特に限定されない。
【0018】
コントロールIC30はセンサーチップ20に接続され、センサーチップ20の出力に基づいて計測値を算出する制御回路が集積されている。特に限定されないが、コントロールIC30としてはベアチップ状態の半導体ICを用いることができる。コントロールIC30は外部端子13に接続される。外部端子13の一部は、センサーチップ20に直接接続されていても構わない。また、センサーチップ20とコントロールIC30が別チップである点についても必須でなく、センサー素子と制御回路を1チップ化したICを用いても構わない。
【0019】
ケース40は、金属や樹脂など十分な強度を有する材料からなり、基板10の表面11と対向する天板部41と、天板部41に接続され平面視で(z方向から見て)センサーチップ20及びコントロールIC30を囲む側板部42を含む。天板部41は基板10の表面11と平行であり、xy面を構成する。側板部42は、基板10の表面11に対して垂直であり、xz面又はyz面を構成する。天板部41には、複数の貫通孔43が設けられている。貫通孔43は、ケース40の外部から内部への空気の流通を確保するために設けられている。例えば、センサーチップ20がガスセンサーである場合、測定対象となるガス成分は、貫通孔43を介してケース40の内部に侵入し、センサーチップ20によってその濃度が測定される。本実施形態においては貫通孔43の平面形状が円形であり、これにより、貫通孔43による天板部41の強度低下が最小限に抑えられている。
【0020】
図4は、天板部41の形状をより詳細に説明するための略平面図である。
【0021】
図4に示すように、天板部41の平面形状は矩形であり、貫通孔43の存在しない中央領域41Aと、中央領域41Aの周囲を囲む貫通孔形成領域41Bと、貫通孔形成領域41Bの外側に位置する外側領域41Cを有している。貫通孔43はいずれも貫通孔形成領域41Bに形成されており、中央領域41A及び外側領域41Cには貫通孔43が設けられていない。貫通孔43の一部は、z方向から見て、センサーチップ20又はコントロールIC30と重なっていても構わない。中央領域41Aの中心位置は、天板部41の中心位置と一致している。貫通孔形成領域41Bはリング状であり、3つの貫通孔43がx方向又はy方向に配列された直線部41B
1と、2つの直線部を繋ぐ角部41B
2を有している。本実施形態において、角部41B
2は天板部41の角部近傍に位置し、貫通孔43が存在しないクリアランス領域を構成する。
【0022】
図5は、本実施形態によるセンサーモジュール1Aの搬送方法を説明するための略斜視図である。
【0023】
図5に示すように、センサーモジュール1Aを搬送する際には、チップマウンタの吸着ノズル50によって天板部41の中央領域41Aを吸着する。上述の通り、天板部41の中央領域41Aには貫通孔43が設けられていないため、吸着ノズル50によって確実に吸着することが可能である。しかも、天板部41の中央領域41Aは平面位置が偏在していないため、吸着ノズル50によって吸着された状態におけるセンサーモジュール1Aの姿勢をより安定させることが可能となる。これにより、図示しない回路基板にセンサーモジュール1Aを表面実装する作業を安定して行うことが可能となる。
【0024】
図6は、本実施形態によるセンサーモジュール1Aの検査方法を説明するための略斜視図である。
【0025】
図6に示すように、本実施形態によるセンサーモジュール1Aの検査工程においては、ケース40の天板部41を複数の治具51~54で押さえた状態で、図示しないプローブを裏面12の外部端子13に接触させる。この状態で雰囲気中における測定対象ガスを既知の濃度に設定し、外部端子13から出力される測定値が正しい値を示しているか否かを判定することにより、センサーモジュール1Aの選別を行うことができる。
【0026】
ここで、治具51~54は、天板部41の角部及びその近傍を覆うように配置される。天板部41の角部及びその近傍は、z方向からの力に対して比較的強度が高いことから、検査工程におけるセンサーモジュール1Aの変型や破損を防止することができる。治具51~54は、貫通孔形成領域41Bの一部を覆うように配置されるが、治具51~54によって貫通孔43が塞がれないよう、治具51~54はクリアランス領域と重なるよう配置される。これにより、実使用時と同じ条件で検査を行うことが可能となる。
【0027】
<第2の実施形態>
図7は、本発明の第2の実施形態によるセンサーモジュール1Bの外観を示す略斜視図である。
【0028】
図7に示すセンサーモジュール1Bは、貫通孔43が縦長又は横長形状を有している点において、第1の実施形態によるセンサーモジュール1Aと相違している。その他の基本的な構成は第1の実施形態によるセンサーモジュール1Aと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施形態における貫通孔43は、
図4に示すx方向又はy方向に配列された3つの貫通孔43が繋がった形状を有している。このような形状を有する貫通孔43を用いることにより、中央領域41Aや外側領域41Cの面積を確保しつつ、ケース40の外部から内部への空気の流通をより促進することが可能となる。
【0029】
<第3の実施形態>
図8は、本発明の第3の実施形態によるセンサーモジュール1Cの外観を示す略斜視図である。
【0030】
図8に示すセンサーモジュール1Cは、貫通孔形成領域41Bの角部41B
2に3つの貫通孔43がL字型に配列されている点において、第1の実施形態によるセンサーモジュール1Aと相違している。その他の基本的な構成は第1の実施形態によるセンサーモジュール1Aと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施形態においては、直線部41B
1の略中央部がクリアランス領域を構成する。直線部41B
1の略中央部は、天板部41の辺の略中央部近傍に位置している。本実施形態が例示するように、クリアランス領域を角部41B
2に設けることは必須でない。この場合であっても、検査工程においてクリアランス領域を治具51~54で押さえることにより、貫通孔43を閉塞することなく検査を行うことが可能となる。
【0031】
<第4の実施形態>
図9は、本発明の第4の実施形態によるセンサーモジュール1Dの外観を示す略斜視図である。
【0032】
図9に示すセンサーモジュール1Dは、個々の貫通孔43がL字型形状を有している点において、第3の実施形態によるセンサーモジュール1Cと相違している。その他の基本的な構成は第3の実施形態によるセンサーモジュール1Cと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。このような形状を有する貫通孔43を用いることにより、ケース40の外部から内部への空気の流通をより促進することが可能となる。
【0033】
<第5~第8の実施形態>
図10~
図13は、それぞれ本発明の第5~第8の実施形態によるセンサーモジュール2A~2Dの外観を示す略斜視図である。
【0034】
図10~
図13に示すセンサーモジュール2A~2Dは、貫通孔43と重なる位置にフィルター61~64が貼り付けられている点において、それぞれ第1~第4の実施形態によるセンサーモジュール1A~1Dと相違している。その他の基本的な構成は、それぞれ第1~第4の実施形態によるセンサーモジュール1A~1Dと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0035】
フィルター61~64は、センサー素子を劣化させる所定のガス成分や、塵や埃などの侵入を防止するための部材であり、
図10及び
図11に示すセンサーモジュール2A,2Bにおいては貫通孔形成領域41Bの直線部41B
1に沿って貼り付けられ、
図12及び
図13に示すセンサーモジュール2C,2Dにおいては貫通孔形成領域41Bの角部41B
2に沿って貼り付けられている。このように、中央領域41Aを覆うことなく貫通孔形成領域41Bを選択的に覆うフィルター61~64を用いることにより、チップマウンタの吸着ノズル50がフィルター61~64と接触しないことから、実装工程におけるフィルター61~64の破損などを防止することが可能となる。
【0036】
フィルター61~64を貼り付ける方法としては、フィルター61~64に分離可能な切り込みが設けられたフィルターシートを天板部41に貼り付け、フィルター61~64が天板部41に残存するよう、フィルターシートの不要部分を剥離する方法を用いることができる。これによれば、フィルター61~64を個々に貼り付ける場合と比べて、工程数を削減することができる。
【0037】
<第9及び第10の実施形態>
図14及び
図15は、それぞれ本発明の第9及び第10の実施形態によるセンサーモジュール3A,3Bの外観を示す略斜視図である。
【0038】
図14及び
図15に示すセンサーモジュール3A,3Bは、リング状である単一のフィルター65が用いられている点において、それぞれ第5及び第6の実施形態によるセンサーモジュール2A,2Bと相違している。その他の基本的な構成は、それぞれ第5及び第6の実施形態によるセンサーモジュール2A,2Bと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0039】
第9及び第10の実施形態が例示するように、天板部41に貼り付けるフィルターは、連続的な形状を有する単一部材であっても構わない。この場合、接着面積がより拡大することから、天板部41とフィルターの接着強度を高めることが可能となる。尚、フィルターの接着強度をより高めるためには、天板部41の内側面(基板10の表面11と向かい合う側の面)の全面にフィルターを貼り付けても構わない。また、フィルター65の外形及び内形は四角形ではなく、天板部41の角部からの距離が十分に離れるよう、八角形とされている。これにより、
図6に示す検査工程において、治具51~54とフィルター65の接触を防止することが可能となる。
【0040】
フィルター65を貼り付ける方法としては、切り込みが設けられたフィルターシートを天板部41に貼り付け、フィルター65が天板部41に残存するよう、中央領域41Aに位置する不要部分と、外側領域41Cに位置する不要部分をそれぞれ剥離する方法を用いることができる。
【0041】
<第11の実施形態>
図16は、本発明の第11の実施形態によるセンサーモジュール3Cの外観を示す略平面図である。
【0042】
図16に示すセンサーモジュール3Cは、フィルター65の内形が四角形であり、外形が六角形である点において、第9の実施形態によるセンサーモジュール3Aと相違している。その他の基本的な構成は第9の実施形態によるセンサーモジュール3Aと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図16に示すように、フィルター65は、対角に位置する天板部41の2つの角部近傍が切り欠かれた二回対称形状を有している。このような形状を有するフィルター65を用いる場合、
図6に示す検査工程において、対角に位置する2つの治具52,53を使用すれば、治具52,53とフィルター65の接触を防止することが可能となる。このように、天板部41の4つの角部近傍の全てにおいてフィルター65がオフセットしている必要はなく、対角に位置する2つの角部近傍がオフセットしていても構わない。
【0043】
<第12の実施形態>
図17は、本発明の第12の実施形態によるセンサーモジュール3Dの外観を示す略平面図である。
【0044】
図17に示すセンサーモジュール3Dは、フィルター65の外形が四角形であり、天板部41の辺の略中央部近傍が切り欠かれた四回対称形状を有している点において、第11の実施形態によるセンサーモジュール3Cと相違している。その他の基本的な構成は第11の実施形態によるセンサーモジュール3Cと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。第12の実施形態によるセンサーモジュール3Dを検査する場合には、フィルター65の切り欠き部分を治具51~54で押さえることにより、貫通孔43を閉塞することなく、且つ、フィルター65と治具51~54が接触することなく検査を行うことが可能となる。
【0045】
<第13の実施形態>
図18は、本発明の第13の実施形態によるセンサーモジュール3Eの外観を示す略平面図である。
【0046】
図18に示すセンサーモジュール3Eは、ケース40の天板部41が円形であり、フィルター65が三回対称形状を有している点において、第9~第12の実施形態によるセンサーモジュール3A~3Dと相違している。その他の基本的な構成は第9~第12の実施形態によるセンサーモジュール3A~3Dと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。フィルター65には3箇所の切り欠きが設けられている。センサーモジュール3Eを検査する場合には、フィルター65に設けられた3つの切り欠き部分を3つの治具で押さえることによってセンサーモジュール3Eを固定する。本実施形態が例示するように、本発明においてケース40の天板部41が矩形である必要はなく、円形の天板部41を有するケース40を用いることによって機械的強度をより高めることが可能となる。
【0047】
<第14の実施形態>
図19は、本発明の第14の実施形態によるセンサーモジュール4Aの外観を示す略平面図である。
【0048】
図19に示すセンサーモジュール4Aは、フィルター65に切断部65aが設けられている点において、第9の実施形態によるセンサーモジュール3Aと相違している。その他の基本的な構成は第9の実施形態によるセンサーモジュール3Aと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施形態において切断部65aは、貫通孔形成領域41Bの角部41B
2に設けられている。ここで、天板部41のうちフィルター65で覆われた領域を「貼り付け領域」とした場合、貼り付け領域の大部分は貫通孔形成領域41Bと重なる。これに対し、天板部41のうちフィルター65で覆われていない領域を「非貼り付け領域」とした場合、非貼り付け領域は、中央領域41Aと、外側領域41Cと、貫通孔形成領域41Bと重なり中央領域41Aと外側領域41Cを繋ぐ切断領域41Dからなる。
【0049】
図20及び
図21は、第14の実施形態によるセンサーモジュール4Aの製造工程の一部を説明するための略斜視図である。
【0050】
まず、
図20に示すように、多数のセンサーチップ20及びコントロールIC30が実装された集合基板10Aを用意し、個々のセンサーモジュール4Aとなる部分にケース40をそれぞれ固定する。この状態で、大面積のフィルターシート66を複数のケース40に貼り付ける。フィルターシート66には個々のフィルター65に分離可能な切り込みが設けられている。
【0051】
次に、
図21に示すように、個々のフィルター65がケース40に残存するよう、フィルターシート66の不要部分を剥離する。フィルターシート66の不要部分を剥離する際には、切断領域41D側からフィルターシート66を持ち上げることによって、フィルター65と不要部分66A,66C,66Dを分離する。つまり、
図20及び
図21に示すポイント66Pを持ち上げることによって剥離を行う。これにより、外側領域41Cを覆う不要部分66C、切断領域41Dを覆う不要部分66D、中央領域41Aを覆う不要部分66Aがこの順に剥離されるため、1回の剥離工程で不要部分66A,66C,66Dを全て除去することができる。その後、集合基板10Aを切断し、複数のセンサーモジュール1Aに個片化する。
【0052】
このように、第14の実施形態によるセンサーモジュール4Aによれば、フィルターシート66の剥離工程を簡素化することが可能となる。フィルターシート66の剥離工程においてフィルター65の剥離を防止するためには、
図22に示すように、外側領域41Cと切断領域41Dの境界に位置するフィルター65のエッジ部分を面取り形状とすることが好ましい。
図22(a)に示す例ではフィルター65のエッジ部分が直線的に面取りされており、
図22(b)に示す例ではフィルター65のエッジ部分が円弧状に面取りされており、
図22(c)に示す例ではフィルター65のエッジ部分が直線的に面取りされるとともに、これにより生じる角部が円弧状に面取りされている。
図22に示す破線は、面取りされた部分を示す。
【0053】
また、不要部分66Dを除去しやすくするためには、
図23に示すように、切断領域41Dの幅が中央領域41Aから外側領域41Cに向かって広くなる形状とすることが好ましい。
図23(a)に示す例では中央領域41Aから外側領域41Cに向かって切断領域41Dの幅が連続的に広くなる形状を有しており、
図23(b)に示す例ではフィルター65のエッジ部分が円弧状に大きく面取りされ、これにより、切断領域41Dの幅が外側領域41Cの近傍において局所的に拡大されている。
図23に示す破線は、拡幅する前の切断領域41Dの位置を示す。
【0054】
<第15の実施形態>
図24は、本発明の第15の実施形態によるセンサーモジュール4Bの外観を示す略平面図である。
【0055】
図24に示すセンサーモジュール4Bは、フィルター65の切断部65aが貫通孔形成領域41Bの直線部41B
1に設けられている点において、第14の実施形態によるセンサーモジュール4Aと相違している。その他の基本的な構成は第14の実施形態によるセンサーモジュール4Aと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施形態が例示するように、フィルター65の切断部65aを角部41B
2に設けることは必須でない。
【0056】
フィルターシート66の剥離工程において、フィルター65の剥離を防止するためには、
図25に示すように、外側領域41Cと切断領域41Dの境界に位置するフィルター65のエッジ部分を面取り形状とすることが好ましい。
図25(a)に示す例ではフィルター65のエッジ部分が直線的に面取りされており、
図25(b)に示す例ではフィルター65のエッジ部分が円弧状に面取りされており、
図25(c)に示す例ではフィルター65のエッジ部分が直線的に面取りされるとともに、これにより生じる角部が円弧状に面取りされている。
図25に示す破線は、面取りされた部分を示す。
【0057】
また、不要部分66Dを除去しやすくするためには、
図26に示すように、切断領域41Dの幅が中央領域41Aから外側領域41Cに向かって広くなる形状とすることが好ましい。
図26(a)に示す例では中央領域41Aから外側領域41Cに向かって切断領域41Dの幅が連続的に広くなる形状を有しており、
図26(b)に示す例ではフィルター65のエッジ部分が円弧状に大きく面取りされ、これにより、切断領域41Dの幅が外側領域41Cの近傍において局所的に拡大されている。
図26に示す破線は、拡幅する前の切断領域41Dの位置を示す。
【0058】
<第16の実施形態>
図27は、本発明の第16の実施形態によるセンサーモジュール4Cの外観を示す略平面図である。
【0059】
図27に示すセンサーモジュール4Cは、ケース40の天板部41が円形である点において、第15の実施形態によるセンサーモジュール4Bと相違している。その他の基本的な構成は第15の実施形態によるセンサーモジュール4Bと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施形態が例示するように、本発明においてケース40の天板部41が矩形である必要はなく、円形の天板部41を有するケース40を用いることによって機械的強度をより高めることが可能となる。
【0060】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0061】
1A~1D,2A~2D,3A~3E,4A~4C センサーモジュール
10 基板
10A 集合基板
11 基板の表面
12 基板の裏面
13 外部端子
20 センサーチップ
30 コントロールIC
40 ケース
41 天板部
41A 中央領域
41B 貫通孔形成領域
41B1 直線部
41B2 角部
41C 外側領域
41D 切断領域
42 側板部
43 貫通孔
50 吸着ノズル
51~54 治具
61~65 フィルター
65a 切断部
66 フィルターシート
66A,66C,66D 不要部分
66P ポイント