(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】非経口使用のための圧縮固体組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 3/382 20060101AFI20241205BHJP
C11D 3/22 20060101ALI20241205BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20241205BHJP
C11D 3/40 20060101ALI20241205BHJP
C11D 17/06 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
C11D3/382
C11D3/22
C11D3/37
C11D3/40
C11D17/06
(21)【出願番号】P 2020529252
(86)(22)【出願日】2018-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2018083232
(87)【国際公開番号】W WO2019106190
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-09-07
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-07
(32)【優先日】2017-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506261567
【氏名又は名称】ルサッフル・エ・コンパニー
【氏名又は名称原語表記】LESAFFRE ET COMPAGNIE
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】レブルン グザヴィエ
【合議体】
【審判長】村守 宏文
【審判官】光本 美奈子
【審判官】弘實 由美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-47087(JP,A)
【文献】特開2001-19577(JP,A)
【文献】特開2010-120814(JP,A)
【文献】特開昭51-118669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D1/00-19/00
C05G1/00-5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合剤および崩壊剤として発酵糖蜜を含み、前記発酵糖蜜の粘度が500~5000mPa.sであ
り、前記発酵糖蜜が、ビート糖蜜、サトウキビ糖蜜またはビート糖蜜とサトウキビ糖蜜との混合物の発酵によって得られ、前記発酵糖蜜の固形分が50%~80%であることを特徴とする、非経口使用のための圧縮固体組成物。
【請求項2】
前記発酵糖蜜が
、ビート糖蜜とサトウキビ糖蜜との混合物の発酵によって得られることを特徴とする、請求項1に記載の非経口使用のための圧縮固体組成物。
【請求項3】
前記発酵糖蜜の固形分が5
5%~
75%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の非経口使用のための圧縮固体組成物。
【請求項4】
前記発酵糖蜜が、乾燥抽出物の総重量に対して5重量%未満の糖を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の非経口使用のための圧縮固体組成物。
【請求項5】
前記発酵糖蜜が、乾燥抽出物の総重量に対して1重量%未満の糖を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の非経口使用のための圧縮固体組成物。
【請求項6】
前記発酵糖蜜は、カルボキシメチルセルロースが添加されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の非経口使用のための圧縮固体組成物。
【請求項7】
カルボキシメチルセルロースの量(乾燥/乾燥)が、0.1%~2%であることを特徴とする、請求項6に記載の非経口使用のための圧縮固体組成物。
【請求項8】
カルボキシメチルセルロースの量(乾燥/乾燥)が、0.1%~1%であることを特徴とする、請求項6に記載の非経口使用のための圧縮固体組成物。
【請求項9】
カルボキシメチルセルロースの量(乾燥/乾燥)が、0.1%~0.5%であることを特徴とする、請求項6に記載の非経口使用のための圧縮固体組成物。
【請求項10】
前記発酵糖蜜の粘度が1000~4000mPa.sであることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の非経口使用のための圧縮固体組成物。
【請求項11】
活性物質、充填剤、および任意に発泡剤、洗剤、金属イオン封鎖剤、ペレット化添加剤、増白剤、ポリマー、界面活性剤、流動剤、安定剤、消泡剤、染料、および潤滑剤から選択される少なくとも1つの添加剤を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の非経口使用のための圧縮固体組成物。
【請求項12】
単層または多層錠剤、ケーク、圧縮錠剤、顆粒、ペレットまたは薬用キャンディーの形態を有することを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の非経口使用のための圧縮固体組成物。
【請求項13】
ポリエチレングリコールおよび/または微結晶セルロースおよび/またはポリビニルピロリドンおよび/またはデンプンおよび/またはヒドロキシエチルセルロースおよび/またはゼラチンを含有しないことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の非経口使用のための圧縮固体組成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の非経口使用のための圧縮固体組成物の、食器洗浄機内での洗浄のための使用。
【請求項15】
非経口使用のための圧縮固体組成物の製造のための結合剤および崩壊剤としての
、発酵糖蜜の使用
であって、前記発酵糖蜜の粘度が500~5000mPa.sであり、前記発酵糖蜜が、ビート糖蜜、サトウキビ糖蜜またはビート糖蜜とサトウキビ糖蜜との混合物の発酵によって得られ、前記発酵糖蜜の固形分が50%~80%である、発酵糖蜜の使用。
【請求項16】
前記発酵糖蜜が、非経口使用のための圧縮固体組成物中に、組成物の総重量に対して0.1重量%~15重量%の量で存在することを特徴とする、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
少なくとも粘度が500~5000mPa.sである発酵糖蜜を結合剤および崩壊剤として含
み、前記発酵糖蜜が、ビート糖蜜、サトウキビ糖蜜またはビート糖蜜とサトウキビ糖蜜との混合物の発酵によって得られ、前記発酵糖蜜の固形分が50%~80%であることを特徴とする、結合および崩壊組成物。
【請求項18】
非経口使用のための圧縮固体組成物の製造方法であって、以下のステップ:
- 活性物質、充填剤、および任意に発泡剤、洗剤、金属イオン封鎖剤、ペレット化添加剤、増白剤、ポリマー、界面活性剤、流動剤、安定剤、消泡剤、染料または潤滑剤から選択される少なくとも1つの添加剤を含む化合物を提供するステップ、
- 混合物を得るために、前のステップで提供された前記化合物に、粘度が500~5000mPa.s
であり、ビート糖蜜、サトウキビ糖蜜またはビート糖蜜とサトウキビ糖蜜との混合物の発酵によって得られ、固形分が50%~80%である発酵糖蜜を包含させるステップ、
- 前記圧縮固体組成物を得るために、前記混合物を圧縮するステップ
を含む方法。
【請求項19】
前記包含のステップが噴霧によって実施されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記圧縮するステップが、輪転機上で実施されることを特徴とする、請求項18または19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非経口使用のための圧縮固体組成物を得るための新規な結合剤および/または崩壊剤、ならびにまた前記圧縮固体組成物を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮固体組成物は、特定の特性を得るために、および最適な取り扱いを確実にするために、一般に目的とされた使用によって決定される多くの形態であり得る。実際、用途によっては、圧縮固体組成物が、使用前に良好な完全性を有し、一方また使用中、特に液体との接触時に急速に崩壊する能力を有することが重要である。これらの特性は、一般に、結合剤および/または崩壊剤によって提供される。
【0003】
結合剤の使用は、凝集体とも呼ばれる圧縮固体組成物に、その取り扱いまたはその使用中の微粒子形成の課題を回避するのに十分なレベルの機械的強度を与えることを可能にする。結合剤を使用する利点は、一般に、圧縮または凝集の全ての既知の技術、例えば、圧力圧縮、ペレット化、造粒、結節化、押出または他に噴霧乾燥について観察される。崩壊剤については、それらを含有する圧縮固体組成物が、液体との接触、および特に水との接触によって崩壊することが可能になる。
【0004】
最後に、いくつかの剤は、結合剤および崩壊剤と呼ばれるが、それは、それらが、乾燥媒体中で十分なレベルの機械的強度を得ることを可能にし、一方、液体との接触の際に崩壊する可能性も提供するためである。
【0005】
一般的に言えば、多数の結合剤が当業者に知られている。ポリビニルアルコールおよびその誘導体、セルロースおよびその誘導体、リグノスルホネート、デンプンおよびその誘導体、アルカリ金属ケイ酸塩、セメント、粘土および最後に糖蜜を、後者を石灰と組み合わせることによって、例として挙げることができる。
【0006】
ポリビニルアルコールおよびその誘導体、セルロースおよびその誘導体、デンプンならびに物理的および/または化学的に修飾されたデンプンは、良好な結合特性を有し、凝集技術の要件を満たすが、必ずしも経済的要件を満たさない凝集体を得ることを可能にする。これは、必要な使用用量は、一般に、経済的に満足な条件下で凝集体または圧縮固体組成物を得ることを可能にしないからである。
【0007】
リグノスルホネートは、使用される凝集手段に関して、それらのpHおよびそれらの組成のために攻撃性であるという欠点を有する。さらに、燃焼中、または圧縮プロセスの過程で必要とされる加熱操作中に、リグノスルホネートは、硫酸に富む有害な蒸気の放出をもたらし得る。この結果は、リグノスルホネートが大気汚染および腐食の取るに足りないものではない原因を表すことである。したがって、環境負荷を低減したより環境にやさしい製品を開発する上で、リグノスルホネートは避けるべきである。
【0008】
粘土は、結合特性を有する低コストの製品であるが、その適用分野は限られている。さらに、それらを他の結合剤と組み合わせることが非常にしばしば必要である。例として、デンプン性生成物およびその誘導体を挙げることができる。
【0009】
アルカリ金属ケイ酸塩については、微妙な取り扱いが必要であり、その長期間の使用は、それらが使用される施設の頻繁な洗浄を伴う。
【0010】
組成物に使用される結合剤のタイプは、最終用途に応じて変化する。例えば、洗剤使用のための錠剤および固体組成物の分野において、使用される結合剤は、一般に合成結合剤である。
【0011】
例えば、文献特許文献1には、特に粘土および界面活性剤を含む、錠剤の形態を有する洗濯洗剤組成物が記載されている。錠剤は、ポリエチレングリコール6000(PEG 6000)よりも粘土に対する分散効果が少ない結合剤によって一緒に保持された粒子の圧縮塊の形態である。具体的には、結合剤は、1500未満の分子量を有するポリエチレングリコール、アミンオキシドおよびポリビニルピロリドンから選択される化学結合剤である。
【0012】
文献特許文献2には、破断強度が改良された錠剤およびまたその製造方法が記載されている。この方法は、10~100GPaの剛性率値G、少なくとも7度の位相角値δ、および大気圧で少なくとも45℃の沸点を有する結合剤を提供するステップを含む。次いで、この方法は、結合剤をその沸点を超えて加熱するステップ、その後、前記加熱された結合剤を洗剤化合物のプレミックスを含有する粉末に適用して洗剤組成物を形成するステップを含む。プロセスの最終ステップは、洗剤組成物を錠剤に変換することからなる。使用される結合剤は、アニオン性界面活性剤、非アニオン性界面活性剤、ポリマー材料、ポリオール、糖酸、糖アルコール、糖エステル、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0013】
それらが合成起源であるという事実とは別に、利用可能な結合剤の別の欠点は、それらの主な利点から生じる。これは、これらの薬剤が、水のような液体との接触によってそれらを崩壊させることが一般に不可能であるような凝集を提供することによって凝集体を得ることを可能にするからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】欧州特許第1 048 716号
【文献】国際公開第2005/068603号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、非経口使用のための圧縮固体組成物の製造のための新規な結合剤が必要とされており、前記結合剤は、従来使用されている合成結合剤に取って代わることができ、また、液体、特に水との接触の際に崩壊剤として作用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
したがって、この目的は驚くべきことに、かつすべての期待に反して、発酵糖蜜によって満たすことができ、一方後者はこれまで発酵からの残留物であると考えられており、農業および畜産の分野で、拡散用の肥料として、または動物の飼料として利用されるという唯一の利点があることを見出したのは、出願人の信用によるものである。
【0017】
本発明の第1の主題は、発酵糖蜜を結合剤および/または崩壊剤として含む、非経口使用のための圧縮固体組成物に関する。
【0018】
一般的に言えば、糖蜜は、当業者に公知の物質である。それは、製糖におけるビートおよびサトウキビからの砂糖または精製における褐糖の生産の併産物である。サトウキビからでもビートからでも砂糖を生産するプロセスは、結晶化ステップの後に、一方では砂糖を、もう一方では糖蜜を得ることにつながる。一般的に言えば、製糖プロセスは、ビート1トン当たり約35~40キロの糖蜜、およびサトウキビ1トン当たり30~35キロの糖蜜を生成することが広く認識されている。フランス国内レベルでさえ、年間生産量は数万トンに達する。
【0019】
組成に関して、糖蜜の固形分はあまり変化せず、一般に70%~76%である。糖蜜は、粗セルロースおよび脂肪物質の含有量が非常に低いか、またはさらにまったく含有しない。
【0020】
糖の生産の併産物として、糖蜜は多量の糖を含有する。総糖含有量は糖蜜の起源に関係なく実質的に同じであり、一般に乾燥重量(DW)の58%~70%であるが、ビート糖蜜に適用される工業プロセスに依存していくらかの差異がある。
【0021】
他方、糖蜜、ビートまたはサトウキビの起源に依存して、糖の含有量は近い一方、これらの総糖の組成は全く異なる。したがって、ビート糖蜜では、実質的に全ての糖がスクロースの形態であり、一方サトウキビ糖蜜では、スクロースのみが全糖の約2/3、すなわち粗生成物の30%~40%を表す。
【0022】
糖蜜は粘性の高い物質であり、その輸送および貯蔵の欠点を表す。しかしながら、この高粘度は動物飼料の利点を構成し、それらは一般に、反すう動物およびウマに、わらもしくは他のセルロースベースの飼料、例えばふすまとの混合物において、または完全飼料中の結合剤として、またはさらに食欲をそそらない飼料の消費を促進するために使用される。実際、糖、アミノ酸および塩の存在によって、糖蜜は飼料を構成し、その風味および臭気は、動物の食欲を刺激し、消化を促進する。
【0023】
動物飼料の代替として、糖蜜はまた、発酵プロセスを介して「価値がある」製品と呼ばれる製品を製造するために、製造業者によって使用される。実際、いくつかの微生物の発酵機構を使用して、糖蜜は、パン酵母、エチルアルコール、クエン酸およびグルタミン酸、リジンまたは他に抗生物質を得ることを可能にし、また発酵糖蜜に対応する液体発酵残留物を生成する。
【0024】
発酵糖蜜はこれまで発酵の残留物と考えられ、その唯一の利益は、農業および畜産の分野において、拡散用肥料として、または動物飼料において利用されることであった。実際、発酵糖蜜の化学組成は、発酵による化合物の枯渇にもかかわらず、それによって提供されるエネルギーおよびその窒素値の両方に関して、反すう動物のための飼料において依然として魅力的である。
【0025】
従って、結合剤および/または崩壊剤として発酵糖蜜を含む非経口使用のための圧縮固体組成物を提案することによって、本出願人の信用は、発酵糖蜜を使用するために従来実用化されたものに逆らうことによって、発酵糖蜜を使用するための新規な方法を開拓したことである。
【0026】
本発明の目的のために、圧縮固体組成物は、例えば、加圧圧縮、ペレット化、造粒、小粒化、押出または他に噴霧乾燥などの、当業者に公知の圧縮のプロセスによって得られ得る任意の組成物を意味することが意図される。したがって、本発明による圧縮固体組成物は、凝集体であると考えることもできる。
【0027】
本発明による圧縮固体組成物は、多数の圧縮形態であってもよく、前記形態は、所望の用途に応じて当業者によって慣用的に適合される。したがって、圧縮固体組成物は、単層または多層錠剤、ケーク、圧縮錠剤、顆粒、ペレットまたは他に薬用キャンディーの形態であってもよい。好ましくは、圧縮固体組成物は、単層または多層錠剤の形態である。
【0028】
本発明の目的のために、非経口使用は、圧縮固体組成物が動物またはヒトによって摂取されることが意図されず、したがって特に動物またはヒトのための食物を提供することができないことを意味することが意図される。
【0029】
明確化の目的のために、用語「圧縮された(compressed)」、「圧縮された(compacted)」または他に「凝集した」は、実際に、本発明の目的のための同義語であると考えられ、区別なく使用され得る。
【0030】
発酵糖蜜は、細菌、酵母、または真菌によるその発酵後に得られる糖蜜の併産物であり、前記発酵は、パン酵母、エチルアルコール、または他にクエン酸およびグルタミン酸などの「価値がある」と呼ばれる産物を得ることを可能にする。好ましくは、発酵糖蜜は、酵母による糖蜜の発酵によって得られる。
【0031】
本発明によれば、発酵糖蜜は、ビート糖蜜、サトウキビ糖蜜、またはビート糖蜜およびサトウキビ糖蜜の混合物から等しく得ることができる。例えば、混合物は、60%までの発酵ビート糖蜜、70%までの発酵ビート糖蜜、80%までの発酵ビート糖蜜、90%までの発酵ビート糖蜜、またはさらに95%までの発酵ビート糖蜜を含有し得る。有利には、発酵糖蜜が発酵ビートおよびサトウキビ糖蜜の混合物である場合、前記混合物は、90%の発酵ビート糖蜜を含有する。
【0032】
最初は、発酵糖蜜は90%を超える水を含有するが、これは、水の量を減少させ、より高い固形分を得るために、有利に濃縮される。
【0033】
従って、本発明による発酵糖蜜またはビート糖蜜およびサトウキビ糖蜜の混合物の固形分は、50%~80%であり得る。好ましくは、発酵糖蜜の固形分は、55%~75%、最も特定的に55%~65%、例えば、約60%である。
【0034】
従来、それらは肥料または動物飼料として意図されているか、または使用されていたので、発酵糖蜜はまた、その中の窒素ベースの材料の分布によって、およびそのアミノグラム(aminogram)によって定義される。本発明による発酵糖蜜は、したがって、以下のような窒素ベースの材料の分布を有し得る:
- 全アミノ酸からの窒素:全窒素の25%~50%
- ベタインからの窒素:全窒素の0%~40%
- アンモニア性窒素:全窒素の2%~3%。
【0035】
本発明による発酵糖蜜のタンパク質のアミノグラムに関して、アミノ酸の平均含有量は、以下に提示されるものであり得、値の範囲は、固形分のg/kgで示される:
- アスパラギン酸:6~8
- トレオニン:0.5~3
- セリンおよびグルタミン酸:115~130
- プロリン:3~4
- グリシン:4~5
- アラニン:2.5~3.5
- バリン:2.5~3.5
- メチオニンおよびシステイン:0.5~3
- イソロイシン:1.5~2.5
- チロシン:2~3.5
- ロイシン:3~4.5
- フェニルアラニン:1~2
- リジン:0.5~2.5
- ヒスチジン:0.5~2
- アルギニン:0.2~1
【0036】
発酵から生じる併産物として、発酵糖蜜は、低い糖含有量を有する。「低い糖含有量」は、乾燥抽出物の総重量に対して5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、最も特定的に1重量%未満の糖を含む発酵糖蜜を意味することが意図される。優先的には、本発明による発酵糖蜜は、糖を含有しない。
【0037】
粗発酵糖蜜とも呼ばれる本発明による発酵糖蜜は、1つ以上の化学的または物理化学的処理を受け得る。例えば、発酵糖蜜は、カリ除去または脱塩を受け得る。このような処理は、発酵糖蜜の窒素ベースの材料に関して組成を改変し得る。カリ除去処理は、例えば、H2SO4の溶液による粗発酵糖蜜の酸性化、続いてアンモニア水での中和からなる。
【0038】
発酵糖蜜に適用され得る処理は、鉱物含有量を定性的および定量的に変化させる。したがって、粗発酵糖蜜は、粗生成物に対して14重量%~22重量%の粗灰分含有量および粗生成物に対して5重量%~18重量%のカリウム含有量を有し得る。一方、カリを除去した、または脱塩した発酵糖蜜の場合、粗灰分は、粗生成物に対して5重量%~14重量%の範囲であり、カリウム含有量は、一般に、粗生成物に対して4重量%未満である。
【0039】
高い灰分含有量のために、粗発酵糖蜜は、1.10~1.50の範囲であり得る密度を有する。好ましくは、発酵糖蜜の密度は1.20~1.40であり、最も特定的に1.25~1.35である。
【0040】
本発明による発酵糖蜜は、500mPa.s~5000mPa.s、好ましくは1000mPa.s~4000mPa.sの粘度、および5~6のわずかに酸性のpHを有する。
【0041】
したがって、本発明による圧縮固体組成物は、結合剤および/または崩壊剤としての粗製または脱塩発酵糖蜜を含む。
【0042】
前記発酵糖蜜は、圧縮固体組成物内に有効な割合で存在する。有効な割合とは、所望の効果を得るのに十分なもの、すなわち、特に、実質的な損傷なしに輸送、取扱いおよび/または貯蔵され得、水などの液体と接触すると崩壊し得る圧縮固体組成物を得ることを意味することが意図される。
【0043】
有利には、本発明による圧縮固体組成物内で使用される粗製または脱塩発酵糖蜜の量は、圧縮固体組成物の総重量に対して0.1重量%~15重量%、優先的には0.5重量%~5重量%、さらに優先的には0.5重量%~1.5重量%であり得る。
【0044】
このようにして発酵糖蜜に明らかにされた結合特性は、その取り扱い中の微粒子の形成の課題を回避するのに十分な機械的強度を有する圧縮固体組成物を得ることを可能にする。有利には、発酵糖蜜はまた、崩壊剤として作用し、圧縮固体組成物が、液体と接触すると、特に水と接触すると崩壊することを可能にする。
【0045】
本発明による圧縮固体組成物によって、本発明者らは、したがって、発酵糖蜜を利用するための新規な経路、ならびに固体組成物を得るために従来使用されていない合成結合剤または結合剤を使用するための代替物を確認した。例として、特に、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、エトキシル化脂肪アルコール、デンプン、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチンまたは他に微結晶セルロースが挙げられる。
【0046】
したがって、本発明による発酵糖蜜を含む圧縮固体組成物は、ポリエチレングリコールおよび/またはポリビニルピロリドンおよび/またはエトキシル化脂肪アルコールおよび/またはデンプンおよび/またはヒドロキシエチルセルロースおよび/またはゼラチンおよび/または微結晶セルロースを含まないことがある。
【0047】
特定の実施形態によれば、発酵糖蜜は、特に特定の物理的特性を示すために、それに添加される物質を有してもよい。したがって、糖蜜は、セルロースベースの誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、ヘミセルロース、リグニン、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン生産からの誘導体、例えば小麦、トウモロコシ、キャッサバ、タピオカ、ジャガイモ、または米デンプン、デキストリンおよびその他の変性デンプン、デキストラン、糖誘導体、例えばグルコース、フルクトース、ラクトース、スクロース、ソルビトール、グリセロール、ジウタンの天然ゴム、ジェラン、キサンタン、カラギーナンタイプ、ペクチン、アルギン酸塩、キトサン、アラビアゴム、トラガカントゴム、キャロブガム、アカシアゴム、寒天、グアーガム、生産誘導体、例えばビート果肉、チコリ果肉、乾燥または非乾燥リンゴ搾り粕、サトウキビバガス、柑橘類果肉、果汁廃棄物、ガム製造からの廃棄物、デンプン製造からの廃棄物、鉱物誘導体、スメクタイト、ベントナイトおよび他のシリカ由来の粘土、石灰、マグネシウム、および同じ族の他のもの、ならびにまたこれらの化合物のいくつかの混合物を含む群から選択される、それに添加される化合物を有してもよい。好ましくは、発酵糖蜜は、それに添加されたカルボキシメチルセルロースを有する。発酵糖蜜に添加される化合物の量は、0.1%~2%、優先的には0.1%~1%、より好ましくは尚0.1%~0.5%であり得、百分率は、それに添加される物質を含む発酵糖蜜の全乾燥重量に対する乾燥重量として表される。
【0048】
圧縮固体組成物はまた、1つ以上の添加剤を含み得る。添加剤は、当業者に公知の添加剤、例えば、発泡剤、洗剤、金属イオン封鎖剤、ペレット化添加剤、増白剤、ポリマー、界面活性剤、流動剤、安定剤、消泡剤、染料、または他に潤滑剤から選択することができる。
【0049】
安定剤の例としては、パラヒドロキシ安息香酸のエステル、例えばメチルパラベンおよびプロピルパラベン、アルコール、例えばクロロブタノール、ベンジルアルコールおよびフェニルエチルアルコール、フェノール類、例えばフェノールおよびクレゾール、亜硫酸塩、例えば重亜硫酸ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウム、エデト酸塩、例えばエデト酸ナトリウムおよびエデト酸四ナトリウム、ならびに水素化油、ゴマ油、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、アジピン酸、アスコルビン酸、ステアリル-L-アスコルビン酸のエステル、L-アスコルビン酸ナトリウム、L-アスパラギン酸、L-アスパラギン酸ナトリウム、アセチルトリプトファンナトリウム、アセトアニリド、アプロチニンの溶液、アミノエチルスルホン酸、アミノ酢酸、DL-アラニン、L-アラニン、塩化ベンザルコニウム、ソルビン酸を挙げることができる。
【0050】
潤滑剤の例としては、ステアリン酸類、例えばステアリン酸、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸マグネシウム、ロウ、例えば白ミツロウおよびカルナウバロウ、硫酸塩、例えば硫酸ナトリウム、ケイ酸化合物、例えばケイ酸マグネシウムおよび軽質無水ケイ酸、ラウリル硫酸塩、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ココアバター、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、カロペプチド、水和二酸化ケイ素、水和非晶質酸化ケイ素、乾燥水酸化アルミニウムゲル、グリセロール、軽質流動パラフィン、水素化油、合成ケイ酸アルミニウム、ゴマ油、小麦デンプン、滑石、マクロゴール、リン酸を挙げることができる。
【0051】
洗剤の例としては、ポリアクリレート、アクリル酸/マレイン酸コポリマー、モノマーポリカーボネート、例えばクエン酸塩、グルコン酸塩、オキシジコハク酸塩、グリセリル一、二および三コハク酸塩、カルボキシメチルオキシコハク酸塩、カルボキシメチルオキシマロン酸塩、ジピコリン酸塩およびヒドロキシエチルイミノ二酢酸塩を挙げることができる。
【0052】
特定の実施形態によれば、圧縮固体組成物はまた、少なくとも1つの活性物質、少なくとも1つの充填剤、および任意に少なくとも1つの添加剤を含み得、これらは、発泡剤、洗剤、金属イオン封鎖剤、ペレット化添加剤、増白剤、ポリマー、界面活性剤、流動剤、安定剤、消泡剤、染料または他に潤滑剤から選択され得る。この特定の実施形態によれば、圧縮固体組成物は、錠剤形態であってもよく、家庭用、農業用および産業用の洗浄および/または清浄の分野における用途を有する。家庭での洗浄および/または清浄の例として、特に食器洗浄機内での洗浄などの機械洗浄を挙げることができる。
【0053】
特定の実施形態によれば、本発明による非経口使用のための圧縮固体組成物は、5%~15%、好ましくは5%~11%、最も特定的に6%~8%の摩損度を有する。
【0054】
特定の実施形態によれば、本発明による非経口使用のための圧縮固体組成物は、50N~90N、好ましくは60N~80N、最も特定的に70N~75Nの硬度を有する。
【0055】
特定の実施形態によれば、本発明による非経口使用のための圧縮固体組成物は、3未満、好ましくは2.5未満、最も特定的に2未満のダスト含有量(ダスト領域)を有する。
【0056】
別の特定の実施形態によれば、本発明による非経口使用のための圧縮固体組成物は、それを湿気から保護し、取扱および/または輸送および/または貯蔵のためのさらなる保護を提供するために、袋に包装されてもよい。有利には、袋は、生分解性および/または水溶性袋である。
【0057】
別の特定の実施形態によれば、結合剤および/または崩壊剤として発酵糖蜜を含む圧縮固体組成物は、トイレ用の発泡性クリーニングケーク、食器洗浄機錠剤、水泳プール用の次亜塩素酸カルシウム錠剤、または顆粒化肥料の形態である。
【0058】
多層錠剤、特に多層食器洗浄機錠剤の形態であり得る圧縮固体組成物の例として、以下の表に要約される組成物を挙げる:
【0059】
【0060】
本発明の別の主題は、非経口使用のための圧縮固体組成物の製造のための結合剤および/または崩壊剤としての発酵糖蜜の使用に関する。
【0061】
発酵糖蜜は、上記で定義した通りである。圧縮固体組成物内の結合剤および/または崩壊剤としての発酵糖蜜の使用は、二重に有利である。第1に、本発明による使用は、これまで唯一、拡散または動物飼料を目的としていた糖蜜を利用する新規な方法を提案することを可能にする。第2に、本発明による使用は、従来使用されている合成結合剤の置換を可能にし、それによって、より環境に優しい圧縮固体組成物を得ることを可能にする。
【0062】
圧縮固体組成物内で使用される発酵糖蜜の量は、圧縮固体組成物の総重量に対して0.1重量%~15重量%、優先的には0.5重量%~5重量%、さらに優先的には0.5重量%~1.5重量%であり得る。
【0063】
圧縮固体組成物は、上で定義された通りであり得、単層または多層錠剤、ケーク、圧縮錠剤、顆粒、ペレットまたは他に薬用キャンディーの形態であり得る。好ましくは、圧縮固体組成物は、単層または多層錠剤の形態である。
【0064】
本発明の別の主題は、少なくとも発酵糖蜜を結合剤として含む結合および/または崩壊組成物に関する。
【0065】
本発明による発酵糖蜜はまた、結合特性を有するものを含むすべてのタイプの1つ以上の他の構成成分を含有する結合および/または崩壊組成物内でそのまま使用されてもよく、または、例えば、最終生成物、特に凝集体の機械的強度を増加させることができるもの、またはその取り扱いもしくは貯蔵中に前記凝集体が対象となり得る崩壊の現象を最小限にすることができるものも使用されてもよい。発酵糖蜜は、上記で定義した通りである。
【0066】
特定の実施形態によれば、本発明による結合組成物はまた、硬化剤、すなわち、結合力をさらに改善することができる硬化剤を含み得る。
【0067】
特定の実施形態によれば、発酵糖蜜は、特に特定の物理的特性を示すために、それに添加される物質を有してもよい。したがって、糖蜜は、セルロースベースの誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、リグニン、ヘミセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン生産からの誘導体、例えば小麦、トウモロコシ、キャッサバ、タピオカ、ジャガイモ、または米デンプン、デキストリンおよびその他の変性デンプン、デキストラン、糖誘導体、例えばグルコース、フルクトース、ラクトース、スクロース、ソルビトール、グリセロール、ジウタンの天然ゴム、ジェラン、キサンタン、カラギーナンタイプ、ペクチン、アルギン酸塩、キトサン、アラビアゴム、トラガカントゴム、キャロブガム、アカシアゴム、寒天、グアーガム、生産誘導体、例えばビート果肉、チコリ果肉、乾燥または非乾燥リンゴ搾り粕、サトウキビバガス、柑橘類果肉、果汁廃棄物、ガム製造からの廃棄物、デンプン製造からの廃棄物、鉱物誘導体、スメクタイト、ベントナイトおよび他のシリカ由来の粘土、石灰、マグネシウム、および同じ族の他のもの、ならびにまたこれらの化合物のいくつかの混合物を含む群から選択される、それに添加される化合物を有してもよい。
【0068】
本発明の別の主題は、以下のステップを含む、非経口使用のための圧縮固体組成物を製造するための方法に関する:
1)活性物質、充填剤、および任意に発泡剤、洗剤、金属イオン封鎖剤、ペレット化添加剤、増白剤、ポリマー、界面活性剤、流動剤、安定剤、消泡剤、染料または他に潤滑剤から選択される少なくとも1つの添加剤を提供するステップ、
2)前ステップで提供された化合物に発酵糖蜜を包含させて、混合物を得るステップ、
3)前記圧縮固体組成物を得るために、前記混合物を圧縮するステップ。
【0069】
したがって、プロセスの第1のステップは、活性物質、充填剤、および任意に発泡剤、洗剤、金属イオン封鎖剤、ペレット化添加剤、増白剤、ポリマー、界面活性剤、流動剤、安定剤、消泡剤、染料または他に潤滑剤から選択される少なくとも1つの添加剤を提供することからなる。活性物質および充填剤は、圧縮固体組成物の所望の用途に応じて、当業者によって選択される。
【0070】
発酵糖蜜を、次いで、第2のステップに従って、混合物を得るように、プロセスの第1のステップに従って提供される化合物に包含させる。発酵糖蜜は、上記の通りであり、すなわち、特に糖蜜の発酵によって得られる併産物である。本ステップに従って包含される糖蜜の量は、混合物の総重量に対して0.1重量%~15重量%、優先的には0.5重量%~5重量%、さらに優先的には0.5重量%~1.5重量%であり得る。
【0071】
包含のステップは、当業者に公知であり、混合物を得ることにつながる技術によって実施され得る。したがって、包含のステップは、例えば、噴霧によって得ることができる。
【0072】
最後に、本発明による方法の第3のステップは、圧縮するステップからなり、これは、当業者に公知の技術に従って実施することができ、前のステップで調製された混合物の圧縮または凝集をもたらす。したがって、圧縮するステップは、例えば、輪転機上での加圧圧縮によって、ペレット化によって、造粒によって、結節化によって、押出によって、または他に噴霧乾燥によって行うことができる。一例として、加圧圧縮によって圧縮するステップは、回転プレスを介して行うことができる。したがって圧縮するステップは、例えば、単層または多層錠剤、ケーク、圧縮錠剤、顆粒、ペレットまたは他に薬用キャンディーなどのいくつかの形態であり得る圧縮固体組成物を得ることを可能にする。
【0073】
本発明による方法はまた、包含および/または圧縮のステップの後に乾燥のステップを含み得る。
【0074】
本発明は、純粋に例示的であり、いかなる方法によっても保護範囲を限定しない以下の実施例を使用してより良く理解される。
【実施例】
【0075】
以下の実施例では、以下の方法で機械的特性を測定した:
摩損度試験:この試験は、ドラム中で25回転/分で2分間回転させた後の圧縮固体組成物の質量の損失を測定することからなる。この試験は、SOTAXによって供給されるFT2機械を用いて実施される。摩損度は、以下の式に従って決定される:
F(%)=[(m1-m2)/(m1)]×100
式中、m1は回転前の組成物の質量に相当し、m2は回転後の組成物の質量に相当する。
【0076】
崩壊:この試験は、液体媒体中の圧縮固体組成物の崩壊時間を測定することからなる。試験は、完全に水没した状態で前後の動きを行う装置によって行われる。この目的のために、圧縮固体組成物をバスケットに入れ、30℃±1℃に加熱された水で満たされた容器中で、毎分60回の前後の動きを行う。
【0077】
最初の前後の動きはT0に対応し、バスケット内にもはやいかなる圧縮固体組成物残留物も残っていない場合、T0から経過した時間は、崩壊時間に相当する。崩壊時間の値は分で示され、5回の測定値の平均に相当する。
【0078】
硬度:硬度は、Synergie 100引張試験機(MTS)およびTest Works 4ソフトウェアを使用して計算され、圧縮固体組成物を破断するために必要な力に対応する。硬度はニュートン(N)で表され、5回の測定の平均に相当する。
【0079】
ダスト含有量:測定は、DustMon L機械およびDustMon Lソフトウェアを使用して、製造業者の推奨に従って実施する。測定は、レーザビームの前を通過するときの、落下したときの圧縮固体組成物の塊のダストの濃度を評価することからなる。数値は、「ダスト領域」に示す。
【0080】
固形分:カールフィッシャー法。
【0081】
実施例1:結合剤および/または崩壊剤として発酵糖蜜を含む、非経口使用のための圧縮固体組成物の調製。
この実施例のために、圧縮固体組成物は、第1の層、中間層および第3の層から構成される多層錠剤の形態である。
【0082】
発酵ビートおよびサトウキビ糖蜜の混合物を使用する。混合物は、約90%の発酵ビート糖蜜および約10%の発酵サトウキビ糖蜜を含有する。発酵糖蜜は、60%の固形分を有する。次いで、これらの発酵糖蜜は、0.2%の量(乾燥/乾燥)でそれに添加されたカルボキシメチルセルロースを有する。
【0083】
カルボキシメチルセルロースを添加した発酵糖蜜は、錠剤の第1および第3の層を得るために、他の化合物とある量(乾燥/乾燥)で混合される。錠剤の全層の組成を、以下に要約する:
【0084】
【0085】
次いで、回転プレスを用いて各組成物を互いに圧縮し、多層錠剤の形態の圧縮固体組成物を得る。
【0086】
前記錠剤の機械的特性を、上述のプロトコルに従って測定し、結果を以下の表1に提示する:
【0087】
【0088】
本発明による圧縮固体組成物は、良好な機械的特性を有し、したがって、破損するかまたは大量の微粉を発生せずに容易に取り扱い、輸送することができる。それはまた、12分未満の崩壊時間(上記のプロトコルに基づく)が一般に所望される、洗浄の分野における用途に適合する崩壊時間を有する。
【0089】
比較例1:結合剤および/または崩壊剤としてポリエチレングリコール(PEG)を含む、非経口使用のための圧縮固体組成物の調製。
得られた特性を比較し、結合剤および/または崩壊剤として発酵糖蜜を含む圧縮固体組成物の利点を実証するために、第2の多層錠剤を調製した。
【0090】
ポリエチレングリコールは、錠剤の第1および第3の層を得るために、他の化合物とある量(乾燥/乾燥)で混合される。錠剤の全層の組成を、以下に要約する:
【0091】
【0092】
次いで、各組成物を、多層錠剤の形態の圧縮固体組成物を得るように、輪転機を使用して、実施例1と同じプロトコルに従って圧縮する。
【0093】
前記錠剤の機械的特性を、実施例1と同じプロトコルに従って測定し、結果を以下の表2に提示する:
【0094】
【0095】
したがって、「従来の」PEGベースの圧縮固体組成物で得られる機械的特性は、結合剤および/または崩壊剤としての発酵糖蜜に基づく本発明による圧縮固体組成物と同等である。
【0096】
したがって、この比較によって実証されるように、結合剤および/または崩壊剤としての本発明による発酵糖蜜の使用はまた、従来使用されている化学結合剤の良好な代替物であり、一方で、これまでは単に拡散または動物飼料を意図する製品を利用する新規な方法を可能にする。
【0097】
実施例2:本発明による発酵糖蜜の結合効果の実証。
この実施例の目的は、本発明による発酵糖蜜の良好な結合特性を実証することである。
【0098】
A-使用した製品:
- カーボンブラック:ENSACO(登録商標)(Imerys);粒径分布:Dv10=3.15μm;Dv50=11.8μm;Dv90=33.7μm。
- 結合剤溶液1:固形分60%の発酵サトウキビ糖蜜。
- 結合剤溶液2:90%発酵ビート糖蜜および10%発酵サトウキビ糖蜜を含有し、60%の固形分を有する混合物。
- 結合剤溶液3(対照):Bretax C(リグノスルホネート、Burgo)。Bretax Cは、既知の市販の結合剤である。
【0099】
各結合剤溶液は、カーボンブラック上に噴霧され、その造粒を可能にするように使用される。
【0100】
B-乾燥造粒
カーボンブラックは、その内部で撹拌部材が回転するように設定されているパイロット剪断ミキサーの(5l)容器内に配置される。
【0101】
各結合剤溶液について、カーボンブラックの造粒を可能にするように、バイ流体(bi-fluid)ノズルを使用して、カーボンブラックの重量に対して5重量%の量を、容器の内側に噴霧する。
【0102】
パイロットミキサーのパラメーターは、以下の通りである:
- 直線速度:14.1m/s、
- 噴霧速度:5g/min、
- パルス圧力:0.1bar。
【0103】
実施された種々の試験を、以下の表3に要約する:
【0104】
【0105】
C-粒径分析:
各試験について、得られたカーボンブラックの顆粒を、各結合剤溶液の効果を分析するために、レーザー粒径分析によって分析した。
【0106】
測定に用いる装置:
- Mastersizer 3000(Malvern)
- Aero S付属品。
操作パラメーター:
- 乾燥経路、
- 圧力:0.5bar、
- ブランク測定時刻:30秒、
- 測定時間:60秒。
【0107】
【0108】
対照結合剤溶液と比較して、結果は、本発明による発酵糖蜜が、ちょうど有効(試験1対試験3)またはさらに有効(試験2対試験3)であるカーボンブラックに対する結合効果を得ることを可能にすることを実証する。
【0109】
したがって、この実施例は、本発明による発酵糖蜜の非常に良好な結合特性、および後者が結合剤として圧縮固体組成物において有利に使用され得るという事実を実証する。
【0110】
実施例3:本発明による発酵糖蜜の結合および崩壊効果の実証。
発酵糖蜜は、本実施例では、発酵サトウキビ糖蜜の粉末を造粒するために使用される。使用した製品を、以下に要約する:
【0111】
A-使用した製品:
- 固形分97%の発酵サトウキビ糖蜜粉末。
- 発酵糖蜜1:固形分60%の発酵サトウキビ糖蜜。
- 発酵糖蜜2:発酵ビートおよびサトウキビ糖蜜の混合物。混合物は、約90%の発酵ビート糖蜜および約10%の発酵サトウキビ糖蜜を含有する。発酵糖蜜は、60%の固形分を有する。次いで、この発酵糖蜜は、0.2%の量(乾燥/乾燥)でそれに添加されたカルボキシメチルセルロースを有する。
【0112】
発酵糖蜜1および2は、発酵サトウキビ糖蜜粉末上の結合および/または崩壊組成物として使用される。発酵糖蜜は、粉末を造粒し、したがって圧縮固体組成物を得るために使用される。次いで、得られた顆粒を分析した。
【0113】
B-粒径分析:
レーザー粒径測定に使用する装置:上述の通り、Mastersizer 3000(Malvern)。
発酵サトウキビ糖蜜粉末を、レーザー粒径分析によって分析したところ、以下の特徴を有する:
- Dv10=18.1μm、
- Dv50=77.5μm、
- Dv90=234μm、
- 分布幅(距離)=2.788。
【0114】
C-実施した試験
試験1:
この試験のために、造粒は、以下の条件に従って、湿式造粒機(モデルVG-25、GLATT)で実施される:
【0115】
【0116】
発酵サトウキビ糖蜜粉末1501.4gを、造粒機内に入れる。
【0117】
次いで、造粒は、粉末の重量に対して10重量%の糖蜜1の液体溶液で実施される。噴霧した溶液の量は150gであり、噴霧した糖蜜1/粗発酵サトウキビ糖蜜粉末の液体溶液の含有量は10%である。
【0118】
得られた顆粒の分析:
得られた顆粒を、発酵サトウキビ糖蜜粉末と同じ条件下で分析したところ、以下の特徴を有する:
- Dv10=62.4μm、
- Dv50=166μm、
- Dv90=629μm、
- 分布幅(距離)=3.442。
【0119】
粉末と比較して、これらの粒径値は、発酵糖蜜が結合効果を有し、顆粒形態の圧縮固体組成物を得ることを可能にすることを示す。
【0120】
試験2:
この試験のために、造粒機は試験1のものと同じであり、操作条件は同じであり、例外はミキサー設定であり、それを600rpmに設定する。
【0121】
1500gの発酵サトウキビ糖蜜粉末を造粒機内に入れ、糖蜜2の液体溶液5%で造粒を行う。噴霧した溶液の量は75gであり、噴霧した溶液/粗サトウキビ糖蜜粉末の含有量は5%である。
【0122】
得られた顆粒の分析:
得られた顆粒を、発酵サトウキビ糖蜜粉末と同じ条件下で分析したところ、以下の特徴を有する:
- Dv10=55.4μm、
- Dv50=127μm、
- Dv90=305μm、
- 分布幅(距離)=1.965。
【0123】
粉末と比較して、これらの粒径値は、発酵糖蜜が結合効果を有し、顆粒形態の圧縮固体組成物を得ることを可能にすることを示す。ここでの分布幅は粉末よりも小さく、顆粒の粒子のより集中した径分布を反映している。
【0124】
B-濡れ性試験
試験1および2で得られた顆粒の濡れ性を、以下のプロトコルに従って発酵サトウキビ糖蜜粉末の濡れ性と比較する:
- 20℃の蒸留水100mlを400mlのビーカーに入れる。
- 試料10gを取り出し、タイマーの始動と同時に水の表面上に置く。
- 試料が完全に濡れたときにタイマーを停止する。
【0125】
結果を以下の表6に提示する:
【0126】
【0127】
ここでの継続時間は、種々の試料が空気/水界面を通過することに成功するのに必要な時間を表す。
【0128】
結果は、得られた顆粒が湿潤性の有意な減少を有することを示す。本発明による発酵糖蜜は、このパラメーターを改善することを可能にし、それによって良好な結合特性を実証する。
【0129】
C-崩壊試験
発酵糖蜜の崩壊効果を強調するために、先の試験1および2で得られた顆粒について崩壊試験を実施する。試験は、以下のプロトコルに従って実施される:
- 試験する試料10gを採り、180~125μmのふるい分け画分を回収するためにふるい分ける。
- 180~125μmのふるい分けした画分を含むふるいを採り、2lのビーカーの上に置く。
- 20℃で400mlの蒸留水を加え、ふるいが表面に浸るようにする。
- 約300rpmで撹拌する。
【0130】
合わせた混合物の重量の変化は、最初の1mlの蒸留水が添加された直後から経時的にモニターされる。これにより、試料の重量の減少を時間の関数として反映することが可能になる。
【0131】
結果を以下の表7に提示する:
【0132】
【0133】
試験開始時の正値は、顆粒による水の吸収を反映する。経時的に、結果は、水の作用下で、本発明による発酵糖蜜から得られた顆粒が完全に崩壊し得、それによって前記発酵糖蜜の崩壊効果を実証し得ることを示す。
【0134】
結論として、この実施例は、したがって、本発明による発酵糖蜜の結合および崩壊特性を実証する。実際、その使用は、顆粒形態の圧縮固体組成物を得ることを可能にし、前記顆粒は、水の作用下で引き続いて崩壊することができる。