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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】玄関ドア
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/70 20060101AFI20241205BHJP
   E05B 47/00 20060101ALI20241205BHJP
   E06B 3/30 20060101ALI20241205BHJP
   E06B 3/82 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
E06B3/70 D
E05B47/00 G
E06B3/30
E06B3/82
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020208399
(22)【出願日】2020-12-16
(65)【公開番号】P2022095209
(43)【公開日】2022-06-28
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】林田 亮太
(72)【発明者】
【氏名】井手 隆雄
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-173323(JP,A)
【文献】特開2020-158973(JP,A)
【文献】特開2017-025555(JP,A)
【文献】特開平09-013826(JP,A)
【文献】特開2020-029683(JP,A)
【文献】特開2009-024458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/00-3/94
E05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体の開口部に設けられるドア枠の内側に開閉可能に納められるドア本体と、
前記ドア本体の室外側面に、接着層を介して接着されるガラス板と、
前記ガラス板の戸先側表面から戸先側小口面を覆って、前記ドア本体の戸先側見込み面に固定される戸先側縁部材と、を備え、
前記ガラス板の前記戸先側小口面は、前記ドア本体の前記戸先側見込み面よりも吊元側に配置され、
前記戸先側縁部材は、前記ガラス板の戸先側縁部の室外表面に当接する表面当接板部と、前記表面当接板部に一体に連設され、前記ドア枠に重なるように前記ドア枠に向けて延出する延出板部と、を有し、
前記表面当接板部と前記延出板部とは、面一状に連続している、玄関ドア。
【請求項2】
前記ガラス板は、2枚のガラス材の間に意匠フィルムを積層した合わせガラスによって構成される、請求項1に記載の玄関ドア。
【請求項3】
前記ガラス板の上側表面から上側口面を覆って、前記ドア本体の上側見込み面に固定される上側縁部材と、前記ガラス板の下側表面から下側口面を覆って、前記ドア本体の下側見込み面に固定される下側縁部材と、を備える、請求項又はに記載の玄関ドア。
【請求項4】
前記ドア本体の吊元側に配置されて前記ガラス板の吊元側小口面を覆う吊元側縁部材を備え
前記吊元側縁部材は、前記ガラス板の表面に当接する表面当接部と、前記ガラス板の裏面に当接し、前記表面当接部との間で前記ガラス板を挟持する裏面当接部と、を有し、
前記裏面当接部は、前記接着層と同一厚みを有する、請求項のいずれか1項に記載の玄関ドア。
【請求項5】
前記ドア本体は、シリンダーを有する電気錠と、前記シリンダーを覆うシリンダーカバーと、を有し、
前記ガラス板は、前記シリンダーの外径よりも大径の取付穴を有し、
前記シリンダーは、前記取付穴を通して前記ドア本体の前記室外側面に取り付けられ、
前記取付穴は、前記シリンダーと共に前記シリンダーカバーによって覆われている、請求項1~のいずれか1項に記載の玄関ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、玄関ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドア本体の表面に、アルミの押出し成形などによって長尺の部材に形成された複数の意匠部材を、意匠部材を貫通する複数の意匠部材固定部によって、ドア本体に固定したドアが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-3414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のドアでは、意匠部材が、複数の意匠部材固定部によってドア表面に固定されるため、意匠部材の取付工程が煩雑である。しかも、意匠部材固定部は、ドア表面に突出するため目立ち易い。さらに、アルミの押出し成形などの部材は、表面にラッピングシートを設けることによって意匠性を付与しているため、金属の質感が表面に表れ易い。そのため、従来のドアは、意匠性向上の観点から改善の余地がある。
【0005】
したがって、発明者は、意匠性をより向上させることができる玄関ドアを提供する、という課題を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る玄関ドアは、建物躯体の開口部に設けられるドア枠の内側に開閉可能に納められるドア本体と、前記ドア本体の室外側面に、接着層を介して接着されるガラス板と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】玄関ドアを示す正面図である。
図2図1中のA-A線に沿う縦断面図である。
図3図1中のB-B線に沿う横断面図である。
図4】玄関ドアの上側を拡大して示す縦断面図である。
図5】玄関ドアの下側を拡大して示す縦断面図である。
図6】玄関ドアの戸先側を拡大して示す横断面図である。
図7】玄関ドアの吊元側を拡大して示す横断面図である。
図8】ガラス板の断面図である。
図9】玄関ドアの吊元側縁部材の他の実施形態を示す拡大横断面図である。
図10】玄関ドアのハンドルを拡大して示す正面図である。
図11】玄関ドアのハンドルを拡大して示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1図3に示すように、玄関ドア1は、建物躯体100の縦長矩形状の開口部101に設けられる金属製のドア枠2の内側に、室内外方向に開閉可能に設けられる。
【0009】
ドア枠2は、金属型材によって形成され、開口部101の内周に沿って取り付けられている。詳しくは、ドア枠2は、開口部101の上側の内周を横方向に延びる上ドア枠21と、開口部101の下側の内周を横方向に延びる下ドア枠22と、開口部101の左右の内周を縦方向に延びる戸先側縦ドア枠23及び吊元側縦ドア枠24と、によって矩形に枠組みされている。上ドア枠21、戸先側縦ドア枠23及び吊元側縦ドア枠24は、それぞれ中空状の角型に形成されている。
【0010】
建物躯体100の開口部101の周囲の室外表面には、陶製の外装用タイル200が接着材等によって設けられている。外装用タイル200は、上ドア枠21、戸先側縦ドア枠23及び吊元側縦ドア枠24の室外側面21a,23a,24aをそれぞれ覆うように設けられ、玄関ドア1に近接している。開口部101の周囲の外装用タイル200は陶製に限定されず、金属、コンクリート等であってもよい。図1は、室外側から見た玄関ドア1を示す。各図において、X1は玄関ドア1の室外側を示し、X2は玄関ドア1の室内側を示す。
【0011】
玄関ドア1は、ドア枠2の内側に納められるドア本体3と、ドア本体3の室外側面に設けられる意匠材としてのガラス板4と、を有する。ドア本体3は、吊元側縦ドア枠24に、丁番35によって開閉可能に取り付けられている。
【0012】
ドア本体3は、図2及び図3に示すように、ドア本体3の四周に亘って矩形に枠組みされた芯材31と、芯材31の室外側に設けられる金属製の室外板部32と、芯材31の室内側に設けられる金属製の室内板部33と、芯材31、室外板部32及び室内板部33で囲まれる空間に設けられる断熱材34と、を有する。
【0013】
本実施形態の芯材31は、金属製芯材311と、金属製芯材311の外周側を覆うように設けられる樹脂製芯材312と、によって構成される。
【0014】
金属製芯材311は、図4図7に示すように、ドア本体3の上端を横方向に延びる上金属芯材311aと、ドア本体3の下端を横方向に延びる下金属芯材311bと、ドア本体3の戸先側端を縦方向に延びる戸先金属芯材311cと、ドア本体3の吊元側端を縦方向に延びる吊元金属芯材311dと、を含んで構成される。これらの金属芯材311a,311b,311c,311dは、いずれもコ字型に形成され、外周側が平坦な見込み面を形成するように矩形に枠組みされている。
【0015】
樹脂製芯材312は、図4図7に示すように、ドア本体3の上端を横方向に延びる上樹脂芯材312aと、ドア本体3の下端を横方向に延びる下樹脂芯材312bと、ドア本体3の吊元側端を縦方向に延びる吊元樹脂芯材312dと、を含んで構成される。これらの上樹脂芯材312a、下樹脂芯材312b及び吊元樹脂芯材312dは、いずれもコ字型に形成され、それぞれ上金属芯材311a、下金属芯材311b及び吊元金属芯材311dの外面側を覆うように密着し、それぞれ取付ねじSC1、SC2、SC4によって各金属芯材311a,311b,311dに固定されている。丁番35は、図3に示すように、ドア本体3の吊元樹脂芯材312dと、ドア枠2の吊元側縦ドア枠24とに亘って取り付けられている。
【0016】
ドア本体3の戸先金属芯材311cには、このようなコ字型の樹脂製芯材が設けられていない。その代りに、図3及び図6に示すように、ドア本体3の戸先金属芯材311cの室外側面及び室内側面には、それぞれ樹脂製カバー材313a,313bが個別に取り付けられている。
【0017】
このように、玄関ドア1は、断熱材34を有することによる断熱性能及び防露性能に加えて、ドア本体3の四周に亘る金属製芯材311の外面側に、樹脂製芯材312及び樹脂製カバー材313a,313bが設けられることによる断熱性能及び防露性能を備えるため、断熱性能及び防露性能により一層優れる。
【0018】
ガラス板4は、図2図7に示すように、ドア本体3の室外側面を構成する室外板部32の全面に亘る大きさを有し、接着層5によって室外板部32の表面に接着されている。具体的には、本実施形態のガラス板4は、ドア本体3の室外板部32の上端から下端に亘るように接着層5を介して接着されている。接着層5は、ガラス板4の裏面と室外板部32の表面との少なくともいずれか一方に塗布された接着剤によって構成されてもよいし、両面接着テープによって構成されてもよい。本実施形態のガラス板4は、ドア本体3の室外側面の上端から下端に亘る全面を実質的に覆う大きさを有する。
【0019】
このように、ガラス板4は、接着層5によってドア本体3に接着されることによって固定される。そのため、従来のように、ガラス板4を固定するために表面に突出する固定部材を使用する必要がない。しかも、玄関ドア1の表面の質感は、ガラス板4そのものによって発現されるため、玄関ドア1は、ガラス板4が持つ質感による高い意匠性を備える。さらに、玄関ドア1の周囲との質感の相違によって、玄関ドア1のガラス板4がアクセントとなり、玄関ドア1のみならず建物の意匠性も向上する。
【0020】
本実施形態のガラス板4は、図8に示すように、室外側ガラス材401と室内側ガラス材402の2枚のガラス材の間に、意匠フィルム403を積層した合わせガラスによって構成される。これによって、玄関ドア1の意匠性がさらに向上する。意匠フィルム403は、例えば、ラッピングシートによって構成される。意匠フィルム403には、適宜の図柄もしくは模様が形成されてもよい。室外側ガラス材401は、意匠フィルム403を室外側から視認可能な透明もしくは半透明のガラス材によって構成される。
【0021】
ガラス板4の四辺には、図4図7に示すように、それぞれガラス板4の小口面41a,42a,43a,44aを覆う上側縁部材6、下側縁部材7、戸先側縁部材8及び吊元側縁部材9がそれぞれ設けられている。これによって、ガラス板4の小口面41a,42a,43a,44aが保護されるため、損傷が抑制され、ガラス板4の耐久性が向上する。
【0022】
上側縁部材6は、図2及び図4に示すように、表面当接板部61と取付板部62とからなる薄板状のL型の金属製金具によって構成される。上側縁部材6は、ドア本体3の幅方向のほぼ全長に亘って延びている。
【0023】
表面当接板部61は、ガラス板4の上側表面、具体的には、ガラス板4の上側縁部の表面41bに当接する。取付板部62は、表面当接板部61の上端に一体に連設され、小口面41aを覆って、室内側に向けて延びている。
【0024】
取付板部62は、取付ねじSC1によって、ドア本体3の上側の見込み面である上樹脂芯材312aの表面に固定される。これによって、上側縁部材6は、ドア本体3に固定される。
【0025】
上側縁部材6は、表面当接板部61と取付板部62とによってL型に形成されるため、小口面41aを覆って保護する機能に加えて、表面当接板部61によってガラス板4の上側縁部の表面41bを係止して固定する機能も有する。そのため、上側縁部材6は、ガラス板4の小口面41aの損傷を防止するとともに、ガラス板4の上側をドア本体3に固定して、ドア本体3からのガラス板4の上側の剥がれを防止する。
【0026】
下側縁部材7は、図2及び図5に示すように、表面当接板部71と取付板部72とからなる薄板状のL型の金属製金具によって構成される。下側縁部材7は、ドア本体3の幅方向のほぼ全長に亘って延びている。
【0027】
表面当接板部71は、ガラス板4の下側表面、具体的には、ガラス板4の下側縁部の表面42bに当接する。
【0028】
取付板部72は、表面当接板部71の下端に一体に連設され、小口面42aを覆って、室内側に向けてドア本体3の見込み方向に延びている。取付板部72は、取付ねじSC2によって、ドア本体3の下側の見込み面である下樹脂芯材312bの表面に固定される。これによって、下側縁部材7は、ドア本体3に固定される。
【0029】
下側縁部材7は、表面当接板部71と取付板部72とによってL型に形成されるため、小口面42aを覆って保護する機能に加えて、表面当接板部71によってガラス板4の下側縁部の表面42bを係止して固定する機能も有する。そのため、下側縁部材7は、上側縁部材6と同様に、ガラス板4の小口面42aの損傷を防止するとともに、ガラス板4の下側をドア本体3に固定して、ドア本体3からのガラス板4の下側の剥がれを防止する。
【0030】
戸先側縁部材8は、図3及び図6に示すように、表面当接板部81と延出板部82と脚板部83と取付板部84とからなる薄板状の金属製金具によって構成される。戸先側縁部材8は、ドア本体3の高さ方向のほぼ全長に亘って延びている。
【0031】
表面当接板部81は、ガラス板4の戸先側表面、具体的には、ガラス板4の戸先側縁部の表面43bに当接する。
【0032】
延出板部82は、表面当接板部81に一体に連設され、戸先側縦ドア枠23に重なるように、戸先側縦ドア枠23に向けて、表面当接板部81と面一状に延出している。
【0033】
図3に示すように、戸先側縦ドア枠23は、室外側面23aのドア本体3側の隅角部に、室内側に向けて凹むように設けられた段部23bを有する。延出板部82は、表面当接板部81から戸先側縦ドア枠23の段部23bに向けて延出し、この段部23b内に収容されている。これによって、戸先側縁部材8の延出板部82は、戸先側縦ドア枠23に重なって配置される。延出板部82の先端には、室内側に向けて突出する封止片821が設けられている。封止片821は、室外側から段部23bに当接することによって、玄関ドア1と戸先側縦ドア枠23との間を封止する。
【0034】
脚板部83は、表面当接板部81の裏面に一体に連設され、小口面43aを覆って室内側に向けて延びている。脚板部83の先端は、室外側の樹脂製カバー材312c1の表面に当接している。
【0035】
取付板部84は、延出板部82から室内側に向けてドア本体3の見込み方向に延びている。取付板部84は、取付ねじSC3によって、ドア本体3の戸先側の見込み面である戸先金属芯材311cの表面に固定される。これによって、戸先側縁部材8は、ドア本体3に固定される。
【0036】
戸先側縁部材8は、表面当接板部81、延出板部82及び取付板部84によってT型に形成されるため、小口面43aを覆って保護する機能に加えて、表面当接板部81によってガラス板4の戸先側縁部の表面43bを係止して固定する機能も有する。そのため、戸先側縁部材8は、上側縁部材6及び下側縁部材7と同様に、ガラス板4の小口面43aの損傷を防止するとともに、ガラス板4の戸先側をドア本体3に固定して、ドア本体3からのガラス板4の戸先側の剥がれを防止する。しかも、表面当接板部81と延出板部82とは面一状に設けられるため、玄関ドア1の戸先側を室外側から目視した際に、戸先側縁部材8が大きく突出して視認されることはない。そのため、玄関ドア1の意匠性が損なわれることはない。
【0037】
吊元側縁部材9は、図3及び図7に示すように、ガラス板4の吊元側を表裏から挟んで小口面44aを覆う薄板状のコ字型の金属製金具によって構成される。吊元側縁部材9は、ドア本体3の高さ方向のほぼ全長に亘って延びている。詳しくは、吊元側縁部材9は、ガラス板4の吊元側縁部の表面44bに当接する表面当接板部91と、ガラス板4の吊元側縁部の裏面44cに当接する裏面当接板部92と、小口面44aを覆って表面当接板部91と裏面当接板部92とを連結する連結板部93とからなる。吊元側縁部材9は、連結板部93の内面において、例えば両面接着テープ94によって、小口面44aに接着されて固定されている。
【0038】
裏面当接板部92は、接着層5と同一厚みを有している。そのため、裏面当接板部92が、接着層5によるガラス板4の固定に影響を与えるおそれはない。ガラス板4の吊元側の裏面は、裏面当接板部92によって支持されるため、ガラス板4の吊元側の固定状態も安定する。
【0039】
このように、一般に損傷し易い部位であるガラス板4の小口面41a,42a,43a,44aが、上側縁部材6、下側縁部材7、戸先側縁部材8及び吊元側縁部材9によってそれぞれ保護されるため、ガラス板4の損傷が長期に亘って維持され、耐久性が向上する。上側縁部材6、下側縁部材7、戸先側縁部材8及び吊元側縁部材9は、薄板状であるため、玄関ドア1の表面から大きく突出することはなく、玄関ドア1の意匠性が損なわれることはない。さらに、上側縁部材6、下側縁部材7及び戸先側縁部材8は、ガラス板4を係止してドア本体3に固定する機能も有するため、ガラス板4の剥がれも防止される。ガラス板4は接着層5によってドア本体3に接着されているため、各縁部材6,7,8,9の表面当接板部61,71,81,91は、極限まで細幅に形成できる。そのため、各縁部材6,7,8,9が玄関ドア1の意匠性に与える影響を極力抑えることができる。
【0040】
吊元側縁部材は、ガラス板4の吊元側を表裏から挟むように設けられるものに制限されない。例えば、図9に示す吊元側縁部材9Aのように、吊元側の芯材31の室外側面31aに、例えば両面接着テープ97によって接着されてもよい。
【0041】
図9に示すように、吊元側縁部材9Aは、中空状の角型材からなる縁部材本体95を有する。縁部材本体95の室外側面は、ガラス板4の吊元側縁部の表面44bに向けて延出している。これによって、ガラス板4の吊元側縁部の表面44bに当接する表面当接板部96が形成されている。吊元側縁部材9Aは、ガラス板4を表裏から挟み込まないため、ガラス板4の裏面の全面を接着層5によって接着することができる。吊元側縁部材9Aは、ガラス板4をドア本体3に接着した後に、ドア本体3の吊元側に固定することができるため、吊元側縁部材9Aの取付作業が容易である。
【0042】
図1に示すように、玄関ドア1は、ガラス板4の表面に、上下方向に長尺に延びる開閉操作用のハンドル11を有する。図10及び図11に示すように、ハンドル11の上下両端部には、それぞれ電気錠12,12のシリンダー121,121が配置されている。
【0043】
ガラス板4には、シリンダー121,121の位置に対応して、シリンダー121,121の取付穴45,45が設けられている。取付穴45,45は、シリンダー121,121の外径よりも大径の貫通穴である。シリンダー121,121は、取付穴45,45を通して、ドア本体3の室外側面である室外板部32に取り付けられている。この構成によれば、シリンダー121,121は、ドア本体3への取り付けの際に、ガラス板4の厚みの影響を受けないため、既存品をそのまま使用することができる。
【0044】
ハンドル11の上下両端部には、それぞれシリンダー121,121を覆うシリンダーカバー13,13が取り付けられている。シリンダーカバー13,13は、シリンダー121,121及び取付穴45,45の全体を覆い隠している。これによって、シリンダー121,121のみならず、取付穴45,45も室外側から視認されることはなく、意匠性が損なわれることはない。
【0045】
以上説明した玄関ドア1のガラス板4は、ドア本体3の室外側面の全面に亘る大きさを有する。しかし、ガラス板4は、ドア本体3の室外側面の面方向に複数枚に分割されていてもよい。ガラス板4は、合わせガラスによって構成されるものに限らず、1枚のガラス板のみによって構成されてもよい。
【0046】
図示しないが、ドア本体3の周辺に配置される面にも、玄関ドア1のガラス板4と同様の構成を有するガラス板を設けてもよい。例えば、玄関ドアの戸先側に袖パネルもしくは子扉を有する場合、ガラス板は、それらの袖パネル及び子扉の室外側面の全面に接着されてもよい。さらに、ガラス板は、ドア枠の表面に接着されてもよいし、ドア本体3の室内側面に、室外側面と同様に接着されてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 玄関ドア、 12 電気錠、 121 シリンダー、 13 シリンダーカバー、 2 ドア枠、 3 ドア本体、 32 室外板部(室外側面)、 4 ガラス板、 401 室外側ガラス材、 402 室内側ガラス材、 403意匠シート、 41a,42a,43a,44a 小口面、 45 取付穴、 5 接着層、 6 上側縁部材、 7 下側縁部材、 8 戸先側縁部材、 81 表面当接板部、 82 延出板部、 9 吊元側縁部材、 91 表面当接部、 92 裏面当接部、 100 建物躯体、 101 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11